説明

飲料ノズルの洗浄装置

【課題】飲料ノズルの洗浄を自動的に終了する飲料ノズルの洗浄制御装置を提供すること。
【解決手段】原液を吐出する原液ノズルと原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、原液ノズルと希釈液ノズルとを同時に覆い、希釈液ノズルから吐出した希釈液を原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄開始ボタン26を押下した場合にあらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出させる制御部7とを備えたので、洗浄開始ボタン26を押下するとあらかじめ定めた時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出し、飲料ノズルを洗浄する。そして、あらかじめ定めた洗浄時間が経過すると希釈液の吐出を終了し、飲料ノズルの洗浄が自動的に終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルは、原液を吐出する原液ノズルと、希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えている。そして、原液ノズルから吐出した原液を希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する。このように、原液を吐出する原液ノズルと希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルは、毎日洗浄することにより、清潔に保たれる。
【0003】
本願出願人は、飲料ノズルを容易に洗浄すべく、飲料ノズルの洗浄装置を提案している。本願出願人が提案している飲料ノズルの洗浄装置は、原液ノズルと希釈液ノズルとを同時に覆い、希釈液ノズルから希釈液を吐出すると、希釈液を原液ノズルに誘導する洗浄カバーを飲料ノズルに着脱可能に備えている。そして、飲料ノズルに洗浄カバーを装着した状態で希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、希釈液は原液ノズルに誘導され、原液ノズルに付着した原液を洗い流す。これにより、原液ノズルは清潔に保たれる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−255942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄ボタンを操作することにより、希釈液ノズルから希釈液が吐出され、飲料ノズルの洗浄を開始するものの、いかにして洗浄を終了するか明らかでない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、飲料ノズルの洗浄を自動的に終了する飲料ノズルの洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段と、前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合にあらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出させる洗浄制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄制御手段が、希釈液ノズルから希釈液を吐出させている状態において、前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に、希釈液の吐出を中止させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄制御手段があらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液を吐出させた後に原液ノズルから原液を吐出させる飲料注出準備手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、飲料ノズルの洗浄を最後に終了した時刻を記憶する洗浄時刻記憶手段と、前記洗浄時刻記憶手段が記憶した時刻からあらかじめ定めた時間が経過した場合にその旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄制御手段が、あらかじめ定めたパターンにしたがって希釈液を吐出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、希釈液ノズルから吐出した希釈液を原液ノズルに誘導し、原液ノズルを洗い流す飲料ノズル洗浄モードと、前記希釈液ノズルから希釈液を吐出し、飲料配管を洗い流す飲料配管洗浄モードとを実行する飲料ノズルの洗浄装置において、前記希釈液ノズルと前記原液ノズルとを同時に覆う洗浄カバーを検出する洗浄カバー検出手段と、洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段とを備え、前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出した状態で前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料ノズル洗浄モードを実行し、前