説明

高エネルギーの留出燃料を作製する方法

(a)直鎖パラフィン含量が少なくとも約5重量%超である高芳香族炭化水素供給流であって、その大部分が約300°Fから約800°Fの沸点範囲を有する供給流を、単一段階反応器システムに、触媒条件下で、水素化処理触媒、水素化/水素化分解触媒、及び脱蝋触媒を含有する触媒システムであって、水素化/水素化分解触媒の活性金属が約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンを含んでいる触媒システムと接触させるステップを含み;(b)前記高芳香族炭化水素供給流の少なくとも一部を、ジェット又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する生成物流に転化する、高芳香族炭化水素供給流をアップグレードする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒組成物と、触媒組成物の存在下で芳香族化合物を含む炭化水素油を水素に接触させる水素化転化方法におけるその使用とに関する。具体的には、本発明は、単一反応器、2段階触媒システムを使用して;また単一反応器、単一段階触媒システムを使用して、重質炭化水素供給流をジェット及びディーゼル生成物に転化する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
FCC軽質分解軽油(「LCO」)、中質分解軽油(「MCO」)、及び重質分解軽油(「HCO」)などの重質炭化水素流は、比較的価値が低い。典型的には、そのような炭化水素流は、水素化転化によってアップグレードされる。典型的には、そのような炭化水素流は、水素化転化によってアップグレードされる。
【0003】
水素化処理触媒は、当技術分野で周知である。従来の水素化処理触媒は、耐火性酸化物担体に担持された、少なくとも1種の第VIII族金属成分及び/又は少なくとも1種の第VIB族金属成分を含む。第VIII金属成分は、ニッケル(Ni)及び/又はコバルト(Co)などの卑金属をベースにしてもよく、又は白金(pt)及び/又はパラジウム(Pd)などの貴金属をベースにしてもよい。第VIB族金属成分は、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)をベースにしたものを含む。最も一般的に利用される耐火性酸化物担体材料は、シリカ、アルミナ、及びシリカ−アルミナなどの無機酸化物と、変性ゼオライトYなどのアルミノシリケートである。従来の水素化処理触媒の例は、NiMo/アルミナ、CoMo/アルミナ、NiW/シリカ−アルミナ、Pt/シリカ−アルミナ、PtPd/シリカ−アルミナ、Pt/変性ゼオライトY、及びPtPd/変性ゼオライトYである。
【0004】
水素化処理触媒は、通常、芳香族化合物、硫黄化合物、及び/又は窒素化合物の含量を減少させるために炭化水素油供給を水素に接触させる方法で使用される。典型的には、芳香族含量の減少が主な目的である水素化処理方法を、水素化方法と呼ぶのに対し、硫黄及び/又は窒素含量の減少に主な焦点を当てる方法を、それぞれ水素化脱硫及び水素化脱窒素と呼ぶ。
【0005】
本発明は、水素の存在下及び単一段階反応器で、触媒でガスオイル供給原料を水素化処理する方法を対象とする。具体的には、本発明の方法は、ジェット及び/又はディーゼル生成物にまで、ガスオイル供給原料(単数又は複数)をアップグレードする方法を対象とする。
【0006】
(関連技術の説明)
Marmoの米国特許第4162961号は、水素化プロセスの生成物を分留することができるような条件下で水素化される分解軽油について開示している。
【0007】
Myersらの米国特許第4619759号は、供給原料が最初に接触する触媒床の部分がアルミナ、コバルト、及びモリブデンを含む触媒を含有しており、且つ第1部分を通過した後にこの供給原料が通過する触媒床の第2部分がモリブデン及びニッケルが添加されたアルミナを含む触媒を含有している、複数触媒床で実施される残留油及び軽分解軽油を含む混合物の触媒的水素化処理について開示している。
【0008】
Kirkerらの米国特許第5219814号は、高芳香族の実質的に脱アルキル化された供給原料を、好ましくは超安定性Y及び第VIII金属及び第VI金属を含み、第VIII族金属分の含量が指定された割合で超安定性Y成分の枠組みアルミニウム含量に組み込まれている触媒上での水素化分解によって、高オクタンガソリン及び低硫黄留出物へと処理する、中圧水素化分解方法について開示している。
【0009】
Kalensの米国特許第7005057号は、炭化水素系供給原料を、高温高圧水素化分解して、ディーゼル沸点範囲の炭化水素への転化を得る超低硫黄ディーゼルを生成するための触媒的水素化分解方法について開示している。
【0010】
Barreらの米国特許第6444865号は、芳香族化合物を含む炭化水素供給原料を水素の存在下で高温で触媒に接触させる方法において使用される、白金、パラジウム、及びイリジウムの1種又は複数から選択された貴金属を0.1から15重量%、酸性担体に担持されたマンガン及び/又はレニウムを2から40重量%含む触媒について開示している。
【0011】
