駐車支援装置
【課題】ドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定可能な駐車支援装置を提供する。
【解決手段】車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを、車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部を有し、駐車可能領域Gを含み、車両90の周辺の情景が撮影された撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、領域検出部により検出された駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する全ての位置に駐車目標候補Hを示すグラフィック画像を重畳させ、車両90の運転装置51からの指示入力に基づいて駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択可能とする。
【解決手段】車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを、車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部を有し、駐車可能領域Gを含み、車両90の周辺の情景が撮影された撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、領域検出部により検出された駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する全ての位置に駐車目標候補Hを示すグラフィック画像を重畳させ、車両90の運転装置51からの指示入力に基づいて駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車時の運転操作を支援する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車時の運転操作を支援する駐車支援装置として、設定された駐車目標位置に対して自動的に操舵を行って車両を誘導するシステムや、ドライバーに操舵方向や操舵量を指示するシステムなどが実用化されている。従来、駐車目標位置の設定に際しては、車内に設けられた設定スイッチやタッチパネル付きのモニタ装置などの入力手段をドライバーが操作する必要があった。これに対し、これら通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく駐車目標位置を設定可能な駐車支援装置が提案されている。特開2008−201363号公報(特許文献1)には、ドライバーによるステアリングホイールの操作に基づいて駐車形態及び駐車目標位置を設定する駐車支援装置が記載されている。これによれば、ステアリングホイールが左右の何れかに所定量以上操作された際には、左右何れかへの車庫入れ駐車に対応する駐車目標位置が設定される。ステアリングホイールが左右の何れにも所定量以上操作されない場合には、左方向への縦列駐車に対応する駐車目標が設定される(特許文献1:図5及び図9、第27〜36段落等。)。
【0003】
但し、設定される駐車目標位置は、駐車支援装置が車両の位置に対して自動的に設定したものである(特許文献1:図7等)。このため、ドライバーは車両に対する駐車目標位置を高い自由度で選択することはできない。例えば、ショッピングセンターの駐車場などにおいて複数の駐車区画が空いており、出入り口に近い区画に駐車したい場合であっても、車両との位置関係においてドライバーが所望する区画とは異なる区画が設定される場合がある。つまり、特許文献1の駐車支援装置は、複数の駐車目標位置を選択可能ではあっても、それらは駐車形態と駐車目標位置とが1対1で対応したものである。即ち、駐車形態は選択可能ではあっても、各駐車形態において駐車目標位置は一義的に定められ、任意の駐車目標位置が選択可能なものではない。
【0004】
尚、駐車目標位置の設定は、特許文献1のように車両の位置に対して設定されるものには限定されない。例えば、特開2007−290557号公報(特許文献2)に記載されているように、ソナーなどを利用して走行中に空き空間を検出する方法や、駐車区画を示す白線を画像認識する方法などもある(特許文献2:図2、図5、第27、第45段落等)。しかし、何れもドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく任意の駐車目標位置を簡単に設定できるものではない。特許文献2では、第1目標駐車位置と第2目標位置とが選択可能とされており、ソナーなどを利用して走行中に検出した空き空間と、白線を画像認識した駐車区画とが選択可能である。しかし、この選択は検出結果の確からしさに基づいて、駐車支援装置が自動的に行うものでもあり、ドライバーが任意に所望の駐車目標位置を設定可能なシステムではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−201363号公報
【特許文献2】特開2007−290557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景に鑑みて、ドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定可能とすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みた本発明に係る駐車支援装置の特徴構成は、
車両を駐車可能な駐車可能領域を、前記車両の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部と、
前記車両の周辺の情景が撮影された撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、前記領域検出部により検出された前記駐車可能領域が前記撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補を示すグラフィック画像を重畳させる表示制御部と、
前記車両の運転装置からの指示入力に基づいて前記駐車目標候補の内の1つを駐車目標として選択可能な選択部と、を備える点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、ドライバーは、通常の運転操作の姿勢を大きく崩すことなく、所望の駐車位置を選択することができる。例えばタッチパネルなどを改めて操作することなく、通常の運転操作に準じた操作により駐車位置を選択することができる。
【0009】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記車両に対して左右の少なくとも一方において複数存在する前記駐車目標候補の内の1つを前記駐車目標として選択可能であると好適である。ドライバーは車両の左右の内、車両を停めたい方向において複数の駐車位置が空いている場合に、所望の駐車位置を選択することができる。例えば、ショッピングセンターなどにおいて入り口に近い位置に駐車したい場合に有用である。
【0010】
ここで、前記運転装置は、前記車両の操舵装置であると好適である。車両を運転する際、ドライバーは操舵装置を保持しているから、所望の駐車位置を選択するに際して無駄が無く、操作が非常に簡便となる。また、駐車の際には車両を旋回させるための操舵が必要であるが、その際の操舵の少なくとも一部を駐車目標位置の選択の際に実行することができる。つまり、車両が動き始める際の初期舵角の幾分かを、駐車目標位置の選択の際に進めておくことができるので、駐車目標位置を選択した後の駐車に要する時間が短縮される。
【0011】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。特に、前記領域検出部が前記車両の左右両方において前記駐車可能領域を検出した場合、前記選択部は、検出された前記駐車可能領域に対応する前記駐車目標候補の内、前記操舵装置の操舵方向に対応した方向の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。上述したように、駐車の際には車両を旋回させるための操舵が必要であるが、その際の操舵方向に基づいて、駐車目標位置を選択することができる。駐車目標位置の選択の際の操舵は、車両が動き始める際の初期舵角の幾分かに充当できるので、駐車目標位置を選択した後の駐車に要する時間が短縮される。
【0012】
尚、車両の左右両方において駐車可能領域が検出されていない場合、つまり、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域が検出されている場合であっても、操舵装置による操舵方向に存在する駐車目標候補が選択されてもよい。即ち、車両の左右両方において駐車可能領域が検出されているか否かに拘わらず、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択するものであってよい。この場合、駐車可能領域が検出されていない方向へ操舵された際には何れの駐車目標候補も選択されず、駐車可能領域が検出されている方向へ操舵された際に何れかの駐車目標候補が選択されることになる。これにより、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域が検出されている場合であっても、車両を旋回させるための操舵方向と同じ方向への操舵によって駐車目標を選択することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置の操作量に基づき、当該操作量が多いほど前記車両に近い位置の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。操舵装置の操舵量が大きいと車両はより大きく旋回する。このため、より車両に近い位置への駐車に好適となる。従って、操作量が多いほど車両に近い位置の駐車目標候補を駐車目標として選択すると好適である。特に、この操作量(操舵量)による選択と上述した操舵方向による選択とを組み合わせることによって、駐車のための操作(操舵)と、駐車目標の選択のための操作(操舵)とが良好に適合される。従って、ドライバーは、広範な範囲において検出された駐車可能領域に対応する駐車目標候補から、通常の運転操作に準じた操作により所望の駐車目標を選択することが可能となる。即ち、ドライバーは通常の運転操作に用いる運転装置を入力手段として、高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両のシステム構成の一例を模式的に示すブロック図
【図2】駐車支援装置の機能構成の一例を模式的に示すブロック図
【図3】空き領域を検出する例を示す説明図
【図4】表面形状情報の一例を示す説明図
【図5】駐車場において空き領域を検出する例を示す説明図
【図6】空き領域の検出結果の一例を示す説明図
【図7】駐車可能領域の検出結果の一例を示す説明図
【図8】区画線を画像認識する原理を表示画像を用いて説明する図
【図9】駐車目標候補の表示例を示す図
【図10】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例1を示す図
【図11】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例2を示す図
【図12】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例3を示す図
