説明

飲食物搬送装置

【課題】搬送体の上部に注文搬送路を複数備える飲食物搬送装置を提供すること。
【解決手段】飲食物10を載置して飲食客に供給する第1の飲食物搬送手段と、第1の飲食物搬送手段の上部であって、支柱15を介して設けられ、飲食物10を載置して搬送する第2の飲食物搬送手段と、第2の飲食物搬送手段の上部であって、支柱15を介して設けられ、飲食物10を載置する搬送トレイ31を吊り下げて搬送する第3の飲食物搬送手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を載置して飲食客に供給する飲食物搬送手段を備える飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲食物搬送装置は、厨房エリアから飲食物を載置した食器皿を載置して飲食客エリアを回走するクレセントチェーンコンベアと、このクレセントチェーンコンベアの上方にて食器皿を載せた注文用トレイを厨房エリアと飲食客エリアとの間で往復直線運動させる往復注文搬送路を備え、飲食客から飲食物の注文を受けると、注文用トレイに飲食客から注文された飲食物を載置した食器皿を載置した後に往復注文搬送路を駆動させることで、飲食物をクレセントチェーンコンベアで搬送するよりも早く飲食客へ搬送するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187922号公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飲食物搬送装置にあっては、複数の飲食客から飲食物の注文を受けた場合、各注文毎に往復注文搬送路を駆動させて飲食物を各飲食客まで搬送しなければならないため、飲食物の注文を受けてから飲食物を注文客に搬送するまで時間を要してしまう場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、より多くの飲食客に対してより迅速に飲食物の供給を行うことができる飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の飲食物搬送装置は、
飲食物を載置して飲食客に供給する第1の飲食物搬送手段と、
前記第1の飲食物搬送手段の上部であって、支柱を介して設けられ、飲食物を載置して搬送する第2の飲食物搬送手段と、
前記第2の飲食物搬送手段の上部であって、前記支柱を介して設けられ、飲食物を載置する搬送トレイを吊り下げて搬送する第3の飲食物搬送手段とを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、第1の飲食物搬送手段に加えて、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段により、より多くの飲食客に対して、それぞれ飲食物を供給することができ、また、より早い供給が可能となる。更に、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とが、支柱から飲食客に対して水平にそれぞれ延設されて配置されている場合には、第3の飲食物搬送手段は搬送トレイを吊り下げているので、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段との間に上下方向に間隙が形成され、この間隙を介して飲食客が飲食物を取りやすく、また飲食客は第2の飲食物搬送手段及び第3の飲食物搬送手段を挟んだ支柱側を視認しやすくなるので、例えば、支柱側に飲食客が視認可能な広告等の表示やディスプレイを設けることができる。また、支柱は、第1の飲食物搬送手段と第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段の長手方向に対して、間隔をあけて複数本備えるように設置してもよい。この場合、支柱間に広告等を表示させる表示板を設けてもよい。第1の飲食物搬送手段は、飲食客エリア内を飲食物を載置して循環する無端状の循環搬送路を備えるようにしてもよい。また、第2の飲食物搬送手段は、垂直方向に複数備えるようにしてもよい。
【0007】
本発明の飲食物搬送装置は、
