説明

飲料供給装置の管路洗浄装置

【課題】管路内清掃用スポンジを簡単で且つ確実に管路内に挿入できるようにする。
【解決手段】ディスペンスヘッド接続部14を一端部に、他端部に第2ホース接続部14を形成する本体15を設け、本体15に形成する流路16に交差する筒部17を一体に設け、筒部17に摺動自在に内嵌する軸部材18を設け、流路16に接続可能な連通孔19を軸部材18に形成し、連通孔19を、流路16に連通接続する第1連通位置と、筒部17に形成したスポンジ8の挿入孔20に連通接続する第2連通位置とに切換え自在に構成し、軸部材18の摺動方向に沿ったスリット21と、スリット21に嵌入するストッパーピン22とを、軸部材18と筒部17に各別に振分けて、第1連通位置と第2連通位置との切換えに伴って軸部材18が移動するストロークと、スリット21内をストッパーピン22が相対移動するストロークとを同一に設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器の口部に接続自在なディスペンスヘッドの第1ホース接続部に対し、接続可能なディスペンスヘッド接続部を一端部に形成すると共に、他端部に第2ホース接続部を形成する本体を設けてある飲料供給装置の管路洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管路洗浄装置は、前記本体に、前記ディスペンスヘッド接続部から前記第2ホース接続部にかけて連通する流路を形成すると共に、前記流路に交差する貫通孔部を一体に設け、前記貫通孔部に摺動自在に内嵌する軸部材を設け、前記流路に接続可能な連通孔を前記軸部材に形成し、前記軸部材を前記貫通孔部内で摺動させることにより、前記連通孔を、前記流路に連通接続する第1位置と前記本体の外側で露出する第2位置とに切換え自在に構成し、第2位置で前記連通孔に管路内清掃用スポンジを挿入可能に構成してあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の管路洗浄装置で飲料供給装置の管路内を清掃するには、ディスペンスヘッド接続部を第1ホース接続部に接続すると共に、第2ホース接続部を飲料供給装置の飲料流入ホースに接続し、軸部材を第2位置にして連通孔に管路内清掃用スポンジを挿入した後、第1位置に切換え、ディスペンスヘッドを介して洗浄水と共にスポンジを前記飲料流入ホースに圧入する。
飲料流入ホースに圧入されたスポンジは、飲料供給装置の管路内を移動しながら管路内面を掃除して外部に吐出される。
ところで、従来の管路洗浄装置でスポンジを連通孔から前記流路に挿入するために、軸部材を本体の貫通孔部内を摺動操作する必要があるが、連通孔と本体内の前記流路とを位置合わせするのにスムーズにできなかったり、連通孔と流路の方向がずれたりすることがあり、簡単で且つ確実に管路内に供給することが困難であった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、管路内清掃用スポンジを簡単で且つ確実に管路内に挿入できるようにする飲料供給装置の管路洗浄装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、飲料容器の口部に接続自在なディスペンスヘッドの第1ホース接続部に対し、接続可能なディスペンスヘッド接続部を一端部に形成すると共に、他端部に飲料供給装置の飲料流入ホースに対する第2ホース接続部を形成する本体を設け、前記本体に、前記ディスペンスヘッド接続部から前記第2ホース接続部にかけて連通する流路を形成すると共に、前記流路に交差する筒部を一体に設け、前記筒部に摺動自在に内嵌する軸部材を設け、前記流路に接続可能な連通孔を前記軸部材に形成し、前記連通孔に連通可能な管路内清掃用スポンジの挿入孔を、前記流路と平行に前記筒部に形成し、前記軸部材を前記筒部内で摺動させることにより、前記連通孔を、前記流路に連通接続する第1連通位置と前記挿入孔に連通接続する第2連通位置とに切換え自在に構成し、前記軸部材の摺動方向に沿ったスリットと、そのスリットに嵌入するストッパーピンとを、前記軸部材と前記筒部に各別に振分けて、前記第1連通位置と前記第2連通位置との切換えに伴って前記スリット内を前記ストッパーピンが相対移動するように設け、前記軸部材が第1連通位置から第2連通位置に移動するストロークと、前記スリット内を前記ストッパーピンが相対移動するストロークとを同一に設定してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、飲料供給装置の管路内を清掃するのに、ディスペンスヘッド接続部を第1ホース接続部に接続すると共に、第2ホース接続部を飲料供給装置の飲料流入ホースに接続し、軸部材を第2連通位置にして筒部に形成した挿入孔から連通孔に管路内清掃用スポンジを挿入した後、筒部内で軸部材を摺動させて第1連通位置に切換え、ディスペンスヘッドを介して洗浄水と共にスポンジを前記飲料流入ホースに圧入する。
前記飲料流入ホースに圧入されたスポンジは、飲料供給装置の管路内を移動しながら管路内面を掃除して外部に吐出される。
軸部材は、筒部内を摺動するに伴って、軸部材と筒部に各別に振り分けて設けたストッパーピンがスリット内を相対移動することにより、ストッパーピンはスリットにガイドされて、軸部材が筒部に対して軸周りに回転せずに軸心方向に沿って相対移動する。そのために、常に軸部材の摺動姿勢が安定する。
