説明

駆動装置

【課題】振動型アクチュエータの能力を落とすことなく、形状誤差及び取付誤差を吸収可能とする。
【解決手段】駆動装置1は、シャフト10と、シャフト10に沿って変位可能な状態でシャフト10に支持された移動体11と、移動体11を駆動する超音波アクチュエータ2と、超音波アクチュエータ2を支持する支持体8とを備えている。超音波アクチュエータ2は、移動体11に当接すると共に振動することにより移動体11に駆動力を出力するアクチュエータ本体4と、移動体11に当接すると共に移動体11を挟んでアクチュエータ本体4と対向する位置に位置するローラ6と、アクチュエータ本体4とローラ6とを連結すると共にアクチュエータ本体4とローラ6とを移動体11を挟み込むように付勢する連結部材7とを有している。支持体8は、超音波アクチュエータ2を、連結部材7の付勢方向に沿って変位可能な状態で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、振動型アクチュエータと振動型アクチュエータを支持する支持体を備えた駆動装置又はシャフトに支持された移動体を振動型アクチュエータで駆動する駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動型アクチュエータを用いた駆動装置は、従来より知られている。例えば、特許文献1に係る駆動装置は、圧電素子で構成された振動型アクチュエータを振動させることによって駆動力を出力している。詳しくは、特許文献1に係る駆動装置は、駆動子が設けられた振動型アクチュエータを2つ備え、2つの振動型アクチュエータの駆動子でシャフトを挟持している。この状態で振動型アクチュエータを振動させると、振動型アクチュエータの振動に伴って駆動子が変位し、シャフトがその軸方向へ駆動される。
【0003】
このシャフトは、その先端部がレンズ装置のレンズ枠に連結されている。詳しくは、シャフトの先端には、シャフトから径方向に延びるピンが設けられている。一方、レンズ枠には、該シャフトと平行に延びる長孔が設けられている。そして、シャフト先端のピンがレンズ枠の長孔に嵌っている。長孔内に嵌ったピンは、板バネにより長孔の長手方向一端部へ押圧されて、実質的に固定されている。これにより、シャフトの軸方向への変位をレンズ枠に伝達可能に構成されている。尚、長孔の幅は、ピンの外径よりも少し大きくなっている。つまり、ピンは、長孔の幅方向に変位可能となっており、ピンの、長孔の幅方向への変位を吸収して、レンズ枠に伝えないようにしている。
【0004】
また、シャフトに支持された移動体を振動型アクチュエータで駆動する駆動装置は、従来より知られている。例えば、特許文献2に係る駆動装置は、方形の枠体として形成された移動体と、該移動体の一辺と平行に延びて該移動体を支持するシャフトと、該移動体をシャフトに沿って駆動する振動型アクチュエータとを備えている。移動体には2つの貫通孔が形成されると共にこれらの貫通孔に軸受が設けられ、これら軸受にシャフトが挿通されている。振動型アクチュエータは、枠体状の移動体の内側に配設された振動子を有している。この振動子は、移動体へ付勢され該移動体に当接している。この状態で振動子を振動させることによって、移動体をシャフトに沿って移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−067712号公報
【特許文献2】特開2008−148425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、どのような構造物にも形状誤差や取付誤差等が含まれており、これらの誤差への対策が種々取られている。特許文献1に係る駆動装置においては、ピンと長孔との間に隙間を設け、この隙間で形状誤差や取付誤差を吸収している。しかしながら、かかる駆動装置においては、振動型アクチュエータとレンズ枠との間にシャフトやピンといった複数の部材が介在するため、駆動力の損失が大きく、また、レスポンスが悪いという問題がある。さらには、駆動力の伝達経路中のピンと長孔との間に誤差を吸収するための隙間を設けているため、駆動力の損失やレスポンスはさらに悪化してしまう。
【0007】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、振動型アクチュエータの能力を落とすことなく、形状誤差及び取付誤差を吸収可能とすることにある。
【0008】
また、振動型アクチュエータにおいては、摩擦を介して駆動力を移動体へ伝達する。つまり、駆動力を移動体へ効率良く伝えるためには、前記振動子を移動体へ付勢する必要がある。しかし、その付勢力が大きくなると、移動体を変形させてしまう虞がある。通常は、シャフトは、円滑に摺動する状態で軸受部に挿通されている。しかし、付勢力の影響によって軸受部が変形してしまうと、シャフトとの間の摩擦抵抗が増大してしまう。その結果、移動体の円滑な駆動を妨げてしまう。
【0009】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その第2の目的は、軸受部の変形による摩擦抵抗の増大を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の目的を達成するための駆動装置は、シャフトと、前記シャフトに沿って変位可能な状態で該シャフトに支持された移動体と、前記移動体を駆動する振動型アクチュエータと、前記振動型アクチュエータを支持する支持体とを備えている。そして、前記振動型アクチュエータは、前記移動体に当接すると共に振動することにより該移動体に駆動力を出力するアクチュエータ本体と、該移動体に当接すると共に該移動体を挟んで該アクチュエータ本体と対向する位置に位置する対向部材と、該アクチュエータ本体と該対向部材とを連結すると共に該アクチュエータ本体と該対向部材とを該移動体を挟み込むように付勢する連結部材とを有し、前記支持体は、前記振動型アクチュエータを、前記連結部材の付勢方向に沿って変位可能な状態で支持するものとする。
【0011】
また、第2の目的を達成するための駆動装置は、シャフトと、前記シャフトに沿って変位可能な状態で該シャフトに支持された移動体と、前記移動体に当接するように付勢されると共に振動することにより該移動体に駆動力を出力するアクチュエータ本体を有する振動型アクチュエータとを備えている。そして、前記移動体は、貫通孔が形成された移動体本体と、該貫通孔の少なくとも端部に設けられると共に前記シャフトが挿通される軸受部とを有し、前記軸受部は、前記移動体本体よりも弾性係数が大きいものとする。
【発明の効果】
【0012】
前記第1の目的を達成するための駆動装置によれば、アクチュエータ本体を移動体に直接当接させると共に、アクチュエータ本体と対向部材とで移動体を押圧した状態で挟み込むことによって、アクチュエータ本体からの駆動力を移動体へ効率良く伝達することができる。それに加えて、アクチュエータ本体を支持体により付勢方向に変位可能に支持することによって、形状誤差及び取付誤差に起因する該付勢方向への位置ずれを吸収することができる。その結果、アクチュエータ本体及び対向部材の押圧力がシャフトに偏って作用することを防止することができ、このことによっても、アクチュエータ本体の駆動力を移動体へ効率良く伝達することができる。
【0013】
前記第2の目的を達成するための駆動装置によれば、軸受部の変形を抑制することができ、ひいては、シャフトと軸受部との間の摩擦抵抗が増大することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【図2】駆動装置の、図1とは別の角度から見た斜視図である。
【図3】駆動装置の分解斜視図である。
【図4】圧電素子ユニットの分解斜視図である。
【図5】アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
【図6】アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
【図7】アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
【図8】アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