【図13】駐車目標候補を選択する処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る駐車支援装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、駐車支援装置10には、画像認識や進路予想などの高度な演算処理を行い、駐車支援装置10の中核を担うCPU(central processing unit)5が備えられている。CPU5は、プログラムメモリ6に格納されたプログラムやパラメータを利用して各種演算処理を実行する。また、CPU5は、必要に応じてワークメモリ7に一次的に撮影画像などを格納して演算を実行する。ここでは、プログラムメモリ6やワークメモリ7が、CPU5とは別のメモリである例を示しているが、CPU5と同一のパッケージ内に集積されていてもよい。駐車支援装置10は、CPU5やメモリ、その他の周辺回路と共に、運転支援ECU(electronic control unit)9として構成される。駐車支援装置10の各機能部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。本例では、CPU5を中核としたが、駐車支援装置10は、DSP(digital signal processor)など、他の論理演算プロセッサや論理回路を中核として構成されてもよい。
【0016】
図1に示すように、カメラ1(車載カメラ)により撮影された画像は、スーパーインポーズ部2a、グラフィック描画部2b、フレームメモリ2cなどを有する画像処理モジュール2を介して、モニタ装置4に表示される。画像処理モジュール2は、CPU5やプログラムメモリ6などと同様に、本発明の撮影画像取得部15並びに表示制御部17として機能する(図2参照。)。カメラ1は、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)などの撮像素子を用いて、毎秒15〜30フレームの2次元画像を時系列に撮影し、デジタル変換して動画データ(撮影画像)を出力するデジタルカメラである。各フレームの2次元画像は、フレームメモリ2cに格納され、フレームごとに画像処理やグラフィックの重畳を施されることが可能である。グラフィック描画部2bへの描画指示や、スーパーインポーズ部2aへのグラフィック重畳指示は、CPU5から発せられる。
【0017】
モニタ装置4は、例えば、ナビゲーションシステムのモニタ装置が兼用される。図1に示すように、モニタ装置4は、表示部4aと、表示部4aに形成されたタッチパネル4bと、スピーカ4cとを有している。表示部4aは、画像処理モジュール2から提供されるカメラ1の撮影画像や、グラフィック画像、それらが合成された合成画像などを表示する。一例として、表示部4aは液晶ディスプレイによって構成される。タッチパネル4bは、表示部4aと共に形成され、指などによる接触位置をロケーションデータとして出力することができる感圧式や静電式の指示入力装置である。図1においては、スピーカ4cは、モニタ装置4に備えられている場合を例示しているが、スピーカ4cはドアの内側など、他の場所に備えられても良い。スピーカ4cは、CPU5の指示に応じて音声処理モジュール3から提供される音声を出力する。尚、CPU5は、単純にブザー8を介して報知音を鳴らす場合もある。
【0018】
CPU5は、図1において符号50で示す車内ネットワークを介して種々のシステムやセンサと通信可能に接続されている。本実施形態においては、車内ネットワークとしてCAN(controller area network)50を例示している。図1に示すように、駐車支援装置10(CPU5)は、車内のパワーステアリングシステム31やブレーキシステム37と接続される。これら各システムは、駐車支援装置10と同様にCPUなどの電子回路を中核として構成され、運転支援ECU9と同様に周辺回路と共に構成されたECUを中核として構成される。
【0019】
パワーステアリングシステム31は、電動パワーステアリング(EPS : electric power
steering)システムやSBW(steer-by-wire)システムである。このシステムは、ドライバーにより操作されるステアリングホイールにアクチュエータ41によりアシストトルクを付加する他、ステアリングホイールや操舵輪をアクチュエータ41により駆動することによって自動操舵を行う。ブレーキシステム37は、ブレーキのロックを抑制するABS(anti lock braking system)や、コーナリング時の車両の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC : electronic stability control)、ブレーキ力を増強させるブレーキアシストなどを有した電動ブレーキシステムや、BBW(brake-by-wire)システムである。このシステムは、アクチュエータ47を介して車両90に制動力を付加することができる。
【0020】
図1において、各種センサの一例として、ステアリングセンサ21や車輪速センサ23、シフトレバースイッチ25、アクセルセンサ29がCAN50に接続されている。ステアリングセンサ21は、ステアリングホイールの操舵量(回転角度)を検出するセンサであり、例えばホール素子などを用いて構成される。駐車支援装置10は、ドライバーによるステアリングホイールの操舵量や、自動操舵時の操舵量をステアリングセンサ21から取得して各種制御を実行する。
【0021】
車輪速センサ23は、車両90の車輪の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサであり、例えばホール素子などを用いて構成される。駐車支援装置10は、車輪速センサ23から取得した情報に基づいて車両90の移動量などを演算し、各種制御を実行する。車輪速センサ23は、ブレーキシステム37に備えられている場合もある。ブレーキシステム37は、左右の車輪の回転差などからブレーキのロックや、車輪の空回り、横滑りの兆候などを検出して、各種制御を実行する。車輪速センサ23がブレーキシステム37に備えられている場合には、駐車支援装置10は、ブレーキシステム37を介して情報を取得する。ブレーキセンサ27は、ブレーキペダルの操作量を検出するセンサであり、駐車支援装置10は、ブレーキシステム37を介して情報を取得する。駐車支援装置10は、例えば、自動操舵中にブレーキペダルが踏み込まれたような場合に、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。
【0022】
シフトレバースイッチ25は、シフトレバーの位置を検出するセンサ又はスイッチであり、変位センサなどを用いて構成される。駐車支援装置10は、例えば、シフトがリバースにセットされた場合に支援制御を開始したり、リバースから前進に変更された場合に支援制御を終了させたりすることができる。
【0023】
また、ステアリングホイールへの操作トルクを検出するトルクセンサ22は、ドライバーがステアリングホイールを握っているか否かについても検出することが可能である。駐車支援装置10は、自動操舵中にドライバーがステアリングホイールを操作するために強く握った場合などに、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。また、自動操舵時には、一般的にエンジンのアイドリングによる車両90のクリーピングが利用される。従って、ドライバーがアクセルを操作したことがアクセルセンサ29により検出された場合、駐車支援装置10は、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。
【0024】
図1に示す各種システムやセンサ、これらの接続形態については一例であり、他の構成や接続形態が採用されてもよい。また、上述したように、センサは直接CAN50に接続されても良いし、種々のシステムを介して接続されてもよい。
【0025】
上述したように、駐車支援装置10は、CPU5を中核として構成され、プログラムメモリ6に格納されたプログラム(ソフトウェア)と協働して駐車支援のための種々の演算を実施する。駐車支援の種類としては、
(1)車内に搭載されたモニタ上に車両後方の映像を映し出すと共に、車幅延長線や予想進路線などのガイド線を重畳表示させるもの、
(2)駐車目標を設定し、音声などによりドライバーの操作を指示して誘導するもの、
(3)さらに、ドライバーが速度調整だけを担い、自動操舵により駐車目標へ誘導するもの、などがある。(2)及び(3)では、駐車目標が設定されるが、この駐車目標の検出についても、様々な手法がある。例えば、
(a)駐車目標位置を通過した際に、ソナー(クリアランスソナー33)などで空き領域を検出して自動認識し、駐車目標を検出するもの、
(b)例えば区画線を画像認識して駐車目標を検出するもの、
(c)精度向上のために、上記(a)や(b)など複数の手法を複合させたもの、
などがある。
【0026】
本実施形態では、上記(3)のように、ドライバーが速度調整だけを担い、自動操舵により駐車目標へ車両を誘導する駐車支援装置を例として説明する。また、本実施形態では、上記(c)のように、ソナー等による空き領域検出と、区画線の画像認識とを複合させて駐車目標を検出する構成を例として説明する。しかし、当然ながら、ドライバーが手動で操舵するような駐車支援装置において本発明を適用することも可能である。また、ソナーや撮影画像を単独で利用する手法や別の手法により駐車目標位置が検出される場合にも、本発明を適用することが可能である。従って、以下に説明する実施形態は、一例であって、本発明を限定するものではない。
【0027】
上述したように、駐車支援装置10はCPU5を中核としたECU9として構成され、ハードウェアとソフトウェアとの協働によってその機能が達成される。図2は、駐車支援装置10の機能構成の一例をブロック図により模式的に示したものである。各機能部も、ハードウェアとソフトウェアとの協働によってその機能が達成されるものであり、ECU9において必ずしもそれぞれ独立して設けられなくてよい。図2に示すように、駐車支援装置10は、領域検出部11と、撮影画像取得部15と、蓄積部16と、表示制御部17と、選択部18と、決定部19とを有して構成される。領域検出部11は、距離データ取得部12と、空き領域検出部13と、区画線認識部14とを有して構成される。
【0028】
以下、各機能部について説明する。領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域(後述する符号G)を複数箇所検出可能な機能部である。尚、ここで、複数箇所検出可能とは、車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所の駐車可能領域Gを検出可能であることをいう。例えば、車両90の左方向において2箇所の駐車可能領域Gを検出したり、車両90の右方向において2箇所の駐車可能領域Gを検出したり、車両90の左方向において2箇所、車両90の右方向において1箇所の合計3箇所の駐車可能領域Gを検出したりすることが可能である。当然ながら、左右の両方向において2箇所以上、合計4箇所以上の駐車可能領域Gを検出することも可能である。
【0029】
上述したように、領域検出部11は、距離データ取得部12と空き領域検出部13とを有している。距離データ取得部12は、クリアランスソナー33などの距離センサの検出結果を取得する機能部であり、空き領域検出部13は、距離センサの検出結果に基づいて空き領域を検出する機能部である。以下、他の車両を認識することによって駐車のための空き領域を検出する場合を例として説明する。図3に示すように、車両90には、側方に向けてポイントセンサとしてのクリアランスソナー33(距離センサ)が搭載されている。シングルービームセンサやレーザレーダなど、他の距離センサが搭載されていてもよい。車両90は、駐車中の他の車両100(以下、駐車車両と称す。)のそばを通過する際に、クリアランスソナー33によって駐車車両100までの距離を計測する。例えば、クリアランスソナー33は、車両90の移動に応じて駐車車両100との距離を計測し、図4に示すような表面形状情報Sを取得する。
