説明

食鳥屠体肩関節位置検知装置

【課題】食鳥屠体の肩関節位置を自動的に検知する検知装置を提供する。
【解決手段】頭部が切除され内蔵が除去された食鳥屠体の上半部300を下方から支持しつつ走行するコンベア100の上方に配設され、先端部に下向きの突部が形成された腕部材2と、腕部材2を水平軸線回りに揺動させて腕部材先端部を下方へ付勢するバネ5と、腕部材先端部の最下位置を規定するストッパー2f’と、腕部材先端部のコンベア100からの垂直距離を検知する第1検知装置と、腕部材先端部のコンベアからの水平距離を検知する第2検知装置とを備え、バネ5で下方へ付勢された腕部材先端近傍部を食鳥屠体の肩関節近傍部に上方から押し当て、腕部材先端近傍部を肩関節窪み部へ移動させ、食鳥屠体の肩関節窪み部に腕部材先端部の下向きの突部が当接して乗り上げた時の腕部材先端部のコンベア100からの垂直距離と水平距離とを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥屠体の肩関節の位置を自動的に検知する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭部が切除され内蔵が除去された食鳥屠体の上半部から手羽部を分離する作業に先立って、肩甲骨縁部に沿って食鳥屠体に筋入れする作業が行われる。筋入れ作業は、肩関節の上腕骨端部と肩骨端部との間の窪み部を開始位置とし、当該開始位置から肩骨と肩甲骨上端部とを通って、肩甲骨下端部の終了位置まで、刃物を骨の縁部に当接させつつ骨の縁部に沿って移動させることにより行われる。筋入れ作業は従来人手によって行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食鳥屠体の解体作業を効率化すべく、肩甲骨縁部に沿って食鳥屠体に筋入れする作業を自動化することが望まれる。
筋入れ作業の自動化は、頭部が切除され内蔵が除去された食鳥屠体の上半部を下方から支持しつつ走行するコンベアを配設し、コンベアの側方にロボットアームを配設し、ロボットアームの先端に刃物を取付け、コンベアの移動に連動して刃物を自動操作することにより実現するのが望ましい。
食鳥屠体上半部の寸法には個体差があるので、肩関節窪み部の位置にも個体差がある。従って、ロボットアームを用いて自動的に筋入れするためには、筋入作業に先立って、コンベアで搬送される各食鳥屠体の肩関節窪み部の位置を自動的に検知する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、食鳥屠体の肩関節窪み部の位置を自動的に検知する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、頭部が切除され内蔵が除去された食鳥屠体の上半部であって背側又は腹側を進行方向前方へ差し向けた上半部を下方から支持しつつ走行するコンベアの上方に配設され、鉛直軸線回りと水平軸線回りとに揺動可能であり先端部に下向きの突部が形成された腕部材と、腕部材を水平軸線回りに揺動させて腕部材先端部を下方へ付勢するバネと、腕部材先端部の最下位置を規定するストッパーと、腕部材先端部のコンベアからの垂直距離を検知する第1検知装置と、腕部材先端部のコンベアからの水平距離を検知する第2検知装置とを備え、バネで下方へ付勢された腕部材先端近傍部を移動中の食鳥屠体の肩関節近傍部に上方から押し当て、上腕骨端部または肩骨端部の丸みに沿って腕部材先端近傍部を肩関節窪み部へ移動させ、移動中の食鳥屠体の肩関節窪み部に腕部材先端部の下向きの突部が当接して乗り上げた時の腕部材先端部のコンベアからの垂直距離と水平距離とを検知することを特徴とする食鳥屠体肩関節位置検知装置を提供する。
【0005】
バネで下方へ付勢された腕部材先端近傍部を移動中の食鳥屠体の肩関節近傍部に上方から押し当てると、バネの付勢力を受けた腕部材先端近傍部は上腕骨端部または肩骨端部の丸みに沿って肩関節の窪み部へ移動する。腕部材先端部には下向きの突部が形成されているので、当該突部が肩関節の窪み部に当接して乗り上げた時に、腕部材先端部は最高位置に到達する。腕部材先端部が最高位置に到達した時点は、第1位置検知装置からの検知信号の経時変化履歴から検知することができる。第1位置検知装置からの検知信号の経時変化履歴と第2検知装置からの検知信号の経時変化履歴とに基づいて、腕部材先端部が最高位置に到達した時点での、腕部材先端部のコンベアからの垂直距離と、腕部材先端部のコンベアからの水平距離とを検知することにより、肩関節窪み部のコンベアからの垂直距離と水平距離とを検知することができる。
