説明

飲料ディスペンサ

【課題】 飲料の飛び散りによりセンサが汚れた場合であっても、適切にカップの検出を実行し、機器の信頼性の向上を図る飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】 カップの大きさを検出する光学式のカップサイズ検出用センサ13、14、15と、このカップサイズ検出用センサ13、14、15の出力に基づいてカップへの飲料供給量を制御する制御装置3とを備えた飲料ディスペンサ1において、カップサイズ検出用センサ13、14、15とは異なる位置に設けられ、カップの存在を検出する光学式のカップ有無検出用センサ32を設け、制御装置3は、カップサイズ検出用センサ13、14、15の出力とカップ有無検出用センサ32の出力に基づいてセンサ汚れを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるカップの大きさに応じて所定量の飲料の供給を行う飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体原料タンクに充填された液体原料と希釈水や炭酸水などの希釈液とを混合した飲料をカップに供給する飲料ディスペンサでは、予め規定されたカップの大きさに応じて飲料の供給量が決定されている。この場合、飲料ディスペンサの前面には、各飲料ごとにそれぞれ複数のカップ選択ボタンが設けられている。そして、使用者は、カップの大きさに応じて、所望の飲料に応じたカップ選択ボタンを選択することで、カップの大きさに応じた飲料の供給を行うことができる。
【0003】
しかし、係る構成では、限られた飲料ディスペンサのコントロールパネルに飲料の種類に応じたカップ選択ボタンを設けることから、選択ボタンの大きさが小さくなり、また、パネル全体のボタン数が増え、使用性の悪化を招く問題があった。
【0004】
そこで、上記課題を解決するため、従来では、各カップの大きさに対応する複数の光反射型センサを設け、使用者が飲料の選択を行うことで、カップの大きさに応じた飲料の供給を行うことができる装置が開発されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−26293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した如き従来の飲料ディスペンサでは、飲料をカップに供給する際に、飲料の飛び散りによりセンサが汚れ、誤検出の原因となる。そこで、上記センサに飛散する飲料がかかりセンサが汚れることを防止するためにセンサの前面にスプラッシュプレートを設けたものも開発されているが、当該スプラッシュプレートを検出してしまうことで、これによっても誤検出の原因となることがあり、センサに対応する箇所に穴をあけて当該誤検出の原因を抑制していた。しかし、かかる場合には、穴を介して飲料がセンサに飛び散ることもあり、センサの汚れによる誤検出は、解消されないという問題があった。
【0006】
また、センサが飲料の飛び散り等により汚れた場合には、当該センサの汚れを報知するための汚れ報知ランプを点灯し、使用者に清掃を促していた。この汚れ報知ランプは、各カップの大きさに対応して設けられたセンサによる出力が論理的に異常な場合、即ち、上側に位置するセンサがカップを検出しているにもかかわらず、それよりも下側に位置するセンサが検出してない場合には、センサに汚れが付着したと判断し、汚れ報知ランプを点灯する。また、飲料の供給終了から一定時間経過後も継続してセンサがカップを検出している場合にも、センサに汚れが付着していると判断し、汚れ報知ランプを点灯していた。
【0007】
しかしながら、一定時間経過後にカップを検出している場合にまで汚れ報知ランプを点灯すると、本来、カップが継続して置かれていることからセンサがカップの検出を行っている場合にまで、汚れ報知ランプを点灯することとなる。そのため、センサに汚れが付着していない場合にまで使用者に、汚れ報知を行うこととなり、使用性の悪化や機器の信頼性の低下を招く問題があった。
【0008】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、飲料の飛び散りによりセンサが汚れた場合であっても、適切にカップの検出を実行し、機器の信頼性の向上を図る飲料ディスペンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の飲料ディスペンサは、カップの大きさを検出する光学式のカップサイズ検出用センサと、このカップサイズ検出用センサの出力に基づいてカップへの飲料供給量を制御する制御手段とを備えたものであって、カップサイズ検出用センサとは異なる位置に設けられ、カップの存在を検出する光学式のカップ有無検出用センサを設け、制御手段は、カップサイズ検出用センサの出力とカップ有無検出用センサの出力に基づいてセンサ汚れを判断することