説明

高い明度を有する、透明な有機発光デバイス

本発明は、第1の基板層及び第2の基板層を含む有機発光デバイス(OLED)に関する。デバイスは更に、前記第1の基板層と前記第2の基板層と野間に配置された、第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体を少なくとも含む。第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体の各々は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された有機発光層と、を含む。本発明の有機発光デバイスは、増加された光強度を許し、幅広い用途に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光デバイス(OLED)に関する。
【背景技術】
【0002】
高解像度、高品質画像及び背面光源からの独立により、有機発光デバイス(OLEDs)は、ディスプレイ及び照明用途において、かなり注目されている。
【0003】
OLEDは通常、アノード層、カソード層及び、前記アノード層と前記カソード層との間に配置された有機エレクトロルミネセント層を含む。電位の印加で、光がデバイスから放出される。
【0004】
個々のOLEDにより放出される光の強度は、より高い強度放出が必要とされる、ある用途に関して、不十分であり得る。光の強度及びそれ故のデバイスの性能を改善するために、個々のOLEDsは、積み重ねて配置され得る。
【0005】
そのような配置は、例えば、US6,693,296で開示され、基板及び複数のOLEDデバイスを含むOLED装置が開示される。複数のOLEDデバイスの各々は、対応する間隔を介した底部電極の端部に亘って伸びる、少なくとも1つの有機層を含む。
【0006】
US6,693,296のOLED装置と関連した1つの問題は、電極の高い吸光度により、光の超過吸収が、積層内で起こるかもしれないということである。結果として、全体の光強度は減少し得る。
【0007】
したがって、技術分野において、特に幅広い用途での使用に関して、発せられた光の、高められた光強度を供するOLEDデバイスを供する要求がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述された問題を少なくとも部分的に克服し、技術分野での要求に対処することである。
【0009】
具体的には、増加した光強度を許す有機発光デバイスを供することが、本発明の目的である。
【0010】
一様態によると、本発明は、第1の基板層と第2の基板層とを含む、有機発光デバイス(OLED)に関する。デバイスは更に、前記第1の基板層と前記第2の基板層との間に配置された、少なくとも第1のOLEDの組立体(assembly)及び第2のOLEDの組立体を含む。前記第1のOLEDの組立体及び前記第2のOLEDの組立体の各々は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された有機発光層と、を含む。前記第1のOLEDの組立体及び前記第2のOLED組立体の各々は、前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも1つに関して、ゼロでない角度(non−zero angle)を為すように配置される。
【0011】
本発明は、いくつかのOLED組立体が、基板層に対してゼロでない角度を形成するように、平衡に配置され得るので、上記のデバイスが、発光構造のより高い密度、故に、単位表面積あたりの改善された光強度を許すという認識に基づいている。
【0012】
さらにこの配置において、積層内の光の吸収といった、垂直に積層されたOLEDに関連した不利が避けられる。
【0013】
少なくとも1つのOLED組立体から放出された光は、第1の基板層又は第2の基板層のいずれかを通じて又は両方を通じて、放出される。したがって、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つは、透明であっても良い。
【0014】
したがって、光を、単一の表面から又はいくつかの表面からのいずれかから放出することができ、それにより、OLEDデバイスの全体の光強度を高める。異なる表面から、様々な発光比率を得ることも可能である。
【0015】
さらに、OLED組立体と基板との間の角度は、OLEDデバイスで達成され得る、OLED組立体の密度を決定する。前記密度は、前記OLED組立体の長さと、隣接OLED組立体間の距離と、の間の割合として表すことができる。この割合は、1より大きいのが有利であり得、より有利には、2と5との間に及ぶ。
【0016】
さらに、基板とOLED組立体との間を、適切な大きい角度に選択することにより、高い出力強度と高い透明度とを兼ねるOLEDデバイスを達成することが可能である。これにより、高い光強度により目がくらむことなく、オン状態の基板を通じて見ることが可能となる。さらに、前述のような配置は、制御された方向下のみで入る日光といった、外因からの光を許し、一方で、他の制御された方向に、制御された量の光を放出することができる。
【0017】
この目的を達成するために、第1のOLED組立体と第2のOLED組立体との各々は、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つに関して、30度より大きい角度を形成するよう、配置されても良い。
【0018】
