説明

食品包装用容器、及び、容器製造方法

【課題】熱可塑性樹脂シートがトレー形状に熱成形されてなる食品包装用容器において、麺やせん切り野菜等の紐状の食品を収容させた際の見栄えの低下を抑制させること。
【解決手段】熱可塑性樹脂シートがトレー形状に熱成形されてなり、紐状の食品を収容させるための食品包装用容器であって、前記食品が載置される容器底面部には、前記食品の横滑りを防止するための突起が形成されていることを特徴とする食品包装用容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の陳列、販売等に用いられる食品包装用容器とその容器製造方法に関し、より詳しくはせん切り野菜やパスタ等の紐状の食品を収容させて用いられる食品包装用容器とその容器製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレー形状を有する食品包装用容器に食品を収容して陳列、販売するのに際しては、収容した食品の見栄えが重要視されており、下記特許文献1に示すように見栄えの向上を図るために食品包装用容器に種々の工夫がなされている。
【0003】
なお、このような食品の陳列、販売においては、主たる食品ばかりでなく付け合せの食品を併せて容器に収容させることによって消費者の購買意欲を向上させることが行われている。
例えば、トンカツなどの揚げ物などでは、単にこれらを容器に収容させるのではなく、容器底面部にせん切りキャベツなどを敷き詰めた上に載せて販売することで消費者の購買意欲を向上させることが行われている。
また、刺身などは、せん切り大根や海藻類などのツマを盛り付けた上に大葉を介して盛り付け、さらに食用菊を添えるなどして見栄えを向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−270512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような利用がされる食品包装用容器としては、多くはその形成材料として熱可塑性樹脂シートが用いられており、該熱可塑性樹脂シートが熱成形されてトレー形状に形成されたものが広く採用されている。
また、近年では、容器内側となる面に、装飾の施された化粧フィルムを貼り合わせた樹脂シートを熱成形したものが用いられており、収容する食品が引き立つような装飾を内面に施した容器が食品包装に用いられたりしている。
【0006】
このような食品包装用容器の内面は、比較的滑り易い状態になっており、販売者が店頭に陳列したり、又は、消費者が手にとって内容物を吟味するのに際して容器を傾けたりすると収容させた食品全体が偏ってしまい、見栄えを低下させ易いという問題を有している。
【0007】
しかも、例えば、刺身やトンカツといった食品だけを収容させている場合であれば、反対向きに傾けることで当初の収容状態に戻すことも比較的容易であるが、せん切り野菜などのように紐状の食品を収容させていると、食品どうしの隙間が詰まってしまって元の状態に戻すことが容易ではない。
即ち、一旦、せん切りキャベツやせん切り大根などが容器内で一箇所に偏ってしまうと、これを元のように全体的に分散させた状態に戻すことは実質的に不可能である。
このような問題は、春雨、ビーフン、ヤキソバ、パスタといった麺類においても同じく生じ得るものでこの種の紐状の食品を収容させるのに際して共通して生じ得る問題である。
【0008】
即ち、紐状の食品どうしがその間隔を詰まらせないようにすることが重要で、いかに食品の横滑りを防止するかがこのような食品や、該食品とともに販売される食品の見栄えが低下することを防止する上において重要な課題となる。
このようなことから本発明は、熱可塑性樹脂シートがトレー形状に熱成形されてなる食品包装用容器における食品の横滑りを抑制し、麺やせん切り野菜等の紐状の食品を収容させた際の見栄えの低下を抑制させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明は、熱可塑性樹脂シートがトレー形状に熱成形されてなり、紐状の食品を収容させるための食品包装用容器であって、前記食品が載置される容器底面部には、前記食品の横滑りを防止するための突起が形成されていることを特徴とする食品包装用容器を提供する。
【0010】