【0030】
駐車車両100の表面形状情報Sは、車両90の移動距離に応じた離散的なデータである。尚、車両90の移動速度、移動距離、移動時間は、線形的に定まる。例えば、車両90が等速で移動する場合には、所定時間間隔に応じて計測すれば、移動距離に応じて測定することになる。車両90の移動速度や移動距離は、車輪速センサ23の検出結果に基づいてECU9が所得可能である。結果として概ね均等に表面形状情報Sを得ることができる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0031】
空き領域検出部13は、プログラムメモリ6などに記憶された一般的な車両のバンパー形状と表面形状情報Sとの適合度合いを演算する。そして、所定の基準に応じて、表面形状情報Sが車両のバンパー形状に相当すると判定された場合には、当該表面形状情報Sが存在する領域を「既駐車領域(空間)」として検出する。反対に、「既駐車領域」に相当しない領域については、「空き領域(空間)」として検出する。
【0032】
図5は、例えばショッピングセンターなどの駐車場の通路を車両90が通過しながら「空き領域」を検出する例を俯瞰図により示している。駐車車両100が存在しない空間、例えば、隣接する駐車区画に駐車された2台の駐車車両100の間の空間も原理的には空き領域として検出される。しかし、図5における車両90の進行方向に沿う所定の長さをしきい値として、そのしきい値以上に長さに亘って既駐車領域ではないことが検出された場合に当該領域が空き領域Eとして検出される。また、隣接する駐車区画が連続して既駐車領域ではないことが検出された場合には、原理的には1台分の空き領域Eとして検出される。但し、そのように広い空き領域Eを検出した後に、当該空き領域Eを分割して仮想的な境界を設けて複数箇所の空き領域Eとして設定してもよい。図6は、そのようにして検出された「空き領域E」及び「既駐車領域F」の一例を模式的に示している。尚、空き領域Eは車両90の移動に伴って検出されるので、車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積される。
【0033】
距離データ取得部12と空き領域検出部13とを用いて複数の空き領域Eを検出し、これを駐車可能領域Gとして設定することも可能である。しかし、本実施形態においては、領域検出部11がさらに区画線認識部14を有して構成され、空き領域Eにおける区画線Wを画像認識することによって、図7に示すように駐車可能領域Gを検出する。区画線Wの画像認識については後述する。図3〜図7に基づいて上述したように、領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能である。ここで、検出可能としたのは、駐車区画が空いていなければ検出できないからであり、領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを複数箇所検出する機能部である。図7には、車両90の左方向において3箇所、右方向において2箇所の合計5箇所の駐車可能領域Gが検出された例を示している。
【0034】
ところで、上述したように、カメラ1により撮影された撮影画像は、画像処理モジュール2を介してモニタ装置4に表示される。図8は、図5に示す位置にある車両90のカメラ1による撮影画像がモニタ装置4に表示された例を示している。図5における符号Vは、車両90に搭載されたカメラ1の撮影範囲を示している。尚、モニタ装置4はドライバーの着座位置よりも前方に配置されているので、モニタ装置4の表示部4aに表示される画像は、図8に示すように撮影画像を左右鏡像反転させたものとなる。つまり、ドライバーがルームミラーを介して車両90の後方の情景を見る場合と同様の視覚効果を得られるように表示される。撮影画像は、区画線認識部14による区画線Wの画像認識にも利用される。当然ながら、区画線Wの画像認識には鏡像画像を用いる必要はないが、ここでは理解を容易にするためにモニタ装置4の表示と同じ鏡像画像を用いて区画線Wの画像認識を説明する。
【0035】
区画線認識部14は、撮影画像取得部15がカメラ1から取得した撮影画像上で、区画線Wの画像認識を行う。区画線認識部14は、区画線Wの画像認識に先立ち、前処理として画像処理の対象領域である関心領域ROI(region of interest)を設定する。関心領域ROIは、空き領域検出部13により検出された空き領域Eに相当する画像領域に設定される。空き領域E及び関心領域ROIは画像処理上の概念であるから、実際にモニタ装置4に表示する必要はない。ここでは、画像認識の手順を説明するために図8に図示している。区画線認識部14は、関心領域ROIに対して画像処理を行って、区画線Wを検出して駐車可能領域Gを検出する(画像認識する)。撮影画像の全体に比べて、遙かに小さい領域が関心領域ROIとして設定され、当該関心領域ROIの中で区画線Wの画像認識が実行されるので演算負荷が軽減される。
【0036】
図8では、1箇所の空き領域Eに対して関心領域ROIを設定した例を示しているが、他の空き領域Eに対しても同様に関心領域ROIが設定され、区画線Wを検出することにより駐車可能領域Gが検出される。上述したように、車両90は移動しながら、空き領域Eを検出し、車両90の撮影範囲Vも車両90の移動と共に変化する。従って、車両90の移動に伴って検出される空き領域Eに対して順次、区画線Wの認識を実施して、駐車可能領域Gを検出すると好適である。また、車両90から所定の範囲内に存在する駐車可能領域Gは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積される。
【0037】
表示制御部17は、撮影画像をモニタ装置4に表示させると共に、領域検出部11により検出された駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補Hを示すグラフィック画像を重畳させる機能部である。図9は、複数箇所検出された駐車可能領域Gが駐車目標候補Hとしてモニタ装置4に表示された例を示している。図9(c)に示すように、複数箇所検出された駐車可能領域Gは、図において破線で示すようなグラフィック画像により駐車目標候補Hとして撮影画像上に重畳されてモニタ装置4に表示される。駐車目標候補Hは、例えば黄色のグラフィック画像として撮影画像上に重畳される。図9では、3つの駐車目標候補H1,H2,H3が示されている。
【0038】
選択部18は、車両90の運転装置からの指示入力に基づいて駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標(図10〜図12に符号Tで示す。)として選択可能な機能部である。ドライバーは、運転装置の1つとしてのステアリングホイール51(操舵装置)を操作することによって、複数の駐車目標候補Hから1つを選択することができる。図9(a)は、図5に対応して駐車場の一部を示す俯瞰図である。図9(a)に示すように駐車目標候補H1〜H3には駐車車両100は駐車されておらず空き区画である。図9(b)は、ステアリングホイール51とシフトレバー55とを模式的に示している。図9(b)は、車両90が駐車場の通路を図5に示すように直進して停車し、シフトレバー55がリバースにセットされた状態を示しており、ステアリングホイール51は中立位置である。従って、図9(c)に示すように、複数箇所検出された駐車可能領域G(駐車目標候補H)は何れも選択されてはおらず、全ての駐車目標候補Hが未選択状態の黄色のグラフィック画像で示されている。
【0039】
表示制御部17は、複数の駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させ、選択部18は、駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択する。当然ながら、領域検出部11により駐車可能領域Gが検出されなかった場合には、駐車目標候補Hはグラフィック画像として表示されず、選択部18も駐車目標候補Hから駐車目標Tを選択することはない。領域検出部11により駐車可能領域Gが1つだけ検出された場合、表示制御部17は、1つの駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させてもよいし、当初から駐車目標Tとして表示させてもよい。選択部18は、表示制御部17が1つの駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させた場合には、当該駐車目標候補Hを選択するか、未選択状態のままとするかの選択を行うことが可能である。駐車可能領域Gが1つだけ検出された場合に表示制御部17が当初から駐車目標Tとして表示させる場合には、選択部18としての機能は休止状態となる。
【0040】
以下、図10〜図12を利用して、図9に示す駐車目標候補H1〜H3の内の1つを選択する例について説明する。図10は、ステアリングホイール51が右方向(矢印R方向)に操作された場合の例を示している。ステアリングホイール51が右方向に操作されることによって、車両90の右方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図10においては、車両90の右方向には1つの駐車目標候補H2のみが検出されているので、ステアリングホイール51が所定量以上右方向に操作されることによって駐車目標候補H2が選択される。選択された駐車目標候補H2は、駐車目標Tとして図10において実線で示すように他の駐車目標候補H1,H3とは異なる形態のグラフィック画像として重畳表示される。例えば、選択された駐車目標候補H2は、緑色のグラフィック画像として撮影画像上に重畳される。当該駐車目標候補H2が駐車目標Tとして最終的に決定された際には、車両90は、図10(a)に破線で示すような経路で駐車される。操舵輪である前輪53は、この破線の経路に対応する方向に操舵されている。駐車目標候補H2の選択に際しての右方向へのステアリングホイール51の操作量が、図10(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。当然ながら、この操作量は、ステアリングホイール51を1回転以上回転させる場合も含むものである。
【0041】
決定部19は、選択された(設定された)駐車目標Tを駐車支援の目標として決定する機能部である。決定部19による決定を受けて、ECU9の不図示の誘導部が、駐車経路や操舵角を演算して車両90を誘導する。この誘導には、自動操舵による誘導や、ドライバーの操舵量や操舵方向を音声や文字、グラフィックによって指示する誘導を含む。尚、選択された駐車目標候補Hの駐車目標Tとしての最終的な決定は、タッチパネル4bに表示された不図示の決定ボタンの操作や、ドライバーがブレーキペダルを緩めることによって車両90がクリープによる走行を開始したことの判定などによる。これら、車両90の挙動による判定は、ブレーキセンサ27や車輪速センサ23などの検出結果に基づいて実施される。また、ドライバーがステアリングホイール51の保持を緩めたり、非保持となったりしたことにより、ドライバーが駐車目標候補Hの選択を完了したと判定して、駐車目標Tとして決定してもよい。このようなステアリングホイール51に対するドライバーの挙動による判定は、ステアリングセンサ21やトルクセンサ22などの検出結果に基づいて実施される。
【0042】
