説明

飲食物管理装置

【課題】飲食客に供給する飲食物を正確に管理することができる飲食物管理装置を供給すること。
【解決手段】飲食物容器3に設けられたICタグ6に記憶された識別情報を読み取る読み取り装置7は、金属材により上面が開口する箱状に形成された本体部7aと、前記本体部7aの上面開口を閉塞するように配設され、飲食物容器3を上面に載置可能に形成される載置部7bと、前記本体部7a内に配設され、前記ICタグ6との間で非接触通信により情報の送受を行うためのアンテナ15と、を備え、前記本体部7aの側壁21からは外向きに延びるフランジ部22が連設され、該フランジ部22の上面に載置部7bが載置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物が載置される飲食物容器に設けられたICタグに記憶された各飲食物容器を個々に識別可能な識別情報を読み取り装置により読み取り、該読み取った識別情報に基づいて飲食物を管理する飲食物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の飲食物管理装置としては、例えばICタグに記憶された識別情報を読み取る読み取り装置を調理台等に配設し、飲食物容器に飲食物を盛りつけ、該飲食物が盛りつけられた飲食物容器を読み取り装置上を通過させることで、調理して飲食客に供給した飲食物情報を管理コンピュータ等に記録して管理することができるようにしたもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−108161号公報(第7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の管理装置にあっては、ICタグに記憶された識別情報を読み取る読み取り装置が、飲食物を調理するための作業台に設けられているが、この種の作業台では、これから飲食物を盛りつけて供給するための空の飲食物容器が積み重ねて載置されていることが多い。このような場合、これら空の飲食物容器が読み取り装置の近傍に載置されていると、これら飲食物が盛りつけられていない、つまり供給する予定ではない飲食物容器のICタグに記憶されている情報が読み取られてしまうという問題があり、飲食客に供給する飲食物を正確に管理することができなくなる虞があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食客に供給する飲食物を正確に管理することができる飲食物管理装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の飲食物管理装置は、
飲食物が載置される飲食物容器に設けられたICタグに記憶された各飲食物容器を個々に識別可能な識別情報を読み取り装置により読み取り、該読み取った識別情報に基づいて飲食物を管理する飲食物管理装置であって、
前記読み取り装置は、
金属材により上面が開口する箱状に形成された本体部と、
前記本体部の上面開口を閉塞するように配設され、前記飲食物容器を上面に載置可能に形成される載置部と、
前記本体部内に配設され、前記ICタグとの間で非接触通信により情報の送受を行うためのアンテナと、
を備え、
前記本体部の側壁からは外向きに延びるフランジ部が連設され、該フランジ部の上面に前記載置部が載置されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、金属材にて構成された本体部の上面開口には金属材が存在しないため、載置部の上面に飲食物容器を載置すれば、アンテナから発信される電磁波によって読み取り装置のアンテナと飲食物容器のICタグとの間で情報の送受が行われるとともに、本体部の外側方近傍においては、アンテナから発信される電磁波が本体部の側壁及び該側壁から外向きに延びるフランジ部と干渉して減衰されるため、本体部の外側方近傍に載置されている他の飲食物容器のICタグとの間で情報の送受が行われることが防止される。このように金属材からなる本体部の側壁を肉厚にしたりすることなく、載置部を本体部上に載置するためのフランジ部を利用して本体部の外側方近傍における電磁波を減衰させることができるため、飲食客に供給する飲食物を正確に管理できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の飲食物管理装置は、請求項1に記載の飲食物管理装置であって、
前記アンテナは、前記フランジ部とほぼ同高さ位置に配設されている、ことを特徴としている。
この特徴によれば、アンテナを載置部の上面に載置される飲食物容器に極力近づけて配置することができるとともに、フランジ部がアンテナの軸心に対して略直交する方向を向く直線上または該直線に沿うように配置されることで、本体部の外側方近傍における電磁波を効果的に減衰させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の飲食物管理装置は、請求項2に記載の飲食物管理装置であって、
前記アンテナは、前記本体部の上面開口の周縁に沿うように配設されている、ことを特徴としている。
