説明

香液組成物及びペットフード

【課題】 ペットの排泄便臭を抑制するとともに、ペットの嗜好性を向上させるペットフードを提供すること。
【解決手段】 酢酸及び蜂蜜を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香液組成物及びペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犬、猫等のペットの飼育が盛んになってきた。そうした中で、ペットの排泄便臭が問題となってきている。
【0003】
そこで、排泄便の脱臭効果が認められる製剤の飲水投与、ペットのトイレへの消臭剤の噴霧、室内への消臭剤の噴霧等が従来から行われている。このような方法では、排泄便の処理や脱臭作業に要する人為的作業負担が多くなるといった問題があった。
このような社会的背景から、ペットの食生活の主となるペットフードの改善が望まれている。
【0004】
なお、本発明は、発明者独自の着想により完成されたもので、先行技術文献として記載すべきものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、ペットフードに、酢酸を含有させると、排泄便臭が抑制されて、排泄便の処理や脱臭作業に要する人為的作業負担が軽減することを見出した。
【0006】
しかしながら、脱臭の目的で、ペットフードの製造時に、酢酸を添加したが、ペットフードに酢酸が含まれているため、製造直後から酸臭があり、特に気密性の容器等に入れて保管しておくと酸臭が強くなり、ペットフードを扱う人間やペットに不快感を与え、しかもペットによる嗜好性を低下させるという問題が発生した。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点も解決するものであり、本発明の目的は、ペットの排泄便臭を抑制するとともに、ペットの嗜好性を向上させるペットフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ペットフードに、酢酸及び蜂蜜を組み合わせて含有させることにより、ペットの排泄便臭が抑制されるとともに、ペットの嗜好性が向上することを見出した。
すなわち、本発明の香液組成物は、酢酸及び蜂蜜を含有することを特徴とする。
このように本発明の香液組成物によれば、酢酸がペットの排泄便臭を抑制する作用と、蜂蜜がペットの嗜好性を向上させ、かつ便通を整える作用とを有するので、ペットに好まれて摂取されながら、排泄便の処理や脱臭作業に要する人為的作業負担が軽減できるものを提供できる。
【0009】
また、本発明の香液組成物は、酢酸100重量部に対して蜂蜜を0.01重量部以上1000重量部以下で含有することが好ましい。
そして、本発明のペットフードは、前記香液組成物を0.01重量%以上80重量%以下で含有するものを加熱することによって、得られる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明の香液組成物によれば、酢酸がペットの排泄便臭を抑制する作用と、蜂蜜がペットの嗜好性を向上させ、かつ便通を整える作用とを有するので、ペットに好まれて摂取されながら、排泄便の処理や脱臭作業に要する人為的作業負担が軽減できるものを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の香液組成物は、酢酸100重量部に対して蜂蜜を0.01重量部以上1000重量部以下で含有することが好ましく、1.0重量部以上150重量部以下で含有することがより好ましい。
【0013】
本発明のペットフードは、固形、粒状、ペレット状、練り状等の形態であってもよく、また、ドライタイプ、セミモイストタイプ、ウエットタイプ等のタイプであってもよく、特に限定されない。
【0014】
また、本発明のペットフードにおいて、香液組成物以外のペットフード原料の種類及び配合割合等は、特に限定されず、対象とするペットの種類等に応じて、従来のペットフード原料と同様にできる。例えば、ペットフード原料の種類としては、肉類、魚介類、肉粉、肉骨粉、魚粉、穀粉類(小麦粉、コーンスターチ、大豆粉、米粉、各種澱粉類)、糟糠類(大豆粕、米ぬか、ふすま、胚芽、麦芽等)、小麦グルテン、油脂類、ビタミン類、ミネラル類、卵製品、ガム類等の増粘剤、ゲル化剤、食塩、防カビ剤(ソルビン酸等)等が挙げられる。
【0015】
本発明のペットフードは、上記香液組成物を0.01重量%以上80重量%以下で含有するものを加熱することによって、得られることが好ましく、0.1重量%以上10重量%以下で含有するものを加熱することによって、得られることがより好ましい。
【0016】
また、香液組成物の含有形態は、特に限定されず、ペットフードの内部に含有していても、ペットフードの表面部分に塗布されていても又はそれらの両方であってもよい。
【0017】
さらに、本発明のペットフードを投与する対象となるペットとしては、特に限定されず、犬、猫、猿、モルモット、マウス、ラット等が挙げられ、家庭で飼育されるほとんどのペットや研究所等で飼育される実験動物等が挙げられるが、特に犬が好ましい。
【0018】
そして、本発明のペットフードの製造装置としては、特に限定されず、ペットフードの形態及びタイプ等に応じて、従来と同様の製造装置が挙げられる。
【0019】
本発明のペットフードがセミモイストタイプのペットフードである場合は、例えば、押出し造粒機、転動造粒機等の造粒機を用いて所定の大きさの粒状体をつくり、得られた粒状体中の水分含量が少ない場合は造粒後に水を加えて調整し、それにより得られた粒状体の表面に香液組成物を噴霧し、所定の加熱を行うことにより、表面部分に被覆含有する本発明のペットフードを得ることができる。
【0020】
また、本発明のペットフードがウエットタイプのペットフードである場合は、例えば、ペットフード原料に香液組成物を所定の量で添加して、緩やかに回転する撹拌装置等を有するミキサー、転動式ミキサー等を用いる混合方法、手作業による混合方法等を採用して混合し、所定の加熱を行うことによって製造することができる。
【0021】
上記所定の加熱としては、75℃以上250℃以下で5分間以上30分間以下で行うことが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
