高コヴァッツインデックスを示す香料成分を有する揮発性材料を供給するためのシステムおよび装置
揮発性材料を空気中に放射又は放出するための揮発性材料のデリバリーシステムを提供する。より具体的には、香料成分を有する1つ以上の揮発性材料を供給するためのデリバリーシステムであって、当該香料成分の少なくとも40重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有するデリバリーシステムをも提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性材料を空気中に放射又は放出するためのデリバリーシステムに関する。より具体的には、本発明は、蒸発表面装置を介して高いコヴァッツインデックスを示す香料成分を有する1つ以上の異なる揮発性材料を供給するためのデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心地よい香気をもたらすために、揮発性組成物を空間の中へ、例えば浴室などの家庭空間の中へ蒸発させるのに、装置を使用することは一般に既知である。このような装置の最も一般的なものは、空気清浄剤組成物の微小液滴を空気中へ押出すエアゾール容器である。別の一般的な種類の分配装置は、乾燥して小さくなるときに気化した空気処理組成物を空気中へ放出するゼラチン状物質の本体を収容又は支持する皿である。防臭剤ブロックのような他の製品は、蒸発によって空気処理蒸気を空気中へ分配するのにも使用される。別の類の蒸気分配装置は、蒸発性組成物を含浸した又はそれでコーティングされたボール紙のようなキャリア材料を利用する。様々なこのような装置が販売されており、例えば、アジャスタブル(ADJUSTABLE)(登録商標)(ダイアル社(Dial Corp.)製)又はデュエット(DUET)(登録商標)2イン1ゲル+スプレー(2 in 1 Gel + Spray)(エス・シー・ジョンソン社(S.C.Johnson)製)がある。一般に、前記装置は、香料又は芳香剤の供給源、芳香を制御するための調整可能な最上端部及び/又は噴霧器から成る。前記芳香剤の供給源内の開口部を調節すること(受け身的ディスペンサー)により、香料又は芳香剤は、装置が置かれている空間に連続的に供給される。噴霧器(能動的ディスペンサー)を適用することにより、香料又は芳香剤は、装置が供給されている空間に一時的に供給される。
【0003】
この仕組みに関わる問題点は、その空間を占める人が香料又は芳香剤にたちまち慣れて、しばらくすると、芳香剤の強さを強いと感じなくなり、あるいは全く気付かない場合もあることである。これは、習慣と呼ばれる周知の現象である。習慣問題を取り扱おうとした取り組みが、米国特許出願公開第5,755,381号(ヤザキ セイイチ(Seiichi Yazaki))に記載されている。前記ヤザキ特許は、芳香性液体から、一定期間、均一な香気濃度で香気を放射するための香気放射装置を開示している。前記装置は、分割プレートで上部区画と下部区画に区切られた容器であって、上ぶた部分と下カバー部分を貫通しているエアーチューブを有する容器を備えている。前記上部区画と下部区画とが互いに通じ合えるように、穿孔が分割プレートに設けられている。前記上部区画に空気が入ると、上部区画に保持されている芳香性液体が穿孔を通じて分割プレートの中へ流れ落ちて、下側の区画の空いている部分に蓄積する。香気を含む空気は、前記下部区画のエアーチューブから放出される。上部区画内の芳香性液体が下部区画へ完全に移動すると、香気を含む空気の放射が停止する。前記装置は、装置の容器をいつでも上下逆さまにして置くことによって繰り返し使用できる。しかしながら前記ヤザキ特許は、水時計として動作され得る装置を対象としているように思われる。すなわち、流体が上部区画から下部区画へ移動すると、この装置は香りの良い芳香剤を放射し、その後、前記流体移動が完了すると放射を停止する。前記ヤザキ特許には、香料又は香りの良い芳香剤を供給するために蒸発表面装置を使用することが記載されておらず、むしろ、ヤザキの装置の香りを含む空気は、下部区画内に位置しているエアーチューブの使用によって放出される。更に、前記ヤザキの香りの良い芳香剤は、一時的な放射として供給される。それは、明確には、連続しないように設計されている。
【0004】
蒸発表面装置機器類(ウィッキング装置、など)は、芳香剤、防臭剤、殺菌剤又は殺虫剤活性剤のような揮発性液体を空気中に分配することで周知である。典型的な蒸発表面装置は、揮発性液体を流体貯蔵器から分配するために、ウィッキング部と発散領域との組み合わせを利用する。蒸発表面装置については、米国特許第1,994,932号;同第2,597,195号;同第2,802,695号;同第2,804,291号;同第2,847,976号;同第3,283,787号;同第3,550,853号;同第4,286,754号;同第4,413,779号;及び同第4,454,987号に記載されている。
【0005】
理想的には、蒸発表面装置は、できる限り単純で、ほとんど保守の必要がなく、また揮発性材料を、指定された領域に規則的でかつ制御された速度で分配できると同時に、その放射強度を前記装置の耐用期間に渡って維持するような様式で機能すべきである。残念なことに、市販されているほとんど全ての比較的単純な非エアゾール式装置は、前記と同じ制限を欠点として有している。揮発性の高い構成成分が最初に取り除かれ、揮発性の低い構成成分が後に残るという事実に起因して、前記放射は、装置の耐用期間中に歪んでくる。前記組成のこの経時変化は、揮発性の低い構成成分ほど遅く蒸発することから、結局は芳香剤の強度を弱めることとなる。より良い空気清浄装置を考え出そうとしている者の注意の多くを占めているのは、これら2つの問題、すなわち芳香剤材料の寿命中の強度低下と歪みである。表面からの蒸発に依存する実用上全ての装置が、上記短所を欠点として有している。大抵の前記装置では、ウィッキング部、ゲル又は多孔質の表面は単に、芳香剤材料がより迅速に蒸発できる大きな表面積を提供するが、前記液体自体の表面からのように、分溜がまだ生じており、その結果、より揮発性の高い構成成分が蒸発した途端に、芳香剤の初期バーストが生じ、その後、より強度の低い期間が続く。この分溜、及び恐らくはそれと、不溶性物質の沈殿に基づくウィッキング部の目詰まりとの組み合わせに起因して、蒸発表面装置は正常に機能しなくなり始める。芳香剤が歪み始めると、前記放射強度は感知できる程度に低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性材料のデリバリーシステムの、強度制御の概念を消費者にとって望ましい価値のある方法に変換する能力に加えて、習慣化、香気低下、分溜、及びウィッキング部の目詰まりといった問題の解決策が求められている。