説明

食品用包装袋

【課題】 ハンバーガー等の高さの高い食品を体裁よく包装できることを前提に、斬新な包装態様にすることのできる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係る食品用包装袋は、互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部と、該一対のフィルム壁部の少なくとも何れか一方の端部同士を接続するガゼット部とを備え、該ガゼット部は、一方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びる第一片部と、他方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びて先端が第一片部の先端に接続された第二片部とを備え、一方のフィルム壁部の端部に対する第一片部の基端の接続位置が他方のフィルム壁部の端部に対する第二片部の基端の接続位置よりも外側にずれた位置に設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンバーガーやホットドック等の食品を包装するための食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハンバーガーやホットドック等の調理パン、饅頭等の菓子類(以下、これらを総称して食品という)を包装するための食品用包装袋として、それぞれが平面視四角形状に形成された一対のフィルム壁部と、一対のフィルム壁部の両側端同士を接続する一対のガセット部とを備えたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる食品用包装袋は、一対のフィルム壁部が同じサイズに設定されており、該一対のフィルム壁部が互いの各端縁同士を一致させた状態で重ね合わされている。そして、食品用包装袋は、一対のフィルム壁部の一方の端部同士がヒートシール等で接続され、他方の端部側から一対のフィルム壁部間に食品を収容できるようになっている。
【0004】
また、前記食品用包装袋は、各ガゼット部が一対のフィルム壁部の側端同士を接続してフィルム壁部の側端部間で二つ折りになった状態で形成されている。すなわち、各ガゼット部は、一方のフィルム壁部の側端に基端が接続され、一対のフィルム壁部間に延出した第一片部と、他方のフィルム壁部の側端に基端が接続され、一対のフィルム壁部間に延出した第二片部とを備えており、第一片部の先端と第二片部の先端とが接続されることで形成されている。
【0005】
これにより、上記構成の食品用包装袋は、一対のフィルム壁部間に食品を収容するに伴い、一対のフィルム壁部が互いに離間するのに併せて二つ折り状態(第一片部と第二片部とが重なり合って折り畳まれた状態)にあったガゼット部が広がるようになっている。これにより、この種の食品用包装袋は、一対のフィルム壁部が食品を挟み込んだ状態にならないため、ハンバーガー等の少なくとも外側が柔らかい食品を型くずれさせることなく包装できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−91451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成の食品用包装袋は、広く一般化したものであるため、食品を包装した状態で消費者の購買意欲を高める(注目を集める)のに限界があるとして、斬新な包装態様になる食品用包装袋が要求されている。
【0008】
そこで、本発明は、少なくとも外側の柔らかい食品を型くずれさせることなく包装できる上に、斬新な包装態様にすることのできる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部と、該一対のフィルム壁部の少なくとも何れか一方の端部同士を接続するガゼット部とを備え、該ガゼット部は、一方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びる第一片部と、他方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びて先端が第一片部の先端に接続された第二片部とを備え、一方のフィルム壁部の端部に対する第一片部の基端の接続位置が他方のフィルム壁部の端部に対する第二片部の基端の接続位置よりも外側にずれた位置に設定されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成の食品用包装袋によれば、互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部と、該一対のフィルム壁部の少なくとも何れか一方の端部同士を接続するガゼット部とを備えているため、一対のフィルム壁部間に食品を収容するに伴い、一対のフィルム壁部が互いに離間するのに併せて第一片部と第二片部とのなす角度が大きくなるようにガゼット部が広がることになる。