説明

駐車場管理システム

【課題】駐車場に設置された既存の機器を大幅に改造することなく、昨今普及が進んでいる基本的な給電機能のみを備えた程度の給電器を利用することにより、容易にかつ低コストで駐車場における給電器の導入または増設を実現する。
【解決手段】駐車券発行機に駐車専用駐車券発行釦と駐車給電用駐車券発行釦を設け、駐車専用駐車券発行釦が押下されたときには駐車専用の駐車券を発行し、駐車給電用駐車券発行釦が押下されたときには給電許可番号が印字された駐車給電用の駐車券を発行する。駐車場内の駐車給電スペースで車両に給電を行う際、利用者は駐車給電用の駐車券に印字された給電許可番号を給電器に入力することにより給電を開始することが可能になる。料金精算機は、精算の際、駐車専用の駐車券を料金精算機に挿入した利用者と、駐車給電用の駐車券を料金精算機に挿入した利用者とで異なる料金体系に基づいて精算を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電器を備えた駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の普及に伴い、外出先で電気自動車の給電を行えるようにするために、給電スタンドの設置を促進しようという風潮にあり、単にガソリンスタンドに代わる給電スタンドではなく、高速充電でも20分ないし30分はかかると言われている充電時間を利用者が有効に活用するため、電気自動車を駐車場に駐車している間に給電を行う施設が一部自治体の敷地内の駐車場などで実用化されている。
【0003】
このような昨今の風潮を先読みし、駐車場内に給電設備を配備して駐車場を利用する電気自動車のバッテリーへの充電を可能とする様々な技術がすでに発明され、特許公報等を通じて公開されている。
【0004】
例えば特許文献1には、駐車場における電気自動車の充電装置であって、電気自動車のバッテリーの充電を、車を使用していない一時駐車時あるいは帰宅時等の長時間を利用してできるように、駐車中の電気自動車に搭載されているバッテリーに電力を供給する駐車場に設置された充電器と、該充電器からの電力の供給を制御する電力供給制御部と、該電力供給制御部から車載バッテリーに供給される電力の充電情報を集中管理する充電管理部とを備えた充電装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、駐車場に配設された充電装置ごとに料金精算機を設ける必要がなく、駐車場の内部や出庫口等に設置された1台またはごく限られた少ない台数の料金精算機を用いて駐車料金と充電料金の双方を精算できるように工夫することによって、全体の構成が簡単で、かつ、経済性に富んだ充電装置を備えた駐車場装置についての技術が開示されている。具体的には駐車場内に電気自動車のバッテリーを充電する充電装置と充電情報入出力装置とを設け、充電を行うと駐車券等に充電情報を記録し、出庫時にこの駐車券等を料金精算機に挿入すると、駐車料金と充電料金が算出され、これら各料金の精算を済ませると出口ゲートが開いて車両の出庫を可能にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−227668号公報
【特許文献2】特開2001−312772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電気自動車の普及の進展に応じ、既存の駐車場への給電器の導入、または既存の駐車場における給電器の増設を、容易な方法によりコストを抑えながら実現することが要求される。しかしながら、この要求を阻むいくつかの問題がある。
【0008】
すなわち、特許文献1に記載の充電装置は、車載バッテリーの充電時間および充電電力量を測定して充電料金を計算する機能や、充電料金の精算に応じて車両の移動を制限するストッパーの解除を制御する機能等を備えている。一方、既存の駐車場では、駐車料金の精算を行う料金精算機がすでに設置されており、この駐車料金精算用の料金精算機が車両の移動を制限するストッパーの解錠を制御する仕組みになっている。このため、特許文献1に記載の充電装置を既存の駐車場に導入するためには、既存の駐車場にすでに設置されている駐車料金精算用の料金精算機を大幅に改造する必要があり、また、充電装置と駐車料金精算用の料金精算機との間で充電料金等に関する情報を送受信するための通信設備を駐車場敷地内に構築する必要がある。この結果、特許文献1に記載の充電装置を既存の駐車場に導入することは容易でなく、多大なコストがかかるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の駐車場装置は、駐車場内に、充電装置のほかに充電情報入出力装置を設け、充電の際に、利用者が駐車券を充電情報入出力装置に挿入し、充電情報入出力装置が充電開始時刻、充電終了時刻および充電容量等の充電情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を利用者に返却し、出場の際には、利用者が、充電情報の記録された駐車券を料金精算機に挿入し、料金精算機が当該駐車券に記録された充電情報に基づいて充電料金の精算を行う仕組みである。このため、特許文献2に記載の駐車場装置を既存の駐車場に導入するためには、充電装置(給電器)のほかに充電情報入出力装置を設置する必要があり、また、充電装置と充電情報入出力装置との間で通信を行う設備を追加する必要がある。この結果、特許文献2に記載の駐車場装置を既存の駐車場に導入することも容易でなく、多大なコストがかかるという問題がある。
【0010】
一方、昨今、電気自動車への給電に利用可能な給電器の普及が進みつつあるものの、まだ普及の初段階にあるといえる。すなわち、昨今普及が進んでいる給電器は、給電を行う機能、給電器を操作するための操作キー、給電コネクタの車両への装着を検出する検出手段等の給電器としての基本的な機能を備えている程度であり、例えば、給電料金精算機能や、駐車料金精算機等の他の装置との間で情報を送受信する通信機能等を備えた給電器はまだ普及が進んでいない。このため、特許文献1に記載された充電料金精算機能を備えた充電装置や、特許文献2に記載された充電情報入出力装置へ充電容量等の情報を送信する機能を備えた充電装置を、昨今普及が進んでいる給電器を利用することにより容易にまたは低コストで実現することは困難である。
【0011】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、既存の駐車場に設置された既存の機器等を大幅に改造することなく、または昨今普及が進んでいる基本的な給電機能のみを備えた程度の給電器を利用することにより、容易にかつ低コストで、駐車場への給電器の導入または駐車場における給電器の増設を実現することができる駐車場管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の駐車場管理システムは、車両を駐車させる駐車専用スペースと、車両を駐車させると共に当該車両に給電を行う駐車給電スペースとを有する駐車場を管理する駐車場管理システムであって、駐車券発行機と、料金精算機と、前記駐車給電スペースに駐車された車両に給電を行う給電器とを備え、前記駐車券発行機は、前記駐車専用スペースに車両を駐車することを許可する旨を示すステータス情報が少なくとも記録された駐車専用の駐車券と、前記駐車給電スペースに車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示すステータス情報が少なくとも記録された駐車給電用の駐車券とを発行する駐車券発行手段と、前記駐車券発行手段により前記駐車専用の駐車券を発行するか前記駐車給電用の駐車券を発行するかを利用者に選択させる駐車券選択手段とを備え、前記料金精算機は、前記駐車券発行手段により発行された駐車券を利用者から受け取り、当該受け取った駐車券に記録された前記ステータス情報に基づいて当該受け取った駐車券が前記駐車専用の駐車券であるか前記駐車給電用の駐車券であるかを判断し、当該受け取った駐車券が前記駐車専用の駐車券である場合には第1の料金体系に基づいて精算を行い、当該受け取った駐車券が前記駐車給電用の駐車券である場合には前記第1の料金体系と異なる第2の料金体系に基づいて精算を行う精算手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の駐車場管理システムでは、駐車場入場時には、利用者が車両への給電を行うか否かに応じて異なる種類の駐車券を発行し、一方、料金精算時には、利用者が所持している駐車券の種類に応じて、例えば駐車料金のみを徴収するための料金体系と、駐車料金および給電料金を徴収するための料金体系とのうちのいずれかを選択して精算を行う。これにより、給電料金の精算機能を給電器に設ける必要がなく、また、精算された給電料金に関する情報を給電器から料金精算機へ送信するための通信機能を給電器に設ける必要がない。したがって、給電料金の精算機能や外部装置との通信機能を備えていない給電器、すなわち、昨今普及が進んでいる基本的な給電機能のみを備えた程度の給電器を駐車場内に追加的に設置するだけで、既存の駐車場に設けられた既存の機器等を大幅に改造することなく、駐車場への給電器の導入、または駐車場における給電器の増設を容易にかつ低コストで実現することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1の駐車場管理システムにおいて、前記駐車券選択手段は、前記駐車専用の駐車券を発行する第1の発行釦と、前記駐車給電用の駐車券を発行する第2の発行釦とを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の駐車場管理システムによれば、利用者は、2つの発行釦を選択するだけで、駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券のうち、車両への給電を行うか否かに応じた適切な駐車券を容易にかつ確実に受け取ることができる。