維持水準放射に自動的に戻るのに加えて、増強水準放射が提供される方法の簡便さに関連して審美性が改善され、それによって創り出される動的で相互作用的な香気体験が、非活性な非エアゾール式の装置を非常に望ましいものにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記デリバリーシステムの多数の実施形態が本明細書に記述されているが、その全ては、非限定例であることが意図されている。本発明の一実施形態において、揮発性材料のデリバリーシステム(以下「デリバリーシステム」とする)が提供される。前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料を含み、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供する。前記揮発性材料は、1つ以上の香料成分を含み、香料成分の一部は、高いコヴァッツインデックスを有する。一実施形態において、前記香料成分の少なくとも40重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、非通電式揮発性材料デリバリーシステムが提供される。前記デリバリーシステムには、熱、ガス、又は電流の供給源がなく、また前記少なくとも1つの揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されない。前記デリバリーシステムは更に、(a)少なくとも1つの流体貯蔵器を備えた少なくとも1つの容器;(b)前記少なくとも1つの容器内に配置された少なくとも1つの蒸発表面装置開口部;(c)少なくともいくらかの長手方向の露出部を有する少なくとも1つの蒸発表面装置であって、前記蒸発表面装置開口部の中及び前記流体貯蔵器の中に少なくとも部分的に位置しており;前記蒸発表面装置は、前記揮発性材料と流体連通されており;(d)任意に、少なくとも1つのバイパスチューブ;及び(e)任意に、1つ以上の第2の蒸発表面装置を含むことができる。
【0009】
本発明の別の態様では、単一供給源、又は複数の供給源に由来する少なくとも1つの揮発性材料を含むデリバリーシステムが提供される。前記少なくとも1つの揮発性材料は、様々な揮発性材料、並びに非揮発性材料を、いかなる量で含有する組成物であってよい。前記1つ以上の揮発性材料は、デリバリーシステムの耐用年数に渡って様々な揮発度を有していてよい。消費者は、均一な放射を提供するため、及び例えば悪臭防止のために所望の嗅覚効果の認識を高めるために、蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量を制御することができる。本明細書に記載されるデリバリーシステムは、回収ボウル、ポンプ、及びばね作用装置を包含するが、これらに限定されない、いかなる種類の投与装置をも含み得る。また、本発明のデリバリーシステムは、横転したとき揮発性材料の流出を抑えるよう構成されてもよい。
【0010】
本発明の更に別の態様では、キットが提供される。前記キットは、(a)包装;(b)使用説明書;及び(c)少なくとも1つの揮発性材料を含むエネルギー源を要しない揮発性材料のデリバリーシステムを備え、前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供し、前記デリバリーシステムには熱、ガス又は電流の供給源がなく、前記揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、揮発性材料を空気中に放射又は放出するためのデリバリーシステムに関する。幾つかの実施形態において、本発明は、維持水準放射モード中及び/又は増強水準放射モード中に少なくとも1つの揮発性材料を供給するデリバリーシステムに関する。添付の図面を見れば、本明細書に記載の前記デリバリーシステムの実施形態が多数あることを理解できるはずであるが、それらは全て、非限定的な例とするものである。
【0012】
定義
本明細書で使用する時、「揮発性材料」という用語は、揮発可能な材料、又は揮発可能な1つ以上の材料を含む別個のユニットに言及するか、あるいはエネルギー源を必要とせずに揮発可能な材料を含む。いかなる量又は形態の、いかなる好適な揮発性材料も使用することができる。したがって、用語「揮発性材料」には、もっぱら単一の揮発性物質から成る組成物が包含される(が、これらに限定されない)。用語「揮発性材料」はまた、1を超える揮発性構成成分を有する組成物に言及すること、及び前記揮発性材料の構成物質の全てが必ずしも揮発性ではないことを理解すべきである。したがって、本明細書に記載の揮発性材料は、非揮発性構成成分を有していてもよい。前記揮発性材料が本明細書中で「放射される」又は「放出される」と記載される場合、これは、前記揮発性構成成分の揮発に言及することと、前記非揮発性構成成分が放射される必要性はないことも理解すべきである。本明細書において重要な揮発性材料は、限定されるものではないが、固体、液体、ゲル、及びこれらの組み合わせを包含する任意の好適な形態であり得る。前記揮発性材料は、カプセルに封入され、蒸発表面装置(例えば、蒸発表面装置)において使用され、揮発性材料を含浸させた又は含有する多孔質材料、及びこれらの組み合わせのようなキャリア材料と組み合わせてもよい。いかなる好適な量又は形態の、いかなる好適なキャリア材料をも使用することができる。例えば、デリバリーシステムは、1つ以上のキャリア材料(例えば、水、溶媒、など)中の1つ以上の供給源からの単相組成物、多相組成物及びこれらの組み合わせを含む揮発性材料を含有していてよい。
【0013】
本明細書で使用する時、「揮発性材料」、「香気」及び「放射」という用語は、限定されるものではないが、心地よい、又は芳しい匂いを包含し、そのため、芳香剤類、空気清浄剤類、脱臭剤類、消臭剤類、悪臭中和剤類、殺虫剤類、防虫剤類、薬物類、消毒剤類、殺菌剤類、ムード増強剤類(mood enhancers)、及びアロマセラピー助剤類として機能する材料、もしくは他の任意の好適な目的のため空気又は環境を状態調整、変性、さもなければ空気又は環境を満たすように作用する物質を用いることをも包含する。限定されるものではないが、香料、芳香物質、及び放射された物質を包含する特定の揮発性材料は、多くの場合、(前記揮発性材料の回収物から成る独特の及び/又は別個のユニットを形成する可能性のある)1つ以上の揮発性組成物を含むことを理解すべきである。例えば、悪臭防止組成物としては、臭気中和材料、臭気遮断材料、臭気マスキング材料、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「コヴァッツインデックス」(KI、又は保持指数)は、クロマトグラフのカラム上の溶質類又は香料原料(PRM)類の選択的保持によって定義される。主として、カラム固定相及び溶質類又はPRM類の性質により判断する。あるカラムシステムにおいて、PRMの極性、分子量、蒸気圧、沸点及び固定相の性質が、保持の程度を決定する。あるGCカラム上の検体の保持を系統的に表すために、コヴァッツインデックス(又は保持指標)と呼ばれる指標を定義する。コヴァッツインデックス(KI)は、カラム上の検体(又はPRM)の揮発特性と、同一カラム上のn−アルカン系の揮発特性との関係を位置づけたものである。用いられる典型的なカラムは、DB−5及びDB−1である。