また、上記課題を解決すべく本発明は、熱可塑性樹脂シートをトレー形状に熱成形して紐状の食品を収容させるための食品包装用容器を作製する容器製造方法であって、前記熱成形によって前記食品が載置される容器底面部に前記食品の横滑りを防止するための突起を形成させることを特徴とする容器製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食品包装用容器は、容器底面部に複数の突起が形成されていることから紐状の食品の横滑りが防止され、食品どうしの間が詰まってしまうことを抑制することができる。
即ち、本発明によれば収容させた食品の見栄えの低下を抑制させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る食品包装用容器を示す斜視図。
【図2】本発明の他の実施形態に係る食品包装用容器を示す斜視図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る食品包装用容器を示す斜視図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る食品包装用容器を示す斜視図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る食品包装用容器を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の食品包装用容器として刺身用容器を例に図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る刺身用容器であり、図2〜5は、刺身用容器の他の実施態様を示す斜視図である。
【0014】
(第一実施形態)
まず、図1を参照しつつ、本発明に係る刺身用容器の第一の実施形態について説明する。
本実施形態に係る刺身用容器1は、熱可塑性樹脂シートが熱成形されて形成されたものであり、いわゆるトレー形状を有している。
本実施形態に係る刺身用容器1は、平面視における輪郭形状がやや横長の長方形となるように形成されており、外周部には外側に短く突出する鍔部が形成され、平面視における前記輪郭形状は該鍔部の先端によって画定されている。
【0015】
前記刺身用容器1は刺身とツマ(せん切り大根、海藻類等)とを収容させるための収容凹部10を上面側に開口させており、該収容凹部10は、容器底面部11と該容器底面部の外周から立ち上がる周側壁部12とによって形成されている。
なお、本実施形態に係る刺身用容器1には前記鍔部の内側を前記収容凹部10の開口縁まで該鍔部よりも僅かに上方に隆起させた隆起部13が備えられており、該隆起部13は、前記収容凹部10の開口縁の外側を周回するように形成されている。
即ち、本実施形態に係る刺身用容器1は、平坦な台上に載置した際に、収容凹部10の前記開口縁を画定する周側壁部12の頂部の高さが、鍔部の位置よりも数mm程度高くなるように形成されている。
【0016】
また、本実施形態における刺身用容器1は、全体的に緩やかな手前下がりとなる形状を有しており、陳列時に消費者から見て奥側になる部分が手前側に比べて僅かに持ち上げられた形状となっている。
より具体的には、前記周側壁部12の頂部の高さ(接地面からの高さ)が奥側に行くに従って高くなっているとともに前記容器底面部11は、手前側11a(以下「前底部11a」ともいう)に比べて奥側11b(以下「奥底部11b」ともいう)が一段高くなるように形成されている。
さらに、前記奥底部11bは、奥に向けて緩やかに上昇するように傾斜した状態となって形成されている。
【0017】
本実施形態に係る刺身用容器1は、前記容器底面部11の一部を線状に隆起させたリブ部を有しており、該刺身用容器1の長方形の輪郭形状における短辺の中点どうしを結ぶ方向に延在する横リブ部11dを有し、該横リブ部11dを介して容器底面部11の高さを大きく異ならせ、該横リブ部11dで前記前底部11aと前記奥底部11bとが区画されている。
また、本実施形態に係る刺身用容器1の前記容器底面部11には、長辺の中点どうしを結ぶ方向にもリブ部11c(以下「縦リブ部11c」ともいう)が形成されており、該縦リブ部11cと前記横リブ部11dとを十字に交差させて容器底面部11が4分割された状態となっている。
なお、本実施形態に係る刺身用容器1は、前記縦リブ部11cの隆起高さに比べて横リブ部11dの隆起高さの方が高くなるように形成されており、該横リブ部11dの隆起高さは該横リブ部11dが形成されている位置における周側壁部12の高さの約半分程度となっている。
【0018】
この縦リブ部11cと横リブ部11dとによって区分けされている4つのエリアは、それぞれ異なる種類の刺身を盛り付けるべく設けられたものであり、「4点盛り」、又は、「4種盛り」などと呼ばれる盛り付けを行い得るように設けられている。
