説明

飲料販売装置

【課題】 ボトル洗浄用のスペースを別途設けずとも、飲料注入ボックス内でボトルを上下反転させる機構を設けて、飲料注入ボックスを、ボトル洗浄及び飲料注入充填のスペースとして兼用できるようにした飲料販売装置を提供すること。
【解決手段】 収容ボックス5内に収容されたボトル50は、その内部が注入ノズル9から注入された飲料によって洗浄される。また、ボトル50を把持したまま把持回転装置20を駆動モータ30により回転させれば、洗浄液がボトル50の内部で動き回って、ボトル50の内部の洗浄効果が高められる。更に、ボトル50内から使用済みの洗浄液を排出させる場合は、把持回転装置20が駆動モータ30により回転されてボトル50が収容ボックス5内で倒立される。そして、この体勢から把持回転装置20が駆動モータ30により回転されて、ボトル50が収容ボックス5内で縦立されると、販売用の飲料が注入ノズル9からボトル50内へ注入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料をボトルに注入充填して販売する飲料販売装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料販売装置は、例えば、利用者が持参したボトル(容器)に、水などの清涼飲料を注入充填して販売(無償の場合を含む。)するものであり、ボトルの再利用が可能なため経済的であって、環境保全の観点からも注目されている。なお、ボトルは必ずしも利用者が持参するものに限られず、飲料販売装置の設置者や管理者が予め用意しておき利用者に譲渡又は貸与するものも含まれる。
【0003】
このため、近年では、このような飲料販売装置が広く普及しつつあり、例えば、下記特許文献1に記載されるような水自動販売機が提案されている。この水自動販売機には、利用者が持参したボトルを収容し、そのボトルに飲料を注入充填するためのスペースである給水ボックスと、その給水ボックスまでボトルを容器洗浄器から搬送する容器搬送機構と、ボトルを洗浄するためのスペースである容器洗浄器とが設けられている。
【0004】
この水自動販売機によれば、キャップの外されたボトルが、口部を下向きにして容器洗浄器にセットされると、洗浄ノズルから噴出される洗浄用水によって、ボトルが洗浄される。そして、この洗浄後、容器搬送機構によって、ボトルが容器洗浄器から給水ボックスへ搬送されながら上下反転されて、ボトルが給水ボックス内にセットされると、口部が上向きとなったボトルに飲料の注水充填が行われるのである。
【特許文献1】特開特開2005−196302公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した水自動販売機では、飲料を注入充填するための給水ボックスの他にも、ボトルを洗浄するための容器洗浄器を別途併設する必要があり、更に、その容器洗浄器から給水ボックスまでボトルを上下反転させながら搬送するための容器搬送機構も別途必要となり、その分、装置全体としてサイズが大型化するとともに構造が複雑化してしまうという問題点があった。しかも、ボトルを上下反転させる機構についても実用化に適した技術開示がされていないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ボトル洗浄用のスペースを別途設けずとも、飲料注入ボックス内でボトルを上下反転させる機構を設けて、飲料注入ボックスを、ボトル洗浄及び飲料注入充填のスペースとして兼用できるようにした飲料販売装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載の飲料販売装置は、ボトルを収容する空間が内部に設けられている飲料注入ボックスと、その飲料注入ボックス内に配設され洗浄液をボトル内に注入する洗浄ノズルと、その洗浄ノズルとともに前記飲料注入ボックス内に配設され飲料をボトル内に注入する飲料ノズルとを備えたものであり、前記飲料注入ボックスと交差する略水平な回転軸を想定したとき、その回転軸上に配設されて前記飲料注入ボックス内に収容されているボトルを把持する把持装置と、その把持装置を前記回転軸の回りで回転自在に支持する回転支持部材と、その回転支持部材によって支持される前記把持装置に対して前記回転軸を中心とした回転力を付与する駆動手段とを備えている。
【0008】
この請求項1記載の飲料販売装置によれば、ボトルが飲料注入ボックス内に収容され、そのボトルが把持装置によって飲料注入ボックス内で把持される。また、ボトルのボトル口部は洗浄ノズルに向けられて、その洗浄ノズルから洗浄液がボトル内に注入され、この洗浄液によってボトルの内部が洗浄される。