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出しない状態で前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料配管洗浄モードを実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出した状態で飲料の注出を禁止する飲料注出禁止手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記飲料ノズル洗浄モードまたは前記飲料配管洗浄モードを無効化する無効化設定手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段と、洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合にあらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出させる洗浄制御手段とを備えたので、洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力されるとあらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出し、飲料ノズルを洗浄する。そして、あらかじめ定めた洗浄時間が経過すると希釈液の吐出を終了し、飲料ノズルの洗浄が自動的に終了する。
【0016】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、希釈液ノズルと原液ノズルとを同時に覆う洗浄カバーを検出する洗浄カバー検出手段と、洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段とを備え、洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出した状態で洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料ノズル洗浄モードを実行し、洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出しない状態で洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料配管洗浄モードを実行するので、洗浄モードごとに洗浄開始命令入力手段を設ける必要がない。また、洗浄カバーが希釈液ノズルと原液ノズルとを覆った状態で飲料配管洗浄モードが実行されることもなければ、希釈液ノズルと原液ノズルとが露出した状態で飲料ノズル洗浄モードが実行されることもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図4】図4は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図5】図5は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図6】図6は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図7】図7は、原液と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す図である。
【図8】図8は、飲料ディスペンサの制御構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、図8に示した飲料ノズルの洗浄装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄に用いるもので、飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機に搭載される。ここでは、飲料ディスペンサに搭載された飲料ノズルの洗浄に好適な飲料ノズルの洗浄装置を例に説明するが、飲料ディスペンサの飲料ノズルの洗浄に限られるものではなく、カップ式飲料自動販売機の飲料ノズルの洗浄に用いることも可能である。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図であり、図2は、図1に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【0021】
図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、ディスペンサ本体2と操作パネル3とを備えている。図2に示すように、ディスペンサ本体2は、前面が開口した箱体であり、その底部には、高さ調整をするための調整脚21が設けてある。また、ディスペンサ本体2の内部にはバッグインボックス(液体容器)B(以下「BIB」という)を収容する収容庫22が設けてある。BIBは、濃縮飲料を封入した袋状の容器をさらに箱状の容器に収容したもので、たとえば、濃縮飲料を封入したプラスチック製の袋容器をさらに段ボール製の箱容器に収容することにより構成してある。そして、BIBに封入された濃縮飲料を注出した場合に、箱容器の内部で袋容器が収縮することにより、袋容器の内部に空気が入る事態を回避し、濃縮飲料の酸化を防止する。
【0022】
