説明

駐車枠の認識装置、駐車枠の認識方法、及び、プログラム

【課題】駐車場に描かれた駐車枠12の形状を車両へ送信する駐車場側の通信設備を不要とし、駐車枠の認識が可能な駐車場を増やして有効に駐車枠を認識する。
【解決手段】駐車枠の認識装置2が、複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する。そして、選択した駐車枠の形状に基づいて、車両外部を示す画像中の駐車枠12を認識する。駐車枠の認識装置2が駐車枠12を認識すると、駐車支援システム100は駐車枠12で区画される駐車領域PAへ車両1を誘導し、駐車支援を行う。したがって、駐車場に描かれた駐車枠12の形状を車両へ送信する駐車場側の通信設備を不要とすることができる。かかる通信設備を不要とすることにより、駐車枠の認識が可能な駐車場を増やし、有効に駐車枠を認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車枠を認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたカメラで車両の周囲を撮影し、撮影した画像に基づいて駐車スペースを認識して駐車支援を行う技術が知られている。このような技術の一つとして、駐車支援を行う際、駐車スペースに描かれている駐車枠の形状情報が、駐車場に設置された通信設備から車両へ送信され、車両側で受信した駐車枠の形状情報を用いて、駐車スペースを認識する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−243339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、駐車場に設置された通信設備を介して、駐車枠の形状情報を車両に搭載された駐車枠の認識装置へ送信する技術を開示する。この技術を用いる場合、あらゆる駐車場において通信設備を設置する必要があり、駐車場への莫大な設備投資が必要となる。そのうえ、通信設備を設置しない駐車場においては、有効に駐車枠を認識することができないという問題が生じる。また、ところで、車両に搭載した駐車枠の認識装置により、駐車場内の駐車枠を認識しようとすると、運転者は認識装置の認識する範囲内に駐車枠が含まれるよう車両を制御する必要がある。この場合、運転者は車両をどの位置へ操作すれば駐車枠が認識範囲内となるのか、必ずしも明確でなく問題となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第一の目的は、駐車場側の通信設備を不要とし、駐車枠の認識が可能な駐車場を増やし、有効に駐車枠を認識することである。
【0006】
また、第二の目的は、認識装置により駐車枠を認識する際、運転者が車両の位置を容易に適切な位置へ操作できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、駐車枠の認識装置であって、車両外部を示す画像を取得する取得手段と、複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記駐車枠の形状に基づいて、前記画像中の駐車枠を認識する認識手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の認識装置において、前記選択手段の選択対象となる前記複数の駐車枠の形状を表示手段に表示させる表示制御手段と、をさらに備えている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の認識装置において、前記ユーザにより手書き入力された入力情報を受け付ける手書入力手段と、前記入力情報に基づき、前記ユーザが手書き入力した入力形状を認識する形状認識手段と、をさらに備え、前記認識手段は、前記入力情報を受け付けた場合は、前記入力形状に基づいて、前記駐車枠を認識する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1または2に記載の認識装置において、前記駐車枠の形状を阻害する阻害体の形状と、前記阻害体の位置とを示す阻害情報をユーザの操作に基づいて取得する取得手段と、をさらに備え、前記認識手段は、前記選択手段により選択された前記駐車枠の形状と前記阻害情報とに基づいて前記駐車枠を認識する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3に記載の認識装置において、前記駐車枠の形状を阻害する阻害体の形状と、前記阻害体の位置とを示す阻害情報をユーザの操作に基づいて取得する取得手段と、をさらに備え、前記認識手段は、前記入力形状と前記阻害情報とに基づいて前記駐車枠を認識する。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の認識装置において、前記認識手段により認識された前記駐車枠に関する情報を、前記駐車枠によって規定される駐車領域へ前記車両を誘導する駐車支援装置へ送信する送信手段と、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の認識装置において、前記取得手段は、車載カメラにより撮影された画像を取得し、前記認識手段は、前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識するものであり、前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる出力手段と、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の認識装置において、前記車両の位置情報を取得する位置取得手段と、前記選択手段により選択された駐車枠の形状と、選択されたときの前記車両の位置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、をさらに備え、前記認識手段は、前記位置取得手段により取得された位置情報に関連付けられた駐車枠の形状がある場合は、該駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識する。
【0015】
また、請求項9の発明は、駐車枠の認識方法であって、(a)車両外部を示す画像を取得する工程と、(b)複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する工程と、(c)前記工程(b)により選択された前記駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識する工程と、を備えている。
【0016】
また、請求項10の発明は、駐車枠の認識装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、(a)車両外部を示す画像を取得する工程と、(b)複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する工程と、(c)前記工程(b)により選択された前記駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識する工程と、を実行させる。
【0017】
また、請求項11の発明は、駐車枠の認識装置であって、車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する取得手段と、前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる出力手段と、を備えている。
【0018】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の認識装置において、前記指標内に前記駐車枠の一部が含まれるようにユーザに案内する案内情報を前記画像に重畳する案内手段と、をさらに備えている。
【0019】
また、請求項13の発明は、請求項11または12に記載の認識装置において、前記認識手段により認識された駐車枠に基づいて駐車領域を検出する検出手段、をさらに備えている。
【0020】
また、請求項14の発明は、請求項13に記載の認識装置において、前記検出手段は、所定数の駐車枠に基づいて前記駐車領域を検出するものであり、前記認識手段が前記対象領域に基づいて前記所定数の駐車枠を認識できない場合、前記ユーザへ通知を行う通知手段、をさらに備えている。
【0021】
また、請求項15の発明は、請求項13に記載の認識装置において、前記駐車領域に関する情報を、前記駐車領域へ前記車両を誘導する駐車支援装置へ送信する送信手段と、をさらに備えている。
【0022】
また、請求項16の発明は、請求項15に記載の認識装置において、前記駐車領域に他の車両が存在するか否かを判定する判定手段、をさらに備え、前記送信手段は、前記駐車領域に他の車両が存在しない場合に、該駐車領域に関する情報を前記駐車支援装置へ送信する。
【0023】
また、請求項17の発明は、駐車枠の認識方法であって、車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する工程と、前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する工程と、前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる工程と、を備えている。
【0024】
また、請求項18の発明は、駐車枠の認識装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する工程と、前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する工程と、前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1ないし10の発明によれば、ユーザの操作に基づく駐車枠の形状に基づいて駐車枠の認識を行うので、有効に駐車枠を認識することができる。また、駐車場側の通信設備が不要であり、対応可能な駐車場を増やすことができる。
【0026】
また、特に請求項2の発明によれば、選択対象となる複数の駐車枠の形状が表示手段に表示されるため、ユーザは、路面上に記された駐車枠の形状と表示手段に表示された駐車枠の形状とを対比することにより、駐車枠の形状の選択を適切に行うことができる。
【0027】
また、特に請求項3の発明によれば、ユーザが手書き入力した形状に基づいて駐車枠の認識を行うので、路面上に記された駐車枠の形状が表示手段に表示された駐車枠の形状と異なる場合であっても、有効に駐車枠の認識を行うことができる。
【0028】