基板層は通常、平行に配置され、OLED組立体と基板層との間の角度を変えることにより、放出された光の方向を、調節することができる。したがって、光の放出を方向付けることができ、制御することができる。
【0019】
好ましくは、第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体の各々は、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つに関して、90度の角度を形成するよう配置されても良い。
【0020】
これにより、いくつかのOLED組立体を平行に配置することができるので、単位表面積あたりの、増加された光強度を許す。
【0021】
したがって、第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体の発光層の各々は、通常、互いに向かい合うように配置され、光は、発光層に対して平行に放出され得る。
【0022】
これにより、複合的な発光構造が許される;即ち、OLED組立体は、基板層間に配置され、出力光の光強度は、それ故、改善される。
【0023】
実施様態において、第1の基板層と第2の基板層の少なくとも1つは、導電性であっても良い。
【0024】
基板層は、それ自身が導電性であっても良いし、電極若しくは導電性フィルムと共に供されても良い。
【0025】
通常、第1の基板層は、第1の導電層と電気的に接続する第1の電極と共に供され得る。第2の基板層は、第2の導電層と電気的に接続する第2の電極と共に供され得る。
【0026】
したがって、少なくとも1つのアノードと少なくとも1つのカソードとが、基板層上に形成される。
【0027】
実施様態において、第1の電極及び第2の電極の少なくとも1つが、パターニングされても(patterned)良い。
【0028】
これにより、デバイスの全体の性能が改善されるように、多数のOLED組立体を直列に(in series)接続することが許される。さらに、これにより、個々のOLED組立体の1つ以上が単独で対処される(addressed separately)ことが、許される。
【0029】
本発明の他の実施様態において、デバイスは更に、発光層により放出された光の少なくとも一部を拡散するよう配置された、少なくとも1つの拡散層を含んでも良い。
【0030】
拡散層は、発光層により放出された光を拡散し、第1の基板層及び/又は第2の基板層からの光出力は、それにより改善される。結果として、出力光は、均一になり、拡散するであろう。
【0031】
デバイスは更に、発光層により放出された光の少なくとも一部を、第1の基板層又は第2の基板層へと向かう方向に、向け直すよう配置された、少なくとも1つの光リダイレクト構造(light redirecting structure)を含んでも良い。
【0032】
光リダイレクト構造により、光の増加された再配分(redistribution)及び基板層の少なくとも1つからの高められた光出力が許される。
【0033】
所望の波長分布を有する光の出力を供するために、本発明の有機発光デバイスは更に、第1のOLEED組立体と第2のOLED組立体との間に配置された、波長変換要素を含んでも良い。
【0034】
波長変換要素は、所謂、「リモートフォスファ(remote phosphor)」の適用を許す、OLED組立体間で、該OLED組立体から間隙を介して、配置されても良い。この配置は、光質(好ましくないピーク輝度、色彩管理)が、改善されることを許し、色を、波長変換材料の特性を変えることにより、制御することができる。さらに、光源に直接取り付けられない波長変換要素の使用は、波長変換材料が耐えることができる、温度及び光束についての要求を緩和する。
【0035】
実施様態において、デバイスは更に、第1のOLED組立体又は第2のOLED組立体により放出された光の少なくとも一部を、波長変換要素へと導くよう配置された、導光体(light guide)を含んでも良い。
【0036】
導光体は、波長変換要素に光を導くよう、かつ、波長変換要素からの光を再循環する役目を果たす。
【0037】
本発明の有機発光デバイスは、例えば、装飾照明、店用照明及び雰囲気作りのための照明で使用することができ、幅広い用途に適している。
【0038】
本発明のこれら及び他の様態は、この後述べられる実施形態を参照して、明らかになり、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光デバイスの垂直断面図である。
【図2】図2は、図1の有機発光デバイスの平面図である。
【図3】図3は、少なくとも1つの基板層の少なくとも一部が反射性である、本発明の実施形態に係る有機発光デバイスの例を示す。
【図4】図4は、本発明の有機発光デバイスのOLED組立体の種々の構成を説明する。
【図5】図5は、OLED組立体の各々からの発光が、異なる方向で方向付けられる、本発明の他の実施形態を説明する。
【図6】図6は、本発明の実施形態の、例となるOLED組立体構成の、平面図を示す。
【図7】図7は、第1の導電層及び第2の導電層が、各々、第1の導電層及び第2の導電層と、電気的に接続する、本発明の一実施形態を説明する。
【図8】図8は、第1の基板層と第2の基板層の少なくとも1つがパターニングされる、本発明の一例となる実施形態を説明する。
【図9】図9は、少なくとも1つの拡散層を含む、本発明の有機発光デバイスの一実施形態を説明する。
【図10】図10は、少なくとも1つの反射層を含む、本発明の有機発光デバイスの一実施形態を説明する。
