説明

駐輪場ゲート装置および駐輪場ゲートシステム

【課題】共連れの不正通行を抑制すると共に、複数の通行レーンが並設される場合には互いに隣り合う通行レーンを相互に接近させ、これら通行レーンが並設される領域を小さくする。
【解決手段】90度回転するごとに、姿勢を通行許可姿勢から通行規制姿勢へ、通行規制姿勢から通行許可姿勢へ変える仕切り扉21において、通行許可姿勢では、スライド移動方向における仕切り扉21の中央部が回転軸心Qと略一致するように仕切り扉21をスライド移動させ、通行規制姿勢では、仕切り扉21の一方の端部が出場レーン2側の領域上に大きく突出すると共に、他方の端部が出場レーン2と反対側の領域上から大きく後退するように仕切り扉21をスライド移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐輪場の入場口または出場口等において自転車の通行を規制する駐輪場ゲート装置および駐輪場ゲートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅の周辺では、通勤・通学者の利便性を向上させて、同時に駅前放置自転車の一掃を狙い、自転車や自動二輪車用の大規模な駐輪場の整備が加速している。このような駐輪場においては駅前の好立地条件にも関わらずに安価な利用料金を設定している有料駐輪場とすることが多いが、一方では駐輪場管理者の人件費を低減させるために無人もしくは定時巡回などの管理形態を採用していることが多い。このため、利用料金を支払わずに不正出場しようとする利用者も少なからず見受けられるのが実情である。
【0003】
従来より単純な開閉扉を具備させた駅改札のようなゲート装置では、1回のゲート開放の度に、先行して料金精算して出場する自転車のすぐ後を追走して複数の自転車等が通過するなどの、いわゆる共連れの不正出場が可能である。一方、このような共連れの不正出場の抑制を考慮し、例えば特許文献1のように、互いに常に90度の位相差を持って回転する2台の一方向回転ゲートを利用者の通路と平行に2台隣り合わせて配置し、逆進や複数通過を完全に防止できる駐輪場用ゲートの発明が実用されており、実際上、共連れ不正出場抑制の成果が上がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−232139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転扉を利用した駐輪場用ゲートにおいて、回転扉の回転範囲内には、回転扉との衝突を避けるために他の装置を設置することができない。そして、上記特許文献1に記載の駐輪場用ゲートでは、回転扉の回転範囲が、通行レーン側の領域上だけでなく、通行レーンと反対側(裏側)の領域上にも及ぶ。この結果、1つの通行レーンに回転ゲートを設置する場合には、通行レーンの幅のおよそ2倍の幅を有する領域を確保しなければならない。
【0006】
この点、上記特許文献1の実施例では、入場レーンと出場レーンとを一対のユニット構成とし、それぞれのレーンの2枚の回転扉の回転範囲が干渉しないように各回転扉を配置することで、入場レーンと出場レーンを含めた入出場口領域全体の幅が、1つのレーンの幅の3倍から4倍までの間に収まるようにしている。
【0007】
ところが、駐輪場において常に入場レーンと出場レーンとを隣り合わせに配置できるとは限らない。複数の入場レーンだけ、または複数の出場レーンだけを互いに接近させて並設する構成の駐輪場もあり得る。このような駐輪場の場合には、それぞれのレーンの回転扉を相互に干渉しないように配置することは容易でなく、このため、入場口領域または出場口領域の幅が拡大してしまい、その結果として駐輪場スペースの利用効率が悪化し、駐輪可能台数が減少してしまう。特に入場レーンでは、発券機が駐輪場入場時刻を記録した駐輪場入場券を発行し、利用者がこれを抜き取って入場するといった簡単な動作が行われるだけであるのに対し、出場レーンでは、利用者が上記駐輪場入場時刻の記録された駐輪場入場券を精算機に挿入し、精算機が駐輪場入場券に記録された入場時刻から現在時刻の差を計算して駐輪料金を算出して利用者に提示し、利用者が精算機に現金を投入し、釣銭が発生した場合には精算機が釣銭を計算して出金し、利用者がそれを受け取って出場するといった複雑な動作が行われるため、入場時の動作よりも出場時の動作の方が圧倒的に長い時間がかかる。このため、混雑解消のために、1つの入場レーンに対して2つまたは3つの出場レーンを設けることが望まれる。このような要請に応じ、複数の出場レーンをそれぞれ隣り合うように並設する場合、上記特許文献1に記載されたように互いに隣り合う2つのレーンの回転扉をそれらの回転範囲が互いに干渉しないように配置することは困難であるので、その結果、2つの出場レーンを設ける場合には出場口領域の幅が1つのレーンの幅の4倍以上となり、3つの出場レーンを設ける場合には出場口領域の幅が1つのレーンの幅の6倍以上となるというように、出場レーンの個数を増やすに連れて出場口領域が大幅に拡大し、駐輪場スペースの利用効率が悪化してしまう。
【0008】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、いわゆる共連れの不正通行を抑制することができると共に、複数の通行レーンが並設される場合には、互いに隣り合う通行レーンを相互に接近させ、これら通行レーンが並設される領域を小さくすることができる駐輪場ゲート装置および駐輪場ゲートシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の駐輪場ゲート装置は、駐輪場における二輪車両の通行を規制する駐輪場ゲート装置であって、通行レーンにおける二輪車両の通行を規制する仕切り扉と、前記通行レーンの側方に位置して略鉛直な回転軸周りを回転可能に、かつ前記回転軸に対して略直交するスライド移動方向にスライド移動可能に前記仕切り扉を支持する扉支持体と、前記仕切り扉を回転させると共に前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させる扉移動制御手段とを備え、前記扉移動制御手段は、前記通行レーンにおける二輪車両の通行を許可するときには、前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略平行となるように前記仕切り扉を回転させると共に、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の中央部の位置が前記回転軸の位置と略一致となるように前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させ、前記通行レーンにおける二輪車両の通行を規制するときには、前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交するように前記仕切り扉を回転させると共に、前記スライド移動方向における前記仕切り扉のそれぞれの端部のうち前記通行レーンに突出している方の端部と前記回転軸との間の距離が前記スライド移動方向における前記仕切り扉のそれぞれの端部のうち前記通行レーンに突出していない方の端部と前記回転軸との間の距離よりも長くなるように前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第2の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第1の駐輪場ゲート装置において、前記仕切り扉は、前記スライド移動方向において一側に位置する第1の端部と前記スライド移動方向において他側に位置する第2の端部とを有すると共に、前記扉移動制御手段の制御により、(a)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略平行であって前記スライド移動方向における前記仕切り扉の中央部の位置が前記回転軸の位置と略一致となる通行許可姿勢、(b)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交し、前記第1の端部が前記通行レーンに突出すると共に前記第1の端部と前記回転軸との間の距離が前記第2の端部と前記回転軸との間の距離よりも長い第1の通行規制姿勢、および(c)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交し、前記第2の端部が前記通行レーンに突出すると共に前記第2の端部と前記回転軸との間の距離が前記第1の端部と前記回転軸との間の距離よりも長い第2の通行規制姿勢を取り、前記扉移動制御手段は、前記仕切り扉を一方向に90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