また、特に請求項4の発明によれば、駐車枠の形状を阻害する阻害体に係る阻害情報に基づき駐車枠の認識を行うので、路面上に設置された物体等により駐車枠の形状が表示手段に表示された駐車枠の形状と部分的に異なる場合であっても、有効に駐車枠の認識を行うことができる。
【0029】
また、特に請求項5の発明によれば、阻害体の形状や位置に応じて駐車枠の認識を行うので、阻害体の形状や位置に係わらず、有効に駐車枠の認識を行うことができる。
【0030】
また、特に請求項6の発明によれば、認識手段により認識された駐車枠に関する情報を駐車支援装置へ送信するので、駐車支援装置は駐車領域へ車両を有効に誘導することができる。
【0031】
また、特に請求項7の発明によれば、駐車枠を認識するための対象領域を示す指標を重畳した画像を表示するので、ユーザは駐車枠の一部が指標内に含まれるように車両の位置を合わせるのみで、認識装置に駐車枠を認識させることができる。このため、ユーザは車両の位置を適切な位置に容易に合わせることができる。
【0032】
また、特に請求項8の発明によれば、位置情報に関連付けられた駐車枠の形状がある場合はこの駐車枠の形状に基づいて駐車枠の認識を行うので、ユーザは同一の駐車場で駐車枠の形状を再度選択する必要がなく、駐車場へ入場後、円滑に駐車を行うことができる。
【0033】
また、特に請求項11ないし18の発明によれば、駐車枠を認識するための対象領域を示す指標を重畳した画像を表示するので、ユーザは駐車枠の一部が指標内に含まれるように車両の位置を合わせるのみで、認識装置に駐車枠を認識させることができる。このため、ユーザは車両の位置を適切な位置に容易に合わせることができる。
【0034】
また、特に請求項12の発明によれば、画像に案内情報を重畳するので、車両の位置をどのように合わせるかをユーザが確実に認識することができる。
【0035】
また、特に請求項13の発明によれば、ユーザは駐車枠の一部が指標内に含まれるように車両の位置を合わせるのみで、認識装置に駐車領域を検出させることができる。
【0036】
また、特に請求項14の発明によれば、所定数の駐車枠を認識できない場合に、その旨をユーザへ通知するので、ユーザは車両の位置が駐車領域の検出ができる位置から外れたことを認識することができる。
【0037】
また、特に請求項15の発明によれば、駐車支援装置に車両を誘導させる場合に、ユーザは車両の位置を誘導可能な位置に容易に合わせることができる。
【0038】
また、特に請求項16の発明によれば、駐車支援装置は、他の車両が存在しない駐車領域へ車両を適切に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、駐車支援の概要を示す図である。
【図2】図2は、駐車支援システムの概要を示す図である。
【図3】図3は、駐車枠の認識装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、駐車支援が実行された際のディスプレイに表示される画像を示す図である。
【図5】図5は、認識装置における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。
【図6】図6は、認識装置における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。
【図7】図7は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図8】図8は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図9】図9は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図10】図10は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図11】図11は、駐車スペース情報がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図12】図12は、駐車スペース情報がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図13】図14は、駐車スペース情報がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図14】図14は、駐車スペース情報がユーザにより入力される様子を示す図である。
【図15】図15は、認識部における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。
【図16】図16は、駐車支援装置における駐車支援処理の流れを示す図である。
【図17】図17は、第2の実施形態における認識装置の構成を示す図である。
【図18】図18は、第2の実施形態の認識装置における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。
【図19】図19は、駐車枠の認識に関する案内が周辺画像に重畳されてディスプレイに表示される様子を示す図である。
【図20】図20は、第2の実施形態の認識部における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。
【図21】図21は、駐車枠の認識に関する通知が周辺画像に重畳されてディスプレイに表示される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0041】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム構成>
図1は、本実施の形態に係る駐車支援の概要を示す図である。駐車支援とは、車両1を駐車すべきスペースである駐車領域PAへ車両1を駐車させる際、車両1の運転者の駐車制御を支援するものである。特に、本実施の形態に係る駐車支援においては、車両1が駐車場へ入場後、自動で駐車領域PAを認識し、かかる駐車領域PAへ車両1を誘導するものである。すなわち、車両1が駐車場へ進入すると、駐車枠12の並ぶ進行方向DIへ向けて駐車場の末端ENまで自動で走行しつつ、車両1に備えた認識装置が駐車場に描かれた駐車枠12を認識する。そして、認識した駐車枠12内に他の駐車車両11が存在しないと判断すると、かかる駐車枠12で区画される駐車領域PAに車両1を自動で駐車させるものである。また、駐車支援には、後退して駐車領域PAへ駐車する際に、車両1の後部に設けたカメラにより車両1の後方映像を運転者へ提示し、運転者による後退制御を支援するものもある。なお、以下においては、車両1の運転者を含む車両1の乗員を「ユーザ」という。
【0042】
図2は、本実施の形態に係る駐車支援システム100の概要を示す図である。駐車支援システム100は、駐車枠の認識装置2、ディスプレイ3、フロントカメラ5a、右サイドカメラ5b、左サイドカメラ5c、リアカメラ5d、及び駐車支援装置8等を備え、車両1を自動で駐車制御するシステムである。各部の詳細は後に説明する。駐車枠の認識装置2が他車両のいない駐車枠間を認識すると、駐車支援装置8は駐車枠で区画される駐車領域PAへ自動で車両1を駐車させる。この際、車両1を運転するユーザは、ディスプレイ3に表示される左サイドカメラの画像を参照しながら、画像の所定領域中に駐車枠12が撮影されるようステアリングを操作すればよい。このように、駐車支援システム100によれば、駐車制御を不得手とするユーザであっても、容易に車両の駐車を行うことができる。
【0043】
<1−2.認識装置の構成>
図3は、駐車枠の認識装置2の構成を示す図である。認識装置2は、制御部21、入出力部22、及び記憶部23を備える電子制御装置である。認識装置2は、ユーザの操作に基づく駐車枠の形状に基づいて、駐車場に描かれた駐車枠の認識を行う。
【0044】
制御部21は、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータであり、認識装置2が備える入出力部22及び記憶部23と接続され、相互にデータの送受信を行い、認識装置2の全体を制御する。また、制御部21は、選択部21a、認識部21b、表示制御部21c、指標重畳部21d、及び駐車領域検出部21eを備える。制御部21が備えるこれら各部は、プログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより実現される機能である。
【0045】
選択部21aは、ユーザにより入力された駐車枠の形状を検知し、記憶部23に記憶された駐車枠形状23aの中から該当する駐車枠の形状のデータを選択する。選択された駐車枠形状のデータは、認識部21bにおいて、駐車枠の認識に使用される。選択部21aは、複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する。
【0046】
認識部21bは、カメラ5a〜5dが撮影した車両1の外部の画像に映された駐車枠を認識する処理を行う。かかる認識処理は、指標で規定された画像中の所定領域に対して行う。認識処理を所定領域に対してのみ行うのは、画像全体を認識処理すると処理負荷が膨大となり、認識結果を得るのが遅延するためである。また、一般的に、車両1が駐車場内を走行する場合は、駐車枠に対して一定距離を走行すると考えられるため、画像中の所定位置に駐車枠が表示されると考えられるためである。また、認識部21bは、選択部21aにより選択された駐車枠の形状に基づいて、画像中の駐車枠を認識する。また、認識部21bは、手書き入力部32へのユーザによる入力が受け付けられた場合は、入力された形状に基づいて、駐車枠を認識する。なお、認識部21bが、駐車枠を認識する手法については後に詳述する。
【0047】
また、認識部21bは、情報取得部22aに入力された入力情報に基づき、ユーザが手書き入力した入力形状を認識する。入力形状の認識は、いわゆるパターンマッチングの手法により行われる。すなわち、認識部21bは、予め複数の入力パターンを記憶しており、かかる記憶した入力パターンのうち、ユーザが入力した形状と一致するパターン又は最も類似するパターンを特定する。これにより、認識部21bは、ユーザが手書き入力した入力形状を認識することができる。
【0048】
また、認識部21bは、選択部21aにより選択された駐車枠の形状と、駐車枠の形状を阻害する阻害体に関する阻害情報とに基づいて駐車枠を認識する。
【0049】
表示制御部21cは、ディスプレイ3に表示される画像を生成及び制御し、いわゆるキャプチャとして機能する。表示制御部21cは、撮影部5で撮影された画像情報を静止画または動画ファイルとして取り込み保存し、ディスプレイ3で表示可能なデータ形式に変換し、出力部22dを介してディスプレイ3へ出力する。また、表示制御部21cは、選択部21aの選択対象となる複数の駐車枠の形状を記憶部23に記憶された駐車枠形状23aから取得し、ディスプレイ3に表示させる。すなわち、表示制御部21cは、選択部21aの選択対象となる複数の駐車枠の形状をディスプレイ3に表示させる制御部である。