前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、注文飲食客に注文飲食物を搬送し、搬送速度が異なることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送速度が異なるので、注文飲食客に注文飲食物を供給する速度を異ならせることができる。例えば、注文客の席がより遠い位置の場合には、より早い飲食物搬送手段より注文飲食物を供給するようにできる。また、例えば、注文されてから飲食物ができあがるまでに時間が掛かったような場合には、より早い飲食物搬送手段により注文飲食物を供給するようにできる。さらに、例えば、注文飲食物を注文する際に、より早い飲食物搬送手段より注文飲食物を供給するように注文客が指定(特急注文)できるようにしておき、指定されたより早い飲食物搬送手段より注文飲食物を供給することで、注文客の要望に答えることができる。さらに、搬送トレイを吊り下げている第3の飲食物搬送手段の搬送速度を、第2の飲食物搬送手段より遅くすることで、より安全に飲食物を供給することができる。前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度を調整できるようにしておくことができる。
【0008】
本発明の飲食物搬送装置は、
前記第1の飲食物搬送手段は、飲食客が両側で利用するカウンターに配備される無端状の循環搬送路を備え、
前記支柱は、前記カウンターの中間部に設けられ、
前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、それぞれ、注文飲食客に注文飲食物を搬送し、前記カウンターの飲食客に対応して、前記支柱の両側に2つ並設されることを特徴としている。
この特徴によれば、カウンターの両側に位置するそれぞれの飲食客に対して、無端状の循環搬送路で搬送される飲食物を供給することができ、また、第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とにより、注文飲食物を搬送することができる。支柱を介して、前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とが設けられることで、構造が簡単になるとともに、支柱の両側に飲食客を配置することができるので、より省スペースとなる。
【0009】
本発明の飲食物搬送装置は、
前記第1の飲食物搬送手段と前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度がそれぞれ異なることを特徴としている。
この特徴によれば、飲食物容器の搬送速度を異ならせることで、例えば、各注文飲食客の位置に応じて、注文飲食物を注文飲食客に搬送する飲食物搬送手段を適宜選択し、効率よく注文飲食物の搬送を行うことができる。また、例えば、第1の飲食物搬送手段をより遅く搬送させることで、飲食客が、搬送される飲食物を見ながら、食べたい飲食物を選ぶことができる。この場合、第1の飲食物搬送手段と前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度をそれぞれ調整できるようにしておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例における注文搬送装置が設けられている飲食物搬送装置を示す平面図である。
【図2】注文搬送装置及び飲食物搬送装置を示すA−A断面図である。
【図3】図2における注文搬送装置及び飲食物搬送装置を示す拡大図である。
【図4】本実施例の変形例としての注文搬送装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
図1の符号1は、注文搬送装置11を上部に備え、寿司10等の飲食物を搬送する飲食物搬送装置である。図1及び図2に示すように、この飲食物搬送装置1は、例えば回転寿司店等の飲食店において、料理人が調理を行う厨房Cと飲食客が飲食を行う店内Kとに亘って延設された支持台2が設けられており、料理人が調理した飲食物としての寿司10が載置された飲食物容器としての寿司皿3を店内の飲食客に循環搬送して、寿司10を提供する装置である。
【0013】
飲食物搬送装置1には、店内K側に平面視櫛歯状に3つの島部4a,4b,4cが形成された無端状の本発明における第1の飲食物搬送手段としての循環搬送路9が設けられ、各島部4a,4b,4cを囲むように飲食カウンター5及び飲食テーブル6と、飲食カウンター5及び飲食テーブル6で飲食客が着席する客席7とが配備されている。尚、本実施例では、各客席7側から見た島部4a,4b,4cを飲食物搬送装置1と注文搬送装置11との正面側として説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、各島部4a,4b,4cでは、飲食カウンター5及び飲食テーブル6と客席7とで飲食客が飲食可能となっている。店内Kと厨房Cとの間には、店内Kと厨房Cとを隔てる壁Wが設けられており、循環搬送路9に載置された寿司皿3は、壁Wに設けられた複数の開口8を通過して店内の各島部4a,4b,4cにほぼ一定速度にて搬送されて、飲食客に提供されるようになっている。
