飲料生成装置において遠心分離によって飲料を調製するためのカプセルおよびシステム
本発明は、遠心力を利用した飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセル(1A)であって、カプセル内に収容される物質から、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体をこの物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセル(1A)に関する。カプセルは、軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)と、軸方向に対して垂直な横方向に沿って本体をその開放端で覆うための上壁(4)と、所定量の飲料物質を収容する本体と上壁との間の囲繞部(6)とを備える。また、カプセルは、飲料生成装置内の背圧を調整するように構成される環状圧力設定リング(8)をさらに備える。圧力設定リングはコーヒーのカップ内品質を高める。本発明はまた、遠心力を利用した飲料生成装置内に係合されるときに異なる背圧を設定するための異なる寸法の圧力設定リングを備えるカプセルのセットにも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離によって飲料を調製するように形成されるカプセル、飲料生成装置内でのカプセルの使用、および、カプセルと飲料生成装置とを組み合わせたカプセルシステムであって、カプセル内に収容される飲料物質から、遠心力を使用して装置により供給される液体をカプセル内の物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、飲料生成装置と共に専用の制限バルブを形成するカプセルであって、カプセルから出る遠心分離液のための圧力設定手段を構成するカプセルに関する。
【背景技術】
【0003】
カプセル内に収容される原料に遠心力を使用して液体を通過させることによりコーヒーなどの飲料を調製するためのシステムが存在する。
【0004】
例えば、国際公開第2008/148604号パンフレットは、淹出(brewing)遠心力を使用してカプセル内に収容される物質に水を通すことにより遠心分離淹出ユニット内で物質から飲料または液体食品を調製するためのカプセルであって、所定用量の物質を収容する囲繞部と、遠心作用下で開放して淹出液がカプセルから出ることができるようにする開放手段とを備えるカプセルに関するものである。また、カプセルは、遠心分離淹出装置の外部回転駆動手段にカプセルを係合させるための手段を備えてもよく、この係合手段は、カプセルを基準回転位置に維持するためにカプセルの回転中にトルクに抵抗を与えるように構成される。
【0005】
これにより、コーヒーを淹出するあるいは他の食品物質を調製するための遠心力の効果は、圧力ポンプを使用する通常の淹出方法と比べて多くの利点を与える。例えば、圧力ポンプを使用する従来のエスプレッソまたはルンゴ・コーヒー・タイプ淹出方法では、供給されるコーヒー抽出物の抽出の質に影響を及ぼす全てのパラメータを習得することが非常に難しい。これらのパラメータは、一般に、圧力、圧力と共に減少する流量、流れ特性にも影響を与えるとともにコーヒー挽き粒径に依存するコーヒー粉末の圧密度、温度、水流分布などである。したがって、抽出圧力および流量を変えることは、コーヒーの層の抵抗および下流側の濾過システムによってほぼ決定されるので、容易ではない。
【0006】
遠心分離抽出において、調製されるべき飲料の品質(濃度または強さ、風味、香り、泡/クレマ等)は、複雑であり、異なる淹出パラメータの制御およびカプセル構造によって決まる。特に、カプセル内に注入される液体の流量は、重要な役割を果たすように思われる。流量は、装置内でのカプセルの回転速度、カプセル内での流体動態、遠心分離液に及ぼされる背圧などの多くのパラメータによって影響され得る。例えば、所定の背圧においては、回転速度が高ければ高いほど、流量が多くなる。逆に、所与の回転速度においては、背圧が大きければ大きいほど、流量が少なくなる。
【0007】
通常は遠心力を利用した飲料生成装置の回転モータを選択的に作動させる制御手段によってカプセルの回転速度が制御されるが、カプセルの出口にあるあるいはカプセルを支持する遠心セルの外側にある流れ制限部によって所定の背圧を得ることができる。
【0008】
例えば、欧州特許第651963号明細書は、係合蓋と遠心セルのカップ、例えばコーヒー粉末を収容するカプセルとの間の界面に介挿されるゴム弾性要素によって圧力勾配が得られることを教示する。そのような要素は、特定の圧力が界面で達成されるときに液体のための濾過通路を残すように弾性的に変形する。
【0009】
また、文献仏国特許第2487661号明細書および国際公開第2006/112691号明細書は、圧力勾配を形成するために所定の制限部がフィルタの下流側に配置される遠心分離システムに関する。
【0010】
また、国際公開第2008/148646号明細書は、流れ制限部が遠心セル内または遠心セルの外側に配置される解決策を提案する。この流れ制限部は、効果的な圧力を与える調整バルブを備えることができる。このバルブは圧力の作用を受けて開く。バルブが大きく開放すればするほど、流量が高くなる。バルブには弾性要素(ゴムまたはばね)によって予め荷重を加えることができる。予荷重が高ければ高いほど、バルブの上流側の遠心分離液における開放圧力が高くなる。
【0011】
欧州特許出願公開第1654966A1号は、フランジ状の周縁を伴うベース本体と該本体を閉じる箔部材とを備えるシール手段を有するカプセルに関する。そのようなカプセルは、遠心力を利用した調製装置で使用されるように形成されていない。
【0012】
しかしながら、従来技術の遠心力を利用した飲料生成システムは、背圧の所定値への適合が、背圧の多種多様な異なる所定値に合わせて調整することを複雑にする機構を必要とするという欠点を伴う。
【0013】
これにより、言うまでもなく、特にコーヒー飲料に関しては、遠心分離液に加えられる背圧が抽出状態(例えば、流量)を決定し、それにより、コーヒーの風味および香りに直接に影響を及ぼす。また、調製された飲料の上端に形成される泡/クレマなどの感覚器官を刺激する食感も、印加される背圧に大きく依存する。したがって、調製されるべきコーヒー飲料の泡/クレマおよび流量に関しては、特定のカプセル内に設けられる物質の性質に応じて背圧の値を調整することが望ましい。これは、異なるタイプの飲料においては、異なる品質および/または量の泡/クレマおよび異なる流量がそれぞれ望ましいからである。
【0014】
したがって、特に、カプセルと装置との間の界面で遠心分離液に及ぼされる背圧を良好に、より独立して、都合良く制御できるカプセルシステムにより、異なる風味、強さ、および/または、タイプを伴うコーヒー品種、例えばリステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ロングコーヒー等を提案する必要がある。
【0015】
用語「バルブ手段の背圧」とは、制限部または制限バルブによってもたらされる圧力損失のことである。制限部または制限バルブは「ボトルネック効果」を形成するので、液体の圧力は、遠心分離の作用によって制限部または制限バルブの上流側で形成される。特に、圧力が回転軸線からバルブへ向かって次第に増大する圧力勾配が形成される。この制限部のおかげにより、制限部よりも前の圧力が増大され、この圧力こそが液体−原料相互作用に影響を与える(例えば、液体による物質の抽出によって)。制限バルブにより形成されるこの圧力はまた、力(「背力」)を制限バルブでの接触表面積で割った比率として定義することもできる。
【0016】
同時係属の欧州特許出願第08171069.1号明細書(「Capsule for preparing a beverage by centrifugation in a beverage production device and device adapted therefore」と題される)はフォースリングが設けられるカプセルを提案し、フォースリングは、飲料生成装置の押圧面によって係合され、それにより、押圧面に関連付けられる弾性手段の力を受けてフォースリングの高さまたは厚さに応じて飲料抽出中に特定の背圧を与えるバルブ手段を形成する。
【0017】
現在、カプセル上のフォースリングの形態が、コーヒーのカップ内品質に影響を及ぼし、特にコーヒー抽出物のアロマ含有量に影響を及ぼすことが分かってきた。
【発明の概要】
【0018】
本発明の1つの目的は、飲料、特にコーヒーのカップ内品質をさらに高める遠心分離抽出を行なうように形成されるカプセルを提案することである。提案される解決策は、形成するのが容易であり、経済的であり、また、高い観点の寸法公差を伴って確実に大量生産することができる。
【0019】
また、提案される解決策は、例えば幅広い範囲の飲料(例えばコーヒー飲料)を供給するために、異なる背圧を装置内で容易に且つ経済的に与えることができる。さらに、提案される解決策は、高いガスバリア特性を与える材料、例えばアルミニウムの使用も可能にし、それにより、高価な包装パッケージの必要性が回避される。
【0020】
本発明は、前述した問題に対する解決策を提供するとともに、既存の技術に対してさらなる利益を与える。
【0021】
本発明は、飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、カプセル内に収容される物質から、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って本体をその開放端で覆うための上壁と、
所定量の飲料物質を収容する本体と上壁との間の囲繞部と
を備え、
カプセルが、本体から外側へ延びるフランジ状の周縁を備え、
フランジ状の周縁が環状フランジ部を備え、
カプセルが、カプセルから出る遠心分離された飲料流れのための流れ制限バルブを与えるために飲料生成装置のバルブ部材によって係合されるように構成される環状圧力設定リングを備え、
環状圧力設定リングがフランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる、カプセルに関する。
【0022】
圧力設定リングは、より具体的に、飲料生成装置内に挿入されるときにバルブ手段によって形成される背圧を調整するようにデザインされている。
【0023】
より具体的には、環状圧力設定リングは、専用の飲料生成装置のバルブ部材によって係合されるように環状フランジ部の平面よりも上側でカプセルの軸方向に延びるとともに、飲料生成装置のカプセルホルダの環状の下げ部または凹部内で受けられるようにフランジ部の平面よりも下側でカプセルの軸方向に延びる。
【0024】
環状圧力設定リング(「フォースリング」とも呼ばれる)は、飲料生成装置のバルブ部材の専用の押圧面と共に、遠心分離中にカプセルからくる飲料の流れのための制限バルブを形成する。圧力設定リングは、より具体的には、装置の専用の押圧面と共に、カプセルからの液体の解放を遅らせて回転速度に応じて液体流量を設定するべく遠心分離液の流路を選択的に塞ぐように構成される。より具体的には、バルブ手段で遠心分離液の十分な圧力に達すると、すなわち、遠心分離液が圧力設定リングに抗する力を及ぼすと、バルブ手段が開放し、すなわち、装置の押圧面がカプセルの圧力設定リングから離間することによってあるいはその逆の動作によって制限された流れ隙間が与えられる。遠心分離液の圧力が得られる前においては、バルブ手段は閉じられたままである。そのため、押圧面と係合する圧力設定リングは、遠心分離液のための流路を塞ぐ。バルブ手段の開放は、飲料生成装置内でカプセルを回転駆動させる設けられた駆動手段の回転速度に依存することに留意されたい。したがって、バルブ手段が遠心分離液のための流路を選択的に塞ぐと、液体が未だ装置から排出されていないため、飲料物質、例えば挽いたコーヒーの予備的な湿潤ステップを行なうことができる。事前湿潤および飲料解放の遅延の結果として、物質の完全な湿潤が可能になり、液体と飲料物質、例えばコーヒー粉末との間の相互作用時間がかなり増大し、抽出特性、例えば、コーヒー固形物含有量および飲料収率をかなり高めることができる。
【0025】
より具体的には、本発明のカプセルにおいては、カプセルの環状圧力設定リングは、それがフランジ部の平面よりも下側でカプセルの軸方向に延びる距離よりも長い距離で、環状フランジ部の平面よりも上側でカプセルの軸方向に延びる。
【0026】
一形態では、環状圧力設定リングが中空である。より好ましくは、圧力設定リングが環状カールとして形成される。「カール」または「カール端」とは、カプセルのフランジ状の周縁の自由端に起伏状の部分を形成するほぼ丸められた材料の部分、例えば巻回プライを意味する。材料のカールを部分的にあるいは完全に巻回することができる。カールの巻回は、成形、エンボス加工、深絞りなどの様々な技術によって得ることができる。より好ましくは、カールは、ほぼ閉じられた中空カールを形成するように巻回される。そのような特徴は、リングがバルブ部材によって押圧されるときにリングの軸方向の変形に対する十分な抵抗を与えつつ比較的軽量な構造を維持するという利点を与える。さらに、それにより、例えば深絞り、加圧、または成形によってシートの形態を成すパッケージ材料を使用することが可能になる。
【0027】
特定の形態において、環状圧力設定リングは、長い方の寸法がほぼ軸方向に延びる楕円カールを形成する。そのような特徴は、材料の厚さを増大させることなくリングの変形に対する抵抗をさらに高める。
【0028】
別の特定の形態において、環状圧力設定リングは、長い方の寸法がほぼ横方向に延びる楕円カールを形成する。
【0029】
しかしながら、カプセルの他の形態において、環状圧力設定リングは、特に環状フランジ部の平面よりも上側の環状圧力設定リングの距離が比較的短いままのときに比較的円形のカールを形成する。
【0030】
特に、環状圧力設定リングをプラスチックおよび/または金属から形成することができる。より好ましくは、環状圧力設定リングは、アルミニウム、または、アルミニウムおよびプラスチックから成る多層、好ましくはアルミニウム−PP積層体(ポリプロピレン)から形成される。「アルミニウム」は、ここでは、任意のアルミニウム系合金または複合体を包含する。好ましくは、圧力設定リングは、フランジ部およびカプセルの本体との一体品から形成される。
【0031】
カプセルを閉じられたカプセルにすることができ、その場合、上壁は、カプセルの本体を閉塞する穿孔可能な膜である。より好ましくは、カプセルは、カプセルの長い保管寿命を確保するべく気密態様で閉じられる。このため、カプセルの全面に対してガスバリア特性を与えるような包装材料が選択される。また、カプセルには、物質を酸化から保護するガス、例えば窒素または二酸化炭素と窒素との混合物を充填することができる。他の想定し得る形態において、カプセルは、完全に閉じられず、液体を供給できる、および/または引き出すことができるようにする孔または開口を有する上壁を備える。上壁の孔または開口は、好ましくは、上壁の外周に設けられることが望ましい。孔または開口は、略円形の経路に沿って、フランジ部から短い距離を隔てて、例えば0.5〜10mm、好ましくは1〜8mmの距離を隔てて外周に分布されるのが好ましい。
【0032】
別の形態では、環状圧力設定リングが平坦である。「平坦」とは、ここでは、圧力設定リングが中空ではなく同じあるいは異なる材料で満たされていることを意味する。圧力設定リングは、例えば、フランジ状の周縁の厚さの増分として、そのフランジ平面の上下の両方に突出して設けることができる。例えば、材料厚さの増大は、フランジ状の周縁の残りの部分と一体の部分を形成する。別の例では、環状フランジ部が柔軟なフィルム部から形成され、このフィルム部の上に平坦な固体材料、例えば硬質のプラスチックまたはゴムの環状部がシールされる。
【0033】
より好ましい形態において、フランジ部の平面よりも下側の圧力設定リングの距離に対するフランジ部の平面よりも上側の圧力設定リングの距離の比率は5:1〜1:0.5である。特に、フランジ部の平面よりも上側の距離は、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mmであることが好ましい。さらに、フランジ部の平面よりも下側の距離は、0.1〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、最も好ましくは0.3〜0.5mmであることが好ましい。
【0034】
想定し得る形態において、圧力設定リングは、周縁のフランジ部の平面よりも上側でのみ軸方向に延びており、前記平面よりも下側に軸方向延在部を何ら有さない。そのような場合には、装置内へのカプセルの適切な嵌合と背圧の正確な設定とを確保するために、バルブ部材の圧力がリング上に加えられるときにフランジ状の周縁が少なくともフランジ部と圧力設定リングとの間の接合部で変形できることも好ましい。例えば、フランジ状の周縁の変形能は、フランジ部の厚さが減少された少なくとも局所部によっておよび/または十分に小さい厚さによって得られ、例えば、そのような局所部または厚さは、プラスチックまたは他の高分子に関しては0.8mm未満、アルミニウムに関しては0.4mm未満である。
【0035】
さらに、本発明のカプセルは、圧力設定リングで十分に高い遠心力または圧力を与えるように特に寸法付けられる。このため、カプセルの中心軸線(I)から圧力設定リングまでの径方向距離は、最も好ましくは、24〜31mmである。より好ましくは、そのような距離は25〜30mmである。驚くべきことに、上限を超えると、装置内でのカプセルの回転速度にかかわりなく、コーヒーアロマのかなりの損失が認められ得ることが分かった。そのような損失は、そのような値でのあまり良くないコーヒー抽出状態を表わしている。下限を下回ると、フォースリングに及ぼされる低い遠心力に起因して、流量が非常に低くなり、抽出状態にも影響が及ぶ。したがって、所定の下限を上回る半径は、フォースリングで十分な圧力および流量を維持しつつ比較的適度な回転速度を維持できるようにする。さらに半径をより短くするには、同じ量のコーヒー粉末を格納できるようにするカプセルのサイズを維持するためにカプセルの深さを増大する必要がある。これは、おそらく、抽出の均質性の低下をもたらし、コーヒー粉末の領域が他の領域ほど湿潤されない状態となり得る。さらに説明されるように、半径は、ここでは、カプセルの中心軸線から、周縁のフランジ部の平面(以下、Pと称する)よりも上側の圧力設定リングの距離(以下、h1と称される)に相当するフォースリングの上端ポイントまでの距離として測定される。
【0036】
