骨アンカーとともに使用されるプラグ部材供給装置、プラグ部材差込装置、注入カニューレ、深さ制御装置、計測装置、プラグ部材格納装置、器具のキット
【課題】カニューレ挿入シャフトと、シャフトに挿入可能であり一方端でシャフトを閉じるためのプラグ部材とを備えた骨アンカーとともに使用される器具を提供する。
【解決手段】骨アンカーとともに使用される器具において、骨アンカーは、第1の端部および第2の端部を備えたシャフトと、第1の端部から第2の端部に延在するチャネルと、チャネルへ挿入可能であり、チャネルを通じて案内可能であり第2の端部においてチャネルを閉じるためのプラグ部材とを含む。骨アンカーは、骨アンカーを介してガイドワイヤを案内できるように、かつ、骨アンカーを骨に留めた後、骨アンカーの端部を開閉するようプラグ部材が差込まれるように使用されれば、低侵襲手術に適したものとなる。骨セメントまたは医薬物質は骨アンカーに投入可能である。当該器具によりプラグ部材の差込および骨セメントの注入が可能となる。
【解決手段】骨アンカーとともに使用される器具において、骨アンカーは、第1の端部および第2の端部を備えたシャフトと、第1の端部から第2の端部に延在するチャネルと、チャネルへ挿入可能であり、チャネルを通じて案内可能であり第2の端部においてチャネルを閉じるためのプラグ部材とを含む。骨アンカーは、骨アンカーを介してガイドワイヤを案内できるように、かつ、骨アンカーを骨に留めた後、骨アンカーの端部を開閉するようプラグ部材が差込まれるように使用されれば、低侵襲手術に適したものとなる。骨セメントまたは医薬物質は骨アンカーに投入可能である。当該器具によりプラグ部材の差込および骨セメントの注入が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレ挿入シャフトと、シャフトに挿入可能であり一方端で当該シャフトを閉じるためのプラグ部材とを備えた骨アンカーともに使用される器具に関する。器具は、注入カニューレ、プラグ部材差込装置、計測装置、深さ制御装置、プラグ部材供給装置、およびプラグ部材格納装置を含む。骨アンカーおよび器具は、低侵襲手術(MIS:minimally invasive surgery)で使用するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
WO01/26568A1に開示される骨アンカーは骨ねじの形状であり、ねじ頭部と、軸方向ボアおよび複数の径方向ボアを含むねじシャフトとを備えている。軸方向ボアは、ねじ頭部側では開いており、ねじシャフトの自由端では閉じている。公知の骨ねじは、シャフトに骨セメントを注入することによって骨に留めることができる。これにより、骨アンカーが恒久的かつ安全に固定されることとなる。
【0003】
カニューレ挿入シャフトを備えた骨ねじの形状をした骨アンカーも、US5,047,030から公知である。骨ねじは内部に、連続した長手方向の導管を備えており、径方向に延在する何本かの横方向の導管がこの長手方向の導管と接している。長手方向の導管はねじの両端において開いており、ねじ頭部周囲の区域において管を介して真空ポンプに接続して、血液または他の物質を吸引するための真空をもたらすことができる。
【0004】
WO02/38054A2、US2004/0122431A1およびUS2004/0147929A1は、管状のねじ部分と、管状のねじ部分に接続することのできる先端部分とを備えた骨ねじを開示している。管状のねじ部分はその壁にいくつかの窪みを備える。管状のねじ部分に骨セメントを満たすことができる。
【0005】
低侵襲手術はますます多くの症例に適用される。低侵襲手術では、場合によっては、ガイドワイヤを用いて、インプラントを埋込部位に配置する。低侵襲では、手術部位へは、通常、皮膚を通って経皮的に到達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO01/26568A1
【特許文献2】US5,047,030
【特許文献3】WO02/38054A2
【特許文献4】US2004/0122431A1
【特許文献5】US2004/0147929A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、広範囲の応用例を有しており、たとえば、低侵襲手術での埋込部位への配置に適しており、骨セメントまたは別の物質で満たすことのできる骨アンカーを提供することである。この発明の目的は、さらに、簡便でかつ安全に取扱うことのできるこのような骨アンカーとともに使用される器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該目的は、独立クレームにおいて規定される器具によって達成される。さらなる展開例が従属クレームにおいて記載される。
【0009】
本発明に従った骨アンカーは、従来の手術および低侵襲手術の両方で使用することができるという利点を有する。既存のカニューレ挿入骨ねじにプラグ部材を備えることにより低侵襲手術に適したものにすることもできる。
【0010】
プラグ部材を備えた骨アンカーは、注入された骨セメントが骨アンカーの先端において漏れ出ることを防ぐ。これにより、血管構造に起こり得る損傷が低減される。
【0011】
当該器具を用いることで、プラグ部材を安全に配置することができる。したがって、アンカーの遠位端から骨セメントが流れ出ることが回避される。
【0012】
添付の図面を用いた発明の実施例の説明から、さらなる特徴および利点が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施例に従った骨アンカーを示す分解斜視図である。
【図2】ロッドが固定された場合の、組立てられた状態にある図1の骨アンカーを示す図である。
【図3】ロッド軸を含む面に沿った図2の骨アンカーの断面図である。
【図4】図1〜図3の骨アンカーにおいて用いられるプラグ部材の上面図である。
【図5】図4のプラグ部材を示す斜視図である。
【図6】プラグ部材を示す側面図である。
【図7】プラグ部材を示す断面図である。
【図8】骨アンカーに挿入されている図4〜図7のプラグ部材を示す拡大断面図である。
【図9】別のプラグ部材を備えた骨アンカーの第2の実施例を示す拡大断面図である。
【図10】さらなるプラグ部材を備えた骨アンカーの第3の実施例を示す拡大断面図である。
【図11】骨アンカーにプラグ部材を挿入するための工具の第1の実施例を示す分解図である。
【図12】図11の工具がプラグ部材で組立てられている骨アンカーを示す斜視図である。
【図13】工具の第2の実施例が骨セメントを注入する位置にある骨アンカーを示す斜視図である。
【図14】工具の第2の実施例を備えた骨アンカーを示す分解図である。
【図15】低侵襲手術で骨アンカーを使用するステップ1)〜3)を示す図である。
【図16】a)〜c)は、低侵襲手術で骨アンカーを使用するステップ4)を示す図である。
【図17】低侵襲手術において骨アンカーを使用するための器具とともに骨アンカーを示す斜視図である。
【図18】骨アンカーを工具類とともに長手方向軸に沿って示す拡大断面図である。
【図19】プラグ部材を格納するためのトレイと、プラグ部材を把持および配置するための器具とを示す斜視図、ならびに、トレイの拡大部分を示す図である。
【図20】プラグ部材を把持および配置するための器具を示す図である。
【図21】プラグ部材を骨アンカーに供給するための漏斗部を上部から示す斜視図である。
【図22】図21の漏斗部を下方から示す斜視図である。
【図23】図22の漏斗部のシリンダ軸に沿った断面を示す図である。
【図24】注入カニューレを示す斜視図である。
【図25】図21〜図23に示される漏斗部とともに図24の注入カニューレを示す図である。
【図26】図24および図25の注入カニューレとともに使用される計測棒を示す斜視図である。
【図27】上述の図、特に図17および図18に示される器具および骨アンカーとともに使用される深さ制御棒を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図8は、本発明に従った骨アンカーの第1の実施例を示す。骨アンカー装置1は、骨に留めるための骨アンカー2と、ロッド4を受けるための受け部3と、骨アンカー2に作用する圧力要素5と、取付け要素6とを含む。記載された実施例に従った骨アンカー装置1は、いわゆる多軸骨ねじとして設計されており、骨アンカー2が、当該骨アンカーを脊柱ロッド4に結合する受け部3において回動可能に保持されることを特徴としている。ロッドに対する骨アンカーの角度位置は、取付け要素6によって固定することができる。