【図9】超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(A)は駆動前の状態を、(B)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態を、(C)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
【図10】移動体の端部の拡大斜視図であって、(A)は軸受部の方が移動体本体よりも弾性係数が大きい場合で、(B)は軸受部の方が移動体本体よりも弾性係数が小さい場合である。
【図11】その他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
《発明の実施形態》
図1は、実施形態に係る駆動装置の斜視図を、図2は、駆動装置を図1とは別の角度から観た斜視図を、図3は、駆動装置の分解斜視図を示す。実施形態に係る駆動装置1は、図1〜3に示すように、基台(図示省略)に固定されたシャフト10と、該シャフト10に摺動自在に設けられた移動体11と、該移動体11を駆動する超音波アクチュエータ2と、該基台に対して固定されると共に該超音波アクチュエータ2を基台に対して支持する支持体8と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。
【0017】
移動体11は、四角柱状であって、その軸方向に貫通孔11b(図10にのみ図示)が貫通形成された移動体本体11aと、貫通孔11bの両端部に設けられた軸受部15(図1〜3では、それぞれ1つだけ図示)と、後述するアクチュエータ本体4が当接する第1摺動板13と、後述するローラ6が当接する第2摺動板14とを有している。軸受部15は、貫通孔11bに圧入又は接着固定されている。この軸受部15に、シャフト10が挿通される。こうして、移動体11は、シャフト10の軸方向(図中のX軸方向)に沿って摺動可能に構成されている。このシャフト10の延びる方向が移動体11の可動方向となる。この移動体11は、詳しくは後述するが、超音波アクチュエータ2が発生する駆動力を受けて、シャフト10に沿って移動する。
【0018】
ここで、移動体本体11aは、ガラス繊維を含有するポリカーボネートで構成されている。一般的なガラス繊維を含有するポリカーボネートのヤング率は、3.4〜8.8GPaである。また、軸受部15は、金属で構成され、そのヤング率は54GPaである。すなわち、軸受部15は、移動体本体11aよりもヤング率、即ち、弾性係数が大きい。
【0019】
第1摺動板13は、アルミナで構成され、移動体本体11aの4つの側面のうちの一の側面(図1〜3では下面)に接着固定されている。また、第2摺動板14は、アルミナで構成され、移動体本体11aの4つの側面のうち、第1摺動板13が設けられた側面と対向する側面に接着固定されている。これら第1及び第2摺動板13,14の弾性係数は、移動体本体11aの弾性係数よりも大きい。アルミナのヤング率は、概ね250〜400GPaである。この第1摺動板13が第1摺動部材を、第2摺動板14が第2摺動部材を構成する。尚、第1摺動板13の弾性係数と第2摺動板14の弾性係数とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、第1及び第2摺動板13,14の材質も前述の材質に限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。
【0020】
以下に、超音波アクチュエータ2の構成について説明する。超音波アクチュエータ2は、移動体11に当接するように付勢されると共に振動することにより移動体11に駆動力を出力するアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4を保持するホルダ5と、アクチュエータ本体4と共に移動体11を挟持するローラ6と、アクチュエータ本体4とローラ6とを弾性的に連結する連結部材7とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する。
【0021】
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されている。アクチュエータ本体4は、略長方形状の相対向する一対の主面40a(図3では1つだけ図示)と、この主面40aと直交して該主面40aの長手方向に延びる、相対向する一対の長辺側面40c(図3では1つだけ図示)と、これら主面40a及び長辺側面40cの両方と直交して該主面40aの短手方向に延びる、相対向する一対の短辺側面40e(図3では1つだけ図示)とを有する略直方体状をしている。アクチュエータ本体4には、該アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11に伝達する駆動子3,3が設けられている。
【0022】
図4に、アクチュエータ本体4の分解斜視図を示す。アクチュエータ本体4は、図4に示すように、圧電体層(圧電素子)41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを含んでいる。これら第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを1セットとして、複数セットの内部電極層42,44,43,44が圧電体層41を介在させた状態で繰り返し積層されている。尚、積層方向の両端には、圧電体層41,41が位置するようになっている。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
【0023】
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。圧電体層41は、前記アクチュエータ本体4と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41のそれぞれの長辺側面には、長手方向両端部に第1及び第2外部電極46,47が形成され、該第1及び第2外部電極46,47よりも長手方向内側には2つの共通外部電極48,48が形成されている。すなわち、圧電体層41の各長辺側面には、第1外部電極46、共通外部電極48、共通外部電極48、第2外部電極47が、長手方向に沿ってこの順で、互いに間隔を空けて並んでいる。
【0024】
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44のそれぞれの長辺部からは、圧電体層41の長辺側面に形成された共通外部電極48,48まで延びる引出電極44a,44aが形成されている。
【0025】
前記第1及び第2給電電極層42,43は、図5に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bとを有する。これら第1電極42a,42b及び第2電極43a,43bは、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第1外部電極46,46まで延びる引出電極42d,42dが形成されている。第2電極43a,43bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第2外部電極47,47まで延びる引出電極43d,43dが形成されている。そして、第1給電電極層42においては、第1電極42a,42bが第1導通電極42cを介して導通している。また、第2給電電極層43においては、第2電極43a,43bが第2導通電極43cを介して導通している。
【0026】
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成されたアクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の共通外部電極48,48がそれぞれ積層方向に並んで一まとまりに形成されている。この外部電極48には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。こうして、異なる圧電体層41,41,…に設けられた共通電極層44,44,…は、共通外部電極48,48を介して互いに導通している。
【0027】
