説明

駐車装置およびこれに用いられるパレット

【課題】自動車用充電設備を備えた駐車装置に用いられるパレットのコストを低減し、充電作業の安全性を向上させる。
【解決手段】パレット20は、パレット本体30、ガイド兼収納部40およびプラグ受け50を備えている。パレット本体30は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って複数回折り曲げられて、平坦面32aを有する車路部32、および、平坦面32aの幅方向の端部から起立した起立面36aを有する起立部36が形成されている。ガイド兼収納部40は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って1回折り曲げられて、平坦面32aと間隔を空けて対向した上板部41、および、起立面36aと間隔を空けて対向した側板部42が形成されている。ガイド兼収納部40には、第1の開口41aが形成されて、第1の開口41aを開閉可能に塞ぐ第1蓋部材44が設けられている。プラグ受け50は、外部電力が引込まれていて、第1蓋部材44の内面に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用充電設備を備えた駐車装置、および、これに用いられるパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及され始めた電気自動車は、電動機を駆動源として走行する。電気自動車には、バッテリが積載されていて、外部から電気を供給し、バッテリに充電を行う必要がある。そこで、駐車中に充電可能な駐車装置が提案されている。
【0003】
例えば、多段式の機械式駐車装置は、車両が搭載されたパレットを昇降させて、多段駐車させる立体駐車装置である。一般的に、このパレットは、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って複数回折り曲げられて、一対の車路部、隆起部、および、一対の起立部が形成されている。隆起部は、パレットの幅方向の中央に形成され、一対の車路部は、隆起部の幅方向の両側に形成され、一対の起立部は、一対の車路部の幅方向の外側に形成されている。車路部は、駐車車両の車路になり、隆起部および一対の起立部は、駐車車両の入出庫をガイドする。隆起部および一対の起立部は、車路部に比べて高く形成されている。
【0004】
ここで、特許文献1には、外部電力が引き込まれ、駐車車両に接続可能な充電ケーブルを備えた駐車装置が開示されている。この駐車装置においては、隆起部の下部に充電ケーブルを収納して、隆起部の前方または後方に形成された蓋付き開口部から充電ケーブルを取り出して、駐車車両に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−101082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した駐車装置では、パレットの隆起部の下部に充電ケーブルを収納する収納部を設け、かつ、隆起部に充電ケーブルを取り出す開口部を形成する必要がある。そのため、既存のパレットを充電用パレットに変更するには、多大なコストが掛かってしまう。
【0007】
また、開口部が隆起部の前方または後方に形成されているため、利用者は、駐車車両の前方または後方で屈んで、充電ケーブルの取出し・収納を行う。そのため、充電作業の安全性に問題がある。
【0008】
そこで、本発明に係る自動車用充電設備を備えた駐車装置、および、これに用いられるパレットは、上述の課題を解決するためになされたものであり、コストを低減し、充電作業の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る駐車装置用パレットは、自動車用充電設備を備えた駐車装置に用いられるパレットであって、長手方向に延びた平坦面を有する車路部と長手方向に延びて前記平坦面の幅方向の端部から起立した起立面を有する起立部とを有するパレット本体と、長手方向に延びて前記平坦面と間隔を空けて前記平坦面に対向して配置されて長手方向に延びた第1の開口が形成された上板部と長手方向に延びて前記起立面と間隔を空けて前記起立面に対向して配置された側板部と前記第1の開口を塞ぐ第1蓋部材とを有し、前記パレット本体に固定されて、前記車路部の幅方向の端部を覆い、前記パレット本体との間に長手方向に延びた収納空間を形成するガイド兼収納部と、前記収納空間に収納された充電器具とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る駐車装置は、自動車用充電設備を備え、昇降移動する複数のパレットを有する駐車装置であって、前記複数のパレットのうちの少なくとも1枚のパレットが、長手方向に延びた平坦面を有する車路部と長手方