飲料を調合するための方法
【課題】操作が単純で操作の信頼性が高く、広範なタイプの飲料の生成を可能とする。
【解決手段】互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(2)を製造し、互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(3)を製造して、それらを保管する。複数の外側部材から、第1のタイプの外側部材または第2のタイプの外側部材の一方を選択し、複数の内側部材から、第1のタイプの内側部材または第2のタイプの内側部材の一方を選択する。選択した内側部材が選択した外側部材の内側になるように、内側部材を外側部材に結合する。外側部材に、複数の飲料原料から選択された1種類または複数種類の飲料原料(200)を充填し、外側部材を蓋(5)でシールして、カートリッジを形成する。
【解決手段】互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(2)を製造し、互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(3)を製造して、それらを保管する。複数の外側部材から、第1のタイプの外側部材または第2のタイプの外側部材の一方を選択し、複数の内側部材から、第1のタイプの内側部材または第2のタイプの内側部材の一方を選択する。選択した内側部材が選択した外側部材の内側になるように、内側部材を外側部材に結合する。外側部材に、複数の飲料原料から選択された1種類または複数種類の飲料原料(200)を充填し、外側部材を蓋(5)でシールして、カートリッジを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を調製するためのカートリッジおよび方法に関し、特に、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料で形成され、飲料の調製用に1種類または複数種類の原料を収容するシール済みカートリッジを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
空気に対して不透過性である個々の包装内に飲料調製原料をシールすることが、これまで提案されてきた。例えば、挽いたコーヒーを圧縮して収容するカートリッジやカプセルは、一般に「エスプレッソ」機械と呼ばれる特定のコーヒー調製機械で使用するものとして知られている。こうした調製機械を用いたコーヒーの製造では、コーヒーカートリッジが煎出チャンバ内に配置され、湯がこのカートリッジを比較的高い圧力で通過することにより、挽かれたコーヒーから薫り高いコーヒー成分が抽出されて、コーヒー飲料を生成する。通常、こうした機械は、6×105Paを超える圧力で動作する。このタイプの調製機械は、これに含まれる水ポンプおよびシールなどのコンポーネンツが高圧に耐えられるものでなければならないため、今まで比較的高価であった。
【0003】
従来技術には、概して0.7から2.0×105Paで動作する飲料調製用カートリッジが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このカートリッジは、商業または工業市場用の飲料調製機内で使用する設計となっており、比較的高価である上、生成する飲料のタイプが限定されている。したがって、カートリッジおよび飲料調製機が、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したものとなっている飲料調製用カートリッジが必要である。また、操作が単純で操作の信頼性が高く、そして広範なタイプの飲料を生成可能であるようなシステム用飲料調製機も必要である。
【0004】
乳原料を主原料とする飲料原料を粉末や他の乾燥形態でカートリッジ内に入れることが知られている。しかし、消費者は一貫して、こうした粉末状の乳原料を主原料とする生成物の使用は、最終的に得られる飲料の味、色およびテクスチャが劣るものになることを指摘する。カートリッジのコンポーネンツを殺菌消毒する必要があるため、液状乳原料を主原料とする生成物をカートリッジに入れることが難しいことは分かっている。さらに、安定かつ許容可能な最終的飲料が得られるように、液状乳生成物の希釈および調合の制御をすることが難しいことも分かっている。
【0005】
さらに、粉末状の乳製品は、カプチーノタイプ飲料に消費者が望むような、本物に見える泡状の乳主成分の泡沫の生成には使用できない。数多くの飲料調製機には、一定量の乳を泡立てるためのスチームワンド(steam wand)またはこれに類似したものが備えられている。しかし、スチームワンドを追加すると、その機械の価格が上がり、蒸気を発生させる手段も必要となる。スチームワンドは、手動で操作しなければならず、うまく扱うには経験が必要である。さらに蒸気を使用するため、消費者は、その蒸気か機械の高温コンポーネンツかのいずれかで火傷を負うおそれがある。その上、消費者は、機械とは別に使用可能な乳の供給を維持して、カプチーノタイプ飲料を生成するために別のタイプの処理ステップを行わなければならない。このことは、こうした飲料の生成に必要となる複雑度と時間を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/58786号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0389141号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0334572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したカートリッジおよび飲料調製機を含む飲料調製システムの要求が依然としてある。また、操作が単純で操作の信頼性が高く、広範なタイプの飲料の生成が可能な、こうしたシステムの飲料調製機も必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
a.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材を製造するステップと、
b.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材を製造するステップと、
c.その外側部材および内側部材を保管するステップと、
d.複数の外側部材から第1のタイプの外側部材または第2のタイプの外側部材の一方を選択するステップと、
e.複数の内側部材から第1のタイプの内側部材または第2のタイプの内側部材の一方を選択するステップと、
f.選択した内側部材を選択した外側部材に、その内側部材が外側部材の内側になるように結合させるステップと、
g.外側部材に、複数の飲料原料から選択した1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
h.外側部材を蓋でシールしてカートリッジを形成するステップと
を含む飲料調合用カートリッジの製造方法を提供する。
【0009】
本発明による製造方法により、複数の飲料の1種類を調合するためのカートリッジを製造する経済的手段が得られる。
【0010】
有利なことに、このカートリッジは、内側部材、外側部材、飲料原料および蓋という主要コンポーネンツから容易に組み立てることができる。調合する飲料原料に応じて、様々なタイプの外側部材、内側部材および蓋を製造する。ただし、外側部材、内側部材および蓋のタイプは様々であっても、在庫にあるコンポーネンツを特定目的で組み合わせることにより個々のカートリッジが組み立てられるように、これらは交換可能なものである。これにより、製造可能なカートリッジのタイプの幅を狭めることなく、製造に必要な合計コンポーネンツ数を削減することができる。例えば、同じタイプの外側部材は、フィルタコーヒーの調合にもエスプレッソ型コーヒーの調合にも使用することができる。
【0011】
この一連の飲料カートリッジの製造コストは、交換可能なコンポーネンツを使用することで削減される。さらに、それぞれのタイプの外側部材が実質的に同一の外部形状および構成をしているため、この一連の飲料カートリッジ全ては、同一飲料調製機を使用して調合することができる。
【0012】
任意に、この方法のステップbにさらに、第1のタイプおよび/または第2のタイプの内側部材に対するフィルタ部材の接合を含める。
【0013】
第1のタイプの外側部材は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはその同種原料の含有に適したものとすることができる。第2のタイプの外側部材は、溶解性または液体飲料原料またはその同種原料の含有に適したものとすることができる。
【0014】
第1のタイプの内側部材は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびその同種原料の濾過に適したものとすることができる。第2のタイプの内側部材は、焙煎および挽き作業を施した液体飲料原料およびその同種原料の濾過と、調合される飲料への複数の気泡混入に適したものとすることができる。
【0015】
第1および第2のタイプの内側部材に、フィルタを備えたフレームを含めてもよく、そのフレームの外周リムは、選択したタイプの外側部材に溶着により結合される。
【0016】
内側部材および外側部材に、組み立て時に溶接処理により結合させられる別々のコンポーネンツを用いることにより、各コンポーネンツの製造およびカートリッジの組み立てを最適化することができる。これは、カートリッジ内を貫通する飲料流路が外側部材と内側部材との間の界面により画定されるために、公差が極めて小さいと望ましい本カートリッジに、特に有利である。さらに、この内側部材および外側部材のコンポーネンツは、組み合わせる前の別々の状態のほうが簡単に殺菌消毒できる。一旦、これらのコンポーネンツが互いに溶着すると、何本かの小口付き蛇行経路が形成され、これを既知の方法でうまく殺菌消毒することはできない。コンポーネンツを殺菌消毒できることは、乳原料を主原料とする飲料の調合に用いるカートリッジの場合、特に有利な特徴である。溶着構造は、組み立てに時間が掛からないのに、確実な内側部材および外側部材の結合方法となる。有利なことに、この溶着方法を採ると、飲料原料に暴露されることになるカートリッジの内部に膠または他の同様の接着剤類を使用する必要がなくなる。
【0017】
好ましくは、第2のタイプの内側部材が噴出飲料を生成する手段を含み、その手段は、カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含む。
【0018】
好ましくは、この方法にさらに、第3のタイプの内側部材を製造および保管するステップを含める。この第3のタイプの内側部材は、溶解性飲料原料およびその同種原料の調合に適したものにすることができる。
【0019】
好ましくは、この方法にさらに、第4のタイプの内側部材を製造および保管するステップを含める。この第4のタイプの内側部材は、液体飲料原料およびその同種原料の調合に適したものにすることができる。
【0020】
第3および第4のタイプの内側部材に、出口を取り囲むスカートを含めることができ、このスカートは、カートリッジの組み立て時に、選択したタイプの外側部材の協働構成部と係合する上方リムを有する上方延出部を含み、選択したタイプの外側部材に対して、第3または第4のタイプの内側部材を結合させるためのスナップ嵌合構造形成する。
【0021】
本発明はまた、複数種類の飲料を調合するカートリッジシステムであって、
a.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材と、
b.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材と、
c.複数の飲料原料と、
d.カートリッジをシールする少なくとも1つの蓋と
を含み、
各カートリッジは、外側部材と、内側部材と、1種類または複数種類の飲料原料と、蓋とを含むシステムを提供する。
【0022】
本発明はまた、
a.1種類または複数種類の飲料原料を収容する第1の飲料カートリッジを飲料調製機内に挿入するステップと、
b.その飲料調製機を動作させて、水媒体を第1の飲料カートリッジ内に通過させてその飲料の第1の部分を入れ物内に調合するステップと、
c.1種類または複数種類の飲料原料を収容する第2の飲料カートリッジを上記bと同じ飲料調製機内に挿入するステップと、
d.その飲料調製機を動作させて、水媒体を第2の飲料カートリッジ内に通過させてその飲料の第2の部分を上記bと同じ入れ物内に調合するステップと、
を含み、
第1の飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製方法を提供する。
【0023】
飲料調製に2つまたはそれ以上のカートリッジを使用することにより、同一飲料調製機で広範な種類の飲料を生成することができる。さらに、特定の飲料原料の調合用に、各カートリッジを最適化することができる。具体的に言えば、液状乳生成物を主原料とする原料を調合できることから、大量の乳の泡立てに別個のスチームワンドを使用するなど、カートリッジ式でないシステムを使用した場合にのみ以前は可能であった本物の外観、味および舌触りを有する飲料の形成が可能となる。本発明は、こうした飲料を形成するために、高い信頼性で簡単に操作できるシステムを提供するものである。
【0024】
好ましくは、第1飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、飲料の煎出部分を形成するための原料を収容する。
【0025】
好ましくは、この方法はさらに、第2の飲料カートリッジを挿入する前に第1の飲料カートリッジを取り出すステップを含む。
【0026】
一実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーである。別の実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、リーフティである。別の実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、液状コーヒー原料である。
【0027】
好ましくは、液体飲料原料は、濃縮した乳原料を主原料とする生成物である。有利なことに、この濃縮した乳原料を主原料とする生成物は濃縮型液状乳である。好ましくは、この濃縮型液状乳に25から40%全固形分を含有させる。より好ましくは、この濃縮型液状乳に30%全固形分を含有させる。さらに、好ましくは、この濃縮型液状乳に0.1から12%の脂肪分を含有させる。
【0028】
好ましくは、この方法にさらに、調合時、1種類または複数種類の液状乳生成物を主原料とする原料を泡立てるステップを含める。
【0029】
本発明はまた、一連の飲料カートリッジを受ける手段と、その飲料カートリッジに水媒体を通過させる手段と、その飲料の第1の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料を収容する第1の飲料カートリッジと、その飲料の第2の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料を収容する第2の飲料カートリッジと、を有し、第1の飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製機を含む飲料調製システムを提供する。
【0030】
本明細書内で言う用語「カートリッジ」は、上述した方式で1種類または複数種類の飲料原料を収容するあらゆる包装、容器、小袋または入れ物を意味するものであることを理解されたい。このカートリッジは、剛性でも、半剛性でも、可撓性でもよい。
【0031】
本発明によるカートリッジは、飲料生成物の形成に適した1種類または複数種類の液体飲料原料を収容する。この飲料生成物として、例えば、コーヒー、茶、ココア、または乳を含む乳原料を主原料とする飲料の1種類が挙げられる。
【0032】
以下の説明において、用語の「上方」、「下方」およびそれと同等の用語は、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。用語の「上方」、「下方」およびそれと同等の用語は、例えば図4に示すように、飲料調製機に挿入して引き続き調合を行うために、普通の方向にあるカートリッジ(または他のコンポーネンツ)に対して指すものと理解すべきである。具体的に言えば、「上方」および「下方」は、カートリッジの頂面11からより近い相対的位置、またはより遠い相対的位置をそれぞれ指す。また、用語の「内側」、「外側」およびそれと同等の用語も、以下、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。この用語の「内側」、「外側」およびそれと同等の用語は、カートリッジ1(または他のコンポーネンツ)の中心または長軸Xからより近いまたはより遠いカートリッジ(または他のコンポーネンツ)内での相対的位置付けをそれぞれ指すものと理解すべきである。
【0033】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、実施例のみを用いて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1および第2の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図2】図1の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示す。
【図3】図1の外側部材の細部の断面図であり、スロットを示す。
【図4】図1の外側部材を上から見た斜視図である。
【図5】図1の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図6】図1の外側部材を上から見た平面図である。
【図7】第1の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図8】図7の内側部材を上から見た斜視図である。
【図9】図7の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図10】図7の内側部材を上から見た平面図である。
【図11】組み立てた状態である第1の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図12】第2の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図13】図12の内側部材の細部の断面図であり、口部を示す。
【図14】図12の内側部材を上から見た斜視図である。
【図15】図12の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図16】図12の内側部材を示す別の断面図である。
【図17】図12の内側部材の別の細部の断面図であり空気入口を示す。
【図18】組み立てた状態である第2の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図19】第3および第4の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図20】図19の外側部材の細部の断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示す。
【図21】図19の外側部材を上から見た平面図である。
【図22】図19の外側部材を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図24】第3の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図25】図24の外側部材を上から見た平面図である。
【図26】図24の内側部材の細部の断面図であり、内向き上方リムを示す。
【図27】図24の内側部材を上から見た斜視図である。
【図28】図24の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図29】組み立てた状態である第3の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図30】本発明による第4の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図31】図30の内側部材を上から見た平面図である。
【図32】図30の内側部材を上から見た斜視図である。
【図33】図30の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図34】組み立てた状態である第4の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図35】本発明と併用する飲料調製機を示す正面斜視図である。
【図36】カートリッジヘッドが開位置にある図35の機械の正面斜視図である。
【図37】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械に背面斜視図である。
【図38】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械の別の背面斜視図である。
【図39】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械のカートリッジヘッドの斜視図である。
【図40】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械のカートリッジヘッドの別の斜視図である。
【図41】閉位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図42】開位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図43】図35の機械を示す概略レイアウトである。
【図44a】図35の機械に対する第1のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図44b】図35の機械に対する第2のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図45】バーコードを含む本発明の飲料を示す平面図である。
【図46a】操作サイクル時間に対する濃度を示すグラフである。
【図46b】操作サイクル時間に対する泡立ち度を示すグラフである。
【図46c】操作サイクル時間に対する温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図11に示すように、カートリッジ1は主に、外側部材2と内側部材3とラミネート5とを含む。外側部材2と内側部材3とラミネート5とを組み合わせると、1種類または複数種類の飲料原料を収容するための内部120と、入口121と、出口122と、入口121から出口122までをつないで内部120を貫通する飲料流路と、を有するカートリッジ1が形成される。入口121と出口122とは、当初はラミネート5でシールされており、使用時に、そのラミネート5を穿孔または切断することにより開口される。飲料流路は、以下で説明するように、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5と、の間の空間的相互関係により形成される。この他にも、以下でさらに説明するように、フィルタ4などのコンポーネンツを任意にカートリッジ1に含めることができる。
【0036】
予備知識として説明する第1の型式のカートリッジ1を図1から図11に示す。第1の型式のカートリッジ1は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーやリーフティなどの濾過生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。しかし、この型式のカートリッジ1、および以下で説明する他の型式は、ココア、コーヒー、茶、甘味料類、強壮剤類、調味料類、アルコール飲料類、調味乳、果汁類、スカッシュ類、ソース類、およびデザート類などの他の生成物に使用することも可能である。
【0037】
図5から分かるように、カートリッジ1の全体形状は、その直径が高さより大幅に大きい略円形またはディスク形状である。長軸Xは、図1に示すように外側部材の中心を通る。通常、外側部材2の直径全体は74.5mm±6mmであり、高さ全体は16mm±3mmである。通常、このカートリッジ1の容積は30.2ml±20%である。
【0038】
外側部材2は主に、湾曲した環状壁13を有するボール形状のシェル10と、閉じた頂部11と、開いた底部12と、を含む。閉じた頂部11から開いた底部12にかけて環状壁13が広がっているため、外側部材2の直径は、その頂部11において、底部12の直径に比較して小さくなっている。環状壁13と閉じた底部11とが共に、内部34を有する入れ物を形成する。
【0039】
中空で内側向きの円筒状延出部18は、長軸Xを中心とする閉じた頂部11に設けられている。図2でさらによく分かるように、円筒状延出部18は、第1、第2および第3の部分19、20および21を有する階段状プロファイルを含む。第1の部分19は直円筒状である。第2の部分20は裁頭円錐形状であり、内側に先細りになっている。第3の部分21は、もう1つの直円柱であり、下方面31により閉じられている。第1、第2および第3の部分19、20および21の直径は、円筒状延出部18の頂部11から閉じた下方面31にかけて、円筒状延出部18の直径が狭まるように段階的に小さくなっている。略水平な肩32は、円筒状延出部18において、第2の部分20と第3の部分21との間の結合部分に形成されている。
【0040】
外向きに延出する肩33は、底部12に向けて外側部材2に形成されている。この外向きに延出する肩33は、環状壁13と同軸である第2の壁15を形成し、これにより、第2の壁15と環状壁13との間にマニホルド16を形成する環状トラックを画成するようになっている。マニホルド16は、外側部材2の周囲をめぐって通っている。一連のスロット17は、環状壁13にマニホルド16と同じ高さで設けられており、これにより、マニホルド16と外側部材2の内部34との間は、気体および液体連通した状態となる。図3に示すように、スロット17は、環状壁13に形成された垂直スリットを含む。20から40本のスリットを設ける。図示した実施形態では、37本のスロット17がほぼ等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。スロット17は、好ましくは1.4から1.8mmの長さとする。通常、各スロットの長さは、外側部材2の高さ全体の10%である1.6mmである。各スロットの幅は、0.25から0.35mmである。通常、各スロットの幅は0.3mmである。スロット17の幅を十分に狭くして、保管時、使用時のいずれかに飲料原料がマニホルド16内に通過しないようにする。
【0041】
入口チャンバ26は、外側部材2の周囲にて外側部材2内に形成される。図5において最もよく分かるように、円筒状壁部27が設けられており、それは、内部に入口チャンバ26を形成し、かつ入口チャンバ26を外側部材2の内部34から仕切っている。この円筒状壁部27は、長軸Xに垂直な1平面上に形成された閉じた上方面28と、外側部材2の底部12と同平面上にある開いた下方端部29と、を有する。入口チャンバ26は、図1に示すように、2本のスロット30を介してマニホルド16と連通する。別法として、1から4本のスロットを用いて、マニホルド16と入口チャンバ26との間を連通させてもよい。
【0042】
外向きに延出する肩33の下方端部には、長軸Xに垂直に外向きに延出するフランジ35が設けられている。通常、このフランジ35の幅は2から4mmである。フランジ35の一部は拡張されてハンドル24を形成し、それによって外側部材2が保持されるようになっている。ハンドル24には、掴みやすくするために、先を上向きにしたリム25が設けられている。
【0043】