この4つのエリアには、それぞれせん切り大根や海藻類といった刺身のツマを載置した際に該ツマが横滑りすること防止し得るように突起11xが形成されている。
より具体的には、この第一実施形態においては、円錐状の先鋭なる突起11xが、各エリアに4つずつ形成されている。
即ち、本実施形態に係る刺身用容器1は、4つのエリアにおいてそれぞれツマを載置し、その上にそれぞれ別種類の刺身を盛り付けて、ラップ掛けしたり、透明な蓋体を被せたりするなどして刺身の陳列、販売を実施し得るように形成されたものである。
【0019】
なお、この刺身用容器1にツマとともに刺身を盛り付けて販売者が店頭に陳列したり、この陳列された刺身を消費者が購入するのに手に取ったりした際に前記突起11xを有することにより、盛り付け状態に変化を生じさせることを抑制することができ、例えば、当該刺身用容器1を傾けて保持した際においてもツマが横滑りすることが抑制され得る。
また、消費者が購入して持ち帰る際においても同様の効果が発揮され、本実施形態に係る刺身用容器1は、店頭での陳列、販売において見栄えが損なわれることを防止し得るのみならず消費者によって自宅に持ち帰られるまで見栄えを保持させうるという効果を奏する。
【0020】
具体的には、本実施形態に係る突起11xは、基端部面積1cm2以下、突出高さ5mm以上、且つ、先端部の曲率半径が2.0mm以下の先鋭な形状を有している。
また、前記突起11xは、頂部間の距離が1〜3cm程度となるピッチで配置されている。
前記のような先鋭な突起11xを有することにより本実施形態に係る刺身用容器は容器底面部11に載置されるツマに対して下方から前記突起11xを侵入させやすくなっており、ツマの横滑りを防止させるのに高い効果を発揮するものである。
なお、本実施形態に係る刺身用容器は、前記のように熱可塑性樹脂シートが熱成形されることによって形成されているもので、過度に先鋭な突起は製造が困難であるために、通常、前記突起11xは、基端部面積0.5cm2以上とされ、突出高さは1.5cm以下、先端部の曲率半径は0.5mm以上とされる。
【0021】
なお、本実施形態においては、刺身用容器1に円錐形状の突起11xを形成させているが、三角錐や四角錐といった多角錐形状の突起を形成させても、上記のような先鋭な形状とすることでツマの横滑りがより確実に防止される点については同じである。
【0022】
このような突起11xを有する本実施形態に係る刺身用容器1は、前記のように熱可塑性樹脂シートが熱成形されて形成されたものであり、前記収容凹部10や鍔部、及び、前記容器底面部11の突起11x等が一枚の熱可塑性樹脂シートによって一体成形されたものである。
【0023】
この熱可塑性樹脂シートとしては、特に限定されず、一般的な食品包装用容器の原材料として用いられているものを採用することができ、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂といったポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレンランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)樹脂、エチレン−プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)樹脂などのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ホモポリスチレン(汎用ポリスチレン)樹脂、スチレン−メチルスチレン共重合体樹脂、スチレン−エチルスチレン共重合体樹脂、スチレン−ブチルスチレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂などのポリスチレン系樹脂などからなる発泡樹脂シートや非発泡な樹脂シート(樹脂フィルム)を採用することができる。
【0024】
本実施形態において刺身用容器の形成材料として用いられる熱可塑性樹脂シートは、上記例示の内の単一種類の樹脂によって構成されている必要はなく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂とランダムポリプロピレン樹脂との混合樹脂やホモポリプロピレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂との混合樹脂、汎用ポリスチレン樹脂とその他のポリスチレン系樹脂との混合樹脂などによって構成された熱可塑性樹脂シートを前記刺身用容器の形成に用いることが可能である。