同様に、アクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の第1外部電極46が積層方向に並んで一まとまりに形成されていると共に、各圧電体層41の第2外部電極47が積層方向に並んで一まとまりに形成されている。第1外部電極46,46には、前記第1電極42a,42bからの引出電極42d,42dが電気的に接続されている。また、第2外部電極47,47には、前記第2電極43a,43bからの引出電極43d,43dが電気的に接続されている。こうして、第1電極42a,42bは、第1導通電極42c及び第1外部電極46,46を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第1電極42a,42bと互いに導通している。また、第2電極43a,43bは、第2導通電極43c及び第2外部電極47,47を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第2電極43a,43bと互いに導通している。これら外部電極46,47,48には、制御装置からの信号線が接続される。アクチュエータ本体4は、外部電極46,47,48を介して給電される。
【0028】
そして、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40cには、2個の駆動子3,3が設けられている。
【0029】
これら駆動子3,3は、断面半円形の柱状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。駆動子3,3は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように配設されている。駆動子3,3は、設置面40cに対して接着剤を介して面接触状に取り付けられている。
【0030】
また、駆動子3,3が設けられた位置は、設置面40cにおいて、アクチュエータ本体4の長手方向両端部から該設置面40cの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、アクチュエータ本体4の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
【0031】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極48をグランドに接続し、前記第1及び第2外部電極46,47に所定周波数の交流電圧を位相が90°ずれた状態で印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への伸縮振動(いわゆる、縦振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
【0032】
伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、アクチュエータ本体4の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、伸縮振動の1次モード(図6参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図7参照)の共振周波数とが一致するようにアクチュエータ本体4の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、伸縮振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(A)、(B)、(C)、(D)に示す形状の変化を順番に起こす。
【0033】
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子3が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面(図7における紙面と平行な面)、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(さらに換言すれば、伸縮振動の振動方向と屈曲振動の振動方向とを含む平面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
【0034】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、駆動子3,3が移動体11の第1摺動板13に当接する状態で配設される。
【0035】
ホルダ5は、ポリカーボネート(ガラス繊維入り)で構成された、四角柱状の部材である。ホルダ5は、アクチュエータ本体4の駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面に設けられている。ホルダ5は、アクチュエータ本体4の長手方向中央において厚み方向(即ち、積層方向)に延びるようにして、該長辺側面に取り付けられている。ホルダ5の両端部は、アクチュエータ本体4の両主面から厚み方向に突き出ている。
【0036】
ローラ6は、ローラ本体61と、ローラシャフト62とを有している。ローラ本体61は、ボールベアリングを介してローラシャフト62に回転自在に取り付けられている。このローラ6が、対向部材を構成する。このローラ6は、移動体11に当接すると共に該移動体11を挟んでアクチュエータ本体4と対向する位置に位置する。
【0037】
連結部材7は、連結部材本体70と、該連結部材本体70に取り付けられてローラ6を移動体11に押圧するための押圧板74と、該連結部材本体70に取り付けられてアクチュエータ本体4を移動体11に押圧するための板バネ75とを有している。連結部材7は、アクチュエータ本体4とローラ6とを連結すると共に該アクチュエータ本体4とローラ6とを移動体11を挟み込むように付勢している。
【0038】
連結部材本体70は、アクチュエータ本体4の短手方向に互いに平行に延びる第1連結部71及び第2連結部72と、アクチュエータ本体4の長手方向に延びて該第1及び第2連結部71,72を連結する第3連結部73とを有している。
【0039】
第1連結部71は、アクチュエータ本体4の短手方向へ平坦に延びる本体部71aと、該本体部71aの両端部から本体部71aに対して略垂直に屈曲する取付部71b,71bとを有している。第2連結部72は、第1連結部71と同様の形状をしており、本体部72aと、取付部72b,72bとを有している。取付部71b,72bには、それぞれネジ孔71c,72c(図3にのみ図示)が貫通形成されている。第1連結部71の一方の取付部71b及び第2連結部72の一方の取付部72bは、移動体11の第2摺動板14と対向し、第1連結部71の他方の取付部71b及び第2連結部72の他方の取付部72bは、移動体11の第1摺動板13と対向する。第3連結部73は、第1連結部71の本体部71aと、第2連結部72の本体部72aとを連結している。第3連結部73は、第1連結部71の本体部71aや第2連結部72の本体部72aと同一平面上を延びるのではなく、本体部71a及び本体部72aよりも取付部71b,72bとは反対側に浮き上がっている。これら第1〜第3連結部71〜73は、平板を屈曲させて一体に形成されており、全体としてH字状に形成されている。
【0040】
押圧板74は、略長方形状の平板で構成されている。押圧板74は、その長手方向中央に長方形の貫通孔74aが、長手方向両端部に円形の挿通孔74b,74b(図3にのみ図示)が貫通形成されている。押圧板74は、第1及び第2連結部71,72の、第2摺動板14と対向する側の取付部71b,72bにネジ締結される。詳しくは、押圧板74の挿通孔74b,74bに挿通されたネジ76,76がそれぞれ、取付部71bのネジ孔71c及び取付部72bのネジ孔72cに締結されることによって、押圧板74が第1及び第2連結部71,72に取り付けられる。尚、押圧板74は、第1及び第2連結部71,72と一体に構成してもよい。
【0041】
このとき、押圧板74と移動体11とでローラ6を挟持している。詳しくは、ローラ本体61は、押圧板74の貫通孔74a内に位置し、該貫通孔74aから突出している。このとき、ローラ6のローラシャフト62は、押圧板74と接触しており、押圧板74により移動体11側へ押圧されている。その結果、ローラ本体61が移動体11の第2摺動板14に押し付けられる。尚、押圧板74の長辺における、長手方向中央には、その短手方向に突出する突起部74c,74cが設けられている。
【0042】