これにより、一対のフィルム壁部に食品が挟み込まれることがないため、少なくとも外側の柔らかい食品を型くずれさせることなく包装することができる。また、上記構成の食品用包装袋は、一方のフィルム壁部の端部に対する第一片部の基端の接続位置が他方のフィルム壁部の端部に対する第二片部の基端の接続位置よりも外側にずれた位置に設定されているため、一対のフィルム壁部間に食品を収容することで広がったガゼット部は、一方のフィルム壁部側(下側)から他方のフィルム壁部側(上側)に向けて上り勾配で傾いた状態になる。従って、一方のフィルム壁部を底にしてガゼット部を正面に向けて配置することで、これまでにない斬新な包装態様での陳列が可能となる。
【0011】
そして、本発明の一態様として、前記一対のフィルム壁部は、ガゼット部の接続された一方の端部と交差する方向に延びる両側端部同士が接続され、ガゼット部の接続された一方の端部の反端側にある他方の端部側に食品を収容するための開口を形成していることが好ましい。このようにすれば、フィルム壁部の他方の端部側から食品を収容し、該他方の端部同士が互いに重なるようにフィルム壁部を曲げた上で両フィルム壁部に跨るように粘着テープを貼り付けるだけで食品を包装することができる。すなわち、上記構成によれば、斬新な包装態様での陳列が可能となる上に、三方接続(三方シール)によって形成された袋と同様に、食品を簡単に包装できる。
【0012】
本発明の他態様として、第一片部及び第二片部の全体が透明なフィルムで構成されてもよい。このようにすれば、ガゼット部(第一片部及び第二片部)を介して内部(食品)を視認することができるため、消費者の購買意欲を高めることができる。
【0013】
本発明の別の態様として、前記一方のフィルム壁部の端部と第一片部の基端部とが所定幅で接続されてもよい。このようにすれば、一方のフィルム壁部と第一片部との接続部分(所定幅の部分)の剛性が高まることになるため、食品を包装したときに、一方のフィルム壁部と第一片部との接続部分(所定幅の部分)が延びた状態になる。その結果、第一片部の基端側(一方のフィルム壁部との接続側)が一方のフィルム壁部と第一片部との接続部分に沿った状態でガゼット部が広がることになり、該ガゼット部が起立した壁のようになって見栄えのよい包装状態になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る食品用包装袋は、少なくとも外側の柔らかい食品を型くずれさせることなく包装できる上に、斬新な包装態様にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る食品用包装袋の斜視図であって、所定幅で接続された部分(ヒートシールで接続された部分)にクロスハッチングを付した食品用包装袋の全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る食品用包装袋の平面図であって、所定幅で接続された部分(ヒートシールで接続された部分)にクロスハッチングを付した食品用包装袋の全体平面図を示す。
【図3】同実施形態に係る食品用包装袋の部分拡大断面を含む縦断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る食品用包装袋で食品を包装した状態(陳列した状態)であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、縦断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る食品用包装袋を開封した状態であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、縦断面図を示す。
【図6】本発明の他実施形態に係る食品用包装袋の説明図であって、(a)は、部分拡大断面図を示し、(b)は、食品を包装した状態での縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る食品用包装袋について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態に係る食品用包装袋は、ハンバーガー、ホットドッグ等の調理パンや、饅頭等の菓子類を包装するためのものである。すなわち、本実施形態に係る食品用包装袋は、少なくとも外側(表面)の柔らかい食品を包装するためのものである。なお、以下において、包装対象の食品としてハンバーガーを一例に説明することとする。
