説明

骨接合術スクリュー固定部材

【課題】骨接合術スクリュー挿入時に均等に破砕され、骨と前記スクリューとの間に均等かつ適度なサイズの顆粒を十分な量で充填することにより、スクリューをより安定的に固定することができ、かつ、加工及び取扱いが容易な形態である骨接合術スクリュー固定部材を提供する。
【解決手段】一の面にスクリューを挿入する挿入面12を有し、かつ、前記スクリューの挿入方向である長手方向に軸心15を有する柱状体からなる骨接合術スクリュー固定部材において、前記柱状体の側周面に開口部11aを有し、軸心15を通って、該柱状体の長手方向に垂直な短手方向に貫通する貫通孔11を、前記長手方向に所定の間隔Dで複数形成され、隣接する貫通孔11は、それぞれ互いに、軸心15を中心として軸心周りに30〜90°ずれるように形成し、挿入面12に、スクリューを軸心15へ挿入するためのガイド溝13を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や動物の骨接合術において、骨にスクリューを固定する際に使用される骨接合術スクリュー固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物の外傷性骨折や疲労骨折を治療するための骨接合術として、接合部位の骨に下穴を開け、この下穴に金属製のスクリューをねじ込んで固定する方法がある。この下穴にねじ込まれたスクリューは、スクリュー表面と骨内部の海綿骨の圧縮や摩擦によって固定され、時間が経つと接合部位が骨癒合して治癒する。
また、荷重の掛かる部位や形状的にスクリューの固定が困難な接合部位では、金属製プレートを使用し、この金属プレートをスクリューで固定する方法が用いられている。
【0003】
ところが、このようなスクリューによる骨の固定方法では、例えば、骨粗鬆症等で海綿骨の骨密度が十分でない患者においては、スクリューのねじ込みにより海綿骨が圧壊し、スクリューが空回りして、固定できない、あるいはまた、十分な固定強度が得られない場合があった。また、圧壊した海綿骨は、強度が低下し、これにより新たな圧迫骨折が引き起こされるという問題も生じていた。
【0004】
このような問題に対する対策としては、多孔質セラミックス等からなり、骨に形成した下穴に挿入して用いるスクリュー固定部材が用いられている。例えば、特許文献1に、スクリューをねじ込む力によって壊れて、その粉末状の細片がスクリューと骨の下穴との間に位置して、スクリューを骨に強固に固定することができる図3に示すようなスクリュー挿入穴21が設けられたスクリュー固定用素子(固定部材)20が提案されている。
【0005】
しかしながら、このような固定部材は、外表面に貫通孔が形成されていないため、スクリューのねじ込みによって周方向で均等に壊れ難く、また、前記細片は粉末状であることから、前記細片が骨とスクリューとの間に均一かつ十分に充填されず、スクリューの固定が不安定になりやすいものであった。
このため、スクリューをより安定して固定することを目的として、特許文献2には、側周面に多数の環状溝あるいはまた貫通孔が設けられたスクリュー固定補助材が開示されている。具体的には、図4に示すような、軸心にスクリュー挿入穴31が形成され、かつ、外表面に多数の環状溝(凹凸)32と直線状溝が各々等間隔で形成された固定補助材30、及び、図5に示すような、軸心にスクリュー挿入穴41が形成され、かつ、複数の貫通孔42が長手方向に等間隔で長手方向の各形成箇所において所定の交差角度で形成された固定補助材40である。
このような固定部材によれば、スクリュー挿入時に均等に破砕され、これにより生じた顆粒を骨とスクリューとの間に均一に充填させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−322850号公報
【特許文献2】特開2007−111329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載されたスクリュー固定部材は、軸心のスクリュー挿入穴31,41のみならず、表面に多数の環状溝(凹凸)32あるいはまた貫通孔42も形成されていることから、固定部材を構成する多孔質セラミックスの体積が小さい。このため、粉砕により生じる顆粒の量が少なくなり、しかも、顆粒のサイズにばらつきが生じるため、骨とスクリューとの間に、スクリューを安定的に固定するための顆粒の充填量が不十分となり、スクリューの固定が不安定になりやすいものであった。また、加工時や取扱い時に破損したり、表面部分が欠けたりするおそれもあった。
