説明

食器洗浄機

【課題】簡単な構造で食器洗浄機の前面構成の一体感が確保でき、システムキッチン全体意匠との統一感を向上させることができる食器洗浄機を得るものである。
【解決手段】箱状に形成され、前側に開口する前面開口部を有する本体と、前面開口部から本体内に出し入れ自在に設けられ、上側に開口する上面開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽の前側上方に設けられた操作パネルと、操作パネルの下方に設けられ、操作パネルとともに本体の前面開口部を覆う扉体を構成する蓋体とを備え、蓋体に操作パネルとの組付位置を決めるためのガイドリブを設け、操作パネルにガイドリブを挿入するガイド穴を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽を前側に引出すことで食器類を出し入れする食器洗浄機に関し、詳しくはシステムキッチンのキッチンカウンター下に組み込まれる食器洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンに組み込まれる食器洗浄機において、操作パネルをコンパクトにすることでシステムキッチン全体との統一感を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178446号公報(第5頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、操作パネルと、操作パネルの下方に設けられ本体の前方を覆う蓋体と、蓋体の洗浄槽への固定部を覆う前板を設けたもので、蓋体に化粧パネルを取り付ける場合、化粧パネルの上部端面を前板で覆うことができるので、その分操作パネルをコンパクトにすることができ、食器洗い機のシステムキッチン全体との統一感を向上させることができるようになっている。
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の構成では、前板により化粧パネルの上部端面を覆うことができるが、前板の取付け構造において化粧パネル受け部とぶつからないように設定されているので、取付けた後に前板と化粧パネル受け部に隙間が発生する。
【0006】
また、操作パネルと前板との関係においても、その位置関係を保持する取付け構造とはなっていないため、部品形状及び取付け時のバラつきにより大小の隙間が発生してしまう。これら隙間が発生することにより見映えが悪くなり、さらに食器洗浄機の前面構成の一体感がなくなってしまうという、システムキッチン全体意匠との統一感を向上させる上で大きな問題があった。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、簡単な構造で食器洗浄機の前面構成の一体感が確保でき、システムキッチン全体意匠との統一感を向上させることができる食器洗浄機を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決する本発明に係る食器洗浄機は、箱状に形成され、前側に開口する前面開口部を有する本体と、前面開口部から本体内に出し入れ自在に設けられ、上側に開口する上面開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽の前側上方に設けられた操作パネルと、操作パネルの下方に設けられ、操作パネルとともに本体の前面開口部を覆う扉体を構成する蓋体とを備え、蓋体に操作パネルとの組付位置を決めるためのガイドリブを設け、操作パネルにガイドリブを挿入するガイド穴を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体に操作パネルとの組付位置を決めるためのガイドリブを設け、操作パネルにガイドリブを挿入するガイド穴を設けたので、ガイドリブがガイド穴に挿入されることにより蓋体と操作パネルの位置関係を適正に保持することができ、食器洗浄機の前面扉を構成する蓋体と操作パネルの一体感が確保でき、システムキッチン全体のデザインとの統一感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機をシステムキッチンに組み込んだ状態の外観図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の扉体の構成を示す分解図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の扉体周辺の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
(全体の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の構成を示す概略図、図2は本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機をシステムキッチンに組み込んだ状態の外観図である。図1、2により、食器洗浄機の概略構成を説明する。
【0012】
図1において100は食器洗浄機であり、1は食器洗浄機100の前面が開口された例えば外郭が金属で形成された箱状の本体で、例えば、システムキッチンに組み込まれている。本体1内には、例えば樹脂成形で形成された上面が開口している洗浄槽3が、その外側面に取り付けられた第2のスライドレール4bを、本体1の内側面に取り付けられた第1のスライドレール4a上でスライドさせることにより、前面開口部1aから引き出し可能に収容されている。
【0013】
前述のように洗浄槽3は上面が開口していて、その開口から被洗浄物である食器20が出し入れ自在である。洗浄槽3の内部には食器かご(図示せず)が配設されており食器20は食器かご(図示せず)に載置するようになっている。
【0014】
