説明

飲料水改質方法及び飲料水改質材

【課題】 単位時間当たりの水素ガスの発生量を増加させる筒体を用意することにより、飲料水の新しい改質方法及び改質材を提供する。
【解決手段】 本発明は、PP焼結樹脂材にて構成した100〜200μ位の微細多孔質筒体1の内部に、金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめる飲料水改質方法である。また、PP焼結樹脂材にて構成した100〜200μ位の微細多孔質筒体1の内部に、金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器aに収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水b中に溶解せしめるように成る飲料水改質材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水改質方法及び飲料水改質材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水はHとOが2対1の割合で結合してできた化合物であるが、水素と酸素を結合させている共有結合エネルギーは強力で水素と酸素は離れようとはしないため、通常は水素だけが単独で水中に存在することはできない。また、水素は宇宙でも最も軽い気体であるから、たとえ水中に溶け込んでいても、すぐに大気中に抜け出してしまう。この事実から、地球上に存在する水というものは、その殆ど全てが水素の抜け去った水(水素欠乏水)であるということができる。
【0003】
ところで、最近年の生物医学においては、さまざまな病気や老化の原因として活性酸素が関与していることが判ってきた。そのため、この活性酸素のもたらす障害(酸化障害)を抑制、消去する対策が必要とされているが、酸化障害に対抗する最良の手段は理論上からも還元作用であることは論を俟たないといえる。還元作用の原義は、本来、水素原子の作用に対して命名されたものといえる。このことは、中学理科の教科書で「酸化とは酸素と結びつくことであり、還元とは水素と結びつくことあるいは結びついた酸素が離れることである」と記述されていることからも明らかである。
【0004】
前記水素欠乏水(水素の抜け去った水)から考えられることは、人類が様々な病気に苦しめられているのも、その最大の原因は、この水素欠乏水つまり活性酸素のもたらす酸化障害を抑制、消去するには無力な水を飲用していることにあるという推測が可能となる。換言すれば、水素欠乏水は「病気をつくる水」であるといえる。
【0005】
一方、病気の予防さらには治療にとってより効果的な水として、水素を豊富に含む水(水素豊富水)の必要性が期待される。水素には原子水素と分子水素があるが、このうち原子水素は寿命が極めて短い(半減期は約3分の1秒と考えられている。)ため、原子水素を豊富に含む水の飲用は現実的に不可能である。そこで、原子水素2個からなる分子水素の寿命であるが、これは約1000秒(10数分間)と考えられるため、現実には分子水素が豊富に溶け込んだ水の飲用が効果的であるといえる。
【0006】
なお、摂取された分子水素は体内の水素分解酵素(分子水素を原子水素に分解する酵素)によって還元力のきわめて強い原子水素(そのため活性水素とも呼ばれている)に分解され、この活性水素がその還元作用によって体内の活性酸素の酸化障害を抑制、消去すると推測される。
【0007】
このような水素を豊富に含むといわれる自然水としては、この地球上には「ルルドの泉」(フランス)、「トラコテの水」(メキシコ)、「ノルデナウの水」(ドイツ)と呼ばれている世界各地の水があり、これらは奇跡の名水として世界中から注目され、飲むだけで万病を治すことが知られている。
【0008】
そこで、本発明者(林)は、この万病に効く奇跡の名水を人工的に生成することを長年研究して来たが、同一の目的をもった発明としてすでに次の4件の特許出願をしている。
【0009】
(1)特願2001-188888号(特開2002-336877号)
「容器を設け、この容器に水が出入りするための窓を設け、内容物としてマグネシウム金属を封じ込めた活性水素水製造装置」
【0010】
(2)特願2002-203551号(特開2004-41949号)
「飲料水とマグネシウム粒を反応させて水素ガスを発生させ、飲料水を水素を豊富に含む水素豊富水に変えるようにした水素豊富水生成方法」
「飲料水をマグネシウム粒とともに銀粒と反応させ、この銀粒によって水素豊富水を浄化する水素豊富水生成方法」
「飲料水のボトルに投入可能で内部にこれが入るようにしたケースと、このケースに内置され内部に飲料水と反応して水素ガスを発生するマグネシウム粒が充填された浸水性の袋体とを備えた水素豊富水生成器」
【0011】
(3)特願2003-32550号(特開2004-243151号)
「飲料水との接触反応で水素ガスを発生させる水素発生材(金属マグネシウム)を設け、内空部に前記水素発生材を収容自在な収容部を備えた覆い部材を設け、前記覆い部材は内外に前記飲料水を流通自在に形成し、前記収容部に前記水素発生材を収容して成る水素溶存水製造具」
【0012】
(4)特願2003-404131号(特開2005-161209号)
「飲料水と内部に水が滲入可能なセラミックから成るケースに収納したマグネシウム粒とを容器内で反応させて水素ガスを発生させ、飲料水と水素を豊富に含む水素豊富水に変えるようにした水素豊富水生成方法/生成器」
【0013】
【特許文献1】特開2002−336877号公報
