説明

高じん性・高強度モルタル組成物

【課題】低温下においても通常の養生のみで、早期に高いじん性及び高い圧縮強度を発現する高じん性・高強度モルタル組成物を提供すること。
【解決手段】セメントと、超微粉スラグと、減水剤と、消泡剤と、細骨材とを含み、超微粉スラグのブレーン比表面積は10000〜20000cm/gである、高じん性・高強度モルタル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高じん性・高強度モルタル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、構造部材の軽量化、鉄筋使用量の削減等の要求に伴い、150N/mm以上の圧縮強度を発現し、しかも曲げ強度の高い超高強度コンクリートが提案されている。これらのコンクリートでは、セメント、ポゾラン質微粉末、骨材、高性能減水剤、金属繊維が使用され、熱養生によって超高強度化が図られている。(特許文献1及び2参照)
【0003】
一方、引張応力下で擬似ひずみ硬化(初期ひびわれ発生後に引張応力が上昇する挙動)を示し、変形が増大してもひび割れ幅の抑制機能を有する高じん性セメント系材料が提案されている(特許文献3参照)。この高じん性セメント系材料では、ポリビニルアルコールの短繊維によって、高じん性化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−181004号公報
【特許文献2】特開2006−298679号公報
【特許文献3】特開2000−7395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、熱養生の場合は工場で型枠を使用して製造するため、建設現場までの製品の運搬が必要であり、また、製品の形状は使用型枠の形状により制約を受けるため設計の自由度が乏しい。また、擬似ひずみ硬化特性を示す高じん性セメント系材料は、現場施工が可能であるが、圧縮及び引張強度は通常のコンクリートと同程度である。このため、熱養生が不要で、現場施工が可能な高じん性・高強度材料が求められている。
【0006】
一般に、セメント系材料は温度の影響を受けやすく、特に低温下では強度発現が遅くなる傾向がある。このため冬季に現場施工を行う場合には熱源を用いた給熱処置を行う必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、低温下においても通常の養生のみで、早期に高いじん性及び高い圧縮強度を発現する高じん性・高強度モルタル組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、低温下においても通常の養生のみで、早期に高じん性、高強度を発現するためには、セメントと、超微粉スラグと、細骨材及び減水剤を特定の配合割合で組み合わせればよいことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明はセメントと、超微粉スラグと、減水剤と、消泡剤と、細骨材とを含み、超微粉スラグのブレーン比表面積は10000〜20000cm/gである高じん性・高強度モルタル組成物を提供する。このようなモルタル組成物によれば、低温下で養生した場合であっても、早期に高いじん性及び高い圧縮強度が得られる。
【0010】
ここで、超微粉スラグの平均粒子径は、0.8〜3.0μmであることが好ましく、その含有量は、セメント及び超微粉スラグの合計量を基準として、5〜40質量%であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の高じん性・高強度モルタル組成物に含まれるセメントは、圧縮強度、引張強度及びセメントの焼成の観点から、CS量を40.0〜75.0質量%及びCA量を2.7質量%未満含有し、かつ、45μmふるい残分が25.0質量%未満であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の高じん性・高強度モルタル組成物は、セメント及び超微粉スラグの合計量100質量部に対して、水を10〜25質量部及び減水剤を0.5〜6.0質量部含むことが好ましい。これにより、モルタル組成物の強度がより一層向上する。
【0013】
また、本発明の高じん性・高強度モルタル組成物は、セメント及び超微粉スラグの合計量100質量部に対して、消泡剤を0.01〜2.0質量部含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低温下においても通常の養生のみで、早期に高いじん性及び高い圧縮強度を発現する高じん性・高強度モルタル組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例で用いた消泡剤のH−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態の高じん性・高強度モルタル組成物は、セメントと、超微粉スラグと、減水剤と、消泡剤と、細骨材とを含むものである。以下、本発明に係るモルタル組成物の好適な実施形態について説明する。
【0017】
セメントの鉱物組成は、好ましくはCS量が40.0〜75.0質量%であり、CA量が2.7質量%未満である。セメントのCS量は、好ましくは45.0〜73.0質量%、より好ましくは48.0〜70.0質量%であり、更に好ましくは50.0〜68.0質量%である。CA量は、好ましくは2.3質量%未満であり、より好ましくは2.1質量%未満であり、更に好ましくは1.9質量%未満である。CS量が40.0質量%未満では圧縮強度及び引張強度が低くなる傾向があり、75.0質量%を超えるとセメントの焼成自体が困難となる傾向がある。また、CA量が2.7質量%以上では引張強度が低くなる傾向がある。なお、CA量の下限値は特に限定されないが、0.1質量%程度である。
【0018】