1の通行規制姿勢に変え、前記前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記第1の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変え、前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第2の通行規制姿勢に変え、前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変えることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第3の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第1または第2の駐輪場ゲート装置において、前記扉移動制御手段は、前記仕切り扉に固定され、前記仕切り扉から上方、下方または側方に突出した突出部と、駐輪場の地面に対して移動不能に設けられ、前記突出部の突出端部がガイドされる案内部とを備え、前記仕切り扉を回転させることにより前記突出部を前記案内部に沿って移動させ、これにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第4の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第2の駐輪場ゲート装置において、前記扉移動制御手段は、前記仕切り扉に固定され、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の一側から上方、下方または側方に突出した第1の突出部と、前記仕切り扉に固定され、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の他側から上方、下方または側方に突出した第2の突出部と、駐輪場の地面に対して移動不能に設けられ、前記仕切り扉の姿勢に応じて前記第1の突出部の突出端部および第2の突出部の突出端部の少なくともいずれか一方がガイドされる案内部とを備え、前記仕切り扉を前記一方向に90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1の通行規制姿勢に変える間、および前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記第1の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間は、前記第2の突出部の突出端部を前記案内部にガイドさせて前記第2の突出部を前記案内部に沿って移動させることにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させ、前記仕切り扉を前記一方向に90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第2の通行規制姿勢に変える間、および前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間は、前記第1の突出部を前記案内部にガイドさせて前記第1の突出部を前記案内部に沿って移動させることにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第5の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第4の駐輪場ゲート装置において、前記案内部は、前記仕切り扉が前記一方向に90度回転してその姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1または第2の通行規制姿勢に変える間に前記第2または第1の突出部が前記回転軸に接近するように前記第2または第1の突出部をガイドする第1の距離変更部と、前記仕切り扉が前記一方向にさらに90度回転してその姿勢を前記第1または第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間に前記第2または第1の突出部が前記回転軸から離間するように前記第2にまたは第1の突出部をガイドする第2の距離変更部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第6の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第1ないし第5のいずれかの駐輪場ゲート装置において、前記仕切り扉は扉板部およびスライド移動距離倍増機構を有し、前記扉板部は前記スライド移動距離倍増機構を介して前記扉支持体に支持され、前記扉移動制御手段は、前記スライド移動距離倍増機構を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向に移動させ、前記スライド移動距離倍増機構は、前記扉移動制御手段により前記スライド移動距離倍増機構が前記扉支持体に対して前記スライド移動方向に移動したときに、前記扉板部を前記スライド移動距離倍増機構に対し、前記スライド移動距離倍増機構が前記扉支持体に対して移動した方向と同一の方向に移動させることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第7の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第1ないし第6のいずれかの駐輪場ゲート装置において、前記仕切り扉と前記扉支持体とを少なくとも有する仕切り扉ユニットを2つ備え、前記扉移動制御手段は、前記2つの仕切り扉ユニットのうち、一方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉と他方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉とを相互に所定の位相差をもって回転させるか、または前記2つの仕切り扉ユニットのそれぞれを選択的に回転させることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第8の駐輪場ゲート装置は、上述した本発明の第2、第4または第5の駐輪場ゲート装置において、前記仕切り扉と前記扉支持体とを少なくとも有する仕切り扉ユニットを2つ備え、前記扉移動制御手段は、前記2つの仕切り扉ユニットのうち、一方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉が前記通行許可姿勢であるときに、他方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉が前記第1または第2の通行規制姿勢であるように前記各仕切り扉の姿勢を変化させることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の駐輪場ゲートシステムは、上述した本発明の第7または第8の駐輪場ゲート装置と、駐輪券発行機能または駐輪料金精算機能を有する駐輪場管理装置とを備え、前記駐輪場ゲート装置における前記2つ仕切り扉ユニットの間に前記駐輪場管理装置が配置されていることを特徴とする。
【0018】
上述した本発明の第1の駐輪場ゲート装置では、通行許可時において、仕切り扉が回転し、通行レーンの伸長方向と仕切り扉のスライド移動方向とが相互に略平行となる間、仕切り扉は、スライド移動し、その中央部の位置が回転軸の位置と略一致する姿勢を取る。一方、通行規制時において、仕切り扉が回転し、通行レーンの伸長方向と仕切り扉のスライド移動方向とが相互に略直交するようになる間、仕切り扉は、スライド移動し、スライド移動方向における一方の端部が通行レーン側の領域上に大きく突出すると共に、他方の端部が通行レーンと反対側の領域上から大きく後退し、または完全に退避ないし退出する。したがって、仕切り扉の回転範囲が小さくなる。特に、仕切り扉の回転範囲が通行レーンと反対側の領域上にはみ出す量を減少させ、または、このはみ出しを完全になくすことができる。
【0019】
上述した本発明の第2の駐輪場ゲート装置では、仕切り扉が一方向に90度回転するごとに、仕切り扉の姿勢が通行許可姿勢、第1の通行規制姿勢、通行許可姿勢、第2の通行規制姿勢という順序で変化する。通行許可姿勢では、仕切り扉は、その中央部の位置が回転軸の位置と略一致するようにスライド移動している。第1の通行規制姿勢では、仕切り扉は、その一側に位置する第1の端部が通行レーン側の領域上に大きく突出し、他側に位置する第2の端部が通行レーンと反対側の領域上から大きく後退し、または完全に退避ないし退出するようにスライド移動している。第2の通行規制姿勢では、仕切り扉は、その第2の端部が通行レーン側の領域上に大きく突出し、第1の端部が通行レーンと反対側の領域上から大きく後退し、または完全に退避ないし退出するようにスライド移動している。したがって、仕切り扉の回転範囲が小さくなり、特に、仕切り扉の回転範囲が通行レーンと反対側の領域上にはみ出す量を減少させ、または、このはみ出しを完全になくすことができる。
