骨アンカー固定装置を組立てるための方法および工具
【課題】骨アンカー固定要素を組立てるための方法および工具を提供する。
【解決手段】方法は、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、受け部本体の中に頭部(3)を導入可能であり、頭部(3)がその中で自由に回動可能な第1の位置のロッキングリング(8)とともに、受け部本体を設けるステップと、頭部(3)を挿入するステップと、ロッキングリングが受け部本体(5)に対してラッチされ、骨アンカー固定要素(1)が完全にロックされていないが調節可能な角度付けられた位置に保持される第2の位置にロッキングリング(8)が入るまでロッキングリング(8)および受け部本体(5)を互いに対して動かすステップとを含む。工具は、方法に従うステップの実行のために構成される。
【解決手段】方法は、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、受け部本体の中に頭部(3)を導入可能であり、頭部(3)がその中で自由に回動可能な第1の位置のロッキングリング(8)とともに、受け部本体を設けるステップと、頭部(3)を挿入するステップと、ロッキングリングが受け部本体(5)に対してラッチされ、骨アンカー固定要素(1)が完全にロックされていないが調節可能な角度付けられた位置に保持される第2の位置にロッキングリング(8)が入るまでロッキングリング(8)および受け部本体(5)を互いに対して動かすステップとを含む。工具は、方法に従うステップの実行のために構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、骨アンカー固定要素にロッドを結合するための、ロッドを受けるための受け部と、そのような受け部とを備える骨アンカー固定装置を組立てるための方法および工具に関する。受け部は受け部本体およびロッキングリングを含む。ロッキングリングは、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、骨アンカー固定要素の頭部を挿入可能な第1の位置と、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、骨アンカー固定要素が調節可能な角度付けられた位置に保持されるが完全にロックされない第2の位置とを取ることができる。骨アンカー固定装置は、たとえば、多軸骨ねじの形態で実現可能である。組立方法は、受け部本体および第1の位置のロッキングリングを設けるステップと、頭部を挿入するステップと、ロッキングリングを第2の位置に動かすステップとを含む。工具はステップの実行のために構成される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタ本体およびキャップを含む、骨アンカーを支持ロッドに接続するための機器を開示する。コネクタ本体は、骨アンカーの挿入、角度形成および取外しのためのソケットを有する。スリーブが設けられ、スリーブは、コネクタ本体の上にわたってスリーブが骨アンカーの挿入を許す一時的な位置に嵌合し、スリーブが角度形成は許すが骨アンカーが外れないようにする仮ロック位置に移動し、またスリーブが骨アンカーの角度形成および外れの両方を防止するロック位置に移動するように構成される。
【0003】
アンカー固定要素の頭部が受け部に対して自由に回動可能である場合、受け部とロッドの挿入部との整列は、たとえば、多数の骨アンカーをロッドに接続する必要がある場合などのより複雑な臨床適用例では困難になるかもしれない。
【0004】
外科手術の際に異なるアンカー固定要素の中から選んで特定の臨床適用例に最も適切なアンカー固定要素を選択する必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/038350A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の課題は、容易に行なえる、骨アンカー固定装置を組立てるための改良された方法を提供すること、および骨アンカー固定装置の組立のための改良された工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題は、請求項1に従う骨アンカー固定装置を組立てる方法、および請求項7に記載の工具によって解決される。従属クレームはさらなる発展例を与える。
【0008】
発明に従う受け部は、ロッキングリングが挿入位置である第1の位置にある際に骨アンカー固定要素の頭部が受け部本体の中に挿入されるのを可能にする。この位置で、ロッキングリングは受け部本体に対してラッチされる。したがって、ロッキングリングがうっかり動かされて受け部本体の頭部受け部分を圧縮する可能性はない。したがって、頭部の挿入が容易になる。
【0009】
予備ロック位置である第2の位置では、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、かつ頭部受け部分が圧縮されるため、骨アンカー固定要素は調節可能な角度付けられた位置に保持されるが、完全にはロックされない。これによりアンカー固定要素がうっかり外れることがなくなり、調節可能な角度付けられた位置で骨アンカー固定要素の頭部に対して受け部本体を保持できるようになる。したがって、外科手術の際の骨アンカー固定装置の安全かつ便利な取り扱いを保証することができる。
【0010】
ロック位置である第3の位置では、ロッキングリングは、骨アンカー固定要素が完全にロックされ回動不能となるように頭部受け部分を圧縮する。
【0011】
受け部本体およびロッキングリングは予め組立てられていてもよく、ねじ要素の頭部の導入を可能にする第1の位置にロッキングリングがラッチされる構成に製造されてから配送されてもよい。たとえば、特定の直径および長さを有する骨ねじである好適な骨アンカー固定要素を選択し、受け部に挿入することができる。その後で、頭部が予備ロックされる、受け部に対する第2の位置にロッキングリングを動かすことができる。第2の位置で受け部本体のロッキングリングがラッチされる音が聞こえるので、骨アンカー固定装置を組立てる人は受け部へのねじ要素の正しい装着を確かめることができる。予備ロックされた条件では、ねじ要素は、頭部のクランプ留めの摩擦力を上回る付加的な力が加わることによってのみ受け部に対して回動可能である。
【0012】
実際の臨床要件に依存して、さまざまなアンカー固定要素を要求に応じていずれの好適な受け部とも組み合わせられるようにするモジュール式システムを骨アンカー固定装置に設けることができる。これは多軸ねじのコストを低減し、在庫を減らし、外科医にインプラントの実質的な選択肢を与える。
【0013】
発明に従う骨アンカー固定装置を組立てる方法は、たとえば、外科手術の前またはその間に外科医または外科医を補助するいずれの人員などのいずれの専門家によっても行なわれ得る。
【0014】
発明に従う工具は取り扱いが容易であり、安全な組立を可能にする。
発明のさらなる特徴および利点が添付の図面による実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】骨アンカー固定装置の実施例の分解斜視図である。
【図2】組立てられた状態の図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【図3】ロッキングリングの拡大斜視図である。
【図4】図3の線A−Aに沿った、図3に示されるロッキングリングの断面図である。
【図5】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第1の位置にある、ロッドの軸に垂直に取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図6】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第2の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図7】ロッキングリングが第3の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、ロッドが挿入され固定された、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図8】受け部の中に骨アンカー固定要素が挿入されようとしている、骨アンカー固定装置を組立てる第1のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図9】頭部が受け部に導入されて予備ロックされた、骨アンカー固定装置を組立てる第2のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図10】頭部がロックされた骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図11】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされて頭部の導入を可能にする第1の位置にある、受け部の部分の拡大断面図である。
【図12】ロッキングリングによって付加的なクランプ留めが行なわれる、頭部が最終的にロックされた状態の骨アンカー固定装置の部分の拡大断面図である。
【図13】骨アンカー固定装置を組立てるための、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図14】骨アンカー固定要素が保持具に挿入された、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図15】受け部が保持具に挿入される、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図16】受け部が保持具に導入された、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図17a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部の中に挿入されようとしている、組立のステップを図示する、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図17b】図17aの部分の拡大図である。
【図18a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿入された、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図18b】図18aの拡大した部分を示す図である。
【図19】頭部の挿入の後であって、ロッキングリングの予備ロック位置に入る前の、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図20】ロッキングリングの予備ロック位置を得るステップにおける第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図21】ロッキングリングが予備ロック位置を取り、頭部をクランプ留めする、第1の実施例に従う工具の拡大した部分の斜視図である。
【図22】骨アンカー固定装置を組立てるための、第2の実施例に従う工具の斜視図である。
【図23】第2の実施例に従う第2の保持具の斜視図である。
【図24】第2の実施例に従う第2の保持具の分解斜視図である。
【図25a】第1の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図25b】第2の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図26a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図27】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の断面図である。
【図28a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図28b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図28c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図29】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿入される、組立てのステップを示す工具の斜視図である。
【図30a】いくつかのシリンダセクション形状またはU字形状の凹部を有するシリンダの形態の第1の保持具のための挿入物を示す図である。
【図30b】第2の実施例の第1の保持具を示す図である。
【図31】装着された状態の、第2の実施例の第1の保持具およびシリンダを示す図である。
【図32】シリンダの断面図である。
【図33】装着された状態の、枠、第2の実施例の第1の保持具、シリンダ、およびねじの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図7に示されるように、骨アンカー固定装置は、ねじ切りされたシャフト2とカーブした表面部分を有する頭部3とを有する骨ねじの形態の骨アンカー固定要素1を備える。この実施例では、頭部3は球状セグメントの形状である。頭部3は工具との係合のための凹部4を有する。骨アンカー固定装置は、ロッド6を受けてこれを骨アンカー固定要素1に接続するための受け部本体5も備える。さらに、受け部本体5中にロッド6を固定するため、雌ねじの形態の固定要素7が設けられる。骨アンカー固定装置は、頭部3を受け部本体5にロックするためのロッキングリング8を含む。
【0017】
受け部本体5は、実質的に円筒形で、第1の端9aと反対側の第2の端9bとを有するロッド受け部分9を備える。図5から図7に示されるように、同軸の第1のボア10が第2の端9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。ロッド受け部分9はさらに、第1の端9aから第2の端9bからの距離へ延在する同軸の第2のボア11を有する。第2のボア11の直径は第1のボア10よりも大きい。実質的にU字形状の凹部12がロッド受け部分9の第1の端9aから第2の端9bの方向に延在し、凹部12の直径は、ロッド6を凹部12の中に置くことができ、かつその中を導くことができるようにロッド6の直径よりもわずかに大きくなっている。凹部12により、雌ねじ山13が設けられる2つの自由な脚12a、12bが形成される。雌ねじ山は、メートルねじ、平頭ねじ、負角ねじ、鋸歯ねじ、またはいずれの他のねじ山形態でもあり得る。好ましくは、平頭ねじまたは負角ねじなどのねじ山の形態が用いられ、これは雌ねじ7が螺合される際に脚12a、12bが広がるのを防止する。凹部12の深さは、ロッド6および雌ねじ7が脚の間に挿入可能であるようなものである。