また、1種類の駐車券を発行する機能を有する既存の駐車券発行機に、発行釦を1つ追加する等のわずかな改造を加えるだけで、利用者の意思に応じて駐車専用の駐車券と駐車給電用の駐車券とを選択的に発行する駐車券発行機を容易にかつ低コストで実現することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第3の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1の駐車場管理システムにおいて、前記駐車券選択手段は、発行釦を備え、前記発行釦が第1の押下態様で押下されたときには前記駐車専用の駐車券を発行し、前記発行釦が第2の押下態様で押下されたときには前記駐車給電用の駐車券を発行することを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の駐車場管理システムによれば、利用者は、1つの発行釦を押下する態様を変えるだけで、駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券のうち、車両への給電を行うか否かに応じた適切な駐車券を容易にかつ確実に受け取ることができる。ここで、例えば発行釦の第1の押下態様を短時間押下とし、第2の押下態様を長時間押下とすることができる。また、これに代えて、発行釦の第1の押下態様を1度押しとし、第2の態様を連続2度押しとしてもよい。また、既存の駐車券発行機に、発行釦の押下態様を検出する機能を追加するだけで(多くの場合、ハードウェアを変更せずにソフトウェアを変更するだけで)、利用者の意思に応じて駐車専用の駐車券と駐車給電用の駐車券とを選択的に発行する駐車券発行機を容易にかつ低コストで実現することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第4の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの駐車場管理システムにおいて、前記駐車券発行機は、所定の演算方法により第1の給電許可番号を生成する第1の番号生成手段を備え、前記駐車券発行手段は前記第1の番号生成手段により生成された第1の給電許可番号が印字された前記駐車給電用の駐車券を発行し、前記給電器は、前記所定の演算方法と同一の演算方法により第2の給電許可番号を生成する第2の番号生成手段と、前記駐車給電用の駐車券に印字された第1の給電許可番号を利用者に入力させる数値入力手段と、前記数値入力手段により入力された第1の給電許可番号と前記第2の番号生成手段により生成された第2の給電許可番号とが一致したときに給電を許可し、前記数値入力手段により入力された第1の給電許可番号と前記第2の番号生成手段により生成された第2の給電許可番号とが一致しないときには給電を許可しない給電制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の駐車場管理システムによれば、車両への給電を希望する利用者は、駐車場入場時に発行された駐車給電用の駐車券に印字された第1の給電許可番号を給電器に入力すれば、車両への給電を容易に行うことができる。一方、駐車専用の駐車券には第1の給電許可番号が印字されていないので、駐車のみの利用者は給電器により車両への給電を行うことができない。これにより、利用者が、駐車のみの利用を装って駐車場に入場し、駐車場内で車両への給電を行い、給電料金の支払いを免れるといった不正行為を防止することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第5の駐車場管理システムは、上述した本発明の第4の駐車場管理システムにおいて、前記第1の番号生成手段は、少なくとも前記駐車給電用の駐車券の発行日時を変数として演算を行うことにより前記第1の給電許可番号を生成し、前記第2の番号生成手段は、前記数値入力手段により入力された前記第1の給電許可番号の入力日時を変数として演算を行うことにより前記第2の給電許可番号を生成することを特徴とする。
【0021】
本発明の第5の駐車場管理システムによれば、駐車給電用の駐車券に印字する第1の給電許可番号を、当該駐車券の発行日時により異なる番号とすることができる。これにより、駐車給電用の駐車券を受け取った者が、その駐車券に印字された第1の給電許可番号を給電器に入力して車両への給電を一度行った後に、後日、同一の第1の給電許可番号を再びあるいは繰り返し給電器に入力して車両への給電を再びあるいは繰り返し行い、2度目以降の給電について給電料金の支払いを免れるといった不正行為を防止することができる。また、このような不正行為の防止を、駐車券発行機や給電器の大幅な改造を行うことなく(例えばソフトウェアの追加のみにより)実現することができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第6の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第5のいずれかの駐車場管理システムにおいて、前記料金精算機は、前記駐車給電用の駐車券についての精算を行った旨を示す精算実行情報を前記駐車券発行機に送信する送信手段を備え、前記駐車券発行機は、前記料金精算機の前記送信手段から送信された前記精算実行情報を受信する受信手段と、前記駐車給電用の駐車券の発行回数および前記受信手段により受信した前記精算実行情報に基づいて、空いている前記駐車給電スペースがあるか否かを判断する空きスペース判断手段とを備え、前記駐車券発行手段は、前記空きスペース判断手段の判断結果により、空いている前記駐車給電スペースがない場合には前記駐車給電用の駐車券を発行しないことを特徴とする。
【0023】
本発明の第6の駐車場管理システムによれば、空いている駐車給電スペースがないにもかかわらず駐車給電用の駐車券を発行してしまうことを防止することができる。これにより、駐車場の無人管理を容易に実現することができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第7の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第6のいずれかの駐車場管理システムにおいて、前記駐車給電スペースの空き状況を表示する満空車表示灯を備え、前記駐車券発行機は、前記空きスペース判断手段の判断結果に基づいて、前記満空車表示灯による前記駐車給電スペースの空き状況の表示を制御するための表示制御信号を前記満空車表示灯に送信し、前記満空車表示灯は、前記駐車券発行機から送信された表示制御信号に従って前記駐車給電スペースの空き状況を表示することを特徴とする。
【0025】
本発明の第7の駐車場管理システムによれば、利用者は、駐車場に入場する前に、給電駐車スペースの空き状況を把握することができるので、車両への給電を希望する利用者にとって頗る利便性がよい。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の第8の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第7のいずれかの駐車場管理システムにおいて、前記駐車場の入場車路を開閉する第1のゲート開閉機と、前記駐車場内において前記駐車給電スペースに通じる場内車路を開閉する第2のゲート開閉機とを備え、前記駐車券発行機は、前記駐車券発行手段により前記駐車専用の駐車券が発行されたときには前記入場車路を開きかつ前記場内車路を閉じ、前記駐車券発行手段により前記駐車給電用の駐車券が発行されたときには前記入場車路および前記場内車路の双方を開くように前記第1のゲート開閉機および前記第2のゲート開閉機を制御するゲート制御手段を備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第8の駐車場管理システムによれば、車両への給電を希望する利用者を、給電駐車スペースに確実に誘導することができると共に、駐車のみの利用者が給電駐車スペースに車両を駐車してしまうことを防止することができ、給電器の利用効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、既存の駐車場に設置された既存の機器等を大幅に改造することなく、または昨今普及が進んでいる基本的な給電機能のみを備えた程度の給電器を利用することにより、容易にかつ低コストで、駐車場への給電器の導入または駐車場における給電器の増設を実現することができる。これにより、電気自動車の普及の進展に応じて、給電器を備えた駐車場を迅速に普及させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態による駐車場管理システムが適用された駐車場を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車券発行機の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車券発行機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける満空車表示灯の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける料金精算機の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける料金精算機の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける給電器の外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける給電器の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおいて用いられる駐車券を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける入場時の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態による駐車場管理システムが適用された駐車場を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態による駐車場管理システムにおける入場時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(駐車管理システム)