【0008】
したがって、スクリューをより安定的に固定するためには、スクリュー挿入時に周方向で均等に破砕され、均等かつ適度なサイズの十分な量の顆粒が骨とスクリューとの間に充填され、かつ、加工及び取扱いが容易であることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、骨接合術スクリュー挿入時に均等に破砕され、骨と前記スクリューとの間に均等かつ適度なサイズの顆粒を十分な量で充填することにより、スクリューをより安定的に固定することができ、かつ、加工及び取扱いが容易な形態である骨接合術スクリュー固定部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材は、一の面にスクリューを挿入する挿入面を有し、かつ、前記スクリューの挿入方向である長手方向に軸心を有する柱状体からなる骨接合術スクリュー固定部材であって、前記柱状体の側周面に開口部を有し、前記軸心を通って、該柱状体の長手方向に垂直な短手方向に貫通する貫通孔が、前記長手方向に所定の間隔で複数形成され、隣接する前記貫通孔は、それぞれ互いに、前記軸心を中心として軸心周りに30〜90°ずれて形成され、前記挿入面に、スクリューを軸心へ挿入するためのガイド溝が設けられていることを特徴とする。
このような固定部材によれば、スクリュー挿入時に均等に破砕しやすく、また、骨と前記スクリューとの間に周方向で均等かつ適度なサイズの顆粒を十分な量で充填することができるため、スクリューのより安定的な固定が可能となる。
【0011】
上記の骨接合術スクリュー固定部材においては、前記貫通孔の長手方向における間隔は、0.2〜3.0mmであることが好ましい。
このような間隔で貫通孔を設けることにより、固定部材の密度が小さくなりすぎることはなく、加工及び取扱い時に欠けや破損等を生じない十分な強度を保持し、破砕により生じる顆粒を十分な量で得ることができる。
【0012】
また、前記開口部は、前記長手方向の幅を長幅、前記短手方向の幅を短幅とし、前記長幅が1〜10mm、前記短幅が前記柱状体の径の1/2以下であることが好ましい。
開口部をこのようなサイズとすることにより、固定部材の破砕により生じる顆粒のサイズ及び量を、スクリューを安定してより強固に固定可能するものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材を用いれば、骨接合術スクリュー挿入時に均等に破砕されやすく、骨と前記スクリューとの間に均等かつ適度なサイズの顆粒を十分な量で充填することができるため、スクリューの固定安定性を高めることができる。また、加工及び取扱いが容易な形態の骨接合術スクリュー固定部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材の一例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるA−A断面図と挿入面の正面図及び背面図である。
【図2】本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材を用いたスクリュー固定方法における工程を模式的に示した図である。
【図3】従来の骨接合術スクリュー固定部材の一例を示した正面図である。
【図4】従来の骨接合術スクリュー固定部材の他の例を示した正面図及び挿入面正面図である。
【図5】従来の骨接合術スクリュー固定部材の他の例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は(a)におけるE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)に本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材の一例の正面図、(b)にその側面図、(c)に挿入面正面図及び(a)におけるA−A断面図を示す。