【0018】
図1に見られるように、凹部12によって形成されるチャネルのいずれかの端のロッド受け部分9に切欠き15が設けられる。
【0019】
脚12a、12bの領域のロッド受け部分9の外面に、周方向に延在し、ロッキングリング8の部分と係合するように働く溝16が設けられる。溝16は、ロッキングリング8が1つの方向にシフトされる際にロッキングリング8と溝16との係合解除を可能にするように非対称である。非対称な形状は、溝の下向きに傾いた下方壁16aおよび実質的に垂直の上方壁16bによって実現される。
【0020】
第2の端9bの側に、受け部本体5は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための収容スペースを設ける頭部受け部分17を備える。頭部受け部分17は、ロッド受け部分9の最大外径よりも小さな最大外径を有する。内部中空セクション18は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための座を形成し、開口19を介して頭部受け部分17の自由端17bに向けて開放している。中空セクション18はその形状が頭部3の形状に適合しており、示される実施例では、これは球状の頭部3を収容する球状セクションである。さらに、中空セクション18は、頭部3の最大直径を含む領域を覆う側から骨アンカー固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0021】
自由端17bに向けて開放している複数のスリット20が頭部受け部分17に設けられている。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にするので、中空の内部部分18の中に頭部3を摩擦によってクランプ留めし、最終的にこれをロックするように頭部受け部分を圧縮可能である。スリット20の数および大きさは、頭部受け部分17の所望の可撓性に依存して与えられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17を拡張させることによってアンカー固定要素1の頭部3を挿入可能であり、頭部受け部分17を圧縮することによって頭部をクランプ留め可能であるようなものである。
【0022】
頭部受け部分17の外面は第1のセクション21を有し、その外径は、たとえば外向きにカーブするまたは円錐形に広がる態様で自由端17bに向けて大きくなっている。第1のセクション21に隣接して、第1のセクション21に対して窪み、かつロッキングリング8の部分と係合するように働く周方向の溝22が存在する。溝22は、ロッキングリング8を1つの方向に動かす際にロッキングリング8と溝との係合解除を可能にするように非対称である。非対称の形状は、溝の下向きに傾いた下方壁22aおよび実質的に垂直の上方壁22によって実現される。
【0023】
溝22に隣接して、実質的に円筒形の外面を有する頭部受け部分17の第3の部分23が存在する。第3の部分23は、ロッキングリング8の部分と協働してロッキングリング8のクランプ留め効果を高めるように構成される。
【0024】
次に、図1から図7を参照してロッキングリング8を説明する。ロッキングリング8は実質的に円筒形であり、上方端8aおよび下方端8bを有する。装着された状態で、上方端8aはロッド受け部分9の第1の端9aの方向に向いており、下方端8bは頭部受け部分17の自由端17bに向いている。下方端の近くには、内面81aを有する第1の部分81が設けられ、これは頭部受け部分17の第1の外面部分21と協働して頭部受け部分17を圧縮する。第1の部分81の外面も、底部の外径が小さくなっていくように先細にされていてもよい。たとえば、第1の部分81の大きさは、先細にされた内面81aが頭部受け部分17の外面部分21と係合して頭部受け部分17に圧縮力を加えることができるようなものである。第1の部分の内面81aも、ロッキングリング8の中心に向いた曲率でカーブすることができる。
【0025】
下方端8bに、ロッキングリング8は内側に突出する端縁82を備え、その内径はロッキングリング8の他の部分の内径よりも小さい。内側に突出する端縁82は、頭部受け部分17の溝22と係合するように構成される。
【0026】
ロッキングリング8は、スリット84によって互いから分離される上向きに延在する壁部分83aからなる第3の部分83をさらに有する。上向きに延在する壁部分83bは、ロッキングリング8の内周方向肩85の外周に配置され、ロッキングリング8の第3の部分83を可撓性にしている。スリットの数および大きさならびに壁部分83aの厚みは、所望の可撓性が得られるように構成される。自由端に、壁部分83aは、ロッド受け部分9の外面上に設けられる溝16と係合するように形作られる係合セクション83bを備える。図5に見られるように、肩の内径はロッド受け部分9の外径よりもわずかしか大きくない。
【0027】
ロッキングリング8は、図5に示されるようにロッキングリング8が第1の位置にある場合に頭部受け部分17がロッキングリング8内で拡張して頭部3の導入を可能にすることができるように、頭部受け部分17に対してサイズ決めされる。
【0028】
互いに対して径方向に反対に位置する2つの突起86はロッキングリング8の第2の部分83に形成される。突起86は、図5および図6に示されるようにロッキングリング8が頭部3がまだロックされていない位置にある場合に実質的にU字形状の凹部12の底部の上に突出しかつ切欠き15の中に延在するような高さを有する。突起86の自由端面86aは、ロッド6に対応する曲率でカーブする、特に内側にカーブすることができる。ロッキングリング8は、受け部本体5の頭部受け部分17の周りで、突起86が凹部12の位置に位置するように配置される。これにより、突起86は、ロッド6が挿入されていない際にロッキングリング8が回転しないようにする。
【0029】
頭部受け部分17の可撓性および自由端17bの頭部受け部分17の大きさにより、ロッキングリングを自由端17bから頭部受け部分17上に組立てることによりロッキングリング8を装着できるようになる。頭部受け部分17の外径はロッド受け部分9よりも小さいため、ロッキングリング8は径方向にロッド受け部分9を越えて最小限だけ突出する。
【0030】
雌ねじ7は、脚12a、12b上に設けられた雌ねじ山13に対応するねじ山を有する。脚が広がるのを防止するねじ山形態を用いる場合、雌ねじ7などの単一の固定要素で十分である。これにより径方向の骨アンカー固定装置の大きさが低減される。たとえば外側ナットなどの他の固定要素も可能である。
【0031】
受け部本体5、ロッキングリング8、雌ねじ7、および骨アンカー固定要素1は、たとえば、チタンもしくはステンレス鋼などの生体適合性材料、またはニチノールなどの生体適合性合金、またはPEEKなどの生体適合性プラスチック材料からなる。部品はすべて同じまたは異なる材料から作ることができる。
【0032】
次に、図5から図12を参照してロッキングリング8の機能を説明する。図5に示されるように、挿入位置であり、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチされるロッキング8の第1の位置は、内側に突出する端縁82が頭部受け部分17の外面で溝22に係合するように規定される。図に見られるように、内側に突出する端縁82の内径は溝22の位置で頭部受け部分17の外径よりも大きく、これにより、頭部3が導入されると頭部受け部分17が拡張できるようになる。第1の位置で、ロッキングリング8は、受け部本体5のロッド受け部分9と、特に図5および図8に見られるようにわずかに外向きに曲がったロッキングリング8の可撓性壁部分83aとの間のクランプ力によってさらに保持される。
【0033】
ロッキングリング8が第1の位置にある場合、頭部受け部分17は圧縮されない。この位置では、図8に見られるように、ねじ頭部3を導入可能である。第1の位置で、ロッキングリング8は、ロッド受け部分9の第1の端9aに向けて上向きに動かないようにされる。なぜなら、ロッキングリングは頭部受け部分17の第2の端9bに肩85で当接し、かつ溝16の上方壁16bに内側に突出する端縁82で当接するからである。特に図8に示されるように、第2の端9bおよび溝16の上方壁にロッキングリング8が当接すると、上向きの動きに対してロッキングリング8が定位置に保持される。溝16の傾いた下方壁16aは、ロッキングリング8がうっかり下向きに動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わるとロッキングリング8が下向きに動くのを可能にする。ロッキングリング8の内径は、圧縮されていない状態では頭部受け部分17の外径よりも大きいので、ロッキングリング8内の空間への頭部受け部分17の拡張は可能である。第1の位置で、頭部3は自由に回動可能である。
【0034】
ロッキングリング8が受け部本体5に対してラッチされる、予備ロック位置である第2の位置が図6、図9および図11に示される。第2の位置で、ロッキングリング8は、可撓性壁部分83aの係合部分83bがロッド受け部分9に設けられた溝16の中に弾性的にパチンと嵌るまで、頭部受け部分17の自由端17bに向けてシフトされた。係合部分83bの自由上方端縁は、図6および図9に示されるように、溝16の上方壁16bに当接し、これにより予備ロック位置を外れてロッキングリング8が上向きに動いてしまうのを防止する。一方で、溝16の傾いた下方壁面16aは、自由端17bに向けてロッキングリング8がうっかり下方向に動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わった際はそのような下向きの動きを可能にする。
【0035】
第2の位置で、特に図6および図9に見られるように、ロッキングリング8の傾いた内面81aは、頭部3を完全にロックすることなく、頭部受け部分17の第1の外面部分21を押さえつけて頭部受け部分17を圧縮して中空の内部部分18内で頭部3をクランプ留めする。さらに、内側に突出する端縁82は頭部受け部分17bの第3の部分23を押さえつけて、その結果付加的なクランプ力が生じる。これにより、頭部3の上または横からだけでなく、頭部3の下方部分の領域からも頭部3のクランプ留めを行なうことができる。予備ロックとは、外科手術の際に生じる条件下では、受け部本体5に対する骨アンカー固定要素1の角度付けられた位置が維持され、ねじ要素1の受け部本体5に対して付加的な力を加えることによってのみ緩めることが可能であることを意味する。予備ロック位置では、骨アンカー固定要素1を受け部から取外すことはできない。したがって、頭部3が不慮に外れたりうっかりと外れたりする可能性はない。しかしながら、たとえば手動で調節される角度で、ねじ要素1の角度形成が可能である。
【0036】
ロック位置である第3の位置が図10および図12に示される。第3の位置は、ねじ頭部3が頭部受け部分17内に最終的にロックされる位置として定義される。ロッキングリング8の内面81aは、頭部3が頭部受け部分17の圧縮によってロックされるように、頭部受け部分17の第1の部分21の外面に係合する。さらに、内側に突出する端縁82は、下方部分23で頭部受け部分17をさらに圧縮し、これによりロック力を高める。
【0037】
受け部本体5およびロッキングリング8の寸法は、第2の位置および第3の位置においてそれぞれ所望のクランプ力に到達することができるように構成される。
【0038】
第3の位置には、係合部分83bおよび内側に突出するリング82が溝16、22の傾いた下方壁部分16aおよび22aに沿ってそれぞれ摺動するように、受け部本体5に対してロッキングリング8をシフトさせることによって到達可能である。
【0039】
骨アンカー固定装置は以下のように予め組立てられる。まず、ロッキングリング8を自由端17bから受け部本体5上に装着する。たとえば、製造者がこれを行なうことができる。好ましくは、ロッキングリング8は、溝22と内側に突出する端縁82とが係合することによってロッキングリングがラッチされる第1の位置にある。その後、アンカー固定要素1の頭部3が自由端17bから頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に導入される。その後、ロッキングリング8が受け部本体5に対して下向きに動かされ、これにより内側に突出するリング82が溝22から摺動して外に出て、可撓性壁部分83aの係合部分83bが溝16にパチンと嵌り、これにより、頭部3が摩擦クランプ留めによって予備ロックされる第2の位置に到達する。
【0040】
次に、図13から図21を参照して第1の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。工具100は、ねじ要素1のための第1の保持具102と受け部のための第2の保持具103とを有する枠101を備える。保持具102、103は、工具が立設する場所に対してねじの軸が水平となるような向きにされる。第1の保持具102は、ねじ要素1のシャンク2のための凹部102aを備え、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部の直径は頭部3の直径よりも小さい。これにより、第1の保持具102の自由端面102bはねじ要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具102は枠101上に支持される。
【0041】
受け部のための第2の保持具103も枠101上に支持される。これは、受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部103aを備える。第1の保持具102に対する第2の保持具103の向きは、受け部とねじ要素1との両者が保持具102、103の中に挿入された際に受け部の中心軸がねじの軸と同軸であるようなものである。円形の凹部103aは2つの異なる深さを有し得る。これは、第2の保持具103に設けられる対応のスロットに挿入され、凹部103aの中心軸の方向を横切る方向にシフトされて凹部103aの深さを限定することができる挿入物104によって実現される。挿入物104は1つの円形の凹部142を有する。位置1で、図13から図18に示されるように、挿入物は凹部103aの深さを第1の深さ141に限定し、こうして受け部の第1の端9aの当接部を設ける。図19から図21に示される位置2で、挿入物104は、その凹部142が第2の保持具103の凹部103aの底を形成するようにシフトされる。その深さは第1の位置の深さ141よりも大きい。図19から図21に示されるように第2の保持具103の外面103bがロッキングリング8の当接部を形成するまで、凹部103aの中に受け部をより深く挿入可能である。凹部103aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に受け部の輪郭に適合させることができる。