図1は本発明の実施形態による駐車場管理システムが適用された駐車場を示している。図1において、本発明の実施形態による駐車場管理システム1が適用される駐車場201には、車両が入場する入場車路202および車両が出場する出場車路203が設けられ、駐車場201内には、舗装された地面に視認可能な区画線をペイントすることにより、複数の駐車スペースが形成されている。これらの駐車スペースには、車両を駐車させる駐車専用スペース204と、車両を駐車させると共に駐車車両に給電を行う駐車給電スペース205がある。例えば図1に示す駐車場201の場合、28個の駐車スペースがあり、それらのうち、25個の駐車スペースが駐車専用スペース204であり、3つの駐車スペースが駐車給電スペース205である。なお、図1においてハッチングを付した駐車スペースが駐車給電スペース205である。
【0032】
駐車場管理システム1は、駐車券を発行する駐車券発行機2と、車両の入場を管理する入場ゲート開閉機3と、入場車両を検出する入場ループコイル4、5と、駐車専用スペース204および駐車給電スペース205の空き状況を表示する満空車表示灯6と、駐車料金および給電料金の精算を行う料金精算機7と、車両の出場を管理する出場ゲート開閉機8と、出場車両を検出する出場ループコイル9、10と、車両(電気自動車)に給電を行う給電器11とを備えている。
【0033】
駐車券発行機2および入場ゲート開閉機3は、入場車路202において車両進行方向右側のアイランドに設置されている。入場ループコイル4は入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの車両進行方向手前側に埋設され、入場ループコイル5は入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの車両進行方向奥側に埋設されている。満空車表示灯6は、入場車路202の近傍で駐車場201と図示しない一般道路との境界部に設置されている。入場ゲート開閉機3、入場ループコイル4、5、および満空車表示灯6は埋設配線を介して駐車券発行機2にそれぞれ接続されている。
【0034】
料金精算機7および出場ゲート開閉機8は、出場車路203において車両進行方向右側のアイランドに設置されている。出場ループコイル9は出場ゲート開閉機8のゲートバー8Aの車両進行方向手前側に埋設され、出場ループコイル10は出場ゲート開閉機のゲートバー8Aの車両進行方向奥側に埋設されている。出場ゲート開閉機8および出場ループコイル9、10は、埋設配線を介して料金精算機7にそれぞれ接続されている。また、料金精算機7と駐車券発行機2とは埋設配線を介して互いに接続されている。また、図示しないが、駐車場201内には、別途機器用・照明用の電源供給線や外部通信用の回線なども適宜設置されている。
【0035】
また、給電器11は、駐車場201内において、駐車給電スペース205の近傍に設置されている。給電器11は、1つの駐車給電スペース205につき1つ設置されている。図1に示す駐車場201には、3つの駐車給電スペース205があるので、3つの給電器11が設置されている。
【0036】
(駐車券発行機)
図2は駐車券発行機2の外観を示している。図2に示すように、駐車券発行機2のフロントパネルには、例えば液晶ディスプレイ装置により構成され、現在の年月日時分、入場案内メッセージ等を表示する表示器21と、駐車券を発行するときに利用者が押下する駐車券発行釦22、23と、発行した駐車券を利用者に手渡すために送り出す駐車券発行口24と、利用者が係員を呼び出すときに押下する係員呼出釦25と、入場案内音声や、呼び出された係員による案内音声等を出力するスピーカ26等が設けられている。
【0037】
駐車券発行機2は、2種類の駐車券、すなわち駐車専用の駐車券と、駐車給電用の駐車券を発行する機能を備えている。駐車専用の駐車券とは、駐車専用スペース204に車両を駐車することを許可する駐車券である。一方、駐車給電用の駐車券とは、駐車給電スペース205に車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する駐車券である。また、駐車券発行機2は2つの駐車券発行釦22、23を有する。図2において上側に配置された駐車券発行釦22は、駐車専用の駐車券を発行するための駐車券発行釦(以下、これを「駐車専用駐車券発行釦22」という。)である。一方、図2において下側に配置された駐車券発行釦23は、駐車給電用の駐車券を発行するための駐車券発行釦(以下、これを「駐車給電用駐車券発行釦23」という。)である。また、駐車券発行機2のフロントパネルにおいて、駐車専用駐車券発行釦22および駐車給電用駐車券発行釦23のそれぞれの近傍には、2つの釦のどちらが駐車専用駐車券発行釦22で、どちらが駐車給電用駐車券発行釦23かを利用者に明確に把握させるために、例えば「駐車のみ」、「充電」といった文字が記載されている。利用者が、駐車専用駐車券発行釦22および駐車給電用駐車券発行釦23のうちのいずれか一方を選んで押下すると、駐車券発行機2は、利用者に押下された釦に応じて駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券のうちのいずれか一方を発行する。利用者は、その発行された駐車券を駐車券発行口24から受け取ることができる。
【0038】
図3は駐車券発行機2の電気的構成を示している。図3に示すように、駐車券発行機2の内部には、CPU(Central Processing Unit)31およびメモリ32が設けられ、両者はバス33を介して相互に接続されている。また、駐車券発行機2の内部には、現在の年月日時分を示す時計回路34と、例えば磁気リーダ/ライタ、プリンタ、駐車券送出装置等を有する駐車券処理装置35と、駐車券発行機2の各種設定を行うための設定器36と、係員呼出釦25を備えたインターホン37と、料金精算機7と通信を行い、料金精算機7から後述する精算実行情報を受信する受信手段としての通信部38と、入場ゲート開閉機3を制御するゲート開閉機制御部39と、満空車表示灯6の表示を制御する満空車表示灯制御部40と、入場ループコイル4、5と接続され、入場ループコイル4、5と協働して入場車両を検知する車両センサ41等が設けられており、これらは、インターフェイス回路42およびバス33を介してCPU31およびメモリ32に接続されている。また、上述した表示器21、駐車専用駐車券発行釦22、駐車給電用駐車券発行釦23およびスピーカ26も、インターフェイス回路42およびバス33を介してCPU31およびメモリ32に接続されている。
【0039】
駐車券発行機2において、CPU31は、メモリ32に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、これを実行することにより、駐車専用駐車券発行釦22または駐車給電用駐車券発行釦23の押下に応じて駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券のうちのいずれか一方を発行する駐車券発行手段としての機能を実現する。また、CPU31は、後述する第1の給電許可番号121(図9(2)参照)を生成し、これを駐車給電用の駐車券に印字する第1の番号生成手段としての機能を実現する。また、CPU31は、通信部38と協働して料金精算機7と通信を行う機能を実現する。また、CPU31は、空いている駐車給電スペース205があるか否かを判断する空きスペース判断手段としての機能を実現する。また、CPU31は、ゲート開閉機制御部39と協働して入場ゲート開閉機3のケートバーの開閉を制御するゲート制御手段としての機能を実現する。また、CPU31は、満空車表示灯制御部40と協働して満空車表示灯の表示を制御する手段としての機能を実現する。これらCPU31により実現される駐車券発行機2の機能の詳細については後述する。
【0040】
(満空車表示灯)