【0015】
特に図3に図示のとおり、骨アンカー2はシャフト7を含み、シャフト7は、第1の端部に頭部8と、先端部として形成され得る第2の自由端9とを備える。図示される実施例においては、頭部8は球状の部分を有する。さらに、骨ねじ10は、シャフト7の外面の少なくとも一部に設けられる。
【0016】
骨アンカー2にカニューレが挿入される。骨アンカー2は、第1の端部から頭部8およびシャフト7を通って第2の端部9にまで延在する実質的に同軸のボア11を備える。第2の端部9に隣接する部分12においては、ボアの直径はシャフト7の主要部分におけるよりも小さく、このため、シャフト7内に肩部13が設けられる。頭部8の自由端においては、工具との係合のための係合構造14が設けられる。シャフト7の壁には、ボア11を外部と繋ぐ複数の開口部15が設けられる。開口部15の数、大きさおよび配置は、骨アンカーに投入されるべき骨セメントまたは医薬物のための出口を形成する目的で、骨アンカー2の寸法全体に従って設計される。
【0017】
ボア11、特に部分12の直径は、一般に低侵襲手術に使用されるガイドワイヤが骨アンカー2を通って案内され得るように設計される。
【0018】
特に図1〜図3に図示されるように、第1の端部3aおよび反対側にある第2の端部3bを備えた受け部3は、実質的に円筒形になっている。受け部3は同軸のボア16を含む。同軸のボア16は、第1の端部から第2の端部の方向に延在し、第2の端部16に向かって先細になっているため、骨アンカーの頭部8が受け部3に回動可能に保持される。さらに、受け部は、実質的にU字型の窪み17を有する。このU字型の窪み17は、第1の端部3aから始まり、第2の端部3bの方向に延在しており、これにより2本の自由脚部18aおよび18bが形成される。取付け要素6に捩じ込むための雌ねじ19が、上述の自由脚部18aおよび18bの一部に設けられる。実施例においては、取付け要素6は内ねじである。
【0019】
圧力要素5は、内ねじ6がロッド4を押圧するように締められると、骨アンカーの頭部8に圧力を加える役割を果たす。圧力要素5は、同軸のボア16に差込まれてそこで軸方向で移動できるように設計されている。圧力要素5は、圧力を頭部8に分散させるために、頭部8に面する側に、実質的に球形の窪み20を備え、その反対側には、ロッド4を受けるための実質的に円筒形の窪み21を備えている。圧力要素5はまた、同軸のボア22を備えており、そこを通ってガイドワイヤまたはねじ工具が案内される。
【0020】
図4〜図8に図示のとおり、骨アンカーはさらに、自由な第2の端部9の端部分12に、シャフト7のボア11を閉じるためのプラグ部材30を含む。プラグ部材30は、ボア11に差込むことのできる別個の部品である。図4〜図8に示される実施例においては、プラグ部材30は第1の円筒形部分31を含んでおり、その直径は、シャフト7の部分12に嵌るような大きさである。第1の円筒形部分31の自由端においては、プラグ部材の差込を容易にするために面取りされた部分32が設けられてもよい。プラグ部材は、面取りされた部分32の反対側に、第2の円筒形部分33を備えており、その直径は、ボア11の内径に嵌るような大きさである。第1の円筒形部分31と第2の円筒形部分33との間に移行部分34が設けられている。移行部分34は、ボア11の主要部分と直径の小さな端部分12との間にある肩部13の形状に適合するような形状にされ得る。こうして、肩部13により、プラグ部材の差込用の止め部が形成される。
【0021】
第2の円筒形部分33の自由端には、直立した複数の保持ばね35が設けられる。保持ばね35は、第2の円筒形部分33よりも小さな直径を有する円形に配置されており、外部および/または内部に弾力的に移動可能となるように弾性を有している。保持ばね35は、それらの自由端において、以下に記載される工具との着脱可能な係合のための受け具36をそれぞれ備える。保持ばね35は、受け具36の外側部分が第2の円筒形部分33の直径の外側に突出ないような態様で構成される。
【0022】
図8に図示のとおり、プラグ部材30は、ボア11に完全に挿入されると第2の部分12においてボアを閉じる。このため、ボア11に投入される如何なる骨セメントまたは医薬物質も第2の端部9から漏れ出ることがなくなる。
【0023】
骨アンカー、受け部、圧力要素および取付けねじは如何なる材料から作製されてもよいが、これらの種類の装置の場合には通常、特に、たとえばチタン、ステンレス鋼、もしくは合金などの身体適合性のある金属、または、たとえばPEEKなどの如何なる身体適合性のあるプラスチックなどであってもよい。ロッドは、用途に応じて、すなわち、ロッドによって単なる固定がもたらされるかまたは動的安定化がもたらされるかに応じて、金属またはプラスチックで作製され得る。プラグ部材の材料はアンカーの材料と同じであってもよく、または異なる材料であってもよい。プラグ部材に適した材料は、特に、チタンおよびチタン合金、インプラントに使用されるステンレス鋼およびPEEKである。
【0024】
プラグ部材の第2の実施例を図9に示す。プラグ部材40はボール状であり、その直径は、第2の部分12においてはボア11の内径よりも大きく、シャフト7の主要部分においてはボア11の内径よりも小さくなっている。ボール状のプラグ部材40は、差込まれるとそれ自体の重量で落下し得るように、有利には、金属などの比重の高い材料で作られている。
【0025】
図10は、プラグ部材41を備えた骨アンカーの第3の実施例を示す。プラグ部材41は、保持ばね35を備えず、保持ばね35の代わりに、工具との係合に役立つ窪み42が第2の円筒形部分に設けられている点においてのみ、プラグ部材30とは異なっている。他のすべての部分はプラグ部材30と同様である。
【0026】
多軸骨ねじは、骨アンカーを含む骨アンカー装置として示されてきたが、本発明には他の如何なる骨アンカーも包含される。たとえば、骨アンカー2の頭部がロッドを受けるように形作られている単軸の骨ねじを使用することもできる。骨アンカーはさらに、シャフト上に骨ねじを備える必要はない。骨アンカーはまた、骨への保持用のバーブ(barb)要素を備えた押し回し(push and turn)アンカーとして設計することもできる。骨アンカーはまた、滑らかな外面を備えた骨くぎとして設計することもできる。
【0027】
プラグ部材の他の変形例も想到可能である。たとえば、プラグ部材は、円盤状、円錐形状または他の如何なる形状であってもよい。
【0028】
ここで、図11および図12を参照して、骨アンカーにプラグ部材を挿入するための工具の第1の実施例を説明する。工具50は、図4〜図8に示される型のプラグ部材を挿入するのに特に適している。工具50は、把持用のハンドル51と、当該ハンドル51を通って延在する挿入管52とを含む。挿入管52は中空であり、ボア11の端部にプラグ部材30を位置決めすることができるようにシャフトの長さと少なくとも同じくらいの長さを有している。管52の内径は、受け具36を備えた保持ばねが内側へある程度まで移動するように管52をプラグ部材の保持部35上に配置できるような大きさにされる。これらは、このような態様で、管52の端部において把持される。挿入管52は、その端部の内部に、受け具36と協働する窪みを有していてもよい。管52の外径は、ボア11の内径よりもわずかに小さく、このため、挿入管52をボア11に差込むことができる。挿入管52は、管52の開口端53がハンドル51の端部分と実質的に同じ高さになるように、ハンドル51を通って延在する。図11は、アンカー2、プラグ部材30および工具50を分解図で示す。図12に図示のとおり、プラグ部材30は工具50によって把持されている。管52がハンドル51を通って延在しているので、開口端53を通じてガイドワイヤを管部分へと案内することができる。
【0029】
図13および図14は、骨アンカーに対する工具の第2の実施例の2つの位置を示す。
この実施例に従った工具60はシリンジ60によって形成される。シリンジ60は、骨セメントまたは医薬物質を骨アンカー2に注入するのに特に適している。シリンジ60は、把持用のハンドル61を備えた円筒部と、針または管63に骨セメントまたは医薬物質を押し込むためのプランジャ62とを含む。針または管63は、プラグ部材30を把持することができるように、またはプラグ部材41の窪み42に係合することができるように設計されている。針または管63は、プラグ部材をボア11の端部に配置することができるほど十分に長い。
