説明

首振り型脱荷コンベア

【課題】 キャリアにより搬送される印刷物の搬送速度等に応じて首振り型脱荷コンベアの停止位置を最適な位置に調整できるようにする。
【解決手段】 複数の搬送ラインを備えたキャリア1の下方に設置され、キャリア1の隣接する二つの搬送ラインから脱荷された印刷物Pを受け取って搬送する首振り型脱荷コンベアに於いて、キャリア1の隣接する二つの搬送ライン間の下方位置に下流側端部を中心にして水平方向へ回動自在に配設され、上流側端部がキャリア1の隣接する二つの搬送ラインの下方位置で停止可能なベルトコンベア9と、ベルトコンベア9を水平方向へ回動操作してベルトコンベア9の停止位置を切り換え操作する電動シリンダ11とを備えており、ベルトコンベア9の停止位置の切り換え時に、キャリア1により搬送される印刷物Pの搬送速度等に応じて電動シリンダ11によりベルトコンベア9の停止位置を調整できる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞や雑誌等の印刷工場等に於いて利用されるものであり、印刷用輪転機の折機から連続的に排出された新聞や雑誌等の印刷物を一部ずつ掴んでカウンタースタッカーや梱包機等を設置している発送場へ搬送する複数の搬送ラインを備えたキャリアの下方位置に設置され、キャリアにより発送場へ搬送されて来た印刷物をキャリアの各搬送ラインから受け取って一定のピッチで瓦状に積み重ねた状態でカウンタースタッカー側へ搬送する停止位置を切り換え可能な首振り型脱荷コンベアの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷用輪転機の折機から連続的に排出されて来る新聞等の印刷物は、折機から離れた位置にあるカウンタースタッカーや梱包機等を設置している発送場へ搬送装置により搬送されている。特に、新聞の印刷工場で用いる搬送装置には、印刷速度の増加や搬送装置の設置空間の減少等を図る観点から、所謂センターグリップ方式のキャリアが多く使用されている。
【0003】
前記キャリアは、ガイドレールと、ガイドレールに沿って走行する無端状のチェーンと、チェーンに一定のピッチで取り付けられて印刷物(新聞)を一部ずつ掴む開閉自在なグリッパーと、グリッパーを所定の位置で開放する脱荷機構等から構成されており、通常操作側ライン(HS側ライン)と駆動側ライン(GS側ライン)の二つの搬送ラインを備えている。
【0004】
而して、前記キャリアは、印刷用輪転機から連続的に排出された印刷物をグリッパーにより一部ずつ掴んで発送場へ搬送し、首振り型脱荷コンベアの上流側部分の上方位置でグリッパーを脱荷機構により開放することによって、印刷物を首振り型脱荷コンベアへ引き渡すようになっている。
【0005】
グリッパーから落下した印刷物は、首振り型脱荷コンベア上に一定のピッチで瓦状に積み重ねられ、この状態で首振り型脱荷コンベアによりカウンタースタッカーへ導入され、ここで予め定められた所定の部数ごとに積層整理された後、宛名印刷紙等と共に自動梱包され、所定の発送ラインへ搬出されて行く。
【0006】
従来、複数の搬送ラインを備えたキャリアから印刷物を受け取る首振り型脱荷コンベアとしては、例えば、特開平6−32484号公報(特許文献1)の図8及び図9に開示された首振り型脱荷コンベアが知られている。
【0007】
即ち、前記首振り型脱荷コンベア40は、図12及び図13に示す如く、操作側ライン41′(HS側ライン)と駆動側ライン41″(GS側ライン)の二つの搬送ラインを備えたキャリア41の下方位置に水平方向へ回動自在に配設されており、操作側ライン41′又は駆動側ライン41″へ首を振ることにより、各ラインから脱荷された印刷物P′を受け取り、受け取った印刷物P′をサイドジョガー42及び潰し装置43を経てカウンタースタッカー44へ切り換え導入して行くようになっている。
【0008】
この首振り型脱荷コンベア40は、設置スペースが少なくて良いうえ、カウンタースタッカー44の設置間隔も小さくて良く、実用上多くの利点を有している。
【0009】
一方、新聞の印刷工場に於いては、印刷用輪転機の印刷速度を低速印刷から高速印刷に切り換えたり、或いは高速印刷から低速印刷に切り換えたりすることが行われている。
その結果、新聞を搬送するキャリア41の走行速度も、印刷用輪転機の印刷速度に応じて切り換えられている。即ち、印刷用輪転機の印刷速度が高速の場合には、キャリア41の走行速度を速くし、又、印刷用輪転機の印刷速度が低速の場合には、キャリア41の走行速度を遅くするようにしている。
