説明

高い比抵抗を有するポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムを有する光起電力モジュール

本発明は、光起電力モジュールの製造のための少なくとも20℃のガラス転移温度Tgを有する、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有のフィルムの使用に関する。好ましくは、このフィルムは、最大26質量%の可塑剤含量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い比抵抗を有するポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムを使用することによる光起電力モジュールの製造に関する。
【0002】
技術水準
光起電力モジュールは、外部の影響から保護するために透明カバーを備えている感光性半導体層からなる。感光性半導体層としては、担体上の単結晶ソーラーセルまたは多結晶の薄手の半導体層を使用することができる。薄層のソーラーモジュールは、多くの場合に透明板の上に、例えば蒸着、気相析出、スパッタリングまたは湿式析出によって施こされている感光性半導体層からなる。
【0003】
2つの系は、一般にガラスディスクと例えばガラスまたはプラスチックからなる硬質の後方の被覆板との間に透明接着剤により貼り合わされている。
【0004】
この透明接着剤は、感光性半導体層およびその電気的相互接続を完全に包含しなければならないし、UV安定性および湿分非敏感性でなければならないし、および貼り合わせプロセス後に完全に気泡不含でなければならない。
【0005】
透明接着剤としては、しばしば、例えばドイツ連邦共和国特許第4122721号明細書C1またはドイツ連邦共和国特許出願公開第4128766号明細書A1に開示されているような、硬化性注型樹脂またはエチレンビニルアセテート(EVA)を基礎とする架橋可能な系が使用される。この接着剤系は、未硬化の状態で当該接着剤系がソーラーセルユニットを気泡不含に包囲して低粘稠になるように調節されることができる。硬化剤または架橋剤の添加後、機械的に抵抗力を有する接着剤層が得られる。この接着剤系の場合の欠点は、硬化プロセスの際にしばしば攻撃的物質、例えば酸が遊離され、この酸が感光性半導体層、殊に薄層モジュールを破壊しうることである。その上、若干の注型樹脂は、二、三年後に気泡形成またはUV線による層間剥離の傾向を有する。
【0006】
硬化性接着剤系に対する1つの他の選択可能な方法は、ポリビニルアセタール、例えば複合体ガラス製造から公知のポリビニルブチラール(PVB)を基礎とする可塑剤含有フィルムを使用することである。ソーラーセルユニットは、1つ以上のPVBフィルムで覆われ、このPVBフィルムは、高められた圧力下および高められた温度下で望ましいカバー材料と結合され、貼合せシートに変わる。
【0007】
PVBフィルムを用いてソーラーモジュールを製造する方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第4026165号明細書C2、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4227860号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許第2923770号明細書C2、ドイツ連邦共和国特許第3538986号明細書C2または米国特許第4321418号明細書の記載によって公知である。複合安全ガラスとしてのソーラーモジュール中でのPVBフィルムの使用は、例えばドイツ連邦共和国実用新案登録第20302045号明細書U1、欧州特許出願公開第1617487号明細書A1およびドイツ連邦共和国特許第3538986号明細書C2に開示されている。しかし、これらの刊行物は、使用されたPVBフィルムの機械的性質、化学的性質および電気的性質に関する情報を全く含んでいない。
【0008】
殊に、接着剤フィルムの電気的性質は、感光性半導体層の性能がさらに高まり、ソーラーモジュールの世界的規模の拡大がさらに増加するにつれてますます重要視されている。半導体層の電荷損失またはましてや短絡は、極端な気候条件下、例えば熱帯の温度、高い空気湿度または強いUV線の下でも前記モジュールの全寿命に亘って回避されなければならない。光起電力モジュールは、このモジュールの損失電流を減少させるために、CEI 61215により多数の試験に掛けられる(蒸気熱試験、湿潤漏れ電流試験)。このことを達成するために、接着剤フィルムは、できるだけ高い比抵抗を有しなければならない。
【0009】
課題
従って、本発明の課題は、光起電力モジュールの製造のために、高い比(電気)抵抗を有するポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムを提供することである。
【0010】
意外なことに、高められたガラス転移温度Tgを有するフィルムは、高められた比抵抗を有することが見い出された。理論の正当性とは無関係に、このことは、ガラス類似または高粘稠な環境中で減少されたイオン移動度に起因するものと見なされる。