向に延びて前記平坦面の幅方向の端部から起立した起立面を有する起立部とを有するパレット本体と、長手方向に延びて前記平坦面と間隔を空けて前記平坦面に対向して配置されて長手方向に延びた第1の開口が形成された上板部と長手方向に延びて前記起立面と間隔を空けて前記起立面に対向して配置された側板部と前記第1の開口を塞ぐ第1蓋部材とを有し、前記パレット本体に固定されて、前記車路部の幅方向の端部を覆い、前記パレット本体との間に長手方向に延びた収納空間を形成するガイド兼収納部と、前記収納空間に収納された充電器具とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動車用充電設備を備えた駐車装置、および、これに用いられるパレットに掛かるコストを低減し、充電作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置の概略立面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置と駐車車両とを接続する接続ケーブルを示す。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの上面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットのガイド兼収納部の取付方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が閉っている状態を示す。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が開いている状態を示す。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、第2蓋部材が開いている状態を示す。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、接続ケーブルのプラグがプラグ受けに差し込まれた状態を示す。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、充電中の状態を示す。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る駐車装置用パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が開いている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る駐車装置および駐車装置用パレットについて、図1ないし図10を用いて説明する。
まず、本実施形態に係る駐車装置10の概要について、図1および図2を用いて説明する。図1は、駐車装置の概略立面図である。図2は、駐車装置と駐車車両とを接続する接続ケーブルを示す。
【0014】
本実施形態に係る駐車装置10は、多段式の機械式駐車装置である。駐車装置10は、図1に示すように、支持構造体である複数本の支柱12、および、複数枚の駐車装置用パレット(以下、単に「パレット」と略す。)20を備えている。本実施形態に係る駐車装置10は、充電設備を備えていて、電気自動車やハイブリット自動車の充電を駐車中に行うことができる。
【0015】
本実施形態では、駐車装置10は、図1に示すように、地上1階を横行する横行パレット20a、地上1階と地上2階との間を昇降する2枚の昇降パレット20b、および、地上1階と地下1階との間を昇降する2枚の昇降パレット20cを備えている。車両は、地上1階の入出庫口から各パレット20a,20b,20c上に搭載される。図1においては、紙面の手前側に入出庫口が設けられている。
【0016】
横行パレット20aは、四隅にローラ22が設けられていて、ローラ22を回転させる横行モータ(図示省略)を備えている。横行パレット20aは、横行モータの駆動により、水平に延びた一対のレール24上を走行する。
【0017】
昇降パレット20b,20cは、チェーン(図示省略)に吊られている。駐車装置10は、チェーンを巻き上げる昇降モータ(図示省略)を備えている。昇降パレット20bは、昇降モータの駆動により、入出庫口が設けられた地上1階と地上2階との間を昇降する。同様に、昇降パレット20cは、昇降モータの駆動により、地上1階と地下1階との間を昇降する。
【0018】
駐車装置10は、充電設備として、プラグ受け50、引込み配線52、および、ブレーカ54を備えている。利用者は、自己の車両(例えば電気自動車)を入庫させた後、パレット20上で充電を行う。
【0019】
本実施形態では、利用者は、自己の車両専用の接続ケーブル60を用いて、充電を行う。図2に示すように、接続ケーブル60の一端には、プラグ受け50に差し込まれるプラグ62が設けられ、他端には、車両の給電口に連結されるコネクタ64が設けられている。