ディスペンサ本体2の内部であって、収容庫の下方域となる部位には、チューブポンプ4が設けてある。チューブポンプ4は、BIBに封入された濃縮飲料を汲み出すためのもので、BIBごとに設けてある。たとえば、図2に示すように、図1に示す飲料ディスペンサ1の収容庫22には、二つのBIBが収容可能であり、収容庫22の下方域となる部位には、二つのチューブポンプ4が設けてある。
【0023】
チューブポンプ4は、BIBに設けられたチューブ41の一点を押し潰したローラを移動させることにより、チューブ41の内部の濃縮飲料を押し出すもので、チューブ41の開放端41aは保持されて、濃縮飲料の吐出口を構成する。そして、ローラが移動すると、ローラによって押し潰されたチューブ41は、その復元力により元の形状に戻り、その際にチューブ41の内部が真空となり、チューブ41の内部に濃縮飲料を吸引する。
【0024】
また、チューブ41の開放端41aの左側方域には、希釈液の吐出口42が設けてある。希釈液の吐出口42は、濃縮飲料を希釈する希釈液を吐出するための吐出口であり、希釈液の吐出口42から吐出された希釈液は濃縮飲料と混合され、濃縮飲料を希釈する。希釈液は、飲料水、炭酸水などであり、注出する飲料が無炭酸飲料の場合には吐出口42から飲料水を吐出し、注出する飲料が炭酸飲料の場合には吐出口42から炭酸水を吐出する。また、注出する飲料が微炭酸飲料の場合には吐出口42から飲料水と炭酸水とを交互に吐出する。
【0025】
また、チューブポンプ4の右側方域には、飲料ノズル5が設けてある。飲料ノズル5は、後述するように、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル51と、飲料水、炭酸水などの希釈液を吐出する希釈液ノズル52とを別々に有しており、原液ノズル51から吐出した原液と希釈液ノズル52から吐出した希釈液とを混合することにより、原液を希釈する。
【0026】
図1に示すように、チューブポンプ4および飲料ノズル5の下方域となるディスペンサ本体2の下端部には、ドリップトレイ23を備えている。ドリップトレイ23は、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料を受け止めるためのもので、その上には、飲料カップを置くためのカップレスト24が載置してある。カップレスト24は、鋼線などの線材を桟状に構成したもので、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料はカップレスト24を通り、ドリップトレイ23に受け止められる。
【0027】
操作パネル3は、ディスペンサ本体2の前面開口を覆うためのもので、ディスペンサ本体2の一側縁部(図1に示す飲料ディスペンサ1は左側縁部)に開閉可能に支承されている。操作パネル3の前面には、飲料選択ボタン31を備えている。
【0028】
飲料選択ボタン31は、チューブポンプ4および飲料ノズル5に対応して配置されている。具体的には、飲料選択ボタン31の配置位置とチューブポンプ4および飲料ノズル5の配置位置とが対応するように配置され、飲料選択ボタン31で選択された飲料を当該飲料選択ボタン31の下方域に置かれた飲料カップに注出する。
【0029】
たとえば、チューブポンプ4から吐出する濃縮飲料を原料とする飲料は通常一種類に限られるので、図1に示すように、一つのチューブポンプ4に対して一つの飲料選択ボタン31が配置されている。一方、飲料ノズル5からは通常複数種類の飲料が注出されるので、図1に示すように、一つの飲料ノズル5に対して複数の飲料選択ボタン31が配置されている。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。図4は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【0031】
図3および図4に示すように、飲料ノズル5は、ノズル本体50を備えている。ノズル本体50は、ディスペンサ本体2に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体50は、取付基部50aから開放端部50bに向けて斜め下方に延在しており、取付基部50a側には、飲料水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル52に供給するパイプ53が着脱可能に取り付けてあり、パイプ53よりも開放端部50b側には、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル51が一体に設けてある。パイプ53の基部側となる一端には、希釈液接続管54が接続してあり、希釈液ノズル52から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管54からパイプ53に希釈液が供給される。また、パイプ53の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル52が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管54からパイプ53に供給された希釈液は、希釈液ノズル52から吐出する。そして、原液ノズル51から突出した原液を希釈液ノズル52から吐出した希釈液が希釈することにより、原液と希釈液とが混合した飲料が飲料カップに注出される。
【0032】