本発明に係る骨接合術スクリュー固定部材10は、図1に示すように、一の面にスクリューを挿入する挿入面12を有し、かつ、前記スクリューの挿入方向である長手方向に軸心15を有する柱状体からなる。そして、前記柱状体の側周面に開口部11aを有し、軸心15を通って、該柱状体の長手方向に垂直な短手方向に貫通する貫通孔11が、前記長手方向に所定の間隔Dで複数形成され、隣接する貫通孔11は、それぞれ互いに、軸心15を中心として軸心周りに30〜90°ずれて形成され、挿入面12に、スクリューを軸心15へ挿入するためのガイド溝13が設けられている。
【0016】
スクリュー固定部材は、一般に骨にドリルで開けた下穴に挿入して用いられることから、前記固定部材10は、外形を柱状体とする。ただし、下穴の形状によっては該下穴の底部の径がやや小さい場合もあり、このような下穴の形状に合わせてやや先細であってもよく、必ずしも径が一定である柱状体でなくてもよい。さらに、欠けや破損防止等の観点から、面取り加工されていることが好ましい。
【0017】
前記固定部材10の貫通孔11は、上記のように、柱状体の長手方向に間隔Dをあけて複数設けられており、前記軸心15を中心として軸心周りに30〜90°ずれて形成されているため、固定部材10の破砕により生じる顆粒のサイズ及び量を、スクリューを安定して強固に固定するのに適したものとすることができる。
【0018】
また、隣接する各々の貫通孔11は、つながることなく、間隔Dの壁を介して形成されている。すなわち、固定部材10には、スクリューを挿入する長軸方向の軸心15を貫通するスクリュー挿入穴は形成されていない。
このような構成により、軸心を貫通するスクリュー挿入穴が形成されている図3〜5に示す従来の固定部材20、30、40のように、固定部材の体積が小さくなりすぎることはなく、加工及び取扱い時に欠けや破損等を生じない十分な強度を保持することができ、破砕により生じる顆粒も十分な量で得ることができる。
【0019】
なお、図1においては、隣接する各々の貫通孔11が、軸心15を中心として軸心周りに90°ずれて形成されているが、固定部材10のサイズが大きい場合は、スクリューのねじ込みによって破砕されやすいようにするため、前記軸心周りのずれの角度がより小さくてもよい。
ただし、前記軸心周りのずれの角度が30°未満であると、固定部材10が、加工及び取扱い時に欠けや破損等を生じやすくなり、また、破砕して生じた顆粒のサイズが小さくなりすぎる。一方、前記軸心周りのずれの角度が90°を超えると、破砕して生じた顆粒のサイズが大きすぎるため、骨とスクリューとの間に隙間が生じ、スクリューを強固に安定的に固定することが困難となる。
【0020】
前記間隔Dは、0.2〜3.0mmであることが好ましい。
このような間隔で貫通孔を設ければ、固定部材10の密度が小さくなりすぎることはなく、加工及び取扱い時に欠けや破損等を生じない十分な強度を保持し、破砕により生じる顆粒を十分な量で得る上で好適である。
前記間隔Dが0.2mm未満では、固定部材の破砕により生じる顆粒が骨とスクリューとの間に十分に充填されず、スクリューを強固に固定することが困難となる場合がある。
一方、前記間隔Dが3mmを超えると、固定部材の破砕により生じる顆粒が均等なサイズとなりにくく、スクリューのねじ込みが妨げられる場合がある。
【0021】
また、前記貫通孔11の開口部11aは、前記長手方向の幅を長幅B、前記短手方向の幅を短幅Cとし、前記長幅Bが1〜10mm、前記短幅Cが前記柱状体の径の1/2以下であることが好ましい。
このような貫通孔を形成することにより、固定部材10の破砕により生じる顆粒のサイズ及び量を、スクリューを安定してより強固に固定するものとすることができる。
開口部11aの形状が、円や正三角形、正方形、正六角形等の径がほぼ均一な形状であると、固定部材10の破砕により生じる顆粒が小さくなりすぎ、スクリューの固定力が不十分となる場合がある。
このため、本発明においては、上記のようなサイズの開口部11aとすることにより、固定部材10の破砕により生じる顆粒のサイズ及び量を、スクリューを安定して強固に固定するのに適したものとすることができる。
なお、開口部11aの形状は、特に限定されるものではなく、図1に示すような長円状に限らず、長幅B及び短幅Cが上記範囲内のサイズであれば、長方形状や菱形状、長六角形状等であってもよい。
【0022】
また、前記貫通孔11は、加工を容易にする観点から、直線状に貫通していることが好ましい。
【0023】
前記挿入面12には、スクリューを軸心15へ挿入するためのガイド溝13が設けられているため、ガイド溝13にスクリューのねじ先を当ててねじ込むことにより、該スクリューは軸心15に沿って真っすぐに挿入することができる。