【0015】
この定義により、ノルマルアルカンのKIは100nに設定され、ここでnはn−アルカンの炭素原子数である。この定義を用い、PRMのコヴァッツインデックスは、補正保持時間t’n及びt’ Nをそれぞれ有する炭素原子数n及びNの2つのn−アルカンの間に、xが時間t’で溶出される場合、以下のように計算する。
【0016】
【数1】
【0017】
デリバリーシステムは、香油の形態の揮発性材料を含有することができる。最も常套的な芳香剤物質は揮発性精油である。前記揮発性材料は、一般に香料の供給元から市販されている1つ以上の揮発性有機化合物を含んでいてよい。更に、前記揮発性材料は、合成的又は自然に形成された材料でもあり得る。例として、ベルガモット、橙、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、ニオイヒバ、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、マヨラナ、プチグレン、ヌマヒノキ、パチョリ、ラバンジン、ネロリ、ローズアブソリュートなどの油が挙げられるが、これらに限定されない。放射された物質又は芳香剤の場合、異なる揮発性材料が、類似であるか、関連しているか、相補的であるか、又は対照的であることがある。
【0018】
更に、本発明のデリバリーシステムの重量の力を借りる性質は、これまで蒸発システムに利用可能だったものより広い範囲の香料成分を使用する機会を提供する。香料の液体要素全てが重力によってウィッキング部を通って取り出されることから、より重い(高いKIを有する)香料成分は、典型的な問題を生じることなく使用され得る(つまり、それらは、容器の底に沈殿するのであって、他の香料成分と同じ速度で蒸発するのではない)。
【0019】
本発明の一実施形態において、揮発性物質は、香料成分(香料原料‐「PRMs」とも呼ばれる)を包含し、その一部は、高いコヴァッツインデックス(KI)を有する。好ましくは、香料成分の約40パーセント(重量比)が1500以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(5%フェニル‐メチルポリシロキサンを非極性シリコーンの固定相として測定されるとおり)。より好ましくは、香料成分の約50パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約60パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。別の実施形態においては、香料成分の少なくとも約5パーセント(重量比)が1800以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(5%フェニル‐メチルポリシロキサンを非極性シリコーンの固定相として測定されるとおり)。より好ましくは、香料成分の少なくとも約7パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約10パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。
【0020】
一実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、60%以下のPRMを含有し、及び
● KIが1500を超え、1800未満の場合、35%以下のPRMを含有し、
● KIが1800を超える場合、5%以下のPRMを含有する。
【0021】
別の実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、50%未満のPRMを含有し、及び
● KIが1400を超え、1800未満の場合、43%以下のPRMを含有し、
● KIが1800未満の場合、7%未満のPRMを含有する。
【0022】
一実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、40%以下のPRMを含有し、及び
● KIが1400を超え、1800未満の場合、50%以下のPRMを含有し、
● KIが1800を超える場合、10%以下のPRMを含有する。
【0023】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、極性が高い、又は、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、及びこれらの組み合わせのような親水性の機能性を含有する。有用な香料成分の非限定的実施例として、バニリン、エチルバニリン、クマリン、PEA(フェニルエチルアルコール)、クミンアルコール、ケイ皮アルコール、オイゲノール、オイカリブトール、シス‐3‐ヘキセノール、2‐パテノイク(patenoic)酸メチル、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラノール、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、カビトール(cabitol)、セロール、テルピネオール、エチルバニリン、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、パチョリアルコール、メントール、イソメントール、マルトール、エチルマルトール、ネロール、イソ‐オイゲノール、パラ‐エチルフェノール、ベンジルアルコール、サビノール、及びテルピネン‐4‐01、並びに上述の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の別の実施形態において、香料成分の一部は、実体性が高い。このような香料成分としては、ベンジルサルアシレート、ヘルコリンD、メチルアビエテート、シンナミルフェニルアセテート、及びエチレンブラシレートの液体形態を挙げてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、非常に「敏感」(又は不安定)である。本文脈において用語「敏感」が指すものとして、エステル類、ラクトン類、及びアセテール類/ケタール等のように、熱誘導の分解反応により生じる構成成分が挙げられる。また、本文脈において用語「敏感」が指すものとして、シッフ塩基の形成、エステル形成、脱水反応、重合反応等のような不揮発性種を形成するための縮合反応により生じる構成成分が挙げられる。このような香料成分としては、芳香族アルデヒド類、D‐ダマスコーン類、及びイオノン類を含む、フロールアセテート、ラクトン、メチルアントラニル酸塩の液体形態が挙げられる。