【0042】
ねじ要素1のための第1の保持具102は、受け部本体5のための第2の保持具103に対して軸方向に移動可能である。これはレバー105およびハンドル106を介して作動可能である。レバー105は一例に過ぎず、ねじ要素1のための第1の保持具102の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解するべきである。
【0043】
工具の寸法は、受け部が挿入される第2の保持具103に対してねじ要素1のための第1の保持具102が移動することにより、凹部103aが第1の深さ141を有しロッキングリング8が第1の位置にある場合にねじ要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入するのに十分な力を加えることができるように構成される。これはさらに、凹部103aが第2の深さ142を有する場合に、第1の保持具102が第2の保持具103に対して再び動かされて第1の位置から外れて第2の位置にロッキングリング8を動かすとロッキングリング8に対して十分な力を加えることができるように構成される。
【0044】
図17から図21に工具の動作を示す。図17aおよび図17bに示されるように、まず、ねじ要素1が第1の保持具102に挿入され、凹部103aが第1の深さ141を有する場合、装着されたロッキングリング8が第1の位置にある受け部本体5が第2の保持具103の凹部103aに装着される。
【0045】
次のステップで、図18aおよび図18bに示されるように、レバー105を作動させるようにハンドルが作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に押し込まれる。第2の保持具103の凹部103aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。ねじ要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまでハンドルが作動される。ラッチは可聴のサインを発生し得る。
【0046】
その後、図19から図21に示されるように、ねじ要素1のための第1の保持具102は後方にシフトされ、挿入物104は、円形の凹部142が凹部103の底を形成してロッキングリング8のための当接部を設ける第2の位置に動かされる。
【0047】
図20および図21に示されるように、ハンドル106は、第2の保持具103に対して第1の保持具102を押すように作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、第2の保持具103の自由な前面103bがロッキングリング8の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけてこれによりロッキングリング8を第1の位置から外し、ロッド受け部分9上の溝16の中にラッチする第2の位置に動かすような深さを有する凹部103aの底に押し付けられる。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌ると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0048】
その後、第1の保持具102は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。
次に、図22から図28cを参照して、第2の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。図22に見られるように、工具200は、ねじ要素1のための第1の保持具202と受け部のための第2の保持具203とを有する枠201を備える。工具200が第1の実施例に従う工具100と唯一異なるのは、第2の保持具203が第1の実施例に従う第2の保持具103と異なっている点である。保持具202、203は、工具が立設する場所に対してねじの軸が水平となるような向きにされ得る。保持具202は、ねじ要素1のシャンク2のための凹部202aを備え、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部202aの直径は頭部3の直径よりも小さい。これにより、第1の保持具202の自由端面202bはねじ要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具202は枠201上に支持される。受け部のための第2の保持具203も枠201上に支持される。第1の保持具202に対する第2の保持具203の向きは、受け部とねじ要素1との両者が保持具202、203の中に挿入された際に受け部の中心軸がねじの軸と同軸であるようなものである。ねじ要素1のための第1の保持具202は、受け部本体5のための第2の保持具203に対して軸方向に移動可能である。これはレバー205およびハンドル206を介して作動可能である。レバー205は一例に過ぎず、ねじ要素1のための第1の保持具202の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解するべきである。
【0049】
図23に見られるように、第2の保持具203は、本体210、第1の端211、第2の端212、ボア220、および受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部203aを備える。図24に見られるように、第2の保持具203は、ねじ山213、スリーブ214、ばね215、プレート216、およびねじ217をさらに備える。図25a、図25bに見られるように、カップ型のスリーブ214は、第1の端211に向けて延在する側で閉じており、本体210のボア220内で摺動するように構成されている。というのも、その直径はボア220の内径よりも僅かに小さいからである。ばね215はスリーブ214内に設けられ、プレート216と、本体210のねじ山213に螺合される雌ねじ217とによって支持される。第2の保持具203の中に圧入される、たとえば基台などの、ばね215を支持するための他の設計が可能である。ばね215は弦巻ばね215として示されるが、板ばね、皿ばね、エラストマークッションなどの他のばね要素が可能である。
【0050】
円形の凹部203aは異なる深さを有することができる。これは、受け部のための当接装置を設ける可動スリーブ214によって実現される。図25aでは第1の当接位置を示し、図25bでは第2の当接位置を示し、図25bには、ばね215が圧縮された際の空間218を示す。スリーブ214は受け部の第1の端9a(図1を参照)のための当接部を設ける。第1の当接位置では、スリーブ214の閉じた側が第2の保持具203の凹部203aの底を形成し、その深さは第2の当接位置の深さよりも浅い。これは受け部の第1の端9aによってより大きな力がそれぞれスリーブ214およびばね215に加えられると達成される。力は、第1の保持具202、シャフト2および頭部3を介して、受け部の第1の端9aへ、最終的にはスリーブ214へハンドル206およびレバー205によって加えられる。凹部203aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に、受け部のいずれの可能な輪郭にも適合させることができる。
【0051】
工具200の寸法およびばね力は、受け部が挿入される第2の保持具203に対してねじ要素1を有する第1の保持具202が移動することにより、凹部203aが第1の深さを有しロッキングリング8が第1の位置にある場合に第1の力が加えられてねじ要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入できるように構成される。これはさらに、凹部203aが第2の深さを有する場合は、第1の保持具202が第2の保持具203に対してさらに動かされてロッキングリング8が第1の位置から外れて第2の位置に動くとロッキングリング8に第2の力を加えることができるように構成される。発明に従う工具200は、受け部の高さおよび受け部に対するロッキングリング8の位置が異なるさまざまな骨アンカー固定装置の装着を可能にする。
【0052】
図26aから図28cに工具の動作を示す。図26a、図27および図28aに示されるように、まず、ねじ要素1が第1の保持具202に挿入され、凹部が第1の深さを有する場合、ロッキングリング8が第1の位置に装着された受け部本体5が第2の保持具203の凹部203aに装着される。
【0053】
次のステップで、図26bおよび図28bに示されるように、レバー205(図22を参照)を作動させるようにハンドル206が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18(図5を参照の中に押し込まれる。第2の保持具203、すなわちスリーブ214、の凹部203aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。ねじ要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまでハンドル206が作動される。ラッチは可聴のサインを発生し得る。ロッキングリング8は第1の端211の側壁にまだ接触していない。ばね215の抗力は、頭部3を受け部本体5に挿入するのに対する抗力よりも大きい。したがって、ばね215はこのステップにおいて圧縮されない。
【0054】
図26cおよび図28cに示されるように、ハンドル206は、第2の保持具203に対して第1の保持具202を押すようにさらに作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、凹部203a、すなわちスリーブ214、の底に押し付けられる。ロッキングリング8および受け部本体5を互いに対して動かすのに必要な力または抗力は、ばね215の抗力よりも大きい。したがってばね215が圧縮される。凹部203aは今や、第2の保持具203の第1の端211の側壁がロッキングリング8(図3を参照)の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけ、これによりロッキングリング8を第1の位置から外して、ロッキングリングがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置にロッキングリング8を動かすような深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌まると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0055】
その後、第1の保持具202は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。第1の実施例を参照して、工具200のこの第2の実施例の利点は、必要なのがハンドル206の単一の作動のみであり、骨アンカー固定装置の装着の間に動かす必要のある部品がないことである。
【0056】
第2の実施例に従う工具により、頭部の導入および頭部の予備ロック位置への装着を含む1ステップで骨アンカー固定装置の組立を容易に行なうことができる。
【0057】
図29から図33を参照して、次に第1の保持具302のさらなる実施例を説明する。図29に示される工具100は、第1の保持具102または202を置換え、以下に記載される第1の保持具302を除いて上述の工具100と同じである。
【0058】
図30b)、図31に示される第1の保持具302は、図30bを参照すると鉛直方向に内側に頂部から延在する長手方向のU字形状の凹部302aを備える。凹部302aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具302の自由端面302bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具302は枠101上に支持される。
【0059】
図30aおよび図32は、シリンダの中心軸323の周りに周方向に配置される複数の長手方向に延在する凹部322a、322b、322cを有するシリンダ320の形態の第1の保持具のための挿入物を示す。凹部は、異なるシャンクを有するねじの挿入に適合される。示される実施例では、シリンダは、第1の半径を有する第1のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322a、第2の半径を有する第2のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322b、および第3の半径を有する第3のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322cを備え、3つの半径は互いに異なっている。3つの凹部322a、322b、322cは、図30aに見られるようにシリンダ320の全長に亘って延在する。シリンダ320は第1の端および第2の端を備え、第1の端の上に第1のピン321が設けられ、第2の端の上に第2のピン322が設けられる。ピン321、322はシリンダ320の中心軸323と整列される。
【0060】
第1の保持具302は第1の端および第2の端を備え、第1の端の上に第1のスロット311が設けられ、第2の端の近くに第2のスロット312が設けられ、この両者ともが、図30bを参照すると鉛直方向に内側に第1の保持具302の頂部から延在する。第1の保持具302の第2の端は、図29に見られるように、レバー105およびハンドル106に接続されるように設けられる。
【0061】
第1の保持具302のU字形状の凹部302aは、シリンダ320を受けるように設けられる。U字形状の凹部302aの丸くなっている部分の半径(Uの基部)はシリンダ320の半径と実質的に等しい。
【0062】
図31に見られるように、装着された状態で、シリンダ320の第1のピン321は第1の保持具302の第1のスロット311に嵌合し、シリンダ320の第2のピン322は第1の保持具302の第2のスロット312に嵌合する。シリンダ320はピン321、322によって支持されかつ導かれ、図34に見られるように第1の保持具302のU字形状の凹部302aによっても保持される。
【0063】
第2の保持具103、203に対する第1の保持具302の向きは、受け部5が第2の保持具103、203の中に挿入され、骨アンカー固定要素1がシリンダ320の凹部322a、322bまたは322cのうち1つの上の第1の保持具302に挿入された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0064】
