説明

高いツイストを有する液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】液晶媒体および高いツイストを有する液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明は、高いツイストを有する液晶媒体、電気光学的目的のためのそれの使用、およびこの媒体を含有するディスプレイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いツイストを有する液晶媒体、その電気光学的目的のための使用、およびこの媒体を含有するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、先行技術より既知である。最も一般的なディスプレイ装置はSchadt−Helfrich効果に基づいており、ツイストネマチック構造を有する液晶媒体、例えば典型的には90°のツイスト角を有するTN(「ツイストネマチック(twisted nematic)」)セルおよび典型的には180〜270°のツイスト角を有するSTN(「スーパー・ツイストネマチック(super−twisted nematic)」)セルなどを含有する。また、ツイストスメクチック構造を有する液晶媒体を含有する強誘電性液晶ディスプレイも既知である。これらのディスプレイにおけるツイスト構造は、通常、1種類以上のキラルドーパントをネマチックまたはスメクチック液晶媒体へ添加することで達成される。
【0003】
また、キラルネマチックまたはコレステリック構造を有する液晶(LC)媒体を含有する液晶ディスプレイも既知である。これらの媒体は、TNおよびSTNセルからの媒体と比較して著しく高いツイストを有する。
【0004】
コレステリック液晶は、円偏光に対して、光ベクトルの回転方向がコレステリックヘリカルの回転方向に対応する選択的反射を示す。反射波長λは、コレステリックヘリカルのピッチpおよびコレステリック液晶の平均複屈折nにより、式(1)に従って与えられる。
【0005】
【数1】

用語「キラルネマチック」および「コレステリック」は、先行技術において、互いに並列して用いられている。「キラルネマチック」は、しばしば、ヘリカルツイスト超構造を誘発する光学活性成分でドープされたネマチックホスト混合物からなるLC材料を表す。一方、「コレステリック」は、しばしば、ヘリカルツイストを有する「天然の」コレステリック相を有するキラルLC材料、例えばコレステリル誘導体を表す。また、2つの用語は、同一のものを表すために並行しても用いられる。本出願においては、用語「コレステリック」をLC材料の両方の上記のタイプについて用い、この用語は、「キラルネマチック」および「コレステリック」の各々の場合における最も広い意味を網羅するものとする。
【0006】
慣用のコレステリック液晶(CLC)ディスプレイの例は、いわゆるSSCT(「表面安定化コレステリック組織(surface stabilised cholesteric texture)」)およびPSCT(「ポリマー安定化コレステリック組織(polymer stabilised cholesteric texture)」)ディスプレイである。SSCTおよびPSCTディスプレイは、通常CLC媒体を含有し、このCLC媒体は、例えば初期状態で、特定波長を有する光を反射する平面構造を有し、そして交流電圧パルスを印加することでフォーカルコニック(focally conical)な光散乱構造にスイッチすることができ、または逆に切り換えることができる。より強い電圧パルスを印加すると、CLC媒体はホメオトロピックな透明な状態に変換され、この状態から、CLC媒体は電圧の迅速なスイッチオフの後には平面状態に緩和し、または緩慢なスイッチオフの後にはフォーカルコニック状態に緩和する。
【0007】
初期状態における、即ち電圧の印加前のCLC媒体の平面配向は、SSCTディスプレイ中においては、例えばセル壁の表面処理により達成される。PSCTディスプレイにおいては、CLC媒体は、更に相分離したポリマーまたはポリマーネットワークを含み、それらはCLC媒体の構造をアドレスされた状態において安定化する。
【0008】
SSCTおよびPSCTディスプレイは、一般的に、バックライトを必要としない。平面状態において、ピクセル中のCLC媒体は、上記の式(1)に従い特定波長の選択的光反射を示し、このことは、例えば黒色背景の前で、ピクセルが対応する反射色を呈することを意味する。反射色は、フォーカルコニック、散乱またはホメオトロピックな透明状態に変化すると消失する。
【0009】
SSCTおよびPSCTディスプレイは双安定であり、即ち、それぞれの状態は、電界がスイッチオフされた後も維持され、新たな電界を印加することで初期状態に戻るのみである。従って、ピクセルを形成するには短い電圧パルスで十分であり、これは例えば電気光学的TNまたはSTNディスプレイとは対照的であり、これらのディスプレイにおいては、アドレスされたピクセル中のLC媒体は電界がスイッチオフされると直ちに最初状態に戻り、このことは、ピクセルの永続的な形成にはアドレス電圧の維持が必要であることを意味する。
【0010】
上記の理由により、CLCディスプレイは、TNまたはSTNディスプレイと比較して、著しく電力消費が低い。加えて、CLCディスプレイは、散乱状態において、視野角依存性を僅かに示すか、または全く示さない。加えて、CLCディスプレイは、TNディスプレイの場合におけるようにアクティブマトリクスアドレスを必要とせず、代わりに、より単純なマルチプレックスまたはパッシブマトリクスモードにおいて動作できる。
【0011】
国際公開第92/19695号パンフレット(特許文献1)および米国特許第5,384,067号明細書(特許文献2)には、例えば、正の誘電異方性を有するCLC媒体、および10重量%までの液晶材料中に分散され相分離したポリマーネットワークを含有するPSCTディスプレイが記載されている。米国特許第5,453,863号明細書(特許文献3)には、例えば、正の誘電異方性を有しポリマーを含まないCLC媒体を含有するSSCTディスプレイが記載されている。
【0012】
上記のディスプレイのためのCLC媒体は、例えば、ネマチックLC混合物に、高いツイスト力を有するキラルドーパントをドープさせることで製造できる。誘発されたコレステリックヘリカルのピッチpは、濃度cおよびキラルドーパントのヘリカルツイスト力HTP(helical twisting power)により、式(2)に従って与えられる。
【0013】
【数2】

