説明

骨固定器具用のドリルガイド組立体

ドリルガイド(誘導子)が、保持のための取っ手を有し、ドリルガイドは、板係合機構を作動させるよう構成されている。細長い部材が、近位部分と遠位部分との間に延び、近位部分は、取っ手部分と連係し、遠位部分は、板係合機構と連係している。板係合機構は、作動部材によって作動され、この作動部材は、第2の取っ手部分によって作動される。ドリルガイドは、近位カプラ及び遠位カプラによって細長い部材に回転自在に結合された少なくとも1つの案内スリーブを有する。さらに、板係合機構は、第2の取っ手部分を前記第1の取っ手部分に対して第1の方向に動かすと、骨板と結合するよう形作られた骨板係合部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
本願は、2003年8月1日に出願された米国仮特許出願第60/491,898号の35U.S.C.§119(e)の規定による優先権主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その開示内容全体をここに組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、ドリルガイド、例えば、固定器具、例えば骨板に取外し自在に取付け可能な外科用ドリルガイドに関する。特に、外科用ドリルガイド組立体は、軟組織の保護及び少なくとも1つのドリル管と骨板、例えば、脊柱骨板の骨ねじ穴との正確な整列又は位置合わせを可能にする。
【背景技術】
【0003】
種々の整形外科用途向きの外科用固定板を用いることは、広く受け入れられている。かかる固定板は、患者の骨を安定化させ、修復し又は整列させると共に患者の骨の圧迫度を変更するために外科医により用いられ、これら固定板は典型的には、複数本の締結具、例えばねじを固定板に設けられた穴に通して取り付けることによって骨に締結される。締結具の適正な配向及び整列状態並びに骨板のしっかりとした外科的固定を行うと、植え込み後における潜在的な合併症のうちの幾つかを軽減することができる。
【0004】
脊柱用途に用いられる係止骨板は、特別な配慮を持って取り付けられなければならない。というのは、かかる係止骨板は、長期間にわたる椎骨内固定、骨−破片固定及び脊柱の椎骨の前方除圧のために用いられる場合があるからである。脊柱手術において間違いが許される余地は、特に脊髄の感度及び脊髄周りの侵襲手技につきものの危険に鑑みて僅かである。さらに、締結具の取付けのために利用できる椎骨の寸法形状は、かなり制約されている。
【0005】
骨板を骨に固定するために用いられるねじは、各ねじが正確に骨板内に嵌まり込むよう関連の固定板穴と正しく位置合わせされる必要がある。骨板の穴内でのねじの位置合わせ不良があると、組織損傷が生じる恐れがある。加うるに、ねじの不適当な嵌まり具合の結果として、骨物質への骨板の連結具合が不安定であり又はしっかりとしていない場合があり、かくして骨板の有効性が潜在的に損なわれる。特に、係止板は、正確な締結具の位置合わせを必要とする。
【0006】
ドリルガイドは、外科医がねじを骨板の穴に位置合わせするのを助けるために用いられる場合が多い。係止板用のドリルガイドは、骨板に取り付けられ又はこれと当接し、かかるドリルガイドは一般に、ドリルビットを案内するためのガイド管を有する。従来のドリルガイドの一欠点は、ドリルガイドが適当な軟組織保護をもたらさないということにある。これは、外科医が腹部又は胸部経由による脊柱への前方からの接近方式を用いて骨板を取り付ける場合に特に問題である。多くの敏感で生死にかかわる臓器が、胸部及び腹部内に存在し、外科医は、脊柱に手術を行うとき、これら臓器を損傷しないよう特別に注意しなければならない。かくして、外科医は、注意深さを持って手術を進めなければならず、手技に多くの時間を必要とし、かくして麻酔下にある患者にとって合併症が生じる恐れが増大する。
【0007】
従来型ドリルガイドのもう1つの欠点は、これらドリルガイドがドリルガイドに対する骨板の側方又は回転運動を阻止するような仕方で骨板に係合しないということにある。
【0008】
発明の概要
一実施形態によれば、ドリルガイドを骨板に迅速且つしっかりと取り付けるシステム及び方法であって、回転運動に抵抗し、手術作業空間内に最小限のスペースしか必要とせず、前方からの脊柱接近方式により組織保護を行うシステム及び方法が提供される。
【0009】
一実施形態では、外科用ドリルガイド組立体は、ユーザによって保持され、板係合機構を作動させるよう構成された取っ手を有する。取っ手は、互いに可動的に連結された第1の取っ手部分と第2の取っ手部分から組み立てられる。ドリルガイドは、近位部分、遠位部分、長さ及び長手方向軸線を備えた細長い部材を更に有する。細長い部材の近位部分は、第1の取っ手部分と連係し、細長い部材の遠位部分は、板係合機構と連係する。近位部分、遠位部分及びこれらの間の長さを備えた作動部材が、細長い部分の近位部分のところで第2の取っ手部分に係合し、細長い部分の遠位部分のところで第2の板係合機構に係合する。さらに、少なくとも1つのスリーブが、ドリルガイドに設けられ、このスリーブは、近位部分、遠位部分及びこれらの間の長さを有する。案内スリーブ及び細長い部材の近位部分は、長さを備えた近位結合部材により互いに結合され、案内スリーブ及び細長い部材の遠位部分は、長さを備えた遠位結合部材により互いに結合される。近位結合部材の長さと遠位結合部材の長さは、互いに同じではなく、それにより、案内スリーブを細長い部材の長手方向軸線に対してゼロではない角度をなして配置できる。加うるに、案内スリーブの長さは、細長い部材の長さと実質的に同一であり、板係合機構は、第2の取っ手部分を第1の取っ手部分に対して第1の方向に動かすと、骨板と結合するよう形作られた骨板係合部分を更に有する。
【0010】
別の実施形態では、外科用ドリルガイドの11の取っ手部分と第2の取っ手部分は、互いにピボット式に回動自在に連結されている。取っ手は、ばねを更に有し、取っ手は、作動状態及び非作動状態を更に有し、ばねは、取っ手を非作動状態に付勢するよう少なくとも第1の取っ手部分又は第2の取っ手部分と連係している。
【0011】
さらに別の実施形態では、外科用ドリルガイドは、板係合部材及び係止組立体を更に有し、板係合部材が骨板に設けられた凹部に接触すると、係止組立体は、ユーザによるそれ以上の操作を行わなくても板係合機構を骨板に係止するよう動作可能である。さらに係止組立体は、戻止めを備えた摺動ラッチを有する。細長い部材の近位部分は、第1の取っ手部分に固定され、細長い部材の遠位部分は、板係合機構に固定されている。
【0012】
さらに別の実施形態によれば、細長い部材は、第1の取っ手部分と一体であり、作動部材は、第2の取っ手部分と一体である。加うるに、板係合機構は、骨板に設けられた穴に係合可能であり、この穴は、少なくとも1つの案内スリーブを骨板に設けられた別の穴に整列させる。
【0013】
別の実施形態では、骨長い部材は、近位及び遠位結合部材に固定されている。作動部材は、板係合機構に摺動自在に係合し、作動部材は、遠位端部に設けられていて、板係合機構に係合する作動ピンを更に有する。
【0014】
別の実施形態では、作動ピンは、板係合機構に設けられたテーパ付きボアと対応するよう一端がテーパしている。加うるに、板係合機構は、骨板に設けられたスロットに係合するロケータピンを更に有し、ロケータピンは、ドリルガイドを骨板に回転自在に固定するよう動作できる。さらに、ロケータピンは、ドリルガイドの長手方向軸線と実質的に平行に配置され、板係合機構は、骨板内の穴に嵌まり込むことができるよう半径方向に拡張されるような寸法形状の少なくとも1つの弾性フィンガを更に有する。
【0015】
別の実施形態では、胸椎、腰椎又は仙椎に対する前方からの外科手技の際、ドリルガイドが骨板に係合し、骨板が脊椎に係合すると、案内スリーブの少なくとも一部が、患者の体外に配置される。案内スリーブの長さは、約50ミリメートル(mm)〜約400mmであり、変形例として、案内スリーブの長さは、約250mm〜約270mmである。さらに、案内スリーブは、外科手技を行うための少なくとも1つの外科用ツールを摺動自在に受け入れるように寸法決めされ、案内スリーブの内径は、約4mm〜約15mmであり、変形例として、案内スリーブの内径は、約8.0mm〜約8.5mmである。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、案内スリーブの近位部分は、停止面を備えたフランジを更に有し、停止面は、外科用ツールを案内スリーブ内で第1の方向に動かすと、外科用ツールに設けられている対応の停止面に接触するよう形作られており、対応関係にある停止面が互いに接触すると、外科用ツールは、第1の方向にそれ以上動くのが阻止される。加うるに、案内スリーブは、細長い部材の長手方向軸線に対して約0°〜約8°傾斜した長手方向軸線を有し、変形例として、案内スリーブは、細長い部材の長手方向軸線に対して約2.0°〜約2.5°傾斜した長手方向軸線を有する。
【0017】
別の実施形態では、少なくとも第1及び第2の案内スリーブが、外科手技の際に用いられる少なくとも1つのツールを受け入れるよう設けられ、第1の案内スリーブは、第1の長手方向軸線を有し、第2の案内スリーブは、第2の長手方向軸線を有し、第1の案内スリーブと第2の案内スリーブは、細長い部材の互いに反対側の側部に設けられている。さらに、ドリルガイドは、板ホルダとして使用できるよう構成されている。
【0018】
別の実施形態では、第1の取っ手部分と第2の取っ手部分は、互いにピボット式に回動自在に連結され、取っ手は、ばねを更に有し、取っ手は、作動状態及び非作動状態を更に有し、ばねは、取っ手を非作動状態に付勢するよう少なくとも第1の取っ手部分又は第2の取っ手部分と連係している。加うるに、板係合機構は、板係合部材及び係止組立体を更に有し、板係合部材が骨板に設けられた板係合部材に対応した形状の凹部に接触すると、係止組立体は、ユーザによるそれ以上の操作を行わなくても板係合機構を骨板に係止するよう動作可能である。さらに、係止組立体は、戻止めを備えた摺動ラッチを有する。
【0019】
さらに別の実施形態では、細長い部材の近位部分は、第1の取っ手部分に固定され、細長い部材の遠位部分は、板係合機構に固定されている。加うるに、細長い部材は、近位結合部材及び遠位結合部材に固定されている。作動部材は、板係合機構に摺動自在に係合し、作動部材は、細長い部材の遠位部分のところに設けられていて、板係合機構に係合する作動ピンを更に有する。さらに、作動ピンは、板係合機構に設けられたテーパ付きボアと対応するよう一端がテーパし、板係合機構は、骨板に設けられたスロットに係合するロケータピンを更に有する、ロケータピンは、ドリルガイドを骨板に回転自在に固定できる。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、ロケータピンは、ドリルガイドの長手方向軸線と実質的に平行に配置され、板係合機構は、骨板内の穴に嵌まり込むことができるよう半径方向に拡張されるような寸法形状の少なくとも1つの弾性フィンガを更に有する。加うるに、胸椎、腰椎又は仙椎に対する前方からの外科手技の際、ドリルガイドが骨板に係合し、骨板が脊椎に係合すると、案内スリーブの少なくとも一部が、患者の体外に配置される。案内スリーブの長さは、約50ミリメートル(mm)〜約400mmであり、変形例として、案内スリーブの長さは、約250mm〜約270mmである。
【0021】
さらに別の実施形態では、案内スリーブは、外科手技を行うための少なくとも1つの外科用ツールを摺動自在に受け入れるように寸法決めされている。案内スリーブの内径は、約4mm〜約15mmであり、変形例として、約8.0mm〜約8.5mmである。加うるに、案内スリーブの近位部分は、停止面を備えたフランジを更に有し、停止面は、外科用ツールを案内スリーブ内で第1の方向に動かすと、外科用ツールに設けられている対応の停止面に接触するよう形作られており、対応関係にある停止面が互いに接触すると、外科用ツールは、第1の方向にそれ以上動くのが阻止される。