また、前記軸部材が第1連通位置から第2連通位置に移動するストロークと、前記スリット内を前記ストッパーピンが相対移動するストロークとを同一に設定してあることで、軸部材の筒部に対する相対移動の際に、スリット内でのストッパーピンの相対移動距離が第1連通位置から第2連通位置への軸部材の移動距離になるように規制される。
従って、第1連通位置での流路と連通孔との向き及び位置が一致すると共に、第2連通位置での連通孔と挿入孔との向き及び位置が簡単に一致する。
結局、管路内清掃用スポンジをスムーズに管路内に挿入できるようになった。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記スリットを前記軸部材に形成する共に、ストッパーピンの装着部と、そのストッパーピンの抜け止め機構とを前記筒部に設けてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、筒部に設けた抜け止め機構を解除してストッパーピンを抜き取れば、軸部材を筒部から簡単に抜き取ることができ、メンテナンスを簡単に行うことができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記筒部と前記軸部材との間に、前記軸部材の第1連通位置と第2連通位置において、両者間のシール状態を維持するシールリングを設けてあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、軸部材を筒部内で摺動操作する際には、シールリングで両者間のシールが維持されるために、管路洗浄操作において洗浄液などの漏れはなく周囲を汚さずに洗浄操作が行える。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記軸部材を前記筒部内で摺動操作するための押込み操作部を、前記軸部材の両端夫々に設けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、前記軸部材の切換え摺動操作が押込み操作部の押込み操作のみで、楽に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】飲料供給装置に管路洗浄装置を取付けた状態の一部断面全体側面図である。
【図2】管路洗浄装置における作用説明の縦断面図である。
【図3】管路洗浄装置における作用説明の縦断面図である。
【図4】管路洗浄装置における作用説明の縦断面図である。
【図5】管路洗浄装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、生ビールを供給するビールサーバーなどの飲料供給装置1は、その飲料流入ホース2の外部延出部を、エルボ継手3及びディスペンスヘッド4を介して、生ビールを貯留する飲料容器5としてのビール樽、及び、炭酸ガスボンベ6に接続するもので、その装置内に冷却部7を通る管路などが内装されて、炭酸ガスボンベ6からのガスにより押し出される生ビールが、コック9からビールジョッキ等に適量取り出せるようにしている。
【0016】
つまり、ビール樽などの飲料容器5の上端に形成した口部に、ディスペンスヘッド4を取り付け、ディスペンスヘッド4の第1ホース接続部10に、エルボ継手3を介して飲料流入ホース2を接続する。
【0017】
そして、飲料供給装置1の管路を定期的に清掃するために、次の管路洗浄装置12が図2〜図5に示される。
【0018】
飲料容器5の口部に接続自在なディスペンスヘッド4の第1ホース接続部10に対し、接続可能なディスペンスヘッド接続部13を一端部に形成すると共に、他端部に第2ホース接続部14を形成する合成樹脂製の本体15を設け、本体15に、ディスペンスヘッド接続部13から第2ホース接続部14にかけて連通する流路16を形成すると共に、流路16に交差する筒部17を一体に設けてある。
【0019】
筒部17に摺動自在に内嵌する合成樹脂製の軸部材18を設け、流路16に接続可能な連通孔19を軸部材18に形成し、連通孔19に連通可能な管路内清掃用スポンジ8の挿入孔20を、流路16と平行に筒部17に形成し、軸部材18を筒部17内で摺動させることにより、連通孔19を、流路16に連通接続する第1連通位置(図3、図4)と挿入孔20に連通接続する第2連通位置(図2)とに切換え自在に構成し、軸部材18の摺動方向に沿ったスリット21と、そのスリット21に嵌入するストッパーピン22とを、スリット21を軸部材18に形成する共に、ストッパーピン22の装着部と、そのストッパーピン22の抜け止め機構とを筒部17に設け、第1連通位置(図3、図4)と第2連通位置(図2)との切換えに伴ってスリット21内をストッパーピン22が相対移動するように設け、軸部材18が第1連通位置(図3、図4)から第2連通位置(図2)に移動するストロークと、前記スリット21内を前記ストッパーピン22が相対移動するストロークとを同一に設定してある。
尚、ストッパーピン22の装着部は、筒部17にピン挿通孔23を形成し、ストッパーピン22の抜け止め機構は、ピン挿通孔23を隠すように筒部17に外嵌するゴム製の第1Oリング24を設けてある。
【0020】