【0011】
発明の開示
従って、本発明の対象は、
a)前面透明カバーと
b)1つ以上の感光性半導体層と
c)ポリビニルアセタールを基礎とする少なくとも1つの可塑剤含有フィルムと
d)背面のカバーとからなる貼合せシートを含む光起電力モジュールであり、
この場合ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムc)は、少なくとも20℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0012】
本発明により使用されるフィルムのガラス転移温度Tgは、有利にそれぞれ少なくとも22℃、24℃、26℃、27℃、30℃または35℃である。ガラス転移温度Tgのための上限としては、40℃を記載することができる。
【0013】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムのガラス転移温度Tgは、使用された可塑剤の含量および極性または塑性作用によって顕著に定められる。従って、フィルムの比抵抗は、簡単に可塑剤により調節されうる。
【0014】
好ましくは、本発明により使用されるフィルムは、23℃で85%rFの環境湿度で少なくとも1E+11Ω*cm、有利に少なくとも5E+11Ω*cm、有利に1E+12Ω*cm、有利に5E+12Ω*cm、有利に1E+13Ω*cm、有利に5E+13Ω*cm、有利に1E+14Ω*cmの比抵抗を有する。この値は、殊に前記モジュールの縁部でフィルムのすべての位置で達成される。
【0015】
可塑剤含有ポリビニルアセタールを基礎とするフィルムは、有利に未架橋のポリビニルブチラール(PVB)を含有し、このポリビニルブチラール(PVB)は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドでアセタール化することによって取得される。
【0016】
架橋されたポリビニルアセタール、殊に架橋されたポリビニルブチラール(PVB)の使用は、同様に可能である。適当な架橋されたポリビニルアセタールは、例えば欧州特許第1527107号明細書B1およびWO 2004/063231A1(カルボキシル基含有ポリビニルアセタールの熱的自己架橋)、欧州特許出願公開第1606325号明細書A1(ポリアルデヒドで架橋されたポリビニルアセタール)およびWO 03/020776A1(グリオキシル酸で架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。前記特許刊行物の開示には、かなり広範囲の記載が引き合いに出されている。
【0017】
また、5〜10個の炭素原子を有する別のアルデヒドまたはさらなるアルデヒド(例えば、バレルアルデヒド)を用いてアセタール化を実施することが可能である。
【0018】
ポリビニルアルコールとして本発明の範囲内で加水分解されたビニルアセテート/エチレンコポリマーからなるターポリマーを使用することができる。この化合物は、一般に98%超が加水分解されており、エチレンを基礎とする単位を1〜10質量%含有する(例えば、Kuraray Europe GmbH社のタイプ"Exceval")。
【0019】
ポリビニルアセタールは、アセタール単位と共にビニルアセテートとビニルアルコールとから生じる単位をなお含有する。本発明により使用されるポリビニルアセタールは、有利に21質量未満、18質量%未満、16質量%未満または殊に14質量%未満のポリビニルアルコール含量を有する。ポリビニルアルコール含量は、12質量%を下廻らない。
【0020】
ポリビニルアセテート含量は、有利に5質量%未満、好ましくは3質量%未満、殊に2質量%未満である。ポリビニルアルコール含量と残留アセテート含量とから、アセタール化度を計算により算出することができる。
【0021】
本発明によって要求される、フィルムの高い比抵抗は、可塑剤の種類および/または量によって適合させることができる。
【0022】
好ましくは、フィルムは、最大26質量%、特に有利に最大24質量%、殊に最大22質量%の可塑剤含量を有し、この場合可塑剤含量は、フィルムの加工可能性の理由から15質量%を下廻るべきではない。本発明によるフィルムまたは光起電力モジュールは、1つ以上の可塑剤を含有することができる。
【0023】
本発明によれば、式100×O/(C+H)によって表わされる極性が9.4以下である可塑剤は、特に好適であり、この場合O、CおよびHは、それぞれの分子中の酸素原子、炭素原子および水素原子の数を表わす。次の表は、本発明により使用可能な可塑剤および式100×O/(C+H)による前記可塑剤の極性値を示す。
名称 略記 100×O/(C+H)
ジ−2−エチルヘキシルセバケート (DOS) 5.3
ジ−2−エチルヘキシルアジペート (DOA) 6.3
ジ−2−エチルヘキシルフタレート (DOP) 6.5
ジヘキシルアジペート (DHA) 7.7
ジブチルセバケート (DBS) 7.7
ジ−2−ブトキシエチルセバケート (DBES) 9.4
トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエート (3G8) 9.4