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明の飲料ディスペンサは、上記発明において、制御手段は、センサ汚れ報知手段を備え、カップサイズ検出用センサ又はカップ有無検出用センサのいずれか一方のみがカップの存在を検出した場合、センサ汚れ報知手段にてセンサ汚れを報知することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明の飲料ディスペンサは、上記各発明において、カップ有無検出用センサは、使用される最も小さいカップを検出可能な位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明の飲料ディスペンサは、上記各発明において、カップサイズ検出用センサは、飲料をカップに供給する複数の飲料供給位置に対応してそれぞれ設けられ、カップ有無検出用センサは、各飲料供給位置の何れかにカップが存在する場合に当該カップを検出する位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明の飲料ディスペンサは、上記発明において、カップ有無検出用センサは、カップまでの距離を測定可能なセンサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、カップの大きさを検出する光学式のカップサイズ検出用センサと、このカップサイズ検出用センサの出力に基づいてカップへの飲料供給量を制御する制御手段とを備えた飲料ディスペンサにおいて、カップサイズ検出用センサとは異なる位置に設けられ、カップの存在を検出する光学式のカップ有無検出用センサを設け、制御手段は、カップサイズ検出用センサの出力とカップ有無検出用センサの出力に基づいてセンサ汚れを判断することにより、カップサイズ検出用センサが何れかのサイズのカップを検出している状態で、カップ有無検出用センサがカップの存在を検出しない場合は、カップサイズ検出用センサの汚れと判断することができる。逆に、カップサイズ検出用センサが何れのサイズのカップも検出していない状態で、カップ有無検出用センサがカップの存在を検出している場合は、カップ有無検出用センサの汚れと判断することができる。
【0015】
そのため、カップ検出精度を向上させることができ、機器の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0016】
請求項2の発明では、上記発明において、制御手段は、センサ汚れ報知手段を備え、カップサイズ検出用センサ又はカップ有無検出用センサのいずれか一方のみがカップの存在を検出した場合、センサ汚れ報知手段にてセンサ汚れを報知することで、センサの掃除を使用者に促すことができるようになり、使用性が向上する。
【0017】
請求項3の発明では、上記各発明において、カップ有無検出用センサは、使用される最も小さいカップを検出可能な位置に設けられているため、飲料の供給に使用されるカップサイズにかかわらず、センサ汚れを確実に判断することが可能となる。
【0018】
請求項4の発明では、上記各発明において、カップサイズ検出用センサは、飲料をカップに供給する複数の飲料供給位置に対応してそれぞれ設けられ、カップ有無検出用センサは、各飲料供給位置の何れかにカップが存在する場合に当該カップを検出する位置に設けられていることにより、複数のうちの何れかの飲料供給位置のカップサイズ検出用センサが何れかのサイズのカップを検出している状態で、カップ有無検出用センサがカップの存在を検出しない場合、当該飲料供給位置のカップサイズ検出用センサの汚れ有りと判断することができる。
【0019】
また、何れのカップサイズ検出用センサもカップを検出していない状態で、カップ有無検出用センサがカップの存在を検出しているときは、当該カップ有無検出用センサの汚れと判断することができる。
【0020】
このとき、カップ有無検出用センサは複数の飲料供給位置に対して単一で構成することが可能となり、コストの低減を図ることができる。
【0021】
請求項5の発明では、上記発明において、カップ有無検出用センサは、カップまでの距離を測定可能なセンサであることから、上記に加えて、複数の飲料供給位置のカップサイズ検出用センサがカップを検出している状態で、カップ有無検出用センサが当該センサから遠い方の飲料供給位置のカップを検出しているときは、カップ有無検出用センサに近い方の飲料供給位置のカップサイズ検出用センサの汚れと判断することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本実施例の飲料ディスペンサ1について図1乃至図3を参照して説明する。図1は本実施例の飲料ディスペンサ1の正面構成図、図2は同じく飲料ディスペンサ1の側面構成図、図3は制御装置3の制御ブロック図を示している。
【0023】
