説明

飲料注出コック

【課題】 飲料注出コックの操作レバーの操作部を注出位置から閉止位置に確実に止めるようにする。
【解決手段】 飲料注出コック20の操作レバー50は、コック本体21に形成された保持部24に大球部51が回動可能に支持されて大球部51から伸びる操作部52を液注出位置または泡注出位置と閉止位置との間で傾倒させることでスライダ31を移動させて弁機構部40を開放または閉止するようにしており、操作レバー50の大球部51には係止部51aが形成され、保持部24の段付き貫通孔24aには操作レバー50の操作部52が閉止位置にあるときに大球部51の係止部51aと係止可能な被係止部24bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料ディスペンサに用いられる飲料注出コックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料ディスペンサに用いられる飲料注出コックとして、炭酸ガスにより圧送されるビール等の飲料がその一端側から流入する内孔と同内孔に連通する液注出孔を有する液注出用ノズルと泡注出孔を有する泡注出用ノズルとを一体的に形成したコック本体と、内孔内に同軸的に収容されて開放または閉止することで内孔から各注出孔への飲料の流入及び遮断をする弁機構部と、内孔内に同軸的に収容されて内孔内を移動することで弁機構部を開放または閉止させるスライダと、コック本体に形成された筒状の保持部に球部が回動可能に支持されて球部から上方に伸びる棒状の操作部を注出位置と閉止位置との間で傾倒させることでスライダを移動させて弁機構部を開放または閉止するように操作する操作レバーを備えた飲料注出コックが開示されている。
【0003】
この飲料注出コックにおいては、操作レバーの操作部が略垂直に立設した閉止位置にあるときには弁機構部は閉止されており、操作部を閉止位置から前側に傾倒させた液注出位置にすることでスライダを移動させて弁機構部を閉止した状態から飲料が液状態で注出されるように開放した状態にし、また、操作部を閉止位置から後側に傾倒させた泡注出位置にすることでスライダを移動させて弁機構部を閉止した状態から飲料が泡状態で注出されるように開放した状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290406号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の飲料注出コックにおいては、操作レバーは球部が保持部に回動可能に支持されて操作部が前後に回動可能となっているが、操作レバーは操作部を液注出位置または泡注出位置から閉止位置に戻すときに閉止位置で止まるようになっていなかった。そのため、操作レバーの操作部を閉止位置から液注出位置または泡注出位置に傾倒させて液または泡注出用ノズルから飲料を注出させた後に、操作レバーの操作部を液注出位置または泡注出位置から閉止位置に戻そうとするときには、操作レバーの操作部を略垂直に立設させた位置で液または泡注出用ノズルから飲料が注出されない状態となる位置に細かく合わせることで閉止位置であることを確認しなければならなく、操作レバーの操作部を閉止位置に合わせながら戻すのが面倒であった。また、操作レバーは操作部が閉止位置で止まるようになっていなかったために、操作レバーの操作部に意図せずに手等がぶつかってしまうと、飲料が出てしまうことがあった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、飲料がその一端側から流入する内孔と同内孔に連通する注出孔を有する注出用ノズルが形成されたコック本体と、内孔内に同軸的に収容されて開放または閉止することで内孔から注出孔への飲料の流入及び遮断をする弁機構部と、内孔内に同軸的に収容されて内孔内を移動することで弁機構部を開放または閉止させるスライダと、コック本体に形成された保持部に球部が回動可能に支持されて球部から伸びる操作部を注出位置と閉止位置との間で傾倒させることでスライダを移動させて弁機構部を開放または閉止するように操作する操作レバーとを備えた飲料注出コックにおいて、球部には係止部と、保持部には操作部が閉止位置にあるときに球部の係止部と係止可能な被係止部とを備えたことを特徴とする飲料注出コックを提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲料注出コックにおいては、球部には係止部と、保持部には操作部が閉止位置にあるときに球部の係止部と係止可能な被係止部とを備えているので、操作レバーの操作部を注出位置から閉止位置に戻したときに、球部の係止部が保持部の被係止部に係止して止まるので、注出用ノズルから飲料が注出されない状態となる位置を確認することなく操作レバーを閉止位置で確実に止めることができる。これにより、操作レバーを閉止位置にするときの操作が楽になる。また、操作レバーが閉止位置にあるときに操作部に意図せずに手等がぶつかっても、球部の係止部が保持部の被係止部に係止して止まっているので注出用ノズルから飲料が注出されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る飲料注出コックが採用された飲料ディスペンサの側面図である。