【0020】
外部電力は、図1に示すように、引込み配線52により、駐車装置10の外部から各パレット20に設けられたプラグ受け50まで引き込まれている。引込み配線52は、駐車装置10の外部からブレーカ54を介してプラグ受け50まで延びている。引込み配線52は、パレット20の横行・昇降の妨げにならないように引き回されている。ブレーカ54は、例えば、駐車装置10の脇に設置されている。
【0021】
利用者は、接続ケーブル60のプラグ62をプラグ受け50に差し込み、かつ、接続ケーブル60のコネクタ64を駐車車両の給電口に連結して、充電を行う。図1においては、地上2階に位置する昇降パレット20b上に搭載された駐車車両の充電が行われている。
【0022】
次に、本実施形態に係る駐車装置用パレット20について、図3ないし図8を用いて説明する。図3は、パレットの上面図である。図4は、図3のIV−IV矢視断面図である。図5は、ガイド兼収納部の取付方法を説明するための断面図である。図6は、パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が閉っている状態を示す。図7は、パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が開いている状態を示す。図8は、パレットの部分斜視図であって、第2蓋部材が開いている状態を示す。
【0023】
本実施形態に係るパレット20は、パレット本体30、ガイド兼収納部40、および、充電器具を備えている。本実施形態では、充電器具には、上述したプラグ受け50が含まれる。
【0024】
パレット本体30は、一対の車路部32、隆起部34、および、一対の起立部36を備えている。本実施形態では、パレット本体30は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って複数回折り曲げられ形成されている。なお、パレット本体30の長手方向が駐車車両の入出庫の方向である。
【0025】
車路部32、隆起部34および起立部36は、それぞれ、長手方向に延びている。隆起部34は、パレット本体30の幅方向の中央に形成されている。一対の車路部32は、隆起部34の幅方向の両側に形成されている。さらに、一対の起立部36は、車路部32の幅方向の外側に形成されている。
【0026】
一対の車路部32は、長手方向に延びた一対の平坦面32aを有し、駐車車両の車路になる。駐車時には、駐車車両の二対の車輪は、一対の車路部32上に載置される。一方の車路部32の上面の後方には、車止め32cが設けられている。
【0027】
隆起部34および起立部36は、一対の車路部32の平坦面32aに比べて高く形成されていて、駐車車両の入出庫をガイドする。
【0028】
起立部36は、長手方向に延びた起立面36aおよび水平面36bを有している。起立面36aは、車路部32の幅方向の外側の端部から起立している。水平面36bは、起立面36aの幅方向の外側の端部から水平に広がっている。起立面36aは、駐車車両の入出庫をガイドする役割を果たす。水平面36bは、乗降車時の歩行路や充電作業時の足場になる。
【0029】
なお、パレット20の長手方向の剛性は、パレット本体30が長手方向に折り曲げられ形成されていることにより得られる。一方、パレット20の幅方向の剛性は、幅方向に延びた梁38がパレット本体30の下面に設けられていることにより得られる。
【0030】
本実施形態では、パレット本体30の長さおよび幅は、それぞれ、5440mm、2460mmに設計されている。車路部32、隆起部34および起立部36の幅は、それぞれ、630mm、770mm、215mmに設計されている。車路部32に対する隆起部34および起立部36の高さは、それぞれ、45mm、150mmに設計されている。
【0031】
ガイド兼収納部40は、上板部41、側板部42、第1蓋部材44、および、第2蓋部材45を備えている。ガイド兼収納部40は、一方の車路部32の幅方向の外側の端部上に設けられていて、長手方向に延びている。本実施形態では、ガイド兼収納部40は、長手方向の入出庫口寄りに設けられている。ガイド兼収納部40は、駐車車両の入出庫のガイド、および、充電器具の収納空間40aとしての役割を果たす。
【0032】
上板部41および側板部42は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って1回折り曲げられ形成されている。本実施形態では、上板部41と側板部42とのなす角は、96.5°に設計されている。
【0033】
上板部41は、長手方向に延びている。上板部41は、車路部32の平坦面32aと間隔を空けて、平坦面32aに対向して配置されている。上板部41は、起立部36の水平面36bに隣接していて、起立部36の水平面36bと同一平面を形成している。上板部41は、起立部36の水平面36bとともに、乗降車時の歩行路や充電作業時の足場になる。