【特許文献2】特開2004−41949号公報
【特許文献3】特開2004−243151号公報
【特許文献4】特開2005−161209号公報
【0014】
これらの発明にあっては、いずれもマグネシウム粒子を通孔を複数設けた合成樹脂製の筒体に収容したものを、飲料水容器内の生水に浸漬することによって水素ガスを発生させ水素豊富水を生成し、これを飲用することによって体内の活性酸素を消去し、いろいろな病気の原因を排除せんとしているものであるが、単位時間当たりの水素ガスの発生量はきわめて少量であり、課題となっていた。
【0015】
前記特開2005−161209号公報には、筒体ケースとして内部に水が滲入可能なセラミックを使用することを記載しているが、このセラミックが素焼き製品であれば水の浸透は可能であり、筒体内部で水素ガスを発生することは可能であり得ても、これを容器内に流出して生水中に溶解させるまでにはかなりの時間を要することになるし、その重量は重く、しかも落とすと割れ易いという欠点があり、実用性がないことが指摘されていたから、実施されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、従来の前記筒体を改良し、単位時間当たりの水素の発生量を増加させる筒体を用意することにより、飲料水等の新しい改質方法及び改質材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、PP焼結樹脂材にて構成した100〜200μ位の微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめる飲料水改質方法である。
【0018】
また本発明は、PP焼結樹脂材にて構成した100〜200μ位の微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめるように成る飲料水改質材である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を収容する筒体がPP焼結樹脂材による微細多孔質体から成るものであるため、筒体の全表面から内部のマグネシウム粒子から発生した水素ガスが、容器中の生水中に直径1mm位の微細気泡となって大量に放散し、水素ガスが充満した飲料水を生産することができるようになる。
【0020】
また、磁気子を1個又は2個、前記金属マグネシウム等に混入することによって、容器水中に存する一般細菌類を繁殖しない効果があるとともに水分子集団を細分化することができ、水素ガスを多量に含む飲料水の改質効果を倍増することができるようになる。
【0021】
さらに、筒体はPP焼結樹脂材によって構成されているから、従来使用の天然鉱物粒子を網袋詰めした通孔付きの合成樹脂製筒体に比してはるかに安価に提供することができ、かつ前記のとおり水素水の生成効率を高める効果を生むことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
前記粒子を収容した筒体を500mlのペットボトルの生水中に投入して約12時間経過したところ、大量の微細気泡を放散し、前記ペットボトルの底面凹部は水素分圧によって膨張しほぼ水平面状に変形した現象が起っている。
【0023】
この現象は、本筒体内部の金属マグネシウムが発生する水素ガスが大量に筒体表面から気泡となって放散した直接の影響であることは、同じような現象が、従来の合成樹脂製筒体では見られなかったことから明らかな事実である。
【0024】
微細気泡は常時、筒体表面に密着した状態が見られ、ボトルを振動すれば、大量に水中に放散される現象が見られる。
【0025】
ところで、本発明にあって、容器内の生水はマグネシウム粒子と反応し、次の化学式によって水素ガスを発生する。
Mg+2H2O→Mg(OH)2+2H→Mg(OH)2+H2
Mg=金属マグネシウム,2H2O=水,Mg(OH)2=水酸化マグネシウム,2H=原子水素(活性水素),H2=分子水素(水素ガス)
【0026】
この結果、容器内の常温又は冷却された生水は、水素を豊富に含んだ水に変化するに至る。この水素ガスの含有量については、水素センサーによって測定している。
【0027】
従来、金属マグネシウムは室温では水と反応せず、微粉末を水中で加熱して初めて水と反応して水酸化マグネシウムと水素ガスが生成するとの説が世界の化学界の定説となっている。しかし、水素センサーによって、前記実施形態のマグネシウム粒の反応を検査したところ、マグネシウムは常温水(25℃)でも冷却水(5℃)でも容易に反応し、水酸化マグネシウムと水素ガスを生成する事実が確認されたのである。
【0028】
ところで、発明者(林)が水素豊富水の発想を得るに至ったのは、元々電解水(還元水)に関する研究からであったが、本発明によって今後は水素豊富水の生成にとって従来のような電気分解装置の使用自体が不要になったといえるのである。
【0029】
電気分解水の生成法としては、例えば、特許第2611080号、同第2615308号、同第2623204号がある。しかし、この電気分解で作った水素水には欠陥があることを発明者林は発見した。それは、水素は宇宙で最も軽い物質であることから、水中にあっても僅か数分で水素ガスは抜けてしまい、普通の水道水(水素欠乏水)と同じ水に戻ってしまう事実である。
【0030】
これによって、電気分解水に関する著書や論文を多数発表して来た発明者(林)は、自らの考え方を全面的に改めざるを得なくなったのである。
【実施例】
【0031】