3つの凹部322a、322bまたは322cは、図29、図31または図34を参照してどの凹部が第1の保持具302の頂部に面しているかという意味の、使用されている凹部322a、322b、322cに依存して骨アンカー固定要素1の異なる大きさのシャンク2を受けるように適合される。シリンダ320のこの特定的な形態により、頭部3の大きさが受け部5に嵌合する限り、少なくとも3つの異なる大きさの骨アンカー固定要素1を受け部本体5に装着することができる。凹部322a、322b、322cを変更するには、シリンダ320の上にあるものをその軸323の周りで回転させるだけでよい。
【0065】
凹部の数が3つよりも多いまたは少ないシリンダを設けることも可能である。保持具の第2の実施例では、異なるシャンクを有するねじまたはアンカーを受け部と組合わせることができる。したがって、実際の臨床状況に依存して実質的なインプラントの選択肢をユーザに与えるモジュール式システムが提供される。
【0066】
骨アンカー固定装置は、製造により、または外科手術の準備の間に、またはいずれの他のときにも予め組立可能である。有利には、外科医が外科手術の前に臨床適用例の特定的な要件に従って必要な受け部および骨アンカー固定要素を選択する。骨アンカー固定装置の設計により、アンカー固定セクションの直径、長さおよび他の特徴という観点で適切な骨アンカー固定要素を選択することが可能になる。したがって、個別に選択および適合が可能である受け部およびいくつかの骨アンカー固定要素を含むモジュール式システムが提供される。
【0067】
外科手術における使用の際に、受け部本体5、骨アンカー固定要素1、および予備ロック位置にあるロッキングリング8を備える予め組立てられた骨アンカー固定装置が骨に螺合される。頭部の凹部4には、第1のボア10を通してねじ工具を用いてアクセス可能である。接続すべきロッド6に対して受け部本体5を正しく整列させるため、手動でまたは器具の適用によって、受け部に対して付加的な力が加えられる。他の骨アンカー固定装置に対するロッド6の正しい位置が一旦達成されると、雌ねじ7が締結される。ロッド6がロッキングリング8の突起86に当接しているので、ロッキングリング8はロック位置である第3の位置へ下向きにシフトされる。ロッキングリング8が頭部受け部分の自由端17bに向けて動かされると、頭部受け部分が圧縮され、これにより頭部がロックされる。雌ねじの最終的な締結によりロッド6および頭部3が同時にロックされる。
【0068】
予備ロック条件では、雌ねじが緩められても頭部3はクランプ留めされたままである。これによりロッド6のさらなる調節が可能になる。
【0069】
示される実施例のさらなる修正例が可能である。たとえば、骨アンカー固定要素1の頭部3は、たとえば、円筒形などのいずれの他の形状を有することもでき、これにより、単一の軸を中心とした受け部本体5に対するねじ要素1の回転を可能にする単軸骨ねじが設けられる。頭部3も、円錐形状またはそれ以外の形状であることもでき、頭部受け部分17の内部中空セクション18はこの形状に適合される。さらなる修正例では、頭部受け部分17の可撓性はたとえばプラスチック材料などの材料の性質に基づき、スリットをすべてまたは一部省略してもよい。
【0070】
ロッド6と係合するロッキングリング8の突起は別の形状を有することができ、たとえば、自由端の表面は平らであることができ、またはそれ以外の形状であることができる。突起を省略することができる。
【0071】
頭部受け部分17は傾いた開放端を有することができ、または一方向に頭部3のより大きな角度形成を可能にするように他の態様で非対称であることができる。
【0072】
頭部受け部分17の外面およびロッキングリング8の内面は、ロッキングリング8が下向きにシフトされる際に、増大していく力によりロッキングリング8の圧縮を可能にする他の形状を有することができる。
【0073】
工具に関しても変形が可能である。たとえば、受け部の中心軸とねじの軸とが工具が立設する表面に対して垂直に延在するように工具を構成可能である。受け部本体5のための第2の保持具103はねじ要素1のための第1の保持具102に対して可動であり得る。工具を手動で作動させる代わりに、機械的にまたは電子的に動作される装置で工具を作動させることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 骨アンカー固定要素、3 頭部、5 受け部本体、8 ロッキングリング、9 ロッド受け部分、17 頭部受け部分、100、200 工具。
【技術分野】
【0001】
発明は、骨アンカー固定要素にロッドを結合するための、ロッドを受けるための受け部と、そのような受け部とを備える骨アンカー固定装置を組立てるための方法および工具に関する。受け部は受け部本体およびロッキングリングを含む。ロッキングリングは、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、骨アンカー固定要素の頭部を挿入可能な第1の位置と、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、骨アンカー固定要素が調節可能な角度付けられた位置に保持されるが完全にロックされない第2の位置とを取ることができる。骨アンカー固定装置は、たとえば、多軸骨ねじの形態で実現可能である。組立方法は、受け部本体および第1の位置のロッキングリングを設けるステップと、頭部を挿入するステップと、ロッキングリングを第2の位置に動かすステップとを含む。工具はステップの実行のために構成される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタ本体およびキャップを含む、骨アンカーを支持ロッドに接続するための機器を開示する。コネクタ本体は、骨アンカーの挿入、角度形成および取外しのためのソケットを有する。スリーブが設けられ、スリーブは、コネクタ本体の上にわたってスリーブが骨アンカーの挿入を許す一時的な位置に嵌合し、スリーブが角度形成は許すが骨アンカーが外れないようにする仮ロック位置に移動し、またスリーブが骨アンカーの角度形成および外れの両方を防止するロック位置に移動するように構成される。
【0003】
アンカー固定要素の頭部が受け部に対して自由に回動可能である場合、受け部とロッドの挿入部との整列は、たとえば、多数の骨アンカーをロッドに接続する必要がある場合などのより複雑な臨床適用例では困難になるかもしれない。
【0004】
外科手術の際に異なるアンカー固定要素の中から選んで特定の臨床適用例に最も適切なアンカー固定要素を選択する必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/038350A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の課題は、容易に行なえる、骨アンカー固定装置を組立てるための改良された方法を提供すること、および骨アンカー固定装置の組立のための改良された工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題は、請求項1に従う骨アンカー固定装置を組立てる方法、および請求項7に記載の工具によって解決される。従属クレームはさらなる発展例を与える。
【0008】
発明に従う受け部は、ロッキングリングが挿入位置である第1の位置にある際に骨アンカー固定要素の頭部が受け部本体の中に挿入されるのを可能にする。この位置で、ロッキングリングは受け部本体に対してラッチされる。したがって、ロッキングリングがうっかり動かされて受け部本体の頭部受け部分を圧縮する可能性はない。したがって、頭部の挿入が容易になる。
【0009】
予備ロック位置である第2の位置では、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、かつ頭部受け部分が圧縮されるため、骨アンカー固定要素は調節可能な角度付けられた位置に保持されるが、完全にはロックされない。これによりアンカー固定要素がうっかり外れることがなくなり、調節可能な角度付けられた位置で骨アンカー固定要素の頭部に対して受け部本体を保持できるようになる。したがって、外科手術の際の骨アンカー固定装置の安全かつ便利な取り扱いを保証することができる。
【0010】
ロック位置である第3の位置では、ロッキングリングは、骨アンカー固定要素が完全にロックされ回動不能となるように頭部受け部分を圧縮する。
【0011】
受け部本体およびロッキングリングは予め組立てられていてもよく、ねじ要素の頭部の導入を可能にする第1の位置にロッキングリングがラッチされる構成に製造されてから配送されてもよい。たとえば、特定の直径および長さを有する骨ねじである好適な骨アンカー固定要素を選択し、受け部に挿入することができる。その後で、頭部が予備ロックされる、受け部に対する第2の位置にロッキングリングを動かすことができる。第2の位置で受け部本体のロッキングリングがラッチされる音が聞こえるので、骨アンカー固定装置を組立てる人は受け部へのねじ要素の正しい装着を確かめることができる。予備ロックされた条件では、ねじ要素は、頭部のクランプ留めの摩擦力を上回る付加的な力が加わることによってのみ受け部に対して回動可能である。
【0012】
実際の臨床要件に依存して、さまざまなアンカー固定要素を要求に応じていずれの好適な受け部とも組み合わせられるようにするモジュール式システムを骨アンカー固定装置に設けることができる。これは多軸ねじのコストを低減し、在庫を減らし、外科医にインプラントの実質的な選択肢を与える。
【0013】
発明に従う骨アンカー固定装置を組立てる方法は、たとえば、外科手術の前またはその間に外科医または外科医を補助するいずれの人員などのいずれの専門家によっても行なわれ得る。
【0014】
発明に従う工具は取り扱いが容易であり、安全な組立を可能にする。
発明のさらなる特徴および利点が添付の図面による実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】骨アンカー固定装置の実施例の分解斜視図である。
【図2】組立てられた状態の図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【図3】ロッキングリングの拡大斜視図である。
【図4】図3の線A−Aに沿った、図3に示されるロッキングリングの断面図である。
【図5】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第1の位置にある、ロッドの軸に垂直に取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図6】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第2の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図7】ロッキングリングが第3の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、ロッドが挿入され固定された、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図8】受け部の中に骨アンカー固定要素が挿入されようとしている、骨アンカー固定装置を組立てる第1のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図9】頭部が受け部に導入されて予備ロックされた、骨アンカー固定装置を組立てる第2のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図10】頭部がロックされた骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図11】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされて頭部の導入を可能にする第1の位置にある、受け部の部分の拡大断面図である。
【図12】ロッキングリングによって付加的なクランプ留めが行なわれる、頭部が最終的にロックされた状態の骨アンカー固定装置の部分の拡大断面図である。
【図13】骨アンカー固定装置を組立てるための、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図14】骨アンカー固定要素が保持具に挿入された、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図15】受け部が保持具に挿入される、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図16】受け部が保持具に導入された、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図17a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部の中に挿入されようとしている、組立のステップを図示する、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図17b】図17aの部分の拡大図である。
【図18a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿入された、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図18b】図18aの拡大した部分を示す図である。
【図19】頭部の挿入の後であって、ロッキングリングの予備ロック位置に入る前の、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図20】ロッキングリングの予備ロック位置を得るステップにおける第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図21】ロッキングリングが予備ロック位置を取り、頭部をクランプ留めする、第1の実施例に従う工具の拡大した部分の斜視図である。
【図22】骨アンカー固定装置を組立てるための、第2の実施例に従う工具の斜視図である。
【図23】第2の実施例に従う第2の保持具の斜視図である。
【図24】第2の実施例に従う第2の保持具の分解斜視図である。
【図25a】第1の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図25b】第2の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図26a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図27】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の断面図である。