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル (DINCH) 5.4
【0024】
次の可塑剤は、多少とも適している。
名称 略記 100×O/(C+H)
トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート 3G7 10.3
テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート 4G7 10.9
ジ−2−ブトキシエチルアジペート DBEA 11.5
ジ−2−ブトキシエトキシエチルアジペート DBEEA 12.5
【0025】
ガラスに対するポリビニルアセテートフィルムの付着能力は、通常、付着調節剤、例えばWO 03/033583A1に開示された有機酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の添加によって調節される。酢酸カリウムおよび/または酢酸マグネシウムは、特に好適であることが判明した。その上、製造プロセスからのポリビニルアセタールは、しばしば無機酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、例えば塩化ナトリウムを含有する。
【0026】
塩は、同様に比抵抗に対する影響を有するので、金属イオン50ppm未満、特に有利に30ppm未満、殊に20ppm未満を有する、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムを使用することは、有利である。これは、ポリビニルアセタールの相応する洗浄法によって、および特に良好に作用する抗付着剤、例えば当業者に公知の有機酸(例えば、アセテート)のマグネシウム塩、カルシウム塩および/または亜鉛塩の使用によって達成されうる。
【0027】
更に、もしかするとフィルムの含水量に依存するイオン移動度、ひいては比抵抗は、熱分解法珪酸の添加によって影響を及ぼされうる。好ましくは、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムは、熱分解法SiO2を0.001〜15質量%、有利に2〜5質量%含有する。
【0028】
ポリビニルアセタールを基礎とするフィルムの原理的な製造および組成は、例えば欧州特許第185863号明細書B1、欧州特許第185863号明細書B1、WO 02/102591A1、欧州特許第1118258号明細書B1または欧州特許第387148号明細書B1に記載されている。
【0029】
光起電力モジュールは、前記フィルムの溶融下に貼り合わされ、したがってフィルムでの感光性半導体層の気泡不含および条痕なしの封入体が得られる。
【0030】
本発明による光起電力モジュールの変形において、感光性半導体層は、カバーd)上に施こされ(例えば、蒸着、気相析出、スパッタリングまたは湿式析出)、フィルムc)によって前面透明カバーa)と接着される。
【0031】
別の変形において、感光性半導体層は、前面透明カバーa)上に施こされ、フィルムc)によって背面のカバーd)と接着される。
【0032】
他の選択可能な方法によれば、感光性半導体層は、2つのフィルムc)の間に埋封されることができ、したがって覆いa)およびd)と接着されることができる。
【0033】
可塑剤含有ポリビニルアセタールを基礎とするフィルムの厚さは、通常、0.38mm、0.51mm、0.76mm、1.14mm、1.52mmまたは2.28mmである。
【0034】
本発明により使用されるフィルムは、貼合せ処理中に感光性半導体層またはその電気的接続部に存在する空隙を充填する。
【0035】
前面透明カバーa)は、一般にガラスまたはPMMAからなる。本発明による光起電力モジュールの背面のカバーd)(所謂、バックシート)は、ガラス、プラスチックまたは金属、またはこれらの複合材からなることができ、この場合担体の1つは、透明であってよい。同様に、1つまたは2つの覆いを複合ガラスとして(即ち、少なくとも2つのガラス板と少なくとも1つのPVBフィルムとからなる貼合せシート)、またはガス中間空間を有する絶縁ガラスとして形成することが可能である。勿論、前記手段の組合せも可能である。
【0036】
前記モジュール中に挿入された感光性半導体層は、特殊な性質を有する必要はない。単結晶、多結晶または無定形の系が使用されてよい。
【0037】
薄層ソーラーモジュールの場合、感光性半導体層は、直接に担体上に施こされている。この場合、カプセル封入は、不可能である。従って、層状体は、担体(例えば、背面のカバー)と感光性半導体層および前面透明カバーとから、可塑剤含有ポリビニルアセタールを基礎とする介在した少なくとも1つの本発明によるフィルムによって構成され、このフィルムによって高められた温度で接着される。他の選択可能な方法によれば、感光性半導体層は、担体としての前面透明カバー上に施こすことができ、可塑剤含有ポリビニルアセタールを基礎とする介在した少なくとも1つの本発明によるフィルムによって背面のカバーと接着されていてよい。
【0038】