【0018】
本実施形態に係る食品用包装袋は、図1乃至図3に示す如く、互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部10,20と、一対のフィルム壁部10,20の端部同士を接続するガゼット部30とを備えている。なお、以下の説明において、平面視における一方向を便宜上X軸方向といい、フィルム壁部10,20の面に沿ってX軸方向と直交する方向を便宜上Y軸方向といい、X軸方向及びY軸方向と直交する方向(フィルム壁部10,20の面と直交する方向)を便宜上Z軸方向ということとする。
【0019】
前記一対のフィルム壁部10,20は、何れも平面視四角形状に形成されている。本実施形態に係る一対のフィルム壁部10,20は、X軸方向の長さが同一又は略同一に設定されている。そして、一対のフィルム壁部10,20は、X軸方向の両端部同士が所定幅で接続されている。すなわち、一対のフィルム壁部10,20は、X軸方向の両端部同士が所定幅でヒートシールされ、両端部同士が接続されている。なお、以下において、フィルム壁部10,20及びガゼット部30におけるX軸方向の両端部のそれぞれを側端部といい、そのエッジを側端縁ということする。また、各フィルム壁部10,20におけるY軸方向の両端部のそれぞれを単に端部といい、そのエッジを端縁ということする。
【0020】
一対のフィルム壁部10,20は、一方の端部同士がY軸方向でずれた位置になるように重ね合わされている。これにより、一方のフィルム壁部10は、一方の端部が他方のフィルム壁部20における一方の端縁から外側に延出している。
【0021】
本実施形態に係る一対のフィルム壁部10,20は、Y軸方向の長さが同一に設定されており、上述の如く、一方のフィルム壁部10における一方の端部が他方のフィルム壁部20における一方の端縁から延出していることから、他方のフィルム壁部20における他方の端部が一方のフィルム壁部10における他方の端縁から延出している。
【0022】
そして、一対のフィルム壁部10,20は、一方の端縁側の両角部がカットされている。すなわち、一対のフィルム壁部10,20は、一方の端縁側の所定範囲にある両側端縁が、一方の端縁に向けて内側に傾斜するように形成されている。これにより、一対のフィルム壁部10,20は、所定範囲において、X軸方向の幅がY軸方向の一方の端縁に向かうにつれて幅狭になるように形成されている。
【0023】
一方のフィルム壁部10は、他方のフィルム壁部20と対向する面に吸湿性を有する吸湿シート材21が取り付けられている。該吸湿シート材21は、平面視四角形状をなし、略全面が一方のフィルム壁部10に対して貼り付けられている。なお、本実施形態に係る吸湿シート材21は、不織布で構成されている。
【0024】
そして、本実施形態において、一対のフィルム壁部10,20は、X軸方向に切断性を付与すべく、一軸延伸又は二軸延伸されたフィルムが採用されている。本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方の端縁側の位置であって、一対のフィルム壁部10,20における両側端部同士を接続した領域内に切り込み状をなす一対のノッチ22a,22bが形成されている。
【0025】
そして、他方のフィルム壁部20は、両側端部に形成された一対のノッチ22a,22bを繋ぐように真っ直ぐ、又は略真っ直ぐに延びた切断補助線23が形成されている。すなわち、他方のフィルム壁部20には、X軸方向に真っ直ぐ又は略真っ直ぐに延びる切断補助線23が形成されている。
【0026】
切断補助線23は、例えば、ミシン目やハーフカット等で構成することができ、本実施形態においては、ハーフカットで構成されている。すなわち、本実施形態に係る切断補助線23は、超音波加工によって形成されたX軸方向に延びる凹条(X軸方向で線状に延びるように形成された窪み)により構成されている。
【0027】
そして、他方のフィルム壁部20には、切断補助線23に対して一方の端縁側で隣接するように、X軸方向に延びる補強用テープ24が貼り付けられている。
