説明

食品ミキサー

【課題】羽根2を回転させる方式の食品ミキサーにおいて、シールリング15,16を容易に点検および交換し、シールリング15,16およびその周辺を容易に洗浄することができるようにする。
【解決手段】貫通孔8がタンクの周壁4に形成され、環状ハウジング9がシャフト1のまわりに設けられ、周壁4の貫通孔8にはめ込まれる。環状ハウジング9は2つ割りのものである。さらに、シールリング15,16がシャフト1のまわりに設けられ、環状ハウジング9に挿入され、シャフト1とタンクの周壁4間に洩れは生じない。シールリング15,16は1ヶ所割りまたは2つ割りのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、肉類などの食品材料を攪拌混合する食品ミキサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品ミキサーとして羽根を回転させる方式のものが使用されている。羽根を回転させる方式のものでは、普通、シャフトに羽根が設けられ、羽根がタンク内に配置され、シャフトがタンクの周壁を貫通し、駆動モータに連結される。したがって、食品材料をタンクに投入し、駆動モータによってシャフトおよび羽根を回転させ、食品材料を攪拌混合することができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、シャフトとタンクの周壁間に洩れが生じないようにする必要があり、シールリングがシャフトのまわりに設けられるが、経年変化によってシールリングが劣化することはさけられない。シールリングが荷重を受け、荷重によってシールリングが磨耗または損傷することも考えられる。このため、その粉末または断片が食品材料に混入するおそれがある。これは衛生上の重要問題であり、深刻である。シールリングおよびその周辺に雑菌が付着しやすいという問題もある。
【0004】
したがって、シールリングを頻繁に点検および交換することが肝要である。さらに、シールリングおよびその周辺を頻繁に洗浄することが肝要であるが、これを達成するには、シールリングを容易に点検および交換し、シールリングおよびその周辺を容易に洗浄することができるようにせねばならず、その装置の開発が強く要望されている。
【0005】
したがって、この発明は、羽根を回転させる方式の食品ミキサーにおいて、シールリングを容易に点検および交換し、シールリングおよびその周辺を容易に洗浄することができるようにすることを目的としてなされたものである。
【特許文献1】特開平9−238609号公報
【発明の開示】
【0006】
この発明によれば、シャフトに羽根が設けられ、羽根がタンク内に配置され、シャフトがタンクの周壁を貫通し、駆動モータに連結される。したがって、食品材料をタンク内に投入し、駆動モータによってシャフトおよび羽根を回転させ、食品材料を攪拌混合することができる。さらに、この発明によれば、貫通孔がタンクの周壁に形成され、環状ハウジングがシャフトのまわりに設けられ、周壁の貫通孔にはめ込まれる。環状ハウジングは2つ割りのものである。さらに、シールリングがシャフトのまわりに設けられ、環状ハウジングに挿入され、シャフトとタンクの周壁間に洩れは生じない。シールリングは1ヶ所割りまたは2つ割りのものである。そして、シャフトの軸方向において、環状ハウジングがタンクの外部に移動し、周壁の貫通孔から抜き取られる。
【0007】
好ましい実施例では、環状キャップが環状ハウジングの軸方向外端にはめ合わされる。さらに、タンクの外部において、環状部材がシャフトのまわりに設けられ、環状キャップに対向する。さらに、環状キャップと環状部材間において、コイルスプリングがシャフトのまわりに設けられ、シャフトの軸方向において、コイルスプリングが環状キャップおよび環状部材に係合し、環状キャップが環状ハウジングの外端にはめ込まれた状態に保持され、環状ハウジングが周壁の貫通孔にはめ込まれた状態に保持される。さらに、レバーが環状部材に連結され、シャフトの軸方向において、環状部材を環状キャップから離れるよう移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0009】
図1および図2はこの発明にかかる食品ミキサーを示す。この食品ミキサーは肉類などの食品材料を攪拌混合するためのもので、2本のシャフト1を有する。シャフト1は互いに平行にのびる。さらに、シャフト1に羽根2が設けられ、羽根2がタンク3内に配置され、シャフト1がタンク3の周壁4を貫通し、その両端はベアリング5に支持され、回転可能に案内されている。ベアリング5はタンク3の外部に位置する。さらに、一端において、シャフト1がギヤ6および駆動モータ7に連結されている。したがって、食品材料をタンク3に投入し、駆動モータ7によってシャフト1および羽根2を回転させ、食品材料を攪拌混合することができる。図3に示すように、タンク3は羽根2の回転軌跡に沿って湾曲する底面を有する。