図11は、ステアリングホイール51が左方向(矢印L方向)に操作された場合の例を示している。ステアリングホイール51が左方向に操作されることによって、車両90の左方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図11においては、車両90の左方向には相対的に車両90に近い側の駐車目標候補H3と遠い側の駐車目標候補H1との2つの駐車目標候補Hが検出されている。ステアリングホイール51が相対的に少ない操作量である第1の所定量以上左方向に操作されることによって車両90から遠い側の駐車目標候補H1が選択される。選択された駐車目標候補H1は、駐車目標Tとして上記と同様に図11において実線で示すように他の駐車目標候補H2,H3とは異なる形態のグラフィック画像、例えば緑色のグラフィック画像として重畳表示される。当該駐車目標候補H1が駐車目標として決定された際には、車両90は、図11(a)に破線で示すような経路で駐車される。操舵輪である前輪53は、この破線の経路に対応する方向に操舵されている。従って、駐車目標候補H1の選択に際しての左方向へのステアリングホイール51の操作量は、図11(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。
【0043】
図12は、図11と同様に、ステアリングホイール51が左方向(矢印L方向)操作された場合の例を示している。上述したように、ステアリングホイール51が左方向に操作されることによって、車両90の左方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図12に示すように、車両90の左方向には相対的に車両90に近い側の駐車目標候補H3と遠い側の駐車目標候補H1との2つの駐車目標候補Hが検出されている。ステアリングホイール51が相対的に多い操作量、即ち第1の所定量よりも多い第2の所定量以上左方向に操作されることによって車両90に近い側の駐車目標候補H3が選択される。選択された駐車目標候補H3は、駐車目標Tとして上記と同様に図12において実線で示すように他の駐車目標候補H1,H2とは異なる形態のグラフィック画像、例えば緑色のグラフィック画像として重畳表示される。当該駐車目標候補H3が駐車目標として決定された際には、車両90は、図12(a)に破線で示すような経路で駐車される。この経路における曲率は車両90から遠い側の駐車目標候補H1への駐車経路に比べて大きい。従って、車両90から遠い側の駐車目標候補H1を選択する際のステアリングホイール51の操作量(第1の所定量)よりも大きい操作量(第2の所定量)によって車両90に近い側の駐車目標候補H3が選択される。即ち、駐車目標候補H3の選択に際しての左方向へのステアリングホイール51の操作量は、図12(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。
【0044】
以上説明したようにして、複数箇所の駐車目標候補Hが検出され、ステアリングホイール51の操作によってそれらの内の1つが選択可能となる。特に、本発明においては、車両90の左右の何れか一方において複数箇所の駐車目標候補Hが検出可能であり、運転装置(例えばステアリングホイール51)の操作によってそれらの内の1つが選択可能である。尚、駐車のための場所が空いていなければ、複数箇所の駐車目標候補Hが検出できないことは自明であるから、以下のように考えることもできる。表示制御部17は、領域検出部11により複数の駐車可能領域Gが検出された場合に、各駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補Hを示す複数のグラフィック画像を重畳させる。選択部18は、車両90の左又は右の駐車目標候補Hの選択にとどまらず、車両90の左及び右の何れか一方の同一方向において複数箇所設定された駐車目標候補Hからの選択を含んで、運転装置からの指示入力に基づいて複数の駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択する。
【0045】
以下、空き領域Eの検出から駐車目標候補Hの選択までの一連の処理を模式的に示すフローチャートである図13を利用して、本発明の駐車支援装置10の一連の処理について整理する。図3〜図6に基づいて上述したように、車両90は移動に伴って空き領域Eを検出する(#1)。車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積されて保持される。つまり、検出結果が保持される(#2)。次に、検出された空き領域Eに基づいて、図8に示すように関心領域ROIが設定され、区画線Wが画像認識され、図7に示すように駐車可能領域Gが検出される(#3)。この検出結果も保持される。即ち、車両90から所定の範囲内に存在する駐車可能領域Gは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積され、保持される(#4)。尚、空き領域Eが検出されなかった場合には、全撮影画像に対して、あるいは撮影画像上において車両90に対する所定の領域に設定された関心領域ROIに対して、区画線Wの画像認識が実行される。また、区画線Wの存在しない駐車場など、空き領域Eが検出され、区画線Wが検出されなかった場合には、空き領域Eに応じて駐車可能領域Gが設定される。
【0046】
ステップ#5において、シフトレバー55がリバースであるか否かが、シフトレバースイッチ25の検出結果に基づいて判定される。上記ステップ#1〜#4は、シフトレバー55がリバースに設定されるまで繰り返される。即ち、蓄積部16には車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eや駐車可能領域Gが保持されるので、車両90が移動している場合にはその移動に応じて順次、新しい空き領域Eや駐車可能領域Gが検出され、保持データが更新される。その際、車両90の移動により、車両90から所定の範囲内に存在しなくなった空き領域Eや駐車可能領域Gは破棄される。ステップ#5においてシフトレバー55がリバースであると判定されると、蓄積部16に保持されていた駐車可能領域Gが駐車目標候補Hとして設定される。そして、図9に示すように、モニタ装置4に撮影画像と共にグラフィック画像として表示される(#6)。ここで、ドライバーがステアリングホイール51を操作すると、図10〜図12に示すように、操舵方向や操舵量に応じて選択された駐車目標候補Hが表示される(#7,#8)。
【0047】
以上説明したように、本発明によって、ドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定可能な駐車支援装置を提供することが可能となる。但し、上記実施形態は、一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲での改変は本発明の技術的範囲に属するものである。以下に、そのような改変の例を挙げる。
【0048】
〔1〕上記説明においては、通常の運転操作に用いる運転装置として、操舵装置であるステアリングホイール51を例示した。しかし、運転装置は、操舵装置に限定されるものではなく、また、操舵装置も、ステアリングホイール51に限定されるものではない。福祉車両においては、操舵装置としてスティックハンドルが利用される場合があるが、そのようなスティックハンドルを用いて駐車目標候補Hを選択してもよい。また、方向指示器を操作する回数がカウント可能であれば、運転装置としての方向指示器を利用して駐車目標候補Hを選択してもよい。例えば、左方向に方向指示器を操作し、そのまま再度左方向に操作した場合、2回とカウントし、車両90から遠い側から2番目の駐車目標候補Hが選択される。この際、方向指示器は左に操作されたままであるから、左方向へ進行することを車両90の外部に対して報知することにもなる。右方向についても同様である。
【0049】
〔2〕上記説明においては、ステアリングホイール51の操作量が多いほど、車両90に近い駐車目標候補Hが選択される場合を例として説明したが、当然ながらそれに限定される必要はない。ステアリングホイール51の操作量が多いほど遠くの駐車目標候補Hが選択されてもよいし、ステアリングホイール51の操作量に依存せず、操作回数によって駐車目標候補Hが選択されてもよい。また、上記説明においては、駐車目標候補Hを選択する際のステアリングホイール51の操作量は、当該駐車目標候補Hを駐車目標Tとした場合の初期舵角に相当する量である場合を例として説明したが、当然ながらそれに限定される必要はない。駐車目標候補Hを選択する際のステアリングホイール51の操作量は、駐車支援における誘導時の舵角とは無関係であっても構わない。
【0050】
〔3〕上記説明においては、領域検出部11が車両90の左右両方において駐車可能領域Gを検出した場合に、選択部18が、検出された駐車可能領域Gに対応する駐車目標候補Hの内、ステアリングホイール51の操舵方向に対応した方向の駐車目標候補Hを駐車目標Tとして選択する例を用いた(例えば図9〜図12。)。しかし、車両90の左右両方において駐車可能領域Gが検出されていない場合、つまり、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合であっても、ステアリングホイール51による操舵方向に存在する駐車目標候補Hが選択されてもよい。即ち、車両90の左右両方において駐車可能領域Gが検出されているか否かに拘わらず、選択部18が、ステアリングホイール51による操舵方向に存在する駐車目標候補Hを駐車目標Tとして選択してもよい。
【0051】
この場合、駐車可能領域Gが検出されていない方向へ操舵された際には何れの駐車目標候補Hも駐車目標Tとして選択されず、駐車可能領域Gが検出されている方向へ操舵された際に何れかの駐車目標候補Hが駐車目標Tとして選択されることになる。これにより、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合であっても、車両90を旋回させるための操舵方向と同じ方向への操舵によって駐車目標Tを選択することが可能となる。
【0052】
〔4〕また、通常の運転操作に用いる運転装置として、操舵装置であるステアリングホイール51を用いる場合であっても、操舵方向と選択される駐車目標候補Hの方向とが必ずしも一致するものでなくてもよい。例えば、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合に、操舵方向に拘束されることなく、例えば操舵量などによって駐車目標Tが選択されるような構成を妨げるものではない。
【符号の説明】
【0053】
4:モニタ装置
11:領域検出部
15:撮影画像取得部
17:表示制御部
18:選択部
51:ステアリングホイール(運転装置、操舵装置)
90:車両
G:駐車可能領域
H:駐車目標候補
T:駐車目標
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車時の運転操作を支援する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車時の運転操作を支援する駐車支援装置として、設定された駐車目標位置に対して自動的に操舵を行って車両を誘導するシステムや、ドライバーに操舵方向や操舵量を指示するシステムなどが実用化されている。従来、駐車目標位置の設定に際しては、車内に設けられた設定スイッチやタッチパネル付きのモニタ装置などの入力手段をドライバーが操作する必要があった。これに対し、これら通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく駐車目標位置を設定可能な駐車支援装置が提案されている。特開2008−201363号公報(特許文献1)には、ドライバーによるステアリングホイールの操作に基づいて駐車形態及び駐車目標位置を設定する駐車支援装置が記載されている。これによれば、ステアリングホイールが左右の何れかに所定量以上操作された際には、左右何れかへの車庫入れ駐車に対応する駐車目標位置が設定される。ステアリングホイールが左右の何れにも所定量以上操作されない場合には、左方向への縦列駐車に対応する駐車目標が設定される(特許文献1:図5及び図9、第27〜36段落等。)。
