説明

食品開封シール

【課題】 表皮や果皮が脆く、中身が滑り易くて手で剥きにくい野菜や果物(アボカド、びわ、桃、キウイフルーツ、ライチ、など)や、包装材料(箔、ラップ、紙など)の剥きにくい加工食品(かまぼこ、魚肉ソーセージ、チーズ、餅、団子、羊羹など)の皮や包装材料を手で容易に取り除くことができるようにした開封シールを提供する。
【解決手段】 外層(表皮、果皮、包装材料など)付の食品1の周囲に糸や針金などの線材3を巻き付け、その上を粘着シール4で覆うように接着する。線材3の端部を寄り合わすことで食品1を締め付け外層に傷を付け、次いで粘着シール4を剥がすと外層が綺麗に剥がせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮や果皮の剥きにくい野菜や果物(アボカド、びわ、桃、キウイフルーツ、ライチ、など)や、包装材料の剥きにくい加工食品(かまぼこ、魚肉ソーセージ、チーズ、餅、団子、羊羹など)の皮や包装材料を手で容易に取り除くことができるようにした開封シールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1により、ゆで卵カラむき粘着シートが開示されている。これによれば、予め所定形状の粘着シートをゆで卵のカラの上から貼り付けておき、ゆで卵を剥くときには、カラに適当な衝撃を与えてこれを割り、粘着シートを剥がすことによって容易かつ綺麗にカラを取り除くことができるというものである。
【0003】
【特許文献1】実開平7−11196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゆで卵のカラと似たような外層を持ちながら、ゆで卵よりも手で剥きにくい野菜や果物、加工食品がある。
【0005】
例えば、熟したアボカドやキウイフルーツ、桃などは、刃物では皮が剥きにくく、手で皮を取り除くには皮が脆くて千切れやすく、果肉が滑りやすいため、果実を落としてしまう危険性がある。
【0006】
また、チーズやかまぼこなどの加工食品の包装は手で剥くのが妥当であるが、アルミ箔やラップフィルムなどを取り除くには中身に手を触れなければならず、車中や戸外で行う場合には衛生的でないという問題もある。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、刃物を使わず、手で簡単かつ綺麗に表皮、果皮、包装材料などの外層を取り除くことができる食品開封シールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明が採用する構成の特徴は、比較的脆い外層(表皮、果皮、包装材料など)の周囲に巻き付けられた線材と、該線材を前記外層上に固定するように線材の上から強粘着剤で貼り付けられた粘着シールとからなり、前記線材を外層に食い込ませるように締め付けることによって外層表面に亀裂を生成し、次いで粘着シールを剥離することによって外層の裂け目に沿って外層を剥離可能にすることにある。
【0009】
本発明によれば、線材が粘着シールで外層に固定されているので、線材を締め付ける際に線材が外れることがない。よって、手から食品を滑らせて落とすことなく、線材を外層に食い込ませて傷を付けることができる。次いで粘着シールを剥離すれば、外層の破れ目からこれを粘着剤に貼り付けて外層を綺麗に剥離することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食品開封シールによれば、刃物を用いずに簡単かつ綺麗に食品の皮や包装を取り除くことができるので、携行食品や保存食、非常食などの用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について図1ないし図5を用いて詳述する。図1は本発明にかかる食品開封シールの全景を示す外観図、図2は図1の内部構成を説明するための外観図、図3は食品開封シールの展開図、図4は開封時の操作を示す説明図、図5は図4中の矢示V−V方向断面図である。
【0012】
図中1は、表皮、果皮、包装材料(紙、箔、フィルム等)の外層が付いた食品を示しており、卵形で図示しているが、四角形や三角形、球形など他の形状であってもよい。
食品が野菜、果物である場合の具体例としては、アボカド、びわ、桃、ライチ、キウイフルーツなどが適していると考えられる。
【0013】
2は開封シールであり、該開封シール2は、糸、紐、針金などの線材3と、該線材3を対角線に含むように、食品1に貼り付ける粘着シール4とから構成される。粘着シール4の両端は粘着面を合わせて貼り合わせ、めくりしろ5としてある。
【0014】
ここで、線材1は、釣り糸、凧糸や荷札用等の細い針金など、適度な強度があって有害物質を含まず、また、食品1と反応してさびなどの有害物質を生じないものである必要がある。
また、粘着シール4としては、シール基材が強靱で、粘着剤が強力で適度な耐水性があり、かつ、食品衛生上無害なものである必要がある。
【0015】
本発明の食品開封シールは以上の如きもので、次にその使用方法について図4および図5を用いて説明する。
【0016】
図4において、(A)は線材として針金を用いた場合、(B)は糸や紐を用いた場合を示している。なお、糸や紐であっても、径の太いものである場合は(A)に準じて考えることができる。
【0017】
線材3が針金等である場合は、(A)のように線材3の端部をよりあわせて締め付けることにより、図5に示すように、線材3の輪が縮径して表皮1Aを破り、食品1の内部に食い込む。これにより、食品1を落とすことなく、表皮1Aに破れ目をつくることができる。次いで、粘着シール4を剥離すると、粘着シール4は線材3から離れるものの、表皮1Aの破れ目部分に貼り付いているので、線材3の跡に沿って表皮1Aをむくことができる。このとき、食品1の中身が滑りやすいものであっても、線材2が表皮より下に食い込んでいるので落とす心配が無いという利点がある。
【0018】
線材3が糸や紐である場合は図4(B)のように、その端部を交差させて強く引くことにより締め付けることで、上記(A)の場合と同様の効果を得ることができる。
【0019】
かくして、本発明によれば、野菜や果物、包装紙や包装フィルムの付いた食品を簡単に衛生的に手で剥くことができる。
【0020】
なお、本発明の食品開封シールを用いる食品としては、線材3を締め付けたときに水分などを放出しないものが好ましい。また、桃やキウイフルーツなどのように、表皮にうぶ毛の生えている果物では、開封シールの貼り付け部位を予めカミソリなどで剃っておくことが好ましい。粘着シール4の接着力が増し、表皮を剥離する効果が増大するからである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の食品開封シールを食品に貼り付けた状態を示す全体斜視図である。
【図2】図1の構成を説明するための分解図である。
【図3】開封シールの展開図である。
【図4】線材として針金を用いた場合(A)と、糸や紐を用いた場合(B)の開封操作の説明図である。
【図5】図4中の矢示V−V方向断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1…外層(表皮、果皮、包装材料など)付の食品、1A…表皮、2…開封シール、3…線材、4…粘着シール、5…めくりしろ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的脆い外層(表皮、果皮、包装材料など)の周囲に巻き付けられた線材と、該線材を前記外層上に固定するように線材の上から強粘着剤で貼り付けられた粘着シールとからなり、前記線材を外層に食い込ませるように締め付けることによって外層表面に亀裂を生成し、次いで粘着シールを剥離することによって外層の裂け目に沿って外層を剥離可能にすることを特徴とする食品開封シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−149320(P2006−149320A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347625(P2004−347625)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】