【0020】
上述した本発明の第3の駐輪場ゲート装置では、仕切り扉の回転に伴う仕切り扉のスライド移動、特に、仕切り扉の回転角度に応じたスライド移動方向およびスライド移動量の決定を、突出部を案内部にガイドさせるといった簡単な構造により実現することができる。
【0021】
上述した本発明の第4の駐輪場ゲート装置では、二輪車両の通行許可・規制に応じて変化する仕切り扉の上記各姿勢を、第1の突出部または第2の突出部を案内部にガイドさせるといった簡単な構造により形成することができる。
【0022】
上述した本発明の第5の駐輪場ゲート装置では、仕切り扉の姿勢が通行許可姿勢から第1または第2の通行規制姿勢に変化する間において、第2または第1の突出部を案内部の第1の距離変更部に沿って移動させることにより、仕切り扉を、通行レーン側の領域上に大きく突出すると共に、通行レーンと反対側の領域上から大きく後退しまたは完全に退避ないし退出するようにスライド移動させることができる。一方、仕切り扉の姿勢が第1または第2の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変化する間において、第2または第1の突出部を案内部の第2の距離変更部に沿って移動させることにより、仕切り扉を、その中央部の位置が回転軸の位置と略一致するようにスライド移動させることができる。
【0023】
上述した本発明の第6の駐輪場ゲート装置では、スライド移動距離倍増機構により、通行規制時(第1および第2の通行規制姿勢時)において、スライド移動方向における扉板部の一方の端部を通行レーン側の領域上に極めて大きく突出させることができると共に、扉板部の他方の端部を通行レーンと反対側の領域上から完全に退避させることができる。また、このような扉板部のスライド移動を実現するに当たり、扉支持体による扉板部の支持が不安定になるのを防止することができ、また、このようなスライド移動を突出部と案内部とにより実現する場合には、案内部のカム曲線が極度に急峻となるのを防ぐことができ、扉板部の円滑な回転や円滑なスライド移動を実現することができる。
【0024】
上述した本発明の第7または第8の駐輪場ゲート装置では、各仕切り扉の回転範囲を小さくしながら、共連れの不正通行を効果的に抑制することができる。
【0025】
上述した本発明の駐輪場ゲートシステムでは、2つの仕切り扉ユニットと駐輪場管理装置とを一体的にベース上に配置することが可能であり、配線の簡略化、ゲート駆動手段と駐輪場管理手段との統合によるコストダウン、駐輪場ゲートシステム全体の小型化、ゲートと管理装置とのユニット化等を図ることができ、省スペース化と経済性とを両立可能な駐輪場ゲートシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、共連れの不正通行を抑制することができると共に、複数の通行レーンが並設される場合には、互いに隣り合う通行レーンを相互に接近させ、これら通行レーンが並設される領域を小さくすることができ、駐輪場スペースの利用効率を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置の動作を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置の要部を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置の動作を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置における仕切り扉の回転範囲と、比較例による駐輪場ゲート装置における仕切り扉の回転範囲とを示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置が設置された駐輪場入出場口領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1ないし図3に従って説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置の構成を示している。図1(a)はその駐輪場ゲート装置を上から見た平面図であり、図1(b)は当該駐輪場ゲート装置を正面から見た断面図であり、図1(c)は当該駐輪場ゲート装置を側面から見た断面図である。図1において、本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置1は、駐輪場の入場口、出場口等における自転車の通行を規制する装置である。なお、ここでは、駐輪場の出場口における自転車の出場を規制する場合を例にあげて説明する。
【0029】
駐輪場ゲート装置1は、出場口における通行レーンである出場レーン2を含む出場口領域3に設けられている。駐輪場ゲート装置1は、ベース11、2つの仕切り扉ユニット12、13、および2つの境界柵14、15を備えている。出場レーン2は、1台の自転車4、およびこの自転車4の側方で自転車4を押す利用者が通行可能な幅を有している。ベース11は、出場口領域3の地面上に移動不能に設けられ、出場するために出場レーン2を通行する自転車4の進行方向を基準にすると、出場レーン2の左方(図1(a)中右側)に位置している。ベース11は、例えば金属材料等により中空の箱状に形成され、略水平な上面11Aを有している。2つの仕切り扉ユニット12、13のうち、第1の仕切り扉ユニット12は、ベース11に設けられ、出場レーン2の進入口側(手前側)に位置している。第2の仕切り扉ユニット13は、ベース11に設けられ、出場レーン2の退出口側(奥側)に位置している。各境界柵14、15は、出場口領域3の地面上に移動不能に設けられ、上記自転車4の進行方向を基準にすると、出場レーン2の右方(図1(a)中左側)に位置している。また、境界柵14と境界柵15との間には、駐輪場管理装置16が設けられている。出場レーン2の側方に設けられる駐輪場管理装置16は、通常、駐輪料金の精算機能を有する精算機である。
【0030】
第1の仕切り扉ユニット12は仕切り扉21および扉支持体22を備えている。仕切り扉21は、出場レーン2における自転車4の通行を規制する扉であり、板状に形成されている。扉支持体22は、出場レーン2の側方に位置するベース11上で、仕切り扉21を、略鉛直な回転軸心Q周りを回転可能に、かつ回転軸心Qに対して略直交するスライド移動方向Sにスライド移動可能に支持する部材である。扉支持体22は仕切り扉21の一部を包囲することにより、仕切り扉21をスライド移動方向Sにスライド移動可能に抱え込むように支持している。また、扉支持体22の下側には、下方に伸長する回転軸部23が設けられ、回転軸部23は、ベース11の上面11Aに形成された軸穴に挿入され、軸受24を介してベース11に回転可能に支持されている。これにより、扉支持体22はベース11に対して回転軸心Q周りを円滑に回転することができ、仕切り扉21を回転させることができる。また、扉支持体22には、例えば8つの支持ローラ25が設けられ、これら支持ローラ25を介して仕切り扉21を支持している。これにより、仕切り扉21は扉支持体22に対してスライド移動方向Sに円滑に移動することができる。
【0031】
また、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21には、第1の突出部としての第1のカムローラ26、および第2の突出部としての第2のカムローラ27が設けられている。スライド移動方向Sにおいて仕切り扉21の中央に位置する部分を中央部21A、一側に位置する端部を第1の端部21B、および他側に位置する端部を第2の端部21Cとすると、第1のカムローラ26は、スライド移動方向Sにおいて、仕切り扉21の中央部21Aと第1の端部21Bとの間に位置し、仕切り扉21の下端部に設けられている。第1のカムローラ26はローラ軸およびローラ部を有し、ローラ軸はその基端側が仕切り扉21の下端部に固定され、突出端側が仕切り扉21から下方に伸長している。ローラ部はローラ軸の突出端部にローラ軸の軸心周りを回転可能に取り付けられている。一方、第2のカムローラ27は、スライド移動方向Sにおいて、仕切り扉21の中央部21Aと第2の端部21Cとの間に位置し、仕切り扉21の下端部に設けられている。第2のカムローラ27も、第1のカムローラ26と同様にローラ軸およびローラ部を有している。
【0032】