【0010】
このように、キャリア41の走行速度が変化すると、脱荷機構(図示省略)によりキャリア41の操作側ライン41′(HS側ライン)又は駆動側ライン41″(GS側ライン)から脱荷された印刷物P′の脱荷ポイント(落下ポイント)がキャリア41の走行速度に応じて変化することになる。例えば、キャリア41の走行速度が遅い場合には、印刷物P′が首振り型脱荷コンベア40の上流側端に近い位置に落下し、又、キャリア41の走行速度が速い場合には、印刷物P′が首振り型脱荷コンベア40の上流側端から少し離れた位置に落下することになる。
【0011】
ところで、従来の首振り型脱荷コンベア40は、その停止位置を切り換える際には、操作側ライン41′(HS側ライン)又は駆動側ライン41″(GS側ライン)へただ単に首を振るだけであるため、キャリア41の各ラインから脱荷された印刷物P′がキャリア41の走行速度(キャリア41により搬送される印刷物P′の搬送速度)によっては首振り型脱荷コンベア40の幅方向中心位置に落下せず、首振り型脱荷コンベア40上にその幅方向へ偏倚した状態で引き渡されることになる。
この場合、印刷物P′が首振り型脱荷コンベア40上にその幅方向へ偏倚した状態で載っているので、印刷物P′が首振り型脱荷コンベア40からカウンタースタッカー44へ送り込まれるときに、カウンタースタッカー44の入口側に設置したサイドジョガー42や潰し装置43で引っ掛かり、紙詰まり等のトラブルが発生すると云う問題があった。
【0012】
又、従来の首振り型脱荷コンベア40は、その停止位置を切り換える際には、操作側ライン41′(HS側ライン)又は駆動側ライン41″(GS側ライン)へただ単に首を振るだけであるため、キャリア41により搬送される印刷物P′の大きさが変わった場合でも、印刷物P′が首振り型脱荷コンベア40上にその幅方向へ偏倚した状態で引き渡されることになる。何故なら、キャリア40より搬送される印刷物P′は、その大きさに関係なく、印刷物P′の一方の側辺を基準にして搬送されるからである。
従って、従来の首振り型脱荷コンベア40は、キャリア41により搬送される印刷物P′の大きさが変わった場合でも、上述した問題と同じ問題が発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−32484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ベルトコンベアの停止位置を切り換える際に、キャリアにより搬送される印刷物の搬送速度及び印刷物の大きさに応じてその停止位置を最適な位置に調整することができ、キャリアの各搬送ラインから脱荷された印刷物を所定の位置で受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送できるようにした首振り型脱荷コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、印刷用輪転機から連続的に排出された印刷物を一部ずつ掴んでカウンタースタッカーを設置した発送場へ搬送する複数の搬送ラインを備えたキャリアの下方位置に設置され、キャリアの隣接する二つの搬送ラインから脱荷された印刷物をそれぞれ受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送する首振り型脱荷コンベアに於いて、前記首振り型脱荷コンベアは、キャリアの隣接する二つの搬送ライン間の下方位置に下流側端部を中心にして水平方向へ回動自在に配設され、上流側端部がキャリアの隣接する二つの搬送ラインの下方位置でそれぞれ停止可能になっていると共に、二つの搬送ラインから脱荷された印刷物をそれぞれ受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアの下方位置に配設した固定側フレームに取り付けられ、ベルトコンベアの上流側端部がキャリアの隣接する二つの搬送ラインの下方位置でそれぞれ停止するようにベルトコンベアを水平方向へ回動操作してベルトコンベアの停止位置を切り換え操作するロッドレス型の電動シリンダとを備えており、ベルトコンベアの停止位置の切り換え時に、キャリアにより搬送される印刷物の搬送速度及び印刷物の大きさに応じて電動シリンダによりベルトコンベアの停止位置を調整できる構成としたことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