また、本発明は、飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、カプセル内に収容される物質から、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って本体をその開放端で覆うための上壁と、
所定量の飲料物質を収容する本体と上壁との間の囲繞部と
を備え、
カプセルが、本体から外側へ延びるフランジ状の周縁を備え、
フランジ状の周縁が、環状フランジ部と、前記環状フランジ部から延びる環状圧力設定リングとを備え、
環状圧力設定リングがフランジ状の周縁のカール端を形成する、カプセルに関する。
【0037】
また、本発明は、異なるタイプの少なくとも2つのカプセル、好ましくは異なるタイプの3つのカプセルを備え、各カプセルが前述したカプセルにしたがって構成されるカプセルのセットであって、
環状フォースリングの平面よりも上側の軸方向の距離がカプセルのタイプに応じて異なる、カプセルのセットに関する。
【0038】
軸方向の前記距離の違いに起因して、カプセルが飲料生成装置内に係合されるときに、カプセルの圧力設定リングにより異なる背圧値が設定され、それにより、遠心分離される飲料の特性を変えるのに寄与する。特に、環状圧力設定リングの平面よりも上側の距離が増大すると、バルブ手段に作用する予荷重が増大され、それにより、カプセル内の圧力が増大し、所定の回転速度におけるカプセル内の液体の滞留時間が増大する。
【0039】
用語「カプセルのタイプ」は、本明細書では、異なる重要な飲料属性(アロマ、強度、クレマ/泡、流れ時間等)を生み出すことができる、異なる飲料、例えばコーヒー飲料を特徴付ける少なくとも1つの違いを有するカプセルを示し、そのような違いは、以下のパラメータ、すなわち、カプセルのサイズ、物質の量、物質の密度(例えば、タップ密度)、特定の組成(例えば、ブレンド、コーヒー原産地)、挽きサイズ、充填レベル、および、これらの組み合わせのうちの任意の1つによって特徴付けられる。用語「カプセルのサイズ」は、特に、物質を受けるために潜在的に利用できるカプセルの格納容積、および/または、カプセルおよび/またはカプセルの本体の外容積を意味する。
【0040】
用語「カプセルのセット」は、一連の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つのカプセルまたはそれ以上の異なるタイプのカプセルを意味する。
【0041】
フランジ部の平面(P)よりも下側の環状圧力設定リングの軸方向の距離は、セットの全体にわたって一定であることが好ましい。したがって、この距離は、セットの全てのカプセルのための基準として役立ち、それにより、各カプセルが装置内に正確に位置決めされるようになり、圧力設定リングが著しく撓んだり変形したりしないようになる。これは、そのような撓みや変形が背圧設定の精度に影響を及ぼし得るからである。
【0042】
また、本発明は、前述したカプセルおよび/または前述したカプセルのセットと、飲料生成装置とを備え、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのシステムであって、
飲料生成装置が、
遠心分離中にカプセルを少なくともフランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダと、
カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
カプセルが飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるためにカプセルおよび/またはセットのカプセルの圧力設定リングと係合するためのばね荷重バルブ部材と、
を備える、システムに関する。
【0043】
また、本発明は、そのような飲料生成装置にも関連する。
【0044】
さらに、本発明は、遠心力を利用した飲料生成装置内での前述したカプセルの使用に関し、この場合、カプセルが装置内で遠心分離されるとともに、環状のフォースリングが専用の飲料生成装置の囲繞部材によって係合される。そのようなフォースリングは、カプセルから出てくる遠心分離液の流れを選択的に遮る、および/または制限するためのバルブ手段の一部を形成する。
【0045】
より具体的には、カプセルホルダは、環状フランジ部を支持するための第1の内側部と、環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部とを備える環状横方向支持縁部を備え、第2の外側部は、第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する。
【0046】
好ましい形態において、飲料生成装置は、装置内に挿入されるカプセルのタイプに応じて液体流量および/または駆動手段の回転速度を制御するように構成される制御手段をさらに備える。特に、液体流量および/または回転速度の制御は、これらのパラメータ(すなわち、流量および/または回転速度)のうちの少なくとも1つを一定に維持することによって、あるいは、該パラメータを所定の漸進的変化プロファイル(例えば、回転速度カーブ)にしたがって変えることにより、あるいは、前記パラメータを別のパラメータ、例えばこれらのパラメータのうちの第2のパラメータの変化に応じて動的に調整することによって行なうことができる。特定の形態において、液体流量は、少なくとも抽出中の期間にわたって、抽出プロセス中に回転速度を変えることにより一定に維持される。
【0047】
本発明は、飲料を供給するためのそのような装置内での前述したカプセルの使用にも同様に関連する。
【0048】
本発明はまた、飲料物質が充填され、飲料生成装置内に挿入するように形成されるカプセルキットであって、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を飲料物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルキットにも関する。カプセルキットは、本明細書本文中に記載されるカプセルの特徴の全て、特に圧力設定リングを備えてもよい。カプセルキットは、カプセルの本体上への上壁の接続を可能にする接続手段をさらに備え、そのような接続手段は、カプセルに飲料物質を充填した後に本体に対して上壁を固定するように構成される。接続手段は、圧入配置、螺合、接着、および、これらの組み合わせであってもよい。接続手段は、ユーザが必ずしも工具を使用する必要がなく上壁をカプセルの本体に接続できるように形成されるのが好ましい。
【0049】
本発明のさらなる特徴、利点、および、目的は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を理解し、添付図面の図と併せて解釈すると、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】様々なコーヒー飲料の生成のために適合されるカプセルのシリーズまたはセットに属し、シリーズのうちで最も小さい、本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図2】図1のカプセルの2つの本体の細部を表わし、特に、カプセルが保管中に互いに積み重ねられるときの圧力設定リングを示している。
【図3】シリーズにおける中間サイズである本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図4】積み重ねられた状態の図3のカプセルの本体の細部を表わしている。
【図5】シリーズのうちで最も大きい本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図6】積み重ねられた状態の図5のカプセルの本体の細部を表わしている。
【図7】図1のカプセルを備える飲料生成装置を断面で表わしている。
【図8】図1のカプセルを含む装置の拡大断面図である。
【図9】図8の拡大断面図である。
【図10】装置内のカプセルからの液体の遠心分離中における図8の拡大断面図である。
【図11】図5のカプセルのための図9と同様の拡大断面図である。
【図12】第2の実施形態による本発明のカプセルの側面図である。
【図13】図12のカプセルの細部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1、図3、図5およびそれぞれ積み重ねられた状態の詳細な図2、図4、図6は、本発明によるカプセル1A、1B、1Cのセットの好ましい実施形態に関する。各カプセルは、使い捨てを目的としており、飲料生成装置から飲料を供給するようになっている。カプセルは、カップ形状の本体2と、円形、環状、フランジ状の周縁3と、ディスク形状の上壁部材、好ましくは穿孔可能な膜4とを備えるのが好ましい。カップ形状の本体2は、図示のようなボウルまたは他の形状を有してもよい。これにより、膜4および本体2はそれぞれ封入原料区画室6を囲繞する。図示のように、膜4は、好ましくは1〜5mmである周縁3の内側環状フランジ部7に接続されるのが好ましい。膜4は、熱溶着ラインまたは超音波溶着ラインなどのシールによって本体の周縁3に接続される。
【0052】
周縁は必ずしも図示のように水平である必要がない。周縁は、カプセル物質または原料の経時的な脱気に起因して経時的に膜を押圧する圧力の増大に対するシールの抵抗を高めるために上方または下方へ僅かに曲げることができる。
【0053】
カプセルの周縁3は、飲料生成装置(図7参照)内のカプセル1の回転軸線Zに対応する本体の対称中心軸線Iに対して(図示のように)略垂直な方向または(前述したように曲げられる場合には)僅かに傾けられた方向で外側に延びることが好ましい。一般に、軸線Iは、その周囲で環状のブランジ状の周縁3が環状形態で延びる中心も表わす。それにより、対称軸線Iは、淹出装置内のカプセルの遠心分離中に回転軸線Zと位置合わせされる。例えば、僅かな傾斜は、中心対称軸線に対して約1〜30°の角度を表わす。
【0054】
カプセルの図示のボウル形状の実施形態が単なる例示的な実施形態にすぎず、また、本発明によるカプセル、特にカプセル本体2が様々な異なる形状をとることができることは言うまでもない。
【0055】
カプセル1A、1B、1Cは使い捨てカプセルであることが好ましい。しかしながら、カプセルが、複数の飲料を一度に供給できること、例えば2つのカップを同時に満たすのに十分な量のコーヒー抽出物を供給できることに留意すべきである。
【0056】
それぞれのカプセル1A、1B、1Cの本体2は、可変深さd1、d2、d3の凸部5a、5b、5cをそれぞれ有する。しかしながら、凸部5a、5b、5cは、切頂部または円筒部であってもよく、あるいは、切頂、円筒、球状などの異なる形状の部分の組み合わせであってもよい。
【0057】
そのため、カプセル1A、1B、1Cは、異なる原料格納容積を備えるが、同じ挿入直径「D」を備えることが好ましい。図1は小容積カプセル1Aを示し、一方、図3は中間容積カプセル1Bを示すとともに、図5は大容積カプセル1Cを示す。この場合、挿入直径「D」は、周縁3の下面と本体2の側壁の表面との間の交線で決定される。しかしながら、挿入直径は、装置内のカプセルの別の基準直径となり得る。
【0058】
本発明のカプセル1A、1B、1Cはまた、特に、後述するようにカプセルが飲料生成装置内で遠心分離されるときに圧力設定リング8で最適な流量を与えるように寸法付けられる。このため、軸線Iと平面Pよりも上側の距離h1との間の距離を表わす半径Rは、24〜31mmであることが好ましい。より好ましくは、この半径は25〜30mm、最も好ましくは約28(±1)mmである。半径が小さすぎれば、リングに作用する閉塞圧が同じ場合に、流量がかなり減少する。そのような少ない流量を補償するためには、回転速度を増大させることが必要であるが、これは、ノイズのコストやシステムのコストなどの他のファクタに対して悪影響を及ぼす。他方で、半径が大きすぎる場合にも、システムの遠心分離プロセス中の安定性に対して悪影響が及ぶとともに、装置内でカプセルが非常に扱い難くなる。
【0059】
さらに、フランジ状周縁部7と本体2との間の(上壁4の真下の)接合部で測定されるカプセルの囲繞部の大きい方の内径は、45〜50mmであることが好ましい。これらの限界値は、カプセルの上壁で十分な幅の出口領域を確保するためにも好ましい。この限界値が小さければ小さいほど、所定の回転速度で囲繞部の上側外周における圧力が低くなる。上限を超えると、フォースリングをもはや効果的に位置決めできない。
【0060】
カプセルの本体2は硬質または半硬質であることが好ましい。本体は、EVOH等のガスバリア層を伴う食品グレードプラスチック、例えばポリプロピレン、または、アルミニウム、または、プラスチックとアルミニウムとの積層体、例えばアルミニウム−PP(ポリプロピレン)積層体から形成することができ、アルミニウム−PP積層体の場合、PPが積層体の内層を形成し、アルミニウムが積層体の外層を形成することが好ましい。付加的なラッカーまたは着色層を設けることができる。膜はまた、紙およびプラスチック、紙およびアルミニウム、または、紙とアルミニウムとプラスチックとの組み合わせから形成されてもよい。プラスチックはまた、結晶化PLAまたはその等価物などの生分解性プラスチックも含む。膜4は、バリア層も含むプラスチックフィルム、または、アルミニウム、または、プラスチックとアルミニウムとの組み合わせなどの薄い材料から形成することができる。膜4は、通常、例えば10〜250ミクロンの厚さを有する。膜は、本明細書中で後述するように注水口を形成するために穿孔される。膜はまた、穿孔可能な外周領域もさらに備える。
【0061】
膜4の代わりに、カプセル1A、1B、1Cは、硬質、半硬質、または、柔軟な係合蓋部材を備えてもよく、係合蓋部材は、水注入部材の導入を可能にするための入口ポートを有する中心部と、周囲に配置される出口開口を有する外周部とを備えるディスクの形状を有することが好ましい。
【0062】
例えば、出口開口は、濾紙および/またはプラスチック織布の環状層によって形成することができる。この場合、入口ポートおよび/または出口開口は、装置内へのカプセルの挿入前に予め形成される。これらは、包装パッケージまたは剥離可能な膜などの除去可能な気密層によって挿入前に覆われ得る。
【0063】
小型カプセルと大型カプセルとの間の容積差は、特に、セット中のカプセルの本体2の深さd1、d2、d3を変えることによって得られる。特に、小さい方のカプセル1Aの本体の深さは、中間サイズのカプセル1Bの本体の深さよりも低く、また、中間サイズのカプセルの本体の深さは、大型サイズカプセル1Cの本体の深さよりも低い。
【0064】
より一般的には、カプセルの内容積は18mlおよび50mlを含むことが好ましい。これらの容積はいずれも、最適な遠心(コーヒー)抽出状態を与えつつ十分な量のコーヒー粉末を受けるのに十分な空間をもたらすように決定されている。
【0065】
また、別の変形では、最も大きいサイズのカプセル(図5)だけを有し、生成されるべき飲料のタイプ(例えば、リステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ロングコーヒー、ホワイトコーヒー、ティー、チョコレート等)に応じて区画室内に受け入れられる物質の充填レベルを異ならせることにある。
【0066】
カプセルには、それらのサイズに応じて飲料物質が充填される。そのようなサイズは、前述したように好ましくはカプセルの深さd1、d2、d3を変えることによって決定することができる。したがって、小容積のカプセル1Aは、中間容積のカプセル1Bにおける量よりも少ない量の抽出物質、例えば挽いたコーヒーを収容し、また、中間容積のカプセルは、最大サイズのカプセル1Cにおける量よりも少ない量の抽出物質、例えば挽いたコーヒーを収容する。
【0067】
そのため、小型カプセル1Aは、4〜8グラムの量の挽いたコーヒーを用いて10ml〜60mlのよりショートなコーヒー飲料を供給するようになっているのが好ましい。さらに大きいカプセル1Bは、中間サイズのコーヒー、例えば60〜120mlを供給するようになっており、また、最も大きいカプセル1Cは、ロングサイズコーヒ、例えば120〜500mlを供給するようになっている。また、中間サイズコーヒーカプセル1Bは、6〜15グラムの量の挽いたコーヒーを収容することができ、また、ロングサイズコーヒーカプセル1Cは、8〜30グラムの量の挽いたコーヒーを収容することができる。カプセル内の物質の充填レベルは、カプセル内に遠心力に起因して優先的な液体経路を形成することなく原料中で十分に分配された液体の流れを確保するように設定することもできる。一般に、物質は、ぎっしり詰まったケーキを形成するように充填されるべきではなく、あるいは、使用(すなわち、装置内でのカプセルの遠心分離)前にぎっしり詰まった態様でカプセルの上端まで充填されるべきではない。
【0068】
本発明によるセット中のカプセルは、異なる原産地からのおよび/または異なる焙煎特性および/または挽き特性を有する焙煎して挽いた(1つまたは複数の)コーヒーの異なるブレンドを収容してもよい。カプセル内に収容される焙煎して挽いたコーヒーの平均粒径(D4、3)は、120〜750ミクロン、好ましくは160〜500ミクロンとなり得る。
【0069】
一般に、物質は、焙煎して挽いたコーヒー、可溶性コーヒー、クリーム(生クリームまたは非生クリーム)、ティー(例えば、グレイティー、グリーンティー、ホワイトティー、または、ハーブティー)、ココア、チコリー、特殊調製粉乳、および、これらの組み合わせを含んでもよい。甘味料(砂糖、アスパルテーム、ステビア等)、香味料(シナモン、バニラ、アーモンド、ハーブ等)、加工助剤、乳化剤、起泡剤、フルーツ抽出物または植物抽出物、微量栄養素、および、これらの組み合わせなどの添加物が加えられてもよい。
【0070】