【0022】
さらに別の実施形態によれば、案内スリーブは、細長い部材の長手方向軸線に対して約0°〜約8°傾斜した長手方向軸線を有し、又は細長い部材の長手方向軸線に対して約2.0°〜約2.5°傾斜した長手方向軸線を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも第1及び第2の案内スリーブが、外科手技の際に用いられる少なくとも1つのツールを受け入れるよう設けられる。さらに、第1の案内スリーブは、第1の長手方向軸線を有し、第2の案内スリーブは、第2の長手方向軸線を有し、第1の案内スリーブと第2の案内スリーブは、細長い部材の互いに反対側の側部に設けられている。加うるに、ドリルガイドは、板ホルダとして使用できるよう構成され、ピボット回動部材は、細長い部材に係合する細長い部材係合部分と、案内スリーブに係合する案内スリーブ係合部分とを有する。
【0023】
さらに別の実施形態手は、第1のピボット回動部材は、ピンで細長い部材に結合され、第2のピボット回動部材は、ピンで板係合機構に結合されている。骨長い部材に対して、第1の位置は左側位置であり、第2の位置は右側位置であり、ピボット回動部材は、約180°回転するよう構成されている。さらに、ピボット回動部材は、最も左側の位置にあるとき、案内スリーブを骨板の左ねじボアに整列させ、最も右側の位置にあるとき、案内スリーブを骨板の右ねじボアに整列させるよう構成されている。加うるに、案内スリーブの中心軸線と細長い部材の長手方向軸線のなす角度は、案内スリーブが左側位置にあるにせよ右側位置にあるにせよ、いずれにせよ維持される。
【0024】
本発明の別の実施形態では、ドリルガイドを用いて前方からの脊柱用骨板の取付けを行う方法が、細長い部分、板係合部分及び近位端部を備えた案内スリーブを有するドリルガイドの取っ手を握る段階を有する。さらに、板係合機構を骨板のスロットの中に位置決めする段階及び取っ手を握りしめて作動アームを作動させ、それにより板係合機構を作動させて板係合機構が骨板のスロットの内面にしっかりと係合するようにする段階が実施される。方法段階は、ラッチを並進させてこれをボール戻止めに係合させ、作動アームが非作動状態に戻らないようにする段階及びドリルガイド及びこれに係合した骨板を、脊柱の手術部位に向かって切開部を通って前方から挿入する段階を更に含み、案内スリーブの近位端部は、切開部の前方に維持される。
【0025】
別の実施形態によれば、この方法は、位置決め部材を骨板のスロットの中に位置決めする段階を更に有し、脊柱の手術部位は、胸椎である。加うるに、脊柱の手術部位は、腰椎であると共に(或いは)脊柱の手術部位は、約T1〜約S1の椎骨である。
【0026】
変形実施形態では、ドリルガイドを用いて前方からの脊柱用骨板の取付けを行う方法が、ドリルガイドの取っ手を握る段階と、板係合機構を骨板のスロットの中に位置決めする段階を有する。次に、外科医は、取っ手を握りしめて作動アームを作動させ、かくして板係合機構を作動させて板係合機構が骨板のスロットの内面にしっかりと係合するようにする。次に、外科医は、取っ手に設けられているラッチを並進させてこれをボール戻止めに係合させ、作動アームが非作動状態に戻らないようにする。次に、外科医は、ドリルガイド及びこれに係合した骨板を、脊柱の手術部位に向かって切開部を通って前方から挿入する。しかる後、外科用ツールを案内スリーブ内に挿入し、案内スリーブの遠位端部を介して外科手技を実施する。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、次に、外科医は、板係合機構を係止してドリルガイドが骨板に取り付けられたままであるようにする。次に、外科医は、ドリルビットを案内スリーブの下に挿入し、穴を椎骨にあける。穴あけに続き、外科医は、骨締結具を案内スリーブの下に配置し、骨締結具を骨板に設けた孔から椎骨内に挿入する。最後に、外科医は、ドリルガイド組立体を骨板から取り外す。
【0028】
さらに別の実施形態では、脊椎固定器具を脊柱に取り付ける方法が、骨板を受け取るよう脊柱の前方領域への接近手段を用意する段階を有し、骨板は、複数個の穴を備える。次に、この方法は、ガイド組立体を用意する段階を有し、ガイド組立体は、このガイド組立体を骨板に取り付ける板係合機構と、板係合機構を作動させる取っ手及び器械若しくは骨締結具又はこれら両方を骨固定器具に設けられた骨締結具穴中へ適当な角度をなして案内する案内スリーブとを有する。この方法は、骨板を脊柱に接触させる段階及びガイド組立体を骨板の穴のうち少なくとも1つに取り付けて案内スリーブの遠位部分が骨板に隣接して位置し又はこれに接触し、案内スリーブの近位部分が患者に形成した外科用切開部を越えて前方に延びるようにする段階を有する。さらに、骨締結具を案内スリーブの下に配置し、外科医は、骨締結具を、骨板に設けた穴を通って椎骨内へ取り付ける。
【0029】
さらに別の実施形態では、この方法は、ドリルビットを案内スリーブの下に挿入する段階及び穴を椎骨にあける段階を更に有する。また、器械又は骨締結具のいずれかを骨固定器具に対し適当な角度をなして案内するガイド組立体が提供される。このガイド組立体は、骨固定器具に設けられた複数個の穴のうち少なくとも1つに係合する少なくとも1つの半径方向に延びる部材を備えた骨固定器具係合機構を有する。このガイド組立体は、ユーザによって保持され、係合機構を作動させてガイド組立体を骨固定器具に取り付けるよう構成された取っ手を更に有し、取っ手は、ガイド組立体を骨固定器具に取り付けたりこれから取り外すよう互いに対して動くことができる第1の取っ手部分と第2の取っ手部分から成る。さらに、近位部分、遠位部分及び長手方向軸線を備えた細長い部材が設けられ、近位部分は、第1の取っ手部分と連係し、遠位部分は、係合機構と連係する。また、近位部分及び遠位部分を備えた作動部材が設けられ、近位部分は、第2の取っ手部分と連係し、遠位部分は、係合機構と連係する。少なくとも1つの案内スリーブが設けられ、この案内スリーブは、近位部分、遠位部分及び長手方向軸線を備え、案内スリーブは、器械か骨締結具かのいずれか又はこれら両方を受け入れて案内するよう寸法決めされている。さらに、案内スリーブの近位部分を細長い部材に結合する近位結合部材及び案内スリーブの遠位部分を細長い部材に結合する遠位結合部材が設けられている。細長い部材の長手方向軸線は、案内スリーブの長手方向軸線に対して角度をなしており、案内スリーブの遠位部分は、係合機構と係合した穴とは異なる穴と整列する。さらに別の実施形態では、案内スリーブは、医療手技中、軟組織を保護するよう構成されている。
【0030】
本発明の特徴及び目的を一層よく理解するため、添付の図面と関連して行われる以下の詳細な説明を参照すべきであり、添付の図面は、本発明の好ましい特徴を示しており、図面の幾つかの図全体を通じ、同一の参照符号は、対応部分を示している。
【0031】
発明の詳細な説明
図1を参照すると、脊柱固定器具、例えば骨板500に用いられるようになった例示のドリルガイド組立体10が示されている。ドリルガイド組立体は脊柱板と関連して開示されるが、ドリルガイド組立体を身体の任意の部分上に用いられる骨板と関連して使用できることが想定される。ドリルガイド組立体10は主要部として、作動取っ手20、本体組立体30、1又は複数個のガイドバレル40、板係合及び整列機構60を有し、このドリルガイド組立体は、単一の各種バレル組立体のためのピボット回動機構50を更に有するが、このようにするかどうかは任意である。一般に、ドリルガイド組立体10を作動させるためには、外科医はドリルガイド組立体10の作動取っ手20を掴む。外科医は次に、板係合及び整列機構60を骨板と整列させて板取付け機構850(図14)及びロケータピン814(図14)が骨板に設けられたスロット520,510(図19)とそれぞれ係合するようにする。板取付け機構850及びロケータピン814を骨板のスロット520,510にいったん整列させると、外科医は、作動取っ手20を握りしめる。作動取っ手20を握りしめることにより、作動バー310がドリルガイド組立体10の板係合端部に向かって動き、それによりテーパピン900(図17)を板取付け機構850に設けられたテーパピンボア854(図15)中へ押し込む。板取付け機構は、テーパピンボア周りに設けられた複数個の拡張可能なフィンガ852を有し、テーパピン900が動くと、このテーパピンは、テーパピンボア854の内壁に係合し、それによりフィンガ852が半径方向に拡張して骨板のスロット520に係合し、かくして、ドリルガイド骨板に係止する。骨板を切開部中へ挿入する前に、ドリルガイド10と骨板をこのように互いに結合するのがよく、それにより外科医は、ドリルガイドを板ホルダとして用いることができる。次に、骨板を切開部中へ挿入し、そしてドリルガイド10を用いて標的骨部位のところに配置し、かくして別個の板保持及び配置ツールを配置して骨板を手術部位内の定位置に保持する必要がなくなっている。次に、取っ手を放すことによりドリルガイドを骨板から分離するのがよく、その後、拡張可能なフィンガがこれらの非拡張状態に戻り、テーパピン及び作動バーが取っ手に向かって後方に動く。
【0032】
図1に示すように、作動取っ手20は主要構成要素として、静止握り100及びピボット回動握り110を有し、このピボット回動握りは、これら2つの握りを互いに押し放す板ばね120によって静止握り100から押し放される。使用に当たり、外科医は、組立体10を骨板(以下に説明する)に整列させ、ピボット回動握り110を静止握り100に向かって引く。この動作は、板係合及び整列機構60に伝えられ、かかる機構60は、組立体10を骨板に係止する。次に、外科医はラッチ130を静止取っ手100に平行な軸線に沿って直線的にスライド運動させるのがよく、それにより作動取っ手20を作動位置に係止し、組立体10を骨板に係止し、かくして外科医は作動取っ手20から自分の手を離すことができる。
【0033】
図3〜図5は、作動取っ手20の細部を示している。ピボット回動握り110は、作動ピン132によって本体組立体30の近位端部にピボット式に回動自在に取り付けられている。本明細書全体を通じ、別段の指定がなければ、「近位」という用語は、ユーザに最も近い器具の端部を意味し、「遠位」という用語は、使用中、手術部位に最も近い器具の端部を意味している。板ばね120(図1)は、作動取っ手20を非作動位置に付勢するよう静止握り100及びピボット回動握り110に締結されている。
【0034】
図3に示すように、静止握り100は、2つの全体として真っ直ぐな部分、即ち、握り部分140及び本体部分142を有している。握り部分140は、線SLに沿って設けられた上側スロット付き部分144を有している。上側スロット付き部分144は、静止握り100を完全に貫通して延びているわけではない。これとは異なり、第2のスロット付き部分が、静止握り100の反対側の表面上の中心平面周りに対称に設けられている。本体部分142の頂面146と線SLは、角度θHANをなしている。一実施形態では、各θHANは、人間工学的条件に適合するよう約90°〜約150°であるのがよく、角度θHANは、人間工学的検討事項に適合するよう約130°であるのがよい。ピボット回動握り110と静止握り100を連結するための取っ手ピン132を受け入れる穴151が設けられている。
【0035】
図4に示すように、ドリルガイド組立体10は、ピボット回動握り110が静止握り100から最大離隔角度θMAXのところに位置しているとき、非作動位置にあるよう構成されている。この非作動位置は又、作動バー310の頂点152が線EPから見てユーザの近くに配置される位置に相当し、線EPは、線SLに全体として平行であり、握り部分140の外縁部154に沿って定められている。かくして、この非作動位置では、作動バー310の頂点152は、静止握り100の頂点156に対してユーザの近くに位置している。この位置では、ラッチ130は、ラッチ解除位置にあり、かくして、作動バー310には係合していない。
【0036】