図4は満空車表示灯6の外観を示している。図4に示すように、満空車表示灯6は、台座51と、台座51上に設けられた柱部52と、柱部52の上端部に設けられた箱状の表示ユニット53とを備えている。表示ユニット53の一面には、看板表示部54、第1の満空表示部55および第2の満空表示部56が設けられている。また、表示ユニットの反対側の面にも、同様に、看板表示部、第1の満空表示部および第2の満空表示部が設けられている。看板表示部54は、透明なプラスチック板に「P」の文字と「EV充電」の文字部だけをマスクして塗装することにより形成され、その内部には発光部が設けられ、発光部を発光させることにより「P」および「EV充電」の文字が自照表示される構造となっている。一方、第1および第2の満空表示部55、56はそれぞれ、「満」および「空」の文字を形作るように配置された多数のLEDを有し、各LEDの点灯を制御することにより、「満」および「空」のうちのいずれか一方の文字を形取った表示を作り出す構造となっている。看板表示部54の表示も、第1および第2の満空表示部55、56の表示も、利用者が遠くから視認することができ、また、夜間でも視認することができる。利用者は、満空車表示灯6を見ることにより、駐車専用スペース204および駐車給電スペース205のそれぞれについて空きがあるかどうかを確認することができる。なお、電源供給線や信号線は柱部52の内部中空部に配線されている。
【0041】
(料金精算機)
図5は料金精算機7の外観を示している。図5に示すように、料金精算機7のフロントパネルには、例えば液晶ディスプレイ装置により構成され、現在の年月日時分、精算案内メッセージ等を表示する表示器61と、利用者が駐車券を挿入する駐車券挿入口62と、利用者が硬貨を投入する硬貨投入口63と、利用者が紙幣を挿入し、またはつり札を取り出す紙幣挿入/取出口64と、利用者がICカードを翳したときにICカードから情報を読み取るICカードリーダ65と、利用者がつり銭等を取り出す硬貨取出口66と、利用者が精算を取り消しするときに押下する精算取消釦67と、利用者が係員を呼び出すときに押下する係員呼出釦68等が設けられている。
【0042】
図6は料金精算機7の電気的構成を示している。図6に示すように、料金精算機7の内部には、CPU71およびメモリ72が設けられ、両者はバス73を介して相互に接続されている。また、料金精算機7の内部には、時計回路74と、スピーカ75と、駐車券挿入口62から挿入された駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報を読み取る磁気リーダ/ライタ76と、コインセレクタ、硬貨払出装置、紙幣リーダ、領収証プリンタ等を有する精算処理装置77と、料金精算機7の各種設定を行うための設定器78と、係員呼出釦68を備えたインターホン79と、駐車券発行機2と通信を行い、後述する精算実行情報を駐車券発行機2に送信する送信手段としての通信部80と、出場ゲート開閉機8を制御するゲート開閉機制御部81と、出場ループコイル9、10と接続され、出場ループコイル9、10と協働して出場車両を検知する車両センサ82等が設けられており、これらは、インターフェイス回路83およびバス73を介してCPU71およびメモリ72に接続されている。また、上述した表示器61、ICカードリーダ65および精算取消釦67も、インターフェイス回路83およびバス73を介してCPU71およびメモリ72に接続されている。
【0043】
料金精算機7において、CPU71は、メモリ72に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、これを実行することにより、利用者が駐車券挿入口62に挿入した駐車券が駐車専用の駐車券か駐車給電用の駐車券かを判断し、当該駐車券が駐車専用の駐車券である場合には駐車料金体系(第1の料金体系)に基づいて精算を行い、当該駐車券が駐車給電用の駐車券である場合には駐車給電料金体系(第2の料金体系)に基づいて精算を行う精算手段としての機能を実現する。また、CPU71は、通信部80と協働して駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券についての精算回数を示す精算実行情報を駐車券発行機2に送信する機能を実現する。これらCPU71により実現される料金精算機7の機能の詳細については後述する。
【0044】
(給電器)
図7は給電器11の外観を示している。図7に示すように、給電器11のフロントパネルには、案内表示等を行う簡易な表示器91と、数値入力手段としてのテンキー92と、利用者が給電を開始するときに押下する給電開始釦93等が設けられている。また、給電器11には、給電コネクタ94が給電ケーブル95を介して接続されている。さらに、給電器11には、給電待機時に給電ケーブル95を巻回させて収容するケーブル収容部96と、給電待機時に給電コネクタ94の先端部を取り付けておくコネクタ保管部97とが設けられている。
【0045】
図8は給電器11の電気的構成を示している。図8に示すように、給電器11の内部には、CPU101およびメモリ102が設けられ、両者はバス103を介して互いに接続されている。また、CPU101およびメモリ102には、バス103およびインターフェイス回路104を介して、上述した表示器91、テンキー92が接続されているほか、給電器11の内部に設けられ、車両への給電を制御する給電制御部105と、給電コネクタ94の先端部に配置され、給電開始時に車両と給電コネクタ94とが確実に接続されているか否かを検出するプラグセンサ106と、現在の年月日時分を示す時計回路107等が接続されている。
【0046】
給電器11において、CPU101は、メモリ102に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、これを実行することにより、後述する第2の給電許可番号を生成する第2の番号生成手段としての機能を実現し、また、利用者がテンキー92を操作して入力した第1の給電許可番号と第2の給電許可番号とを照合し、両者が一致したときに給電を許可し、両者が一致しないときには給電を許可しない給電制御手段としての機能を実現する。これらのCPU101の機能の詳細については後述する。なお、給電器11は、駐車券発行機2や料金精算機7のように通信機能を有しておらず、また給電料金を精算する精算機能も有していない。
【0047】
(駐車券)
図9は駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券を示している。図9(1)に示す駐車専用の駐車券111および図9(2)に示す駐車給電用の駐車券112はそれぞれ、丈夫な紙片からなる共通の記録媒体113により形成され、記録媒体113の表面には磁気ストライプ部114が形成されている。
【0048】
駐車専用の駐車券111の記録媒体113上において、磁気ストライプ部114が形成されていない領域には、駐車場番号118、券番号115、発行日時(入場日時)116、利用方法の説明117等が印字または印刷される。駐車場番号118は個々の駐車場に付される固有の番号であり、券番号115は個々の駐車券に付される固有の番号である。発行日時116は、駐車券発行機2が駐車専用の駐車券111を発行した年月日時分であり、すなわち駐車場201に車両が入場した年月日時分である。利用方法の説明117は、駐車場の利用方法等の説明書きであり、予め印刷されている。また、駐車専用の駐車券111の磁気ストライプ部114には、駐車場番号情報、券番号情報、発行日時情報(入場日時情報)およびステータス情報等が磁気データとして記録される。駐車場番号情報、券番号情報および発行日時情報は駐車場番号118、券番号115および発行日時116をそれぞれ磁気データ化したものである。ステータス情報は、駐車専用スペース204に車両を駐車することを許可する旨を示す情報である。
【0049】
一方、駐車給電用の駐車券112の記録媒体上において、磁気ストライプ部114が形成されていない領域には、駐車場番号118、券番号115、発行日時116、利用方法の説明117、第1の給電許可番号121等が印字または印刷される。駐車場番号118、券番号115、発行日時116および利用方法の説明117については駐車専用の駐車券111の駐車場番号118、券番号115、発行日時116および利用方法の説明117と同様であり、上述したとおりである。なお、利用方法の説明117としては、駐車専用の駐車券111と駐車給電用の駐車券112との双方に適合するような説明書き(例えば図9に示すように駐車方法と給電方法とを利用者の希望に応じて場合分けして説明したもの)を予め印刷することが望ましいが、駐車専用の駐車券111に駐車方法の説明のみを予め印刷し、駐車給電用の駐車券112に駐車および給電方法の説明を予め印刷することも可能である。また、第1の給電許可番号121は、駐車給電用の駐車券112のみに印字され、駐車専用の駐車券111には印字されない。第1の給電許可番号121は、後述するように、給電を行うときに利用者が給電器11に入力する番号である。また、駐車給電用の駐車券112の磁気ストライプ部114には、駐車場番号情報、券番号情報、発行日時情報およびステータス情報等が磁気データとして記録される。駐車場番号情報、券番号情報および発行日時情報は駐車場番号118、券番号115および発行日時116をそれぞれ磁気データ化したものである。ステータス情報は、駐車給電スペース205に車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示す情報である。駐車給電用の駐車券112の磁気ストライプ部114に記録されるステータス情報は、駐車専用の駐車券111の磁気ストライプ部に記録されるステータス情報と異なる。後述するように、料金精算機7は、利用者により駐車券挿入口62から挿入された駐車券が、駐車専用の駐車券111であるか、駐車給電用の駐車券112であるかを、駐車券の磁気ストライプ部114に記録されたステータス情報を読み取って判断する。ステータス情報は、このような料金精算機7における判断を可能にする情報であれば特に限定されず、例えば、駐車専用の駐車券111と駐車給電用の駐車券112とで異なる符号(数値、1ないし数ビットのデジタル値等)である。具体的には、駐車専用スペース204に車両を駐車することを許可する旨を示すステータス情報を「0」とし、駐車給電スペース205に車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示すステータス情報を「1」としてもよい。また、ステータス情報を券番号(券番号情報)に結合させてもよく、例えば、駐車専用スペース204に車両を駐車することを許可する旨を示すステータス情報「0」を券番号(券番号情報)「123」に結合して「123−0」とし、また、駐車給電スペース205に車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示すステータス情報「1」を券番号(券番号情報)「456」に結合して「456−1」としてもよい。