こうして得られた層状体の貼合せのために、当業者にとって通常の方法は、前複合体の先行する製造でかまたは先行する製造なしに使用されてよい。
【0039】
即ち、オートクレーブ法は、約10〜15バールの高められた圧力および130〜145℃の温度で約2時間に亘って実施される。例えば、欧州特許第1235683号明細書B1に記載の真空袋法(Vakuumsackverfahren)または真空リング法(Vakuumringverfahren)は、約200ミリバールおよび130〜145℃で作業する。
【0040】
特に、本発明による光起電力モジュールの製造のために真空貼合せ機が使用される。この真空貼合せ機は、加熱可能な室と真空引き可能な室とからなり、この真空貼合せ機中で複合ガラスは、30〜60分間で貼合せられうる。0.01〜300ミリバールの減少された圧力および100〜200℃、殊に130〜160℃の温度は、実際に有効であることが実証された。
【0041】
他の選択可能な方法によれば、こうして上記のように構成された層状体は、少なくとも1つの対ロール間で60〜150℃の温度で本発明によるモジュールに圧縮されうる。この種の装置は、複合ガラスの製造に公知であり、通常、2つの圧縮機を備えた装置の場合に第1の圧縮機の前方または後方で少なくとも1つの加熱トンネルを使用している。
【0042】
更に、本発明の対象は、光起電力モジュールの製造のための少なくとも20℃のガラス転移温度Tgを有する、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有のフィルムの使用である。
【0043】
本発明による光起電力モジュールは、ファッサード用建築部材、屋根用建築部材(Dachflaechen)、サンルーム用カバー、防音壁、バルコニーまたは窓下の壁要素として、または窓面の構成成分として使用されることができる。
【0044】
測定方法:フィルムのガラス転移温度は、−50℃〜150℃の温度間隔で10K/分の加熱速度を使用しながらDIN 53765に記載の動的差分熱量測定法(Dynamischer Differenzkalorimetrie (DSC))により測定される。第1の加熱傾斜路、続いて冷却傾斜路、続いて第2の加熱傾斜路が使用される。ガラス転移温度の位置は、第2の加熱傾斜路に属する測定曲線でDIN 51007により算出される。DIN中心点(Tg DIN)は、半分の段高さでの水平方向での線と測定曲線との交叉点として定義されている。この段高さは、ガラス転移の前および後の測定曲線の基線との中間接線の2つの交叉点での垂直方向の距離によって定義される。
【0045】
フィルムの流れ挙動は、ISO 1133によるメルトインデックス(溶融質量流量:MFR)として、例えばGoettfert社、モデルMI2の相応する機器上で測定される。MFR値は、100℃および140℃で2mmノズルで21.6kgの重量負荷の際に10分間当たりのg(g/10分間)で記載される。
【0046】
フィルムの比通過抵抗は、DIN IEC 60093により定義された温度および環境湿度(23℃およびrLF85%)で、フィルムが少なくとも24時間、この条件で状態調節された後に測定される。この測定の実施のために、Fetronic GmbH社の板電極タイプ302 132ならびにAmprobe社の抵抗測定器ISO−Digi 5kVが使用された。試験電圧は、2.5kVであり、試験電圧の印加後の待ち時間は、測定値の検出まで60秒であった。測定電極の平板とフィルムとの間の十分な接触が保証されるようにするために、これらの表面粗さRzは、DIN EN ISO 4287による測定の際に10μm以下であるべきであり、即ち場合によってはPVBフィルムの元来の表面は、抵抗測定前に熱変性(thermisches Umpraegen)によって平滑にされていなければならない。
【0047】
ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール含量およびポリビニルアルコールアセテート含量は、ASTM D 1396−92の記載により測定された。金属イオン含量は、原子吸光分光分析法(AAS)によって分析された。
【0048】
フィルムの含水量または湿分含量は、カール−フィッシャー法で測定される。湿潤条件下での湿潤挙動をシミュレートするために、フィルムは、先に23℃および85%rFで24時間貯蔵される。この方法は、貼合されていないフィルムならびに貼合された光起電力モジュールに対してフィルムの縁部との距離に依存して実施されることができる。
【実施例】
【0049】
第1表中に記載された組成の混合物を製造し、この混合物のガラス転移温度Tg、流動能および電気抵抗について試験した。
【0050】
それぞれ次のものを意味する:
DBEEA:ジ−2−ブトキシエトキシエチルアジペート、
DBEA:ジ−2−ブトキシエチルアジペート、
3G8:トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエート。
Mowital PVB:粘度60〜90mPas(20℃でエタノール中の5%溶液(水5%を有する)としてのDIN 53015の記載により測定した)を有する高粘稠なポリビニルブチラール;ポリビニルアルコール含量20.3質量%;ポリビニルアセテート含量:1.1質量%;アセタール化度:78.6%。