使用に当たり、外科医がピボット回動握り110を静止握り100に向かって引くと、作動バー310は、ドリルガイド組立体10の遠位部分に向かって直線的に作動される。図5Aに示すように、ピボット回動握り110が静止握り100から離隔角度θAL1に達すると、作動バー310はほぼ完全に作動され、それによりドリルガイド組立体10を作動位置に位置決めする(これについては、以下において更に説明する)。この位置では、作動バー310の頂点152は、全体として線SLに隣接して位置し、作動バー310の側部160が全体として握り部分140の縁部144と同一直線上に位置するようになっている。
【0037】
板ばね120(図1)がピボット回動握り110及び静止握り100を非作動位置に付勢するので、外科医は、引き続き圧力をピボット回動握り110に加えなければならず、それによりピボット回動握りは作動バー310の作動位置を維持するよう静止握り100に向かって押圧される。ドリルガイド組立体10の容易且つ便利な使用を容易に実施するため、ラッチ130は好ましくは、作動バー310を作動位置に維持するよう構成され、ピボット回動握り110が静止握り100から角度θAL1だけ離隔された状態に維持されるようになっている。これにより、外科医が適正な作動が生じた後、ピボット回動握り110と静止握り100を絶えず握りしめる必要性がなくなる。これとは異なり、使用に当たり、外科医は親指でラッチ130を静止握り100に沿って作動バー310に向かって直線的に動かしてこれを作動バー310のフェース160に当接させ、それにより近位側への運動を阻止する。すると、ラッチ130は、板ばね120(図1)により生じた後方への圧力がフェース160を介してラッチ130に加えられるので定位置に位置したままである。
【0038】
図5Bに示すように一実施形態によれば、ラッチ130は、ボールプランジャラッチ機構550を備えている。この実施形態によれば、スライドラッチ130を上方位置又は下方位置に係止することができる(「上方」という用語は、ユーザの手から遠ざかる方向を意味し、これとは逆に、「下方」は、ユーザの手に近づく方向を意味している)。ボールプランジャラッチ機構550は、静止握り100内に嵌め込まれたばね押しボール552及びこれに対応してスライドラッチ130に設けられた上側及び下側ボール受け入れ凹部554を有している。使用に当たり、外科医は、取っ手を握りしめることによりドリルガイドを作動させ、次にスライドラッチ130を上方に向かって動かして作動バー310を定位置に係止すると、ボール552は、ラッチ130の下側凹部554に弾性的に係合してラッチ130が定位置に係止された状態になるようにすることができる。しかる後、外科医は、ドリルガイド組立体10を事実上任意の方向に且つ事実上あらゆる軸線回りに回転させることができ、ラッチ130は、作動バー310を係止作動位置に拘束する。たとえ外科医が握りしめ圧力をピボット回動握り110に加え、それによりラッチ130に加えられている後方圧力を作動バー310から除いたとしても、ラッチ130は、定位置のままである。係止作用又はロックを解除するため、外科医は、ラッチ130を下方位置まで動かすのがよく、それによりボール552が下側凹部から離脱してボールが上側凹部554内に弾性的に係合し、ラッチ130が下方位置に係止されてラッチ130が作動バー310の作業経路から外れた状態のままであるようになる。
【0039】
一実施形態では、ラッチ130の運動は、スロット付き部分144に沿って案内され、この場合、スロット付き部分144からの離脱は、静止握り100に設けられた当接部(図示せず)によって阻止される。変形例として、ラッチ130の移動を制限する他の手段、例えば作動バー310のフェース160に設けられた突起を用いてもよい。一実施形態では、ラッチ130は、外科医の親指によるラッチ130の握りを促進し、それによりラッチ130の運動を容易にする歯162又は隆起部を更に備えている。変形例として、当該技術分野において知られている他のラッチ手段、例えば、ピン又はラチェット機構も又想定され、これらを用いることができる。
【0040】
図5Aに示すように、ピボット回動握り110と静止握り100をθAL1よりも僅かに小さな離隔角度まで握りしめることにより作動バー130を作動位置から解除することができ、したがって、ピボット回動握り110と静止握り100が角度θMINだけ放されるようになる。離隔距離θMINに達すると、作動バー310がラッチ130から遠ざけられるので、フェース160によりラッチ130に加えられた後方圧力が減少し、ラッチ130は、作動バー310に係合しない位置に自由に動くことができる。
【0041】
有利には、ピボット回動握り110及び静止握り100の人間工学的な位置決めにより、外科医は片手だけでドリルガイド組立体10を操作することができる。ピボット回動握り110と静止握り100を互いに対して解除自在に係止するためのラッチ130を有する実施形態では、ラッチ130も又、ドリルガイド組立体10の片手による操作が便利なように人間工学的に位置決めされている。
【0042】
一実施形態では、作動取っ手20をドリルガイド組立体10の板係合端部又は遠位端部から見て遠くに配置するのがよく、それにより、ごちゃごちゃした状態を軽減すると共に固定板の植え込み及び取付けを行っている間、手術部位における視認性を向上させる。
次に図1〜図5Bを参照すると、ドリルガイド組立体10の本体30は、長手方向軸線LAに沿って延びている。本体30は一般に構造的支持作用及び安定性をドリルガイド組立体10に与えていて、この本体は、作動取っ手20とガイドバレル40と板係合及び整列構造体60を互いに連結すると共に任意的に用いられる回動機構50を支持できる手段となっている。
【0043】
本体30は、全体が静止握り100の延長部である延長アーム200を有している。一実施形態によれば、延長アーム200は、ドリルガイド組立体10の近位端部70と遠位端部80との間に延び、近位端部70は、全体として作動取っ手20の近くに配置されている。遠位端部80は、ブッシュ60が骨板と係合可能なドリルガイド組立体10の遠位端部の最も近くに位置するよう作動取っ手20から遠ざかって延びている。当業者であれば理解されるように、延長アーム200をねじ込み連結、接着剤による結合、溶接、レーザ溶接等によりピン組立体によって静止握り100に結合するのがよい。さらに、これら構成部品を互いに一体に形成するのがよい。本体20は又、近位回動カプラ52及びブッシュ60の取付け手段となる(これについては、以下において更に説明する)。
【0044】
作動バー310は、図1、図4及び図5Aに示すように、一般に延長アーム200に隣接して位置決めされ、この作動バーは、延長アーム200の近位端部から遠位端部まで延びている。作動バー310は、その近位端部の近くが作動ピン134によって内部連接部材(図示せず)に結合されている。連接部材(図示せず)は、ピボット回動握り110の取っ手ピン132のところと作動バー310の作動ピン134のところを互いに連結していて、ピボット回動握り110を静止握り100に向かって回動させると、作動バー310がドリルガイド組立体10の遠位端部に向かって押圧されるようになっている。
【0045】
ドリルガイド組立体10は、少なくとも1つのガイドバレル又は案内スリーブ40を更に有している。ガイドバレル40は、中空の管から成り、このガイドバレルは、本体30に沿って本体30の近位端部から遠位端部まで実質的に直線状に延びている。使用に当たり、ガイドバレル40は、手術部位内における特定の且つ正確な整列が得られるよう手術ツール(図21〜図23参照)を挿入状態で収容できる保護バリヤとなる。さらに、ガイドバレル40の長さに起因すると共にガイドバレル40がその長さに沿って実質的に閉鎖管であるということにより、皮膚と手術部位との間に位置する軟組織は、挿入された手術ツールとの相互作用から保護される。したがって、患者の生きている器官及び(又は)組織は、外科手技において用いられるツールの取付け及び取出し中、不用意に損傷する恐れが低い。これは、脊柱への前方からの接近方式を利用する外科手技にとって特に重要である。というのは、体内の腹部臓器及び(又は)胸部臓器は、デリケートであり、脊柱手技に用いられる場合の多い鋭利な外科手術器具、例えば、ドリル、突き錐、タップ、ねじ穴タップ、ねじ回し等と僅かに接触することにより損傷を受ける場合があるからである。一実施形態では、案内スリーブ40は、ドリルガイド組立体10を骨板に係合させ、この骨板を標的骨部位上に配置すると、案内スリーブの少なくとも一部が切開部から外部に延びるのに十分な長さのものであるのがよい。一実施形態によれば、ガイドバレル40は、脊椎外科手技用のドリルガイドとして用いられるような寸法形状のものであるのがよい。変形実施形態では、ガイドバレル40は、ほぼ椎骨T1からほぼ椎骨S1に対して行われる外科手技用のドリルガイドとして用いられるような寸法形状のものであってもよい。したがって、一実施形態では、ガイドバレル40の長さは、50ミリメートル(記号mm)〜約400mmであるのがよい。別の実施形態では、ガイドバレル40の長さは、約260mmであってよい。
【0046】
ガイドバレル40の断面は、実質的に中空円形であり、このガイドバレルは、外科手術ツールを受け入れるような寸法形状のものである。外科手術ツールは、ガイドバレル40によって正確に受け入れられて、ドリルガイドとツールの組合せユニットが正確且つ予想可能な外科手技をもたらすようになっている。変形実施形態では、ガイドバレル40の内径は、所望の外科手技及びこの手技に用いられるツールに応じて様々であってよい。一実施形態では、ガイドバレル40の内径は、約4mm〜約15mmであるのがよい。変形実施形態では、ガイドバレル40の内径は、約8.2mmであってよい。
【0047】
上述した長さ及び形状を持つ標準長さのガイドバレルを提供することにより、外科医は、たった1つの器具を用いて身体内の種々の場所において、しかもプロポーションが種々の患者について骨板配置手技を実施することができる。例えば、本発明は、腹部切開部から手術部位までの距離が相当長い場合のある大柄な患者に用いるのに特に適している。
【0048】
ガイドバレル40は、骨板取付け手技中に用いられる種々のツールを摺動的に受け入れるように寸法決めされた内径を有するのがよい。かかるツールの例は、突き錐、ドリル、タップ、仮止めピン、骨ねじ、ピン配置及びねじ駆動ツールである。
【0049】
ガイドバレル40は、ツールがガイドバレル40の遠位端部から突き出る距離を制限するようドリルガイド組立体10に用いられるツールの停止部又は表面に対応するよう形作られた内側又は外側停止部を更に有するのがよい。一実施形態によれば、ガイドバレル40(図1及び図13)は、ガイドバレル40の遠位端部70の近くに停止面692を有している。使用に当たり、かかる停止構造は、外科医が骨の正確且つ所定の深さまで穴あけ、タップ立て等を助けることができ、又、かかる停止面は、外科医が骨の中に深過ぎるほど穴あけし、タップ立てし、突き錐で刺し、ねじをねじ込む等しないようにすることができる。
【0050】
図1に示すドリルガイド組立体10の平面図である図2を参照すると、単一のガイドバレル40が、左側係止位置で本体30に全体として隣接して位置決めされた状態で見える。一実施形態では、ガイドバレル40の中心軸線CAは、図2に示すように、内側−外側平面で見て、本体30の長手方向軸線LAとは平行ではない。一実施形態では、ガイドバレル40の中心軸線CAは、内側−外側平面で見て、本体30の長手方向軸線LAの各側で約0°〜8°傾斜しているのがよい。変形例として、別の実施形態では、ガイドバレル40の中心軸線CAは、内側−外側平面で見て、本体30の長手方向軸線LAの各側で約2.15°傾斜していてもよい。使用に当たり、ガイドバレル40の中心軸線CAの角度は、あらかじめ定められており、骨ねじを用いて骨板を骨に固定するための所望の植え込み角度に基づいており、かくして、利用されるべきドリルガイド組立体10及び構成部品を用いて行われる手技で決まる。変形実施形態では、ガイドバレル40の中心軸線CAは、内側−外側平面で見て、本体30の長手方向軸線LAに平行であってもよい。
【0051】