【0026】
しかしながら、放射の習慣化の問題を避けるための試みに異なる揮発性材料が使用されている場合、揮発性材料が余りに類似しているのは望ましくないことがあり、そうでなければ、前記放射を経験している人は、異なる放射が放射されていることに気付かない場合がある。異なる放射は、共通のテーマ又は何か他の方法により相互に関連付けられたものとすることができる。異なるが相補的な放射の例は、桂皮の放射とリンゴの放射であろう。例えば、異なる放射は、それぞれが異なる揮発性材料を提供する複数のデリバリーシステムを用いて提供することができる(例えば、じゃこう、フローラル、フルーツの放射、など)。
【0027】
特定の非限定的な実施形態において、揮発性材料の維持水準放射は、実質的に全ての揮発性材料がデリバリーシステム供給源から同時に使い尽くされるまで、均一な強度を示すことができる。言い換えると、維持水準放射の特徴を示す場合、均一性は、前記揮発性材料のデリバリーシステムの耐用期間中実質的に一定の揮発度という言葉で表すことができる。維持水準放射に係る「連続的な」という用語は、全ての揮発性材料が実質上使い果たされるまで連続して放射する均一な維持水準放射モードを提供すること(及び、所望により、このことが、前記揮発性材料の供給源が1つ以上ある場合でもほぼ同時に生じること)がデリバリーシステムには望ましいが、前記維持水準放射には、放射が途切れている期間も包含され得ることを意味する。前記維持水準放射の供給は、いずれかの好適な長さの期間とすることができ、以下の期間を包含するが、これらに限定されない:30日、60日、90日、より短い又はより長い期間、あるいは30〜90日の間のいずれかの期間。
【0028】
特定の他の非限定的な実施形態において、増強水準放射モードが人的相互作用によって作動するとき、より高い、所望により均一な、強度の揮発性材料が好適な放射期間に渡って放射され、そのとき、デリバリーシステムは、更なる人的相互作用を伴わずに、維持水準放射モードでの揮発性材料の供給へ自動的に戻ることができる。増強水準放射に関する「一時的な」という用語は、増強水準放射が、人的相互作用によって作動及び/又は制御された後で、限られた時間、より高い強度で放射されるのが望ましいが、前記増強水準放射には、放射が途切れている期間も包含され得ることを意味する。理論に縛られるものではないが、増強水準放射の強度が高いほど、多数の因子に左右されると考えられる。これら因子の幾つかとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:前記揮発性材料の「香料効果」;増強水準放射を提供するために蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量;増強水準放射のために供給源から入手可能な揮発性材料の供給速度;及び増強水準放射の供給中の蒸発表面装置の利用可能な表面積。
【0029】
いかなる好適な揮発性材料、並びにいかなる好適な揮発性材料容量、供給速度、及び/又は蒸発表面積も、増強水準放射の強度を高める及び/又は制御するために使用されてもよい。好適な容量、供給速度、及び表面積は、増強水準放射が維持水準放射より高いか又はそれと同等の放射強度を示すものである。例えば、より多くの容量の揮発性材料を蒸発表面装置へ提供することによって、消費者が増強水準放射の強度を高める及び/又は制御することもできる。蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量は、特定の容量を有する特定の投与装置を用いて制御することもできる。特定の容量を蒸発表面装置の中へ推し進めるために、回収ボウルを使用してもよい。回収ボウルは、いかなる好適な材料、大きさ、形又は構造でも製造でき、またいかなる好適な容量の揮発性材料をも回収することができる。例えば、デリバリーシステムは、単位用量室などの回収ボウルを含んでいてよく、それを、増強水準放射を作動するため少なくともいくらかの揮発性材料で少なくとも部分的に満たすことができる。前記単位用量室は、制御された容量の揮発性材料を蒸発表面装置などの蒸発表面装置へ提供する。他の投与装置としては、ポンプ及びばね作用の装置を挙げることができる。
【0030】
「蒸発表面装置」という用語には、揮発性材料の少なくともいくらかを蒸発させることが可能ないかなる好適な表面が包含される。いかなる好適な大きさ、形、形態、又は構造を有するいかなる好適な蒸発表面装置も使用することができる。好適な蒸発表面装置は、限定されるものではないが、天然物質、人工物質、繊維性材料、非繊維性材料、多孔質材料、非多孔質材料、及びこれらの組み合わせを包含する任意の好適な材料から製造される。本明細書において使用される蒸発表面装置は、燃えない性質であって、いかなる種類(例えば、液体)の揮発性材料(芳香剤、脱臭剤、消毒剤、又は殺虫剤活性剤のような)をも空気中に分配するために使用されるいかなる装置をも包含する。特定の非限定的な実施形態において、典型的な蒸発表面装置は、ウィッキング部、ゲル、及び/又は多孔性表面の組み合わせと、揮発性液体を液体/流体貯蔵器から分配するための発散領域とを利用する。
【0031】
上述のように、供給速度又は蒸発表面積におけるいかなる好適な増大も、増強水準放射の強度を高める及び/又は制御するのに有用である。「供給速度」は、揮発性材料が、貯蔵用の容器又は流体貯蔵器に戻る前に蒸発表面装置上で蒸発すべき時間に関する。揮発性材料を蒸発表面装置へ供給するための好適な手段として、反転、ポンプ作用、又はばね作用装置の使用によるものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、強度を上げるために、デリバリーシステムに1つ以上の(第1のウィッキング部又は第2のウィッキング部のような)蒸発表面装置を付加して表面積を大きくしてもよい。第2の蒸発表面装置の表面積は、第1の蒸発表面装置の表面積よりも約1〜約100倍大きな範囲に及ぶことがある。所望により、第2の蒸発表面装置は、他の蒸発表面装置と液体連通することができる。
【0032】
特定の非限定的な実施形態において、増強水準放射は、第1の蒸発表面装置及び/又は第2の蒸発表面装置の両方からの揮発性材料放射を含んでもよい。増強水準放射は、任意の好適な放射持続時間の増強放射プロファイルを示すことができる。例えば、好適な増強水準放射持続時間としては、以下の持続時間が挙げられるが、これらに限定されない:10分間以下;又は約10分〜約2時間まで;あるいは、約2時間〜約24時間まで。
【0033】