また、ベース11の上面11Aには、案内部としての溝カム28が設けられている。溝カム28は、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21の下方に位置し、上面11A上において全体として大略円弧状に伸長している。溝カム28には、後述の仕切り扉21の姿勢に応じて、第1のカムローラ26の突出端部(具体的にはローラ部)または第2のカムローラ27の突出端部(具体的にはローラ部)がガイドされるように挿入される。溝カム28は、第1のカムローラ26(第2のカムローラ27)のローラ部の直径よりも僅かに大きい幅を有する溝であり、これにより、ローラ部は、溝カム28内を回転しながら、溝カム28の大略円弧状の形状に沿って円滑に移動することができる。
【0033】
また、溝カム28は、距離固定部28A、第1の距離変更部28Bおよび第2の距離変更部28Cを有している。距離固定部28Aは、溝カム28の伸長方向ほぼ中央部に位置し、回転軸心Qとの距離が一定の円弧状に形成されている。第1の距離変更部28Bおよび第2の距離変更部28Cは、溝カム28の伸長方向両端側にそれぞれ配置され、回転軸心Qとの距離が変化する湾曲形状(渦巻きまたは螺旋の一部分のような形状)に形成されている。すなわち、第1の距離変更部28Bは、溝カム28において伸長方向一端側から中央側に向かうに連れて回転軸心Qに接近する形状を有し、第2の距離変更部28Cは、溝カム28において伸長方向中央側から他端部に向かうに連れて回転軸心Qから離間する形状を有している。また、第1の距離変更部28Bの一方の端部は開放されており、仕切り扉21の回転により溝カム28の外から移動してきた第1のカムローラ26または第2のカムローラ27のローラ部の進入を許すようになっている。また、第1の距離変更部28Bの他方の端部は距離固定部28Aの一方の端部と連続的に接続されている。また、第2の距離変更部28Cの一方の端部は距離固定部28Aの他方の端部と連続的に接続されている。また、第2の距離変更部28Cの他方の端部は開放されており、仕切り扉21の回転により溝カム28内を移動してきた第1のカムローラ26または第2のカムローラ27のローラ部の退出を許すようになっている。以上、第1の仕切り扉ユニット12の構成について説明したが、第2の仕切り扉ユニット13も、第1の仕切り扉ユニット12と同様の構成を有している。
なお、溝カム28の伸張方向両端部、即ち距離変更部28Bならびに28Cの開放された両端部付近にも若干の距離固定部が設けられており、これにより第1、第2のカムローラ26、27の双方が溝カム28に同時に嵌り合う際にもスムーズに移動できるようになっている。
【0034】
また、ベース11内には、扉移動制御手段としての扉駆動機構31が設けられている。扉駆動機構31は、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21と第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21とを相互に90度の位相差を持たせて一方向に回転させる機構であり、駆動モータおよびベルト伝動機構部等(いずれも図示せず)により構成されている。また、扉駆動機構31は、各仕切り扉21の逆回転を防止する機能や、駆動停止時に各仕切り扉21を回転しないようにロックする機能を備えている。また、ベース11には、自転車4が出場レーン2に進入したことを検知する自転車進入センサ、自転車4の前部が停止している仕切り扉21を押したことを検出する扉押圧センサ、回転している仕切り扉21が自転車4の後部に接触したことを検出する扉接触センサ、自転車4が出場レーン2を完全に通過仕切ったことを検出する自転車通過完了センサ等(いずれも図示せず)が設けられている。また、駐輪場管理装置16内には、上記各センサによる検出結果に基づいて扉駆動機構31を制御する駆動制御部(図示せず)が設けられている。
【0035】
図2および図3は、以上のような構成を有する駐輪場ゲート装置1の動作を示している。なお、図2(1)から図3(8)にかけて、駐輪場ゲート装置1の動作態様が時間の経過に沿って描かれている。図2に示すように、第1の仕切り扉ユニット12および第2の仕切り扉ユニット13の各仕切り扉21は、扉駆動機構31の駆動により、通行許可姿勢、第1の通行規制姿勢、第2の通行規制姿勢の3つの姿勢を取る。
【0036】
通行許可姿勢は、出場レーン2の伸長方向と仕切り扉21のスライド移動方向Sとが相互に略平行であって仕切り扉21の中央部21Aの位置が回転軸心Qの位置と略一致する姿勢である。図2(1)中左側の仕切り扉21、図2(4)中右側の仕切り扉21、および図3(8)中左側の仕切り扉21が通行許可姿勢にある。なお、上記通行許可姿勢には、図2(1)中左側の仕切り扉21のように、第1の端部21Bが出場レーン2の進入口側に位置している場合と、図2(4)中右側の仕切り扉21のように、第1の端部21Bが出場レーン2の退出口側に位置している場合とがある。仕切り扉21の姿勢が通行許可姿勢のとき、第1のカムローラ26および第2のカムローラ27の双方のローラ部が溝カム28の両端部の内部に位置している。
【0037】
第1の通行規制姿勢は、出場レーン2の伸長方向と仕切り扉21のスライド移動方向Sとが相互に略直交し、第1の端部21Bが出場レーン2に突出すると共に第1の端部21Bと回転軸心Qとの間の距離が第2の端部21Cと回転軸心Qとの間の距離よりも長い姿勢である。図2(1)中右側の仕切り扉21、および図2(4)中左側の仕切り扉21が第1の通行規制姿勢にある。仕切り扉21の姿勢が第1の通行規制姿勢のとき、第2のカムローラ27のローラ部が溝カム28の中央部の内部に位置し、第1のカムローラ26のローラ部は溝カム28外に位置している。
【0038】
第2の通行規制姿勢は、出場レーン2の伸長方向と仕切り扉21のスライド移動方向Sとが相互に略直交し、第2の端部21Cが出場レーン2に突出すると共に第2の端部21Cと回転軸心Qとの間の距離が第1の端部21Bと回転軸心Qとの間の距離よりも長い姿勢である。図3(8)中右側の仕切り扉21が第2の通行規制姿勢にある。仕切り扉21の姿勢が第2の通行規制姿勢のとき、第1のカムローラ26のローラ部が溝カム28の中央部の内部に位置し、第2のカムローラ27のローラ部は溝カム28外に位置している。
【0039】
ここで、図2の左側および図3の左側に描かれた第1の仕切り扉ユニット12のみに着目する。図2に示すように、扉駆動機構31(図1参照)の駆動により、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21がベース11に対して回転軸心Q周りを一方向(矢示B方向)に回転し、図2(1)に示す通行許可姿勢から図2(4)に示す第1の通行規制姿勢に変わる間、まず、第2のカムローラ27のローラ部が溝カム28の第1の距離変更部28B内を進み、一方、第1のカムローラ26は溝カム28の外に出る。続いて、第2のカムローラ27のローラ部は、図2(2)に示すように、その移動が第1の距離変更部28Bに規制されることにより回転軸心Qに漸次接近する。この結果、第1の端部21Bが出場レーン2に突出するように仕切り扉21がスライド移動方向Sにスライド移動する。そして、図2(3)に示すように、第2のカムローラ27のローラ部が溝カム28の距離固定部28Aに進入したとき、仕切り扉21の回転は続くも、仕切り扉21のスライド移動は停止する。そして、仕切り扉21が通行許可姿勢から一方向に90度回転し終えたとき、図2(4)に示すように、仕切り扉21の姿勢は第1の通行規制姿勢となる。第1の通行規制姿勢の仕切り扉21は、第1の端部21Bが出場レーン2側の領域上に大きく突出して出場レーン2を遮断すると共に、第2の端部21Cが出場レーン2の反対側の領域から大きく後退する。
【0040】
さらに、図3に示すように、扉駆動機構31の駆動により、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21がベース11に対して回転軸心Q周りを一方向(矢示B方向)にさらに回転し、図2(4)に示す第1の通行規制姿勢から図3(8)に示す通行許可姿勢に変わる間、まず、図3(5)に示すように、第2のカムローラ27のローラ部が溝カム28の距離固定部28A内を進み、続いて、図3(6)に示すように第2の距離変更部28Cに進入して進行を続ける。第2のカムローラ27のローラ部は、図3(7)に示すように、その移動が第2の距離変更部28Cに規制されることにより回転軸心Qから漸次離間する。この結果、第1の端部21Bが出場レーン2から後退するように仕切り扉21がスライド移動方向Sにスライド移動する。そして、仕切り扉21が第1の通行規制姿勢から一方向に90度回転したとき、図3(8)に示すように通行許可姿勢となる。このとき、第2のカムローラ27のローラ部が第2の距離変更部28Cの端部に達すると共に、第1のカムローラ26のローラ部が第1の距離変更部28Bに進入する。また、スライド移動方向Sにおける仕切り扉21の第1の端部21Bと中央部21Aとの間の距離と、第2の端部21Cと中央部21Aとの間の距離とがほぼ等しくなる。通行許可姿勢の仕切り扉21は、出場レーン2側の領域上からも完全に退避して出場レーン2を開放すると共に、出場レーン2の反対側の領域上からも完全に退避している。