Barreらの米国特許第5868921号は、留出画分を2種の水素化触媒の積層床に沿って下方に通すことにより単一段階で水素化処理される、炭化水素留出画分について開示している。
【0012】
Fujukawaらの米国特許第6821412号は、微結晶直径が20から40Åの結晶質アルミナを含有する無機酸化物の担体中に定められた量の白金、パラジウムを含有する、ガスオイルの水素化処理用触媒について開示している。定められた条件で上記触媒の存在下、芳香族化合物を含有するガスオイルを水素化処理するための方法も開示される。
【0013】
Kirkerらの米国特許第4968402号は、高芳香族炭化水素供給原料から高オクタンガソリンを生成するための、1段階方法を開示している。
【0014】
Brownらの米国特許第5520799号は、留出物供給材料をアップグレードするための方法について開示している。水素化処理触媒を、通常は反応条件下にある固定床反応器であり低芳香性ディーゼル及びジェット燃料が生成される、反応ゾーンに置く。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態では、本発明は高芳香族炭化水素供給流をアップグレードする方法を対象とし、その方法は、
(a)高芳香族炭化水素供給流を、触媒条件下で触媒システムと接触させるステップであって、前記高芳香族炭化水素供給流の大部分は約300°Fから約800°Fの沸点範囲を有し、前記触媒システムは単一段階反応器システムに水素化処理触媒及び水素化/水素化分解触媒を含有し、前記水素化/水素化分解触媒の活性金属は約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンを含む、ステップ、
を含み、並びに、
(b)前記高芳香族炭化水素供給流の少なくとも一部は、ジェット又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する生成物流に転化される、
方法である。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、
(a)高芳香族炭化水素供給流を、触媒条件下で触媒システムと接触させるステップであって、前記高芳香族炭化水素供給流の大部分は約300°Fから約800°Fの沸点範囲を有し、前記触媒システムは単一段階反応器システムに、水素化処理触媒及び水素化/水素化分解触媒を含有し、前記水素化/水素化分解触媒の活性金属は約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンを含む、ステップ、
を含み、並びに、
(b)前記高芳香族炭化水素供給流の少なくとも一部は、ジェット又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する生成物流に転化される、
方法によって調製された、炭化水素系生成物を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ナフサ、ジェット、及びディーゼルを生成するための、従来の2段階方法を開示している図である。
【図2】高エネルギー密度のナフサ、ジェット、及びディーゼルを生成するための単一段階方法を開示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々な修正をし、また代替形態にすることができるが、その特定の実施形態について、本明細書に詳述する。しかし、特定の実施形態に関する本明細書の記述は、本発明を、開示される特定の形態に限定するものではなく、それとは対照的に、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内にある全ての修正例、均等物、及び代替例をカバーするものと理解すべきである。
【0019】
(定義)
FCC−は、流動接触分解−剤、−する、又は−したを指す。
【0020】
HDT−は、「水素化処理剤」を指す。
【0021】
HDC−は、「水素化分解剤」を指す。
【0022】
MUH2−は、「補給水素」を指す。
【0023】
水素化/水素化分解触媒は、「水素化触媒」又は「水素化分解触媒」と呼ぶこともある。
【0024】
「供給材料」、「供給原料」、「供給流」という用語は、同義に使用してもよい。
【0025】
A.概観
ナフサ、ジェット、及びディーゼルを生成する公知の方法について、図1を参照しながら概略的に説明する。図1に示される実施形態では、炭化水素ガスオイル110が、硫黄/窒素を除去するための水素化処理器10に供給される。水素化処理生成物120は高圧分離器20に供給され、そこで反応器流出物を、ガス130と液体流150とに分離する。生成物ガス130は、リサイクルガス圧縮器30によって再度圧縮されることにより流れ140が得られ、次いでこの流れを反応器入口に再循環させ、そこで補給水素100及び炭化水素ガスオイル供給材料110と一緒にする。液体流150を液体レベル制御弁25で減圧し、生成物を、低圧分離器40でガス流160と液体流170とに分離する。
【0026】