洗浄槽3の底部には、本体1内に配設された洗浄ポンプ(図示せず)によって圧送された水の噴出による反力によって回転力が与えられる洗浄ノズル21が回転自在に配設されていて、食器かご(図示せず)に載置された食器20を噴出された水により洗浄するようになっている。
【0015】
洗浄槽3の上面開口は、洗浄槽3が本体1内に収容されるとその動作に連動する上蓋(図示せず)により機械的に閉塞されるため、洗浄中の水は外部に飛散しないようになっている。
【0016】
2は本体1の前面開口部を開閉するための扉体である。扉体2については後段で詳しく説明する。扉体2の上方には図2に示すように食器洗浄機100の運転を操作するための例えば樹脂成形で形成された操作パネル5が設けられている。操作パネル5には、食器洗浄機100の電源を投入する電源ボタン5a、食器洗浄機100の運転を操作入力するための入力ボタン5bが設けられている。
【0017】
さらに操作パネル5には、洗浄槽3を前面開口部1aから引き出す際に使用する引き手5cが一体的に設けられている。ただこれは一例であり、操作パネル5が扉体2の一部を構成していることから引き手5cを一体的に設けたが、扉体2の引出し易い位置であれば、どこに設けてもよく、この位置に限定されるものではない。
【0018】
また、食器洗浄の工程の1つである乾燥工程において、本体1内に配設された送風ファン(図示せず)により強制的に洗浄槽3内の空気を外部に排出するための排気口5dが設けられている。
【0019】
食器洗浄機100は図2に示すようにシステムキッチン200のキッチンカウンター201の下に組み込まれている。システムキッチン200は食器洗浄機100の他に、例えばIHクッキングヒーター202が組み込まれる等、色々なバリエーションがある。
【0020】
システムキッチン200は、サイズの異なる複数の引出し式収納部203a〜203e
や開き戸式収納部204も備えており、システムキッチン200の構成部材である複数の引出し式収納部203a〜203eや開き戸式収納部204の表面は、カラーリングやデザインがその質感とともに統一されている。
【0021】
そのため、食器洗浄機100やIHクッキングヒーター202においても全体の統一感を損なわないように構成することが要求され、食器洗浄機100においては操作パネル5を含む扉体2でシステムキッチン200との統一感を得るようにする必要がある。
【0022】
(扉体の構成)
次に図3、図4により扉体2の構成及び扉体2の本体への取付けについて説明する。図3は本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の扉体の構成を示す分解図、図4は本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の扉体周辺の要部断面図である。
【0023】
扉体2は前述のように上方に操作パネル5、その下方に例えば樹脂成形で形成された蓋体6が設けられ構成されている。操作パネル5内には食器洗浄機100の電源を入れるための電源ボタン5aや動作を入力するための入力ボタン5bのスイッチ類のみの電装品が取り付けられている。
【0024】
食器洗浄機100の動作を制御する制御回路等が搭載された制御基板(図示せず)は収容されておらず、蓋体6と洗浄槽3との間に形成された空間部11に制御基板(図示せず)等は収容されるようになっている。
【0025】
また、操作パネル5には前述のように排気口5dが設けられているが、洗浄槽3と排気口5dを接続する通風路(図示せず)も空間部11に収容されるようになっていて、操作パネル5内に配設する必要がない。
【0026】
よって、操作パネル5をコンパクトにすることができるので、システムキッチン200との統一感を損なうことがないスリムでシンプルな操作パネル5を有する食器洗浄機100を実現することができる。
【0027】
蓋体6には、その下方と両側面を囲むようにして上方が開口したコ字状の例えば樹脂成形で形成された受け部材7が固定ネジ(図示せず)により取付けられている。蓋体6と受け部材7は前面側に所定の空間を空けて取付けるようになっていて、その空間に化粧パネル10が出し入れ自在に挿入できるようになっている。
【0028】
化粧パネル10はシステムキッチン200の仕様に合わせて変更することができるので、化粧パネル10を取付けることによって食器洗浄機100のデザイン性向上や、システムキッチン200との質感の統一化を図ることができる。
【0029】
但し、システムキッチン200のカラーリングによっては、化粧パネル10を使わず樹脂成形で形成された蓋体6の厚みを増す等して、樹脂成形の段階でシステムキッチン200のカラーリングと同色の調色材を入れ込み、システムキッチン200のカラーリングと合わせることで統一化を図ることも可能である。
【0030】
化粧パネル10を挿入した後、化粧パネル10の端面を覆い受け部材7のコ字状を囲うようにカバー8が取付けられる。
【0031】
これら操作パネル5と、受け部材7と化粧パネル10とカバー8が取付けられた蓋体6を、洗浄槽3と一体的に設けられた取付け部3aに取付ける。
【0032】
まず、操作パネル5を取付け部3aとつき合わせ、操作パネル5に設けられた操作パネル固定ネジボス5fに、取付け部3aの上方に設けられた操作パネル固定ネジ穴3cを介して固定ネジ9で取付け固定する。
【0033】
それから、受け部材7と化粧パネル10とカバー8が取付けられた蓋体6を取付けるが、その際、システムキッチン200との統一感を損なわないように操作パネル5の下端と隙間無く取付けるようにするため、操作パネル5の下方にガイド穴5eが設けられていて、蓋体6に設けられているガイドリブ6aを挿入するようになっている。
【0034】