【0028】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、他方のフィルム壁部20上に包装されるハンバーガー(商品)のイメージやロゴ等の印刷が施されている。具体的には、本実施形態に係る食品用包装袋1は、他方のフィルム壁部20の切断補助線23よりも他方の端縁側の領域(一方のフィルム壁部10に貼り付けた吸湿シート21と対向する領域)に所定の印刷が施されている。これにより、食品用包装袋1は、一対のフィルム壁部10,20同士が重なり合った状態で吸湿シート材21が印刷に覆い隠された状態になるようになっている。
【0029】
前記ガゼット部30は、一方のフィルム壁部10の一方の端部に基端が接続されてフィルム壁部10,20間に延びる第一片部30aと、他方のフィルム壁部20の端縁部に基端が接続されてフィルム壁部10,20間に延びて先端が第一片部30aの先端に接続された第二片部30bとで構成されている。
【0030】
本実施形態に係るガゼット部30は、全体が透明になっており、フィルム壁部10,20間(内部)が外部から視認可能になっている。これに伴い、本実施形態に係る食品用包装袋1は、ガゼット部30の内面側に透明な汚れ防止用フィルム40が取り付けられている。
【0031】
汚れ防止用フィルム40は、ガゼット部30の形態に態様するように二つ折りされた状態になっており、その折り曲げ稜線が第一片部30aと第二片部30bとの接続位置Aと一致するようにガゼット部30を覆っている。そして、該汚れ防止用フィルム40は、両側端部がフィルム壁部10,20とガゼット部30との間に介在しており、フィルム壁部10,20及びガゼット部30に対して接続されている。本実施形態に係る汚れ防止用フィルム40は、両側端部がフィルム壁部10,20及びガゼット部30の両側端部にヒートシールされ、フィルム壁部10,20及びガゼット部30に接続されている。
【0032】
これにより、汚れ防止用フィルム40は、両側端部のみが拘束され、その他の部分がガゼット部30に沿って移動できるようになっている。これにより、汚れ防止用フィルム40にハンバーガーが接触した状態で、ハンバーガーが移動しようとしたときに、汚れ防止用フィルム40がハンバーガーの動きに追従して移動でき、汚れ防止用フィルム40に対するハンバーガーの擦れを防止できるようになっている。
【0033】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方のフィルム壁部10における一方の端部に対する第一片部30aの基端の接続位置Bが他方のフィルム壁部20における一方の端部に対する第二片部30bの基端の接続位置Cよりも外側にずれた位置に設定されている。
【0034】
本実施形態に係るガゼット部30は、一方のフィルム壁部10における一方の端部に接続された第一片部30aの延出量よりも、他方のフィルム壁部20における一方の端部に接続された第二片部30bの延出量が短く設定されている。すなわち、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方のフィルム壁部10における一方の端部が他方のフィルム壁部20における一方の端縁から延出しているため、一対のフィルム壁部10,20間で第一片部30a及び第二片部30bの先端同士が接続されることで、必然的に第一片部30aのY軸方向の長さが第二片部30bのY軸方向の長さよりも長くなっている。
【0035】
そして、ガゼット部30は、両側端部が一対のフィルム壁部10,20の一方の端部の形態に対応するように形成されている。すなわち、ガゼット部30の両側端部は、一対のフィルム壁部10,20のカットされた部分に対応するようにテーパー状に形成されている。
【0036】
そのため、第一片部30aは、一方のフィルム壁部10に接続された基端から先端に向けてX軸方向の幅が幅広になり、第二片部30bは、他方のフィルム壁部20に接続された基端から先端に向けてX軸方向の幅が幅広になっている。
【0037】
そして、第一片部30aは、両側端部(テーパー状に形成された端部)が一方のフィルム壁部10の両側端部(一方の端部における両側端部)に対して所定幅で接続されている。本実施形態に係る食品用包装袋1は、第一片部30aの両側端部と、一方のフィルム壁部10の両側端部とが所定幅でヒートシールされることにより、これらの両側端部同士が接続されている。
【0038】
これに対し、第二片部30bは、両側端部(テーパー状に形成された端部)が他方のフィルム壁部20の両側端部(一方の端部における両側端部)に対して所定幅で接続されている。本実施形態に係る食品用包装袋1は、第二片部30bの両側端部と、他方のフィルム壁部20の両側端部とが所定幅でヒートシールされることにより、これらの両側端部同士が接続されている。