【0050】
指標重畳部21dは、駐車枠を認識するための画像中の対象領域を示す指標をかかる画像に重畳する。指標重畳部21dは、表示制御部21cがディスプレイ3に表示させる画像に対し、指標を重畳させる画像処理を行う。指標IDは、ディスプレイ3に表示させる画像中に表示される領域の境界を示す枠線である(図4参照)。指標IDにより区切られる領域は、上述の通り、認識部21bが駐車枠を認識する領域であり、予め画像中の座標として定めておく。なお、右サイドカメラ5b又は左サイドカメラ5cを車両1に設置した後に、画像中に映りこむボディー部1aを認識し、ボディー部1aの画像中の位置からかかる座標を定める、いわゆるキャリブレーションにより定めてもよい。なお、指標IDは、枠線のほか、領域の端点のみを示すものでもよく、また、領域の端点間を示す線分でもよい。また、線分によるものでなく、領域内の色彩を異ならせてもよい。すなわち、指標IDは、認識部21bが駐車枠を認識する領域を車両1のユーザが確認できるものであればよい。なお、指標IDは、画像の背景色と同一色でない色彩とするのが好ましい。ユーザが画像に表示された指標IDを明確に確認できるためである。
【0051】
指標IDが表示されることにより、ユーザは駐車枠の一部が指標ID内に含まれるように車両の位置を合わせるのみで、認識装置に駐車枠を認識させることができる。また、指標IDは一定の領域を示すため、ユーザは駐車枠の一部が指標ID内のどこかに含まれるように車両の位置を合わせればよく、車両操作の自由度が高い。このため、ユーザは車両の位置を適切な位置に容易に合わせることができる。
【0052】
駐車領域検出部21eは、駐車領域PAを検出する。駐車領域PAの検出は、認識した駐車枠12により規定される駐車領域の四隅と車両1との距離を算出して行う。距離の算出に使用する情報は、画像中の所定箇所と車両1との実際の距離及び角度を予め測定し、距離・角度情報として記憶部23に記憶しておけばよい。また、駐車領域の幅及び奥行きの長さは、駐車場に関する法令等で規定される一般公共用の標準的な駐車場の幅及び奥行きを記憶しておけばよい。たとえば、幅2.5m、奥行き5.0mである。駐車領域検出部21eは、認識部21bにより認識された駐車枠に基づいて駐車領域PAを検出し、また認識した所定数の駐車枠に基づいて駐車領域PAを検出する。駐車領域検出部21eによる距離の算出は、距離・角度情報を読み出し、認識した駐車枠12が画像中のどの位置に映っているかにより、右サイドカメラ5b又は左サイドカメラ5cと車両1との距離を算出して行う。駐車領域検出部21eは、かかる距離を駐車領域情報として駐車支援装置8の経路算出部82へ送信部22cを介して送信する。なお、この際、駐車領域情報に加えて、情報取得部22aにより予め取得している駐車方法情報が併せて送信される。駐車方法情報は、ユーザが駐車場をタッチパネル31から入力した並列駐車又は縦列駐車の駐車方法に関する情報である。
【0053】
入出力部22は、情報取得部22a、位置取得部22b、送信部22c、及び出力部22dを備え、認識装置2へ入出力されるデータを制御する。
【0054】
情報取得部22aは、タッチパネル31及び手書き入力部32へ入力されたデータを受信する。また、情報取得部22aは、撮影部5の各カメラから送信される画像データ及びセンサ部6の各センサから送信される車両1の動作に関するデータを受信する。
【0055】
位置取得部22bは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用し、車両1の位置情報を取得する。位置取得部22bは、GPS受信機7から送信されるGPSデータを受信する。かかるGPSデータは、GPS受信機7が受信した時刻データ及び衛星の軌道情報等が含まれている。位置取得部22bは、受信したGPSデータに演算処理を施し、車両1の空間上の位置を緯度及び経度として算出する。位置取得部22bは、算出した緯度及び経度情報を制御部21へ送信する。なお、位置取得部22bによる緯度及び経度の算出には、GPSのほか、ガリレオ測位システム等の人工衛星を利用した位置特定のシステムを利用してもよい。
【0056】
送信部22cは、ユーザの要求に応じて、駐車支援装置8へ駐車支援制御の開始を要求する信号を送信する。また、送信部22cは、認識部21bにより認識された駐車枠12に関する情報を、駐車枠12によって規定される駐車領域PAへ車両1を誘導する駐車支援装置8へ送信し、また、送信部22cは、駐車領域PAに他の車両が存在しない場合に、駐車領域PAに関する情報を駐車支援装置8へ送信する。
【0057】
出力部22dは、制御部21からの出力要求に従い、表示制御部21cが生成した画像をディスプレイ3へ送信し、予め記憶部23に記憶された音声データをスピーカ4へ送信する。また、出力部22dは、指標IDが重畳された画像を出力してディスプレイ3に表示させる出力手段として機能する。また、出力部22dは、車両1の外部の情報センター10へ送信すべきデータを通信部9へ出力する。さらに、出力部22dは、所定のプロトコルを有し、各装置へ適切なインターフェースを選択して各データの出力を行う。すなわち、出力部22dは、指標IDが重畳された画像を出力して表示手段に表示させ、また認識部21bが対象領域に基づいて所定数の駐車枠を認識できない場合、ユーザへ通知を行う信号を出力する。
【0058】
記憶部23は、駐車枠形状23a、阻害情報23b、形状・位置情報23c、及び地図情報23dを記憶している。記憶部23は、電気的にデータの読み書きが可能であり、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。たとえば、記憶部23は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)やフラッシュメモリにより構成される。なお、記憶部23は、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
【0059】
駐車枠形状23aは、多種類の駐車枠形状からなるデータである。阻害情報23bは、認識部21bが駐車枠を認識する際に、かかる認識を阻害する要因となるデータである。すなわち、阻害情報23bは、駐車場に描かれた駐車枠の形状を歪めたり、枠線を遮断する駐車場の地表に設置される障害物や陰影等の阻害体のデータである。例えば、マンホールの形状や陰影の濃淡を示す情報が該当する。阻害情報23bを用いて認識部21bが駐車枠を認識する具体的な手法については、後に詳述する。
【0060】
形状・位置情報23cは、駐車枠の形状データと緯度・経度情報とが関連付けられたデータである。形状・位置情報23cが参照されることにより、どのような駐車枠形状が、どの位置に存在するかを制御部21が認識する。形状・位置情報23cにより、ユーザは、駐車枠の形状データを既に入力した駐車場を訪れた際、駐車枠の形状データを再度入力する必要がない。なお、緯度・経度情報は、町名や番地等からなる住所の情報でもよい。一般的に駐車場の位置は、住所により特定されるためである。地図情報23dは、緯度・経度や住所と関連付けられた建物や駐車場の情報、及び車両1が走行可能な道路情報が含まれている。記憶部23が、選択部21aにより選択された駐車枠の形状と、選択されたときの車両の位置情報とを関連付けて記憶する。なお、認識部21bは、位置取得部22bにより取得された位置情報に関連付けられた駐車枠の形状がある場合は、該駐車枠の形状に基づいて画像中の駐車枠を認識する。
【0061】
ディスプレイ3は、タッチパネル31及び手書き入力部32を備えた画像等を表示する表示装置である。例えば、ディスプレイ3は、液晶ディスプレイである。
【0062】
タッチパネル31は、ユーザがディスプレイ3に表示されたボタンを示す領域に対する指での接触を感知し、感知したディスプレイ3上の位置情報を情報取得部22aへ出力する。タッチパネル31が感知したディスプレイ3上の位置情報と表示制御部21cの生成した画像情報とから、制御部21はユーザの操作内容を認識できる。
【0063】
手書き入力部32は、ユーザにより手書き入力された入力情報を受け付け、また駐車枠の形状を阻害する阻害体の形状と、阻害体の位置を示す阻害情報をユーザの操作に基づいて取得する。具体的には、手書き入力部32は、ユーザがディスプレイ3の表面を指でなぞり、なぞった軌跡を認識する、いわゆるタッチパッドである。手書き入力部32は、ディスプレイ3の表面に設置された平板状のセンサと人体の指で構成されるコンデンサが、センサ表面のどの位置に存在するかを微弱な静電容量の変化として検出する。検出された軌跡の情報は、ディスプレイ3上の位置情報として情報取得部22aに送信される。かかる軌跡が示す形状が、いわゆるパターンマッチングの手法により、認識部21bで認識される。なお、認識部21bは、ユーザが手書き入力した入力形状を認識し、また入力情報を受け付けた場合は、入力形状に基づいて、駐車枠を認識する。
【0064】
スピーカ4は、出力部22dから送信された音楽や音声を出力し、またチャイムやブザー等の警告音を出力する。スピーカ4は、ディスプレイ3と一体として構成してもよい。
【0065】
撮影部5は、フロントカメラ5a、右サイドカメラ5b、左サイドカメラ5c、及びリアカメラ5dを備え、車両外部を示す画像を取得する。各カメラは、広角レンズを備え、180度以上の画角に渡ってデジタル撮影し、撮影した画像データを情報取得部22aに送信する。車両1の前後左右にカメラを設置することで、撮影部5は、車両1の全周を撮影できる。各カメラにより撮影された画像は、広角レンズの歪曲収差により像が歪んで撮影された場合でも、画像の補正処理により平面な画像に修正することができる。
【0066】
フロントカメラ5aは、車両1の先端部に設置され、車両1の前方を撮影する。フロントカメラ5aは、車両1のいわゆるフロントグリルに設置されるが、車室内のバックミラー裏面に設置し、フロントガラスを通して車両1の前方を撮影してもよい。右サイドカメラ5bは、車両1の右サイドミラーのケース内に設置され、車両1の右側方を撮影する。左サイドカメラ5cは、車両1の左サイドミラーのケース内に設置され、車両1の左側方を撮影する。リアカメラ5dは、車両1の後部に設置され、車両1の後方を撮影する。リアカメラ5dは、リアゲートの開放レバー付近に設置されるが、リアスポイラーの下部に設置してもよい。この場合は、撮影視点が上昇し、より遠方まで車両後方を撮影することができる。
【0067】