第1段階の液体生成物170を、第2段階の補給水素200及び第2段階のリサイクルガス240と共に、第2段階の反応器60に供給する。第2段階の反応器からの流出物220を、第2段階の高圧分離器70に供給し、そこで反応器の流出物を、ガス230と液体流250とに分離する。生成物ガス230を、リサイクルガス圧縮器80によって再度圧縮することにより、流れ240が得られ、次いでこの流れを反応器入口へと再循環させ、そこで補給水素200及び炭化水素ガスオイル供給材料210と一緒にする。液体流250を、液体レベル制御弁75で減圧し、生成物を、低圧分離器90でガス流260と液体流270とに分離する。生成物流270を蒸留システム50に供給し、そこで生成物270を分離することにより、ガス流310、ナフサ生成物90、及び高容量エネルギージェット燃料100、及びディーゼル110が得られる。任意選択で、ジェット/ディーゼル生成物スレートのバランスをとるために、ディーゼル300の一部を第2段階の反応器60に再循環することができる。
【0027】
本発明の実施形態を、図2に示す。図2に示される実施形態では、炭化水素ガスオイル410を、硫黄/窒素の除去のための水素化処理器反応器510に供給し、次いで水素化/水素化分解反応器560に直接供給する。水素化/水素化分解生成物420は高圧分離器520に供給され、そこで反応器流出物が、ガス430と液体流450とに分離される。生成物ガス430を、リサイクルガス圧縮器530で再度圧縮することにより、流れ440が得られ、次いでこの流れを反応器入口へと再循環させ、そこで補給水素400及び炭化水素ガスオイル供給材料410と一緒にする。液体流450を、液体レベル制御弁525で減圧し、生成物を、低圧分離器540でガス流460と液体流570とに分離する。
【0028】
生成物流470を蒸留システム550に供給し、そこで生成物470を分離することにより、ガス流410、ナフサ生成物490、及び高容量エネルギージェット燃料600、及びディーゼル610が得られる。任意選択で、ジェット/ディーゼル生成物スレートのバランスをとるために、ディーゼル流600の一部を第2段階の反応器460に再循環することができる。
【0029】
B.供給材料
炭化水素ガスオイルは、ジェット又はディーゼルへとアップグレードされ得る。炭化水素ガスオイル供給原料は、FCC軽分解軽油を含めたFCC流出物、ジェット燃料の留出物、炭鉱生成物、石炭液化油、重油熱分解プロセスからの生成物油、重油水素化分解からの生成物油、原油ユニットからの直留カット、及びこれらの混合物から選択され、これら供給原料の大部分は、約250°Fから約800°F、好ましくは約350°Fから約600°Fの沸点範囲を有している。本明細書及び添付される特許請求の範囲で使用される「大部分」という用語は、少なくとも50重量%を意味するものとする。
【0030】
典型的には、供給原料は、高芳香族であり、約80重量%までの芳香族、3重量%までの硫黄、及び1重量%まで窒素を有する。好ましくは、供給原料は、少なくとも40重量%の芳香族である芳香族含量を有する。典型的には、セタン価は約25単位である。
【0031】
C.触媒
本発明で用いられる触媒システムは、水素化処理触媒、水素化/水素化分解触媒、及び脱蝋触媒からなる少なくとも2種の触媒層を含む。任意選択で、触媒システムは、少なくとも1層の脱金属化触媒と、少なくとも1層の第2水素化処理触媒とを含んでもよい。水素化処理触媒は、第VIB族からの金属及び第VIII族からの金属、その酸化物、その硫化物、及びこれらの混合物などの水素化成分を含有し、フッ素、少量の結晶質ゼオライト、又は非晶質シリカアルミナなどの酸性成分を含有してもよい。
【0032】
水素化分解触媒は、第VIB族からの金属及び第VIII族からの金属、その酸化物、その硫化物、及びこれらの混合物などの水素化成分を含有し、結晶質ゼオライト又は非晶質シリカアルミナなどの酸性成分を含有する。
【0033】
水素化分解触媒を製造するための良好な出発材料と見なされるゼオライトの1種は、1964年4月21日発行の米国特許第3130007号に記載されている、周知の合成ゼオライトYである。この材料に関するいくつかの変形例が報告されており、その1つは、1970年10月27日発行の米国特許第3536605号に記載されている超安定性Yゼオライトである。合成Yゼオライトの有用性をさらに高めるため、追加の成分を添加することができる。例えば、Wardらに1974年9月10日に発行された米国特許第3835027号は、少なくとも1種の非晶質耐火性酸化物、結晶質ゼオライト系アルミノシリケート、並びに第VI族及び第VIII族金属及びこれらの硫化物、及びこれらの酸化物から選択された水素化成分を含有する水素化分解触媒について記述している。
【0034】
約17重量%のアルミナ結合剤、約12重量%のモリブデン、約4重量%のニッケル、約30重量%のYゼオライト、及び約30重量%の非晶質シリカ/アルミナを含む、同時摩砕されたゼオライト触媒である水素化分解触媒。この水素化分解触媒は、一般に、その開示の全てが参照により本明細書に組み込まれた、1992年4月15日にM.M.Habibらにより出願され現在は放棄された米国特許出願第870011号に記載されている。このより一般的な水素化分解触媒は、約24.55Åよりも大きい単位格子サイズ及び約2.8ミクロン未満の結晶サイズを有するYゼオライトを、非晶質分解成分、結合剤、及び第VI族金属及び/又は第VIII族金属からなる群から選択された少なくとも1種の水素化成分、及びこれらの混合物と共に含む。