板バネ75は、板金を折り曲げて構成されている。詳しくは、板バネ75は、アクチュエータ本体4の長辺側面と平行な底板部75aと、底板部75aの両端部から立設され、アクチュエータ本体4の短辺側面と平行な縦板部75b,75bと、縦板部75b,75bの先端から外側へ底板部75aと平行に延びるフランジ部75c,75cとを有している。板バネ75は、アクチュエータ本体4の、ホルダ5が設けられた長辺側面及び2つの短辺側面を外側から覆うように、全体として凹形状をしている。各フランジ部75cには、後述するネジを挿通させる挿通孔75dが貫通形成されている。
【0043】
この板バネ75は、第1及び第2連結部71,72の、第1摺動板13と対向する側の取付部71b,72bにネジ締結される。詳しくは、板バネ75の挿通孔75d,75dに挿通された段付ネジ77,77がそれぞれ、取付部71bのネジ孔71c及び取付部72bのネジ孔72cに締結されることによって、板バネ75が第1及び第2連結部71,72に取り付けられる。このとき、段付ネジ77には、コイルバネ78が外嵌されている。このコイルバネ78は、段付ネジ77の頭と板バネ75とに挟持されて圧縮変形している。こうして連結部材7に取り付けられる板バネ75は、移動体11との間にアクチュエータ本体4を収容し、移動体11との間で該アクチュエータ本体4を挟持している。詳しくは、板バネ75の底板部75aがアクチュエータ本体4に設けられたホルダ5と当接している。その結果、圧縮変形したコイルバネ78の弾性力が板バネ75及びホルダ5を介してアクチュエータ本体4を移動体11側へ付勢する。その結果、アクチュエータ本体4は、移動体11の第1摺動板13を押圧する。すなわち、これら板バネ75、段付ネジ77及びコイルバネ78が付勢部として機能する。
【0044】
それに加えて、コイルバネ78の弾性力は、段付ネジ77を介して連結部材7にも伝達し、さらに連結部材7及び押圧板74を介してローラ6に伝達する。つまり、コイルバネ78の弾性力は、ローラ6を移動体11側へ付勢する。その結果、ローラ6は、移動体11の第2摺動板14を押圧する。
【0045】
このように、超音波アクチュエータ2では、連結部材7によって連結されたアクチュエータ本体4とローラ6とが移動体11を挟持した状態で該移動体11を押圧している。こうして、アクチュエータ本体4の駆動子3,3と移動体11との間には、コイルバネ78の弾性力に応じた摩擦力が生じている。その結果、駆動子3,3から出力される駆動力を移動体11に効率良く伝達することができる。そして、このように駆動子3,3を移動体11に押圧する構成であっても、移動体11は駆動子3,3と反対側から駆動子3,3の押圧力と同様の押圧力でローラ6により押圧されているため、移動体11に作用する押圧力は相殺される。その結果、シャフト10に、偏った不要な力が作用することを防止することができ、移動体11を円滑に移動させることができる。
【0046】
次に、支持体8の構成について説明する。支持体8は、アクチュエータ本体4を支持する第1及び第2支持板81,82と、第1及び第2支持板81,82が取り付けられると共に基台に固定されるベース部材83とを有している。
【0047】
ベース部材83は、ブロック状の部材であって、基台にネジ締結される。また、ベース部材83には、第1及び第2支持板81,82を取り付けるためのネジ孔83a,83a(図3に2つだけ図示)が形成されている。
【0048】
第1支持板81は、屈曲した板状の部材で構成されている。第1支持板81は、方形の基端部84と、基端部84から延びる延設部85と、延設部85の先端部に対向して設けられた対向ガイド部86と、該延設部85と対向ガイド部86とを連結する連結部87とを有している。
【0049】
また、基端部84の中央には、開口部84aが厚み方向に貫通形成されている。この開口部84aに、ホルダ5を支持するためのガイド部材88(図3では1つだけ図示)が設けられる。ガイド部材88は、基端部84に接着固定されている。ガイド部材88には、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する方向(即ち、アクチュエータ本体4の短手方向であって、図中のY軸方向)に延びる長孔状のガイド孔88aが貫通形成されている。ガイド孔88aは、ホルダ5の幅よりも少し余裕のある幅を有している。ガイド孔88aには、ホルダ5の、アクチュエータ本体4の厚み方向に突出する端部が挿入される。ホルダ5の端部は、ガイド孔88a内をガイド孔88aの延伸方向に摺動することができる。ガイド部材88は、基端部84よりも弾性率が小さく、又硬度が小さい材料で構成されている。また、ガイド部材88は、ホルダ5よりも軟質で、しかも樹脂などに対して摺動性に優れる材料で構成されている。例えば、ガイド部材88は、ポリアセタールで構成されている。尚、ホルダ5の突出量によっては、ガイド孔88aはガイド部材88を貫通せず、有底状であってもよい。また、基端部84の四隅のうち、延設部85が設けられた辺と反対側の辺の両端に位置する2つの隅部にはそれぞれ、挿通孔84bが貫通形成されている。これら挿通孔84b,84bにネジ84c,84cを挿通し、該ネジ84c,84cをベース部材83のネジ孔83a,83aに締結することによって、第1支持板81がベース部材83に取り付けられる。
【0050】
延設部85は、基端部84の一辺から、ガイド孔88aの延設方向と同じ方向に延びている。延設部85の先端には、ガイド溝85aとなる切り込みが形成されている。すなわち、延設部85の先端は、二股状に形成されている。このガイド溝85aの延びる方向と基端部84のガイド孔88aの延びる方向とは一致している。すなわち、ガイド溝85aとガイド孔88aとは、一直線上に配置されている。
【0051】
対向ガイド部86は、延設部85の先端部と同様に、ガイド溝86aとなる切り込みが形成され、二股状に形成されている。この対向ガイド部86は、延設部85の先端部と対向する状態で、連結部87を介して該先端部に連結されている。
【0052】
ガイド溝85a,86aは、ローラ6のローラシャフト62の外径よりも少し余裕のある幅を有しており、ローラシャフト62が嵌るように構成されている。また、ガイド溝85a,86aには、ローラシャフト62に加えて、押圧板74の突起部74c,74cが嵌るように構成されている。
【0053】
また、第2支持板82は、略長方形状の平板状の部材で構成されている。第2支持板82の略中央には、開口部82aが厚み方向に貫通形成されている。この開口部82aに、ホルダ5を支持するためのガイド部材(図示省略)が設けられる。このガイド部材は、第1支持板81のガイド部材88と同じ構成をしている。すなわち、ガイド部材には、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する方向に延びる長孔状のガイド孔が貫通形成されている。このガイド孔には、ホルダ5の、アクチュエータ本体4の厚み方向に突出する端部が挿入される。ホルダ5の端部は、ガイド孔内をガイド孔の延伸方向に摺動することができる。アクチュエータ本体4の短手方向に延びる略長方形のガイド孔が貫通形成されている。ガイド孔は、ホルダ5の幅よりも少し余裕のある幅を有しており、ホルダ5が嵌るように構成されている。また、第2支持板82の四隅のうち、一方の長辺の両端に位置する2つの隅部にはそれぞれ、挿通孔82b,82bが貫通形成されている。これら挿通孔82b,82bにネジ82c,82cを挿通し、該ネジ82c,82cをベース部材83のネジ孔83a,83aに締結することによって、第2支持板82がベース部材83に取り付けられる。第2支持板82をベース部材83に取り付けたとき、開口部82aに設けられたガイド部材のガイド孔は、第1支持板81の対向ガイド部86のガイド溝86aと一直線上に配置される。
【0054】
このように、支持体8は、超音波アクチュエータ2のホルダ5を第1及び第2支持板81,82のガイド孔88aで支持すると共に、超音波アクチュエータ2のローラシャフト62を第1支持板81のガイド溝85a,86aで支持する。これら第1及び第2支持板81,82がガイド部を、ガイド孔88aが長孔を、ガイド溝85a,86aが溝を構成し、ホルダ5及びローラシャフト62が係合部を構成する。
【0055】
ここで、ホルダ5が嵌るガイド孔88aと、ローラシャフト62が嵌るガイド溝85a,86aとは、アクチュエータ本体4の厚み方向を向かって見たときに一直線上に配置されているため、ローラ6と移動体11との当接部分は、シャフト10の軸方向において、2つの駆動子3,3と移動体11との当接部の中間地点と一致している。すなわち、ローラ6及びアクチュエータ本体4で移動体11を挟み込む押圧力は、ローラ6と移動体11との当接部分を通り且つローラ6及びアクチュエータ本体4で挟み込む方向(即ち、アクチュエータ本体4の短手方向)に延びる直線に対して線対称に作用する。