本発明に係る装置によれば、食鳥屠体の肩関節窪み部の位置を自動的に検知することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、第1検知装置と第2検知装置とは光センサを備える。
本発明の好ましい態様においては、第1検知装置と第2検知装置とは腕部材の揺動角度を検知するポテンショメータまたはエンコーダを備える。
腕部材先端部の位置は、光センサを用いて検知しても良く、腕部材の揺動角度を検知するポテンショメータまたはエンコーダを用いて検知しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例に係る食鳥屠体肩関節位置検知装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る食鳥屠体肩関節位置検知装置が備える腕部材と食鳥屠体肩関節との関係を示す図である。(a)は食鳥屠体と腕部材とを上方から見下ろした図であり、(b)は食鳥屠体と腕部材とをコンベア側方から水平に見た図であり、(c)は食鳥屠体と腕部材とをコンベア進行方向前方から水平に見た図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体肩関節位置検知装置の腕部材先端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例に係る食鳥屠体肩関節位置検知装置を説明する。
【0009】
図1、2に示すように、食鳥屠体筋入れ装置の一部を形成するコンベア100に、複数の直立する支持コーン101が、コンベア100の延在方向に互いに所定間隔を隔てて取り付けられている。コンベア100は図1、2に白抜矢印で示す方向へ走行している。食鳥屠体上半部200が支持コーン101に上方から外嵌合し、支持コーン101が下方から腹腔内に進入して、食鳥屠体上半部200を下方から支持している。食鳥屠体上半部200は背側を進行方向前方へ差し向けており、且つ幅方向の中心をコンベアセンターラインLに一致させている。
コンベア100の図示しない下流側の部位を間に挟んで一対の図示しないロボットアームが配設されている。ロボットアームには刃物が取り付けられており、食鳥屠体上半部200の肩関節の上腕骨端部201と肩骨端部202との間の窪み部203を開始位置とし、当該開始位置から肩骨と肩甲骨204上端部とを通って、肩甲骨204下端部の終了位置まで、接近して来る食鳥屠体上半部200に前記刃物が対峙し、骨の縁部に当接しつつ骨の縁部に沿って刃物が移動して、食鳥屠体上半部200に自動的に筋入れする。
コンベア100の上流側の部位を間に挟んで一対の光センサ300がコンベア100の上方に配設されている。
【0010】
コンベア100の上流側の部位の光センサ300よりも僅かに下流側の部位を間に挟んで、一対の食鳥屠体肩関節位置検知装置1が配設されている。
食鳥屠体肩関節位置検知装置1は、第1支点2aを通る鉛直軸線X回りと第2支点2bを通る水平軸線Y回りとに先端部2cが揺動可能であり、第1支点2aと第2支点2bと先端部2cとを通って延在する腕部材2を備えている。先端部2cには下向きの突部2c’が形成されている。腕部材2はコンベア100の上方に配設されている。
腕部材2の先端部2cから遠い方の支点2aは支持部材2dの一部を形成している。支持部材2dは、ステッピングモータ3によって水平に駆動され、コンベア100に接近離隔可能である。従って、第1支点2aのコンベアセンターラインLからの水平距離は可変である。
【0011】
腕部材2の第1支点2aと第2支点2bとの間で延在する部位2eの第1支点2aに近接する箇所と、支持部材2dから延びる一対の腕部2d’とが、水平に延在する一対のバネ4を介して連結されている。この結果、腕部材先端部2cは、無負荷時に、第1支点2aを通る鉛直軸線X回りの揺動に関して所定の第1中立位置に保持される。
腕部材2の第2支点2bと先端部2cとの間で延在する部位2fの第2支点2bを越えて部位2e側へ突出する箇所と、部位2eから延びる腕部2e’とが、上下に延在するバネ5を介して連結されている。バネ5により、腕部材先端部2cは、下方へ付勢されている。部位2eの第2支点2bを超えて部位2f側へ突出する箇所に、部位2fから延びるストッパー2f’が当接して、無負荷時に、先端部2cを最下位置に保持している。