外側部材2は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、またはこれらの2種以上の積層体から、単体ピースとして形成される。適したポリプロピレンは、DSM UK Limited(Redditch, United Kingdom)から入手可能な一連のポリマー類である。この外側部材は、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。この製造処理を射出成形とすることができる。
【0044】
図7から図10に示すように、内側部材3は、環状フレーム41と、下向きに延出する円筒状漏斗40と、を含む。図7に示すように、長軸Xは内側部材3の中心を通っている。
【0045】
図8において最もよく分かるように、環状フレーム41は、外側リム51と、等間隔で設けられた10本の径方向スポーク53で接合される内側ハブ52と、を含む。内側ハブ52は円筒状漏斗40と一体であり、かつ円筒状漏斗40から延出している。濾過口部55は、各径方向スポーク53の間で環状フレーム41内に形成されている。この濾過口部55をカバーするように、フィルタ4が環状フレーム41上に配置される。このフィルタは、好ましくは、不織繊維材料であるポリエステルなどの湿潤強さの高い材料で製造する。この他に使用可能な材料として、織紙繊維を含むセルロース材料などの水分不透過性セルロース材料が挙げられる。この織紙繊維は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンの繊維と混合させることができる。こうしたプラスチック材料をセルロース材料内に組み合わせると、そのセルロース材料がヒートシール可能なものとなる。フィルタ4は、熱および/または圧力で活性化される材料によって処理またはコーティングして、熱および/または圧力により環状フレーム41にシールできるようにしてもよい。
【0046】
図7の断面プロファイルに示すように、内側ハブ52は外側リム51より低い位置に配置されるため、環状フレーム41は下方に傾斜するプロファイルを有する。
【0047】
各スポーク53の上面には直立型ウェブ54が設けられ、それは、環状フレーム41上の孔空間を複数の通路57に分割する。各通路57は、両側がウェブ54に接し、下面がフィルタ4に接する。通路57は、外側リム51から下方に円筒状漏斗40に向けて延在し、ウェブ54の内側末端部によって形成される開口56にて、円筒状漏斗40内に開いている。
【0048】
円筒状漏斗40は、内側注ぎ口43を取り囲む外側チューブ42を含む。この外側チューブ42は、円筒状漏斗40の外面を形成している。注ぎ口43は、環状フランジ47により、その注ぎ口43の上方端部において外側チューブ42に接合されている。注ぎ口43は、その上方端部に位置して通路57の開口56と連通する入口45と、その下方端部に位置し調製済み飲料を通過させてカップや他の入れ物内に注ぐ出口44と、を含む。注ぎ口43は、その上方端部に略切頭円錐状部分48を、またその下方端部に円筒状部分58を含む。この円筒状部分58にわずかに先細る部分を設けて、出口44に向けて幅を細めてもよい。略切頭円錐形部分48は、飲料に乱流を起こすことなく、飲料を通路57から出口44に向けて下向きに流動させやすくする。略切頭円錐形部分48の上面には、円筒状漏斗40の周囲に等間隔で位置する支持ウェブ49を設ける。これらの支持ウェブ49は、それらの間に複数のチャネル50を形成する。支持ウェブ49の上縁部は、互いに同じ高さであり、長軸Xに垂直である。
【0049】
内側部材3は、外側部材2と同様の射出成形により、上述したようなポリプロピレンまたはこれに類似した材料から単体ピースとして形成することができる。
【0050】
別法として、内側部材3および/または外側部材2は、生分解性ポリマーで製造してもよい。適した材料の例として、分解性ポリエチレン(例えば、英国ボアハムウッドのSymphony Environmental製SPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(例えば、Symphony Environmental製BAK1095)、ポリ乳酸(米国ミネソタ州のCargil製PLA)、デンプン系ポリマー、セルロース誘導体、およびポリペプチドが挙げられる。
【0051】
ラミネート5は、アルミニウムによる第1の層、および無延伸ポリプロピレンによる第2の層の2層から形成される。このアルミニウム層は0.02から0.07mmの厚さである。無延伸ポリプロピレン層は0.025から0.065mmの厚さである。一実施形態において、アルミニウム層は0.06mmの厚さであり、ポリプロピレン層は0.025mmの厚さである。このラミネートは、組み立て時の巻き込み(curling)に高い抵抗を有するため、特に有利である。このため、ラミネート5は、正しいサイズおよび形状に予め切断しておき、その後、歪みを発生させることなく製造ラインの組み立てステーションに移送することができる。したがって、このラミネート5は溶着に特に適している。他のラミネート材料も使用可能であり、その例として、PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属被覆/PP、およびアルミニウム/PPラミネートが挙げられる。打ち抜き加工した在庫品ではなく、ロールラミネートによる在庫品を用いてもよい。
【0052】
カートリッジ1は、可撓性のラミネートではない剛性または半剛性の蓋で閉じてもよい。
【0053】
カートリッジ1の組み立ては、
a)内側部材3を外側部材2に挿入するステップと、
b)フィルタ4を決まった形状に切断して内側部材3上に配置し、それを円筒状漏斗40上で受け、環状フレーム41に対向する位置にくるようにするステップと、
c)内側部材3、外側部材2、およびフィルタ4を超音波溶接で溶着するステップと、
d)カートリッジ1に、1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
e)ラミネート5を外側部材2に取付けるステップと
を含む。
【0054】
上記ステップについては、以下で更に詳細に説明する。
【0055】
外側部材2は、その開いた底部12を上向きにして方向付ける。次に、その外側部材2内に内側部材3を挿入して、外側リム51がカートリッジ1の頂部11において軸方向延出部14内に遊合状態で受けられるようにする。これと同時に、外側部材2の円筒状延出部18は、内側部材3の円筒状漏斗40の上方部分内に受けられる。円筒状延出部18の第3の部分21は、円筒状延出部18の閉じた下方面31が内側部材3の支持ウェブ49に当たった状態で円筒状漏斗40内に納まる。次に、フィルタ材料が環状リム51に接触するように、フィルタ4を内側部材3上に配置する。超音波溶接処理により、このフィルタ4を内側部材3に接合し、同時に同一処理ステップにおいて、内側部材3を外側部材2に接合する。内側部材3およびフィルタ4を外側リム51に沿って溶着する。内側部材3および外側部材2は、外側リム51およびウェブ54の上方縁部に沿う溶着線によって接合する。
【0056】
図11において最もよく分かるように、外側部材2および内側部材3は、互いに接合されたときに、環状フランジ41の下方かつ円筒状漏斗40の外側に内部120内の孔空間130を形成し、これが濾過チャンバとなる。この濾過チャンバ130と環状フレーム41の上方の通路57は、濾紙4が隔てられる。
【0057】
濾過チャンバ130は、1種類または複数種類の飲料原料200を収容する。1種類または複数種類の飲料原料は、濾過チャンバ130内に包装される。濾過式飲料の場合、この原料は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーまたはリーフティである。濾過チャンバ130内の飲料原料の包装密度は、所望どおりに変更可能である。通常、濾過式コーヒー生成物の場合、この濾過チャンバは、通常5から14mm厚さの濾過床に5.0から10.2グラムの焙煎および挽き作業を施したコーヒーを収容する。任意に、内部120に球体などの1種類または複数種類の物体を収容してもよく、それらは内部120内で自由に移動可能であり、飲料を注ぐときに乱流を起こして飲料原料の沈殿物を砕くことにより、混合しやすくする。
【0058】
次に、ラミネート5の周囲に溶着部126を形成することによりラミネート5を外側部材2に取付けて、外向きに延出するフランジ35の下面にラミネート5を接合する。溶着部126は、ラミネート5を入口チャンバ26の円筒状壁部27の下方縁部に対してシールするように延在させる。さらに、ラミネート5と、円筒状漏斗40の外側チューブ42の下方縁部と、の間に溶着部125を形成する。ラミネート5は、濾過チャンバ130の下方壁を形成し、かつ入口チャンバ26および円筒状漏斗40をシールする。ただし、ラミネート5と注ぎ口43の下方縁部との間には、調合前に小さな隙間123が存在する。ラミネート5の材料特性に応じて、熱および超音波溶着などの様々な溶着方法が使用可能である。
【0059】
有利なことに、外側部材2とラミネート5との間に内側部材3がある。この内側部材3は、ポリプロピレンなどの比較的硬い材料で形成する。これにより、内側部材3は、カートリッジ1が圧縮されてもラミネート5と外側部材2との間のスペースを保つように作用する荷重受け部材となる。使用時にカートリッジ1が受ける圧縮荷重は、130から280Nとすることが好ましい。この圧縮力は、カートリッジが内部加圧下で破損することを防ぐ作用をすると同時に、内側部材3および外側部材2を互いに寄せる役割を果たす。これにより、確実に、カートリッジ1内の通路および口部の内側寸法は固定され、カートリッジ1が加圧されても変化しなくなる。
【0060】
カートリッジ1を使用するには、まず、これを飲料調製機内に挿入し、ラミネート5を穿孔して折り返す飲料調製機の穴開け部材によって、入口121および出口122を開ける。通常は水である圧力下の水媒体は、0.1から2.0バールの圧力でカートリッジ1に入って、入口121から入口チャンバ26内へ通る。ここから、水はスロット30を通過してマニホルド16を回り、複数のスロット17を介してカートリッジ1の濾過チャンバ130内に入る。この水は、濾過チャンバ130を通って径方向内側に押し入れられ、そこに収容されている飲料原料200と混ざり合う。この水は同時に、その飲料原料内を通って上側に押し上げられる。水が飲料原料内を通過することで形成される飲料は、フィルタ4および濾過口部55を通過して、環状フレーム41の上方に位置する通路57内に入る。フィルタ4をスポーク53にシールし、リム51を外側部材2に溶着することは、短絡がなくて、飲料の全てがフィルタ4を通過することを確実なものとする。
【0061】
次に、この飲料は、ウェブ54間に形成された径方向通路57に沿って下向きに流動し、開口56を通過して円筒状漏斗40内に入る。この飲料は、チャネル50に沿って支持ウェブ47間を通過し、注ぎ口43から下の出口44に落ち、これにより、この飲料はカップなどの入れ物内に注がれる。
【0062】
好ましくは、飲料調製機に空気パージ性能を備えて、操作サイクルの終了時に圧縮空気をカートリッジ1内に押し入れることにより、残留飲料をその入れ物内に流し出す。
【0063】
次に、図12から図18を参照しながら、基本情報として第2の型式のカートリッジ1について説明する。第2の型式のカートリッジ1は、クレマとして知られる細かい気泡の泡立ちを有する飲料を生成することが望ましい、焙煎および挽き作業を施したコーヒーなどのエスプレッソ型生成物の調合に使用するように、特に設計されたものである。第2の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第1の型式と第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0064】
外側部材2は、図1から図6に示される第1の型式のカートリッジ1と同様の構造を持つ。
【0065】
内側部材3の環状フレーム41は、第1の型式のものと同じである。また、フィルタ4は、濾過口部55をカバーするように、環状フレーム41上に配置される。円筒状漏斗40の外側チューブ42も前述したとおりである。ただし、第2の型式の内側部材2には、第1の型式の場合と比較していくつか相違点がある。図16に示すように、注ぎ口43に、出口44から注ぎ口43に向けて一部延出する仕切り65が設けられている。この仕切り65は、飲料が注ぎ口43を出る際に、しぶきの飛ばし、および/またははね散らしの防止に役立つ。注ぎ口43のプロファイルも異なっており、チューブ43の上方端部近傍で明確な屈曲部66を備える階段状プロファイルを含む。
【0066】
リム67は、外側チューブ42と注ぎ口43とを接合する環状フランジ47から、直立して設けられている。リム67は入口45から注ぎ口43までを取り囲み、リム67と外側チューブ42の上方部分との間に環状チャネル69を形成する。リム67には、内向きの肩68が設けられている。リム67の周囲の一箇所に、口部70がスロットの形態で設けられており、このスロットは、図12および図13において最もよく分かるように、リム67の上方縁部から、肩68の高さよりわずかに下の箇所にまで延在する。このスロットの幅は0.64mmである。
【0067】
図16および図17に示すように、環状フランジ47に、口部70に対して周方向に位置合わせされた空気入口71を設ける。この空気入口71は、フランジ47の上方箇所と、外側チューブ42と注ぎ口43との間のフランジ47の下方の孔スペースと、を流通させるように、フランジ47を貫通する口部を含む。好ましくは、図示のように、空気入口71は、上方略切頭円錐形部分73と下方円筒状部分72とを含む。空気入口71は通常、ピンなどの成形工具により形成される。空気入口71を先細りプロファイルにすると、成型工具を成型部品から取り出しやすくなる。空気入口71に近位である外側チューブ42の壁は、空気入口71から注ぎ口43の入口45へとつながるシュート75を形成する形状とする。図17に示すように、空気入口71とシュート75との間に斜めの肩74が形成されており、スロット70から噴射される飲料が、空気入口71のごく近位にあるフランジ47の上面を直接汚さないようにしている。
【0068】
第2の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様である。しかし、いくつかの相違点もある。図18に示すように、円筒状延出部18の第3の部分21は、支持ウェブに対してではなく、支持リム67内に納まる。第2の部分20と第3の部分21との間に位置する円筒状延出部18の肩32は、内側部材3の支持リム67に上方縁部に当たる。このようにして、内側部材3と、円筒状延出部18と支持リム67との間の面シールを含む外側部材2と、の間に、界面ゾーン124が形成され、それはカートリッジ1の周囲のほぼ全体に延在する。ただし、支持リム67内のスロット70が支持リム67を貫通して肩68のわずか下方の箇所まで下向きに延在するため、円筒状延出部18と支持リム67との間のシールは流体密封ではない。したがって、円筒状延出部18と支持リム67との間の界面嵌合は、図18において最もよく分かるように、スロット70を口部128内へ変形させて、環状チャネル69と注ぎ口43との間を気体および液体連通させる。この口部は通常、その幅が0.64mm、長さが0.69mmである。
【0069】
第2の型式のカートリッジ1で飲料を調合する操作は、第1の型式と同様であるが、いくつかの点で異なる。径方向通路57内の飲料は、ウェブ54間に形成された通路57を下向きに流動して、開口56から円筒状漏斗40の環状チャネル69内に入る。環状チャネル69内に入った後、この飲料は、濾過チャンバ130および通路57内に集まる飲料の背圧により、圧力下で口部128から押出される。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部によって形成される膨張チャンバ内に押出される。図18に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を通して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて出口44に集まり、ここで飲料がカップなどの入れ物内に注出され、気泡が所望のクレマとなる。したがって、口部128および空気入口71が共に、空気を飲料内に取り込むように作用するエダクタ(eductor)となる。このエダクタ内への飲料の流動は、圧力損失を低減するようにできる限り滑らかに保たなければならない。都合よく、エダクタの壁部を凹形に製造して、「壁面効果」摩擦による損失を低減しなければならない。口部128の寸法公差は小さい。好ましくは、この口部サイズを0.02mm2前後に定める。毛状物、繊維または他の表面凹凸をエダクタ内、またはエダクタの出口近傍に設けて、空気の取り込み量を増加させることが分かっている有効断面積を増加させてもよい。
【0070】
次に、基本情報として第3の型式のカートリッジ1について説明し、これを図19から図29に示す。第3の型式のカートリッジ1は、溶解性生成物の調合に使用するように特に設計されたものであり、それは、粉末、液体、シロップ、ゲルまたはこれに類似の形態でよい。この溶解性生成物は、使用時に、カートリッジ1内を水などの水媒体が通過すると、その水媒体によって溶解され、または水媒体内に懸濁液を形成する。飲料の例として、ココア、コーヒー、乳、茶、スープ、または他の、水を加えて元に戻す生成物や水溶解性生成物が挙げられる。第3の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1および第2の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第3の型式と、第1の型式および第2の型式と、の間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0071】
第1および第2の型式の外側部材2と比較すると、図20に示すように、第3の型式の外側部材2における中空で内向きの円筒状延出部18の直径は、全体として大きくなっている。具体的に、第1の部分19の直径は、第1および第2の型式の外側部材2では13.2mmであったところが、通常16から18mmである。さらに、第1の部分19には、図20において最もよく分かるように、凸状外面19aすなわちバルジが設けられている。このバルジの機能については以下で説明する。しかし、カートリッジ1のうち、第3の部分21の直径は同じであるため、肩32の面積は、この第3の型式のカートリッジ1では広くなっている。通常、カートリッジ1の容積は、組み立て時で32.5ml±20%である。
【0072】
環状壁13の下方端部に設けるスロットの数および位置もまた異なっている。3から5本のスロットを設ける。図23に示すように、この実施形態では、4本のスロット36が等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。このスロット36は、第1および第2の型式のカートリッジ1の場合よりもわずかに幅広であり、0.35から0.45mm、好ましくは、0.4mm幅である。
【0073】
他の点において、カートリッジ1の外側部材2はいずれも同じである。
【0074】
内側部材3の円筒状漏斗40の構造は、第1の型式のカートリッジ1と同じであり、外側チューブ42、注ぎ口45、環状フランジ47、および支持ウェブ49が設けられている。唯一の相違点は、注ぎ口45であり、これは上方略切頭円錐形部分92と下方円筒状部分93とを備える形状となっている。
【0075】
第1および第2の型式と比較すると、図24から図28に示すように、環状フレーム41はスカート部分80に置き換えられており、それは、円筒状漏斗40を取り囲み、かつ環状フランジ47またはその近傍に円筒状漏斗40を結合する8本の径方向ストラット(struts)87によって、円筒状漏斗40に接続されている。このスカート部分80からは、円筒状の延出部81がストラット87から上向きに延出して、上面が開いたチャンバ90を形成している。円筒状延出部81の上方リム91は、図26に示すように、内向きプロファイルを有する。スカート部分80の環状壁82は、ストラット87から下向きに延在して、スカート部分80と外側チューブ42との間に環状チャネル86を形成している。
【0076】
環状壁82は、その下方端部に、長軸Xに垂直に位置する外側フランジ83を含んでいる。リム84は、フランジ83の下面から下向きに垂れ下がり、リム84に沿って周方向に等間隔の5個の口部85を含む。したがって、リム84の下方は、城砦型プロファイルとなっている。
【0077】
各ストラット87間に口部89を設けることにより、チャンバ90と環状チャネル86との間を連通させている。
【0078】
第3の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様であるが、いくつかの相違点もある。図29に示すように、外側部材2と内側部材3は互いに溶着されるのではなく、互いに押し嵌めされて、スナップ嵌合構造により保持される。この2つの部材の接合時に、内向き円筒状延出部18は、スカート部分80の上方円筒状延出部81の内側に受けられる。内側部材3は、円筒状延出部18における第1の部分19の凸状外表面19aが上方円筒状延出部81の内向きリム91と摩擦係合することにより、外側部材2内に保持される。内側部材3が外側部材2内に配置された状態になると、スカート部分80の外側に混合チャンバ134が形成される。この混合チャンバ134は、調合前の飲料原料200を収容する。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることに留意されたい。内側部材3および外側部材2を相対的にどのように位置決めしても、4つの入口36および5つの口部85を用いることにより確実にこの入口と口部との間に位置のずれが発生するため、この2つの部品の互いの径方向位置を組み立て時に決定または固定しなくてもよい。
【0079】
1種類または複数種類の飲料原料をカートリッジの混合チャンバ134内に包装する。この混合チャンバ134内における飲料原料の包装密度は、所望どおりに変更可能である。
【0080】
次に、第1および第2の型式において上述したように、ラミネート5を内側部材3および外側部材2に取付ける。
【0081】
使用時には、第1および第2の形式のカートリッジと同様に、水が4本のスロット36を通って混合チャンバ134に入る。この水が混合チャンバを通して径方向内側に押し入れられ、そこに収容されている飲料原料と混ざり合う。この水の中に生成物が溶解または混合されて、混合チャンバ134内に飲料が形成され、それは、混合チャンバ134内の飲料および水の背圧により、口部85から環状チャネル86内に追い込まれる。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることにより、水の噴射が入口スロット36から径方向に直接口部85内に入ることは、まず混合チャンバ134内で循環が発生しない限り、あり得ない。このため、生成物の溶解または混合の程度および安定性は大幅に高まる。飲料は、環状チャネル86内を上方向に押し上げられ、ストラット87間の口部89を通ってチャンバ90内に入る。その飲料は、チャンバ90から支持ウェブ49間の入口45を通って注ぎ口43に入り、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれる。このカートリッジは、粘稠液またはゲルの形態である飲料原料に適用できることが分かる。一用途において、カートリッジ1内には、環境温度にて粘性が1700〜3900mPa、0℃にて5000〜10000mPaであり、屈折固形分(refractive solids)が67ブリックス度±3である液状チョコレート原料が入れられる。別の用途において、カートリッジ1内には、環境温度にて粘性が70〜2000mPa、0℃にて80〜5000mPaであり、全固形分量が40から70%である液体コーヒーが入れられる。この液状コーヒー原料に、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%の重炭酸ナトリウムを含有させることができる。重炭酸ナトリウムは、コーヒーのpHレベルを4.8以下に維持して、コーヒーを充填したカートリッジの貯蔵寿命を最長12ヶ月にできるように作用する。
【0082】
本発明を具体化する第4の型式のカートリッジ1を図30から図34に示す。第4の型式のカートリッジ1は、濃縮型液状乳などの液状生成物の調合に用いるように特に設計されたものである。第4の型式のカートリッジ1に含まれる特徴は、その多くが第1から第3の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第4の型式と第1から第3の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0083】
外側部材2は、第3の型式のカートリッジ1の、図19から図23に示すものと同じである。
【0084】
内側部材3の円筒状漏斗40は、第2の型式のカートリッジ1に類似しているが、いくつかの点で異なる。図30に示すように、注ぎ口43は、上方略切頭円錐部分106と下方円筒状部分107とを含む形状である。この注ぎ口43の内面には3つの軸方向リブ105が設けられて、調合された飲料を下向きに出口44に方向付けて、注がれた飲料の注ぎ口内での旋回を防ぐ。したがって、リブ105はバッフルとして作用する。第2の型式のカートリッジ1と同様に、空気入口71が環状フランジ47を貫通して設けられている。しかし、空気入口71の下のシュート75は、第2の型式の場合より細長くなっている。
【0085】
スカート部分80は、上述した第3の型式のカートリッジ1に示したものと同様に設けられている。5から12個の口部85がリム84内に設けられている。第3の型式のカートリッジ1では5個であったが、通常、10個の口部を設ける。
【0086】
スカート部分80のフランジ83から、これと一体となって延出する環状ボウル100が設けられている。この環状ボウル100は、上方口104を上向きに開いたフレア型本体101を含む。図30および図31に示す4個の送り口部103は、この本体101内において、スカート部分80と接合するボウル100の下方端部またはその近傍に配置されている。好ましくは、この送り口部をボウル100の周囲に等間隔で配置する。ボウル100は、カートリッジが組み立てられたときに、ボウル100とラミネート5との間にはっきり区別された間隙ができるように、その長手方向の途中でスカート部分80に接合している。したがって、口部85は、ボウル100の高さより低いところに位置している。図34から分かるように、カートリッジ1が組み立てられて充填されると、ボウル100は、その中に一定の割合の液体飲料原料を収容し、その割合の飲料原料を口部85から有効に分割する。
【0087】
ラミネート5は、これまでの実施形態で説明したタイプのものである。
【0088】
第4の型式のカートリッジ1の組み立て手順は、第3の型式の手順と同様である。
【0089】
第4の型式のカートリッジ1の操作は、第3の型式の操作と同様である。第1から第3の形式のカートリッジと同様に、水がカートリッジ1および混合チャンバ134に入る。ここで、上述したように、水が液体生成物と混ざり合って、これを希釈し、ボウル100の下の口部85を通って出口44に向けて押出される。図34に示すように、環状ボウル100に当初収容される一定の割合の液体生成物は、混合チャンバ134に入った水によりすぐに希釈されるわけではない。混合チャンバ134の下方部分にある希釈された液体生成物は、上方口104から環状ボウル100内に押し上げられるのではなく、口部85から出て行くことになる。したがって、環状ボウル100内の液体生成物は、混合チャンバ134の下方部分にある生成物と比較して、操作サイクルの最初の段階ではまだ比較的濃縮状態を保っている。環状ボウル100内の液体生成物は、ボウル100の下で口部85を通って混合チャンバ134を出る生成物の流れの中へ、重力を受けて送り口部103から滴下される。環状ボウル100は、一定量の濃縮液体生成物を取り置いて、操作サイクル中、それを安定的に液体流路内に放出することにより、円筒状漏斗40に入る希釈済み液体生成物の濃度を平均化する作用をする。これは図46aに例示され、ここでは、およそ15秒の操作サイクル間において、全固形分含有量の割合として測定される乳の濃度を示す。線aはボウル100を設けた場合の濃度プロファイルを例示し、線bはボウル100を設けないカートリッジの場合を例示したものである。この図から分かるように、カップ100を設けた場合の濃度プロファイルの方が、操作サイクル中において均等であり、ボウル100を設けない場合に起こるような濃度の急激な大幅低下がない。この乳の初期濃度は通常、30から35%SSであり、サイクル終了時には、これが10%SSとなる。これによる希釈率はおよそ3倍であるが、本発明では、1倍から6倍までの希釈率が可能である。他の液体飲料原料の場合には、この濃度を変更することができる。例えば、液状チョコレートの場合には、初期濃度がおよそ67%SSであり、サイクル終了時には、これが12から15%SSとなる。これによる希釈率(調合飲料内における飲料原料に対する水媒体の比率)はおよそ5倍であるが、本発明では2倍から10倍までの希釈率が可能である。液体コーヒーの場合、初期濃度はおよそ40から67%SSであり、調合終了時には、これが1から2%SSとなる。これによる希釈率はおよそ20倍から70倍であるが、本発明では10倍から100倍までの希釈率が可能である。