本発明のカプセルは、より具体的には図2、図4または図6に示されるように、そのフランジ状の周縁3に、内側フランジ部7から上方および下方の両方に突出する環状の圧力設定リング8を備える。特に、その機能については後述する圧力設定リングは、フランジ部7を通り過ぎる平面Pよりも上側でカプセルの軸方向に延びる上部9と、平面Pよりも下側で依然としてカプセルの軸方向に延びる下部10とを備える。慣例により、平面Pの基準は、本明細書では、フランジ部7の下面に沿ってとられる。本発明の文脈において、用語「軸方向」とは、カプセルの中心軸線Iと一直線に合わせされたあるいは中心軸線Iと平行な任意の方向のことである。用語「横方向」とは、中心軸線Iに対して垂直なあるいは45°を超える角度の傾けられた任意の方向のことである。用語「下側」および「上側」とは、本明細書では、カプセルの上壁4が上方へ向けられ本体2の底部が下方へ向けられるときの図示のような相対的な平均位置のことである。より好ましくは、リングの上部9は、下部10の距離「h2」よりも長い距離「h1」だけ延びている。特に、距離「h1」は、カプセルのセットにおける圧力設定リングの軸方向長さを決定する。このため、距離「h1」はセット内で変わり、一方、距離「h2」はセット内で一定のままである。したがって、例えば、最も小さいカプセル1Aには、中間サイズのカプセル1Bの平面Pよりも上側のフォースリングの距離h1よりも大きい距離h1にわたって平面Pよりも上側で延びる圧力設定リング8が設けられる。比較上、中間サイズカプセル1Bの圧力設定リングの距離h1はまた、最大サイズカプセル1Cの距離h1よりも大きい。これにより、距離h1は、例えばセット内で深さ(d1、d2、d3)が増大するなど、カプセルのサイズの増大に伴って、減少することが好ましい。これにより、後述するように、淹出特性をカプセルのタイプに適合させるため、特に淹出特性をカプセルのサイズおよびコーヒー粉末含有量に適合させるために、飲料生成装置内で異なる背圧値が設定される。この場合、圧力設定リング8の厚さh1は、カプセルが飲料生成装置内に挿入されるときにカプセルに及ぼされる背圧の調整を可能にするために、カプセルのタイプ、より具体的には図示のカプセル1A、1B、1C内に収容される飲料物質の量および/または特性に適合されるのが好ましい。例えば、リステロットまたはエスプレッソのコーヒー飲料を調製するために少量の飲料物質を収容するカプセル−例えばカプセル1A−においては、高い強度(すなわち、多量の総コーヒー固形物がコーヒー抽出物中に転移される)および厚いクレマを伴うコーヒーを供給するために高圧抽出が望ましい場合がある。これらの特性は、多量のコーヒー粉末を収容するカプセル1Bまたは1Cから出る飲料にとって望ましい場合がある低圧抽出と比較できる。したがって、飲料抽出中の所与の回転速度において、少量の物質を収容する小容積のカプセル1Aの背圧は、より多くの量の物質を収容する大きいカプセル1Bまたは1Cの背圧よりも高くなるように適合される。無論、回転速度は、カプセル1A、1B、1Cのタイプおよび生成されるべき飲料に応じて異なってもよい。
【0071】
本発明の好ましい形態において、カプセルの圧力設定リング8は、フランジ状の周縁の巻回縁部またはカールによって形成され、それにより、閉じられてもよいあるいは部分的に閉じられてもよいカールが形成される。特に、カールは、エンボス加工、スタンピング加工、鋳造などの任意の適切な成形技術によって1プライの材料から形成することができる。上部9は、周縁のフランジ部7と下部10との間の1プライの材料として中間部を形成することが好ましい。下部10は、カールの端部を形成するプライの再び入り込む部分11により延在できる。上部9は、図示のように軸方向の凸部となり得るが、平面または凹面などの他の形状も想定し得ることに留意されたい。同様に、下部10の下端は、図示のように軸方向の凸部となり得るが、平面または凹面などの他の形状も想定し得る。さらに、圧力設定リングは、図示のようなカールの形態のときには中空形状を成すことが好ましいが、想定し得る代案として、平らな(すなわち、中空でない)リングも想起される。例えば、軸方向の変形に対するリングの抵抗を高めるために、リングをカールとして形成して、リングにプラスチックやゴムなどの材料を充填することができる。
【0072】
カプセル1A、1Bにおいて、圧力設定リングは軸方向に楕円形状を成し得る。これは、距離h1と距離h2との和に対応するリングの高さ「h」がリングの幅「w」よりも大きいからである。カプセル1Cにおいては、幅「w」をリングの高さ「h」に等しくて、それにより、カールを略円形にすることができ、あるいは、幅「w」をリングの高さ「h」よりも僅かに長くして、それにより、カールされたリングを横方向で楕円にすることができる。
【0073】
図2、図4、図5に示されるように、圧力設定リング8は、互いに積層されるときにカプセルの本体間の距離を維持する機能も果たす。したがって、圧力設定リングは、保管中に、特に製造中に、例えば本体に飲料物質が充填される前に、カプセルの本体の積層体からの分離を容易にする。図2に示されるように、例えば、積み重ねられた本体が圧力設定リングの下部10と上部9との間の接触によって当接すると、それぞれの部分9、10の距離h1、h2により、フランジ部7同士は互いに距離(距離h3参照)を保って互いに直接に接触しない。そのような形態は、本体の積層体からの分離を非常に容易にし、それにより、カプセル製造場所(コーヒー取り扱い、充填、シールなど)から離れた製造領域でのカプセルの本体の製造が可能になる。
【0074】
図7は、本発明のカプセルシステムによる飲料生成装置のその閉じられた状態の側断面図を示している。この場合、装置は、回転カプセルホルダ20と、駆動手段21と、収集器22とを備えており、遠心分離された液体が収集器22に衝突して飲料出口23を通じて流出する。駆動手段21は、カプセルホルダに軸方向で接続されるアクスル24を介して(図示のように)下側であるいは(図示しない)上側でカプセルホルダ20に連結される回転モータを備える。カプセルホルダ20は、カプセルホルダ20内のカプセルの耐密嵌合を想定し得る径方向の遊びを伴うことなく確保するために、カプセル1の直径「D」にほぼ等しい基準直径を形成する外周面を有する。カプセルホルダ20は、セットの全てのカプセルを受け入れることができるようにその中心が十分にくぼんでいるあるいは深いことが好ましい。したがって、セットの全てのカプセル1A、1B、1Cを受けるために1つのカプセルホルダだけで足りる。なお、カプセルホルダは、様々な形状を成すことができ、単純な環状の中空リングから形成されてもよいことに留意されたい。
【0075】
さらに、装置は、カプセル1の膜4をその中心部で穿孔するように配置される注入部材26を有する注入手段25を備える。国際公開第2008/148604号パンフレットに既に記載されるように、注入手段25は、飲料抽出プロセス中に所定量の加熱された加圧液体をカプセル1へ供給するために水タンクなどの液体供給源29、ポンプ30、および、液体加熱機器31を備える液体回路28に接続される。液体は通常は水(加熱水、周囲水、または、冷却水)である。液体は、中空の針またはチューブの形状を成す注入部材26を通じた注入によってカプセル内に供給される。注入部材は、必要に応じて、上壁の穿孔を確保するべく鋭利な自由端を有して形成され得る。また、装置は、国際公開第2008/148604号パンフレットに記載されるような一連の出口穿孔器27も備える。出口穿孔器は、装置の閉塞中にカプセルの上壁と係合する係合蓋33の外周に設けられる。したがって、膜4の環状部に出口が形成され、それにより、カプセル1の回転動作中に、抽出された(遠心分離された)飲料がカプセル1から出ることができる。
【0076】
装置は、装置の様々な要素、特に、ポンプ30、ヒータ31、および、駆動手段21の回転速度を制御する制御ユニット40をさらに備える。特に、制御ユニットは、ポンプ流量、ポンプ圧力、水温、回転速度、回転速度周期(例えば、事前湿潤段階、抽出段階、乾燥段階等の最中の速度)を含む(含むが、これらに限定されない)動作パラメータを抽出中に調整するようにプログラムされる。幾つかのプログラムは、例えばリステロット、エスプレッソ、ルンゴ、アメリカーノなどの特定の飲料、および/または、特定の濃さ、アロマプロファイル、泡/クレマ量などを有する飲料を供給する異なるタイプのカプセル1A、1B、1Cに特に合わせて設計され得る。カプセルは、装置内での識別を可能にするとともに動作パラメータを自動設定するためにバーコードやRFタグなどの識別コードを備えることができる。この場合、装置は、制御ユニットに関連付けられた適切なコード読み取り手段を備える。制御手段およびコードは、以下のパラメータ、すなわち、液量(小カップ、中カップ、ロングカップ、エキストラロングカップ等)、駆動手段の回転速度、液体ポンプ速度または速度周期(例えば、事前湿潤用のための低速、抽出および乾燥のための高速)、液体加熱温度等のうちの任意の1つあるいは任意の組み合わせなどの重要な淹出パラメータの制御を確保するように構成され得る。
【0077】
本発明のシステムは、カプセルの出口(穿孔出口または予め形成された出口)を通じてカプセルから出る遠心分離液に対して背圧を与えることができるバルブ手段18を備える。バルブ手段18は、カプセルに対する装置の相補的な係合によって形成される。より具体的には(図9)、装置は、係合蓋33に対して周方向に配置されて下側環状押圧面35を有するバルブ部材34を備える。カプセルの側において、バルブ手段は、装置のバルブ部材34の環状押圧面35によって係合される圧力設定リング8を備える。押圧面35は、所定の背圧下で圧力設定リング8の上部と係合する。バルブ手段の2つの相補的な部分34、8の圧力係合は、バルブ部材34と係合蓋33またはその一部に対して直接的にあるいは間接的に接続される環状抗力要素37との間に配置されるばね36などのばね付勢手段によって弾力的になされる。幾つかのばね36(例えば、6〜10個のばね)、例えばカプセルの周縁に対して予荷重を均一に分配して釣り合わせるための平行な螺旋ばねを部分34と要素37との間で外周に均等に配置することができる。無論、本発明の範囲から逸脱することなく、ばねに取って代わるための他の等価な弾性手段を想起できる。
【0078】
バルブ部材34および注入ユニット25は、一般に、飲料抽出プロセスの前後のそれぞれでカプセルホルダ20に対するカプセル1の挿脱を可能にするために、閉塞システム(図示せず)を介してカプセルホルダ20に対して移動できる(あるいは、逆もまた同様である)。閉塞システムは機械的なおよび/または液圧的な閉塞機構となり得る。コーヒー機械においては、膝継手を形成するレバーまたはカム型閉塞体などの多くの機械的な閉塞機構が知られている。さらに、水注入手段25、バルブ部材34、カプセル1、および、カプセルホルダ20はいずれも、遠心分離プロセス中に軸線Z周りに回転できる。バルブ部材34も、注入部のカプセルと係合するときの相対位置に影響を及ぼすことなくカプセルの異なる想定し得る厚さを考慮に入れるべく、係合蓋33とは無関係に移動可能にされる。このため、部分34を係合蓋33の周囲にスライド可能に取り付けることができる。バルブ手段の液密性を確保するために2つの部品33、34間にOリングなどのジョイント44を設けることができる。
【0079】
カプセルのホルダ側では、圧力設定リング8がカプセルホルダ20の支持縁部の下げ部または凹部38によって強固に支持される。下げ部または凹部38は、周縁のフランジ部7を保持するカプセルホルダの縁部のフランジ支持部39に対して下げられる。下げ部38と支持部との間の段部の高さは、カプセルとカプセルホルダとの間の正確な嵌め合いと、カプセルホルダによるリング8の強固な支持とを確保するために、距離h2に等しいあるいはそれに近いことが好ましい。しかしながら、リングの距離「h2」を段部の高さよりも小さくし、それにより、バルブ部材34の圧力下でフォースリングをフランジ部7に対して曲げることもできる。フランジ部7を係合蓋33の外周部40によってさらに押圧することができる。外周部40は、穿孔手段27によって穿孔される出口から出る遠心分離液がバルブ手段18へ向かう途中で係合蓋を横切ることができるようにするために径方向に向けられるチャネルまたは凹部41を備える。フランジ部7がフランジ支持面39の形状とは僅かに異なる湾曲した(僅かに凹状、凸状、または、傾斜した)形状またはラインを有することが想定し得る。その場合でも、凹部または下げ段部38内にフォースリングを嵌合させるようにするために、フランジ部7を、係合蓋33の外周部40によって依然として変形させることができ、例えば、支持面39に押し付けて平坦化することができる。
【0080】
したがって、バルブ手段の背圧は、バルブ部材34の相対位置とばね付勢手段36の圧縮とを変える圧力設定リング8によってほぼ予め決定される。カプセルのタイプに応じて、例えば装置内に配置されるカプセル1A、1Bまたは1Cに応じて、背圧は、圧力設定リング8の異なる形状に起因して変化する。図9のカプセル1Aは、図11のカプセル1Cと比べて短いリング8を有する。特に、既に述べたように、距離h1はカプセル1Aにおいて比較的小さく、一方、距離h2は、全てのカプセル1A〜1Cにおいて等しい。結果として、ばね付勢手段36は、カプセル1Aが装置内に係合されるときには、カプセル1Bまたは1Cが係合されるときよりも少なく事前圧縮されるようになる。ばね付勢手段36がより多く圧縮されると、ばね付勢手段の全長を表わす距離「d」が減少され、それにより、カプセルのリングに及ぼされる予荷重または力がフックの法則にしたがって直線的に増大する。距離「d」の減少は、ここでは、圧力設定リングの距離h1の増大によって直接的にもたらされる。これは、これらの要素がいずれも直線的な軸方向に配置されるからである。そのため、カプセルのセット内で距離h1が減少するにつれて、ばね長「d」が増大するため、バルブ部材34に対して、したがって圧力設定リング8に対してばね荷重手段(すなわち、ばね36)により及ぼされる予荷重が減少する。この形態は、これらの選択的に設計されるカプセルを使用するバルブ手段18の背圧の簡単な機械的制御をもたらす。例えば、カプセルのタイプに応じて、バルブ手段によって及ぼされる背圧(すなわち、大気圧を超える圧力)は、5N/cm2(0.5バール)〜180N/cm2(18バール)、より具体的には、15N/cm2(1.5バール)〜134N/cm2(13.4バール)、特に、27N/cm2(2.7バール)〜87N/cm2(8.7バール)の範囲をとり得る。これらの圧力値は、ここでは、バルブの閉位置で圧力設定リング8に作用する係合面35の軸方向圧縮力を測定して、バルブ手段のこれらの2つの部品間の接触表面積で割ることにより測定される。より具体的には、小さいコーヒーカプセル1Aは、リングのその長い上部の厚さh1に起因する最も高い背圧、例えば100〜180N/cm2の背圧値を用いてリステロット(約25mL)およびエスプレッソコーヒー(約40mL)を供給するように形成される。中間サイズのコーヒーカプセル1Bは、50〜140N/cm2の範囲の背圧値を用いてルンゴコーヒー(約100〜120mL)を供給するようにさらに形成される。最も大きいサイズのカプセル1Cは、例えば5〜80N/cm2の範囲内の最も低い背圧を用いてロングコーヒー(約150〜250mL)を生成するように形成される。異なる品質属性のコーヒー飲料を得ることができ、特に、抽出収率は約10〜30%であり、全固形物は重量で約0.5〜2.5%であり、安定したクレマが得られる。コーヒー飲料に関する抽出収率および全固形物における定義は、例えば欧州特許第1566127号明細書で与えられる。
【0081】
なお、分配されるべき飲料のタイプに対応する飲料生成装置における適切なパラメータ、特に、飲料の量(例えば、25、45、110、150、250mLなど)、流速、および/または、飲料または液体の流速および滞留時間を決定する回転速度の設定を確保するために、識別手段がカプセルのそれぞれのタイプに関連付けられるのが好ましいことに留意されたい。識別手段は、バーコードなどのコード、RFID、色認識、磁気手段または強磁性手段、機械的な突起などであってもよい。
【0082】
本発明の装置において、カプセル1からの飲料の抽出は、注入ユニット25の係合蓋33(好ましくは静的なままの注入器26)、バルブ手段18、カプセルホルダ20、および、カプセルを一緒に軸線Z周りに一定または可変であってもよい例えば500〜16500rpmの抽出速度で回転駆動させることによって得られる。速度は、抽出中に前述したバルブ手段の開放を可能にするカプセル内の液体の遠心圧力をもたらすのに十分でなければならない。
【0083】
カプセル1内へ中心で注入される液体は、本体2の側壁の内面に沿って膜4の内面まで案内され、その後、穿孔部材27によって膜4に形成される穿孔出口開口を通じて案内された後、表面35とリング8の上端との間のバルブ手段18を通じて案内されるようになっている。非可溶性固形物(例えば、コーヒー)粒子がカプセル内に維持されるようにするために、穿孔器27と膜4との間の隙間によって液体を濾過することができる。濾過は、カプセル内に挿入される別個のフィルタによって行なわれてもよい。カプセル1内の液体の遠心分離に起因して、カプセル内に供給される液体および飲料物質(例えば、焙煎して挽いたコーヒー粉末)は、液体食品(例えば、コーヒー液体注出物)を形成するように相互に作用される。図10は、飲料がカプセルから遠心分離されてバルブ手段18が十分に開放され、それにより、液体が圧力設定リング8とバルブ部材34との間を通過するときのシステムを示している。遠心分離された飲料にはバルブ手段の上流側で十分な圧力が与えられ、それにより、バルブ手段が開放されて、液体流が収集器の衝突壁46の方に高速で突出されるように環状の制限開口42が形成される。バルブ手段の開放は、バルブ部材34を押し進めてばね36に抗してさらに付勢する液体によっても同様に得られる。バルブ部材34は、硬質プラスチックまたは金属などの非圧縮性材料から形成されるのが好ましい。しかしながら、バルブ部材およびばねは、例えば環状のゴムリングまたはブロックから形成される場合など、係合機能および弾性機能の両方を確保する一体の圧縮性部品から形成できることに留意すべきである。制限開口の表面積は、0.5〜15.0mm2、より好ましくは1〜10mm2であることが好ましい。流れ制限開口の表面積は、設定背圧値およびカプセルの回転速度に応じて変化可能であり、この場合、一般に、速度が高ければ高いほど、所与の背圧における表面積が大きくなる。
【0084】
前述したように、本質的に焙煎して挽いたコーヒーである飲料物質において、カプセルは、半径Rが22〜31mm、より好ましくは24〜30mm、最も好ましくは25〜29mmとなるように構成される。驚くべきことに、これらの範囲はカップ内コーヒーの品質を向上させる。半径が最大値を超えると、コーヒー抽出物はアロマ含有量が低くなる。特に、流量の値が高められ、適度な回転速度限界が維持される。
【0085】
飲料調製プロセスの初めに液体をカプセルに充填する最中にカプセル内に含まれるガスまたは空気を放出するのに役立つバルブ手段18を通じた僅かな液漏れが必要とされ得ることに留意すべきである。この漏れは、バルブ部材のいずれか(例えば、装置の表面35上、および/または、リングの上部9の表面上)に設けられる小さい径方向溝、オリフィス、エンボス等によって得られてもよい。
【0086】
