説明

骨の外部に装着される矯正装置

【課題】クランプをコンパクトに構成できる矯正装置を提供する。
【解決手段】縦軸(Y−Y)に沿って延びる支持レール(12)と、縦軸(Y−Y)に沿って摺動可能に装着され、骨に挿入可能な骨内スクリュ(16、20)を支持する2つのクランプ(14、18)と、各クランプ(14、18)の対応する孔(64)に挿入され、それぞれの連結ピン(68)によって2つのクランプ(14、18)に着脱可能に連結されるコンプレッサ/ディストラクタ装置(58)とを備え、各クランプ(14、18)が、下顎部(24)および上顎部(23)を有するクランプ本体と、上顎部(23)を下顎部(24)に固定する2つのスクリュ(25、26)とを備える。連結ピン(68)のための孔(64)は、縦ライン(X、X′)上に配列され、残りのクランプの連結ピンのための少なくとも1つの孔が、縦ライン(X、X′)に沿って配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最も一般的には、整形外科の分野に関し、例えば、骨折した骨を接合するための外部固定装置、骨の変形や奇形を矯正する矯正装置、または、欠陥のある骨を復元するための矯正装置のような、骨外部に装着される矯正装置に関する。このような矯正装置は、支持レール上に装着され、コンプレッサ/ディストラクタ装置によって相互に接近または離間するよう、徐々に移動する1つまたは2つのクランプを備えるタイプのものである。
【0002】
さらに、本発明は、前記矯正装置に摺動可能に装着される骨内スクリュを支持するためのクランプに関する。
【0003】
簡潔且つ明快のため、以下においては、特に、長骨の変形を矯正するための矯正装置およびクランプについて述べるが、本発明は、支持レール上に装着され、コンプレッサ/ディストラクタ装置により連結された少なくとも2つのクランプを有するいかなる外部矯正装置にも、類推して拡張することが可能である。
【背景技術】
【0004】
整形外科において、例えば、骨の変形を矯正するため、または、骨折した骨を接合するため、骨の外部に装着され、長骨の横に挿入される骨内スクリュを支持するクランプを備えた矯正装置を使用することは周知である。
【0005】
通常、このような矯正装置は、支持レール上に所定距離離間して配置された2つのクランプを備えている。各クランプは、通常、骨内スクリュを案内するための横溝を有する互いに接近した下顎部および上顎部を備えている。
【0006】
一方のクランプは、第1骨内スクリュを骨の基部に挿入するための対応する位置に配置され、他方のクランプは、第2骨内スクリュを骨の末端に挿入するための対応する位置に配置される。
【0007】
矯正装置を、変形した長骨の矯正に使用する場合、矯正は、通常、末端と基部との間で骨を截り、骨内スクリュを介して、2つの骨の末端同士を接触保持する。次いで、2つのクランプを、コンプレッサ/ディストラクタ装置を用いて支持レールに沿って徐々に移動させることにより、末端間に段階的に仮骨が生成される。
【0008】
コンプレッサ/ディストラクタ装置は、作用スクリュから構成されている。作用スクリュは、各クランプ本体の対応する孔、または円筒状の空間部に挿入される連結ピンにより、各クランプに連結される。前記作用スクリュを回転させることにより、2つのクランプを相対的に移動させることができ、この結果として、骨内スクリュが取り付けられた骨の末端の位置を互いに離間させるか、または、接近させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような矯正装置は、多くの利点を有しており、基本的には、所期の目的を達成しうるものであるが、未だ克服されていない不便さがある。
【0010】
このような矯正装置の主な不便さは、骨内スクリュのためのガイド溝、骨内スクリュ自体、コンプレッサ/ディストラクタ装置の連結ピンを受け入れる孔、2つの顎部をクランプするスクリュ、さらに、支持レール上に顎部を固定するための手段等、複数の構成部品および機能要素を各クランプ本体の内部に収容しなければならないため、クランプの外形寸法が大きなスペースを占有することである。要するに、複数の締結手段を、各クランプ本体の内部に共存させなければならないことである。
【0011】
結局、クランプの大きな寸法は、矯正装置の全重量および寸法だけでなく、制約された重量の範囲内で、支持レール上に配置できるクランプの最大数を圧迫する。
【0012】