【図11】図11は、少なくとも1つのビームスプリッターを含む、本発明の有機発光デバイスの一実施形態を説明する。
【図12】図12は、有機発光デバイスが、波長変換要素及び導光体を含む、本発明の他の実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る有機発光デバイス100の一実施形態が、図1で説明され、第1の基板層101及び第2の基板層102を含む。デバイスは更に、第1の基板層101と第2の基板層102との間に配置された、第1のOLED組立体103及び第2のOLED組立体104を少なくとも含む。第1のOLED組立体103及び第2のOLED組立体104の各々は、第1の導電層105と、第2の導電層106と、第1の導電層105と第2の導電層106との間に配置された有機発光層107と、を含む。
【0041】
図1において、第1の導電層105並びに第2の導電層106及び有機発光層107は、第1のOLED組立体103に関してのみに示されるが、第2のOLED組立体104も同様の構造を有する。
【0042】
第1のOLED組立体103及び第2のOLED組立体104の各々は、各々、第1の基板層101及び第2の基板層102の少なくとも1つに関して、ゼロでない角度を形成するよう配置される。
【0043】
ここで、OLED組立体103及びOLED組立体104は、基板層101及び基板層102に鉛直に配置される。
【0044】
電圧が印加されるとき、電流は、デバイス100を通じて流れ始める。電流は、第1の導電層105から第2の導電層106へと流れる。したがって、負に帯電した電子は、第2の導電層106から発光層107へと移動する。同時に、通常ホールとして参照される、正電荷は、第1の導電層105から発光層107へと移動する。正電荷及び負電荷が会合するとき、それらは再結合し、光子(光)を生み出す。
【0045】
この実施形態において、第1の導電層105は、アノード層として役目を果たし、第2の導電層106は、カソード層として役目を果たす。しかしながら、第1の導電層105がカソードとして役目を果たし、第2の導電層106がアノードとして役目を果たしても良い。
【0046】
導電層105及び106の少なくとも1つは、発生した光子に対して透過的であり、光は、あるOLED組立体から別のOLED組立体に向かって放出されるであろう。
【0047】
通常、第1及び第2のOLED組立体は、互いに距離dで、配置され得る。この距離は、用途及び達成されるべき所望の照明効果に依存して、変えることができる。
【0048】
OLED組立体103及び105の少なくとも1つからの光は、OLED間で定義された領域で混合され、第1の基板層101若しくは第2の基板層102のいずれかを通じて、又は、その両方を通じて、放出される。
【0049】
したがって、第1の基板層101及び第2の基板層102の少なくとも1つは透明であることができ、即ち、良好な光透過率を有する材料を含む。
【0050】
したがって、光は、どちらかの単一の表面から又はいくつかの表面から放出することができ、それにより、OLEDデバイスの全体の光強度を高めることができる。異なる表面から様々な発光比率を得ることも可能である。
【0051】
図2で説明されるように、本発明のデバイス200において、光は、第1の基板層201及び第2の基板層202の両方から、他に、横方向に、即ち、基板層201及び202から放出された光に鉛直な方向に、放出されても良い。
【0052】
基板層201及び202の長さ、故に、OLEDデバイス200の長さ、l、は、所望の用途に依存し、10cmから数メートルまでの範囲内であっても良い。
【0053】
OLED組立体の長さ;即ち、第1の基板層201と第2の基板層202との間の距離は、1cmから20cmまでの、例えば、5cmから15cmまでの範囲内であっても良い。
【0054】
個々のOLED組立体間の距離、d、に対するOLED組立体の長さの割合は、通常、1より大きく、例えば2から5までである。距離、d、に対するOLED組立体の長さの割合は、光の強度を決定するとき及び前述の組立体を通って伝わった光の角度範囲を決定するときに、重要である。
【0055】
前記第1の基板層101及び前記第2の基板層102の少なくとも1つの少なくとも一部は、図3で説明されるように、反射性であっても良い。
【0056】
これにより、発光が、所望の照明効果及び用途に依存して、方向付けられ、制御されるよう許される。
【0057】
より低い透過性の、高い強度の発光デバイスが望まれる状況において、第2の基板層103が透明であって;第1の基板層101は反射性材料301を有して供与されても良い。これはまだ、可視範囲の特定の部分において、部分的に透明、例えば50%透過性又は反射性である(図3a)。このように、デバイスからの発光は、一方向で最適化される。
【0058】
実施形態において、第2の基板層102は透明であり、第1の基板層101は、反射部301及び透過部302(図3b)を含んでも良い。さらに、第1の基板層101及び第2の基板層102が、反射部301及び透過部302を含んでも良い(図3c)。
【0059】
したがって、発光は、用途及び所望の透明度に依存して、方向付けることができ、変えることができる。
【0060】
述べられたように、第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体は、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つに関連して、ゼロでない角度を形成するよう配置されるべきである。