【0056】
このように構成された駆動装置1の動作は、制御装置によって制御される。詳しくは、制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で第1及び第2外部電極46,47に印加する。こうして、制御装置は、アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子3,3を図8に示すように周回運動させる。このとき、駆動子3,3は、連結部材7により移動体11に付勢されており、駆動子3,3と移動体11との間には十分な摩擦力が作用している。その結果、摩擦力を介して、移動体11がシャフト10に沿って駆動される。尚、移動体11の第2摺動板14にはローラ6が駆動子3,3の摩擦力と同等の摩擦力で当接しているが、ローラ本体61はボールベアリングを介して回転するため、ローラ6が移動体11の移動を妨げることはない。
【0057】
尚、制御装置は、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の伸縮振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧を第1及び第2外部電極46,47に印加する。このとき、かかる交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で第1及び第2外部電極46,47に印加される。
【0058】
移動体11の駆動について、さらに詳しく説明する。駆動子3,3が略楕円運動を行うと、駆動子3,3と移動体11の第1摺動板13との間の摩擦力の増減が周期的に繰り返される。このとき、アクチュエータ本体4の長手方向への駆動力が摩擦力を介して移動体11に伝達され、移動体11はシャフト10に沿って移動する。このアクチュエータ本体4の長手方向(シャフト10が延びる方向と一致する)が、駆動子3,3が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。尚、アクチュエータ本体4には、駆動力とは長手方向反対向きの反力が移動体11から作用する。しかし、アクチュエータ本体4に取り付けられたホルダ5がガイド孔88aに係合しているため、該反力は第1及び第2支持板81,82で受け止められる。そのため、アクチュエータ本体4は、駆動力を移動体11へ適切に出力することができる。
【0059】
さらに詳しくは、アクチュエータ本体4が長手方向(伸縮振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図9の左側)の駆動子3は、図9Bに示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該一方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。このとき、他方(図9の右側)の駆動子3は、該長手方向において一方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0060】
一方、アクチュエータ本体4が長手方向に収縮するときは、他方(図9の右側)の駆動子3は、図9Cに示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該他方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、アクチュエータ本体4の伸張時における一方の駆動子3による移動体11の移動方向と同じである。このとき、一方(図9の左側)の駆動子3は、該長手方向において他方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0061】
尚、図9においては、移動体11の移動に影響を与えない方の駆動子3は移動体11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子3は、移動体11を移動させない程度の摩擦力で該移動体11に当接している状態であってもよい。
【0062】
こうして、一方の駆動子3と他方の駆動子3とは、位相が180°ずれた状態で交互に移動体11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を、その位相を−90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47に印加することによって、駆動子3,3が出力する駆動力を逆向きにすることができ、移動体11を他方向へ移動させることができる。
【0063】
続いて、駆動装置1の組み立てについて説明する。
【0064】
まず、押圧板74を連結部材本体70にネジ76,76で取り付ける。また、ローラ6のローラシャフト62を、第1支持板81のガイド溝85a,86aに嵌め込む。ガイド溝85a,86aの幅がローラシャフト62の外径に対してわずかに広いため、ローラシャフト62は、ガイド溝85a,86aの延びる方向へ自由に動くことができる。次に、第1支持板81をベース部材83にネジ84c,84cで固定する。そして、これら連結部材本体70及び第1支持板81を、最終的な組立時の位置関係となるように治具に固定する。このとき、押圧板74の突起部74c,74cを第1支持板81のガイド溝85a,86aに嵌め込んで、該押圧板74を連結部材本体70にネジ76,76で固定する。
【0065】
続いて、アクチュエータ本体4に固定されているホルダ5の一端部を第1支持板81のガイド孔88aに挿入する。このとき、駆動子3,3がローラ6側を向くように、アクチュエータ本体4を配置する。そして、アクチュエータ本体4のホルダ5が設けられている側に板バネ75を配置する。その後、ホルダ5の他端部を第2支持板82のガイド孔に挿入し、該第2支持板82をネジ82c,82cを介してベース部材83に固定する。
【0066】
次に、移動体11を、第2摺動板14が駆動子3,3と対向するようにして、アクチュエータ本体4とローラ6との間に配置する。そして、コイルバネ78を外嵌した段付ネジ77を介して、板バネ75を連結部材本体70に取り付ける。このとき、コイルバネ78を圧縮変形させる。コイルバネ78の弾性力は、板バネ75を介してアクチュエータ本体4に伝達される。その結果、アクチュエータ本体4は、移動体11に向かって付勢(押圧)される。このコイルバネ78の弾性力は、アクチュエータ本体4に作用するだけでなく、反力として、連結部材本体70にも作用する。コイルバネ78の反力は、連結部材本体70を介してローラ6を移動体11に向かって付勢(押圧)する。その結果、アクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を挟み込んだ状態で、その挟み込む方向(即ち、アクチュエータ本体4とローラ6とが互いに接近する方向)へ該移動体11を押圧する。かかる構成により、アクチュエータ本体4と移動体11との間の摩擦力を十分に確保することができ、アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11に効率良く伝えることができる。尚、アクチュエータ本体4及びローラ6の付勢力、即ち、アクチュエータ本体4と移動体11との間の摩擦力は、コイルバネ78の圧縮量によって調整することができる。
【0067】
このように構成された超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4及びローラ6を移動体11へ付勢する付勢方向(即ち、移動体11をアクチュエータ本体4とローラ6とで挟み込む方向であって、図中のY軸方向)に変位可能な状態で支持体8に支持されている。詳しくは、アクチュエータ本体4に取り付けられたホルダ5は、ガイド孔88a内を前記付勢方向に移動可能となっていると共に、ローラ6のローラシャフト62は、ガイド溝85a,86a内を前記付勢方向に移動可能となっている。そのため、シャフト10、移動体11、超音波アクチュエータ2及び支持体8の形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が付勢方向へずれた場合であっても、超音波アクチュエータ2が該付勢方向へ変位して該位置ずれを吸収することができる。