本実施例の飲料ディスペンサ1は、液体原料タンクに充填された液体原料を送出して希釈水や炭酸水などの希釈液と混合して飲料としてカップに供給するものであり、断面略コ字状を呈する本体2により構成されている。本体2の上壁前面には詳細は後述するコントロールパネル10が設けられており、下壁には供給された飲料を受容するためのカップをセットするカップ設置台11が設けられている。
【0024】
飲料ディスペンサ1の本体2内には、内部に保冷庫冷却コイルを備える図示しない保冷庫と、保冷庫冷却コイルに冷媒を送る図示しない冷却器と、保冷庫冷却コイルで冷やした冷気を保冷庫内に循環させる図示しない冷気送風装置が設けられている。
【0025】
また、この本体2には、図示しない各液体原料タンクごとに接続されたシロップ流路が構成される。このシロップ流路には流量を調節するフローレギュレータ及び詳細は後述する制御装置3からの信号で液体原料供給をオン、オフする働きをする飲料吐出電磁弁4を備えたポストミックスバルブ5が連通されると共に、図示しない希釈液流路が連通され、ポストミックスバルブ5に供給された液体原料と希釈液はノズルで混合されて飲料となり供給される。複数のポストミックスバルブ5のそれぞれを示す図1のポストミックスバルブ5A、5Bは、上壁下面に設けられており、供給した飲料がカップ設置台11上にセットされた1つのカップ内に注がれるように配設されている。図中6(6A、6B)は、ポストミックスバルブ5(5A、5B)のノズルカバーである。
【0026】
上壁と下壁の間に位置する本体2の前面、即ちポストミックスバルブ5から供給された飲料が注がれるカップ位置(飲料供給位置)には、上下に渡ってそれぞれ所定の間隔を存してカップサイズ検出用センサ(以下、サイズセンサと称する。)13、14、15が設けられている。サイズセンサ13、14、15は、例えば、光の発光部と受光部を備えた光学測距方式の光反射型センサ(光センサ)であり、発光部からの光がカップの側面に当たり反射すると、その反射した光を受光部が受け信号を出力するものである。サイズセンサ13、14、15の受光部が反射された光を受けて信号を出力しているときはLサイズのカップL、サイズセンサ14、15の受光部が反射された光を受けて信号を出力しているときはMサイズのカップM、サイズセンサ15のみの受光部が反射された光を受けて信号を出力しているときはSサイズのカップSがセットされているとして詳細は後述する如く制御装置3が制御するようにしている。尚、複数のサイズセンサ13、14、15のそれぞれを示す図1のサイズセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15Bは、それぞれポストミックスバルブ5A、5Bに対応してカップ設置台11にセットされたカップを検出するように設けられている。
【0027】
また、本実施例では、各サイズセンサ13、14、15が設けられる上壁と下壁の間の本体2前面には、光透過率の低い素材にて構成されたスモーク板17がサイズセンサ13、14、15に密着して設けられている。そして、このスモーク板17の前面には、スプラッシュプレート18が着脱自在に取り付けられている。
【0028】
このスプラッシュプレート18は、ポストミックスバルブ5から飲料が吐出された際に、飲料がカップ外に飛び散り、上壁と下壁の間の本体2前面、特にサイズセンサ13、14、15を汚すのを防止する遮蔽板であり、本実施例では光透過性の透明板により構成されている。また、スプラッシュプレート18は上端が所定寸法だけ後退した後、更に上方に延出した上端部18Aが構成されており、この上端部18Aには、本体2の前面に設けられた吊下部材19に引っかけて吊下するための図示しない係止孔が形成されている。これにより、スプラッシュプレート18が汚れた場合にも簡単に取り外して洗浄を行うことができ、利便性が向上する。
【0029】
ここで、本実施例において、スプラッシュプレート18の後方であって、サイズセンサ13、14、15の前面に光透過率の低いスモーク板17を密着して取り付けているのは、光反射型センサが発光した信号を受光するには検出対象物から数mm程度離間しないと検出できない特性を利用したものである。即ち、サイズセンサ13、14、15にスモーク板17を密着させることで、スモーク板17の検出を回避することができる。更に、スモーク板17に光透過率の低いものを用いているのは、光学測距方式の光反射型センサは、発光量を減少させることで、発光した信号を受光するまでの距離をのばすことができる特性を利用したものである。即ち、スモーク板17の光透過率を低くすることで、スモーク板17を通過する光量を減衰することができ、これによって、スモーク板17の前面にスプラッシュプレート18が取り付けられていても当該スプラッシュプレート18を検出することなく、その先にあるカップを正確に検出することが可能となる。
【0030】