項2の発明は、ロッドレス型の電動シリンダが、固定側フレームにベルトコンベアの幅方向に沿う姿勢で取り付けた長尺状のハウジングと、ハウジング内にハウジングの長手方向に沿って回転自在に収納したボールネジと、ボールネジに連動連結されてボールネジを正逆回転させるサーボモータと、ボールネジにその回転を規制された状態で螺合するボールナットと、ボールナットに取り付けられてハウジングの上面に位置するスライダとを備えており、前記スライダにカムフォロアを起立姿勢で取り付け、当該カムフォロアのローラをベルトコンベアの下面側に形成したベルトコンベアの長手方向に沿うガイド溝内で転動させる構成としたことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項3の発明は、ベルトコンベアの下面側に、固定側フレーム上を転動してベルトコンベアの荷重を支える複数の支持ローラを取り付けたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の首振り型脱荷コンベアは、キャリアの隣接する二つの搬送ライン間の下方位置に下流側端部を中心にして水平方向へ回動自在に配設され、上流側端部がキャリアの隣接する二つの搬送ラインの下方位置で停止可能になっていると共に、二つの搬送ラインから脱荷された印刷物を受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアの下方位置に配設した固定側フレームに取り付けられ、ベルトコンベアの上流側端部がキャリアの隣接する二つの搬送ラインの下方位置でそれぞれ停止するようにベルトコンベアを水平方向へ回動操作してベルトコンベアの停止位置を切り換え操作するロッドレス型の電動シリンダとを備えており、ベルトコンベアの停止位置の切り換え時に、キャリアにより搬送される印刷物の搬送速度及び印刷物の大きさに応じて電動シリンダによりベルトコンベヤの停止位置を調整できる構成としているため、キャリアの各搬送ラインから脱荷された印刷物をベルトコンベアの所定の位置で受け取って搬送することができる。
即ち、本発明の請求項1に記載の首振り型脱荷コンベアは、キャリアにより搬送される印刷物の搬送速度及び印刷物の大きさに関係なく、キャリアの各搬送ラインから脱荷された印刷物をベルトコンベアの幅方向中心位置で受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送することができ、印刷物が首振り型脱荷コンベアからカウンタースタッカーへ送り込まれるときに、カウンタースタッカーの入口側に設置したサイドジョガーや潰し装置で引っ掛かると云うことがなく、カウンタースタッカーの入口側に於ける紙詰まり等のトラブルを防止することができる。
【0019】
又、本発明の請求項1に記載の首振り型脱荷コンベアは、ベルトコンベアを電動シリンダにより水平方向へ回動させているため、ベルトコンベアの停止位置の切り換え時にその停止位置を極めて正確に調整することができる。
【0020】
本発明の請求項2及び請求項3に記載の首振り型脱荷コンベアは、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
【0021】
即ち、本発明の請求項2に記載の首振り型脱荷コンベアは、ロッドレス型の電動シリンダのスライダにカムフォロアを起立姿勢で取り付け、当該カムフォロアのローラをベルトコンベアの下面側に形成したベルトコンベアの長手方向に沿うガイド溝内で転動させる構成としているため、電動シリンダによりベルトコンベアを水平方向へ回動させるときに、ベルトコンベアを円滑且つスムーズに水平方向へ回動させることができる。
【0022】
本発明の請求項3に記載の首振り型脱荷コンベアは、ベルトコンベアの下面側に、固定側フレーム上を転動してベルトコンベアの荷重を支える複数の支持ローラを取り付けているため、電動シリンダにベルトコンベアの荷重が掛かると云うことがなく、ベルトコンベアの荷重による電動シリンダの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る首振り型脱荷コンベアの一部分を破断した側面図である。
【図2】同じく首振り型脱荷コンベアの平面図である。
【図3】キャリアの要部の縦断正面図である。
【図4】キャリアの要部の側面図である。
【図5】図1のA−A矢視図である。
【図6】首振り型脱荷コンベアの要部を示し、一部分を破断した側面図である。