【0039】
そして、第一片部30a及び第二片部30bは、先端同士が接続されている以外は、互いに接続されていない状態になっている。そのため、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方の端部(第一片部30a及び第二片部30b)がZ軸方向で二又に分かれた状態になっている。
【0040】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一枚のフィルム(所定領域に印刷を施した透明フィルム)を折り曲げることで、一対のフィルム壁部10,20、及びガゼット部30(第一片部30a及び第二片部30b)が形成されている。すなわち、食品用包装袋1を展開した状態をなす一枚のフィルムの一対のフィルム壁部10,20となる部分を対向させるとともに、その部分の間にあるガゼット部30となる部分を内側に折り込むことで、一対のフィルム壁部10,20、及びガゼット部30(第一片部30a及び第二片部30b)が形成されている。そして、該食品用包装袋1は、上述の如く、一枚のフィルムを折り曲げ加工した後、一対のフィルム壁部10,20の両側端部同士がヒートシールされ、さらに、一方のフィルム壁部10の両側端部と第一片部30aの両側端部とがヒートシールされるとともに、他方のフィルム壁部20の両側端部と第二片部30bの両側端部とがヒートシールされることで形成されている。なお、切断補助線23の形成や、吸湿シート材21の貼り付け、他方のフィルム壁部20の印刷は、上述の折り曲げ加工を行う前に予め行われるが、ノッチ22a,22bについては、一対のフィルム壁部10,20の両側端部同士をヒートシールした後に、そのヒートシールした部分を打ち抜くことで形成される。
【0041】
このように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、フィルムを折り曲げ加工することで形成されているため、第一片部30aと第二片部30bとの接続位置Aや、フィルム壁部10,20とガゼット部30との接続位置B,Cには、フィルムの折り曲げ稜線が形成されている。
【0042】
本実施形態に係る食品用包装袋1は、以上の構成からなり、次に、ハンバーガーの包装方法、包装形態、開封方法、及び開封形態について説明する。
【0043】
本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁部10,20におけるX軸方向の両側端同士が接続され、ガゼット部30の接続された端縁に対して反端側の端縁間にハンバーガーを収容するための開口を形成しているため、図4(a)及び図4(b)に示す如く、フィルム壁部10,20の他方の端部側からハンバーガーFを収容する。その後、フィルム壁部10,20の他方の端部同士が互いに重なるようにフィルム壁部10,20を曲げた上で両フィルム壁部10,20に跨るように粘着テープ(採番しない)を貼り付けことで、ハンバーガーFの包装が完了する。
【0044】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、上述の如く、ハンバーガーFを包装する(ハンバーガーFを収容する)に当たり、ハンバーガーFが一対のフィルム壁部10,20を離間させるのに併せて第一片部30aと第二片部30bとのなす角度が大きくなるようにガゼット部30を広げることなる。これにより、ハンバーガーFが一対のフィルム壁部10,20に挟まれることが防止され、ハンバーガーFが型くずれすることなく包装されることになる。
【0045】
そして、上記構成の食品用包装袋1は、一方のフィルム壁部10における一方の端部に対する第一片部30aの基端の接続位置Bが他方のフィルム壁部20における一方の端部に対する第二片部30bの基端の接続位置Cよりも外側にずれた位置に設定されているため、一対のフィルム壁部10,20間にハンバーガーFを収容することで広がったガゼット部30は、一方のフィルム壁部10側(下側)から他方のフィルム壁部20側(上側)に向けて上り勾配で傾いた状態になる。
【0046】
従って、一方のフィルム壁部10を底にしてガゼット部30を正面に向けて配置することで、これまでにない斬新な包装態様での陳列が可能となる。特に、本実施形態に係る食品用包装袋1は、第一片部30a及び第二片部30bの全体が透明になっているため、内部のハンバーガーFを視認でき、消費者の購買意欲を高めることができる。
【0047】