【0035】
本明細書で本発明により使用されるYゼオライトを調製する際、約2.8ミクロン未満の結晶サイズを有するYゼオライトを生成するには、米国特許第3808326号に開示されている方法に従うべきである。
【0036】
より具体的には、水素化分解触媒は、適切には、約30〜90重量%のYゼオライト及び非晶質分解成分と、約70〜10重量%の結合剤を含む。好ましくは、触媒は、かなり多量のYゼオライト及び非晶質分解成分を含み、即ち、約60〜90重量%のYゼオライト及び非晶質分解成分と、約40〜10重量%の結合剤を含み、特に好ましくは約80〜85重量%のYゼオライト及び非晶質分解成分と、約20〜15重量%の結合剤を含む。非晶質分解成分として、シリカ−アルミナを使用することが好ましい。
【0037】
触媒中のYゼオライトの量は、ゼオライトと分解成分を合わせた量の約5〜70重量%に及ぶ。好ましくは、触媒組成物中のYゼオライトの量は、ゼオライトと分解成分とを合わせた量の約10〜60重量%に及び、最も好ましくは、触媒組成物中のYゼオライトの量は、ゼオライトと分解成分とを合わせた量の約15〜40重量%に及ぶ。
【0038】
所望の単位格子サイズに応じて、YゼオライトのSiO/Alのモル比を調節しなければならない可能性がある。単位格子サイズを相応に調節するため利用することができる、多くの技法が、当技術分野で記述されている。SiO/Alのモル比が約3から約30であるYゼオライトは、本発明による触媒組成物のゼオライト成分として適切に利用できることがわかった。SiO/Alのモル比が約4から約12のYゼオライトが好ましく、最も好ましくはSiO/Alのモル比が約5から約8である。
【0039】
水素化分解触媒中のシリカ−アルミナなどの分解成分の量は、約10〜50重量%、好ましくは約25〜35重量%に及ぶ。シリカ−アルミナ中のシリカの量は、約10〜70重量%に及ぶ。好ましくは、シリカ−アルミナ中のシリカの量は、約20〜60重量%に及び、最も好ましくは、シリカ−アルミナ中のシリカの量は、約25〜50重量%に及ぶ。また、いわゆるX線非晶質ゼオライト(即ち、標準的なX線技法によって検出するには小さすぎる微結晶サイズを有するゼオライト)は、本発明の方法の実施形態による分解成分として、適切に利用することができる。触媒は、約0.0重量%から約2.0重量%のレベルでフッ素を含有していてもよい。
【0040】
水素化分解触媒中に存在する結合剤(単数又は複数)は、無機酸化物を適切に含む。非晶質及び結晶質結合剤を共に利用することができる。適切な結合剤の例には、シリカ、アルミナ、クレイ、及びジルコニアが含まれる。アルミナを結合剤として使用することが好ましい。
【0041】
触媒中の水素化成分(単数又は複数)の量は、全触媒100重量部当たりの金属(単数又は複数)として計算した場合、適切には、第VIII族金属成分(単数又は複数)が約0.5〜約30重量%に及び、第VI族金属成分(単数又は複数)が約0.5〜約30重量%に及ぶ。触媒中の水素化成分は、酸化物及び/又は硫化物の形をとってもよい。少なくとも1種の第VI族及び第VIII族金属成分の組合せが(混合)酸化物として存在する場合、この組合せは、水素化分解で適正に使用される前に、硫化処理にかけられることになる。
【0042】
適切には、触媒は、ニッケル及び/又はコバルトの1種又は複数の成分と、モリブデン及び/又はタングステンの1種又は複数の成分、又は、白金及び/又はパラジウムの1種又は複数の成分を含む。
【0043】
水素化処理触媒は、約2〜20重量%のニッケルと、約5〜約20重量%のモリブデンとを含む。好ましくは、触媒は、3〜10%のニッケルと、約5〜20のモリブデンとを含む。より好ましくは、触媒は、全触媒100重量部当たりの金属として計算した場合、約5〜10重量%のニッケルと、約10〜15重量%のモリブデンとを含む。さらにより好ましくは、触媒は、約5〜8%のニッケルと、約8%から約15%のニッケルとを含む。水素化処理触媒に用いられる金属の全重量%は、少なくとも15重量%である。
【0044】
一実施形態では、ニッケル触媒対モリブデン触媒の比は、約1:1以下である。
【0045】
水素化/水素化分解触媒の活性金属は、ニッケルと、少なくとも1種又は複数のVIB金属を含む。好ましくは、水素化/水素化分解触媒は、ニッケル及びタングステン、又はニッケル及びモリブデンを含む。典型的には、水素化/水素化分解触媒の活性金属は、全触媒100重量部当たりの金属として計算した場合、約3〜30重量%のニッケルと約2〜30重量%のタングステンとを含む。好ましくは、水素化/水素化分解触媒の活性金属は、約5〜20重量%のニッケルと約5〜20重量%のタングステンとを含む。より好ましい水素化/水素化分解触媒の活性金属は、約7〜15重量%のニッケルと約8〜15重量%のタングステンとを含む。最も好ましい水素化/水素化分解触媒の活性金属は、約9〜15重量%のニッケルと約8〜13重量%のタングステンとを含む。金属の全重量%は、約25重量%から約40重量%である。
【0046】
任意選択で、水素化/水素化分解触媒の酸性度は、少なくとも1重量%のフッ化物、好ましくは約1〜2重量%のフッ化物を添加することによって、高めることができる。