図3および図4に示すように、原液ノズル51は、ノズル本体50の取付基部50aから開放端部50bに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部50aから開放端部50bに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての原液ノズル51から吐出した原液は、カップレスト24(図1参照)に置かれた飲料カップに注がれる。
【0033】
また、原液ノズル51は、基部側が円筒形に形成してあり、原液ノズル51に原液を供給する原液管路55(シロップ管路)が接続してある(図7参照)。一方、原液ノズル51の開放部51b側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した原液が螺旋を描くように形成してある。
【0034】
図3および図4に示すように、希釈液ノズル52の先端部52aは、原液ノズル51に向けて傾いており、原液ノズル51に対向する側面に吐出口52bが開口している。これにより、原液ノズル51から突出した原液と希釈液ノズル52から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈される。
【0035】
また、希釈液ノズル52の先端には、一対の側壁部52cが設けてある。側壁部52cは、原液ノズル51の側方域を遮蔽し、原液の飛散を防止する。なお、対となる側壁部52cの間は、開放しており、原液ノズル51から吐出した原液の障害となることはない。
【0036】
ところで、図3および図4に示す飲料ノズル5は、ノズル本体50に六つの原液ノズル51が設けてあり、最大六種類の原液を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体50に取り付けたパイプ53には、飲料水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、原液を飲料水で希釈した無炭酸飲料、原液を炭酸水で希釈した炭酸飲料、原液を飲料水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【0037】
図5は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。図6は、図3に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【0038】
図3および図5に示すように、ノズル本体50には、洗浄カバー8が取り付けてある。図5および図6に示すように、洗浄カバー8は、原液ノズル51と希釈液ノズル52とを同時に覆い、希釈液ノズル52から吐出した希釈液を原液ノズル51に誘導するためのものである。
【0039】
図3および図5に示すように、洗浄カバー8は、ノズル本体50の側面に設けた円柱状の突起50cに回動可能に支承され、原液ノズル51と希釈液ノズル52とが同時に露出する注出位置(図3および図4参照)と、原液ノズル51と希釈液ノズル52とが同時に覆われる洗浄位置(図5および図6参照)との間を移動可能にする。
【0040】
また、洗浄カバー8は、左右対を成す側壁部81と、一対の側壁部81を相互に接続する底壁部82とを有している。側壁部81は、ノズル本体50に設けた円柱状の突起50cに支承される円弧溝81aの中心を中心とした扇形をしており、底壁部82の内壁面は、円弧溝81aの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー8を注出位置と洗浄位置との間で移動させても、図4および図6に示すように、底壁部内壁面82aが原液ノズル51の先端や希釈液ノズル52の先端に当たることがない。また、図4に示すように、洗浄カバー8の底壁部内壁面82aに摺接する突出部50b1をノズル本体50の開放端部50bに設けても、洗浄カバー8が注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【0041】
また、図3および図4並びに図6に示すように、洗浄カバー8の底壁部82には、排水溝82bが設けてある。排水溝82bは、飲料ノズル5の洗浄に用いた希釈液(炭酸水)を排出するための溝であり、コの字状に形成され、洗浄カバー8の底壁部82を貫通している。また、排水溝82bを設けることにより、舌片状に形成された可撓片82cの端部内壁には、突起82c1が設けてある。この突起82c1は、洗浄カバー8が注出位置にあるときに、上述した突出部50b1と係合することにより、洗浄カバー8が自重や振動により洗浄位置に移動する事態を防止する。そして、洗浄カバー8が注出位置から洗浄位置に移動する際には、可撓片82cが撓むことにより、突出部50b1が突起82c1を乗り越える。同様に、洗浄カバー8が洗浄位置から注出位置に移動する際には、可撓片82cが撓むことにより、突出部50b1が突起82c1を乗り越える。
【0042】
また、洗浄カバー8の端部内壁には、突起82dが設けてある。この突起82dは、ノズル本体50と洗浄カバー8との間にできた空間を閉鎖し、効率的に原液ノズル51を洗い流すためのもので、図6に示すように、洗浄カバー8が洗浄位置にあるときに上述した突出部50b1と係合する。そして、洗浄カバー8が洗浄位置から注出位置に移動する際には、突出部50b1または洗浄カバー8が撓むことにより、突出部50b1が突起82dを乗り越える。同様に、洗浄カバー8が注出位置から洗浄位置に移動する際には、突出部50b1または洗浄カバー8が撓むことにより、突出部50b1が突起82dを乗り越える。