【0030】
これらの工具の変形例も想到可能である。たとえば、挿入管52または63は、骨アンカー内の非直線的なチャネルに適合可能となるように可撓性があってもよい。たとえば、プラグ部材を把持したり解放したりするための解放機能を備えるようなものであれば他の如何なる把持機構も可能である。
【0031】
図15および図16を参照して、骨アンカーの使用について説明する。図15および図16は、低侵襲手術による骨アンカーの埋込みを示す。ステップ1)では、ガイドワイヤ100は、経皮的に皮膚101を通って骨アンカーの最終位置にまで達し、脊柱の椎骨102に配置される。プラグ部材は、手順のうちこの段階では骨アンカーに挿入されない。その後、骨アンカー2、または、図15に図示のとおり、受け部3および圧力要素5とともに予め組立てられている骨アンカーが設けられ、次いで、ガイドワイヤ100が、骨アンカーの第1の端部9から骨アンカーおよび受け部3を通って案内される。次いで、ステップ2)に示されるように、骨アンカー装置1がガイドワイヤ100に沿って、最終的な埋込み部位である椎骨102にまで案内され、最後に茎状ねじに捩じ込まれる。その後、ステップ3)に示されるように、ガイドワイヤが取外される。
【0032】
図16のa)〜c)は、プラグ部材を差込むステップ4)を示す。図16のa)に図示のとおり、工具50は骨アンカー2にプラグ部材30を差込むのに用いられる。図16のb)およびc)は、プラグ部材30が管52によって挿入されているアンカー2の拡大部分の側面図および断面図をそれぞれ示す。プラグ部材30は、工具50の管52によって把持され、管52は骨アンカーに差込まれる。次いで、プラグ部材30は、ガイドワイヤ100(図示せず)を挿入し、ガイドワイヤ100をプラグ部材に押し当てて、これによりプラグ部材が最終的に肩部13上に載って骨アンカーを閉じることによって、工具から取外される。その後、骨セメントまたは医薬物質が注入され、開口部15を通って周囲の骨材料にまで延在するが、骨アンカーの自由端9がプラグ部材によって閉じられているので、この自由端9を通り抜けることはできない。結果として安全な固定がもたらされる。というのも、アンカーを緩めたり血管構造に損傷を及ぼしたりする可能性のある骨セメントの漏出が自由端9では起こらないからである。
【0033】
ボール状のプラグ部材40の場合、プラグ部材40は、それ自体の重量によって下に落ちて自由端9を閉じるように、ボア11の上方部分だけに差込まれる。
【0034】
代替的には、プラグ部材30または41は、骨セメントまたは医薬物質を含むシリンジ60の針63によって把持され、自由端を閉じるまで骨セメントまたは医薬物質をボア11に注入することによって注入される。
【0035】
少なくとも2つの骨アンカーが留められた後、ロッド4が挿入され、取付け要素によって固定される。
【0036】
ここで、図17〜図27を参照して、上述の実施例に記載された骨アンカーとともに使用される器具を説明する。器具は、低侵襲手術(MIS)に特に適用可能である。器具は、アンカー拡張装置200、注入カニューレ201、漏斗部202、深さ制御棒203、計測棒204、プラグ部材供給装置205、およびプラグ部材格納装置206を含む。器具は、プラグ部材の安全かつ容易な搭載を可能にするので、ボール状のプラグ部材40を備えた骨アンカーに特に有用である。
【0037】
アンカー拡張装置200は外管210および内管211を含む。外管210は、骨アンカー2とは反対側の部分において、内管211の雄ねじと協働する役割を果たす雌ねじ212を含む。アンカー拡張装置200は、雌ねじ212を含む上方部分において、外管210内における内管211の位置の目視検査を可能にする第1の孔213を備える。さらに、アンカー拡張装置200は第2の孔214を備えており、内管211に取付けられるピン215がここを通って案内される。第2の孔214は、軸方向においてピン215のための止め部としての役割を果たし、これにより、外管210に対する内管211の軸方向位置を制限する。
【0038】
内管211は、図18に図示のとおり、管部分と、受け部3の柔軟な締付けをもたらす2つの弾性アーム211aおよび211bとを備える。アンカー拡張装置はさまざまに設計することができ、上述の実施例に限定されず、また、注入カニューレを差込んだり、たとえば中心リングによって中心に配置したりすることを可能にするはずである。
【0039】
使用時に、アンカー拡張装置は、骨アンカーの受け部3に取付けられる。アンカー拡張装置は、特に以下に記載される注入システムを使用する場合、骨アンカーにおいて行われるさらなる操作のための案内や保護の役割を果たす。アンカー拡張装置200は、図示される詳細な実施例には限定されない。さまざまなアンカー拡張装置が既に公知であり、使用可能である。
【0040】
図18、図24および図25に示される注入カニューレは、本質的に管218からなり、その内径は、第2の実施例に関して説明されるボール状のプラグ部材40が管218を通り抜けることができるような大きさにされる。内径のサイズは、骨セメントを注入することができるほどに十分に大きい。管218は、骨アンカーに面する第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部とを含む。第2の端部は、注入カニューレをアンカー拡張装置200に挿入するための止め部としての役割を果たす環状の突起219を備える。注入カニューレは、環状の突起219付近の自由端において、接続構造を備えており、骨セメントを注入するためのシリンジに接続するためにルアーロック(Luer lock)突起の形状をなしている。管218の外径は少なくとも一部が自由端から延在しているため、管218を骨アンカー2に挿入することができる。残りの部分において注入カニューレが備え得る部分221、222は、その直径がそれぞれ異なっており、より大きなものであるが、アンカー拡張装置の内管211に注入カニューレを差込むことができるほどに十分に小さなものであり得る。注入カニューレの全長は、注入カニューレがアンカー拡張装置に差込まれた場合に、環状の肩部219がアンカー拡張装置の上方のリムに接すると骨アンカー2のボア11に延在するような長さにされる。
【0041】
図21〜図25は、プラグ部材供給装置の漏斗部202および注入カニューレを示す。漏斗部202は実質的に円筒形であり、同軸のボア223を備えており、この同軸のボア223の直径はボール状のプラグ部材40の直径より大きく、このため、ボール状のプラグ部材40はボア223を通り抜けることができる。図21および図23に図示のとおり、漏斗部202は、注入方向とは逆向きの上方の漏斗状部分224を備える。漏斗部は、漏斗状部分224とは反対側に、注入カニューレへの接続用の接続構造を備えた内側部分を備える。接続構造225は、たとえばルアーロック構造であってもよい。漏斗部202は、ボール状のプラグ部材40の差込みを補助する役割を果たす。ボール状のプラグ部材40は極めて小さいので、取扱いが困難である。漏斗部があるために、ボール状のプラグ部材のための供給開口部が拡大されており、これにより、プラグ部材の差込みが容易になる。
【0042】
ここで、図19および図20を参照して、プラグ部材の供給を説明する。プラグ部材を供給するための装置は、図示される実施例においては、非固定鉗子として設計可能であるか、または、交差するアームを供える固定鉗子として設計可能である鉗子205である。鉗子205の自由な把持端部226に把持構造227が設けられる。図示される実施例においては、把持構造は、孔または凹みとして形成されており、その直径は、ボール状のプラグ部材40のより大きな直径よりも小さい。把持構造は、アームのうち互いに対向している部分に設けられる。プラグ部材が別の形状であれば、把持構造227はそれに適合させることもできる。鉗子があるので、プラグ部材を正確に把持することができる。
【0043】