【0009】
さらに、洗浄ノズルからの洗浄液の注入後、ボトルを把持装置によって把持したまま、駆動手段が回転力を付与すると、回転支持部材により支持された把持装置が回転軸回りでボトルごと回転される。すると、この回転によって、洗浄液がボトルの内部で動き回って、ボトルの内部の洗浄効果が高められる。
【0010】
また、ボトル内から使用済みの洗浄液が残存しているような場合は、駆動手段からの回転力が把持装置に付与されて、把持装置が回転軸回りで回転されて、ボトルが飲料注入ボックス内で倒立される。すると、ボトル口部が下向きとなって、使用済みの洗浄液がボトル口部からボトル外へ排出される。
【0011】
なお、もともと倒立姿勢にあるボトルに対して洗浄ノズルが洗浄液を噴射するような場合には、敢えてボトル洗浄後にボトルを倒立させる必要もなく、そもそも洗浄中にボトル内へ噴射された洗浄液がボトル口部から流下して排出される。
【0012】
しかも、上記のようにして使用済み洗浄液を排出した場合は、把持装置が駆動手段により回転されることで、ボトルが飲料注入ボックス内で縦立され、ボトル口部が上向きの状態に変更されて、ボトル口部が飲料ノズルに対向される。すると、飲料が飲料ノズルから噴射されて、ボトル口部を通じてボトル内へ注入されて充填される。
【0013】
以上のように、ボトルを把持している把持装置自体を回転させることで、飲料注入ボックスという限定された空間内であっても、ボトルの姿勢を、洗浄液を排出するための倒立姿勢から飲料を注入充填するための縦立姿勢へと変更することができ、ボトルを搬送するための機構が不要となる。
【0014】
請求項2記載の飲料販売装置は、請求項1記載の飲料販売装置において、前記洗浄ノズル及び前記飲料ノズルに代えて、その洗浄ノズル及び飲料ノズルの双方の機能を有して、洗浄液として飲料をボトル内へ注入する注入ノズルを備えており、この注入ノズルは、飲料注入ボックス内に縦立姿勢で収容されるボトルのボトル口部へ向けて下向きに配設されている。
【0015】
この請求項2記載の飲料販売装置によれば、請求項1記載の飲料販売装置と同様な作用や効果を奏することに加え、注入ノズルからは、その下方にあるボトル口部へ向けて飲料または洗浄液が噴射される。注入ノズルからボトル内へ注入される飲料は、販売用としてボトルに充填される飲料としても、そのボトル内を洗浄するための洗浄液としても利用されるので、飲料ノズルと洗浄ノズルとを別々に設ける必要がない。
【0016】
請求項3記載の飲料販売装置は、請求項2記載の飲料販売装置において、前記把持装置は、初期状態においてボトル口部が上向きとなる縦立姿勢でボトルを把持するものであり、前記注入ノズルは、初期状態にある前記把持装置により把持されているボトルのボトル口部に対向して配設されており、前記駆動手段は、前記回転軸回りで前記把持装置を、順方向へ略1/4周回転させ、そこから逆方向へ略3/4周回転させ、そこから順方向又は逆方向のいずれか一方へ略半周回転させる制御手段を備えている。
【0017】
この請求項3記載の飲料販売装置によれば、請求項2記載の飲料販売装置と同様な作用や効果を奏することに加え、初期状態の把持装置はボトルを縦立姿勢で把持し、注入ノズルは縦立姿勢のボトル内へ飲料を洗浄液として所定量注入する。そして、ボトルは、駆動手段による把持装置の回転に伴って、回転軸に対して交差する平面内で回転される。このとき、ボトルは、初期状態の縦立姿勢から順方向へ略1/4周回転(正転)されて略横姿勢になり、その姿勢から逆方向へ略3/4周回転(逆転)されることで、縦立姿勢を経て、更に、最初とは逆向きの略横姿勢を経て、倒立姿勢となる。
【0018】
この結果、ボトル内の洗浄液は、最初の略横姿勢になるまでの間にボトル内部の片側半分に行き渡り、それから最初とは逆向きの略横姿勢になるまでの間にボトル内部のもう片側半分に行き渡り、倒立姿勢となったときに、ボトル口部から排出される。そして、ボトル内から使用済みの洗浄液が排出されると、ボトルは倒立姿勢から順方向又は逆方向へ略半周回転されて、元の縦立姿勢に復帰させられる。ここで、再び、注入ノズルから飲料がボトル内へ注入されて、販売用の飲料がボトルに充填されるのである。
【0019】