1は全体がPP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体で、この筒体の形状や大きさは様々である。この筒体は様々な凹凸から成るが、その微細孔は100〜200μである。下記の実験では平均150μの微細多孔質筒体を使用しているが、最多量の水素ガスを発生していることが実験で判明している。
【0032】
焼結樹脂の筒体の微細孔が200μ以上の口径に成形されると、後記天然鉱物粒子間の摩擦によってできた粉末が筒体面から流出し、容器内水を汚染するおそれがあるからである。
【0033】
2は前記筒体1の開口部に密閉する口栓で、同一材によって構成する。
【0034】
3は前記筒体1の内部に収容する金属マグネシウム3'を主成分とするその他の天然鉱物粒子である。
【0035】
前記金属マグネシウム粒子にあっては、その粒子に特殊加工を施すことが水素ガスの多量発生を促進する要因となる。
【0036】
ここに金属マグネシウム粒子への特殊加工とは、温度115℃±5℃で、時間15分±5分で焼成するものである。
【0037】
その他の天然鉱物粒子としては、ブラックシリカ、トルマリン、麦飯石などの鉱物を選択的に原料とするが、特にブラックシリカは常温で強力な遠赤外線を放射する。遠赤外線の中でも特に4〜14μ程度の波長帯を生育光線と呼ぶが、ブラックシリカはこの生育光線を主として放出しているから、治癒効果や動植物活性化の要因となる。
【0038】
4は前記天然鉱物粒子3に混入する磁気子であり、これを前記筒体内に1個又は2個収容する。
【0039】
また、この磁気子に代えて、光触媒作用を有するチタンボール4と称する材料を複数個使用すれば、悪臭物質を分解するのみならず、抗菌作用及び抗ウイルス作用を起して浄水効果を発揮することができる。特に、これはレジオネラ菌属を殺菌することが証明されている。このチタンボールは、セラミックボールに金属チタン粉末を高速噴射することによって表面処理し、チタニア被膜(TiO2)を形成する技術から生まれたものである。
【0040】
aは容器、bは飲料水を示す。
【0041】
ここに、実験データを示す「水素発生比較表」を提出する。この実験は、発明者(木村喜代司)が平成17年11月19日に、水道水を用いて常温で行なったものである。表中にある「Aタイプ」とは従来の通孔付き合成樹脂製筒体を使用した場合、「Bタイプ」とは本発明のPP焼結筒体(150μ)を使用した場合である。
【表1】

【0042】
なお、本発明の水改質方法も水改質材も、その用途は飲料水に限られず、洗眼、洗顔、洗体その他、水を使用する場合にはそのまま有効に通用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】筒体の斜視図
【図2】筒体の正面図
【図3】図2A−A線の断面図
【図4】水容器内部の作用状態を示す縦断面図
【符号の説明】
【0044】
1 微細多孔質筒体
2 口栓
3 天然鉱物粒子
3' 金属マグネシウム粒子
4 磁気子又はチタンボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめることを特徴とする飲料水改質方法。
【請求項2】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめるように成ることを特徴とする飲料水改質材。
【請求項3】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子及び磁気子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめることを特徴とする飲料水改質方法。
【請求項4】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子及び磁気子を直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめるように成ることを特徴とする飲料水改質材。
【請求項5】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子及びチタンボールを直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめることを特徴とする飲料水改質方法。
【請求項6】
PP焼結樹脂材にて構成した微細多孔質筒体の内部に、特殊加工を施した金属マグネシウムを主成分とする天然鉱物粒子及びチタンボールを直接収容して密閉し、このように成る前記筒体を密閉した生水容器内に収置して水素ガスを短時間に多量に発生せしめ、この水素ガスを前記筒体の全面から微細気泡として生水中に溶解せしめるように成ることを特徴とする飲料水改質材。
【請求項7】
PP焼結樹脂材にて構成した筒体が100〜200μ位の微細多孔質から成る請求項1、3又は5に記載した飲料水改質方法。
【請求項8】
PP焼結樹脂材にて構成した筒体が100〜200μ位の微細多孔質から成る請求項2、4又は6に記載した飲料水改質材。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−167696(P2007−167696A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350381(P2005−350381)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(501193942)
【出願人】(591176487)
【Fターム(参考)】