センサ部6は、舵角センサ6a、車速センサ6b、ギア位置センサ6c、及びジャイロセンサ6dを備える。また、センサ部6は、車両1に備えられたエンジンの回転数や冷却装置の温度等を検知する各センサを備えるが、図示は省略する。舵角センサ6aは、ステアリングホイールの回転角を検知し、角度情報を情報取得部22a及び電動パワーステアリングの制御装置(図示せず)に送信する。車速センサ6bは、車両1の車輪軸に設けられたローターの回転をパルス信号として出力し、磁気センサまたは光センサにより構成されている。なお、制御部21は、車速センサ6bから受信するパルス信号から、単位時間当たりの車輪回転数を算出することで車両1の車両速度を算出する。ギア位置センサ6cは、図示しないトランスミッションからギアポジションを検出し、ギア位置情報として、情報取得部22aに送信する。ジャイロセンサ6dは、車両1の進行する角度や角速度を検出する計測器であり、検知した角度情報を情報取得部22aに送信する。
【0068】
GPS受信機7は、車両1上空の軌道上を周回する複数のGPS衛星から送信される信号を受信するアンテナである。GPS衛星からの信号には、時刻データ及び衛星の軌道情報等が含まれる。GPS受信機7は、受信した信号であるGPSデータを位置取得部22bへ送信する。
【0069】
駐車支援装置8は、誘導部81及び経路算出部82を備える電子制御装置である。駐車支援装置8は、駐車領域検出部21eから送信された駐車領域情報及び駐車方法情報に基づき駐車領域までの経路を算出し、車両1を駐車領域へ誘導制御する。
【0070】
誘導部81は、アクセル制御部81a、ブレーキ制御部81b、及びステアリング制御部81cを備えるマイクロコンピュータであり、経路算出部82の算出した経路に従って走行するよう、車両1を駆動制御する。アクセル制御部81aは、エンジンのスロットルを制御し、エンジンの回転数と負荷を調節する。これにより、車両1は、アクセル制御部81aにより制御された速度で走行する。車両1が電気自動車等である場合にも、車両1の走行速度はアクセル制御部81aにより制御される。ブレーキ制御部81bは、車両1のブレーキを制御し、車両1を減速させるよう制御する。車両1の走行速度が上昇し、車両1が経路算出部82の算出した経路からの逸脱が予想される場合等に、ブレーキ制御部81bは、車両1を減速させるよう制御する。ステアリング制御部81cは、車両1が経路算出部82の算出した経路上を走行するよう図示しない電動パワーステアリングを制御する。経路算出部82は、駐車領域検出部21eから送信された駐車領域情報、駐車方法情報、駐車支援装置8に予め記憶してある車両1の全長、車幅、及び回転半径等に基づき、所定の演算処理により、車両1の現在位置から駐車領域までの経路を算出する。
【0071】
通信部9は、認識装置2と情報センター10とを無線接続し、認識装置2から出力部22dを介して情報センター10へデータ送信を行う無線装置である。送信されるデータは、ユーザが手書き入力した駐車枠の形状データである。通信部9は、認識装置2から情報センター10へデータを送信する場合には、かかるデータを無線通信され得る形式に変換し、データ送信を行う。
【0072】
情報センター10は、あらゆる駐車枠の形状データを収集する。情報センター10は、新たに認識装置2を製造する場合に、収集した駐車枠の形状データを記憶部23へ記憶させる。これにより、新しく製造された認識装置2を操作するユーザは、従前の認識装置2には記憶されていなかった駐車枠の形状データを参照できるので、手書き入力を省略することができる。なお、情報センターから駐車枠の形状データの送信を受けて、記憶部23に駐車枠の形状データを追加してもよい。この場合、新たに製造された認識装置を設置せずとも、ユーザは新しい駐車枠の形状データに基づいて、駐車枠の選択制御を行うことができる。
【0073】
図4は、駐車支援システム100により駐車支援が実行された際に、ディスプレイ3に表示される画像である。図4に示されている画像は、左サイドカメラ5cにより撮影された画像である。画像が歪曲して表示されるのは、左サイドカメラ5cに備えられた広角レンズの特性の一つである樽型の歪曲収差によるものである。かかる収差により、広角の画角が確保されている。また、車両1の側方ボディー部1aが、撮影範囲に含まれるよう撮影されている。側方ボディー部1aが撮影範囲に含まれることにより、ユーザは、車両1と駐車枠12や他の駐車車両11との相対的な距離を認識し、車両1の進行方向を適切に操作することができる。
【0074】
指標IDは、ディスプレイ3に表示させる画像中に指標重畳部21dにより重畳して表示される枠線である。指標IDにより区切られる領域は、認識部21bが駐車枠を認識する領域であり、予め画像中の座標として定められている。ユーザは駐車枠の一部が指標IDの領域内に含まれるように車両の位置を操作するのみで、認識部21bに駐車枠を認識させることができる。認識部21bに駐車枠を認識させる際には、ユーザは、駐車枠12の車両1に近い端点が2つ以上指標ID内に含まれるように車両1の位置を操作する必要がある。これにより、駐車領域検出部21eが、認識された2つの駐車枠12により区画される領域を駐車領域PAとして認識できる。
【0075】
<1−3.駐車枠の認識処理>
次に、駐車支援システム100における認識装置2の処理について説明する。
【0076】
図5及び図6は、認識装置2の駐車枠の認識処理の流れを示す図である。かかる処理は、車両1のメインスイッチがオンとされることにより、開始される。
【0077】
まず、位置取得部22bが、GPS受信機7からGPSデータを取得し、かかるGPSデータに所定の演算を行い、車両1が現在存在する位置情報を取得する(ステップS11)。取得された位置情報は、制御部21に送信される。制御部21は、記憶部23に記憶された地図情報23dを読み出して、車両1が駐車場に進入したか否か判断する(ステップS12)。現在位置が駐車場内でないと判断すると、ステップS11へ戻り、位置取得部22bが、再度位置情報を取得し、制御部21により車両1が駐車場に進入したか否か判断される。
【0078】
ステップS12において、車両1が駐車場に進入したと判断すると、ユーザに駐車支援が必要か否かを問い合わせる(ステップS13)。かかる問い合わせは、表示制御部21cが問い合わせ画像を生成し、ディスプレイ3に表示させることで行われる。ユーザは、タッチパネル31を操作することで、駐車支援の要否を回答することができる。
【0079】
ユーザが、駐車支援は不要と回答すると、認識装置2の本処理は終了となる。ユーザが駐車支援を不要としている場合には、駐車枠の認識を行う必要がないためである。一方、ユーザが駐車支援を必要と回答した場合は、制御部21が、記憶部23に記憶されている形状・位置情報23cを読み出し、現在位置に該当する位置情報の有無を確認する。すなわち、現在位置が既に登録されているか否かを確認する(ステップS14)。現在位置が既に登録済みの場合は、ステップS15からS23までの駐車枠の形状入力等の処理を省略し、形状・位置情報23cから現在位置に関連付けられた駐車枠の形状を取得し、図6のステップS31へ進む。現在位置が既に登録済みの場合は、駐車枠の形状情報も登録されており、再度入力する必要がないためである。
【0080】
ステップS14にて、制御部21が現在位置は登録されていないと判断すると、表示制御部21cはユーザに駐車方法を問い合わせる画像を生成し、ディスプレイ3に表示させる(ステップS15)。駐車方法とは、並列駐車又は縦列駐車である。表示の方法は、並列駐車及び縦列駐車を簡単な絵柄で記号化したいわゆるアイコンとして表示するのが好ましい。ユーザが表示内容を直感的に判断でき、円滑な操作を行うことができるためである。ユーザは、駐車場に描かれている駐車枠の表示を確認して並列駐車か縦列駐車かを判断し、タッチパネル31を操作して駐車方法を回答する(ステップS16)。ユーザが「並列駐車」と回答した場合には、表示制御部21cは、並列駐車用の駐車枠形状23aを記憶部23から読み出して、ディスプレイ3に表示させる(ステップS17)。一方、ユーザが「縦列駐車」と回答した場合には、表示制御部21cは、縦列駐車用の駐車枠形状23aを記憶部23から読み出して、ディスプレイ3に表示させる(ステップS18)。この際、駐車枠形状23aが多数記憶されている場合は、表示制御部21cは、一部の駐車枠形状23aのみを表示すればよい。特に、駐車枠形状23aは、形状の一般的な度合いや過去に多く選択されたか否かに基づいて優先順位を設けてもよい。ディスプレイ3の表示範囲は限られており、必ずしも記憶されている全ての駐車枠形状23aを表示できないためである。
【0081】
ここで、ユーザが駐車枠形状をタッチパネル31へ入力する方法について、図7及び図8を参照して説明する。
【0082】
図7は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。駐車枠の形状がアイコン31a、31b、31c、31d、31eとして表示されている。駐車枠31aは、車両が駐車した場合に、車両の左右が直線となる駐車枠である。駐車枠31bは、車両が駐車した場合に車両の左右が直線となり、かかる直線の終端同士が線が結ばれている形状である。すなわち、コの字を縦にした形状である。駐車枠31cは、駐車枠で区切られる駐車領域の入口側から見た場合に、T字形状を上下逆方向にした形状である。駐車枠31cは、同様に見た場合に、U字形状である。駐車枠31eは、駐車枠の四隅にL字形状の角部を外側に向けた形状である。ユーザは、ディスプレイ3に表示された駐車枠形状の中に、駐車場に描かれている駐車枠と同一の形状があると判断した場合は、タッチパネル31の該当する駐車枠形状31aを指PTで触れて選択する。タッチパネル31に入力された駐車枠形状の情報は、情報取得部22aに入力され、制御部21へ送信される。
【0083】
図8は、表示制御部21cが、選択された駐車枠形状をディスプレイ3に拡大表示し、選択した形状に間違いがないかをユーザに問い合わせる図である。この際、ユーザが選択した駐車枠形状31bを拡大して表示するとともに、車両の形状31iも同時に表示することが好ましい。ユーザは、選択した駐車枠形状の大きさや形を車両の大きさと対比して把握できるため、間違いのない判断ができるためである。ユーザは、ディスプレイ3に表示された回答のための表示31gに触れることで、問い合わせに回答する。
【0084】
次に、図5に戻り、駐車枠の認識処理の説明を続ける。制御部21は、ユーザが駐車枠の形状を選択したか、手書き入力を選択したかを判断する(ステップS19)。ユーザが手書き入力を選択したと判断されると、表示制御部21cは、手書き入力用画像を生成し、ディスプレイ3に表示させる。これにより、手書き入力部32は、ユーザの手書きによる情報入力を受け付ける(ステップS20)。ユーザの手書きによる情報入力は、駐車場の駐車枠が既存の駐車枠ではない場合に有効である。たとえば、駐車場の駐車枠が斜め方向に描かれていた場合、砂地の駐車場にロープで駐車枠が区画されていた場合、又は駐車枠線が磨耗して一部が擦れている場合等である。