ガイドリブ6aの下側には傾斜部6cが設けられていて、ガイドリブ6aが操作パネル5のガイド穴5eに挿入されると傾斜部6cとガイド穴5eが接触する。さらに蓋体6を取付け部3aの方へ押し込んでいくと、傾斜部6cに沿って蓋体6が上方へせり上がっていくことになる。
【0035】
蓋体6が上方へせり上がっていくと、蓋体6の上方に取付けられているカバー8と操作パネル5の下端が接近し、最終的に隙間が無くなるようになる。その位置で蓋体6に設けられた蓋体固定ネジボス6bに、取付け部3aに設けられた蓋体固定ネジ穴3bを介して固定ネジ9で取付け固定するにより、操作パネル5の下端とカバー8が隙間無く取付けられ一体感のある扉体2が完成する。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態1の食器洗浄機によれば、操作パネル5に蓋体6のガイドリブ6aを挿入するガイド穴5eを設けたので、ガイドリブがガイド穴に挿入されることにより蓋体と操作パネルの位置関係を適正に保持しながら組み立てることができ、最終的に蓋体6の上方に取付けられているカバー8と操作パネル5の下端と隙間が無く取付くようにしたので、食器洗浄機の前面扉を構成する蓋体と操作パネルの一体感が確保でき、システムキッチン全体デザインとの統一感を向上させることができる。
【0037】
また、化粧パネル10がシステムキッチン200の仕様に合わせて変更することができるので、樹脂成形の段階で調色材を入れ込んだ樹脂色では表現できない様々な色やデザインの仕様を採用することができ、食器洗浄機100システムキッチン200に組み込んだときにシステムキッチンの他の構築物との統一感が得られ、美麗で統一感のある外観を備えたシステムキッチンを構成することができる。
【0038】
さらに、化粧パネル10の全端面が受け部材7とカバー8により囲われているので、化粧パネル10が木材からなる合板でできている場合でも化粧パネル10の端面を保護することができ、端面に水がかかるこことがなく化粧パネル10の耐久性が確保でき、システムキッチン200のデザイン性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 本体、1a 前面開口部、2 扉体、3 洗浄槽、3a 取付け部、3b 蓋体固定ネジ穴、3c 操作パネル固定ネジ穴、4 スライドレール、4a 第1のスライドレール、4b 第2のスライドレール、5 操作パネル、5a 電源ボタン、5b 入力ボタン、5c 引き手、5d 排気口、5e ガイド穴、5f 操作パネル固定ネジボス、6 蓋体、6a ガイドリブ、6b 蓋体固定ネジボス、6c 傾斜部、7 受け部材、8 カバー、9 固定ネジ、10 化粧パネル、11 空間部、20 食器、21 洗浄ノズル、100 食器洗浄機、200 システムキッチン、201 キッチンカウンター、202 IHクッキングヒーター、203 引出し式収納部、204 開き戸式収納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状に形成され、前側に開口する前面開口部を有する本体と、
前記前面開口部から前記本体内に出し入れ自在に設けられ、上側に開口する上面開口部を有する洗浄槽と、
該洗浄槽の前側上方に設けられた操作パネルと、
該操作パネルの下方に設けられ、前記操作パネルとともに前記本体の前記前面開口部を覆う扉体を構成する蓋体と、を備え、
前記蓋体に前記操作パネルとの組付位置を決めるためのガイドリブを設け、前記操作パネルに前記ガイドリブを挿入するガイド穴を設けたことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記蓋体の下方と両側面を囲むように上方が開口したコ字状の受け部材を設け、前記蓋体の前面側で前記受け部材に挿入するように化粧パネルを取付けて、前記化粧パネルの上方端面を覆うカバーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記ガイドリブは傾斜部を有しており、前記ガイド穴に前記傾斜部が接触し、該傾斜部に沿って前記蓋体を移動させ、該蓋体の上部に設けられた前記化粧パネルの上方端面を覆う前記カバーと前記操作パネルが接触する位置で前記蓋体を組付けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の食器洗浄機。
【請求項4】
略箱状に形成され、前側に開口する前面開口部を有する本体と、
前記前面開口部から前記本体内に出し入れ自在に設けられ、上側に開口する上面開口部を有する洗浄槽と、
該洗浄槽の前側上方に設けられた操作パネルと、
該操作パネルの下方に設けられ、前記操作パネルとともに前記本体の前記前面開口部を覆う扉体を構成する蓋体と、を備え、
前記蓋体の下方と両側面を囲むように上方が開口したコ字状の受け部材を設け、前記蓋体の前面側で前記受け部材に挿入するように化粧パネルを取付け、前記受け部材と係合し前記化粧パネルの上方端面を覆うカバーが設けられ、
前記蓋体に前記操作パネルとの組付位置を決めるための傾斜部を有するガイドリブを設け、前記操作パネルに前記ガイドリブを挿入するガイド穴を設け、前記ガイド穴に前記傾斜部が接触し、前記傾斜部に沿って前記蓋体を移動させ、該蓋体の上部に設けられた前記カバーと前記操作パネルが接触する位置で、前記蓋体を前記洗浄槽に一体的に設けられた取付け部に組付けるようにしたことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項5】
システムキッチンに組み込まれ、前記化粧パネルの絵柄を前記システムキッチンの表面材と略同一にしたことを特徴とする請求項2乃至請求項4何れかに記載の食器洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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