【0047】
別の実施形態では、水素化/水素化分解触媒は、担体が非晶質アルミナ若しくはシリカ又はこれらの両方であり、約0.5重量%から約15重量%の濃度のH−Yのように酸性度がゼオライトによって高められている、同様の高活性塩基金属触媒により置換されていてもよい。
【0048】
水素化処理触媒粒子の有効直径は、約0.1インチであり、水素化分解触媒粒子の有効直径も、約0.1インチであった。2種の触媒を、水素化処理触媒対水素化分解触媒の重量比約1.5:1で混合する。
【0049】
一実施形態では、生成物の凍結点が約−40℃超から約0℃である場合、脱蝋触媒を用いてもよい(即ち、供給原料が、約5重量%超のn−パラフィン含量を有する。)。供給原料が5重量%超のn−パラフィンを含有する場合、生成物は望ましくない曇点を有する可能性がある。より許容可能な曇点を有する生成物を得るために、脱蝋触媒を反応器システムの水素化/水素化分解セクションに添加してもよい。脱蝋触媒には、SAPO 11、SM−3、ZSM−5、又はSZ−32触媒を含めてもよい。脱蝋触媒は、反応器システムの水素化/水素化分解セクションに添加する。好ましくは、添加される脱蝋触媒の量は、水素化/水素化分解セクションにおいて全触媒投入量の30重量%を超えないものとする。より好ましい脱蝋触媒は、水素化/水素化分解セクションで、全触媒投入量の約1から20重量%を構成する。より好ましい脱蝋触媒は、水素化/水素化分解セクションで、全触媒投入量の約1から10重量%を構成する。
【0050】
本発明の実施形態で用いられる、脱蝋触媒、ZSM−5結晶質アルミノシリケートゼオライトは、炭化水素及び炭化水素形成供給材料をアップグレードするのに使用されるその触媒活性で知られている。このゼオライト及びその調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3702886号(R.J.Argauerら)及び第3770614号(R.G.Graven)に、並びに多くのその他の特許文献に記載されている。これは、炭化水素及び炭化水素形成供給材料をアップグレードするための数多くの方法、例えば水素化分解、異性化、アルキル化、芳香族炭化水素の形成、選択的水素化分解、アルキル置換ベンゼンの不均化、潤滑油原料の脱蝋、及び添加される水素ガスの存在下又は存在しない状態での同様の炭化水素反応で、有用である。この使用において、特に高いプロセス温度では、多くのその他の炭化水素処理触媒のように、炭素質副産物材料が、その表面及び細孔の上部及び/又は内部に堆積される。この堆積物が増加するにつれ、所望のアップグレードのための触媒の活性及び/有効性は、低下する。この活性又は有効性が望ましくない低レベルに達すると、この方法は中断され、触媒を、堆積物の制御燃焼によって再生し、この方法を継続する。再生ステップに必要な時間は、当然ながら所望の処理に関して、即ちプロセスサイクルの操業期間に関して、非生産的なものである。ZSM−5ゼオライト触媒を使用して、この方法の操業又は運転時間を実質的に増大させることが必要である。ZSM−5ゼオライトを調製するための方法は、上記で引用された特許に記載されている。しかし、非常に高いシリカ対アルミナのモル比、例えば約50よりも高いモル比を有するものでは、反応混合物中のシリカ対アルミナの、前駆体のモル比が、所望のゼオライトの場合を著しく超える必要がある。反応物、及び調製で使用される条件に応じて、反応混合物中のこの過剰なシリカ前駆体は、少量から1又は2倍過剰量まで、又はそれ以上に及んでもよい。しかし、反応物及び条件を標準化することによって、またいくつかの試験操作を様々な比の前駆体を使用して定期的に行うことによって、シリカ対アルミナの所望のモル比を有するZSM−5ゼオライトを生成するのに必要なこれら反応物の比は、容易に決定される。
【0051】
ZSM−5ゼオライトは、通常、そのナトリウム形態で調製され、この形態の場合、所望の触媒活性はほとんど又は全くない。ゼオライトの分野で普通に用いられた従来の塩基及び/又はイオン交換方法によって、通常の乾燥及びか焼ステップも含め、ZSM−5ゼオライトはそのH形態に転化される。本明細書のH−ZSM−5ゼオライトは、1重量%よりも少ない、好ましくは約100ppm未満の残留ナトリウム分を望ましくは有する。水素に加え及び/又は水素の代わりに、ゼオライトの陽イオン部位は、銅、亜鉛、銀、希土類、及び炭化水素処理で通常使用される第V、VI、VII、及びVIII族金属イオンなどの触媒イオンによって満たされていてもよい。ゼオライトのH−ZSM−5及びZn−H−ZSM−5形態が好ましい。
【0052】
ZSM−5触媒は、任意の都合の良い形、即ち通常の固定床、流動床、又はスラリー用途に必要とされる形をとってもよい。好ましくは、この触媒は、固定床反応器で、多孔質無機結合剤又はマトリックスとの複合体として使用され、即ち得られる生成物が1〜95重量%、好ましくは10〜70重量%のゼオライトを最終複合体中に含有するような割合で使用される。
【0053】