【0051】
中程度の可塑剤含量を有する標準フィルム(VB1)は、光起電力の用途に対して低すぎる抵抗を有することが示される。実際に、高い可塑剤含量を有するフィルム混合物(VB2)は、実施に高い流動能を有するが、しかし、低いガラス転移温度Tgも有し、したがって、なお低い比抵抗を有する。
【0052】
可塑剤含量の減少(実施例1)は、ガラス転移温度および比抵抗の明らかな上昇を生じる。これは、流動能の上昇と共に、低い極性の可塑剤の使用(実施例2対実施例1)によってさらに改善させることができる。
【0053】
実施例1および2は、高められたガラス転移温度Tgを有する本発明により使用されたフィルムによって、比抵抗の改善を達成させることができることを示す。この種のフィルムは、光起電力の用途に適している。
【0054】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)透明の前面カバーと
b)1つ以上の感光性半導体層と
c)ポリビニルアセタールを基礎とする少なくとも1つの可塑剤含有フィルムと
d)背面のカバーとからなる貼合せシートを含む光起電力モジュールにおいて、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムc)が、少なくとも20℃のガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、上記光起電力モジュール。
【請求項2】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムc)が最大26質量%の可塑剤含量を有する、請求項1記載の光起電力モジュール。
【請求項3】
ポリビニルアセタールが21質量%未満のポリビニルアルコール含量を有する、請求項1または2記載の光起電力モジュール。
【請求項4】
ポリビニルアセタールが5質量%未満のポリビニルアセテート含量を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項5】
可塑剤として、式100×O/(C+H)によって表わされる極性が9.4以下である1つ以上の化合物が使用されており、この場合O、CおよびHは、それぞれの分子中の酸素原子、炭素原子および水素原子の数を表わす、請求項1から4までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項6】
可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジヘキシルアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−ブトキシエチルセバケート、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルおよびトリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエートの群からの1つ以上の化合物が使用されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項7】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムが金属イオン50ppm未満を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項8】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有フィルムがSiO20.001〜5質量%を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項9】
ポリビニルアセタールとしてポリビニルブチラールが使用されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項10】
光起電力モジュールの製造のための少なくとも20℃のガラス転移温度Tgを有する、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有のフィルムの使用。

【公表番号】特表2010−541268(P2010−541268A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527468(P2010−527468)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063303
【国際公開番号】WO2009/047221
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(507052393)クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Brueningstrasse 50, D−65926 Frankfurt , Germany
【Fターム(参考)】