鉗子205およびプラグ部材は、図19に示される実施例によれば、蓋228付きのトレイ206であるプラグ部材格納装置に格納される。蓋は、トレイを開閉するように溝において摺動し得る。トレイには、プラグ部材を保持するための複数の凹みまたは皿穴区域229が設けられる。トレイはチャネル状の凹み230を備えており、これらチャネル状の凹み230は、ボール状のプラグ部材が、ある格納区域229から出たときに、そこから別の格納区域へと回転していくことを可能にする。トレイの底部は、グリッド状構造であるので、蒸気滅菌に適している。トレイはまた、手術前または手術中にプラグ部材を供給するために用いられる。他のプラグ部材供給装置も想到可能である。たとえば、プラグ部材供給装置は、所定の数の丸剤を供給する箱と同様に設計されてもよい。
【0044】
次いで、図26を参照して計測棒204を説明する。計測棒204は、円筒形の棒として形成されており、その外径は骨アンカー2のボア11の内径よりも小さく、このため、計測棒204を注入カニューレを通じて案内することができる。計測棒204は、一方の端部に、環状の板231を備えており、この環状の板231は、計測棒を把持するためのハンドルとしての役割を果たし、かつ、計測棒が注入カニューレに差込まれるのを制限する止め部としての役割を果たす。計測棒を用いることにより、注入カニューレのデッドボリューム(dead volume)に位置する骨セメントを骨アンカーに押込むことができる。
【0045】
最後に、深さゲージまたは深さ制御棒203が、図27に図示のとおり設けられる。深さ制御棒は円筒形の棒であり、その長さは、注入カニューレが骨アンカーに接続されている場合には、骨アンカーの開口部9から注入カニューレの上方端部までのシステム全体の長さよりも長い。その直径は、骨アンカーのボア11の直径よりも小さい。深さ制御棒203には、プラグ部材の位置を決定する役割を果たすしるし240が付けられてもよい。プラグ部材は、径方向のボアが覆われるのを防ぐために骨アンカーのボア11の底部に配置されなければならない。深さ制御棒を用いることにより、プラグ部材をその静止位置でボアの底部に押し当てることができる。これらのしるしにより、プラグ部材がその静止位置にあるかどうかを確認することができる。これらのしるしは、さまざまな長さの骨アンカーに合わせて設けることができる。
【0046】
使用時に、アンカー拡張部が骨アンカーの受け部3に固定された後、注入カニューレが挿入され、漏斗部202が注入カニューレに取付けられる。ボール状のプラグ部材の形状をした適切なプラグ部材40が選択され、鉗子によってトレイから取出される。ボール状のプラグ部材40が鉗子の把持構造227に保持されているので、注入カニューレへの移送中にボール状のプラグ部材40が離脱する可能性はない。次いで、ボール状のプラグ部材40は、漏斗部202の漏斗状部分224に入れられ、そこでボア223を通って落下して注入カニューレに入る。次いで、ボール状のプラグ部材40は、骨アンカーの第2の端部9に到達するまで注入カニューレおよび骨アンカーを通る。その後、深さ制御棒を用いることによって、プラグ部材の位置がチェックされる。プラグ部材がまだその最終位置になければ、深さ制御棒は、プラグ部材を押し下げて開口部9を完全に閉じるのに用いられる。
【0047】
次いで、骨セメントを含むシリンジが、たとえばルアーロック接続によって注入カニューレに取付けられる。骨セメントが注入され、骨アンカーに入り、そこで、径方向の開口部から出て行く。所定量の骨セメントが注入された場合、シリンジが外される。注入カニューレ内に残っている骨セメントは、注入カニューレが空になり、骨セメントがすべて骨アンカーに達するまで、計測棒204によって押し下げられる。
【符号の説明】
【0048】
1 骨アンカー装置、2 骨アンカー、3 受け部、4 ロッド、5 圧力要素、6 取付け要素、7 シャフト、8 頭部、10 骨ねじ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレ挿入シャフトと、シャフトに挿入可能であり一方端で当該シャフトを閉じるためのプラグ部材とを備えた骨アンカーともに使用される器具に関する。器具は、注入カニューレ、プラグ部材差込装置、計測装置、深さ制御装置、プラグ部材供給装置、およびプラグ部材格納装置を含む。骨アンカーおよび器具は、低侵襲手術(MIS:minimally invasive surgery)で使用するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
WO01/26568A1に開示される骨アンカーは骨ねじの形状であり、ねじ頭部と、軸方向ボアおよび複数の径方向ボアを含むねじシャフトとを備えている。軸方向ボアは、ねじ頭部側では開いており、ねじシャフトの自由端では閉じている。公知の骨ねじは、シャフトに骨セメントを注入することによって骨に留めることができる。これにより、骨アンカーが恒久的かつ安全に固定されることとなる。
【0003】
カニューレ挿入シャフトを備えた骨ねじの形状をした骨アンカーも、US5,047,030から公知である。骨ねじは内部に、連続した長手方向の導管を備えており、径方向に延在する何本かの横方向の導管がこの長手方向の導管と接している。長手方向の導管はねじの両端において開いており、ねじ頭部周囲の区域において管を介して真空ポンプに接続して、血液または他の物質を吸引するための真空をもたらすことができる。
【0004】
WO02/38054A2、US2004/0122431A1およびUS2004/0147929A1は、管状のねじ部分と、管状のねじ部分に接続することのできる先端部分とを備えた骨ねじを開示している。管状のねじ部分はその壁にいくつかの窪みを備える。管状のねじ部分に骨セメントを満たすことができる。
【0005】
低侵襲手術はますます多くの症例に適用される。低侵襲手術では、場合によっては、ガイドワイヤを用いて、インプラントを埋込部位に配置する。低侵襲では、手術部位へは、通常、皮膚を通って経皮的に到達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO01/26568A1
【特許文献2】US5,047,030
【特許文献3】WO02/38054A2
【特許文献4】US2004/0122431A1
【特許文献5】US2004/0147929A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、広範囲の応用例を有しており、たとえば、低侵襲手術での埋込部位への配置に適しており、骨セメントまたは別の物質で満たすことのできる骨アンカーを提供することである。この発明の目的は、さらに、簡便でかつ安全に取扱うことのできるこのような骨アンカーとともに使用される器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該目的は、独立クレームにおいて規定される器具によって達成される。さらなる展開例が従属クレームにおいて記載される。
【0009】
本発明に従った骨アンカーは、従来の手術および低侵襲手術の両方で使用することができるという利点を有する。既存のカニューレ挿入骨ねじにプラグ部材を備えることにより低侵襲手術に適したものにすることもできる。
【0010】
プラグ部材を備えた骨アンカーは、注入された骨セメントが骨アンカーの先端において漏れ出ることを防ぐ。これにより、血管構造に起こり得る損傷が低減される。
【0011】
当該器具を用いることで、プラグ部材を安全に配置することができる。したがって、アンカーの遠位端から骨セメントが流れ出ることが回避される。
【0012】
添付の図面を用いた発明の実施例の説明から、さらなる特徴および利点が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施例に従った骨アンカーを示す分解斜視図である。
【図2】ロッドが固定された場合の、組立てられた状態にある図1の骨アンカーを示す図である。
【図3】ロッド軸を含む面に沿った図2の骨アンカーの断面図である。
【図4】図1〜図3の骨アンカーにおいて用いられるプラグ部材の上面図である。
【図5】図4のプラグ部材を示す斜視図である。
【図6】プラグ部材を示す側面図である。
【図7】プラグ部材を示す断面図である。
【図8】骨アンカーに挿入されている図4〜図7のプラグ部材を示す拡大断面図である。
【図9】別のプラグ部材を備えた骨アンカーの第2の実施例を示す拡大断面図である。
【図10】さらなるプラグ部材を備えた骨アンカーの第3の実施例を示す拡大断面図である。
【図11】骨アンカーにプラグ部材を挿入するための工具の第1の実施例を示す分解図である。