本発明の基本的な技術的課題は、上述した先行技術における不便さを克服する構成的、機能的特性を備えたクランプ、およびこのクランプを含む矯正装置を提案し、また、特に、先行技術のクランプよりも寸法が小さいにも拘わらず、同じ数の骨内スクリュを支持するクランプを使用できる装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この技術的課題は、上述したタイプの矯正装置によって解決される。矯正装置は、骨に対して実質的に平行な中央の縦軸に沿って延びる支持レールと、前記支持レール上の前記縦軸に沿って摺動可能に装着され、骨に挿入可能な骨内スクリュを支持する少なくとも2つのクランプと、各クランプの対応する孔に挿入される各連結ピンによって、前記2つのクランプに着脱可能に連結されるコンプレッサ/ディストラクタ装置とを備え、各クランプは、ベースまたは下顎部、蓋または上顎部を有するクランプ本体と、さらに、前記上顎部を前記下顎部に固定するスクリュとを備え、少なくとも前記2つのクランプの1つは、前記縦軸に実質上平行に延びるライン上に配列される前記連結ピンのための2つの孔を備え、前記ラインに沿って配列される前記残りのクランプの前記連結ピンのための少なくとも1つの孔を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る装置は、支持レールが、二重T形状からなり、2つの背中合わせの溝を有し、前記各溝の中央には、縦の溝孔が延び、前記クランプのクランプスクリュが、前記支持レールの縦軸に沿って配設されていると有利である。
【0015】
さらに、前記支持レールの各T状部は、L型に曲げられた端部を有する袖を有し、前記2つの溝もまた、これと対をなす各クランプの前記下顎部のT型の突出部が挿入されるべく、実質的にT形状となる。
【0016】
さらにまた、前記連結ピンのための4つの孔を有し、これらの孔は、前記支持レールの中央の縦軸の両側に実質的に等距離で平行に延びる各ラインに沿って2つずつ配設される。
【0017】
また、本発明は、特許請求項5〜15に係る一群のクランプの顕著な特徴にも関する。本発明に係る矯正装置およびクランプの群のさらなる特徴および利点は、以下に示す非限定的な多数の実施形態、および添付の図面の記述から明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る矯正装置の第1実施形態の斜視図である。
【図1A】図1に示す矯正装置の詳細な斜視図である。
【図2】図1に示す矯正装置の側面図である。
【図3】図1に示す矯正装置に装着された本発明に係るクランプの斜視図である。
【図4】図3に示すクランプの平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図1に示す矯正装置の詳細な斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明に係る矯正装置の第2実施形態の斜視図である。
【図9A】図9と異なる方向から見た本発明に係る矯正装置の第2実施形態の斜視図である。
【図10】図9に示す矯正装置におけるクランプの斜視図である。
【図11】図10に示すクランプの詳細図である。
【図12】図10に示すクランプの平面図である。
【図13】図12に示すクランプのXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面において、符号10、110は、例えば、骨折した骨を接合するための外部固定装置、骨の変形や奇形を矯正する矯正装置、または、欠陥のある骨を復元するための矯正装置のような、骨外部に装着される矯正装置の2つの異なる実施形態を示す。このような矯正装置10、110は、支持レール上に装着され、コンプレッサ/ディストラクタ装置によって相互に接近離間するよう、徐々に移動する2つ以上のクランプを備えるタイプのものである。
【0020】
図1の例において、矯正装置10は、骨の実質的な中央部分に対応して、頸骨や大腿骨のような長骨11の変形を矯正することを意図したものである。一方、図9に示す矯正装置110は、大腿骨や頸骨の骨幹端に関する変形を矯正することを意図したものである。
【0021】
特に、上述した各図面において、変形の矯正を可能とするため、長骨11は、予め截骨して2つの末端11a、11bを形成することが条件となる。
【0022】
矯正装置10は、例えば、Orthtek WK(登録商標)として商業上知られている材料、エポキシ樹脂と炭素繊維の引抜成形品、Peek CA30(登録商標)として商業上知られている材料のような繊維強化熱可塑性材料、または、アルミニウム合金からなるレール12を備えている。レール12は、所定の中心軸Y−Yに沿って縦に延び、横に配置され、実質的に長骨11に平行である。