また、例えばそれぞれのドーパントのHTPの温度依存性を補償し、よってCLC媒体のヘリカルピッチおよび反射波長の低い温度依存性を達成するために、2種類以上のドーパントを用いることも可能である。
【0014】
上記のディスプレイにおいて使用するためには、キラルドーパントは、可能な限り最も高いヘリカルツイスト力および低い温度依存性、液晶ホスト相における高い安定性および良好な可溶性を有していなければならない。加えて、液晶ホスト相の液晶および電気光学的特性に対して、キラルドーパントによる悪影響は可能な限り低くなければならない。ドーパントの高いヘリカルツイスト力は、特に、例えばコレステリックディスプレイにおいて小さいピッチを達成するために、しかしまたドーパントの濃度を減少できるようにするために望ましい。これにより、先ず、ドーパントによって液晶の特性が損なわれる潜在性の低減が達成され、第2に、ドーパントの可溶性に関する許容度が増大し、また、例えば、比較的低い可溶性を有するドーパントを用いることも可能となる。
【0015】
一般的に、上記のディスプレイにおいて用いるためのCLC材料は、良好な化学的および熱的安定性および電界および電磁放射線に対する良好な安定性を有しなければならない。更に、液晶材料は、高い透明点、十分に高い複屈折、高い正の誘電異方性および低い回転粘度を有する広いコレステリック液晶相を有しなければならない。
【0016】
加えて、CLC材料は、特に可視領域において種々の反射波長を、簡単かつ目標とする変法により達成できるという性質を有していなければならない。加えて、CLC材料は、反射波長の低い温度依存性を有していなければならない。
【0017】
一般に、液晶は複数の成分の混合物の形態で用いられるため、成分が互いに容易に混和可能であることが重要である。誘電異方性および光学異方性などの更なる特性は、セルのタイプに依存する種々の要求を満たさなければならない。
【0018】
しかしながら、先行技術から入手可能な媒体を用いて、上記のパラメータの全てについての好ましい値を達成することは不可能である。
【0019】
欧州特許第0 450 025号明細書(特許文献4)には、例えば、2種類以上のキラルドーパントを含むネマチック液晶からなるコレステリック液晶混合物が記載されている。しかしながら、ここに示されている混合物は、低い透明点のみを有する。加えて、その混合物は、キラルドーパントを26%という高い比率で含む。しかしながら、ドーパント濃度が高いために、一般的に、液晶およびCLC媒体の電気光学的特性が損なわれる結果となる。
【0020】
CLCディスプレイのために先行技術から既知の材料は、しばしば、十分に広いLC相、十分に低い粘度値および誘電異方性の十分に高い値を有しない。加えて、それらは高いスイッチ電圧を必要とし、しばしば所要のLC層の厚さに整合する複屈折値を有していない。
【0021】
よって、例えば、多くのCLCディスプレイについて、高い複屈折Δnを有するCLC媒体が高い反射性を達成するために必要であり、一方、他のCLCディスプレイ、例えば高い彩度が優先事項であるディスプレイ(多色CLCディスプレイ)は、Δnの低い値を必要とする。しかしながら、先行技術から既知のCLC媒体を使用したのでは、低いスイッチ電圧に必要なCLC媒体の高い極性を維持するのと同時に、適切な程度にまで複屈折を低下させることは達成できないことが見出された。
【0022】
よって、先行技術から既知の媒体の不具合を有しないか、またはより低い程度にのみ有し、高いツイスト、大きい動作温度範囲、短い応答時間、低い閾電圧、反射波長の低い温度依存性および特に複屈折の低い値を有するCLC媒体に対する大きい要求がある。
【0023】
CLCディスプレイ、特にSSCTディスプレイにおいて用いるために、CLC媒体は、加えて同時に、良好な誘電的挙動、広い動作温度範囲および良好な彩度を有しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第92/19695号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,384,067号明細書
【特許文献3】米国特許第5,453,863号明細書
【特許文献4】欧州特許第0 450 025号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、上記の要求特性を有し、先行技術から既知の媒体の不具合を有しないか、またはより低い程度にのみ有するCLC媒体、特にSSCTおよびPSCTディスプレイなどのCLCディスプレイ、および他の双安定CLCディスプレイ中で使用するためのCLC媒体を提供する目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この目的は、本発明による媒体を、このタイプのディスプレイにおいて用いる場合に達成することができることが見出された。
【0027】
本発明は、ヘリカルツイスト構造を有し、ネマチック成分および光学活性成分を含む液晶媒体であって、
光学活性成分は、媒体のヘリカルピッチが1μm以下となるようにヘリカルツイスト力および濃度が選択される1種以上のキラル化合物を含み、
ネマチック成分は、式I:
【0028】
【化1】

の1種類以上の化合物と、
式II:
【0029】
【化2】

の1種類以上の化合物と、
式III:
【0030】
【化3】

の1種類以上の化合物と
を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。
【0031】
式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり、該基は置換されていないか、CNまたはCFにより単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されており、更に、これらの基中の1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていてもよく、
【0032】
【化4】