【0034】
側板部42は、長手方向に延びている。側板部42は、起立部36の起立面36aと間隔を空けて、起立面36aに対向して配置されている。側板部42は、駐車車両の入出庫をガイドする。
【0035】
本実施形態では、ガイド兼収納部40の長さおよび幅は、それぞれ、4000mm、150mmに設計されている。
【0036】
ガイド兼収納部40は、図5に示すように、固定部材47を介してパレット本体30に固定されている。固定部材47は、1枚の鋼板が1回折り曲げられ形成されている。固定部材47は、パレット本体30の起立部36およびガイド兼収納部40の側板部42に対して、ボルト48およびナットにより締結されている。
【0037】
上板部41および側板部42は、パレット本体30との間に充電器具の収納空間40aを形成している。また、上板部41および側板部42は、一方の車路部32の幅方向の外側の端部を長手方向に沿って覆い、駐車車両の入出庫をガイドする。
【0038】
上板部41および側板部42には、第1の開口41aが形成されている。第1の開口41aは、長手方向に延びていて、上板部41と側板部42とに跨って形成されている。第1の開口41aは、第1蓋部材44により塞がれている。第1蓋部材44は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って1回折り曲げられ形成されている。第1蓋部材44を折り曲げることにより、第1蓋部材44の剛性を高めている。
【0039】
第1蓋部材44の長手方向の一端(入出庫口から離れた端部)は、図6に示すように、上板部41に対して蝶番44aにより軸支されている。第1蓋部材44は、当該軸中心に回動し開閉される。第1蓋部材44の長手方向の他端(入出庫口寄りの端部)の上面には、利用者が第1蓋部材44を引き起こして開く際に把持する取っ手44bが設けられている。第1蓋部材44は、90°を越して回動し開かれて、鉛直から僅かに傾いた状態で自立する(図6および図7参照)。
【0040】
第1蓋部材44には、長手方向に延びた第2の開口44cが形成されている。第2の開口44cは、第2蓋部材45により塞がれている。第2蓋部材45は、1枚の長方形の鋼板が長手方向に沿って1回折り曲げられ形成されている。第2蓋部材45を折り曲げることにより、第2蓋部材45の剛性を高めている。
【0041】
側板部42には、第1の開口41aに連通した第1の切欠き42aが形成されている。第1の切欠き42aは、接続ケーブル60が挿通できる程度の大きさに形成されている。
【0042】
第2蓋部材45の長手方向の一端(入出庫口寄りの端部)は、図6に示すように、第1蓋部材44に対して蝶番45aにより軸支されている。第2蓋部材45は、当該軸中心に回動し開閉される。第2蓋部材45の長手方向の他端(入出庫口から離れた端部)の上面には、利用者が第2蓋部材45を引き起こして開く際に把持する取っ手45bが設けられている。第2蓋部材45は、90°を越して回動し開かれ、鉛直から僅かに傾いた状態で自立する(図6および図8参照)。
【0043】
上述したとおり、第1蓋部材44は、入出庫口から離れた端部で軸支されているのに対し、第2蓋部材45は、入出庫口寄りの端部で軸支されている。これは、第1蓋部材44を引き起こした際に、第2蓋部材45が開かないようにするためである。
【0044】
第2蓋部材45の側部には、第2の切欠き45cが形成されている。第2の切欠き45cは、接続ケーブル60が挿通できる程度の大きさに形成されている。
【0045】
なお、第1蓋部材44の長さは、1000mm以上1500mm以下に設計されていることが望ましい。本実施形態では、第1蓋部材44の長さは、1200mmに設計されている。また、第2蓋部材45の長さは、500mmに設計されている。
【0046】
充電器具は、パレット本体30とガイド兼収納部40との間に形成された収納空間40aに収納されている。本実施形態では、充電器具には、プラグ受け50が含まれる。
【0047】
プラグ受け50は、第1蓋部材44の内面の一端(入出庫口寄りの端部)に取り付けられている。プラグ受け50は、第1蓋部材44が閉っている状態では、収納空間40aに収納されている。第1蓋部材44が開かれると、プラグ受け50は、図7に示すように、収納空間40aからパレット20の上方に持ち上げられる。本実施形態では、第1蓋部材44が開いている状態では、プラグ受け50は、上板部41に対して1000mmの高さに配置される。
【0048】
引込み配線52は、駐車装置10の外部からブレーカ54を介してパレット20まで引き回されている。引込み配線52は、起立部36の起立面36aに形成された開口(図示省略)から収納空間40aに入って、プラグ受け50まで延びている。