幾つかの非限定的な実施形態において、デリバリーシステムは、蒸発表面装置における揮発性材料の流れ方向を周期的に逆転させることによって、長期に渡ってその特徴性能を維持することができる。例えば、長期間に渡るデリバリーシステムの特徴性能が、少なくとも1つの揮発性材料の分溜(分割効果、など)のために、又はウィッキング部の目詰まりによって、低下することがある。分溜とウィッキング部の目詰まりの両者に対する解決策は、好適な持続時間の間に蒸発表面装置における好適な流れの逆転を提供することである。例えば、蒸発表面装置の好適な流れの逆転は、増強水準放射の作動と好適な持続時間に亘る放射とから成ることがある。この場合、反転もしくはポンプ作用から、又はばね作用によって結果として生じる蒸発表面装置の揮発性材料の流れの逆転は、望ましくない不溶性の沈殿、分溜及び/又は分割効果のいくらかを取り除くのに十分な様式で、ウィッキング部を実質的に洗い流すことができる。従って、特徴性能は、増強水準放射の間にウィッキング部を洗い流すことによって少なくとも部分的に修復される。この方法では、デリバリーシステムに含まれる異なる揮発性材料の全体を感知することによる動的で相互作用的な嗅覚的経験が簡単な工程であることを、消費者が新たに感じることができる。
【0034】
他の非限定的な実施形態において、本明細書に記載のデリバリーシステムは、香りを与えること、悪臭防止、及び防虫のようなことのために使用することができる。例えば、室内、又は所望によりピクニックテーブルの上などの戸外に置く場合、近くにいる虫の数に応じて放射水準を調節することによって防虫、更には香りを与えること及び悪臭防止が達成できる。虫による不快感があまりないときは、消費者を心地よくさせるのには維持水準放射で恐らく十分である。しかしながら、複数の蚊やサシバエなど、多数の虫が苦になるとき、消費者は、増強水準放射を供給するように選択することができる。
【0035】
図面
図1は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)を備えた少なくとも1つの容器1(及び2)と、少なくとも1つのウィッキング部5と、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)と、少なくとも1つの揮発性材料8とを含む、デリバリーシステムの非制限的な実施形態を示す断面図である。当該デリバリーシステム及びその構成要素は、いかなる好適な大きさ、形、構造、又は種類でも、及びいかなる好適な材料からも製造されてよい。好適な材料としては、金属、ガラス、天然繊維、セラミック、木材、プラスチック、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。容器1(及び2)は、目視検査に付されるだけでなく、使用中に消費者によって持ち上げられて操作されるので、デリバリーシステム20の外面を構成してもよく、又は容器1(及び2)は、シェル(図示せず)の中に収納されてもよい。ウィッキング部5は、少なくともいくらかの部分が大気に露出している。ウィッキング開口部18(及び19)は、いかなる使いやすい大きさ及び形とすることもでき、また容器1(及び2)のどこに位置していてもよい。少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)は、維持水準放射及び/又は増強水準放射モードの間に、少なくとも1つのウィッキング部5から揮発性材料8を空気中へ供給する手段を可能にする。特定の非限定的な実施形態において、容器1(及び2)は、望ましくは視覚的に魅力がある外側シェル(図示せず)であって、蒸発性の分配を行っている間、最大効力のための使用範囲内の見える所に置いておくことができる好適な寸法の外側シェル(図示せず)の中に収納されていてよい。1つ以上の容器1及び2がある場合、これらは、図に示すように向かい合わせて接続及び/又は流体接続されていてよい。
【0036】
1つの非限定的な実施形態において、容器1及び2は、少なくともいくらかの長手方向の大気への露出部分を有するウィッキング部5を備えた蒸発表面装置を介して流体連通している。容器1(及び2)は、デリバリーシステム20の他のいずれかの好適な構成要素に取り付けられていてもよい。例えば、容器1及び2は、互いに、ウィッキング部5を介して、シェル又はハウジング(図示せず)の一部として、又は他の任意の好適な手段によって取り付けられていてもよい。ウィッキング部5は、ある時間少なくともいくらかの揮発性材料8と流体接触している。揮発性材料5は、流体貯蔵器6又は7のどちらかに貯蔵できる。ウィッキング部5の長手方向部分は、維持水準放射モード及び増強水準放射モードの両方の期間に揮発性材料8の好適な放射速度を可能にするのに十分な露出したウィッキング部5表面積を提供する。容器1及び2とそれらの関連する流体貯蔵器6及び7は、接続された時点で、ウィッキング部5を介して又はいずれかの他の好適な手段(例えば、閉じた経路又は管)によって、互いに流体連通することができる。放射のために蒸発表面を提供することの他に、容器1及び2をウィッキング部5と接続する別の目的は、消費者がデリバリーシステム20を反転させたときに、蒸発又は放射されない過剰の揮発性材料8が上部の容器1から重力によって、下部の容器2内で回収及び貯蔵されるためにほとんど漏れずに移動するための道を提供することである。
【0037】
ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、少なくともいくらかの揮発性材料8をデリバリーシステム20内に保持するための封止として機能してもよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5及び/又はいずれかの構成要素をデリバリーシステム20内のいずれかの構成要素に密閉可能に取り付けるように、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも、いかなる好適な材料からも製造されてよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5がデリバリーシステム20の非ウィッキング部分から揮発性材料8を実質的に漏らすことなく取り込んで投与するのを助けるように、デリバリーシステム20のいかなる部分にも取り付けられてよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング開口部18(及び19)の中に挿入することができ、ウィッキング開口部18(及び19)は、ウィッキング部5又は他のいずれかの好適な構成要素(図示せず)がウィッキング開口部18(及び19)を通って流体貯蔵器6(及び7)の少なくとも一部に入ることができるように、容器1(及び2)表面上のいずれかの好適な場所に位置している。少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)及びウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5及び任意の他の構成要素の両方に適応でき、及び消費者がデリバリーシステム20を反転又は転倒させた場合に、デリバリーシステム20からの過剰の揮発性材料8の漏れを最小限にするような大きさにする。