認識されるべきこととして、骨ねじ穴の正確且つ的確な整列及び位置決めが重要であり、その理由は、多くの骨板設計において、整列状態が不適当なねじは、骨ねじ穴のねじ山と交差して骨板穴と関連した係止機構及び(又は)この係止機構を通って挿入されたねじの健全性を損なう場合があるからである。さらに、不適切に植え込まれたねじは、植え込まれた器具の寿命に悪影響を及ぼす場合がある。骨に対して不適当な角度をなして配置されたねじは、時間の経過につれて弛む場合があり、かくして固定板の健全性を損なう。骨ねじの正確且つ的確な配置は、切開部の深さが大きい場合、例えば、腰椎への前方からの接近方式では一層困難になる。というのは、作業領域が組織、血液等で隠されてその視認性が損なわれる場合があるからである。これは、大柄な患者に特に当てはまる。かくして、本明細書において開示するように所定のねじ整列軌道を備え、あらゆる体格の患者に関して手術部位を境界付ける軟組織の最大の保護をもたらすドリルガイドを提供することは、外科医と患者の双方にとって際立って有利である。
【0052】
理解されるべきこととして、ガイドバレル40の中心軸線CAと本体30の長手方向軸線LAは、図1に示すように、矢状平面で見て、互いに平行であるように見える。また、注目されることとして、ガイドバレル40と本体30の上述の相対角度は、例示に過ぎず、当業者であれば、実施されるべき外科手技に応じて任意の適当な角度を提供できることは理解されよう。
【0053】
骨板は、左ねじの穴と右ねじの穴の対を備えるのがよい。したがって、ガイドバレル40は、本体30の長手方向軸線に対して回転自在又は回動自在に動かすことができ、したがってたった1つのガイドバレル40を本体30に対して左側位置及び(又は)右側位置に選択的に位置決めして外科用骨板の左及び(又は)右骨ねじ穴への接近を容易にすることができるようになっている。有利には、ガイドバレル40は回転自在なので、1対の骨ねじ穴を役立てるのにドリルガイド組立体10に設ける必要のあるガイドバレル40はたった1つであり、それにより、小さな手術部位に対応して作業空間を僅かしか必要とせず、しかも2つのガイドバレルを用いる器具と比較して、軟組織外傷の恐れが低い。
【0054】
ドリルガイド装置10は、ガイドバレル40をドリルガイド組立体10の本体30に回転自在に結合する際に用いられる近位及び遠位回動機構又は回動カプラ50を更に有するのがよい。代表的には、ドリルガイド組立体10と関連して2つの回動カプラ50が設けられ、一方は、本体30の近位端部70の近くに設けられ、もう1つは本体30の遠位端部80の近くに設けられる。各回動カプラ50は、回動ピン(以下に更に説明する)を有し、これら回動ピンは、互いに実質的に軸方向整列状態にあり、それにより、回動軸線699が形成され、ガイドバレル40は、この回動軸線回りに本体30に対して左作業位置と右作動位置との間で回転することができる。(注記:左作業位置は、図1及び図2に示されている)。
【0055】
近位回動カプラ52は、作動取っ手20の近くでドリルガイド組立体10の近位端部寄りに配置されている。図6を参照すると、近位回動カプラ52は、本体30へのしっかりとした取付けのためのマウント600と、回動ピン620と、ばね640とスイベルリンク660とを有している。
【0056】
図7及び図8は、マウント600の実施形態を示している。マウント600は主要構成要素として、開口した有心台形633の形をしており、この開口有心台形633は、マウント600のこの開口有心台形633を通って本体30を受け入れるような寸法形状のものである。マウント600は、全体として本体30の長手方向軸線LAに平行な中心軸線605(図8)を有している。本体30は一般に、マウント600の第1の部分602にその表面603沿いにしっかりと取り付けられる。マウント600は、第2の部分604を有している。第2の部分604は主要構成要素として、回動ピンボア606と、係止チャネル608と、ガイドバレル着座部又は半径方向凹部610とを有している。一実施形態によれば、回動ピンボア606は、マウント600を完全に貫通していて、回動ピン620を回転自在に受け入れるような寸法形状のものである。この実施形態によれば、回動ピン620は、マウント600を完全に貫通していて、近位端部がスイベルリンク660にしっかりと取り付けられ(以下において更に説明する)、この回動ピンは、マウント600からドリルガイド組立体10の遠位端部に向かって遠位方向に自由に延びている。別の実施形態では、回動ピン620を回動ピンボア606内にしっかりと取り付けてもよく、スイベルリンク660が、回動ピン620を回転自在に受け入れてもよい。回動ピン620は、回動ピン620の遠位端部の近くで外方に末広がりに広がっており、リップ621(図6)を形成するよう直径が増大している。組立て状態では、ばね640が、リップ621とマウント600の表面612との間で回動ピン620周りに設けられており、このようにすると、ばね640は、回動ピン620をマウント600から遠位側へ遠ざけるよう付勢し、それによりスイベルリンク660が引き寄せられてマウント600に密に接触する。
【0057】
回動ピンボア606は、中心がマウント600の近位側部に設けられた係止チャネル608と整列している。図8は、マウント600の断面図である。係止チャネル608は、全体として本体30の長手方向軸線に垂直な軸線を有し、したがって、この係止チャネルは、マウント600の中心軸線にも垂直である。係止チャネル608は又、スイベルリンク660を受け入れるよう形作られている(これについては以下において更に説明する)。
【0058】
マウント600は、半径方向凹部610を更に備え、この半径方向凹部は、ガイドバレル40を左又は右位置に位置決めすると、ガイドバレル40の外周面を受け入れるよう形作られている。
【0059】
図9及び図10は、近位回動カプラ52のスイベルリンク660の実施形態を示している。スイベルリンク660は、ガイドバレル40をマウント600に回転自在に連接し、このスイベルリンクは、第1の端部664と第2の端部666との間に延びる細長い本体662を有している。スイベルリンク660は、2つの全体として円形のボア、即ち、第1の端部に設けられた第1のボア668及び第2の端部に設けられた第2のボア670を有している。第1のボア668は、マウント600から近位側へ突き出た回動ピン620の近位端部を受け入れるような寸法形状のものであり、第2のボア670は、ガイド管40を受け入れるような寸法形状のものである。一実施形態によれば、回動ピン620は、横方向ボア674(図10)内に挿入されたプレスピン(図示せず)によりスイベルリンク660にしっかりと結合される。しかしながら、当業者であれば理解されるように、回動ピン620を任意適当な方法でスイベルリンク660に取り付けることができ、かかる方法としては、ねじ止め、ボルト止め、膠着、結合、圧縮嵌め、圧力嵌め、溶接、レーザ溶接等が挙げられる。さらに、構成部品を互いに一体に形成してもよい。
【0060】
図10は、スイベルリンク660の断面図である。図示のように、第1のボア668の中心軸線667は、第2のボア670の中心軸線669に対して平行ではなく、したがって、2本の軸線は、互いに角度θをなすようになっている。一実施形態では、角度θは、約2.15°であるのがよい。別の実施形態では、角度θは、約0°〜約8°であってよい。使用に当たり、第1のボア軸線と第2のボア軸線とのなす角度θは、あらかじめ定められていて、骨板を骨に固定するために用いられる骨ねじの所望の植え込み角度に基づいており、かくして、かかる角度は、利用されるべきドリルガイド組立体10及び構成部品で実施される手技で決まる。
【0061】
上述したように、細長い本体662は、スイベルリンク660の第1のボア668と第2のボア670との間に延びている。細長い本体662は、ガイドバレルを左又は右位置に位置決めすると、マウント600の係止チャネル608内に受け入れられるような寸法形状のものである(以下において更に説明する)。
【0062】
図11及び図12は、ガイドバレル40をドリルガイド組立体10の遠位端部の近くでブッシュ60に回転自在に連接する遠位回転自在カプラ700を示している。遠位回転自在カプラ700は、第2の回転ピンボア702及びガイドバレルボア704を有している。第2の回転ピンボア702は、カプラ700を遠位ブッシュ組立体60に回動自在に連接するよう第2の回動ピン(図示せず)を摺動自在に受け入れるような寸法形状のものである。第2の回動ピンの中心軸線は、近位回動カプラ52の回動ピン620の中心軸線によって定められる長手方向軸線に沿って位置して回転軸線が形成されるようになっており、それにより、ガイドバレル40は、両方の回動ピンの軸方向に整列した中心軸線回りに回転することができる。
【0063】
図12は、遠位回転自在カプラ700の断面図である。図示のように、第2の回動ピンボア702の中心軸線703は、ガイドバレルボア704の中心軸線705に対して平行ではなく、2本の軸線は、互いに対して角度αをなしており、角度αは、スイベルリンク660の第1及び第2のボア668,670のそれぞれの第1の中心軸線667と第2の中心軸線669とのなす角度と同一である。一実施形態では、角度αは、約2.15°であるのがよい(第2の回動ピンボア702の中心軸線703とガイドバレルボア704の中心軸線705との間で見て)。別の実施形態では、角度αは、約0°〜約8°であってよい。使用に当たり、第1のボア軸線703と第2のボア軸線705とのなす角度αは、スイベルリンク660の角度θと釣り合わされ、骨板を骨に固定するために用いられる骨ねじの所望の植え込み角度に基づいており、かくして、かかる角度は、利用されるべきドリルガイド組立体10及び構成部品で実施される手技で決まる。
【0064】
図13は、フランジ690を備えたガイドバレル40を示しており、近位回動カプラ52が、ガイドバレル40の近位位置に取り付けられ、遠位回転自在カプラ700が、ガイドバレル40の遠位位置に取り付けられている。さらに、ガイドバレル40は、例えばレーザ溶接、溶接、圧力嵌め、エポキシ結合、ねじ山等によりスイベルリンク660のガイドバレルボア704に取り付けられている。さらに、構成部品を互いに一体に形成してもよい。図13に示すように、ガイドバレル40の中心軸線CAは、第1のボア668の中心軸線667と第2の回動ピンボア702の中心軸線703との間に定められる回転軸線と平行ではなく、上述したように、角度αだけずれている。別の実施形態では、ガイドバレル40の中心軸線CAは、ユーザの要望に応えるのに妥当な場合には、第1のボア668の中心軸線667と第2の回動ピンボア702の中心軸線703との間に定められる回転軸線と実質的に平行であってもよい。
【0065】
次に、ガイドバレルを本体30の長手方向軸線に対して左位置と右位置との間で旋回させ又は回転させる操作を本発明の一実施形態に関して説明する。使用に当たり、ガイドバレルを一方の作業位置(左又は右位置)から反対側の作業位置まで回転させるため、外科医は、フランジ690をガイドバレル40の近位端部に向かって掴んで引っ張り力を加えるのがよい。これにより、ガイドバレル40は、近位側の方向に動く。スイベルリンク660がガイドバレル40にしっかりと取り付けられているので、スイベルリンク660が動いてこれと共に回動ピン620を近位側に引き、ばね640を回動ピンリップ621とマウント600との間で圧縮する。さらに、ガイドバレル40にしっかりと取り付けられている遠位回転自在カプラ700も又、ガイドバレル40と共に近位側に動く。遠位回転自在カプラ700の回動ピンボア702を貫通して延びる回動ピン(図示せず)はこれが回動ピンボア702から離脱状態にならないほどの長さのものである。十分な引っ張りに続き、スイベルリンク660の細長い本体662は、係止チャネル608から離脱状態になる。ガイドバレル40が元々本体30に対して左作業位置に位置していると仮定すると、この場合、外科医は、回転力をガイド部材40に時計回りの方向に加えてガイドバレル40を右作業位置に押圧するのがよい。ガイドバレル40を約180°回転させた後、外科医は、ガイドバレル40を放すのがよく、その後、ばね640は、ガイドバレル40を遠位側の方向に押圧し、細長い本体662は、係止チャネル608と再び係合する。ガイドバレル40を同一の仕方で左作業位置に戻すことができるが、ガイドバレル40に半時計回りの方向の回転力を加えてガイドバレル40を本体30に対して右作業位置から左作業位置に回転させる。