<実施例1>
酢酸4.5gと蜂蜜3.0gとを手で混合して、香液組成物7.5gを得た。そして、水250.0gとソルビトール50.0gと香液組成物7.5gとを手で混合し、さらにマトン100.0gとよもぎ7.5gとを混合し、液状原料を得た。次に、コーンスターチ200.0gと小麦粉750.0gと米粉100.0gと炒り糖75.0gとトレハロース7.5gとソルビトール50.0gとソルビン酸2.5gとタンサン12.5gとミョウバン12.5gとを手で混合し、粉ふるいにかけて、液状原料とプロセッサーで混合した。ステンレス製の型に流し込んだ後、オーブンにより150℃で15分間加熱した。その後、網に出して、冷却し、実施例1に係るペットフードを得た。
【0024】
<比較例1>
市販のドックフード(商品名:ペディグリーチャム「ビーフアンド野菜」)を、比較例1に係るペットフードとした。
なお、比較例1に係るペットフードの原料は、ビーフ、チキン、野菜(にんじん、かぼちゃ、じゃがいも、グリーンピース、いんげん、チコリ、パプリカ、ズッキーニ)、水である。
【0025】
<比較例2>
市販のドックフード(商品名:成犬用ユーカヌバ メンテナンス小粒(小型犬種用))を、比較例2に係るペットフードとした。
【0026】
なお、比較例2に係るペットフードの原料は、鶏肉、トウモロコシ粉、粗びきグレインソルガム、鶏副産物粉、魚粉(フィッシュオイル源)、粗びきオオムギ、鶏脂(ミックストコフェロール、クエン酸にて保存)、乾燥ビートパルプ(糖質除去)、天然鶏エキス、乾燥卵、発酵用乾燥酵母、食塩、塩化カリウム、ビタミン類(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロテン、ビタミンA、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB2、イノシトール、ビタミンB6、ビタミンD3、葉酸)、ヘキサメタリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、亜麻仁、塩化コリン、ミネラル類(硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、炭酸コバルト)、DL-メチオニン、ローズマリー抽出物、水である。
【0027】
<比較例3>
市販のドックフード(商品名:旨味ソフト、製造元:アイリスオーヤマ株式会社)を、比較例3に係るペットフードとした。
なお、比較例3に係るペットフードの原料は、麦粉、鶏肉、オリゴ糖、大豆、緑黄色野菜、ビタミン類、ミネラル類、こんぶ、椎茸、にぼし、水である。
【0028】
<評価方法1>
供試犬として、室内飼育されている雄の12才のヨークシャテリア犬を用いた。そして、実施例1及び比較例1に係るペットフードを、供試犬に1日量200gで5日間給餌し、4日及び5日後の排泄便を採取した。採取した一定重量の排泄便をシャーレに分取し、円筒型の臭気放散用ガラスボンベ(材質:パイレックス(登録商標)硬質ガラス、容積:1320〜1370ml)に入れ、臭気放散用ガラスボンベを25℃で6時間保持した後の臭気放散用ガラスボンベ内に放散されたアンモニア及び硫化水素の発生量及び放散臭気量(排泄便当たりの量)を検知管で測定した。さらに、臭気放散用ガラスボンベ内の一定量をマイクロシリンジで注射器に採取し、無臭空気調整装置によって得られた空気で希釈して、二名のパネラによるASTM注射器法により臭気濃度を求めた。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
<評価方法2>
供試犬として、室内飼育されている雄の2才のミニチュアダックスフンド犬を用いた。そして、実施例1及び比較例2に係るペットフードを、供試犬に1日量200gで5日間給餌し、4日及び5日後の排泄便を採取した。採取した一定重量の排泄便をシャーレに分取し、円筒型の臭気放散用ガラスボンベ(材質:パイレックス(登録商標)硬質ガラス、容積:1320〜1370ml)に入れ、臭気放散用ガラスボンベを25℃で6時間保持した。その後、臭気放散用ガラスボンベ内の一定量をマイクロシリンジで注射器に採取し、無臭空気調整装置によって得られた空気で希釈して、二名のパネラによるASTM注射器法により臭気濃度を求めた。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
<評価方法3>
供試犬として、室内飼育されている雌の0.9才のチワワ犬を用いた。そして、実施例1及び比較例3に係るペットフードを、供試犬に1日量100gで5日間給餌し、4日及び5日後の排泄便を採取した。採取した一定重量の排泄便をシャーレに分取し、円筒型の臭気放散用ガラスボンベ(材質:パイレックス(登録商標)硬質ガラス、容積:1320〜1370ml)に入れ、臭気放散用ガラスボンベを25℃で6時間保持した。その後、臭気放散用ガラスボンベ内の一定量をマイクロシリンジで注射器に採取し、無臭空気調整装置によって得られた空気で希釈して、二名のパネラによるASTM注射器法により臭気濃度を求めた。その結果を表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
表1〜3の結果より、実施例1に係るペットフードは、比較例1〜3に係るペットフードと比較して、少ない希釈倍率で排泄便臭を呈しなくなった。特に表1の結果より、実施例1に係るペットフードは、比較例1に係るペットフードと比較して、アンモニアの放散臭気量を減少させた。
さらに、実施例1に係るペットフードは、ペットに好まれて摂取された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸及び蜂蜜を含有することを特徴とする香液組成物。
【請求項2】
酢酸100重量部に対して蜂蜜を0.01重量部以上1000重量部以下で含有する請求項1に記載の香液組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の香液組成物を0.01重量%以上80重量%以下で含有するものを加熱することによって、得られるペットフード。