は、−COO−、−CHCH−または単結合であり、
は、−COO−、−CHCH−または単結合であり、
1〜5は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0033】
更に、本発明は、電気光学的目的のために、特に双安定CLCディスプレイ、SSCTおよびPSCTディスプレイなどのCLCディスプレイにおける、本発明によるCLC媒体の使用に関する。
【0034】
更に、本発明は、フレームと共にセルを形成する2枚の平面で平行な外板と、セル内に配置されるCLC媒体とを有し、CLC媒体が上および下で記載される通りの媒体である電気光学的ディスプレイ、特に、双安定CLC、SSCTまたはPSCTディスプレイに関する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
驚くべきことに、本発明に従えば、可視領域において反射波長および/または室温においてコレステリック相を有し、中程度から低い複屈折値を有し、しかし低い応答時間を達成するために誘電異方性Δεの十分高い値を有するCLC媒体を提供し得ることが、見出された。本発明によるCLC媒体において、このことは、特に、式I、IIおよびIIIの化合物を、下に記載する通り、高度にツイストするキラルドーパントと共に用いることにより達成される。
【0036】
よって、式I、IIおよびIIIの化合物を、本発明によるCLCディスプレイのための混合物において用いると、高い極性、即ち低い閾電圧、および高いΔn値が得られ、スイッチされた状態における高い透過性、短い応答時間および広い動作温度範囲が達成される。
【0037】
加えて、本発明によるCLC媒体は、CLCディスプレイにおいて用いる際に、式I、IIおよびIIIの化合物を組み合わせることで、彩度およびUV安定性に関して優れた特性を示す。特に、これにより、今日までに知られているSSCTディスプレイの高度な黄色および緑色成分により、オレンジ色を呈せず赤色を表示することも可能であるCLCおよびSSCTディスプレイを達成できる。
【0038】
式IおよびIIの化合物は、非常に高い正の誘電異方性ΔεのCLC媒体を実現し、ディスプレイの閾電圧を低減するために特に有用である。
【0039】
式IIIの化合物は、CLC媒体の複屈折およびディスプレイのコントラストを増加するために特に有用である。
【0040】
更に、許容可能なスイッチ電圧に必要な高い極性を達成しても、驚くべきことに、ここでは悪影響を受けない。
【0041】
更に、本発明による混合物は、以下の利点により区別される:
−混合物は、特に低い温度において、広いコレステリック相範囲、および高い透明点を有する、
−混合物は、高いUV安定性を有する。
【0042】
式I、IIおよびIIIの化合物は、広範囲の用途を有する。置換基の選択に依存して、これらの化合物は、液晶媒体が主に構成されるベース材料として機能できるが、また、例えば、このタイプの誘電体の誘電および/または光学異方性を変更し、および/または誘電体の閾電圧および/または誘電体の粘度を最適化するために、他のクラスの化合物からの液晶ベース材料に、式I、IIおよびIIIの化合物を添加することも可能である。純粋な状態において、式I、IIおよびIIIの化合物は無色であり、電気光学的使用のために好ましい温度範囲において、液晶中間相を形成する。式I、IIおよびIIIの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0043】
基AおよびAの少なくとも一方がトランス−1,4−シクロヘキシレンおよび/またはZが−COO−である式Iの化合物が特に好ましい。
【0044】
式Iの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0045】
【化5】

式中、Rは式I中で定義される通りであり、LおよびLは、それぞれ互いに独立に、HまたはFである。これらの化合物において、Rは、特に好ましくは、1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシである。
【0046】
式Ia、IbおよびIeからなる群より選択される1種類以上の化合物、特に、Lおよび/またはLがFであるものを含む混合物が特に好ましい。
【0047】
さらに、LがHで、LがHまたはF、特にFである式Ifの1種類以上の化合物を含む混合物が好ましい。
【0048】
およびLの一方または両方がFを表す式IIの化合物が特に好ましい。
【0049】
式IIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0050】
【化6】

式中、Rは式II中で定義される通りで、特に好ましくは、1〜8個の炭素原子を有するn−アルキルまたは2〜7個の炭素原子を有するアルケニルである。式IIaの化合物が特に好ましい。
【0051】
式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0052】
【化7】

式中、RおよびRは上で定義される通りである。これらの化合物中、RおよびRは、特に好ましくは、1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシである。
【0053】
式IIIa、IIIbおよびIIIeの化合物が特に好ましい。
【0054】
本発明による混合物は、好ましくは、式I、IIおよびIIIの化合物に加えて、以下の式の二環式化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物:
【0055】
【化8】

および/または以下の式の三環式化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物:
【0056】
【化9】

【0057】
【化10】

および/または以下の式の四環式化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物:
【0058】
【化11】

を含む。
【0059】
式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、式I中のRについて示された意味の1つを有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルケニル基であり、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−または−COO−により置き換えられていてもよく、およびLはHまたはFである。
【0060】
また、IV10〜IV19およびIV23〜IV26における1,4−フェニレン基は、それぞれ互いに独立に、フッ素により単置換または多置換されていてもよい。
【0061】
各々1〜7個の炭素原子を有する、Rがアルキルであり、Rがアルキルまたはアルコキシである式IV27〜IV33の化合物が特に好ましい。更に、LがFである式IV25およびIV31の化合物が好ましい。式IV6、IV26、IV27およびIV32の化合物が非常に特に好ましい。
【0062】
式IV1〜IV33の化合物中のRおよびRは、特に好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシである。
【0063】
本発明による混合物は、好ましくは、式I、IIおよびIIIの化合物に加えて、式V1およびV2から選択される1種類以上のアルケニル化合物を含む。
【0064】
【化12】

式中、
は、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
cは、0または1であり、
は、2〜7個の炭素原子を有するアルケニル基であり、
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルケニル基であり、ただし、1個または2個の隣接していないCH基は、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Qは、CF、OCF、CFH、OCFHまたは単結合であり、
Yは、FまたはClであり、および
およびLは、それぞれ互いに独立に、HまたはFである。
【0065】
cが1である式V1の化合物が特に好ましい。以下の式から選択される式V1の化合物が更に好ましい。
【0066】
【化13】

式中、R3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH、Cまたはn−Cであり、alkylは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0067】
式V1aの化合物、特にR3aおよびR4aがCHのもの、式V1eの化合物、特にR3aがHのもの、および式V1f、V1g、V1hおよびV1iの化合物、特にR3aがHまたはCHのものが特に好ましい。
【0068】
式V2の特に好ましい化合物は、Lおよび/またはLがFで、Q−YがFまたはOCFのものである。式V2の更に好ましい化合物は、Rが2〜7個の炭素原子、特に2、3または4個の炭素原子を有する1E−アルケニルまたは3E−アルケニルのものである。式V2の更に好ましい化合物は、式V2aのものである。
【0069】
【化14】