回転速度はまた、カプセルから遠心分離される液体の好ましい流量と適合するように調整される。カプセルに水を充填した後、抽出段階中に、水は、遠心分離液の流量にほぼ等しい流量でウォータポンプによりカプセル内に供給され続ける(カプセルは空間を満たす液体で一杯であるため)。抽出段階の最後に、ウォータポンプは、カプセルから残存液を排出して空にするために遠心分離が維持される間に停止されてもよい。これは、一般に、抽出段階中に制御され得る水流量である。水流量は、ウォータポンプの下流側の流体回路中に配置されて制御ユニット40により制御される流量計によって測定することができる。また、バルブ手段の下流側の飲料流量を測定することも理論的に可能であるが、この領域に流量計を設けることはかなり面倒である。回転速度は、制御ユニットで事前設定される基準の流量と適合するべく抽出段階中に変動する。事前設定流量は、カプセルのタイプおよび/または供給されるべき飲料に応じて選択される。また、異なる背圧値を設定できる圧力設定リングを有するカプセルの利点は、より狭い回転速度範囲内での遠心分離の間に異なる範囲の流量を与えることができる可能性にもある。したがって、依然として同じコーヒーの多様性を得つつ、かなり低い回転速度を実現できる。この場合、遠心力が小さいため、機械が受ける機械的制約は低く、そのため、システムをより軽量な/少ない材料で形成できるとともに、消費される電力が全体的に少ない。駆動手段の回転速度を調整することによって飲料の流れを設定背圧にしたがって制御する好ましい方法は、「Capsule system with flow adjustment means」と題される同時係属の欧州特許出願第公開09178382.9号明細書に詳しく記載されている。この特許出願は参照により本願に組み入れられる。無論、カプセル(1A、1B、1C)の異なるタイプにしたがって設定される異なる所定の範囲の回転速度(または、異なる固定値)を設定するなど、飲料特性の他の制御も可能である。
【0087】
図12および図13は本発明のカプセルの別の想定し得る実施形態を示しており、この実施形態において、圧力設定リング8は、フランジ状の周縁3のフランジ部7から軸方向で平面Pの上下の両方に延びる平坦(すなわち、中空でない)部から形成される。先の実施形態の場合と同様に、圧力設定リング8は、横方向の平面Pから測定される距離h1を形成する上部9と、平面Pから測定される距離h2を形成する下部10とを備える。距離h1は距離h2よりも高いことが好ましい。さらに、距離h1は、セット中のカプセルのタイプに応じて変化し、一方、h2は、カプセルのセット内で一定値のままであることが好ましい。フランジ状の周縁3は、圧力設定リングを含むカプセルの本体の一体部分として形成されるのが好ましい。リングの平坦な上端面を考慮すると、半径Rは、ここでは、リングの最も高い距離(h1)で、しかしながら中心軸線「I」に最も近い距離で(すなわち、上端平面の内縁で)、したがって、中心軸線「I」に対して最も近いリングの圧力点に対応する距離で測定される。そのため、半径は、ここでは、リングの横幅とは無関係である。無論、リングの上縁は、最も高い距離(h1)が横方向で中心軸線「I」に近い方の距離である凹状にすることもできる。フォースリングは、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの単純なプラスチック、あるいは、PP−PE、PP−PET、PE−PET、PP−PE−PET、PP−EVOH−PET、または、PE−EVOH−PETなどのプラスチックの組み合わせ、あるいは、PP−アルミニウムまたはPE−アルミニウムなどのプラスチックと金属との組み合わせ、および、ラッカー、着色層、接着剤等から形成することができる。フォースリングは、射出成形または熱成形によって本体と共に形成することができる。圧力設定リングは、図示のように長方形であってもよく、あるいは、円形または楕円形であってもよい。フランジ部7は、挿入中および注入手段の係合蓋による係合中に変形するように可撓性であってもよい。
【0088】
別の想定し得る形態(図示せず)において、カプセルは、本体の一部ではなく上壁の一部、例えば膜の一部であるあるいは膜に取り付けられる圧力設定リングを備えてもよい。例えば、リングを膜の環状延在部から形成して膜に対してシールすることができる。この場合、圧力設定リングは、フランジ部を越えて軸方向および横方向の両方に延びるが、必ずしもフランジ部に直接に接続されなくてもよくあるいはフランジ部と一体でなくてもよい。フォース圧力リングが本体とは別個であって圧入またはクリップ留めによって本体のフランジ部に取り付けられることも想起できる。
【0089】
別の想定し得る変形において、カプセルの圧力設定リングは、平面「P」よりも上側でのみ延びているが、本体の底部の方向で平面「P」よりも下側に延在部を形成しない。この場合、「h1」は前述したようにセット内で異なり、「h2」は0ミリメートルである。
【0090】
本発明はまた、飲料物質(例えば、挽いたコーヒー)を受けるように形成される充填可能なカプセルキットも包含する。この形態において、カプセルの上壁は、カプセルに飲料生成装置内への挿入前に飲料物質を充填できるようにする取り外し可能な接続手段を使用して本体に接続できる。接続手段は、圧入、接着、螺合、および、これらの組み合わせとなり得る。例えば、上壁は、粘着性の接着層によって前記接着層を覆う保護バンドの除去後にユーザによりカップ形状体に接続され得る穿孔可能な材料(例えば、薄いアルミニウム箔)のディスクであってもよい。接着層は、カプセルを閉じて装置内で穿孔を可能にするのに十分な接着力を与えるように形成され得る。接着層は、本体の膜および/またはフランジ部によって支持されてもよい。
【実施例】
【0091】
検査の目的は、遠心分離によって抽出されるコーヒーのカップ品質を高めるために、重要な芳香族化合物の含有量に対する本発明のカプセルの圧力設定リングの径方向距離(R)の影響を評価することであった。
【0092】
解析は、25mlカップサイズで調製されるNespresso Arpeggioの焙煎して挽いたコーヒーブレンドを用いて行なわれた。それぞれのシステムごとに、両方のシステムのための代表的サンプルを与えるべく5つの調製が行なわれて融合された。サンプルは、クラッシュアイス中で直ちに冷却されて解析されるまで−20℃に維持された。全てのサンプルが3つを一組として解析された。
【0093】
全ての主要な化合物クラス(硫黄化合物、アルデヒド、フェノール、ジケトン、ピラジン)を表わす13個の重要な芳香族化合物が選択された。
【0094】
内部標準(IDA)として同位体標識された化合物を使用してSPME−GC/MS解析により絶対濃度が決定された。
【0095】
2つの異なるカプセル直径(D)、52mmおよび63mmがそれぞれ検討された。カプセルは、先に規定された径方向の半径(R)が±0.5mmの公差をもってD/2に等しくなるように形成された。
【0096】
2つの回転速度、すなわち、5000rpmおよび10000rpmが検査された。
【0097】
検査されたコーヒー挽きサイズ(D4、3)は260ミクロンであった。
【0098】
2つの異なる直径(2.R)を有するカプセルにより調製されたコーヒー飲料中に存在するアロマ含有量の結果が以下の表に示されている。
【0099】
直径を52mmから63mmまで増大させると、最終的な飲料中の芳香族化合物の減少がもたらされる。大きい直径での芳香族の減少は、5000rpmおよび10000rpmで生じる。最も大きな影響は、アルデヒドやジメチル硫化物のような多くの鮮度マーカーも備える5000rpmでの高揮発性物質において見出される(28%少ない)。10000rpmでは、高揮発性物質および低揮発性物質において損失は同様であり、5000rpmでは大幅に低い。低揮発性物質および中間の揮発性物質は、両方の検査速度において10〜20%低い量で存在した。
【表1】
【0100】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明してきたが、添付の特許請求の範囲により規定されるこの発明の範囲から逸脱することなく、多くの改変および変更が当業者によりなされてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…カプセル、2…本体、3…フランジ状の周縁、4…膜、5a…凸部、6…区画室、7…環状フランジ部、8…圧力設定リング、9…上部、10…下部、11…再び入り込む部分、18…バルブ手段、20…カプセルホルダ、21…駆動手段、22…収集器、23…飲料出口、24…アクスル、25…注入手段、26…注入部材、27…穿孔器、28…液体回路、29…液体供給源、30…ポンプ、31…液体加熱機器、33…係合蓋、34…バルブ部材、35…押圧面、36…ばね、37…要素、38…下げ部、39…フランジ支持部、40…制御ユニット、41…凹部、42…制限開口、44…ジョイント、46…衝突壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離によって飲料を調製するように形成されるカプセル、飲料生成装置内でのカプセルの使用、および、カプセルと飲料生成装置とを組み合わせたカプセルシステムであって、カプセル内に収容される飲料物質から、遠心力を使用して装置により供給される液体をカプセル内の物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、飲料生成装置と共に専用の制限バルブを形成するカプセルであって、カプセルから出る遠心分離液のための圧力設定手段を構成するカプセルに関する。
【背景技術】
【0003】
カプセル内に収容される原料に遠心力を使用して液体を通過させることによりコーヒーなどの飲料を調製するためのシステムが存在する。
【0004】
例えば、国際公開第2008/148604号パンフレットは、淹出(brewing)遠心力を使用してカプセル内に収容される物質に水を通すことにより遠心分離淹出ユニット内で物質から飲料または液体食品を調製するためのカプセルであって、所定用量の物質を収容する囲繞部と、遠心作用下で開放して淹出液がカプセルから出ることができるようにする開放手段とを備えるカプセルに関するものである。また、カプセルは、遠心分離淹出装置の外部回転駆動手段にカプセルを係合させるための手段を備えてもよく、この係合手段は、カプセルを基準回転位置に維持するためにカプセルの回転中にトルクに抵抗を与えるように構成される。
【0005】
これにより、コーヒーを淹出するあるいは他の食品物質を調製するための遠心力の効果は、圧力ポンプを使用する通常の淹出方法と比べて多くの利点を与える。例えば、圧力ポンプを使用する従来のエスプレッソまたはルンゴ・コーヒー・タイプ淹出方法では、供給されるコーヒー抽出物の抽出の質に影響を及ぼす全てのパラメータを習得することが非常に難しい。これらのパラメータは、一般に、圧力、圧力と共に減少する流量、流れ特性にも影響を与えるとともにコーヒー挽き粒径に依存するコーヒー粉末の圧密度、温度、水流分布などである。したがって、抽出圧力および流量を変えることは、コーヒーの層の抵抗および下流側の濾過システムによってほぼ決定されるので、容易ではない。
【0006】
遠心分離抽出において、調製されるべき飲料の品質(濃度または強さ、風味、香り、泡/クレマ等)は、複雑であり、異なる淹出パラメータの制御およびカプセル構造によって決まる。特に、カプセル内に注入される液体の流量は、重要な役割を果たすように思われる。流量は、装置内でのカプセルの回転速度、カプセル内での流体動態、遠心分離液に及ぼされる背圧などの多くのパラメータによって影響され得る。例えば、所定の背圧においては、回転速度が高ければ高いほど、流量が多くなる。逆に、所与の回転速度においては、背圧が大きければ大きいほど、流量が少なくなる。
【0007】
通常は遠心力を利用した飲料生成装置の回転モータを選択的に作動させる制御手段によってカプセルの回転速度が制御されるが、カプセルの出口にあるあるいはカプセルを支持する遠心セルの外側にある流れ制限部によって所定の背圧を得ることができる。
【0008】
例えば、欧州特許第651963号明細書は、係合蓋と遠心セルのカップ、例えばコーヒー粉末を収容するカプセルとの間の界面に介挿されるゴム弾性要素によって圧力勾配が得られることを教示する。そのような要素は、特定の圧力が界面で達成されるときに液体のための濾過通路を残すように弾性的に変形する。
【0009】
また、文献仏国特許第2487661号明細書および国際公開第2006/112691号明細書は、圧力勾配を形成するために所定の制限部がフィルタの下流側に配置される遠心分離システムに関する。
【0010】
また、国際公開第2008/148646号明細書は、流れ制限部が遠心セル内または遠心セルの外側に配置される解決策を提案する。この流れ制限部は、効果的な圧力を与える調整バルブを備えることができる。このバルブは圧力の作用を受けて開く。バルブが大きく開放すればするほど、流量が高くなる。バルブには弾性要素(ゴムまたはばね)によって予め荷重を加えることができる。予荷重が高ければ高いほど、バルブの上流側の遠心分離液における開放圧力が高くなる。
【0011】
欧州特許出願公開第1654966A1号は、フランジ状の周縁を伴うベース本体と該本体を閉じる箔部材とを備えるシール手段を有するカプセルに関する。そのようなカプセルは、遠心力を利用した調製装置で使用されるように形成されていない。
【0012】
しかしながら、従来技術の遠心力を利用した飲料生成システムは、背圧の所定値への適合が、背圧の多種多様な異なる所定値に合わせて調整することを複雑にする機構を必要とするという欠点を伴う。
【0013】
これにより、言うまでもなく、特にコーヒー飲料に関しては、遠心分離液に加えられる背圧が抽出状態(例えば、流量)を決定し、それにより、コーヒーの風味および香りに直接に影響を及ぼす。また、調製された飲料の上端に形成される泡/クレマなどの感覚器官を刺激する食感も、印加される背圧に大きく依存する。したがって、調製されるべきコーヒー飲料の泡/クレマおよび流量に関しては、特定のカプセル内に設けられる物質の性質に応じて背圧の値を調整することが望ましい。これは、異なるタイプの飲料においては、異なる品質および/または量の泡/クレマおよび異なる流量がそれぞれ望ましいからである。
【0014】
したがって、特に、カプセルと装置との間の界面で遠心分離液に及ぼされる背圧を良好に、より独立して、都合良く制御できるカプセルシステムにより、異なる風味、強さ、および/または、タイプを伴うコーヒー品種、例えばリステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ロングコーヒー等を提案する必要がある。
【0015】
用語「バルブ手段の背圧」とは、制限部または制限バルブによってもたらされる圧力損失のことである。制限部または制限バルブは「ボトルネック効果」を形成するので、液体の圧力は、遠心分離の作用によって制限部または制限バルブの上流側で形成される。特に、圧力が回転軸線からバルブへ向かって次第に増大する圧力勾配が形成される。この制限部のおかげにより、制限部よりも前の圧力が増大され、この圧力こそが液体−原料相互作用に影響を与える(例えば、液体による物質の抽出によって)。制限バルブにより形成されるこの圧力はまた、力(「背力」)を制限バルブでの接触表面積で割った比率として定義することもできる。
【0016】
同時係属の欧州特許出願第08171069.1号明細書(「Capsule for preparing a beverage by centrifugation in a beverage production device and device adapted therefore」と題される)はフォースリングが設けられるカプセルを提案し、フォースリングは、飲料生成装置の押圧面によって係合され、それにより、押圧面に関連付けられる弾性手段の力を受けてフォースリングの高さまたは厚さに応じて飲料抽出中に特定の背圧を与えるバルブ手段を形成する。
【0017】
現在、カプセル上のフォースリングの形態が、コーヒーのカップ内品質に影響を及ぼし、特にコーヒー抽出物のアロマ含有量に影響を及ぼすことが分かってきた。
【発明の概要】
【0018】
本発明の1つの目的は、飲料、特にコーヒーのカップ内品質をさらに高める遠心分離抽出を行なうように形成されるカプセルを提案することである。提案される解決策は、形成するのが容易であり、経済的であり、また、高い観点の寸法公差を伴って確実に大量生産することができる。
【0019】
また、提案される解決策は、例えば幅広い範囲の飲料(例えばコーヒー飲料)を供給するために、異なる背圧を装置内で容易に且つ経済的に与えることができる。さらに、提案される解決策は、高いガスバリア特性を与える材料、例えばアルミニウムの使用も可能にし、それにより、高価な包装パッケージの必要性が回避される。
【0020】
本発明は、前述した問題に対する解決策を提供するとともに、既存の技術に対してさらなる利益を与える。
【0021】
本発明は、飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、カプセル内に収容される物質から、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って本体をその開放端で覆うための上壁と、
所定量の飲料物質を収容する本体と上壁との間の囲繞部と
を備え、
カプセルが、本体から外側へ延びるフランジ状の周縁を備え、
フランジ状の周縁が環状フランジ部を備え、
カプセルが、カプセルから出る遠心分離された飲料流れのための流れ制限バルブを与えるために飲料生成装置のバルブ部材によって係合されるように構成される環状圧力設定リングを備え、
環状圧力設定リングがフランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる、カプセルに関する。
【0022】
圧力設定リングは、より具体的に、飲料生成装置内に挿入されるときにバルブ手段によって形成される背圧を調整するようにデザインされている。
【0023】
より具体的には、環状圧力設定リングは、専用の飲料生成装置のバルブ部材によって係合されるように環状フランジ部の平面よりも上側でカプセルの軸方向に延びるとともに、飲料生成装置のカプセルホルダの環状の下げ部または凹部内で受けられるようにフランジ部の平面よりも下側でカプセルの軸方向に延びる。
【0024】