【0090】
こうした飲料は、圧力下で押出されて、濾過チャンバ134およびチャンバ90に収集される飲料の背圧により、環状チャネル86から口部128を通過する。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部によって形成される膨張チャンバ内に押出される。図34に示すように、この飲料の噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料の噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくるとカップなどの入れ物内に注がれ、気泡が所望の泡立った外観を形成する。
【0091】
有利なことに、内側部材3、外側部材2、ラミネート5、およびフィルタ4は、別個のコンポーネンツであって、個別には蛇行通路や細い隙間を含んでいないため、これらの全てを容易に殺菌消毒することができる。必要な通路が形成されるのは、殺菌消毒後に、これらのコンポーネンツを結合した時点である。これは、飲料原料が液状乳濃縮物などの乳原料を主原料とする生成物である場合に、特に重要である。
【0092】
飲料カートリッジの第4の実施形態は、液状乳などの濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物の調合に特に有利である。これまで、粉末状の乳生成物は小袋の形態で提供され、これを事前に調製した飲料に加えるようになっていた。しかし、カプチーノタイプ飲料の場合には、乳を泡立てる必要がある。これは、これまでは液状乳生成物に蒸気を通すことで実施されてきた。しかし、これには蒸気調合用設備が必要であるため、この飲料の調合に用いる機械のコストならびに複雑度が増してしまう。また、蒸気を使用すると、カートリッジ操作時に怪我を負う危険性も高まる。そこで本発明は、濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物を中に有する飲料カートリッジを提供する。乳生成物を濃縮した場合、新鮮な乳またはUHT乳と比較すると、特定容積の乳に対してより多くの量の泡が生成できることが分かっている。これを利用すれば、乳用カートリッジに必要なサイズが縮小される。新鮮な半脱脂乳は、およそ1.6%の脂肪分および10%の全固形分を含む。本発明による濃縮型液状乳調製物は、0.1から12%の脂肪分および25から40%の全固形分を含む。一典型的実施例では、この調製物は4%の脂肪分および30%の全固形分を含む。この濃縮型乳調製物は、以下に記載するように低圧調製機械による泡立てに適している。具体的には、この乳の泡立ては、上述した第4の実施形態のカートリッジを用いて、2バール未満、好ましくはおよそ1.5バールの圧力で行う。
【0093】
濃縮乳を泡立てることは、カプチーノおよびミルクセーキなどの飲料に特に都合がよい。好ましくは、口部128から空気入口71上の乳の通過、およびボウル100の任意の使用は、乳の40%を超える量、好ましくは70%を超える量を泡立てを可能とする。液状ココアの場合、70%を超える量の泡立てが可能である。液状コーヒーの場合、70%を超える量の泡立てが可能である。泡沫性レベルは、調合した液体飲料原料の容積に対して生成された泡沫容積の比率として測定される。例えば、138.3mlの飲料が調合され、そのうち58.3mlが泡沫となった場合、泡沫性は、[58.3/(138.3−58.3)]*100=72.9%となる。この乳(および他の液体原料)の泡沫性は、図46bで分かるように、ボウル100を設けることで高められる。ボウル100を設けて調合した乳の泡沫性(線a)は、ボウルを設けずに調合した乳の泡沫性(線b)よりも高くなっている。これは、乳の泡沫性が乳の濃度に正比例し、図46bに示すように、ボウル100が操作サイクルの大半で乳の濃度を高く維持するためである。また、乳の泡沫性は、図46cに示すように、水媒体の温度に正比例することも知られている。したがって、水媒体が最も高温である操作サイクルの終了近くまで、より多くの乳がカートリッジ内に残るため、ボウル100を設けると有利となる。これにより、さらに泡沫性が改良される。
【0094】
第4の実施形態のカートリッジも液状コーヒー生成物の調合に有利である。
【0095】
本発明の実施形態の飲料カートリッジは、従来技術によるカートリッジと比較して、煎出した飲料の安定性の向上を有利にもたらすことが分かっている。以下に示す表1を参照すると、そこには、焙煎および挽き作業を施したコーヒーを収容するカートリッジAおよびカートリッジBのそれぞれについて、20試料を煎出して得られた収率(brew yields)が示されている。カートリッジAは、本発明の第1の実施形態による飲料カートリッジである。カートリッジBは、本願出願人の特許文献1に記載された従来技術による飲料カートリッジである。煎出した飲料の屈折率をブリックス度で測定し、これを、標準表および式を用いて溶解性固形分の比率(%SS)に変換する。以下の実施例において、
%SS=0.7774*(ブリックス度値)+0.0569
%収率=(%SS*煎出量(g))/(100*コーヒー重量(g))
である。
【0096】
【表1−1】
【0097】
【表1−2】
【0098】
上記データについてt検定統計分析(t-test statistical analysis)を行ったところ、以下の結果を得た。
【0099】
【表2】
【0100】
この分析から、煎出濃さに匹敵する%収率の安定性は、標準偏差0.88%の本発明によるカートリッジが標準偏差2.24%の従来技術によるカートリッジと比較して、より大幅に高かった(95%の信頼水準)ことが分かる。これは、本発明によるカートリッジにより煎出した飲料の方が再現可能かつ均一であるということである。これは、同じ飲料を何度も味わいたく、その煎出濃さを恣意に変更したくない消費者に好ましい。
【0101】
上述したカートリッジの材料にバリアコーティングを施して、酸素および/または湿気、および/または他の汚染侵入物に対する防御性を向上させてもよい。このバリアコーティングは、さらに、飲料原料がカートリッジから漏れることに対する防御性を向上させ、かつ/または飲料原料に悪影響を与えかねないカートリッジ材料からの抽出物滲出の程度を抑えることができる。バリアコーティングの材料は、PET、ポリアミド、EVOH、PVDCまたは金属化材料からなる群から選択することができる。バリアコーティングの適用にはいくつかの機構が利用可能であり、その例として、これらに限定するものではないが、蒸着、真空蒸着、プラズマコーティング、共押出加工、インモールドラベリング、および二段/多段成形が挙げられる。
【0102】
上述した飲料カートリッジを用いる本発明と併用される飲料調製機201を図35から図45に示す。飲料調製機201は主に、ウォータタンク220を備える筐体210と、ウォータヒータ225と、ウォータポンプ230と、空気圧縮機235と、制御プロセッサと、ユーザインターフェース240と、カートリッジヘッド250と、を含む。カートリッジヘッド250はさらに、主に、使用時に飲料カートリッジ1を保持するカートリッジホルダ251と、カートリッジ識別手段252と、使用時に飲料カートリッジ1に入口121および出口122を形成する入口穿孔器253および出口穿孔器および254と、を含む。
【0103】
筐体210は、機械201の他のコンポーネンツを定位置に収容しかつ保持する。この筐体210の全体または一部は、好ましくは、ABSなどの頑丈なプラスチック材料で製造する。別法として、筐体210の全体または一部は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料で製造することも可能である。筐体210は、好ましくは、前方半体211および後方半体212を有するクラムシェル設計(clam-shell design)を含み、それは、組み立て時に機械201のコンポーネンツを嵌め合わせるために利用でき、その後に互いに接合して筐体210の内部213を形成することができる。後方半体212には、ウォータタンク220を装着するための凹部214が設けられている。筐体210は、別個のシャシを必要とすることなく機械201のコンポーネンツを定位置に保持できるように、爪、当たり、ボスおよびネジつき部分などの手段を備えて形成されている。このため、機械201の全体のコストおよび重量が削減されている。筐体210の基部215には、好ましくは、安定して機械を載せるための脚を設ける。別法として、基部215自体を安定な支持台となる形状にしてもよい。
【0104】
筐体210の前方半体211は、飲料の注出が行われる注出ステーション270を含む。この注出ステーション270は入れ物スタンド271を含み、それはドリップトレイ272を形成する中空内部を有する。この入れ物スタンドの上面273には、入れ物が配置される格子274が備えられている。ドリップトレイ272は、収集した水分を簡単に空にできるように、筐体210から着脱自在となっている。凹部275は、入れ物スタンド271の上方における筐体210の前方半分に形成されて、その寸法の入れ物を収容できるようになっている。
【0105】
カートリッジヘッド250は、図35および図36に示すように、入れ物スタンドの上方において筐体210の頂部に向けて配置されている。好ましくは、カートリッジヘッド250に対する格子274の高さは、異なる寸法の入れ物を収容するために調節できるようにする。調合した飲料が入れ物に接触する前に落ちる必要のある距離を最小限にするために、この入れ物がカートリッジヘッド250にできるだけ近くなり、同時に、その入れ物を注出ステーション270に挿入し、そこから取り出すことができるようにすることが好ましい。これにより、飲料の噴霧および飛び散りを最小限に抑え、混入させる気泡がある場合は、その損失量を最小限に抑えることができる。好ましくは、70mmから110mmの高さの入れ物を格子274とカートリッジヘッド250との間に挿入できるようにする。
【0106】
機械ユーザインターフェース240は、筐体210の正面に配置されており、開始/終了ボタン241と、複数の状況表示器243〜236と、を含む。
【0107】
状況表示器243〜246は、好ましくは、機械201の準備状況を表示する発光ダイオード(LED)243と、機械201の操作にエラーが発生した場合にそれを表示するLED244と、機械201が手動モードで操作されているか自動モードで操作されているかを表示する1個または複数個のLED245〜246と、を含む。LED243〜246は、機械201の状況に応じて、一定の輝度で照明するように、間欠的に点滅するように、またはこの両方ができるように調節することができる。LED243〜246の色は、緑、赤、および黄など様々でよい。
【0108】
開始/終了ボタン241は、操作サイクルの始動を制御するものであり、手動操作による押しボタン、スイッチ、またはこれに類似したものである。
【0109】
容積調整コントロールを設けて、他の操作特性を変更することなく、機械201の利用者が、送出される飲料の容積を手動で調節できるようにしてもよい。好ましくは、この容積調整コントロールにより、容積の20%増または20%減を調節できるようにする。この容積調整コントロールは、回転ノブ、リニアスライダ、増量ボタンおよび減量ボタン付のデジタル読出し(digital readout)、またはこれに類似したものとすることができる。より一般には、利用者が開始/終了ボタン241を操作することで容積を制御する。
【0110】
手動電源スイッチ(図示せず)を機械201に設けてもよい。別法として、主電源に電源プラグを差し込んだり、または主電源から電源プラグを抜くことにより、単純に電源を制御することもできる。
【0111】
ウォータタンク220は筐体210の後方に配置されて、筐体210の後方半体212に接続される。ウォータタンク220は略円筒状の本体221を含み、それは、外観上の理由から所望に応じて直円であっても錐台であってもよい。このタンクは、これに水を充填するための入口を含み、それは、手動で着脱自在な蓋222によって使用時に閉じられる。出口はタンクの下方端部に向けて設けられ、これはウォータポンプ230と連通する。ウォータタンク220は、透明または半透明材料で製造して、タンクに残っている水の量を消費者が確認できるようにすることができる。別法として、ウォータタンク220を不透明材料で製造して、確認窓をそこに設けることも可能である。さらに、または上記の代わりに、ウォータタンク220にローレベルセンサを設けてもよく、それは、タンク内の水位が予め選択したレベルまで下がった時に、ウォータポンプ230の動作を止めて、LEDなどの警告表示器を任意に作動させる。ウォータタンク220の内側容量は、好ましくは、およそ1.5リットルとする。
【0112】
ウォータポンプ230は、図43に概略を示すように、ウォータタンク220とウォータヒータ225との間で作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。このポンプにより、2.5バールの最大圧力にて900ml/分の水の最大流速が得られる。好ましくは、通常の使用時には、この圧力を2バールに抑える。ポンプへの電力供給を周期的に切ることにより、機械201を通る水の流速をポンプの最大流速の一定割合にするように、制御プロセッサによって制御することができる。好ましくは、このポンプは、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のいずれかで駆動できるようにする。汲み上げられる水の容積の正確さは、好ましくは±5%として、調合される飲料の最終容積の正確さを±5%とする。適したポンプは、Ulka S.r.l.(イタリア、パヴィア)製のEvolutionalEP8ポンプである。好ましくは、流量センサ(図示せず)をウォータポンプ230の上流または下流の流動ライン内に設ける。好ましくは、この流量センサは回転センサとする。
【0113】
ウォータヒータ225は、筐体210の内部に配置される。このヒータ225は、電力定格が1550Wであり、ウォータポンプ230から受け取った水を1分以内におよそ20℃の開始温度から約85℃の操作温度にまで加熱することができる。好ましくは、1操作サイクルの終了時からヒータ225が次の操作サイクルを開始できるようになるまでの休止時間は、10秒未満とする。このヒータは、操作サイクル時に、選択した温度を±2℃で維持する。以下で説明するように、操作サイクル用の水は、83℃または93℃でカートリッジヘッド250に送出することができる。ヒータ225は、この送出温度を通常の85℃から、83℃または93℃へと迅速に調節することができる。ヒータ225は、温度が98℃を超えるとヒータを停止させる温度過昇遮断器を含む。ヒータ225から出た水は、三方弁を介してカートリッジヘッド250およびカートリッジ1に送られる。この水の流動圧力が許容範囲内であれば、水はカートリッジ1に到達する。圧力が予め定められた限界未満または限界を超えていた場合、その水は三方弁によりドリップトレイ回収容器270内に送られる。
【0114】
空気圧縮機235は、一方向弁を介してカートリッジヘッド250に作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。この空気圧縮機235により、1.0バールにて500ml/分の空気の最大流速が得られる。使用時に、有効容積35mlは2.0バールに加圧される。好ましくは、空気圧縮機235により、高速(または最大速度)および低速の2通りの流速を提供できるようにする。
【0115】
飲料調製機201の制御プロセッサは、処理モジュールおよびメモリを含む。この制御プロセッサは、ウォータヒータ225、ウォータポンプ230、空気圧縮機235、およびユーザインターフェース240に作用的に接続されて、これらの動作を制御する。
【0116】
制御プロセッサのメモリは、飲料調製機201の1種類または複数種類の操作パラメータに対する1つまたは複数の変数を含む。例示した実施形態では、この操作パラメータは、操作段階において飲料カートリッジ1を通過する水の温度、飲料カートリッジ1を装填する速度、浸漬ステップの有無、調合される飲料の全容積、注出段階での水の流速、および清浄段階の流速および時間である。
【0117】
操作パラメータに対する変数は、メモリに格納される。カートリッジ1は、その表面上または内側に、そのカートリッジ1における飲料の調合を最適化するために必要な操作パラメータを表すコードを含む。このコードは、二進法による形式であり、制御プロセッサのメモリに格納される変数に対応する複数のデータビットを含む。表3は、上述した操作パラメータに対する必要な変数を表すために、データの13ビットをどのように使用できるかを例示したものである。
【0118】
【表3】
【0119】
カートリッジ1上またはカートリッジ1内のコードは通常、エラーチェック用に1つまたは複数の余分なデータを含む。一実施例において、16ビットコードが備えられる。例えば、表3に挙げた変数を用いた場合、コード「1000100011110」を与えられたカートリッジは、次の操作パラメータを有することになる。
【0120】
10 水の温度は83℃
00 浸漬を伴う高速装填
1000 調合される飲料容積は150ml
111 流速は100%
10 高流速空気清浄/短時間
【0121】
したがって、以前の飲料調製機と異なり、この制御プロセッサのメモリは、カートリッジのタイプに基づいた飲料カートリッジに対する操作指示、すなわちコーヒーカートリッジに対する指示、ココアカートリッジに対する指示、茶カートリッジに対する指示などを格納する訳ではない。この制御プロセッサのメモリが格納するのは、操作サイクルの個々の操作パラメータを調整するための変数である。これにはいくつかの利点がある。第1に、調合サイクルの調節がより一層可能となる。例えば、全てのタイプのコーヒーに同じパラメータを用いることに比べて、等級や配合の異なるコーヒーに対してわずかに異なるパラメータを使用することができる。個々のパラメータではなくカートリッジタイプ別の指示を格納することに頼っていたこれまでのコーディング解法は、コーディング媒体および制御プロセッサ内で利用可能な格納スペースを速く消費してしまうため、類似した飲料タイプに対する操作サイクルにおけるこうした微妙な違いには不適切である。第2に、本発明のコーディング方法では、新たな飲料カートリッジ1の操作サイクルに対する操作パラメータが飲料調製機201の販売後に決定される場合であっても、この既存の飲料調製機において新たな飲料カートリッジタイプを使用できる。これは、飲料調製機201の制御プロセッサが、その飲料が新たなタイプであることを識別する必要がないためである。本操作サイクルの操作パラメータは、飲料タイプを直接参照せずに設定されるものである。したがって、本発明によるコーディング方法は、新たな飲料タイプに対して、飲料調製機の優れた後方互換性を提供するものである。これに対して、これまでの機械の場合、製造者は、市場にある機械により特定される既存の調合サイクルの1つを用いて、新たな飲料タイプを調合するように制限されている。
【0122】
カートリッジヘッド250を図39から図42に示す。カートリッジヘッド250のカートリッジホルダ251は、固定された下方部分255と、回転自在な上方部分256と、固定された下方部分255と回転自在な上方部分256との間に配置された枢動自在なカートリッジ取付台257と、を含む。上方部分256、下方部分255、およびカートリッジ取付台257は、共通のヒンジ軸258を中心に回転する。図39から図42は、便宜上、機械201のいくつかのコンポーネンツを省いた状態でカートリッジホルダ251を示すものである。
【0123】
回転自在な上方部分256および枢動自在なカートリッジ取付台257は、固定された下方部分255に対して、クランプ機構280により移動される。このクランプ機構280は、第1および第2の部材または部分281および282を有するクランプレバーを含む。クランプレバーの第1の部分281はU字型アームを含み、それは、カートリッジホルダ251の両側に1つずつ位置する2つの第1の枢支点283で上方部分256に枢動自在に取付けられる。
【0124】
クランプレバーの第2の部分は、カートリッジホルダ251の両側に1本ずつ位置する2本のオーバーセンターアーム282を含み、それらは、下方部分255に固定された上方部分256を連結しているヒンジ軸258上に位置する第2の枢支点285にて、上方部分256にそれぞれ枢動自在に取付けられる。各オーバーセンターアーム282は、円筒部282a、ステム282b、および弾性スリーブ282cを含む往復部材である。円筒部282aは内腔を有し、その一端にてヒンジ軸258に回転自在に取付けられている。ステム282bの第1の端部は、円筒部282aの内腔内に摺動自在に入れられている。ステム282bの反対側端部は、第3の枢支点286にてU字型アーム281に回転自在に取付けられている。第3の枢支点286は、上方部分256および下方部分255に接続されておらず、上方部分256および下方部分255に対して自由に移動可能である。弾性スリーブ282cは、ステム282bの外側に取付けられており、使用時に、円筒部282aおよびステム282bの当たり面の間に延在する。弾性スリーブ282cは、オーバーセンターアーム282の縮小時にそれを吸収すると同時に、延出構造へと付勢するものである。これにより、ステム282bが円筒部282a内にて相対運動すると、第3の枢支点286がヒンジ軸258に近づく方向および離れる方向へと移動することができる。弾性スリーブ282cは、好ましくはシリコーンで形成する。
【0125】
U字型アーム281は、カートリッジホルダ251の正面の周囲に延在しており、下向きに垂れ下がった2つのフック部材287を含む。このフック部材は、カートリッジホルダ251の片側に1つずつ位置し、それぞれは、ヒンジ軸258に向くカム表面288を含んでいる。カートリッジホルダ251の固定された下方部分255には、2つのボス259または爪が設けられており、それらは、正面縁部260またはその近傍に下方部分255の片側に1つずつ位置し、フック部材287にほぼ位置合わせされている。
【0126】
図39に示すように、U字型アーム281は、アームと一体の人間工学的なハンドグリップおよびフック部材287を含めて、ワンピースのプラスチック成形物から形成することができる。
【0127】
カートリッジ取付台257は、カートリッジホルダ251の下方部分255と上方部分256との間に、回転自在に取付けられている。取付台257には、実質的に円形である凹部290が設けられており、それは、使用時に飲料カートリッジ1を受容する。凹部290は、飲料カートリッジ1のハンドル部分24を収容すると同時に、カートリッジホルダ251内における飲料カートリッジ1の回転を防止するように作用する不規則形状部291を含む。カートリッジ取付台257は、図41に示すように、開位置において、固定された下方部分255と接触しない位置に付勢されるように、固定された下方部分255に対して跳ね上げられ、これによりカートリッジ取付台257は、出口および入口穿孔部材254、253と接触しない位置に移動される。カートリッジ取付台257には、出口および入口穿孔部材253、254を中に受け入れる口部292と、カートリッジ取付台257が閉位置に移動したときにカートリッジを識別する手段252のヘッド300と、が設けられている。
【0128】
上方部分255は略円形の本体310を含み、この本体は円形ののぞき窓312を収容しており、それを通して、操作サイクル時に消費者が飲料カートリッジ1を見ることができ、さらにカートリッジ1が機械201に搭載されていることを目で確認することができる。のぞき窓312は、下向きリム311を有するカップ形状であり、それは、カートリッジホルダ251が閉じられた時に、飲料カートリッジ1のフランジ35と係合し、かつこれを下方部分256に対して把持する。同時に、この窓312は、カートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。のぞき窓312と円形本体310との間にウェーブスプリング(図示せず)が配置されており、これにより、円形本体310に対して、のぞき窓312を軸方向にわずかに移動させることができる。リム311がフランジ35にかける圧力、および窓312が閉じた頂部11にかける圧力により、カートリッジ1とカートリッジホルダ251との間に流体密なシールが確実に形成される。
【0129】
下方部分255は、入口穿孔器253および出口穿孔器254と、カートリッジ識別手段252のヘッド300と、を含む。入口穿孔器253は、使用時に飲料カートリッジ1のラミネート5を穿孔するための鋭利な端部241を有する中空の針のような管260を含む。図42に示すように、入口穿孔器253は、下方部分255内を通過してウォータヒータ225の出口導管263に接続された水導管262と流体連通している。出口穿孔器254は、本出願人の特許文献2および特許文献3に記載されている出口穿孔器と似たタイプであり、注ぎ口43よりも寸法の大きな円形またはD字型断面を有する開口円筒部264を含む。出口穿孔器254の上方端部の弓状部分265は、飲料カートリッジ1のラミネートを穿孔し、結果として切断するように鋸歯状となっている。残りの上方端部部分は、少なくとも鋸歯状の歯266の基部まで、円筒部の長手方向に切り取られて低くなっており、飲料がそこを通って調合される前に、切断したラミネート5を出口口部から離れた方向に折り曲げ、または引っ張るようになっている。出口穿孔器254は、注ぎ口43のラミネート5を外側から穿孔し、カートリッジ取付台257が閉位置に来ると、その注ぎ口43と注出漏斗40の外壁42との間の環帯内に納まる。出口穿孔器254は、切断されたラミネート105を環帯内に折り返す。これにより、出口穿孔器254も切断されたラミネート105も、注出される飲料にぶつからない位置に保持される。
【0130】
出口穿孔器254は、周囲よりも0.5mm隆起している出張り254aによって囲まれている。
【0131】
有利なことに、出口穿孔器254が下方部分255に対して着脱自在となっているため、例えば食洗器などで全体を洗浄することができる。着脱自在な出口穿孔器254を装着すると、これを受けるのは下方部分255の凹部267である。入口穿孔器253および/または出口穿孔器254は、ステンレス鋼などの金属またはプラスチック材料で製造することができる。有利なことに、非金属材料で穿孔および切断できるラミネート5を使用した場合には、プラスチックで製造した切削加工要素を使用することができる。したがって、穿孔器253、254をあまり鋭利ではなく製造して、消費者に怪我を負わせる危険性を低めることができる。さらに、プラスチック製穿孔要素は、さびにくい。好ましくは、入口穿孔器253および出口穿孔器254は、下方部分255に対して着脱自在な単一の一体ユニットとして形成する。
【0132】