【0043】
図7に示すように、希釈液接続管54には、飲料水を供給する飲料水管路56と、炭酸水を供給する炭酸水管路57が接続してある。飲料水管路56の途中には、電磁開閉弁71が接続してあり、電磁開閉弁71を開放すると、希釈液接続管54に飲料水が供給される。そして、希釈液接続管54に供給された飲料水は、パイプ53を経由して希釈液ノズル52から吐出する。炭酸水管路57は、飲料水に炭酸ガスを溶解させるカーボネータ58が接続してある。カーボネータ58には飲料水と炭酸ガスとが供給され、飲料水に炭酸ガスを溶解させることにより、炭酸水を生成する。炭酸水管路57の途中には、電磁開閉弁72が接続してあり、電磁開閉弁72を開放すると希釈液接続管54に炭酸水が供給される。そして、希釈液接続管54に供給された炭酸水は、パイプ53を経由して希釈液ノズル52から吐出する。
【0044】
また、原液管路55には、原液管路55ごとに原液タンク(シロップタンク)59が接続してある。また、原液管路55の途中には、原液管路55ごとに流量計を備えた原液ポンプ(シロップポンプ)73が接続してあり、原液ポンプ73を駆動することにより、原液タンク59から原液を汲み上げ、原液ノズル51に供給される。そして、原液ノズル51に供給された原液は、原液ノズル51から吐出する。
【0045】
図8に示すように、上述した飲料選択ボタン31、チューブポンプ4、飲料水管路56の途中に接続された電磁開閉弁71、炭酸水管路57の途中に接続された電磁開閉弁72、各原液管路55に接続された原液ポンプ73は、制御部7に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【0046】
そして、上述した飲料ノズル5、電磁開閉弁71,72、原液ポンプ73、洗浄カバー8は、本発明の実施の形態2である飲料ノズルの洗浄装置を構成し、上述した制御部7は、同時に飲料ノズルの洗浄装置の制御部を構成する。また、図2に示すように、飲料ノズル5の側方域となるディスペンサ本体2の前面には、洗浄開始ボタン26が設けてある。洗浄開始ボタン26は、洗浄開始命令を制御部に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、図8に示すように、制御部7に接続してある。そして、洗浄開始ボタン26を押下すると、制御部7に洗浄開始命令が入力される。
【0047】
また、図3および図5に示すように、飲料ノズル5の近傍域には、センサ27が設けてある。センサ27は、洗浄位置に移動した洗浄カバー8を検出するためのもので、図8に示すように、制御部7に接続してある。そして、洗浄カバー8が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部7に検出信号が入力される。
【0048】
図9は、図8に示した飲料ノズルの洗浄装置の制御手順を示すフローチャートである。図9に示すように、上述した飲料ノズルの洗浄装置に飲料ノズル5を洗浄させる場合には、洗浄カバー8を注出位置から洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン26を押下する(ステップS1:Yes)。すると、制御部7に洗浄開始命令が入力され、制御部7は、センサ27の状態を検出する(ステップS2)。そして、センサ27が洗浄カバー8を検出している場合には飲料ノズル5の洗浄を開始し(ステップS2:Yes,ステップS3)、センサ27が洗浄カバー8を検出していない場合には飲料配管の洗浄を開始する(ステップS2:No,ステップS4)。これは、飲料ノズル5を洗浄する場合には洗浄カバー8を洗浄位置に移動させることに基づくものであり、切換スイッチなどによらないで、飲料ノズル5の洗浄モードと飲料配管の洗浄モードとを切り換える。
【0049】
そして、飲料ノズル5の洗浄を開始すると、制御部7は、炭酸水管路57の途中に接続してある電磁開閉弁72を開放する。すると、炭酸水管路57、希釈液接続管54、パイプ53を経由して希釈液ノズル52から炭酸水が吐出する。希釈液ノズル52から吐出した炭酸水は、洗浄カバー8を介して原液ノズル51に誘導され、原液ノズル51に付着した原液を洗い流す。
【0050】
ところで、電磁開閉弁72は常時開放するものでなくてもよく、あらかじめ定めたパターンにしたがって開放するものとしてもよい。たとえば、電磁開閉弁72を開放後一旦閉鎖し、その後、再び開放するものとしてもよい。このように、電磁開閉弁72を開放後一旦閉鎖し、その後、再び開放すると、原液ノズル51が炭酸水に浸された後に、原液ノズル51が洗い流されることになり、こびりついた原液を溶かして洗い流すことができる。また、電磁開閉弁72を間欠的に開放してもよい。このように、電磁開閉弁72を間欠的に開放すると、少量の炭酸水で効率的な洗浄が可能になる。
【0051】
そして、あらかじめ定めたノズル洗浄時間が経過すると、飲料ノズル5の洗浄を終了する(ステップS5:Yes,ステップS6)。また、あらかじめ定めたノズル洗浄時間が経過する前に洗浄開始ボタン26を押下すると、制御部7に洗浄開始命令が入力されるが、すでに洗浄を開始しているので、制御部7は洗浄開始命令を洗浄中止命令と判断し、飲料ノズル5の洗浄を中止させる(ステップS5:No,ステップS7:Yes,ステップS6)。そして、飲料ノズル5の洗浄を終了または中止させると、制御部7は、炭酸水管路57の途中に接続してある電磁開閉弁72を閉鎖する。