【0003】
但し、設定される駐車目標位置は、駐車支援装置が車両の位置に対して自動的に設定したものである(特許文献1:図7等)。このため、ドライバーは車両に対する駐車目標位置を高い自由度で選択することはできない。例えば、ショッピングセンターの駐車場などにおいて複数の駐車区画が空いており、出入り口に近い区画に駐車したい場合であっても、車両との位置関係においてドライバーが所望する区画とは異なる区画が設定される場合がある。つまり、特許文献1の駐車支援装置は、複数の駐車目標位置を選択可能ではあっても、それらは駐車形態と駐車目標位置とが1対1で対応したものである。即ち、駐車形態は選択可能ではあっても、各駐車形態において駐車目標位置は一義的に定められ、任意の駐車目標位置が選択可能なものではない。
【0004】
尚、駐車目標位置の設定は、特許文献1のように車両の位置に対して設定されるものには限定されない。例えば、特開2007−290557号公報(特許文献2)に記載されているように、ソナーなどを利用して走行中に空き空間を検出する方法や、駐車区画を示す白線を画像認識する方法などもある(特許文献2:図2、図5、第27、第45段落等)。しかし、何れもドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく任意の駐車目標位置を簡単に設定できるものではない。特許文献2では、第1目標駐車位置と第2目標位置とが選択可能とされており、ソナーなどを利用して走行中に検出した空き空間と、白線を画像認識した駐車区画とが選択可能である。しかし、この選択は検出結果の確からしさに基づいて、駐車支援装置が自動的に行うものでもあり、ドライバーが任意に所望の駐車目標位置を設定可能なシステムではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−201363号公報
【特許文献2】特開2007−290557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景に鑑みて、ドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定可能とすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みた本発明に係る駐車支援装置の特徴構成は、
車両を駐車可能な駐車可能領域を、前記車両の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部と、
前記車両の周辺の情景が撮影された撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、前記領域検出部により検出された前記駐車可能領域が前記撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補を示すグラフィック画像を重畳させる表示制御部と、
前記車両の運転装置からの指示入力に基づいて前記駐車目標候補の内の1つを駐車目標として選択可能な選択部と、を備える点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、ドライバーは、通常の運転操作の姿勢を大きく崩すことなく、所望の駐車位置を選択することができる。例えばタッチパネルなどを改めて操作することなく、通常の運転操作に準じた操作により駐車位置を選択することができる。
【0009】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記車両に対して左右の少なくとも一方において複数存在する前記駐車目標候補の内の1つを前記駐車目標として選択可能であると好適である。ドライバーは車両の左右の内、車両を停めたい方向において複数の駐車位置が空いている場合に、所望の駐車位置を選択することができる。例えば、ショッピングセンターなどにおいて入り口に近い位置に駐車したい場合に有用である。
【0010】
ここで、前記運転装置は、前記車両の操舵装置であると好適である。車両を運転する際、ドライバーは操舵装置を保持しているから、所望の駐車位置を選択するに際して無駄が無く、操作が非常に簡便となる。また、駐車の際には車両を旋回させるための操舵が必要であるが、その際の操舵の少なくとも一部を駐車目標位置の選択の際に実行することができる。つまり、車両が動き始める際の初期舵角の幾分かを、駐車目標位置の選択の際に進めておくことができるので、駐車目標位置を選択した後の駐車に要する時間が短縮される。
【0011】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。特に、前記領域検出部が前記車両の左右両方において前記駐車可能領域を検出した場合、前記選択部は、検出された前記駐車可能領域に対応する前記駐車目標候補の内、前記操舵装置の操舵方向に対応した方向の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。上述したように、駐車の際には車両を旋回させるための操舵が必要であるが、その際の操舵方向に基づいて、駐車目標位置を選択することができる。駐車目標位置の選択の際の操舵は、車両が動き始める際の初期舵角の幾分かに充当できるので、駐車目標位置を選択した後の駐車に要する時間が短縮される。
【0012】
尚、車両の左右両方において駐車可能領域が検出されていない場合、つまり、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域が検出されている場合であっても、操舵装置による操舵方向に存在する駐車目標候補が選択されてもよい。即ち、車両の左右両方において駐車可能領域が検出されているか否かに拘わらず、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択するものであってよい。この場合、駐車可能領域が検出されていない方向へ操舵された際には何れの駐車目標候補も選択されず、駐車可能領域が検出されている方向へ操舵された際に何れかの駐車目標候補が選択されることになる。これにより、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域が検出されている場合であっても、車両を旋回させるための操舵方向と同じ方向への操舵によって駐車目標を選択することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る駐車支援装置の前記選択部は、前記操舵装置の操作量に基づき、当該操作量が多いほど前記車両に近い位置の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択すると好適である。操舵装置の操舵量が大きいと車両はより大きく旋回する。このため、より車両に近い位置への駐車に好適となる。従って、操作量が多いほど車両に近い位置の駐車目標候補を駐車目標として選択すると好適である。特に、この操作量(操舵量)による選択と上述した操舵方向による選択とを組み合わせることによって、駐車のための操作(操舵)と、駐車目標の選択のための操作(操舵)とが良好に適合される。従って、ドライバーは、広範な範囲において検出された駐車可能領域に対応する駐車目標候補から、通常の運転操作に準じた操作により所望の駐車目標を選択することが可能となる。即ち、ドライバーは通常の運転操作に用いる運転装置を入力手段として、高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両のシステム構成の一例を模式的に示すブロック図
【図2】駐車支援装置の機能構成の一例を模式的に示すブロック図
【図3】空き領域を検出する例を示す説明図
【図4】表面形状情報の一例を示す説明図
【図5】駐車場において空き領域を検出する例を示す説明図
【図6】空き領域の検出結果の一例を示す説明図
【図7】駐車可能領域の検出結果の一例を示す説明図
【図8】区画線を画像認識する原理を表示画像を用いて説明する図
【図9】駐車目標候補の表示例を示す図
【図10】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例1を示す図
【図11】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例2を示す図
【図12】図9の駐車目標候補の内の1つを選択する例3を示す図
【図13】駐車目標候補を選択する処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る駐車支援装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、駐車支援装置10には、画像認識や進路予想などの高度な演算処理を行い、駐車支援装置10の中核を担うCPU(central processing unit)5が備えられている。CPU5は、プログラムメモリ6に格納されたプログラムやパラメータを利用して各種演算処理を実行する。また、CPU5は、必要に応じてワークメモリ7に一次的に撮影画像などを格納して演算を実行する。ここでは、プログラムメモリ6やワークメモリ7が、CPU5とは別のメモリである例を示しているが、CPU5と同一のパッケージ内に集積されていてもよい。駐車支援装置10は、CPU5やメモリ、その他の周辺回路と共に、運転支援ECU(electronic control unit)9として構成される。駐車支援装置10の各機能部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。本例では、CPU5を中核としたが、駐車支援装置10は、DSP(digital signal processor)など、他の論理演算プロセッサや論理回路を中核として構成されてもよい。
【0016】
図1に示すように、カメラ1(車載カメラ)により撮影された画像は、スーパーインポーズ部2a、グラフィック描画部2b、フレームメモリ2cなどを有する画像処理モジュール2を介して、モニタ装置4に表示される。画像処理モジュール2は、CPU5やプログラムメモリ6などと同様に、本発明の撮影画像取得部15並びに表示制御部17として機能する(図2参照。)。カメラ1は、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)などの撮像素子を用いて、毎秒15〜30フレームの2次元画像を時系列に撮影し、デジタル変換して動画データ(撮影画像)を出力するデジタルカメラである。各フレームの2次元画像は、フレームメモリ2cに格納され、フレームごとに画像処理やグラフィックの重畳を施されることが可能である。グラフィック描画部2bへの描画指示や、スーパーインポーズ部2aへのグラフィック重畳指示は、CPU5から発せられる。
【0017】
モニタ装置4は、例えば、ナビゲーションシステムのモニタ装置が兼用される。図1に示すように、モニタ装置4は、表示部4aと、表示部4aに形成されたタッチパネル4bと、スピーカ4cとを有している。表示部4aは、画像処理モジュール2から提供されるカメラ1の撮影画像や、グラフィック画像、それらが合成された合成画像などを表示する。一例として、表示部4aは液晶ディスプレイによって構成される。タッチパネル4bは、表示部4aと共に形成され、指などによる接触位置をロケーションデータとして出力することができる感圧式や静電式の指示入力装置である。図1においては、スピーカ4cは、モニタ装置4に備えられている場合を例示しているが、スピーカ4cはドアの内側など、他の場所に備えられても良い。スピーカ4cは、CPU5の指示に応じて音声処理モジュール3から提供される音声を出力する。尚、CPU5は、単純にブザー8を介して報知音を鳴らす場合もある。