環状圧力設定リング(「フォースリング」とも呼ばれる)は、飲料生成装置のバルブ部材の専用の押圧面と共に、遠心分離中にカプセルからくる飲料の流れのための制限バルブを形成する。圧力設定リングは、より具体的には、装置の専用の押圧面と共に、カプセルからの液体の解放を遅らせて回転速度に応じて液体流量を設定するべく遠心分離液の流路を選択的に塞ぐように構成される。より具体的には、バルブ手段で遠心分離液の十分な圧力に達すると、すなわち、遠心分離液が圧力設定リングに抗する力を及ぼすと、バルブ手段が開放し、すなわち、装置の押圧面がカプセルの圧力設定リングから離間することによってあるいはその逆の動作によって制限された流れ隙間が与えられる。遠心分離液の圧力が得られる前においては、バルブ手段は閉じられたままである。そのため、押圧面と係合する圧力設定リングは、遠心分離液のための流路を塞ぐ。バルブ手段の開放は、飲料生成装置内でカプセルを回転駆動させる設けられた駆動手段の回転速度に依存することに留意されたい。したがって、バルブ手段が遠心分離液のための流路を選択的に塞ぐと、液体が未だ装置から排出されていないため、飲料物質、例えば挽いたコーヒーの予備的な湿潤ステップを行なうことができる。事前湿潤および飲料解放の遅延の結果として、物質の完全な湿潤が可能になり、液体と飲料物質、例えばコーヒー粉末との間の相互作用時間がかなり増大し、抽出特性、例えば、コーヒー固形物含有量および飲料収率をかなり高めることができる。
【0025】
より具体的には、本発明のカプセルにおいては、カプセルの環状圧力設定リングは、それがフランジ部の平面よりも下側でカプセルの軸方向に延びる距離よりも長い距離で、環状フランジ部の平面よりも上側でカプセルの軸方向に延びる。
【0026】
一形態では、環状圧力設定リングが中空である。より好ましくは、圧力設定リングが環状カールとして形成される。「カール」または「カール端」とは、カプセルのフランジ状の周縁の自由端に起伏状の部分を形成するほぼ丸められた材料の部分、例えば巻回プライを意味する。材料のカールを部分的にあるいは完全に巻回することができる。カールの巻回は、成形、エンボス加工、深絞りなどの様々な技術によって得ることができる。より好ましくは、カールは、ほぼ閉じられた中空カールを形成するように巻回される。そのような特徴は、リングがバルブ部材によって押圧されるときにリングの軸方向の変形に対する十分な抵抗を与えつつ比較的軽量な構造を維持するという利点を与える。さらに、それにより、例えば深絞り、加圧、または成形によってシートの形態を成すパッケージ材料を使用することが可能になる。
【0027】
特定の形態において、環状圧力設定リングは、長い方の寸法がほぼ軸方向に延びる楕円カールを形成する。そのような特徴は、材料の厚さを増大させることなくリングの変形に対する抵抗をさらに高める。
【0028】
別の特定の形態において、環状圧力設定リングは、長い方の寸法がほぼ横方向に延びる楕円カールを形成する。
【0029】
しかしながら、カプセルの他の形態において、環状圧力設定リングは、特に環状フランジ部の平面よりも上側の環状圧力設定リングの距離が比較的短いままのときに比較的円形のカールを形成する。
【0030】
特に、環状圧力設定リングをプラスチックおよび/または金属から形成することができる。より好ましくは、環状圧力設定リングは、アルミニウム、または、アルミニウムおよびプラスチックから成る多層、好ましくはアルミニウム−PP積層体(ポリプロピレン)から形成される。「アルミニウム」は、ここでは、任意のアルミニウム系合金または複合体を包含する。好ましくは、圧力設定リングは、フランジ部およびカプセルの本体との一体品から形成される。
【0031】
カプセルを閉じられたカプセルにすることができ、その場合、上壁は、カプセルの本体を閉塞する穿孔可能な膜である。より好ましくは、カプセルは、カプセルの長い保管寿命を確保するべく気密態様で閉じられる。このため、カプセルの全面に対してガスバリア特性を与えるような包装材料が選択される。また、カプセルには、物質を酸化から保護するガス、例えば窒素または二酸化炭素と窒素との混合物を充填することができる。他の想定し得る形態において、カプセルは、完全に閉じられず、液体を供給できる、および/または引き出すことができるようにする孔または開口を有する上壁を備える。上壁の孔または開口は、好ましくは、上壁の外周に設けられることが望ましい。孔または開口は、略円形の経路に沿って、フランジ部から短い距離を隔てて、例えば0.5〜10mm、好ましくは1〜8mmの距離を隔てて外周に分布されるのが好ましい。
【0032】
別の形態では、環状圧力設定リングが平坦である。「平坦」とは、ここでは、圧力設定リングが中空ではなく同じあるいは異なる材料で満たされていることを意味する。圧力設定リングは、例えば、フランジ状の周縁の厚さの増分として、そのフランジ平面の上下の両方に突出して設けることができる。例えば、材料厚さの増大は、フランジ状の周縁の残りの部分と一体の部分を形成する。別の例では、環状フランジ部が柔軟なフィルム部から形成され、このフィルム部の上に平坦な固体材料、例えば硬質のプラスチックまたはゴムの環状部がシールされる。
【0033】
より好ましい形態において、フランジ部の平面よりも下側の圧力設定リングの距離に対するフランジ部の平面よりも上側の圧力設定リングの距離の比率は5:1〜1:0.5である。特に、フランジ部の平面よりも上側の距離は、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mmであることが好ましい。さらに、フランジ部の平面よりも下側の距離は、0.1〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、最も好ましくは0.3〜0.5mmであることが好ましい。
【0034】
想定し得る形態において、圧力設定リングは、周縁のフランジ部の平面よりも上側でのみ軸方向に延びており、前記平面よりも下側に軸方向延在部を何ら有さない。そのような場合には、装置内へのカプセルの適切な嵌合と背圧の正確な設定とを確保するために、バルブ部材の圧力がリング上に加えられるときにフランジ状の周縁が少なくともフランジ部と圧力設定リングとの間の接合部で変形できることも好ましい。例えば、フランジ状の周縁の変形能は、フランジ部の厚さが減少された少なくとも局所部によっておよび/または十分に小さい厚さによって得られ、例えば、そのような局所部または厚さは、プラスチックまたは他の高分子に関しては0.8mm未満、アルミニウムに関しては0.4mm未満である。
【0035】
さらに、本発明のカプセルは、圧力設定リングで十分に高い遠心力または圧力を与えるように特に寸法付けられる。このため、カプセルの中心軸線(I)から圧力設定リングまでの径方向距離は、最も好ましくは、24〜31mmである。より好ましくは、そのような距離は25〜30mmである。驚くべきことに、上限を超えると、装置内でのカプセルの回転速度にかかわりなく、コーヒーアロマのかなりの損失が認められ得ることが分かった。そのような損失は、そのような値でのあまり良くないコーヒー抽出状態を表わしている。下限を下回ると、フォースリングに及ぼされる低い遠心力に起因して、流量が非常に低くなり、抽出状態にも影響が及ぶ。したがって、所定の下限を上回る半径は、フォースリングで十分な圧力および流量を維持しつつ比較的適度な回転速度を維持できるようにする。さらに半径をより短くするには、同じ量のコーヒー粉末を格納できるようにするカプセルのサイズを維持するためにカプセルの深さを増大する必要がある。これは、おそらく、抽出の均質性の低下をもたらし、コーヒー粉末の領域が他の領域ほど湿潤されない状態となり得る。さらに説明されるように、半径は、ここでは、カプセルの中心軸線から、周縁のフランジ部の平面(以下、Pと称する)よりも上側の圧力設定リングの距離(以下、h1と称される)に相当するフォースリングの上端ポイントまでの距離として測定される。
【0036】
また、本発明は、飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、カプセル内に収容される物質から、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って本体をその開放端で覆うための上壁と、
所定量の飲料物質を収容する本体と上壁との間の囲繞部と
を備え、
カプセルが、本体から外側へ延びるフランジ状の周縁を備え、
フランジ状の周縁が、環状フランジ部と、前記環状フランジ部から延びる環状圧力設定リングとを備え、
環状圧力設定リングがフランジ状の周縁のカール端を形成する、カプセルに関する。
【0037】
また、本発明は、異なるタイプの少なくとも2つのカプセル、好ましくは異なるタイプの3つのカプセルを備え、各カプセルが前述したカプセルにしたがって構成されるカプセルのセットであって、
環状フォースリングの平面よりも上側の軸方向の距離がカプセルのタイプに応じて異なる、カプセルのセットに関する。
【0038】
軸方向の前記距離の違いに起因して、カプセルが飲料生成装置内に係合されるときに、カプセルの圧力設定リングにより異なる背圧値が設定され、それにより、遠心分離される飲料の特性を変えるのに寄与する。特に、環状圧力設定リングの平面よりも上側の距離が増大すると、バルブ手段に作用する予荷重が増大され、それにより、カプセル内の圧力が増大し、所定の回転速度におけるカプセル内の液体の滞留時間が増大する。
【0039】
用語「カプセルのタイプ」は、本明細書では、異なる重要な飲料属性(アロマ、強度、クレマ/泡、流れ時間等)を生み出すことができる、異なる飲料、例えばコーヒー飲料を特徴付ける少なくとも1つの違いを有するカプセルを示し、そのような違いは、以下のパラメータ、すなわち、カプセルのサイズ、物質の量、物質の密度(例えば、タップ密度)、特定の組成(例えば、ブレンド、コーヒー原産地)、挽きサイズ、充填レベル、および、これらの組み合わせのうちの任意の1つによって特徴付けられる。用語「カプセルのサイズ」は、特に、物質を受けるために潜在的に利用できるカプセルの格納容積、および/または、カプセルおよび/またはカプセルの本体の外容積を意味する。
【0040】
用語「カプセルのセット」は、一連の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つのカプセルまたはそれ以上の異なるタイプのカプセルを意味する。
【0041】
フランジ部の平面(P)よりも下側の環状圧力設定リングの軸方向の距離は、セットの全体にわたって一定であることが好ましい。したがって、この距離は、セットの全てのカプセルのための基準として役立ち、それにより、各カプセルが装置内に正確に位置決めされるようになり、圧力設定リングが著しく撓んだり変形したりしないようになる。これは、そのような撓みや変形が背圧設定の精度に影響を及ぼし得るからである。
【0042】
また、本発明は、前述したカプセルおよび/または前述したカプセルのセットと、飲料生成装置とを備え、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するためのシステムであって、
飲料生成装置が、
遠心分離中にカプセルを少なくともフランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダと、
カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
カプセルが飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるためにカプセルおよび/またはセットのカプセルの圧力設定リングと係合するためのばね荷重バルブ部材と、
を備える、システムに関する。
【0043】
また、本発明は、そのような飲料生成装置にも関連する。
【0044】
さらに、本発明は、遠心力を利用した飲料生成装置内での前述したカプセルの使用に関し、この場合、カプセルが装置内で遠心分離されるとともに、環状のフォースリングが専用の飲料生成装置の囲繞部材によって係合される。そのようなフォースリングは、カプセルから出てくる遠心分離液の流れを選択的に遮る、および/または制限するためのバルブ手段の一部を形成する。
【0045】
より具体的には、カプセルホルダは、環状フランジ部を支持するための第1の内側部と、環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部とを備える環状横方向支持縁部を備え、第2の外側部は、第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する。
【0046】
好ましい形態において、飲料生成装置は、装置内に挿入されるカプセルのタイプに応じて液体流量および/または駆動手段の回転速度を制御するように構成される制御手段をさらに備える。特に、液体流量および/または回転速度の制御は、これらのパラメータ(すなわち、流量および/または回転速度)のうちの少なくとも1つを一定に維持することによって、あるいは、該パラメータを所定の漸進的変化プロファイル(例えば、回転速度カーブ)にしたがって変えることにより、あるいは、前記パラメータを別のパラメータ、例えばこれらのパラメータのうちの第2のパラメータの変化に応じて動的に調整することによって行なうことができる。特定の形態において、液体流量は、少なくとも抽出中の期間にわたって、抽出プロセス中に回転速度を変えることにより一定に維持される。
【0047】
本発明は、飲料を供給するためのそのような装置内での前述したカプセルの使用にも同様に関連する。
【0048】
本発明はまた、飲料物質が充填され、飲料生成装置内に挿入するように形成されるカプセルキットであって、液体をカプセル内に導入して遠心力を使用して液体を飲料物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルキットにも関する。カプセルキットは、本明細書本文中に記載されるカプセルの特徴の全て、特に圧力設定リングを備えてもよい。カプセルキットは、カプセルの本体上への上壁の接続を可能にする接続手段をさらに備え、そのような接続手段は、カプセルに飲料物質を充填した後に本体に対して上壁を固定するように構成される。接続手段は、圧入配置、螺合、接着、および、これらの組み合わせであってもよい。接続手段は、ユーザが必ずしも工具を使用する必要がなく上壁をカプセルの本体に接続できるように形成されるのが好ましい。
【0049】
本発明のさらなる特徴、利点、および、目的は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を理解し、添付図面の図と併せて解釈すると、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】様々なコーヒー飲料の生成のために適合されるカプセルのシリーズまたはセットに属し、シリーズのうちで最も小さい、本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図2】図1のカプセルの2つの本体の細部を表わし、特に、カプセルが保管中に互いに積み重ねられるときの圧力設定リングを示している。
【図3】シリーズにおける中間サイズである本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図4】積み重ねられた状態の図3のカプセルの本体の細部を表わしている。
【図5】シリーズのうちで最も大きい本発明による飲料カプセルの側面図を表わしている。
【図6】積み重ねられた状態の図5のカプセルの本体の細部を表わしている。
【図7】図1のカプセルを備える飲料生成装置を断面で表わしている。
【図8】図1のカプセルを含む装置の拡大断面図である。
【図9】図8の拡大断面図である。
【図10】装置内のカプセルからの液体の遠心分離中における図8の拡大断面図である。
【図11】図5のカプセルのための図9と同様の拡大断面図である。
【図12】第2の実施形態による本発明のカプセルの側面図である。
【図13】図12のカプセルの細部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1、図3、図5およびそれぞれ積み重ねられた状態の詳細な図2、図4、図6は、本発明によるカプセル1A、1B、1Cのセットの好ましい実施形態に関する。各カプセルは、使い捨てを目的としており、飲料生成装置から飲料を供給するようになっている。カプセルは、カップ形状の本体2と、円形、環状、フランジ状の周縁3と、ディスク形状の上壁部材、好ましくは穿孔可能な膜4とを備えるのが好ましい。カップ形状の本体2は、図示のようなボウルまたは他の形状を有してもよい。これにより、膜4および本体2はそれぞれ封入原料区画室6を囲繞する。図示のように、膜4は、好ましくは1〜5mmである周縁3の内側環状フランジ部7に接続されるのが好ましい。膜4は、熱溶着ラインまたは超音波溶着ラインなどのシールによって本体の周縁3に接続される。
【0052】
周縁は必ずしも図示のように水平である必要がない。周縁は、カプセル物質または原料の経時的な脱気に起因して経時的に膜を押圧する圧力の増大に対するシールの抵抗を高めるために上方または下方へ僅かに曲げることができる。
【0053】
カプセルの周縁3は、飲料生成装置(図7参照)内のカプセル1の回転軸線Zに対応する本体の対称中心軸線Iに対して(図示のように)略垂直な方向または(前述したように曲げられる場合には)僅かに傾けられた方向で外側に延びることが好ましい。一般に、軸線Iは、その周囲で環状のブランジ状の周縁3が環状形態で延びる中心も表わす。それにより、対称軸線Iは、淹出装置内のカプセルの遠心分離中に回転軸線Zと位置合わせされる。例えば、僅かな傾斜は、中心対称軸線に対して約1〜30°の角度を表わす。
【0054】
カプセルの図示のボウル形状の実施形態が単なる例示的な実施形態にすぎず、また、本発明によるカプセル、特にカプセル本体2が様々な異なる形状をとることができることは言うまでもない。
【0055】
カプセル1A、1B、1Cは使い捨てカプセルであることが好ましい。しかしながら、カプセルが、複数の飲料を一度に供給できること、例えば2つのカップを同時に満たすのに十分な量のコーヒー抽出物を供給できることに留意すべきである。
【0056】
それぞれのカプセル1A、1B、1Cの本体2は、可変深さd1、d2、d3の凸部5a、5b、5cをそれぞれ有する。しかしながら、凸部5a、5b、5cは、切頂部または円筒部であってもよく、あるいは、切頂、円筒、球状などの異なる形状の部分の組み合わせであってもよい。
【0057】
そのため、カプセル1A、1B、1Cは、異なる原料格納容積を備えるが、同じ挿入直径「D」を備えることが好ましい。図1は小容積カプセル1Aを示し、一方、図3は中間容積カプセル1Bを示すとともに、図5は大容積カプセル1Cを示す。この場合、挿入直径「D」は、周縁3の下面と本体2の側壁の表面との間の交線で決定される。しかしながら、挿入直径は、装置内のカプセルの別の基準直径となり得る。
【0058】