【0068】
仮に、超音波アクチュエータ2が該付勢方向へ変位できないとすると、超音波アクチュエータ2と移動体11との間に該付勢方向への位置ずれが生じた場合には、アクチュエータ本体4から移動体11へ作用する押圧力と、ローラ6から移動体11へ作用する押圧力とが不均衡となる。その結果、シャフト10に不要な力が作用して、移動体11のシャフト10に対する摺動性を悪化させてしまうため、移動体11を効率良く駆動することができない。
【0069】
それに対して、本実施形態では超音波アクチュエータ2が該付勢方向へ変位できるため、超音波アクチュエータ2と移動体11との間に該付勢方向への位置ずれが生じた場合には、アクチュエータ本体4が移動体11を押圧する力と、ローラ6が移動体11を押圧する力が等しくなるように、超音波アクチュエータ2が該付勢方向に移動する。つまり、超音波アクチュエータ2の該付勢方向への位置が自動的に調整され、アクチュエータ本体4が移動体11を押圧する力と、ローラ6が移動体11を押圧する力とのバランスがとられる。その結果、シャフト10に不要な力を作用させることなく、アクチュエータ本体4を移動体11へ押圧することができるため、アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11へ効率良く伝達することができる。
【0070】
また、第1及び第2支持板81,82のガイド孔88aは、アクチュエータ本体4を付勢方向へ案内する機能だけでなく、アクチュエータ本体4の、シャフト10の軸方向(即ち、アクチュエータ本体4の長手方向)への変位を規制する機能を有する。つまり、アクチュエータ本体4は、移動体11へシャフト10の軸方向に沿った駆動力を出力する一方で、該移動体11からシャフト10の軸方向に沿った反対向きの反力を受ける。つまり、アクチュエータ本体4は、シャフト10の軸方向に沿って、移動体11とは反対向きに変位しようとする。それに対して、ホルダ5が第1及び第2支持板81,82のガイド孔88aに嵌っているため、アクチュエータ本体4のシャフト10の軸方向への変位が規制される。その結果、アクチュエータ本体4から出力される駆動力を移動体11へ適切に伝達することができる。
【0071】
さらに、ホルダ5は、第1支持板81のガイド孔88a及び第2支持板82のガイド孔に対して、シャフト10の軸方向及び連結部材7の付勢方向に直交する方向(即ち、アクチュエータ本体4の厚み方向であって、図中のZ軸方向。以下、「直交方向」という。)に変位可能に嵌っている。また、ローラシャフト62は、第1支持板81のガイド溝85a,86aに対して前記直交方向に変位可能に嵌っている。つまり、超音波アクチュエータ2は、前記直交方向に変位可能な状態で支持体8に支持されている。そのため、形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が該直交方向へずれた場合であっても、超音波アクチュエータ2が支持体8に対して直交方向へ変位することによって、該位置ずれを吸収することができる。その結果、シャフト10に不要な力を作用させることなく、アクチュエータ本体4を移動体11に押圧することができるため、アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11へ効率良く伝達することができる。
【0072】
また、アクチュエータ本体4及びローラ6は、移動体11を付勢方向に挟み込んでいるものの、該付勢方向に直交する平面内においては移動体11に対して変位可能である。そのため、アクチュエータ本体4及びローラ6が付勢方向に直交する平面内で前記直交方向に変位することによっても、超音波アクチュエータ2と移動体11との該直交方向への位置ずれを吸収することができる。
【0073】
尚、移動体11はシャフト10の軸方向に移動可能であるため、形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が該軸方向へずれた場合であっても、該軸方向への位置ずれは、移動体11がシャフト10に沿って移動することによって吸収することができる。
【0074】
さらに、ホルダ5が嵌るガイド孔88aと、ローラシャフト62が嵌るガイド溝85a,86aとは前記付勢方向に延びる長孔状に形成されているため、超音波アクチュエータ2はシャフト10の軸回りに回転することができる。そのため、形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が該軸回りの回転方向へずれた場合であっても、超音波アクチュエータ2が支持体8に対して該軸回りに回転することによって、該位置ずれを吸収することができる。
【0075】
さらにまた、ガイド孔88aはホルダ5のシャフト10の軸方向への変位を規制するものの、ガイド孔88aとホルダ5との間にはホルダ5がガイド孔88aに沿って変位できる程度の隙間が設けられている。同様に、ガイド溝85a,86aはローラシャフト62のシャフト10の軸方向への変位を規制するものの、ガイド溝85a,86aとローラシャフト62との間にはローラシャフト62がガイド溝85a,86aに沿って変位できる程度の隙間が設けられている。そのため、ホルダ5がガイド孔88aに嵌り且つローラシャフト62がガイド溝85a,86aに嵌った状態であっても、超音波アクチュエータ2は前記直交方向に沿った軸回りに回転することができる。その結果、形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が該軸回りの回転方向へずれた場合であっても、超音波アクチュエータ2が支持体8に対して該軸回りに回転することによって、該位置ずれを吸収することができる。
【0076】
さらに、前述の如く、アクチュエータ本体4及びローラ6は、移動体11を付勢方向に挟み込んでいるものの、該付勢方向に直交する平面内においては移動体11に対して変位可能である。そのため、形状誤差及び取付誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との位置関係が前記付勢方向に延びる軸回りの回転方向へずれた場合であっても、超音波アクチュエータ2が移動体11に対して該軸回りに回転することによって、該位置ずれを吸収することができる。
【0077】
ところで、このように、移動体11をアクチュエータ本体4とローラ6とでバランス良く押圧しながら駆動する構成であっても、移動体11に押圧力が作用している以上、その押圧力により移動体11が変形する虞がある。特に、移動体11の軸方向端部は自由端であるので変形しやすい。すなわち、移動体11が相対的に移動して、アクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11の軸方向端部を挟持する状態になったときには、移動体11が変形しやすい。
【0078】
ここで、図10Aに、軸受部15の弾性係数が移動体本体11aの弾性係数よりも大きい場合の移動体11、アクチュエータ本体4及びローラ6をモデル化して、移動体11の変形の様子をシミュレーションした結果を示し、図10Bに、軸受部15の弾性係数が移動体本体11aの弾性係数以下の場合の移動体11、アクチュエータ本体4及びローラ6をモデル化して、移動体11の変形の様子をシミュレーションした結果を示す。
【0079】
図10Bに示すように、軸受部15の弾性係数が移動体本体11aの弾性係数以下の場合には、軸受部15が変形してしまう虞がある。軸受部15が変形すると、軸受部15とシャフト10との間の摩擦抵抗が増大してしまい、移動体11を円滑に駆動することができなくなる。
【0080】
それに対して、移動体11においては、移動体本体11aの貫通孔11bの端部に軸受部15を設け、軸受部15の弾性係数を移動体本体11aの弾性係数よりも大きくしている。こうすることで、図10Aに示すように、移動体本体11aの方が軸受部15よりも大きく変形し、軸受部15の変形量を抑制することができる。その結果、軸受部15とシャフト10との間の摩擦抵抗が増大することを防止することができる。
【0081】