【図12】図11の工具がプラグ部材で組立てられている骨アンカーを示す斜視図である。
【図13】工具の第2の実施例が骨セメントを注入する位置にある骨アンカーを示す斜視図である。
【図14】工具の第2の実施例を備えた骨アンカーを示す分解図である。
【図15】低侵襲手術で骨アンカーを使用するステップ1)〜3)を示す図である。
【図16】a)〜c)は、低侵襲手術で骨アンカーを使用するステップ4)を示す図である。
【図17】低侵襲手術において骨アンカーを使用するための器具とともに骨アンカーを示す斜視図である。
【図18】骨アンカーを工具類とともに長手方向軸に沿って示す拡大断面図である。
【図19】プラグ部材を格納するためのトレイと、プラグ部材を把持および配置するための器具とを示す斜視図、ならびに、トレイの拡大部分を示す図である。
【図20】プラグ部材を把持および配置するための器具を示す図である。
【図21】プラグ部材を骨アンカーに供給するための漏斗部を上部から示す斜視図である。
【図22】図21の漏斗部を下方から示す斜視図である。
【図23】図22の漏斗部のシリンダ軸に沿った断面を示す図である。
【図24】注入カニューレを示す斜視図である。
【図25】図21〜図23に示される漏斗部とともに図24の注入カニューレを示す図である。
【図26】図24および図25の注入カニューレとともに使用される計測棒を示す斜視図である。
【図27】上述の図、特に図17および図18に示される器具および骨アンカーとともに使用される深さ制御棒を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図8は、本発明に従った骨アンカーの第1の実施例を示す。骨アンカー装置1は、骨に留めるための骨アンカー2と、ロッド4を受けるための受け部3と、骨アンカー2に作用する圧力要素5と、取付け要素6とを含む。記載された実施例に従った骨アンカー装置1は、いわゆる多軸骨ねじとして設計されており、骨アンカー2が、当該骨アンカーを脊柱ロッド4に結合する受け部3において回動可能に保持されることを特徴としている。ロッドに対する骨アンカーの角度位置は、取付け要素6によって固定することができる。
【0015】
特に図3に図示のとおり、骨アンカー2はシャフト7を含み、シャフト7は、第1の端部に頭部8と、先端部として形成され得る第2の自由端9とを備える。図示される実施例においては、頭部8は球状の部分を有する。さらに、骨ねじ10は、シャフト7の外面の少なくとも一部に設けられる。
【0016】
骨アンカー2にカニューレが挿入される。骨アンカー2は、第1の端部から頭部8およびシャフト7を通って第2の端部9にまで延在する実質的に同軸のボア11を備える。第2の端部9に隣接する部分12においては、ボアの直径はシャフト7の主要部分におけるよりも小さく、このため、シャフト7内に肩部13が設けられる。頭部8の自由端においては、工具との係合のための係合構造14が設けられる。シャフト7の壁には、ボア11を外部と繋ぐ複数の開口部15が設けられる。開口部15の数、大きさおよび配置は、骨アンカーに投入されるべき骨セメントまたは医薬物のための出口を形成する目的で、骨アンカー2の寸法全体に従って設計される。
【0017】
ボア11、特に部分12の直径は、一般に低侵襲手術に使用されるガイドワイヤが骨アンカー2を通って案内され得るように設計される。
【0018】
特に図1〜図3に図示されるように、第1の端部3aおよび反対側にある第2の端部3bを備えた受け部3は、実質的に円筒形になっている。受け部3は同軸のボア16を含む。同軸のボア16は、第1の端部から第2の端部の方向に延在し、第2の端部16に向かって先細になっているため、骨アンカーの頭部8が受け部3に回動可能に保持される。さらに、受け部は、実質的にU字型の窪み17を有する。このU字型の窪み17は、第1の端部3aから始まり、第2の端部3bの方向に延在しており、これにより2本の自由脚部18aおよび18bが形成される。取付け要素6に捩じ込むための雌ねじ19が、上述の自由脚部18aおよび18bの一部に設けられる。実施例においては、取付け要素6は内ねじである。
【0019】
圧力要素5は、内ねじ6がロッド4を押圧するように締められると、骨アンカーの頭部8に圧力を加える役割を果たす。圧力要素5は、同軸のボア16に差込まれてそこで軸方向で移動できるように設計されている。圧力要素5は、圧力を頭部8に分散させるために、頭部8に面する側に、実質的に球形の窪み20を備え、その反対側には、ロッド4を受けるための実質的に円筒形の窪み21を備えている。圧力要素5はまた、同軸のボア22を備えており、そこを通ってガイドワイヤまたはねじ工具が案内される。
【0020】
図4〜図8に図示のとおり、骨アンカーはさらに、自由な第2の端部9の端部分12に、シャフト7のボア11を閉じるためのプラグ部材30を含む。プラグ部材30は、ボア11に差込むことのできる別個の部品である。図4〜図8に示される実施例においては、プラグ部材30は第1の円筒形部分31を含んでおり、その直径は、シャフト7の部分12に嵌るような大きさである。第1の円筒形部分31の自由端においては、プラグ部材の差込を容易にするために面取りされた部分32が設けられてもよい。プラグ部材は、面取りされた部分32の反対側に、第2の円筒形部分33を備えており、その直径は、ボア11の内径に嵌るような大きさである。第1の円筒形部分31と第2の円筒形部分33との間に移行部分34が設けられている。移行部分34は、ボア11の主要部分と直径の小さな端部分12との間にある肩部13の形状に適合するような形状にされ得る。こうして、肩部13により、プラグ部材の差込用の止め部が形成される。
【0021】
第2の円筒形部分33の自由端には、直立した複数の保持ばね35が設けられる。保持ばね35は、第2の円筒形部分33よりも小さな直径を有する円形に配置されており、外部および/または内部に弾力的に移動可能となるように弾性を有している。保持ばね35は、それらの自由端において、以下に記載される工具との着脱可能な係合のための受け具36をそれぞれ備える。保持ばね35は、受け具36の外側部分が第2の円筒形部分33の直径の外側に突出ないような態様で構成される。
【0022】
図8に図示のとおり、プラグ部材30は、ボア11に完全に挿入されると第2の部分12においてボアを閉じる。このため、ボア11に投入される如何なる骨セメントまたは医薬物質も第2の端部9から漏れ出ることがなくなる。
【0023】
骨アンカー、受け部、圧力要素および取付けねじは如何なる材料から作製されてもよいが、これらの種類の装置の場合には通常、特に、たとえばチタン、ステンレス鋼、もしくは合金などの身体適合性のある金属、または、たとえばPEEKなどの如何なる身体適合性のあるプラスチックなどであってもよい。ロッドは、用途に応じて、すなわち、ロッドによって単なる固定がもたらされるかまたは動的安定化がもたらされるかに応じて、金属またはプラスチックで作製され得る。プラグ部材の材料はアンカーの材料と同じであってもよく、または異なる材料であってもよい。プラグ部材に適した材料は、特に、チタンおよびチタン合金、インプラントに使用されるステンレス鋼およびPEEKである。
【0024】
プラグ部材の第2の実施例を図9に示す。プラグ部材40はボール状であり、その直径は、第2の部分12においてはボア11の内径よりも大きく、シャフト7の主要部分においてはボア11の内径よりも小さくなっている。ボール状のプラグ部材40は、差込まれるとそれ自体の重量で落下し得るように、有利には、金属などの比重の高い材料で作られている。
【0025】
図10は、プラグ部材41を備えた骨アンカーの第3の実施例を示す。プラグ部材41は、保持ばね35を備えず、保持ばね35の代わりに、工具との係合に役立つ窪み42が第2の円筒形部分に設けられている点においてのみ、プラグ部材30とは異なっている。他のすべての部分はプラグ部材30と同様である。
【0026】
多軸骨ねじは、骨アンカーを含む骨アンカー装置として示されてきたが、本発明には他の如何なる骨アンカーも包含される。たとえば、骨アンカー2の頭部がロッドを受けるように形作られている単軸の骨ねじを使用することもできる。骨アンカーはさらに、シャフト上に骨ねじを備える必要はない。骨アンカーはまた、骨への保持用のバーブ(barb)要素を備えた押し回し(push and turn)アンカーとして設計することもできる。骨アンカーはまた、滑らかな外面を備えた骨くぎとして設計することもできる。