【0023】
例えば、図7および図8から了解されるように、レール12は、二重T形状をなし、2つの背中合わせの溝15a、15bを有する。図8に示すように、レール12の各T状部は、L型に曲がる端部を有する袖を有し、2つの溝15a、15bは、実質的にT形状である。各溝15a、15bの中央には、縦の溝孔13が設けられている。
【0024】
さらに、矯正装置10は、少なくとも、第1骨の末端11aに挿入される2つの骨内スクリュ16の第1群を支持する第1クランプ14と、第2骨の末端11bに挿入される骨内スクリュ20の第2群を支持する第2クランプ18とを備えている。各クランプ14、18は、Peek CA30(登録商標)として商業上知られている材料のような繊維強化熱可塑性材料、または、アルミニウム合金からなる。骨内スクリュ16、20は、植え込み型のスチールまたはチタン合金からなっている。
【0025】
例えば、2つのクランプ14、18は、同一の構成であり、着脱可能な状態で、レール12上に直接装着される。
【0026】
各クランプ14、18は、図3〜6に、クランプ18として記載されているように、クランプの着脱可能な蓋を形成する上顎部23と、クランプの固定されたベースを形成する下顎部24とを有するクランプ本体を備えている。上顎部23および下顎部24は、例えば、スチールおよび/またはチタン合金からなる2つのクランプスクリュ25、26によって互いに接近している。
【0027】
上顎部23および下顎部24は、例えば、長さが約40mm以下の各短辺23a、23b、24a、24bと、例えば、長さが約48mm以下の各長辺23c、23d、24c、24dとを有する実質上長方形状である。基本的には、例えば、クランプの本体の全長は、50mmを超えない。
【0028】
下顎部24は、Tを上下反対にした形状の垂直尾部27を有する実質上「T」形状の横向きの形であり、これと対をなすレール12の溝15aに摺動可能に挿入されている。下顎部24は、縦の溝孔13に挿入された固定スクリュ28によってレール12上の特定の縦位置に締結されている。
【0029】
上顎部23および下顎部24は、それぞれ、骨内スクリュ16、20を案内するとともに、囲繞する台座29としての横のガイド溝29aおよび29bを備えている。例えば、ガイド溝29a、29bは、直径の異なる骨内スクリュを受ける実質上V形状の外形を有する。また、例えば、前記ガイド溝は、90°の角度幅を有し、直径5〜6mmのスクリュを支持している。
【0030】
第1クランプ14および第2クランプ18は、コンプレッサ/ディストラクタ装置58によって連結されている。コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、2つのクランプ14、18および2つの末端11a、11bを徐々に相対的に互いに接近させるか、または、離間するように移動可能である。コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、円筒形状で内部が円滑な対応する孔64、または隙間に圧入される連結ピン68、69によってクランプ14、18に連結されている。
【0031】
本発明では、少なくとも1つまたは2つのクランプ14または18が、コンプレッサ/ディストラクタ装置58の2つの連結ピン68、69の1つを挿入するための2つの孔64を備えている。残りの連結ピンは、他のクランプ18または14に設けられた隙間に挿入される。第1クランプの2つの孔および第2クランプの残りの孔は、レール12の中央の縦軸Y−Yに実質上平行に延びるラインXに沿って配列されている。
【0032】
好ましい実施形態において、各クランプ14、18は、連結ピンのための4つの孔を有し、レールの中央の縦軸Y−Yと実質上平行に延び、縦軸Y−Yから等距離に配置される各ラインXに沿って、2つずつ配列されている。
【0033】
本発明の一側面によれば、連結ピン68、69を挿入するための孔64は、互いに隣接して配置され、例えば、レール12の中央の軸Y−Yに対して横方向にあり、例えば、レール12の軸Y−Yと直交するガイド溝29a、29bに実質的に平行なラインLに沿って、各クランプ14、18のクランプスクリュ25、26と並んで配置されている。
【0034】
