説明

骨アンカー固定装置

【課題】小型で、手術時の安全な取扱いを可能にする、改良された骨アンカー固定装置を提供する。
【解決手段】ヘッド受け部(16)を取囲むロック固定リング(8)を含み、ヘッド(3)は、ロック固定リングでヘッド受け部(16)を圧縮することによってロック固定され、ロッド受け部(9)は、チャネルの両端において底部から第2の端(9b)まで延在する2つの切取部(24)を含む。ロック固定リングは、ヘッドがロック固定されない位置にロック固定リングがある時に切取部(24)を通ってチャネル(12)内へ延在する、直径方向に互いに対向して配置された2つの突出部(81,83)を有する。ヘッドは、ヘッド受け部において旋回させることができ、かつヘッド受け部から取外すことができない位置にロック固定リングを保持するために、チャネルの内壁の第2の係合部(25)に係合する第1の係合部(83,85)がロック固定リングに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨アンカー固定要素と、骨アンカー固定要素をロッドに接続するための受け部とを含む骨アンカー固定装置に関する。骨アンカー固定要素のヘッドは、ロッドによって押下げられるロック固定リングによってヘッドを横方向に囲む受け部の一部の圧縮によって、受け部内にロック固定される。ロック固定リングは、ロッド用チャネル内へ延在し、かつロッドによって係合してロック固定リングに圧力を加え得る2つの上向きに延在する突出部を有する。上向きに延在する突出部は、ロック固定リングが、ヘッドをヘッド受け部において旋回させることはできるがヘッド受け部から取外すことはできない位置につくことができるように、受け部と協働する。
【背景技術】
【0002】
骨アンカー固定要素と、ロッド受け部およびヘッド受け部を有する受け部と、ヘッドをヘッド受け部内にロック固定するためのロック固定リングとを含む骨アンカー固定装置が、欧州特許公開第2022423号から公知である。ロッド受け部のロッド用チャネルの底部の下に、切取部がチャネルの両端に設けられており、ロック固定リングの2つの上向きに延在する突出部が、ロッドによって係合可能なようにこれらの切取部を通ってチャネル内へ延在する。1つの実施例では、上向きに延在する突出部は横方向の突出部を有し、これらがチャネル内にスナップ留めされて、ヘッドがヘッド受け部に挿入されていない時にロック固定リングが外れ落ちるのを防止する。
【0003】
国際公開第2007/038350号には骨アンカー固定具を支持ロッドに接続するための装置が記載されており、当該装置はコネクタ本体およびキャップを含む。コネクタ本体は、支持ロッドを骨アンカー固定具に対して受けて配置するためのチャネルを有する。スリーブが一時的な位置でコネクタ本体のソケット部に装着され、この位置ではスリーブによって骨アンカー固定具をソケットに挿入することができる。スリーブは次に暫定的なロック固定位置まで動かされ得、この位置ではスリーブによって骨アンカー固定具の角度付けができるが当該固定具を取外すことはできず、スリーブはさらにロック固定位置まで動かされ得、この位置ではスリーブによって骨アンカー固定具の角度付けおよび取外しの両方ができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許公開第2022423号
【特許文献2】国際公開第2007/038350号
【特許文献3】欧州特許公開第2201903号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小型で、手術時の安全な取扱いを可能にする、改良された骨アンカー固定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に係る骨アンカー固定装置によって達成される。さらなる発展が従属請求項において与えられる。
【0007】
骨アンカー固定装置は、ねじ要素のヘッドを旋回させることはできるがヘッド受け部から取外すことはできない、ロック固定リング用のロック固定前の位置を提供する。ロック固定前の位置は、ロック固定リングを、ロッド用チャネル内へ延在するロッド支持突出部の領域の受け部に係合させることによって達成される。これによって、ヘッドを締付ける当該区域のロック固定リングの設計が簡素化される。また、特に骨アンカー固定装置の最大外径に関して全体的に小型化することができる。したがって、この骨アンカー固定装置は、頸椎内の用途に特に好適である。
【0008】
ロック固定リングのロック固定前の位置では、骨アンカー固定要素のヘッドを不注意に受け部から取外すことができないため、手術時の安全な取扱いが保証される。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面を用いた実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】骨アンカー固定装置の実施例の斜視展開図である。