したがって、超音波アクチュエータ2は、連結部材7の付勢方向とシャフト10の軸方向とそれらの直交方向との直交3軸に沿って並進可能、且つ該直交3軸回りに回転可能に支持体8に支持されている。これにより、取付誤差や形状誤差により超音波アクチュエータ2と移動体11との間に該直交3軸に沿った位置ずれ及び該直交3軸回りの回転方向への位置ずれがあったとしても、超音波アクチュエータ2と支持体8との間の支持構造により該位置ずれを吸収することができる。その結果、移動体11をアクチュエータ本体4とローラ6とで挟み込んで押圧する構成であっても、シャフト10に偏った力が作用することを防止することができ、移動体11を効率良く駆動することができる。
【0082】
このように位置ずれを吸収できるため、高い組立精度が不要となり、駆動装置1の組立を簡略化することができる。
【0083】
また、本実施形態では、駆動装置1は、シャフト10と、シャフト10に沿って変位可能な状態でシャフト10に支持された移動体11と、移動体11に当接するように付勢されると共に振動することにより移動体11に駆動力を出力するアクチュエータ本体4を有する振動型アクチュエータ2とを備えている。移動体11は、貫通孔11bが形成された移動体本体11aと、貫通孔11bの少なくとも端部に設けられると共にシャフト10が挿通される軸受部15とを有している。軸受部15は、移動体本体11aよりも弾性係数が大きい。この実施形態によれば、軸受部15よりも移動体本体11aを変形し易くすることによって、軸受部15の変形を抑制することができる。こうして、軸受部15とシャフト10との間の摩擦抵抗の増大を防止することができるので、移動体11の円滑な駆動を維持することができる。
【0084】
特に、本実施形態のように、アクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を両側からバランス良く押圧できる構成においては、移動体11がシャフト10に対して偏る心配が小さいため、押圧力を大きくすることができる。その結果、移動体11が変形する可能性が高くなる。しかし、前述の如く、移動体本体11aよりも弾性係数が大きな軸受部15を設けることによって、軸受部15の変形を抑制して、軸受部15とシャフト10との間の摩擦抵抗の増大を防止することができる。つまり、駆動力の効率的な伝達と、摩擦抵抗の増大の防止とを両立させることができる。
【0085】
また、本実施形態のように、移動体本体11aに第1及び第2摺動板13,14を設ける構成では、移動体本体11aが全体的に変形しやすい。すなわち、第1及び第2摺動板13,14がない構成であれば、移動体本体11aのうち、駆動子3,3及びローラ6が当接している部分が局所的に変形し、貫通孔11bの周辺までは変形しない可能性がある。それに対して、第1及び第2摺動板13,14が設けられていると、アクチュエータ本体4及びローラ6の押圧力が第1及び第2摺動板13,14を介して移動体本体11aの全体に伝わり、移動体本体11aを全体的に変形させる。特に、第1及び第2摺動板13,14の弾性係数が移動体本体11aの弾性係数よりも大きい場合には、第1及び第2摺動板13,14が局所的に変形するのではなく、移動体本体11aが全体的に変形する。その結果、貫通孔11bの周辺部も変形する虞がある。しかし、前述の如く、移動体本体11aよりも弾性係数が大きな軸受部15を設けることによって、軸受部15の変形を抑制して、軸受部15とシャフト10との間の摩擦抵抗の増大を防止することができる。
【0086】
《その他の実施形態》
実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0087】
超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とを発生させているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを発生させる構成であれば、任意の次数の振動を発生させるアクチュエータ本体を採用することができる。
【0088】
さらに、アクチュエータ本体4は、長辺側面40cに駆動子3,3が2つ設けられているが、これに限られるものではない。例えば、駆動子をアクチュエータ本体4の短辺側面40eに設ける構成であってもよい。この場合、アクチュエータ本体4の短辺側面40eが移動体11に対向するようにして、アクチュエータ本体4が移動体11に当接する。そして、アクチュエータ本体4からは、その屈曲振動の方向へ駆動力が出力される。
【0089】
また、移動体11は、図11のように構成してもよい。すなわち、移動体11は、四角柱状に形成されており、その軸方向に挿通孔が貫通形成されている。この挿通孔に、シャフト10が嵌められる。こうして、移動体11は、シャフト10の軸方向(図中のX軸方向)に沿って摺動可能に構成されている。このシャフト10の延びる方向が移動体11の可動方向となる。この移動体11の4つの側面のうちの1つ(図11では下面)には、移動体11の剛性を向上させるためのステンレスで構成されたベース板12が接着固定され、該ベース板12の表面には、アルミナで構成された摺動部材13が接着固定されている。また、移動体11の4つの側面のうち、ベース板12及び摺動部材13が設けられた側面とは反対側の側面には、アルミナで構成された別の摺動部材14が設けられている。尚、ベース板12及び摺動部材13,14は省略してもよい。また、ベース板12や摺動部材13,14の材質も前述の材質に限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。この移動体11は、詳しくは後述するが、超音波アクチュエータ2が発生する駆動力を受けて、シャフト10に沿って移動する。
【0090】
前記実施形態では、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5を支持体8のガイド孔88aで支持すると共に、ローラ6のローラシャフト62を支持体8のガイド溝85a,86aで支持しているが、支持体8による超音波アクチュエータ2の支持構造はこれに限られるものではない。例えば、ホルダ5は、第1及び第2支持板81,82のガイド部材88に支持されているが、ガイド部材88は必ずしも必要ではない。すなわち、第1及び第2支持板81,82に形成された開口部84a,82aを介して直接、支持してもよい。また、連結部材7に設けた突出部を、支持体8のガイド孔88aやガイド溝85a,86aで支持する構成であってもよい。また、連結部材7やアクチュエータ本体4に前記付勢方向に延びるガイド孔又はガイド溝を形成する一方、支持体8に該ガイド孔又はガイド溝に係合する係合部を設ける構成であってもよい。すなわち、超音波アクチュエータ2を前記付勢方向に変位可能に支持できる構成であれば、任意の構成を採用することができる。
【0091】
前記実施形態では、超音波アクチュエータ2が、柱状の移動体11を駆動する構成について説明しているが、本実施形態は様々な対象物を駆動する構成に採用することができる。例えば、超音波アクチュエータ2によりカメラのレンズ枠を駆動するように構成してもよい。かかる場合、レンズ枠と一体的に移動体11が設けられ、該レンズ枠がシャフト10に沿って移動可能なように構成される。このようなレンズ枠を超音波アクチュエータ2により駆動する構成であってもよい。
【0092】
前記実施形態では、移動体11に対してアクチュエータ本体4の反対側にはローラ6が設けられているが、アクチュエータ本体4の反対側の部材(即ち、対向部材)はローラ6に限られるものではない。例えば、対向部材は、ローラシャフトに対してローラ本体が回転不能に取り付けられたローラであってもよい。また、対向部材は、移動体11と単に当接するだけの当接部材であってもよい。この場合、当接部材は、連結部材7と別体に設けられてもよいし、一体に設けられてもよい。尚、当接部材は、移動体11との間の摩擦抵抗が小さいことが好ましい。さらに、対向部材は、別のアクチュエータ本体であってもよい。この場合、2つのアクチュエータ本体で移動体11を挟持することになる。つまり、移動体11は、2つのアクチュエータ本体で駆動される。すなわち、対向部材は、移動体11に当接すると共に該移動体11を挟んでアクチュエータ本体4と対向する位置に位置する部材であれば、任意の部材を採用することができる。
【0093】
また、アクチュエータ本体4と、アクチュエータ本体4の反対側の対向部材(本実施形態ではローラ6)との連結構造は、連結部材7による構成に限られるものではない。すなわち、アクチュエータ本体4と対向部材とを連結すると共にアクチュエータ本体4と対向部材とを移動体11を挟み込むように付勢する構成であれば、任意の構成を採用することができる。