また、セメントのCS量は、好ましくは9.5〜40.0質量%、より好ましくは10.0〜35.0質量%であり、更に好ましくは12.0〜30.0質量%である。CAF量は、好ましくは9.0〜18.0質量%、より好ましくは10.0〜15.0質量%であり、更に好ましくは11.0〜15.0質量%である。このようなセメントの鉱物組成の範囲であれば、モルタル組成物の高いじん性、高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性をよりよく確保できる。
【0019】
また、セメントの粒度は、45μmふるい残分が、好ましくは上限で25.0質量%未満であり、より好ましくは20.0質量%であり、更に好ましくは18.0質量%であり、特に好ましくは16.0質量%である。45μmふるい残分の下限は0.0質量%であり、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは2.0質量%である。セメントの粒度がこの範囲であれば、高い引張強度をよりよく確保できる。
【0020】
セメントのブレーン比表面積は、好ましく2500〜4800cm/g、より好ましくは2800〜4000cm/g、更に好ましくは3000〜3600cm/gである。ブレーン比表面積が2500cm/g未満ではモルタル組成物の強度が低くなる傾向があり、4800cm/gを超えると低水セメント比での流動性が低下する傾向がある。
【0021】
本発明のセメントの製造にあたっては、通常のセメントと特に異なる操作を行う必要は無く、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト等の原料の調合を目標とする鉱物組成に応じて変え、実機キルンで焼成した後、得られたクリンカーに石膏を加えて所定の粒度に粉砕することによって製造する。焼成するキルンは、一般的なNSPキルンやSPキルン等が、粉砕は一般的なボールミル等の粉砕機が使用可能である。また、必要に応じて、2種以上のセメントを混合することもできる。
【0022】
超微粉スラグは、高炉スラグを乾式粉砕することにより得られる。超微粉スラグのブレーン比表面積は10000〜20000cm/g、好ましくは11000〜19000cm/g、より好ましくは12000〜18000cm/g、更に好ましくは13000〜17000cm/gである。また、その平均粒子径は、好ましくは0.8〜3.0μm、より好ましくは1.0〜2.3μm、更に好ましくは1.3〜1.8μmである。
【0023】
通常セメントに使用する高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、3000〜5000cm/g程度であるが、本発明の超微粉スラグは通常セメントに使用する高炉スラグ微粉末に比べブレーン比表面積を格段に大きくしている。このことにより水和活性は格段と高いものとなる。
【0024】
したがって、超微粉スラグのブレーン比表面積をこれらの範囲とすることにより、本実施形態のモルタル組成物について、高いじん性、高い圧縮強度、高い引張強度、高い流動性を確保できる。更に通常セメントに添加されるスラグでは弱点とされる低温硬化性についても高い低温硬化性を確保することができる。
【0025】
本実施形態のモルタル組成物における超微粉スラグの含有量は、セメント及び超微粉スラグの合計量を基準として、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは、7〜35質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。また、モルタル1m当たりの超微粉スラグの単位量は、好ましくは50〜800kg/m、より好ましくは70〜700kg/m、更に好ましくは100〜600kg/mである。
【0026】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等を使用することができる。低水セメント比での流動性を確保する観点から、好ましくはポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、より好ましくはポリカルボン酸系の高性能減水剤が挙げられる。本実施形態に係るモルタル組成物は、セメントと超微粉スラグの合計量100質量部に対して、減水剤を好ましくは0.5〜6.0質量部、より好ましくは1.0〜4.0質量部、更に好ましくは1.8〜3.5質量部含む。また、モルタル1m当たりの減水剤の単位量は、好ましくは7〜95kg/m、より好ましくは13〜64kg/m、更に好ましくは23〜56kg/mである。
【0027】
また、これらの減水剤に、消泡剤を併用することが好ましい。消泡剤としては、ポリアルキレン誘導体、疎水性シリカ、ポリエーテル系等を使用することができる。消泡剤の使用量は、セメントと超微粉スラグの合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.02〜1.5質量部、更に好ましくは0.03〜1.0質量部である。また、モルタル1m当たりの消泡剤の単位量は、好ましくは0.13〜29kg/m、より好ましくは0.26〜22kg/m、更に好ましくは0.39〜15kg/mである。
【0028】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等を使用することができる。本実施形態における細骨材は粒径0.15mm以下の粒群を好ましくは15〜85質量%、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは25〜45質量%含む。15質量%未満では、モルタルスラリーの粘性が低すぎるため金属繊維が十分に分散しないおそれがある。85質量%を超えると、微粉量が多すぎて粘性が高くなり、所定のフローを出すためには水セメント比を増やす必要があるため強度低下に繋がるおそれがある。また、粒径0.075mm以下の粒群を好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%含む。微粒分の調製方法は、特に限定されないが、例えば、粒度の異なる細骨材を混ぜ合わせることによって可能である。