【0085】
ここで、ユーザが駐車枠形状を手書き入力部32へ入力する方法について、図9及び図10を参照して説明する。
【0086】
図9は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。ユーザがディスプレイ3に表示された駐車枠形状が駐車場に描かれている駐車枠と同一の形状でないと判断した場合、ユーザは手書き入力部32へ手書きで駐車枠を入力する旨を選択し、タッチパネル31を操作して手書き入力を回答する。ディスプレイ3に「枠なし」や「その他」と表示することで、ユーザは手書きで駐車枠を入力する旨を回答できる。
【0087】
図10は、駐車枠形状がユーザにより入力される様子を示す図である。ユーザは、ディスプレイ3に表示された手書き入力用画面のうち、手書き入力部32に対し、指PTでなぞることで駐車枠の形状32aを入力する。この際、手書き入力部32には、予め車両1の形状32bを表示させておくことが好ましい。ユーザは、手書き入力部32へのユーザの指PTでなぞるべき範囲を容易に把握することができるためである。手書き入力部32に入力された情報は、情報取得部22aを介して制御部21へ送信される。制御部21の選択部21aは、手書き入力された駐車枠の形状について、記憶部23に記憶された駐車枠形状23aの中から該当する駐車枠の形状のデータを選択する。この際、記憶部23に記憶されているが、ディスプレイ3に表示されなかった駐車枠形状が、選択部21aにより選択される。記憶部23に記憶されている駐車枠形状23aが多数である場合は、全ての形状をディスプレイ3に表示することができないためである。手書き入力された駐車枠の形状について、記憶部23に記憶された駐車枠形状23aの中から該当する駐車枠の形状のデータが存在しないと選択部21aが判断した場合、制御部21は、手書き入力された駐車枠の形状を出力部22dへ送信する。
【0088】
再び、図5に戻り、駐車枠の認識処理の説明を続ける。出力部22dは受信した駐車枠の形状を通信部9へ送信し、通信部9が情報センター10へ無線送信する(ステップS21)。情報センター10は、前述の通り、ユーザが手書き入力した駐車枠形状を把握することができる。新たに認識装置2を製造する際には、かかる駐車枠形状を記憶部23へ記憶させておくことで、認識装置2は、ユーザの手書き入力を省略した、円滑な駐車枠の認識処理を行うことができる。
【0089】
次に、制御部21は、ユーザによる駐車枠形状の選択があると、ステップS22の処理に進む。表示制御部21cは、阻害情報入力用画像を生成し、ディスプレイ3に表示させる。これにより、手書き入力部32は、ユーザの手書きによる阻害情報23bの入力を受け付ける(ステップS22)。手書き入力部32で受け付けられた阻害情報23bは、情報取得部22aを介し、制御部21により記憶部23に記憶される。阻害情報とは、認識部21bが駐車枠を認識する際に、かかる認識を阻害する要因となる阻害体に係るデータであり、阻害体はたとえば日影や駐車場に設置されるマンホール等である。認識部21bは、指標ID内の駐車枠のうち、入力された阻害情報と重なる部分、すなわち、駐車枠の形状が歪められたり、枠線が遮断されている部分の認識処理を実行しない。これにより、認識部21bは、誤った認識処理を防止できる。たとえば、U字型の駐車枠線上の端部にマンホールが存在すると、認識部21bは、駐車枠をJ字型の枠線と誤認識する恐れがある。場合によっては、認識部21bは、駐車枠がないものと誤認識する恐れがある。
【0090】
ここで、阻害情報を入力する方法を、図11から図14を参照して説明する。
【0091】
図11は、表示制御部21cにより阻害情報の選択画面がディスプレイ3に表示された図である。表示制御部21cは、阻害情報入力用画像に阻害情報の種類をアイコン31jとして、ユーザが選択できるよう表示させる。なお、阻害情報は、ユーザに対しては、「駐車スペース情報」としてディスプレイ3に表示している。ユーザは駐車枠付近に設置されている障害物等があれば、ディスプレイ3に表示された該当する名称の阻害情報に触れる。たとえば、ユーザは駐車枠付近にマンホールが設置されていると判断した場合、ユーザは指PTでマンホールのアイコン31jを触れる。指PTがマンホールのアイコン31jに触れた情報が情報取得部22aに入力されると、表示制御部21cは、阻害情報の配置画面を生成し、ディスプレイ3に表示させる。
【0092】
図12は、表示制御部21cにより阻害情報の配置画面がディスプレイ3に表示された図である。ユーザは、円形のマンホールを入力したい場合には、円形のアイコン31kを触れる。次に、ユーザは、手書き入力部32のうち、マンホールの形状を入力したい箇所を指PTで触れ、円形の直径を指PTでなぞる、いわゆるドラッグすることで、マンホールの形状を手書き入力部32へ入力する。ユーザは、マンホールの形状の入力が完了したら、「決定」のアイコン31lに触れて、マンホールの形状の入力を終了する。
【0093】
図13は、表示制御部21cにより阻害情報の選択画面がディスプレイ3に再度表示された図である。図12におけるアイコン31lにユーザが触れた情報が情報取得部22aに入力されると、表示制御部21cは、ディスプレイ3に阻害情報の選択画面を再度表示させる。ユーザは、駐車枠に日影がかかっていると判断した場合は、かかる選択画面中の「影」と表示されるアイコン31iに触れる。マンホール形状を入力した場合と同様に、駐車スペース情報の配置画面が表示される。
【0094】
図14は、表示制御部21cにより阻害情報の配置画面がディスプレイ3に再度表示された図である。ユーザは、日影が角形と判断した場合は、角形のアイコン31mに触れ、手書き入力部32に触れてドラッグして日影形状を入力し、「決定」のアイコン31nに触れて入力操作を終了する。入力されたこれら阻害情報は、情報取得部22aを介して、制御部21へ送信され、認識部21bにより、ステップS34(図6)の駐車枠の認識処理において利用される。
【0095】
再び、図5に戻り、駐車枠の認識処理の説明を続ける。ステップS22において、阻害情報の受付が終了すると、認識部21bは、駐車枠の認識処理を行うアルゴリズムを選択する(ステップS23)。認識部21bは、ステップS19又はステップS20において、ユーザにより入力された駐車枠の形状に対応したアルゴリズムを選択する。なお、アルゴリズムとは、認識すべき駐車枠の形状を判定する判定条件である。認識部21bは、駐車枠の形状毎に判定条件を備えており、いずれかの指標ID内に撮影された駐車枠がいずれかの判定条件に合致するか判定し、条件に該当する駐車枠の形状を認識する。判定条件の内容については、図15の駐車枠の認識処理の説明で詳述する。
【0096】
認識部21bによりアルゴリズムの選択が行われると、指標重畳部21dは、撮影部5が撮影した画像に指標IDを重畳させる(図6のステップS31)。この際、指標重畳部21dは、左サイドカメラ5cが撮影した画像に指標IDを重畳させればよいが、各カメラ画像をディスプレイ3に表示して、ユーザに画像を選択させてもよい。車両1の左側でない方向に駐車枠が存在する場合もあるからである。
【0097】
指標重畳部21dにより、撮影部5が撮影した画像に指標IDが重畳されると、表示制御部21cは、かかる指標IDが重畳された画像をディスプレイ3に表示させる(ステップS32)。
【0098】
表示制御部21cにより、画像がディスプレイ3に表示されると、送信部22cは駐車支援装置8へ駐車支援を開始するよう要求信号を送信する(ステップS33)。駐車支援装置8は、かかる要求信号を受信すると駐車支援を開始するが、詳細は図16の運転支援処理の流れを示す図の説明で述べる。
【0099】
送信部22cにより、駐車支援装置8へ要求信号が送信されると、認識部21bは、駐車枠の認識処理を行う(ステップS34)。認識部21bによる駐車枠の認識処理は、図6の説明において詳述する。
【0100】
認識部21bは、駐車枠の認識を行うと、認識した駐車枠内に他の車両が駐車していないかを検出する(ステップS35)。駐車枠内に他の車両が駐車していれば、かかる駐車枠で区画される駐車領域に車両1を駐車することができないからである。認識部21bは、駐車枠を検出した領域から画像の垂直方向へ駐車車両の一般的な車高に相当する認識領域を設定する。すなわち、かかる認識領域は、駐車車両の前面又は後ろ面の相当部分が含まれる領域である。なお、駐車車両の一般的な車高とは、たとえば、1.8mである。認識部21bは、認識領域の各画素の輝度を算出する。算出した輝度のうち、撮影部5が撮影した画像の縦方向に並ぶ画素間の輝度を比較する。比較の結果、縦の画素間の輝度が、所定以上の大きさで変化している画素を検出する。画素間の輝度が、所定以上の大きさでの変化する点を以下では、「エッジ」という。また、垂直方向に並ぶ画素間の輝度の変化点を以下では、「水平エッジ」という。縦方向に輝度の変化が大きい場合は、画像に対して水平方向に物体が存在している場合であり、かかる物体の存在により輝度の変化が生じているためである。また、水平方向に並ぶ画素間の輝度の変化点を以下では、「垂直エッジ」という。横方向に輝度の変化が大きい場合は、画像に対して垂直方向に物体が存在している場合であり、かかる物体の存在により輝度の変化が生じているためである。
【0101】
次に、認識部21bは、設定した駐車車両の認識領域から「水平エッジ」が検出される回数を計数する。「水平エッジ」が検出される回数が、所定回数以上の場合に、認識領域内に駐車車両が存在すると判断する。駐車車両を撮影部5で撮影した場合、車両のバンパーやボディーの構造等は、画像に対して水平方向の物体として存在する。このため、「水平エッジ」が検出される回数が、所定回数以上の場合に、認識領域内に駐車車両が存在すると判断できる。
【0102】
認識部21bは、駐車枠内に車両が存在すると判断した場合は、ステップS34に戻り、駐車枠の認識処理を再度行う(ステップS36でYes)。
【0103】
一方、認識部21bが駐車枠内に車両が存在しないと判断した場合、表示制御部21cは、車両1のユーザに該当の駐車枠内に車両1を駐車させたいか問い合わせる画面を生成し、ディスプレイ3に表示させる(ステップS37)。他車両のいない駐車領域であっても、駐車場内における場所によっては、ユーザは駐車を欲しないことがあるためである。ユーザは、タッチパネル31を操作することにより、ディスプレイ3に表示された問い合わせに回答することができる(ステップS38)ユーザが駐車しないと回答した場合、ステップS34に戻り、駐車枠の認識処理を再度行う(ステップS38でNo)。
【0104】
