説明

食用キャンドル

【課題】食用に適したキャンドルを提供する。
【解決手段】通常のロウと同様,本体部分11と,本体部分11の先端から挿入された芯12と,を有する。本体部分が,食用油脂及び食用油を含む固形状のものである。そして,この食用キャンドルは,芯12に点火し,本体部分11が溶解した際に,溶解した本体部分を食用に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,食用キャンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2006−28533号パンフレットには,ろうそくを化粧料として利用することが開示されている。特開平6−145692号公報には,凝固油にマーガリンを混合したろうそくが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2006−28533号パンフレット
【特許文献2】特開平6−145692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,これまで,キャンドル(ろうそく)を食用に用いた例は知られていない。そこで,本発明は,食用に適したキャンドルを提供することを目的とする。
【0005】
さらに,本発明は,食卓に照明として利用されながら,食用にも利用されうるキャンドルを提供することを目的とする。
【0006】
さらに,本発明は,照明と調味料としてのキャンドルを用いた料理の提供方法をも提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は,基本的には,照明用に用いられていたキャンドルであっても,食用成分を主成分とすることで,食用に用いることができるという知見に基づく。
【0008】
本発明の第1の側面は,食用キャンドルに関する。この食用キャンドルは,通常のロウと同様,本体部分11と,本体部分11の先端から挿入された芯12と,を有する。そして,この食用キャンドルは,本体部分が,食用油脂及び食用油を含む固形状のものである。そして,この食用キャンドルは,芯12に点火し,本体部分11が溶解した際に,溶解した本体部分を食用に用いることができる。
【0009】
本発明の食用キャンドルの好ましい態様は,本体部分11に糖類及び糖アルコールのいずれか又は両方を含むものである。本体部分11が糖類または糖アルコールを含むので,キャンドル又は溶解したロウを食した場合に良好な味を提供できる。
【0010】
本発明の食用キャンドルの好ましい態様は,食用油脂として生クリームを含む。このようなキャンドルは,ケーキ用のキャンドルとして好適に利用されうる。
【0011】
本発明の食用キャンドルの好ましい態様は,食用油脂としてバターを含む。このようなキャンドルは,たとえば,フランス料理やイタリア料理の提供の際に,好ましく提供されうる。すなわち,照明用のキャンドルが調味料のひとつとして用いられれば,嗜好性が高まる。たとえば,ディナーに招待された者に驚きを与えることができる。また,固形状のバターをパンに塗る際に,パン全面にぬれない場合がある。しかしながら,本発明のキャンドルを用いた場合は,液化した部分や軟化した部分をパンに塗ることができるため,滑らかにパンにバターを塗ることができる。
【0012】
本発明の第2の側面は,上記の食用キャンドルを用いた飲食物の提供に関する。この飲食物の提供は,上記の食用キャンドルに火を点火する工程を含む。これにより,本発明の食用キャンドルを照明用として用いるとともに,芯12に点火し,前記本体部分11が溶解した際に,当該溶解した本体部分を食用に供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,キャンドル本体に食用成分を用いたため,食用に適したキャンドルを提供することができる。
【0014】
また,本発明のある態様によれば,生クリームを用いてキャンドルを製造したので,ケーキに差し込むのに適したキャンドルを提供することができる。
【0015】
さらに,本発明のある態様によれば,バターを用いてキャンドルを製造したので,食卓に照明として利用されながら,食用にも利用されうるキャンドルを提供することができる。
【0016】
さらに,本発明によれば,照明と調味料としてのキャンドルを用いた料理の提供方法をも提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は,本発明の食用キャンドルの外観例を示す図である。
【図2】図2は,本発明の食用キャンドルの上記とは別の態様を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の側面は,食用キャンドルに関する。図1は,本発明の食用キャンドルの外観例を示す図である。この食用キャンドルは,図1に示されるように,本体部分11と,本体部分11の先端から挿入された芯12とを有する。この食用キャンドルは,芯12に点火し,本体部分11が溶解した際に,溶解した本体部分を食用に用いることができる。また,本体部分11や芯12をそのままヒトが食べることができる。
【0019】
本体部分11は,本体部分が固形状であり,食用油脂及び食用油を成分として含む。食用植物油脂の例は,食用サフラワー油,食用ぶどう油,食用大豆油,食用ひまわり油,食用小麦はい芽油,食用ニガ一油,食用とうもろこし油,食用綿実油,食用綿実ステアリン,食用ごま油,食用なたね油,食用こめ油,食用カポック油,食用落花生油,食用オリーブ油,食用パーム油,食用パームオレイン,食用パームステアリン,食用パーム核油,食用やし油,カカオバター,食用調合油及び香味食用油である。食用植物油脂は,硬化油であることがこのましい。動物性油脂の例は,ラード,フロス,バター,牛脂,豚脂,鯨油及び魚油である。本発明の食用キャンドルは,ヒトが摂取することを予定している。このため,予期せず食物アレルギーを惹起するおそれもある。よって,これらの油脂のでは,食用こめ油を成分として含むものが好ましい。食用こめ油であれば,アレルギーを惹き起こすリスクを軽減できる。本体部分は,食用油脂及び食用油の加工品を含んでも良い。食用油脂及び食用油の加工品の例は,生クリーム,マーガリン,チーズ,及びマヨネーズである。油脂が主成分である場合,油脂の含有量は50重量%以上100重量%以下があげられ,成形性の観点から60重量%以上100重量%以下が好ましい。