式中、R3aは、H、CH、Cまたはn−C、特にHまたはCHである。
【0070】
式V1およびV2の化合物を使用することで、特に低い回転粘度値を有する本発明による液晶混合物、および特に低温において速い応答時間を有するCLCディスプレイが達成される。
【0071】
他の好ましい実施形態において、本発明による混合物は、好ましくは、式I、IIおよびIIIの化合物に加え、式VI1および/またはVI2の1種類以上の化合物を含む。
【0072】
【化15】

式中、
は、3位および/または5位がフッ素化されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルケニル基であり、ただし、1個または2個の隣接していないCH基は、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Qは、CF、OCF、CFH、OCFHまたは単結合であり、
Yは、FまたはClであり、および
およびLは、それぞれ互いに独立に、HまたはFである。
【0073】
が1,4−フェニレンである式VI1およびVI2の化合物が特に好ましい。
【0074】
以下の式から選択される式VI1およびVI2の化合物が更に好ましい。
【0075】
【化16】

式中、Rは上において式VI1中で定義される通りであり、好ましくは、1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシである。
【0076】
式VI1aおよびVI2bの化合物が特に好ましい。
【0077】
式VI1およびVI2の化合物により、とりわけ本発明による媒体中の複屈折の増加が達成される。特に、式VI2の化合物により、低い粘度を維持したまま複屈折が増加する。
【0078】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体のネマチック成分は、以下を1種類以上含む:
−LがFで、LがHである式Ibの1種類以上の化合物、
−LがFで、LがHである式Ieの1種類以上の化合物、
−式IIaの1種類以上の化合物、
−式IIIeの1種類以上の化合物、
−30%を超えて、好ましくは40%を超えて、非常に好ましくは50%を超えて、式Iの1種類以上の化合物、
−5〜80%、好ましくは10〜70%の式Iの1種類以上の化合物、
−8〜65%、好ましくは15〜55%の式Ibの1種類以上の化合物、
−3〜45%、好ましくは5〜30%の式Ieの1種類以上の化合物、
−2〜35%、好ましくは5〜25%の式II、非常に好ましくは式IIaの1種類以上の化合物、
−5〜60%、好ましくは10〜50%の式III、非常に好ましくは式IIIeの1種類以上の化合物。
更に特に好ましい実施形態においては、ネマチック成分は、式I、IIおよびIIIから選択される化合物より本質的になる。
【0079】
式I〜VI2の化合物中の末端基R1〜5およびQ−Yを適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧および更なる特性を所望の方式で変更できる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などにより、一般的に結果として、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、アドレス時間がより短くなり、ネマチックの傾向が改良され、弾性定数K(ベンド)およびK(スプレイ)の比率がより高くなる。4−アルケニル基および3−アルケニル基などにより、一般的に、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、より低い閾電圧およびK/Kのより小さい値が与えられる。
【0080】
橋架け構造の要素Z、ZおよびZにおける−CHCH−基は、一般的に結果として、単共有結合と比較して、弾性定数K/Kの比率がより高い値となる。K/Kの値がより高ければ、例えば、より高いHTPのために、ドーパント濃度の変化を伴わずに、より短い反射波長が促進される。
【0081】
式I〜VI2の個別の化合物の最適な混合比率は、望まれる特性、式I〜VI2の化合物の選択および存在してもよい更なる化合物の選択に実質的に依存する。上記の範囲内の適切な混合比率は、場合に応じて容易に決定できる。
【0082】
上および下で述べる式において、用語「1〜3個の炭素原子を有するフッ素化されたアルキルまたはアルコキシ」は、好ましくは、CF、OCF、CFH、OCFH、CFH、OCFH、C、OC、CFHCF、CFHCFH、CFHCFH、CHCF、CHCFH、CHCFH、CFCFH、CFCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCHCF、OCHCFH、OCHCFH、OCFCFH、OCFCFH、CまたはOC、特にCF、OCF、CFH、OCFH、C、OC、CFHCF、CFHCFH、CFHCFH、CFCFH、CFCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCFCFH、OCFCFH、CまたはOC、特に好ましくはOCFまたはOCFHを表す。
【0083】
用語「アルキル」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状のアルキル基を網羅し、特に直鎖状の基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルである。2〜5個の炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0084】
用語「アルケニル」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状のアルケニル基を包含し、特に直鎖状の基である。特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0085】
用語「フルオロアルキル」は、好ましくは、末端フッ素を有する直鎖状の基を網羅し、即ちフルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、他の位置のフッ素が除外されるものではない。
【0086】
用語「オキサアルキル」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖状の基を網羅し、式中、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6である。好ましくは、n=1であり、mは1〜6である。
【0087】
ハロゲンは、好ましくは、FまたはCl、特にFである。
【0088】
上記の基の1つがアルキル基および/またはアルコキシ基の場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、それは直鎖状で、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ、更に、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシである。
【0089】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0090】
上記の基の1つが、1つのCH基が−CH=CH−により置き換えられたアルキル基の場合、これは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、それは直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有する。従って、特に、それはビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、またはデカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルである。
【0091】
上記の基の1つが、1つのCH基が−O−により置き換えられており1つが−CO−により置き換えられたアルキル基の場合、これらは好ましくは隣接している。よって、これらは、アシルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−COを含む。これらは、好ましくは直鎖状であり、2〜6個の炭素原子を有する。
【0092】
従って、それらは、特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0093】
上記の基の1つが、1つのCH基が無置換または置換された−CH=CH−により置き換えられており、隣接するCH基がCOまたはCO−OまたはO−COにより置き換えられたアルキル基の場合、これは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で4〜13個の炭素原子を有する。従って、それは、特に、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル、8−メタクリロイルオキシオクチルまたは9−メタクリロイルオキシノニルである。
【0094】
上記の基の1つが、CNまたはCFにより単置換されているアルキルまたはアルケニル基の場合、この基は、好ましくは直鎖状である。CNまたはCFによる置換は、任意の所望の位置においてである。
【0095】
上記の基の1つが、ハロゲンにより少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニル基の場合、この基は好ましくは直鎖状であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。また、結果として生じる基は、ペルフルオロ化された基も含む。単置換の場合、フッ素または塩素置換基は任意の所望の位置においてすることができるが、好ましくはω位においてである。
【0096】
分岐状で羽状の基を含む化合物は、従来の液晶ベース材料中におけるより良好な溶解性のため、しばしば重要なことがある。しかしながら、それらが光学活性の場合、それらはキラルドーパントとして特に重要である。
【0097】
このタイプの分岐状の基は、一般に、1個より多い鎖分岐を有さない。好ましい分岐状の基は、イソプロピル、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、イソブチル(即ち、2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシおよび1−メチルヘプチルオキシである。
【0098】
上記の基の1つが、2つ以上のCH基が−O−および/または−CO−O−により置き換えられたアルキル基の場合、これは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、分枝状であり、3〜12個の炭素原子を有する。従って、それは、特に、ビスカルボキシメチル、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチルまたは5,5−ビス(エトキシカルボニル)ペンチルである。
【0099】
本発明によるCLC媒体の光学活性成分は、LC媒体のヘリカルピッチが1μm以下となるようにヘリカルツイスト力および濃度が選択される1種類以上のキラルなドーパントを含む。
【0100】
本発明によるCLC媒体中の光学活性成分の割合は、好ましくは20%以下、特に10%以下、特に好ましくは0.01〜7%、非常に特に好ましくは0.1〜5%である。光学活性成分は、好ましくは1〜6種類、特に1、2、3または4種類のキラルドーパントを含む。
【0101】
キラルドーパントは、好ましくは、高いヘリカルツイスト力(HTP)および低い温度依存性を有していなければならない。更に、キラルドーパントはネマチック成分への良好な可溶性を有していなければならず、LC媒体の液晶特性を損なわないか、または小さい程度に損ねるのみでなければならない。キラルドーパントは同一または反対のいずれの回転方向を有していてもよく、ツイストの同一または反対のいずれの温度依存性を有していてもよい。
【0102】
20μm−1以上、特に40μm−1以上、特に好ましくは70μm−1以上のHTPを有するキラルなドーパントが特に好ましい。
【0103】
光学活性成分のために、例えば、コレステリルノナノエート、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011またはCB15(Merck社、Darmstadt市より入手可能)などの幾つかが商業的に入手可能な多数のキラルドーパントが当業者に入手可能である。
【0104】
特に適切なドーパントは、1個以上のキラル基および1個以上のメソゲン基またはキラル基と共にメソゲン基を形成する1個以上の芳香族または脂環式基を含む化合物である。
【0105】
適切なキラルな基は、例えば、キラルな分枝状炭化水素基、キラルなエタンジオール類、ビナフトール類またはジオキソラン類、更に、糖誘導体、糖アルコール類、糖酸類、乳酸類、キラルな置換グリコール類、ステロイド誘導体、テルペン誘導体、アミノ酸または少数、好ましくは1〜5個のアミノ酸配列からなる群より選択される一価または多価のキラル基である。
【0106】
好ましいキラル基は、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノースおよびデキストロースなどの糖誘導体;例えばソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールまたはそれらの無水誘導体などの糖アルコール類、特にジアンヒドロソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビドおよびイソソルビド)、ジアンヒドロマンニトール(イソソルビトール)またはジアンヒドロイジトール(イソイジトール)などのジアンヒドロヘキシトール類;例えばグルコン酸、グロン酸およびケトグロン酸などの糖酸類;例えば1つ以上のCH基がアルキルまたはアルコキシにより置換されているモノまたはオリゴエチレンまたはプロピレングリコールなどのキラルな置換グリコール基;例えばアラニン、バリン、フェニルグリシンまたはフェニルアラニンなどのアミノ酸もしくはこれらのアミノ酸の1〜5個の配列など;例えばコレステリルまたはコール酸基などのステロイド誘導体;例えばメンチル、ネオメンチル、カンフェイル、ピネイル、テルピネイル、イソロンギフォリル、フェンキル、カレイル、ミルテニル、ノピル、ゲラニイル、リナロイル、ネリル、シトロネリルまたはジヒドロシトロネリルなどのテルペン誘導体である。
【0107】
適切なキラル基およびメソゲン性キラル化合物は、例えば、ドイツ国特許第34 25 503号明細書、ドイツ国特許第35 34 777号明細書、ドイツ国特許第35 34 778号明細書、ドイツ国特許第35 34 779号明細書およびドイツ国特許第35 34 780号明細書、ドイツ国特許出願公開第43 42 280号公報、ヨーロッパ特許出願公開第1 038 941号公報およびヨーロッパ特許出願公開第195 41 820号公報に記載されている。
【0108】
以下の式の化合物を含む群より選択されるキラルドーパントが特に好ましい。
【0109】
【化17】