使用時、カートリッジホルダ251の上方部分256は、図36に示すように、垂直または垂線に向けて方向付けられた開位置から、実質的に水平、かつカートリッジ取付台257と固定下方部分255に係合した状態に方向付けられる閉位置まで、移動可能である。クランプレバーの操作により、上方部分256は開位置から閉位置へと移動する。上方部分256を閉じるには、利用者は、U字型アーム281によりクランプレバーを掴み、これを下向きに下げる。これにより、上方部分256が回転して、まずカートリッジ取付台257において、のぞき窓312のリム311が飲料カートリッジ1のフランジ35に接触し、のぞき窓312自体がカートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。上方部分256をさらに回転させると、上方部分256およびカートリッジ取付台257が下向きに回転して、下方部分255に接触する。U字型アーム281をさらに回転させると、U字型アーム281が上方部分256および下方部分255に対して回転するため、カム表面288がボス259に被る状態で上方部分256のフック部材287が下方部分255のボス259に係合する。この最後の回転段階において、カートリッジ1は、カートリッジ取付台257とのぞき窓312との間に圧縮される。この結果、のぞき窓312は、ウェーブスプリングの付勢に対抗して、上方部分256の円形本体310に対して軸方向に移動する。この動作により、飲料カートリッジ1および飲料調製機の公差が吸収され、カートリッジに印加される圧縮力の量が確実に許容範囲内に保たれる。この機構の型締め力は、ウェーブスプリングの作用により弱められるため、カートリッジにかかる型締圧力は130〜280Nとなる。好ましくは、この力をおよそ200Nとする。約130N未満の力では十分なシールが得られず、約280Nを超える力になると、カートリッジ1のコンポーネンツの塑性破壊が起こる。カートリッジヘッドを閉じる間、カートリッジ1のラミネート5は、出口穿孔器254を取り囲む出張り254aに接触し始めながらぴんと張った状態になるため、円筒状漏斗を含む外側チューブ42の遠位端がフランジ35に対して0.5mm上向きに移動すると、ラミネート5が面外に撓む。この動作により、カートリッジに印加された圧縮力の大半は、荷重を受けた内側部材3を介してカートリッジ1の中央領域内へと確実に作用する。閉位置において、カートリッジ1は、のぞき窓312のリム311によりフランジ35に沿って固締され、のぞき窓312および出張り254aに接触することにより、カートリッジの閉じた頂部11と内側部材3の外側チューブ42との間にしっかり固締される。この型締め力が作用することにより、圧縮時のカートリッジ1の破損防止が強化され、確実に内側部材3および外側部材2が互いに十分に納まり合うため、内部加圧が作用している間でさえ、全ての内部通路および口部がその所期寸法を保つことができる。
【0133】
カートリッジホルダ251の第1の枢支点283と第2の枢支点285との間に、仮基準線を引くことができる。図41において分かるように、開位置では、第3の枢支点286は、固定された下方部分255に最も近い基準線側にある。上方部分256が閉位置に近づくにつれて、クランプレバーの第3の枢支点286は、第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線を越えて、固定された下方部分255から最も遠くの基準線の反対側に行く。したがって、U字型アーム281は、第1の安定位置から第2の安定位置へと「速動(snaps through)」することになる。この速動動作は、オーバーセンターアーム282を収縮させて、これにより弾性スリーブ282cを圧縮することにより対応するものである。一旦、第3の枢支点286が仮基準線を越えると、弾性スリーブ282cが復元するため、第3の枢支点286はさらに仮基準線から遠くへと移動し続ける。したがって、クランプレバーは双安定動作を有し、開位置または閉位置では安定であるが、第3の枢支点286が第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線上にある地点では不安定である。したがって、このクランプレバーの速動動作は積極的な閉鎖機構となり、クランプレバーの回転最終段階において確かな閉鎖作用を引き起こし、U字型アーム281および第2のアーム284の速動動作がフック部材287をしっかりボス259との係合状態に押し入れる。さらに、第3の枢支点286を戻して第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線に一致させるように、スリーブ282cを十分に圧縮するのに必要な力は最小限でよいため、弾性スリーブ282cは、上方部分256が再び開くことに対する抵抗をもたらす。有利なことに、フック部材287とボス259とが係合していることにより、クランプレバーを回転させない限り、上方部分と下方部分とを分離することはできない。これは、カートリッジヘッド250が内部加圧を受ける操作時に、カートリッジヘッド250が開かないようにするのに有用である。
【0134】
カートリッジ識別手段252の目的は、機械201に、挿入された飲料カートリッジ1のタイプを識別させ、それにしたがって1種類または複数種類の操作パラメータを調整させることである。典型的な実施形態において、カートリッジ識別手段252は、図45に示すように、飲料カートリッジ1のラミネート5にある印刷されたバーコード320を読取る光学式バーコードリーダーを含む。バーコード320は、対照的な色の複数本のバーで形成されている。好ましくは、このバーは、その対照を最も際立たせるために、白色背景に対する黒色とする。バーコード320は、公開されている標準に準拠したものでなくともよいが、EAN-13、UPC-A、またはインターリーフ2 of 5 (Interleaf 2 of 5)などのバーコード標準フォーマットを使用してもよい。光学式バーコードリーダーは、そのバーコード320を照明するための1つまたは複数のLED321と、バーコードの画像を取得するための焦点レンズ322と、取得した画像を表す電気信号を生成する電荷結合素子(CCD)323と、LEDおよびCCD用支持回路構成要素と、を含む。バーコードリーダーを収容する下方部分のスペースには限界がある。したがって、1枚または複数枚の鏡324を用いて、LED321からの光を、下方部分255内に配置されていない焦点レンズに反射してもよい。概略構造を図44aおよび図44bに示す。下方部分255は、飲料カートリッジ1上のバーコード320と同じサイズの口部326を含む。使用時おいて、生成された電気信号が信号処理ソフトウェアにより復号されると、その結果が制御プロセッサに送信される。このソフトウェアは、バーコードの読取りにエラーが含まれているかどうかを識別することができるものである。エラーメッセージが消費者に表示される前に、バーコード320を何回も再走査することができる。機械201がバーコードを読取れない場合、消費者は、手動モードの操作により、飲料カートリッジ1を使用して飲料を調合することができる。
【0135】
カートリッジヘッド250は、さらに、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを検知するためのカートリッジセンサを含む。
【0136】
カートリッジヘッド250は、さらに、カートリッジホルダ251が適切に閉じられたかどうかを検知する係止センサを含む。好ましくは、この係止センサは、カートリッジホルダ251が閉じて係止されたときに始動するマイクロスイッチを含む。好ましくは、操作サイクルが開始される前に、双方のセンサの出力が条件を満たすように、すなわちカートリッジがありかつ機構が係止されている状態としなければならないように、このカートリッジセンサおよび係止センサを直列に接続する。
【0137】
機械201の操作は、飲料カートリッジ1をカートリッジヘッド250内に挿入するステップと、飲料を調合する操作サイクルを実施するステップと、カートリッジ1を機械から取り出すステップと、を含む。
【0138】
機械201の操作の仕方は、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。この機械の操作を「状態(states)」として説明することができ、機械201は、状態遷移と呼ばれるステップであって状態を変化させる何らかの事象が発生するまでは、普通はある特定の状態にある。
【0139】
表4は、一実施形態である飲料調製機201について、その状態および状態遷移を例示する状態遷移表である。
【0140】
【表4−1】
【0141】
【表5】
【0142】
以下の実施例は、この制御プロセッサによる状態遷移の用い方を例示するものである。
【0143】
機械201は当初、電源が切られ、カートリッジヘッド250にカートリッジ1が挿入されていないものと仮定する。機械201の電源を入れると、制御プロセッサは状態1となる。ウォータヒータ225の電源を入れる。温度が85℃になると、制御プロセッサが状態2に遷移する。状態1または2のいつであっても、カートリッジホルダ251が閉じていれば、係止センサが始動して、カートリッジホルダ251が適切に閉じていることを示す信号を制御プロセッサに送信する。すると、制御プロセッサは、「リードポッドreadpod」指示を送信して、カートリッジセンサに応答させる。カートリッジセンサは制御プロセッサに信号を返して、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを示す。カートリッジがない場合、制御プロセッサは状態3に遷移し、カートリッジホルダ251が再度開かれて制御プロセッサが状態2に戻るまで、準備完了状態を続ける。状態2においてカートリッジがあれば、制御プロセッサは状態4に遷移し、操作が自動的に開始される。状態4から9の間において、水の温度は、飲料カートリッジ1のバーコードによる操作パラメータに設定されている通りに、所望温度の要件許容範囲内にあるようにバックグラウンドで調節される。調合の注出段階が終了すると、状態8で空気パージが開始される。空気パージが終了すると、この操作サイクルは終了し、機械は状態10の待機モードに入る。操作中にエラーが発生した場合、この処理装置は状態11に遷移する。低水位が検知されると、この処理装置は状態12に遷移する。
【0144】
カートリッジ1を挿入するには、カートリッジホルダ251を上述したように開いて、カートリッジ取付台257を露出させる。凹部290内に受けられているカートリッジ取付台257上にカートリッジ1を配置して、カートリッジのハンドル24を不規則形状部291内に配置する。カートリッジ1の光学式または磁気バーコードは、カートリッジ取付台257内の口部326のすぐ上に向ける。次に、カートリッジホルダ251を上述したようにクランプレバーの操作により閉じる。この閉じる動作時に、入口穿孔器253および出口穿孔器254がカートリッジ1のラミネート5を穿孔して、カートリッジの入口121および出口122を形成する。上述したように、出口穿孔器254により切断されたラミネート5は、注ぎ口43を取り囲む環帯内へ折り上げられる。カートリッジホルダ251は、閉じられると、カートリッジ取付台257と上方部分256との間、および窓311とカートリッジ1の頂部11との間でリム35に沿ってカートリッジ1を把持し、操作サイクル中に発生する圧力に耐えられるだけの十分な完全性を備えた流体密シールを形成する。
【0145】
この操作サイクルを開始するには、消費者が開始/終了ボタン241を操作する。
【0146】
この操作サイクルは、カートリッジ識別ステップと、注出サイクルステップと、を含む。
【0147】
カートリッジの識別は、カートリッジセンサおよび係止センサからの出力が条件を満たしていると仮定して、上述したように光学式カートリッジ識別手段252により行われる。バーコード320を復号したら、機械201の操作パラメータを制御プロセッサが調整する。すると、注出サイクルが自動的に開始される。
【0148】
注出サイクルには、
(i)予備湿潤
(ii)停止
(iii)煎出/混合
(iv)パージ
の主要な4段階があるが、全ての飲料タイプに全ての段階があるわけではない。
【0149】
予備湿潤段階では、ウォータポンプ230により、水貯蔵タンク220から水がカートリッジに注がれる。この注水により、濾過チャンバ130内にある飲料原料200が湿潤される。この注水は、600ml/分の「速い」流速、または325ml/分の「遅い」流速で実施可能である。遅い注水速度であれば、粘稠性である液体飲料原料を含むカートリッジの場合、こうした原料はさらに高い体積流量率でポンプ注入する前にある程度希釈しなければならないため、特に有用である。カートリッジ内へ入れる水の容積は、この段階では、水または飲料をカートリッジ出口122から滴下させないように選択する。
【0150】
停止段階では、予め定められたサイクル時間にわたって予備湿潤段階で入れられた水を飲料原料200に吸収させる。予備湿潤段階も吸収段階も飲料原料200からの抽出量を増加させ、最終的に得られる飲料の芳香を改善することが知られている。この予備湿潤段階および吸収段階は、飲料原料が焙煎および挽き作業を施したコーヒーである場合に特に用いられる。
【0151】
煎出/混合段階では、飲料原料200から飲料を生成するために、水がカートリッジ1を通過する。この水の温度は、ウォータタンク220からカートリッジヘッド250へと通過する水を加熱するようにウォータヒータ225に指示を送信する制御プロセッサにより決定される。水は、導管262を抜け、入口弁および入口穿孔器253を介して飲料カートリッジ1の入口チャンバ126に到達し、カートリッジホルダ251の下方部分255に入る。飲料カートリッジ1からの飲料の煎出および/または混合、これに引き続く調合は、複数の型式の飲料カートリッジを参照して上述した通りである。
【0152】
空気パージ段階は、飲料調製機および飲料カートリッジ1内に加圧空気を吹き込み、全ての飲料の調合と、別の飲料を調合するための流路の清浄を確実なものとする。この空気パージは、煎出/混合段階の停止と共に開始されるのではないため、流体の大半を予め流路から出すことができる。これにより、空気パージの開始時に、内圧が許容範囲を超えて急激に上昇することが防止される。
【0153】
通常の操作では、利用者は、開始/終了ボタン241を操作することで手動により機械201を停止させる。
【0154】
操作サイクルが終了すると、消費者は、カートリッジホルダ251を開け、手動でカートリッジを取り出して処置することにより、カートリッジ1を取り出す。別法として、機械201に、カートリッジホルダ251を開けると自動的にカートリッジを取り出す自動排出機構を設けてもよい。
【0155】
上述したように、本発明によれば、残りの飲料部分の調製に用いるカートリッジと全体が同じサイズであるカートリッジから、液状乳生成物を主原料とする飲料部分を調合する利点を組み入れつつ、2つまたはそれ以上の飲料カートリッジを組み合わせて用いて、多種多様な飲料を生成する。したがって、カートリッジ内に収容される飲料原料とは関係なく、カートリッジと機械との間の接触面が同一であるため、単一の飲料調製機をあらゆるタイプのカートリッジと併用することができる。
【0156】
機械201およびカートリッジ1を用いて飲料を送出する時間は、通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーの場合には10〜120秒、好ましくは30から40秒であり、ココアの場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒であり、乳の場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒である。
【0157】
機械201は、さらに有利なことに、制御プロセッサと動作通信(operative communication)しているメモリを含むことができ、このメモリは、利用者により調合される飲料タイプについての情報を格納する。このため、機械201の操作サイクルは、次のカートリッジ1用に調節することができる。これは、飲料を形成するために2つまたはそれ以上の飲料カートリッジ1を連続して使用する場合に特に有利である。例えば、コーヒーカートリッジを調合してから、乳カートリッジを調合して、カプチーノ飲料を形成することができる。別法として、ココアカートリッジを使用してから、乳カートリッジを用いて、クリーム入りホットココア飲料を生成することも可能である。調合した第1の飲料についての情報を格納するメモリを用いて、第2のカートリッジ、すなわち乳カートリッジの調合方式を変更して、最適な飲料を実現してもよい。上述の例では通常、ホットココア用に調合する乳は、コーヒーに添加する乳より希釈することができる。また、ココア用に調合する乳をより遅い速度で調合して、飲料の泡立ち程度を抑えてもよい。様々なカートリッジの組合せが可能であり、当業者であれば、操作パラメータについても同様に明らかであろう。さらに、メモリを用いて、機械201に、利用者が次に調合したい飲料タイプを「予想(predict)」させてもよい。例えば、利用者が1つの飲料タイプばかりを飲む場合、その飲料タイプに最適な温度に水を維持するように、機械からウォータヒータに指示を出させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を調製するためのカートリッジおよび方法に関し、特に、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料で形成され、飲料の調製用に1種類または複数種類の原料を収容するシール済みカートリッジを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
空気に対して不透過性である個々の包装内に飲料調製原料をシールすることが、これまで提案されてきた。例えば、挽いたコーヒーを圧縮して収容するカートリッジやカプセルは、一般に「エスプレッソ」機械と呼ばれる特定のコーヒー調製機械で使用するものとして知られている。こうした調製機械を用いたコーヒーの製造では、コーヒーカートリッジが煎出チャンバ内に配置され、湯がこのカートリッジを比較的高い圧力で通過することにより、挽かれたコーヒーから薫り高いコーヒー成分が抽出されて、コーヒー飲料を生成する。通常、こうした機械は、6×105Paを超える圧力で動作する。このタイプの調製機械は、これに含まれる水ポンプおよびシールなどのコンポーネンツが高圧に耐えられるものでなければならないため、今まで比較的高価であった。
【0003】
従来技術には、概して0.7から2.0×105Paで動作する飲料調製用カートリッジが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このカートリッジは、商業または工業市場用の飲料調製機内で使用する設計となっており、比較的高価である上、生成する飲料のタイプが限定されている。したがって、カートリッジおよび飲料調製機が、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したものとなっている飲料調製用カートリッジが必要である。また、操作が単純で操作の信頼性が高く、そして広範なタイプの飲料を生成可能であるようなシステム用飲料調製機も必要である。
【0004】
乳原料を主原料とする飲料原料を粉末や他の乾燥形態でカートリッジ内に入れることが知られている。しかし、消費者は一貫して、こうした粉末状の乳原料を主原料とする生成物の使用は、最終的に得られる飲料の味、色およびテクスチャが劣るものになることを指摘する。カートリッジのコンポーネンツを殺菌消毒する必要があるため、液状乳原料を主原料とする生成物をカートリッジに入れることが難しいことは分かっている。さらに、安定かつ許容可能な最終的飲料が得られるように、液状乳生成物の希釈および調合の制御をすることが難しいことも分かっている。
【0005】
さらに、粉末状の乳製品は、カプチーノタイプ飲料に消費者が望むような、本物に見える泡状の乳主成分の泡沫の生成には使用できない。数多くの飲料調製機には、一定量の乳を泡立てるためのスチームワンド(steam wand)またはこれに類似したものが備えられている。しかし、スチームワンドを追加すると、その機械の価格が上がり、蒸気を発生させる手段も必要となる。スチームワンドは、手動で操作しなければならず、うまく扱うには経験が必要である。さらに蒸気を使用するため、消費者は、その蒸気か機械の高温コンポーネンツかのいずれかで火傷を負うおそれがある。その上、消費者は、機械とは別に使用可能な乳の供給を維持して、カプチーノタイプ飲料を生成するために別のタイプの処理ステップを行わなければならない。このことは、こうした飲料の生成に必要となる複雑度と時間を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/58786号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0389141号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0334572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したカートリッジおよび飲料調製機を含む飲料調製システムの要求が依然としてある。また、操作が単純で操作の信頼性が高く、広範なタイプの飲料の生成が可能な、こうしたシステムの飲料調製機も必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
a.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材を製造するステップと、
b.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材を製造するステップと、
c.その外側部材および内側部材を保管するステップと、
d.複数の外側部材から第1のタイプの外側部材または第2のタイプの外側部材の一方を選択するステップと、
e.複数の内側部材から第1のタイプの内側部材または第2のタイプの内側部材の一方を選択するステップと、
f.選択した内側部材を選択した外側部材に、その内側部材が外側部材の内側になるように結合させるステップと、
g.外側部材に、複数の飲料原料から選択した1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
h.外側部材を蓋でシールしてカートリッジを形成するステップと
を含む飲料調合用カートリッジの製造方法を提供する。
【0009】
本発明による製造方法により、複数の飲料の1種類を調合するためのカートリッジを製造する経済的手段が得られる。
【0010】
有利なことに、このカートリッジは、内側部材、外側部材、飲料原料および蓋という主要コンポーネンツから容易に組み立てることができる。調合する飲料原料に応じて、様々なタイプの外側部材、内側部材および蓋を製造する。ただし、外側部材、内側部材および蓋のタイプは様々であっても、在庫にあるコンポーネンツを特定目的で組み合わせることにより個々のカートリッジが組み立てられるように、これらは交換可能なものである。これにより、製造可能なカートリッジのタイプの幅を狭めることなく、製造に必要な合計コンポーネンツ数を削減することができる。例えば、同じタイプの外側部材は、フィルタコーヒーの調合にもエスプレッソ型コーヒーの調合にも使用することができる。
【0011】
この一連の飲料カートリッジの製造コストは、交換可能なコンポーネンツを使用することで削減される。さらに、それぞれのタイプの外側部材が実質的に同一の外部形状および構成をしているため、この一連の飲料カートリッジ全ては、同一飲料調製機を使用して調合することができる。
【0012】
任意に、この方法のステップbにさらに、第1のタイプおよび/または第2のタイプの内側部材に対するフィルタ部材の接合を含める。
【0013】
第1のタイプの外側部材は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはその同種原料の含有に適したものとすることができる。第2のタイプの外側部材は、溶解性または液体飲料原料またはその同種原料の含有に適したものとすることができる。
【0014】
第1のタイプの内側部材は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびその同種原料の濾過に適したものとすることができる。第2のタイプの内側部材は、焙煎および挽き作業を施した液体飲料原料およびその同種原料の濾過と、調合される飲料への複数の気泡混入に適したものとすることができる。
【0015】
第1および第2のタイプの内側部材に、フィルタを備えたフレームを含めてもよく、そのフレームの外周リムは、選択したタイプの外側部材に溶着により結合される。
【0016】
内側部材および外側部材に、組み立て時に溶接処理により結合させられる別々のコンポーネンツを用いることにより、各コンポーネンツの製造およびカートリッジの組み立てを最適化することができる。これは、カートリッジ内を貫通する飲料流路が外側部材と内側部材との間の界面により画定されるために、公差が極めて小さいと望ましい本カートリッジに、特に有利である。さらに、この内側部材および外側部材のコンポーネンツは、組み合わせる前の別々の状態のほうが簡単に殺菌消毒できる。一旦、これらのコンポーネンツが互いに溶着すると、何本かの小口付き蛇行経路が形成され、これを既知の方法でうまく殺菌消毒することはできない。コンポーネンツを殺菌消毒できることは、乳原料を主原料とする飲料の調合に用いるカートリッジの場合、特に有利な特徴である。溶着構造は、組み立てに時間が掛からないのに、確実な内側部材および外側部材の結合方法となる。有利なことに、この溶着方法を採ると、飲料原料に暴露されることになるカートリッジの内部に膠または他の同様の接着剤類を使用する必要がなくなる。
【0017】
好ましくは、第2のタイプの内側部材が噴出飲料を生成する手段を含み、その手段は、カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含む。
【0018】
好ましくは、この方法にさらに、第3のタイプの内側部材を製造および保管するステップを含める。この第3のタイプの内側部材は、溶解性飲料原料およびその同種原料の調合に適したものにすることができる。
【0019】
好ましくは、この方法にさらに、第4のタイプの内側部材を製造および保管するステップを含める。この第4のタイプの内側部材は、液体飲料原料およびその同種原料の調合に適したものにすることができる。
【0020】
第3および第4のタイプの内側部材に、出口を取り囲むスカートを含めることができ、このスカートは、カートリッジの組み立て時に、選択したタイプの外側部材の協働構成部と係合する上方リムを有する上方延出部を含み、選択したタイプの外側部材に対して、第3または第4のタイプの内側部材を結合させるためのスナップ嵌合構造形成する。
【0021】
本発明はまた、複数種類の飲料を調合するカートリッジシステムであって、
a.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材と、
b.互いに形状および構成の異なる第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材と、
c.複数の飲料原料と、
d.カートリッジをシールする少なくとも1つの蓋と
を含み、
各カートリッジは、外側部材と、内側部材と、1種類または複数種類の飲料原料と、蓋とを含むシステムを提供する。
【0022】
本発明はまた、
a.1種類または複数種類の飲料原料を収容する第1の飲料カートリッジを飲料調製機内に挿入するステップと、
b.その飲料調製機を動作させて、水媒体を第1の飲料カートリッジ内に通過させてその飲料の第1の部分を入れ物内に調合するステップと、
c.1種類または複数種類の飲料原料を収容する第2の飲料カートリッジを上記bと同じ飲料調製機内に挿入するステップと、
d.その飲料調製機を動作させて、水媒体を第2の飲料カートリッジ内に通過させてその飲料の第2の部分を上記bと同じ入れ物内に調合するステップと、
を含み、
第1の飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製方法を提供する。
【0023】
飲料調製に2つまたはそれ以上のカートリッジを使用することにより、同一飲料調製機で広範な種類の飲料を生成することができる。さらに、特定の飲料原料の調合用に、各カートリッジを最適化することができる。具体的に言えば、液状乳生成物を主原料とする原料を調合できることから、大量の乳の泡立てに別個のスチームワンドを使用するなど、カートリッジ式でないシステムを使用した場合にのみ以前は可能であった本物の外観、味および舌触りを有する飲料の形成が可能となる。本発明は、こうした飲料を形成するために、高い信頼性で簡単に操作できるシステムを提供するものである。