各クランプ14、18は、4つの孔64を備えている。特に、各クランプ14、18は、第1クランプスクリュ25の両側部に配列される2つの孔64と、第2クランプスクリュ26の両側部に配列される2つの孔64とを備えている。従って、中央部には、2つの孔64、およびスクリュ25、26が2列に配置されている。
【0035】
本発明の他の側面によれば、各孔64は、クランプ14、18の上顎部23の内部、および下顎部24の内部の深さ方向に延びている。基本的には、コンプレッサ/ディストラクタ装置58の各ピン68は、各クランプの本体の内部に深く挿入される。
【0036】
従って、サイズの点において、孔64と各クランプ14、18のスクリュ25、26とは、ガイド溝29a、29bによって占領されることのないクランプ14、18の部分に配置されている。図2の側面図、および図5、図6の断面図に明確に示されているように、クランプ14,18の長辺23c、23d、24c、24dと平行な断面に沿って、溝29a、29bと、スクリュ25、26および孔64の2本のラインまたは列とは交互に配列されている。
【0037】
本発明の他の側面によれば、各クランプ14、18は、骨内スクリュのための以下のように分配された5つの横の台座29を含んでいる。骨内スクリュのための3つの台座29の群と、実質的に短辺23a、23b、24a、24bの端部に対応し、横の領域または各クランプ14、18の側部に対応する2つの横の台座29とである。このような構成において、スクリュ25、26および孔64の各列は、台座29の中央群に隣接して、中央群の台座29と横の台座29と間に配置される。
【0038】
さらに、全てのクランプにおける上記の4つの孔64が、各クランプ14、18の4つのコーナに近接して、長方形のコーナにどのように配置されるのかを確認することができる。
【0039】
この構成により、コンプレッサ/ディストラクタ装置58の各連結ピン68を挿入する位置のさらなる選択が可能となる。
【0040】
図示のように、コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、内部にねじが切られ、末端66の部分に対応して、第1の連結ピン68が装着されるスリーブ59と、第2の連結ピン69が装着される円筒シャフト63と、ヘッド60を有し、円筒シャフト63に差し込まれる作用スクリュ54とを備えている。作用スクリュ54は、平皿六角ねじと、スリーブ59の内ねじに対応する外ねじが切られたステム61とを備えている。コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、さらに、円筒シャフト63の近くに配置され、作用スクリュ54のステム61の周りに回転する固い環状体65を備えている。環状体65は、軸の回転を停止させるものとして機能する。
【0041】
連結ピン68、69が、クランプ14、18の対応する孔64に挿入されると、レール12に沿って2つのクランプ14、18を相対的に移動させるため、ヘッド60の平皿六角ねじにキーを差し込み、作用スクリュ54を回転させる。クランプ14、18を移動させることにより、クランプ14、18に連結される骨の末端の位置が互いに接近し、または、離間する。
【0042】
ユーザがクランプ14、18の相対移動を安全に行えるように、コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、ヘッド60の外面上にあるノッチ72に対応する部分に挿入される突起71の端部に配設されるボタン70を備えている。
【0043】
特に、作用スクリュ54のヘッド60は、90°ずつずらした4つのノッチ72を有する。作用スクリュ54を操作するため、ボタン70を押して、突起71をノッチ72から解除する。作用スクリュ54は、ボタン要素70への圧力により、次のノッチ72、または、その次のノッチ72に突起71が係合するまで回転される。これにより、ユーザは、例えば、作用スクリュ54を1/4回転または1/2回転させることにより、クランプ14、18がそれぞれ0.25mmまたは0.5mm相互に移動することが分かる。
【0044】
本発明に係るクランプおよび関連する矯正装置の主たる利点は、控えめな寸法を維持して、横の骨内スクリュのためにより多くの台座を配置できることにある。実際、クランプスクリュは、コンプレッサの連結ピンを挿入するための孔と並んで、クランプ本体の減少したスペースを占め、ガイド溝、従って骨内スクリュのために、より多くの利用可能なスペースを残す。このように、本発明に係るクランプは、先行技術によるクランプとガイド溝の数を同じにしながら、全体的に縮小された寸法を有する。
【0045】