【0061】
通常、第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体の斧のは、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つに関連して、30度より大きい角度を形成するよう配置され得る。そのような配置は、図4で説明され、OLED組立体403及び404は、基板層401及び402に対して、鉛直でなく配列される。
【0062】
この配列において、放出された光の方向は、基板層に関して、調節されても良い。さらに、基板層401及び402に関する伝達角度は、制御されても良い。
【0063】
例えば、もしデバイスからの最大の放出角度が、実質的に、最大の伝達角度と異なるなら、人は高い光強度により目がくらむことなく、オン状態にあるデバイスを通じて見ることができる。さらに、そのような配置は、制御された方向下のみで入る日光といった、外因からの光を許し、一方で、他の制御された方向に、制御された量の光を放出することができる。したがって、外部からの光源及びデバイスに関連した光源の両方が、効果的に統合される。
【0064】
好ましい実施形態において、図5で説明されるように、OLED組立体503及び504は、基板層501及び502に関して、90度の角度を形成するよう配置される。
【0065】
したがって、第1のOLED503及び第2のOLED504の、発光層507及び507’の各々は、互いに向き合うように配置され、光は、発光層507に平行に放出されるであろう。
【0066】
そのような実施形態において、いくつかのOLED組立体を、基板層に鉛直に積層し、単位面積あたりのより高い光強度を達成することが可能である。
【0067】
OLED組立体503及び504からの発光は、種々の方向で制御され、方向付けられても良い。例えば、第1の導電層505及び第2の導電層506の両方は、発生した光に対して透過性であっても良い(図5a)。
【0068】
さらに、第1の導電層505及び第2の導電層506の1つだけ、光を放出するように配置されても良い。即ち、OLED組立体503及び504は、単一サイドの放出要素(single side emitting elements)である。したがって、光は同じ方向で(図5b)放出されても良いし、又は反対の方向で(図5c)放出されても良い。したがって、導電層505及び506の一方だけ、発生した光に対して透過性である。
【0069】
実施形態において、完全に透明なOLED組立体503(透明な導電層を含む)と、単一サイドのOLED組立体504とが、使用されても良い(図5d)。
【0070】
さらに、図5eで説明されるように、多色放出OLED組立体503及び504が使用されても良い。したがって、種々の色彩効果を達成することができる。
【0071】
さらに、文章、写真又は動画でさえ、といった、情報を表示するために、ピクセル化されたOLEDデバイス503及び504を使用することが可能である。
【0072】
図6は、基板層に鉛直に(図6b)及び基板層に非鉛直に(図6a及び図6c)配置された、OLED組立体の、一例の構成の平面図を説明する。
【0073】
通常、第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つは、導電性である。
【0074】
したがって、基板層の一方は、それ自身が導電性であっても良く、例えば導電性フィルムの電極と共に供されても良い。
【0075】
したがって、例となる一実施形態において、図7で示されるように、第1の基板層701は、第1の導電層703と電気的に接続する第1の電極702と供され、第2の基板層704は、第2の導電層706と電気的に接続する第2の電極705と供される。
【0076】
電極材料(又は基板自身が導電性であるときの基板材料)の例は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、スズ酸化物(例えば、蛍石又はアンチモンでドープされた)、酸化亜鉛(例えば、アルミニウムでドープされた)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、インジウム亜鉛酸化物、いくつかの導電性金属の積層物を含む。多数の材料及び材料の組み合わせを使用することができ、これらは当業者に知られている。
【0077】
したがって、基板層701及び704は、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードとを形成する。
【0078】
実施形態において、アノード及びカソードは、各々の基板層上で交互に入れ替えられ、連続的なデバイス(consecutive devices)が直列につながれても良い。したがって、基板の接触線(contact lines)に亘って輸送されるべき電流が、かなり低く済む。
【0079】
本発明の実施形態において、図8で説明されるように、第1の電極801及び第2の電極802の少なくとも1つは、パターニングされる。
【0080】
電極のいずれか一方がパターニングされ(図8a)、各々のOLED組立体が個別に対処されて(be addressed separately)も良く、又は両方の電極がパターニングされても良い(図8b)。後者の場合、1つより多いOLED組立体が、個別に対処されても良い。さらに、第1の基板層が、アノード及びカソードの両方で覆われても良い(図8c)。
【0081】