【0094】
また、移動体本体11aの形状は、前記実施形態に限られるものではなく、任意の形状を採用することができる。
【0095】
また、軸受部15の変形を抑制するためには、以下のような構成であってもよい。
【0096】
前記実施形態では、連結部材7によってアクチュエータ本体4とローラ6とを連結し且つアクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を挟持する構成としているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4を移動体11に付勢して当接させる構成であればよく、ローラ6も、連結部材7も省略することができる。
【0097】
さらに、軸受部15は、移動体本体11aの貫通孔11bの端部だけでなく、貫通孔11b全体に設けられていてもよい。
【0098】
また、第1及び第2摺動板13,14は、何れか一方を省略してもよいし、両方を省略してもよい。
【0099】
さらにまた、移動体本体11aや軸受部15の材料は、前記実施形態に限られるものではなく、軸受部15の弾性係数が移動体本体11aの弾性係数よりも大きい限りにおいては、任意の材料を採用することができる。また、第1及び第2摺動板13,14の材料も、前記実施形態に限られるものではない。第1及び第2摺動板13,14の材料としては、任意の材料を採用することができ、移動体本体11aよりも弾性係数が大きい材料であれば好ましい。
【0100】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。本発明は、前記実施形態に限定されず、その精神または主要な特徴から逸脱することなく他のいろいろな形で実施することができる。このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、ここに開示された技術は、振動型アクチュエータと振動型アクチュエータを支持する支持体を備えた駆動装置について有用である。また、ここに開示された技術は、シャフトに支持された移動体を振動型アクチュエータで駆動する駆動装置について有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 駆動装置
2 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
3 駆動子
4 アクチュエータ本体
5 ホルダ(係合部)
6 ローラ(対向部材)
62 ローラシャフト(係合部)
7 連結部材
8 支持体
81 第1支持板(ガイド部)
82 第2支持板(ガイド部)
85a ガイド溝(溝)
86a ガイド溝(溝)
88a ガイド孔(長孔)
10 シャフト
11 移動体
11a 移動体本体
11b 貫通孔
13 第1摺動板(第1摺動部材)
14 第2摺動板(第2摺動部材)
15 軸受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに沿って変位可能な状態で該シャフトに支持された移動体と、
前記移動体を駆動する振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータを支持する支持体とを備えた駆動装置であって、
前記振動型アクチュエータは、前記移動体に当接すると共に振動することにより該移動体に駆動力を出力するアクチュエータ本体と、該移動体に当接すると共に該移動体を挟んで該アクチュエータ本体と対向する位置に位置する対向部材と、該アクチュエータ本体と該対向部材とを連結すると共に該アクチュエータ本体と該対向部材とを該移動体を挟み込むように付勢する連結部材とを有し、
前記支持体は、前記振動型アクチュエータを、前記連結部材の付勢方向に沿って変位可能な状態で支持する駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記支持体は、前記振動型アクチュエータを、前記シャフトの軸方向及び前記連結部材の付勢方向に直交する方向に沿って変位可能な状態で支持する駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動装置において、
前記支持体は、前記振動型アクチュエータを、前記シャフトの軸回り変位可能な状態で支持する駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の駆動装置において、
前記支持体は、前記振動型アクチュエータを、前記シャフトの軸方向及び前記連結部材の付勢方向に直交する方向に沿って延びる軸回りに変位可能な状態で支持する駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の駆動装置において、
前記アクチュエータ本体及び前記対向部材は、前記移動体に対して、前記付勢方向に直交する平面内で変位可能な状態で当接する駆動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の駆動装置において、
前記支持体及び前記振動型アクチュエータの一方には、前記付勢方向に延びる長孔又は溝を有するガイド部が設けられ、
前記支持体及び前記振動型アクチュエータの他方には、前記ガイド部の長孔又は溝に嵌る係合部が設けられ、
前記振動型アクチュエータは、前記支持体に対し、前記ガイド部の長孔又は溝に沿って変位可能である駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動装置において、
前記係合部は、前記ガイドの長孔又は溝に対して、記シャフトの軸方向及び前記連結部材の付勢方向に直交する方向に沿って変位可能に嵌る駆動装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の駆動装置において、
前記係合部及び前記ガイド部は、前記アクチュエータ本体及び前記支持体のそれぞれと、前記対向部材及び前記支持体のそれぞれに設けられている駆動装置。
【請求項9】
シャフトと、
前記シャフトに沿って変位可能な状態で該シャフトに支持された移動体と、
前記移動体に当接するように付勢されると共に振動することにより該移動体に駆動力を出力するアクチュエータ本体を有する振動型アクチュエータとを備えた駆動装置であって、
前記移動体は、貫通孔が形成された移動体本体と、該貫通孔の少なくとも端部に設けられると共に前記シャフトが挿通される軸受部とを有し、
前記軸受部は、前記移動体本体よりも弾性係数が大きい駆動装置。
【請求項10】
請求項9に記載の駆動装置において、
前記振動型アクチュエータは、前記移動体に当接すると共に該移動体を挟んで前記アクチュエータ本体と対向する位置に位置する対向部材と、該アクチュエータ本体と該対向部材とを連結すると共に該アクチュエータ本体と該対向部材とを該移動体を挟み込むように付勢する連結部材とをさらに有する駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の駆動装置において、
前記振動型アクチュエータを、前記連結部材の付勢方向に沿って変位可能な状態で支持する支持体をさらに備える駆動装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の駆動装置において、
前記移動体は、前記移動体本体における前記アクチュエータ本体と当接する部分に設けられた第1摺動部材をさらに有し、
前記第1摺動部材は、前記移動体本体よりも弾性係数が大きい駆動装置。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか1つに記載の駆動装置において、
前記移動体は、前記移動体本体における前記対向部材と当接する部分に設けられた第2摺動部材をさらに有し、
前記第2摺動部材は、前記移動体本体よりも弾性係数が大きい駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−39848(P2012−39848A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20159(P2011−20159)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】