【0050】
(入場時の処理)
図10は駐車場管理システム1における車両入場時の処理を示している。図10に示すように、駐車券発行機2は、入場車路202において、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの手前側に埋設された入場ループコイル4の発振状態を車両センサ41で監視している。また、駐車券発行機2は、入場ループコイル4の発振状態を監視しながら、料金精算機7から精算実行情報を受信する処理、精算実行情報に基づいて給電台数カウント値を減少させる処理、および給電台数カウント値と給電台数上限値とを比較してその結果に基づいて表示制御信号を満空車表示灯6に送信する処理を行うが(ステップS22、S23)、これらについては後に詳述する。
【0051】
利用者が車両を入場車路202に進入させると、入場ループコイル4の発振状態が変化する。駐車券発行機2は、車両センサ41でこの変化を検知する(ステップS1:YES)。続いて、駐車券発行機2は、入場案内のための音声ガイドをスピーカ26から出力し、入場案内メッセージを表示器21の画面に表示する(ステップS2)。具体的には、「駐車券発行釦を押して、駐車券をお取りください。定期券をお持ちの方は定期券を入れてください。充電器をご利用になる方は、充電釦を押してください。」というアナウンスと、そのような文字表示をおこなう。続いて、駐車券発行機2は、駐車専用駐車券発行釦22が押下されたか、定期券が挿入されたか、駐車給電用駐車券発行釦23が押下されたかをそれぞれ監視する。
【0052】
利用者により駐車専用駐車券発行釦22が押下されたときには(ステップS3:YES)、駐車券発行機2は、駐車専用の駐車券(図9(1)参照)を発行する(ステップS4)。具体的には、時計回路34から現時点の年月日時分を読み取り、駐車場番号や券番号を駐車券の記録媒体113に印字し、時計回路34から読み取った年月日時分を発行日時として記録媒体113に印字し、印字した駐車場番号、券番号および発行日時に対応する駐車場番号情報、券番号情報および発行日時情報を磁気ストライプ部114に記録し、駐車専用スペース204に車両を駐車することを許可する旨を示すステータス情報を磁気ストライプ部114に記録する。そして、当該駐車券を駐車券発行口24に送る。なお、利用方法の説明117は、駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券として用いる記録媒体113に予め同じ内容が印刷されている。
【0053】
続いて、駐車券発行機2は、発行した駐車専用の駐車券が利用者により抜き取られたか否かを監視する。当該駐車専用の駐車券が利用者により抜き取られた場合には(ステップS5:YES)、駐車券発行機2は、ゲート開閉機制御部39から入場ゲート開閉機3に制御信号を送信し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを開ける(ステップS6)。また、駐車券発行機2は、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの奥側に埋設された入場ループコイル5の発振状態を車両センサ41で監視する。利用者の車両が入場車路202を駐車場201内に向かって移動し、これにより入場ループコイル5の発振状態が変化すると、車両センサ41がこの変化から車両の通過を検知する(ステップS7:YES)。これに応じ、駐車券発行機2は、ゲート開閉機制御部39により入場ゲート開閉機3を制御し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを閉じる(ステップS8)。これにより、一連の入場処理が終了し、次の入場車両についての入場処理を行うために、処理がステップS1に戻る。
【0054】
また、駐車券発行機2がステップS2で入場案内を行った後、駐車専用駐車券発行釦22の押下、定期券の挿入、駐車給電用駐車券発行釦23の押下をそれぞれ監視している間に、利用者が駐車券発行口24に定期券を挿入した場合には(ステップS9:YES)、駐車券発行機2は、当該定期券に記録された情報を読み取って所定の処理を行った後、当該定期券を駐車券発行口24に送り返す。続いて、駐車券発行機2は、当該定期券が抜き取られたか否かを監視し、当該定期券が抜き取られた後に、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを開け、車両通過後に、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを閉じる処理を行う(ステップS5〜S8)。
【0055】
一方、駐車券発行機2がステップS2で入場案内を行った後、駐車専用駐車券発行釦22の押下、定期券の挿入、駐車給電用駐車券発行釦23の押下をそれぞれ監視している間に、利用者が駐車給電用駐車券発行釦23を押下した場合には(ステップS10:YES)、駐車券発行機2は、後に詳述するように、現時点において空いている駐車給電スペース205があるか否かを判断し、空いている駐車給電スペース205がない場合には(ステップS11:NO)、駐車給電スペース205が満車である旨の案内メッセージを表示器21に表示し(ステップS12)、再び、駐車専用駐車券発行釦22の押下、定期券の挿入、駐車給電用駐車券発行釦23の押下をそれぞれ監視する処理に戻る。
【0056】
一方、空いている駐車給電スペース205がある場合には(ステップS11:YES)、駐車券発行機2は、駐車給電用の駐車券(図9(2)参照)を発行する(ステップS13)。具体的には、時計回路34から現時点の年月日時分を読み取り、後述するように第1の給電許可番号を生成し、駐車場番号や券番号を駐車券の記録媒体113に印字し、時計回路34から読み取った年月日時分を発行日時として記録媒体113に印字し、生成した第1の給電許可番号を記録媒体113に印字する。続いて、印字した駐車場番号、券番号および発行日時に対応する駐車場番号情報、券番号情報および発行日時情報を磁気ストライプ部114に記録し、駐車給電スペース205に車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示すステータス情報を磁気ストライプ部114に記録する。そして、当該駐車券を駐車券発行口24に送る。なお、利用方法の説明117は前述のとおり、駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券として用いる記録媒体113に予め同じ内容が印刷されている。
【0057】
ここで、駐車券発行機2は、駐車給電用の駐車券を発行するときに時計回路34から読み取った年月日時分を変数として所定の演算方法により演算を行い、駐車給電用の駐車券に印字するための第1の給電許可番号を生成する。例えば、駐車給電用の駐車券を発行するときに時計回路34から読み取った年月日時分が2010年12月6日8時45分であったとすると、この年月日時分を文字列「201012060845」に変換し、ハッシュ関数を用いてこの文字列のハッシュ値を得て、当該ハッシュ値の下4桁を第1の給電許可番号とする。これにより、駐車給電用の駐車券の発行年月日時分が変化すれば第1の給電許可番号も変化するため、駐車給電用の駐車券を発行するごとに、異なる第1の給電許可番号が生成される。なお、第1の給電許可番号を生成するに当たり、駐車給電用の駐車券を発行するときの年月日時分に対応する文字列に、券番号に対応する文字列を結合したもののハッシュ値を得るようにしてもよい。また、年月日時分を示す数字の連なりを1つの数値として扱い、この数値を所定の関数に代入して得た数値を第1の給電許可番号として用いてもよい。
【0058】
駐車給電用の駐車券を発行した後、駐車券発行機2は、発行した駐車給電用の駐車券が利用者により抜き取られたか否かを監視する。当該駐車給電用の駐車券が利用者により抜き取られた場合には(ステップS14:YES)、駐車券発行機2は、ゲート開閉機制御部39から入場ゲート開閉機3に制御信号を送信し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを開ける(ステップS15)。また、駐車券発行機2は、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの奥側に埋設された入場ループコイル5の発振状態を車両センサ41で監視する。利用者が車両を駐車場201内に向けて移動させ、これにより入場ループコイル5の発振状態が変化すると、車両センサ41がこの変化から車両の通過を検知する(ステップS16:YES)。これに応じ、駐車券発行機2は、ゲート開閉機制御部39により入場ゲート開閉機3を制御し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを閉じる(ステップS17)。続いて、駐車券発行機2は、給電台数カウント値を1増加させた後、給電台数カウント値と給電台数上限値とを比較してその結果に基づいて表示制御信号を満空車表示灯6に送信する処理を行うが(ステップS18、S19)、これらについては後に詳述する。これにより、一連の入場処理が終了し、次の入場車両についての入場処理を行うために、処理がステップS1に戻る。