【0010】
さらに、この食品ミキサーでは、図4に示すように、貫通孔8がタンク3の周壁4に形成され、環状ハウジング9がシャフト1のまわりに設けられ、周壁4の貫通孔8にはめ込まれている。この実施例では、環状ハウジング9の軸方向内端に内向きフランジ10が形成され、外周面に環状隆起11が形成され、内向きフランジ10がシャフト1の外周面にはめ合わされている。さらに、シャフト1に肩部12が形成されており、環状ハウジング9が周壁4の貫通孔8にはめ込まれたとき、内向きフランジ10がシャフト1の肩部12に係合し、環状隆起11がタンク3の周壁4に係合する。したがって、内向きフランジ10および環状隆起11によって位置決め手段が構成され、環状ハウジング9が位置決めされる。環状ハウジング9は剛体からなり、2つ割りのものである。さらに、タンク3の周壁4にピン13が設けられており、環状ハウジング9が周壁4の貫通孔8にはめ込まれたとき、ピン13が環状ハウジング9の軸方向みぞ14にはめ合わされる。したがって、ピン13によって環状ハウジング9が拘束され、駆動モータ7によってシャフト1が回転しても、環状ハウジング9は回転しない。
【0011】
さらに、シールリング15,16がシャフト1のまわりに設けられ、環状ハウジング9に挿入され、シャフト1とタンク3の周壁4間に洩れは生じない。この実施例では、シールリングとして小径のリング15と大径のリング16が使用され、シャフト1と環状ハウジング9間において、シールリング15が環状ハウジング9に挿入され、シャフト1の外周面にはめ合わされている。したがって、シャフト1と環状ハウジング9間に洩れは生じない。さらに、環状ハウジング9に環状隆起11が形成されていることは前述したとおりであるが、その端面に環状みぞ17が形成され、シールリング16が端面の環状みぞ17にはめ込まれており、環状隆起11がタンク3の周壁4に係合したとき、シールリング16がタンク3の周壁4に押し付けられる。したがって、環状ハウジング9とタンク3の周壁4間の洩れも生じず、シャフト1とタンク3の周壁4間に洩れは生じない。シールリング15,16は弾性体からなり、1ヶ所割りのものである。ここで、1ヶ所割りとは、2つ割りと異なり、シールリング15,16が周方向の2ヶ所ではなく、1ヶ所で切断され、割られていることを意味する。
【0012】
さらに、環状キャップ18が環状ハウジング9の軸方向外端にはめ合わされている。さらに、タンク3の外部において、環状部材19がシャフト1のまわりに設けられており、環状キャップ18に対向する。さらに、環状キャップ18と環状部材19間において、コイルスプリング20がシャフト1のまわりに設けられており、シャフト1の軸方向において、コイルスプリング20が環状キャップ18および環状部材19に係合し、環状キャップ18および環状ハウジング9に作用する。したがって、環状キャップ18が環状ハウジング9の軸方向外端にはめ合わされた状態に保持され、環状ハウジング9が周壁4の貫通孔8にはめ込まれた状態に保持され、環状キャップ18および周壁4の貫通孔8によって環状ハウジング9が拘束される。
【0013】
さらに、図5に示すように、レバー21が環状部材19に連結されており、シャフト1の軸方向において、環状部材19を環状キャップ18から離れるよう移動させることができる。この実施例では、タンク3の周壁4にブラケット22が設けられ、ボルト23によってレバー21とブラケット22が連結されており、レバー21はボルト23のまわりを揺動可能である。さらに、レバー21に長みぞ24が形成され、環状部材19にピン25が設けられ、長みぞ24にピン25が挿入されており、ピン25および長みぞ24によってレバー21と環状部材19が連結されている。したがって、レバー21をボルト23のまわりに揺動させると、ピン25および長みぞ24によって環状部材19が押され、シャフト1の軸方向において、環状部材19を環状キャップ18から離れるよう移動させることができる。
【0014】
レバー21を図5の位置でロックすることもできる。したがって、環状キャップ18が環状ハウジング9の軸方向外端にはめ合わされた状態に保持され、環状ハウジング9が周壁4の貫通孔8にはめ込まれた状態に保持され、その状態でシャフト1および羽根2を回転させ、食品材料を攪拌混合することができる。
【0015】
なお、この食品ミキサーは2本のシャフト1を有し、シャフト1がタンク3の周壁4を貫通し、その両端がベアリング5に支持され、ベアリング5はタンク3の外部に位置することは前述したとおりである。したがって、合計4ヶ所において、それぞれ環状ハウジング9、シールリング15,16、環状キャップ18、環状部材19、コイルスプリング20およびレバー21が設けられており、シャフト1とタンク3の周壁4間に洩れは生じない。
【0016】