【図2】組立てられた状態の図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【図3a】ロッド軸に対して垂直に切取った、図2の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図3b】図3aの拡大部を示す図である。
【図4】骨アンカー固定装置のロック固定リングの斜視図である。
【図5】第1の状態の図4のロック固定リングの側面図である。
【図6】第2の状態の図4のロック固定リングの側面図である。
【図7】ロック固定リングが受け部の下端から装着される、図1の受け部およびロック固定リングの側面図である。
【図8a】骨アンカー固定要素のヘッドの導入を可能にする、ロック固定リングの第1の位置に入るステップにおけるロック固定リングが装着された受け部の側面図である。
【図8b】図8aの拡大部を示す図である。
【図9a】骨アンカー固定要素のヘッドの導入を可能にする、第1の位置におけるロック固定リングが装着された受け部の斜視図である。
【図9b】図9aの拡大部を示す図である。
【図10a】アンカー固定要素のヘッドが受け部に導入され、ロック固定リングが第2の位置にある、図1の骨アンカー固定装置の側面図である。
【図10b】図10aの拡大部を示す図である。
【図11a】挿入されたロッドおよびロック固定リングが第3の位置にあり、ヘッドが受け部内にロック固定される、骨アンカー固定装置の側面図である。
【図11b】図11aの拡大部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から図3bに示されるように、実施例に係る骨アンカー固定装置は、ねじ山シャフト2および球帯形状ヘッド3を有する、骨ねじの形態の骨アンカー固定要素1を含む。ヘッド3は、ドライバに係合するための凹部4を有する。骨アンカー固定装置は、ロッド6を受けてロッド6を骨アンカー固定要素1に接続するための受け部5をさらに含む。さらに、内ねじまたは止めねじの形態の閉要素7が、ロッド6を受け部5内にしっかりと固定するために設けられている。また、骨アンカー固定装置は、ヘッド3を受け部5内にロック固定するためのロック固定リング8を含む。
【0012】
受け部5は、第1の端9aおよび反対の第2の端9bを有するロッド受け部9を含む。ロッド受け部9は実質的に円筒形であり、第2の端9bに設けられた同軸の第1のボア10を含む。第1のボア10の直径は、骨アンカー固定要素1のヘッド3の直径よりも小さい。したがって、ヘッド3はロッド受け部9内へ延在することができない。ロッド受け部9は、第1の端9aから、第2の端9bからのある距離まで延在する同軸の第2のボア11をさらに含む。第2のボア11の直径は第1のボア10の直径よりも大きく、ロッド6の直径よりも大きい。第1の端9aから第2の端9bまで延在するU字型凹部12がロッド受け部9に設けられている。U字型凹部12は、ロッド6を内部に配置して案内できるようなサイズを有するロッド用チャネルを形成する。U字型凹部12によって2本の自由脚12a,12bが形成され、これらに内ねじ山13が設けられている。内ねじ山は、メートルねじ山、平型ねじ山、負角ねじ山、鋸歯状ねじ山、または任意の他のねじ山であり得る。好ましくは、平型ねじ山または負角ねじ山などのねじ山形態が用いられて、内ねじ7をねじ込んだ時に脚12a,12bが拡がらないようにする。U字型凹部12の深さは、ロッド6および内ねじ7を脚12a,12bの間に挿入できるようなものである。凹部12の底部の間に、ボア11の端を形成する実質的に平坦な区分14が設けられている。
【0013】
受け部5のロッド受け部9は、第2の端9bから、第1の端9aからのある距離まで延在する複数の同軸スリット15を有し、当該距離は、内ねじ山13の長さにほぼ対応する。たとえば図3aに見られるように、スリットは第2の端9bで開いており、実質的に平坦の区分14を通る。スリットの数は、ヘッド3を受け部に導入するのを容易にするための所望の弾性程度に従って設けられる。これは、材料、壁の厚み、および/または他の要因に依存し得る。
【0014】
特に図1および図7から図9に見られるように、ロッド受け部9は、第2の端9bからU字型凹部12の底部内へ延在する切取部24を有する。切取部24は、チャネル軸に沿った方向に見られるU字型凹部12の両端に設けられている。切取部24からU字型凹部12の鉛直壁への移行部には、内向きに延在するノーズ25が形成されており、各ノーズは、鉛直内壁部25a、およびこれに垂直な水平下壁部25bを有する。ノーズ25は、U字型凹部によって形成されるチャネルの両側に設けられているため、各切取部24にはそれぞれ2つのノーズ25が設けられている。ノーズ25によって、切取部24の幅が小さくなる。