【0066】
ブッシュ60は、ドリルガイド組立体10の遠位端部寄りに配置されていて、本体30とガイドバレル40と関連の骨板(図19)との間の結合機構を構成している。使用に当たり、作動取っ手20によりブッシュの係合部分が骨板を把持してガイドバレル40を骨板の第1の骨ねじ穴に整列させるようにする。
【0067】
図14は、ブッシュ60の一実施形態を示している。ブッシュ60は、ブッシュの下側部分に設けられた2本のピン802により本体30にしっかりと結合されており、ブッシュの上側部分は、遠位回転自在カプラ700の第2の回動ピンをしっかりと受け入れるような寸法形状の回動ピンボア810をブッシュ60内に有する。一実施形態では、第2の回動ピンは、例えばレーザ溶接、溶接、圧力嵌め、エポキシ結合、ねじ山等の手段によりブッシュ60にしっかりと取り付けられている。さらに、構成部品は、互いに一体であるのがよい。ブッシュ60は、実質的に本体30の長手方向軸線に垂直に差し向けられている。
【0068】
図15に示すような一実施形態では、ブッシュ60は、2つの部分ボア、即ち、回動ピンボア810及びロケータピンボア812を有している。回動ピンボア810は、上述したように、第2の回動ピンをしっかりと受け入れるよう形作られている。かくして、ガイドバレル40及び遠位回転自在カプラ700は、回動ピンボア810の中心軸線803回りに回転する。当業者には明らかなように、別の実施形態では、第2の回動ピンを遠位回転自在カプラ700にしっかりと取り付けると共にブッシュ60により摺動自在且つ回転自在に受け入れてもよい。さらに、ブッシュ60は、板取付け機構850を有し、この板取付け機構は、ブッシュ60の本体から遠位側に延びる円筒形係合部材851を有している。円筒形係合部材851は、図16に示すように、複数本の長手方向に延びるフィンガ852から成る。長手方向に延びるフィンガ852は、以下に詳細に説明するように、骨板スロット510(図19)の実質的に円形の部分520に選択的に係合するような寸法形状のものである。
【0069】
ブッシュ60は、ロケータピンボア812を更に有し、このロケータピンボアは、ロケータピン814と共に、ドリルガイドを骨板に回転的に整列させるために用いられる。ロケータピン814(図14)をロケータピンボア812内に固定するのがよい。当業者には理解されるように、ロケータピン814をねじ山、圧力嵌め、エポキシ結合、溶接、レーザ溶接等によりロケータピンボア812内にしっかりと取り付けるのがよい。さらに、構成部品を互いに一体に形成するのがよい。ロケータピン814は、ブッシュ60から係合すべき骨板に向かって遠位側に延びている。使用に当たり、ロケータピン814の遠位端部は、骨板、例えば図19に示す骨板500に形成されたスロット510に係合するような寸法形状のものである。使用に当たり、ロケータピン814は、骨板500のスロット510よりも僅かに小さく、したがって、ドリルガイド組立体10に対する骨板の回転を依然として最小限に抑え又は無くした状態で、ロケータピン814をスロット510内に容易に収納できるようになっている。ロケータピン814を骨板のスロットに嵌め込むと、ドリルガイド組立体10は、以下に詳細に説明するように、骨板に対して回転的に整列すると共に回転的に固定される。
【0070】
図15は、ブッシュ60の断面図である。板取付け機構850は、主要構成要素として、テーパピンボア854及びブッシュ60から突き出た複数本の遠位側に延びるフィンガ852を有している。フィンガ852の遠位端部は、骨板スロット510(図19)の円形部分520に係合するような寸法形状のものである。
【0071】
テーパピンボア854は、ブッシュ60を貫通してブッシュ60の近位側部から遠位側部まで延び、このテーパピンボアは、テーパピン900(図17)を受け入れるような寸法形状のものである。即ち、テーパピンボアは、テーパピンの外径にほぼ等しく、このテーパピンボアは、テーパピンボア854の遠位部分のところに設けられたこれに対応してテーパしたボア領域853を有している。テーパピンボアは、テーパピン900を摺動自在に受け入れるよう寸法決めされている。
【0072】
板取付け機構850は、遠位側に延びるフィンガ852を有している。図16に示す実施形態では、4本のフィンガが設けられているが、任意適当な本数のフィンガを用いてもよい。フィンガ852は、スリット856によって分離されており、これらスリットは、隣り合うフィンガ852相互間に長手方向に延びている(これについては、図15及び図16参照)。スリット856は各々、近位端部が円形切欠き860(図15)で終端しており、この円形切欠きは、板係止作動中、フィンガ852を半径方向外方に拡張したときのブッシュ60に生じる応力集中を最小限に抑えるのに役立つ。フィンガ852は自然な状態では、弛緩状態にあるとき、即ち、作動取っ手20が非作動状態にあり、テーパピン900(図17)がテーパピンボア854内の近位位置にあるとき、内向き配置状態を取る。この近位位置では、テーパピン900の円筒形部分920及びテーパ部分922は、テーパピンボア854のこれらに対応した形状の部分内に位置する。
【0073】
フィンガ852は、板取付け機構850の最も遠位側の端部の近くに、半径方向に拡張可能な円周方向ネック862を形成している。肩864が、ネック862の最も近位側の部分に設けられている。一実施形態では、半径方向拡張可能なリム866が、ネック862に隣接して板取付け機構850の最も遠位側の端部のところに形成されている。ネック862、リム866及び肩864は、互いに協働して板係合面を形成するのがよく、したがって、板取付け機構850が骨板500の円形スロット部分520に係合すると、骨板が肩864とリム866との間に保持されるようになっている。図20は、骨板の円形スロット部分520内に嵌まり込んだ遠位側に延びるフィンガ852の一実施形態を示している。一実施形態では、ネック862の外径は、円形スロット520の内径とほぼ同じであり、ネック862の長さは、骨板500の厚さよりも僅かに小さく、したがって、ネック862が円形スロット部分520内に設けられたカラー530にしっかりと係合するようになっている。
【0074】
変形例として、リム866を用いなくてもよい。例えば、リム866が設けられていない実施形態では、ネック862にテーパを付け、ネック862の最も遠位側の部分が肩864に隣接したネック862の部分よりも小さな直径を有するのがよい。かくして、かかるテーパ付きネックは、骨板に設けられたこれとほぼ同様にテーパが付けられたスロット又は穴、例えば、図19に示す円形スロット部分520内で拡張してブッシュ60を骨板500にしっかりと固定できるようになっている。ブッシュ60の幾つかの部分、即ち、ネック862、肩864、リム866等は、一体構造の単一部品を構成することができる。しかしながら、当業者には理解されるように、ブッシュ60の幾つかの構成部品は、ブッシュ60を形成するよう互いに取り付けられる別個の構成部品であってもよい。幾つかの構成部品を圧力嵌め、エポキシ結合、溶接、レーザ溶接等で互いに取り付けることができる。さらに、構成部品を互いに一体に形成するのがよい。一実施形態では、板取付け機構850の中心軸線は、ロケータピン814の中心軸線に実質的に平行であり、これら中心軸線は両方共、ブッシュ60の長手方向軸線に実質的に垂直であり且つ本体30の長手方向軸線に実質的に平行である。
【0075】
一実施形態によれば、フィンガ852の遠位端部は、図16に示すように左右対称のキー形をしているのがよく、このフィンガの遠位端部の寸法形状は、骨板(図示せず)に設けられたこれと同様な寸法形状のスロット(図示せず)内に嵌まってこの中で拡張するようなものである。フィンガ852の遠位端部は、少なくとも1つの実質的に丸い部分880及び少なくとも1つの比較的真っ直ぐな部分882を有するよう形作られたものであるのがよい。ネック862の断面図である図16に示すように、ネック862は、C字形の丸い部分880及びY字形の部分882を有し、4つの象限又は四分円がスリット856によって形成されている。全体としてC字形の丸い部分880は、骨板スロット520(図19)の対応関係にある丸い部分によって受け入れられるように形作られ、全体としてY字形の部分は、骨板のスロット510の真っ直ぐな部分(図19)内に少なくとも部分的に受け入れられるように形作られている。
【0076】
当業者であれば認識されるように、ブッシュのネック及びリムは、キーの形をしている必要はない。他の適当な形状としては、十字形、T字形又は八字形が挙げられる。ただし、更に別の形状を用いることができる。かかるブッシュの幾何学的形状は、骨板に設けられた少なくとも1つのこれに対応した形状のスロットと共に適切に用いられ、このスロットは、ブッシュを受け入れてブッシュを骨板に整列させてこれに係止することができるような寸法形状のものである。実質的に真っ直ぐな部分の無い形状、例えば、八字形のスロットを備えた骨板の場合、依然としてネック862を用いるのがよい。Y字形ネックの下側の真っ直ぐな部分と上側の弧状の又はV字形の部分との間の移行部をはっきりとした移行部として形成するのがよいので、ネック862と八字形スロットとの間の効果的な係止係合関係を作るにはキー形状のネック862を依然として用いるのがよい。スロットは又、骨ねじ締結具穴の形状とは異なる形状を有し、したがって、外科医は、骨板取付け機構850を誤って骨ねじ穴に係合させることはなく、しかも、不用意に骨に対して不正確な手技を行うことがないようになっている。キーを形をしたブッシュを上述したように、ロケータピン814を備えた状態で又はこれを備えていない状態で用いることができる。というのは、ブッシュのキーの形をした幾何学的形状は、ロケータピンの整列機能と回転係止機能の両方を果たすことができるからである。
【0077】
ネック862及びリム866の上述の寸法形状により、外科医は、板取付け機構850のリム866を骨板スロット510,520中へ挿入したりこれから取り出すことができ、この場合、リム866は、骨板の骨側の邪魔になることはない。かくして、ネック862及びリム866の長さは、板取付け機構850が図20に示すように、骨板500を完全に貫通して突き出ることがないように骨板500の厚さよりも小さい。これにより、板取付け機構850の遠位端部が骨板を骨にねじ止めしたときに、骨と骨板の骨インタフェース表面との間に挟まれるようになる恐れが最小限に抑えられる。板取付け機構は又、テーパピン900が非作動位置にあるとき、板取付け機構850の外径が骨板の500のスロット520の内径よりも十分に小さくてブッシュ60が使用後に骨板から容易に離脱するような寸法形状のものである。それと同時に、リム866は、リム866が骨板の円形スロット520を完全に貫通してネック862が図20に示すようにカラー530に係合すると、外科医に手応え、即ち、「カチッというクリック感」を与える。かくして、外科医は、機構が可動状態になったという確信を持つ。変形実施形態では、リム866を省いてもよい。
【0078】
図17に示すように、テーパピン900は、ブッシュ60のテーパピンボア854内に摺動自在に受け入れられるような寸法形状のものである。一実施形態によれば、テーパピン900は、ピン312(図14)により作動バー310に結合されており、このピンが、テーパピン900に設けられたピンボア902及びこれと対応して作動バー310に設けられたボアを貫通している。互いに平行で対称なフランジ904は、穴902と協働して作動バー310を受け入れる間隙(図示せず)を画定する。作動バー310の遠位端部に設けられたボアは、ピン312を挿通状態で受け入れてテーパピン900を作動バー310に結合するピンボア902に対応している。
【0079】