本発明のカプセル1A、1B、1Cはまた、特に、後述するようにカプセルが飲料生成装置内で遠心分離されるときに圧力設定リング8で最適な流量を与えるように寸法付けられる。このため、軸線Iと平面Pよりも上側の距離h1との間の距離を表わす半径Rは、24〜31mmであることが好ましい。より好ましくは、この半径は25〜30mm、最も好ましくは約28(±1)mmである。半径が小さすぎれば、リングに作用する閉塞圧が同じ場合に、流量がかなり減少する。そのような少ない流量を補償するためには、回転速度を増大させることが必要であるが、これは、ノイズのコストやシステムのコストなどの他のファクタに対して悪影響を及ぼす。他方で、半径が大きすぎる場合にも、システムの遠心分離プロセス中の安定性に対して悪影響が及ぶとともに、装置内でカプセルが非常に扱い難くなる。
【0059】
さらに、フランジ状周縁部7と本体2との間の(上壁4の真下の)接合部で測定されるカプセルの囲繞部の大きい方の内径は、45〜50mmであることが好ましい。これらの限界値は、カプセルの上壁で十分な幅の出口領域を確保するためにも好ましい。この限界値が小さければ小さいほど、所定の回転速度で囲繞部の上側外周における圧力が低くなる。上限を超えると、フォースリングをもはや効果的に位置決めできない。
【0060】
カプセルの本体2は硬質または半硬質であることが好ましい。本体は、EVOH等のガスバリア層を伴う食品グレードプラスチック、例えばポリプロピレン、または、アルミニウム、または、プラスチックとアルミニウムとの積層体、例えばアルミニウム−PP(ポリプロピレン)積層体から形成することができ、アルミニウム−PP積層体の場合、PPが積層体の内層を形成し、アルミニウムが積層体の外層を形成することが好ましい。付加的なラッカーまたは着色層を設けることができる。膜はまた、紙およびプラスチック、紙およびアルミニウム、または、紙とアルミニウムとプラスチックとの組み合わせから形成されてもよい。プラスチックはまた、結晶化PLAまたはその等価物などの生分解性プラスチックも含む。膜4は、バリア層も含むプラスチックフィルム、または、アルミニウム、または、プラスチックとアルミニウムとの組み合わせなどの薄い材料から形成することができる。膜4は、通常、例えば10〜250ミクロンの厚さを有する。膜は、本明細書中で後述するように注水口を形成するために穿孔される。膜はまた、穿孔可能な外周領域もさらに備える。
【0061】
膜4の代わりに、カプセル1A、1B、1Cは、硬質、半硬質、または、柔軟な係合蓋部材を備えてもよく、係合蓋部材は、水注入部材の導入を可能にするための入口ポートを有する中心部と、周囲に配置される出口開口を有する外周部とを備えるディスクの形状を有することが好ましい。
【0062】
例えば、出口開口は、濾紙および/またはプラスチック織布の環状層によって形成することができる。この場合、入口ポートおよび/または出口開口は、装置内へのカプセルの挿入前に予め形成される。これらは、包装パッケージまたは剥離可能な膜などの除去可能な気密層によって挿入前に覆われ得る。
【0063】
小型カプセルと大型カプセルとの間の容積差は、特に、セット中のカプセルの本体2の深さd1、d2、d3を変えることによって得られる。特に、小さい方のカプセル1Aの本体の深さは、中間サイズのカプセル1Bの本体の深さよりも低く、また、中間サイズのカプセルの本体の深さは、大型サイズカプセル1Cの本体の深さよりも低い。
【0064】
より一般的には、カプセルの内容積は18mlおよび50mlを含むことが好ましい。これらの容積はいずれも、最適な遠心(コーヒー)抽出状態を与えつつ十分な量のコーヒー粉末を受けるのに十分な空間をもたらすように決定されている。
【0065】
また、別の変形では、最も大きいサイズのカプセル(図5)だけを有し、生成されるべき飲料のタイプ(例えば、リステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ロングコーヒー、ホワイトコーヒー、ティー、チョコレート等)に応じて区画室内に受け入れられる物質の充填レベルを異ならせることにある。
【0066】
カプセルには、それらのサイズに応じて飲料物質が充填される。そのようなサイズは、前述したように好ましくはカプセルの深さd1、d2、d3を変えることによって決定することができる。したがって、小容積のカプセル1Aは、中間容積のカプセル1Bにおける量よりも少ない量の抽出物質、例えば挽いたコーヒーを収容し、また、中間容積のカプセルは、最大サイズのカプセル1Cにおける量よりも少ない量の抽出物質、例えば挽いたコーヒーを収容する。
【0067】
そのため、小型カプセル1Aは、4〜8グラムの量の挽いたコーヒーを用いて10ml〜60mlのよりショートなコーヒー飲料を供給するようになっているのが好ましい。さらに大きいカプセル1Bは、中間サイズのコーヒー、例えば60〜120mlを供給するようになっており、また、最も大きいカプセル1Cは、ロングサイズコーヒ、例えば120〜500mlを供給するようになっている。また、中間サイズコーヒーカプセル1Bは、6〜15グラムの量の挽いたコーヒーを収容することができ、また、ロングサイズコーヒーカプセル1Cは、8〜30グラムの量の挽いたコーヒーを収容することができる。カプセル内の物質の充填レベルは、カプセル内に遠心力に起因して優先的な液体経路を形成することなく原料中で十分に分配された液体の流れを確保するように設定することもできる。一般に、物質は、ぎっしり詰まったケーキを形成するように充填されるべきではなく、あるいは、使用(すなわち、装置内でのカプセルの遠心分離)前にぎっしり詰まった態様でカプセルの上端まで充填されるべきではない。
【0068】
本発明によるセット中のカプセルは、異なる原産地からのおよび/または異なる焙煎特性および/または挽き特性を有する焙煎して挽いた(1つまたは複数の)コーヒーの異なるブレンドを収容してもよい。カプセル内に収容される焙煎して挽いたコーヒーの平均粒径(D4、3)は、120〜750ミクロン、好ましくは160〜500ミクロンとなり得る。
【0069】
一般に、物質は、焙煎して挽いたコーヒー、可溶性コーヒー、クリーム(生クリームまたは非生クリーム)、ティー(例えば、グレイティー、グリーンティー、ホワイトティー、または、ハーブティー)、ココア、チコリー、特殊調製粉乳、および、これらの組み合わせを含んでもよい。甘味料(砂糖、アスパルテーム、ステビア等)、香味料(シナモン、バニラ、アーモンド、ハーブ等)、加工助剤、乳化剤、起泡剤、フルーツ抽出物または植物抽出物、微量栄養素、および、これらの組み合わせなどの添加物が加えられてもよい。
【0070】
本発明のカプセルは、より具体的には図2、図4または図6に示されるように、そのフランジ状の周縁3に、内側フランジ部7から上方および下方の両方に突出する環状の圧力設定リング8を備える。特に、その機能については後述する圧力設定リングは、フランジ部7を通り過ぎる平面Pよりも上側でカプセルの軸方向に延びる上部9と、平面Pよりも下側で依然としてカプセルの軸方向に延びる下部10とを備える。慣例により、平面Pの基準は、本明細書では、フランジ部7の下面に沿ってとられる。本発明の文脈において、用語「軸方向」とは、カプセルの中心軸線Iと一直線に合わせされたあるいは中心軸線Iと平行な任意の方向のことである。用語「横方向」とは、中心軸線Iに対して垂直なあるいは45°を超える角度の傾けられた任意の方向のことである。用語「下側」および「上側」とは、本明細書では、カプセルの上壁4が上方へ向けられ本体2の底部が下方へ向けられるときの図示のような相対的な平均位置のことである。より好ましくは、リングの上部9は、下部10の距離「h2」よりも長い距離「h1」だけ延びている。特に、距離「h1」は、カプセルのセットにおける圧力設定リングの軸方向長さを決定する。このため、距離「h1」はセット内で変わり、一方、距離「h2」はセット内で一定のままである。したがって、例えば、最も小さいカプセル1Aには、中間サイズのカプセル1Bの平面Pよりも上側のフォースリングの距離h1よりも大きい距離h1にわたって平面Pよりも上側で延びる圧力設定リング8が設けられる。比較上、中間サイズカプセル1Bの圧力設定リングの距離h1はまた、最大サイズカプセル1Cの距離h1よりも大きい。これにより、距離h1は、例えばセット内で深さ(d1、d2、d3)が増大するなど、カプセルのサイズの増大に伴って、減少することが好ましい。これにより、後述するように、淹出特性をカプセルのタイプに適合させるため、特に淹出特性をカプセルのサイズおよびコーヒー粉末含有量に適合させるために、飲料生成装置内で異なる背圧値が設定される。この場合、圧力設定リング8の厚さh1は、カプセルが飲料生成装置内に挿入されるときにカプセルに及ぼされる背圧の調整を可能にするために、カプセルのタイプ、より具体的には図示のカプセル1A、1B、1C内に収容される飲料物質の量および/または特性に適合されるのが好ましい。例えば、リステロットまたはエスプレッソのコーヒー飲料を調製するために少量の飲料物質を収容するカプセル−例えばカプセル1A−においては、高い強度(すなわち、多量の総コーヒー固形物がコーヒー抽出物中に転移される)および厚いクレマを伴うコーヒーを供給するために高圧抽出が望ましい場合がある。これらの特性は、多量のコーヒー粉末を収容するカプセル1Bまたは1Cから出る飲料にとって望ましい場合がある低圧抽出と比較できる。したがって、飲料抽出中の所与の回転速度において、少量の物質を収容する小容積のカプセル1Aの背圧は、より多くの量の物質を収容する大きいカプセル1Bまたは1Cの背圧よりも高くなるように適合される。無論、回転速度は、カプセル1A、1B、1Cのタイプおよび生成されるべき飲料に応じて異なってもよい。
【0071】
本発明の好ましい形態において、カプセルの圧力設定リング8は、フランジ状の周縁の巻回縁部またはカールによって形成され、それにより、閉じられてもよいあるいは部分的に閉じられてもよいカールが形成される。特に、カールは、エンボス加工、スタンピング加工、鋳造などの任意の適切な成形技術によって1プライの材料から形成することができる。上部9は、周縁のフランジ部7と下部10との間の1プライの材料として中間部を形成することが好ましい。下部10は、カールの端部を形成するプライの再び入り込む部分11により延在できる。上部9は、図示のように軸方向の凸部となり得るが、平面または凹面などの他の形状も想定し得ることに留意されたい。同様に、下部10の下端は、図示のように軸方向の凸部となり得るが、平面または凹面などの他の形状も想定し得る。さらに、圧力設定リングは、図示のようなカールの形態のときには中空形状を成すことが好ましいが、想定し得る代案として、平らな(すなわち、中空でない)リングも想起される。例えば、軸方向の変形に対するリングの抵抗を高めるために、リングをカールとして形成して、リングにプラスチックやゴムなどの材料を充填することができる。
【0072】
カプセル1A、1Bにおいて、圧力設定リングは軸方向に楕円形状を成し得る。これは、距離h1と距離h2との和に対応するリングの高さ「h」がリングの幅「w」よりも大きいからである。カプセル1Cにおいては、幅「w」をリングの高さ「h」に等しくて、それにより、カールを略円形にすることができ、あるいは、幅「w」をリングの高さ「h」よりも僅かに長くして、それにより、カールされたリングを横方向で楕円にすることができる。
【0073】
図2、図4、図5に示されるように、圧力設定リング8は、互いに積層されるときにカプセルの本体間の距離を維持する機能も果たす。したがって、圧力設定リングは、保管中に、特に製造中に、例えば本体に飲料物質が充填される前に、カプセルの本体の積層体からの分離を容易にする。図2に示されるように、例えば、積み重ねられた本体が圧力設定リングの下部10と上部9との間の接触によって当接すると、それぞれの部分9、10の距離h1、h2により、フランジ部7同士は互いに距離(距離h3参照)を保って互いに直接に接触しない。そのような形態は、本体の積層体からの分離を非常に容易にし、それにより、カプセル製造場所(コーヒー取り扱い、充填、シールなど)から離れた製造領域でのカプセルの本体の製造が可能になる。
【0074】
図7は、本発明のカプセルシステムによる飲料生成装置のその閉じられた状態の側断面図を示している。この場合、装置は、回転カプセルホルダ20と、駆動手段21と、収集器22とを備えており、遠心分離された液体が収集器22に衝突して飲料出口23を通じて流出する。駆動手段21は、カプセルホルダに軸方向で接続されるアクスル24を介して(図示のように)下側であるいは(図示しない)上側でカプセルホルダ20に連結される回転モータを備える。カプセルホルダ20は、カプセルホルダ20内のカプセルの耐密嵌合を想定し得る径方向の遊びを伴うことなく確保するために、カプセル1の直径「D」にほぼ等しい基準直径を形成する外周面を有する。カプセルホルダ20は、セットの全てのカプセルを受け入れることができるようにその中心が十分にくぼんでいるあるいは深いことが好ましい。したがって、セットの全てのカプセル1A、1B、1Cを受けるために1つのカプセルホルダだけで足りる。なお、カプセルホルダは、様々な形状を成すことができ、単純な環状の中空リングから形成されてもよいことに留意されたい。
【0075】
さらに、装置は、カプセル1の膜4をその中心部で穿孔するように配置される注入部材26を有する注入手段25を備える。国際公開第2008/148604号パンフレットに既に記載されるように、注入手段25は、飲料抽出プロセス中に所定量の加熱された加圧液体をカプセル1へ供給するために水タンクなどの液体供給源29、ポンプ30、および、液体加熱機器31を備える液体回路28に接続される。液体は通常は水(加熱水、周囲水、または、冷却水)である。液体は、中空の針またはチューブの形状を成す注入部材26を通じた注入によってカプセル内に供給される。注入部材は、必要に応じて、上壁の穿孔を確保するべく鋭利な自由端を有して形成され得る。また、装置は、国際公開第2008/148604号パンフレットに記載されるような一連の出口穿孔器27も備える。出口穿孔器は、装置の閉塞中にカプセルの上壁と係合する係合蓋33の外周に設けられる。したがって、膜4の環状部に出口が形成され、それにより、カプセル1の回転動作中に、抽出された(遠心分離された)飲料がカプセル1から出ることができる。
【0076】
装置は、装置の様々な要素、特に、ポンプ30、ヒータ31、および、駆動手段21の回転速度を制御する制御ユニット40をさらに備える。特に、制御ユニットは、ポンプ流量、ポンプ圧力、水温、回転速度、回転速度周期(例えば、事前湿潤段階、抽出段階、乾燥段階等の最中の速度)を含む(含むが、これらに限定されない)動作パラメータを抽出中に調整するようにプログラムされる。幾つかのプログラムは、例えばリステロット、エスプレッソ、ルンゴ、アメリカーノなどの特定の飲料、および/または、特定の濃さ、アロマプロファイル、泡/クレマ量などを有する飲料を供給する異なるタイプのカプセル1A、1B、1Cに特に合わせて設計され得る。カプセルは、装置内での識別を可能にするとともに動作パラメータを自動設定するためにバーコードやRFタグなどの識別コードを備えることができる。この場合、装置は、制御ユニットに関連付けられた適切なコード読み取り手段を備える。制御手段およびコードは、以下のパラメータ、すなわち、液量(小カップ、中カップ、ロングカップ、エキストラロングカップ等)、駆動手段の回転速度、液体ポンプ速度または速度周期(例えば、事前湿潤用のための低速、抽出および乾燥のための高速)、液体加熱温度等のうちの任意の1つあるいは任意の組み合わせなどの重要な淹出パラメータの制御を確保するように構成され得る。
【0077】
本発明のシステムは、カプセルの出口(穿孔出口または予め形成された出口)を通じてカプセルから出る遠心分離液に対して背圧を与えることができるバルブ手段18を備える。バルブ手段18は、カプセルに対する装置の相補的な係合によって形成される。より具体的には(図9)、装置は、係合蓋33に対して周方向に配置されて下側環状押圧面35を有するバルブ部材34を備える。カプセルの側において、バルブ手段は、装置のバルブ部材34の環状押圧面35によって係合される圧力設定リング8を備える。押圧面35は、所定の背圧下で圧力設定リング8の上部と係合する。バルブ手段の2つの相補的な部分34、8の圧力係合は、バルブ部材34と係合蓋33またはその一部に対して直接的にあるいは間接的に接続される環状抗力要素37との間に配置されるばね36などのばね付勢手段によって弾力的になされる。幾つかのばね36(例えば、6〜10個のばね)、例えばカプセルの周縁に対して予荷重を均一に分配して釣り合わせるための平行な螺旋ばねを部分34と要素37との間で外周に均等に配置することができる。無論、本発明の範囲から逸脱することなく、ばねに取って代わるための他の等価な弾性手段を想起できる。
【0078】
バルブ部材34および注入ユニット25は、一般に、飲料抽出プロセスの前後のそれぞれでカプセルホルダ20に対するカプセル1の挿脱を可能にするために、閉塞システム(図示せず)を介してカプセルホルダ20に対して移動できる(あるいは、逆もまた同様である)。閉塞システムは機械的なおよび/または液圧的な閉塞機構となり得る。コーヒー機械においては、膝継手を形成するレバーまたはカム型閉塞体などの多くの機械的な閉塞機構が知られている。さらに、水注入手段25、バルブ部材34、カプセル1、および、カプセルホルダ20はいずれも、遠心分離プロセス中に軸線Z周りに回転できる。バルブ部材34も、注入部のカプセルと係合するときの相対位置に影響を及ぼすことなくカプセルの異なる想定し得る厚さを考慮に入れるべく、係合蓋33とは無関係に移動可能にされる。このため、部分34を係合蓋33の周囲にスライド可能に取り付けることができる。バルブ手段の液密性を確保するために2つの部品33、34間にOリングなどのジョイント44を設けることができる。
【0079】
カプセルのホルダ側では、圧力設定リング8がカプセルホルダ20の支持縁部の下げ部または凹部38によって強固に支持される。下げ部または凹部38は、周縁のフランジ部7を保持するカプセルホルダの縁部のフランジ支持部39に対して下げられる。下げ部38と支持部との間の段部の高さは、カプセルとカプセルホルダとの間の正確な嵌め合いと、カプセルホルダによるリング8の強固な支持とを確保するために、距離h2に等しいあるいはそれに近いことが好ましい。しかしながら、リングの距離「h2」を段部の高さよりも小さくし、それにより、バルブ部材34の圧力下でフォースリングをフランジ部7に対して曲げることもできる。フランジ部7を係合蓋33の外周部40によってさらに押圧することができる。外周部40は、穿孔手段27によって穿孔される出口から出る遠心分離液がバルブ手段18へ向かう途中で係合蓋を横切ることができるようにするために径方向に向けられるチャネルまたは凹部41を備える。フランジ部7がフランジ支持面39の形状とは僅かに異なる湾曲した(僅かに凹状、凸状、または、傾斜した)形状またはラインを有することが想定し得る。その場合でも、凹部または下げ段部38内にフォースリングを嵌合させるようにするために、フランジ部7を、係合蓋33の外周部40によって依然として変形させることができ、例えば、支持面39に押し付けて平坦化することができる。
