説明

高さ及び形状を変えることが出来る変形多様な容器

【課題】 複数本の側部材を繋いで構成した筒状の外容器で、その断面形状並びに高さを変えることが出来る変形多様な容器の提供。
【解決手段】 筒状の変形多様な容器15は複数本の第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・を交互に連結すると共に各側部材の間にはスペーサー5,5・・、6,6・・を介在し、しかも第1側部材1a,1b,1c・・は昇降可能に繋がれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高さと形状を自由に変えることが出来る変形多様な容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴミ箱はゴミを一時的に収容することが出来る一種の容器であり、上部は大きく開口している。一般的には筒形であり、材質はプラスチック製、金属製,木製など色々ある。しかし、従来の筒形ゴミ箱は剛体であり、その形状を設置する場所に応じて変えることは出来ず、まして高さを変えることは出来ない。
【0003】
狭い部屋ともなれば、必需品であるにもかかわらずゴミ箱を置くスペースがなくて、時には邪魔になることも多い。ところで、従来において色々なゴミ箱形態が発明され、その一部は実施されている。例えば、特開2006−264892号に係る「ゴミ箱」は、手や足を汚すことなく、ゴミ箱本体の内部に収容しているゴミ類を容易且つ効率的に圧縮することができ、これによってゴミ箱本体内のゴミ類の収容空間を無駄なく利用できるように構成している。そこで、ゴミ箱本体の上方開口部に、収容しているゴミ類を圧縮する圧縮機構部を設けている。この圧縮機構部は、足等の踏み付け力を利用したものである。また、圧縮機構部は、中央に開口部を有し、ゴミ箱本体の上方開口部に着脱可能に配置された保持枠部と、保持枠部の開口部を下方側から塞ぐよう、保持枠部の開口部の内径よりも若干大きく且つゴミ箱本体の内径よりも若干小さな外径を有する平蓋状の圧縮部材を備えている。
【0004】
特開2005−194065号に係る「ゴミ箱」は、再利用の買物袋を収納するスペースの確保に苦労せずに済み、ゴミ出し作業に伴い買物袋をゴミ箱に被せる際の手間を少なくすることが出来るゴミ箱である。そこで、筒状の本体の底部を二重にして、ゴミ入れのための再利用の買物袋を収納する。この底部を二重にするために、本体の上部の開口から入れる取り外し可能な上げ底を備える。あるいは、本体の底部に下方から接続され分離可能な筒状の分離底部を備える。あるいは、本体の二重底の側面に形成される開口部から出し入れできる引き出し状の引き出しケースを備えている。
【0005】
これらのゴミ箱も本発明の目的とはかけ離れている。一方、本発明はゴミ箱に限定しているものではなく、鉢植えなどを入れる外容器をしても利用する。
【特許文献1】特開2006−264892号に係る「ゴミ箱」
【特許文献2】特開2005−194065号に係る「ゴミ箱」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のゴミ箱は剛体として構成している。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、形が変化すると共に高さの調整が可能な変形多様な容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゴミ箱などの外容器は変形多様な容器として構成され、細長い複数の側部材を有し、各側部材は垂直に起立して柔軟性のある紐やバンド、チェーン、又は伸縮可能なバンドや紐にて連結されて筒状を構成している。従って、該紐やバンドが湾曲変形することで、又はチェーンや紐が屈曲することで各側部材の位置関係は変化することが出来、外容器の横断面形状は変化する。ここで、側部材を繋ぐ紐やバンドが伸縮可能な性質を備えることが好ましい。
【0008】
そして、側部材には2種類があり、第2側部材はその下端が床面に接して変形多様な容器の本体を構成し、第1側部材は上方へスライドして伸びることが出来るように取付けられている。第2側部材は紐やバンドで連結されて第2側部を構成し、この第2側部に対して第1側部材で構成する第1側部を有している。従って、第1側部を突出することで変形多様な容器の高さは高くなる。
【0009】
ここで、第2側部材に対して第1側部材をスライドすることが出来る具体的な構造は限定しないことにする。例えば、第2側部材の上端から中心軸に沿って下方へ穴を形成し、この穴に第1側部材をスライド可能に嵌めることが出来、又は隣り合う第2側部材の間に第1側部材を介在し、第2側部材を繋ぐ紐やバンド、又はチェーンをガイドとしてスライド可能に取付けることも出来る。
【0010】