水平軸線Yは、部位2eの延在方向に対して直交して延在している。従って、腕部材2は、鉛直軸線Xに沿って上方から見下ろすと、部位2eと部位2fとが整列した直線形状を有している。先端部2cが第1中立位置に在り且つ最下位置に在る時、腕部材2は、鉛直軸線Xに沿って上方から見下ろすと、コンベアセンターラインLに対して、先端部2cをコンベア100の進行方向前方へ差し向けて、第1支点2aから先端部2cへ向けてコンベアセンターラインLに接近する方向へ、僅かに傾斜している。
先端部2cが第1中立位置に在り且つ最下位置に在る時、腕部材2は、水平軸線Yに沿って水平に見ると、部位2fが部位2eに対して下方へ折れ曲がった折れ線形状を有している。
【0012】
第1支点2aに隣接して、腕部材先端部2cの第1中立位置からの鉛直軸線X回りの揺動角を検知するポテンショメータ6が配設されている。
第2支点2bに隣接して、腕部材先端部2cの最下位置からの水平軸線Y回りの揺動角を検知するボテンショメータ7が配設されている。
光センサ300、ステッピングモータ3、ポテンショメータ6、7は、制御装置8に接続されている。
【0013】
食鳥屠体肩関節位置検知装置1の作動を説明する。
図示しない作業者が、食鳥屠体上半部200を支持コーン101に上方から外嵌合させ、支持コーン101を下方から腹腔内に進入させて、支持コーン101によって食鳥屠体上半部200を下方から支持させる。食鳥屠体上半部200は、背側をコンベア100の進行方向前方へ差し向けて、且つ幅方向の中心をコンベアセンターラインLに一致させて、支持コーン101によって支持される。
長手方向に整列した複数の支持コーン101がそれぞれ食鳥屠体上半部200を下方から支持したコンベア100が、図1、2の白抜矢印の方向へ走行する。
コンベア100を挟んで対峙する一対の光センサ300が、両者の間を通過する食鳥屠体上半部200の肩幅を計測する。計測結果は制御装置8に送信される。
【0014】
制御装置8は、光センサ300からの入力信号により、食鳥屠体上半部200の腕部材2への接近と、食鳥屠体上半部200の肩幅とを認識する。
制御装置8は、食鳥屠体上半部200の肩幅と、食鳥屠体の肩幅と肩関節位置との間の予め記憶した相関データとに基づいて、食鳥屠体上半部200の肩関節のコンベアセンターラインLからの水平距離を算出し、当該算出値を食鳥屠体上半部200の肩関節の予想水平位置として記憶する。次いで、制御装置8は、ステッピングモータ3を駆動し、支持部材2d、ひいては第1支点2aをコンベア100に接近離隔させて、接近しつつある食鳥屠体上半部200の肩関節の予想水平位置へ腕部材先端部2cを移動させる。
【0015】
図2から分かるように、先端部2cが第1中立位置に在り且つ最下位置に在る腕部材2の先端近傍部が、第1支点2aの下方を通過して腕部材先端部2cに接近しつつある食鳥屠体上半部200の肩関節近傍部に上方から押し当たる。食鳥屠体上半部200の進行に伴って、バネ5の付勢力に逆らって腕部材2の部位2fが上方へ押し上げられる。バネ5の付勢力を受けた部位2fは、食鳥屠体上半部200の進行に伴って、上腕骨端部201又は肩骨端部202の丸みに沿って両者の間の窪み部203へ滑り落ち、その後、窪み部203によって案内される。
食鳥屠体上半部200の進行に伴って、腕部材先端部2cは第2支点2bを通る水平軸線Y回りに上方へ揺動し、且つ第1支点2aを通る鉛直軸線X回りにコンベアセンターラインLから遠ざかる方向へ揺動する。
食鳥屠体上半部200の進行に伴って、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が肩関節の窪み部203に接近し該部に当接して乗り上げた時、腕部材先端部2cは最高位置に到達し、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が肩関節の窪み部203を通過すると、腕部材先端部2cは最下位置へ向けて下降する。
【0016】
制御装置8は、ポテンショメータ6、7からの入力信号の経時変化、より具体的には揺動角ゼロに対応する基準値から最大揺動角に対応するピーク値を経て基準値に戻るまでの1サイクル分の経時変化、すなわち1個の食鳥屠体上半部200が食鳥屠体肩関節位置検知装置1を通過する間の経時変化、を記憶している。
【0017】
制御装置8は、1サイクルの経時変化が終了すると、直ちにポテンショメータ7からの入力信号の経時変化履歴に基づいて、入力信号のピーク値を検知し、入力信号値と揺動角との間の予め記憶した相関に基づいて、腕部材先端部2cの最下位置からの上方への最大揺動角αを算出する。前述の説明から分かるように、最大揺動角αは、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の揺動角である。