【0015】
第2の端9bに隣接して、受け部5は、骨アンカー固定要素1のヘッド3のための収容空間を提供するヘッド受け部16を含む。ヘッド受け部16は、ロッド受け部9の第2の端9bの反対側に自由端17を有する。特に図3aに見られるように、ヘッド受け部16の最大外径はロッド受け部9の外径よりも小さいため、ヘッド受け部16はロッド受け部9に対して引っ込んでいる。ヘッド受け部16は内部中空区分18を有し、これは示される実施例では球形であり、骨アンカー固定要素のヘッド3の半径に一致する半径を有する。内部中空区分18は、自由端17に開口部19を有する。内部中空区分18の寸法は、中空区分18が、ヘッド3の最大外径の領域を含んで骨アンカー固定要素のヘッド3を取囲むようなものである。
【0016】
特に図1に見られるように、自由端17に開いており、ロッド受け部のスリット15に続くスリット20がヘッド受け部16に設けられている。ヘッドの最大外径の上方の位置でヘッド受け部内で終端するスリット20aもあり得る。たとえば、U字型凹部の位置にあるスリット20aが設けられ得る。ヘッド受け部16のスリットによってヘッド受け部16が可撓性を有するため、アンカー固定要素のヘッド3を、ヘッド受け部を拡げることによって挿入することができ、ヘッド受け部の圧縮によって締付けることができる。
【0017】
ヘッド受け部16の外面は、以下に説明するロック固定リング8と協働するように作用する外向き湾曲区分16aを含む。
【0018】
次に図4から図6を参照して、ロック固定リング8を説明する。ロック固定リング8は、装着状態で受け部のロッド受け部9の第2の端9bに対向する上端8a、および下端8bを有する。ロック固定リングの内壁は、実質的に円筒形の部分8cを有する。部分8cは上端8aから下端8bまで延在し得るが、少なくとも、ヘッド受け部16の湾曲外面部16aと協働する領域に設けられている。ロック固定リング8によるヘッド受け部の圧縮を可能にするため、円筒部8cの内径はヘッド受け部の湾曲部16aの外径よりもやや小さい。ヘッド受け部16が可撓性を有するため、ヘッド受け部をやや圧縮することによってロック固定リングを自由端17からヘッド受け部16に装着することができる。ロック固定リング8は、ロッド受け部9の外径以下の外径を有する、実質的に円錐形または円筒形の外面8dをさらに有するため、図2に示されるように、ロック固定リングは受け部に装着されると受け部5から径方向外向きに延在しない。このため、骨アンカー固定装置の形状が小型化される。
【0019】
軸方向におけるロック固定リング8の高さは受け部5のヘッド受け部16の高さよりも小さいため、図3aに示されるように、ロック固定リング8がヘッド3の周りの位置にある時、ロック固定リング8の上側とロッド受け部9の第2の端9bとの間に距離がある。
【0020】
ロック固定リング8はその上端8aに、直径方向に互いに対向して配置された2つの突出部81を含む。突出部81は、ヘッド3がロック固定されない位置にロック固定リングがある時に、切取部24内へ延在してU字型凹部12の底部の上方に突出するような高さを有する。突出部81の自由端83aは、ロッド6の曲率に対応する曲率で湾曲し得る。
【0021】
各突出部81の両側には、上向きに延在するばね部83が設けられている。ばね部83は、突出部81に向けて弾力的に曲げられ得るように可撓性を有する。ばね部83の断面は実質的に台形であり、自由端83aに向かって厚みが減少する。自由端83aはロッド6の形状に適合され得るため、ロッド6は、U字型凹部に導入されると、突出部81の上面82の上、およびばね部83の自由端83aの上に停止する。ばね部83の可撓性は、円周方向におけるばね部の厚み、および突出部81とばね部83との間の隙間84のサイズに依存する。各ばね部83は、上端8aからのある距離において、水平上側85aおよび傾斜下側85bを有する水平方向外向きに延在する突出部85を含む。水平方向に延在する突出部85は、以下に説明するようにノーズ25と協働すると突出部81の上面82がU字型凹部12内へ延在するような高さに位置決めされる。
【0022】
上向きに延在するばね部83が偏向していない場合、ばね部83は図7に示されるように切取部24を通る。水平方向に延在する突出部85の最も外側の端縁の距離は、これも図7に示されるように、2つのノーズ25の鉛直内壁25a同士の間の距離よりも大きい。ばね部83を偏向させることによって、図8aに示されるように、水平方向に延在する突出部85の外側端縁同士の間の距離は小さくなる。
【0023】