【0024】
好ましくは、第1飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、飲料の煎出部分を形成するための原料を収容する。
【0025】
好ましくは、この方法はさらに、第2の飲料カートリッジを挿入する前に第1の飲料カートリッジを取り出すステップを含む。
【0026】
一実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーである。別の実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、リーフティである。別の実施形態において、第1または第2の飲料カートリッジ内の飲料原料は、液状コーヒー原料である。
【0027】
好ましくは、液体飲料原料は、濃縮した乳原料を主原料とする生成物である。有利なことに、この濃縮した乳原料を主原料とする生成物は濃縮型液状乳である。好ましくは、この濃縮型液状乳に25から40%全固形分を含有させる。より好ましくは、この濃縮型液状乳に30%全固形分を含有させる。さらに、好ましくは、この濃縮型液状乳に0.1から12%の脂肪分を含有させる。
【0028】
好ましくは、この方法にさらに、調合時、1種類または複数種類の液状乳生成物を主原料とする原料を泡立てるステップを含める。
【0029】
本発明はまた、一連の飲料カートリッジを受ける手段と、その飲料カートリッジに水媒体を通過させる手段と、その飲料の第1の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料を収容する第1の飲料カートリッジと、その飲料の第2の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料を収容する第2の飲料カートリッジと、を有し、第1の飲料カートリッジまたは第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製機を含む飲料調製システムを提供する。
【0030】
本明細書内で言う用語「カートリッジ」は、上述した方式で1種類または複数種類の飲料原料を収容するあらゆる包装、容器、小袋または入れ物を意味するものであることを理解されたい。このカートリッジは、剛性でも、半剛性でも、可撓性でもよい。
【0031】
本発明によるカートリッジは、飲料生成物の形成に適した1種類または複数種類の液体飲料原料を収容する。この飲料生成物として、例えば、コーヒー、茶、ココア、または乳を含む乳原料を主原料とする飲料の1種類が挙げられる。
【0032】
以下の説明において、用語の「上方」、「下方」およびそれと同等の用語は、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。用語の「上方」、「下方」およびそれと同等の用語は、例えば図4に示すように、飲料調製機に挿入して引き続き調合を行うために、普通の方向にあるカートリッジ(または他のコンポーネンツ)に対して指すものと理解すべきである。具体的に言えば、「上方」および「下方」は、カートリッジの頂面11からより近い相対的位置、またはより遠い相対的位置をそれぞれ指す。また、用語の「内側」、「外側」およびそれと同等の用語も、以下、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。この用語の「内側」、「外側」およびそれと同等の用語は、カートリッジ1(または他のコンポーネンツ)の中心または長軸Xからより近いまたはより遠いカートリッジ(または他のコンポーネンツ)内での相対的位置付けをそれぞれ指すものと理解すべきである。
【0033】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、実施例のみを用いて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1および第2の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図2】図1の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示す。
【図3】図1の外側部材の細部の断面図であり、スロットを示す。
【図4】図1の外側部材を上から見た斜視図である。
【図5】図1の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図6】図1の外側部材を上から見た平面図である。
【図7】第1の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図8】図7の内側部材を上から見た斜視図である。
【図9】図7の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図10】図7の内側部材を上から見た平面図である。
【図11】組み立てた状態である第1の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図12】第2の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図13】図12の内側部材の細部の断面図であり、口部を示す。
【図14】図12の内側部材を上から見た斜視図である。
【図15】図12の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図16】図12の内側部材を示す別の断面図である。
【図17】図12の内側部材の別の細部の断面図であり空気入口を示す。
【図18】組み立てた状態である第2の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図19】第3および第4の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図20】図19の外側部材の細部の断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示す。
【図21】図19の外側部材を上から見た平面図である。
【図22】図19の外側部材を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図24】第3の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図25】図24の外側部材を上から見た平面図である。
【図26】図24の内側部材の細部の断面図であり、内向き上方リムを示す。
【図27】図24の内側部材を上から見た斜視図である。
【図28】図24の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図29】組み立てた状態である第3の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図30】本発明による第4の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図31】図30の内側部材を上から見た平面図である。
【図32】図30の内側部材を上から見た斜視図である。
【図33】図30の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図34】組み立てた状態である第4の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図35】本発明と併用する飲料調製機を示す正面斜視図である。
【図36】カートリッジヘッドが開位置にある図35の機械の正面斜視図である。
【図37】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械に背面斜視図である。
【図38】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械の別の背面斜視図である。
【図39】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械のカートリッジヘッドの斜視図である。
【図40】便宜上いくつかの部品を省いた図35の機械のカートリッジヘッドの別の斜視図である。
【図41】閉位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図42】開位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図43】図35の機械を示す概略レイアウトである。
【図44a】図35の機械に対する第1のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図44b】図35の機械に対する第2のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図45】バーコードを含む本発明の飲料を示す平面図である。
【図46a】操作サイクル時間に対する濃度を示すグラフである。
【図46b】操作サイクル時間に対する泡立ち度を示すグラフである。
【図46c】操作サイクル時間に対する温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図11に示すように、カートリッジ1は主に、外側部材2と内側部材3とラミネート5とを含む。外側部材2と内側部材3とラミネート5とを組み合わせると、1種類または複数種類の飲料原料を収容するための内部120と、入口121と、出口122と、入口121から出口122までをつないで内部120を貫通する飲料流路と、を有するカートリッジ1が形成される。入口121と出口122とは、当初はラミネート5でシールされており、使用時に、そのラミネート5を穿孔または切断することにより開口される。飲料流路は、以下で説明するように、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5と、の間の空間的相互関係により形成される。この他にも、以下でさらに説明するように、フィルタ4などのコンポーネンツを任意にカートリッジ1に含めることができる。
【0036】
予備知識として説明する第1の型式のカートリッジ1を図1から図11に示す。第1の型式のカートリッジ1は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーやリーフティなどの濾過生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。しかし、この型式のカートリッジ1、および以下で説明する他の型式は、ココア、コーヒー、茶、甘味料類、強壮剤類、調味料類、アルコール飲料類、調味乳、果汁類、スカッシュ類、ソース類、およびデザート類などの他の生成物に使用することも可能である。
【0037】
図5から分かるように、カートリッジ1の全体形状は、その直径が高さより大幅に大きい略円形またはディスク形状である。長軸Xは、図1に示すように外側部材の中心を通る。通常、外側部材2の直径全体は74.5mm±6mmであり、高さ全体は16mm±3mmである。通常、このカートリッジ1の容積は30.2ml±20%である。
【0038】
外側部材2は主に、湾曲した環状壁13を有するボール形状のシェル10と、閉じた頂部11と、開いた底部12と、を含む。閉じた頂部11から開いた底部12にかけて環状壁13が広がっているため、外側部材2の直径は、その頂部11において、底部12の直径に比較して小さくなっている。環状壁13と閉じた底部11とが共に、内部34を有する入れ物を形成する。
【0039】
中空で内側向きの円筒状延出部18は、長軸Xを中心とする閉じた頂部11に設けられている。図2でさらによく分かるように、円筒状延出部18は、第1、第2および第3の部分19、20および21を有する階段状プロファイルを含む。第1の部分19は直円筒状である。第2の部分20は裁頭円錐形状であり、内側に先細りになっている。第3の部分21は、もう1つの直円柱であり、下方面31により閉じられている。第1、第2および第3の部分19、20および21の直径は、円筒状延出部18の頂部11から閉じた下方面31にかけて、円筒状延出部18の直径が狭まるように段階的に小さくなっている。略水平な肩32は、円筒状延出部18において、第2の部分20と第3の部分21との間の結合部分に形成されている。
【0040】
外向きに延出する肩33は、底部12に向けて外側部材2に形成されている。この外向きに延出する肩33は、環状壁13と同軸である第2の壁15を形成し、これにより、第2の壁15と環状壁13との間にマニホルド16を形成する環状トラックを画成するようになっている。マニホルド16は、外側部材2の周囲をめぐって通っている。一連のスロット17は、環状壁13にマニホルド16と同じ高さで設けられており、これにより、マニホルド16と外側部材2の内部34との間は、気体および液体連通した状態となる。図3に示すように、スロット17は、環状壁13に形成された垂直スリットを含む。20から40本のスリットを設ける。図示した実施形態では、37本のスロット17がほぼ等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。スロット17は、好ましくは1.4から1.8mmの長さとする。通常、各スロットの長さは、外側部材2の高さ全体の10%である1.6mmである。各スロットの幅は、0.25から0.35mmである。通常、各スロットの幅は0.3mmである。スロット17の幅を十分に狭くして、保管時、使用時のいずれかに飲料原料がマニホルド16内に通過しないようにする。
【0041】
入口チャンバ26は、外側部材2の周囲にて外側部材2内に形成される。図5において最もよく分かるように、円筒状壁部27が設けられており、それは、内部に入口チャンバ26を形成し、かつ入口チャンバ26を外側部材2の内部34から仕切っている。この円筒状壁部27は、長軸Xに垂直な1平面上に形成された閉じた上方面28と、外側部材2の底部12と同平面上にある開いた下方端部29と、を有する。入口チャンバ26は、図1に示すように、2本のスロット30を介してマニホルド16と連通する。別法として、1から4本のスロットを用いて、マニホルド16と入口チャンバ26との間を連通させてもよい。
【0042】
外向きに延出する肩33の下方端部には、長軸Xに垂直に外向きに延出するフランジ35が設けられている。通常、このフランジ35の幅は2から4mmである。フランジ35の一部は拡張されてハンドル24を形成し、それによって外側部材2が保持されるようになっている。ハンドル24には、掴みやすくするために、先を上向きにしたリム25が設けられている。
【0043】
外側部材2は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、またはこれらの2種以上の積層体から、単体ピースとして形成される。適したポリプロピレンは、DSM UK Limited(Redditch, United Kingdom)から入手可能な一連のポリマー類である。この外側部材は、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。この製造処理を射出成形とすることができる。
【0044】
図7から図10に示すように、内側部材3は、環状フレーム41と、下向きに延出する円筒状漏斗40と、を含む。図7に示すように、長軸Xは内側部材3の中心を通っている。
【0045】
図8において最もよく分かるように、環状フレーム41は、外側リム51と、等間隔で設けられた10本の径方向スポーク53で接合される内側ハブ52と、を含む。内側ハブ52は円筒状漏斗40と一体であり、かつ円筒状漏斗40から延出している。濾過口部55は、各径方向スポーク53の間で環状フレーム41内に形成されている。この濾過口部55をカバーするように、フィルタ4が環状フレーム41上に配置される。このフィルタは、好ましくは、不織繊維材料であるポリエステルなどの湿潤強さの高い材料で製造する。この他に使用可能な材料として、織紙繊維を含むセルロース材料などの水分不透過性セルロース材料が挙げられる。この織紙繊維は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンの繊維と混合させることができる。こうしたプラスチック材料をセルロース材料内に組み合わせると、そのセルロース材料がヒートシール可能なものとなる。フィルタ4は、熱および/または圧力で活性化される材料によって処理またはコーティングして、熱および/または圧力により環状フレーム41にシールできるようにしてもよい。
【0046】
図7の断面プロファイルに示すように、内側ハブ52は外側リム51より低い位置に配置されるため、環状フレーム41は下方に傾斜するプロファイルを有する。
【0047】
各スポーク53の上面には直立型ウェブ54が設けられ、それは、環状フレーム41上の孔空間を複数の通路57に分割する。各通路57は、両側がウェブ54に接し、下面がフィルタ4に接する。通路57は、外側リム51から下方に円筒状漏斗40に向けて延在し、ウェブ54の内側末端部によって形成される開口56にて、円筒状漏斗40内に開いている。
【0048】
円筒状漏斗40は、内側注ぎ口43を取り囲む外側チューブ42を含む。この外側チューブ42は、円筒状漏斗40の外面を形成している。注ぎ口43は、環状フランジ47により、その注ぎ口43の上方端部において外側チューブ42に接合されている。注ぎ口43は、その上方端部に位置して通路57の開口56と連通する入口45と、その下方端部に位置し調製済み飲料を通過させてカップや他の入れ物内に注ぐ出口44と、を含む。注ぎ口43は、その上方端部に略切頭円錐状部分48を、またその下方端部に円筒状部分58を含む。この円筒状部分58にわずかに先細る部分を設けて、出口44に向けて幅を細めてもよい。略切頭円錐形部分48は、飲料に乱流を起こすことなく、飲料を通路57から出口44に向けて下向きに流動させやすくする。略切頭円錐形部分48の上面には、円筒状漏斗40の周囲に等間隔で位置する支持ウェブ49を設ける。これらの支持ウェブ49は、それらの間に複数のチャネル50を形成する。支持ウェブ49の上縁部は、互いに同じ高さであり、長軸Xに垂直である。
【0049】
内側部材3は、外側部材2と同様の射出成形により、上述したようなポリプロピレンまたはこれに類似した材料から単体ピースとして形成することができる。
【0050】
別法として、内側部材3および/または外側部材2は、生分解性ポリマーで製造してもよい。適した材料の例として、分解性ポリエチレン(例えば、英国ボアハムウッドのSymphony Environmental製SPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(例えば、Symphony Environmental製BAK1095)、ポリ乳酸(米国ミネソタ州のCargil製PLA)、デンプン系ポリマー、セルロース誘導体、およびポリペプチドが挙げられる。
【0051】
ラミネート5は、アルミニウムによる第1の層、および無延伸ポリプロピレンによる第2の層の2層から形成される。このアルミニウム層は0.02から0.07mmの厚さである。無延伸ポリプロピレン層は0.025から0.065mmの厚さである。一実施形態において、アルミニウム層は0.06mmの厚さであり、ポリプロピレン層は0.025mmの厚さである。このラミネートは、組み立て時の巻き込み(curling)に高い抵抗を有するため、特に有利である。このため、ラミネート5は、正しいサイズおよび形状に予め切断しておき、その後、歪みを発生させることなく製造ラインの組み立てステーションに移送することができる。したがって、このラミネート5は溶着に特に適している。他のラミネート材料も使用可能であり、その例として、PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属被覆/PP、およびアルミニウム/PPラミネートが挙げられる。打ち抜き加工した在庫品ではなく、ロールラミネートによる在庫品を用いてもよい。
【0052】
カートリッジ1は、可撓性のラミネートではない剛性または半剛性の蓋で閉じてもよい。
【0053】
カートリッジ1の組み立ては、
a)内側部材3を外側部材2に挿入するステップと、
b)フィルタ4を決まった形状に切断して内側部材3上に配置し、それを円筒状漏斗40上で受け、環状フレーム41に対向する位置にくるようにするステップと、
c)内側部材3、外側部材2、およびフィルタ4を超音波溶接で溶着するステップと、
d)カートリッジ1に、1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
e)ラミネート5を外側部材2に取付けるステップと
を含む。
【0054】
上記ステップについては、以下で更に詳細に説明する。
【0055】
外側部材2は、その開いた底部12を上向きにして方向付ける。次に、その外側部材2内に内側部材3を挿入して、外側リム51がカートリッジ1の頂部11において軸方向延出部14内に遊合状態で受けられるようにする。これと同時に、外側部材2の円筒状延出部18は、内側部材3の円筒状漏斗40の上方部分内に受けられる。円筒状延出部18の第3の部分21は、円筒状延出部18の閉じた下方面31が内側部材3の支持ウェブ49に当たった状態で円筒状漏斗40内に納まる。次に、フィルタ材料が環状リム51に接触するように、フィルタ4を内側部材3上に配置する。超音波溶接処理により、このフィルタ4を内側部材3に接合し、同時に同一処理ステップにおいて、内側部材3を外側部材2に接合する。内側部材3およびフィルタ4を外側リム51に沿って溶着する。内側部材3および外側部材2は、外側リム51およびウェブ54の上方縁部に沿う溶着線によって接合する。
【0056】
図11において最もよく分かるように、外側部材2および内側部材3は、互いに接合されたときに、環状フランジ41の下方かつ円筒状漏斗40の外側に内部120内の孔空間130を形成し、これが濾過チャンバとなる。この濾過チャンバ130と環状フレーム41の上方の通路57は、濾紙4が隔てられる。
【0057】
濾過チャンバ130は、1種類または複数種類の飲料原料200を収容する。1種類または複数種類の飲料原料は、濾過チャンバ130内に包装される。濾過式飲料の場合、この原料は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーまたはリーフティである。濾過チャンバ130内の飲料原料の包装密度は、所望どおりに変更可能である。通常、濾過式コーヒー生成物の場合、この濾過チャンバは、通常5から14mm厚さの濾過床に5.0から10.2グラムの焙煎および挽き作業を施したコーヒーを収容する。任意に、内部120に球体などの1種類または複数種類の物体を収容してもよく、それらは内部120内で自由に移動可能であり、飲料を注ぐときに乱流を起こして飲料原料の沈殿物を砕くことにより、混合しやすくする。
【0058】
次に、ラミネート5の周囲に溶着部126を形成することによりラミネート5を外側部材2に取付けて、外向きに延出するフランジ35の下面にラミネート5を接合する。溶着部126は、ラミネート5を入口チャンバ26の円筒状壁部27の下方縁部に対してシールするように延在させる。さらに、ラミネート5と、円筒状漏斗40の外側チューブ42の下方縁部と、の間に溶着部125を形成する。ラミネート5は、濾過チャンバ130の下方壁を形成し、かつ入口チャンバ26および円筒状漏斗40をシールする。ただし、ラミネート5と注ぎ口43の下方縁部との間には、調合前に小さな隙間123が存在する。ラミネート5の材料特性に応じて、熱および超音波溶着などの様々な溶着方法が使用可能である。
【0059】
有利なことに、外側部材2とラミネート5との間に内側部材3がある。この内側部材3は、ポリプロピレンなどの比較的硬い材料で形成する。これにより、内側部材3は、カートリッジ1が圧縮されてもラミネート5と外側部材2との間のスペースを保つように作用する荷重受け部材となる。使用時にカートリッジ1が受ける圧縮荷重は、130から280Nとすることが好ましい。この圧縮力は、カートリッジが内部加圧下で破損することを防ぐ作用をすると同時に、内側部材3および外側部材2を互いに寄せる役割を果たす。これにより、確実に、カートリッジ1内の通路および口部の内側寸法は固定され、カートリッジ1が加圧されても変化しなくなる。
【0060】
カートリッジ1を使用するには、まず、これを飲料調製機内に挿入し、ラミネート5を穿孔して折り返す飲料調製機の穴開け部材によって、入口121および出口122を開ける。通常は水である圧力下の水媒体は、0.1から2.0バールの圧力でカートリッジ1に入って、入口121から入口チャンバ26内へ通る。ここから、水はスロット30を通過してマニホルド16を回り、複数のスロット17を介してカートリッジ1の濾過チャンバ130内に入る。この水は、濾過チャンバ130を通って径方向内側に押し入れられ、そこに収容されている飲料原料200と混ざり合う。この水は同時に、その飲料原料内を通って上側に押し上げられる。水が飲料原料内を通過することで形成される飲料は、フィルタ4および濾過口部55を通過して、環状フレーム41の上方に位置する通路57内に入る。フィルタ4をスポーク53にシールし、リム51を外側部材2に溶着することは、短絡がなくて、飲料の全てがフィルタ4を通過することを確実なものとする。
【0061】
次に、この飲料は、ウェブ54間に形成された径方向通路57に沿って下向きに流動し、開口56を通過して円筒状漏斗40内に入る。この飲料は、チャネル50に沿って支持ウェブ47間を通過し、注ぎ口43から下の出口44に落ち、これにより、この飲料はカップなどの入れ物内に注がれる。
【0062】
好ましくは、飲料調製機に空気パージ性能を備えて、操作サイクルの終了時に圧縮空気をカートリッジ1内に押し入れることにより、残留飲料をその入れ物内に流し出す。
【0063】
次に、図12から図18を参照しながら、基本情報として第2の型式のカートリッジ1について説明する。第2の型式のカートリッジ1は、クレマとして知られる細かい気泡の泡立ちを有する飲料を生成することが望ましい、焙煎および挽き作業を施したコーヒーなどのエスプレッソ型生成物の調合に使用するように、特に設計されたものである。第2の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第1の型式と第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0064】
外側部材2は、図1から図6に示される第1の型式のカートリッジ1と同様の構造を持つ。
【0065】
内側部材3の環状フレーム41は、第1の型式のものと同じである。また、フィルタ4は、濾過口部55をカバーするように、環状フレーム41上に配置される。円筒状漏斗40の外側チューブ42も前述したとおりである。ただし、第2の型式の内側部材2には、第1の型式の場合と比較していくつか相違点がある。図16に示すように、注ぎ口43に、出口44から注ぎ口43に向けて一部延出する仕切り65が設けられている。この仕切り65は、飲料が注ぎ口43を出る際に、しぶきの飛ばし、および/またははね散らしの防止に役立つ。注ぎ口43のプロファイルも異なっており、チューブ43の上方端部近傍で明確な屈曲部66を備える階段状プロファイルを含む。
【0066】
リム67は、外側チューブ42と注ぎ口43とを接合する環状フランジ47から、直立して設けられている。リム67は入口45から注ぎ口43までを取り囲み、リム67と外側チューブ42の上方部分との間に環状チャネル69を形成する。リム67には、内向きの肩68が設けられている。リム67の周囲の一箇所に、口部70がスロットの形態で設けられており、このスロットは、図12および図13において最もよく分かるように、リム67の上方縁部から、肩68の高さよりわずかに下の箇所にまで延在する。このスロットの幅は0.64mmである。
【0067】