【0049】
次に、本実施形態に係る駐車装置を用いた充電方法について、図9ないし図10を用いて説明する。図9は、パレットの部分斜視図であって、接続ケーブルのプラグがプラグ受けに差し込まれた状態を示す。図10は、パレットの部分斜視図であって、充電中の状態を示す。
【0050】
利用者は、自己の車両をパレット20上に搭載した後、第1蓋部材44を引き起こして開く。続いて、自己の車両専用の接続ケーブル60のプラグ62をプラグ受け50に差し込んだ後、接続ケーブル60のコネクタ64を駐車車両の給電口に連結する(図9参照)。そうすると、充電が開始され、外部電力が駐車車両に供給される。
【0051】
充電中、パレット20の横行または昇降によりパレット20が振動するため、第1の切欠き42aに接続ケーブル60を挿通させて、第1蓋部材44を閉じる(図10参照)。
【0052】
充電完了後、利用者は、接続ケーブル60を駐車車両および充電器具から取り外す。利用者は、取り外した接続ケーブル60を車両に積載して保管する。
【0053】
なお、マンションなどに設置された駐車装置10では、一般的には、利用者各人に専用のパレット20が割り振られ、利用者は、自己の車両を常に同じパレット20上に駐車させる。このような場合には、接続ケーブル60のプラグ62をプラグ受け50に差し込んだ状態で、接続ケーブル60を収納空間40aに収納して保管しても良い。このとき、コネクタ64が第2蓋部材45の下方に位置するように接続ケーブル60を収納すれば、次回の利用時には、第2蓋部材45を開いて、コネクタ64を駐車車両の給電口に連結するだけで、充電を行うことができる。
【0054】
次に、本実施形態に係る駐車装置および駐車装置用パレットの作用・効果について、図3ないし図10を用いて説明する。
【0055】
本実施形態によれば、既存のパレット上にガイド兼収納部40および充電器具を設置することにより、電気自動車を充電可能なパレット20を低コストで得ることができる。また、駐車車両の給電口の位置に応じて、ガイド兼収納部40をパレット20の右側または左側に設置すれば良く、本実施形態に係る駐車装置10およびパレット20は、設計の自由度が高い。
【0056】
電気自動車の給電口は、車体の左右側面、前方あるいは後方に設けられている。駐車車両の給電口の位置に応じて、ガイド兼収納部40をパレット20の右側または左側のいずれかに設置することにより、給電口が車体の前方あるいは後方に設けられていたとしても、プラグ受け50から給電口までの距離を比較的短くできる。その結果、充電作業を容易に行うことができる。
【0057】
ガイド兼収納部40は、車路部32の外側の端部上に設置されている。したがって、本実施形態では、利用者は、接続ケーブル60の取外し、接続、収納などの充電作業を駐車車両の側方で行う。上述したとおり、駐車車両の側方には乗降車時の歩行路が設けられている。そのため、駐車車両の側方での充電作業は、駐車車両の前方や後方での充電作業に比べて、作業の安全性・作業性が高い。特に、本実施形態では、起立部36の水平面36bに加えて、ガイド兼収納部40の上板部41が、充電作業時の足場や乗降車時の歩行路になる。そのため、充電作業の安全性・作業性がより高く、乗降車の利便性・安全性も高い。
【0058】
第1蓋部材44は、開いた状態で自立し、プラグ受け50がパレット20の上方で保持される。そのため、利用者は、立った状態で、プラグ62をプラグ受け50に差し込むことができ、充電作業の作業性が高い。本実施形態では、充電作業の作業性を考慮して、第1蓋部材44の長さやプラグ受け50の取付け位置が設計されている。なお、本実施形態で説明したような、長さが1000mmを超える第1蓋部材44を駐車車両の前方や後方に設けることは、パレット20の設計上、困難である。本実施形態では、ガイド兼収納部40を車路部32の外側の端部上に設置することにより、長さが1000mm以上の第1蓋部材44の設置を可能としている。
【0059】
本実施形態によれば、接続ケーブル60を収納空間40aに収納して保管することができる。接続ケーブル60のプラグ62をプラグ受け50に差し込んだ状態で保管すれば、充電作業の利便性が向上する。さらに、コネクタ64を第2蓋部材45の下方に収納すれば、第2蓋部材45を開いて充電作業を行うことができる。第2蓋部材45は、第1蓋部材44に比べて軽量であるため、充電作業の利便性がより向上する。
【0060】
本実施形態では、プラグ受け50が第1蓋部材44の下面に取り付けられている。そのため、雨水などがプラグ受け50に降り掛かることがなく、雨水などがパレット本体30上を流れても、プラグ受け50が浸漬しにくい。したがって、漏電の危険性が低い。
【0061】