また、本体2の両側面には、前方に延出してセンサ保持部材31、31が設けられている。このセンサ保持部材31は、本体2の上壁と下壁との間に位置して設けられており、前端は、カップ設置台11にカップが載置された場合に、当該カップの略中心部に相当する位置に対応して形成される。また、このセンサ保持部材31が取り付けられる高さ位置は、好ましくは、図1及び図2に示すように使用される最も小さいカップ、本実施例では、カップSを検出可能とする位置であるものとする。
【0031】
そして、このセンサ保持部材31の前端には、これらセンサ保持部材31、31が対向する面にカップ有無検出用センサ(以下、有無センサと称する。)32が設けられている。有無センサ32は、例えば、光の発光部と受光部を備えた光学測距方式の光反射型センサ(光センサ)であり、発光部からの光がカップの側面に当たり反射すると、その反射した光を受光部が受け信号を出力するものである。カップ検出センサ32の受光部が反射された光を受けて信号を出力しているときは、カップがセットされているとして詳細は後述する如く制御装置3が制御する。また、当該信号は、検出する物体との距離によって出力される電流が異なるものであり、当該電流によって、検出する物体の位置を把握することができる。
【0032】
他方、本体2内には、図示しない冷却水槽が設けられており、当該水槽内の冷却水は、前記冷却器で冷却されている。そして、この冷却水は図示しないカーボネータ(炭酸水製造装置)内の炭酸水や図示しない水冷却コイル内の希釈水等の希釈液を冷やす働きをしている。カーボネータに接続された炭酸水流路及び水冷却コイル出口側には流量を調節する図示しないフローレギュレータが接続され、その先には供給する飲料の種類(例えば炭酸飲料、無炭酸飲料等)に合わせて配設されたポストミックスバルブが連通され、ノズルで液体原料と希釈液が混合されて飲料となりカップに供給される構成とされている。
【0033】
次に、本体2上壁前面に設けられたコントロールパネル10について説明する。コントロールパネル10には、飲料が吐出されるポストミックスバルブ5に対応して、供給する飲料の種類を表示する飲料表示ラベル21が取り付けられていると共に、その飲料表示ラベル21の下方には、対応する飲料の供給を指示する飲料選択ボタン22が設けられている。尚、複数の飲料表示ラベル21及び飲料選択ボタン22のそれぞれを示す図1の飲料表示ラベル21A、21B及び飲料選択ボタン22A、22Bは、当該飲料の吐出を行うポストミックスバルブ5A、5Bの上方に対応して設けられている。
【0034】
更に、コントロールパネル10には、それぞれのサイズセンサ13A、14A、15A及び13B、14B、15Bに対応してセンサの検出状態を表示するセンサ状態ランプ23A、24A、25A、23B、24B、25Bが設けられている。特に、本実施例では、コントロールパネル10に各大きさ(L、M、Sサイズ)のカップをそれぞれのポストミックスバルブ5に対応して表示し、カップの各大きさに対応してセンサ状態ランプ23A、24A、25A、23B、24B、25Bを配置している。
【0035】
図1中26は、いずれかのセンサ13、14、15、32が汚れていることを告知すると共に、飲料供給の禁止状態を告知するセンサ汚れ報知ランプである。また、本体2には、例えば図2に示すような入力端末30が接続されており、これにより、詳細は後述するようなモード切替及び各カップの大きさごとの飲料吐出電磁弁4(ポストミックスバルブ5)の開放時間を設定することが可能となる。
【0036】
尚、上記飲料選択ボタン22(22A、22B)、サイズセンサ13、14、15(13A、14A、15A、13B、14B、15B)、センサ状態ランプ23A、24A、25A、23B、24B、25B、センサ汚れ報知ランプ26及び飲料吐出電磁弁4は、図3に示す如く制御装置3に接続されており、各モードに対応して制御される。また、この制御装置3には、記憶手段としてのメモリ27及びタイマ28が接続されているおり、センサ13、14、15において検出されたカップの大きさに応じて予め決定された供給量に応じた時間をメモリ27に記憶し、飲料選択ボタン22が操作された際に、タイマ28に基づき飲料吐出電磁弁4をメモリ27に記憶していた時間だけ開放する。尚、制御装置3には、上述した如き入力端末30(図示せず)も接続されており、これにより、上記供給時間の設定や記憶状態の表示を行うことが可能となる。
【0037】
以上の構成により、飲料の供給動作について説明する。尚、冷却器により冷却水槽内の冷却水は冷却されていると共に、保冷庫に設けられた保冷庫冷却コイルに冷媒を循環し、保冷庫冷却コイルにより冷却された冷気を冷気送風装置により保冷庫内に循環送風することで、保冷庫内は冷却されており、飲料の販売可能待機状態とされているものとする。また、冷却方式は、これに限定されるものではなく、例えば、大量販売する場合などには、外付けのコールドプレート方式、即ち、例えばアルミダイキャスト内にシロップ、炭酸水、水などの各配管を埋め込み、外側から氷によって冷却するものにより構成されていてもよいものとする。