【0029】
上記材料の他に、金属繊維を適時組み合わせると、更に高いじん性、高い圧縮強度及び高い引張強度が得られる。金属繊維は、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス合金繊維等を使用することができる。繊維径は0.05〜1.20mmが好ましく、0.10〜0.40mmがより好ましく、0.14〜0.18mmが更に好ましい。繊維長は1〜180mmが好ましく、5〜70mmがより好ましく、10〜20mmが更に好ましい。金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は10〜150が好ましく、30〜120がより好ましく、70〜90が更に好ましい。金属繊維の引張強度は100〜10000N/mmが好ましく、500〜5000N/mmがより好ましく、2000〜3000N/mmが更に好ましい。このような高張力繊維を用いることで、本実施形態のモルタル組成物に高いじん性、高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性を更に付与できる。
【0030】
上記金属繊維は、モルタル組成物に対して外割で(すなわちモルタル組成物における、金属繊維を除いた組成物100体積%に対して)、好ましくは0.3〜5.0体積%、より好ましくは0.5〜4.0体積%、更に好ましくは1.0〜2.5体積%含む。これにより、モルタル組成物に更なる高いじん性が得られる。金属繊維が0.3体積%未満では擬似ひずみ硬化を示すような高じん性が得られにくい。また、5.0体積%を超えるとモルタルの練混ぜが困難になる場合がある。また、モルタル1mに対する金属繊維の配合量は、好ましくは23〜393kg、より好ましくは39〜314kg、更に好ましくは79〜196kgである。
【0031】
また、本実施形態に係るモルタル組成物は、セメントと超微粉スラグの合計量100質量部に対して、水を好ましくは10〜25質量%、より好ましくは12〜20質量部、更に好ましくは13〜18質量部含む。モルタル1m当たりの単位水量は、好ましくは180〜280kg/m、より好ましくは190〜270kg/m、更に好ましくは200〜260kg/mである。
【0032】
本発明では、必要に応じて、膨張材、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、合成樹脂粉末、ポリマーエマルジョン、ポリマーディスパージョン等を1種又は2種以上添加してもよい。
【0033】
また、上記高じん性・高強度モルタル組成物に粗骨材を適量組み合わせることによりコンクリートを調製してもよい。粗骨材の量や水の量は、目標圧縮強度、じん性、目標スランプに応じて適時変えればよい。粗骨材としては、砂利、砕石、石灰石骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材等を使用することができる。
【0034】
本実施形態に係るモルタル組成物の製造方法は、特に限定されないが、水、減水剤及び消泡剤以外の材料の一部又は全部を予め混合しておき、モルタルの練混ぜの際に、水、減水剤、消泡剤をミキサに入れて練り混ぜる。モルタルの練混ぜに使用するミキサは特に限定されず、モルタル用ミキサ、二軸強制練りミキサ、パン型ミキサ等を使用することができる。
【0035】
本実施形態の高じん性・高強度モルタル組成物は、高じん性、高強度が求められるPC梁、高耐久性パネル、ブロック耐震壁、橋梁の補修・補強等に特に有効である。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
[使用材料]
モルタル組成物の作製は、以下に示す材料を使用した。
【0039】
(1)ポルトランドセメント:
石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト等の原料の調合を目標とする鉱物組成に応じて変え、実機キルンで焼成した後、石膏を加えて粉砕することによってポルトランドセメントを調製した。得られたセメントの化学成分を、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析法」に準じて測定し、下記のボーグ式により鉱物組成を算出した。得られたセメントの鉱物組成を表1に示す。
S量=(4.07×CaO)−(7.60×SiO)−(6.72×Al)−(1.43×Fe)−(2.85×SO
S量=(2.87×SiO)−(0.754×CS)
A量=(2.65×Al)−(1.69×Fe
AF量=3.04×Fe
【0040】
また、得られたポルトランドセメントについて、セメント協会標準試験方法 JCAS K−02「45μm網ふるいによるセメントの粉末度試験方法」によって45μm残分を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」によってブレーン比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
(2)超微粉スラグ:ブレーン比表面積15000cm/g、平均粒径1.7μm
超微粉スラグは、高炉スラグを乾式粉砕し、ブレーン比表面積が15000cm/g、平均粒子径が1.7μmとなるように調整したものを使用した。ブレーン比表面積の測定方法はJIS A 6206−1997「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に準拠して測定した。
【0043】
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置[セイシン企業製、LMS−30(レーザー・マイクロ・サイザー)]を用いて測定した粒度分布より、粒子径―積算篩上質量%曲線を作成して算出し、粒子径―積算篩上質量%曲線より積算質量%が50%となる粒子径を求めた。試料分散溶媒はエタノールを用い、測定前の超音波による試料分散時間を60秒、測定時間を30秒、測定繰り返し回数は2回とした。レーザー回折方式はFraunhofer回析とMie散乱を併用した。光源は半導体レーザーで波長670nm,出力2mWとした。相対屈折率(粒子屈折率/溶媒屈折率)は1.330とした。