組立て状態では、テーパピン900は、テーパピンボア854内へ延びる。テーパピン900は、その非作動状態では、フィンガ852との係合に至るすぐ手前でテーパピンボア854内へ遠位側に延びていて、テーパピン900の先端部910が、ブッシュ60のテーパピンボア954内に完全に収納されるようになっている。一実施形態では、テーパピン900は、円筒形部分920及びテーパした円錐形部分922を有し、このテーパした円錐形部分は、テーパピンボア854内のこれに類似した内側プロフィールに一致している。使用に当たり、ブッシュ60を骨板スロット内に配置し、作動バー310をほぼ完全な作動位置に達するように(即ち、ピボット回動握り110が静止握り100から見て角度θAL1だけ放されたとき)作動させると、先端部910は、板取付け機構850の遠位端部の方へ動かされて遂にはこれがフィンガ852の遠位端部と面一をなすようになる。先端部910をテーパピンボア854を通ってそれ以上動かすと(取っ手を互いに更に握りしめることにより)、テーパ部分922は、テーパピンボア854の内周部に係合し、フィンガ852を半径方向外方に拡張し、それによりフィンガ852を掴んでこれらを骨板スロット510の円形部分520内に嵌め込む。
【0080】
テーパピン900の変形実施形態は、細長い尖った先端部910を有し、この先端部は、完全作動時に骨板の下に位置する骨に係合してドリルガイドと骨板の整列を容易にすることができる。加うるに、テーパピンの他の形状、例えば、テーパが付けられていない円筒形ピン又は遠位端部に球形突起を備えたピンを用いてもよい。さらに、リム866が設けられておらず、突き出た先端部が設けられていないテーパピンを備えた板取付け機構850の遠位部分を有するドリルガイド組立体10の実施形態では、骨板のスロットは、貫通スロットである必要はない。かくして、スロットは、骨板に設けられていて、ブッシュが骨板に係合できるようにするのに十分な部分チャネルに過ぎないものであってもよい。加うるに、チャネルの壁は、板取付け機構850と骨板500との間の対応関係にある半径方向又は直線状歯又は溝に係合することにより骨板へのブッシュの確実な係止を容易にするよう形作られたものであってよい。別の変形実施形態では、リムをブッシュに設けてもよく、このリムは、スロットの内面又はチャネル壁に形成された溝の中に嵌まり込むような寸法形状のものであるのがよい。ボア、ピン及びブッシュの他の形状は、当業者には明らかであろう。
【0081】
テーパピン900が図1に示すように作動位置又は遠位位置にあるとき、フィンガ852は、拡張位置にあるように構成されている。この形態では、ブッシュ60は、骨板500に係合する。ブッシュ60のフィンガ852を伸縮させるのに必要なピボット回動握り110の移動は、短いものであるに過ぎない。一実施形態では、フィンガ852が弛緩又は初期位置にあるとき、フィンガ852の外径は、フィンガ852を受け入れるよう形作られた骨板スロットの内径よりも僅かに小さい。かくして、フィンガ852が初期位置にあるとき、ブッシュ60を骨板スロットから殆ど妨げられず又は全く妨げられないで、骨板スロットに容易に出し入れできる。したがって、一実施形態では、フィンガ852が初期位置にあるとき、ネック862の外径は、ネック862を受け入れるよう形作られた骨板スロット内径よりも約0mm〜約0.5mm小さいものであるのがよい。別の実施形態では、フィンガ852が初期位置にあるとき、ネック862の外径は、ネック862を受け入れるような寸法形状の骨板スロットの内径よりも約0.1mm小さいものであるのがよい。
【0082】
骨板の植え込み前及び植え込み中、外科医は、ブッシュ60の拡張可能なフィンガ852を骨板スロット内に挿入するのがよい。かくして、取っ手組立体20を握りしめることにより、外科医は、骨板を掴んでこれを操作することができる。テーパピン900の遠位側へ動かされた円錐形部分920と特にネック862及びリム866のところのフィンガ852の内面との間の摩擦力は、ブッシュ60をその拡張位置に保持し、骨板とドリルガイドの相対運動を阻止するのに十分である。かくして、ブッシュ60が骨板スロット内の拡張位置にあるとき、外科手技中におけるドリルガイドに対する骨板の運動を最小限に抑えることができる。さらに、ロケータピン814が骨板スロット内に受け入れられた状態で、穴あけ、ねじ止め等の間に生じる回転力は、抵抗を受ける。尖った先端部910を備えたテーパピン900を更に用いることにより骨板の運動を一段と最小限に抑えることができ、したがって、先端部は、骨に僅かに係合し、かくして追加の繋留機能を発揮するようになる。
【0083】
本発明の別の実施形態によれば、ドリルガイド組立体1000は、図8の平面図に示すように、2つのドリル案内スリーブを備えるのがよい。この実施形態のドリルガイドは、単一バレル設計の特徴、構成要素及び利点を全て有し、異なる点は、ガイドバレル回動機構に代えて固定連結部が使用されていることである。かくして、この実施形態のドリルガイドの個々の構成要素についての詳細な説明に関しては、単一バレルドリルガイド10と関連して行われた対応の構成要素の説明が参照されるべきである。この実施形態によれば、ドリルガイド組立体1000は、上述したような骨板に結合し、ブッシュ60(図14及び図15)がテーパピン900(図17)により作動されて、骨板スロット520(図19)の第1の部分に係合する拡張可能なフィンガ852(図15)及び更に骨板スロット510(図19)の第2の部分に係合するよう設けられたロケータピン814(図14)を有している。二重案内スリーブ950,952を少なくとも1つの結合ブラケット960によって本体30(図1)に結合するのがよい。結合ブラケット960は、本体30(図1)に結合すると共に案内スリーブ950,952の各々に結合する。案内スリーブ950,952は、ブッシュ60が骨板に結合されると、骨板に設けられている骨ねじ穴と整列するよう構成されている。しかる後、外科医は、患者の臓器又は組織に軟組織損傷を不用意に与えることなく、案内スリーブ950,952にそれぞれ所要の穴あけ、タップ立て及びねじ配置手技を施すことができる。さらに、両方の案内スリーブ950,952の長さは、標的椎骨と患者の皮膚表面との間の距離よりも大きいのがよく、それにより、骨デブリが骨板取付け手技中、体内に入り込む恐れが減少する。かくして、より清潔で且つ安全な外科手技が、患者に対する合併症の恐れが低い状態で確保される。
【0084】
一実施形態によれば、外科用ドリルガイド組立体100の構成部品は、金属製であり、不活性化状態であり、しかも電解研磨されている。構成部品は、ばね鋼で作られたばねを除き、ステンレス鋼、チタン、チタン合金等で作られる。一実施形態によれば、取っ手部材は、鍛造され、他の構成部品は機械加工され、外科用ドリルガイド組立体は、構成部品の表面が外科医の気を散らすような仕方で手術室照明を反射させないよう艶消し仕上げが施される。構成部品の中には、表面が加工硬化されるよう熱処理が施すのがよいものがある。表面は、まくれが無いものである。かくして、かかる表面仕上げにより、個々の構成部品は、各構成部品の運動範囲全体にわたりスムーズで且つ引っ掛からない仕方で互いに対して動くことができる。加うるに、全てのピン及び締結具は、これらが固定される表面と面一をなす。
【0085】
本発明は又、頸椎に穴をあける方法に関する。外科医は、本発明のドリルガイド組立体のブッシュを骨板スロットに挿入し、ロケータピンを対応の骨板スロット内に整列させ、しかる後アクチュエータ取っ手を握りしめてテーパピンを前方にスライド運動させてテーパピンの円錐形部分でブッシュを拡張し、ドリルガイド組立体を骨板に係止するのがよい。次に、外科医は、つまみロックを操作してテーパピン及びブッシュを互いに対して固定関係に係止することによりブッシュを骨板に係止するのがよく、かくして、連続して取っ手を握りしめる必要性を外科医から除く。しかる後、外科医は、取っ手を用いて骨板を操作して骨板を標的骨部位の表面に位置決めするのがよく、この場合、追加の板ホルダ又は他のツールは不要である。次に、外科医は、案内スリーブを所望の左又は右位置に旋回させて所望の外科的作業(即ち、骨穴をあけ、ねじをねじ込む等)を行って細長い部材を係止チャネル内に係止するのがよい。次に、外科医は、案内スリーブのボアの中心を通って定められた穴あけ軸線に沿って外科用ドリルビットを整列させ、ドリルビットをスリーブ内に挿入するのがよい。次に、外科医は、骨板の第1の締結具穴の中心軸線と同軸に第1の穴をあけるのがよい。次に、外科医は、先ず最初につまみロックをスライド運動させることにより案内スリーブを係止左又は右位置から解除する。次に、ガイドバレルを左位置から右位置に旋回させるため、外科医は、細長い部材を係止チャネル内に保持するばねの力に打ち勝つよう力を加える。次に、外科医は、案内スリーブを左又は右位置のうち他方の位置に旋回し、案内スリーブを解除し、それによりばねが細長い部材を係止チャネル内に嵌め込む。次に、外科医は、ガイド管の第1の位置に関して説明した穴あけと同様な穴あけを行う。穴あけに加えて、整列用案内スリーブ中に伸長させたタップを用いて穴をタップ立てするのがよい。適当な器具を骨ねじと共に整列用スリーブに通しながら各骨ねじを骨板の締結具穴内に取り付けるのがよい。外科医は、ブッシュを骨板から解除し、ドリルガイドの取っ手を開いてブッシュをスロットから引っ込め、次に自由に且つ束縛を受けないでドリルガイド組立体を骨板から取り外すのがよい。別の実施形態では、外科医は、骨ねじ穴をあけた後、タップ立てすると共に(或いは)ねじをこの穴にねじ込み、その後案内スリーブを解除してこれを次に位置に旋回させるのがよい。
【0086】
図21は、ドリルガイド組立体10と関連して用いられる本発明の一実施形態の突き錐を示している。突き錐1100は、取っ手1110、主シャフト1120及び骨穿孔部分1130を有している。取っ手1100は、突き錐1100の操作のために外科医により把持されるような寸法形状のものであるのがよい。主シャフト1120は、ガイドバレル40の内周部内に摺動自在に嵌まり込むような寸法形状のものであるのがよい。突き錐1100の外径は、突き錐1100がガイドバレル40内に摺動自在に受け入れられるようにガイドバレル40の内径よりも僅かに小さい。突き錐1100は、ガイドバレル40の中心軸線CAに沿って直線的に動くことができると共にその回りに回転することができる。突き錐1100は、フランジ690(図13)と相互作用する停止部1140を更に有している。使用に当たり、停止部1140は、外科医が突き錐1100をガイドバレル40内に所定の深さまで挿入すると、フランジ690の停止面692に当接する。停止部1140及び停止面692は、ガイドバレル40の遠位端部からの突き錐1100の突き出し量又は長さを制限し、それにより突き錐1100を骨の中に挿入できる深さを制限して患者に対する安全性を向上させるような寸法形状のものであるのがよい。
【0087】
同様に、図22及び図23は、それぞれ、ドリルガイド組立体10と関連して用いられる寸法形状の固定ピン及びねじ回しを示している。図22に示された固定ピン1200は同様に、取っ手1210、主シャフト1220及び骨挿入端部1230を有している。固定ピン1200は、停止面692(図13)と相互作用する停止部1240を更に有しており、固定ピン1200を骨内のその挿入深さに関して制限できるようになっている。図23に示すねじ回し1300は同様に、取っ手1310及び主シャフト1320を有している。主シャフト1320は、突き錐1100の主シャフト1120及び固定ピン1200の主シャフト1210と同様に、これら主シャフトが実施的に中心軸線CAに沿う直線運動及びこの中心軸線CA回りの回転運動だけを可能にするようガイドバレル40の内径よりも僅かに小さな外径を有している。ねじ回し1300は、ねじ用の捩じり端部1330を更に有している。ねじ用捩じり端部1330は、骨固定ねじを患者の骨の中へ挿入可能に骨固定ねじ(図示せず)に係合するような寸法形状のものであるのがよい。一実施形態では、ねじ回し1330は、突き錐1100及び固定ねじ1200に設けられているような停止部を備えてない。というのは、骨固定ねじは、骨固定ねじの頭を受け入れるよう形作られた骨板穴に対する停止部になるからである。