【図7】図6のB−B矢視図である。
【図8】電動シリンダの正面図である。
【図9】ベルトコンベアがキャリアの操作側ライン(HS側ライン)へ首を振った状態を示し、低速印刷時に於ける首振り型脱荷コンベアの平面図である。
【図10】ベルトコンベアがキャリアの操作側ライン(HS側ライン)へ首を振った状態を示し、高速印刷時に於ける首振り型脱荷コンベアの平面図である。
【図11】ベルトコンベアがキャリアの操作側ライン(HS側ライン)へ首を振った状態を示し、キャリアにより搬送する印刷物の大きさが小さい場合の低速印刷時に於ける首振り型脱荷コンベアの平面図である。
【図12】従来の首振り型脱荷コンベアを備えたキャリアの側面図である。
【図13】従来の首振り型脱荷コンベアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態に係る首振り型脱荷コンベアを示し、当該首振り型脱荷コンベアは、印刷用輪転機の折機(図示省略)から連続的に排出される新聞や雑誌等の印刷物Pをカウンタースタッカーや梱包機(何れも図示省略)等を設置している発送場へ搬送する複数の搬送ラインを備えたキャリア1の下方位置に設置されており、キャリア1により発送場へ搬送されて来た印刷物Pをキャリア1の隣接する二つの搬送ラインから受け取って一定のピッチで瓦状に積み重ねた状態でカウンタースタッカー側へ搬送するものである。
【0025】
前記キャリア1は、印刷用輪転機の折機から連続的に排出されて来る印刷物Pを載荷部で一部ずつ掴んでカウンタースタッカーや梱包機等を設置した発送場へ搬送し、脱荷部に於いて印刷物Pを脱荷させて首振り型脱荷コンベアへ引き渡すようにしたものであり、操作側ライン1′(以下、HS側ライン1′と云う)と駆動側ライン1″(以下、GS側ライン1″と云う)の二つの搬送ラインを備えている。
【0026】
又、HS側ライン1′及びGS側ライン1″は、図1、図3及び図4に示す如く、印刷物Pの搬送経路に沿って配設したガイドレール2と、ガイドレール2に沿って走行するの無端状のローラ3a付チェーン3と、ローラ3a付チェーン3をガイドレール2に沿って駆動させるモータ及び駆動スプロケット等から成るチェーン駆動手段(図示省略)と、ローラ3a付チェーン3に一定のピッチで取り付けられ、印刷物Pを一部ずつ掴む自閉式の開閉自在なグリッパー4と、首振り型脱荷コンベアの上流側端部の上方位置で且つガイドレール2に取り付けられ、グリッパー4に設けた作動用ローラ4aを押圧操作してグリッパー4を開放する脱荷機構5等から構成されている。
【0027】
更に、脱荷機構5は、図1及び図4に示す如く、ガイドレール2の近傍位置に揺動自在に支持され、グリッパー4の作動用ローラ4aに当接可能なカム板5aと、カム板5aを揺動操作する流体圧シリンダ5bとから成り、カム板5aが流体圧シリンダ5bによりグリッパー4の作動用ローラ4aに干渉する位置と干渉しない位置と亘って揺動自在となっている。
従って、この脱荷機構5によれば、カム板5aを流体圧シリンダ5bによりグリッパー4の作動用ローラ4aに干渉する位置に揺動させると、グリッパー4の作動用ローラ4aがカム板5aに当接してグリッパー4を開放し、印刷物Pを解放するようになっている。
【0028】
そして、カウンタースタッカー(図示省略)は、瓦状に積み重ねた状態で搬送されて来る印刷物Pを計数して所定部数の束を作成するものであり、従来公知のものと同様構造に構成されている。
又、カウンタースタッカーの入口側には、図1及び図2に示す如く、受け入れする印刷物Pを揃えるサイドジョガー6、搬入されて来る印刷物Pを押さえ込んで圧縮する潰し装置7、印刷物Pのカウントを行うカウンターヘッド(図示省略)等が配設されている。サイドジョガー6、潰し装置7及びカウンターヘッドは、何れも従来公知のものと同様構造に構成されており、カウンタースタッカーの入口側に設置したボックス状のフレーム8に配設されている。
【0029】
本発明の実施の形態に係る首振り型脱荷コンベアは、キャリア1のHS側ライン1′及びGS側ライン1″により発送場へ搬送されて来た印刷物Pをキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″から受け取って一定のピッチで瓦状に積み重ねた状態でカウンタースタッカー側へ搬送するものである。
【0030】