【0015】
図2に示すように、循環搬送路9は、互いに相対移動可能に連結された公知のクレセントチェーンコンベア9aによって形成されており、これらクレセントチェーンコンベア9aをほぼ一定速度にて移動するように駆動する図示しない駆動モータが、循環搬送路9の内部の適宜位置に設けられており、駆動モータ及びクレセントチェーンコンベア9aによって飲食物搬送装置1が構成されている。
【0016】
飲食物搬送装置1を構成するクレセントチェーンコンベア9aは、厨房Cで寿司10の載置された寿司皿3が投入されると、先ず、寿司皿3を図1に示す店内Kの右端の島部4aに搬送し、この島部4aの先端部まで搬送した後に、折り返して再び島部4aの根元部分である厨房C側まで戻り、次いで中央の島部4bに搬送されるようになっており、最終的に左端の島部4cまで搬送された後に再び厨房Cに戻るようになっている。
【0017】
このため、各島部4a,4b,4cは、各島部4a,4b,4cを挟んで対抗する飲食カウンター5と飲食テーブル6の客席に着席している飲食客、または両飲食テーブル6の客席7に着席している飲食客が、循環搬送路9上を搬送中の寿司皿3を取り上げることができるようになっている。つまり、本実施例における飲食カウンター5及び飲食テーブル6は、本発明における飲食客が両側で利用するカウンターを構成している。循環搬送路9の両側には、飲食カウンター5、飲食テーブル6のどちらを配置してもよい。
【0018】
そして、各島部4a,4b,4cの上方には、各島部4a,4b,4cの前後に配備された客席7に着席している飲食客に対して、飲食客が注文した注文飲食物としての寿司10が載置された寿司皿3を厨房Cから搬送するための注文搬送装置11が設けられている。以下、各島部4a,4b,4cにおける注文搬送装置11の構成は同一であり、更に、注文搬送装置11は前後の構成が同一であるので、本実施例では島部4cの注文搬送装置11についてのみ説明する。
【0019】
図2に示すように、注文搬送装置11は、島部4cの前後幅方向の略中央部に立設される支柱15を備えている。この支柱15は、支持台2における飲食カウンター5と飲食テーブル6との中間部に複数本が島部4cの長手方向の略全長に亘って所定間隔毎に設けられている(本実施例では支柱15を一本のみ図示)。ここで、中間部とは、両側で利用する飲食客の間であればどの位置でもよく、支柱15は、飲食カウンター5と飲食テーブル6とからなるカウンターの中間部に設けられていればよい。また、これら支柱15間には、島部4cを挟んで対向する客席7での飲食客同士の視線を遮るための仕切板16が設けられている。
【0020】
そして、循環搬送路9の上方における支柱15の飲食カウンター5側及び飲食テーブル6側の双方には、それぞれ本発明における第2の飲食物搬送手段を構成する、厨房Cから島部4cの先端まで設けられた搬送路12と、この搬送路12上を、寿司10を載置した寿司皿3を載置した状態でクレセントチェーンコンベア9aの上方を走行する搬送トレイ13と、搬送路12の略全長に沿って設けられ、搬送トレイ13を搬送路12上で走行させるための駆動ユニット14と、が並設されている。
【0021】
以下、支柱15の飲食カウンター5側及び飲食テーブル6側における搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14の構成は、支柱15を中心軸として対称の構成となっているので、本実施例では飲食カウンター5側の搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14についてのみ説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、各支柱15には、支柱の垂直方向に沿って延設された垂直片17aと、垂直片17aの下端部から正面側に向けて水平方向に延設された水平片17bとから構成された、側面視略L字形状に形成されたブラケット17が取り付けられている。これらブラケット17の水平片17b上面の後部側に駆動ユニット14が固定されている。更に、各ブラケット17の前端部には、側断面視略L字形状に形成されたガイドフレーム18が島部4cの長手方向略全長に亘って取り付けられている。
【0023】
駆動ユニット14は、図示しない搬送モータと、該搬送モータに連結された駆動回転体としての駆動ローラ(図示略)と、搬送モータに連係しない従動回転体としての従動ローラ(図示略)と、これら駆動ローラと従動ローラとの外周に掛け渡された環状部材としての搬送ベルト19とを少なくとも含む駆動部品と、これら複数の駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材20と、から構成されており、搬送ベルト19は駆動モータが駆動することによって駆動ローラが回動を開始すると、駆動ローラと搬送ローラとの間で無端回動するようになっている。尚、搬送ベルト19の長手方向の所定位置には、搬送トレイ13と連結するための連結片21が設けられている。