【0038】
係る状態で、任意の大きさのカップをカップ設置台11にセットし、何れかの飲料選択ボタン22を操作する。ここで、図4乃び図5のフローチャート図を参照して、各センサ13A、14A、15A、13B、14B、15B及び32によるカップの有無及びサイズの判別、更にはセンサの汚れを検出する動作について説明する。先ず初めに、制御装置3は、上記飲料の販売可能待機状態において有無センサ32、32からの出力があるか、更には、サイズセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15Bからの出力があるか否かを判断する(ステップS1)。
【0039】
双方のセンサの出力がない場合には、制御装置3は、ステップS2に進み、サイズセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15B及び有無センサ32、32のいずれか一方のセンサからのみの出力があるか否かを判断する。即ち、サイズセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15Bの内のいずれか一つ又は複数のみが出力されており、有無センサ32、32が出力されていない場合、逆に、サイズセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15Bの内のいずれも出力されておらず、有無センサ32、32が出力されている場合には、ステップS3に進み、出力がない場合には、再び販売可能待機状態に戻る。
【0040】
そして、ステップS3では、制御装置3は、いずれかのセンサ13A、14A、15A、13B、14B、15B及び32、32に汚れが付着していると判定し、ステップ4に進み、汚れ報知センサ26を点灯するとともに、飲料の供給を禁止する。
【0041】
他方、制御装置3は、ステップS1において、いずれかのサイズセンサ及び有無センサ32の双方の出力があった場合には、ステップS5に進み、有無センサ32の電圧を検出し、当該検出された電圧が右側のポストミックスバルブ5Aに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧であるか否かを判断する。この検出された電圧が右側のポストミックスバルブ5Aに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧である場合には、制御装置3は、ステップS9に進む。
【0042】
ステップS9では、出力されているサイズセンサが右側のポストミックスバルブ5Aに対応するセンサ13A、14A、15Aのみの出力であるか否かを判断し、サイズセンサ13A、14A、15Aのいずれかのセンサのみから出力がある場合には、ステップS10に進み、右側のポストミックスバルブ5Aに対応する飲料供給位置におけるサイズ判定を実行する。他方、ステップS9において、出力されているサイズセンサが右側のポストミックスバルブ5Aに対応するセンサ13A、14A、15A以外のセンサ、即ち、センサ13B、14B、15Bの出力もある場合には、ステップS11に進む。
【0043】
ステップS11では、制御装置3は、左側の有無センサ32の電圧を検出し、当該検出された電圧が左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧であるか否かを判断する。この検出された電圧が左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップがおかれたことを検出する距離に対応する電圧である場合には、制御装置3は、ステップS12に進み、左側のポストミックスバルブ5Bに対応する飲料供給位置におけるサイズ判定を実行する。次に、右側の判定を行うためステップS10に進み、右側のポストミックスバルブ5Aに対応する飲料供給位置におけるサイズ判定を実行する。
【0044】
他方、この検出された電圧が左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧でない場合には、制御装置3は、ステップS3に進み、左側のサイズセンサ13B、14B、15Bのいずれかが汚れていると判定し、汚れ報知センサ26を点灯した後(ステップS4)、右側の判定をするためステップS10に進み、右側のポストミックスバルブ5Aに対応飲料供給位置におけるサイズ判定を実行する。
【0045】
一方、制御装置3は、ステップS5において、検出された電圧が、右側のポストミックスバルブ5Aに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧でない場合には、ステップS6に進み、当該検出された電圧が、左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧であるか否かを判断する。そして、当該電圧が、左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧でない場合には、制御装置3は、ステップS3に進み、上記と同様に、センサに汚れが付着していると判定し、汚れ報知センサ26を点灯する(ステップS4)。