例えば、図示する実施形態において、クランプは、2つの骨内スクリュを相互に配置するのに充分な選択可能な5つの横の台座を有している。
【0046】
さらなる利点は、少なくとも3つのガイド溝を有する中央の群と、2つの横のガイド溝との間から選択する2列の孔の特定の配分にある。この配置は、2つの骨内スクリュの位置選択の可能性をさらに拡大する。例えば、2つとも中央の群に配置する選択、または、1つを中央の群に配置し、もう1つを横の溝に配置する選択、といった位置選択が可能である。
【0047】
その上、さらなる利点は、矯正装置を骨に隣接させて取り付けるときに、クランプが連結ピンを挿入するための4つの孔を有するため、クランプおよびレールに対してのコンプレッサ/ディストラクタ装置の最も有用な配置を選定する際に、充分な選択の余地が与えられることである。
【0048】
本発明に係るクランプのさらなる利点は、コンプレッサ/ディストラクタ装置のピンを各顎部に深く挿入可能であるという点にある。このことは、各クランプによる連結を、極めて安定して行えることを保証する。
【0049】
次に、図9〜図13を参照して、本発明に係る矯正装置の第2実施形態について説明する。
【0050】
矯正装置110は、少なくとも第1クランプ114と、第2クランプ118とを備え、これらは、上述したレール12と同一構造、同一機能を有するレール112に装着される。
【0051】
特に、第2クランプ118は、上述した実施形態のクランプ14または18と同じであり、骨111の隣接する末端111bに挿入される骨内スクリュ120の群を支持する。これに対して、第1クランプ114は、骨111の末端の1つにおいて、レール112に装着されるクランプの群のメインクランプを構成し、骨111(離れた骨末端111a)の骨幹端部に挿入される骨内スクリュ116、122を支持している。
【0052】
特に、クランプの群は、メインクランプ114に加えて、メインクランプ114に配置され、各骨内スクリュ122を支持する副クランプ119を備えている。
【0053】
副クランプ119は、各骨内スクリュ116および122が実質上互いに直角をなす平面PおよびP′上に配置されるように、メインクランプ114に配置されている。
【0054】
特に、メインクランプ114は、クランプの着脱可能な蓋を構成する上顎部123と、クランプのベースを形成する下顎部124とを備え、これらが2つのクランプスクリュ125、126によって接近する。
【0055】
上顎部123は、上述した実施形態の上顎部と同様に、40mmの短辺123a、123bと48mmの長辺123c、123dとを有する実質上長方形である。
【0056】
下顎部124は、上述した実施形態と同様に、突出する垂直尾部131を有し、例えば、53.7mm×40mmの比較的小さい寸法の実質上長方形状の中央本体127aを備えている。中央本体127aは、逆T形状のレール112の溝115に摺動可能な状態で挿入され、固定スクリュ133によって特定の縦位置に固定されている。
【0057】
上顎部123および下顎部124は、さらに、骨内スクリュ116を案内するとともに囲繞する台座129を形成する横のガイド溝129aおよび129bを備えている。
【0058】
メインクランプ114およびクランプ118は、コンプレッサ/ディストラクタ装置58によって連結され、互いに接近し、または、離間するように移動可能である。従って、2つの骨の末端111a、111bも接近、離間可能である。コンプレッサ/ディストラクタ装置58は、円筒形状で内部が円滑なクランプ114、118の対応する孔164または隙間に圧入される上述したタイプの連結ピン68によって、前記クランプに連結されている。
【0059】
本発明によれば、2つのクランプ114または118の中の少なくとも1つは、コンプレッサ/ディストラクタ装置58の2つの連結ピン68、69の1つを挿入するための2つの孔164を備えている。残りの連結ピンは、他のクランプ118または114の孔に挿入される。第1クランプの2つの孔と第2クランプの残りの孔は、レール112の中央の縦軸Y−Yに実質上平行に延びるラインX′に沿って配列されている。
【0060】
好ましい実施形態において、各クランプ114、118は、連結ピンのための4つの孔を有し、レールの中央の縦軸Y−Yに実質上平行に延び、縦軸Y−Yから等距離に配置された各ラインX′に沿って、2つずつ配列されている。
【0061】