ユーザが駐車すると回答した場合、駐車領域検出部21eは、駐車領域PAの検出を行う(ステップS39)。駐車領域検出部21eによる駐車領域PAの検出は、駐車枠12により区画される駐車領域PAの四隅と車両1との距離を検出することにより行われる。撮影部5は車両1に固定されて撮影方向に変化がないため、撮影部5により撮影された画像中の所定の箇所は、車両1から常に一定の距離となる。このため、撮影された駐車枠が、画像中のどの箇所に位置づけられるかにより、駐車枠と車両1との距離を検出できる。この際、駐車枠が2点撮影されており、かつ駐車領域PAの幅及び奥行きの長さが判別すれば、駐車枠により区画される駐車領域PAの四隅と車両1との距離を検出できる。駐車領域PAの幅及び奥行きの長さは、駐車場に関する法令等で規定される一般公共用の標準的な駐車場の幅及び奥行きを記憶しておき、駐車領域PAの検出に使用すればよい。たとえば、幅2.5m、奥行き5.0mである。したがって、駐車領域検出部21eは、撮影部5により撮影された2つの駐車枠の画像中の位置を検出し、車両1との距離を検出する。次に、駐車領域検出部21eは、かかる2つの駐車枠と車両1との距離、及び駐車領域PAの幅及び奥行きの長さに基づき、駐車領域PAの四隅と車両1との距離を検出する。なお、「駐車領域」は、駐車枠に基づいて導出される情報であるため「駐車枠に関する情報」といえる。
【0105】
駐車領域検出部21eにより駐車領域PAの検出が行われると、送信部22cは、駐車領域PAの四隅と車両1との距離を駐車領域情報として駐車支援装置8へ送信する。また、送信部22cは、ステップS16においてユーザが選択した並列駐車又は縦列駐車の駐車方法を駐車方法情報として併せて駐車支援装置8へ送信する(ステップS40)。
【0106】
送信部22cが駐車領域情報等を駐車支援装置8へ送信すると、制御部21は、ステップS19でユーザにより選択された駐車枠形状又はステップS20で手書き入力された駐車枠形状と、車両1の現在位置とを形状・位置情報23cとして、記憶部23に記憶する(ステップS41)。
【0107】
ステップS41が実行されると、認識装置2における駐車枠の認識処理は終了する。
【0108】
次に、認識部21bにおける駐車枠の認識処理について説明する。図15は、認識部21bにおける駐車枠の認識処理の流れを示す図であり、図6のステップS34の詳細を示すものである。
【0109】
まず、認識部21bが、指標IDで規定された画像に対し、認識範囲を限定する(ステップS51)。すなわち、輝度のエッジを検出する範囲を限定する。以下では、かかる限定により画像認識を行わない領域を「マスク領域」という。たとえば、ユーザにより選択された駐車枠が車両の左右が直線となる図7における駐車枠31aである場合、指標ID内の中心付近および左右両端付近は、マスク領域とする。このように、認識範囲を限定しても、認識部21bは、駐車領域を指標IDの中心に捉えた場合に、駐車枠31aの形状の駐車枠を認識することができる。このように、認識範囲を限定することで、画像処理の負荷を低下させることができる。また、ユーザにより選択された駐車枠が図7における駐車枠31b(縦コの字形)である場合も、駐車枠31aと同様のマスク領域とする。また、ユーザにより選択された駐車枠が図7における駐車枠31c(逆T字形)である場合、指標ID内の中心付近および左右両端付近をマスク領域とするが、中心付近は31aの場合に比較して狭いマスク領域とする。逆T字形の形状にマスク領域を対応させるためである。また、ユーザにより選択された駐車枠が図7における駐車枠31d(U字形)及び駐車枠31e(L字形)である場合は、指標ID内の中心付近をマスク領域とする。中心付近のマスク領域は、駐車枠31aの場合より狭く、かつ駐車枠31cの場合より広くすればよい。なお、手書き入力により駐車枠の形状が入力されていた場合は、マスク領域を設定しない。駐車枠形状の類似の誤判断、及び駐車枠の誤認識を防止するためである。
【0110】
さらに、認識部21bは、図5のステップS22で入力を受け付けた阻害情報23bを記憶部23から読み出す。認識部21bは、阻害情報23bを指標IDで規定された画像に対し、マスク領域として設定する。手書き入力部32の領域と指標IDで規定される領域とは、予め対応付けておく。これにより、ユーザにより入力受け付け部32に入力された阻害情報23bの位置が、指標IDで規定される領域内の位置として、認識部21bはマスク領域を設定できる。認識部21bは、阻害情報23bの範囲をマスク領域として、駐車枠線の認識を行わないことにより、駐車枠線の誤認識を防止できる。
【0111】
次に、認識部21bは、指標ID内のマスク領域外の領域に対し、垂直方向の画素間の輝度変化、すなわち水平エッジを検出する(ステップS52)。水平エッジの検出は、図6のステップS35における駐車車両を検出した手法により行う。同様に、認識部21bは、垂直エッジの検出を行う(ステップS53)。
【0112】
垂直エッジの検出を行うと、認識部21bは、輝度の変化が駐車枠線の輝度に基づく水平エッジ及び垂直エッジを検出する(ステップS54)。駐車枠線は、一般的に白色や黄色等の明るい色彩が施されているため、画像中における輝度が高い。このため、駐車枠線の輝度と駐車場表面の輝度との輝度差に基づく輝度の変化は、一定範囲内となる。すなわち、認識部21bは、輝度の変化が一定範囲内となる水平エッジ及び垂直エッジを検出する。かかる一定範囲は、一般的な駐車枠線の輝度と駐車場表面の輝度との輝度差を予め記憶部23に記憶しておけばよい。
【0113】
次に、認識部21bは、ステップS54で検出した水平エッジ間の距離及び垂直エッジ間の距離を検出し、かかる距離が駐車枠線の幅に相当するか否か判断する(ステップS55)。同距離が駐車枠線の幅に相当すると判断する場合は、認識部21bは該当のエッジ間に挟まれた領域を駐車枠線であると判断できる。上述のように、駐車枠線は駐車場において明るい色彩が施されているため、輝度変化及びエッジ間距離が駐車枠線に相当する領域は、駐車枠線とみなすことができるためである。水平エッジ間の距離及び垂直エッジ間の距離が駐車枠線の幅に相当すると判断する場合(ステップS55でYes)は、ステップS56に進む。
【0114】
次に、認識部21bは、ステップS54において駐車枠線に相当すると判断されたエッジ間の領域に対し、駐車枠の判定条件を満たすか否か判断する(ステップS56)。駐車枠の判定条件とは、図5のステップS23で選択されたアルゴリズムである。アルゴリズムは、ユーザにより入力された駐車枠の形状に対応しており、駐車枠の形状の特徴を規定するものである。以下に、各駐車枠の判定条件を示す。(1)駐車枠31a(直線形):水平エッジが長い、かつ垂直エッジがない。(2)駐車枠31b(縦コの字形):水平エッジが長い、かつ垂直エッジがない。(3)駐車枠31c(逆T字形):水平エッジが長い、かつ水平エッジと交差する垂直エッジがある。(4)駐車枠31d(U字形):水平エッジが長い、かつ短い間隔の水平エッジの組が2つある。(5)駐車枠31e(L字形):垂直エッジが短い、かつ水平エッジと交差する垂直エッジがある。(6)手書き入力された駐車枠:認識部21bが手書き入力された駐車枠の形状に応じた判定条件を設定する。すなわち、手書き入力された駐車枠の形状のうち、垂直及び水平方向の線分を抽出し、各線分の長さを検出する。検出した線分から、判定条件とすべき垂直エッジと水平エッジとの長さ及び間隔を決定すればよい。なお、手書き入力された駐車枠の形状について駐車枠31a〜31eのうち最も類似する駐車枠の判定条件としてもよい。認識部21bは、駐車枠の判定条件を満たすと判断する場合(ステップS56でYes)は、ステップS57に進む。
【0115】
認識部21bは、ステップS54において駐車枠線に相当すると判断されたエッジ間の領域が2つ検出されている場合に、両領域間の距離が所定の距離か否か判断する(ステップS57)。駐車枠12が2つ以上認識できない場合は、駐車領域PAの四隅が決定できず、駐車領域PAの全体領域を認識できないためである。所定の距離とは、駐車場に関する法令等で規定される一般公共用の標準的な駐車枠の幅である。たとえば、2.5mである。すなわち、両領域間の距離が一般的な駐車枠の幅に相当する場合に、ステップS54において駐車枠線に相当すると判断されたエッジ間の領域が、駐車枠線であると判断ができる。
【0116】
認識部21bは、両領域間の距離が所定の距離であると判断する場合、すなわち、ステップS55、ステップS56、及びステップS57の全ての条件を満たす場合に、ステップS54において駐車枠線に相当すると判断されたエッジ間の領域を駐車枠であると確定する(ステップS60)。認識部21bが駐車枠を確定すると、図6の駐車枠の認識処理に戻る。
【0117】
一方、ステップS55、ステップS56、及びステップS57のいずれかでNoと判断された場合は、ステップS59に進む。ステップS59では、認識部21bにより、車両1が駐車場の末端EN付近まで進行したか否か判断される。車両1が駐車場の末端EN付近まで進行すれば、もはや駐車枠は存在しないため、駐車枠の認識処理が不必要となるためである。なお、車両1が駐車場の末端EN付近まで進行したか否かは、フロントカメラ5aの撮影する画像に基づき判断できる。すなわち、フロントカメラ5aは駐車場の末端ENを撮影するため、末端ENが撮影された画像から車両1と駐車場の末端ENまでの距離を検出すればよい。かかる距離が、所定距離より短く、たとえば3mより短くなった場合に、車両1は駐車場の末端EN付近に進行したと判断すればよい。
【0118】
認識部21bが、車両1が駐車場の末端EN付近まで進行していないと判断した場合(ステップS59でNo)、ステップS52に戻り、再度水平エッジの検出を行う。一方、認識部21bが、車両1が駐車場の末端EN付近まで進行したと判断した場合(ステップS59でYes)、送信部22cは、駐車支援装置8へ駐車支援を終了させる信号を送信する(ステップS60)。駐車枠の認識処理が不必要となるため、駐車支援装置8による駐車支援も不必要だからである。送信部22cは、駐車支援装置8へ駐車支援を終了させる信号を送信すると、認識装置2による駐車枠の認識処理は終了する。
【0119】
<1−4.駐車支援の処理>
次に、図5及び図6で説明した認識装置2の処理に応答した駐車支援装置8の処理について説明する。図16は、この駐車支援装置8の処理の流れを示す図である。
【0120】
駐車支援装置8は、図6のステップS33における送信部22cの支援開始の要求信号を受信したか否か判断する(ステップS71)。駐車支援装置8は、要求信号を受信したか否かの判断を一定周期で行っている。かかる要求信号を受信しない場合は、処理を終了し(ステップS71でNo)、一定周期後に再度要求信号を受信したか否か判断する。
【0121】