筒部17の内面には、ステンレス製の金属筒25を一体に内嵌固定してあり、前記筒部17と前記軸部材18との間(つまり、金属筒25と軸部材18との間)に、前記軸部材18の第1連通位置(図3、図4)と第2連通位置(図2)において、両者間のシール状態を維持するシールリング26を配置して、軸部材18に取り付けてある。
【0021】
軸部材18を筒部17内で摺動操作のために押し引き可能なフランジ状の第1の押込み操作部27を、軸部材18の一方側の端部に一連に設け、他方側の端部には、軸部材18を一方側に向けて押込み操作するためのフランジ状の第2の押込み操作部28を、軸部材18とは別体の操作部材32で形成して着脱自在に設けてある。つまり、軸部材18の他方側の端部に凹部29を形成し、その凹部29に嵌合可能な連結部30を操作部材32に形成してある。尚、連結部30には、ゴム性の第2Oリング31が2本外嵌させてあり、凹部29に嵌合させたときにガタツキなく一体連結できるように構成してある。
【0022】
〔管路洗浄操作〕
次に、飲料供給装置1の管路を洗浄する手順を説明する。
1.飲料供給装置1の管路内に圧入されたガスを抜く。
2.ディスペンスヘッド4の第2ホース接続部14とエルボ継手3との間に、管路洗浄装置12を接続する(図1)。
3.飲料容器5とディスペンスヘッド4とを分離して、代わりに、洗浄水を入れた容器(図外)をディスペンスヘッド4に接続する。
4.管路洗浄装置12の軸部材18を筒部17に対して第2連通位置にして(図2)、挿入孔20から連通孔19に円柱状のスポンジ8を挿入する。
5.軸部材18を第1連通位置に切換え(図3)る。
6.炭酸ガスボンベ6からの加圧ガスをディスペンスヘッド4を介して圧入させて容器内の洗浄水と共に、スポンジ8を飲料流入ホース2から管路内に移動させ(図4)、管路の洗浄を行う。
7.洗浄後は、元の状態に戻す。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0023】
〈1〉 前記ストッパーピン22を軸部材18に固定すると共に、ストッパーピン22が嵌入するスリット21を筒部17に形成する構成であっても良い。
〈2〉 前記操作部材32は、軸部材18と一体に形成してあっても良い。
〈3〉 前記操作部材32は、特に設けなくともよく、第1の押込み操作部27が軸部材18の一端にあるだけでも良い。
【0024】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 飲料供給装置
2 飲料流入ホース
4 ディスペンスヘッド
5 飲料容器
8 スポンジ
10 第1ホース接続部
13 ディスペンスヘッド接続部
14 第2ホース接続部
15 本体
16 流路
17 筒部
18 軸部材
19 連通孔
20 挿入孔
21 スリット
22 ストッパーピン
27 押込み操作部
28 押込み操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の口部に接続自在なディスペンスヘッドの第1ホース接続部に対し、接続可能なディスペンスヘッド接続部を一端部に形成すると共に、他端部に飲料供給装置の飲料流入ホースに対する第2ホース接続部を形成する本体を設け、
前記本体に、前記ディスペンスヘッド接続部から前記第2ホース接続部にかけて連通する流路を形成すると共に、前記流路に交差する筒部を一体に設け、
前記筒部に摺動自在に内嵌する軸部材を設け、
前記流路に接続可能な連通孔を前記軸部材に形成し、
前記連通孔に連通可能な管路内清掃用スポンジの挿入孔を、前記流路と平行に前記筒部に形成し、
前記軸部材を前記筒部内で摺動させることにより、
前記連通孔を、前記流路に連通接続する第1連通位置と前記挿入孔に連通接続する第2連通位置とに切換え自在に構成し、
前記軸部材の摺動方向に沿ったスリットと、そのスリットに嵌入するストッパーピンとを、前記軸部材と前記筒部に各別に振分けて、前記第1連通位置と前記第2連通位置との切換えに伴って前記スリット内を前記ストッパーピンが相対移動するように設け、
前記軸部材が第1連通位置から第2連通位置に移動するストロークと、前記スリット内を前記ストッパーピンが相対移動するストロークとを同一に設定してある
飲料供給装置の管路洗浄装置。
【請求項2】
前記スリットを前記軸部材に形成する共に、ストッパーピンの装着部と、そのストッパーピンの抜け止め機構とを前記筒部に設けてある請求項1に記載の飲料供給装置の管路洗浄装置。
【請求項3】
前記筒部と前記軸部材との間に、前記軸部材の第1連通位置と第2連通位置において、両者間のシール状態を維持するシールリングを設けてある請求項1又は2に記載の飲料供給装置の管路洗浄装置。
【請求項4】
前記軸部材を前記筒部内で摺動操作するための押込み操作部を、前記軸部材の両端夫々に設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料供給装置の管路洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−126587(P2011−126587A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289281(P2009−289281)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(596105585)今井ゴム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】