【0046】
ステップS6にて検出された電圧が、左側のポストミックスバルブ5Bに対応した位置にカップが置かれたことを検出する距離に対応する電圧であると判断した場合には、制御装置3は、ステップS7に進み、出力されているサイズセンサが左側の飲料供給位置に対応するものであるか否かを判断する。そして、ステップS7において、出力されているサイズセンサが左側の飲料供給位置に対応するセンサ13B、14B、15Bのいずれかである場合には、ステップS8に進み、左側のポストミックスバルブ5Bに対応する飲料供給位置におけるサイズ判定を実行する。また、ステップS7において、左側の飲料供給位置に対応するセンサ13B、14B、15Bの出力がない場合には、有無センサ32に汚れが付着していることを意味し、そのため、制御装置3は、ステップS3に進み、センサに汚れが付着していると判定し、汚れ報知センサ26を点灯するとともに、飲料の供給を禁止する(ステップS4)。
【0047】
尚、上記各サイズ判定においては、図5に示す如きフローチャート図に従って、各飲料供給位置におけるカップのサイズ判定を行う。即ち、制御装置3は、ステップS21においてサイズセンサ13(上段)、14(中段)、15(下段)のいずれのセンサからも出力があるか否かを判断し、ある場合には、ステップS22に進み、飲料供給位置に置かれたカップがカップLであると判定する。また、ステップS21において、サイズセンサ13、14、15のすべてのセンサから出力がない場合には、ステップS23に進み、サイズセンサ14(中段)、15(下段)のいずれのセンサからも出力があるか否かを判断する。ある場合には、ステップS24に進み、飲料供給位置に置かれたカップがカップMであると判定する。またステップS23において、サイズセンサ14、15のセンサすべてから出力がない場合には、ステップS25に進み、サイズセンサ15(下段)からのみ出力があるか否かを判断する。下段のみの出力がある場合には、ステップS26に進み、飲料供給位置に置かれたカップがカップSであると判定する。
【0048】
そして、カップサイズの判定に伴い、制御装置3は、コントロールパネル10のセンサ状態ランプの所定の表示を行う。即ち、セットされたカップがカップLである場合には、カップLに該当するセンサ状態ランプ23のみが点灯する。セットされたカップがカップMである場合には、センサ状態ランプ24のみが点灯する。セットされたカップがカップSである場合には、センサ状態ランプ25のみが点灯する。尚、当該センサ状態ランプの表示形態はこれに限るものではない。
【0049】
その後、制御装置3は、検出されたカップの大きさに応じた量の飲料をカップに供給するため、予めカップの大きさごとにメモリ27に記憶された供給時間だけタイマ28に基づき対応する飲料吐出電磁弁4(ポストミックスバルブ5)に信号が出力され、飲料吐出電磁弁4を開放すると、液体原料タンクに収納している液体原料とカーボネータからの炭酸水又は希釈水が供給されポストミックスバルブ5内で混合され飲料となり、カップの大きさに応じた量の飲料が供給される。
【0050】
これに対し、ステップS21、ステップS23、ステップS25のいずれのセンサ出力パターンにも属さない場合、たとえば、サイズセンサ13、14のみが出力、又は、サイズセンサ13、15のみが出力、もしくは、サイズセンサ13のみ、若しくは14のみが出力している場合など、論理的に異常が発生している場合には、制御装置3は、センサ論理異常が発生していると判断し(ステップS27)、ステップ28に進み、汚れが付着していると判定し、汚れ報知センサ26を点灯するとともに、飲料の供給を禁止する(ステップS29)。
【0051】
これにより、サイズセンサ13、14、15に加えて、有無センサ32を備えていることから、上述した如くサイズセンサ13、14、15が何れかのサイズのカップを検出している状態で、有無センサ32がカップの存在を検出しない場合は、サイズセンサ13、14、15のいずれかのセンサの汚れと判断することができる。逆に、サイズセンサ13、14、15が何れのサイズのカップも検出していない状態で、有無センサ32がカップの存在を検出している場合は、有無センサ32の汚れと判断することができる。
【0052】
そのため、カップ検出精度を向上させることができ、機器の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0053】