【0024】
搬送トレイ13は、図2及び図3に示すように、支柱15からブラケット17の先端部までの前後寸法よりも短い前後幅寸法に形成されている。また、搬送トレイ13の上部には、上方に開口する円形状の載置孔13aが形成されており、この載置孔13a内に寿司10が載置された寿司皿3を載置するようになっている。また、図3に示すように、搬送トレイ13の駆動ユニット14と対向する後端部は、上方に向かって延設された立設片13bに形成されており、この立設片13bと搬送ベルト19に設けられた連結片21とは、螺子等により互いに螺着されている。
【0025】
一方、搬送トレイ13の客席7と対向する前端部には、図3に示すように、荷重ローラ22が取り付けられている。これら荷重ローラ22は、ガイドフレーム18の上面18aと当接するように配置されている。このため、搬送トレイ13は前端部を荷重ローラ22によって支持され、後端部を搬送ベルト19及び連結片21によって支持されている。
【0026】
搬送トレイ13は搬送ベルト19の無端回動によってガイドフレーム18の上面18a上を走行するようになっており、客席7から注文があった寿司10の寿司皿3を載置すると、厨房Cから注文がなされた客席7の正面までガイドフレーム18の上面18aを走行するようになっている。つまり、ガイドフレーム18の上面18aが本発明における搬送路12を構成している。
【0027】
支柱15の飲食カウンター5側及び飲食テーブル6側の両側で構成された搬送路12,搬送トレイ13及び駆動ユニット14から構成された第2の飲食物搬送手段の上方には、更に本発明における第3の飲食物搬送手段を備える。第3の飲食物搬送手段は、厨房Cから島部4cの先端まで設けられた搬送路34と、この搬送路34の下方にて飲食客から注文された注文飲食物としての寿司10を載置した寿司皿3を載置した状態で搬送路34の下方を走行する搬送トレイ31と、搬送路34の略全長に沿って設けられ、搬送トレイ31を搬送路34の下方で走行させるための駆動ユニット30とを備え、これらが飲食カウンター5側及び飲食テーブル6側の両側に並設されている。
【0028】
以下、搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14と同様に、支柱15の飲食カウンター5側及び飲食テーブル6側における搬送路34、搬送トレイ31及び駆動ユニット30の構成は、支柱15を中心軸として対称の構成となっているので、本実施例では飲食カウンター5側の搬送路34、搬送トレイ31及び駆動ユニット30についてのみ説明する。
【0029】
図2及び図3に示すように、支柱15の上端部には、第1の飲食物搬送手段及び第2の飲食物搬送手段の上方を被覆する天井部35が設けられている。この天井部35は、内部39が中空状に形成されているとともに、天井部35の内部39の上方部に駆動ユニット30が固定されている。また、天井部35の内部39の下方部には、天井部35の下方を全体に亘って照らす照明36が設けられている。
【0030】
駆動ユニット30は、図示しない搬送モータと、該搬送モータに連結された駆動回転体としての駆動ローラ(図示略)と、搬送モータに連係しない従動回転体としての従動ローラ30aと、これら駆動ローラと従動ローラ30aとに掛け渡された環状部材としての搬送ベルト37とを少なくとも含む駆動部品と、から構成されており、搬送ベルト37は駆動モータが駆動することによって駆動ローラが回動を開始すると、駆動ローラと従動ローラ30aとの間で無端回動するようになっている。尚、搬送ベルト37の長手方向の所定位置には、搬送トレイ31を連結するための連結片38が設けられている。
【0031】
図3に示すように、搬送トレイ31の上部には、上方に開口する円形状の載置孔31aが形成されており、この載置孔31a内に寿司10が載置された寿司皿3を載置するようになっている。また、搬送トレイ31の端部からは、上方に向けて吊持片32が延設されている。
【0032】
この吊持片32の上端部は、天井部35の下部において、天井部35の長手方向略全長に亘って下方に向かって開口する開口35aを介して天井部35内に配置されており、吊持片32の上端部と連結片38とは天井部35内にて螺子等により互いに螺着されている。
【0033】