「多孔質マトリックス」という用語は、ゼオライトを組み合わせ、分散させ、又はその他の手法で密に混合することができる無機組成物であって、このマトリックスが触媒として活性であっても活性でなくてもよい上述の無機組成物を含む。マトリックスの多孔度は、特定の材料に固有のものにすることができ、又は機械的若しくは化学的手段によってもたらすことができる。代表的な満足のいくマトリックスには、軽石、耐火レンガ、珪藻土、及び無機酸化物が含まれる。代表的な無機酸化物には、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ−アルミナ混合物、天然に生じ且つ従来から処理されてきたクレイ、例えばベントナイト、及びカオリンなど、並びにシリカ−マグネシアやシリカ−ジルコニア、シリカ−チタニアなどのその他のケイ質酸化物混合物が含まれる。ゼオライトと無機酸化物マトリックスとの複合化は、ゼオライトが酸化物と密に混合される、即ちこの酸化物が例えばヒドロゾル、ヒドロゲル、湿潤ゼラチン質沈殿物などの水和状態にあるもの、又は乾燥状態にあるもの、又はこれらの組合せである酸化物と密に混合される、任意の適切な公知の方法によって実現することができる。従来の方法は、水和状態のモノ又は複数の酸化物ゲル又は共ゲルを、塩又は塩の混合物、例えば硫酸アルミニウム及びケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用して調製することである。この溶液に、アンモニウムの水酸化物、炭酸塩などを、十分な量で添加して、水和形態の酸化物を沈殿させる。沈殿物を洗浄して、沈殿物中に存在するあらゆる水溶性塩の少なくともほとんどを除去した後、微粉化状態のゼオライトを、押出しなどによる混合物の成形を促進させるのに十分な量で添加した水又は潤滑剤と一緒に、沈殿物と完全に混合する。
【0054】
マトリックス及びZSM−5ゼオライトに加え、触媒は、全触媒の0.01から30重量%までの様々な量で存在し得る水素化/脱水素化成分を含有してもよい。様々な水素化成分は、塩基交換、含浸、共沈殿、共ゲル化、機械的混合、及び同様の方法を含めた、成分の密な接触をもたらす任意の実現可能な公知の手法で、ZSM−5ゼオライト及び/又はマトリックスと組み合わせてもよい。水素化成分は、元素の周期表の第VI−B族、VII族、及びVIII族の金属、これら金属の酸化物、及び硫化物を含むことができる。そのような成分の代表例には、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、コバルト、ニッケル、白金、及びパラジウムなどと、これらの組合せが含まれる。
【0055】
任意選択で、脱金属化触媒を触媒システムに用いてもよい。典型的には、脱金属化触媒は、第VIB族及び第VIII族金属を、大孔径アルミナ担体上に含む。金属は、ニッケル及びモリブデンなどを大孔径アルミナ担体上に含んでもよい。好ましくは、少なくとも約2重量%のニッケルが用いられ、少なくとも約6重量%のモリブデンが用いられる。脱金属化触媒は、少なくとも約1重量%のリンによって促進され得る。
【0056】
任意選択で、第2水素化処理触媒を触媒システムに用いてもよい。第2水素化処理触媒には、本明細書に記述されるものと同じ水素化処理触媒が含まれる。
【0057】
D.生成物
本発明で用いられる方法は、重質炭化水素供給流を、ジェット及び/又はディーゼル生成物にアップグレードする。本発明の方法の生成物には、高エネルギー密度を有するジェット及びディーゼル燃料が含まれる。典型的には、生成物流は、70重量%以上の芳香族飽和度を有する(即ち、低芳香族含量)。生成物は、120000Btu/gal超、好ましくは125000Btu/gal超のエネルギー密度も有する。ジェット燃料生成物は、20mm超の煙点を有する。ジェット燃料生成物は、−40℃未満の凍結点も有する。好ましくは、凍結点は−50℃未満である。ディーゼル生成物は、少なくとも40のセタン指数を有する。
【0058】
E.プロセス条件
本発明の一実施形態は、好ましくはジェット及び/又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する高エネルギー留出燃料を作製する方法である。この方法は、本明細書に記述される重質の高芳香族炭化水素系供給材料と、水素化処理触媒及び水素化分解触媒からなる触媒システムとを接触させるステップを含む。反応システムは、本質的に同じ圧力及び再循環ガス流量の下、単一段階反応プロセスとして動作する。反応システムは、2つのセクション、即ち直列に位置付けられた水素化処理セクションと水素化分解セクションとを有する。水素化処理セクションと水素化分解セクションとの間には、触媒を通る流動に起因した圧力降下によって引き起こされた、圧力差がある。圧力差は、約200psi以下である。より好ましくは、圧力差は100psi以下である。最も好ましくは、圧力差は50psi以下である。
【0059】
代表的な供給原料は、原油ユニットから生じた流動接触分解分解軽油、熱的分解留出物、及び直留留出物などの高芳香性精製流を含む。これらの供給原料は、一般に、約200°Fよりも高い沸点範囲を有し、一般に、350°Fから約750°Fの間の沸点範囲を有する。
【0060】