【0027】
プラグ部材の他の変形例も想到可能である。たとえば、プラグ部材は、円盤状、円錐形状または他の如何なる形状であってもよい。
【0028】
ここで、図11および図12を参照して、骨アンカーにプラグ部材を挿入するための工具の第1の実施例を説明する。工具50は、図4〜図8に示される型のプラグ部材を挿入するのに特に適している。工具50は、把持用のハンドル51と、当該ハンドル51を通って延在する挿入管52とを含む。挿入管52は中空であり、ボア11の端部にプラグ部材30を位置決めすることができるようにシャフトの長さと少なくとも同じくらいの長さを有している。管52の内径は、受け具36を備えた保持ばねが内側へある程度まで移動するように管52をプラグ部材の保持部35上に配置できるような大きさにされる。これらは、このような態様で、管52の端部において把持される。挿入管52は、その端部の内部に、受け具36と協働する窪みを有していてもよい。管52の外径は、ボア11の内径よりもわずかに小さく、このため、挿入管52をボア11に差込むことができる。挿入管52は、管52の開口端53がハンドル51の端部分と実質的に同じ高さになるように、ハンドル51を通って延在する。図11は、アンカー2、プラグ部材30および工具50を分解図で示す。図12に図示のとおり、プラグ部材30は工具50によって把持されている。管52がハンドル51を通って延在しているので、開口端53を通じてガイドワイヤを管部分へと案内することができる。
【0029】
図13および図14は、骨アンカーに対する工具の第2の実施例の2つの位置を示す。
この実施例に従った工具60はシリンジ60によって形成される。シリンジ60は、骨セメントまたは医薬物質を骨アンカー2に注入するのに特に適している。シリンジ60は、把持用のハンドル61を備えた円筒部と、針または管63に骨セメントまたは医薬物質を押し込むためのプランジャ62とを含む。針または管63は、プラグ部材30を把持することができるように、またはプラグ部材41の窪み42に係合することができるように設計されている。針または管63は、プラグ部材をボア11の端部に配置することができるほど十分に長い。
【0030】
これらの工具の変形例も想到可能である。たとえば、挿入管52または63は、骨アンカー内の非直線的なチャネルに適合可能となるように可撓性があってもよい。たとえば、プラグ部材を把持したり解放したりするための解放機能を備えるようなものであれば他の如何なる把持機構も可能である。
【0031】
図15および図16を参照して、骨アンカーの使用について説明する。図15および図16は、低侵襲手術による骨アンカーの埋込みを示す。ステップ1)では、ガイドワイヤ100は、経皮的に皮膚101を通って骨アンカーの最終位置にまで達し、脊柱の椎骨102に配置される。プラグ部材は、手順のうちこの段階では骨アンカーに挿入されない。その後、骨アンカー2、または、図15に図示のとおり、受け部3および圧力要素5とともに予め組立てられている骨アンカーが設けられ、次いで、ガイドワイヤ100が、骨アンカーの第1の端部9から骨アンカーおよび受け部3を通って案内される。次いで、ステップ2)に示されるように、骨アンカー装置1がガイドワイヤ100に沿って、最終的な埋込み部位である椎骨102にまで案内され、最後に茎状ねじに捩じ込まれる。その後、ステップ3)に示されるように、ガイドワイヤが取外される。
【0032】
図16のa)〜c)は、プラグ部材を差込むステップ4)を示す。図16のa)に図示のとおり、工具50は骨アンカー2にプラグ部材30を差込むのに用いられる。図16のb)およびc)は、プラグ部材30が管52によって挿入されているアンカー2の拡大部分の側面図および断面図をそれぞれ示す。プラグ部材30は、工具50の管52によって把持され、管52は骨アンカーに差込まれる。次いで、プラグ部材30は、ガイドワイヤ100(図示せず)を挿入し、ガイドワイヤ100をプラグ部材に押し当てて、これによりプラグ部材が最終的に肩部13上に載って骨アンカーを閉じることによって、工具から取外される。その後、骨セメントまたは医薬物質が注入され、開口部15を通って周囲の骨材料にまで延在するが、骨アンカーの自由端9がプラグ部材によって閉じられているので、この自由端9を通り抜けることはできない。結果として安全な固定がもたらされる。というのも、アンカーを緩めたり血管構造に損傷を及ぼしたりする可能性のある骨セメントの漏出が自由端9では起こらないからである。
【0033】
ボール状のプラグ部材40の場合、プラグ部材40は、それ自体の重量によって下に落ちて自由端9を閉じるように、ボア11の上方部分だけに差込まれる。
【0034】
代替的には、プラグ部材30または41は、骨セメントまたは医薬物質を含むシリンジ60の針63によって把持され、自由端を閉じるまで骨セメントまたは医薬物質をボア11に注入することによって注入される。
【0035】
少なくとも2つの骨アンカーが留められた後、ロッド4が挿入され、取付け要素によって固定される。
【0036】
ここで、図17〜図27を参照して、上述の実施例に記載された骨アンカーとともに使用される器具を説明する。器具は、低侵襲手術(MIS)に特に適用可能である。器具は、アンカー拡張装置200、注入カニューレ201、漏斗部202、深さ制御棒203、計測棒204、プラグ部材供給装置205、およびプラグ部材格納装置206を含む。器具は、プラグ部材の安全かつ容易な搭載を可能にするので、ボール状のプラグ部材40を備えた骨アンカーに特に有用である。
【0037】
アンカー拡張装置200は外管210および内管211を含む。外管210は、骨アンカー2とは反対側の部分において、内管211の雄ねじと協働する役割を果たす雌ねじ212を含む。アンカー拡張装置200は、雌ねじ212を含む上方部分において、外管210内における内管211の位置の目視検査を可能にする第1の孔213を備える。さらに、アンカー拡張装置200は第2の孔214を備えており、内管211に取付けられるピン215がここを通って案内される。第2の孔214は、軸方向においてピン215のための止め部としての役割を果たし、これにより、外管210に対する内管211の軸方向位置を制限する。
【0038】
内管211は、図18に図示のとおり、管部分と、受け部3の柔軟な締付けをもたらす2つの弾性アーム211aおよび211bとを備える。アンカー拡張装置はさまざまに設計することができ、上述の実施例に限定されず、また、注入カニューレを差込んだり、たとえば中心リングによって中心に配置したりすることを可能にするはずである。
【0039】
使用時に、アンカー拡張装置は、骨アンカーの受け部3に取付けられる。アンカー拡張装置は、特に以下に記載される注入システムを使用する場合、骨アンカーにおいて行われるさらなる操作のための案内や保護の役割を果たす。アンカー拡張装置200は、図示される詳細な実施例には限定されない。さまざまなアンカー拡張装置が既に公知であり、使用可能である。
【0040】
図18、図24および図25に示される注入カニューレは、本質的に管218からなり、その内径は、第2の実施例に関して説明されるボール状のプラグ部材40が管218を通り抜けることができるような大きさにされる。内径のサイズは、骨セメントを注入することができるほどに十分に大きい。管218は、骨アンカーに面する第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部とを含む。第2の端部は、注入カニューレをアンカー拡張装置200に挿入するための止め部としての役割を果たす環状の突起219を備える。注入カニューレは、環状の突起219付近の自由端において、接続構造を備えており、骨セメントを注入するためのシリンジに接続するためにルアーロック(Luer lock)突起の形状をなしている。管218の外径は少なくとも一部が自由端から延在しているため、管218を骨アンカー2に挿入することができる。残りの部分において注入カニューレが備え得る部分221、222は、その直径がそれぞれ異なっており、より大きなものであるが、アンカー拡張装置の内管211に注入カニューレを差込むことができるほどに十分に小さなものであり得る。注入カニューレの全長は、注入カニューレがアンカー拡張装置に差込まれた場合に、環状の肩部219がアンカー拡張装置の上方のリムに接すると骨アンカー2のボア11に延在するような長さにされる。