請求項4記載の飲料販売装置は、請求項1から3のいずれに記載の飲料販売装置において、前記把持装置は、前記飲料注入ボックスの一側壁に空転可能な状態で前記回転軸方向に向けて貫装されるとともに前記飲料注入ボックス内でボトルを把持する把持ユニットと、その把持ユニットと前記回転軸上で同軸的に直接連結されて前記飲料注入ボックス外に配設され、その把持ユニットと前記回転軸を中心にして一体回転可能に形成されている回動ユニットとを備えており、前記回転支持部材は、その回転ユニットに外接されてその回転ユニットを転支するものであり、前記駆動手段は、前記回転ユニットに回転力を付与して回転させるものである。
【0020】
この請求項4記載の飲料販売装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の飲料販売装置と同様な作用や効果を奏することに加え、駆動手段の回転力が回転ユニットに付与されると、回転支持部材に転支されながら、回転ユニットが回転軸を中心に回転される。このように回転ユニットが回転すると、把持ユニットが回転ユニットと一体回転されて、その把持ユニットにより把持されているボトルも、飲料注入ボックス内で回転されるのである。
【0021】
請求項5記載の飲料販売装置は、請求項1から4のいずれかに記載の飲料販売装置において、前記回転支持部材は、前記回転軸の周囲に略等角間隔で3個配置されており、そのうち2個の回転支持部材は、前記把持装置の外周下側半分における半径方向両側に外接して転支するものであり、残る1個の回転支持部材は、前記把持装置の外周上側半分に外接して転支するものである。
【0022】
この請求項5記載の飲料販売装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の飲料販売装置と同様な作用や効果を奏することに加え、把持装置を回転支持する方式は、3個の回転支持部材を把持装置に外接して転支する3点支持方式なので、把持装置を安定した状態で回転及び支持することができる。しかも、本装置の組み立てに当たっても、下側2個の回転支持部材間に把持装置を載架して2点支持しておき、それから残る1個の回転支持部材を把持装置の上側外周部に設置することで、把持装置を容易に組み付けることができる。
【0023】
請求項6記載の飲料販売装置は、請求項1から5のいずれかに記載の飲料販売装置において、前記回転支持部材は、前記飲料注入ボックスに回転自在に所定位置に固定されており、前記把持装置又は回転支持部材のうち一方が他方に対して係合され、この係合によって前記把持装置が回転軸方向に位置決めされている。
【0024】
この請求項6記載の飲料販売装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の飲料販売装置と同様な作用や効果を奏することに加え、回転支持部材が把持装置と係合することで、ボトルを把持した把持装置が、飲料注入ボックスに対して回転軸方向への位置ずれが防止される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の飲料販売装置によれば、ボトルの洗浄及び飲料充填を1つの飲料注入ボックス内で行うことができるので、従来装置のように別途、ボトルの洗浄器を設置する必要もなく、その洗浄器からボトルを飲料充填位置まで搬送するための手段も不要となる。このため、装置を全体としてコンパクト化することができ、なおかつ、装置全体としての動作機構を簡素化することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である飲料自動販売機1の正面図である。図1に示すように、飲料自動販売機1は中空矩形箱状に形成された筐体フレーム2を備えており、この筐体フレーム2には、その前面全体に覆設される前面パネル3が開閉可能に取着されている。前面パネル3の上部右側には、硬貨などの有価コインを投入するためのコイン投入口4が設けられており、このコイン投入口4の左方には、正面視略縦長矩形状の収容ボックス5が配設されている。
【0027】
収容ボックス5は、飲料充填用のボトル50を収容するために中空箱状に形成されており、その内部にボトル50が収容される空間が設けられている。また、この収容ボックス5の前面には、その収容ボックス5内にボトル50を装填するためのボトル装填口6が開口形成されており、このボトル装填口6の左縁辺には、上下のヒンジ8,8を介して開閉扉7が開閉可能に取着されている。開閉扉7は、硬質樹脂や硬質ガラスなどの透明板7aが填め込まれたものであり、この透明板7a越しに収容ボックス5内を透視できるものである。
【0028】