炭化水素系供給原料は、一般に、約550°Fから約775°F、好ましくは約650°Fから約750°F、最も好ましくは約700°Fから約725°Fの範囲の温度;約750ポンド毎平方インチ(絶対)(psia)から3500psia、好ましくは約1000psiaから約2500psia、最も好ましくは約1250psiaから約2000psiaの圧力;約0.2から約5.0、好ましくは約0.5から約2.0、最も好ましくは約0.8から約1.5の液空間速度(LHSV);約1000標準立方フィート毎バレル(scf/bbl)から約15000scf/bbl、好ましくは約4000scf/bblから約12000scf/bbl、最も好ましくは約6000scf/bblから約10000scf/bblの油対ガス比を含めた、アップグレードする条件下、触媒システムの存在下で水素に接触させる。
【0061】
F.プロセス装置
本発明の触媒システムは、様々な構成で使用することができる。しかし本発明では、触媒は、単一段階反応システムで使用される。好ましくは、反応システムは、同じ再循環ガスループ及び本質的に同じ圧力で動作する、水素化処理器及び水素化分解反応器を含有する。例えば、高芳香性供給材料は、水素化処理及び水素化分解触媒が入っている高圧反応システムに導入される。供給材料は、再循環させた水素と一緒になって、水素化処理触媒が入っている第1セクションと水素化分解触媒が入っている第2セクションとを含む反応システムに導入される。第1セクションは、水素化処理触媒を含有する少なくとも1つの反応器床を含む。第2セクションは、水素化分解触媒を含有する少なくとも1つの反応器床を含む。両セクションは、同じ圧力で動作する。反応条件下、高芳香性供給材料は、極めて高いレベルにまで飽和され、高飽和生成物が生成される。反応システムからの流出物は、ジェット及びディーゼル範囲内の沸点範囲を有する高度飽和生成物である。反応が生じた後、高エネルギー密度ジェット、高エネルギー密度ディーゼル、ナフサ、及びその他の生成物を分離するために、反応生成物を分離ユニット(即ち、蒸留塔など)に供給する。未反応の生成物は、ジェット又はディーゼル生成が最大限になるようさらに処理するために、反応システムへと再循環させてもよい。
【0062】
その他の実施形態は、当業者に明らかにされよう。
【0063】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものであるとはいかようにも解釈すべきでない。
【実施例】
【0064】
表1は、芳香族分の仕様を満足させるためにさらなる水素化を必要とする、燃料生成物を示す。任意選択で、ディーゼル燃料生成物を、粘度及び/又は引火点を調節するためにさらに蒸留することができる。
【0065】
さらに、実施例に見られるように、水素化/水素化分解反応器で脱蝋触媒を用いることによって、曇点はフィルタの詰まりが回避される温度にまで低下し、燃料生成物は、曇点の仕様範囲に戻る。
【0066】
燃料生成物は、以下の方法によって調製した。
【0067】
一般に、約300°Fから600°Fの沸点範囲を有する供給流を、液空間速度(LHSV)が1.0 l/時である触媒システムを含む単一段階反応器に供給した。触媒システムは、生成物を生成するのに用いた。この触媒システムは、脱金属化触媒、水素化処理触媒、水素化/水素化分解触媒、及び脱蝋触媒の層を含んでいた。脱金属化触媒は、第VI族及び第VIII族金属、特に2重量%のニッケル及び6重量%のモリブデンを大孔径担体上に含んでいた。触媒は、リンによって促進させた。水素化処理触媒は、大表面積アルミナの非酸性担体上でリンによって促進される第VI族及び第VIII族金属触媒からなるものであった。全金属は、20重量%であった。水素化/水素化分解触媒は、大面積非晶質シリカアルミナ上の20重量%のニッケル/20重量%のタングステンからなる高活性塩基金属触媒であり、その酸性度は、フッ化水素酸として2重量%のフッ化物を添加することにより高められたものであった。脱蝋触媒は、ZSM−5結晶質アルミノシリケートゼオライトであった。反応器の温度は、約470°Fであった。1200p.s.i.gの圧力を有する水素を、約450scf/bblの速度で反応器に供給した。
【表1】

【0068】
より具体的には、一実施例で、高パラフィン性供給流を脱蝋触媒層上に供給し、次いで水素化仕上げ触媒層上に供給した。供給流は、約50重量%のジェット成分及び50%の非ジェット成分からなるものであった。比較例Aは、供給流の水素化及び蒸留から得られたジェット及び非ジェット生成物を示す。比較例Aで用いられた方法は、反応器床で脱蝋触媒を用いなかった。対照的に、例1及び2は、反応器床で水素化触媒と共に脱蝋触媒を用いた結果である。明らかなように、曇点は、脱蝋触媒を用いたときに低下する。上記表を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高芳香族炭化水素供給流をアップグレードする方法であって、
(a)高芳香族炭化水素供給流を、触媒条件下で触媒システムと接触させるステップであって、前記高芳香族炭化水素供給流は少なくとも約5重量%超の直鎖パラフィン含量を有し、前記高芳香族炭化水素供給流の大部分は約300°Fから約800°Fの沸点範囲を有し、前記高芳香族炭化水素供給流は少なくとも40重量%超の芳香族含量を有し、前記触媒システムは単一段階反応器システムに水素化処理触媒、水素化/水素化分解触媒、及び脱蝋触媒を含有し、前記水素化/水素化分解触媒の活性金属は約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンを含む、ステップ、