また、吊持片32の上端部の前後には、荷重ローラ33が搬送トレイ31の搬送方向に向けて設けられている。これら荷重ローラ33は、天井部35の内部39において開口35aの前後に形成された搬送路34に当接しており、搬送ベルト37が駆動することによって搬送路34上を走行可能となっている。このため、搬送トレイ31は、搬送ベルト37を駆動させることで天井部35から吊持された状態で寿司皿3を飲食客まで搬送するようになっている。
【0034】
図3に示すように、第2の飲食物搬送手段による搬送トレイ13は、荷重ローラ22がガイドフレーム18の上面18aに当接することによる下方から支持され、第3の飲食物搬送手段による搬送トレイ31は、天井部35から吊下げることによって、ガイドフレーム18の上面18aと天井部35の下端部との間には、上下方向に間隙Lが形成される。これにより、飲食客は、この間隙Lを通して、仕切板16の間隙Lに対応する高さ位置にあたる箇所を良好に視認することが可能となっている。
【0035】
このため、仕切板16にメニュー等の宣伝用ポップを大きく貼り付けたり、表示装置としてのディスプレイを設けたりすることで、仕切板16を表示板として機能させ、飲食客に該宣伝用ポップやディスプレイをアピールしやすくなり、飲食客からの飲食物の注文を促進させることが可能となっている。更に、ガイドフレーム18の上面18aと天井部35の下端部との間に間隙Lが形成されることで、照明36の発する光が下方まで十分に届くようになり、循環搬送路9、搬送トレイ13,31で搬送される寿司10の外観を向上させ、飲食客の食欲を向上させることが可能となっている。
【0036】
尚、この搬送ベルト37を駆動させる搬送モータの回転速度は、搬送ベルト19を駆動させる搬送モータの回転速度よりも低速に設定しておくことができる。この場合、搬送ベルト37に連結片38を介して接続されている搬送トレイ31の飲食客に向けての寿司皿3を搬送する搬送速度は、搬送ベルト19に連結片21を介して接続されている搬送トレイ13の飲食客に向けての寿司皿3を搬送する搬送速度よりも低速とすることができる。第3の飲食物搬送手段は、吊り下げタイプであるので、飲食物が揺れやすくなることがあるので、低速とする方がより安全に飲食物を搬送させることができる。
【0037】
更に尚、クレセントチェーンコンベア9aを駆動させる駆動モータの回転速度は、搬送ベルト37を駆動させる搬送モータの回転速度よりも低速に設定されている。つまり、本実施例では、第2の飲食物搬送手段による搬送トレイ13の搬送速度が最も高速であり、次が第3の飲食物搬送手段による搬送トレイ31、第1の飲食物搬送手段の循環搬送路9の搬送速度が最も低速に設定されている。
【0038】
本実施例においては、これら搬送トレイ13、31のうち、搬送速度が低速な搬送トレイ31を、島部4cにおける厨房Cに比較的近い側の客席7に着席している飲食客に対して注文飲食物である寿司10が載置された寿司皿3を搬送するように用いるとともに、搬送速度が搬送トレイ31よりも高速な搬送トレイ13を、島部4cにおける先端部側の客席7に着座している飲食客に対して注文飲食物である寿司10が載置された寿司皿3を搬送するように用いることで、寿司10を注文した注文客の席がより遠い位置の場合には、より高速な飲食物搬送手段より注文飲食物を供給するようにできる。これにより、注文客の席がより遠い位置にあっても、各注文客へ寿司10を迅速に搬送することが可能となっている。しかも、天井部35から吊持されている搬送トレイ31を搬送トレイ13よりも低速とすることで、搬送トレイ31が寿司10を客席7に向けて搬送している間に搬送トレイ31に生じる揺動を抑えることができる。
【0039】
尚、特に図示しないが、前述のように第2の飲食物搬送手段による搬送トレイ13と,第3の飲食物搬送手段による搬送トレイ31の使用を、島部4cにおける飲食客の座席7の位置で使い分ける他に、例えば、飲食客から注文された注文飲食物が各客席7への搬送にさほど安定性を求めなくともよい握り等の固形物の場合は、天井部35から吊持されている第3の飲食物搬送手段による搬送トレイ31によって搬送するようにし、飲食客から注文された注文飲食物が味噌汁等の搬送に安定性を求める飲食物の場合には、安定性の良い第2の飲食物搬送手段による搬送トレイ13によって搬送するようにしてもよい。第2の飲食物搬送手段は、荷重ローラ22及び連結片21で前後が支持されていることので第3の飲食物搬送手段による搬送トレイ31よりも安定して飲食物を搬送させることができる。
【0040】