更に好ましいキラルドーパントは、以下の式のイソソルビド、イソマンニトールまたはイソイジトールの誘導体:
【0110】
【化18】

であり、式中、
【0111】
【化19】

そして、好ましくは、ジアンヒドロソルビトールであり、
および、例えばジフェニルエタンジオール(ヒドロベンゾイン)などのキラルなエタンジオール類で、特に以下の式:
【0112】
【化20】

のメソゲン性ヒドロベンゾイン誘導体(示していない(R,S)、(S,R)、(R,R)および(S,S)鏡像体を含む。)であり、
【0113】
式中、
BおよびCは、それぞれ互いに独立に、Lにより単置換、二置換または三置換されていてもよい1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CNまたは1〜7個の炭素原子を有しハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
bは、0、1または2であり、
cは、0または1であり、
は、−COO−、−OCO−、−CHCH−または単結合であり、および
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシである。
【0114】
式XIIの化合物は、国際公開第98/00428号パンフレットに記載されている。式XIII化合物は、英国特許出願公開第2 328 207号公報に記載されている。
【0115】
非常に特に好ましいドーパントは、国際公開第02/94805号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフチル誘導体、国際公開第02/34739号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフトールアセタール誘導体、国際公開第02/06265号パンフレットに記載される通りのキラルなTADDOL誘導体、および国際公開第02/06196号パンフレットおよび国際公開第02/06195号パンフレットに記載される通りの、少なくとも1つのフッ素化された橋架け基および末端または中央のキラル基を含むキラルなドーパントである。
【0116】
以下の式のキラルなビナフチル誘導体が特に好ましく、
【0117】
【化21】