本発明の一側面によれば、コンプレッサ/ディストラクタ装置の連結ピン68を挿入するための孔164は、互いに並んで配置され、レール112の軸Y−Yを横断するガイド溝129a、129bに実質上平行なラインL′に沿って、クランプ114のクランプスクリュ125、126と並んで配列されている。
【0062】
例えば、クランプ114は、4つの孔164を備えている。特に、クランプ114は、第1クランプスクリュ125とともに反対側に配列される2つの孔164と、第2クランプスクリュ126とともに反対側に配列される2つの孔164とを備えている。従って、2つの孔164と1つのスクリュをそれぞれ含む2つの列が構成されている。
【0063】
また、この実施形態において、孔164は、上顎部123から下顎部124まで貫通して延びている。さらに、この実施形態において、クランプ114の長辺に平行な横断面に沿って、選択する溝129a、129bと、2列のスクリュ125、126および孔164とが配置されている。特に、その1つは、中央の3つの台座129の群およびクランプ114の各側部の台座129である。
【0064】
さらに、下顎部124は、垂直尾部131に隣接して中央本体127aから突出し、軸Z−Zを有する実質的に円筒カラー形状の付属物である円筒カラー127bを備えている。円筒カラー127bは、一部が図13に示されているように、スクリュ130により固定される副クランプ119の円筒状の付属物132を支持するものである。円筒カラー127bは、スクリュ130が収容される溝孔134を備えている。溝孔134は、軸Z−Zまわりが約35°となる範囲で円筒面の円弧上に延在している。付属物132と円筒カラー127bとは、平面P′上での副クランプ119の角方向の移動を可能とし、2つのクランプ114および119の角度位置を調整可能とするように連結されている。
【0065】
次に、副クランプ119は、上述した付属物132を一部に有する下顎部138と、スクリュ135によって締結される上顎部137とを備えている。
【0066】
骨内スクリュ122は、2つの上顎部137、下顎部138間の対置される凹面またはガイド溝からなる横の台座139に収容されている。
【0067】
特に、下顎部138は、向かい合うガイド溝149が設けられた上顎部137の突出端部148に近接して配置された第1ガイド溝141側の側縁部140を有する。
【0068】
さらに、下顎部138は、対置されるガイド溝147側に設けられた上顎部137の突起146に近接して配置されるガイド溝143側の中央突起142を備えている。
【0069】
図から了解されるように、固定スクリュ135は、側縁部140、突出端部148、および、平面P′に平行な突起142、146を貫通している。このように配置することにより、固定スクリュ135を回転させ、平面P′上の2つの上顎部137および下顎部138の相対的な位置を調整することができる。相対的な位置は、骨内スクリュ122が収容される横の台座139の寸法に従って調整することができる。また、これらの相互間の距離を変えることなく、スクリュまたは寸法の異なる他のチューブ状の固定要素を収容することができる。
【0070】
後者の実施形態におけるメインクランプの主たる利点は、上述した実施形態のように、一般的に寸法を控えめとすることで、横の骨内スクリュのためのより多くの台座を提供することができる。実際、ライン上に並んで配置されるクランプスクリュおよびコンプレッサの連結ピンを挿入するための孔は、クランプ本体のスペースを多く占有することがなく、ガイド溝のためのスペースがより多く残される。このように、本発明に係るクランプは、小さい寸法であると同時に、先行技術として知られているクランプと同程度の数のガイド溝を確保できる。
【0071】
また、第2実施形態のメインクランプは、5つの横の台座を有し、少なくとも3つの台座からなる中央の群と、2つの側部の台座とが適切に配分され、2つの骨内スクリュを選択的に配置することができる。
【0072】
第2実施形態に係る矯正装置のさらなる利点は、メインクランプ上の骨内スクリュの位置を調整できるだけでなく、副クランプによって支持される骨内スクリュに対して、メインクランプによって支持される骨内スクリュの位置を調整できることにある。
【0073】
円筒カラーに連結される付属物の角度を動かすことができるため、骨の解剖学上の特有の必要性に応じて、平面上で骨内スクリュの相互の位置を調整することができる。
【0074】
さらなる利点は、上述したように、副クランプの横の台座の寸法を変更できることにある。
【0075】