図2は、収容ボックス5の内部構造を示す拡大正面図であり、説明の便宜上、開閉扉7及びヒンジ8,8の図示を省略している。また、図2中の、2点鎖線は収容ボックス5内に縦立姿勢で収容されているボトル50を図示したものであり、1点鎖線は収容ボックス5の垂直中心線(以下「ボックス中心線」という。)CLを示したものである。
【0029】
図2に示すように、収容ボックス5の内部上側には、後述する注入ノズル9がボックス中心線CL上に配設されている。また、この収容ボックス5の内部であって注入ノズル9の下方には、左右対称な形状をした一対の把持ブラケット10,10が、ボックス中心線CLの直交方向両側(図2左右両側)に所定間隔を隔てて略平行に並設されている。これら一対の把持ブラケット10,10は、収容ボックス5内でボトル50を把持して上下反転させる把持回転装置20(後述する)の一部として収容ボックス5内に配設されるものであって、ボトル50をボックス中心線CLの直交方向両側(図2左右両側)から挟み込んで把持するものである。
【0030】
これらの各把持ブラケット10は、その各把持ブラケット10の外側縁辺に沿って形成される略垂直板状の挟持部10aと、各把持ブラケット10の下側縁辺に沿って形成される略水平板状の載置部10bとを備えている。2枚の挟持部10a,10aは、ボトル50の胴部52を水平方向両側(図2左右両側)から挟み込んで挟持するものであり、互いの対向面に1本ずつ突条10cがそれぞれ凸設されている。これらの突条10c,10cは、ボトル50が挟持部10a,10aにより挟持される場合に、ボトル50の胴部52に設けられる括れ部に係合されるものである。また、2枚の載置部10b,10bはボトル50の底面を下方から支えるものである。
【0031】
更に、ボックス中心線CL上には、ボトル50を上下反転させる場合にボトル50の回転中心となる回転軸ALが設定されている。この回転軸ALは一対の把持ブラケット10,10を備えた把持回転装置20の回転中心でもあり、収容ボックス5の背板5a裏面には、把持回転装置20を回転軸AL回りで回転自在に転支するための合計3個の転支部材11,11,11が、この回転軸ALの周囲に略等角(略120°)間隔で固設されている(図中の破線参照)。具体的に、3個の転支部材11,11,11は、そのうち1個が回転軸ALの直上に、1個が回転軸ALの左下に、残る1個が回転軸ALの右下に、それぞれ配置されている。なお、各転支部材11の詳細については後述する。
【0032】
図3は、図1のIII−III線における縦断面図であって、収容ボックス5内に縦立姿勢で収容されるボトル50を仮想線(2点鎖線)で図示し、説明の便宜上、開閉扉7及びヒンジ8,8の図示を省略している。
【0033】
図3に示すように、収容ボックス5は、その前端部(図3左側)を除く部分が筐体フレーム2内に填め込まれた状態で、飲料自動販売機1の前面パネル3に取着されている。また、収容ボックス5は、その底板5bに使用済みの洗浄液を収容ボックス5外に排水するための排水口12が設けられる一方、その天板5cに上記した注入ノズル9が貫通して配設されている。
【0034】
注入ノズル9は、洗浄液をボトル50内に注入する洗浄ノズルとしての機能と、飲料水などの飲料をボトル50内に注入する飲料ノズルとしての機能を併有している。つまり、この注入ノズル9から噴射される液体は、販売用の飲料としても、ボトル洗浄用の洗浄液としても使用される。また、この注入ノズル9は、その先端部(噴射口)が収容ボックス5の天板5cから下向きに突設されており、一対の把持ブラケット10,10により縦立姿勢で把持されているボトル50(図3中の2点鎖線)の口部51に対向するように配設されている。
【0035】
また、収容ボックス5の垂直方向略中央には上記した回転軸ALが略水平に交差しており、この回転軸AL上には把持回転装置20が配設されている。ここで、把持回転装置20は、主として、上記した一対の把持ブラケット10,10と、その一対の把持ブラケット10,10に対して収容ボックス5内でボトル50を把持するための駆動力を供給するモータチャック21と、そのモータチャック21を一対のブラケット10,10ごと回転軸AL上で回転させるための回転ユニット22とを備えている。
【0036】
把持回転装置20の各把持ブラケット10は、収容ボックス5の背板5aに対して略平行配置される略平板状のベース板10dをそれぞれ備えており(図2及び図5参照)、このベース板10dからボトル装填口6側(図3左側)へ向けて側面視略横長矩形状の上記した挟持部10aがそれぞれ延出されている。また、各把持ブラケット10の各載置部10bは、ベース板10dの下端側から収容ボックス5の背板5aに沿って垂下されて、その垂下部の下端が略直角に折曲されてボトル装填口6側(図3左側)へ略水平に延出されている。