腕部材先端部2cが最下位置に在る時の前記先端部2cと第2支点2bとの間の上下方向の相対位置関係は既知なので、制御装置8は前記既知の相対位置関係と前記最大揺動角αとを用いて、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cと第2支点2bとの間の上下方向の相対位置関係を算出する。
制御装置8は、第2支点2bのコンベア100からの既知の鉛直距離と、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cと第2支点2bとの間の上下方向の相対位置関とに基づいて、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の、腕部材先端部2cのコンベア100からの鉛直距離を算出する。当該鉛直距離から突部2c’の高さを引いた値が、食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203のコンベア100からの鉛直距離である。
【0018】
制御装置8は次に、ポテンショメータ7からの入力信号の経時変化履歴とポテンショメータ6からの入力信号の経時履歴とに基づいて、ポテンショメータ7からの入力信号がピーク値に達した時のポテンショメータ6からの入力信号値を検知し、入力信号値と揺動角との間の予め記憶した相関に基づいて、腕部材先端部2cの第1中立位置からの鉛直軸線X回りの揺動角βを算出する。
腕部材先端部2cが第1中立位置に在る時の前記先端部2cと第1支点2aとの間の上方から見下ろした相対位置関係は既知なので、制御装置8は前記既知の相対位置関係と前記揺動角βとを用いて、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cと第1支点2aとの間の上方から見下ろした相対位置関係を算出する。
制御装置8は、腕部材先端部2cを肩関節の予想水平位置へ移動させた時のステッピングモータ3の回転角度から、第1支点2aのコンベアセンターラインLからの水平距離を算出し、当該水平距離と、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cと第1支点2aとの間の上方から見下ろした相対位置関とに基づいて、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の、腕部材先端部2cのコンベアセンターラインLからの水平距離を算出する。当該水平距離は、食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203のコンベアセンターラインLからの水平距離である。
【0019】
制御装置8は、食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203のコンベア100からの鉛直距離と、コンベアセンターラインLからの水平距離とを、図示しないロボットアームの制御装置に送信する。ロボットアームの制御装置は、受信した位置情報に基づいて、接近する食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203の位置へ刃物を移動させて、食鳥屠体上半部200を待ち受ける。
【0020】
上記説明か分かるように、本実施例に係る食鳥屠体肩関節位置検知装置1によれば、食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203の位置を自動的に検知することができる。
【0021】
上記実施例においては、腕部材先端部2cを、遠い方の第1支点2aを通る鉛直軸線Xの回りに揺動させ、近い方の第2支点2bを通る水平軸線Y回りに揺動させたが、腕部材先端部2cを、遠い方の第1支点2aを通る水平軸線回りに揺動させ、近い方の第2支点2bを通る鉛直軸線回りに揺動させても良い。
上記実施例においては、第1支点2aと第2支点2bとは一致していないが、両者を一致させて、一本の連続した腕部材が、単一の支点を通る鉛直軸線回りと水平軸線回りとに揺動するように構成しても良い。
光センサ300とステッピングモータ3とを除去し、作業者が食鳥屠体上半部200を視認しながら支持部材2dを手動でコンベア100に接近離隔させ、腕部材先端部2cを食鳥屠体上半部200の肩関節の近傍へ移動させても良い。この場合、第1支点2aのコンベアセンターラインLからの距離をセンサで検知する必要がある。