また、本実施例の飲料ディスペンサ1は、センサ汚れを使用者に報知するための汚れ報知ランプ26を備えており、サイズセンサ13、14、15又は有無センサの32いずれか一方のみがカップの存在を検出した場合、センサ汚れ報知ランプ26にてセンサ汚れを報知することで、センサの掃除を使用者に促すことができるようになり、使用性が向上する。
【0054】
更に、有無センサ32は、使用される最も小さいカップ、即ちカップSを検出可能な位置に設けられているため、飲料の供給に使用されるカップサイズにかかわらず、センサ汚れを確実に判断することが可能となる。
【0055】
また、本実施例の飲料ディスペンサ1のように、サイズセンサ13、14、15は、飲料をカップに供給する複数の飲料供給位置に対応してそれぞれ設けられ、有無センサ32は、各飲料供給位置の何れかにカップが存在する場合に当該カップを検出する位置に設けられているため、複数のうちの何れかの飲料供給位置のサイズセンサ13、14、15が何れかのサイズのカップを検出している状態で、有無センサ32がカップの存在を検出しない場合、当該飲料供給位置のサイズセンサ13、14、15の汚れ有りと判断することができる。
【0056】
また、何れのサイズ検出用センサ13、14、15もカップを検出していない状態で、有無センサ32がカップの存在を検出しているときは、当該有無センサ32の汚れと判断することができる。
【0057】
尚、有無センサ32は、複数の飲料供給位置にそれぞれ対応して設けてもよいが、本実施例の構成とすることで、有無センサ32は複数の飲料供給位置に対して単一で構成することが可能となり、コストの低減を図ることができる。
【0058】
更にまた、有無センサ32は、カップまでの距離を測定可能なセンサであることから、複数の飲料供給位置のサイズセンサ13、14、15のいずれかがカップを検出している状態で、有無センサ32が当該センサから遠い方の飲料供給位置のカップを検出しているときは、有無センサ32に近い方の飲料供給位置のサイズセンサ13、14、15の汚れと判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例の飲料ディスペンサの正面構成図である。
【図2】同じく飲料ディスペンサの側面構成図である。
【図3】制御装置の制御ブロック図である。
【図4】カップの有無及び汚れを検出するフローチャート図である。
【図5】カップサイズを判定するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0060】
1 飲料ディスペンサ
2 本体
3 制御装置
4 飲料吐出電磁弁
5、5A、5B ポストミックスバルブ
10 コントロールパネル
13、14、15 カップサイズ検出用センサ(サイズセンサ)
23A、23B、24A、24B、25A、25B センサ状態ランプ
26 センサ汚れ報知ランプ
31 センサ保持部材
32 カップ有無検出用センサ(有無センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップの大きさを検出する光学式のカップサイズ検出用センサと、該カップサイズ検出用センサの出力に基づいて前記カップへの飲料供給量を制御する制御手段とを備えた飲料ディスペンサにおいて、
前記カップサイズ検出用センサとは異なる位置に設けられ、前記カップの存在を検出する光学式のカップ有無検出用センサを設け、
前記制御手段は、前記カップサイズ検出用センサの出力と前記カップ有無検出用センサの出力に基づいてセンサ汚れを判断することを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記制御手段は、センサ汚れ報知手段を備え、
前記カップサイズ検出用センサ又はカップ有無検出用センサのいずれか一方のみが前記カップの存在を検出した場合、前記センサ汚れ報知手段にてセンサ汚れを報知することを特徴とする請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記カップ有無検出用センサは、使用される最も小さいカップを検出可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の飲料ディスペンサ。
【請求項4】
前記カップサイズ検出用センサは、飲料を前記カップに供給する複数の飲料供給位置に対応してそれぞれ設けられ、前記カップ有無検出用センサは、前記各飲料供給位置の何れかに前記カップが存在する場合に当該カップを検出する位置に設けられていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の飲料ディスペンサ。
【請求項5】
前記カップ有無検出用センサは、前記カップまでの距離を測定可能なセンサであることを特徴とする請求項4の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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