【0037】
また、把持回転装置20のモータチャック21は、一対の把持ブラケット10,10とは異なり、収容ボックス5の背板5aを隔てて収容ボックス5の外部に配設されている。収容ボックス5の背板5aであってベース板10d,10dの背後には回転軸ALと同一方向に貫通している貫通孔5dが開口形成されており、モータチャック21は、この貫通孔5d内に空転自在な状態で収容ボックス5の外部から内部へ向けて貫装されている。
【0038】
把持回転装置20の回転ユニット22は、モータチャック21と回転軸AL上で同軸的に直接連結されており、回転軸ALを中心にして、一対の把持ブラケット10,10及びモータチャック21と一緒に一体回転されるものである。この回転ユニット22は、回転軸AL方向に所定間隔を隔てた2枚の回転板23,24と、その回転板23,24を連結する複数本の支柱26と、その回転板23,24に駆動モータ30からの回転力を伝達する従動ギア25と、その従動ギア25と一方の回転板24とを連結する複数本の支柱28とを備えている。
【0039】
これらの2枚の回転板23,24及び従動ギア25は回転軸ALに対して直交配置されており、うち2枚の回転板23,24は、合計4本の支柱26,26,26,26を介して、回転軸AL方向に所定間隔を隔てた状態で相互に一体的に連結されている。また、これらの各支柱26,26,26,26の軸方向両端部は、いずれも回転板23,24にそれぞれボルトを介して締着されている。
【0040】
2枚の回転板23,24は、互いの外径が略等しい円環平板状に形成されており、これらの回転板23,24の内周部にはモータチャック21が回転軸AL方向に遊挿されている。また、2枚の回転板23,24のうち、収容ボックス5から遠い側の回転板24には、モータチャック21が4個の固定ブラケット27,27,27,27を介して固定されている(図6参照)。
【0041】
また、このモータチャック21が固定されている回転板24には、従動ギア25が、合計4本の支柱28,28,28,28を介して、回転軸AL方向に所定間隔を隔てた状態で同心状に一体的に連結されている。更に、これらの各支柱28,28,28,28の軸方向両端部は、いずれも回転板24と従動ギア25とにそれぞれボルトを介して締着されている。
【0042】
従動ギア25は、回転板23,24よりも外径が小さな略円環平板状の歯車であって、その内周部には回転板23,24と同様にモータチャック21が回転軸AL方向に遊挿されている。この従動ギア25には、それよりも小径の原動ギア29が歯合されており、この原動ギア29及び従動ギア25を介することで、駆動モータ30の回転力(回転トルク)は回転ユニット22に増幅されて伝達される。
【0043】
原動ギア29は、駆動モータ30の回転軸に取着されており、駆動モータ30は、上記した3個の転支部材11,11,11によって支持されている把持回転装置20に対して、回転軸ALを中心とした回転力を付与するものである。この駆動モータ30は、支持ブラケット31を介して収容ボックス5の背板5a裏面に支持された状態で筐体フレーム2内に配設されており、更に、その筐体フレーム2の裏面に取着されている制御盤40に対して電気的に接続されている。
【0044】
制御盤40は、コイン投入口4に投入されたコインの検知に基づいて、注入ノズル9への飲料の供給を調節する電磁弁(図示せず)、モータチャック21、及び、駆動モータ30をそれぞれ制御して、飲料をボトル50内に注入充填する一連の動作を実行するものである。
【0045】
図4は、図3の部分的拡大図である。ここで、図4には、把持回転装置20の上方に配設されている1つの転支部材11とその周辺部が拡大図示されている。また、以下の図4を用いた説明では、図示されている1つの転支部材11についてのみ説明し、これと同様に構成されている残る2個の転支部材11,11(図6参照)については、その説明を省略する。
【0046】
図4に示すように、転支部材11は、収容ボックス5の背板5a裏面から略水平に後方へ立設されている支軸11aを備えており、この支軸11aの一端部(図3左側)がフランジ部材11dのボス部に固定的に連結されている。このフランジ部材11dは支軸11aを背板5aに固定するためのものであり、収容ボックス5の背板5a裏面には、複数本のボルトを介して、このフランジ部材11dを数本のボルトを介して締着させるための台座板5eが固着されている。
【0047】