そして、ハンバーガーFを包装した食品用包装袋1を開封するには、ノッチ22a,22bを起点にしてY軸方向の一方の端部側と他方の端部側とを引っ張ると、他方のフィルム壁部20が切断補助線23に沿ってX軸方向に切断されるとともに、一方のフィルム壁部10が自己の切断特性によりX軸方向に切断されることになる。すなわち、一方のフィルム壁部10は、他方のフィルム壁部20の切断に誘導されてX軸方向に切断される。
【0048】
そして、一対のフィルム壁部10,20を切断するに際し、フィルム壁部10,20の切断方向が一方の端縁側に偏るような場合、補強用テープ24がフィルム壁部10,20の不当な切断を阻止することになり、両フィルム壁部10,20は補強用テープ24に沿って切断されることになる。
【0049】
このように、一対のフィルム壁部10,20が切断されると、図5(a)及び図5(b)に示す如く、両端のノッチ22a,22bを結ぶ切断補助線23(或いは補強用テープ24)よりも一方の端縁側が切除され、切除されたフィルム壁部10,20に覆われていたハンバーガーFの一部が外部に露呈することになる。これにより、両端のノッチ22a,22bを結ぶ切断補助線23(或いは補強用テープ24)よりも他方の端縁側のフィルム壁部10,20がハンバーガーFを覆った状態を維持する結果、当該フィルム壁部10,20を介してハンバーガーFを持つことができ、手を汚すことなくハンバーガーFを食すことができる。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部10,20と、該一対のフィルム壁部10,20の一方の端部同士を接続するガゼット部30とを備え、該ガゼット部30は、一方のフィルム壁部10の端部に基端が接続され、フィルム壁部10,20間に延びる第一片部30aと、他方のフィルム壁部20の端部に基端が接続され、フィルム壁部10,20間に延びて先端が第一片部30aの先端に接続された第二片部30bとを備えているので、一対のフィルム壁部10,20がハンバーガーFを挟み込んで型くずれさせてしまうことを防止することができる。また、一方のフィルム壁部10の端部に対する第一片部30aの基端の接続位置Bが他方のフィルム壁部20の端部に対する第二片部30bの基端の接続位置Cよりも外側にずれた位置に設定されることで、ハンバーガーFを収容することで広がったガゼット部30は、一方のフィルム壁部10側(下側)から他方のフィルム壁部20側(上側)に向けて上り勾配で傾いた状態になるため、一方のフィルム壁部10を底にしてガゼット部30を正面に向けて配置することで、これまでにない斬新な包装態様での陳列が可能となる。
【0051】
また、前記一対のフィルム壁部10,20は、Y軸方向(ガゼット部30の接続された端部と交差する方向)に延びる両側端同士が接続され、ガゼット部30の接続された一方の端部の反端側にある他方の端部側に食品を収容するための開口を形成しているので、斬新な包装態様にできる上に、これまでの三方接続(シール)によって形成された袋と同様に、ハンバーガーFを簡単に包装できる。
【0052】
さらに、第一片部30a及び第二片部30bの全体が透明なフィルムで構成されているので、収容したハンバーガーFを視認することができ、消費者の購買意欲を高めることができる。
【0053】
尚、本発明の食品用包装袋は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
上記実施形態において、一対のフィルム壁部10,20におけるY軸方向の長さが同一に設定され、Y軸方向において、一方のフィルム壁部10における一方の端部が他方のフィルム壁部20における一方の端縁から延出するように一対のフィルム壁部10,20を重ね合わせるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一方のフィルム壁部10におけるY軸方向の長さを、他方のフィルム壁部20におけるY軸方向の長さよりも長く設定し、他方の端縁同士を一致させるように一対のフィルム壁部10,20を配置してもよい。このようにすれば、上記実施形態と同様に、一方のフィルム壁部10における一方の端部が他方のフィルム壁部20における一方の端縁から延出した状態になるため、他方のフィルム壁部20の一方の端縁から延出した一方のフィルム壁部10の一方の端部(端縁)に第一片部30aの基端を接続するとともに、他方のフィルム壁部20の一方の端部(端縁)に第二片部30bの基端を接続すればよい。このようにしても、第一片部30aと第二片部30bとの基端(接続位置B,C)がY軸方向でずれた配置になる結果、上記実施形態のようにハンバーガーFを収容したときにガゼット部30が延びて傾斜した状態になり、斬新な包装態様で陳列が可能となる。