図8dにおいて、電極は、OLEDsが直列につながれるような方法で、パターニングされる。
【0082】
OLED組立体は、DC電流又はAC電流のいずれかで駆動されても良い。
【0083】
これより図9を参照して、本発明に係る発光デバイスの一例となる実施形態が説明される。
【0084】
この実施形態において、デバイス900は、発光層により放出された光の少なくとも一部を拡散するよう配置された、少なくとも1つの拡散層903を含む。
【0085】
そのような拡散層903は、第1のOLED組立体901上に若しくは第2のOLED組立体902上に、又はその両方上に、配置されても良い。
【0086】
拡散層903は、発光層により放出された光を拡散し、発光層に平行な光の放出が高められるよう、光抽出を増加させる役目を果たす。
【0087】
拡散層903はまた、発光層に平行でない角度で放出された光の向けを変える役目を果たす反射性材料を含んでも良い。
【0088】
拡散層903は、OLED組立体901の第1の導電層からの、又は代わりに第2の導電層からの、光を受信するよう配置されても良い。
【0089】
実施形態において、デバイス1000は、発光層により放出された光の少なくとも一部を、第1の基板層10004又は第2の基板層1005に向かう方向に、向けなおすよう配置された、少なくとも1つの光リダイレクト構造を含む(図10)。
【0090】
リダイレクト構造は、反射層1003であっても良い。そのような反射層1003は、拡散反射性、鏡面反射性又は角度に依存した反射性であっても良い。例えば、反射層1003は、表面レリーフパターン;即ち、図10で説明されるような、セグメント化された(segmented)反射性構造を有する、を含んでも良い。
【0091】
反射層1003により、光の増加された再配分及び基板層1004及び1005の少なくとも1つからの高められた光出力が許される。
【0092】
反射層の代わりに又は反射層に加えて、デバイスは、反射層と同じ機能を果たす;即ち、基板層1104及び1105からの光の向きを変え、光出力を高めるための、ビームスプリッター1103(図11)を含んでも良い。
【0093】
装飾用照明効果を高め、かつ、所望の波長分布を有する光の出力を供するために、本発明の有機発光デバイス1200は更に、第1のOLED組立体1202と第2のOLED組立体1203との間に配置された、少なくとも1つの波長変換要素1201を含んでも良い。
【0094】
ここで使用されるような「波長変換要素」なる専門用語は、第1の波長の光を吸収し、第2の、より長い波長の光の放出をもたらす、要素を参照する。光を吸収すると、材料中の電子は、より高いエネルギー準位に励起される。より高いエネルギー準位からもとに遷移(relaxation)すると、余剰のエネルギーは、吸収された光よりもより長い波長を有する光の形で、材料から放出される。したがって、前記専門用語は、蛍光性波長変換及びリン光性波長変換の両方に関連する。
【0095】
波長変換要素1201は、OLED組立体1201とOLED組立体1202との間で、通常、前記組立体から間隙を介して配置され、所謂、「リモートフォスファ(remote phosphor)」の適用を許す。従来の発光デバイスにおいて、波長変換材料、即ちリン光体は、光源又はLEDチップに直接取り付けられる、接着剤中に埋め込まれる。光源に直接取り付けられない、波長変換材料の使用は、波長変換材料が耐えることができる温度及び光束に関する要求を緩和する。したがって、この所謂リモートフォスファの実施形態は、低い色温度及び良好な演色評価数(color rendering index)を許す。さらに、光質(好ましくないピーク輝度、色彩管理)を改善することができ、色を、波長変換材料の特性を変更することにより制御することができる。さらに、照明製造者は、LED(s)の色依存性を選択することができる。
【0096】
実施形態において、デバイス1200は更に、第1のOLED組立体1202及び第2のOLED組立体1203により放出された光の少なくとも一部を、波長変換要素1203へと導くよう配置された、導光体1204を含む。
【0097】
導光体1204は、波長変換要素1201からの光を導き、それを、要素12010の端部(edges)へと集結させる役割も果たす。これにより、基板層1205及び1206から放出された光の増加された強度が許される。
【0098】
本発明の有機発光デバイスは更に、さらなる光学部品を含んでも良い。そのようなさらなる光学部品は、例えば、基板層の少なくとも1つの上に配置される;即ち、基板層の光出力表面上に配置される、拡散層又は反射層であっても良い。そのようなさらなる光学部品は、装飾用照明効果を高めるために使用されても良い。
【0099】
上述された種々の構成に加え、強度を増加し、種々の装飾効果を得るために、積層体の底部に及びさらに側部に、追加的な透明OLED組立体を配置することも可能である。
【0100】
本発明に係る有機発光デバイスを、いくつかの用途、例えば、例えば、装飾照明、店用照明及び雰囲気作りのための照明、で使用することができる。
【0101】
他の様態において、本発明は、前述されたような有機発光デバイスを含む、光センサデバイスに関する。
【0102】
そのような光センサデバイスは、制御ユニット、光センサ及び本発明の有機発光デバイスを含んでも良い。制御ユニットは、光センサを使用して少なくとも1つの測定を行い、少なくとも1つの測定に基づいて、個々のOLED要素により放出された光の強度を制御するよう、適合することができる。
【0103】