図1(c)においては、ガイド溝13として十字溝が形成されているが、このガイド溝13は、スクリューの先端位置を軸心に合わせて、該スクリューが軸心15に沿って挿入されるようにするためのものであり、形状は特に限定されない。
【0024】
前記固定部材10は、図1に示すように、柱状体が円柱状体であり、直径が3〜10mm、長手方向の長さが15〜50mmであることが好ましい。
このような固定部材10の形状及びサイズは、骨の適用部位に応じて定められるが、上記範囲内の直径及び長さの円柱状体のものが、特に実用的である。
【0025】
前記固定部材10は、撹拌起泡により作製されたリン酸カルシウム系多孔質セラミックスからなることが好ましい。
固定部材10は、加工及び取扱い時には欠けたり破損したりし難く、スクリューがねじ込まれることによって破砕するのに適した強度及び脆性と、生体適合性とをバランスよく備えている必要があることから、リン酸カルシウム系多孔質セラミックスが好適に用いられる。そのCa/P比は1.5〜2.0であることが好ましく、具体的には、ハイドロキシアパタイト等のアパタイト類、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上が複合したものであってもよい。
【0026】
固定部材10を構成する多孔質セラミックスは、圧縮強度が8〜50MPaであり、また、気孔率が50〜80%であることが好ましい。
このような多孔質セラミックスで構成することにより、固定部材10をスクリューのねじ込みによってより均等に破砕しやすくすることができる。
【0027】
上記のような固定部材10に用いられる多孔質セラミックスは、公知の方法により製造されたものを用いることができるが、撹拌起泡法により作製された多孔質セラミックスが特に好適に用いられる。
撹拌起泡法によれば、気孔制御が容易であり、3次元的に連通した気孔を有する高強度の多孔質セラミックスを得ることができ、上記のような強度及び気孔率の多孔質セラミックスを容易に製造することができる。このような多孔質セラミックスは、血液や体液等が浸透しやすく、骨接合の術後回復を促進することができ、生体適合性に優れているものである。
具体的には、セラミックス原料粉末と架橋重合性を有する有機物質を分散させたスラリーを撹拌して起泡させ、泡沫状スラリーとし、これに架橋剤等を添加して成形し、得られた成形体を焼成することにより、多孔質セラミックスを作製することができる。
そして、このようにして得られた焼成体又は焼成前の成形体に、孔加工や溝加工を施すことにより、固定部材10を得ることができる。
【0028】
図2に、前記固定部材10を用いたスクリュー固定方法を模式的に示す。
まず、図2(a)に示すように、骨1の接合部位にドリル等により所望のサイズの下穴2を開ける。そして、この下穴2に固定部材10を挿入する。
次に、図2(b)に示すように、固定部材10の挿入面12からスクリュー3をねじ込む。
図2(c)に示すように、スクリュー3が固定部材10にねじ込まれると、固定部材10は、破砕してほぼ均等なサイズの顆粒14を生じ、骨1とスクリュー3との間に顆粒14が充填され、スクリュー3のねじ溝に圧縮された状態で噛み込むことにより、スクリュー3は強固に安定的に固定される。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
(試料1〜5)
ハイドロキシアパタイト粉末とポリエチレンイミンを水に添加して分散させたスラリーに、起泡剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテルを添加して撹拌して起泡させ、泡沫状スラリーとした。これに、ソルビトールポリグリシジルエーテルを添加して注型し、成形した。得られた成形体を乾燥させた後、1200℃で焼成し、ハイドロキシアパタイト多孔質セラミックスを得た。
前記多孔質セラミックスの気孔率を、寸法から算出される体積と重量及び材料の真密度より算出したところ、70%であった。また、細孔径分布を水銀圧入法により測定したところ、平均細孔径は150μmであった。また、圧縮強度は、20MPaであった。
【0030】
この多孔質セラミックスに孔加工及び溝加工を施し、図1に示すような固定部材10(直径8mm、長さ40mm、貫通孔11の長幅B:5.6mm、短幅C:1.8mm、間隔D:0.8mm)を作製した。