内ねじ7は、脚12a,12bに設けられた内ねじ山13と協働するねじ山を有する。脚が拡がらないようにするねじ山形態を用いる場合は、内ねじ7などの単一の閉要素で十分である。これによって、径方向における骨アンカー固定装置が小型化される。
【0024】
受け部、ロック固定リング、内ねじおよび骨アンカー固定要素は、たとえばチタンもしくはステンレス鋼、またはニチノールなどの生体適合性合金、またはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性プラスチック材料、などの生体適合性材料からなる。これらの部品はすべて、同一材料または異なる材料からなり得る。
【0025】
図7から図9bを参照して、ロック固定リングを受け部に装着するステップを説明する。第1のステップにおいて、図7に示されるように、突出部81がU字型凹部12と並ぶように、ロック固定リングをヘッド受け部の自由端17から装着する。上側端縁83aがノーズ25の上方に来るまで、突出部81および上向きに延在するばね部83を切取部24に導入する。水平方向に延在する突出部85は、まだ切取部24の中にある。
【0026】
次に、図8aおよび図8bに示されるように、上向きに延在するばね部83を手動でまたは器具を用いて突出部81に向けて偏向させることによって、水平方向に延在する突出部85をノーズ25の後ろでU字型凹部12内にスナップ留めする。この状態は図9aおよび図9bに示される。水平突出部85がノーズの上方に来ると、上向きに延在するばね部83は拡がり、非偏向位置を再び取り得る。この位置では、ロック固定リング8はノーズ25によって緩やかに保持されているため、外れ落ちないようにしっかりと固定される。さらに、ばね部83および突出部81がU字型凹部12内へ延在しているため、ロック固定リングは回転しないようにしっかりと固定される。ロック固定リング8を、図9aおよび図9bに示されるように、その上端8aが第2の端9bに当接するまで上昇させることができる。ロック固定リングの円筒内壁部8cがヘッド受け部16の湾曲外面部16aの上方にあるため、ヘッド受け部16は圧縮されない。ロック固定リング8の円筒内壁部8cとヘッド受け部の外面との間に、骨アンカー固定要素1のヘッド3を導入するためにヘッド受け部16が拡がることができるようにするための空間がある。受け部5およびロック固定リングは、ロック固定リングが図9aおよび図9bに示されるような開放位置にあるように予め組立てられ得る。
【0027】
次に図10aから図11bを参照して、骨アンカー固定装置の組立および機能を説明する。ヘッド3を自由端17からヘッド受け部の内部中空区分18に導入した後、ロック固定リング8を手動でまたは器具を用いて自由端17に向けて下降させる。このステップにおいて、水平方向に延在する突出部85の傾斜下面85bが、U字型凹部12の湾曲部に沿って摺動する。U字型凹部の幅は湾曲部において徐々に小さくなるため、上向きに延在するばね部83は、水平方向に延在する突出部85がノーズ25の下でスナップ留めされるまで、突出部81に向かって偏向する。切取部24は、上向きに延在するばね部83が自身の非偏向状態になり得るように、水平方向に延在する突出部85のための空間を提供する。図10aおよび図10bに示される位置では、ロック固定リングは、水平上面85aが止め具を形成するノーズ25の水平下面25bに当接しているため、上昇できない。ロック固定リングは、ヘッド受け部の湾曲外面部16aを少なくとも部分的に覆う位置にあるため、ヘッド受け部16はもはや拡がることができず、ヘッド3をヘッド受け部16から取外すことができない。ロック固定リングのこの位置が、ロック固定前の位置である。ロック固定リングおよびヘッド受け部のサイズが、ロック固定前の位置においてヘッド受け部がやや圧縮されるようなものである場合、骨アンカー固定要素は、摩擦によって受け部に対して予備的な角度位置に保持され得る。骨アンカー固定要素は、骨アンカー固定要素を旋回させるための摩擦力よりも大きい力を加えることによって、依然として旋回可能である。
【0028】
図11aおよび図11bでは、ロック固定リングは受け部に対して第3の位置につき、この位置においてロック固定リングは、内ねじ7を締めると、突出部81の上面82、および上向きに延在するばね部83の上部83aを押圧するロッド6によってさらに下降する。この第3の位置がロック固定位置である。下降する際、ロック固定リング8がヘッド受け部に加える圧縮力が増大し、ヘッド3をヘッド受け部16内の所望の角度位置に最終的にロック固定する。
【0029】
骨アンカー固定装置の異なる臨床用途法がある。ロック固定リングおよび受け部が予め組立てられている場合、ロック固定リングが図9aおよび図9bに示される第1の位置にある時、好適な骨アンカー固定要素を選択して当該要素を受け部に接続することが可能である。これは、手術前または手術中の任意の時になされ得る。骨アンカー固定装置はこの場合、モジュールシステムとして提供され得、外科医は、受け部に接続すべき好適な骨アンカー固定要素を選択することができる。