光センサは、有機発光デバイス内に配置される、又は、接続線といった、コネクタを介してデバイスに接続された外部デバイスとして、外側に配置される、のいずれかであっても良い。
【0104】
本発明のデバイスに、例えば、周囲の人々の存在及び/又は行動を測定し、測定された行動に従って照明を適合するような、別のタイプの検知手段を接続することも可能である。
【0105】
日又は時に基づいて、個々のOLED組立体により放出される光を制御することも可能である。
【0106】
本発明は、図面及び前述の説明で、詳細に説明され、記述されてきたが、そのような説明及び記述は、説明的又は例示的であり、制限的ではないと考えられるべきであり;本発明は開示された実施形態に制限されない。
【0107】
開示された実施形態の他のバリエーションが、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、クレーム化された発明を実行するときに、当業者によって、理解され、達成され得る。例えば、使用される、OLED組立体、OLED要素構成、追加の光学部品及び基板層に依存して、種々の有機発光デバイスを得ることができる。本発明は、特定の有機発光構成又は特定の波長変換材料に制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板層及び第2の基板層を含む有機発光デバイスであって、
当該デバイスは更に、前記第1の基板層と前記第2の基板層との間に配置された、少なくとも前記第1のOLED組立体及び第2のOLED組立体を含み、
前記第1のOLED組立体及び前記第2のOLED組立体の各々は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された有機発光層と、を含み、
前記第1のOLED組立体及び前記第2のOLED組立体の各々は、前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも一方に関して、ゼロでない角度を形成するように配置される、
有機発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも一方は透明である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
前記第1のOLED組立体及び前記第2のOLED組立体の各々は、前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも一方に関して、30度より大きい角度を形成するよう配置される、請求項1又は2に記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
前記第1のOLED組立体及び前記第2のOLED組立体の各々は、前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも一方に関して、90度の角度を形成するよう配置される、請求項3に記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
前記第1の基板層及び前記第2の基板層の少なくとも一方は、導電性である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
前記第1の基板層は、前記第1の導電層と電気的に接続する、第1の電極と供され、
前記第2の基板層は、前記第2の導電層と電気的に接続する、第2の電極と供される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、パターン化される、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
前記発光層により放出される光の少なくとも一部を拡散するように配置された、少なくとも1つの拡散層を更に含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記発光層により放出された光の少なくとも一部を、前記第1の基板層又は前記第2の基板層へと向かう方向に、向け直すよう配置された、少なくとも1つの光リダイレクト構造を更に含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記第1のOLED組立体と前記第2のOLED組立体との間に配置された、波長変換要素を更に含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記第1のOLED組立体又は前記第2のOLED組立体により放出された光の少なくとも一部を、前記波長変換要素へと導くように配置された、導光体を更に含む、請求項10に記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の有機発光デバイスを含む光センサデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−524368(P2012−524368A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505273(P2012−505273)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051577
【国際公開番号】WO2010/119395
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】