予期せぬ必要性や仕様に対して、当業者であれば、上述したクランプおよび矯正装置に対して数々の変更や変形が可能なことは明らかである。以下の特許請求の範囲で定義する発明の保護の範囲には、種々のケースが含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10、110 矯正装置
11 長骨
12 レール
13 溝孔
14、18、114、118、119 クランプ
16、20、116、122 骨内スクリュ
23、137 上顎部
24、138 下顎部
25、26 クランプスクリュ
29 台座
54 作用スクリュ
58 コンプレッサ/ディストラクタ装置
64 孔
68、69 連結ピン
70 ボタン
71 突起
72 ノッチ
132 付属物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨の外部に装着され、長骨の変形を矯正するための矯正装置(10、110)であって、
前記骨(11、111)に対して実質的に平行な中央の縦軸(Y−Y)に沿って延びる支持レール(12、112)と、
前記支持レール(12、112)上の前記中央の縦軸(Y−Y)に沿って摺動可能に装着され、前記骨に挿入可能な骨内スクリュ(16、20、116、120)を支持する少なくとも2つのクランプ(14、18、114、118)と、
前記各クランプ(14、18、114、118)の対応する孔(64、164)に挿入されたそれぞれの連結ピン(68)によって、前記2つのクランプ(14、18、114、118)に着脱可能に連結されるコンプレッサ/ディストラクタ装置(58)とを備え、
前記各クランプ(14、18、114、118)は、ベースまたは下顎部(24、124)、蓋または上顎部(23、123)を有するクランプ本体と、
前記上顎部(23、123)を前記下顎部(24、124)に固定する2つのクランプスクリュ(25,26,125,126)とを備え、
前記2つのクランプ(14、18、114、118)の少なくとも1つは、前記中央の縦軸(Y−Y)に実質上平行に延びる縦ライン(X、X')に沿って配列される前記連結ピン(68)のための2つの孔を備え、残りのクランプの連結ピンのための少なくとも1つの孔も、前記縦ライン(X、X')に沿って配列されていることを特徴とする矯正装置。
【請求項2】
各クランプ(14、18、114、118)は、前記連結ピンのための4つの孔を備え、前記孔は、前記支持レール(12、112)の中央の縦軸(Y−Y)に実質上平行に延び、前記中央の縦軸(Y−Y)から等距離である前記各縦ライン(X、X′)に沿って、2つずつ配列されていることを特徴とする請求項1記載の矯正装置(10、110)。
【請求項3】
前記支持レール(12、112)は、二重T形状からなり、2つの背中合わせの溝(15a、15b、115)を有し、前記各溝(15a、15b、115)の中央には、縦の溝孔(13)が延び、前記クランプスクリュ(25,26,125,126)は、前記支持レール(12、112)上の前記中央の縦軸(Y−Y)に沿って配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の矯正装置(10、110)。
【請求項4】
前記支持レール(12、112)の各T状部は、L型に曲げられた端部を有する袖を有し、前記2つの溝(15a、15b、115)も実質的にT形状となり、対をなす各クランプ(14、18、114、118)の前記下顎部(24、124)のT形状の突出部が、挿入されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の矯正装置(10、110)。
【請求項5】
少なくとも前記クランプ(14、18、114、118)の1つは、骨内スクリュ(16、20、116、120)を収容するための台座(29、129)としての横のガイド溝(29a、29b、129a、129b)を支持し、
連結ピン(68、168)のための前記孔(64、164)、および前記クランプスクリュ(25、26、125、126)は、前記ガイド溝(29a、29b、129a、129b)と実質上平行に延び、かつ、前記支持レール(12、112)の前記中央の縦軸(Y−Y)に対して横になる横のライン(L、L′)に沿って、互いに配列されていることを特徴とする請求項1記載の矯正装置(10、110)。
【請求項6】
連結ピン(68)のための各孔(64、164)は、前記下顎部(24、124)及び前記上顎部(23、123)を介して、深さ方向に延在していることを特徴とする請求項1記載の矯正装置(10、110)。
【請求項7】