特に、以下の式より選択されるもの:
【0118】
【化22】

が好ましい。
式中、B、b、RおよびZは、式XII中で定義される通りで、Zは、特に−OCO−または単結合である。
【0119】
以下の式のドーパントが、特に好ましい。
【0120】
【化23】

特に好ましい実施形態において、本発明による媒体の光学活性成分は以下の1つ、
−式VII〜XIIIから選択される1種類以上のドーパント、
−式XIVの1種類以上のドーパント、
−混合物全体(即ち、ネマチックおよび光学活性成分の質量による割合の合計)の好ましくは8%未満、特に5%未満の割合の、好ましくは式XIVより選択される1種類より多くないドーパント
を含む。
【0121】
更に特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、20%以下、特に0.01〜10%の光学活性成分を含む。
【0122】
特に、前記の式XII、XIIIおよびXIVのキラルドーパントはネマチック成分中において良好な可溶性を有し、高いツイストならびにヘリカルピッチおよび反射波長の低い温度依存性を有するコレステリック構造を誘発する。これらのドーパントの1種類のみを少量で用いる際においても、特にSSCTおよびPSCTディスプレイにおいて用いるのに適する、高い輝度および低い温度依存性の視覚波長範囲における反射色を有する、本発明によるCLC媒体を達成することが可能である。
【0123】
このことは、従来技術からのCLC媒体にまさる重要な利点であり、従来技術において、反射波長の温度補償を達成するためには、通常、同一の回転方向のツイストおよび反対の温度依存性を有する少なくとも2種類のドーパント(例えば、正の温度依存性、即ち温度上昇に伴ってツイストが増大する1種類のドーパント、および負の温度依存性を有する1種類のドーパント)が必要である。加えて、可視領域における反射を達成するためには、既知のCLC媒体において大量のドーパントが、しばしば必要である。
【0124】
従って、本発明の特に好ましい実施形態はCLC媒体およびこの媒体を含有するCLCディスプレイに関し、上および下に記載される通り、キラル成分は1種類より多くないキラル化合物を、好ましくは15%未満の量で、特に10%未満、特に好ましくは5%以下で含む。これらの媒体におけるキラルな化合物は、特に好ましくは、国際公開第02/94805号パンフレット、国際公開第02/34739号パンフレット、国際公開第02/06265号パンフレット、国際公開第02/06196号パンフレットおよび国際公開第02/06195号パンフレットに記載されている化合物、および式VII〜XIV(それらの好ましいサブ式を含む)から選択される。この好ましい実施形態のCLC媒体は、広い温度範囲にわたり、温度Tに対する反射波長λの低い依存性を有する。
【0125】
媒体のヘリカルピッチは、好ましくは、130nm〜1000nm、特に200nm〜750nm、特に好ましくは300nm〜450nmである。
【0126】
好ましくは、媒体が可視波長範囲における光を反射するように、ヘリカルピッチを選択する。用語「可視波長範囲」または「可視スペクトル」は、典型的には、400〜800nmの波長範囲を網羅する。しかしながら、上および下において、この用語はUVおよび赤外線(IR)範囲を含む200〜1200nmの波長範囲および遠UVおよび遠IR範囲も網羅することを意図する。
【0127】
本発明によるLC媒体の反射波長は、好ましくは200〜1500nm、特に300〜1200nm、特に好ましくは350〜900nm、非常に特に好ましくは400〜800nmの範囲内である。更に、400〜700nm、特に400〜600nmの反射波長を有するLC媒体が好ましい。
【0128】
上および下で示される波長の値は、他に明言しない限り、反射帯域の半値幅に関する。
【0129】
好ましくは0および50℃の間、特に−20および60℃の間、特に好ましくは−20および70℃の間の範囲内、非常に特に好ましくは−20℃から透明点より10℃、特に5℃低い温度までの範囲内において、0.6nm/℃以下、特に0.3nm/℃以下、非常に特に好ましくは0.15nm/℃以下の温度依存性dλ/dTを有する、本発明によるCLC媒体が特に好ましい。
【0130】
他に明言しない限り、dλ/dTは関数λ(T)の局所的な勾配を表し、式中、非線形関数λ(T)は2次または3次多項式による近似に対して記載される。
【0131】
更に、本発明は、電気光学的目的のための本発明によるCLC媒体の使用に関する。
【0132】
更に、本発明は、本発明によるCLC媒体を含有する電気光学的ディスプレイ、特に、フレームと共にセルを形成する2枚の平面で平行な外板と、セル内に配置されるコレステリック液晶混合物とを有するSSCTまたはPSCTディスプレイにも関する。
【0133】
更に、本発明は、本発明によるCLC媒体を含有する電気光学的アクティブマトリクスディスプレイ、特に、フレームと共にセルを形成する2枚の平面で平行な外板と、外板上の個別のピクセルをスイッチするための集積非線形素子と、セル内に配置され好ましくは正の誘電異方性および高い比抵抗を有するコレステリック液晶混合物とを有するAM−CLCディスプレイ、好ましくはAM−SSCTまたはPSCTディスプレイに関する。
【0134】
双安定SSCTおよびPSCTセルの構造は、例えば、国際公開第92/19695号パンフレット、国際公開第93/23496号パンフレット、米国特許第5,453,863号明細書または米国特許第5,493,430号明細書に記載されている。アクティブマトリクスCLCディスプレイの構造は、例えば、国際公開第02/086855号パンフレットおよび米国出願公開第2002−0149552号公報に記載されている。
【0135】
本発明によるCLCディスプレイにおける液晶セルの層厚d(外板の間隔)と、CLC媒体の天然のヘリカルピッチpとの間の比率d/pは、好ましくは1よりも大きく、特に2〜20の範囲内であり、特に好ましくは3〜15、非常に特に好ましくは4〜10である。
【0136】
本発明によるCLC媒体により、入手可能なパラメータの大きさの著しい拡張が促進される。よって、反射波長、複屈折、透明点、粘度、熱的およびUV安定性および誘電異方性の達成可能な組み合わせが先行技術からの先の材料をはるかに超え、本発明による媒体がCLCディスプレイにおいて用いるのに特に好適となる。
【0137】
本発明によるCLC媒体は、−20℃まで下がる、好ましくは−30℃まで下がる、非常に好ましくは−40℃まで下がるコレステリック相、および少なくとも70℃、好ましくは少なくとも75℃、非常に好ましくは少なくとも80℃の透明点を好ましくは有する。
【0138】
CLC媒体の誘電異方性Δεは、好ましくは10以上、非常に好ましくは20以上、最も好ましくは35以上である。
【0139】
CLC媒体の複屈折率Δnは、好ましくは0.15以上、非常に好ましくは0.20以上である。
【0140】
同時に、本発明によるCLC媒体は、粘度についての低い値および比抵抗についての高い値を有し、優れたCLCディスプレイ、特にAM−CLCディスプレイを達成することを可能にする。特に、混合物は、低い動作電圧により特徴づけられる。
【0141】
また、言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な特性を維持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば120℃を超える)を達成することが可能となるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することが可能となる。同様に、対応して僅かに粘度が増加するのみで、より大きいΔεおよび、従ってより低い閾値を有する混合物を得ることができる。
【0142】
コレステリック相範囲の幅は、好ましくは少なくとも90℃、特に少なくとも100℃である。この範囲は、好ましくは少なくとも−20〜+60℃、特に好ましくは少なくとも−20〜+70℃、非常に特に好ましくは少なくとも−20〜+80℃にわたって広がる。
【0143】
また、本発明によるCLC媒体のUV安定性も著しく良好であり、即ち、それらはUVに曝露された際に、反射波長および動作電圧の著しいより小さい変化を示す。
【0144】
本発明の更に好ましい実施形態は、少なくとも1個の重合性基を含む1種類以上の化合物を含む、本発明によるCLC媒体に関する。このタイプのCLC媒体は、例えば、ポリマーゲルまたはPSCTディスプレイにおいて用いるのに特に適する。重合性化合物は、ネマチックおよび/またはキラル成分の構成成分であるか、または媒体の追加成分を形成することができる。
【0145】
適切な重合性化合物は当業者に知られており、先行技術に記載されている。加えて、重合性化合物はメソゲン性であるかまたは液晶性であることができる。それらは、1個以上、好ましくは2個の重合性基を含むことができる。2個の重合性基を含む非メソゲン化合物の典型的な例は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を含むアルキルジアクリレートまたはアルキルジメタクリレートである。2個より多い重合性基を含む非メソゲン化合物の典型的な例は、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートである。メソゲン性または液晶性の重合性化合物(「反応性メソゲン」または「RM」としても知られている)の典型的な例は、例えば、国際公開第93/22397号パンフレット、欧州特許第0 261 712号明細書、ドイツ国特許第195 04 224号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、国際公開第97/00600号パンフレット、米国特許第5,518,652号明細書、米国特許第5,750,051号明細書、米国特許第5,770,107号明細書および米国特許第6,514,578号明細書に記載されている。特に適切で好ましいRMの例を、以下のリスト中に示す。
【0146】
【化24】