【0080】
したがって、バルブ手段の背圧は、バルブ部材34の相対位置とばね付勢手段36の圧縮とを変える圧力設定リング8によってほぼ予め決定される。カプセルのタイプに応じて、例えば装置内に配置されるカプセル1A、1Bまたは1Cに応じて、背圧は、圧力設定リング8の異なる形状に起因して変化する。図9のカプセル1Aは、図11のカプセル1Cと比べて短いリング8を有する。特に、既に述べたように、距離h1はカプセル1Aにおいて比較的小さく、一方、距離h2は、全てのカプセル1A〜1Cにおいて等しい。結果として、ばね付勢手段36は、カプセル1Aが装置内に係合されるときには、カプセル1Bまたは1Cが係合されるときよりも少なく事前圧縮されるようになる。ばね付勢手段36がより多く圧縮されると、ばね付勢手段の全長を表わす距離「d」が減少され、それにより、カプセルのリングに及ぼされる予荷重または力がフックの法則にしたがって直線的に増大する。距離「d」の減少は、ここでは、圧力設定リングの距離h1の増大によって直接的にもたらされる。これは、これらの要素がいずれも直線的な軸方向に配置されるからである。そのため、カプセルのセット内で距離h1が減少するにつれて、ばね長「d」が増大するため、バルブ部材34に対して、したがって圧力設定リング8に対してばね荷重手段(すなわち、ばね36)により及ぼされる予荷重が減少する。この形態は、これらの選択的に設計されるカプセルを使用するバルブ手段18の背圧の簡単な機械的制御をもたらす。例えば、カプセルのタイプに応じて、バルブ手段によって及ぼされる背圧(すなわち、大気圧を超える圧力)は、5N/cm2(0.5バール)〜180N/cm2(18バール)、より具体的には、15N/cm2(1.5バール)〜134N/cm2(13.4バール)、特に、27N/cm2(2.7バール)〜87N/cm2(8.7バール)の範囲をとり得る。これらの圧力値は、ここでは、バルブの閉位置で圧力設定リング8に作用する係合面35の軸方向圧縮力を測定して、バルブ手段のこれらの2つの部品間の接触表面積で割ることにより測定される。より具体的には、小さいコーヒーカプセル1Aは、リングのその長い上部の厚さh1に起因する最も高い背圧、例えば100〜180N/cm2の背圧値を用いてリステロット(約25mL)およびエスプレッソコーヒー(約40mL)を供給するように形成される。中間サイズのコーヒーカプセル1Bは、50〜140N/cm2の範囲の背圧値を用いてルンゴコーヒー(約100〜120mL)を供給するようにさらに形成される。最も大きいサイズのカプセル1Cは、例えば5〜80N/cm2の範囲内の最も低い背圧を用いてロングコーヒー(約150〜250mL)を生成するように形成される。異なる品質属性のコーヒー飲料を得ることができ、特に、抽出収率は約10〜30%であり、全固形物は重量で約0.5〜2.5%であり、安定したクレマが得られる。コーヒー飲料に関する抽出収率および全固形物における定義は、例えば欧州特許第1566127号明細書で与えられる。
【0081】
なお、分配されるべき飲料のタイプに対応する飲料生成装置における適切なパラメータ、特に、飲料の量(例えば、25、45、110、150、250mLなど)、流速、および/または、飲料または液体の流速および滞留時間を決定する回転速度の設定を確保するために、識別手段がカプセルのそれぞれのタイプに関連付けられるのが好ましいことに留意されたい。識別手段は、バーコードなどのコード、RFID、色認識、磁気手段または強磁性手段、機械的な突起などであってもよい。
【0082】
本発明の装置において、カプセル1からの飲料の抽出は、注入ユニット25の係合蓋33(好ましくは静的なままの注入器26)、バルブ手段18、カプセルホルダ20、および、カプセルを一緒に軸線Z周りに一定または可変であってもよい例えば500〜16500rpmの抽出速度で回転駆動させることによって得られる。速度は、抽出中に前述したバルブ手段の開放を可能にするカプセル内の液体の遠心圧力をもたらすのに十分でなければならない。
【0083】
カプセル1内へ中心で注入される液体は、本体2の側壁の内面に沿って膜4の内面まで案内され、その後、穿孔部材27によって膜4に形成される穿孔出口開口を通じて案内された後、表面35とリング8の上端との間のバルブ手段18を通じて案内されるようになっている。非可溶性固形物(例えば、コーヒー)粒子がカプセル内に維持されるようにするために、穿孔器27と膜4との間の隙間によって液体を濾過することができる。濾過は、カプセル内に挿入される別個のフィルタによって行なわれてもよい。カプセル1内の液体の遠心分離に起因して、カプセル内に供給される液体および飲料物質(例えば、焙煎して挽いたコーヒー粉末)は、液体食品(例えば、コーヒー液体注出物)を形成するように相互に作用される。図10は、飲料がカプセルから遠心分離されてバルブ手段18が十分に開放され、それにより、液体が圧力設定リング8とバルブ部材34との間を通過するときのシステムを示している。遠心分離された飲料にはバルブ手段の上流側で十分な圧力が与えられ、それにより、バルブ手段が開放されて、液体流が収集器の衝突壁46の方に高速で突出されるように環状の制限開口42が形成される。バルブ手段の開放は、バルブ部材34を押し進めてばね36に抗してさらに付勢する液体によっても同様に得られる。バルブ部材34は、硬質プラスチックまたは金属などの非圧縮性材料から形成されるのが好ましい。しかしながら、バルブ部材およびばねは、例えば環状のゴムリングまたはブロックから形成される場合など、係合機能および弾性機能の両方を確保する一体の圧縮性部品から形成できることに留意すべきである。制限開口の表面積は、0.5〜15.0mm2、より好ましくは1〜10mm2であることが好ましい。流れ制限開口の表面積は、設定背圧値およびカプセルの回転速度に応じて変化可能であり、この場合、一般に、速度が高ければ高いほど、所与の背圧における表面積が大きくなる。
【0084】
前述したように、本質的に焙煎して挽いたコーヒーである飲料物質において、カプセルは、半径Rが22〜31mm、より好ましくは24〜30mm、最も好ましくは25〜29mmとなるように構成される。驚くべきことに、これらの範囲はカップ内コーヒーの品質を向上させる。半径が最大値を超えると、コーヒー抽出物はアロマ含有量が低くなる。特に、流量の値が高められ、適度な回転速度限界が維持される。
【0085】
飲料調製プロセスの初めに液体をカプセルに充填する最中にカプセル内に含まれるガスまたは空気を放出するのに役立つバルブ手段18を通じた僅かな液漏れが必要とされ得ることに留意すべきである。この漏れは、バルブ部材のいずれか(例えば、装置の表面35上、および/または、リングの上部9の表面上)に設けられる小さい径方向溝、オリフィス、エンボス等によって得られてもよい。
【0086】
回転速度はまた、カプセルから遠心分離される液体の好ましい流量と適合するように調整される。カプセルに水を充填した後、抽出段階中に、水は、遠心分離液の流量にほぼ等しい流量でウォータポンプによりカプセル内に供給され続ける(カプセルは空間を満たす液体で一杯であるため)。抽出段階の最後に、ウォータポンプは、カプセルから残存液を排出して空にするために遠心分離が維持される間に停止されてもよい。これは、一般に、抽出段階中に制御され得る水流量である。水流量は、ウォータポンプの下流側の流体回路中に配置されて制御ユニット40により制御される流量計によって測定することができる。また、バルブ手段の下流側の飲料流量を測定することも理論的に可能であるが、この領域に流量計を設けることはかなり面倒である。回転速度は、制御ユニットで事前設定される基準の流量と適合するべく抽出段階中に変動する。事前設定流量は、カプセルのタイプおよび/または供給されるべき飲料に応じて選択される。また、異なる背圧値を設定できる圧力設定リングを有するカプセルの利点は、より狭い回転速度範囲内での遠心分離の間に異なる範囲の流量を与えることができる可能性にもある。したがって、依然として同じコーヒーの多様性を得つつ、かなり低い回転速度を実現できる。この場合、遠心力が小さいため、機械が受ける機械的制約は低く、そのため、システムをより軽量な/少ない材料で形成できるとともに、消費される電力が全体的に少ない。駆動手段の回転速度を調整することによって飲料の流れを設定背圧にしたがって制御する好ましい方法は、「Capsule system with flow adjustment means」と題される同時係属の欧州特許出願第公開09178382.9号明細書に詳しく記載されている。この特許出願は参照により本願に組み入れられる。無論、カプセル(1A、1B、1C)の異なるタイプにしたがって設定される異なる所定の範囲の回転速度(または、異なる固定値)を設定するなど、飲料特性の他の制御も可能である。
【0087】
図12および図13は本発明のカプセルの別の想定し得る実施形態を示しており、この実施形態において、圧力設定リング8は、フランジ状の周縁3のフランジ部7から軸方向で平面Pの上下の両方に延びる平坦(すなわち、中空でない)部から形成される。先の実施形態の場合と同様に、圧力設定リング8は、横方向の平面Pから測定される距離h1を形成する上部9と、平面Pから測定される距離h2を形成する下部10とを備える。距離h1は距離h2よりも高いことが好ましい。さらに、距離h1は、セット中のカプセルのタイプに応じて変化し、一方、h2は、カプセルのセット内で一定値のままであることが好ましい。フランジ状の周縁3は、圧力設定リングを含むカプセルの本体の一体部分として形成されるのが好ましい。リングの平坦な上端面を考慮すると、半径Rは、ここでは、リングの最も高い距離(h1)で、しかしながら中心軸線「I」に最も近い距離で(すなわち、上端平面の内縁で)、したがって、中心軸線「I」に対して最も近いリングの圧力点に対応する距離で測定される。そのため、半径は、ここでは、リングの横幅とは無関係である。無論、リングの上縁は、最も高い距離(h1)が横方向で中心軸線「I」に近い方の距離である凹状にすることもできる。フォースリングは、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの単純なプラスチック、あるいは、PP−PE、PP−PET、PE−PET、PP−PE−PET、PP−EVOH−PET、または、PE−EVOH−PETなどのプラスチックの組み合わせ、あるいは、PP−アルミニウムまたはPE−アルミニウムなどのプラスチックと金属との組み合わせ、および、ラッカー、着色層、接着剤等から形成することができる。フォースリングは、射出成形または熱成形によって本体と共に形成することができる。圧力設定リングは、図示のように長方形であってもよく、あるいは、円形または楕円形であってもよい。フランジ部7は、挿入中および注入手段の係合蓋による係合中に変形するように可撓性であってもよい。
【0088】
別の想定し得る形態(図示せず)において、カプセルは、本体の一部ではなく上壁の一部、例えば膜の一部であるあるいは膜に取り付けられる圧力設定リングを備えてもよい。例えば、リングを膜の環状延在部から形成して膜に対してシールすることができる。この場合、圧力設定リングは、フランジ部を越えて軸方向および横方向の両方に延びるが、必ずしもフランジ部に直接に接続されなくてもよくあるいはフランジ部と一体でなくてもよい。フォース圧力リングが本体とは別個であって圧入またはクリップ留めによって本体のフランジ部に取り付けられることも想起できる。
【0089】
別の想定し得る変形において、カプセルの圧力設定リングは、平面「P」よりも上側でのみ延びているが、本体の底部の方向で平面「P」よりも下側に延在部を形成しない。この場合、「h1」は前述したようにセット内で異なり、「h2」は0ミリメートルである。
【0090】
本発明はまた、飲料物質(例えば、挽いたコーヒー)を受けるように形成される充填可能なカプセルキットも包含する。この形態において、カプセルの上壁は、カプセルに飲料生成装置内への挿入前に飲料物質を充填できるようにする取り外し可能な接続手段を使用して本体に接続できる。接続手段は、圧入、接着、螺合、および、これらの組み合わせとなり得る。例えば、上壁は、粘着性の接着層によって前記接着層を覆う保護バンドの除去後にユーザによりカップ形状体に接続され得る穿孔可能な材料(例えば、薄いアルミニウム箔)のディスクであってもよい。接着層は、カプセルを閉じて装置内で穿孔を可能にするのに十分な接着力を与えるように形成され得る。接着層は、本体の膜および/またはフランジ部によって支持されてもよい。
【実施例】
【0091】
検査の目的は、遠心分離によって抽出されるコーヒーのカップ品質を高めるために、重要な芳香族化合物の含有量に対する本発明のカプセルの圧力設定リングの径方向距離(R)の影響を評価することであった。
【0092】
解析は、25mlカップサイズで調製されるNespresso Arpeggioの焙煎して挽いたコーヒーブレンドを用いて行なわれた。それぞれのシステムごとに、両方のシステムのための代表的サンプルを与えるべく5つの調製が行なわれて融合された。サンプルは、クラッシュアイス中で直ちに冷却されて解析されるまで−20℃に維持された。全てのサンプルが3つを一組として解析された。
【0093】
全ての主要な化合物クラス(硫黄化合物、アルデヒド、フェノール、ジケトン、ピラジン)を表わす13個の重要な芳香族化合物が選択された。
【0094】
内部標準(IDA)として同位体標識された化合物を使用してSPME−GC/MS解析により絶対濃度が決定された。
【0095】
2つの異なるカプセル直径(D)、52mmおよび63mmがそれぞれ検討された。カプセルは、先に規定された径方向の半径(R)が±0.5mmの公差をもってD/2に等しくなるように形成された。
【0096】
2つの回転速度、すなわち、5000rpmおよび10000rpmが検査された。
【0097】
検査されたコーヒー挽きサイズ(D4、3)は260ミクロンであった。
【0098】
2つの異なる直径(2.R)を有するカプセルにより調製されたコーヒー飲料中に存在するアロマ含有量の結果が以下の表に示されている。
【0099】
直径を52mmから63mmまで増大させると、最終的な飲料中の芳香族化合物の減少がもたらされる。大きい直径での芳香族の減少は、5000rpmおよび10000rpmで生じる。最も大きな影響は、アルデヒドやジメチル硫化物のような多くの鮮度マーカーも備える5000rpmでの高揮発性物質において見出される(28%少ない)。10000rpmでは、高揮発性物質および低揮発性物質において損失は同様であり、5000rpmでは大幅に低い。低揮発性物質および中間の揮発性物質は、両方の検査速度において10〜20%低い量で存在した。
【表1】
【0100】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明してきたが、添付の特許請求の範囲により規定されるこの発明の範囲から逸脱することなく、多くの改変および変更が当業者によりなされてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…カプセル、2…本体、3…フランジ状の周縁、4…膜、5a…凸部、6…区画室、7…環状フランジ部、8…圧力設定リング、9…上部、10…下部、11…再び入り込む部分、18…バルブ手段、20…カプセルホルダ、21…駆動手段、22…収集器、23…飲料出口、24…アクスル、25…注入手段、26…注入部材、27…穿孔器、28…液体回路、29…液体供給源、30…ポンプ、31…液体加熱機器、33…係合蓋、34…バルブ部材、35…押圧面、36…ばね、37…要素、38…下げ部、39…フランジ支持部、40…制御ユニット、41…凹部、42…制限開口、44…ジョイント、46…衝突壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセル(1A、1B、1C)であって、前記カプセル内に収容される物質から、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセル(1A、1B、1C)において、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)と、
所定量の飲料物質、好ましくは焙煎して挽いたコーヒーを収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部と、
を備え、
前記カプセルが、前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、
前記フランジ状の周縁は環状フランジ部(7)を備え、
前記カプセルが、前記カプセルから出る遠心分離された飲料流れのための流れ制限バルブ(18)を与えるための前記飲料生成装置のバルブ部材(34)によって係合されるように構成される環状圧力設定リング(8)を備え、
前記環状圧力設定リングは前記フランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる、カプセル。
【請求項2】
前記環状圧力設定リングが、専用の飲料生成装置のバルブ部材(34)によって係合されるように前記環状フランジ部(7)の平面(P)よりも上側で前記カプセルの軸方向に延びるとともに、前記飲料生成装置のカプセルホルダの環状の下げ部(38)または凹部内で受けられるように前記フランジ部の平面(P)よりも下側で前記カプセルの軸方向に延びる、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記環状圧力設定リングは、それが前記フランジ部の平面(P)よりも下側で前記カプセルの軸方向に延びる距離(h2)よりも長い距離(h1)で、前記環状フランジ部の平面(P)よりも上側で前記カプセルの軸方向に延びる、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記環状圧力設定リングが中空である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記環状圧力設定リングがカールを形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記環状圧力設定リングは、長い方の寸法(h)がほぼ軸方向に延びる楕円カールを形成する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記環状圧力設定リングは、長い方の寸法(w)がほぼ横方向に延びる楕円カールを形成する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項8】