ポテンショメータ6、7に代えてエンコーダを使用しても良い。
ステッピングモータ3に代えてサーボモータを使用しても良い。
腹側を進行方向前方へ差し向けて食鳥屠体上半部200を支持コーン101に上方から外嵌合させても良い。
【0022】
腕部材2の揺動角度を検知するのに化えて、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cのコンベア100からの垂直距離とコンベアセンターラインLからの水平距離とを、それぞれ光センサを用いて直接検知しても良い。図3に示すように、腕部材先端部2cの上面にT型断面の反射板9を取付け、T型断面の上面9aと側面9bとにセンサ10a、10bの光を照射して、前記上面と側面のセンサ10a、10bからの距離を検知し、ひいては腕部材先端部2cのコンベア100からの垂直距離とコンベアセンターラインLからの水平距離とを検知する。指向性が比較的弱い光センサを使用すれば、腕部材先端部2cの下向き突部2c’が食鳥屠体上半部200の肩関節の窪み部203に当接して乗り上げた時の腕部材先端部2cの位置が食鳥屠体の個体差によってばらついても、腕部材先端部2cの位置を検知することができる。制御装置8は、垂直距離を検知する光センサ10aからの入力信号の経時変化履歴に基づいて、当該入力信号のピーク値を検知し、垂直距離を検知する光センサ10aからの入力信号がピーク値になった時の垂直距離を検知する光センサ10aからの入力信号値と水平距離を検知する光センサ10bからの入力信号値とに基づいて、肩関節の窪み部203のコンベア100からの垂直距離とコンベアセンターラインLからの水平距離とを算出する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、肩甲骨縁部に沿って自動的に食鳥屠体に筋入れする作業に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 食鳥屠体肩関節位置検知装置
2 腕部材
2a 第1支点
2b 第2支点
2c 先端部
2c’ 下向き突部
2f’ ストッパー
3 ステッピングモータ
4、5 バネ
6、7 ポテンショメータ
8 制御装置
9 反射板
10a、10b 光センサ
100 コンベア
101 支持コーン
200 食鳥屠体上半部
201 上腕骨端部
202 肩骨端部
203 窪み部
300 光センサ
L コンベアセンターライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部が切除され内蔵が除去された食鳥屠体の上半部であって背側又は腹側を進行方向前方へ差し向けた上半部を下方から支持しつつ走行するコンベアの上方に配設され、鉛直軸線回りと水平軸線回りとに揺動可能であり先端部に下向きの突部が形成された腕部材と、腕部材を水平軸線回りに揺動させて腕部材先端部を下方へ付勢するバネと、腕部材先端部の最下位置を規定するストッパーと、腕部材先端部のコンベアからの垂直距離を検知する第1検知装置と、腕部材先端部のコンベアからの水平距離を検知する第2検知装置とを備え、バネで下方へ付勢された腕部材先端近傍部を移動中の食鳥屠体の肩関節近傍部に上方から押し当て、上腕骨端部または肩骨端部の丸みに沿って腕部材先端近傍部を肩関節窪み部へ移動させ、移動中の食鳥屠体の肩関節窪み部に腕部材先端部の下向きの突部が当接して乗り上げた時の腕部材先端部のコンベアからの垂直距離と水平距離とを検知することを特徴とする食鳥屠体肩関節位置検知装置。
【請求項2】
第1検知装置と第2検知装置とは光センサを備えることを特徴とする請求項1に記載食鳥屠体肩関節位置検知装置。
【請求項3】
第1検知装置と第2検知装置とは腕部材の揺動角度を検知するポテンショメータまたはエンコーダを備えることを特徴とする請求項1に記載食鳥屠体肩関節位置検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−177096(P2011−177096A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43614(P2010−43614)
【出願日】平成22年2月27日(2010.2.27)
【出願人】(504225356)プライフーズ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】