【図2】操作レバーが閉止位置にあるときの飲料注出コックの側断面図である。
【図3】操作レバーが液注出位置にあるときの飲料注出コックの側断面図である。
【図4】操作レバーが泡注出位置にあるときの飲料注出コックの側断面図である。
【図5】操作レバーが閉止位置にあるときの飲料注出コックの変形例の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る飲料注出コックが取り付けられた飲料ディスペンサの一実施形態を図面を用いて説明する。図1に示すように、飲料ディスペンサ10は、炭酸ガスを充填したガスボンベGから炭酸ガスを供給されたビア樽Tが接続される飲料供給導管11を備えていて、その前面上部に飲料供給導管11から炭酸ガスのガス圧により圧送されるビールを注出する飲料注出コック20が設けられている。
【0010】
本発明に係る飲料注出コック20は、ビール(飲料)がその一端側から流入する内孔21aと同内孔21aに連通する液注出孔22aを有する液注出用ノズル22と泡注出孔23aを有する泡注出用ノズル23とが一体的に形成されたコック本体21と、内孔21a内に同軸的に収容されて開放または閉止することで内孔21aから液注出孔22aまたは泡注出孔23aへの飲料の流入及び遮断をする弁機構部40と、内孔21a内に同軸的に収容されて内孔21a内を移動することで弁機構部40を開放または閉止させるスライダ31と、コック本体21に形成された保持部24に大球部(球部)51が回動可能に支持されて大球部51から伸びる操作部52を液注出位置または泡注出位置と閉止位置との間で傾倒させることでスライダ31を移動させて弁機構部40を開放または閉止するように操作する操作レバー50とを備えている。しかして、この操作レバー50の大球部51には環状突部(係止部)51aが形成され、保持部24の段付き貫通孔24aには操作レバー50の操作部52が閉止位置にあるときに大球部51の係止部51aと係止可能な環状溝(被係止部)24bが形成されている。以下に、この飲料注出コック20について詳述する。
【0011】
図2〜図4に示すように、コック本体21は、内端側から外端側(図2に示す右側から左側)に貫通する内孔21aが中心軸上に形成された略筒形状をした硬質の樹脂部材よりなり、この内孔21aは、内端側が半球状の凹部21bとなるよう拡径されて飲料供給導管11に接続されている。この半球状の凹部21bは、後述する弁部材41の液注出用弁体の液注出用弁座として機能する。なお、内孔21aと凹部21bとの境界となる開口部が飲料供給口21cとなっている。
【0012】
コック本体21には、下側中間部に内孔21aに連通する液注出孔22aを有した液注出用ノズル22と、液注出用ノズル22の前方で内孔21aに連通する泡注出孔23aを有した泡注出用ノズル23とが一体的に形成されている。コック本体21の内孔21aには、泡注出用ノズル23の泡注出孔23aの入口部に対向する位置に環状溝21dが穿設されている。
【0013】
コック本体21には、前部の上壁に略環状に突出して形成されて後述する操作レバー50を保持するための保持部24が形成されている。保持部24には、内孔21aに連通する円形の段付き貫通孔24aが形成されており、この段付き貫通孔24aには操作レバー50の先端部が挿入されている。段付き貫通孔24aの内周面には、操作レバー50を閉止位置に係止させるための環状溝(被係止部)24bが形成されており、環状溝24bは、操作レバー50が閉止位置にあるときに操作部52が後方に少し傾いているのに合わせて後側が下方に少し傾いて形成されている。また、環状溝24bの上角部にはテーパが形成されており、環状溝24bの上角部のテーパは後述する操作レバー50の大球部51の環状突部51aが環状溝24bの上角部を滑らかに超えることができるようにするために形成されている。
【0014】