【0044】
(3)シリカフューム:平均粒子径0.23μm
シリカフュームの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−950V2」)を用いて測定した粒子径分布より、粒子径−通過分積算%曲線を算出し、粒子径−通過分積算%曲線より通過分積算が50体積%となる粒子径を求めた。試料分散媒は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、測定前に出力600Wのホモジナイザーにて10分間分散処理した。粒度分布の演算はMie散乱理論に従った。粒子屈折率は1.45−0.00i、溶媒屈折率は1.333とした。各粒度の通過分積算(体積%)を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
(4)細骨材
(i)砕砂:安山岩砕砂、表乾密度2.62g/cm、粗粒率2.80、吸水率2.5質量%
(ii)珪砂:表乾密度2.63g/cm
【0047】
上記砕砂及び珪砂の粒度は、JIS A 1102−2006「骨材のふるい分け試験方法」によって測定した。次いで、砕砂及び珪砂を混合して所定の粒度になるように調整した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
(5)高性能減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤(固形分濃度25質量%)
(6)消泡剤:ポリエーテル系消泡剤
消泡剤中のH−NMRのデータをH−NMR測定装置(BRUKER製、商品名「AVANCE」)により測定した。試料溶媒は重メタノールを使用した。消泡剤のNMR測定結果を図1に示す。図1中、POEはポリオキシエチレンの構造単位に基づくピークを示し、POPはポリオキシプロピレンの構造単位に基づくピークを示す。
(7)練混ぜ水:上水道水
【0050】
[モルタル組成物の作製]
モルタル組成物の作製は、表4の配合組成に基づき、以下の通りに行った。
【0051】
ポルトランドセメント、超微粉スラグ、珪砂、砕砂及び消泡剤(比較例1においてはシリカフュームも)を表4に示す配合で、モルタル用ミキサを用いて低速で30秒間攪拌した。次に、表4に示す量の高性能減水剤を含む練混ぜ水をミキサ内に投入して低速で5分間、高速で3分間撹拌して、実施例1、2及び比較例1のモルタル組成物をそれぞれ作製した。
【0052】
【表4】


*1:セメント、シリカフューム及び超微粉スラグの合計量100質量%に対する水の量
*2:減水剤中の水分は単位水量に含める
【0053】
[モルタル組成物の試験方法及び評価結果]
(1)フレッシュ性状
(試験方法)
実施例1、2及び比較例1で作製したモルタル組成物を用いて、0打フローを測定した。0打フローは、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」で落下無しの条件で測定した。試験温度は5℃で行った。
(2)強度試験
JIS A 1132−2006「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に準じて5cm×10cmの円柱供試体を作製し、JIS A 1108−2006「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて圧縮強度試験を行った。供試体は試験材齢まで5℃で水中養生した。
【0054】
(評価結果)
表5に、0打フロー試験及び圧縮強度試験の結果を示す。ブレーン比表面積が本発明の範囲内である超微粉高炉スラグを含む実施例1、2は0打フローが300mm近くあり流動性が良好で、5℃の材齢28日の圧縮強度が160〜180N/mmと強度面も十分であることが確認された。これに対し、超微粉高炉スラグを使用していない比較例1は圧縮強度が不十分であった。
【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと、超微粉スラグと、減水剤と、消泡剤と、細骨材とを含み、
前記超微粉スラグのブレーン比表面積は10000〜20000cm/gである、高じん性・高強度モルタル組成物。
【請求項2】
前記超微粉スラグの平均粒子径が0.8〜3.0μmである、請求項1に記載の高じん性・高強度モルタル組成物。
【請求項3】
前記セメントは、CS量を40.0〜75.0質量%及びCA量を2.7質量%未満含有し、かつ、45μmふるい残分が25.0質量%未満である、請求項1又は2に記載の高じん性・高強度モルタル組成物。
【請求項4】
前記セメント及び前記超微粉スラグの合計量を基準として、前記超微粉スラグを5〜40質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高じん性・高強度モルタル組成物。
【請求項5】
前記セメント及び前記超微粉スラグの合計量100質量部に対して、水を10〜25質量部及び減水剤を0.5〜6.0質量部含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高じん性・高強度モルタル組成物。
【請求項6】
前記セメント及び前記超微粉スラグの合計量100質量部に対して、消泡剤を0.01〜2.0質量部含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高じん性・高強度モルタル組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−171805(P2012−171805A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32181(P2011−32181)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】