【0018】
CPU5は、図1において符号50で示す車内ネットワークを介して種々のシステムやセンサと通信可能に接続されている。本実施形態においては、車内ネットワークとしてCAN(controller area network)50を例示している。図1に示すように、駐車支援装置10(CPU5)は、車内のパワーステアリングシステム31やブレーキシステム37と接続される。これら各システムは、駐車支援装置10と同様にCPUなどの電子回路を中核として構成され、運転支援ECU9と同様に周辺回路と共に構成されたECUを中核として構成される。
【0019】
パワーステアリングシステム31は、電動パワーステアリング(EPS : electric power
steering)システムやSBW(steer-by-wire)システムである。このシステムは、ドライバーにより操作されるステアリングホイールにアクチュエータ41によりアシストトルクを付加する他、ステアリングホイールや操舵輪をアクチュエータ41により駆動することによって自動操舵を行う。ブレーキシステム37は、ブレーキのロックを抑制するABS(anti lock braking system)や、コーナリング時の車両の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC : electronic stability control)、ブレーキ力を増強させるブレーキアシストなどを有した電動ブレーキシステムや、BBW(brake-by-wire)システムである。このシステムは、アクチュエータ47を介して車両90に制動力を付加することができる。
【0020】
図1において、各種センサの一例として、ステアリングセンサ21や車輪速センサ23、シフトレバースイッチ25、アクセルセンサ29がCAN50に接続されている。ステアリングセンサ21は、ステアリングホイールの操舵量(回転角度)を検出するセンサであり、例えばホール素子などを用いて構成される。駐車支援装置10は、ドライバーによるステアリングホイールの操舵量や、自動操舵時の操舵量をステアリングセンサ21から取得して各種制御を実行する。
【0021】
車輪速センサ23は、車両90の車輪の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサであり、例えばホール素子などを用いて構成される。駐車支援装置10は、車輪速センサ23から取得した情報に基づいて車両90の移動量などを演算し、各種制御を実行する。車輪速センサ23は、ブレーキシステム37に備えられている場合もある。ブレーキシステム37は、左右の車輪の回転差などからブレーキのロックや、車輪の空回り、横滑りの兆候などを検出して、各種制御を実行する。車輪速センサ23がブレーキシステム37に備えられている場合には、駐車支援装置10は、ブレーキシステム37を介して情報を取得する。ブレーキセンサ27は、ブレーキペダルの操作量を検出するセンサであり、駐車支援装置10は、ブレーキシステム37を介して情報を取得する。駐車支援装置10は、例えば、自動操舵中にブレーキペダルが踏み込まれたような場合に、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。
【0022】
シフトレバースイッチ25は、シフトレバーの位置を検出するセンサ又はスイッチであり、変位センサなどを用いて構成される。駐車支援装置10は、例えば、シフトがリバースにセットされた場合に支援制御を開始したり、リバースから前進に変更された場合に支援制御を終了させたりすることができる。
【0023】
また、ステアリングホイールへの操作トルクを検出するトルクセンサ22は、ドライバーがステアリングホイールを握っているか否かについても検出することが可能である。駐車支援装置10は、自動操舵中にドライバーがステアリングホイールを操作するために強く握った場合などに、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。また、自動操舵時には、一般的にエンジンのアイドリングによる車両90のクリーピングが利用される。従って、ドライバーがアクセルを操作したことがアクセルセンサ29により検出された場合、駐車支援装置10は、自動操舵に不都合な環境下にあるとして自動操舵を中断したり中止したりする制御を行うことができる。
【0024】
図1に示す各種システムやセンサ、これらの接続形態については一例であり、他の構成や接続形態が採用されてもよい。また、上述したように、センサは直接CAN50に接続されても良いし、種々のシステムを介して接続されてもよい。
【0025】
上述したように、駐車支援装置10は、CPU5を中核として構成され、プログラムメモリ6に格納されたプログラム(ソフトウェア)と協働して駐車支援のための種々の演算を実施する。駐車支援の種類としては、
(1)車内に搭載されたモニタ上に車両後方の映像を映し出すと共に、車幅延長線や予想進路線などのガイド線を重畳表示させるもの、
(2)駐車目標を設定し、音声などによりドライバーの操作を指示して誘導するもの、
(3)さらに、ドライバーが速度調整だけを担い、自動操舵により駐車目標へ誘導するもの、などがある。(2)及び(3)では、駐車目標が設定されるが、この駐車目標の検出についても、様々な手法がある。例えば、
(a)駐車目標位置を通過した際に、ソナー(クリアランスソナー33)などで空き領域を検出して自動認識し、駐車目標を検出するもの、
(b)例えば区画線を画像認識して駐車目標を検出するもの、
(c)精度向上のために、上記(a)や(b)など複数の手法を複合させたもの、
などがある。
【0026】
本実施形態では、上記(3)のように、ドライバーが速度調整だけを担い、自動操舵により駐車目標へ車両を誘導する駐車支援装置を例として説明する。また、本実施形態では、上記(c)のように、ソナー等による空き領域検出と、区画線の画像認識とを複合させて駐車目標を検出する構成を例として説明する。しかし、当然ながら、ドライバーが手動で操舵するような駐車支援装置において本発明を適用することも可能である。また、ソナーや撮影画像を単独で利用する手法や別の手法により駐車目標位置が検出される場合にも、本発明を適用することが可能である。従って、以下に説明する実施形態は、一例であって、本発明を限定するものではない。
【0027】
上述したように、駐車支援装置10はCPU5を中核としたECU9として構成され、ハードウェアとソフトウェアとの協働によってその機能が達成される。図2は、駐車支援装置10の機能構成の一例をブロック図により模式的に示したものである。各機能部も、ハードウェアとソフトウェアとの協働によってその機能が達成されるものであり、ECU9において必ずしもそれぞれ独立して設けられなくてよい。図2に示すように、駐車支援装置10は、領域検出部11と、撮影画像取得部15と、蓄積部16と、表示制御部17と、選択部18と、決定部19とを有して構成される。領域検出部11は、距離データ取得部12と、空き領域検出部13と、区画線認識部14とを有して構成される。
【0028】
以下、各機能部について説明する。領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域(後述する符号G)を複数箇所検出可能な機能部である。尚、ここで、複数箇所検出可能とは、車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所の駐車可能領域Gを検出可能であることをいう。例えば、車両90の左方向において2箇所の駐車可能領域Gを検出したり、車両90の右方向において2箇所の駐車可能領域Gを検出したり、車両90の左方向において2箇所、車両90の右方向において1箇所の合計3箇所の駐車可能領域Gを検出したりすることが可能である。当然ながら、左右の両方向において2箇所以上、合計4箇所以上の駐車可能領域Gを検出することも可能である。
【0029】
上述したように、領域検出部11は、距離データ取得部12と空き領域検出部13とを有している。距離データ取得部12は、クリアランスソナー33などの距離センサの検出結果を取得する機能部であり、空き領域検出部13は、距離センサの検出結果に基づいて空き領域を検出する機能部である。以下、他の車両を認識することによって駐車のための空き領域を検出する場合を例として説明する。図3に示すように、車両90には、側方に向けてポイントセンサとしてのクリアランスソナー33(距離センサ)が搭載されている。シングルービームセンサやレーザレーダなど、他の距離センサが搭載されていてもよい。車両90は、駐車中の他の車両100(以下、駐車車両と称す。)のそばを通過する際に、クリアランスソナー33によって駐車車両100までの距離を計測する。例えば、クリアランスソナー33は、車両90の移動に応じて駐車車両100との距離を計測し、図4に示すような表面形状情報Sを取得する。
【0030】
駐車車両100の表面形状情報Sは、車両90の移動距離に応じた離散的なデータである。尚、車両90の移動速度、移動距離、移動時間は、線形的に定まる。例えば、車両90が等速で移動する場合には、所定時間間隔に応じて計測すれば、移動距離に応じて測定することになる。車両90の移動速度や移動距離は、車輪速センサ23の検出結果に基づいてECU9が所得可能である。結果として概ね均等に表面形状情報Sを得ることができる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0031】
空き領域検出部13は、プログラムメモリ6などに記憶された一般的な車両のバンパー形状と表面形状情報Sとの適合度合いを演算する。そして、所定の基準に応じて、表面形状情報Sが車両のバンパー形状に相当すると判定された場合には、当該表面形状情報Sが存在する領域を「既駐車領域(空間)」として検出する。反対に、「既駐車領域」に相当しない領域については、「空き領域(空間)」として検出する。
【0032】
図5は、例えばショッピングセンターなどの駐車場の通路を車両90が通過しながら「空き領域」を検出する例を俯瞰図により示している。駐車車両100が存在しない空間、例えば、隣接する駐車区画に駐車された2台の駐車車両100の間の空間も原理的には空き領域として検出される。しかし、図5における車両90の進行方向に沿う所定の長さをしきい値として、そのしきい値以上に長さに亘って既駐車領域ではないことが検出された場合に当該領域が空き領域Eとして検出される。また、隣接する駐車区画が連続して既駐車領域ではないことが検出された場合には、原理的には1台分の空き領域Eとして検出される。但し、そのように広い空き領域Eを検出した後に、当該空き領域Eを分割して仮想的な境界を設けて複数箇所の空き領域Eとして設定してもよい。図6は、そのようにして検出された「空き領域E」及び「既駐車領域F」の一例を模式的に示している。尚、空き領域Eは車両90の移動に伴って検出されるので、車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積される。
【0033】
距離データ取得部12と空き領域検出部13とを用いて複数の空き領域Eを検出し、これを駐車可能領域Gとして設定することも可能である。しかし、本実施形態においては、領域検出部11がさらに区画線認識部14を有して構成され、空き領域Eにおける区画線Wを画像認識することによって、図7に示すように駐車可能領域Gを検出する。区画線Wの画像認識については後述する。図3〜図7に基づいて上述したように、領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを車両90の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能である。ここで、検出可能としたのは、駐車区画が空いていなければ検出できないからであり、領域検出部11は、車両90を駐車可能な駐車可能領域Gを複数箇所検出する機能部である。図7には、車両90の左方向において3箇所、右方向において2箇所の合計5箇所の駐車可能領域Gが検出された例を示している。