【0147】
【化25】

【0148】
【化26】

【0149】
【化27】

【0150】
【化28】

式中、
は複数生じる場合は互いに独立に重合性基であり、好ましくはアクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
およびBは、複数生じる場合は互いに独立に、1個、2個、3個または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり、
は、複数生じる場合は互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはYまたはP−(CH−(O)−であり、
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、SF、フッ素化されていてもよい1〜4個のC原子のアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、モノフッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化され1〜4個のC原子のアルキルまたはアルコキシであり、
01、02は、互いに独立に、H、RまたはYであり、
は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシのような、4個以上、好ましくは4〜12個のC原子を有するキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、メンチルまたはシトロネリルのような、コレステリル、エストラジオールまたはテルペノイド基から選択されるキラル基であり、
Lは、複数生じる場合は互いに独立に、H、F、Cl、CNまたはハロゲン化されていてもよい1〜5個のC原子のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
tは、複数生じる場合は互いに独立に、0、1、2または3であり、
uおよびvは、互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、互いに独立に、0または1〜12の同一または異なる整数であり、
zは0または1で、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼンおよびナフタレン環は、加えて、1個以上の同一または異なる基Lで置換されていてもよい。
【0151】
1種類以上の重合性化合物を含むCLC媒体は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性単量体、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、助剤、着色剤、染料、顔料またはナノ粒子のような1種類以上の添加剤を付加的に含んで構わない。
【0152】
式I〜XIVの化合物に加え、CLC媒体は、種々の特性の最適化の目的のために、1種類以上の更なる成分を含むことができる。
【0153】
本発明による媒体中において用いることができ、上および下の式およびそれらのサブ式の個別の化合物は既知であるか、またはそれらは既知の化合物に類似して調製できる。
【0154】
本発明に従って用いることができる液晶混合物は、それ自身は従来通りである方法で調製される。一般的に、より少ない量で用いられる成分の所望量を、有利には昇温して、主要部を構成する成分中に溶解する。有機溶剤、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合し、混合後に例えば蒸留により溶剤を再び除去することも可能である。
【0155】
また、本発明による液晶混合物は、例えば、1種類以上の安定剤または酸化防止剤またはナノ粒子などの更なる添加剤を含むこともできる。
【0156】
本出願および以下の例において、液晶化合物の構造は頭文字を用いて示され、化学式への変換は、下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、それぞれn個およびm個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基である。表Bにおけるコードは自明である。表Aにおいて、親構造のための頭文字のみを示す。各場合において、親構造のための頭文字の後に、ダッシュで分離して、置換基R、R、L、LおよびLのためのコードが続いている。
【0157】
【表1】