【0059】
以上のような、駐車場管理システム1における入場時の処理によれば、利用者は、駐車専用駐車券発行釦22および駐車給電用駐車券発行釦23のいずれか一方を選択するだけで、駐車専用の駐車券および駐車給電用の駐車券のうち、車両への給電を行うか否かに応じた適切な駐車券を容易にかつ確実に受け取ることができる。
【0060】
(給電時の処理)
駐車専用の駐車券の発行を受けて車両を駐車場201内に入場させた利用者は、車両を駐車専用スペース204に駐車する。一方、駐車給電用の駐車券の発行を受けて車両を駐車場201内に入場させた利用者は、車両を駐車給電スペース205に駐車し、給電器11により車両に給電を行う。ここで、車両への給電時の処理は次のとおりである。
【0061】
すなわち、利用者は、車両を駐車給電スペース205に駐車した後、給電器11のテンキー92を操作して、駐車給電用の駐車券に印字された第1の給電許可番号121を給電器11に入力する。給電器11は、まず、利用者により入力された給電許可番号121の入力完了日時、すなわち現時点の日時を変数として所定の演算方法により演算を行い、第2の給電許可番号を生成する。具体的には、給電器11は、駐車券発行機2が第1の給電許可番号121の生成した演算方法と同一の演算方法で第2の給電許可番号を生成する。すなわち、給電器11は、利用者により入力された給電許可番号121の入力完了日時(年月日時分)を時計回路107から読み取り、この読み取った年月日時分を文字列に変換し、駐車券発行機2が第1の給電許可番号121の生成に用いたハッシュ関数と同一のハッシュ関数を用いて当該年月日時分の文字列のハッシュ値を得て、当該ハッシュ値の下4桁を第2の給電許可番号とする。これにより、利用者が正規に発行された駐車給電用の駐車券に印字された給電許可番号121を入力し、その入力完了日時が駐車券発行機2により駐車給電用の駐車券が発行された日時と合致すれば、当該駐車券に印字された第1の給電許可番号121と同一の第2の給電許可番号が給電器11により生成される。一方、利用者が正規に発行された駐車給電用の駐車券に印字された給電許可番号121ではない数値を入力した場合には、その入力完了日時が駐車券発行機2により駐車給電用の駐車券が発行された日時と合致していても、当該駐車券に印字された第1の給電許可番号121とは異なる第2の給電許可番号が給電器11により生成される。次に、給電器11は、利用者により入力された第1の給電許可番号、すなわち駐車給電用の駐車券に印字された第1の給電許可番号121と、生成した第2の給電許可番号とを照合し、照合の結果、第1の給電許可番号121と第2の給電許可番号とが一致した場合に、給電を許可する。続いて、利用者は、給電コネクタ94を車両に接続し、給電開始釦93を押下する。これにより、給電制御部105が動作し、給電器11による車両への給電が行われる。一方、利用者により入力された第1の給電許可番号121と、生成した第2の給電許可番号とが一致しない場合には、給電器11は給電を許可しない。この場合、利用者が給電コネクタ94を車両に接続し、給電開始釦93を押下しても、給電が行われない。なお、第2の給電許可番号を給電器11により生成するにあたり、現在の日時(年月日時分)から、少なくとも5分程度遡った過去の日時の文字列を分単位に生成し、複数の第2の給電許可番号を生成しておき、利用者により入力された第1の給電許可番号とそれら複数の第2の給電許可番号のそれぞれと照合し、照合の結果、第1の給電許可番号121といずれかの複数の第2の給電許可番号とが一致した場合に、給電を許可することとするのがよい。これにより、上述の駐車給電の駐車券等に利用方法の説明117として印刷されている、「5分以内に・・・」の文言と関連させて、その時間内に利用者が第1の給電許可番号を入力完了すれば、給電を許可することができる。
【0062】
以上のような、駐車場管理システム1における給電時の処理によれば、利用者が車両への給電を行ったにもかかわらず給電料金の支払を免れるといった不正行為を防止することができる。すなわち、駐車専用の駐車券には第1の給電許可番号121が印字されていない。また、第1の給電許可番号121は、駐車給電用の駐車券の発行日時のハッシュ値であるため、例えば利用者が、駐車専用の駐車券に印字された発行日時から第1の給電許可番号121を予測することはきわめて困難である。したがって、駐車のみの利用者は給電器11により車両への給電を行うことができない。これにより、利用者が、駐車のみの利用を装って車両への給電を行い、給電料金の支払いを免れるといった不正行為を防止することができる。また、駐車給電用の駐車券の発行日時が変化すれば、当該駐車券に印字された第1の給電許可番号121が変化し、この結果、駐車給電用の駐車券を発行するごとに、異なる第1の給電許可番号121が印字されるので、駐車給電用の駐車券を受け取った者が、その駐車券に印字された第1の給電許可番号121を給電器11に入力して車両への給電を一度行った後に、後日、同一の第1の給電許可番号121を再びあるいは繰り返し給電器11に入力して車両への給電を再びあるいは繰り返し行い、2度目以降の充電について給電料金の支払いを免れるといった不正行為を防止することができる。
【0063】
なお、給電後または給電中に、利用者が車両から給電コネクタ94を外した場合には、第1の給電許可番号121を給電器11に再度入力しても給電が再開されないようにしてもよい。これにより、駐車給電用の駐車券の発行を受けて1台の車両を駐車場201内に入場させ、その後、駐車場201内において、駐車給電用の駐車券の発行を受けずに入場した他の車両に給電を行うことで、当該他の車両への給電について給電料金を免れるといった不正行為を防止することができる。
【0064】
(出場時の処理)
駐車または給電を終えた利用者が車両を出場車路203へ進入させると、出場ループコイル9の発振状態が変化する。料金精算機7は、車両センサ82でこの変化を検知し、続いて、精算案内のための音声ガイドをスピーカ75から出力し、精算案内メッセージを表示器61の画面に表示する。これに応じ、利用者が駐車専用の駐車券を所持している場合には、当該駐車専用の駐車券を駐車券挿入口62に挿入し、利用者が駐車給電用の駐車券を所持している場合には、当該駐車給電用の駐車券を駐車券挿入口62に挿入する。続いて、料金精算機7は精算処理を開始する。
【0065】
精算処理において、料金精算機7は、利用者が挿入した駐車券の磁気ストライプ部114に記録された発行日時情報と、精算時点において料金精算機7の時計回路74から読み取った精算日時(年月日時分)とに基づいて駐車時間を算出する。さらに、料金精算機7は、利用者が挿入した駐車券の磁気ストライプ部114に記録されたステータス情報に基づいて、当該駐車券が駐車専用の駐車券であるか、駐車給電用の駐車券であるかを判断する。なお、駐車場番号情報および券番号情報は、他の駐車場の駐車券を使用したり、駐車券を発行した際に駐車場に入場せずに駐車券のみを持ち帰って使いまわす不正行為を防止するための無効な券番号情報として利用されるが、詳細な説明は省略する。続いて、料金精算機7は、当該駐車券が駐車専用の駐車券である場合には、算出した駐車時間および所定の駐車料金体系(第1の料金体系)に基づいて駐車料金の額を算定する。一方、料金精算機7は、当該駐車券が駐車給電用の駐車券である場合には、算出した駐車時間および所定の駐車給電料金体系(第2の料金体系)に基づいて駐車給電料金の額を算定する。ここで、上記駐車給電料金体系における単位時間当たりの駐車給電料金の額は、駐車料金に給電料金を加味し、上記駐車料金体系における単位時間当たりの駐車料金の額よりも高く設定されている。例えば、上記駐車料金体系における1時間当たりの駐車料金の額は300円であるのに対し、上記駐車給電料金体系における1時間当たりの駐車給電料金の額は600円である。なお、駐車給電料金体系における単位時間を駐車料金体系における単位時間よりも短くしてもよい。例えば、駐車料金体系では1時間単位で料金を増加させるのに対し、駐車給電料金体系では、30分単位または15分単位で料金を増加させてもよい。
【0066】
続いて、料金精算機7は、算定した料金の額を表示器61に表示する。これに応じ、利用者が料金の支払を行った場合には、料金精算機7は、ゲート開閉機制御部81から出場ゲート開閉機8に制御信号を送信し、出場ゲート開閉機8のゲートバー8Aを開ける。そして、利用者が車両を駐車場201外に向けて移動させ、これにより出場ループコイル10の発振状態が変化し、車両センサ82がこの変化から車両の通過を検知したとき、料金精算機7は、ゲート開閉機制御部81により出場ゲート開閉機8を制御し、出場ゲート開閉機8のゲートバー8Aを閉じる。続いて、料金精算機7は、駐車給電用の駐車券を挿入した利用者、すなわち、駐車給電スペース205に駐車しながら車両への給電を行った利用者について精算を行った場合には、その旨を示す精算実行情報を駐車券発行機2に送信する。
【0067】
以上のような、駐車場管理システム1における出場時の処理によれば、料金精算機7に挿入された駐車券に記録されたステータス情報に基づいて当該駐車券が駐車専用の駐車券であるか、駐車給電用の駐車券であるかを判断し、この判断結果に応じて、駐車のみの利用者に対しては駐車料金体系による料金の精算を行い、駐車しながら車両への給電を行った利用者に対しては駐車給電料金体系による料金の精算を行うことができる。これにより、給電を行った利用者に対する給電料金の徴収を容易に行うことができる。