また、転支部材11の支軸11aには、その支軸11aの軸方向(図4左右方向)に所定間隔を隔てて2個の転支ローラ11b,11cがベアリングを介して回転自在に取着されており、これらのうち、一方の転支ローラ11bが一方の回転板23の外周に略等角間隔で外接され、他方の転支ローラ11cが他方の回転板24の外周に略等角間隔で外接されるように構成されている。
【0048】
更に、転支ローラ11b,11cには、その外周面から半径方向に突出した鍔部11b1,11c1がそれぞれ周設されており、これらの鍔部11b1,11c1が回転ユニット22の各回転板23,24の外周面に刻設された係合凹部23a,24aに係合される。この係合によって、回転ユニット22は、収容ボックス5に対して回転軸AL方向に位置決めされる。
【0049】
図5は、図1のV−V線における拡大横断面図であって、収容ボックス5内に縦立姿勢で収容されるボトル50を仮想線(2点鎖線)で図示している。
【0050】
図5に示すように、本実施例のモータチャック21には、例えば、超音波モータを駆動源とする平行開閉型チャックが用いられており、ボックス中心線CL及び回転軸ALに直交する水平方向(図5左右方向)に移動可能な一対の開閉可動部21a,21aを備えている。このモータチャック21の各開閉可動部21a,21aには、把持ブラケット10のベース板10d,10dが1個ずつ数本のビス(図示せず)で締着されている。
【0051】
また、収容ボックス5の貫通孔5dは、一対の把持ブラケット10,10のベース板10d,10dによって覆い隠されている(図2参照)。なお、本実施例では、図2に示すように説明の便宜上、一対の把持ブラケット10,10の間から貫通孔5dが露出した状態となっているが、この飲料自動販売機1を稼働させる場合には、かかる部分に、一対の把持ブラケット10,10の開閉に応じて水平方向に拡縮可能なパッキン部材(図示せず)が装着されて、貫通孔5dが全体的に覆い塞がれるのである。
【0052】
図6は、図3のVI−VI線における縦断面図である。図6に示すように、3個の転支部材11,11,11は、回転軸ALを中心に、把持回転装置20の回転板23,24を回転自在に支持するものであり、回転軸ALの周囲に略等角間隔で3個配置されている。具体的に、そのうち2個の転支部材11,11は、把持回転装置20の外周下側半分における半径方向両側に外接して転支するものであって、残る1個の転支部材11は、把持回転装置20の外周上側半分に外接して転支するものである。
【0053】
このように把持回転装置20を回転支持する方式は、3個の転支部材11,11,11を把持回転装置20に外接して転支する3点支持方式なので、把持回転装置20を安定した状態で回転及び支持することができる。しかも、本装置の組み立てに当たっても、下側2個の転支部材11,11間に把持回転装置20を載架して2点支持しておき、それから残る1個の転支部材11を把持回転装置20の上側外周部に設置することで、把持回転装置20を容易に組み付けることができる。
【0054】
次に、上記のように構成された飲料自動販売機1の動作について説明する。まず、開閉扉7が開けられて、ボトル50がボトル装填口6から収容ボックス5内に収容される。このとき、ボトル50は、その口部51が上向きとなった縦立姿勢で、一対の把持ブラケット10,10の載置部10b,10b上に跨るようにして載置され、それから開閉扉7が閉じられる。この後、コイン投入口4へ有価コインが投入されて、その有価コインがセンサ(図示せず)を通じて制御盤40により検知されると、ボトル洗浄及び飲料充填の一連の動作が制御盤40によって開始される。
【0055】
まず、有価コインの投入が検知されると、制御盤40からモータチャック21に指令(信号)が出力されて、これを受けたモータチャック21は、その一対の開閉可動部21a,21aを互いの接近方向へ向けて、即ち、図2及び図5の矢印X,X’方向へ移動させる。すると、一対の把持ブラケット10,10の挟持部10a,10a間の間隔が縮まって、把持ブラケット10,10に載置されているボトル50が挟持部10a,10aによって挟持される。ボトル50が把持されると、次は、制御盤40から電磁弁に指令が出力され、これを受けた電磁弁は、飲料の供給ポートを注入ノズル9の接続ポートに接続する。
【0056】