即ち、首振り型脱荷コンベアは、キャリア1のHS側ライン1′とGS側ライン1″との間の下方位置に下流側端部を中心にして水平方向へ回動自在に配設され、上流側端部がキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″の下方位置で停止可能になっていると共に、HS側ライン1′又はGS側ライン1″から脱荷された印刷物Pを受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送するベルトコンベア9と、ベルトコンベア9の下方位置に配設した固定側フレーム10(この固定側フレーム10はガイドレール2等に吊り下げ状態で支持されている)に取り付けられ、ベルトコンベア9の上流側端部がキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″の下方位置で停止するようにベルトコンベア9を水平方向へ回動操作してベルトコンベア9の停止位置を切り換え操作するロッドレス型の電動シリンダ11とを備えており、ベルトコンベア9の停止位置の切り換え時に、キャリア1により搬送される印刷物Pの搬送速度及び印刷物Pの大きさに応じて電動シリンダ11によりベルトコンベア9の停止位置を調整できる構成となっている。
【0031】
具体的には、前記ベルトコンベア9は、図1及び図2に示す如く、キャリア1のHS側ライン1′とGS側ライン1″との間の下方位置に上流側端部(図1及び図2の左側部分)が下流側端部(図1及び図2の右側部分)よりも高くなる傾斜姿勢でもって配設されており、長尺状の板材及び角パイプ等から成る傾斜姿勢のコンベアフレーム12と、コンベアフレーム12の低所側に駆動軸13及び軸受14を介して回転自在に支持された水平姿勢の駆動ローラ15と、コンベアフレーム12の高所側に従動軸16及び軸受14を介して回転自在に支持された水平姿勢の従動ローラ17と、駆動ローラ15及び従動ローラ17に巻き回されて適宜の間隔で多数の吸引穴(図示省略)を形成した無端状のベルト18と、駆動軸13に連動連結されて駆動ローラ15を回転駆動するモータ19と、コンベアフレーム12に固定され、周回している無端状のベルト17の上側部分を下面側から支持すると共に、上流側端部にベルト18の吸引穴に合致する複数の吸引穴を形成したガイド板20と、ガイド板20の上流側端部の裏面側に取り付けられ、ベルト18及びガイド板20の吸引穴に連通する内部空間を有すると共に、内部空間がブロア(図示省略)により減圧される吸引ボックス21等から構成されている。
【0032】
そして、ベルトコンベア9は、図1及び図4に示す如く、その下流側端部がフレーム8の前面側のブラケット22に設けた旋回自在な旋回台23に支持載置されており、旋回台23の鉛直姿勢の回転軸24を中心にして水平方向へ回動し、その上流側端部がキャリア1の操作側ライン1′の下方位置又は駆動側ライン1″の下方位置で停止するようになっている。
【0033】
又、ベルトコンベア9のコンベアフレーム12の中間部下面側には、ベルトコンベア9の荷重が後述する電動シリンダ11に掛からないように、固定側フレーム10上を転動してベルトコンベア9の荷重を支える複数の支持ローラ25を取り付けられている。これらの支持ローラ25は、旋回台23の回転軸24を中心にして円弧状の軌跡を描くようにコンベアフレーム12の下面に取り付けられている。
【0034】
一方、ロッドレス型の電動シリンダ11は、図6乃至図8に示す如く、固定側フレーム10にL字形のブラケット26を介してベルトコンベア9の幅方向に沿う姿勢で取り付けた長尺状のハウジング11aと、ハウジング11a内にハウジング11aの長手方向に沿って回転自在に収納したボールネジ11bと、ボールネジ11bに連動連結されてボールネジ11bを正逆回転させるサーボモータ11cと、ボールネジ11bにその回転を規制された状態で螺合されたボールナット11dと、ボールナット11dに取り付けられてハウジング11aの上面側に位置するスライダ11eとを備えており、サーボモータ11cを適宜の方向に回転駆動することによってボールネジ11bが同方向に回転し、ボールネジ11bの回転によってその回転を規制された状態で螺合しているボールナット11dが任意の方向に移動し、それに伴ってボールナット11dに取り付けたスライダ11eが同方向に所定量だけ移動するようになっている。
【0035】