尚、本実施例では、第1の飲食物搬送手段としての循環搬送路9の上方に第2の飲食物搬送手段としての搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14を設け、更にこれら搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14の上方に第3の飲食物搬送手段としての搬送路34、搬送トレイ31及び駆動ユニット30を設けたが、本実施例の変形例として、図4に示すように、循環搬送路9の上方に第2の飲食物搬送手段としての搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14を上下方向に複数(本変形例では2つ)連設するようにし、第2の飲食物搬送手段の最上段の搬送路12、搬送トレイ13及び駆動ユニット14の上方に第3の飲食物搬送手段としての搬送路34、搬送トレイ31及び駆動ユニット30を設けてもよい。
【0041】
このように注文搬送装置11を構成することで、島部4cの異なる客席7に着席している飲食客から注文を受けた寿司10が載置された寿司皿3をそれぞれ異なる搬送トレイ13に載置することで、より迅速に寿司10を注文した飲食客に対して搬送することが可能となる。
【0042】
以上、本発明における飲食物搬送装置1にあっては、寿司10を載置して飲食客に供給する第1の飲食物搬送手段と、第1の飲食物搬送手段の上部であって、支柱15を介して設けられ、寿司10を載置して搬送する第2の飲食物搬送手段と、第2の飲食物搬送手段の上部であって、支柱15を介して設けられ、寿司10を載置する搬送トレイ31を吊り下げて搬送する第3の飲食物搬送手段とを備えることで、第1の飲食物搬送手段に加えて、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段により、より多くの飲食客に対して、それぞれ寿司10を供給することができ、また、より早い供給が可能となる。更に、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とが、支柱15から飲食客に対して水平にそれぞれ延設されて配置されている場合には、第3の飲食物搬送手段は搬送トレイ31を吊り下げているので、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段との間に上下方向に間隙Lが形成され、この間隙Lを介して飲食客が寿司10を取りやすく、また飲食客は第2の飲食物搬送手段及び第3の飲食物搬送手段を挟んだ支柱15側を視認しやすくなるので、例えば、支柱15に飲食客が視認可能な広告等の表示やディスプレイを設けることができる。また、支柱15は、第1の飲食物搬送手段と第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段の長手方向に対して、間隔をあけて複数本備えるように設置してもよい。この場合、各支柱15の間に広告等を表示させる仕切板16を設けてもよい。第1の飲食物搬送手段は、飲食客エリアである店内Kを寿司10を載置して循環する無端状の循環搬送路9を備えるようにしてもよい。また、第2の飲食物搬送手段は、垂直方向に複数備えるようにしてもよい。
【0043】
また、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とは、注文飲食客に寿司10を搬送し、搬送速度が異なるので、注文飲食客に寿司10を供給する速度を異ならせることができる。例えば、注文客の席がより遠い位置の場合には、より早い飲食物搬送手段より寿司10を供給するようにできる。また、例えば、注文されてから寿司10ができあがるまでに時間が掛かったような場合には、より早い飲食物搬送手段により寿司10を供給するようにできる。さらに、例えば、寿司10を注文する際に、より早い飲食物搬送手段より寿司10を供給するように注文客が指定(特急注文)できるようにしておき、指定されたより早い飲食物搬送手段より寿司10を供給することで、注文客の要望に答えることができる。さらに、搬送トレイ31を吊り下げている第3の飲食物搬送手段の搬送速度を、第2の飲食物搬送手段より遅くすることで、より安全に寿司10を供給することができる。第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度を調整できるようにしておくことができる。
【0044】