【図28a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図28b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図28c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具のさらなる拡大部分の断面図である。
【図29】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿入される、組立てのステップを示す工具の斜視図である。
【図30a】いくつかのシリンダセクション形状またはU字形状の凹部を有するシリンダの形態の第1の保持具のための挿入物を示す図である。
【図30b】第2の実施例の第1の保持具を示す図である。
【図31】装着された状態の、第2の実施例の第1の保持具およびシリンダを示す図である。
【図32】シリンダの断面図である。
【図33】装着された状態の、枠、第2の実施例の第1の保持具、シリンダ、およびねじの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図7に示されるように、骨アンカー固定装置は、ねじ切りされたシャフト2とカーブした表面部分を有する頭部3とを有する骨ねじの形態の骨アンカー固定要素1を備える。この実施例では、頭部3は球状セグメントの形状である。頭部3は工具との係合のための凹部4を有する。骨アンカー固定装置は、ロッド6を受けてこれを骨アンカー固定要素1に接続するための受け部本体5も備える。さらに、受け部本体5中にロッド6を固定するため、雌ねじの形態の固定要素7が設けられる。骨アンカー固定装置は、頭部3を受け部本体5にロックするためのロッキングリング8を含む。
【0017】
受け部本体5は、実質的に円筒形で、第1の端9aと反対側の第2の端9bとを有するロッド受け部分9を備える。図5から図7に示されるように、同軸の第1のボア10が第2の端9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。ロッド受け部分9はさらに、第1の端9aから第2の端9bからの距離へ延在する同軸の第2のボア11を有する。第2のボア11の直径は第1のボア10よりも大きい。実質的にU字形状の凹部12がロッド受け部分9の第1の端9aから第2の端9bの方向に延在し、凹部12の直径は、ロッド6を凹部12の中に置くことができ、かつその中を導くことができるようにロッド6の直径よりもわずかに大きくなっている。凹部12により、雌ねじ山13が設けられる2つの自由な脚12a、12bが形成される。雌ねじ山は、メートルねじ、平頭ねじ、負角ねじ、鋸歯ねじ、またはいずれの他のねじ山形態でもあり得る。好ましくは、平頭ねじまたは負角ねじなどのねじ山の形態が用いられ、これは雌ねじ7が螺合される際に脚12a、12bが広がるのを防止する。凹部12の深さは、ロッド6および雌ねじ7が脚の間に挿入可能であるようなものである。
【0018】
図1に見られるように、凹部12によって形成されるチャネルのいずれかの端のロッド受け部分9に切欠き15が設けられる。
【0019】
脚12a、12bの領域のロッド受け部分9の外面に、周方向に延在し、ロッキングリング8の部分と係合するように働く溝16が設けられる。溝16は、ロッキングリング8が1つの方向にシフトされる際にロッキングリング8と溝16との係合解除を可能にするように非対称である。非対称な形状は、溝の下向きに傾いた下方壁16aおよび実質的に垂直の上方壁16bによって実現される。
【0020】
第2の端9bの側に、受け部本体5は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための収容スペースを設ける頭部受け部分17を備える。頭部受け部分17は、ロッド受け部分9の最大外径よりも小さな最大外径を有する。内部中空セクション18は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための座を形成し、開口19を介して頭部受け部分17の自由端17bに向けて開放している。中空セクション18はその形状が頭部3の形状に適合しており、示される実施例では、これは球状の頭部3を収容する球状セクションである。さらに、中空セクション18は、頭部3の最大直径を含む領域を覆う側から骨アンカー固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0021】
自由端17bに向けて開放している複数のスリット20が頭部受け部分17に設けられている。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にするので、中空の内部部分18の中に頭部3を摩擦によってクランプ留めし、最終的にこれをロックするように頭部受け部分を圧縮可能である。スリット20の数および大きさは、頭部受け部分17の所望の可撓性に依存して与えられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17を拡張させることによってアンカー固定要素1の頭部3を挿入可能であり、頭部受け部分17を圧縮することによって頭部をクランプ留め可能であるようなものである。
【0022】
頭部受け部分17の外面は第1のセクション21を有し、その外径は、たとえば外向きにカーブするまたは円錐形に広がる態様で自由端17bに向けて大きくなっている。第1のセクション21に隣接して、第1のセクション21に対して窪み、かつロッキングリング8の部分と係合するように働く周方向の溝22が存在する。溝22は、ロッキングリング8を1つの方向に動かす際にロッキングリング8と溝との係合解除を可能にするように非対称である。非対称の形状は、溝の下向きに傾いた下方壁22aおよび実質的に垂直の上方壁22によって実現される。
【0023】
溝22に隣接して、実質的に円筒形の外面を有する頭部受け部分17の第3の部分23が存在する。第3の部分23は、ロッキングリング8の部分と協働してロッキングリング8のクランプ留め効果を高めるように構成される。
【0024】
次に、図1から図7を参照してロッキングリング8を説明する。ロッキングリング8は実質的に円筒形であり、上方端8aおよび下方端8bを有する。装着された状態で、上方端8aはロッド受け部分9の第1の端9aの方向に向いており、下方端8bは頭部受け部分17の自由端17bに向いている。下方端の近くには、内面81aを有する第1の部分81が設けられ、これは頭部受け部分17の第1の外面部分21と協働して頭部受け部分17を圧縮する。第1の部分81の外面も、底部の外径が小さくなっていくように先細にされていてもよい。たとえば、第1の部分81の大きさは、先細にされた内面81aが頭部受け部分17の外面部分21と係合して頭部受け部分17に圧縮力を加えることができるようなものである。第1の部分の内面81aも、ロッキングリング8の中心に向いた曲率でカーブすることができる。
【0025】
下方端8bに、ロッキングリング8は内側に突出する端縁82を備え、その内径はロッキングリング8の他の部分の内径よりも小さい。内側に突出する端縁82は、頭部受け部分17の溝22と係合するように構成される。
【0026】
ロッキングリング8は、スリット84によって互いから分離される上向きに延在する壁部分83aからなる第3の部分83をさらに有する。上向きに延在する壁部分83bは、ロッキングリング8の内周方向肩85の外周に配置され、ロッキングリング8の第3の部分83を可撓性にしている。スリットの数および大きさならびに壁部分83aの厚みは、所望の可撓性が得られるように構成される。自由端に、壁部分83aは、ロッド受け部分9の外面上に設けられる溝16と係合するように形作られる係合セクション83bを備える。図5に見られるように、肩の内径はロッド受け部分9の外径よりもわずかしか大きくない。
【0027】
ロッキングリング8は、図5に示されるようにロッキングリング8が第1の位置にある場合に頭部受け部分17がロッキングリング8内で拡張して頭部3の導入を可能にすることができるように、頭部受け部分17に対してサイズ決めされる。
【0028】
互いに対して径方向に反対に位置する2つの突起86はロッキングリング8の第2の部分83に形成される。突起86は、図5および図6に示されるようにロッキングリング8が頭部3がまだロックされていない位置にある場合に実質的にU字形状の凹部12の底部の上に突出しかつ切欠き15の中に延在するような高さを有する。突起86の自由端面86aは、ロッド6に対応する曲率でカーブする、特に内側にカーブすることができる。ロッキングリング8は、受け部本体5の頭部受け部分17の周りで、突起86が凹部12の位置に位置するように配置される。これにより、突起86は、ロッド6が挿入されていない際にロッキングリング8が回転しないようにする。
【0029】
頭部受け部分17の可撓性および自由端17bの頭部受け部分17の大きさにより、ロッキングリングを自由端17bから頭部受け部分17上に組立てることによりロッキングリング8を装着できるようになる。頭部受け部分17の外径はロッド受け部分9よりも小さいため、ロッキングリング8は径方向にロッド受け部分9を越えて最小限だけ突出する。
【0030】
雌ねじ7は、脚12a、12b上に設けられた雌ねじ山13に対応するねじ山を有する。脚が広がるのを防止するねじ山形態を用いる場合、雌ねじ7などの単一の固定要素で十分である。これにより径方向の骨アンカー固定装置の大きさが低減される。たとえば外側ナットなどの他の固定要素も可能である。
【0031】
受け部本体5、ロッキングリング8、雌ねじ7、および骨アンカー固定要素1は、たとえば、チタンもしくはステンレス鋼などの生体適合性材料、またはニチノールなどの生体適合性合金、またはPEEKなどの生体適合性プラスチック材料からなる。部品はすべて同じまたは異なる材料から作ることができる。
【0032】
次に、図5から図12を参照してロッキングリング8の機能を説明する。図5に示されるように、挿入位置であり、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチされるロッキング8の第1の位置は、内側に突出する端縁82が頭部受け部分17の外面で溝22に係合するように規定される。図に見られるように、内側に突出する端縁82の内径は溝22の位置で頭部受け部分17の外径よりも大きく、これにより、頭部3が導入されると頭部受け部分17が拡張できるようになる。第1の位置で、ロッキングリング8は、受け部本体5のロッド受け部分9と、特に図5および図8に見られるようにわずかに外向きに曲がったロッキングリング8の可撓性壁部分83aとの間のクランプ力によってさらに保持される。
【0033】
ロッキングリング8が第1の位置にある場合、頭部受け部分17は圧縮されない。この位置では、図8に見られるように、ねじ頭部3を導入可能である。第1の位置で、ロッキングリング8は、ロッド受け部分9の第1の端9aに向けて上向きに動かないようにされる。なぜなら、ロッキングリングは頭部受け部分17の第2の端9bに肩85で当接し、かつ溝16の上方壁16bに内側に突出する端縁82で当接するからである。特に図8に示されるように、第2の端9bおよび溝16の上方壁にロッキングリング8が当接すると、上向きの動きに対してロッキングリング8が定位置に保持される。溝16の傾いた下方壁16aは、ロッキングリング8がうっかり下向きに動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わるとロッキングリング8が下向きに動くのを可能にする。ロッキングリング8の内径は、圧縮されていない状態では頭部受け部分17の外径よりも大きいので、ロッキングリング8内の空間への頭部受け部分17の拡張は可能である。第1の位置で、頭部3は自由に回動可能である。
【0034】
ロッキングリング8が受け部本体5に対してラッチされる、予備ロック位置である第2の位置が図6、図9および図11に示される。第2の位置で、ロッキングリング8は、可撓性壁部分83aの係合部分83bがロッド受け部分9に設けられた溝16の中に弾性的にパチンと嵌るまで、頭部受け部分17の自由端17bに向けてシフトされた。係合部分83bの自由上方端縁は、図6および図9に示されるように、溝16の上方壁16bに当接し、これにより予備ロック位置を外れてロッキングリング8が上向きに動いてしまうのを防止する。一方で、溝16の傾いた下方壁面16aは、自由端17bに向けてロッキングリング8がうっかり下方向に動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わった際はそのような下向きの動きを可能にする。
【0035】
第2の位置で、特に図6および図9に見られるように、ロッキングリング8の傾いた内面81aは、頭部3を完全にロックすることなく、頭部受け部分17の第1の外面部分21を押さえつけて頭部受け部分17を圧縮して中空の内部部分18内で頭部3をクランプ留めする。さらに、内側に突出する端縁82は頭部受け部分17bの第3の部分23を押さえつけて、その結果付加的なクランプ力が生じる。これにより、頭部3の上または横からだけでなく、頭部3の下方部分の領域からも頭部3のクランプ留めを行なうことができる。予備ロックとは、外科手術の際に生じる条件下では、受け部本体5に対する骨アンカー固定要素1の角度付けられた位置が維持され、ねじ要素1の受け部本体5に対して付加的な力を加えることによってのみ緩めることが可能であることを意味する。予備ロック位置では、骨アンカー固定要素1を受け部から取外すことはできない。したがって、頭部3が不慮に外れたりうっかりと外れたりする可能性はない。しかしながら、たとえば手動で調節される角度で、ねじ要素1の角度形成が可能である。
【0036】
ロック位置である第3の位置が図10および図12に示される。第3の位置は、ねじ頭部3が頭部受け部分17内に最終的にロックされる位置として定義される。ロッキングリング8の内面81aは、頭部3が頭部受け部分17の圧縮によってロックされるように、頭部受け部分17の第1の部分21の外面に係合する。さらに、内側に突出する端縁82は、下方部分23で頭部受け部分17をさらに圧縮し、これによりロック力を高める。
【0037】
受け部本体5およびロッキングリング8の寸法は、第2の位置および第3の位置においてそれぞれ所望のクランプ力に到達することができるように構成される。
【0038】
第3の位置には、係合部分83bおよび内側に突出するリング82が溝16、22の傾いた下方壁部分16aおよび22aに沿ってそれぞれ摺動するように、受け部本体5に対してロッキングリング8をシフトさせることによって到達可能である。