【0052】
その後、制御部7は、原液ポンプ73を順番に駆動することにより、原液ノズル51から所定量(微量)の原液を吐出させる(飲料注出準備)。これにより、原液ノズル51に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル51は原液で満たされる。
【0053】
そして、制御部7は、最後に飲料ノズル5の洗浄が終了した時刻を記憶しておき、その時刻から一定の時間(たとえば、24時間)が経過しても飲料ノズル5の洗浄が開始されない場合にその旨を報知する。報知する手段は、たとえば、洗浄開始ボタン26に内蔵したLEDランプの点灯、ブザー、操作パネル3に設けた表示部への表示など任意の手段を採用する。
【0054】
また、制御部7は、飲料ノズル5の洗浄開始後、飲料ノズル5の洗浄を終了または中止するまでは、飲料選択ボタン31を無効にし、飲料の注出を禁止する。そして、飲料ノズル5の洗浄が終了または中止した場合に、飲料選択ボタン31を有効にし、飲料の注出を可能にする。
【0055】
また、制御部7は、別途設けたリモコン(図示せず)からの操作により、飲料ノズル5の洗浄を無効または有効に設定することができる。飲料ノズル5の洗浄を無効に設定した場合には、洗浄カバー8を洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン26を押下しても飲料ノズル5の洗浄を開始することはない。
【0056】
一方、飲料配管の洗浄を開始すると、制御部7は、原液管路55の途中に接続された原液ポンプ73を順番に駆動し、その後、飲料水管路56の途中に接続した電磁開閉弁71、炭酸水管路57の途中に接続した電磁開閉弁72の順に開放する。
【0057】
原液ポンプ73を駆動すると、原液管路55を経由して原液ノズル51から原液が吐出する。そして、飲料水管路56の途中に接続した電磁開閉弁71を開放すると、飲料水管路56、希釈液接続管54を経由して希釈液ノズル52から飲料水が吐出する。そしてまた、炭酸水管路57の途中に接続した電磁開閉弁72を開放すると、炭酸水管路57、希釈液接続管54を経由して希釈液ノズル52から炭酸水が吐出する。このように、原液ノズル51から原液を吐出させ、希釈液ノズル52から飲料水、炭酸水を吐出させると、原液管路55、飲料水管路56、炭酸水管路57に滞留していた原液、飲料水、炭酸水が吐出され、原液管路55、飲料水管路56、炭酸水管路57が洗浄される。
【0058】
そして、あらかじめ定めた飲料配管洗浄時間が経過すると、飲料配管の洗浄を終了する(ステップS8:Yes,ステップS9)。また、あらかじめ定めた飲料配管洗浄時間が経過する前に洗浄開始ボタン26を押下すると、制御部7に洗浄開始命令が入力されるが、すでに洗浄を開始しているので、制御部7は洗浄開始命令を洗浄中止命令と判断し、飲料配管の洗浄を中止させる(ステップS8:No,ステップs10:Yes,ステップS9)。そして、飲料配管の洗浄を終了または中止させると、そのとき駆動している原液ポンプ73の駆動を停止し、そのとき開放している電磁開閉弁71,72を閉鎖する。
【0059】
そして、制御部7は、最後に飲料配管の洗浄が終了した時刻を記憶しておき、その時刻から一定の時間(たとえば、24時間)が経過しても飲料配管の洗浄が開始されない場合にその旨を報知する。報知する手段は、たとえば、洗浄開始ボタン26に内蔵したLEDランプの点灯、ブザー、操作パネル3に設けた表示部への表示など任意の手段を採用する。
【0060】
また、制御部7は、飲料配管の洗浄開始後、飲料配管の洗浄を終了または中止するまでは、飲料選択ボタン31を無効にし、飲料の注出を禁止する。そして、飲料配管の洗浄が終了または中止した場合に、飲料選択ボタン31を有効にし、飲料の注出を可能にする。
【0061】
また、制御部7は、別途設けたリモコン(図示せず)からの操作により、飲料配管の洗浄を無効または有効に設定することができる。飲料配管の洗浄を無効に設定した場合には、洗浄カバー8を注出位置に移動させ、洗浄開始ボタン26を押下しても飲料配管の洗浄を開始することはない。
【0062】
上述した本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄開始命令を入力する洗浄開始ボタン26と、洗浄開始ボタン26が押下され、洗浄開始命令が入力された場合に炭酸水管路57の途中に設けた電磁開閉弁72をあらかじめ定めた洗浄時間だけ開放するので、洗浄時間が経過すると電磁開閉弁72が閉鎖され、飲料ノズル5の洗浄を自動的に終了する。
【0063】
また、制御部7は、電磁開閉弁72を開放し、希釈液ノズル52から希釈液を吐出させている状態において、洗浄開始ボタン26が押下され、洗浄開始命令が入力された場合に、洗浄開始命令を洗浄中止命令と判断し、電磁開閉弁72を閉鎖し、飲料ノズル5の洗浄を中止する。したがって、洗浄停止ボタンを別途設ける必要がない。
【0064】
また、制御部7は、あらかじめ定めた洗浄時間だけ電磁開閉弁72を開放し、希釈液ノズル52から希釈液を吐出させた後に、原液ポンプ73を順番に駆動することにより、原液ノズル51から所定量(微少)の原液を吐出させるので、原液ノズル51に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル51は原液で満たされる。
【0065】