【0088】
本発明を特定の実施形態を参照して図示すると共に説明したが、本発明の実施に当たって用いられ、特に特定の環境及び作用上の要件に特に適合した形態、構造、配置、比率、材質及び構成部品その他の種々の追加、置換又は改造は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく説明した実施形態に対して行うことができることは理解されるべきである。例えば、外科用ドリルガイド組立体は、単一又は二重案内スリーブを有してもよい。単一の形態では、案内スリーブは、左位置と右位置との間で回転でき、それにより骨板の左又は右骨ねじ穴に接近することができる。加うるに、取っ手部材の握りは、全体としてこの握りを保持するフィンガの輪郭を辿ってもよい。したがって、本明細書において開示した実施形態は、あらゆる点において、例示であって本発明を限定しないものと考えられるべきであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によってのみ定められ、上述の説明には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態のドリルガイドの側面図である。
【図2】図1のドリルガイドの平面図である。
【図3】図1のドリルガイドの取っ手組立体を示す図である。
【図4】図1のドリルガイドの取っ手組立体を示す図である。
【図5A】図1のドリルガイドの取っ手組立体を示す図である。
【図5B】図1のドリルガイドのラッチロックを示す図である。
【図6】図1のドリルガイドの案内スリーブ近位回動カプラを示す図である。
【図7】図1のドリルガイドの案内スリーブマウントを示す図である。
【図8】図7のマウントの断面図である。
【図9】図1のドリルガイドのスイベルリンクを示す図である。
【図10】図9のスイベルリンクの断面図である。
【図11】図1のドリルガイドの遠位回動カプラを示す図である。
【図12】図11の遠位回動カプラの断面図である。
【図13】図1のドリルガイドのガイドバレルを示す図である。
【図14】図1のドリルガイドのブッシュ組立体を示す図である。
【図15】図14のブッシュ組立体の断面図である。
【図16】図1のドリルガイドのブッシュの係合部材を示す図である。
【図17】図1のドリルガイドのテーパピンを示す図である。
【図18】本発明の別の実施形態のドリルガイドの平面図である。
【図19】図1のドリルガイドと関連して使用できる骨板の一例を示す図である。
【図20】図19の骨板と係合した図14のブッシュ組立体の一例を示す図である。
【図21】図1のドリルガイドの突き錐を示す図である。
【図22】図1のドリルガイドに使用できる固定ピンの一例を示す図である。
【図23】図1のドリルガイドの使用できるねじ回しの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ドリルガイドであって、
ユーザによって保持され、板係合機構を作動させるよう構成された取っ手を有し、該取っ手は、互いに可動的に連結された第1の取っ手部分と第2の取っ手部分を備え、
近位部分、遠位部分、長さ及び長手方向軸線を備えた細長い部材を有し、前記近位部分は、前記第1の取っ手部分と連係し、前記遠位部分は、前記板係合機構と連係し、
近位部分、遠位部分、長さを備えた作動部材を有し、前記近位部分は、第2の取っ手部分と連係し、前記遠位部分は、前記板係合機構と連係し、
近位部分、遠位部分及び長さを備えた少なくとも1つの案内スリーブを有し、該案内スリーブ及び前記細長い部材の前記近位部分は、長さを備えた近位結合部材により互いに結合され、前記案内スリーブ及び前記細長い部材の前記遠位部分は、長さを備えた遠位結合部材により互いに結合され、前記結合部材の長さは、互いに同じではなく、
前記少なくとも1つの案内スリーブの前記長さは、前記細長い部材の前記長さと実質的に同一であり、前記板係合機構は、前記第2の取っ手部分を前記第1の取っ手部分に対して第1の方向に動かすと、骨板と結合するよう形作られた骨板係合部分を更に有する、外科用ドリルガイド。
【請求項2】
前記第1の取っ手部分と前記第2の取っ手部分は、互いにピボット式に回動自在に連結されている、請求項1記載のドリルガイド。
【請求項3】
前記取っ手は、ばねを更に有し、前記取っ手は、作動状態及び非作動状態を更に有し、前記ばねは、前記取っ手を前記非作動状態に付勢するよう少なくとも前記第1の取っ手部分又は前記第2の取っ手部分と連係している、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項4】
前記板係合機構は、板係合部材及び係止組立体を更に有し、前記板係合部材が骨板に設けられた凹部に接触すると、前記係止組立体は、ユーザによるそれ以上の操作を行わなくても前記板係合機構を前記骨板に係止するよう動作可能である、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項5】
前記係止組立体は、戻止めを備えた摺動ラッチを有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項6】
前記細長い部材の前記近位部分は、前記第1の取っ手部分に固定され、前記細長い部材の前記遠位部分は、前記板係合機構に固定されている、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項7】
前記細長い部材は、前記近位結合部材及び前記遠位結合部材に固定されている、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項8】
前記細長い部材は、前記第1の取っ手部分と一体である、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項9】
前記作動部材は、前記第2の取っ手部分と一体である、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項10】
前記作動部材は、前記板係合機構に摺動自在に係合する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項11】
前記作動部材は、前記細長い部材の前記遠位部分のところに設けられていて、前記板係合機構に係合する作動ピンを更に有する、請求項10記載の外科用ドリルガイド。
【請求項12】
前記作動ピンは、前記板係合機構に設けられたテーパ付きボアと対応するよう一端がテーパしている、請求項11記載の外科用ドリルガイド。
【請求項13】
前記板係合機構は、前記骨板に設けられたスロットに係合するロケータピンを更に有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項14】
前記ロケータピンは、前記ドリルガイドの長手方向軸線と実質的に平行に配置されている、請求項13記載の外科用ドリルガイド。
【請求項15】
前記板係合機構は、前記骨板内の穴に嵌まり込むことができるよう半径方向に拡張されるような寸法形状の少なくとも1つの弾性フィンガを更に有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項16】
脊柱に対する前方からの外科手技の際、前記ドリルガイドは、前記骨板に係合し、前記骨板は、脊椎に係合し、前記案内スリーブは、前記案内スリーブの前記近位部分の少なくとも一部が、患者の体外に配置されるような寸法形状のものである、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項17】
前記案内スリーブの前記長さは、約50ミリメートル(mm)〜約400mmである、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項18】
前記案内スリーブの前記長さは、約250mm〜約270mmである、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項19】
前記案内スリーブは、外科手技を行うための少なくとも1つの外科用ツールを摺動自在に受け入れるように寸法決めされている、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項20】
前記案内スリーブの内径は、約4mm〜約15mmである、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項21】
前記案内スリーブの内径は、約8.0mm〜約8.5mmである、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項22】
前記案内スリーブの前記近位部分は、停止面を備えたフランジを更に有し、前記停止面は、外科用ツールを前記案内スリーブ内で第1の方向に動かすと、前記外科用ツールに設けられている対応の停止面に接触するよう形作られており、前記対応関係にある前記停止面が互いに接触すると、外科用ツールは、前記第1の方向にそれ以上動くのが阻止される、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項23】
前記案内スリーブは、前記細長い部材の前記長手方向軸線に対して約0°〜約8°傾斜した長手方向軸線を有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項24】
前記案内スリーブは、前記細長い部材の前記長手方向軸線に対して約2.0°〜約2.5°傾斜した長手方向軸線を有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項25】
外科手技の際に用いられる少なくとも1つのツールを受け入れる少なくとも第1及び第2の案内スリーブを更に有する、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項26】
前記第1の案内スリーブは、第1の長手方向軸線を有し、前記第2の案内スリーブは、第2の長手方向軸線を有し、前記第1の案内スリーブと前記第2の案内スリーブは、前記細長い部材の互いに反対側の側部に設けられている、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項27】
前記ドリルガイドは、板ホルダとして使用できるよう構成されている、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項28】
前記板係合機構は、前記骨板に設けられた穴に係合し、該穴は、前記少なくとも1つの案内スリーブを前記骨板に設けられた別の穴に整列させる、請求項1記載の外科用ドリルガイド。
【請求項29】
外科用ドリルガイドであって、
ユーザによって保持され、板係合機構を作動させるよう構成された取っ手を有し、該取っ手は、互いに可動的に連結された第1の取っ手部分と第2の取っ手部分を備え、
近位部分、遠位部分及び長さを備えた細長い部材を有し、前記近位部分は、前記第1の取っ手部分と連係しており、
近位部分、遠位部分、長さを備えた作動部材を有し、前記近位部分は、第2の取っ手部分と連係し、前記遠位部分は、前記板係合機構と連係し、
近位部分、遠位部分及び長さを備えた案内スリーブを有し、該案内スリーブ及び前記細長い部材の前記近位部分は、近位ピボット回動部材により互いにピボット式に回動自在に結合され、前記案内スリーブ及び前記細長い部材の前記遠位部分は、遠位ピボット回動部材により互いにピボット式に回動自在に結合され、
前記近位ピボット回動部材及び前記遠位ピボット回動部材は、前記案内スリーブを前記細長い部材に回転自在に結合するよう構成されており、前記案内スリーブは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で前記細長い部材の長手方向軸線回りに回転でき、