すると、飲料が注入ノズル9からボトル50の口部51へ向けて噴射注入される。このときボトル50へ注入される飲料は、ボトル50内の洗浄液として使用されるものであって、ボトル50の最大充填容量未満(例えば、最大充填容量の略30%〜60%程度)が注入ノズル9から噴射される。そして、制御盤40が、流量計(図示せず)の検出結果に基づいて、上記した必要量の洗浄液がボトル50に注入されたと判断すると、制御盤40からの指令によって電磁弁のポートが切り換えられて、洗浄液としての飲料の注入が停止される。
【0057】
このあと、制御盤40から駆動モータ30に対して指令が出され、その結果、駆動モータ30が一方向へ略1/4周回転されて、それから更に、それとは反対方向に略3/4周回転されて、その位置で所定時間停止される。すると、この駆動モータ30の回転が原動ギア29及び従動ギア25を介して3個の転支部材11,11,11により転支された把持回転装置20に伝達され、その結果、把持回転装置20が、回転軸AL回りで順方向に略1/4周回転されてから、そこから逆方向に略3/4周回転されて、そこで所定時間停止される。
【0058】
このとき、収容ボックス5内にあるボトル50は、回転軸ALに直交する平面内で回転される回転されることによって、初期状態の縦立姿勢から略90°正転されて略横姿勢になり、そこから略270°逆転されて、縦立姿勢を経て、更に、最初とは逆向きの略横姿勢を経て、倒立姿勢となってから、その後、所定時間放置される。この結果、ボトル50内の洗浄液は、最初の略横姿勢になるまでの間にボトル50内部の片側半分に行き渡り、それから最初とは逆向きの略横姿勢になるまでの間にボトル50内部のもう片側半分に行き渡り、倒立姿勢のままで所定時間放置されることで、ボトル50の口部51から排出される。
【0059】
そして、ボトル50が収容ボックス5内で倒立姿勢の状態で所定時間が放置された後は、制御盤40から駆動モータ30へ指令が出されて、駆動モータ30が略1/2周回転されて停止される。すると、原動ギア29及び従動ギア25を介して、把持回転装置20が回転軸AL回りで略1/2周回転されて停止されるので、収容ボックス5内にあるボトル50の方は倒立姿勢から元の縦立姿勢に復帰させられる。
【0060】
このあとは、再び、制御盤40から電磁弁に対して指令が出力されて、注入ノズル9から飲料がボトル50内へ噴射注入され、販売用の飲料がボトル50に充填される。そして、制御盤40が、流量計(図示せず)の検出結果に基づいて、最大充填容量に相当する飲料がボトル50に注入されたと判断すると、制御盤40からの指令によって電磁弁のポートが切り換えられて、飲料の注入が停止される。
【0061】
そして、制御盤40からモータチャック21に指令が出力され、モータチャック21の一対の開閉可動部21a,21aが互いの離間方向へ、即ち、図2及び図5の矢印X,X’方向とは反対方向へ移動され、その結果、一対の把持ブラケット10,10の挟持部10a,10a間の間隔が拡開されて、ボトル50が把持ブラケット10,10から取り外し可能となって、ボトル洗浄及び飲料充填の一連の動作が完了する。この後、飲料が充填されたボトル50は、開閉扉7が開かれてボトル装填口6から収容ボックス5の外に取り出される。
【0062】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、制御盤により制御される動作パターンや各部材の形状などについて種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0063】
例えば、本実施例では、ボトル50に注入充填される飲料を、ボトル50の洗浄水としても使用することで、1基の注入ノズル9によって、飲料の注入充填機能と、洗浄液の噴射注入機能との双方を実現したが、注入ノズルの基数は必ずしも1基に限定されるものではなく、例えば、収容ボックスの上部であってボトルの直上位置に飲料注入用ノズル(飲料ノズル)を、収容ボックスの下部であってボトルの直下位置に洗浄液注入用ノズル(洗浄ノズル)を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例である飲料自動販売機の正面図である。
【図2】収容ボックスの内部構造を示す拡大正面図である。
【図3】図1のIII−III線における縦断面図である。
【図4】図3の部分的拡大図である。
【図5】図1のV−V線における拡大横断面図である。
【図6】図3のVI−VI線における縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 飲料自動販売機(飲料販売装置)
5 収容ボックス(飲料注入ボックス)
9 注入ノズル(洗浄ノズル、飲料ノズル、注入ノズル)