【0055】
上記実施形態において、ガゼット部30を一つ設けるようにしたが、例えば、フィルム壁部10,20の一方の端部同士を接続するガゼット部30に加え、フィルム壁部10,20の他方の端部同士を接続するガゼット部を更に設けるようにしてもよい。そして、フィルム壁部10,20の他方の端部同士を接続するガゼット部においても、一方のフィルム壁部10の端部に基端が接続され、フィルム壁部10,20間に向けて延びる第一片部と、他方のフィルム壁部20の端部に基端が接続され、フィルム壁部10,20間に向けて延びて先端が第一片部の先端に接続された第二片部とを備えたもので構成し、一方のフィルム壁部10の端部に対する第一片部30aの基端の接続位置を、他方のフィルム壁部20の端部に対する第二片部30bの基端の接続位置よりも外側にずれた位置に設定するようにしてもよい。
【0056】
このようにすれば、フィルム壁部10,20の他方の端部同士を接続するガゼット部30においても、ハンバーガーFを収容した状態で傾斜した状態になるので、食品用包装袋1の何れか一方の端部(ガゼット部30)を正面にして陳列することで斬新な包装態様での陳列が可能となる。なお、この場合、ハンバーガーFをフィルム壁部10,20間に収容した後に一対のフィルム壁部10,20の両側端部同士を接続したり、予め一対のフィルム壁部10,20の何れか一方の側端部同士を接続しておき、ハンバーガーFをフィルム壁部10,20間に収容した後に一対のフィルム壁部10,20の他方の側端部同士を接続したりすればよい。
【0057】
上記実施形態において、一枚のフィルムを折り曲げ加工するとともに、必要箇所をヒートシールすることで、上記構成の食品用包装袋1を作製するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のフィルム壁部10,20、及びガゼット部30のそれぞれを独立したフィルムで構成し、これらのフィルムを接続することで食品用包装袋1を作製するようにしてもよい。また、ガゼット部30においても、第一片部30a及び第二片部30bを独立したフィルムで構成し、これらのフィルムを接続して形成するようにしてもよい。但し、この場合においても、一方のフィルム壁部10の端部に対する第一片部30aの基端の接続位置Bが他方のフィルム壁部20の端部に対する第二片部30bの基端の接続位置Cよりも外側にずれた位置に設定されることは勿論のことである。
【0058】
上記実施形態において、ガゼット部30全体を透明にすることで、包装したハンバーガーFを外部から視認可能としたが、これに限定されるものではなく、例えば、ガゼット部30の一部(第一片部30a又は第二片部30bの何れか一方、或いは、第一片部30a又は第二片部30bの何れか一方の一部)を透明にし、そこからハンバーガーFを視認可能にしてもよい。また、ガゼット部30においても、所望する印刷を施し、ハンバーガーFを外部から視認できないようにしてもよい。このようにしても、ハンバーガーFを包装した状態でガゼット部30が傾斜した態様となるため、斬新な包装形態にすることができ、消費者の注目を集めて購買意欲を高めることができる。但し、消費者の購買意欲を一層高めるには、ガゼット部30の少なくとも一部を透明にしてハンバーガーFを外部から視認可能にすることが好ましい。
【0059】
上記実施形態において、一方のフィルム壁部10と第一片部30aとの間に折り曲げ稜線を形成するようにフィルムを折り曲げ加工し、ハンバーガーFを包装した状態で折り曲げ稜線(第一片部30aの基端)を支点に第一片部30aが起立するようしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)に示す如く、一方のフィルム壁部10のY軸方向の端部と第一片部30aの端部とを所定幅で接続(ヒートシール)するようにしてもよい。
【0060】
このようにすれば、一方のフィルム壁部10の端部と第一片部30aの端部とが接続されることで当該部分の剛性が増す(当該部分にコシが出る)ため、一方のフィルム壁部10の一方の端部側が曲がりにくくなる。これにより、図6(b)に示す如く、一方のフィルム壁部10の一方の端部が延びた状態で維持する結果、ハンバーガーFを包装したときに箱のような形態になり、さらに斬新な態様で陳列することができる。但し、この場合においても、第一片部30aの基端(該第一片部30aが起立する際に支点となる基端)が第二片部30bの基端(該第一片部30aが起立する際に支点となる基端)よりも平面視Y軸方向で外側に位置するようにすることは勿論のことである。