又、電動シリンダ11は、ハウジング11aの上面側に位置するスライダ11eに取り付け部材27を介してカムフォロア28を起立姿勢で取り付け、当該カムフォロア28のローラ28aをベルトコンベア9の下面側に形成したベルトコンベア9の長手方向に沿うガイド溝29内で転動させる構成となっており、これによってベルトコンベア9に連動連結された状態となっている。
尚、ガイド溝29は、コンベアフレーム12の下面側に二つの厚肉板状のガイド部材30を一定の間隔を空けてベルトコンベア9の長手方向に沿う姿勢で取り付けることにより形成されている。
【0036】
従って、前記電動シリンダ11によれば、スライダ11dをハウジング11aに沿って移動させると、カムフォロア28のローラ28aがガイド部材30をベルトコンベア9の幅方向へ押しながらガイド溝29内を転動し、その結果、ベルトコンベア9をその下流側端部を中心にして水平方向へ回動させることができる。
【0037】
そして、電動シリンダ11は、ベルトコンベア9の停止位置をキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″へ切り換える際に、そのスライダ11eの停止位置をキャリア1により搬送される印刷物Pの搬送速度及び印刷物Pの大きさに応じて所定の位置で停止するように、パソコン等の制御装置(図示省略)により駆動制御されている。
即ち、電動シリンダ11は、キャリア1により搬送される印刷物Pの搬送速度及び印刷物Pの大きさに関係なく、キャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″へ切り換えられたベルトコンベア9の停止位置がキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″から脱荷された印刷物Pをベルトコンベア9の幅方向中心位置で受け取れるような位置になるように、スライダ11eの停止位置がパソコン等の制御装置(図示省略)により予め制御されている。
【0038】
尚、図1、図2及び図5に於いて、31は2ライン同時搬送の際、通過する紙列をガイドする棒、32はベルトコンベア9のガイドローラ、33はベルトコンベア9のHS位置確認用近接センサー、34はベルトコンベア9のGS位置確認用近接センサーである。
【0039】
次に、上述した首振り型脱荷コンベアを用いてキャリア1により搬送されて来た印刷物Pをキャリア1のHS側ライン1′又はGS側ライン1″から受け取ってカウンタースタッカーへ搬送する場合について説明する。
【0040】
先ず、キャリア1のHS側ライン1′から印刷物Pを受け取る場合には、電動シリンダ11よりベルトコンベア9をHS側ライン1′へ回動操作する。このときのベルトコンベア9の停止位置は、キャリア1のHS側ライン1′により搬送される印刷物Pの搬送速度及びキャリア1により搬送される印刷物Pの大きさに応じて調整されており、キャリア1のHS側ライン1′から脱荷された印刷物Pがベルトコンベア9の上流側端部の幅方向中心位置に落下するように調整されている。
【0041】
例えば、印刷用輪転機の低速印刷時には、キャリア1による印刷物Pの搬送速度が遅く、印刷物Pの脱荷ポイント(落下ポイント)がベルトコンベア9の上流側端に近い位置になっているので、電動シリンダ11によりベルトコンベア9を図9に示す位置に停止させる。
又、印刷用輪転機の高速印刷時には、キャリア1による印刷物Pの搬送速度が速く、印刷物Pの脱荷ポイント(落下ポイント)がベルトコンベア9の上流側端から少し離れた位置になっているので、電動シリンダ11によりベルトコンベア9を図10に示す位置(図9に示す位置よりHS側ライン1′へ若干首を振った位置)に停止させる。
更に、印刷用輪転機により印刷される印刷物Pが小さくて且つ印刷用輪転機の低速印刷時には、キャリア1による印刷物Pの搬送速度が遅くなっており、然も、キャリア1より搬送される印刷物Pが印刷物Pの一方の側辺を基準にして搬送されるので、電動シリンダ11によりベルトコンベア9を図11に示す位置(図10に示す位置よりHS側ライン1′へ若干首を振った位置)に停止させる。
【0042】
ベルトコンベア9がHS側ライン1′へ回動すると、HS側ライン1′に設けた脱荷機構5が作動し、印刷物Pを挾持して搬送しているグリッパー4が順次開放される。これにより、印刷物Pは、グリッパー4から解放されてベルトコンベア9上へ落下する。
【0043】
グリッパー4から解放された印刷物Pは、ベルトコンベア9のベルト18上面側が上流側から下流がヘ向かって走行していることとも相俟って、ベルトコンベア9の上流側端部の上面へ一定のピッチ(この例では、50mmのピッチ)で瓦状に積み重ねられて行く。