図16および図17に示すように、環状フランジ47に、口部70に対して周方向に位置合わせされた空気入口71を設ける。この空気入口71は、フランジ47の上方箇所と、外側チューブ42と注ぎ口43との間のフランジ47の下方の孔スペースと、を流通させるように、フランジ47を貫通する口部を含む。好ましくは、図示のように、空気入口71は、上方略切頭円錐形部分73と下方円筒状部分72とを含む。空気入口71は通常、ピンなどの成形工具により形成される。空気入口71を先細りプロファイルにすると、成型工具を成型部品から取り出しやすくなる。空気入口71に近位である外側チューブ42の壁は、空気入口71から注ぎ口43の入口45へとつながるシュート75を形成する形状とする。図17に示すように、空気入口71とシュート75との間に斜めの肩74が形成されており、スロット70から噴射される飲料が、空気入口71のごく近位にあるフランジ47の上面を直接汚さないようにしている。
【0068】
第2の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様である。しかし、いくつかの相違点もある。図18に示すように、円筒状延出部18の第3の部分21は、支持ウェブに対してではなく、支持リム67内に納まる。第2の部分20と第3の部分21との間に位置する円筒状延出部18の肩32は、内側部材3の支持リム67に上方縁部に当たる。このようにして、内側部材3と、円筒状延出部18と支持リム67との間の面シールを含む外側部材2と、の間に、界面ゾーン124が形成され、それはカートリッジ1の周囲のほぼ全体に延在する。ただし、支持リム67内のスロット70が支持リム67を貫通して肩68のわずか下方の箇所まで下向きに延在するため、円筒状延出部18と支持リム67との間のシールは流体密封ではない。したがって、円筒状延出部18と支持リム67との間の界面嵌合は、図18において最もよく分かるように、スロット70を口部128内へ変形させて、環状チャネル69と注ぎ口43との間を気体および液体連通させる。この口部は通常、その幅が0.64mm、長さが0.69mmである。
【0069】
第2の型式のカートリッジ1で飲料を調合する操作は、第1の型式と同様であるが、いくつかの点で異なる。径方向通路57内の飲料は、ウェブ54間に形成された通路57を下向きに流動して、開口56から円筒状漏斗40の環状チャネル69内に入る。環状チャネル69内に入った後、この飲料は、濾過チャンバ130および通路57内に集まる飲料の背圧により、圧力下で口部128から押出される。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部によって形成される膨張チャンバ内に押出される。図18に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を通して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて出口44に集まり、ここで飲料がカップなどの入れ物内に注出され、気泡が所望のクレマとなる。したがって、口部128および空気入口71が共に、空気を飲料内に取り込むように作用するエダクタ(eductor)となる。このエダクタ内への飲料の流動は、圧力損失を低減するようにできる限り滑らかに保たなければならない。都合よく、エダクタの壁部を凹形に製造して、「壁面効果」摩擦による損失を低減しなければならない。口部128の寸法公差は小さい。好ましくは、この口部サイズを0.02mm2前後に定める。毛状物、繊維または他の表面凹凸をエダクタ内、またはエダクタの出口近傍に設けて、空気の取り込み量を増加させることが分かっている有効断面積を増加させてもよい。
【0070】
次に、基本情報として第3の型式のカートリッジ1について説明し、これを図19から図29に示す。第3の型式のカートリッジ1は、溶解性生成物の調合に使用するように特に設計されたものであり、それは、粉末、液体、シロップ、ゲルまたはこれに類似の形態でよい。この溶解性生成物は、使用時に、カートリッジ1内を水などの水媒体が通過すると、その水媒体によって溶解され、または水媒体内に懸濁液を形成する。飲料の例として、ココア、コーヒー、乳、茶、スープ、または他の、水を加えて元に戻す生成物や水溶解性生成物が挙げられる。第3の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1および第2の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第3の型式と、第1の型式および第2の型式と、の間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0071】
第1および第2の型式の外側部材2と比較すると、図20に示すように、第3の型式の外側部材2における中空で内向きの円筒状延出部18の直径は、全体として大きくなっている。具体的に、第1の部分19の直径は、第1および第2の型式の外側部材2では13.2mmであったところが、通常16から18mmである。さらに、第1の部分19には、図20において最もよく分かるように、凸状外面19aすなわちバルジが設けられている。このバルジの機能については以下で説明する。しかし、カートリッジ1のうち、第3の部分21の直径は同じであるため、肩32の面積は、この第3の型式のカートリッジ1では広くなっている。通常、カートリッジ1の容積は、組み立て時で32.5ml±20%である。
【0072】
環状壁13の下方端部に設けるスロットの数および位置もまた異なっている。3から5本のスロットを設ける。図23に示すように、この実施形態では、4本のスロット36が等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。このスロット36は、第1および第2の型式のカートリッジ1の場合よりもわずかに幅広であり、0.35から0.45mm、好ましくは、0.4mm幅である。
【0073】
他の点において、カートリッジ1の外側部材2はいずれも同じである。
【0074】
内側部材3の円筒状漏斗40の構造は、第1の型式のカートリッジ1と同じであり、外側チューブ42、注ぎ口45、環状フランジ47、および支持ウェブ49が設けられている。唯一の相違点は、注ぎ口45であり、これは上方略切頭円錐形部分92と下方円筒状部分93とを備える形状となっている。
【0075】
第1および第2の型式と比較すると、図24から図28に示すように、環状フレーム41はスカート部分80に置き換えられており、それは、円筒状漏斗40を取り囲み、かつ環状フランジ47またはその近傍に円筒状漏斗40を結合する8本の径方向ストラット(struts)87によって、円筒状漏斗40に接続されている。このスカート部分80からは、円筒状の延出部81がストラット87から上向きに延出して、上面が開いたチャンバ90を形成している。円筒状延出部81の上方リム91は、図26に示すように、内向きプロファイルを有する。スカート部分80の環状壁82は、ストラット87から下向きに延在して、スカート部分80と外側チューブ42との間に環状チャネル86を形成している。
【0076】
環状壁82は、その下方端部に、長軸Xに垂直に位置する外側フランジ83を含んでいる。リム84は、フランジ83の下面から下向きに垂れ下がり、リム84に沿って周方向に等間隔の5個の口部85を含む。したがって、リム84の下方は、城砦型プロファイルとなっている。
【0077】
各ストラット87間に口部89を設けることにより、チャンバ90と環状チャネル86との間を連通させている。
【0078】
第3の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様であるが、いくつかの相違点もある。図29に示すように、外側部材2と内側部材3は互いに溶着されるのではなく、互いに押し嵌めされて、スナップ嵌合構造により保持される。この2つの部材の接合時に、内向き円筒状延出部18は、スカート部分80の上方円筒状延出部81の内側に受けられる。内側部材3は、円筒状延出部18における第1の部分19の凸状外表面19aが上方円筒状延出部81の内向きリム91と摩擦係合することにより、外側部材2内に保持される。内側部材3が外側部材2内に配置された状態になると、スカート部分80の外側に混合チャンバ134が形成される。この混合チャンバ134は、調合前の飲料原料200を収容する。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることに留意されたい。内側部材3および外側部材2を相対的にどのように位置決めしても、4つの入口36および5つの口部85を用いることにより確実にこの入口と口部との間に位置のずれが発生するため、この2つの部品の互いの径方向位置を組み立て時に決定または固定しなくてもよい。
【0079】
1種類または複数種類の飲料原料をカートリッジの混合チャンバ134内に包装する。この混合チャンバ134内における飲料原料の包装密度は、所望どおりに変更可能である。
【0080】
次に、第1および第2の型式において上述したように、ラミネート5を内側部材3および外側部材2に取付ける。
【0081】
使用時には、第1および第2の形式のカートリッジと同様に、水が4本のスロット36を通って混合チャンバ134に入る。この水が混合チャンバを通して径方向内側に押し入れられ、そこに収容されている飲料原料と混ざり合う。この水の中に生成物が溶解または混合されて、混合チャンバ134内に飲料が形成され、それは、混合チャンバ134内の飲料および水の背圧により、口部85から環状チャネル86内に追い込まれる。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることにより、水の噴射が入口スロット36から径方向に直接口部85内に入ることは、まず混合チャンバ134内で循環が発生しない限り、あり得ない。このため、生成物の溶解または混合の程度および安定性は大幅に高まる。飲料は、環状チャネル86内を上方向に押し上げられ、ストラット87間の口部89を通ってチャンバ90内に入る。その飲料は、チャンバ90から支持ウェブ49間の入口45を通って注ぎ口43に入り、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれる。このカートリッジは、粘稠液またはゲルの形態である飲料原料に適用できることが分かる。一用途において、カートリッジ1内には、環境温度にて粘性が1700〜3900mPa、0℃にて5000〜10000mPaであり、屈折固形分(refractive solids)が67ブリックス度±3である液状チョコレート原料が入れられる。別の用途において、カートリッジ1内には、環境温度にて粘性が70〜2000mPa、0℃にて80〜5000mPaであり、全固形分量が40から70%である液体コーヒーが入れられる。この液状コーヒー原料に、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%の重炭酸ナトリウムを含有させることができる。重炭酸ナトリウムは、コーヒーのpHレベルを4.8以下に維持して、コーヒーを充填したカートリッジの貯蔵寿命を最長12ヶ月にできるように作用する。
【0082】
本発明を具体化する第4の型式のカートリッジ1を図30から図34に示す。第4の型式のカートリッジ1は、濃縮型液状乳などの液状生成物の調合に用いるように特に設計されたものである。第4の型式のカートリッジ1に含まれる特徴は、その多くが第1から第3の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第4の型式と第1から第3の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0083】
外側部材2は、第3の型式のカートリッジ1の、図19から図23に示すものと同じである。
【0084】
内側部材3の円筒状漏斗40は、第2の型式のカートリッジ1に類似しているが、いくつかの点で異なる。図30に示すように、注ぎ口43は、上方略切頭円錐部分106と下方円筒状部分107とを含む形状である。この注ぎ口43の内面には3つの軸方向リブ105が設けられて、調合された飲料を下向きに出口44に方向付けて、注がれた飲料の注ぎ口内での旋回を防ぐ。したがって、リブ105はバッフルとして作用する。第2の型式のカートリッジ1と同様に、空気入口71が環状フランジ47を貫通して設けられている。しかし、空気入口71の下のシュート75は、第2の型式の場合より細長くなっている。
【0085】
スカート部分80は、上述した第3の型式のカートリッジ1に示したものと同様に設けられている。5から12個の口部85がリム84内に設けられている。第3の型式のカートリッジ1では5個であったが、通常、10個の口部を設ける。
【0086】
スカート部分80のフランジ83から、これと一体となって延出する環状ボウル100が設けられている。この環状ボウル100は、上方口104を上向きに開いたフレア型本体101を含む。図30および図31に示す4個の送り口部103は、この本体101内において、スカート部分80と接合するボウル100の下方端部またはその近傍に配置されている。好ましくは、この送り口部をボウル100の周囲に等間隔で配置する。ボウル100は、カートリッジが組み立てられたときに、ボウル100とラミネート5との間にはっきり区別された間隙ができるように、その長手方向の途中でスカート部分80に接合している。したがって、口部85は、ボウル100の高さより低いところに位置している。図34から分かるように、カートリッジ1が組み立てられて充填されると、ボウル100は、その中に一定の割合の液体飲料原料を収容し、その割合の飲料原料を口部85から有効に分割する。
【0087】
ラミネート5は、これまでの実施形態で説明したタイプのものである。
【0088】
第4の型式のカートリッジ1の組み立て手順は、第3の型式の手順と同様である。
【0089】
第4の型式のカートリッジ1の操作は、第3の型式の操作と同様である。第1から第3の形式のカートリッジと同様に、水がカートリッジ1および混合チャンバ134に入る。ここで、上述したように、水が液体生成物と混ざり合って、これを希釈し、ボウル100の下の口部85を通って出口44に向けて押出される。図34に示すように、環状ボウル100に当初収容される一定の割合の液体生成物は、混合チャンバ134に入った水によりすぐに希釈されるわけではない。混合チャンバ134の下方部分にある希釈された液体生成物は、上方口104から環状ボウル100内に押し上げられるのではなく、口部85から出て行くことになる。したがって、環状ボウル100内の液体生成物は、混合チャンバ134の下方部分にある生成物と比較して、操作サイクルの最初の段階ではまだ比較的濃縮状態を保っている。環状ボウル100内の液体生成物は、ボウル100の下で口部85を通って混合チャンバ134を出る生成物の流れの中へ、重力を受けて送り口部103から滴下される。環状ボウル100は、一定量の濃縮液体生成物を取り置いて、操作サイクル中、それを安定的に液体流路内に放出することにより、円筒状漏斗40に入る希釈済み液体生成物の濃度を平均化する作用をする。これは図46aに例示され、ここでは、およそ15秒の操作サイクル間において、全固形分含有量の割合として測定される乳の濃度を示す。線aはボウル100を設けた場合の濃度プロファイルを例示し、線bはボウル100を設けないカートリッジの場合を例示したものである。この図から分かるように、カップ100を設けた場合の濃度プロファイルの方が、操作サイクル中において均等であり、ボウル100を設けない場合に起こるような濃度の急激な大幅低下がない。この乳の初期濃度は通常、30から35%SSであり、サイクル終了時には、これが10%SSとなる。これによる希釈率はおよそ3倍であるが、本発明では、1倍から6倍までの希釈率が可能である。他の液体飲料原料の場合には、この濃度を変更することができる。例えば、液状チョコレートの場合には、初期濃度がおよそ67%SSであり、サイクル終了時には、これが12から15%SSとなる。これによる希釈率(調合飲料内における飲料原料に対する水媒体の比率)はおよそ5倍であるが、本発明では2倍から10倍までの希釈率が可能である。液体コーヒーの場合、初期濃度はおよそ40から67%SSであり、調合終了時には、これが1から2%SSとなる。これによる希釈率はおよそ20倍から70倍であるが、本発明では10倍から100倍までの希釈率が可能である。
【0090】
こうした飲料は、圧力下で押出されて、濾過チャンバ134およびチャンバ90に収集される飲料の背圧により、環状チャネル86から口部128を通過する。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部によって形成される膨張チャンバ内に押出される。図34に示すように、この飲料の噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料の噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくるとカップなどの入れ物内に注がれ、気泡が所望の泡立った外観を形成する。
【0091】
有利なことに、内側部材3、外側部材2、ラミネート5、およびフィルタ4は、別個のコンポーネンツであって、個別には蛇行通路や細い隙間を含んでいないため、これらの全てを容易に殺菌消毒することができる。必要な通路が形成されるのは、殺菌消毒後に、これらのコンポーネンツを結合した時点である。これは、飲料原料が液状乳濃縮物などの乳原料を主原料とする生成物である場合に、特に重要である。
【0092】
飲料カートリッジの第4の実施形態は、液状乳などの濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物の調合に特に有利である。これまで、粉末状の乳生成物は小袋の形態で提供され、これを事前に調製した飲料に加えるようになっていた。しかし、カプチーノタイプ飲料の場合には、乳を泡立てる必要がある。これは、これまでは液状乳生成物に蒸気を通すことで実施されてきた。しかし、これには蒸気調合用設備が必要であるため、この飲料の調合に用いる機械のコストならびに複雑度が増してしまう。また、蒸気を使用すると、カートリッジ操作時に怪我を負う危険性も高まる。そこで本発明は、濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物を中に有する飲料カートリッジを提供する。乳生成物を濃縮した場合、新鮮な乳またはUHT乳と比較すると、特定容積の乳に対してより多くの量の泡が生成できることが分かっている。これを利用すれば、乳用カートリッジに必要なサイズが縮小される。新鮮な半脱脂乳は、およそ1.6%の脂肪分および10%の全固形分を含む。本発明による濃縮型液状乳調製物は、0.1から12%の脂肪分および25から40%の全固形分を含む。一典型的実施例では、この調製物は4%の脂肪分および30%の全固形分を含む。この濃縮型乳調製物は、以下に記載するように低圧調製機械による泡立てに適している。具体的には、この乳の泡立ては、上述した第4の実施形態のカートリッジを用いて、2バール未満、好ましくはおよそ1.5バールの圧力で行う。
【0093】
濃縮乳を泡立てることは、カプチーノおよびミルクセーキなどの飲料に特に都合がよい。好ましくは、口部128から空気入口71上の乳の通過、およびボウル100の任意の使用は、乳の40%を超える量、好ましくは70%を超える量を泡立てを可能とする。液状ココアの場合、70%を超える量の泡立てが可能である。液状コーヒーの場合、70%を超える量の泡立てが可能である。泡沫性レベルは、調合した液体飲料原料の容積に対して生成された泡沫容積の比率として測定される。例えば、138.3mlの飲料が調合され、そのうち58.3mlが泡沫となった場合、泡沫性は、[58.3/(138.3−58.3)]*100=72.9%となる。この乳(および他の液体原料)の泡沫性は、図46bで分かるように、ボウル100を設けることで高められる。ボウル100を設けて調合した乳の泡沫性(線a)は、ボウルを設けずに調合した乳の泡沫性(線b)よりも高くなっている。これは、乳の泡沫性が乳の濃度に正比例し、図46bに示すように、ボウル100が操作サイクルの大半で乳の濃度を高く維持するためである。また、乳の泡沫性は、図46cに示すように、水媒体の温度に正比例することも知られている。したがって、水媒体が最も高温である操作サイクルの終了近くまで、より多くの乳がカートリッジ内に残るため、ボウル100を設けると有利となる。これにより、さらに泡沫性が改良される。
【0094】
第4の実施形態のカートリッジも液状コーヒー生成物の調合に有利である。
【0095】
本発明の実施形態の飲料カートリッジは、従来技術によるカートリッジと比較して、煎出した飲料の安定性の向上を有利にもたらすことが分かっている。以下に示す表1を参照すると、そこには、焙煎および挽き作業を施したコーヒーを収容するカートリッジAおよびカートリッジBのそれぞれについて、20試料を煎出して得られた収率(brew yields)が示されている。カートリッジAは、本発明の第1の実施形態による飲料カートリッジである。カートリッジBは、本願出願人の特許文献1に記載された従来技術による飲料カートリッジである。煎出した飲料の屈折率をブリックス度で測定し、これを、標準表および式を用いて溶解性固形分の比率(%SS)に変換する。以下の実施例において、
%SS=0.7774*(ブリックス度値)+0.0569
%収率=(%SS*煎出量(g))/(100*コーヒー重量(g))
である。
【0096】
【表1−1】
【0097】
【表1−2】
【0098】
上記データについてt検定統計分析(t-test statistical analysis)を行ったところ、以下の結果を得た。
【0099】
【表2】
【0100】
この分析から、煎出濃さに匹敵する%収率の安定性は、標準偏差0.88%の本発明によるカートリッジが標準偏差2.24%の従来技術によるカートリッジと比較して、より大幅に高かった(95%の信頼水準)ことが分かる。これは、本発明によるカートリッジにより煎出した飲料の方が再現可能かつ均一であるということである。これは、同じ飲料を何度も味わいたく、その煎出濃さを恣意に変更したくない消費者に好ましい。
【0101】
上述したカートリッジの材料にバリアコーティングを施して、酸素および/または湿気、および/または他の汚染侵入物に対する防御性を向上させてもよい。このバリアコーティングは、さらに、飲料原料がカートリッジから漏れることに対する防御性を向上させ、かつ/または飲料原料に悪影響を与えかねないカートリッジ材料からの抽出物滲出の程度を抑えることができる。バリアコーティングの材料は、PET、ポリアミド、EVOH、PVDCまたは金属化材料からなる群から選択することができる。バリアコーティングの適用にはいくつかの機構が利用可能であり、その例として、これらに限定するものではないが、蒸着、真空蒸着、プラズマコーティング、共押出加工、インモールドラベリング、および二段/多段成形が挙げられる。
【0102】
上述した飲料カートリッジを用いる本発明と併用される飲料調製機201を図35から図45に示す。飲料調製機201は主に、ウォータタンク220を備える筐体210と、ウォータヒータ225と、ウォータポンプ230と、空気圧縮機235と、制御プロセッサと、ユーザインターフェース240と、カートリッジヘッド250と、を含む。カートリッジヘッド250はさらに、主に、使用時に飲料カートリッジ1を保持するカートリッジホルダ251と、カートリッジ識別手段252と、使用時に飲料カートリッジ1に入口121および出口122を形成する入口穿孔器253および出口穿孔器および254と、を含む。
【0103】
筐体210は、機械201の他のコンポーネンツを定位置に収容しかつ保持する。この筐体210の全体または一部は、好ましくは、ABSなどの頑丈なプラスチック材料で製造する。別法として、筐体210の全体または一部は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料で製造することも可能である。筐体210は、好ましくは、前方半体211および後方半体212を有するクラムシェル設計(clam-shell design)を含み、それは、組み立て時に機械201のコンポーネンツを嵌め合わせるために利用でき、その後に互いに接合して筐体210の内部213を形成することができる。後方半体212には、ウォータタンク220を装着するための凹部214が設けられている。筐体210は、別個のシャシを必要とすることなく機械201のコンポーネンツを定位置に保持できるように、爪、当たり、ボスおよびネジつき部分などの手段を備えて形成されている。このため、機械201の全体のコストおよび重量が削減されている。筐体210の基部215には、好ましくは、安定して機械を載せるための脚を設ける。別法として、基部215自体を安定な支持台となる形状にしてもよい。
【0104】
筐体210の前方半体211は、飲料の注出が行われる注出ステーション270を含む。この注出ステーション270は入れ物スタンド271を含み、それはドリップトレイ272を形成する中空内部を有する。この入れ物スタンドの上面273には、入れ物が配置される格子274が備えられている。ドリップトレイ272は、収集した水分を簡単に空にできるように、筐体210から着脱自在となっている。凹部275は、入れ物スタンド271の上方における筐体210の前方半分に形成されて、その寸法の入れ物を収容できるようになっている。
【0105】
カートリッジヘッド250は、図35および図36に示すように、入れ物スタンドの上方において筐体210の頂部に向けて配置されている。好ましくは、カートリッジヘッド250に対する格子274の高さは、異なる寸法の入れ物を収容するために調節できるようにする。調合した飲料が入れ物に接触する前に落ちる必要のある距離を最小限にするために、この入れ物がカートリッジヘッド250にできるだけ近くなり、同時に、その入れ物を注出ステーション270に挿入し、そこから取り出すことができるようにすることが好ましい。これにより、飲料の噴霧および飛び散りを最小限に抑え、混入させる気泡がある場合は、その損失量を最小限に抑えることができる。好ましくは、70mmから110mmの高さの入れ物を格子274とカートリッジヘッド250との間に挿入できるようにする。
【0106】
機械ユーザインターフェース240は、筐体210の正面に配置されており、開始/終了ボタン241と、複数の状況表示器243〜236と、を含む。
【0107】
状況表示器243〜246は、好ましくは、機械201の準備状況を表示する発光ダイオード(LED)243と、機械201の操作にエラーが発生した場合にそれを表示するLED244と、機械201が手動モードで操作されているか自動モードで操作されているかを表示する1個または複数個のLED245〜246と、を含む。LED243〜246は、機械201の状況に応じて、一定の輝度で照明するように、間欠的に点滅するように、またはこの両方ができるように調節することができる。LED243〜246の色は、緑、赤、および黄など様々でよい。
【0108】
開始/終了ボタン241は、操作サイクルの始動を制御するものであり、手動操作による押しボタン、スイッチ、またはこれに類似したものである。
【0109】
容積調整コントロールを設けて、他の操作特性を変更することなく、機械201の利用者が、送出される飲料の容積を手動で調節できるようにしてもよい。好ましくは、この容積調整コントロールにより、容積の20%増または20%減を調節できるようにする。この容積調整コントロールは、回転ノブ、リニアスライダ、増量ボタンおよび減量ボタン付のデジタル読出し(digital readout)、またはこれに類似したものとすることができる。より一般には、利用者が開始/終了ボタン241を操作することで容積を制御する。
【0110】
手動電源スイッチ(図示せず)を機械201に設けてもよい。別法として、主電源に電源プラグを差し込んだり、または主電源から電源プラグを抜くことにより、単純に電源を制御することもできる。
【0111】
ウォータタンク220は筐体210の後方に配置されて、筐体210の後方半体212に接続される。ウォータタンク220は略円筒状の本体221を含み、それは、外観上の理由から所望に応じて直円であっても錐台であってもよい。このタンクは、これに水を充填するための入口を含み、それは、手動で着脱自在な蓋222によって使用時に閉じられる。出口はタンクの下方端部に向けて設けられ、これはウォータポンプ230と連通する。ウォータタンク220は、透明または半透明材料で製造して、タンクに残っている水の量を消費者が確認できるようにすることができる。別法として、ウォータタンク220を不透明材料で製造して、確認窓をそこに設けることも可能である。さらに、または上記の代わりに、ウォータタンク220にローレベルセンサを設けてもよく、それは、タンク内の水位が予め選択したレベルまで下がった時に、ウォータポンプ230の動作を止めて、LEDなどの警告表示器を任意に作動させる。ウォータタンク220の内側容量は、好ましくは、およそ1.5リットルとする。