好ましい混合物成分を、表A、BおよびCに示す。
【0158】
【表2】

【0159】
【表3】

【0160】
【表4】

【0161】
【表5】

LC混合物に適する安定剤および酸化防止剤を、下に述べる(n=0〜10、末端メチル基は示していない):
【0162】
【表6】

【0163】
【表7】

【0164】
【表8】

【0165】
【表9】

上および下において、パーセンテージは質量パーセントである。全ての温度は、摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態、Sはスメクチック相、Nはネマチック相、Chはコレステリック相およびIは等方相である。これらの記号間のデータは、転移温度を表す。
【0166】
更に、以下の略語を用いる:
Δn 589nmおよび20℃における光学異方性
589nmおよび20℃における異常屈折率
Δε 20℃における誘電異方性
ε 分子の長軸に平行な誘電定数
γ 他に明言しない限り20℃における回転粘度(mPa・秒)
λ 他に明言しない限り20℃における反射波長(nm)
Δλ 他に明言しない限り−20および+70℃の間の示した温度範囲における反射波長の最大変化(nm)。
【0167】
液晶混合物中にヘリカルツイスト超構造を生成するキラル化合物のヘリカルツイスト力(HTP)は、式 HTP=(p・c)−1(μm−1)により与えられ、式中pはヘリカルツイスト相のヘリカルピッチをμmで表し、cはキラル化合物の濃度を表す(cについての0.01の値は、例えば、1質量%の濃度に相当する)。他に明言しない限り、上および下のHTP値は、20℃の温度および商業的に入手可能な中性ネマチックTNホスト混合物MLC−6260(Merck社、Darmstadt市)に関する。
【0168】
物理的パラメータは、「Licristal、Physical Properties of Liquid Crystals、Description of the measurement methods」、W.Becker編集、Merck社、Darmstadt市、改訂版、1998年刊に記載される通りに実験的に決定される。
【0169】
文意が明らかに他を示さない限り、ここにおいて複数形で使用される用語は単数形を含むものとしてここでは解釈され、逆もそうである。
【0170】
本明細書の記載および請求項を通して、用語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」および派生語、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は「限定せずに含む(including but not limited to)」を意味し、他の成分を排除することを意図しない(排除しない)。
【0171】
本発明の範囲内に依然として収まりながら、本発明の前述の実施形態に対する変形が可能であると認識されるであろう。他に明言しない限り、本明細書で開示される個々の特徴は、同一、等価または同様の目的に働く代わりの特徴により置き換えることができる。よって、他に明言しない限り、開示される個々の特徴は、一般的な一連の等価または同様な特徴の1つの例に過ぎない。
【0172】
本明細書中で開示される全ての特徴は、そのような特徴および/または工程の少なくとも幾つかが互いに排他的な組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は本発明の全ての様態に適用でき、任意の組み合わせで使用できる。同様に、本質的でない組み合わせにおいて記載される特徴は別々に(組み合わせずに)使用できる。
【実施例】
【0173】
ここで、以下の例を参照して本発明を更に詳細に記載するが、以下の例は本発明の範囲を限定せず本発明を単に説明するものである。
【0174】
<例1>
以下の通り、ネマチック混合物N1を調合する。
【0175】
【表10】

混合物は非常に高い正の誘電異方性、高い複屈折、および高い透明点を有し、低い閾電圧のSSCTディスプレイ用のCLC混合物におけるネマチック成分として使用するのに適している。
【0176】
<例2>
97.13%の例1のネマチック混合物N1、および2.87%の以下の式のキラルドーパントS−5011からなるCLC混合物C1を調合する。
【0177】
【化29】

CLC混合物C1は457nmの反射波長λを有し、SSCTディスプレイにおける使用に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリカルツイスト構造を有し、ネマチック成分および光学活性成分を含む液晶媒体であって、
前記光学活性成分は、媒体のヘリカルピッチが1μm以下となるようにヘリカルツイスト力および濃度が選択される1種以上のキラル化合物を含み、
前記ネマチック成分は、式I:
【化1】

の1種類以上の化合物と、
式II:
【化2】

の1種類以上の化合物と、
式III:
【化3】

の1種類以上の化合物と
を含むことを特徴とする液晶媒体(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜20個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり、該基は置換されていないか、CNまたはCFにより単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されており、更に、これらの基中の1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていてもよく、
【化4】

は、−COO−、−CHCH−または単結合であり、
は、−COO−、−CHCH−または単結合であり、
1〜5は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0または1である。)。
【請求項2】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の媒体。
【化5】

(式中、R、LおよびLは、請求項1中で定義される通りである。)
【請求項3】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体。
【化6】

(式中、Rは、請求項1中で定義される通りである。)
【請求項4】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の媒体。
【化7】


(式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、請求項1中で与えられる意味の1つを有する。)
【請求項5】
以下の式の1種類以上のキラル化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の媒体。
【化8】

(式中、
Bは、Lにより単置換、二置換または三置換されていてもよい1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CN、または、1〜7個の炭素原子を有しハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
bは、0、1または2であり、
は、−COO−、−OCO−、−CHCH−または単結合であり、および
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシである。)
【請求項6】
前記ネマチック成分が、
−5〜80%の式Iの1種類以上の化合物と、
−2〜35%の式IIの1種類以上の化合物と、
−5〜60%の式IIIの1種類以上の化合物と、
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項7】
400〜800nmの範囲内の反射波長を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項8】
電気光学的目的のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体の使用。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体を含有する電気光学的液晶ディスプレイ。
【請求項10】
コレステリック、SSCTまたはPSCTディスプレイであることを特徴とする請求項9に記載の電気光学的液晶ディスプレイ。

【公開番号】特開2010−31278(P2010−31278A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172914(P2009−172914)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】