図2〜図4に示すように、コック本体21の内孔21a内には、弁体アセンブリ30が摺動可能に収容されている。弁体アセンブリ30は、内孔21aに密着して操作レバー50により摺動するスライダ31と、スライダ31の移動によりビールを液状態または泡状態で注出または遮断させる弁機構部40とを備えている。スライダ31は、図2〜図4に示すように、軸線方向の中間部に軸線方向に直交する挿通孔31aと軸線方向に貫通する貫通孔31bを有した略円柱形状をしており、内孔21a内で前後方向に摺動自在に嵌合されている。スライダ31の軸線方向における後面にはリング状シール部材32が設けられており、リング状シール部材32は、後述する泡注出用弁体が着座する泡注出用弁座として機能する。
【0015】
弁機構部40は、図2〜図4に示すように、内孔21a内で摺動可能な棒状の弁部材41と、スライダ31の前側で弁部材41の先端部に嵌合固定されたばね受け部材44と、スライダ31とばね受け部材44との間に介装されるコイルばねからなるばね部材45とから構成される。
【0016】
弁部材41は、棒状をなす弁棒部42と、弁棒部42の飲料供給導管11側となる一端側の先端に膨出形成されて頭部が同心的に固定された弁体部43とからなる。弁体部43には弁棒部42側に環状溝43aが形成されており、環状溝43aにはシール部材46が装着されている。
【0017】
弁棒部42の軸線方向の中間部には、内孔21aに摺動自在に嵌合する大径部42aが形成されている。弁体部43の先端から弁棒部42の大径部42aの中間部には、中心軸に沿って有底の通孔41aが穿設されている。大径部42aの外端側には通孔41aの底部からスライダ31側に貫通する細孔42bが穿設されており、この細孔42bは通孔41a内に送られたビールを泡注出用ノズル23に送出するビールの通路となっている。
【0018】
弁棒部42の飲料供給導管11側の反対側となる他端側はスライダ31の貫通孔31bに摺動自在に貫挿されており、弁棒部42の他端側の端部にはばね受け部材44が嵌合固定されている。ばね受け部材44とスライダ31との間にはばね部材45が介装されており、ばね部材45はスライダ31のリング状シール部材32を弁棒部42の大径部42aに付勢している。
【0019】
このように構成した弁体アセンブリ30においては、弁体部43(液注出用弁体)のシール部材46は飲料供給導管11から送られるビールの炭酸ガス圧により内孔21aの凹部21b(液注出用弁座)に押圧されて着座することで飲料供給口21cを閉止しており、弁体部43(液注出用弁体)のシール部材46はスライダ31が閉止位置から液注出位置に移動することにより飲料供給導管11から送られるビールの炭酸ガス圧に抗して内孔21aの凹部21b(液注出用弁座)から離座することで飲料供給口21cを開放する。また、弁棒部42の大径部(泡注出用弁体)42aはばね部材45による付勢によりスライダ(泡注出用弁座)31の内端面に設けられたリング状シール部材32に着座することで細孔42bを閉止しており、弁棒部42の大径部(泡注出用弁体)42aはスライダ31が閉止位置から泡注出位置に移動することによりばね部材45による付勢に抗してスライダ(泡注出用弁座)31の内端面に設けられたリング状シール部材32から離座することで、細孔42bがリング状シール部材32と当接して閉止された状態から開放される。
【0020】
操作レバー50は、スライダ31を前後に移動させて弁機構部40を開放または閉止するように操作するものであり、大球部(球部)51と、これより上方に伸びる棒状の操作部52と、大球部51より下方に伸びるアーム53の先端に設けられた小球部54とからなる。操作レバー50は、操作部52の一部と残る各部51、53及び54とを金属製部材により一体的に形成したものである。
【0021】
操作レバー50は、小球部54を保持部24の段付き貫通孔24aを通してスライダ31の貫通孔31bに挿入し、大球部51を段付き貫通孔24aの段部に回動自在に嵌め込み、上方からパッキン部材55とともに蓋部材56を取り付けて前後方向に回動自在に取り付けられている。操作レバー50の操作部52は、ビールを注出させない閉止位置にあるときには垂直よりやや後方に傾倒した向きで立設している。大球部51には、上下方向の中間部より上側に環状突部(係止部)51aが形成されており、この環状突部51aは、操作レバー50が閉止位置にあるときに保持部24の環状溝24bの上角部に係止している。環状突部51aの直径は、環状溝24bの上部の入口部の直径より大きく、環状溝24bの一端側の上角部と他端側の下角部とを結ぶ径より小さくなっている。操作レバー50の小球部54には、スライダ31の貫通孔31bに挿通された弁棒部42が摺動自在に挿通される切欠き54aが形成されている。この操作レバー50が閉止位置にあるときには、小球部54の切欠き54aが弁棒部42と当接して、大球部51は貫通孔24aの段部の下面に当接することなくこれより僅かに上方に位置している。