10,10 把持ブラケット(把持ユニットの一部)
11,11,11 転支部材(回転支持部材)
20 把持回転装置(把持装置)
21 モータチャック(把持ユニットの一部)
22 回転ユニット
23,24 回転板(回転ユニットの一部)
26 支柱(回転ユニットの一部)
25 従動ギア(回転ユニットの一部)
28 支柱(回転ユニットの一部)
29 原動ギア(駆動手段の一部)
30 駆動モータ(駆動手段の一部)
40 制御盤(制御手段、駆動手段の一部)
50 ボトル
51 口部(ボトル口部)
52 胴部
AL 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルを収容する空間が内部に設けられている飲料注入ボックスと、その飲料注入ボックス内に配設され洗浄液をボトル内に注入する洗浄ノズルと、その洗浄ノズルとともに前記飲料注入ボックス内に配設され飲料をボトル内に注入する飲料ノズルとを備えた飲料販売装置において、
前記飲料注入ボックスと交差する略水平な回転軸を想定したとき、その回転軸上に配設されて前記飲料注入ボックス内に収容されているボトルを把持する把持装置と、
その把持装置を前記回転軸の回りで回転自在に支持する回転支持部材と、
その回転支持部材によって支持される前記把持装置に対して前記回転軸を中心とした回転力を付与する駆動手段とを備えていることを特徴とする飲料販売装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズル及び前記飲料ノズルに代えて、その洗浄ノズル及び飲料ノズルの双方の機能を有して、洗浄液として飲料をボトル内へ注入する注入ノズルを備えており、
この注入ノズルは、飲料注入ボックス内に縦立姿勢で収容されるボトルのボトル口部へ向けて下向きに配設されていることを特徴とする請求項1記載の飲料販売装置。
【請求項3】
前記把持装置は、初期状態においてボトル口部が上向きとなる縦立姿勢でボトルを把持するものであり、
前記注入ノズルは、初期状態にある前記把持装置により把持されているボトルのボトル口部に対向して配設されており、
前記駆動手段は、前記回転軸回りで前記把持装置を、順方向へ略1/4周回転させ、そこから逆方向へ略3/4周回転させ、そこから順方向又は逆方向のいずれか一方へ略半周回転させる制御手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の飲料販売装置。
【請求項4】
前記把持装置は、前記飲料注入ボックスの一側壁に空転可能な状態で前記回転軸方向に向けて貫装されるとともに前記飲料注入ボックス内でボトルを把持する把持ユニットと、その把持ユニットと前記回転軸上で同軸的に直接連結されて前記飲料注入ボックス外に配設され、その把持ユニットと前記回転軸を中心にして一体回転可能に形成されている回動ユニットとを備えており、
前記回転支持部材は、その回転ユニットに外接されてその回転ユニットを転支するものであり、
前記駆動手段は、前記回転ユニットに回転力を付与して回転させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれに記載の飲料販売装置。
【請求項5】
前記回転支持部材は、前記回転軸の周囲に略等角間隔で3個配置されており、
そのうち2個の回転支持部材は、前記把持装置の外周下側半分における半径方向両側に外接して転支するものであり、
残る1個の回転支持部材は、前記把持装置の外周上側半分に外接して転支するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の飲料販売装置。
【請求項6】
前記回転支持部材は、前記飲料注入ボックスに回転自在に所定位置に固定されており、
前記把持装置又は回転支持部材のうち一方が他方に対して係合され、この係合によって前記把持装置が回転軸方向に位置決めされていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の飲料販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−323374(P2007−323374A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152994(P2006−152994)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(505447696)日本ピュアウォーター株式会社 (9)
【Fターム(参考)】