説明

食品への印刷方法

【課題】 従来の食品表面へ印刷内容を表示する方法は、表面の濡れた食品には適応ができなかったという点であり、ダイレクトなスタンプ等の方法を用いても食品の軟らかさや曲面には十分に対処することができず仕上りが美しい状態での印刷結果は得ることが出来なかったという点である。
【解決手段】 食品への印刷方法は外表面を滑状としたベースとなる食品本体に対し、その外表面に情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルムを、印刷面を当接して固定積層し、次いで、前記可食フィルムを溶融除去させ、情報内容の印刷部分のみを残すこととし、可食フィルムの溶融除去は、前記した食品本体の外表面に存在する水分もしくは油分により、経時的になされることとし、前記した可食インクによる情報内容表示はベースとなる食品本体の外表面に染み込んでしまうこととする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品への印刷方法に関し、特に、外表面が滑状で、しかも水分や油分を有している加工食品に対し、可食インクにより、その食品の外表面に直接的に印刷を行なう方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、チョコレートやケーキ等の食品の表面に写真や好みに応じた文字や記号、イラスト、パターンを、可食インクを用いて表出したものが提案されており、この従来のものは可食インクによって可食フィルムに目的の写真、文字等の情報表示内容を印刷し、その可食フィルムを印刷面を外方として食品の表面に重合固定させた構造となっているもので、各種のプレゼントやイベント用等として利用される。
【0003】
しかしながら、上記した印刷内容の定着方法は外表面が濡れた状態となっている食品、特に加工食品として豆腐、コンニャク、剥き身の茹で卵等には適応が難しく、可食フィルムの固定も困難なものとなっていた。
【特許文献1】特許第3273507号公報
【特許文献2】特願2008−260322号出願書類
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、従来の食品表面へ印刷内容を表示する方法は、表面の濡れた食品には適応ができなかったという点であり、ダイレクトなスタンプ等の方法を用いても食品の軟らかさや曲面には十分に対処することができず仕上りが美しい状態での印刷結果は得ることが出来なかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる問題点を解決するために、本発明に係る食品への印刷方法は外表面を滑状としたベースとなる食品本体に対し、その外表面に情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルムを、印刷面を当接して固定積層し、次いで、前記可食フィルムを溶融除去させ、情報内容の印刷部分のみを残すことを特徴としている。
【0006】
また、本発明に係る食品への印刷方法は前記した可食フィルムの溶融除去は、前記した食品本体の外表面に存在する水分もしくは油分により、経時的になされることを特徴とし、前記した可食インクによる情報内容表示はベースとなる食品本体の外表面に染み込んでしまうことを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明に係る食品への印刷方法は前記した可食フィルムは澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖、食品衛生法で認可されたポリエステルの素材のうち一つを選択して材料としてあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る食品への印刷方法は上記のように構成されている。そのため、外表面が濡れた状態の食品に対して可食インクで印刷された情報内容を精巧に表出させることができる。この方法は可食インクが印刷される可食フィルムの特性を活かし、その可食フィルムのみを溶融して除去してしまうので、時間的にも短く、作業の困難性もなく、誰もが即時に実行することができるもので、従来存在していなかった豆腐、剥き身の茹で卵等に好みの写真や文字、その他を任意に表出させることができ、商品の付加価値を大きく向上させることができ、需要者に趣味感も満足させることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面に示し、実施例で述べたように構成することで実現した。
【実施例1】
【0010】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図1はベースとなる食品を豆腐として印刷が完成した状態を示す斜視図、図2は同じく要部拡大断面図、図3は工程を示す部分正面図である。
【0011】
これらの図にあって1はベース食品となる豆腐を示している。この豆腐1は通常直方体に成形されているもので、少なくともその一面に印刷表示2、2を表出させている。この実施例では、単純にストライプ模様の入ったリングの図が表出されているが、これは勿論一例であり、写真や文字、メッセージ、その他の記号やパターンであっても問題なく、自由に採択することができる。
【0012】
前記した印刷表示2、2は初期的には可食フィルム3の一面にプリント層として約2μmm程度の厚さでダイレクトに形成される。ここで印刷表示2、2は可食インクによって成形されるが、この可食インクとして、本実施例にあっては紫外線硬化インクが使用されている。
【0013】
また、本実施例で使用される可食フィルム3はフラットな形状となっており、約0.1mm程度の厚さを有するものとなっている。素材としては食品衛生法で認可されているポリエステルフィルムのほか、澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖等のうち、任意のものが対象となるベース食品に応じて自在に選択採用される。
【0014】
上記した一方面に印刷表示2、2を形成した可食フィルム3は、本実施例でベース食品となる豆腐1の任意の一面に対し、印刷表示2、2を当接させる状態で重合積層される。即ち、可食フィルム3の裏面側を外方として重合積層される。
【0015】
この重合積層状態として10〜15秒間そのままにしておくと、豆腐1の外表面に存在する水分が作用して可食フィルム3を印刷表示2、2のみを残し、溶融してしまう。印刷表示2、2の部分は豆腐1の外表面に染み込み、印刷表示2、2を豆腐1の外表面に表出することとなる。
【0016】
ここで、ベースとなる食品における水分や油分が不足する場合、上記した重合状態で、数秒の水洗い作業を行なうと、可食フィルム3は十分に溶融し、前記した場合と同様の結果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この印刷方法は、通常の直方体をした豆腐1のみならず、可食フィルム3自体が有するフレキシブル性を利用してドーム状とした豆腐や剥き身とした茹で卵等の曲面に対しても実行することができ、その印刷表示2、2は鮮明なものとなって食に供されるまで、長時間に亘って保持される。
【0018】
また、本発明に係る食品への印刷方法は、例としてあげた豆腐、茹で卵のほか、コンニャク、ハンペン、蒲鉾等をはじめとする練り製品、さつま揚げ等の揚げ食品にも十分に応用実施することができ、その他にも、魚の切り身、野菜、果物の生鮮食品や弁当にも応用することができる。
【0019】
さらには、本発明に使用される可食フィルム3自体を印刷表示2、2を施行した状態として、商品として取り引きすることも可能で、食品加工企業のみならず、個人的レベルでも実行して、各自のイベントや楽しみに使用することもできることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ベースとなる食品を豆腐として印刷が完成した状態を示す斜視図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】工程を示す部分正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 豆腐
2 印刷表示
3 可食フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を滑状としたベースとなる食品本体に対し、その外表面に情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルムを、印刷面を当接して固定積層し、次いで、前記可食フィルムを溶融除去させ、情報内容の印刷部分のみを残すことを特徴とする食品への印刷方法。
【請求項2】
前記した可食フィルムの溶融除去は、前記した食品本体の外表面に存在する水分もしくは油分により、経時的になされることを特徴とする請求項1に記載の食品への印刷方法。
【請求項3】
前記した可食インクによる情報内容表示はベースとなる食品本体の外表面に染み込んでしまうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品への印刷方法。
【請求項4】
前記した可食フィルムは澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖、食品衛生法で認可されたポリエステルの素材のうち一つを選択して材料としてあることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の食品への印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−110273(P2010−110273A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286312(P2008−286312)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(508301076)
【Fターム(参考)】