【0041】
ここまでが1台の自転車4が通過するための1サイクルの動作であるが、次の自転車の動作の際には扉駆動機構31の駆動により、仕切り扉ユニット12の仕切り扉21がベース11に対して回転軸心Q周りを一方向にさらに90度回転すると、仕切り扉21の姿勢は通行許可姿勢から第2の通行規制姿勢に変わる。この間の変化の態様は、仕切り扉21が通行許可姿勢から第1の通行規制姿勢に変わる間の態様と同じである。第2の通行規制姿勢の仕切り扉21は、第2の端部21Cが出場レーン2側の領域上に大きく突出して出場レーン2を遮断すると共に、第1の端部21Bが出場レーン2の反対側の領域から大きく後退する。
【0042】
扉駆動機構31の駆動により、仕切り扉21がベース11に対して回転軸心Q周りを一方向にさらに90度回転すると、仕切り扉21の姿勢は第2の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わる。この間の変化の態様は、仕切り扉21が第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わる間の態様と同じである。
【0043】
このように、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21は、扉駆動機構31の駆動により一方向に90度回転するごとに、通行許可姿勢、第1の通行規制姿勢、通行許可姿勢、第2の通行規制姿勢の順序で繰り返し姿勢を変える。この点は、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21も同様であるが、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21は、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21よりも回転の位相が90度進んでいる。したがって、例えば、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21の姿勢が通行許可姿勢から第1の通行規制姿勢に変わるときには、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21の姿勢は第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わる。そして、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21の姿勢が第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わるときには、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21の姿勢は通行許可姿勢から第2の通行規制姿勢に変わる。
【0044】
出場レーン2を通行する自転車4と各仕切り扉21の姿勢との関係は次の通りである。図2(1)に示すように、遅くとも自転車4が出場レーン2に進入する直前には、出場レーン2の進入口側に位置する第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21は通行許可姿勢を取り、出場レーン2の退出口側に位置する第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21は第1(または第2)の通行規制姿勢を取る。これにより、自転車4は、駐輪場管理装置16と横並びになる位置まで出場レーン2内を進むことができるが、それより先には進むことができない。ベース11に設けられた自転車進入センサが自転車4の出場レーン2への進入を検出したとき、扉駆動機構31は、駐輪料金の精算が完了するまで各仕切り扉21を動かないようにロックする。
【0045】
駐輪料金の精算が完了したとき、扉駆動機構31は、各仕切り扉21のロックを解除する。これにより、自転車4は前進することが可能になる。出場レーン2において前進を開始した自転車4の前部が第1の通行規制姿勢にある第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21を押したとき、ベース11に設けられた図示しない扉押圧センサがその旨を検出する。これに応じ、扉駆動機構31は、各仕切り扉21を一方向に低速に回転させる。これにより、図2(2)〜(4)に示すように、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21の姿勢が通行許可姿勢から第1の通行規制姿勢に変わり、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21の姿勢が第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わる。この間、自転車4は、2つの仕切り扉21の間をゆっくり前進していき、出場レーン2から退出する。なお、精算を完了して出場レーン2を前進する自転車4が2つの仕切り扉21の間で停止したときには、安全のために、ベース11に設けられた図示しない扉接触センサにより、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21が自転車4の後部に軽く接触したことを検出し、これに応じ、扉駆動機構31が各仕切り扉21の回転を一旦停止する。自転車4が前進を再開して、一旦停止している第2の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21を押すと、扉駆動機構31が各仕切り扉21の回転を再開する。
【0046】
その後、自転車4が出場レーン2を完全に通行し切ったとき、ベース11に設けられた図示しない自転車通行完了センサがこれを検出し、これに応じて、扉駆動機構31が図3(5)〜(8)に示すように、各仕切り扉21を一方向にさらに回転させる。これにより、第1の仕切り扉ユニット12の仕切り扉21の姿勢が第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わり、第2の仕切り扉ユニット13の仕切り扉21の姿勢が通行許可姿勢から第2の通行規制姿勢に変わる。これにより、各仕切り扉21の姿勢は、実質的に、自転車4が出場レーン2に進入する直前の姿勢(図2(1)参照)に戻る。
【0047】
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態による駐輪場ゲート装置1によれば、1台の自転車4が出場レーン2を通過するごとに、仕切り扉21を一方向に回転させて出場レーン2の開放・規制を交互に行うことにより、いわゆる共連れの不正出場を抑制することができ、これに加え、自転車4の出場を許可するときには、仕切り扉21の姿勢を、仕切り扉21の中央部21Aの位置と回転軸心Qの位置とが略一致する通行許可姿勢とし、自転車4の出場を規制するときには、仕切り扉21の一方の端部が出場レーン2側の領域上に突出すると共に他方の端部が出場レーン2と反対側の領域上から大きく後退する第1または第2の通行規制姿勢とすることにより、仕切り扉21の回転範囲を小さくすることができる。特に、出場レーン2と反対側の領域上における仕切り扉21のはみ出し量を小さくすることができるので、1つの駐輪場に複数の出場レーン2を並設する場合には、出場レーン2を相互に接近させることができ、出場口領域の幅を小さくして駐輪場スペースの利用効率を高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図4ないし図8に従って説明する。なお、図4ないし図8において、図1ないし図3に示す第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。図4は本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置の構成を示している。なお、図4には、図1と同様に、同一の駐輪場ゲート装置を上から見た平面図、正面から見た断面図、側面から見た断面図が描かれている。図4において、本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置41は、各仕切り扉ユニット42、43において、仕切り扉44が扉板部45およびスライド移動距離倍増機構46を有し、扉板部45がスライド移動距離倍増機構46を介して扉支持体22に支持されている。スライド移動距離倍増機構46は、仕切り扉44が第1または第2の通行規制姿勢を取るとき、扉板部45を出場レーン2側の領域上に第1の実施形態による場合よりも大きく突出させると共に、出場レーン2と反対側の領域上から完全に退避させる機構である(図4(a)中の下側の仕切り扉44、図4(b)中の仕切り扉44参照)。