前記環状圧力設定リングがプラスチックおよび/または金属から形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記環状圧力設定リングが、アルミニウム、または、アルミニウムおよびプラスチックから成る多層、好ましくはアルミニウム−PP積層体から形成される、請求項8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記環状圧力設定リングが平坦である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の距離(h2)に対する前記フランジ部の平面(P)よりも上側の距離(h1)の比率が5:1〜1:0.5である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記フランジ部の平面(P)よりも上側の距離(h1)が、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mmである、請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の距離(h2)が、0.1〜1mm、好ましくは0.3〜0.5mmである、請求項12に記載のカプセル。
【請求項14】
前記カプセルの中心軸線(I)から前記圧力設定リング(8)までの径方向距離(R)が24〜31mmである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記カプセルの中心軸線(I)から前記圧力設定リング(8)までの前記径方向距離(R)が25〜30mmである、請求項14に記載のカプセル。
【請求項16】
前記カプセルの前記囲繞部の大きい方の内径が45〜50mmである、請求項14または15に記載のカプセル。
【請求項17】
飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、前記前記カプセル内に収容される物質から、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)と、
所定量の飲料物質を収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部と、
を備え、
前記カプセルが、前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、
前記フランジ状の周縁が、環状フランジ部(7)と、前記環状フランジ部から延びる環状圧力設定リング(8)とを備え、
前記環状圧力設定リングが前記フランジ状の周縁のカール端を形成する、カプセル。
【請求項18】
異なるタイプの少なくとも2つのカプセル、好ましくは異なるタイプの3つのカプセルを備え、各カプセルが請求項1〜17のいずれか1項に記載されているカプセルのセットであって、
前記環状圧力設定リングの平面(P)よりも上側の軸方向の距離(h1)が、カプセルのタイプに応じて異なり、好ましくは、前記セット中のカプセルサイズが減少するにつれて増大する、カプセルのセット。
【請求項19】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の前記環状圧力設定リングの軸方向の距離(h2)が、セットの全体にわたって一定である、請求項18に記載のカプセルのセット。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のカプセルを使用して飲料を調製するための飲料生成装置であって、
前記飲料生成装置が、
遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダ(20)と、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを一緒に形成するために前記カプセルの前記圧力設定リングと係合するばね荷重バルブ部材(34)と
を備え、
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部(39)と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部(38)とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、飲料生成装置。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のカプセルと、飲料生成装置とを備え、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのシステムであって、
前記飲料生成装置が、
遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁(3)で保持するためのカプセルホルダ(20)と、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるために前記カプセルの前記圧力設定リング(8)と係合するためのばね付勢バルブ部材(34)と
を備える、システム。
【請求項22】
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
カプセルと飲料生成装置とを備え、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するための飲料生成システムであって、
前記飲料生成システムが、
(a)軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)、
所定量の飲料物質を収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部であって、前記カプセルが前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、前記フランジ状の周縁が環状フランジ部を備える、囲繞部、および
前記フランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる環状圧力設定リング(8)
を備えるカプセルと、
(b)遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダ(20)、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニット、および
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるために前記カプセルの前記圧力設定リングと係合するためのばね荷重バルブ部材(34)
を備える前記飲料生成装置と
を備え、
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部(39)と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部(38)とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、飲料生成システム。
【請求項1】
飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセル(1A、1B、1C)であって、前記カプセル内に収容される物質から、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセル(1A、1B、1C)において、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)と、
所定量の飲料物質、好ましくは焙煎して挽いたコーヒーを収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部と、
を備え、
前記カプセルが、前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、
前記フランジ状の周縁は環状フランジ部(7)を備え、
前記カプセルが、前記カプセルから出る遠心分離された飲料流れのための流れ制限バルブ(18)を与えるための前記飲料生成装置のバルブ部材(34)によって係合されるように構成される環状圧力設定リング(8)を備え、
前記環状圧力設定リングは前記フランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる、カプセル。
【請求項2】
前記環状圧力設定リングが、専用の飲料生成装置のバルブ部材(34)によって係合されるように前記環状フランジ部(7)の平面(P)よりも上側で前記カプセルの軸方向に延びるとともに、前記飲料生成装置のカプセルホルダの環状の下げ部(38)または凹部内で受けられるように前記フランジ部の平面(P)よりも下側で前記カプセルの軸方向に延びる、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記環状圧力設定リングは、それが前記フランジ部の平面(P)よりも下側で前記カプセルの軸方向に延びる距離(h2)よりも長い距離(h1)で、前記環状フランジ部の平面(P)よりも上側で前記カプセルの軸方向に延びる、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記環状圧力設定リングが中空である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記環状圧力設定リングがカールを形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記環状圧力設定リングは、長い方の寸法(h)がほぼ軸方向に延びる楕円カールを形成する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記環状圧力設定リングは、長い方の寸法(w)がほぼ横方向に延びる楕円カールを形成する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項8】
前記環状圧力設定リングがプラスチックおよび/または金属から形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記環状圧力設定リングが、アルミニウム、または、アルミニウムおよびプラスチックから成る多層、好ましくはアルミニウム−PP積層体から形成される、請求項8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記環状圧力設定リングが平坦である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の距離(h2)に対する前記フランジ部の平面(P)よりも上側の距離(h1)の比率が5:1〜1:0.5である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記フランジ部の平面(P)よりも上側の距離(h1)が、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mmである、請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の距離(h2)が、0.1〜1mm、好ましくは0.3〜0.5mmである、請求項12に記載のカプセル。
【請求項14】
前記カプセルの中心軸線(I)から前記圧力設定リング(8)までの径方向距離(R)が24〜31mmである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記カプセルの中心軸線(I)から前記圧力設定リング(8)までの前記径方向距離(R)が25〜30mmである、請求項14に記載のカプセル。
【請求項16】
前記カプセルの前記囲繞部の大きい方の内径が45〜50mmである、請求項14または15に記載のカプセル。
【請求項17】
飲料生成装置内に挿入するように形成されたカプセルであって、前記前記カプセル内に収容される物質から、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのカプセルにおいて、
軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)と、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)と、
所定量の飲料物質を収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部と、
を備え、
前記カプセルが、前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、
前記フランジ状の周縁が、環状フランジ部(7)と、前記環状フランジ部から延びる環状圧力設定リング(8)とを備え、
前記環状圧力設定リングが前記フランジ状の周縁のカール端を形成する、カプセル。
【請求項18】
異なるタイプの少なくとも2つのカプセル、好ましくは異なるタイプの3つのカプセルを備え、各カプセルが請求項1〜17のいずれか1項に記載されているカプセルのセットであって、
前記環状圧力設定リングの平面(P)よりも上側の軸方向の距離(h1)が、カプセルのタイプに応じて異なり、好ましくは、前記セット中のカプセルサイズが減少するにつれて増大する、カプセルのセット。
【請求項19】
前記フランジ部の平面(P)よりも下側の前記環状圧力設定リングの軸方向の距離(h2)が、セットの全体にわたって一定である、請求項18に記載のカプセルのセット。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のカプセルを使用して飲料を調製するための飲料生成装置であって、
前記飲料生成装置が、
遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダ(20)と、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを一緒に形成するために前記カプセルの前記圧力設定リングと係合するばね荷重バルブ部材(34)と
を備え、
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部(39)と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部(38)とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、飲料生成装置。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のカプセルと、飲料生成装置とを備え、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を前記物質に通すことにより飲料を調製するためのシステムであって、
前記飲料生成装置が、
遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁(3)で保持するためのカプセルホルダ(20)と、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段と、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニットと、
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるために前記カプセルの前記圧力設定リング(8)と係合するためのばね付勢バルブ部材(34)と
を備える、システム。
【請求項22】
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
カプセルと飲料生成装置とを備え、液体を前記カプセル内に導入して遠心力を使用して液体を物質に通すことにより飲料を調製するための飲料生成システムであって、
前記飲料生成システムが、
(a)軸方向に離間される下端および開放端を備える本体(2)、
軸方向に対して垂直な横方向に沿って前記本体をその開放端で覆うための上壁(4)、
所定量の飲料物質を収容する前記本体と前記上壁との間の囲繞部であって、前記カプセルが前記本体から外側へ延びるフランジ状の周縁(3)を備え、前記フランジ状の周縁が環状フランジ部を備える、囲繞部、および
前記フランジ部を越えて横方向および軸方向に延びる環状圧力設定リング(8)
を備えるカプセルと、
(b)遠心分離中に前記カプセルを少なくとも前記フランジ状の周縁で保持するためのカプセルホルダ(20)、
前記カプセルを遠心分離駆動させるための回転駆動手段、
前記カプセル内に液体を供給するための液体注入ユニット、および
前記カプセルが前記飲料生成装置内に挿入されるときに流れ制限バルブを与えるために前記カプセルの前記圧力設定リングと係合するためのばね荷重バルブ部材(34)
を備える前記飲料生成装置と
を備え、
前記カプセルホルダが、前記環状フランジ部を支持するための第1の内側部(39)と、前記環状圧力設定リングを支持するための第2の外側部(38)とを備える環状横方向支持縁部を備え、前記第2の外側部が、前記第1の内側部と比べて下げられた段部または凹部を形成する、飲料生成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−517869(P2013−517869A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550467(P2012−550467)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051244
【国際公開番号】WO2011/092301
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051244
【国際公開番号】WO2011/092301
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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