【0112】
ウォータポンプ230は、図43に概略を示すように、ウォータタンク220とウォータヒータ225との間で作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。このポンプにより、2.5バールの最大圧力にて900ml/分の水の最大流速が得られる。好ましくは、通常の使用時には、この圧力を2バールに抑える。ポンプへの電力供給を周期的に切ることにより、機械201を通る水の流速をポンプの最大流速の一定割合にするように、制御プロセッサによって制御することができる。好ましくは、このポンプは、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のいずれかで駆動できるようにする。汲み上げられる水の容積の正確さは、好ましくは±5%として、調合される飲料の最終容積の正確さを±5%とする。適したポンプは、Ulka S.r.l.(イタリア、パヴィア)製のEvolutionalEP8ポンプである。好ましくは、流量センサ(図示せず)をウォータポンプ230の上流または下流の流動ライン内に設ける。好ましくは、この流量センサは回転センサとする。
【0113】
ウォータヒータ225は、筐体210の内部に配置される。このヒータ225は、電力定格が1550Wであり、ウォータポンプ230から受け取った水を1分以内におよそ20℃の開始温度から約85℃の操作温度にまで加熱することができる。好ましくは、1操作サイクルの終了時からヒータ225が次の操作サイクルを開始できるようになるまでの休止時間は、10秒未満とする。このヒータは、操作サイクル時に、選択した温度を±2℃で維持する。以下で説明するように、操作サイクル用の水は、83℃または93℃でカートリッジヘッド250に送出することができる。ヒータ225は、この送出温度を通常の85℃から、83℃または93℃へと迅速に調節することができる。ヒータ225は、温度が98℃を超えるとヒータを停止させる温度過昇遮断器を含む。ヒータ225から出た水は、三方弁を介してカートリッジヘッド250およびカートリッジ1に送られる。この水の流動圧力が許容範囲内であれば、水はカートリッジ1に到達する。圧力が予め定められた限界未満または限界を超えていた場合、その水は三方弁によりドリップトレイ回収容器270内に送られる。
【0114】
空気圧縮機235は、一方向弁を介してカートリッジヘッド250に作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。この空気圧縮機235により、1.0バールにて500ml/分の空気の最大流速が得られる。使用時に、有効容積35mlは2.0バールに加圧される。好ましくは、空気圧縮機235により、高速(または最大速度)および低速の2通りの流速を提供できるようにする。
【0115】
飲料調製機201の制御プロセッサは、処理モジュールおよびメモリを含む。この制御プロセッサは、ウォータヒータ225、ウォータポンプ230、空気圧縮機235、およびユーザインターフェース240に作用的に接続されて、これらの動作を制御する。
【0116】
制御プロセッサのメモリは、飲料調製機201の1種類または複数種類の操作パラメータに対する1つまたは複数の変数を含む。例示した実施形態では、この操作パラメータは、操作段階において飲料カートリッジ1を通過する水の温度、飲料カートリッジ1を装填する速度、浸漬ステップの有無、調合される飲料の全容積、注出段階での水の流速、および清浄段階の流速および時間である。
【0117】
操作パラメータに対する変数は、メモリに格納される。カートリッジ1は、その表面上または内側に、そのカートリッジ1における飲料の調合を最適化するために必要な操作パラメータを表すコードを含む。このコードは、二進法による形式であり、制御プロセッサのメモリに格納される変数に対応する複数のデータビットを含む。表3は、上述した操作パラメータに対する必要な変数を表すために、データの13ビットをどのように使用できるかを例示したものである。
【0118】
【表3】
【0119】
カートリッジ1上またはカートリッジ1内のコードは通常、エラーチェック用に1つまたは複数の余分なデータを含む。一実施例において、16ビットコードが備えられる。例えば、表3に挙げた変数を用いた場合、コード「1000100011110」を与えられたカートリッジは、次の操作パラメータを有することになる。
【0120】
10 水の温度は83℃
00 浸漬を伴う高速装填
1000 調合される飲料容積は150ml
111 流速は100%
10 高流速空気清浄/短時間
【0121】
したがって、以前の飲料調製機と異なり、この制御プロセッサのメモリは、カートリッジのタイプに基づいた飲料カートリッジに対する操作指示、すなわちコーヒーカートリッジに対する指示、ココアカートリッジに対する指示、茶カートリッジに対する指示などを格納する訳ではない。この制御プロセッサのメモリが格納するのは、操作サイクルの個々の操作パラメータを調整するための変数である。これにはいくつかの利点がある。第1に、調合サイクルの調節がより一層可能となる。例えば、全てのタイプのコーヒーに同じパラメータを用いることに比べて、等級や配合の異なるコーヒーに対してわずかに異なるパラメータを使用することができる。個々のパラメータではなくカートリッジタイプ別の指示を格納することに頼っていたこれまでのコーディング解法は、コーディング媒体および制御プロセッサ内で利用可能な格納スペースを速く消費してしまうため、類似した飲料タイプに対する操作サイクルにおけるこうした微妙な違いには不適切である。第2に、本発明のコーディング方法では、新たな飲料カートリッジ1の操作サイクルに対する操作パラメータが飲料調製機201の販売後に決定される場合であっても、この既存の飲料調製機において新たな飲料カートリッジタイプを使用できる。これは、飲料調製機201の制御プロセッサが、その飲料が新たなタイプであることを識別する必要がないためである。本操作サイクルの操作パラメータは、飲料タイプを直接参照せずに設定されるものである。したがって、本発明によるコーディング方法は、新たな飲料タイプに対して、飲料調製機の優れた後方互換性を提供するものである。これに対して、これまでの機械の場合、製造者は、市場にある機械により特定される既存の調合サイクルの1つを用いて、新たな飲料タイプを調合するように制限されている。
【0122】
カートリッジヘッド250を図39から図42に示す。カートリッジヘッド250のカートリッジホルダ251は、固定された下方部分255と、回転自在な上方部分256と、固定された下方部分255と回転自在な上方部分256との間に配置された枢動自在なカートリッジ取付台257と、を含む。上方部分256、下方部分255、およびカートリッジ取付台257は、共通のヒンジ軸258を中心に回転する。図39から図42は、便宜上、機械201のいくつかのコンポーネンツを省いた状態でカートリッジホルダ251を示すものである。
【0123】
回転自在な上方部分256および枢動自在なカートリッジ取付台257は、固定された下方部分255に対して、クランプ機構280により移動される。このクランプ機構280は、第1および第2の部材または部分281および282を有するクランプレバーを含む。クランプレバーの第1の部分281はU字型アームを含み、それは、カートリッジホルダ251の両側に1つずつ位置する2つの第1の枢支点283で上方部分256に枢動自在に取付けられる。
【0124】
クランプレバーの第2の部分は、カートリッジホルダ251の両側に1本ずつ位置する2本のオーバーセンターアーム282を含み、それらは、下方部分255に固定された上方部分256を連結しているヒンジ軸258上に位置する第2の枢支点285にて、上方部分256にそれぞれ枢動自在に取付けられる。各オーバーセンターアーム282は、円筒部282a、ステム282b、および弾性スリーブ282cを含む往復部材である。円筒部282aは内腔を有し、その一端にてヒンジ軸258に回転自在に取付けられている。ステム282bの第1の端部は、円筒部282aの内腔内に摺動自在に入れられている。ステム282bの反対側端部は、第3の枢支点286にてU字型アーム281に回転自在に取付けられている。第3の枢支点286は、上方部分256および下方部分255に接続されておらず、上方部分256および下方部分255に対して自由に移動可能である。弾性スリーブ282cは、ステム282bの外側に取付けられており、使用時に、円筒部282aおよびステム282bの当たり面の間に延在する。弾性スリーブ282cは、オーバーセンターアーム282の縮小時にそれを吸収すると同時に、延出構造へと付勢するものである。これにより、ステム282bが円筒部282a内にて相対運動すると、第3の枢支点286がヒンジ軸258に近づく方向および離れる方向へと移動することができる。弾性スリーブ282cは、好ましくはシリコーンで形成する。
【0125】
U字型アーム281は、カートリッジホルダ251の正面の周囲に延在しており、下向きに垂れ下がった2つのフック部材287を含む。このフック部材は、カートリッジホルダ251の片側に1つずつ位置し、それぞれは、ヒンジ軸258に向くカム表面288を含んでいる。カートリッジホルダ251の固定された下方部分255には、2つのボス259または爪が設けられており、それらは、正面縁部260またはその近傍に下方部分255の片側に1つずつ位置し、フック部材287にほぼ位置合わせされている。
【0126】
図39に示すように、U字型アーム281は、アームと一体の人間工学的なハンドグリップおよびフック部材287を含めて、ワンピースのプラスチック成形物から形成することができる。
【0127】
カートリッジ取付台257は、カートリッジホルダ251の下方部分255と上方部分256との間に、回転自在に取付けられている。取付台257には、実質的に円形である凹部290が設けられており、それは、使用時に飲料カートリッジ1を受容する。凹部290は、飲料カートリッジ1のハンドル部分24を収容すると同時に、カートリッジホルダ251内における飲料カートリッジ1の回転を防止するように作用する不規則形状部291を含む。カートリッジ取付台257は、図41に示すように、開位置において、固定された下方部分255と接触しない位置に付勢されるように、固定された下方部分255に対して跳ね上げられ、これによりカートリッジ取付台257は、出口および入口穿孔部材254、253と接触しない位置に移動される。カートリッジ取付台257には、出口および入口穿孔部材253、254を中に受け入れる口部292と、カートリッジ取付台257が閉位置に移動したときにカートリッジを識別する手段252のヘッド300と、が設けられている。
【0128】
上方部分255は略円形の本体310を含み、この本体は円形ののぞき窓312を収容しており、それを通して、操作サイクル時に消費者が飲料カートリッジ1を見ることができ、さらにカートリッジ1が機械201に搭載されていることを目で確認することができる。のぞき窓312は、下向きリム311を有するカップ形状であり、それは、カートリッジホルダ251が閉じられた時に、飲料カートリッジ1のフランジ35と係合し、かつこれを下方部分256に対して把持する。同時に、この窓312は、カートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。のぞき窓312と円形本体310との間にウェーブスプリング(図示せず)が配置されており、これにより、円形本体310に対して、のぞき窓312を軸方向にわずかに移動させることができる。リム311がフランジ35にかける圧力、および窓312が閉じた頂部11にかける圧力により、カートリッジ1とカートリッジホルダ251との間に流体密なシールが確実に形成される。
【0129】
下方部分255は、入口穿孔器253および出口穿孔器254と、カートリッジ識別手段252のヘッド300と、を含む。入口穿孔器253は、使用時に飲料カートリッジ1のラミネート5を穿孔するための鋭利な端部241を有する中空の針のような管260を含む。図42に示すように、入口穿孔器253は、下方部分255内を通過してウォータヒータ225の出口導管263に接続された水導管262と流体連通している。出口穿孔器254は、本出願人の特許文献2および特許文献3に記載されている出口穿孔器と似たタイプであり、注ぎ口43よりも寸法の大きな円形またはD字型断面を有する開口円筒部264を含む。出口穿孔器254の上方端部の弓状部分265は、飲料カートリッジ1のラミネートを穿孔し、結果として切断するように鋸歯状となっている。残りの上方端部部分は、少なくとも鋸歯状の歯266の基部まで、円筒部の長手方向に切り取られて低くなっており、飲料がそこを通って調合される前に、切断したラミネート5を出口口部から離れた方向に折り曲げ、または引っ張るようになっている。出口穿孔器254は、注ぎ口43のラミネート5を外側から穿孔し、カートリッジ取付台257が閉位置に来ると、その注ぎ口43と注出漏斗40の外壁42との間の環帯内に納まる。出口穿孔器254は、切断されたラミネート105を環帯内に折り返す。これにより、出口穿孔器254も切断されたラミネート105も、注出される飲料にぶつからない位置に保持される。
【0130】
出口穿孔器254は、周囲よりも0.5mm隆起している出張り254aによって囲まれている。
【0131】
有利なことに、出口穿孔器254が下方部分255に対して着脱自在となっているため、例えば食洗器などで全体を洗浄することができる。着脱自在な出口穿孔器254を装着すると、これを受けるのは下方部分255の凹部267である。入口穿孔器253および/または出口穿孔器254は、ステンレス鋼などの金属またはプラスチック材料で製造することができる。有利なことに、非金属材料で穿孔および切断できるラミネート5を使用した場合には、プラスチックで製造した切削加工要素を使用することができる。したがって、穿孔器253、254をあまり鋭利ではなく製造して、消費者に怪我を負わせる危険性を低めることができる。さらに、プラスチック製穿孔要素は、さびにくい。好ましくは、入口穿孔器253および出口穿孔器254は、下方部分255に対して着脱自在な単一の一体ユニットとして形成する。
【0132】
使用時、カートリッジホルダ251の上方部分256は、図36に示すように、垂直または垂線に向けて方向付けられた開位置から、実質的に水平、かつカートリッジ取付台257と固定下方部分255に係合した状態に方向付けられる閉位置まで、移動可能である。クランプレバーの操作により、上方部分256は開位置から閉位置へと移動する。上方部分256を閉じるには、利用者は、U字型アーム281によりクランプレバーを掴み、これを下向きに下げる。これにより、上方部分256が回転して、まずカートリッジ取付台257において、のぞき窓312のリム311が飲料カートリッジ1のフランジ35に接触し、のぞき窓312自体がカートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。上方部分256をさらに回転させると、上方部分256およびカートリッジ取付台257が下向きに回転して、下方部分255に接触する。U字型アーム281をさらに回転させると、U字型アーム281が上方部分256および下方部分255に対して回転するため、カム表面288がボス259に被る状態で上方部分256のフック部材287が下方部分255のボス259に係合する。この最後の回転段階において、カートリッジ1は、カートリッジ取付台257とのぞき窓312との間に圧縮される。この結果、のぞき窓312は、ウェーブスプリングの付勢に対抗して、上方部分256の円形本体310に対して軸方向に移動する。この動作により、飲料カートリッジ1および飲料調製機の公差が吸収され、カートリッジに印加される圧縮力の量が確実に許容範囲内に保たれる。この機構の型締め力は、ウェーブスプリングの作用により弱められるため、カートリッジにかかる型締圧力は130〜280Nとなる。好ましくは、この力をおよそ200Nとする。約130N未満の力では十分なシールが得られず、約280Nを超える力になると、カートリッジ1のコンポーネンツの塑性破壊が起こる。カートリッジヘッドを閉じる間、カートリッジ1のラミネート5は、出口穿孔器254を取り囲む出張り254aに接触し始めながらぴんと張った状態になるため、円筒状漏斗を含む外側チューブ42の遠位端がフランジ35に対して0.5mm上向きに移動すると、ラミネート5が面外に撓む。この動作により、カートリッジに印加された圧縮力の大半は、荷重を受けた内側部材3を介してカートリッジ1の中央領域内へと確実に作用する。閉位置において、カートリッジ1は、のぞき窓312のリム311によりフランジ35に沿って固締され、のぞき窓312および出張り254aに接触することにより、カートリッジの閉じた頂部11と内側部材3の外側チューブ42との間にしっかり固締される。この型締め力が作用することにより、圧縮時のカートリッジ1の破損防止が強化され、確実に内側部材3および外側部材2が互いに十分に納まり合うため、内部加圧が作用している間でさえ、全ての内部通路および口部がその所期寸法を保つことができる。
【0133】
カートリッジホルダ251の第1の枢支点283と第2の枢支点285との間に、仮基準線を引くことができる。図41において分かるように、開位置では、第3の枢支点286は、固定された下方部分255に最も近い基準線側にある。上方部分256が閉位置に近づくにつれて、クランプレバーの第3の枢支点286は、第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線を越えて、固定された下方部分255から最も遠くの基準線の反対側に行く。したがって、U字型アーム281は、第1の安定位置から第2の安定位置へと「速動(snaps through)」することになる。この速動動作は、オーバーセンターアーム282を収縮させて、これにより弾性スリーブ282cを圧縮することにより対応するものである。一旦、第3の枢支点286が仮基準線を越えると、弾性スリーブ282cが復元するため、第3の枢支点286はさらに仮基準線から遠くへと移動し続ける。したがって、クランプレバーは双安定動作を有し、開位置または閉位置では安定であるが、第3の枢支点286が第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線上にある地点では不安定である。したがって、このクランプレバーの速動動作は積極的な閉鎖機構となり、クランプレバーの回転最終段階において確かな閉鎖作用を引き起こし、U字型アーム281および第2のアーム284の速動動作がフック部材287をしっかりボス259との係合状態に押し入れる。さらに、第3の枢支点286を戻して第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線に一致させるように、スリーブ282cを十分に圧縮するのに必要な力は最小限でよいため、弾性スリーブ282cは、上方部分256が再び開くことに対する抵抗をもたらす。有利なことに、フック部材287とボス259とが係合していることにより、クランプレバーを回転させない限り、上方部分と下方部分とを分離することはできない。これは、カートリッジヘッド250が内部加圧を受ける操作時に、カートリッジヘッド250が開かないようにするのに有用である。
【0134】
カートリッジ識別手段252の目的は、機械201に、挿入された飲料カートリッジ1のタイプを識別させ、それにしたがって1種類または複数種類の操作パラメータを調整させることである。典型的な実施形態において、カートリッジ識別手段252は、図45に示すように、飲料カートリッジ1のラミネート5にある印刷されたバーコード320を読取る光学式バーコードリーダーを含む。バーコード320は、対照的な色の複数本のバーで形成されている。好ましくは、このバーは、その対照を最も際立たせるために、白色背景に対する黒色とする。バーコード320は、公開されている標準に準拠したものでなくともよいが、EAN-13、UPC-A、またはインターリーフ2 of 5 (Interleaf 2 of 5)などのバーコード標準フォーマットを使用してもよい。光学式バーコードリーダーは、そのバーコード320を照明するための1つまたは複数のLED321と、バーコードの画像を取得するための焦点レンズ322と、取得した画像を表す電気信号を生成する電荷結合素子(CCD)323と、LEDおよびCCD用支持回路構成要素と、を含む。バーコードリーダーを収容する下方部分のスペースには限界がある。したがって、1枚または複数枚の鏡324を用いて、LED321からの光を、下方部分255内に配置されていない焦点レンズに反射してもよい。概略構造を図44aおよび図44bに示す。下方部分255は、飲料カートリッジ1上のバーコード320と同じサイズの口部326を含む。使用時おいて、生成された電気信号が信号処理ソフトウェアにより復号されると、その結果が制御プロセッサに送信される。このソフトウェアは、バーコードの読取りにエラーが含まれているかどうかを識別することができるものである。エラーメッセージが消費者に表示される前に、バーコード320を何回も再走査することができる。機械201がバーコードを読取れない場合、消費者は、手動モードの操作により、飲料カートリッジ1を使用して飲料を調合することができる。
【0135】
カートリッジヘッド250は、さらに、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを検知するためのカートリッジセンサを含む。
【0136】
カートリッジヘッド250は、さらに、カートリッジホルダ251が適切に閉じられたかどうかを検知する係止センサを含む。好ましくは、この係止センサは、カートリッジホルダ251が閉じて係止されたときに始動するマイクロスイッチを含む。好ましくは、操作サイクルが開始される前に、双方のセンサの出力が条件を満たすように、すなわちカートリッジがありかつ機構が係止されている状態としなければならないように、このカートリッジセンサおよび係止センサを直列に接続する。
【0137】
機械201の操作は、飲料カートリッジ1をカートリッジヘッド250内に挿入するステップと、飲料を調合する操作サイクルを実施するステップと、カートリッジ1を機械から取り出すステップと、を含む。
【0138】
機械201の操作の仕方は、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。この機械の操作を「状態(states)」として説明することができ、機械201は、状態遷移と呼ばれるステップであって状態を変化させる何らかの事象が発生するまでは、普通はある特定の状態にある。
【0139】
表4は、一実施形態である飲料調製機201について、その状態および状態遷移を例示する状態遷移表である。
【0140】
【表4−1】
【0141】
【表5】
【0142】
以下の実施例は、この制御プロセッサによる状態遷移の用い方を例示するものである。
【0143】
機械201は当初、電源が切られ、カートリッジヘッド250にカートリッジ1が挿入されていないものと仮定する。機械201の電源を入れると、制御プロセッサは状態1となる。ウォータヒータ225の電源を入れる。温度が85℃になると、制御プロセッサが状態2に遷移する。状態1または2のいつであっても、カートリッジホルダ251が閉じていれば、係止センサが始動して、カートリッジホルダ251が適切に閉じていることを示す信号を制御プロセッサに送信する。すると、制御プロセッサは、「リードポッドreadpod」指示を送信して、カートリッジセンサに応答させる。カートリッジセンサは制御プロセッサに信号を返して、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを示す。カートリッジがない場合、制御プロセッサは状態3に遷移し、カートリッジホルダ251が再度開かれて制御プロセッサが状態2に戻るまで、準備完了状態を続ける。状態2においてカートリッジがあれば、制御プロセッサは状態4に遷移し、操作が自動的に開始される。状態4から9の間において、水の温度は、飲料カートリッジ1のバーコードによる操作パラメータに設定されている通りに、所望温度の要件許容範囲内にあるようにバックグラウンドで調節される。調合の注出段階が終了すると、状態8で空気パージが開始される。空気パージが終了すると、この操作サイクルは終了し、機械は状態10の待機モードに入る。操作中にエラーが発生した場合、この処理装置は状態11に遷移する。低水位が検知されると、この処理装置は状態12に遷移する。
【0144】
カートリッジ1を挿入するには、カートリッジホルダ251を上述したように開いて、カートリッジ取付台257を露出させる。凹部290内に受けられているカートリッジ取付台257上にカートリッジ1を配置して、カートリッジのハンドル24を不規則形状部291内に配置する。カートリッジ1の光学式または磁気バーコードは、カートリッジ取付台257内の口部326のすぐ上に向ける。次に、カートリッジホルダ251を上述したようにクランプレバーの操作により閉じる。この閉じる動作時に、入口穿孔器253および出口穿孔器254がカートリッジ1のラミネート5を穿孔して、カートリッジの入口121および出口122を形成する。上述したように、出口穿孔器254により切断されたラミネート5は、注ぎ口43を取り囲む環帯内へ折り上げられる。カートリッジホルダ251は、閉じられると、カートリッジ取付台257と上方部分256との間、および窓311とカートリッジ1の頂部11との間でリム35に沿ってカートリッジ1を把持し、操作サイクル中に発生する圧力に耐えられるだけの十分な完全性を備えた流体密シールを形成する。
【0145】
この操作サイクルを開始するには、消費者が開始/終了ボタン241を操作する。
【0146】
この操作サイクルは、カートリッジ識別ステップと、注出サイクルステップと、を含む。
【0147】
カートリッジの識別は、カートリッジセンサおよび係止センサからの出力が条件を満たしていると仮定して、上述したように光学式カートリッジ識別手段252により行われる。バーコード320を復号したら、機械201の操作パラメータを制御プロセッサが調整する。すると、注出サイクルが自動的に開始される。
【0148】
注出サイクルには、
(i)予備湿潤
(ii)停止
(iii)煎出/混合
(iv)パージ
の主要な4段階があるが、全ての飲料タイプに全ての段階があるわけではない。
【0149】
予備湿潤段階では、ウォータポンプ230により、水貯蔵タンク220から水がカートリッジに注がれる。この注水により、濾過チャンバ130内にある飲料原料200が湿潤される。この注水は、600ml/分の「速い」流速、または325ml/分の「遅い」流速で実施可能である。遅い注水速度であれば、粘稠性である液体飲料原料を含むカートリッジの場合、こうした原料はさらに高い体積流量率でポンプ注入する前にある程度希釈しなければならないため、特に有用である。カートリッジ内へ入れる水の容積は、この段階では、水または飲料をカートリッジ出口122から滴下させないように選択する。
【0150】
停止段階では、予め定められたサイクル時間にわたって予備湿潤段階で入れられた水を飲料原料200に吸収させる。予備湿潤段階も吸収段階も飲料原料200からの抽出量を増加させ、最終的に得られる飲料の芳香を改善することが知られている。この予備湿潤段階および吸収段階は、飲料原料が焙煎および挽き作業を施したコーヒーである場合に特に用いられる。
【0151】
煎出/混合段階では、飲料原料200から飲料を生成するために、水がカートリッジ1を通過する。この水の温度は、ウォータタンク220からカートリッジヘッド250へと通過する水を加熱するようにウォータヒータ225に指示を送信する制御プロセッサにより決定される。水は、導管262を抜け、入口弁および入口穿孔器253を介して飲料カートリッジ1の入口チャンバ126に到達し、カートリッジホルダ251の下方部分255に入る。飲料カートリッジ1からの飲料の煎出および/または混合、これに引き続く調合は、複数の型式の飲料カートリッジを参照して上述した通りである。