【0041】
図21〜図25は、プラグ部材供給装置の漏斗部202および注入カニューレを示す。漏斗部202は実質的に円筒形であり、同軸のボア223を備えており、この同軸のボア223の直径はボール状のプラグ部材40の直径より大きく、このため、ボール状のプラグ部材40はボア223を通り抜けることができる。図21および図23に図示のとおり、漏斗部202は、注入方向とは逆向きの上方の漏斗状部分224を備える。漏斗部は、漏斗状部分224とは反対側に、注入カニューレへの接続用の接続構造を備えた内側部分を備える。接続構造225は、たとえばルアーロック構造であってもよい。漏斗部202は、ボール状のプラグ部材40の差込みを補助する役割を果たす。ボール状のプラグ部材40は極めて小さいので、取扱いが困難である。漏斗部があるために、ボール状のプラグ部材のための供給開口部が拡大されており、これにより、プラグ部材の差込みが容易になる。
【0042】
ここで、図19および図20を参照して、プラグ部材の供給を説明する。プラグ部材を供給するための装置は、図示される実施例においては、非固定鉗子として設計可能であるか、または、交差するアームを供える固定鉗子として設計可能である鉗子205である。鉗子205の自由な把持端部226に把持構造227が設けられる。図示される実施例においては、把持構造は、孔または凹みとして形成されており、その直径は、ボール状のプラグ部材40のより大きな直径よりも小さい。把持構造は、アームのうち互いに対向している部分に設けられる。プラグ部材が別の形状であれば、把持構造227はそれに適合させることもできる。鉗子があるので、プラグ部材を正確に把持することができる。
【0043】
鉗子205およびプラグ部材は、図19に示される実施例によれば、蓋228付きのトレイ206であるプラグ部材格納装置に格納される。蓋は、トレイを開閉するように溝において摺動し得る。トレイには、プラグ部材を保持するための複数の凹みまたは皿穴区域229が設けられる。トレイはチャネル状の凹み230を備えており、これらチャネル状の凹み230は、ボール状のプラグ部材が、ある格納区域229から出たときに、そこから別の格納区域へと回転していくことを可能にする。トレイの底部は、グリッド状構造であるので、蒸気滅菌に適している。トレイはまた、手術前または手術中にプラグ部材を供給するために用いられる。他のプラグ部材供給装置も想到可能である。たとえば、プラグ部材供給装置は、所定の数の丸剤を供給する箱と同様に設計されてもよい。
【0044】
次いで、図26を参照して計測棒204を説明する。計測棒204は、円筒形の棒として形成されており、その外径は骨アンカー2のボア11の内径よりも小さく、このため、計測棒204を注入カニューレを通じて案内することができる。計測棒204は、一方の端部に、環状の板231を備えており、この環状の板231は、計測棒を把持するためのハンドルとしての役割を果たし、かつ、計測棒が注入カニューレに差込まれるのを制限する止め部としての役割を果たす。計測棒を用いることにより、注入カニューレのデッドボリューム(dead volume)に位置する骨セメントを骨アンカーに押込むことができる。
【0045】
最後に、深さゲージまたは深さ制御棒203が、図27に図示のとおり設けられる。深さ制御棒は円筒形の棒であり、その長さは、注入カニューレが骨アンカーに接続されている場合には、骨アンカーの開口部9から注入カニューレの上方端部までのシステム全体の長さよりも長い。その直径は、骨アンカーのボア11の直径よりも小さい。深さ制御棒203には、プラグ部材の位置を決定する役割を果たすしるし240が付けられてもよい。プラグ部材は、径方向のボアが覆われるのを防ぐために骨アンカーのボア11の底部に配置されなければならない。深さ制御棒を用いることにより、プラグ部材をその静止位置でボアの底部に押し当てることができる。これらのしるしにより、プラグ部材がその静止位置にあるかどうかを確認することができる。これらのしるしは、さまざまな長さの骨アンカーに合わせて設けることができる。
【0046】
使用時に、アンカー拡張部が骨アンカーの受け部3に固定された後、注入カニューレが挿入され、漏斗部202が注入カニューレに取付けられる。ボール状のプラグ部材の形状をした適切なプラグ部材40が選択され、鉗子によってトレイから取出される。ボール状のプラグ部材40が鉗子の把持構造227に保持されているので、注入カニューレへの移送中にボール状のプラグ部材40が離脱する可能性はない。次いで、ボール状のプラグ部材40は、漏斗部202の漏斗状部分224に入れられ、そこでボア223を通って落下して注入カニューレに入る。次いで、ボール状のプラグ部材40は、骨アンカーの第2の端部9に到達するまで注入カニューレおよび骨アンカーを通る。その後、深さ制御棒を用いることによって、プラグ部材の位置がチェックされる。プラグ部材がまだその最終位置になければ、深さ制御棒は、プラグ部材を押し下げて開口部9を完全に閉じるのに用いられる。
【0047】
次いで、骨セメントを含むシリンジが、たとえばルアーロック接続によって注入カニューレに取付けられる。骨セメントが注入され、骨アンカーに入り、そこで、径方向の開口部から出て行く。所定量の骨セメントが注入された場合、シリンジが外される。注入カニューレ内に残っている骨セメントは、注入カニューレが空になり、骨セメントがすべて骨アンカーに達するまで、計測棒204によって押し下げられる。
【符号の説明】
【0048】
1 骨アンカー装置、2 骨アンカー、3 受け部、4 ロッド、5 圧力要素、6 取付け要素、7 シャフト、8 頭部、10 骨ねじ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材供給装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記プラグ部材供給装置は、前記プラグ部材を把持するための把持構造(227)を備えた鉗子(205)を含み、前記把持構造は、前記プラグ部材の形状の一部に適合される、プラグ部材供給装置。
【請求項2】
前記把持構造は、前記鉗子の少なくとも1つのアームに設けられる、プラグ部材供給装置。
【請求項3】
前記把持構造(227)は球形の窪みによって形成される、請求項1または2に記載のプラグ部材供給装置。
【請求項4】
前記把持構造は、互いに面する前記鉗子の各アームの自由端付近に位置する2つの窪みを含む、請求項1から3のいずれかに記載のプラグ部材供給装置。
【請求項5】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材差込装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへ挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記差込装置は漏斗部(202)を含み、前記漏斗部(202)は、前記プラグ部材がそこを通ることができるような大きさのボア(223)を備える、プラグ部材差込装置。
【請求項6】
前記漏斗部(202)は、漏斗状部分(224)と、注入カニューレとの接続のための接続部分(225)とを含み、前記注入カニューレは、
少なくとも部分的に前記チャネル(11、12)に差込まれるよう適合された管部分(218)と、
骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を前記骨アンカーに注入するためのシリンジと接続されるよう適合されたコネクタ部分(220)とを含む、請求項5に記載の差込装置。
【請求項7】
骨アンカーとともに使用される注入カニューレであって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記注入カニューレは、
少なくとも部分的に前記チャネル(11、12)に差込まれるよう適合された管部分(218)と、
骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を前記骨アンカーに注入するためのシリンジと接続されるよう適合されたコネクタ部分(220)とを含む、注入カニューレ。
【請求項8】
前記管部分(218)が有する内径は、そこを通じて前記プラグ部材(40)を案内できるほど十分に大きい、請求項7に記載の注入カニューレ。
【請求項9】