駐車支援装置8が、支援開始の要求信号を受信したと判断すると(ステップS71でYes)、誘導部81におけるアクセル制御部81aは、スロットルを制御して、車両1を前進させる(ステップS72)。この際、認識装置2による駐車枠の認識が容易となるよう、ブレーキ制御部81bは、前進速度が徐行運転といえる速度になるように車両1の速度を制御する。
【0122】
アクセル制御部81aにより車両1を前進駆動させながら、駐車支援装置8は、図15のステップS60おける送信部22cの支援終了の要求信号を受信したか否か判断する(ステップS73)。駐車支援装置8が、かかる要求信号を受信したと判断すると(ステップS73でYes)、駐車支援装置8による運転支援の処理は終了する。要求信号を受信した場合とは、車両1が駐車場の末端EN付近まで進行した場合であり、駐車枠の認識処理が不必要となるため、駐車支援装置8による駐車支援も不必要だからである。なお、この場合、車両1の前進等の駆動制御はユーザにより行われる。一方、駐車支援装置8は、支援終了の要求信号を受信していないと判断した場合(ステップS73でNo)は、ステップS74に進む。
【0123】
ステップS74では、駐車支援装置8は、図6のステップS39で送信された駐車領域情報及び駐車方法情報を受信したか否か判断する(ステップS73)。駐車領域情報等を受信していないと判断した場合(ステップS74でNo)は、ステップS72に戻り、アクセル制御部81a及びブレーキ制御部81bにより車両1を前進させる制御が継続される。一方、駐車支援装置8が、駐車領域情報及び駐車方法情報を受信したと判断した場合(ステップS74でYes)、車両1の現在位置から駐車領域までの駐車経路を算出する(ステップS75)。経路算出部82は、駐車領域検出部21eから送信された駐車領域情報、駐車方法情報、駐車支援装置8に予め記憶してある車両1の全長、車幅、及び回転半径等に基づき、所定の演算処理により、車両1の現在位置から駐車領域までの経路を算出する。
【0124】
駐車領域までの経路が算出されると、誘導部81は、アクセル制御部81a、ブレーキ制御部81b、及びステアリング制御部81cを制御し、経路算出部82の算出した経路に従って車両1が走行するよう、駐車制御を実行する(ステップS76)。誘導部81が、駐車領域情報に規定される駐車枠内に車両1を駐車させると、駐車支援装置8による運転支援の処理は終了する。
【0125】
以上説明したように、本実施の形態に係る駐車支援システム100においては、駐車枠の認識装置2が、複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する。そして、選択した駐車枠の形状に基づいて、車両外部を示す画像中の駐車枠12を認識する。駐車枠の認識装置2が駐車枠12を認識すると、駐車支援システム100は駐車枠12で区画される駐車領域PAへ車両1を誘導し、駐車支援を行う。したがって、駐車場に描かれた駐車枠12の形状を車両へ送信する駐車場側の通信設備を不要とすることができる。かかる通信設備を不要とすることにより、駐車枠の認識が可能な駐車場を増やし、有効に駐車枠を認識することができる。
【0126】
また、駐車枠を認識するための対象領域を示す指標を重畳した画像を表示するので、ユーザは駐車枠の一部が指標内に含まれるように車両の位置を合わせるのみで、認識装置に駐車枠を認識させることができる。また、指標はある程度の広さのある領域を示すため、ユーザは駐車枠の一部が指標内のどこかに含まれるように車両の位置を合わせればよく、車両操作の自由度が高い。このため、認識装置2により駐車枠12を認識する際、運転者が車両1の走行する位置を容易に適切な位置へ操作できる。
【0127】
<2.第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、撮影部5の撮影する画像をディスプレイ3に表示し、ユーザはディスプレイ3に表示された画像を参照して、指標ID内に駐車枠12が含まれるよう、車両1の進行方向を制御していた。この際、ユーザに対し、指標ID内に駐車枠12が含まれるよう促す文字表示をディスプレイ3に表示することにより、車両1の進行方向DIが適切になるようユーザに注意を喚起することもできる。
【0128】
第2の実施の形態では、指標ID内に駐車枠12が含まれるよう促す文字表示をディスプレイ3に表示することにより、車両1の進行方向DIが適切になるようユーザに注意を喚起する。第2の実施の形態の駐車枠の認識装置2の構成及び処理は、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0129】
図17は、第2の実施の形態の認識装置2の構成を示す図である。第2の実施の形態の認識装置2の構成は、図3に示す第1の実施の形態の認識装置2とほぼ同様であるが、一部で構成を相違している。具体的には、認識装置2は、文字重畳部21fを備えている。
【0130】
文字重畳部21fは、撮影部5が撮影した画像に対し、文字や符号を重畳する。すなわち、文字重畳部21fは、画像に重畳された指標ID内に駐車枠の一部が含まれるようにユーザに案内する案内情報を画像に重畳する。文字や記号が重畳された画像は、表示制御部21cにより、出力部22dを介し、ディスプレイ3に表示される。重畳される文字は、たとえば、「枠内に駐車枠が入ってますか」、「枠内から駐車枠が外れました。」、「枠内に駐車枠が2つ以上入るようにして下さい。」等である。また、重畳される符号は、たとえば、感嘆符(!)や疑問符(?)である。その他、記号や図形、枠線、陰影等を重畳するようにしてもよい。これら文字等をディスプレイ3に表示することにより、ユーザに対し、指標ID内に駐車枠12が含まれるよう注意を喚起することができる。ディスプレイ3に表示された文字等を参照したユーザは、車両1の進行方向DIが適切になるよう操作を行うことで、認識装置2の駐車枠の認識を適切に実行させることができる。
【0131】
文字や符号を重畳する手法は、たとえば文字等を画面に合成するための画像処理手法である、いわゆるスーパーインポーズの手法を用いることができる。また、文字や符号の情報を予め記憶部23に記憶しておき、文字等を画像に重畳する際に、文字重畳部21fが記憶部23から読み出して使用すればよい。なお、文字重畳部21fは、画像に重畳した文字を読み上げる音声データを出力部22dを介してスピーカ4へ送信してもよい。これにより、ユーザが画面から視線を離していた場合であっても、ユーザは、画像に重畳された文字内容を音声で認識することができる。音声データは、文字や符号の情報と同様に予め記憶部23に記憶しておけばよい。
【0132】
図18は、第2の実施形態の認識装置2における駐車枠の認識処理の流れの一部を示す図である。第2の実施形態の駐車枠の認識処理は、ステップS31までは第1の実施形態と同一である。また、ステップS31以降は図6に示す第1の実施形態とほぼ同様であるが、一部で構成を相違している。具体的には、第1の実施形態の認識装置2における駐車枠の認識処理に対し、ステップS81をさらに備えている。
【0133】
ステップS31において、表示制御部21cにより撮影部5が撮影した画像に指標IDが重畳されると、文字重畳部21fは、かかる画像に対して、ユーザへ駐車枠の認識に関する情報を案内する文字を重畳処理する(ステップS81)。ステップS81において重畳処理される文字は、たとえば、「枠内に駐車枠が入ってますか」である。その後、表示制御部により文字が重畳された画像がディスプレイ3に表示され、図6に示す第1の実施形態の駐車枠の認識処理と同様の処理が実行される。なお、図18の駐車枠の認識処理の流れに示すように、ステップS34における駐車枠の認識処理が実行される前に、ステップS81での文字の重畳処理が行われる。これにより、駐車枠の認識処理の実行前には指標ID内に駐車枠12が含まれていなかった場合であっても、ユーザは、文字表示を確認することにより、認識処理の実行の際には、車両1の進行方向DIが適切になるよう操作を行うことができる。
【0134】
図19は、文字が周辺画像に重畳されてディスプレイに表示される様子を示す図である。図19に示すように、ディスプレイ3に「枠内に駐車枠が入ってますか?」との文字等からなる案内情報TEが表示される。また、「はい」と「いいえ」の文字をタッチパネルにより表示する。これにより、認識装置2は、ユーザが文字表示を確認し、車両1の進行方向DIが適切になったか否か回答を得ることができる。ユーザにより「はい」の文字が触れられて、指標ID内に駐車枠12が入っている旨の回答があった場合にのみ、認識装置2は図18のステップS33以降の処理を実行するようにしてもよい。これにより、指標ID内に駐車枠が入っていない状態で、駐車支援装置8による駐車支援の開始や駐車枠12の認識処理の実行を防止できる。
【0135】
図20は、第2の実施形態の認識装置2における駐車枠の認識処理の流れを示す図である。第2の実施形態の駐車枠の認識処理は、図15に示す第1の実施形態の駐車枠の認識処理とほぼ同様であるが、一部で構成を相違している。具体的には、第1の実施形態の駐車枠の認識処理に対し、ステップS91及びステップS92をさらに備えている。
【0136】
ステップS56においてYesと判断された場合、認識部21bは、画像中から駐車枠線に相当する領域を認識している。認識部21bは、かかる駐車枠線に相当する領域を2つ以上認識しているか否か判断する(ステップS91)。認識部21bが、同領域を2つ以上認識していると判断する場合は、両領域間が所定幅であるか否か判断する(ステップS57)。ステップS57以後は、図15における駐車枠の認識処理の流れと同様のため説明を省略する。
【0137】
一方、ステップS91において、認識部21bが、駐車枠線に相当する領域を2つ以上認識していないと判断した場合は、ユーザへその旨の通知を行う(ステップS92)。駐車枠12が2つ以上認識できない場合は、駐車領域PAの四隅が決定できず、駐車領域PAの全体領域を認識できないためである。かかる通知は、文字重畳部21fにより画像に文字を重畳処理し、表示制御部が出力部22dを介してディスプレイ3に表示する。重畳される文字は、たとえば、「枠内から駐車枠が外れました。枠内に駐車枠が2つ以上入るようにして下さい。」である。これにより、車両1の走行制御中に指標ID内に駐車枠12が2つ含まれなくなった場合であっても、ユーザは、文字表示を確認することにより、指標ID内に駐車枠12が2つ含まれるよう操作を行うことができる。なお、ステップS92が実行されると、処理はステップS59に進むが、以後は、図15における駐車枠の認識処理の流れと同様のため説明を省略する。
【0138】