各クランプは、第1クランプスクリュ(25、125)とともに配列された前記連結ピンのための2つの孔(64、164)と、第2クランプスクリュ(26、126)とともに配列された2つの他の孔(64、164)とを備える2列で構成され、それぞれの列は、2つの孔(64、164)と、前記支持レール(12、112)の前記中央の縦軸(Y−Y)に直交して配列されているクランプスクリュ(25、26、125、126)とを備えることを特徴とする請求項5記載の矯正装置(10、110)。
【請求項8】
各クランプは、骨内スクリュを収容するための5つの台座(29、129)を備え、前記各台座(29、129)は、3つの中央台座(29、129)の中央群と、2つの横の台座(29、129)とからなり、前記2つの横の台座(29、129)は、対応する前記クランプ(14、18、114、118)の横に配置されていることを特徴とする請求項7記載の矯正装置(10、110)。
【請求項9】
前記中央台座(29、129)と、横の前記各台座(29、129)との間に、前記各列が配置されていることを特徴とする請求項8記載の矯正装置(10、110)。
【請求項10】
前記上顎部(23、123)および前記下顎部(24、124)は、実質上長方形の形状を有し、短辺(23a、23b、24a、24b)の長さは約40mm、長辺(23c、23d、24c、24d)の長さは約48mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の矯正装置(10、110)。
【請求項11】
前記ガイド溝(29a、29b、129a、129b)は、異なる直径を有する骨内スクリュ(16、20、116、120)を保持する実質上V形状であることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の矯正装置(10、110)。
【請求項12】
長骨(111)の骨幹端を骨内スクリュで支持するクランプの群を備え、
前記群は、少なくとも1つのメインクランプ(114)と、前記メインクランプ(114)に配設され、各骨内スクリュ(122)を支持する1つの副クランプ(119)とを備え、
前記メインクランプ(114)および前記副クランプ(119)の各骨内スクリュ(116、122)は、実質上直交する平面(P、P′)上に配設されていることを特徴とする請求項1記載の矯正装置(110)。
【請求項13】
前記副クランプ(119)は、前記メインクランプ(114)に対して、前記副クランプ(119)の骨内スクリュ(122)の平面(P′)と実質上直交する軸(Z−Z)周りの角方向の移動が回転可能であることを特徴とする請求項12記載の矯正装置(110)。
【請求項14】
前記メインクランプ(114)の下顎部は、前記副クランプ(119)の円筒形状の副付属物(132)を支持するための実質上円筒カラー形状であるメイン付属物(127b)を備え、
前記メイン付属物(127b)は、前記副付属物(132)を固定するためのメイン固定スクリュ(130)が収容される溝孔(134)を備え、
前記溝孔(134)は、前記メイン付属物(127b)の前記軸(Z−Z)周りの角度が約35°となる範囲で円筒面の円弧上に延在していることを特徴とする請求項13記載の矯正装置(110)。
【請求項15】
前記副クランプ(119)は、前記副付属物(132)と一体に構成される下副顎部(138)と、前記副クランプ(119)の前記骨内スクリュ(122)の平面(P′)と実質的に平行な前記副固定スクリュ(135)によって締結される上副顎部(137)とを備え、
前記下副顎部(138)および前記上副顎部(137)は、前記骨内スクリュ(122)を収容するための横の溝(141、143、147)を支持していることを特徴とする請求項14記載の矯正装置(110)。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−501776(P2012−501776A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526584(P2011−526584)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006785
【国際公開番号】WO2010/029406
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(510090807)オーソフィックス ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】