【0034】
ところで、上述したように、カメラ1により撮影された撮影画像は、画像処理モジュール2を介してモニタ装置4に表示される。図8は、図5に示す位置にある車両90のカメラ1による撮影画像がモニタ装置4に表示された例を示している。図5における符号Vは、車両90に搭載されたカメラ1の撮影範囲を示している。尚、モニタ装置4はドライバーの着座位置よりも前方に配置されているので、モニタ装置4の表示部4aに表示される画像は、図8に示すように撮影画像を左右鏡像反転させたものとなる。つまり、ドライバーがルームミラーを介して車両90の後方の情景を見る場合と同様の視覚効果を得られるように表示される。撮影画像は、区画線認識部14による区画線Wの画像認識にも利用される。当然ながら、区画線Wの画像認識には鏡像画像を用いる必要はないが、ここでは理解を容易にするためにモニタ装置4の表示と同じ鏡像画像を用いて区画線Wの画像認識を説明する。
【0035】
区画線認識部14は、撮影画像取得部15がカメラ1から取得した撮影画像上で、区画線Wの画像認識を行う。区画線認識部14は、区画線Wの画像認識に先立ち、前処理として画像処理の対象領域である関心領域ROI(region of interest)を設定する。関心領域ROIは、空き領域検出部13により検出された空き領域Eに相当する画像領域に設定される。空き領域E及び関心領域ROIは画像処理上の概念であるから、実際にモニタ装置4に表示する必要はない。ここでは、画像認識の手順を説明するために図8に図示している。区画線認識部14は、関心領域ROIに対して画像処理を行って、区画線Wを検出して駐車可能領域Gを検出する(画像認識する)。撮影画像の全体に比べて、遙かに小さい領域が関心領域ROIとして設定され、当該関心領域ROIの中で区画線Wの画像認識が実行されるので演算負荷が軽減される。
【0036】
図8では、1箇所の空き領域Eに対して関心領域ROIを設定した例を示しているが、他の空き領域Eに対しても同様に関心領域ROIが設定され、区画線Wを検出することにより駐車可能領域Gが検出される。上述したように、車両90は移動しながら、空き領域Eを検出し、車両90の撮影範囲Vも車両90の移動と共に変化する。従って、車両90の移動に伴って検出される空き領域Eに対して順次、区画線Wの認識を実施して、駐車可能領域Gを検出すると好適である。また、車両90から所定の範囲内に存在する駐車可能領域Gは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積される。
【0037】
表示制御部17は、撮影画像をモニタ装置4に表示させると共に、領域検出部11により検出された駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補Hを示すグラフィック画像を重畳させる機能部である。図9は、複数箇所検出された駐車可能領域Gが駐車目標候補Hとしてモニタ装置4に表示された例を示している。図9(c)に示すように、複数箇所検出された駐車可能領域Gは、図において破線で示すようなグラフィック画像により駐車目標候補Hとして撮影画像上に重畳されてモニタ装置4に表示される。駐車目標候補Hは、例えば黄色のグラフィック画像として撮影画像上に重畳される。図9では、3つの駐車目標候補H1,H2,H3が示されている。
【0038】
選択部18は、車両90の運転装置からの指示入力に基づいて駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標(図10〜図12に符号Tで示す。)として選択可能な機能部である。ドライバーは、運転装置の1つとしてのステアリングホイール51(操舵装置)を操作することによって、複数の駐車目標候補Hから1つを選択することができる。図9(a)は、図5に対応して駐車場の一部を示す俯瞰図である。図9(a)に示すように駐車目標候補H1〜H3には駐車車両100は駐車されておらず空き区画である。図9(b)は、ステアリングホイール51とシフトレバー55とを模式的に示している。図9(b)は、車両90が駐車場の通路を図5に示すように直進して停車し、シフトレバー55がリバースにセットされた状態を示しており、ステアリングホイール51は中立位置である。従って、図9(c)に示すように、複数箇所検出された駐車可能領域G(駐車目標候補H)は何れも選択されてはおらず、全ての駐車目標候補Hが未選択状態の黄色のグラフィック画像で示されている。
【0039】
表示制御部17は、複数の駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させ、選択部18は、駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択する。当然ながら、領域検出部11により駐車可能領域Gが検出されなかった場合には、駐車目標候補Hはグラフィック画像として表示されず、選択部18も駐車目標候補Hから駐車目標Tを選択することはない。領域検出部11により駐車可能領域Gが1つだけ検出された場合、表示制御部17は、1つの駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させてもよいし、当初から駐車目標Tとして表示させてもよい。選択部18は、表示制御部17が1つの駐車目標候補Hをグラフィック画像として表示させた場合には、当該駐車目標候補Hを選択するか、未選択状態のままとするかの選択を行うことが可能である。駐車可能領域Gが1つだけ検出された場合に表示制御部17が当初から駐車目標Tとして表示させる場合には、選択部18としての機能は休止状態となる。
【0040】
以下、図10〜図12を利用して、図9に示す駐車目標候補H1〜H3の内の1つを選択する例について説明する。図10は、ステアリングホイール51が右方向(矢印R方向)に操作された場合の例を示している。ステアリングホイール51が右方向に操作されることによって、車両90の右方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図10においては、車両90の右方向には1つの駐車目標候補H2のみが検出されているので、ステアリングホイール51が所定量以上右方向に操作されることによって駐車目標候補H2が選択される。選択された駐車目標候補H2は、駐車目標Tとして図10において実線で示すように他の駐車目標候補H1,H3とは異なる形態のグラフィック画像として重畳表示される。例えば、選択された駐車目標候補H2は、緑色のグラフィック画像として撮影画像上に重畳される。当該駐車目標候補H2が駐車目標Tとして最終的に決定された際には、車両90は、図10(a)に破線で示すような経路で駐車される。操舵輪である前輪53は、この破線の経路に対応する方向に操舵されている。駐車目標候補H2の選択に際しての右方向へのステアリングホイール51の操作量が、図10(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。当然ながら、この操作量は、ステアリングホイール51を1回転以上回転させる場合も含むものである。
【0041】
決定部19は、選択された(設定された)駐車目標Tを駐車支援の目標として決定する機能部である。決定部19による決定を受けて、ECU9の不図示の誘導部が、駐車経路や操舵角を演算して車両90を誘導する。この誘導には、自動操舵による誘導や、ドライバーの操舵量や操舵方向を音声や文字、グラフィックによって指示する誘導を含む。尚、選択された駐車目標候補Hの駐車目標Tとしての最終的な決定は、タッチパネル4bに表示された不図示の決定ボタンの操作や、ドライバーがブレーキペダルを緩めることによって車両90がクリープによる走行を開始したことの判定などによる。これら、車両90の挙動による判定は、ブレーキセンサ27や車輪速センサ23などの検出結果に基づいて実施される。また、ドライバーがステアリングホイール51の保持を緩めたり、非保持となったりしたことにより、ドライバーが駐車目標候補Hの選択を完了したと判定して、駐車目標Tとして決定してもよい。このようなステアリングホイール51に対するドライバーの挙動による判定は、ステアリングセンサ21やトルクセンサ22などの検出結果に基づいて実施される。
【0042】
図11は、ステアリングホイール51が左方向(矢印L方向)に操作された場合の例を示している。ステアリングホイール51が左方向に操作されることによって、車両90の左方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図11においては、車両90の左方向には相対的に車両90に近い側の駐車目標候補H3と遠い側の駐車目標候補H1との2つの駐車目標候補Hが検出されている。ステアリングホイール51が相対的に少ない操作量である第1の所定量以上左方向に操作されることによって車両90から遠い側の駐車目標候補H1が選択される。選択された駐車目標候補H1は、駐車目標Tとして上記と同様に図11において実線で示すように他の駐車目標候補H2,H3とは異なる形態のグラフィック画像、例えば緑色のグラフィック画像として重畳表示される。当該駐車目標候補H1が駐車目標として決定された際には、車両90は、図11(a)に破線で示すような経路で駐車される。操舵輪である前輪53は、この破線の経路に対応する方向に操舵されている。従って、駐車目標候補H1の選択に際しての左方向へのステアリングホイール51の操作量は、図11(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。
【0043】
図12は、図11と同様に、ステアリングホイール51が左方向(矢印L方向)操作された場合の例を示している。上述したように、ステアリングホイール51が左方向に操作されることによって、車両90の左方向において検出されている駐車目標候補Hが選択可能となる。図9及び図12に示すように、車両90の左方向には相対的に車両90に近い側の駐車目標候補H3と遠い側の駐車目標候補H1との2つの駐車目標候補Hが検出されている。ステアリングホイール51が相対的に多い操作量、即ち第1の所定量よりも多い第2の所定量以上左方向に操作されることによって車両90に近い側の駐車目標候補H3が選択される。選択された駐車目標候補H3は、駐車目標Tとして上記と同様に図12において実線で示すように他の駐車目標候補H1,H2とは異なる形態のグラフィック画像、例えば緑色のグラフィック画像として重畳表示される。当該駐車目標候補H3が駐車目標として決定された際には、車両90は、図12(a)に破線で示すような経路で駐車される。この経路における曲率は車両90から遠い側の駐車目標候補H1への駐車経路に比べて大きい。従って、車両90から遠い側の駐車目標候補H1を選択する際のステアリングホイール51の操作量(第1の所定量)よりも大きい操作量(第2の所定量)によって車両90に近い側の駐車目標候補H3が選択される。即ち、駐車目標候補H3の選択に際しての左方向へのステアリングホイール51の操作量は、図12(a)に破線で示すような駐車経路に対応する操舵角を実現する操作量であると好適である。
【0044】