【0030】
代替的に、受け部、ロック固定リングおよび骨アンカー固定要素を予め組立てて、ロック固定前の状態で提供してもよい。通常、いくつかの骨アンカー固定装置を脊椎ロッド6に接続することになる。第1のステップにおいて、ドライバでヘッド3の凹部4を係合させることによって、骨アンカー固定要素を骨部または椎骨に挿入する。ヘッド受け部の自由端17が骨表面に当接することもあり得る。この場合、図10aおよび図10bに示されるようなロック固定前の位置ではヘッド3をヘッド受け部16から取外すことができないため、受け部および骨アンカー固定要素は分解しない。
【0031】
骨アンカー固定要素を骨に挿入した後、受け部を骨アンカー固定要素に対して旋回させて挿入すべきロッドと並べることによって、受け部を調節する。ロッドを挿入した後、内ねじを締めてロッドを突出部およびばね部の上面82および83aに押付けることによって、ロック固定リングが下降してヘッド受け部を圧縮し、ヘッドを内部にロック固定する。
【0032】
骨アンカー固定装置は、突出部81の両側に配置された2つの上向きに延在するばね部を有するとして示されるが、ばね部は1つのみで十分である。ばね部およびノーズは実施例で示された特定の形状に限定されず、ロック固定リングが止め具によってロック固定前の位置に保持される機能を果たす他の形状も可能である。たとえば、U字型凹部の内壁にばね部を設け、ロック固定リングに設けられた剛性部に係合させてもよい。また、突出部81を省略し、上向きに延在するばね部83によって突出部81の機能を果たしてもよい。
【0033】
アンカー固定要素については、あらゆる種類のアンカー固定要素が用いられ、受け部と組合せられ得る。これらのアンカー固定要素は、たとえば、異なる長さ、異なる直径のねじ、中空ねじ、異なるねじ山形態を有するねじ、釘等である。ねじのヘッドとシャフトは、互いに接続可能な別の部分であり得る。
【0034】
受け部の形状は示された実施例に限定されない。たとえば、ロッド受け部のスリットを省略してもよい。さらに、受け部は、一方の側へのねじ部材のより大きな旋回角度を可能にするための、非対称のまたは傾斜した端部を有してもよい。
【0035】
ロッド用チャネルは、ロッド受け部の第1の端で閉じられ得る。閉要素については、外側ナットなどの他の種類または他の外側閉要素を用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 骨アンカー固定要素、2 ねじ山シャフト、3 球帯形状ヘッド3、4 凹部、5 受け部、6 ロッド、7 閉要素、8 ロック固定リング、9 ロッド受け部、16 ヘッド受け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカー固定装置であって、
骨内にアンカー固定するためのシャフト(2)およびヘッド(3)を有する骨アンカー固定要素(1)と、
ロッド(6)を前記骨アンカー固定要素に結合するための受け部(5)とを備え、前記受け部は、
第1の端(9a)、第2の端(9b)、および前記ロッドを受けるための底部を有するチャネル(12)を含むロッド受け部(9)と、
前記ヘッド(3)を収容するための前記第2の端(9b)の側のヘッド受け部(16)とを含み、前記ヘッド受け部は自由端(17)を有し、前記ヘッドの導入および締付けを可能にするために可撓性を有し、前記骨アンカー固定装置はさらに、
前記ヘッド受け部(16)を取囲むロック固定リング(8)を備え、
前記ヘッド(3)は、前記ロック固定リングで前記ヘッド受け部(16)を圧縮することによってロック固定され、
前記ロッド受け部(9)は、前記チャネルの一端において前記底部から前記第2の端(9b)まで延在する少なくとも1つの切取部(24)を含み、前記ロック固定リングは、前記ヘッドがロック固定されない位置に前記ロック固定リングがある時に前記切取部(24)を通って前記チャネル(12)内へ延在する少なくとも1つの突出部(81,83)を有し、
前記ヘッドを前記ヘッド受け部において旋回させることができ、かつ前記ヘッド受け部から取外すことができない位置に前記ロック固定リングを保持するために、前記チャネルの内壁の第2の係合部(25)に係合する第1の係合部(83,85)が前記ロック固定リングに設けられることを特徴とする、骨アンカー固定装置。
【請求項2】
前記第1の係合部(85)は、前記ロック固定リングが前記第2の端(9b)に向かって動くと前記第2の係合部(25)の表面(25a)に当接する表面(85a)を有する、請求項1に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項3】