【0152】
空気パージ段階は、飲料調製機および飲料カートリッジ1内に加圧空気を吹き込み、全ての飲料の調合と、別の飲料を調合するための流路の清浄を確実なものとする。この空気パージは、煎出/混合段階の停止と共に開始されるのではないため、流体の大半を予め流路から出すことができる。これにより、空気パージの開始時に、内圧が許容範囲を超えて急激に上昇することが防止される。
【0153】
通常の操作では、利用者は、開始/終了ボタン241を操作することで手動により機械201を停止させる。
【0154】
操作サイクルが終了すると、消費者は、カートリッジホルダ251を開け、手動でカートリッジを取り出して処置することにより、カートリッジ1を取り出す。別法として、機械201に、カートリッジホルダ251を開けると自動的にカートリッジを取り出す自動排出機構を設けてもよい。
【0155】
上述したように、本発明によれば、残りの飲料部分の調製に用いるカートリッジと全体が同じサイズであるカートリッジから、液状乳生成物を主原料とする飲料部分を調合する利点を組み入れつつ、2つまたはそれ以上の飲料カートリッジを組み合わせて用いて、多種多様な飲料を生成する。したがって、カートリッジ内に収容される飲料原料とは関係なく、カートリッジと機械との間の接触面が同一であるため、単一の飲料調製機をあらゆるタイプのカートリッジと併用することができる。
【0156】
機械201およびカートリッジ1を用いて飲料を送出する時間は、通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーの場合には10〜120秒、好ましくは30から40秒であり、ココアの場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒であり、乳の場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒である。
【0157】
機械201は、さらに有利なことに、制御プロセッサと動作通信(operative communication)しているメモリを含むことができ、このメモリは、利用者により調合される飲料タイプについての情報を格納する。このため、機械201の操作サイクルは、次のカートリッジ1用に調節することができる。これは、飲料を形成するために2つまたはそれ以上の飲料カートリッジ1を連続して使用する場合に特に有利である。例えば、コーヒーカートリッジを調合してから、乳カートリッジを調合して、カプチーノ飲料を形成することができる。別法として、ココアカートリッジを使用してから、乳カートリッジを用いて、クリーム入りホットココア飲料を生成することも可能である。調合した第1の飲料についての情報を格納するメモリを用いて、第2のカートリッジ、すなわち乳カートリッジの調合方式を変更して、最適な飲料を実現してもよい。上述の例では通常、ホットココア用に調合する乳は、コーヒーに添加する乳より希釈することができる。また、ココア用に調合する乳をより遅い速度で調合して、飲料の泡立ち程度を抑えてもよい。様々なカートリッジの組合せが可能であり、当業者であれば、操作パラメータについても同様に明らかであろう。さらに、メモリを用いて、機械201に、利用者が次に調合したい飲料タイプを「予想(predict)」させてもよい。例えば、利用者が1つの飲料タイプばかりを飲む場合、その飲料タイプに最適な温度に水を維持するように、機械からウォータヒータに指示を出させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を調合するためのカートリッジ(1)を製造する方法であって、
a.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(2)を製造するステップと、
b.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(3)を製造するステップと、
c.前記複数の外側部材および前記内側部材を保管するステップと、
d.前記複数の外側部材から、前記第1のタイプの外側部材または前記第2のタイプの外側部材の一方を選択するステップと、
e.前記複数の内側部材から、前記第1のタイプの内側部材または前記第2のタイプの内側部材の一方を選択するステップと、
f.前記選択した内側部材が前記選択した外側部材の内側になるように、前記内側部材を前記外側部材に結合するステップと、
g.前記外側部材に、複数の飲料原料から選択された1種類または複数種類の飲料原料(200)を充填するステップと、
h.前記外側部材を蓋(5)でシールして、前記カートリッジを形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップbに、前記第1のタイプおよび/または第2のタイプの内側部材(3)に対するフィルタ部材(4)の接合をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタイプの外側部材(2)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のタイプの外側部材(2)は、溶解性飲料原料、液体飲料原料またはこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料を濾過し、前記調合される飲料に複数の気泡を混入させることに適することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のタイプの内側部材(3)は、フィルタ(4)を上に配置するフレーム(41)を含み、前記フレームの外側リム(51)は、前記選択したタイプの外側部材に溶着により結合されることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のタイプの内側部材(3)は前記飲料の噴射を生成する手段(70)を含み、前記手段は、前記カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第3のタイプの内側部材(3)を製造および保管するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第3のタイプの内側部材(3)は、溶解性飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第4のタイプの内側部材(3)を製造および保管するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第4のタイプの内側部材(3)は、液体飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3または第4のタイプの内側部材(3)は、出口を取り囲むスカート(80)を含み、
前記スカートは、前記カートリッジの組み立て時に、前記選択したタイプの外側部材(2)の協働構成部(19)と係合する上方リム(91)を有する上方延出部(81)を含み、前記第3または第4のタイプの内側部材を前記選択したタイプの外側部材に結合するスナップ嵌合構造を形成することを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
複数種類の飲料を調合するためのカートリッジシステムであって、
a.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(3)と、
b.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(2)と、
c.複数種類の飲料原料(200)と、
d.前記カートリッジをシールするための少なくとも1つの蓋(5)と
を含み、
各カートリッジは、外側部材、内側部材、1種類または複数種類の飲料原料、および蓋を含むことを特徴とするカートリッジシステム。
【請求項15】
各カートリッジはさらにフィルタ(4)を含むことを特徴とする請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
前記第1のタイプの外側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14または15に記載のカートリッジシステム。
【請求項17】
前記第2のタイプの外側部材(3)は、溶解性飲料原料、液体飲料原料またはこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項18】
前記第1のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項19】
前記第2のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の濾過に適し、前記調合される飲料に複数の気泡を混入させる手段を含むことを特徴とする請求項14から18のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項20】
前記第1および第2のタイプの内側部材(3)は、フィルタ(4)を上に配置するフレーム(41)を含み、前記フレームの外側リム(51)は、溶着により前記選択したタイプの外側部材に結合されることを特徴とする請求項14から19のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項21】
前記第2のタイプの内側部材(3)は前記飲料の噴射を生成する手段(70)を含み、前記手段は、前記カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含むことを特徴とする請求項19または20に記載のカートリッジシステム。
【請求項22】
第3のタイプの内側部材(3)をさらに含むことを特徴とする請求項14から21のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項23】
前記第3のタイプの内側部材(3)は、溶解性飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項22に記載のカートリッジシステム。
【請求項24】
第4のタイプの内側部材(3)をさらに含むことを特徴とする請求項14から23のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項25】
前記第4のタイプの内側部材(3)は、液体飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項24に記載のカートリッジシステム。
【請求項26】
前記第3または第4のタイプの内側部材(3)は、出口を取り囲むスカート(80)を含み、
前記スカートは、前記カートリッジの組み立て時に、前記選択したタイプの外側部材(2)の協働構成部(19)と係合する上方リム(91)を有する上方延出部(81)を含み、前記第3または第4のタイプの内側部材を前記選択したタイプの外側部材に結合するためのスナップ嵌合構造を形成することを特徴とする請求項22から25のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項27】
飲料を調合する方法であって、
a)1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第1の飲料カートリッジ(1)を飲料調製機(201)に挿入するステップと、
b)前記飲料調製機を動作させて、前記第1の飲料カートリッジ内に水媒体を通過させることにより前記飲料の前記第1の部分を入れ物内に調合するステップと、
c)1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第2の飲料カートリッジ(1)を前記飲料調製機に挿入するステップと、
d)前記飲料調製機を動作させて、前記第2の飲料カートリッジ内に水媒体を通過させることにより前記飲料の前記第2の部分を前記入れ物内に調合するステップと
を含み、
前記第1または第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記第1または第2の飲料カートリッジ(1)の一方は、飲料の煎出部分を形成するための原料を収容することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の飲料カートリッジ(1)を挿入する前に、前記第1の飲料カートリッジ(1)を取り出すステップをさらに含むことを特徴とする請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーであることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、リーフティであることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、液状コーヒー原料であることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記液状乳生成物を主原料とする原料は、濃縮した乳原料を主原料とする生成物であることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記濃縮した乳原料を主原料とする生成物は、濃縮型液状乳であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記濃縮型液状乳は、25から40%の全固形分を含有することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記濃縮型液状乳は、30%の全固形分を含有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記濃縮型液状乳は、0.1から12%の脂肪分を含有することを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
調合時、前記1種類または複数種類の液状乳生成物を主原料とする原料を泡立てるステップをさらに含むことを特徴とする請求項33から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
一連の飲料カートリッジ(1)を受ける手段および前記飲料カートリッジ内に水媒体を通過させる手段を有する飲料調製機(201)と、
前記飲料の第1の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第1の飲料カートリッジ(1)と、
前記飲料の第2の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第2の飲料カートリッジ(1)と
を含み、
前記第1または第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製システム。
【請求項1】
飲料を調合するためのカートリッジ(1)を製造する方法であって、
a.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(2)を製造するステップと、
b.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(3)を製造するステップと、
c.前記複数の外側部材および前記内側部材を保管するステップと、
d.前記複数の外側部材から、前記第1のタイプの外側部材または前記第2のタイプの外側部材の一方を選択するステップと、
e.前記複数の内側部材から、前記第1のタイプの内側部材または前記第2のタイプの内側部材の一方を選択するステップと、
f.前記選択した内側部材が前記選択した外側部材の内側になるように、前記内側部材を前記外側部材に結合するステップと、
g.前記外側部材に、複数の飲料原料から選択された1種類または複数種類の飲料原料(200)を充填するステップと、
h.前記外側部材を蓋(5)でシールして、前記カートリッジを形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップbに、前記第1のタイプおよび/または第2のタイプの内側部材(3)に対するフィルタ部材(4)の接合をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタイプの外側部材(2)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のタイプの外側部材(2)は、溶解性飲料原料、液体飲料原料またはこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の含有に適することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料を濾過し、前記調合される飲料に複数の気泡を混入させることに適することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のタイプの内側部材(3)は、フィルタ(4)を上に配置するフレーム(41)を含み、前記フレームの外側リム(51)は、前記選択したタイプの外側部材に溶着により結合されることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のタイプの内側部材(3)は前記飲料の噴射を生成する手段(70)を含み、前記手段は、前記カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第3のタイプの内側部材(3)を製造および保管するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第3のタイプの内側部材(3)は、溶解性飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第4のタイプの内側部材(3)を製造および保管するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第4のタイプの内側部材(3)は、液体飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3または第4のタイプの内側部材(3)は、出口を取り囲むスカート(80)を含み、
前記スカートは、前記カートリッジの組み立て時に、前記選択したタイプの外側部材(2)の協働構成部(19)と係合する上方リム(91)を有する上方延出部(81)を含み、前記第3または第4のタイプの内側部材を前記選択したタイプの外側部材に結合するスナップ嵌合構造を形成することを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
複数種類の飲料を調合するためのカートリッジシステムであって、
a.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの外側部材および第2のタイプの外側部材を少なくとも含む複数の外側部材(3)と、
b.互いに異なる形状または構造を有する第1のタイプの内側部材および第2のタイプの内側部材を少なくとも含む複数の内側部材(2)と、
c.複数種類の飲料原料(200)と、
d.前記カートリッジをシールするための少なくとも1つの蓋(5)と
を含み、
各カートリッジは、外側部材、内側部材、1種類または複数種類の飲料原料、および蓋を含むことを特徴とするカートリッジシステム。
【請求項15】
各カートリッジはさらにフィルタ(4)を含むことを特徴とする請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
前記第1のタイプの外側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料またはこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14または15に記載のカートリッジシステム。
【請求項17】
前記第2のタイプの外側部材(3)は、溶解性飲料原料、液体飲料原料またはこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項18】
前記第1のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の収容に適することを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項19】
前記第2のタイプの内側部材(3)は、焙煎および挽き作業を施した飲料原料およびこれと同種の原料の濾過に適し、前記調合される飲料に複数の気泡を混入させる手段を含むことを特徴とする請求項14から18のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項20】
前記第1および第2のタイプの内側部材(3)は、フィルタ(4)を上に配置するフレーム(41)を含み、前記フレームの外側リム(51)は、溶着により前記選択したタイプの外側部材に結合されることを特徴とする請求項14から19のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項21】
前記第2のタイプの内側部材(3)は前記飲料の噴射を生成する手段(70)を含み、前記手段は、前記カートリッジの入口と出口との間の飲料流路内の口部を含むことを特徴とする請求項19または20に記載のカートリッジシステム。
【請求項22】
第3のタイプの内側部材(3)をさらに含むことを特徴とする請求項14から21のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項23】
前記第3のタイプの内側部材(3)は、溶解性飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項22に記載のカートリッジシステム。
【請求項24】
第4のタイプの内側部材(3)をさらに含むことを特徴とする請求項14から23のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項25】
前記第4のタイプの内側部材(3)は、液体飲料原料およびこれに同種の原料の調合に適することを特徴とする請求項24に記載のカートリッジシステム。
【請求項26】
前記第3または第4のタイプの内側部材(3)は、出口を取り囲むスカート(80)を含み、
前記スカートは、前記カートリッジの組み立て時に、前記選択したタイプの外側部材(2)の協働構成部(19)と係合する上方リム(91)を有する上方延出部(81)を含み、前記第3または第4のタイプの内側部材を前記選択したタイプの外側部材に結合するためのスナップ嵌合構造を形成することを特徴とする請求項22から25のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項27】
飲料を調合する方法であって、
a)1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第1の飲料カートリッジ(1)を飲料調製機(201)に挿入するステップと、
b)前記飲料調製機を動作させて、前記第1の飲料カートリッジ内に水媒体を通過させることにより前記飲料の前記第1の部分を入れ物内に調合するステップと、
c)1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第2の飲料カートリッジ(1)を前記飲料調製機に挿入するステップと、
d)前記飲料調製機を動作させて、前記第2の飲料カートリッジ内に水媒体を通過させることにより前記飲料の前記第2の部分を前記入れ物内に調合するステップと
を含み、
前記第1または第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記第1または第2の飲料カートリッジ(1)の一方は、飲料の煎出部分を形成するための原料を収容することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の飲料カートリッジ(1)を挿入する前に、前記第1の飲料カートリッジ(1)を取り出すステップをさらに含むことを特徴とする請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーであることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、リーフティであることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第1または第2の飲料カートリッジ内の前記飲料原料は、液状コーヒー原料であることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記液状乳生成物を主原料とする原料は、濃縮した乳原料を主原料とする生成物であることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記濃縮した乳原料を主原料とする生成物は、濃縮型液状乳であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記濃縮型液状乳は、25から40%の全固形分を含有することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記濃縮型液状乳は、30%の全固形分を含有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記濃縮型液状乳は、0.1から12%の脂肪分を含有することを特徴とする請求項33から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
調合時、前記1種類または複数種類の液状乳生成物を主原料とする原料を泡立てるステップをさらに含むことを特徴とする請求項33から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
一連の飲料カートリッジ(1)を受ける手段および前記飲料カートリッジ内に水媒体を通過させる手段を有する飲料調製機(201)と、
前記飲料の第1の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第1の飲料カートリッジ(1)と、
前記飲料の第2の部分を調製するための1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容する第2の飲料カートリッジ(1)と
を含み、
前記第1または第2の飲料カートリッジの一方は、液状乳生成物を主原料とする原料を収容することを特徴とする飲料調製システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【図46a】
【図46b】
【図46c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【図46a】
【図46b】
【図46c】
【公開番号】特開2012−40424(P2012−40424A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259183(P2011−259183)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−263201(P2008−263201)の分割
【原出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(501175214)クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド (56)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−263201(P2008−263201)の分割
【原出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(501175214)クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド (56)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
【Fターム(参考)】
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