本実施形態に係るパレット20では、ガイド兼収納部40が車路部32の外側の端部上を覆っているため、車路が狭くなる。しかしながら、多くの電気自動車は比較的小型であるため、入庫の問題はほとんど生じない。また、本実施形態に係るパレット20は、設計の自由度が高いため、駐車車両の車幅に合わせたガイド兼収納部40を設置することが容易である。
【0062】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る駐車装置および駐車装置用パレットについて、図11を用いて説明する。図11は、パレットの部分斜視図であって、第1蓋部材が開いている状態を示す。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるため、重複部分には同一符号を付して、その部分の構成の説明を省略する。
【0063】
第1の実施形態では、接続ケーブル60により、収納空間40aに収納されたプラグ受け50と駐車車両の給電口とを繋いで、充電を行う。一方、本実施形態では、収納空間40aには、端部にコネクタ64が取り付けられた引込み配線52が収納されている。
【0064】
引込み配線52の一端にコネクタ64が取り付けられているため、利用者は、コネクタ64を駐車車両の給電口に差し込むだけで、充電を行うことができる。なお、本実施形態では、引込み配線52の一端には、駐車車両の給電口に対応したコネクタ64を取り付ける必要がある。
【0065】
第1蓋部材44の下面の一端(入出庫口寄りの端部)には、コネクタ64を取外し可能に保持するコネクタ保持部44dが取り付けられている。コネクタ64をコネクタ保持部44dに保持させて収納することにより、第1蓋部材44が開かれると、コネクタ64は、図11に示すように、収納空間40aからパレット20の上方に持ち上げられる。その結果、充電作業の利便性が向上する。また、コネクタ64からの漏電の危険性を低減できる。
【0066】
[他の実施形態]
上記の実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、充電中に接続ケーブル60を挿通させる第1の切欠き42aは、側板部42に形成されているが、上板部41や第1蓋部材44に形成されていても良い。なお、雨水などが収納空間40aに入りにくくするために、第1の切欠き42aは、側板部42や第1蓋部材44の側部に形成されることが望ましい。同様に、上記の実施形態では、充電中に接続ケーブル60を挿通させる第2の切欠き45cは、第2蓋部材の側部に形成されているが、第1蓋部材44の側部に形成されていても良い。
【0067】
第1の実施形態において、収納空間40aに収納された接続ケーブル60の盗難を防止するために、第1蓋部材44および第2蓋部材45にロック機構を設けても良い。また、接続ケーブル60を収納空間40aに収納した場合に、接続ケーブル60が雨水などに浸漬しないように、収納空間40aに接続ケーブル60を収納する収納箱を設けても良い。
【0068】
第2の実施形態において、収納空間40aに収納される引込み配線52を巻き取る巻取り機を設けても良い。
【0069】
上記の実施形態において、利用者が乗降車時に取っ手44b,45bに躓かないように、収納可能な取っ手を採用しても良い。
【0070】
駐車装置10の全てのパレットが上記の実施形態に係るパレット20である必要はなく、上記の実施形態に係るパレット20と既存のパレットとが混在していても良い。また、第1および第2の実施形態に係るパレット20の両方が混在していても良い。
【符号の説明】
【0071】
10…駐車装置、12…支柱、20…駐車装置用パレット、20a…地上1階の横行パレット、20b…地上2階の昇降パレット、20c…地下1階の昇降パレット、22…パレットのローラ、24…レール、30…パレット本体、32…車路部、32a…車路部の平坦面、32c…車止め、34…隆起部、36…起立部、36a…起立部の起立面、36b…起立部の水平面、38…梁、40…ガイド兼収納部、40a…収納空間、41…上板部、41a…第1の開口、42…側板部、42a…第1の切欠き、44…第1蓋部材、44a…第1蓋部材の蝶番、44b…第1蓋部材の取っ手、44c…第2の開口、44d…コネクタ保持部、45…第2蓋部材、45a…第2蓋部材の蝶番、45b…第2蓋部材の取っ手、45c…第2の切欠き、47…固定部材、48…ボルト、50…プラグ受け、52…引込み配線、54…ブレーカ、60…接続ケーブル、62…プラグ、64…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用充電設備を備えた駐車装置に用いられるパレットであって、
長手方向に延びた平坦面を有する車路部と長手方向に延びて前記平坦面の幅方向の端部から起立した起立面を有する起立部とを有するパレット本体と、