【0022】
このように構成した飲料注出コック20の作動について説明する。図2に示すように、操作レバー50とスライダ31とが閉止位置にあるときには、弁体部43(液注出用弁体)のシール部材46は飲料供給導管11から送られるビールの炭酸ガス圧により内孔21aの凹部21b(液注出用弁座)に押圧されて着座することで飲料供給口21cを閉止するとともに、弁棒部42の大径部(泡注出用弁体)42aはばね部材45による付勢によりスライダ(泡注出用弁座)31の内端面に設けられたリング状シール部材32に着座することで細孔42bを閉止しており、液注出用ノズル22と泡注出用ノズル23との何れからもビールが注出されない。操作レバー50が閉止位置にあるときには、大球部51の環状突部51aが保持部24の環状溝24bの上角部に軽く係止した状態であり、操作レバー50の操作部52は閉止位置で止まっている。
【0023】
操作レバー50の操作部52が閉止位置にあるときに、図3に示すように、大球部51の環状突部51aが保持部24の環状溝24bの上角部に軽く係止しているのに抗して、操作部52を前側(図3に示す左側)に傾倒させて閉止位置から液注出位置に回動させると、スライダ31は内孔21a内を後側(図3に示す右側)に移動して液注出位置となる。スライダ31が後側に移動すると、弁棒部42がスライダ31により押されてビールの炭酸ガスの圧力に抗して後側に移動し、弁体部43(液注出用弁体)のシール部材46は内孔21aの凹部21b(液注出用弁座)から離座して飲料供給口21cが開放される。これにより飲料供給導管11から送られるビールは、内孔21aを通って液注出用ノズル22から図示しないジョッキ等の容器に注出される。上記のように操作レバー50を閉止位置から液注出位置に傾倒させると、アーム53が後側に移動することで大球部51が回転しながら貫通孔24aの段部の下面と当接するように僅かに下方に移動し、大球部51の環状突部51aの前側部が環状溝24b内の下部まで移動するとともに環状突部51aの後側部が環状溝24bの後側部の上角部を乗り越える。
【0024】
操作レバー50の操作部52を図3に示す液注出位置から図2に示す閉止位置に戻すと、スライダ31は内孔21a内を前側(図2及び図3に示す左側)に移動して閉止位置となる。スライダ31が前側に移動すると、スライダ31により押されていた弁部材41がビールの炭酸ガスの圧力により前側に移動し、弁体部43(液注出用弁体)のシール部材46は内孔21aの凹部21b(液注出用弁座)に着座して飲料供給口21cが閉止される。これにより飲料供給導管11から送られるビールは、液注出用ノズル22から図示しないジョッキ等の容器に注出されなくなる。このとき、アーム53が後側に傾動した位置から略垂直位置に移動することで大球部51が回転しながら貫通孔24aの段部の下面より上側に移動し、操作レバー50の大球部51は環状突部51aの後側部が環状溝24b内に移動するとともに環状突部51aの前側部が環状溝24bの前側部の上角部に軽く係止して止まる。これにより、操作レバー50を液注出位置から閉止位置に戻すときに確実に閉止位置で止めることができる。
【0025】
また、操作レバー50の操作部52が閉止位置にあるときに、図4に示すように、大球部51の環状突部51aが保持部24の環状溝24bの上角部に軽く係止しているのに抗して、操作部52を後側(図4に示す右側)に傾倒させて泡注出位置とすると、スライダ31はばね部材45の付勢力に抗して内孔21a内を前側(図4に示す左側)に移動して泡注出位置となる。スライダ31が前側に移動すると、弁棒部42の大径部(泡注出用弁体)42aがスライダ(泡注出用弁座)31の内端面に設けられたリング状シール部材32から離座する。これにより飲料供給導管11から送られるビールは、通孔41aと細孔42bとを通って泡注出用ノズル23から図示しないジョッキ等の容器に注出される。上記のように操作レバー50を閉止位置から泡注出位置に傾倒させると、アーム53が前側に移動することで大球部51が回転しながら貫通孔24aの段部の下面と当接するように僅かに下方に移動し、大球部51の環状突部51aの後側部が環状溝24b内の中間部まで移動するとともに環状突部51aの前側部が環状溝24bの前側部の上角部を乗り越える。
【0026】