【0039】
骨アンカー固定装置は以下のように予め組立てられる。まず、ロッキングリング8を自由端17bから受け部本体5上に装着する。たとえば、製造者がこれを行なうことができる。好ましくは、ロッキングリング8は、溝22と内側に突出する端縁82とが係合することによってロッキングリングがラッチされる第1の位置にある。その後、アンカー固定要素1の頭部3が自由端17bから頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に導入される。その後、ロッキングリング8が受け部本体5に対して下向きに動かされ、これにより内側に突出するリング82が溝22から摺動して外に出て、可撓性壁部分83aの係合部分83bが溝16にパチンと嵌り、これにより、頭部3が摩擦クランプ留めによって予備ロックされる第2の位置に到達する。
【0040】
次に、図13から図21を参照して第1の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。工具100は、ねじ要素1のための第1の保持具102と受け部のための第2の保持具103とを有する枠101を備える。保持具102、103は、工具が立設する場所に対してねじの軸が水平となるような向きにされる。第1の保持具102は、ねじ要素1のシャンク2のための凹部102aを備え、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部の直径は頭部3の直径よりも小さい。これにより、第1の保持具102の自由端面102bはねじ要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具102は枠101上に支持される。
【0041】
受け部のための第2の保持具103も枠101上に支持される。これは、受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部103aを備える。第1の保持具102に対する第2の保持具103の向きは、受け部とねじ要素1との両者が保持具102、103の中に挿入された際に受け部の中心軸がねじの軸と同軸であるようなものである。円形の凹部103aは2つの異なる深さを有し得る。これは、第2の保持具103に設けられる対応のスロットに挿入され、凹部103aの中心軸の方向を横切る方向にシフトされて凹部103aの深さを限定することができる挿入物104によって実現される。挿入物104は1つの円形の凹部142を有する。位置1で、図13から図18に示されるように、挿入物は凹部103aの深さを第1の深さ141に限定し、こうして受け部の第1の端9aの当接部を設ける。図19から図21に示される位置2で、挿入物104は、その凹部142が第2の保持具103の凹部103aの底を形成するようにシフトされる。その深さは第1の位置の深さ141よりも大きい。図19から図21に示されるように第2の保持具103の外面103bがロッキングリング8の当接部を形成するまで、凹部103aの中に受け部をより深く挿入可能である。凹部103aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に受け部の輪郭に適合させることができる。
【0042】
ねじ要素1のための第1の保持具102は、受け部本体5のための第2の保持具103に対して軸方向に移動可能である。これはレバー105およびハンドル106を介して作動可能である。レバー105は一例に過ぎず、ねじ要素1のための第1の保持具102の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解するべきである。
【0043】
工具の寸法は、受け部が挿入される第2の保持具103に対してねじ要素1のための第1の保持具102が移動することにより、凹部103aが第1の深さ141を有しロッキングリング8が第1の位置にある場合にねじ要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入するのに十分な力を加えることができるように構成される。これはさらに、凹部103aが第2の深さ142を有する場合に、第1の保持具102が第2の保持具103に対して再び動かされて第1の位置から外れて第2の位置にロッキングリング8を動かすとロッキングリング8に対して十分な力を加えることができるように構成される。
【0044】
図17から図21に工具の動作を示す。図17aおよび図17bに示されるように、まず、ねじ要素1が第1の保持具102に挿入され、凹部103aが第1の深さ141を有する場合、装着されたロッキングリング8が第1の位置にある受け部本体5が第2の保持具103の凹部103aに装着される。
【0045】
次のステップで、図18aおよび図18bに示されるように、レバー105を作動させるようにハンドルが作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に押し込まれる。第2の保持具103の凹部103aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。ねじ要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまでハンドルが作動される。ラッチは可聴のサインを発生し得る。
【0046】
その後、図19から図21に示されるように、ねじ要素1のための第1の保持具102は後方にシフトされ、挿入物104は、円形の凹部142が凹部103の底を形成してロッキングリング8のための当接部を設ける第2の位置に動かされる。
【0047】
図20および図21に示されるように、ハンドル106は、第2の保持具103に対して第1の保持具102を押すように作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、第2の保持具103の自由な前面103bがロッキングリング8の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけてこれによりロッキングリング8を第1の位置から外し、ロッド受け部分9上の溝16の中にラッチする第2の位置に動かすような深さを有する凹部103aの底に押し付けられる。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌ると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0048】
その後、第1の保持具102は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。
次に、図22から図28cを参照して、第2の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。図22に見られるように、工具200は、ねじ要素1のための第1の保持具202と受け部のための第2の保持具203とを有する枠201を備える。工具200が第1の実施例に従う工具100と唯一異なるのは、第2の保持具203が第1の実施例に従う第2の保持具103と異なっている点である。保持具202、203は、工具が立設する場所に対してねじの軸が水平となるような向きにされ得る。保持具202は、ねじ要素1のシャンク2のための凹部202aを備え、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部202aの直径は頭部3の直径よりも小さい。これにより、第1の保持具202の自由端面202bはねじ要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具202は枠201上に支持される。受け部のための第2の保持具203も枠201上に支持される。第1の保持具202に対する第2の保持具203の向きは、受け部とねじ要素1との両者が保持具202、203の中に挿入された際に受け部の中心軸がねじの軸と同軸であるようなものである。ねじ要素1のための第1の保持具202は、受け部本体5のための第2の保持具203に対して軸方向に移動可能である。これはレバー205およびハンドル206を介して作動可能である。レバー205は一例に過ぎず、ねじ要素1のための第1の保持具202の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解するべきである。
【0049】
図23に見られるように、第2の保持具203は、本体210、第1の端211、第2の端212、ボア220、および受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部203aを備える。図24に見られるように、第2の保持具203は、ねじ山213、スリーブ214、ばね215、プレート216、およびねじ217をさらに備える。図25a、図25bに見られるように、カップ型のスリーブ214は、第1の端211に向けて延在する側で閉じており、本体210のボア220内で摺動するように構成されている。というのも、その直径はボア220の内径よりも僅かに小さいからである。ばね215はスリーブ214内に設けられ、プレート216と、本体210のねじ山213に螺合される雌ねじ217とによって支持される。第2の保持具203の中に圧入される、たとえば基台などの、ばね215を支持するための他の設計が可能である。ばね215は弦巻ばね215として示されるが、板ばね、皿ばね、エラストマークッションなどの他のばね要素が可能である。
【0050】
円形の凹部203aは異なる深さを有することができる。これは、受け部のための当接装置を設ける可動スリーブ214によって実現される。図25aでは第1の当接位置を示し、図25bでは第2の当接位置を示し、図25bには、ばね215が圧縮された際の空間218を示す。スリーブ214は受け部の第1の端9a(図1を参照)のための当接部を設ける。第1の当接位置では、スリーブ214の閉じた側が第2の保持具203の凹部203aの底を形成し、その深さは第2の当接位置の深さよりも浅い。これは受け部の第1の端9aによってより大きな力がそれぞれスリーブ214およびばね215に加えられると達成される。力は、第1の保持具202、シャフト2および頭部3を介して、受け部の第1の端9aへ、最終的にはスリーブ214へハンドル206およびレバー205によって加えられる。凹部203aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に、受け部のいずれの可能な輪郭にも適合させることができる。
【0051】
工具200の寸法およびばね力は、受け部が挿入される第2の保持具203に対してねじ要素1を有する第1の保持具202が移動することにより、凹部203aが第1の深さを有しロッキングリング8が第1の位置にある場合に第1の力が加えられてねじ要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入できるように構成される。これはさらに、凹部203aが第2の深さを有する場合は、第1の保持具202が第2の保持具203に対してさらに動かされてロッキングリング8が第1の位置から外れて第2の位置に動くとロッキングリング8に第2の力を加えることができるように構成される。発明に従う工具200は、受け部の高さおよび受け部に対するロッキングリング8の位置が異なるさまざまな骨アンカー固定装置の装着を可能にする。
【0052】
図26aから図28cに工具の動作を示す。図26a、図27および図28aに示されるように、まず、ねじ要素1が第1の保持具202に挿入され、凹部が第1の深さを有する場合、ロッキングリング8が第1の位置に装着された受け部本体5が第2の保持具203の凹部203aに装着される。
【0053】
次のステップで、図26bおよび図28bに示されるように、レバー205(図22を参照)を作動させるようにハンドル206が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18(図5を参照の中に押し込まれる。第2の保持具203、すなわちスリーブ214、の凹部203aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。ねじ要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまでハンドル206が作動される。ラッチは可聴のサインを発生し得る。ロッキングリング8は第1の端211の側壁にまだ接触していない。ばね215の抗力は、頭部3を受け部本体5に挿入するのに対する抗力よりも大きい。したがって、ばね215はこのステップにおいて圧縮されない。
【0054】
図26cおよび図28cに示されるように、ハンドル206は、第2の保持具203に対して第1の保持具202を押すようにさらに作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、凹部203a、すなわちスリーブ214、の底に押し付けられる。ロッキングリング8および受け部本体5を互いに対して動かすのに必要な力または抗力は、ばね215の抗力よりも大きい。したがってばね215が圧縮される。凹部203aは今や、第2の保持具203の第1の端211の側壁がロッキングリング8(図3を参照)の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけ、これによりロッキングリング8を第1の位置から外して、ロッキングリングがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置にロッキングリング8を動かすような深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌まると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0055】
その後、第1の保持具202は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。第1の実施例を参照して、工具200のこの第2の実施例の利点は、必要なのがハンドル206の単一の作動のみであり、骨アンカー固定装置の装着の間に動かす必要のある部品がないことである。
【0056】
第2の実施例に従う工具により、頭部の導入および頭部の予備ロック位置への装着を含む1ステップで骨アンカー固定装置の組立を容易に行なうことができる。
【0057】
図29から図33を参照して、次に第1の保持具302のさらなる実施例を説明する。図29に示される工具100は、第1の保持具102または202を置換え、以下に記載される第1の保持具302を除いて上述の工具100と同じである。
【0058】