この特徴によれば、載置部の上面全域にわたり通信領域を設けることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の飲食物管理装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の飲食物管理装置であって、
前記載置部は、前記フランジ部の上面にシール材を介して水封状態で固着されている、ことを特徴としている。
この特徴によれば、本体部内への水の進入を効果的に防止できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の飲食物管理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の飲食物管理装置であって、
前記フランジ部の先端から上向きに延びる垂直片部が連設されている、ことを特徴としている。
この特徴によれば、本体部の外側方近傍における電磁波をより効果的に減衰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、循環型搬送路及び飲食物管理装置を示す斜視図であり、図2は、飲食物管理装置の構成を示すブロック図であり、図3は、読み取り装置を示す平面図であり、図4は、図3のA−A断面図であり、図5は、図4の要部拡大図であり、図6は、読み取り装置からの電磁波の発信状況を示す断面図であり、図7は、(a)〜(c)は供給する飲食物の登録状況の一連の流れを示す概略図である。
【0013】
図1には、飲食物である寿司皿3等が載置される飲食物容器としての寿司2を循環搬送する循環型搬送路1aを備える循環搬送装置の一部が示されている。循環搬送路1aは、特に図示しないが、例えば寿司皿3が飲食店内における飲食客エリアと厨房エリアとの間で循環搬送されるように無端状に形成されており、各種の寿司皿3は、厨房エリアにおいて寿司2に載置された状態で循環搬送路1aに投入され、該循環搬送路1a上を搬送されて飲食客エリアの飲食客に供給されるようになっている。
【0014】
図1においては、厨房エリア内に配設された循環搬送路1aが示されており、図1中における循環搬送路1aの手前側には、調理人が寿司皿3に寿司2を盛りつける等の調理を行うための調理台4が配設されている。循環搬送路1aは、互いに相対移動可能に連結された公知のクレセントチェーンコンベアにて形成されており、これらクレセントチェーンコンベアがほぼ一定速度にて移動するように駆動する図示しない駆動モータが循環搬送路1aの内部の適宜位置に設けられており、これら駆動モータ並びに循環搬送路1aにより循環搬送装置が構成されている。
【0015】
調理台4の上面には、本発明の実施例としての飲食物管理装置の一部を構成する読み取り装置5及び複数の寿司皿3が載置されている。各寿司皿3の糸底の内部には、図6に示されるように、個々に固有の識別情報であるID(皿ID)が記録されるとともに、該記憶されているIDを無線通信により非接触にて送信可能なICタグ6がそれぞれ設けられており、これらICタグ6が設けられた寿司皿3の識別情報であるIDを読み取り装置5にて読み取ることができるようになっており、該ID(皿ID)に基づいてこれら各寿司皿3を個々に識別できるようになっている。
【0016】
読み取り装置5は、リーダユニット7及び該リーダユニット7を制御する制御ユニット8から構成されているとともに、該制御ユニット8は、飲食店内における所定箇所に設置される管理コンピュータ9(図2参照)と通信可能に接続されており、これら読み取り装置5及び管理コンピュータ9にて本発明の飲食物管理装置が構成されている。
【0017】
これらリーダユニット7、制御ユニット8、管理コンピュータ9からなる飲食物管理装置においては、飲食物としての寿司が載置される寿司皿3に設けられたICタグ6に記憶された各寿司皿3を個々に識別可能な識別情報であるIDを読み取り装置5により読み取り、該読み取ったIDに基づいて飲食物を管理するようになっている。飲食物の管理とは、例えば循環搬送路1a上に投入して飲食客に供給された寿司や、実際に飲食客に食された寿司や、食されずに廃棄された寿司等に関わる情報(数量、品種、金額等)を管理することであり、本実施例における読み取り装置5は、飲食客に供給する寿司2に関わる情報を登録して管理するための装置である。尚、供給する寿司に関わる情報の登録手順等については後述する。
【0018】
ここで、本発明の実施例としての飲食物管理装置の構成を、図2のブロック図に基づいて説明する。制御ユニット8は、所定のプログラムに基づいて各種の制御処理を行う中央演算処理装置(CPU)や、プログラムが記憶されるROM及びCPUが実施する各種の処理におけるワークメモリ等として使用されるRAM等の記憶部を有する制御部10に、各種情報を表示出力する表示部及び該表示部に配置されて入力操作を受付ける透明タッチパネルを有する表示器11と、表示器11の側方に配置される各種操作スイッチ12a(図1参照)からなるスイッチ部12と、管理コンピュータ9に接続され、該管理コンピュータ9との間で各種情報を通信するための通信部13と、が接続されている。