また、制御部7は、飲料ノズルの洗浄を最後にした時刻を記憶するとともに、記憶した時刻からあらかじめ定めた時間(たとえば、24時間)が経過した場合にその旨を報知するので、飲料ディスペンサ1が飲料ノズル5の洗浄を必要としていることがわかる。
【0066】
また、制御部7は、センサ27が洗浄カバー8を検出した状態で飲料ノズル5を洗浄し、センサ27が洗浄カバーを検出しない状態で飲料配管を洗浄するので、飲料ノズル5の洗浄と、飲料配管の洗浄とを切り換えるスイッチを設ける必要もなければ、飲料ノズル5の洗浄と飲料配管の洗浄とを分けて洗浄開始ボタンを設ける必要がない。また、洗浄カバー8が希釈液ノズル52と原液ノズル51とを覆った状態で飲料配管の洗浄が実行されることもなければ、洗浄カバー8が希釈液ノズル52と原液ノズル51とを露出させた状態で飲料ノズル5の洗浄が実行されることもない。
【0067】
また、センサ27が洗浄カバー8を検出した状態で飲料の注出を禁止するので、飲料選択ボタン31により飲料を選択しても飲料の注出が開始されない場合には、洗浄カバー8が洗浄位置にあることがわかる。
【符号の説明】
【0068】
1 飲料ディスペンサ
2 ディスペンサ本体
26 洗浄開始ボタン
27 センサ
3 操作パネル
31 飲料選択ボタン
5 飲料ノズル
50 ノズル本体
50a 取付基部
50b 開放端部
50b1 突出部
50c 突起
51 原液ノズル
51b 開放部
52 希釈液ノズル
52a 先端部
52b 吐出口
52c 側壁部
53 パイプ
54 希釈液接続管
55 原液管路
56 飲料水管路
57 炭酸水管路
58 カーボネータ
59 原液タンク
7 制御部
71 電磁開閉弁
72 電磁開閉弁
73 原液ポンプ
8 洗浄カバー
81 側壁部
81a 円弧溝
82c 可撓片
82 底壁部
82a 底壁部内壁面
82b 排水溝
82c1 突起
82d 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、
洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段と、
前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合にあらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液ノズルから希釈液を吐出させる洗浄制御手段と
を備えたことを特徴とする飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄制御手段は、希釈液ノズルから希釈液を吐出させている状態において、前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に、希釈液の吐出を中止させることを特徴とする請求項1に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄制御手段があらかじめ定めた洗浄時間だけ希釈液を吐出させた後に原液ノズルから原液を吐出させる飲料注出準備手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項4】
飲料ノズルの洗浄を最後に終了した時刻を記憶する洗浄時刻記憶手段と、
前記洗浄時刻記憶手段が記憶した時刻からあらかじめ定めた時間が経過した場合にその旨を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄制御手段は、あらかじめ定めたパターンにしたがって希釈液を吐出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項6】
希釈液ノズルから吐出した希釈液を原液ノズルに誘導し、原液ノズルを洗い流す飲料ノズル洗浄モードと、前記希釈液ノズルから希釈液を吐出し、飲料配管を洗い流す飲料配管洗浄モードとを実行する飲料ノズルの洗浄装置において、
前記希釈液ノズルと前記原液ノズルとを同時に覆う洗浄カバーを検出する洗浄カバー検出手段と、
洗浄開始命令を入力する洗浄開始命令入力手段と
を備え、
前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出した状態で前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料ノズル洗浄モードを実行し、前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出しない状態で前記洗浄開始命令入力手段から洗浄開始命令が入力された場合に飲料配管洗浄モードを実行することを特徴とする飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄カバー検出手段が洗浄カバーを検出した状態で飲料の注出を禁止する飲料注出禁止手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項8】
前記飲料ノズル洗浄モードまたは前記飲料配管洗浄モードを無効化する無効化設定手段を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の飲料ノズルの洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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