【0049】
図5は、仕切り扉44および扉支持体22等を示している。なお、図5中の右上側には、仕切り扉44が通行許可姿勢のときの状態を示し、図5中の左上側には、図5中右上側の仕切り扉44および扉支持体22等を矢示A−A方向から見た断面を示し、図5中下側には、仕切り扉44が第1の通行規制姿勢のときの状態を示す。図5において、仕切り扉44の扉板部45は、第1の実施形態における仕切り扉21とほぼ同様に板状に形成され、スライド移動方向Sにおいて、扉板部45の中央部分が中央部45A、一方の端部が第1の端部45B、および他方の端部が第2の端部45Cとなっている。
【0050】
スライド移動距離倍増機構46は、扉支持体22と扉板部45との間にスライド移動方向Sにおいてスライド移動可能に設けられた大略長尺板状の歯車支持体47と、歯車支持体47に設けられた複数の歯車48と、扉支持体22と歯車支持体47との間に位置して扉支持体22の下部に形成され(または取り付けられ)、複数の歯車48と噛合する第1のラック49と、歯車支持体47と扉板部45との間に位置して扉板部45に下端部に形成され(または取り付けられ)、複数の歯車48と噛合する第2のラック50とを備えている。また、扉板部45の上方に位置し、扉板部45と扉支持体22との間には、扉支持体22に対する扉板部45のスライド移動方向Sにおける移動をより円滑にするためのローラ51が設けられている。さらに、歯車支持体47の下端部には、第1の突出部としての第1のカムローラ52および第2の突出部としての第2のカムローラ53が設けられている。第1のカムローラ52は、第1の実施形態における第1のカムローラ26と同様にローラ軸およびローラ部を有し、第1のカムローラ52のローラ軸は、スライド移動方向Sにおいて歯車支持体47の一方の端部に固定されている。第2のカムローラ53は、第1の実施形態における第2のカムローラ27と同様にローラ軸およびローラ部を有し、第2のカムローラ52のローラ軸は、スライド移動方向Sにおいて歯車支持体47の他方の端部に固定されている。そして、第1のカムローラ52の突出端部(具体的にはローラ部)および第2のカムローラ53の突出端部(具体的にはローラ部)は、第1の実施形態における第1のカムローラ26および第2のカムローラ27と同様に、仕切り扉44の姿勢に応じて、ベース11上に設けられた溝カム28に挿入される。なお、溝カム28の形状は、第1の実施形態と第2の実施形態との間で同じである。
【0051】
図6は、以上のような構成を有する駐輪場ゲートシステム41の動作を示している。図6(1)中左側に示す第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が通行許可姿勢を取っているときは、図5中右上側に示すように、スライド移動方向Sにおける扉板部45の中央部45Aおよび歯車支持体47の中央部の双方の位置が回転軸心Qの位置と略一致している。
【0052】
図6(2)〜図6(3)中の第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が、図示しない扉駆動機構31の駆動により、ベース11に対して回転軸心Q周りを一方向(矢示B方向)に回転し、通行許可姿勢から第1の通行規制姿勢に変わる間、第2のカムローラ53の移動が第1の距離変更部28Bに規制されることにより回転軸心Qに漸次接近し、この結果、歯車支持体47が扉板部45と一緒に出場レーン2側の領域上に向かってスライド移動方向Sにスライド移動する。このときの歯車支持体47のスライド移動量は図5中のD(R−R’)である。なお、Rは通行許可姿勢時におけるカムローラ53と回転軸心Qとの間の距離であり、R’は第1の通行規制姿勢時におけるカムローラ53と回転軸心Qとの間の距離である。この歯車支持体47の移動に伴って複数の歯車48が第1のラック49上を移動することにより、第1のラック49と噛合している各歯車48が図5において反時計回りに回転する。この各歯車48の回転が第2のラック50に伝達され、図5中下側に示すように、扉板部45が歯車支持体47に対し、出場レーン2に突出するようにスライド移動方向Sにスライド移動する。そして、図6(4)に示すように、第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が通行許可姿勢から一方向に90度回転し終えたとき、仕切り扉44の姿勢は第1の通行規制姿勢となる。第1の通行規制姿勢では、扉板部45の第1の端部45Bが出場レーン2側の領域上に極めて大きく突出して出場レーン2を遮断すると共に、第2の端部45Cが出場レーン2の反対側の領域から完全に退避する(すなわち、第2の端部45Cがベース11上に位置するようになる)。ここで、図5に示すように、歯車支持体47の扉支持体22に対するスライド移動量がDであり、扉板部45の歯車支持体47に対するスライド移動量もDとなるため、扉板部45は扉支持体22に対する移動量はDの2倍(2×D)となる。
【0053】
第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が、扉駆動機構31の駆動により、ベース11に対して回転軸心Q周りを一方向にさらに回転し、第1の通行規制姿勢から通行許可姿勢に変わる間、第2のカムローラ53の移動が第2の距離変更部28Cに規制されることにより回転軸心Qから漸次離間し、この結果、歯車支持体47が扉板部45と一緒に出場レーン2側の領域上から後退するようにスライド移動方向Sにスライド移動する。この間、歯車支持体47の移動に伴って複数の歯車48が第1のラック49上を移動することにより、第1のラック49と噛合している各歯車48が図5において時計回りに回転する。この各歯車48の回転が第2のラック50に伝達され、扉板部45が歯車支持体47に対し、出場レーン2から後退するようにスライド移動方向Sにスライド移動する。そして、仕切り扉44が通行許可姿勢から一方向に90度回転し終えたとき、仕切り扉44は、スライド移動方向Sにおける扉板部45の中央部45Aおよび歯車支持体47の中央部の双方の位置が回転軸心Qの位置と略一致した通行許可姿勢を取る。
【0054】
同様に、その後の動作では第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が、扉駆動機構31の駆動により、ベース11に対して回転軸心Q周りを一方向にさらに回転し、通行許可姿勢から第2の通行規制姿勢に変わる間、第1のカムローラ52の移動が第1の距離変更部28Bに規制されることにより回転軸心Qに漸次接近し、この結果、歯車支持体47が扉板部45と一緒に出場レーン2側の領域上に向かってスライド移動方向にスライド移動し、これに伴って第1のラック49と噛合している各歯車48が図5において反時計回りに回転し、この各歯車48の回転が第2のラック50に伝達され、扉板部45が、歯車支持体47に対し、出場レーン2に突出するようにスライド移動方向Sにスライド移動する。そして、仕切り扉44が通行許可姿勢から一方向に90度回転し終えたとき、仕切り扉44の姿勢は第2の通行規制姿勢となる。第2の通行規制姿勢では、扉板部45の第2の端部45Cが出場レーン2側の領域上に極めて大きく突出して出場レーン2を遮断すると共に、第1の端部45Bが出場レーン2の反対側の領域から完全に退避ないし退出する(すなわち、第1の端部45Bがベース11上に位置するようになる)。
【0055】
第1の仕切り扉ユニット42において、仕切り扉44が回転軸心Q周りを一方向にさらに90度回転すると、仕切り扉44は、スライド移動方向Sにおける扉板部45の中央部45Aおよび歯車支持体47の中央部の双方の位置が回転軸心Qの位置と略一致した通行許可姿勢を取る。一方、第2の仕切り扉ユニット43の仕切り扉44は、第1の仕切り扉ユニット42の仕切り扉44と同期して動作するも、第2の仕切り扉ユニット43の仕切り扉44の回転位相が第1の仕切り扉ユニット42の仕切り扉44の回転位相よりも90度進んでいるため、仕切り扉ユニット43の仕切り扉44の姿勢と仕切り扉ユニット42の仕切り扉44の姿勢とは図6に示すように相互にずれる。
【0056】