【0019】
リーダユニット7は、制御部10に接続される制御回路14と、該制御回路14に接続されたアンテナ15と、を備えており、このアンテナ15から情報を電磁波に載せて発信する、つまり非接触で通信できるようになっている。ICタグ6では、アンテナ15からの電磁波を受信することにより、該ICタグ6に設けられたタグ側アンテナに電力が発生し、発生した電力により内部の制御回路や記憶部を動作させ、必要な処理を行うとともに、ICタグ6内のID等の情報をタグ側アンテナから送信するため、リーダユニット7のアンテナ15でICタグ6からの情報を受信し、制御部10にて情報を取り出せるようになっている。
【0020】
尚、このICタグ6としては、上記のような公知のパッシブ型のICタグが適用されているが、アクティブ型のICタグを使用するようにしてもよい。
【0021】
次に、リーダユニット7の構造について、図3〜図5に基づいて説明すると、リーダユニット7は、金属材であるステンレス板材により、上面が開口する横長長方形状をなす箱状に形成された本体部7aと、本体部7aの上面開口を閉塞するように配設され、寿司皿3を上面に載置可能に形成される載置部7bと、から構成されている。尚、本実施例では本体部7aはステンレス材にて構成されているが、ステンレス以外の金属材にて構成されていてもよいし、あるいは電磁波を遮蔽可能な金属材以外の素材にて構成されていてもよい。
【0022】
本体部7aは、底壁20とその周縁から立設される側壁21とからなり、側壁21の上端からは、外方に向けて略水平に延びるフランジ部22が折り曲げ加工により連設されている。該フランジ部22は本体部7aの周縁上部に環状に形成されている。
【0023】
本体部7aの内部には、制御回路14や記憶部等が搭載されたリーダ基板16が収容される基板カバー17が角部に配設されているとともに、該基板カバー17以外の箇所には発泡材18(図3では図示略)が配設されている。制御回路14から延設される配線Kは本体部7aの側壁に形成された挿通孔(図示略)を介して外部に挿通され、制御ユニット8の制御部10に接続されている。
【0024】
アンテナ15は、図3に示されるように、本体部7a内における側壁21の内側に沿うように、つまり本体部7aの上面開口の周縁に沿うように環状に配設されているとともに、特に図5に示されるように、フランジ部22とほぼ同高さ位置に配置されている。すなわち、水平方向に延びるフランジ部22は、アンテナ15の軸心に対して略直交する方向を向く直線上に沿うように配設されることになるため、アンテナ15からの電磁波を本体部7aの外側方近傍において効果的に減衰できるようになっている。
【0025】
アンテナ15の上部には合成樹脂材からなるカバー材23が配置されており、基板カバー17の上面を除く本体部7aの上面開口が閉塞されているとともに、さらにその上方には、載置部7bを構成するポリエチレン製の閉塞板24及び作業板25が配設されている。
【0026】
閉塞板24及び作業板25は、平面視でフランジ部22の外周縁とほぼ同形をなす板状に形成されている。閉塞板24は、該閉塞板24の下面周縁部とフランジ部22の上面22aとをシール材としてのゴムパッキン26により水封状態で接着することにより、本体部7aの上面開口が閉塞されるように本体部7a上に固設されており、これにより制御回路14やアンテナ15等が内蔵される本体部7a内への水等の進入が防止されている。
【0027】
これに対して閉塞板24の上面に載置される作業板25は、その上面25aが平坦面とされており、該上面25a上に複数枚(例えば10枚)の寿司皿3を載置できる大きさを有している(図7(c)参照)。また、閉塞板24に対して離脱自在に設けられているため、調理面となる上面25aが汚れた際に、閉塞板24から離脱した状態で洗うことができる。このように閉塞板24の上部に作業板25を離脱自在に設けることで、本体部7aに水封状態で固設される閉塞板24を汚したり損傷させること等なく、作業板25の洗浄や交換で対応できる。
【0028】
次に、このように構成されたリーダユニット7による各寿司皿3のIDの読み取り状況を図6に基づいて説明する。
【0029】
図6には、リーダユニット7の制御回路14が駆動してアンテナ15から電磁波が発信された状態が示されている。このように電磁波は、図中点線で示されるように、アンテナ15の軸心を中心として円周方向に広がるように発信される。アンテナ15は、金属材であるステンレス板により上面が開口する箱状に構成される本体部7a内上部に配置されていることで、該本体部7aの上部に配置される作業板25の上面25a全域には電磁波と干渉する金属材等が存在せず、作業板25の上面25aほぼ全域が読み取り可能領域となるため、上面25aに載置される寿司皿3のICタグ6に記憶されているIDを確実に読み取ることができる。
【0030】