本発明の変形多様な容器をゴミ箱として使用する場合には内容器を嵌めて構成する。該内容器は底を有す薄いシートで構成するのが一般的であるが、時には樹脂や金属製の内容器とすることもある。複数の側部材を繋いで構成した変形多様な容器は、剛体の内容器を抱き込むように組み合わすことも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る変形多様な容器は、複数本の側部材が紐やバンド、又はチェーンで繋がれて構成している為にその形状は変化し、例えば机の脇にある小さなスペースにその形を変えて配置することが出来る。そして、側部材は第1側部材と第2側部材から成っている為に、第1側部はスライドして高さを変えることが出来る。すなわち、ゴミ箱として利用する場合には容積を増減することが可能である。一方、変形多様な容器内に収容される内容器を樹脂製又は金属製とすることも出来、更に変形多様な容器の上端を覆うようなデザインの内容器を収容することで、部屋のインテリアとしての機能を備えることも可能と成る。
【実施例】
【0012】
図1は本発明に係る変形多様な容器を表している実施例である。同図の1は第1側部材、2は第2側部材を示し、複数本の第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・が交互に配列して筒状の変形多様な容器を構成している。ここで、第1側部材1a,1b,1c・・は柔軟性のある2本の第1紐3a,3bで上下端部が連結され、同じく第2側部材2a,2b,2c・・も柔軟性のある2本の第2紐4a,4bで連結されている。
【0013】
そして、第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・との間にはスペーサー5,5・・とスペーサー6,6・・が介在していて、第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・の間隔を一定に保っている。第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・は、その上端部が2本の第1紐3a,第2紐4aと下端部が2本の第1紐3b、第2紐4bにて連結されている。ここで、上記スペーサーは必ずしも必要ではなく、用いない場合もある。
【0014】
ところで、上下端部が2本の第1紐3a,3bにて繋がれている第1側部材1a,1b,1c・・は第1側部を構成し、同じく上下端部が2本の第2紐4a,4bにて繋がれている第2側部材2a,2b,2c・・は第2側部を構成している。そして、第1側部は第2側部に対してスライドして外容器の高さを調整することが出来る。同図は第1側部が降下している状態であるが、引き伸ばすことでその高さは高くなる。
【0015】
図2(a)は第1側部材、図2(b)は第2側部材を夫々表している具体例である。この第1側部材1は一定厚さの細長い棒材であり、その上下端には紐穴7,8が貫通して設けられ、両紐穴7,8の間には細長いガイド溝9が延びている。同じく、第2側部材2も一定厚さの細長い棒材であり、その上下端には紐穴10,11が貫通して設けられ、両紐穴10,11の間には細長いガイド溝12が延びている。
【0016】
ここで、第1側部材1の紐穴7には第1紐3aが挿通し、紐穴8には第1紐3bが挿通している。又、ガイド溝9には第2紐4aが嵌っている。同じく、第2側部材2の紐穴10には第2紐4aが挿通し、紐穴11には第2紐4bが挿通している。そして、ガイド溝12には第1紐3bが嵌っている。
【0017】
第1側部を構成している第1側部材1a,1b,1c・・を持ち上げるならば、第1紐3bは第2側部材2a,2b,2c・・に形成しているガイド溝12,12・・に沿って上昇する。又、第2紐4aは第1側部材1a,1b,1c・・に形成しているガイド溝9,9・・に沿って移動することが出来る。そして、第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・は、間にスペーサー5,5・・及びスペーサー6,6・・が介在していることで、所定の間隔を保った状態でスライドすることが出来る。
【0018】
このように第1側部はスライドして上昇するが、自重で降下しないように上記第1紐3a,3b、及び第2紐4a,4bは伸縮性のある紐を用いることが出来、各スペーサー5,5・・、6,6、・・の側面が各第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・に接して摩擦力を発生することが出来るようにしている。又は、上記スペーサー5、6にバネ又は弾性体を取付けることで、第1側部材1と第2側部材との間に作用する摩擦を高めることも可能である。
【0019】
同図のスペーサー5,6は中心に第2紐4a、第1紐3bが挿通する穴22を貫通した円盤形であるが、球状とすることもある。例えば、図3に示すように2個の半球体13a,13bを対にして組み合わせ、両半球体13a,13bの間に弾性体又はバネ14を介在することで伸縮可能とし、その結果、第1側部材1と第2側部材2との間に適度な接触面圧の下で挟まれて摩擦力を発生することが出来る。そして、第1側部材1と第2側部材2とのは点接触することで穴22を挿通する紐3にて筒状に配列することが可能である。
【0020】
図4は第1側部材1a,1b,1c・・を上昇させた変形多様な容器であり、該変形多様な容器の高さは高くなる。上記第1側部材1a,1b,1c・・が上昇するが、この場合上端部の第1紐3aと下端部の第1紐3bは共に上昇する。下端部の第1紐3bは第2側部材2a,2b・・に形成しているガイド溝12,12・・に沿って上方へ移動し、第2側部材2a,2b,2c・・の上端部を繋いでいる第2紐4aは第1側部材1a,1b,1c・・のガイド溝9,9・・に沿って移動することが出来る。