【0025】
また、上記例示の樹脂以外の熱可塑性樹脂が用いられてなる熱可塑性樹脂シートを採用することも可能であり、上記例示の樹脂の内の1種以上と上記例示以外の樹脂の1種以上とを含む混合樹脂からなる熱可塑性樹脂シートも採用が可能なものである。
例えば、本実施形態においては食品包装用容器として刺身用容器を例示しているが、例えば、収容する食品が麺類等の紐状食品であって、電子レンジ等での加熱が行われるような種類のものであれば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)樹脂などのポリフェニレンエーテル系樹脂を汎用ポリスチレン系樹脂に混合した耐熱ポリスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂シートを好ましく採用し得る。
【0026】
また、熱可塑性樹脂シートとしては、熱成形が可能なものであれば、単層構造であっても積層構造であっても良く、上記のような発泡樹脂シート、又は、非発泡樹脂シートに他の樹脂シートや金属フィルム、布帛、不織布などを積層した積層シートであってもよい。
【0027】
本実施形態においては、前記熱可塑性樹脂シートとして前記樹脂フィルムであれば、通常、厚みが10μm〜50μmのものを採用することができ、前記発泡樹脂シートであれば0.7mm〜3mmの厚みのものを採用することができる。
【0028】
なお、前記のような好ましい突起11xを熱成形によって形成させるには、熱成形後の発泡倍率が5倍以下、好ましくは4倍以下となるように熱成形を行うことが望ましく、本実施形態の刺身用容器に用いる熱可塑性樹脂シートとしては、前記のような好ましい突起11xを熱成形によって比較的容易に形成させ得る点において前記熱可塑性樹脂シートとして樹脂フィルムか、発泡樹脂シートを用いる場合でも、発泡倍率が4倍未満、好ましくは発泡倍率が1.5倍〜3倍の微発泡樹脂シートか、又は、該微発泡樹脂シートに樹脂フィルムが積層されてなる積層シートかのいずれかを用いることが好ましい。
【0029】
また、本実施形態の刺身用容器1は、せん切り大根などのツマと同じような色調では、食品との判別が付き難く、収容している刺身やツマを際立たせる効果が低くなるため、少なくとも内側は白色よりも有色とすることが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂シートとして黒色の樹脂フィルム、又は、前記微発泡樹脂シートに黒色の樹脂フィルムが積層された積層シートを用いることが好ましい。
【0030】
なお、このような熱可塑性樹脂シートを用いて刺身用容器を製造する製造方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等の従来一般に実施されている熱可塑性樹脂シートを用いた熱成形と同様の方法を採用することができ、該熱成形によって熱可塑性樹脂シートに隆起部13、収容凹部10、突起11x等を形成させた後にトムソン刃などで前記鍔部の外縁となる部分を切断して前記刺身用容器1を作製することができる。
【0031】
(第二実施形態)
次いで、図2を参照しつつ本発明の第二の実施形態について説明する。
前記第一実施形態に係る刺身用容器が、先鋭なる突起を設けていたのに対して、この第二実施形態に係る刺身用容器は先端にやや丸みを帯びた突起が形成されており、具体的には、半球状の突起が形成されている。
なお、その他の構成については、この第二実施形態に係る刺身用容器は第一実施形態に係る刺身用容器と共通させている。
即ち、本実施形態にかかる刺身用容器も、容器底面部11に該縦リブ部11cと横リブ部11dとが形成された前下がりな形状を有する4点盛用容器である。
【0032】
この第二実施形態に係る刺身用容器は、突起の先端が2mmを超える曲率半径を有し第一実施形態における刺身用容器に比べて丸みを帯びた突起を有していることから、ツマなどの横滑りを防止する効果が第一実施形態に係る刺身用容器ほどには発揮されないものの突起を見たり触れたりした際に鋭さを感じさせず穏やかな印象を消費者等に与え得るものである。