図21は、ユーザへの駐車枠の認識に関する通知が、周辺画像に重畳されてディスプレイに表示される様子を示す図である。図21に示すように、ディスプレイ3に「枠内から駐車枠が外れました。枠内に駐車枠が2つ以上入るようにして下さい。」との文字等からなる通知情報WAが表示される。これにより、車両1の走行制御中に指標ID内に駐車枠12が2つ含まれなくなった場合であっても、ユーザは、通知情報WAを確認することにより、指標ID内に駐車枠12が2つ含まれるよう操作を行うことができる。なお、通知情報WAを枠で囲み、枠内に赤色等の目立つ色彩を施すことが好ましい。これにより、ユーザの注意をより喚起することができる。また、色彩を施した部分を周辺画像が透過するようにしてもよい。これにより、限られたディスプレイの領域を有効に使用することができる。
【0139】
以上説明したようにより、ユーザに対し指標ID内に駐車枠12が含まれるよう促す文字表示である案内情報TEをディスプレイ3に表示することにより、車両1の進行方向DIが適切になるようユーザに注意を喚起することができる。また、車両1の走行制御中に指標ID内に駐車枠12が2つ含まれなくなった場合に、その旨を通知する通知情報WAを表示する。これにより、ユーザは、通知情報WAを確認することにより、指標ID内に駐車枠12が2つ含まれるよう操作を行うことができる。
【0140】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態で説明した形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0141】
上記第1及び第2の実施の形態では、駐車枠の認識装置2と駐車支援装置8とは別装置であると説明したが、これらは一体化されていてもよい。
【0142】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、ディスプレイ3とスピーカ4とは別装置であると説明したが、これらは一体化されていてもよい。
【0143】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、画像に重畳する情報を文字等としたが、画像への文字等の重畳に代えて、文字の内容を音声で読み上げてもよい。ユーザが画面から視線を離していた場合であっても、ユーザは、音声で情報を認識することができる。
【0144】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、駐車枠形状23aの情報を記憶部23から読み出して使用すると説明したが、通信部9を介して情報センター10から無線通信により取得するようにしてもよい。
【0145】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 車両
2 認識装置
3 ディスプレイ
5 撮影部
8 駐車支援装置
21 制御部
22 入出力部
23 記憶部
81 誘導部
82 経路算出部
100 駐車支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車枠の認識装置であって、
車両外部を示す画像を取得する取得手段と、
複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記駐車枠の形状に基づいて、前記画像中の駐車枠を認識する認識手段と、
を備えることを特徴とする認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載の認識装置において、
前記選択手段の選択対象となる前記複数の駐車枠の形状を表示手段に表示させる表示制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする認識装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の認識装置において、
前記ユーザにより手書き入力された入力情報を受け付ける手書入力手段と、
前記入力情報に基づき、前記ユーザが手書き入力した入力形状を認識する形状認識手段と、
をさらに備え、
前記認識手段は、前記入力情報を受け付けた場合は、前記入力形状に基づいて、前記駐車枠を認識することを特徴とする認識装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の認識装置において、
前記駐車枠の形状を阻害する阻害体の形状と、前記阻害体の位置とを示す阻害情報をユーザの操作に基づいて取得する取得手段と、
をさらに備え、
前記認識手段は、前記選択手段により選択された前記駐車枠の形状と前記阻害情報とに基づいて前記駐車枠を認識することを特徴とする認識装置。
【請求項5】
請求項3に記載の認識装置において、
前記駐車枠の形状を阻害する阻害体の形状と、前記阻害体の位置とを示す阻害情報をユーザの操作に基づいて取得する取得手段と、
をさらに備え、
前記認識手段は、前記入力形状と前記阻害情報とに基づいて前記駐車枠を認識することを特徴とする認識装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の認識装置において、
前記認識手段により認識された前記駐車枠に関する情報を、前記駐車枠によって規定される駐車領域へ前記車両を誘導する駐車支援装置へ送信する送信手段と、
をさらに備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の認識装置において、
前記取得手段は、車載カメラにより撮影された画像を取得し、
前記認識手段は、前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識するものであり、
前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる出力手段と、
をさらに備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の認識装置において、
前記車両の位置情報を取得する位置取得手段と、
前記選択手段により選択された駐車枠の形状と、選択されたときの前記車両の位置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記認識手段は、前記位置取得手段により取得された位置情報に関連付けられた駐車枠の形状がある場合は、該駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識することを特徴とする認識装置。
【請求項9】
駐車枠の認識方法であって、
(a)車両外部を示す画像を取得する工程と、
(b)複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する工程と、
(c)前記工程(b)により選択された前記駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識する工程と、
を備えることを特徴とする認識方法。
【請求項10】
駐車枠の認識装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
(a)車両外部を示す画像を取得する工程と、
(b)複数の駐車枠の形状のいずれかをユーザの操作に基づいて選択する工程と、
(c)前記工程(b)により選択された前記駐車枠の形状に基づいて前記画像中の駐車枠を認識する工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
駐車枠の認識装置であって、
車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する取得手段と、
前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、
前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる出力手段と、
を備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項12】
請求項11に記載の認識装置において、
前記指標内に前記駐車枠の一部が含まれるようにユーザに案内する案内情報を前記画像に重畳する案内手段と、
をさらに備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の認識装置において、
前記認識手段により認識された駐車枠に基づいて駐車領域を検出する検出手段、
をさらに備えることを特徴とする認識装置。
【請求項14】
請求項13に記載の認識装置において、
前記検出手段は、所定数の駐車枠に基づいて前記駐車領域を検出するものであり、
前記認識手段が前記対象領域に基づいて前記所定数の駐車枠を認識できない場合、前記ユーザへ通知を行う通知手段、
をさらに備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項15】
請求項13に記載の認識装置において、
前記駐車領域に関する情報を、前記駐車領域へ前記車両を誘導する駐車支援装置へ送信する送信手段と、
をさらに備えたことを特徴とする認識装置。
【請求項16】
請求項15に記載の認識装置において、
前記駐車枠内に他の車両が存在するか否かを判定する判定手段、
をさらに備え、
前記送信手段は、前記駐車枠内に他の車両が存在しない場合に、前記駐車領域に関する情報を前記駐車支援装置へ送信することを特徴とする認識装置。
【請求項17】
駐車枠の認識方法であって、
車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する工程と、
前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、
前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する工程と、
前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる工程と、
を備えたことを特徴とする認識方法。
【請求項18】
駐車枠の認識装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
車載カメラにより撮影された車両外部を示す画像を取得する工程と、
前記画像中の対象領域に基づいて前記駐車枠を認識する認識手段と、
前記対象領域を示す指標を前記画像に重畳する工程と、
前記指標が重畳された前記画像を出力して表示手段に表示させる工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−18406(P2013−18406A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154159(P2011−154159)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】