【0044】
このとき、ベルトコンベア9の停止位置が電動シリンダ11により最適な位置に調整されているため、グリッパー4から解放された印刷物Pは、ベルトコンベア9の上流側端部の幅方向中心位置に落下する。
又、吸引ボックス21内が減圧されているため、ベルトコンベア9の上流側端部に落下した印刷物Pは、ベルト18及びガイド板20に形成した複数の吸引穴を介してベルト18上面へ吸着され、これによって印刷物Pの跳ね上がり等が防止される。その結果、ベルトコンベア9上に於ける印刷物Pの姿勢に乱れが生じたり、瓦状に積み重ねられた印刷物P相互間のピッチにバラツキを生じたりすると云うこともない。
【0045】
ベルトコンベア9上へ瓦状に積み重ねられた印刷物Pは、そのままの状態でベルトコンベア9の下流側へ搬送されて行き、サイドジョガー6で幅方向が揃えられると共に、潰し装置7で圧縮された後、カウンタースタッカーへ導入され、ここで所定部数ごとに積層整理された後、梱包機によって自動梱包され、所定の発送ラインへ搬出されて行く。
【0046】
このとき、印刷物Pは、ベルトコンベア9の幅方向のほぼ中心位置に載せられた状態でベルトコンベア9によりカウンタースタッカー側へ搬送されているため、印刷物Pが首振り型脱荷コンベアからカウンタースタッカーへ送り込まれるときに、カウンタースタッカーの入口側に設置したサイドジョガー6や潰し装置7で引っ掛かると云うことがなく、カウンタースタッカーの入口側に於ける紙詰まり等のトラブルを確実に防止することができる。
【0047】
一方、キャリア1のGS側ライン1″から印刷物Pを受け取る場合には、HS側ライン1′に設けた脱荷機構5を非作動状態にした後、電動シリンダ11よりベルトコンベア9をGS側ライン1″へ回動操作する(図示省略)。このときのベルトコンベア9の停止位置は、キャリア1のGS側ライン1″により搬送される印刷物Pの搬送速度及びキャリア1により搬送される印刷物Pの大きさに応じて調整されており、キャリア1のGS側ライン1′から脱荷された印刷物Pがベルトコンベア9の上流側端部の幅方向中心位置に落下するように調整されている。
【0048】
このとき、ベルトコンベア9をボールネジ機構等を備えた電動シリンダ11により水平方向へ回動させているため、ベルトコンベア9の停止位置を極めて正確に調整することができる。
又、電動シリンダ11のスライダ11eに取り付けたカムフォロア28のローラ28aをベルトコンベア9の下面側に形成したベルトコンベア9の長手方向に沿うガイド溝29内で転動させているため、電動シリンダ11によりベルトコンベア9を水平方向へ回動させるときに、ベルトコンベア9を円滑且つスムーズに水平方向へ回動させることができる。
更に、ベルトコンベア9の下面側に、固定側フレーム10上を転動してベルトコンベア9の荷重を支える複数の支持ローラ26を取り付けているため、電動シリンダ11にベルトコンベア9の大きな荷重が掛かると云うことがなく、ベルトコンベア9の荷重による電動シリンダ11の破損を防止することができると共に、電動シリンダ11の推力も極端に大きくする必要もない。
【0049】
そして、ベルトコンベア9がGS側ライン1″へ回動したら、GS側ライン1″に設けた脱荷機構5が作動し、印刷物Pを挾持して搬送しているグリッパー4が順次開放される。これにより、印刷物Pは、グリッパー4から解放されてベルトコンベア9上へ落下し、ベルトコンベア9の上流側端部の上面へ一定のピッチ(この例では、50mmのピッチ)で瓦状に積み重ねられて行く。
【0050】
このとき、ベルトコンベア9の停止位置が電動シリンダ11により最適な位置に調整されているため、グリッパー4から解放された印刷物Pは、ベルトコンベア9の上流側端部の幅方向中心位置に落下する。
又、吸引ボックス21内が減圧されているため、ベルトコンベア9の上流側端部に落下した印刷物Pは、ベルト18及びガイド板20に形成した複数の吸引穴を介してベルト18上面へ吸着され、これによって印刷物Pの跳ね上がり等が防止される。その結果、ベルトコンベア9上に於ける印刷物Pの姿勢に乱れが生じたり、瓦状に積み重ねられた印刷物P相互間のピッチにバラツキを生じたりすると云うこともない。
【0051】
ベルトコンベア9上へ瓦状に積み重ねられた印刷物Pは、そのままの状態でベルトコンベア9の下流側へ搬送されて行き、サイドジョガー6で幅方向が揃えられると共に、潰し装置7で圧縮された後、カウンタースタッカーへ導入され、ここで所定部数ごとに積層整理された後、梱包機によって自動梱包され、所定の所定の発送ラインへ搬出されて行く。