図30b)、図31に示される第1の保持具302は、図30bを参照すると鉛直方向に内側に頂部から延在する長手方向のU字形状の凹部302aを備える。凹部302aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具302の自由端面302bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具302は枠101上に支持される。
【0059】
図30aおよび図32は、シリンダの中心軸323の周りに周方向に配置される複数の長手方向に延在する凹部322a、322b、322cを有するシリンダ320の形態の第1の保持具のための挿入物を示す。凹部は、異なるシャンクを有するねじの挿入に適合される。示される実施例では、シリンダは、第1の半径を有する第1のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322a、第2の半径を有する第2のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322b、および第3の半径を有する第3のシリンダセクション形状またはU字形状の凹部322cを備え、3つの半径は互いに異なっている。3つの凹部322a、322b、322cは、図30aに見られるようにシリンダ320の全長に亘って延在する。シリンダ320は第1の端および第2の端を備え、第1の端の上に第1のピン321が設けられ、第2の端の上に第2のピン322が設けられる。ピン321、322はシリンダ320の中心軸323と整列される。
【0060】
第1の保持具302は第1の端および第2の端を備え、第1の端の上に第1のスロット311が設けられ、第2の端の近くに第2のスロット312が設けられ、この両者ともが、図30bを参照すると鉛直方向に内側に第1の保持具302の頂部から延在する。第1の保持具302の第2の端は、図29に見られるように、レバー105およびハンドル106に接続されるように設けられる。
【0061】
第1の保持具302のU字形状の凹部302aは、シリンダ320を受けるように設けられる。U字形状の凹部302aの丸くなっている部分の半径(Uの基部)はシリンダ320の半径と実質的に等しい。
【0062】
図31に見られるように、装着された状態で、シリンダ320の第1のピン321は第1の保持具302の第1のスロット311に嵌合し、シリンダ320の第2のピン322は第1の保持具302の第2のスロット312に嵌合する。シリンダ320はピン321、322によって支持されかつ導かれ、図34に見られるように第1の保持具302のU字形状の凹部302aによっても保持される。
【0063】
第2の保持具103、203に対する第1の保持具302の向きは、受け部5が第2の保持具103、203の中に挿入され、骨アンカー固定要素1がシリンダ320の凹部322a、322bまたは322cのうち1つの上の第1の保持具302に挿入された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0064】
3つの凹部322a、322bまたは322cは、図29、図31または図34を参照してどの凹部が第1の保持具302の頂部に面しているかという意味の、使用されている凹部322a、322b、322cに依存して骨アンカー固定要素1の異なる大きさのシャンク2を受けるように適合される。シリンダ320のこの特定的な形態により、頭部3の大きさが受け部5に嵌合する限り、少なくとも3つの異なる大きさの骨アンカー固定要素1を受け部本体5に装着することができる。凹部322a、322b、322cを変更するには、シリンダ320の上にあるものをその軸323の周りで回転させるだけでよい。
【0065】
凹部の数が3つよりも多いまたは少ないシリンダを設けることも可能である。保持具の第2の実施例では、異なるシャンクを有するねじまたはアンカーを受け部と組合わせることができる。したがって、実際の臨床状況に依存して実質的なインプラントの選択肢をユーザに与えるモジュール式システムが提供される。
【0066】
骨アンカー固定装置は、製造により、または外科手術の準備の間に、またはいずれの他のときにも予め組立可能である。有利には、外科医が外科手術の前に臨床適用例の特定的な要件に従って必要な受け部および骨アンカー固定要素を選択する。骨アンカー固定装置の設計により、アンカー固定セクションの直径、長さおよび他の特徴という観点で適切な骨アンカー固定要素を選択することが可能になる。したがって、個別に選択および適合が可能である受け部およびいくつかの骨アンカー固定要素を含むモジュール式システムが提供される。
【0067】
外科手術における使用の際に、受け部本体5、骨アンカー固定要素1、および予備ロック位置にあるロッキングリング8を備える予め組立てられた骨アンカー固定装置が骨に螺合される。頭部の凹部4には、第1のボア10を通してねじ工具を用いてアクセス可能である。接続すべきロッド6に対して受け部本体5を正しく整列させるため、手動でまたは器具の適用によって、受け部に対して付加的な力が加えられる。他の骨アンカー固定装置に対するロッド6の正しい位置が一旦達成されると、雌ねじ7が締結される。ロッド6がロッキングリング8の突起86に当接しているので、ロッキングリング8はロック位置である第3の位置へ下向きにシフトされる。ロッキングリング8が頭部受け部分の自由端17bに向けて動かされると、頭部受け部分が圧縮され、これにより頭部がロックされる。雌ねじの最終的な締結によりロッド6および頭部3が同時にロックされる。
【0068】
予備ロック条件では、雌ねじが緩められても頭部3はクランプ留めされたままである。これによりロッド6のさらなる調節が可能になる。
【0069】
示される実施例のさらなる修正例が可能である。たとえば、骨アンカー固定要素1の頭部3は、たとえば、円筒形などのいずれの他の形状を有することもでき、これにより、単一の軸を中心とした受け部本体5に対するねじ要素1の回転を可能にする単軸骨ねじが設けられる。頭部3も、円錐形状またはそれ以外の形状であることもでき、頭部受け部分17の内部中空セクション18はこの形状に適合される。さらなる修正例では、頭部受け部分17の可撓性はたとえばプラスチック材料などの材料の性質に基づき、スリットをすべてまたは一部省略してもよい。
【0070】
ロッド6と係合するロッキングリング8の突起は別の形状を有することができ、たとえば、自由端の表面は平らであることができ、またはそれ以外の形状であることができる。突起を省略することができる。
【0071】
頭部受け部分17は傾いた開放端を有することができ、または一方向に頭部3のより大きな角度形成を可能にするように他の態様で非対称であることができる。
【0072】
頭部受け部分17の外面およびロッキングリング8の内面は、ロッキングリング8が下向きにシフトされる際に、増大していく力によりロッキングリング8の圧縮を可能にする他の形状を有することができる。
【0073】
工具に関しても変形が可能である。たとえば、受け部の中心軸とねじの軸とが工具が立設する表面に対して垂直に延在するように工具を構成可能である。受け部本体5のための第2の保持具103はねじ要素1のための第1の保持具102に対して可動であり得る。工具を手動で作動させる代わりに、機械的にまたは電子的に動作される装置で工具を作動させることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 骨アンカー固定要素、3 頭部、5 受け部本体、8 ロッキングリング、9 ロッド受け部分、17 頭部受け部分、100、200 工具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカー固定装置を組立てるための方法であって、前記骨アンカー固定装置は、骨アンカー固定要素(1)にロッド(6)を結合するための、ロッド(6)を受けるための受け部を含み、前記受け部は受け部本体(5)とロッキングリング(8)とを備え、前記骨アンカー固定要素(1)は、多軸の態様で前記受け部に収容可能な頭部(3)を有し、前記骨の中にアンカー固定するためのシャフト(2)をさらに有し、前記方法は、
ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記受け部本体(5)の中に前記頭部(3)を導入可能であり、前記頭部(3)がその中で自由に回動可能な第1の位置の前記ロッキングリング(8)とともに、前記受け部本体(5)を設けるステップと、
前記頭部(3)を挿入するステップと、
ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記骨アンカー固定要素(1)が前記受け部内に保持される第2の位置に前記ロッキングリング(8)が入るまで、前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記頭部(3)の挿入および/または前記第2の位置への前記ロッキングリング(8)のラッチは、可聴のサインを発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力は、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)の中に挿入するのに対する抗力よりも大きい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記受け部本体(5)は、前記頭部(3)が挿入されると、本体(210)に設けられるばね部材(215)によって支持される、請求項1から3のうち1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)が互いに対して動かされると、前記受け部本体(5)はばね部材(215)によって支持され、前記ロッキングリング(8)は本体(210)によって支持される、請求項1から4のうち1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ばね部材(215)の抗力は、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)の中に挿入するのに対する抗力よりも大きく、かつ前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力よりも小さい、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、前記骨アンカー固定装置は、頭部(3)および前記骨の中にアンカー固定されるべきシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と、受け部とを備え、前記工具は、
前記骨アンカー固定要素(1)のための第1の保持具(202)と、
前記受け部のための第2の保持具(203)とを備え、保持具は互いに対して動かされて受け部本体(5)またはロッキングリング(8)に対して前記骨アンカー固定要素(1)を押しつけることができ、
前記工具は第1の当接位置から第2の当接位置に可動の当接装置を有し、前記当接装置は、前記第1の当接位置ではねじ要素(1)の動きに対する前記受け部本体(5)のために、前記第2の当接位置では前記受け部本体(5)の動きに対する前記ロッキングリング(8)のために設けられる、工具。
【請求項8】
前記第2の保持具(203)は前記当接装置を備える、請求項7に記載の工具。
【請求項9】
前記当接装置は、第1の端(211)、第2の端(212)、および同軸ボア(220)を有する本体(210)と、前記ボア(220)の中で可動なスリーブ(214)と、前記スリーブ(214)に設けられるばね部材(215)とを備える、請求項7または8に記載の工具。
【請求項10】
ばね部材(215)は、前記第1および/または第2の当接位置で付勢される、請求項7から9のうち1項に記載の工具。
【請求項11】
ばね部材(215)は、前記第1の当接位置よりも前記第2の当接位置でより多く付勢される、請求項7から10のうち1項に記載の工具。
【請求項12】
前記頭部(3)、前記受け部本体(5)、および前記ロッキングリング(8)は、前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力が、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)に挿入するのに対する抗力よりも大きくなるように形成される、請求項7から11のうち1項に記載の工具。
【請求項13】
前記頭部(3)、前記受け部本体(5)、前記ロッキングリング(8)、およびばね部材(215)は、前記ばね部材(215)の抗力が前記頭部(3)を前記受け部本体(5)に挿入するのに対する抗力よりも大きく、かつ前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力よりも小さくなるように形成される、請求項7から12のうち1項に記載の工具。
【請求項14】
前記受け部本体(5)は、前記第1の当接位置で前記スリーブ(214)によって支持される、請求項9から13のうち1項に記載の工具。
【請求項15】
前記第2第1の当接位置で、前記受け部本体(5)は前記スリーブ(214)によって支持され、前記ロッキングリング(8)は前記本体(210)によって支持される、請求項9から14のうち1項に記載の工具。
【請求項16】
前記スリーブ(214)は、前記本体(210)の前記第1の端(211)の方向に閉じられる、請求項9から15のうち1項に記載の工具。
【請求項17】
前記ボア(220)は前記第2の端(212)上にねじ山(213)を備え、ねじ(217)は、前記ばね部材(215)を支持するように前記ねじ山(213)の中に螺合可能である、請求項9から16のうち1項に記載の工具。
【請求項18】
前記工具は当接部交換装置(104)を有し、当接部交換装置は、第1の当接部(141)を第2の当接部(142)と交換可能にして、前記ねじ要素(1)の動きに対する前記受け部本体(5)のための第1の当接部(103a,141)と、前記受け部本体(5)の動きに対する前記ロッキングリング(8)のための第2の当接部(103a,103b)とを設ける、請求項7または8に記載の工具。
【請求項19】
前記工具は、前記第1の保持具(302)および前記骨アンカー固定要素(1)を受けるためのシリンダ(320)を備える、請求項7から18のうち1項に記載の工具。
【請求項20】
前記第1の保持具(302)は、シリンダ(320)を受けるように構成された凹部(322a)を備える、請求項7から19のうち1項に記載の工具。
【請求項21】
シリンダ(320)は少なくとも2つの凹部(322a,322b,322c)を備える、請求項7から20のうち1項に記載の工具。
【請求項22】
前記凹部(322a,322b,322c)はシリンダセクション形状またはU字形状である、請求項21に記載の工具。