したがって、この装置において、レバー21をボルト23のまわりに揺動させ、環状部材19を環状キャップ18から離れるよう移動させると、コイルスプリング20が環状キャップ18から離れ、環状キャップ18および環状ハウジング9に作用しない。したがって、環状キャップ18を環状ハウジング9の軸方向外端から取り外すことができる。シャフト1の軸方向において、環状ハウジング9をタンク3の外部に移動させ、周壁4の貫通孔8から抜き取ることもできる。
【0017】
したがって、図6に示すように、環状ハウジング9を環状キャップ18および周壁4の貫通孔8から解放し、シャフト1から取り外すことができ、シールリング16を環状ハウジング9から取り外し、シールリング15をシャフト1から取り外すことができる。環状ハウジング9は2つ割りのものであり、シャフト1から取り外すことは容易である。シールリング15,16は1個所割りのものであるが、弾性体であることは前述したとおりであり、環状ハウジング9およびシャフト1から取り外すことは容易である。したがって、シールリング15,16を容易に点検および交換することができる。シールリング15,16およびその周辺を容易に洗浄することもできる。
【0018】
なお、便宜上、図6に示されているのは1本のシャフト1だけであるが、この食品ミキサーは2本のシャフト1を有し、合計4ヶ所において、それぞれ環状ハウジング9、シールリング15,16、環状キャップ18、環状部材19、コイルスプリング20およびレバー21が設けられていることは理解されるべきである。
【0019】
さらに、レバー21を図5の位置でロックする必要があるが、そのロック機構はどのような形式のものであってもよい。たとえば、図7および図8に示すように、レバー21にプレート26を設け、プレート26に係合みぞ27を形成する。さらに、タンク3の周壁4にボルト28を設け、レバー21によって環状部材19を移動させたとき、ボルト28をピン29のまわりに揺動させ、プレート26の係合みぞ27にはめ込むことができるようにする。そして、ナット30をボルト28にねじ合わせ、ボルト28およびナット30によってレバー21をロックすることができるようにしてもよい。
【0020】
この実施例では、シールリング15,16が1ヶ所割りであるものを説明したが、2つ割りであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施例を示す平面図である。
【図2】図1の食品ミキサーの側面図である。
【図3】図1の食品ミキサーの横断面図である。
【図4】図1のシャフトの縦断面図である。
【図5】図1の食品ミキサーの斜視図である。
【図6】図5の食品ミキサーの分解図である。
【図7】他の実施例を示す平面図である。
【図8】図7のロック機構の正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 シャフト
2 羽根
3 タンク
4 周壁
7 駆動モータ
8 貫通孔
9 環状ハウジング
15,16 シールリング
18 環状キャップ
19 環状部材
20 コイルスプリング
21 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに羽根が設けられ、前記羽根がタンク内に配置され、前記シャフトが前記タンクの周壁を貫通し、駆動モータに連結されており、食品材料を前記タンクに投入し、前記駆動モータによって前記シャフトおよび前記羽根を回転させ、前記食品材料を攪拌混合する食品ミキサーであって、
前記タンクの周壁に形成された貫通孔と、
前記シャフトのまわりに設けられ、前記周壁の貫通孔にはめ込まれた2つ割りの環状ハウジングと、
前記シャフトのまわりに設けられ、前記環状ハウジングに挿入され、前記シャフトとタンクの周壁間に洩れが生じないようにする1ヶ所割りまたは2つ割りのシールリングとを備え、
前記シャフトの軸方向において、前記環状ハウジングを前記タンクの外部に移動させ、前記周壁の貫通孔から抜き取るようにしたことを特徴とする食品ミキサー。
【請求項2】
さらに、前記環状ハウジングの軸方向外端にはめ合わされた環状キャップと、
前記タンクの外部において、前記シャフトのまわりに設けられ、前記環状キャップに対向する環状部材と、
前記環状キャップと環状部材間において、前記シャフトのまわりに設けられ、前記シャフトの軸方向において、前記環状キャップおよび前記環状部材に係合し、前記環状キャップを前記環状ハウジングの外端にはめ合わされた状態に保持し、前記環状ハウジングを前記周壁の貫通孔にはめ込まれた状態に保持するコイルスプリングと、
前記環状部材に連結され、前記シャフトの軸方向において、前記環状部材を前記環状キャップから離れるよう移動させるレバーとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の食品ミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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