一方、本体部7aの外側方近傍においては、アンテナ15から発信される電磁波が本体部7aの側壁21及び該側壁21から外向き水平方向に延びるフランジ部22と干渉して減衰される。つまり、本体部7aの直上の領域である上面25aの上方領域においては電磁波が金属材と干渉することがないが、本体部7aの外側方近傍位置における電磁波はフランジ部22との干渉により減衰され、本体部7aの外側方近傍位置に載置されている他の寿司皿3(図6中右側に積載されている寿司皿3等)のICタグ6付近まで電磁波が届きにくくなるため、該ICタグ6に記憶されているIDを読み取ることが防止される。
【0031】
このように本体部7aの外側方近傍位置における電磁波を減衰させるには、側壁21を肉厚にすることが考えられるが、肉厚にすることで重量が増加するばかりか製造コストが嵩むことになるため、閉塞板24を本体部7a上に載置するために外向きに延設されたフランジ部22を利用することで軽量化を図るとともに、本体部7aの外側方近傍における電磁波を効果的に減衰させることができる。
【0032】
次に、リーダユニット7及び制御ユニット8からなる読み取り装置5により、調理して飲食客に供給する寿司に関わる情報(数量、品種、金額等)を供給する前に登録する手順を、図7に基づいて説明する。尚、ここでは循環搬送路1aにて循環搬送されている寿司の状況に応じて、調理人が例えば「大トロ(480円)」を複数皿分調理し、循環搬送路1aに投入することにより飲食客に供給する場合を一例として説明する。
【0033】
また、飲食客に供給する寿司の調理及び品種、数量情報等の登録作業は、本実施例のように循環搬送路1aに投入され循環搬送されている寿司の状況から調理人が判断して行うものに限定されるものではなく、飲食客からの注文等に応じて行われるものであってもよい。
【0034】
図7(a)に示されるように、調理台4には、前述したようにリーダユニット7及び制御ユニット8が配設されているとともに、リーダユニット7の近傍位置には、複数の寿司皿3が積載された状態で配置されている。これら複数の寿司皿3としては、表面に施された絵柄及び盛りつけられる寿司の金額が異なる4種類の寿司皿3a〜3d(例えば寿司皿3aは120円皿、寿司皿3bは240円皿、寿司皿3cは350円皿、寿司皿3dは480円皿)が予め用意されている。尚、これら金額情報は、各種寿司皿3a〜3dに設けられたICタグ6に記憶されている各IDに対応付けて、管理コンピュータ9に予め登録されている。
【0035】
そして、調理人が「大トロ(480円)」を調理して供給する場合、まず制御ユニット8を起動し、所定の登録画面(図示略)等において調理する調理人を識別可能な調理人ID等の必要事項を入力することで、図7(a)に示されるような登録画面が表示器11に表示される。
【0036】
次いで、供給する寿司の品種(ネタ種別)を登録する。ここでは、「大トロ(480円)」のネタ32と、該ネタ32の種別毎に用意されたネタICカード30がバット31により調理人に供給されるようになっているため、図7(b)に示されるように、ネタICカード30を作業板25の上面25a上に置くことで、載置されたネタICカード30に記憶されているカードIDがリーダユニット7にて読み出され、該読み出されたカードIDが制御ユニット8を介して管理コンピュータ9に送信される。
【0037】
管理コンピュータ9には、各種ネタICカードのカードIDに対応付けてネタ種別がデータベース(図示略)に登録されているため、受信したカードIDに対応付けて登録されているネタ種情報(ネタ名称や金額情報)を抽出し、該抽出したネタ種情報をカードIDとともに制御ユニット8に返信する。
【0038】
ネタ種情報及びカードIDを受信した制御ユニット8は、受信したネタ種情報に含まれるネタ名称や金額情報を抽出して登録画面に表示させる。ここでは、図7(b)に示されるように、「ネタの名称」の項目に「大トロ」が表示され、「盛りつける皿」の項目に「480円皿」が表示される。
【0039】
尚、本実施例では、供給する寿司の品種(ネタ種別)の登録を、ネタICカード30をリーダユニット7により読み取り、該読み取ったカードIDに対応付けて登録されている品種情報に基づいて行うようになっているが、このようなネタICカード30を使用することなく、例えば制御ユニット8のスイッチ12a等を用いて寿司の品種(ネタ種別)を選択することにより登録できるようにしてもよい。
【0040】
また、飲食客からの注文により寿司を供給する場合であれば、例えば図示しない注文装置から注文情報が制御ユニット8に送信され、該送信された注文情報に含まれる寿司の品種等が自動的に登録されるようにしてもよい。
【0041】
次いで、調理人はネタICカード30を上面25aから取り出した後、480円皿である寿司皿3dを作業板25の上面25aに複数枚(ここでは10枚)載置する。ここで、作業板25の上面25aに載置された各寿司皿3dのICタグ6に記憶されたIDは、リーダユニット7により読み取られ、該読み取られたIDに基づいて、各IDに対応する金額情報が管理コンピュータ9により確認されるとともに、読み取ったIDの数量が算出され、登録画面に表示される。図7(c)に示されるように、10枚の寿司皿3dが上面25aに載置された場合には、「皿の種類」の項目に「480円皿」が表示され、「枚数」の項目に「10枚」が表示される。