また、第1の飲食物搬送手段は、飲食カウンター5と飲食テーブル6との間に配備される無端状の循環搬送路9を備え、支柱15は、飲食カウンター5と飲食テーブル6との間である支持台2に設けられ、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とは、それぞれ、注文飲食客に寿司10を搬送し、飲食カウンター5及び飲食テーブル6の飲食客に対応して、支柱15の両側に2つ並設されるので、飲食カウンター5及び飲食テーブル6の両側に位置するそれぞれの飲食客に対して、無端状の循環搬送路9で搬送される寿司10を供給することができ、また、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とにより、寿司10を搬送することができる。支柱15を介して、第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とが設けられることで、構造が簡単になるとともに、支柱15の両側に飲食客を配置することができるので、より省スペースとなる。
【0045】
また、第1の飲食物搬送手段と第2の飲食物搬送手段と第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度がそれぞれ異なるので、寿司皿3の搬送速度を異ならせることで、例えば、各注文飲食客の位置に応じて、寿司10を注文飲食客に搬送する飲食物搬送手段を適宜選択し、効率よく寿司10の搬送を行うことができる。また、例えば、第1の飲食物搬送手段をより遅く搬送させることで、飲食客が、搬送される寿司10を見ながら、食べたい飲食物を選ぶことができる。この場合、第1の飲食物搬送手段と前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度をそれぞれ調整できるようにしておくことができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、注文飲食物を寿司10として説明したが、注文飲食物は寿司10以外の料理や酒類等の飲料であってもよい。
【0048】
また、前記実施例では、循環搬送路9、搬送トレイ13,31の搬送速度をそれぞれ異なるように構成したが、島部4a,4b,4cの根元部分から先端部までの長さが寿司10を載置した寿司皿3の搬送距離に対して十分に短い場合には、循環搬送路9、搬送トレイ13,31の搬送速度は全て同一としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 飲食物搬送装置
3 寿司皿(飲食物容器)
7 客席
9 循環搬送路(第1の飲食物搬送手段)
10 寿司(注文飲食物)
12 搬送路(第2の飲食物搬送手段)
13 搬送トレイ(第2の飲食物搬送手段)
14 駆動ユニット(第2の飲食物搬送手段)
15 支柱
16 仕切板
18a 上面
30 駆動ユニット(第3の飲食物搬送手段)
31 搬送トレイ(第3の飲食物搬送手段)
34 搬送路(第3の飲食物搬送手段)
L 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載置して飲食客に供給する第1の飲食物搬送手段と、
前記第1の飲食物搬送手段の上部であって、支柱を介して設けられ、飲食物を載置して搬送する第2の飲食物搬送手段と、
前記第2の飲食物搬送手段の上部であって、前記支柱を介して設けられ、飲食物を載置する搬送トレイを吊り下げて搬送する第3の飲食物搬送手段とを備えることを特徴とする飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、注文飲食客に注文飲食物を搬送し、搬送速度が異なることを特徴とする請求項1に記載の飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記第1の飲食物搬送手段は、飲食客が両側で利用するカウンターに配備される無端状の循環搬送路を備え、
前記支柱は、前記カウンターの中間部に設けられ、
前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、それぞれ、注文飲食客に注文飲食物を搬送し、前記カウンターの飲食客に対応して、前記支柱の両側に2つ並設されることを特徴とする請求項1または2に記載の飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記第1の飲食物搬送手段と前記第2の飲食物搬送手段と前記第3の飲食物搬送手段とは、搬送速度がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記載の飲食物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152403(P2012−152403A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14512(P2011−14512)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】