その際、貫通孔11が、軸心15を中心として軸心周りに20°(試料1)、30°(試料2)、60°(試料3)、90°(試料4)、100°(試料5)ずれるように形成した各試料を作製した。
【0031】
(試料6〜10)
間隔Dが0.1mm(試料6)、0.2mm(試料7)、2.0mm(試料8)、3.0mm(試料9)、4.0mm(試料10)となるように貫通孔11を形成し、それ以外については、試料4と同様にして、各試料を作製した。
【0032】
(試料11)
側周面に溝や孔が形成されておらず、スクリュー挿入穴を有する、図3に示すような形状の固定部材を、試料1〜10と同様の多孔質セラミックスにより作製した。
【0033】
(試料12)
側周面に複数の環状溝(幅0.8mm、深さ0.5mm、間隔2.0mm)が形成され、スクリュー挿入穴を有する、図4に示すような形状の固定部材を、試料1〜10と同様の多孔質セラミックスにより作製した。
【0034】
(試料13)
側周面に複数の貫通孔(直径1mm、間隔3mm)が形成され、スクリュー挿入穴を有する、図5に示すような形状の固定部材を、試料1〜10と同様の多孔質セラミックスにより作製した。
【0035】
(スクリュー挿入試験)
上記で作製した固定部材の各試料について、疑似骨(人工骨)に形成した下穴に挿入した後、スクリュー(山径12mm、谷径10mm、ねじ部の長さ50mm、全長100mm)をねじ込み、そのスクリューの固定状態の評価を行った。
また、スクリューがねじ込まれた状態の疑似骨をスクリューの軸心を含む面で切断し、固定部材がスクリューのねじ込みにより破砕して生じた顆粒の状態を観察した。
【0036】
上記試験の結果、試料1〜13のいずれの固定部材も、スクリューのねじ込みにより容易に破砕した。
試料2〜4,6〜10のスクリューは、試料1,5,11,12及び13よりも強固に安定して固定されていることが確認された。また、試料7〜9のスクリューは、試料2〜4,6及び10よりも、さらに強固に安定して固定されていることが確認された。
また、試料2〜4,6〜10の顆粒は、試料11よりもサイズが大きく、スクリューのねじ溝に均等に噛み込んでいることが確認された。
一方、試料12及び13の顆粒は、サイズのばらつきが大きく、骨とスクリューとの間に隙間が生じている部分が確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 骨(疑似骨)
2 下穴
3 スクリュー
10,20,30,40 固定部材
11 貫通孔
12 挿入面
13 ガイド溝
14 顆粒
15 軸心
21,31,41 スクリュー挿入穴
32 環状溝
42 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の面にスクリューを挿入する挿入面を有し、かつ、前記スクリューの挿入方向である長手方向に軸心を有する柱状体からなる骨接合術スクリュー固定部材であって、
前記柱状体の側周面に開口部を有し、前記軸心を通って、該柱状体の長手方向に垂直な短手方向に貫通する貫通孔が、前記長手方向に所定の間隔で複数形成され、隣接する前記貫通孔は、それぞれ互いに、前記軸心を中心として軸心周りに30〜90°ずれて形成され、
前記挿入面に、スクリューを軸心へ挿入するためのガイド溝が設けられていることを特徴とする骨接合術スクリュー固定部材。
【請求項2】
前記貫通孔の長手方向における間隔が0.2〜3.0mmであることを特徴とする請求項1記載の骨接合術スクリュー固定部材。
【請求項3】
前記開口部は、前記長手方向の幅を長幅、前記短手方向の幅を短幅とし、前記長幅が1〜10mm、前記短幅が前記柱状体の径の1/2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨接合術スクリュー固定部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235980(P2012−235980A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108494(P2011−108494)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【出願人】(500097119)株式会社エム・エム・ティー (7)
【Fターム(参考)】