以上説明したようにして、複数箇所の駐車目標候補Hが検出され、ステアリングホイール51の操作によってそれらの内の1つが選択可能となる。特に、本発明においては、車両90の左右の何れか一方において複数箇所の駐車目標候補Hが検出可能であり、運転装置(例えばステアリングホイール51)の操作によってそれらの内の1つが選択可能である。尚、駐車のための場所が空いていなければ、複数箇所の駐車目標候補Hが検出できないことは自明であるから、以下のように考えることもできる。表示制御部17は、領域検出部11により複数の駐車可能領域Gが検出された場合に、各駐車可能領域Gが撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補Hを示す複数のグラフィック画像を重畳させる。選択部18は、車両90の左又は右の駐車目標候補Hの選択にとどまらず、車両90の左及び右の何れか一方の同一方向において複数箇所設定された駐車目標候補Hからの選択を含んで、運転装置からの指示入力に基づいて複数の駐車目標候補Hの内の1つを駐車目標Tとして選択する。
【0045】
以下、空き領域Eの検出から駐車目標候補Hの選択までの一連の処理を模式的に示すフローチャートである図13を利用して、本発明の駐車支援装置10の一連の処理について整理する。図3〜図6に基づいて上述したように、車両90は移動に伴って空き領域Eを検出する(#1)。車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積されて保持される。つまり、検出結果が保持される(#2)。次に、検出された空き領域Eに基づいて、図8に示すように関心領域ROIが設定され、区画線Wが画像認識され、図7に示すように駐車可能領域Gが検出される(#3)。この検出結果も保持される。即ち、車両90から所定の範囲内に存在する駐車可能領域Gは、全てワークメモリ7などを中核とする蓄積部16に蓄積され、保持される(#4)。尚、空き領域Eが検出されなかった場合には、全撮影画像に対して、あるいは撮影画像上において車両90に対する所定の領域に設定された関心領域ROIに対して、区画線Wの画像認識が実行される。また、区画線Wの存在しない駐車場など、空き領域Eが検出され、区画線Wが検出されなかった場合には、空き領域Eに応じて駐車可能領域Gが設定される。
【0046】
ステップ#5において、シフトレバー55がリバースであるか否かが、シフトレバースイッチ25の検出結果に基づいて判定される。上記ステップ#1〜#4は、シフトレバー55がリバースに設定されるまで繰り返される。即ち、蓄積部16には車両90から所定の範囲内に存在する空き領域Eや駐車可能領域Gが保持されるので、車両90が移動している場合にはその移動に応じて順次、新しい空き領域Eや駐車可能領域Gが検出され、保持データが更新される。その際、車両90の移動により、車両90から所定の範囲内に存在しなくなった空き領域Eや駐車可能領域Gは破棄される。ステップ#5においてシフトレバー55がリバースであると判定されると、蓄積部16に保持されていた駐車可能領域Gが駐車目標候補Hとして設定される。そして、図9に示すように、モニタ装置4に撮影画像と共にグラフィック画像として表示される(#6)。ここで、ドライバーがステアリングホイール51を操作すると、図10〜図12に示すように、操舵方向や操舵量に応じて選択された駐車目標候補Hが表示される(#7,#8)。
【0047】
以上説明したように、本発明によって、ドライバーが通常の運転操作には用いない入力手段を介することなく高い自由度を持って駐車目標位置を簡単に設定可能な駐車支援装置を提供することが可能となる。但し、上記実施形態は、一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲での改変は本発明の技術的範囲に属するものである。以下に、そのような改変の例を挙げる。
【0048】
〔1〕上記説明においては、通常の運転操作に用いる運転装置として、操舵装置であるステアリングホイール51を例示した。しかし、運転装置は、操舵装置に限定されるものではなく、また、操舵装置も、ステアリングホイール51に限定されるものではない。福祉車両においては、操舵装置としてスティックハンドルが利用される場合があるが、そのようなスティックハンドルを用いて駐車目標候補Hを選択してもよい。また、方向指示器を操作する回数がカウント可能であれば、運転装置としての方向指示器を利用して駐車目標候補Hを選択してもよい。例えば、左方向に方向指示器を操作し、そのまま再度左方向に操作した場合、2回とカウントし、車両90から遠い側から2番目の駐車目標候補Hが選択される。この際、方向指示器は左に操作されたままであるから、左方向へ進行することを車両90の外部に対して報知することにもなる。右方向についても同様である。
【0049】
〔2〕上記説明においては、ステアリングホイール51の操作量が多いほど、車両90に近い駐車目標候補Hが選択される場合を例として説明したが、当然ながらそれに限定される必要はない。ステアリングホイール51の操作量が多いほど遠くの駐車目標候補Hが選択されてもよいし、ステアリングホイール51の操作量に依存せず、操作回数によって駐車目標候補Hが選択されてもよい。また、上記説明においては、駐車目標候補Hを選択する際のステアリングホイール51の操作量は、当該駐車目標候補Hを駐車目標Tとした場合の初期舵角に相当する量である場合を例として説明したが、当然ながらそれに限定される必要はない。駐車目標候補Hを選択する際のステアリングホイール51の操作量は、駐車支援における誘導時の舵角とは無関係であっても構わない。
【0050】
〔3〕上記説明においては、領域検出部11が車両90の左右両方において駐車可能領域Gを検出した場合に、選択部18が、検出された駐車可能領域Gに対応する駐車目標候補Hの内、ステアリングホイール51の操舵方向に対応した方向の駐車目標候補Hを駐車目標Tとして選択する例を用いた(例えば図9〜図12。)。しかし、車両90の左右両方において駐車可能領域Gが検出されていない場合、つまり、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合であっても、ステアリングホイール51による操舵方向に存在する駐車目標候補Hが選択されてもよい。即ち、車両90の左右両方において駐車可能領域Gが検出されているか否かに拘わらず、選択部18が、ステアリングホイール51による操舵方向に存在する駐車目標候補Hを駐車目標Tとして選択してもよい。
【0051】
この場合、駐車可能領域Gが検出されていない方向へ操舵された際には何れの駐車目標候補Hも駐車目標Tとして選択されず、駐車可能領域Gが検出されている方向へ操舵された際に何れかの駐車目標候補Hが駐車目標Tとして選択されることになる。これにより、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合であっても、車両90を旋回させるための操舵方向と同じ方向への操舵によって駐車目標Tを選択することが可能となる。
【0052】
〔4〕また、通常の運転操作に用いる運転装置として、操舵装置であるステアリングホイール51を用いる場合であっても、操舵方向と選択される駐車目標候補Hの方向とが必ずしも一致するものでなくてもよい。例えば、左右何れか一方においてのみ駐車可能領域Gが検出されている場合に、操舵方向に拘束されることなく、例えば操舵量などによって駐車目標Tが選択されるような構成を妨げるものではない。
【符号の説明】
【0053】
4:モニタ装置
11:領域検出部
15:撮影画像取得部
17:表示制御部
18:選択部
51:ステアリングホイール(運転装置、操舵装置)
90:車両
G:駐車可能領域
H:駐車目標候補
T:駐車目標
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駐車可能な駐車可能領域を、前記車両の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部と、
前記車両の周辺の情景が撮影された撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、前記領域検出部により検出された前記駐車可能領域が前記撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補を示すグラフィック画像を重畳させる表示制御部と、
前記車両の運転装置からの指示入力に基づいて前記駐車目標候補の内の1つを駐車目標として選択可能な選択部と、を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記車両に対して左右の少なくとも一方において複数存在する前記駐車目標候補の内の1つを前記駐車目標として選択可能である請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記運転装置は、前記車両の操舵装置である請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記領域検出部が前記車両の左右両方において前記駐車可能領域を検出した場合、前記選択部は、検出された前記駐車可能領域に対応する前記駐車目標候補の内、前記操舵装置の操舵方向に対応した方向の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記操舵装置の操作量に基づき、当該操作量が多いほど前記車両に近い位置の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3〜5の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項1】
車両を駐車可能な駐車可能領域を、前記車両の左右の少なくとも一方の側において複数箇所検出可能な領域検出部と、
前記車両の周辺の情景が撮影された撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像をモニタ装置に表示させると共に、前記領域検出部により検出された前記駐車可能領域が前記撮影画像上において対応する位置に駐車目標候補を示すグラフィック画像を重畳させる表示制御部と、
前記車両の運転装置からの指示入力に基づいて前記駐車目標候補の内の1つを駐車目標として選択可能な選択部と、を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記車両に対して左右の少なくとも一方において複数存在する前記駐車目標候補の内の1つを前記駐車目標として選択可能である請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記運転装置は、前記車両の操舵装置である請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記操舵装置による操舵方向に存在する前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記領域検出部が前記車両の左右両方において前記駐車可能領域を検出した場合、前記選択部は、検出された前記駐車可能領域に対応する前記駐車目標候補の内、前記操舵装置の操舵方向に対応した方向の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記操舵装置の操作量に基づき、当該操作量が多いほど前記車両に近い位置の前記駐車目標候補を前記駐車目標として選択する請求項3〜5の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−1144(P2012−1144A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139258(P2010−139258)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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