【0042】
ここで、ネタICカード30により登録して表示された金額情報(480円皿)と、実際に上面25a上に載置されて読み取られた寿司皿3の金額情報とが異なる場合には、所定のエラー報知(エラー音の出力や表示器11へのエラー表示等)が行われて登録処理が中断するようになっているため、調理人が間違った種別の寿司皿3に寿司2を盛りつけて飲食客に供給することが防止される。特に複数枚の寿司皿3を一度に登録して供給するものであるため、寿司2を盛りつける前に、ネタICカード30により登録された金額情報と上面25a上に載置されて読み取られた寿司皿3の金額情報との比較が行われ、該比較結果が一致しない場合にはエラー報知が行われることで、盛りつけをやり直す等の手間が発生することが防止される。
【0043】
そして、上面25a上に載置されている全ての寿司皿3dへの寿司2の盛りつけが終了したら、調理人は上面25a上に載置されている寿司皿3を飲食客に向けて供給した後、図7(c)中の登録画面に表示されている「レーン(循環搬送路1a)」「オーダー(飲食客)」「テイク(テイクアウト)」の3つの供給区分のうちから、実際に寿司皿3dを供給した区分に対応する項目を選択し、最後に「登録」項目を選択することで、「大トロ(480円)」10皿が、所定時刻に「レーン」「オーダー」「テイク」のうちいずれかに供給された旨を示す供給情報が、各IDとともに管理コンピュータ9に送信される。尚、同一のネタ種であれば、前記登録画面における「登録」項目を選択するまで、供給枚数を逐次追加可能とされている。
【0044】
供給情報を受信した管理コンピュータ9は、受信したID及び供給情報に含まれる飲食客に供給した寿司2のネタ種、金額、数量等の情報に基づいて、飲食客への寿司の供給状況を管理する。
【0045】
以上説明したように、本発明の実施例としての読み取り装置5を構成するリーダユニット7にあっては、ステンレス材にて構成された本体部7aの上面開口にはステンレス材が存在しないため、載置部7bの上面、つまり作業板25の上面25aに寿司皿3を載置すれば、アンテナ15から発信される電磁波によってリーダユニット7のアンテナ15と寿司皿3のICタグ6との間で情報の送受が確実に行われる。
【0046】
また、本体部7aの外側方近傍においては、アンテナ15から発信される電磁波が本体部7aの側壁21及び該側壁21から外向きに延びるフランジ部22と干渉して減衰されるため、本体部7aの外側方近傍に載置されている他の寿司皿3のICタグ6との間で情報の送受が行われることが防止される。よって、他の寿司皿3が配置される調理台4においてリーダユニット7を使用する場合においても、金属材からなる本体部7aの側壁21を肉厚にしたりすることなく、載置部7bを本体部7a上に載置するためのフランジ部22を利用して本体部7aの外側方近傍における電磁波を減衰させることができるため、飲食客に供給する寿司2を正確に管理することができる。
【0047】
また、アンテナ15は、フランジ部22とほぼ同高さ位置に配設されていることで、アンテナ15を、上面25aに載置される寿司皿3に極力近づけて配置することができるとともに、フランジ部22がアンテナ15の軸心に対して略直交する方向を向く直線上または該直線に沿うように配置されることで、本体部7aの外側方近傍における電磁波を効果的に減衰させることができる。
【0048】
また、アンテナ15は、本体部7aの上面開口の周縁に沿うように配設されていることで、載置部7bの上面25a全域にわたり通信領域を設けることができる。
【0049】
また、載置部7bはフランジ部22の上面22aにシール材としてのゴムパッキン26を介して水封状態で固着されているため、本体部7a内への水の進入を効果的に防止できる。このようにフランジ部22の幅寸法を大きくすることで、ゴムパッキン26等によりシールする面積が広くなるとともに、閉塞板24の安定性が向上するだけでなく、本体部7aの外側方近傍における電磁波をより効果的に減衰することができる。
【0050】
図8には、本発明の変形例としての読み取り装置の要部を示す拡大断面図が示されている。上記実施例では、側壁21及びフランジ部22により、本体部7aの外側方近傍位置における電磁波を減衰するようになっていたが、例えば図8に示されるように、フランジ部22の先端から上向きに延びる垂直片部22bを連設するようにしてもよく、このようにすることで、フランジ部22の上方にも金属材が存在することになるため、本体部7aの外側方近傍における電磁波をより効果的に減衰させることができる。
【0051】
また、垂直片部22bを作業板25の側面まで延設させることで、閉塞板24の上面に配置される作業板25の水平方向の移動が規制されるので、作業板25を閉塞板24に係止するための係止部等を別個に形成する必要がなくなる。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0053】