【0061】
上記実施形態において、一対のフィルム壁部10,20の両側端部同士の接続や、フィルム壁部10,20とガゼット部30との接続をヒートシールで行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のフィルム壁部10,20の両側端部同士の接続や、フィルム壁部10,20とガゼット部30との接続を接着剤で行うようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態において、包装の対象となる食品Fとして、ハンバーガーを一例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、ホットドック等の他の調理パンや、菓子類等であってもよい。すなわち、少なくとも外側が柔らかい食品であればよい。
【0063】
上記実施形態において、他方のフィルム壁部20(フィルム)に切断補助線23を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、一方のフィルム壁部10に切断補助線23を設けたり、一対のフィルム壁部10,20に切断補助線23を設けたりしても勿論よい。
【0064】
また、上記実施形態において、フィルム壁部20を切断補助線23に沿って切断できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のフィルム壁部10,20を切断方向性のあるフィルムで構成し、その切断特性によって両フィルム壁部10,20を所定の切断方向(X軸方向)に切断するようにしてもよい。また、切断方向性のあるフィルム、或いは切断方向性のないフィルムでフィルム壁部10,20を構成するとともに、少なくとも何れか一方のフィルム壁部10,20に対してX軸方向に延びるカットテープを設け、このカットテープでフィルム壁部10,20をX軸方向に切断するようにしてもよい。
【0065】
上記実施形態において、ガゼット部30の内面側に汚れ防止用フィルム40を設けたが、これに限定されるものではなく、汚れ防止用フィルム40は、包装する食品Fに応じて適宜設ければよい。また、一方のフォルム壁部10の内面側に吸湿シート材21を設けたが、これに限定されるものではなく、これもまた、包装する食品Fに応じて適宜設ければよい。
【符号の説明】
【0066】
1…食品用包装袋、10,20…フィルム壁部、21…吸湿シート材、22a,22b…ノッチ、23…切断補助線、24…補強用テープ、30…ガゼット部、30a…第一片部、30b…第二片部、40…汚れ防止用フィルム、A,B,C…接続位置、F…ハンバーガー(食品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置された一対のフィルム壁部と、該一対のフィルム壁部の少なくとも何れか一方の端部同士を接続するガゼット部とを備え、該ガゼット部は、一方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びる第一片部と、他方のフィルム壁部の前記端部に基端が接続され、フィルム壁部間に延びて先端が第一片部の先端に接続された第二片部とを備え、一方のフィルム壁部の端部に対する第一片部の基端の接続位置が他方のフィルム壁部の端部に対する第二片部の基端の接続位置よりも外側にずれた位置に設定されていることを特徴とする食品用包装袋。
【請求項2】
前記一対のフィルム壁部は、ガゼット部の接続された一方の端部と交差する方向に延びる両側端部同士が接続され、ガゼット部の接続された一方の端部の反端側にある他方の端部側に食品を収容するための開口を形成している請求項1記載の食品用包装袋。
【請求項3】
第一片部及び第二片部の全体が透明なフィルムで構成されている請求項1又は2に記載の食品用包装袋。
【請求項4】
前記一方のフィルム壁部の端部と第一片部の基端部とが所定幅で接続されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の食品用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241439(P2010−241439A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89221(P2009−89221)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】