【0038】
ウィッキング部5は、少なくともいくらかの部分を大気に露出させることによって揮発性材料8の放射を可能にするウィッキング部として機能するように、いずれかの好適な材料から、いずれかの好適な大きさ、形、又は構造で製造することができる。ウィッキング部5は、容器1(及び2)内のいずれかの好適な場所に位置していてよい。ウィッキング部5は、容器1(及び2)、ウィッキング開口部18(及び19)、及び/又はウィッキング取り付け部品3(及び4)の中に少なくとも部分的に配置されていてよく、容器1(及び2)の流体貯蔵器6(及び7)内に貯蔵されている揮発性材料8と流体接続され得る。ウィッキング部5は、流体貯蔵器6(及び7)の内側で、容器の底33(及び34)に向かって延びていてよい。それとは逆に、ウィッキング部5は、デリバリーシステム20の全耐用年数に渡って維持水準放射モード中に、少なくとも一方の流体貯蔵器6(又は7)内のたとえ少量の揮発性材料8とでも流体接続を維持する、いかなる好適な長さとしてもよい。容器1(及び2)の内側又は外側では、特別なウィッキング部5の長さ要件はない。少なくとも1つのウィッキング部5を、流体貯蔵器6(及び7)内の所望の内部深さに配置することができる。少なくとも1つのウィッキング部5は、任意に、揮発性材料8の放射供給を最大にするために、流体貯蔵器6及び7の両方の内部の長さ全体を占有することができる。
【0039】
ウィッキング部5は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)の位置で、ウィッキング取り付け部品3(及び4)を介して容器1(及び2)と密封可能に固定される。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング開口部18(及び19)を通過するウィッキング部5及び他の好適な構成要素の少なくとも一部を密封可能に保持することができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、貯蔵中、反転、ポンプ作用の後、又はばね作用によって、あるいは倒れた場合に、ウィッキング部5の取り込み又は投与中に、デリバリーシステム20からの揮発性材料8の望ましくない漏れを防ぐように、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)及び少なくとも1つのウィッキング部5のそれぞれの周りにぴったりと固定することができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、とりわけ、使用していない時に、揮発性材料8の望ましくない揮発を最小限にするように、いずれかの手段(例えば、摩擦、接着剤など)で容器1(及び2)に取り付けることができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、任意に、ウィッキング部5の取り込みを助けるように、いずれかの好適な場所に通気孔(図示せず)を開けることができる。
【0040】
維持水準放射モードの間、デリバリーシステム20を直立位置などの適切な配置で安定化及び/又は保持するのに役立つ、少なくとも1つの容器の底33(及び34)があってよい。デリバリーシステム20は更に、揮発性材料を容器1(及び2)の中に含有させるための追加的な再密閉可能な封止(図示せず)を含んでいてよい。デリバリーシステム20は更に、製造者又は消費者が望む場合、例えば、販売前又は香りを与えようとする部屋から長期間離れる間のように揮発性材料8が放射するのが望ましくない場合には、上述の1つ以上の揮発性材料8を含有する少なくとも1つのウィッキング部5及び/又はデリバリーシステム20を覆うための包装用封止(図示せず)を有していてもよい。
【0041】
図2aは、少なくとも1つのバイパスチューブ9(及び10)及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非制限的な実施形態を示す断面図である。上述のように、容器1及び2は、少なくともいくらかの揮発性材料8を含有するための流体貯蔵器6及び7を有し、少なくとも1つのウィッキング部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を介して流体接続されている。バイパスチューブ9(及び10)は、いずれかの大きさ、形、又は構造を有するバイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)を介して容器1(及び2)に接続することができる。バイパスチューブ9(及び10)は、容器1(及び2)の一体型の構成要素として形成されていてよく、又は容器1(及び2)に追加される別個の構成要素として提供されてもよい。バイパスチューブ9(及び10)は、液漏れしないいずれかの構造で容器1(及び2)及び/又は流体貯蔵器6(及び7)を適切に封止できるか又はそれらと適切に接続できるように、容器1(及び2)と適合し得るいずれかの好適な材料から製造することができる。バイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)は、バイパスチューブ9(及び10)を介して流体貯蔵器6及び7の間で揮発性材料8の直接的な流体連通を可能にする。バイパスチューブ9(及び10)、並びにバイパスチューブ開口部14及び16(15及び17)は、いずれかの好適な種類の所望の流れを可能にするように配列することができる。バイパスチューブ9(及び10)ならびに/又はバイパスチューブ開口部14、15、16、及び/もしくは17は、これら構造体を通過するいずれかの流体の開放性の流れ、一方向の流れ、制限された流れ、又はこれらの組み合わせを提供するように、それぞれ構造的に改善することができる。例えば、バイパスチューブ開口部14及び17は無制限の流れをもたらすことができるが、バイパスチューブ開口部15及び16は、流体を一方向のみから回収するか又は滴下などの審美的効果を与えるために縮小された流れを有するように製造されていてよい。この独特な流れ構造は、揮発性材料8の改善された流れがデリバリーシステムに注目を集めることができることから、消費者に特異な視覚的興味を提供する能力をデリバリーシステム20に与える。各容器1(及び2)は、少なくともいくらかの揮発性材料8がデリバリーシステム20内においていずれかの特定の場所でいつでも存在できるように、1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)の一部を担うことが可能である。このような容器1(及び2)は、例えば、反転もしくはポンプ作用により、又はばね作用によってウィッキング部5の取り込み又は投与を行った直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を流体貯蔵器6と流体貯蔵器7の両方に保持することができる。揮発性材料8自体は、いずれかの好適な補助剤成分をいずれかの好適な量で又はいずれかの好適な形態で含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、及びスペックルは、とりわけ、改善された流れ構造中に消費者が観察する場合に、追加的な審美的効果を与えることができる。