また、前記第一実施形態に係る刺身用容器が前記のような先鋭な突起を有することから、その形成材料として樹脂フィルム、微発泡樹脂シート、微発泡樹脂シートに樹脂フィルムが積層されてなる積層シートなどを好適なものとしていたのに対し、本実施形態に係る刺身用容器は、上記のような丸みを帯びた突起を有することで発泡倍率が4倍以上の発泡樹脂シート、該発泡樹脂シートに樹脂フィルムが積層されてなる積層シートなどをも好適な形成材料に加え得る。
【0033】
即ち、二次発泡倍率が4倍以上となるような発泡樹脂シートでは、一般的に熱成形によって鋭い形状を付与することが難しいために、該発泡樹脂シートで第一実施形態の刺身用容器のように先鋭なる突起を形成させるには、製造条件等を十分に調整する必要を生じさせるおそれを有する。
一方で本実施形態に係る刺身用容器は、先端に丸みを帯びさせているために上記のような発泡樹脂シートであっても一般的な成形条件で熱成形が可能であり、第一実施形態に係る刺身用容器に比べて製造が容易であるといえる。
なお、このような効果を発揮させ得る点においては、必ずしも突起の形状を半球状とする必要はなく、基端形状が円形ではなく多角形や、楕円形、不定形などであっても同じであり、例えば、三角錐の先端部に曲率半径が2.0mmを超えるような丸みを持たせた形状とする場合も当該第二実施形態に係る刺身用容器と同様に製造容易なものとなる。
【0034】
(第三実施形態)
次いで、図3を参照しつつ本発明の第三の実施形態について説明する。
この第三実施形態に係る刺身用容器は、半球状の突起が形成されている点については、第二実施形態に係る刺身用容器と同じである。
一方で、第二実施形態に係る刺身用容器が第一実施形態の刺身用容器と同様に基端部面積1cm2以下の小さな突起を4つのエリアにそれぞれ4つずつ設けていたのに対してこの第三実施形態に係る刺身用容器は基端部面積が1cm2を超える突起を4つのエリアにそれぞれ2つずつ設けている点において第二実施形態の刺身用容器と異なっている。
より具体的には、この第三実施形態に係る刺身用容器は基端部面積が1cm2を超え3cm2未満程度の大きさを有する半球状の突起を設けている。
【0035】
この第三実施形態に係る刺身用容器も、先端に曲率半径が2.0mmを超えるような丸みを帯びた突起を有することから下方からツマに侵入してツマの横滑りを防止するという効果が第一実施形態の刺身用容器に及ばないものの高い発泡倍率を有する発泡樹脂シートを用いて形成が容易なものである。
【0036】
なお、以下の第四実施形態、及び、第五実施形態に係る刺身用容器のごとく、この第三実施形態の刺身用容器よりもさらに大きな突起を形成させることも可能である。
【0037】
(第四実施形態)
この第四実施形態に係る刺身用容器を、図4を参照しつつ説明する。
この第四実施形態に係る刺身用容器は、この図4にも示されているように4つのエリアの中央部にそれぞれ1つの大きな突起を有している点においてこれまでの実施形態に係る刺身用容器と異なっている。
より具体的には、この第四実施形態に係る刺身用容器は、基端部の面積が3cm2以上10cm2以下、高さ1cm以上2cm以下の三角錐形状の突起を有する。
なお、この第四実施形態に係る刺身用容器は、各エリアにおいて単一の突起によってツマの移動を規制することから突起に三角錐形状が採用されているものである。
即ち、これまでの実施形態に係る刺身用容器と同様に円錐状や半球状の突起をエリア中央部に1つだけ設けると該突起を中心にして刺身を盛り付けたツマが回転する方向に移動するおそれがあるが、この第四実施形態に係る刺身用容器は、三角錐形状の突起を設けることで単一の突起でもツマが回転する方向に移動するのを抑制させている。
【0038】
また、第四実施形態に係る刺身用容器は、ツマを載置するエリアに占める前記突起の面積(基端部の面積)の割合が1/6〜1/2となるように形成されており、この大きな突起を有することでツマの収容容積をこれまでの実施形態に係る刺身用容器に比べて減少させることになるが、ツマの横滑り防止には、大きな効果が発揮されるものである。
【0039】
なお、場合によっては刺身のみが消費者に食されてツマの殆どが廃棄されることがあり、特に、マグロやカツオなどの赤身の刺身を盛り付けた場合には、血液や体液によってツマが赤色に染まってしまいツマに対する消費者の食欲を低下させることがあるために消費者によってツマの一部や全部が廃棄されるような場合がある。
このような場合において本実施形態に係る刺身用容器は好適であるといえる。
即ち、第四実施形態に係る刺身用容器は、ツマの横滑りを防止する効果に優れているばかりでなく、この大きな突起でツマの盛り付け量を減らすことができるためにツマの一部や全部が消費者によって廃棄されるような場合にその廃棄量を減量させることができる。