【0068】
(満空車管理処理)
駐車場管理システム1は、上述した入場時の処理および出場時の処理において、駐車給電スペース205の空き状況を監視し、駐車給電スペース205の空き状況を満空車表示灯6に表示させ、また、空いている駐車給電スペース205がない場合には駐車給電用の駐車券の発行を行わない満空車管理処理を行う。
【0069】
すなわち、図10に示すように、駐車券発行機2は、ステップS18で、駐車給電用の駐車券を発行するごとに、メモリ32に記憶された給電台数カウント値を1増加させる。一方、駐車券発行機2は、入場ループコイル4の発振状態を監視しながら、ステップS22で料金精算機7からの精算実行情報の受信を監視している。また、料金精算機7は、駐車しながら車両への給電を行った利用者が駐車給電用の駐車券を挿入して精算を行った場合に、その旨を示す精算実行情報を駐車券発行機2に送信する。そして、駐車券発行機2は、料金精算機7から精算実行情報を受信したとき、給電台数カウント値を1減少させる。このようにして、駐車券発行機2は、給電台数カウント値を用いて、駐車給電スペース205に駐車される車両の台数をカウントしている。そして、駐車券発行機2は、給電台数カウント値が増加した直後に、給電台数カウント値と、メモリ32に記憶された所定の給電台数上限値とを比較する。給電台数上限値は、駐車場201における駐車給電スペース205の個数に対応する。給電台数カウント値が給電台数上限値に達した場合には、駐車券発行機2は、図10中のステップS23で、満空車表示灯6により駐車給電スペース205が満車になったことを表示させる旨の表示制御信号を満空車表示灯6に送信する。一方、駐車券発行機2は、給電台数カウント値が減少した直後に、給電台数カウント値と所定の給電台数上限値とを比較し、給電台数カウント値が給電台数上限値を下回った場合には、図10中のステップS19で、満空車表示灯6により駐車給電スペース205に空きがあることを表示させる旨の表示制御信号を満空車表示灯6に送信する。
【0070】
さらに、駐車券発行機2は、利用者が駐車給電用駐車券発行釦23を押下したときに、給電台数カウント値が給電台数上限値に達している場合には、駐車給電用の駐車券を発行しない(図10中のステップS11:NO)。そして、空いている駐車給電スペース205がない旨を利用者に伝えるために、図10中のステップS12で、例えば「駐車給電スペースは満車ですので、ただいまご利用できません。」といった案内メッセージを表示器21に表示する。
【0071】
以上のような、駐車場管理システム1の満空車管理処理によれば、空いている駐車給電スペース205がないにもかかわらず駐車給電用の駐車券を発行してしまうことを防止することができる。また、利用者は、満空車表示灯6を見ることにより、駐車場201に入場する前に、駐車給電スペース205の空き状況を把握することができる。なお、同様の方法により駐車専用スペース204について満空車管理を行うことが可能である。

【0072】
また、以上のような、駐車場管理システム1の入場時の処理、給電時の処理、出場時の処理および満空車管理処理を通して見ると、駐車場管理システム1によれば、既存の駐車場に設置された既存の機器、すなわち、既存の駐車券発行機、既存の給電器、既存の料金精算機等を大幅に改造することなく、駐車場への給電器の導入、または駐車場における給電器の増設を、容易にかつ低コストで実現することができる。具体的には、駐車券発行機については、既存の駐車券発行機に、既存の駐車専用駐車券発行釦に加えて、駐車給電用駐車券発行釦23を設け、そして駐車専用の駐車券に加えて、駐車給電用の駐車券を発行する機能を追加すれば、本発明の実施形態における駐車券発行機2を実現することができる。また、料金精算機については、既存の料金精算機に、駐車券の磁気ストライプ部114に記録されたステータス情報に基づいて駐車専用の駐車券と駐車給電用の駐車券とを識別し、識別結果に応じて、精算に適用する料金体系として駐車料金体系と駐車給電料金体系とのうちのいずれか一方を選択する機能を追加すれば、本発明の実施形態における料金精算機7を実現することができる。また、給電器については、既存の給電器に、利用者がテンキーを用いて第1の給電許可番号121の入力を完了した日時に基づいて第2の給電許可番号を生成すると共に、利用者がテンキーを用いて入力した第1の給電許可番号121と第2の給電許可番号とを照合し、照合結果に基づいて給電開始の制御を行う機能を追加すれば、本発明の実施形態における給電器11を実現することができる。特に、給電器については、給電料金の精算機能も、外部装置と通信を行う通信機能も、駐車給電スペースに駐車した車両を給電料金の精算が完了するまで移動させないようにするフラップ装置等を制御する機能も不要なので、昨今普及が進んでいる基本的な給電機能のみを備えた程度の給電器を利用し、その給電器にソフトウェアを追加する程度の簡易な改造を行うだけで、本発明の実施形態における給電器11を実現することができる。なお、本発明の実施形態における給電器11を実現するには、テンキーを備えた給電器を利用する必要があるが、昨今普及が進んでいる給電器の多くはテンキーが設けられている。すなわち、現在、自治体等が電気自動車の給電用として給電器を実際に設置して利用を開始しているが、給電器の利用に当たり、職員が暗証番号を入力した場合に限り給電が可能となるといった方法や、一般利用者が暗証番号の申請をしてその暗証番号を入力した場合に限り給電が可能となるといった方法を採用しており、このため、昨今普及が進んでいる給電器の多くはテンキーが設けられている。
【0073】
(他の実施形態)
図11は本発明の他の実施形態による駐車場管理システムが適用された駐車場を示し、図12は当該他の実施形態による駐車場管理システムにおける車両入場時の処理を示している。図11において、本発明の他の実施形態による駐車場管理システム301が適用された駐車場401には、場内にフェンス402が設けられ、フェンス402により、駐車場401内において、駐車専用スペース204が形成された領域と、駐車給電スペース205が形成された領域とが仕切られている。これにより、駐車専用スペース204が形成された領域内にある車両が、駐車給電スペース205が形成された領域内に進入することができない。フェンス402は、車両が通過することができない程度の高さのものでよく、仮設用のものであってもよく、駐車場401のレイアウトの変更に応じて自由に変更できるものが望ましい。また、フェンス402によって、駐車場401内には、入場車路202から駐車給電スペース205に通じる場内車路403が形成されている。さらに、場内車路403の入口ないし途中には、場内車路403を開閉する場内ゲート開閉機404が設けられると共に、場内ループコイル405が埋設され、場内ゲート開閉機404および場内ループコイル405はそれぞれ、埋設配線を介して駐車券発行機2に接続されている。
【0074】
駐車場管理システム401において、駐車券発行機2は、駐車専用の駐車券を発行したときには場内車路403を閉じ、駐車給電用の駐車券を発行したときには場内車路403を開くよう場内ゲート開閉機404を制御する。具体的には、図12に示すように、駐車券発行機2は、ステップS4で駐車専用の駐車券を発行し、当該発行した駐車券が利用者により抜き取られたことを認識した後(ステップS5:YES)、上述した駐車場管理システム1における入場処理の場合と同様に、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを開ける。このとき、駐車券発行機2は場内ゲート開閉機404のゲートバー404Aは開けない。続いて、駐車券発行機2は、利用者が駐車専用スペース204の形成された領域内に車両を移動させことを入場ループコイル5および車両センサ41で検知し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aを閉じる(ステップS6〜S8)。一方、駐車券発行機2は、ステップS13で駐車給電用の駐車券を発行し、当該発行した駐車券が利用者により抜き取られたことを認識した後(ステップS14:YES)、ゲート開閉機制御部39から入場ゲート開閉機3および場内ゲート開閉機404に制御信号をそれぞれ送信し、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aおよび場内ゲート開閉機404のゲートバー404Aの双方を開ける(ステップS31)。そして、駐車券発行機2は、入場ゲート開閉機3のゲートバー3Aの奥側に埋設された入場ループコイル5の発振状態、および場内ループコイル405の発振状態を車両センサ41でそれぞれ監視する。利用者が車両を場内車路403に向けて移動させ、これにより入場ループコイル5の発振状態が変化すると、駐車券発行機2は、車両センサ41によりこの変化から車両の通過を検知し(ステップS32:YES)、ゲート開閉機制御部39により入場ゲート開閉機3を制御してゲートバー3Aを閉じる(ステップS33)。さらに、利用者が車両を場内車路403から駐車給電スペース205が形成された領域内に向けて移動させ、これにより場内ループコイル405の発振状態が変化すると、駐車券発行機2は、車両センサ41によりこの変化から車両の通過を検知し(ステップS34:YES)、ゲート開閉機制御部39により場内ゲート開閉機404を制御してゲートバー404Aを閉じる(ステップS35)。
【0075】
以上のような、本発明の他の実施形態による駐車場管理システム301によれば、駐車専用の駐車券の発行を受けて駐車場401内に入場し、駐車専用スペース204に駐車すべき車両が、駐車給電スペース205に駐車してしまうことを防止することができる。これにより、駐車給電用の駐車券を受けて駐車場401内に入場した利用者は、車両を駐車給電スペース205に確実に駐車し、車両への給電を確実に行うことができる。