【0042】
バイパスチューブ9(及び10)はまた、特定量の揮発性材料8を回収するための追加的な流体貯蔵器としても、及び/又は混合、ポンプ作用又は反転後に特定の容量の揮発性材料8の一部を向かい合った流体貯蔵器6と7の間で迂回させる手段としても機能することができる。例えば、デリバリーシステム20がその底34を垂直な直立位置から水平な位置へ倒された場合、デリバリーシステム20は、少なくとも1つのバイパスチューブ9又は10が流体貯蔵器6及び7それぞれから少なくともいくらかの揮発性材料8を回収することができるような構成で休止するように設計されてよい。この場合、バイパスチューブ9又は10は、追加的な流体貯蔵器の役目をして、揮発性材料8がデリバリーシステム20から不必要にこぼれる及び/又は漏れる可能性を低減する。
【0043】
ウィッキング開口部18(及び19)は、容器1(及び2)の外面上のどこに配置してもよい。例えば、ウィッキング開口部18(及び19)は、容器の底33(及び34)の面と平行な面上にあるように、容器1(及び2)の外面上に配置することができる。単位用量室11(及び12)は、容器1(及び2)の内側のどこに位置していてもよく、一般には、流体貯蔵器6(及び7)の内側にある。単位用量室11(及び12)は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)の最も上部の領域とバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の最も下部の領域との間の、流体貯蔵器6(及び7)の内側に創られた内部容積で画定される。単位用量室11(及び12)は、少なくとも1つの流体貯蔵器6及び7の大きさ、少なくとも1つのウィッキング部5が占める容積、及びデリバリーシステム20を反転させたときに少なくとも1つの単位用量室11及び12へ供給される揮発性材料8の量に応じて変えることができる。特定の非制限的な実施形態においては、消費者は、単位分の容積の取り込み及び/又は投与を調節することによって、単位用量室11(及び12)を介してウィッキング部5へ供給される揮発性材料8の容量を制御することができる。このことは、例えば、ポンプ送りされる揮発性材料8の量を調節することによって、又は容器1(及び2)の反転を操作することによって、又はいずれかの他の好適な手段によって達成できる。
【0044】
デリバリーシステム20は、反転させると、少なくとも1つの単位用量室11内に回収されない、又は少なくとも1つのウィッキング部5によって吸収されない、及び/又は少なくとも1つのウィッキング部上に取り込まれる過剰の揮発性材料8を、容器2内に回収及び貯蔵するため、容器1の上部の流体貯蔵器6からバイパスチューブ開口部14及び15を介してバイパスチューブ9及び10によって下部の流体貯蔵器7へ送ってもよい。例えば、単位用量室10(及び11)は、デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)を反転させると、揮発性材料8の少なくともいくらかを含有してもよい。デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)をその直立位置から反転させる及び/又は倒させるときに、バイパスチューブ9(及び10)は、1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)から、少なくとも1つの単位用量室11 9及び12)から、及び/又はウィッキング部5から放出される揮発性材料8のいくらかで満たされる。
【0045】
上部の流体貯蔵器6内の単位用量室11に少なくともいくらかの揮発性材料8を少なくとも部分的に満たす、取り込む及び/又は投与する場合、単位用量室11は、制御された容量(例えば、単位用量)の揮発性材料8をウィッキング部5へ供給して、空気中へ増強水準放射を提供する。蒸発も放射もされない、その過剰の揮発性材料8は、ウィッキング部5によって運ばれて、ほとんど漏れずに下部の流体貯蔵器7に回収される。デリバリーシステム20はまた、複数の制御された容量及び/又は単位用量を供給して、香りを与えること、悪臭の防止、防虫、場の雰囲気の設定、及びこれらの組み合わせという1つ以上の目的のために複数の増強水準放射を開始させることも可能である。投与プロセスによって、消費者は、例えば悪臭の防止などが必要な時にいつでも、一時的な増強水準放射を空間に供給することができる。
【0046】
ウィッキング部5の投与は、いずれかの好適な手段によって、例えば、反転により、ブラダ(bladder)を圧搾することにより、非エアゾール式のポンプ作用により、又は熱、ガス、もしくは電流を使用すること以外のいずれかの他の好適な手段により行うことができる。例えば、消費者がデリバリーシステム20を単に上下逆さまにして、容器の底33(及び34)を下にしてデリバリーシステム20を設置する場合、反転によって投与が生じ得る。従って、反転すると、下部の流体貯蔵器(6又は7)内に元々貯蔵されていた揮発性材料8は一時的に、上部の流体貯蔵器(6又は7)の中に位置する。揮発性材料8は即座に上部の流体貯蔵器(6又は7)から排出され始め、重力によって単位用量室(11又は12)、ウィッキング部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を通って下部の流体貯蔵器(6又は7)へ移動する。揮発性材料8が単位用量室11(及び12)に回収されると、揮発性材料8は、大気に露出しているウィッキング部5の部分に沿って重力によって少なくとも1つのウィッキング部5へ供給されることから、増強水準放射が開始する。制御された容量の揮発性材料8が単位用量室11(及び12)を介して1つのウィッキング部5へ供給される場合、増強水準放射は、揮発性材料8の揮発度の点からみると、デリバリーシステム20の耐用時間の一部分に亘って実質的に均一であり得る。
【0047】