【0052】
このとき、印刷物Pは、ベルトコンベア9の幅方向のほぼ中心位置に載せられた状態でベルトコンベア9によりカウンタースタッカー側へ搬送されているため、印刷物Pが首振り型脱荷コンベアからカウンタースタッカーへ送り込まれるときに、カウンタースタッカーの入口側に設置したサイドジョガー6や潰し装置7で引っ掛かると云うことがく、カウンタースタッカーの入口側に於ける紙詰まり等のトラブルを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
1はキャリア、9はベルトコンベア、10は固定側フレーム、11は電動シリンダ、11aはハウジング、11bはボールネジ、11cはサーボモータ、11dはボールナット、11eはスライダ、25は支持ローラ、28はカムフォロア、28aはカムフォロアのローラ、29はガイド溝、Pは印刷物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用輪転機から連続的に排出された印刷物(P)を一部ずつ掴んでカウンタースタッカーを設置した発送場へ搬送する複数の搬送ラインを備えたキャリア(1)の下方位置に設置され、キャリア(1)の隣接する二つの搬送ラインから脱荷された印刷物(P)をそれぞれ受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送する首振り型脱荷コンベアに於いて、前記首振り型脱荷コンベアは、キャリア(1)の隣接する二つの搬送ライン間の下方位置に下流側端部を中心にして水平方向へ回動自在に配設され、上流側端部がキャリア(1)の隣接する二つの搬送ラインの下方位置でそれぞれ停止可能になっていると共に、二つの搬送ラインから脱荷された印刷物(P)をそれぞれ受け取ってカウンタースタッカー側へ搬送するベルトコンベア(9)と、ベルトコンベア(9)の下方位置に配設した固定側フレーム(10)に取り付けられ、ベルトコンベア(9)の上流側端部がキャリア(1)の隣接する二つの搬送ラインの下方位置でそれぞれ停止するようにベルトコンベア(9)を水平方向へ回動操作してベルトコンベア(9)の停止位置を切り換え操作するロッドレス型の電動シリンダ(11)とを備えており、ベルトコンベア(9)の停止位置の切り換え時に、キャリア(1)により搬送される印刷物(P)の搬送速度及び印刷物(P)の大きさに応じて電動シリンダ(11)によりベルトコンベア(9)の停止位置を調整できる構成としたことを特徴とする首振り型脱荷コンベア。
【請求項2】
ロッドレス型の電動シリンダ(11)は、固定側フレーム(10)にベルトコンベア(9)の幅方向に沿う姿勢で取り付けた長尺状のハウジング(11a)と、ハウジング(11a)内にハウジング(11a)の長手方向に沿って回転自在に収納したボールネジ(11b)と、ボールネジ(11b)に連動連結されてボールネジ(11b)を正逆回転させるサーボモータ(11c)と、ボールネジ(11b)にその回転を規制された状態で螺合するボールナット(11d)と、ボールナット(11d)に取り付けられてハウジング(11a)の上面に位置するスライダ(11e)とを備えており、前記スライダ(11e)にカムフォロア(28)を起立姿勢で取り付け、当該カムフォロア(28)のローラ(28a)をベルトコンベア(9)の下面側に形成したベルトコンベア(9)の長手方向に沿うガイド溝(29)内で転動させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の首振り型脱荷コンベア。
【請求項3】
ベルトコンベア(9)の下面側に、固定側フレーム(10)上を転動してベルトコンベア(9)の荷重を支える複数の支持ローラ(25)を取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の首振り型脱荷コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−6194(P2011−6194A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150736(P2009−150736)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390033743)株式会社KKS (10)
【Fターム(参考)】