【請求項23】
前記凹部(322a,322b,322c)は前記シリンダ(320)の全長に亘って延在する、請求項21または22に記載の工具。
【請求項24】
シリンダ(320)は前記第1の保持具(302)によって回転可能に保持される、請求項7から23のうち1項に記載の工具。
【請求項25】
前記受け部は、
頂部端(9a)および底部端(17b)を有する前記受け部本体(5)と、
前記ロッド(6)を受けるためのチャネル(12)を有するロッド受け部分(9)と、
前記骨アンカー固定要素(1)の頭部(3)を収容するための頭部受け部分(17)とをさらに含み、前記頭部受け部分(17)は、前記頭部(3)の導入およびクランプ留めを可能にするように開放端(19,17b)を有しかつ可撓性であり、さらに
前記頭部受け部分(17)を取囲む前記ロッキングリング(8)を含み、前記ロッキングリング(8)は、ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記頭部受け部分(17)の中に前記頭部(3)を導入可能な第1の位置と、ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記骨アンカー固定要素(1)が調節可能な角度付けられた位置に保持されるように前記頭部受け部分(17)を圧縮する第2の位置とを取ることができる、請求項1から24のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項26】
前記第2の位置で、前記頭部(3)は完全にロックされない、請求項25に記載の方法または工具。
【請求項27】
前記ロッキングリング(8)は、前記頭部(3)が完全にその中でロックされるようにロッキングリングが前記頭部受け部分(17)を圧縮する、前記受け部に対する第3の位置を取ることができる、請求項25または26に記載の方法または工具。
【請求項28】
前記第1の位置で、前記ロッキングリング(8)は、前記頂部端(9a)に向けて軸方向に動かないようにされ、ラッチされた状態を緩める力を加えることによって前記底部端(17b)に向けて動くことができる、請求項25から27のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項29】
前記ロッキングリング(8)は、前記第1の位置を確保するように前記受け部本体(5)において第1の凹部(22)または第1の突起と協働するように構成される第1の突起(82)または第1の凹部を備える、請求項25から28のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項30】
前記第2の位置で、前記ロッキングリング(8)は、前記頂部端(9a)に向けて軸方向に動かないようにされ、ラッチされた状態を緩める力を加えることにより前記底部端(17b)に向けて動くことができる、請求項25から29のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項31】
前記骨アンカー固定装置は、前記受け部と、ねじ切りされた部分を有する前記シャフト(2)および球状の外面部分を有する前記頭部(3)を有する前記骨アンカー固定要素(1)とを備える、請求項1から30に記載の方法または工具。
【請求項1】
骨アンカー固定装置を組立てるための方法であって、前記骨アンカー固定装置は、骨アンカー固定要素(1)にロッド(6)を結合するための、ロッド(6)を受けるための受け部を含み、前記受け部は受け部本体(5)とロッキングリング(8)とを備え、前記骨アンカー固定要素(1)は、多軸の態様で前記受け部に収容可能な頭部(3)を有し、前記骨の中にアンカー固定するためのシャフト(2)をさらに有し、前記方法は、
ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記受け部本体(5)の中に前記頭部(3)を導入可能であり、前記頭部(3)がその中で自由に回動可能な第1の位置の前記ロッキングリング(8)とともに、前記受け部本体(5)を設けるステップと、
前記頭部(3)を挿入するステップと、
ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記骨アンカー固定要素(1)が前記受け部内に保持される第2の位置に前記ロッキングリング(8)が入るまで、前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記頭部(3)の挿入および/または前記第2の位置への前記ロッキングリング(8)のラッチは、可聴のサインを発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力は、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)の中に挿入するのに対する抗力よりも大きい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記受け部本体(5)は、前記頭部(3)が挿入されると、本体(210)に設けられるばね部材(215)によって支持される、請求項1から3のうち1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)が互いに対して動かされると、前記受け部本体(5)はばね部材(215)によって支持され、前記ロッキングリング(8)は本体(210)によって支持される、請求項1から4のうち1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ばね部材(215)の抗力は、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)の中に挿入するのに対する抗力よりも大きく、かつ前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力よりも小さい、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、前記骨アンカー固定装置は、頭部(3)および前記骨の中にアンカー固定されるべきシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と、受け部とを備え、前記工具は、
前記骨アンカー固定要素(1)のための第1の保持具(202)と、
前記受け部のための第2の保持具(203)とを備え、保持具は互いに対して動かされて受け部本体(5)またはロッキングリング(8)に対して前記骨アンカー固定要素(1)を押しつけることができ、
前記工具は第1の当接位置から第2の当接位置に可動の当接装置を有し、前記当接装置は、前記第1の当接位置ではねじ要素(1)の動きに対する前記受け部本体(5)のために、前記第2の当接位置では前記受け部本体(5)の動きに対する前記ロッキングリング(8)のために設けられる、工具。
【請求項8】
前記第2の保持具(203)は前記当接装置を備える、請求項7に記載の工具。
【請求項9】
前記当接装置は、第1の端(211)、第2の端(212)、および同軸ボア(220)を有する本体(210)と、前記ボア(220)の中で可動なスリーブ(214)と、前記スリーブ(214)に設けられるばね部材(215)とを備える、請求項7または8に記載の工具。
【請求項10】
ばね部材(215)は、前記第1および/または第2の当接位置で付勢される、請求項7から9のうち1項に記載の工具。
【請求項11】
ばね部材(215)は、前記第1の当接位置よりも前記第2の当接位置でより多く付勢される、請求項7から10のうち1項に記載の工具。
【請求項12】
前記頭部(3)、前記受け部本体(5)、および前記ロッキングリング(8)は、前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力が、前記頭部(3)を前記受け部本体(5)に挿入するのに対する抗力よりも大きくなるように形成される、請求項7から11のうち1項に記載の工具。
【請求項13】
前記頭部(3)、前記受け部本体(5)、前記ロッキングリング(8)、およびばね部材(215)は、前記ばね部材(215)の抗力が前記頭部(3)を前記受け部本体(5)に挿入するのに対する抗力よりも大きく、かつ前記ロッキングリング(8)および前記受け部本体(5)を互いに対して動かすのに対する抗力よりも小さくなるように形成される、請求項7から12のうち1項に記載の工具。
【請求項14】
前記受け部本体(5)は、前記第1の当接位置で前記スリーブ(214)によって支持される、請求項9から13のうち1項に記載の工具。
【請求項15】
前記第2第1の当接位置で、前記受け部本体(5)は前記スリーブ(214)によって支持され、前記ロッキングリング(8)は前記本体(210)によって支持される、請求項9から14のうち1項に記載の工具。
【請求項16】
前記スリーブ(214)は、前記本体(210)の前記第1の端(211)の方向に閉じられる、請求項9から15のうち1項に記載の工具。
【請求項17】
前記ボア(220)は前記第2の端(212)上にねじ山(213)を備え、ねじ(217)は、前記ばね部材(215)を支持するように前記ねじ山(213)の中に螺合可能である、請求項9から16のうち1項に記載の工具。
【請求項18】
前記工具は当接部交換装置(104)を有し、当接部交換装置は、第1の当接部(141)を第2の当接部(142)と交換可能にして、前記ねじ要素(1)の動きに対する前記受け部本体(5)のための第1の当接部(103a,141)と、前記受け部本体(5)の動きに対する前記ロッキングリング(8)のための第2の当接部(103a,103b)とを設ける、請求項7または8に記載の工具。
【請求項19】
前記工具は、前記第1の保持具(302)および前記骨アンカー固定要素(1)を受けるためのシリンダ(320)を備える、請求項7から18のうち1項に記載の工具。
【請求項20】
前記第1の保持具(302)は、シリンダ(320)を受けるように構成された凹部(322a)を備える、請求項7から19のうち1項に記載の工具。
【請求項21】
シリンダ(320)は少なくとも2つの凹部(322a,322b,322c)を備える、請求項7から20のうち1項に記載の工具。
【請求項22】
前記凹部(322a,322b,322c)はシリンダセクション形状またはU字形状である、請求項21に記載の工具。
【請求項23】
前記凹部(322a,322b,322c)は前記シリンダ(320)の全長に亘って延在する、請求項21または22に記載の工具。
【請求項24】
シリンダ(320)は前記第1の保持具(302)によって回転可能に保持される、請求項7から23のうち1項に記載の工具。
【請求項25】
前記受け部は、
頂部端(9a)および底部端(17b)を有する前記受け部本体(5)と、
前記ロッド(6)を受けるためのチャネル(12)を有するロッド受け部分(9)と、
前記骨アンカー固定要素(1)の頭部(3)を収容するための頭部受け部分(17)とをさらに含み、前記頭部受け部分(17)は、前記頭部(3)の導入およびクランプ留めを可能にするように開放端(19,17b)を有しかつ可撓性であり、さらに
前記頭部受け部分(17)を取囲む前記ロッキングリング(8)を含み、前記ロッキングリング(8)は、ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記頭部受け部分(17)の中に前記頭部(3)を導入可能な第1の位置と、ロッキングリングが前記受け部本体(5)に対してラッチされ、前記骨アンカー固定要素(1)が調節可能な角度付けられた位置に保持されるように前記頭部受け部分(17)を圧縮する第2の位置とを取ることができる、請求項1から24のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項26】
前記第2の位置で、前記頭部(3)は完全にロックされない、請求項25に記載の方法または工具。
【請求項27】
前記ロッキングリング(8)は、前記頭部(3)が完全にその中でロックされるようにロッキングリングが前記頭部受け部分(17)を圧縮する、前記受け部に対する第3の位置を取ることができる、請求項25または26に記載の方法または工具。
【請求項28】
前記第1の位置で、前記ロッキングリング(8)は、前記頂部端(9a)に向けて軸方向に動かないようにされ、ラッチされた状態を緩める力を加えることによって前記底部端(17b)に向けて動くことができる、請求項25から27のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項29】
前記ロッキングリング(8)は、前記第1の位置を確保するように前記受け部本体(5)において第1の凹部(22)または第1の突起と協働するように構成される第1の突起(82)または第1の凹部を備える、請求項25から28のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項30】
前記第2の位置で、前記ロッキングリング(8)は、前記頂部端(9a)に向けて軸方向に動かないようにされ、ラッチされた状態を緩める力を加えることにより前記底部端(17b)に向けて動くことができる、請求項25から29のうち1項に記載の方法または工具。
【請求項31】
前記骨アンカー固定装置は、前記受け部と、ねじ切りされた部分を有する前記シャフト(2)および球状の外面部分を有する前記頭部(3)を有する前記骨アンカー固定要素(1)とを備える、請求項1から30に記載の方法または工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−235101(P2011−235101A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−102944(P2011−102944)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(509350125)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (21)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102944(P2011−102944)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(509350125)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (21)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
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