操作レバー50の操作部52を図4に示す泡注出位置から図2に示す閉止位置に戻すと、スライダ31は、ばね部材45の付勢力により内孔21a内を後側(図2及び図4に示す右側)に移動して閉止位置となる。スライダ31が後側に移動すると、弁棒部42の大径部(泡注出用弁体)42aがスライダ(泡注出用弁座)31の後端面に設けられたリング状シール部材32に着座する。これにより飲料供給導管11から送られるビールは、泡注出用ノズルから図示しないジョッキ等の容器に注出されなくなる。このとき、アーム53が前側に傾動した位置から略垂直位置となることで大球部51が回転しながら貫通孔24aの段部の下面より上側に移動し、操作レバー50の大球部51は環状突部51aの前側部が環状溝24b内に移動するとともに環状突部51aの後側部が環状溝24bの後側部の上角部に軽く係止して止まる。これにより、操作レバー50を泡注出位置から閉止位置に戻すときに確実に閉止位置で止めることができる。
【0027】
このように本発明に係る飲料注出コック20は、操作レバー50の大球部51には環状突部51aと、保持部24には操作レバー50の操作部52が閉止位置にあるときに大球部51の環状突部51aと係止可能な環状溝24bとを備えている。操作レバー50の操作部52を液注出位置または泡注出位置から閉止位置に戻したときに、大球部51の環状突部51aが保持部24の環状溝24bの上角部に係止して止まるので、操作レバー50を閉止位置で確実に止めることができる。これにより、操作レバー50を閉止位置にするときに、各注出ノズル22、23から液状態または泡状態のビールが注出されない位置を確認することなく操作レバー50を閉止位置に戻すことができる。また、操作レバー50の操作部52に意図せずに手等がぶつかっても、大球部51の環状突部51aが保持部24の環状溝24bの上角部に軽く係止して止まっているので、各注出用ノズル22,23から飲料が注出されることがない。
【0028】
また、操作レバー50の操作部52は環状突部51aが形成された大球部51に一体的に連設されている。操作レバー50の操作部52を操作して液注出位置または泡注出位置から閉止位置に戻したときに、操作部52には環状突部51aの後側部または前側部が環状溝24bの上角部を超えて溝内に入るときの感触が伝達されるので、操作部52を持つ手の感触により液注出位置または泡注出位置から閉止位置に戻ったことが分かるようになる。
【0029】
本実施形態の飲料注出コックは、保持部24の内周面に形成された被係止部は環状溝24bであるが、本発明はこれに限られるものでなく、図5に示すように、保持部24の内周面に環状突部24Abを形成するようにしてもよく、このようにしたときにも上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
本実施形態の飲料注出コックは、操作部52を閉止位置と各注出位置との間で傾動させる際に大球部51を上下に移動させているが、大球部51の環状突部51aを保持部24の環状溝24bの上角部に僅かに係止するように環状突部51aと環状溝24bの各直径を調整すれば、操作部52を閉止位置と各注出位置との間で傾動させる際に大球部51を上下に移動させなくてもよくなる。
【符号の説明】
【0031】
20…飲料注出コック、21…コック本体、21a…内孔、22…注出用ノズル(液注出用ノズル)、23…注出用ノズル(泡注出用ノズル)、22a…注出孔(液注出孔)、23a…注出孔(泡注出孔)、24…保持部、24b…被係止部(環状溝)24Ab…被係止部(環状突部)、31…スライダ、40…弁機構部、50…操作レバー、51…球部(大球部)、51a…係止部(環状突部)、52…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料がその一端側から流入する内孔と同内孔に連通する注出孔を有する注出用ノズルが形成されたコック本体と、
前記内孔内に同軸的に収容されて開放または閉止することで前記内孔から前記注出孔への飲料の流入及び遮断をする弁機構部と、
前記内孔内に同軸的に収容されて前記内孔内を移動することで前記弁機構部を開放または閉止させるスライダと、
前記コック本体に形成された保持部に球部が回動可能に支持されて前記球部から伸びる操作部を注出位置と閉止位置との間で傾倒させることで前記スライダを移動させて前記弁機構部を開放または閉止するように操作する操作レバーとを備えた飲料注出コックにおいて、
前記球部には係止部と、前記保持部には前記操作部が前記閉止位置にあるときに前記球部の係止部と係止可能な被係止部とを備えたことを特徴とする飲料注出コック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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