【0076】
なお、上述した各実施形態では、駐車券発行機2において、駐車専用駐車券発行釦22と駐車給電用駐車券発行釦23との2つの駐車券発行釦を設け、利用者が駐車専用駐車券発行釦22を押下したときには駐車専用の駐車券を発行し、利用者が駐車給電用駐車券発行釦23を押下したときには駐車給電用の駐車券を発行する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、駐車券発行機に単一の駐車券発行釦を設け、利用者が当該駐車券発行釦を押下する態様の違いにより、駐車専用の駐車券を発行するか、駐車給電用の駐車券を発行するかを切り換える構成としてもよい。例えば、利用者が駐車券発行釦を短時間で押下した場合には駐車専用の駐車券を発行し、利用者が当該駐車券発行釦を長時間押し続けた場合には駐車給電用の駐車券を発行する構成としてもよい。また、利用者が駐車券発行釦を1度押しした場合には駐車専用の駐車券を発行し、利用者が当該駐車券発行釦を連続2度押しした場合には駐車給電用の駐車券を発行する構成としてもよい。また、駐車券発行機においてタッチパネルを採用し、駐車券発行釦をタッチパネル上に形成する場合には、利用者が駐車券発行釦をワンクリックした場合には駐車専用の駐車券を発行し、利用者が当該駐車券発行釦をダブルクリックした場合には駐車給電用の駐車券を発行する構成としてもよい。
【0077】
また、上述した各実施形態において、次のような構成を採用することで、定期券の利用者でも、車両への給電を行うことが可能になる。すなわち、車両への給電を希望する定期券の利用者は、定期券を駐車券発行機2に挿入し、駐車券発行機2からの定期券の返却を受けた後、駐車券発行機2の駐車給電用駐車券発行釦23を押下する。これに応じ、駐車券発行機2は定期券利用者給電用の駐車券を発行する。この定期券利用者給電用の駐車券の磁気ストライプ部には、定期券で入場した利用者の車両への給電を許可する旨のステータス情報が記録される。精算時において、料金精算機7は、定期券利用者給電用の駐車券に記録された当該ステータス情報を読み取り、定期券を利用しないで駐車場を利用した者に適用する上述した料金体系とは別の定期券利用者用の料金体系に基づいて精算を行う。また、定期券利用者給電用の駐車券の発行を受けた定期券利用者が精算の際に、定期券のみで出場しようとしても、料金精算機7は定期券利用者給電用の駐車券を読み取って精算するまでは出場車路のゲートバーを開けないようにすればよい。
【0078】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車場管理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、比較的小規模な駐車場であって、駐車場の一部の駐車スペースに給電器を設置し、駐車中の電気自動車に給電を行うことを可能にした駐車場に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1、301 駐車場管理システム
2 駐車券発行機
3 入場ゲート開閉機(第1のゲート開閉機)
6 満空車表示灯
7 料金精算機
11 給電器
22 駐車専用駐車券発行釦(駐車券選択手段、第1の発行釦)
23 駐車給電用駐車券発行釦(駐車券選択手段、第2の発行釦)
31 駐車券発行機のCPU(駐車券発行手段、第1の番号生成手段、空きスペース判断手段、ゲート制御手段)
38 駐車券発行機の通信部(受信手段)
71 料金精算機のCPU(精算手段)
80 料金精算機の通信部(送信手段)
92 テンキー(数値入力手段)
101 給電器のCPU(第2の番号生成手段、給電制御手段)
111 駐車専用の駐車券
112 駐車給電用の駐車券
114 磁気ストライプ
121 第1の給電許可番号
201、401 駐車場
202 入場車路
204 駐車専用スペース
205 駐車給電スペース
403 場内車路
404 場内ゲート開閉機(第2のゲート開閉機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駐車させる駐車専用スペースと、車両を駐車させると共に当該車両に給電を行う駐車給電スペースとを有する駐車場を管理する駐車場管理システムであって、
駐車券発行機と、料金精算機と、前記駐車給電スペースに駐車された車両に給電を行う給電器とを備え、
前記駐車券発行機は、前記駐車専用スペースに車両を駐車することを許可する旨を示すステータス情報が少なくとも記録された駐車専用の駐車券と、前記駐車給電スペースに車両を駐車すると共に当該車両に給電を行うことを許可する旨を示すステータス情報が少なくとも記録された駐車給電用の駐車券とを発行する駐車券発行手段と、前記駐車券発行手段により前記駐車専用の駐車券を発行するか前記駐車給電用の駐車券を発行するかを利用者に選択させる駐車券選択手段とを備え、
前記料金精算機は、前記駐車券発行手段により発行された駐車券を利用者から受け取り、当該受け取った駐車券に記録された前記ステータス情報に基づいて当該受け取った駐車券が前記駐車専用の駐車券であるか前記駐車給電用の駐車券であるかを判断し、当該受け取った駐車券が前記駐車専用の駐車券である場合には第1の料金体系に基づいて精算を行い、当該受け取った駐車券が前記駐車給電用の駐車券である場合には前記第1の料金体系とは異なる第2の料金体系に基づいて精算を行う精算手段を備えていることを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記駐車券選択手段は、前記駐車専用の駐車券を発行する第1の発行釦と、前記駐車給電用の駐車券を発行する第2の発行釦とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記駐車券選択手段は、発行釦を備え、前記発行釦が第1の押下態様で押下されたときには前記駐車専用の駐車券を発行し、前記発行釦が第2の押下態様で押下されたときには前記駐車給電用の駐車券を発行することを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記駐車券発行機は、所定の演算方法により第1の給電許可番号を生成する第1の番号生成手段を備え、前記駐車券発行手段は前記第1の番号生成手段により生成された第1の給電許可番号が印字された前記駐車給電用の駐車券を発行し、
前記給電器は、前記所定の演算方法と同一の演算方法により第2の給電許可番号を生成する第2の番号生成手段と、前記駐車給電用の駐車券に印字された第1の給電許可番号を利用者に入力させる数値入力手段と、前記数値入力手段により入力された第1の給電許可番号と前記第2の番号生成手段により生成された第2の給電許可番号とが一致したときに給電を許可し、前記数値入力手段により入力された第1の給電許可番号と前記第2の番号生成手段により生成された第2の給電許可番号とが一致しないときには給電を許可しない給電制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
前記第1の番号生成手段は、少なくとも前記駐車給電用の駐車券の発行日時を変数として演算を行うことにより前記第1の給電許可番号を生成し、
前記第2の番号生成手段は、前記数値入力手段により入力された前記第1の給電許可番号の入力日時を変数として演算を行うことにより前記第2の給電許可番号を生成することを特徴とする請求項4に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
前記料金精算機は、前記駐車給電用の駐車券についての精算を行った旨を示す精算実行情報を前記駐車券発行機に送信する送信手段を備え、
前記駐車券発行機は、前記料金精算機の前記送信手段から送信された前記精算実行情報を受信する受信手段と、前記駐車給電用の駐車券の発行回数および前記受信手段により受信した前記精算実行情報に基づいて、空いている前記駐車給電スペースがあるか否かを判断する空きスペース判断手段とを備え、
前記駐車券発行手段は、前記空きスペース判断手段の判断結果により、空いている前記駐車給電スペースがない場合には前記駐車給電用の駐車券を発行しないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【請求項7】
前記駐車給電スペースの空き状況を表示する満空車表示灯を備え、
前記駐車券発行機は、前記空きスペース判断手段の判断結果に基づいて、前記満空車表示灯による前記駐車給電スペースの空き状況の表示を制御するための表示制御信号を前記満空車表示灯に送信し、
前記満空車表示灯は、前記駐車券発行機から送信された表示制御信号に従って前記駐車給電スペースの空き状況を表示することを特徴とする請求項6に記載の駐車場管理システム。
【請求項8】
前記駐車場の入場車路を開閉する第1のゲート開閉機と、
前記駐車場内において前記駐車給電スペースに通じる場内車路を開閉する第2のゲート開閉機とを備え、
前記駐車券発行機は、前記駐車券発行手段により前記駐車専用の駐車券が発行されたときには前記入場車路を開きかつ前記場内車路を閉じ、前記駐車券発行手段により前記駐車給電用の駐車券が発行されたときには前記入場車路および前記場内車路の双方を開くように前記第1のゲート開閉機および前記第2のゲート開閉機を制御するゲート制御手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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