を含み、並びに、
(b)前記高芳香族炭化水素供給流の少なくとも一部は、ジェット又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する生成物流に転化される、
方法。
【請求項2】
前記水素化/水素化分解触媒の活性金属が約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンから本質的になる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単一段階反応器システムが水素化処理セクション及び水素化分解セクションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化分解セクションが前記水素化分解触媒及び前記脱蝋触媒を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化分解セクションが30重量%以下の前記脱蝋触媒を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脱蝋触媒が前記水素化分解セクションで前記水素化分解触媒と層状化されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記脱蝋触媒が前記水素化分解セクションで前記水素化分解触媒とブレンドされている、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化分解セクションが少なくとも1つの反応器床を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記生成物流がディーゼル生成物、ジェット燃料生成物、ナフサ生成物、及びより高い沸点留分に分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生成物流が125000Btu/gal超の正味の燃焼熱を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)高芳香族炭化水素供給流を、触媒条件下で触媒システムと接触させるステップであって、前記高芳香族炭化水素供給流は少なくとも約5重量%超の直鎖パラフィン含量を有し、前記高芳香族炭化水素供給流の大部分は約300°Fから約800°Fの沸点範囲を有し、前記高芳香族炭化水素供給流は少なくとも40重量%超の芳香族炭素含量を有し、前記触媒システムは単一段階反応器システムに水素化処理触媒、水素化/水素化分解触媒、及び脱蝋触媒を含有し、前記水素化/水素化分解触媒の活性金属は約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンを含む、ステップ、
を含み、並びに、
(b)前記高芳香族炭化水素供給流の少なくとも一部は、ジェット又はディーゼル沸点範囲内の沸点範囲を有する生成物流に転化される、
方法によって調製された、炭化水素系生成物。
【請求項12】
前記水素化/水素化分解触媒の活性金属が約5〜30重量%のニッケル及び約5〜30重量%のタングステンから本質的になる、請求項11に記載の炭化水素系生成物。
【請求項13】
前記単一段階反応器システムが水素化処理セクション及び水素化分解セクションを含む、請求項11に記載の炭化水素系生成物。
【請求項14】
前記水素化分解セクションが前記水素化分解触媒及び前記脱蝋触媒を含む、請求項13に記載の炭化水素系生成物。
【請求項15】
前記水素化分解セクションが30重量%以下の前記脱蝋触媒を含む、請求項14に記載の炭化水素系生成物。
【請求項16】
前記脱蝋触媒が前記水素化分解セクションで前記水素化分解触媒と層状化されている、請求項14に記載の炭化水素系生成物。
【請求項17】
前記脱蝋触媒が前記水素化分解セクションで前記水素化分解触媒とブレンドされている、請求項13に記載の炭化水素系生成物。
【請求項18】
前記水素化分解セクションが少なくとも1つの反応器床を含む、請求項13に記載の炭化水素系生成物。
【請求項19】
前記生成物流がディーゼル生成物、ジェット燃料生成物、ナフサ生成物、及びより高い沸点留分に分離される、請求項11に記載の炭化水素系生成物。
【請求項20】
前記生成物流が125000Btu/gal超の正味の燃焼熱を有する、請求項19に記載の炭化水素系生成物。
【請求項21】
生成物流が、70重量%よりも高い芳香族飽和度を有する、請求項11に記載の炭化水素系生成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508023(P2011−508023A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539821(P2010−539821)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087499
【国際公開番号】WO2009/085993
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】