以上説明した通り、本発明の第2の実施形態による駐輪場ゲート装置41によれば、いわゆる共連れの不正出場を抑制することができる共に、自転車4の出場を許可するときには、仕切り扉44の姿勢を、扉板部45の中央部45Aの位置と回転軸心Qの位置とが略一致する通行許可姿勢とし、自転車4の出場を規制するときには、扉板部45の一方の端部が出場レーン2側の領域上に突出すると共に他方の端部が出場レーン2と反対側の領域上から完全に退避する第1または第2の通行規制姿勢とすることにより、仕切り扉44の通行規制姿勢の際の出場レーン2への突出量以外の動作範囲を小さくすることができる。特に、スライド移動距離倍増機構46により、扉板部45が出場レーン2と反対側の領域上にはみ出すことを完全に防止することができる。
【0057】
ここで、図7は、カムローラ52、53も溝カム28もスライド移動距離倍増機構46も有していない駐輪場ゲート装置における各仕切り扉の回転領域D1(点線で図示)と、カムローラ52、53、溝カム28およびスライド移動距離倍増機構46等を有する本実施形態の駐輪場ゲート装置41における各仕切り扉44の回転領域D2(2点鎖線で図示)とを重ねて示している。図7から分かる通り、回転領域D1は出場レーン2と反対側の領域E上に大きくはみ出しているのに対し、回転領域D2は出場レーン2と反対側の領域E上に全くはみ出していない。また、2つの回転領域D1は相互に部分的に重なり合っているのに対し、2つの回転領域D2は相互に全く重なり合っていない。
【0058】
このように、第1のカムローラ52、第2のカムローラ53、溝カム28およびスライド移動距離倍増機構46等により、扉板部45が出場レーン2と反対側の領域上にはみ出すことを完全に防止することができるので、図8に示す駐輪場ゲートシステム60のように、1つの駐輪場に複数の出場レーン2および駐輪場ゲート装置41を並設する場合には、出場レーン2を相互に極めて接近させることができ、出場口領域の幅を一層小さくして駐輪場スペースの利用効率を一層高めることができる。例えば、境界柵14、15を、隣の出場レーン2に係るベース11上に配置することも可能であり、これにより、相互に隣り合う2つの出場レーン2間の間隔を1つのベース11を設置するのに必要な最小限の間隔とすることができる。また、1つの出場レーン2に着目した場合には、第1の仕切り扉ユニット42と第2の仕切り扉ユニット43との間に、駐輪場管理装置16を設置する空間を確保することが可能になる。そして、駐輪場管理装置16を各仕切り扉ユニット42、43と共にベース11上に配置することで、出場レーン2の間隔を小さくすることができ、駐輪場管理装置16および仕切り扉ユニット42、43をユニット化したコンパクトな駐輪場ゲートシステム60を実現することができ、また、駐輪場管理装置16に内蔵された駆動制御部により仕切り扉ユニット42、43の扉駆動機構31を制御する構成を実現するに当たり、配線の簡略化、駆動制御部の駐輪場管理装置16へのビルトインによるコストダウン等を実現することができる。このように、駐輪場ゲート装置41によれば、省スペースと経済性の両立を図ることができる。もちろん、図8に示す駐輪場ゲートシステム60のように、複数の出場レーン2と同一の領域(入出場口領域)63に入場レーン5を並設する場合でも、各レーンを十分に接近させることができるので、入出場口領域63の幅ないし面積を小さくすることができ、その分、駐輪スペースを大きく取ることができ、駐輪可能台数を増やすことができる。なお、入場レーン5に係る駐輪場管理装置16は、通常、駐輪券発行機能を有する発券機である。
【0059】
なお、上述した各実施形態では、カムローラ26、27(52、53)を、仕切り扉21(歯車支持体47)から下方に突出させ、ベース11の上面11Aに設けられた溝カム28に挿入する構成としたが、これに代えて、またはこれに加えて、溝カムを仕切り扉21の上方に配置する構造にすると共に、カムローラを仕切り扉21から上方に突出させて当該溝カムに挿入する構成としてもよい。この場合には、仕切り扉の上方において、当該仕切り扉と扉支持体との間にスライド移動距離倍増機構を設けてもよく、スライド移動距離倍増機構を設けた場合には、スライド移動距離倍増機構の歯車支持体から上方に突出するようにカムローラを設けてもよい。
【0060】
また、上述した各実施形態では、仕切り扉21(44)の回転に伴い仕切り扉21(44)を扉支持体22に対してスライド移動させる手段を、カムローラ26、27(52、53)および溝カム28により構成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。他の駆動ローラや、エアーコンプレッサ等を用いて、仕切り扉21(44)をスライド移動させてもよい。
【0061】
また、上述した各実施形態では、扉駆動機構31に設けられた駆動モータにより、各仕切り扉21(44)を低速回転させる場合を例にあげたが、この場合、1つの駆動モータから出力される動力を2つの仕切り扉21(44)に伝達することで2つの仕切り扉21(44)を所定の位相差(通常は90度)を持たせて同時に回転させる構成としてもよいし、2つの駆動モータを用いて2つの仕切り扉21(44)にそれぞれ動力を付与することで2つの仕切り扉21(44)を同期させて所定の位相差を持たせて回転させるか、若しくは所定の位相差は持たせずに夫々の仕切り扉21(44)の位相と自転車の通過位置を監視しながら、選択的に順々に回転させる構成としてもよい。
【0062】
また、上述した第2の実施形態では、スライド移動距離倍増機構46を歯車支持体47、歯車48およびラック49、50等により構成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、レバーやリンク等を用いる構成としてもよい。例えば、歯車支持体47を扉支持体22に対してスライド移動させ、これにより段付き歯車を回転させ、この段付き歯車の回転動力により、レバーを揺動させ、このレバーの揺動により、当該レバーの揺動端部に連結された扉板部45をスライド移動させる構成としてもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態では、駐輪場ゲート装置1(41)を出場レーン2の通行を規制するのに用いる場合を例にあげたが、駐輪場ゲート装置1(41)は入場レーンや駐輪場の他の通路の通行規制にも適用することができる。
【0064】
また、上述した各実施形態では、駐輪場ゲート装置1(41)を自転車の通行規制に用いる場合を例にあげたが、駐輪場ゲート装置1(41)は自動二輪車等の他の二輪車両の通行規制にも適用することができる。
【0065】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐輪場ゲート装置および駐輪場ゲートシステムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、鉄道駅周辺の大型の駐輪場や、多数の利用者が利用する大規模ショッピングセンターや市役所等の公共施設に設置される駐輪場のゲート装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、41 駐輪場ゲート装置
2 出場レーン(通行レーン)
5 入場レーン(通行レーン)
4 自転車
12、13、42、43 仕切り扉ユニット
16 駐輪場管理装置
21、44 仕切り扉
21A 中央部
21B 第1の端部
21C 第2の端部
22 扉支持体
26、52 第1のカムローラ(第1の突出部、扉移動制御手段)
27、53 第2のカムローラ(第2の突出部、扉移動制御手段)
28 溝カム(案内部、扉移動制御手段)
28A 距離固定部
28B 距離変更部
31 扉駆動機構(扉移動制御手段)
45 扉板部
45A 中央部
45B 第1の端部
45C 第2の端部
46 スライド移動距離倍増機構
60 駐輪場ゲートシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐輪場における二輪車両の通行を規制する駐輪場ゲート装置であって、
通行レーンにおける二輪車両の通行を規制する仕切り扉と、
前記通行レーンの側方に位置して略鉛直な回転軸周りを回転可能に、かつ前記回転軸に対して略直交するスライド移動方向にスライド移動可能に前記仕切り扉を支持する扉支持体と、
前記仕切り扉を回転させると共に前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させる扉移動制御手段とを備え、
前記扉移動制御手段は、
前記通行レーンにおける二輪車両の通行を許可するときには、前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略平行となるように前記仕切り扉を回転させると共に、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の中央部の位置が前記回転軸の位置と略一致となるように前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させ、