長手方向に延びて前記平坦面と間隔を空けて前記平坦面に対向して配置されて長手方向に延びた第1の開口が形成された上板部と長手方向に延びて前記起立面と間隔を空けて前記起立面に対向して配置された側板部と前記第1の開口を塞ぐ第1蓋部材とを有し、前記パレット本体に固定されて、前記車路部の幅方向の端部を覆い、前記パレット本体との間に長手方向に延びた収納空間を形成するガイド兼収納部と、
前記収納空間に収納された充電器具と、
を備えたことを特徴とする駐車装置用パレット。
【請求項2】
前記第1蓋部材は、長手方向の一端が前記上板部に軸支されて、当該軸中心に回動されることにより開閉して、開いた状態で自立可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置用パレット。
【請求項3】
前記ガイド兼収納部には前記第1の開口に連通した切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の駐車装置用パレット。
【請求項4】
前記ガイド兼収納部は、前記パレット本体の長手方向の入出庫口寄りに設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項5】
前記第1蓋部材の長手方向の長さが1000mm以上1500mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項6】
前記第1蓋部材が閉まっている状態をロックするロック機構が設けられたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項7】
前記第1蓋部材に形成された第2の開口を塞ぐ第2蓋部材が設けられたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項8】
前記第2蓋部材は、長手方向の一端が前記第1蓋部材に軸支されて、当該軸中心に回動されることにより開閉して、開いた状態で自立可能に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の駐車装置用パレット。
【請求項9】
前記ガイド兼収納部には前記第2の開口に連通する第2の切欠きが形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の駐車装置用パレット。
【請求項10】
前記第1蓋部材と前記第2蓋部材とは、互いに相反する長手方向の端部で軸支されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項11】
前記充電器具は、外部電力が引き込まれ、自動車の給電口との間を繋ぐ接続ケーブルのプラグが差し込まれるプラグ受けを含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項12】
前記プラグ受けが前記第1蓋部材の内面に取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の駐車装置用パレット。
【請求項13】
前記充電器具は、外部電力を引き込む引込み配線の一部と、前記引込み配線の一端に設けられて自動車の給電口に連結されるコネクタとを含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の駐車装置用パレット。
【請求項14】
前記第1蓋部材の内面に前記コネクタを取外し可能に保持するコネクタ保持部が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の駐車装置用パレット。
【請求項15】
自動車用充電設備を備え、昇降移動する複数のパレットを有する駐車装置であって、
前記複数のパレットのうちの少なくとも1枚のパレットが、
長手方向に延びた平坦面を有する車路部と長手方向に延びて前記平坦面の幅方向の端部から起立した起立面を有する起立部とを有するパレット本体と、
長手方向に延びて前記平坦面と間隔を空けて前記平坦面に対向して配置されて長手方向に延びた第1の開口が形成された上板部と長手方向に延びて前記起立面と間隔を空けて前記起立面に対向して配置された側板部と前記第1の開口を塞ぐ第1蓋部材とを有し、前記パレット本体に固定されて、前記車路部の幅方向の端部を覆い、前記パレット本体との間に長手方向に延びた収納空間を形成するガイド兼収納部と、
前記収納空間に収納された充電器具と、
を備えたことを特徴とする駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−92511(P2012−92511A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238575(P2010−238575)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】