前記板係合機構は、前記第2の取っ手部分を前記第2の取っ手部分に対して第2の方向に動かすと、骨板と結合するよう形作られた骨板係合部分を更に有する、外科用ドリルガイド。
【請求項30】
前記第1の取っ手部分と前記第2の取っ手部分は、互いにピボット式に回動自在に連結されている、請求項29記載のドリルガイド。
【請求項31】
前記取っ手は、ばねを更に有し、前記取っ手は、作動状態及び非作動状態を更に有し、前記ばねは、前記取っ手を前記非作動状態に付勢するよう少なくとも前記第1の取っ手部分又は前記第2の取っ手部分と連係している、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項32】
前記板係合機構は、板係合部材及び係止組立体を更に有し、前記板係合部材が骨板に設けられた前記板係合部材に対応した形状の凹部に接触すると、前記係止組立体は、ユーザによるそれ以上の操作を行わなくても前記板係合機構を前記骨板に係止するよう動作可能である、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項33】
前記係止組立体は、戻止めを備えた摺動ラッチを有する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項34】
前記細長い部材の前記近位部分は、前記第1の取っ手部分に固定され、前記細長い部材の前記遠位部分は、前記板係合機構に固定されている、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項35】
前記細長い部材は、前記近位結合部材及び前記遠位結合部材に固定されている、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項36】
前記作動部材は、前記板係合機構に摺動自在に係合する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項37】
前記作動部材は、前記細長い部材の前記遠位部分のところに設けられていて、前記板係合機構に係合する作動ピンを更に有する、請求項36記載の外科用ドリルガイド。
【請求項38】
前記作動ピンは、前記板係合機構に設けられたテーパ付きボアと対応するよう一端がテーパしている、請求項37記載の外科用ドリルガイド。
【請求項39】
前記板係合機構は、前記骨板に設けられたスロットに係合するロケータピンを更に有する、前記ロケータピンは、前記ドリルガイドを前記骨板に回転自在に固定できる、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項40】
前記ロケータピンは、前記ドリルガイドの長手方向軸線と実質的に平行に配置されている、請求項39記載の外科用ドリルガイド。
【請求項41】
前記板係合機構は、前記骨板内の穴に嵌まり込むことができるよう半径方向に拡張されるような寸法形状の少なくとも1つの弾性フィンガを更に有する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項42】
脊柱に対する前方からの外科手技の際、前記ドリルガイドは、前記骨板に係合し、前記骨板は、脊椎に係合し、前記案内スリーブは、前記案内スリーブの前記近位部分の少なくとも一部が、患者の体外に配置されるような寸法形状のものである、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項43】
前記案内スリーブの前記長さは、約50ミリメートル(mm)〜約400mmである、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項44】
前記案内スリーブの前記長さは、約250mm〜約270mmである、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項45】
前記案内スリーブは、外科手技を行うための少なくとも1つの外科用ツールを摺動自在に受け入れるように寸法決めされている、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項46】
前記案内スリーブの内径は、約4mm〜約15mmである、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項47】
前記案内スリーブの内径は、約8.0mm〜約8.5mmである、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項48】
前記案内スリーブの前記近位部分は、停止面を備えたフランジを更に有し、前記停止面は、外科用ツールを前記案内スリーブ内で第1の方向に動かすと、前記外科用ツールに設けられている対応の停止面に接触するよう形作られており、前記対応関係にある前記停止面が互いに接触すると、外科用ツールは、前記第1の方向にそれ以上動くのが阻止される、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項49】
前記案内スリーブは、前記細長い部材の前記長手方向軸線に対して約0°〜約8°傾斜した長手方向軸線を有する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項50】
前記案内スリーブは、前記細長い部材の前記長手方向軸線に対して約2.0°〜約2.5°傾斜した長手方向軸線を有する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項51】
前記ドリルガイドは、板ホルダとして使用できるよう構成されている、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項52】
前記ピボット回動部材は、前記細長い部材に係合する細長い部材係合部分と、前記案内スリーブに係合する案内スリーブ係合部分とを有する、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項53】
前記第1のピボット回動部材は、ピンで前記細長い部材に結合され、前記第2のピボット回動部材は、ピンで前記板係合機構に結合されている、請求項30記載の外科用ドリルガイド。
【請求項54】
前記ピボット回動部材は、約180°回転するよう構成されている、請求項29記載の外科用ドリルガイド。
【請求項55】
前記ピボット回動部材は、前記第1の位置にあるとき、前記案内スリーブを前記骨板の左ねじボアに整列させ、前記第2の位置にあるとき、前記案内スリーブを前記骨板の右ねじボアに整列させるよう構成されている、請求項53記載の外科用ドリルガイド。
【請求項56】
前記案内スリーブの中心軸線と前記細長い部材の長手方向軸線のなす角度は、前記案内スリーブが第1の位置にあるにせよ第2の位置にあるにせよ、いずれにせよ維持される、請求項53記載の外科用ドリルガイド。
【請求項57】
前方からの脊柱用骨板の取付け方法であって、細長い部分、板係合部分及び近位端部を備えた案内スリーブを有するドリルガイドの取っ手を握る段階と、板係合機構を骨板の穴の中に位置決めする段階と、前記取っ手を操作して前記板係合機構が前記骨板の前記穴にしっかりと係合するよう前記板係合機構を作動させる段階と、前記ドリルガイド及びこれに係合した骨板を、脊柱の手術部位に向かって切開部を通って前方から挿入する段階とを有し、前記案内スリーブの前記近位端部は、前記切開部の前方に維持される、方法。
【請求項58】
位置決め部材を前記骨板の前記穴の中に位置決めする段階を更に有する、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記脊柱の前記手術部位は、胸椎である、請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記脊柱の前記手術部位は、腰椎である、請求項57記載の方法。
【請求項61】
前記脊柱の前記手術部位は、約T1〜約S1の椎骨である、請求項57記載の方法。
【請求項62】
前記ドリルガイドが前記骨板に取り付けられたままであるように前記板係合機構を係止する段階を更に有する、請求項57記載の方法。
【請求項63】
ドリルビットを前記案内スリーブの下に挿入する段階及び穴を前記椎骨にあける段階を更に有する、請求項57記載の方法。
【請求項64】
骨締結具を前記案内スリーブの下に配置する段階及び前記骨締結具を前記骨板に設けた孔から椎骨内に挿入する段階を更に有する、請求項57記載の方法。
【請求項65】
前記ドリルガイド組立体を前記骨板から取り外す段階を更に有する、請求項64記載の方法。
【請求項66】
脊椎固定器具を脊柱に取り付ける方法であって、
骨板を受け取るよう前記脊柱の前方領域への接近手段を用意する段階を有し、
複数個の穴を備えた骨板を用意する段階を有し、
ガイド組立体を用意する段階を有し、該ガイド組立体は、このガイド組立体を前記骨板に取り付ける板係合機構と、前記板係合機構を作動させる取っ手及び器械若しくは骨締結具又はこれら両方を骨固定器具に設けられた骨締結具穴中へ適当な角度をなして案内する案内スリーブとを有し、
前記骨板を前記脊柱に接触させる段階を有し、
前記ガイド組立体を前記骨板の前記穴のうち少なくとも1つに取り付けて前記案内スリーブの遠位部分が前記骨板に隣接して位置し又はこれに接触し、前記案内スリーブの近位部分が患者に形成した外科用切開部を越えて前方に延びるようにする段階を有し、
骨締結具を前記案内スリーブの下に配置する段階を有し、
前記骨締結具を、前記骨板に設けた穴を通って椎骨内へ取り付ける段階を有する、方法。
【請求項67】
ドリルビットを前記案内スリーブの下に挿入する段階及び穴を椎骨にあける段階を更に有する、請求項66記載の方法。
【請求項68】
器械又は骨締結具のいずれかを骨固定器具に対し適当な角度をなして案内するガイド組立体であって、
前記骨固定器具に設けられた複数個の穴のうち少なくとも1つに係合する少なくとも1つの半径方向に延びる部材を備えた骨固定器具係合機構を有し、
ユーザによって保持され、前記係合機構を作動させて前記ガイド組立体を前記骨固定器具に取り付けるよう構成された取っ手を有し、該取っ手は、前記ガイド組立体を前記骨固定器具に取り付けたりこれから取り外すよう互いに対して動くことができる第1の取っ手部分と第2の取っ手部分を備え、
近位部分、遠位部分及び長手方向軸線を備えた細長い部材を有し、前記近位部分は、前記第1の取っ手部分と連係し、前記遠位部分は、前記係合機構と連係し、
近位部分及び遠位部分を備えた作動部材を有し、前記近位部分は、前記第2の取っ手部分と連係し、前記遠位部分は、前記係合機構と連係し、
近位部分、遠位部分及び長手方向軸線を備えた少なくとも1つの案内スリーブを有し、該案内スリーブは、器械か骨締結具かのいずれか又はこれら両方を受け入れて案内するよう寸法決めされ、
前記案内スリーブの前記近位部分を前記細長い部材に結合する近位結合部材を有し、
前記案内スリーブの前記遠位部分を前記細長い部材に結合する遠位結合部材を有し、
前記細長い部材の前記長手方向軸線は、前記案内スリーブの前記長手方向軸線に対して角度をなしており、前記案内スリーブの前記遠位部分は、前記係合機構と係合した前記穴とは異なる穴と整列する、ガイド組立体。
【請求項69】
前記案内スリーブは、医療手技中、軟組織を保護するよう構成されている、請求項68記載のガイド組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−501063(P2007−501063A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522641(P2006−522641)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024754
【国際公開番号】WO2005/011478
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505377463)ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【Fターム(参考)】