例えば、上記実施例では、読み取り装置5は、リーダユニット7と制御ユニット8とにより構成されていたが、リーダユニット7の本体部7a内に制御ユニット8の制御部10等を内設し、リーダユニット7のみで読み取り装置5が構成されるようにしてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、各種寿司皿3のID等が管理コンピュータ9に登録され、管理コンピュータ9により飲食物の飲食客への供給状況を含む飲食物に関する情報が管理されるようになっていたが、制御ユニット8において管理するようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、載置部7bが閉塞板24と作業板25とにより構成されていたが、少なくとも本体部7aの上面開口を閉塞可能で、かつ上面に寿司皿3を載置可能に構成されていれば、1枚の板材または3枚以上の板材等により構成されていてもよい。
【0056】
また、前記実施例では、フランジ部22は外向き水平方向に延設されていたが、内向き、つまり本体部7a内に向けて延設されていてもよいし、先端が上方または下方に傾斜するように形成されていてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、ICタグ6の記憶部には識別情報であるIDのみが記録されていたが、リーダユニット7を情報の読み取り及び書き込みが可能なリーダライタユニットとし、IDの読み取りに基づいて、該ICタグ6の記憶部に寿司のネタ種や金額情報等が書き込まれるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】循環型搬送路及び飲食物管理装置を示す斜視図である。
【図2】飲食物管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】読み取り装置を示す平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】読み取り装置からの電磁波の発信状況を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は供給する飲食物の登録状況の一連の流れを示す概略図である。
【図8】本発明の変形例としての読み取り装置の要部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 循環搬送装置
1a 循環搬送路
2 寿司(飲食物)
3、3a〜3d 寿司皿(飲食容器)
4 調理台
5 読み取り装置
6 ICタグ
7 リーダユニット(読み取り装置)
7a 本体部
7b 載置部
8 制御ユニット(読み取り装置)
9 管理コンピュータ
10 制御部
15 アンテナ
21 側壁
22 フランジ部
24 閉塞板
25 作業板
25a 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物が載置される飲食物容器に設けられたICタグに記憶された各飲食物容器を個々に識別可能な識別情報を読み取り装置により読み取り、該読み取った識別情報に基づいて飲食物を管理する飲食物管理装置であって、
前記読み取り装置は、
金属材により上面が開口する箱状に形成された本体部と、
前記本体部の上面開口を閉塞するように配設され、前記飲食物容器を上面に載置可能に形成される載置部と、
前記本体部内に配設され、前記ICタグとの間で非接触通信により情報の送受を行うためのアンテナと、
を備え、
前記本体部の側壁からは外向きに延びるフランジ部が連設され、該フランジ部の上面に前記載置部が載置されている、ことを特徴とする飲食物管理装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記フランジ部とほぼ同高さ位置に配設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の飲食物管理装置。
【請求項3】
前記アンテナは、前記本体部の上面開口の周縁に沿うように配設されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の飲食物管理装置。
【請求項4】
前記載置部は、前記フランジ部の上面にシール材を介して水封状態で固着されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飲食物管理装置。
【請求項5】
前記フランジ部の先端から上向きに延びる垂直片部が連設されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の飲食物管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−287325(P2008−287325A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129099(P2007−129099)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】