前記通行レーンにおける二輪車両の通行を規制するときには、前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交するように前記仕切り扉を回転させると共に、前記スライド移動方向における前記仕切り扉のそれぞれの端部のうち前記通行レーンに突出している方の端部と前記回転軸との間の距離が前記スライド移動方向における前記仕切り扉のそれぞれの端部のうち前記通行レーンに突出していない方の端部と前記回転軸との間の距離よりも長くなるように前記仕切り扉を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする駐輪場ゲート装置。
【請求項2】
前記仕切り扉は、前記スライド移動方向において一側に位置する第1の端部と前記スライド移動方向において他側に位置する第2の端部とを有すると共に、前記扉移動制御手段の制御により、(a)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略平行であって前記スライド移動方向における前記仕切り扉の中央部の位置が前記回転軸の位置と略一致となる通行許可姿勢、(b)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交し、前記第1の端部が前記通行レーンに突出すると共に前記第1の端部と前記回転軸との間の距離が前記第2の端部と前記回転軸との間の距離よりも長い第1の通行規制姿勢、および(c)前記通行レーンの伸長方向と前記仕切り扉の前記スライド移動方向とが相互に略直交し、前記第2の端部が前記通行レーンに突出すると共に前記第2の端部と前記回転軸との間の距離が前記第1の端部と前記回転軸との間の距離よりも長い第2の通行規制姿勢を取り、
前記扉移動制御手段は、前記仕切り扉を一方向に90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1の通行規制姿勢に変え、前記前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記第1の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変え、前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第2の通行規制姿勢に変え、前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させる間に前記仕切り扉の姿勢を前記第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変えることを特徴とする請求項1に記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項3】
前記扉移動制御手段は、
前記仕切り扉に固定され、前記仕切り扉から上方、下方または側方に突出した突出部と、
駐輪場の地面に対して移動不能に設けられ、前記突出部の突出端部がガイドされる案内部とを備え、
前記仕切り扉を回転させることにより前記突出部を前記案内部に沿って移動させ、これにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項4】
前記扉移動制御手段は、
前記仕切り扉に固定され、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の一側から上方、下方または側方に突出した第1の突出部と、
前記仕切り扉に固定され、前記スライド移動方向における前記仕切り扉の他側から上方、下方または側方に突出した第2の突出部と、
駐輪場の地面に対して移動不能に設けられ、前記仕切り扉の姿勢に応じて前記第1の突出部の突出端部および第2の突出部の突出端部の少なくともいずれか一方がガイドされる案内部とを備え、
前記仕切り扉を前記一方向に90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1の通行規制姿勢に変える間、および前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記第1の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間は、前記第2の突出部の突出端部を前記案内部にガイドさせて前記第2の突出部を前記案内部に沿って移動させることにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させ、
前記仕切り扉を前記一方向に90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記通行許可姿勢から前記第2の通行規制姿勢に変える間、および前記仕切り扉を前記一方向にさらに90度回転させて前記仕切り扉の姿勢を前記第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間は、前記第1の突出部を前記案内部にガイドさせて前記第1の突出部を前記案内部に沿って移動させることにより前記仕切り扉を前記扉支持体に対してスライド移動方向にスライド移動させることを特徴とする請求項2に記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項5】
前記案内部は、
前記仕切り扉が前記一方向に90度回転してその姿勢を前記通行許可姿勢から前記第1または第2の通行規制姿勢に変える間に前記第2または第1の突出部が前記回転軸に接近するように前記第2または第1の突出部をガイドする第1の距離変更部と、
前記仕切り扉が前記一方向にさらに90度回転してその姿勢を前記第1または第2の通行規制姿勢から前記通行許可姿勢に変える間に前記第2または第1の突出部が前記回転軸から離間するように前記第2または第1の突出部をガイドする第2の距離変更部とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項6】
前記仕切り扉は扉板部およびスライド移動距離倍増機構を有し、前記扉板部は前記スライド移動距離倍増機構を介して前記扉支持体に支持され、
前記扉移動制御手段は、前記スライド移動距離倍増機構を前記扉支持体に対して前記スライド移動方向に移動させ、
前記スライド移動距離倍増機構は、前記扉移動制御手段により前記スライド移動距離倍増機構が前記扉支持体に対して前記スライド移動方向に移動したときに、前記扉板部を前記スライド移動距離倍増機構に対し、前記スライド移動距離倍増機構が前記扉支持体に対して移動した方向と同一の方向に移動させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項7】
前記仕切り扉と前記扉支持体とを少なくとも有する仕切り扉ユニットを2つ備え、
前記扉移動制御手段は、前記2つの仕切り扉ユニットのうち、一方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉と他方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉とを相互に所定の位相差をもって回転させるか、または前記2つの仕切り扉ユニットのそれぞれを選択的に回転させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項8】
前記仕切り扉と前記扉支持体とを少なくとも有する仕切り扉ユニットを2つ備え、
前記扉移動制御手段は、前記2つの仕切り扉ユニットのうち、一方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉が前記通行許可姿勢であるときに、他方の仕切り扉ユニットにおける前記仕切り扉が前記第1または第2の通行規制姿勢であるように前記各仕切り扉の姿勢を変化させることを特徴とする請求項2、4または5に記載の駐輪場ゲート装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の駐輪場ゲート装置と、
駐輪券発行機能または駐輪料金精算機能を有する駐輪場管理装置とを備え、
前記駐輪場ゲート装置における前記2つ仕切り扉ユニットの間に前記駐輪場管理装置が配置されていることを特徴とする駐輪場ゲートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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