前記コネクタ部分(220)はルアーロック(Luer lock)部分である、請求項7または8に記載の注入カニューレ。
【請求項10】
骨アンカーとともに使用される深さ制御装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記深さ制御装置は棒部分(203)を備え、前記棒部分の直径は、前記チャネル(11、12)の直径よりも小さく、前記棒部分の長さは、前記骨アンカーが患者に埋め込まれる際に前記棒を用いて前記プラグ部材を押し下げて前記チャネルを閉じることができるような長さである、深さ制御装置。
【請求項11】
前記棒部分は距離または位置を示すためのしるしを含む、請求項9に記載の深さ制御装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の骨アンカーおよび注入カニューレとともに使用される計測装置であって、前記計測装置は、注入カニューレ(201)へと挿入可能となるような大きさであり、そこを通して骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を押し進めることができる棒部分(204)と、好ましくは、一方の端部にハンドル(231)とを備える、計測装置。
【請求項13】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材格納装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記プラグ部材格納装置は、前記プラグ部材のための個々の格納部分(229)を備えたトレイ(206)と、蓋(228)とを含む、プラグ部材格納装置。
【請求項14】
骨アンカーとともに使用される器具のキットであって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記キットは、注入カニューレ、プラグ部材差込装置、計測装置、深さ制御装置、プラグ部材供給装置、プラグ部材格納装置のうち少なくとも1つ、いくつか、またはすべての装置を含む、器具のキット。
【請求項15】
前記プラグ部材はボール状である、請求項1から14のいずれかに記載の装置またはキット。
【請求項1】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材供給装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記プラグ部材供給装置は、前記プラグ部材を把持するための把持構造(227)を備えた鉗子(205)を含み、前記把持構造は、前記プラグ部材の形状の一部に適合される、プラグ部材供給装置。
【請求項2】
前記把持構造は、前記鉗子の少なくとも1つのアームに設けられる、プラグ部材供給装置。
【請求項3】
前記把持構造(227)は球形の窪みによって形成される、請求項1または2に記載のプラグ部材供給装置。
【請求項4】
前記把持構造は、互いに面する前記鉗子の各アームの自由端付近に位置する2つの窪みを含む、請求項1から3のいずれかに記載のプラグ部材供給装置。
【請求項5】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材差込装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへ挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記差込装置は漏斗部(202)を含み、前記漏斗部(202)は、前記プラグ部材がそこを通ることができるような大きさのボア(223)を備える、プラグ部材差込装置。
【請求項6】
前記漏斗部(202)は、漏斗状部分(224)と、注入カニューレとの接続のための接続部分(225)とを含み、前記注入カニューレは、
少なくとも部分的に前記チャネル(11、12)に差込まれるよう適合された管部分(218)と、
骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を前記骨アンカーに注入するためのシリンジと接続されるよう適合されたコネクタ部分(220)とを含む、請求項5に記載の差込装置。
【請求項7】
骨アンカーとともに使用される注入カニューレであって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記注入カニューレは、
少なくとも部分的に前記チャネル(11、12)に差込まれるよう適合された管部分(218)と、
骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を前記骨アンカーに注入するためのシリンジと接続されるよう適合されたコネクタ部分(220)とを含む、注入カニューレ。
【請求項8】
前記管部分(218)が有する内径は、そこを通じて前記プラグ部材(40)を案内できるほど十分に大きい、請求項7に記載の注入カニューレ。
【請求項9】
前記コネクタ部分(220)はルアーロック(Luer lock)部分である、請求項7または8に記載の注入カニューレ。
【請求項10】
骨アンカーとともに使用される深さ制御装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記深さ制御装置は棒部分(203)を備え、前記棒部分の直径は、前記チャネル(11、12)の直径よりも小さく、前記棒部分の長さは、前記骨アンカーが患者に埋め込まれる際に前記棒を用いて前記プラグ部材を押し下げて前記チャネルを閉じることができるような長さである、深さ制御装置。
【請求項11】
前記棒部分は距離または位置を示すためのしるしを含む、請求項9に記載の深さ制御装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の骨アンカーおよび注入カニューレとともに使用される計測装置であって、前記計測装置は、注入カニューレ(201)へと挿入可能となるような大きさであり、そこを通して骨セメントまたは他の液体もしくはペースト状材料を押し進めることができる棒部分(204)と、好ましくは、一方の端部にハンドル(231)とを備える、計測装置。
【請求項13】
骨アンカーとともに使用されるプラグ部材格納装置であって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記プラグ部材格納装置は、前記プラグ部材のための個々の格納部分(229)を備えたトレイ(206)と、蓋(228)とを含む、プラグ部材格納装置。
【請求項14】
骨アンカーとともに使用される器具のキットであって、前記骨アンカーは、
第1の端部(8)および第2の端部(9)を備えるシャフト(7)と、
前記第1の端部(8)から前記第2の端部(9)にまで延在するチャネル(11、12)と、
前記第1の端部(8)から前記チャネルへと挿入可能であり、前記チャネルを通じて案内可能であり前記チャネルを前記第2の端部(9)で閉じるためのプラグ部材(30、40、41)とを含み、
前記キットは、注入カニューレ、プラグ部材差込装置、計測装置、深さ制御装置、プラグ部材供給装置、プラグ部材格納装置のうち少なくとも1つ、いくつか、またはすべての装置を含む、器具のキット。
【請求項15】
前記プラグ部材はボール状である、請求項1から14のいずれかに記載の装置またはキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−11062(P2011−11062A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146174(P2010−146174)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(509350125)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (21)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(509350125)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (21)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
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