【0040】
(第五実施形態)
最後に、図5を参照しつつ第五の実施形態について説明する。
これまでの実施形態に係る刺身用容器は、突起の最先端が点状となるように形成されていたが、この実施形態に係る刺身用容器は、突起の上端部が線状となっており、より具体的には、寄棟造の家屋の屋根形状のような形で突起11xを突出させている。
即ち、該第五実施形態に係る刺身用容器1の容器底面部11から突出している突起11xは、4つの側面からなり、該4つの側面の内、陳列方向に面した前側側面と背面側の側面が略台形となっており、これらの2側面は、前記台形の上底となる部分における長さを共通させており、左右の側面は、前記前後の側面の斜辺を2辺とした三角形となっている。
【0041】
この第五実施形態にかかる刺身用容器は、上記第四実施形態に係る刺身用容器と同様に、第一から第三実施形態において示したものに比べて大型の突起を各エリアに1つずつ有するもので、ツマの廃棄量を減量させ得るとともに上記のように突起の上端部を線状とすることでツマの回転方向の移動を第四実施形態に係る刺身用容器に比べてより確実に防止させることができる。
【0042】
以上のごとく本発明の食品包装用容器を上記例示に基づいて説明したが、当然のことではあるが、本発明の食品包装用容器は、上記例示以外の形状を有する刺身用容器とすることもできる。
例えば、上記の実施形態においては4点盛用の刺身容器を例示しているが、4点盛以外の多点盛、あるいは、単一盛の刺身用容器も本発明の意図する範囲のものである。
【0043】
さらに、本発明は収容する食品を刺身に限定するものでもない。
即ち、紐状の食品を容器底面部に載置して収容するものであれば、上記例示の刺身用容器と同様に本発明の効果が発揮されるものであり、例えば、せん切りキャベツを容器底面部に敷きつめて、その上に、トンカツやエビフライなどの揚げ物を盛り付けるような用途に利用される食品包装用容器も本発明の意図する範囲のものである。
また、本発明の食品包装用容器は、前記紐状食品をせん切り大根やせん切りキャベツなどのせん切り野菜に限定するものではなく、例えば、春雨、ビーフン、ヤキソバ、パスタといった麺類などの紐状の食品を収容させるための食品包装用容器も本発明の意図する範囲のものである。
【符号の説明】
【0044】
1:刺身用容器(食品包装用容器)、10:収容凹部、11:容器底面部、11x:突起、12:周側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂シートがトレー形状に熱成形されてなり、紐状の食品を収容させるための食品包装用容器であって、
前記食品が載置される容器底面部には、前記食品の横滑りを防止するための突起が形成されていることを特徴とする食品包装用容器。
【請求項2】
前記突起は、基端部面積1cm2以下、突出高さ5mm以上、且つ、先端部の曲率半径が2.0mm以下の先鋭な突起である請求項1記載の食品包装用容器。
【請求項3】
前記食品が刺身用のツマであり、該ツマの上にさらに刺身が盛り付けられる刺身用容器として用いられる請求項1又は2記載の食品包装用容器。
【請求項4】
熱可塑性樹脂シートをトレー形状に熱成形して紐状の食品を収容させるための食品包装用容器を作製する容器製造方法であって、
前記熱成形によって前記食品が載置される容器底面部に前記食品の横滑りを防止するための突起を形成させることを特徴とする容器製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂シートとして、非発泡な樹脂フィルム、発泡倍率4倍以下の微発泡樹脂シート、又は、該微発泡樹脂シートに樹脂フィルムが積層された積層シートを用い、基端部面積1cm2以下、突出高さ5mm以上、且つ、先端部の曲率半径が2.0mm以下の先鋭な状態となるように前記突起を形成させる請求項4記載の容器製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−201394(P2012−201394A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67862(P2011−67862)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000158943)株式会社積水技研 (35)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】