【0021】
図5は筒形をした変形多様な容器15に内容器16を収容する場合である。上記変形多様な容器15は第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・がスペーサー5,5、・・、6,6・・を介して互いに連結した筒体であり底はなく、その為に変形多様な容器15は第1側部材1a,1b,1c・・と第2側部材2a,2b,2c・・との間に隙間が形成されている。従って、このままではゴミ箱として機能することは出来ない為に、上記内容器16が収容される。該内容器16はナイロンやビニールなどの薄いシートで構成され、その為に外容器となる変形多様な容器15に収容することで一体化され、変形多様な容器15の形状に追従してその形を変えることが出来る。
【0022】
そして、この内容器16にはゴミを入れることが出来ることから、内容器16ごとゴミを捨てることも可能と成る。ここで、内容器16と外容器となる変形多様な容器15とを組み合わせることで部屋のインテリアとしての効果を発揮するようにすることも出来る。勿論、内容器16としては薄いシートで構成する場合に限らず、プラスチック製と剛体とすることもある。
【0023】
図6は本発明の他の実施例であり、第1側部材17が第2側部材18の一部として構成している場合である。変形多様な容器15は、複数本の第2側部材18,18・・が互いに連結された筒体として構成している。そして、第1側部材17,17・・は第2側部材18,18・・の中心軸に沿って設けた穴に嵌り、この穴に沿ってスライドすることが出来るように成っている。
【0024】
従って、第1側部材17,17・・を持ち上げるならば、変形多様な容器15の高さは高くなる。この場合、第1側部材17,17・・の上端を紐にて連結していることもあるが、該紐を用いないで第1側部材17,17・・が互いに独立して昇降スライドすることも出来る。ただし、上昇した第1側部材17,17・・が自重で降下しないように、降下防止用ストッパーを設けている。
【0025】
図7は第1側部材の降下を防止するストッパー機構の具体例であり、第2側部材18の上端に取付けた板バネ21が第1側部材17の側面に形成した凹溝20に係合するように成っている。従って、第1側部材17は自重によって降下することはなく、上昇した状態で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る変形多様な容器の具体例。
【図2】図1の側部を構成している第1側部材と第2側部材。
【図3】第1側部材と第2側部材の間に介在するスペーサーの具体例。
【図4】高さを高くした変形多様な容器。
【図5】変形多様な容器に内容器を収容する場合。
【図6】変形多様な容器を示す他の具体例。
【図7】第1側部材の降下を防止するストッパー機構。
【符号の説明】
【0027】
1 第1側部材
2 第2側部材
3 第1紐
4 第2紐
5 スペーサー
6 スペーサー
7 紐穴
8 紐穴
9 ガイド溝
10 紐穴
11 紐穴
12 ガイド溝
13 半球体
14 バネ
15 変形多様な容器
16 内容器
17 第1側部材
18 第2側部材
19 バンド
20 凹溝
21 板バネ
22 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の側部材を繋いで構成した筒状の変形多様な容器に内容器を収容することが出来る容器であって、上記筒状の変形多様な容器は複数本の第1側部材と第2側部材を交互に連結すると共に第1側部材は昇降可能に繋がれていることを特徴とする変形多様な容器。
【請求項2】
上記第1側部材と第2側部材の間にはスペーサーを介在した請求項1記載の変形多様な容器。
【請求項3】
上記第1側部材及び第2側部材の上下端部には紐穴を設け、両紐穴の間には細長いガイド溝を形成した請求項1、又は請求項2記載の変形多様な容器。
【請求項4】
上記スペーサーを2個の半球体の間にバネを介在して構成した請求項2、又は請求項3記載の変形多様な容器。
【請求項5】
複数本の第2側部材を繋いで構成した筒状の変形多様な容器に内容器を収容することが出来る容器であって、上記第2側部材の軸に沿って上端から穴を設け、該穴に第1側部材を昇降動可能に嵌め、第1側部材の自重による降下を防止するためのストッパーを備えたことを特徴とする変形多様な容器。
【請求項6】
上記複数本の第2側部材をバンドを介して筒状に繋いだ請求5記載の変形多様な容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273628(P2008−273628A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86773(P2008−86773)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(507104083)
【Fターム(参考)】