【0020】
本体部分11は,脂を主成分として含んでも良い。また,本体部分11は,油を主成分としてもよい。特に,本体部分11が油を主成分とする場合は,12−ヒドロキシステアリン酸(特開昭55−106298号公報)などの凝固剤を含むことが好ましい。
【0021】
本体部分11は,ルーであってもよい。ルーは,小麦粉などでんぷんを含む食材を食用油脂とともに加熱し,水分を蒸発させて固形状にしたものである。すなわち,この本体部分11は,油脂の他にでんぷんを含む。本体部分11を構成するルーの例は,ベシャメルソース用のルー,ヴルーテソース用のルー,エスパニョールソース用のルー,カレー用のルー,シチュー用のルーがあげられる。ルーは,ホワイトルー,及びブラウンルーのいずれであっても良い。本発明の本体部分11は,熱により融解することが意図されているため,通常のルーに比べて油脂の含有量が多いものが好ましい。
【0022】
本体部分11は,食用であるため,調味料成分が含まれていることが好ましい。このような調味料として,糖類,糖アルコール,塩,グルタミン酸ナトリウムがあげられる。糖類及び糖アルコールの例は,蔗糖,ぶどう糖,マルトース,フラクトース,トレハロース,キシロース,キシロビオース,マンノース,リボース,アラビノース,マンノビオース,セロビオース,ラクトース,パラチノース,マルトトリオース,マルトテトラオース,マルトオリゴ糖,澱粉糖化物,水飴,キシロオリゴ糖,マンノオリゴ糖,フラクトオリゴ糖,ソルビトール,マルチトール,キシリトール,リビトール,アラビトール,エリスリトール,マンニトール,ラクチトール,セロビイトール,キシロビイトール,セロビイトール,還元マルトオリゴ糖,還元キシロオリゴ糖,還元パラチノース,及び還元澱粉糖化物である。本発明の成分として糖アルコールを用いると,食用キャンドルが焦げにくいため好ましい。
【0023】
本体部分11が糖類及び糖アルコールを含む場合,その含有量は0.1重量%以上20重量%以下があげられ,1重量%以上15重量%以下であってもよい。また,本体部分11が塩を含む場合,その含有量は0.1重量%以上10重量%以下があげられ,0.5重量%以上5重量%以下であってもよい。
【0024】
本体部分11の大きさは,用途に応じて調整すればよい。
【0025】
芯12は,本体部分11の先端から挿入される。芯12は,溶融したろうを吸い上げる毛細管現象を惹起できる素材及び形態のものが好ましい。芯12は,ろうそくに用いられている通常の芯を用いてもよい。具体的な芯の材料として,木綿,麻糸などの天然植物繊維,再生セルロース系繊維により構成された紙,布,糸,及び紐があげられる。一方,本発明の食用キャンドルは,ヒトが摂取するものであるから,芯の材料は毒性の低いものが好ましい。このため,芯12の原料として,生体分解性樹脂を用いることが好ましい。芯12の原料として,ポリ乳酸やポリグリコール酸があげられる。これらの素材は,縫合糸に用いられているものであり,生体分解性がある。
【0026】
図2は,本発明の食用キャンドルの上記とは別の態様を示すものである。図2に示されるように,本発明の食用キャンドルは,本体部分11が,容器13に収容されたものであってもよい。この容器13は,注ぎ口14を有するものが好ましい。注ぎ口14を有することで,溶解したキャンドルを食用に用いることができる。
【0027】
本発明の食用キャンドルの製造方法は,原料を食用のものとする他は,基本的には既に知られているろうそくの製造方法を採用することができる。食用キャンドルの製造方法の例は,モールディング法,ディッピング法,ローリング法,及びプレス法である。いずれにせよ,いったん原料を溶解させ,芯に原料溶液を固定する。これにより,食用キャンドルを得ることができる。
【0028】
次に,本発明の食用キャンドルを使用する方法を説明する。この方法は,キャンドルに火を点火する工程を含む飲食物の提供方法である。このキャンドルは食用なので,キャンドルを照明用として用いるとともに,溶解した本体部分を食用に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のキャンドルは,食品産業において利用されうる。
【符号の説明】
【0030】
11 本体部分
12 芯
13 容器
14 注ぎ口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部分(11)と,
前記本体部分(11)の先端から挿入された芯(12)と,
を有し,
前記本体部分は,食用油脂及び食用油を含む固形状のものであり,
これにより,前記芯(12)に点火し,前記本体部分(11)が溶解した際に,当該溶解した本体部分を食用に用いることができる,
食用キャンドル。

【請求項2】
前記本体部分(11)に糖類及び糖アルコールのいずれか又は両方を含む,
請求項1に記載の食用キャンドル。

【請求項3】
前記食用油脂として,生クリームを含む,
請求項1に記載の食用キャンドル。
【請求項4】
前記食用油脂として,バターを含む,
請求項1に記載の食用キャンドル。

【請求項5】
前記本体部分(11)は,ルーを含む,
請求項1に記載の食用キャンドル。

【請求項6】
前記本体部分(11)は,容器(13)に収容されており,
前記容器(13)は注ぎ口(14)を有する,
請求項1に記載の食用キャンドル。

【請求項7】
キャンドルに火を点火する飲食物の提供方法であって,
前記キャンドルは,
本体部分(11)と,
前記本体部分(11)の先端から挿入された芯(12)と,
を有し,
前記本体部分は,食用油脂及び食用油を含む固形状のものであり,

これにより,前記キャンドルを照明用として用いるとともに,前記芯(12)に点火し,前記本体部分(11)が溶解した際に,当該溶解した本体部分を食用に供する,
飲食物の提供方法。



【図1】
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【図2】
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