前記第1の係合部(85)は、前記第2の係合部(25)に対して可撓的に動くように構成される、請求項1または2に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項4】
前記第1の係合部は、前記チャネル(12)内へ延在するばね部(83)に設けられる、請求項1から3のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項5】
前記突出部(81)および前記ばね部(81,83)は分離されており、前記ばね部(83)を前記突出部(81)に向けて可撓的に動かすことができる、請求項4に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項6】
前記ばね部の自由端(83a)は、前記ロッド(6)のための支持を提供する、請求項4または5に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項7】
前記チャネルの両端に切取部(24)が設けられ、前記切取部(24)を通って前記チャネル内へ延在する2つの直径方向に互いに対向する突出部(81)が前記ロック固定リングに設けられ、各突出部(81)に対応して少なくとも1つの係合部(83,85)が設けられる、請求項1から5のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項8】
前記ロック固定リング(8)は、前記ヘッド(3)を導入できるようにするために前記ヘッド受け部(16)を圧縮しない開放位置につき得る、請求項1から7のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項9】
前記開放位置において、前記第1の係合部(85)は前記チャネル(12)内へ延在する、請求項8に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項10】
前記ロック固定リング(8)は、前記ヘッドをロック固定するために前記ヘッド受け部(16)を圧縮するロック固定位置につき得る、請求項1から9のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項11】
前記ロック固定位置において、前記第1の係合部(85)は前記切取部(24)内へ延在し、前記第2の係合部(25)に係合していない、請求項10に記載の骨アンカー固定装置。
【請求項12】
前記第1および前記第2の係合部は、前記ロック固定リング(8)の円周方向に実質的に延在する、請求項1から11のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項13】
前記第2の端に隣接した前記受け部(5)の前記ヘッド受け部(16)の直径は、前記第2の端(9b)における前記ロッド受け部(9)の直径よりも小さい、請求項1から12のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項14】
前記ロック固定リング(8)の外径は、前記ロッド受け部(9)の外径以下である、請求項1から13のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項15】
前記ヘッド受け部(16)は、前記自由端(17)に開いている複数のスリット(20)を含む、請求項1から14のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項16】
前記ロッド受け部(9)は、自身の壁に複数のスリット(15)を含む、請求項1から15のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項17】
前記ヘッド(3)は球帯形状であり、第2の部分は、前記ヘッド(3)の旋回運動を可能にするために対応する球形部(18)を有する内面を含む、請求項1から16のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。
【請求項18】
好ましくは止めねじである閉要素(7)が、前記ロッドを凹部内にしっかり固定するために設けられる、請求項1から17のいずれかに記載の骨アンカー固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公開番号】特開2012−125564(P2012−125564A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266670(P2011−266670)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】