1つの非限定的な実施形態では、単位用量室11(及び12)からウィッキング開口部18(及び19)及びウィッキング部5を通って移動する、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の単位用量の少なくともいくらかが、空気中に放射される。単位用量のうち、放射されない部分は、ウィッキング部5及び/又はウィッキング開口部19(及び18)を介して下部の流体貯蔵器(6又は7)に戻すことができる。上部の流体貯蔵器(6又は7)内の単位用量室11(及び12)が重力によって排出されると、増強水準放射は、単位用量が放射されるか又は下部の流体貯蔵器(6又は7)に移動するまで、ゆっくりと減衰し始める。増強水準放射が停止すると、維持水準放射が自動的に復帰する。維持水準放射モードにおいて、ウィッキング部5は、下部の流体貯蔵器(6又は7)に貯蔵された揮発性材料8を毛管現象によって、大気に露出されているウィッキング部の少なくともある部分まで汲み上げる。例えば、揮発性材料8は、ウィッキング開口部18及び19の間の、露出された長手方向のウィッキング部5表面の全体(又はそのいずれかの部分)から放射され得る。
【0048】
図3aは、バイパスチューブ9及び10、及び/又はウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。この実施形態では、バイパスチューブ9及び10は、デリバリーシステム20を配置し易くするための便利な凹状の手懸り部を作製するような様式で、またデリバリーシステム20がその直立位置から反転及び/又は倒されてその容器の底33(及び34)を下にして置かれない場合はウィッキング部5に損傷からの保護を与えるような様式で構成される。
【0049】
1つの非限定的な実施形態において、増強水準放射のための単位用量室の容量は、下部の流体貯蔵器(6又は7)へ戻るように導くためのバイパスチューブ9(及び10)では回収されない、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の容量で定義できる。単位用量室壁23、24、25及び26は、貯蔵器6(及び7)及び/又は容器1(及び2)の内側のどこにでも設定及び位置することができる。例えば、単位用量室12は、バイパスチューブ開口部16及び17の下方に構成される室壁25及び26を有してもよい。そのとき、単位分の容量が単位用量室壁25及び26の開口端22によって回収される。これとは逆に、他の構造の室壁も有用である。例えば、単位用量室11によって回収される単位分の容量は、バイパスチューブ9(及び10)及び/又はバイパスチューブ開口部14及び15の構造と無関係であってもよい。単位用量室11は、バイパスチューブ開口部14及び15の位置より上方に延びる壁23及び24を有する流体貯蔵器6内に位置してもよい。ここで、上部の貯蔵器6内にある揮発性材料8の単位分の容量は、デリバリーシステム20の反転、ポンプ作用時、又はばね作用によって単位用量室壁23及び24の開口端21を介して単位用量室11内に回収されてもよい。
【0050】
更に、いかなる好適な大きさ、形、構造のいかなる追加的な構成要素、又は2つの容器1及び2を繋ぐ又は噛み合わせるための材料、又はデリバリーシステム20内で流体の流れを方向付けるための材料も使用できる。例えば、いかなる好適な内側構成要素も、デリバリーシステム20の流体の通路内に提供することができ、及び/又は揮発性材料8の流れをいずれかの所望の位置に(例えば、ウィッキング部5から離れて又はウィッキング部5へ向かって)方向付けることができる。デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)のいかなる好適な外側構成要素も、デリバリーシステム20の機能に役立つように提供することができる。
【0051】
図3bは、溝アセンブリを有する揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。溝138は、容器2の外面上のウィッキング開口部18(及び19)付近に位置し、ウィッキング部5が取り込んだ後及び/又はデリバリーシステム20を倒した後でウィッキング部5及び/又はウィッキング開口部18(及び19)から漏れる可能性のある過剰の揮発性材料8を回収するために設けられる。いかなる大きさ、形、構造、又は材料のいかなる溝138をも使用してもよい。1つの非限定的な実施形態において、前記溝は、ウィッキング開口部19が位置する領域又はその位置に隣接した領域に配置される。(反転、ポンプ作用及び/又は傾けることによって過剰に取り込んだ後のように)向かい合ったウィッキング開口部19及び/又はウィッキング部5から漏れる可能性のある過剰の揮発性材料8を捕集又は回収する目的で、吸収材料139が設けられる。いかなる好適な吸収性材料139もいかなる好適な大きさ、形、又は構造で使用することができる。吸収性材料139は、揮発性材料8の蒸発を実質的に吸収及び/又は促進できるいかなる好適な材料から製造されてもよい。吸収性材料139は、いかなる好適な蒸発表面物質を含んでいてもよい。例えば、好適な吸収性材料139としては、紙、プラスチック、スポンジ、などを挙げることができる。溝138で回収された過剰の揮発性材料8は、その後、吸収性材料139で吸収又は再吸収されて、ウィッキング部5又はウィッキング開口部19の方へ方向転換されるか、あるいは空気中へ直接蒸発させることができる。
【0052】
特定の他の非限定的な実施形態において、吸収性材料139は、下部の流体貯蔵器7によって回収されない過剰の揮発性材料8を回収するのに役立つように、溝138の位置又はその近傍に配置されてもよい。例えば、吸収材料139は、ウィッキング部5の材料から、溝138の中に位置して少なくとも1つのウィッキング部5を取り囲む薄いワッシャ又はドーナツの形に製造されてもよい。吸収性材料139は、ウィッキング部5又はウィッキング開口部19のいずれかに物理的に接触している必要はないことに留意すべきである。吸収性材料139は、任意の好適な手段によって(摩擦、接着、留め具等によって)デリバリーシステム20の外面のいかなる部分に取り付けられてもよい。事実、吸収性材料139は、消費者が所望に応じて追加又は除去することができるので、固定して取り付ける必要がない。吸収性材料139は、例えば、デリバリーシステム20の反転中、過剰なポンプ作用の間、又は倒している間に、少なくとも1つのウィッキング部5の長手方向軸に沿って自由に滑り落ちて、相対する溝(図示せず)の領域で停止することができ、そこにおいて、その相対するウィッキング開口部(図示せず)付近に存在する可能性のあるいかなる過剰の揮発性材料8をも回収することができる。
【0053】
図4は、単一のバイパスチューブ9及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す。バイパスチューブ9は、いかなる好適な大きさ、形、又は構造をとってもよく、いかなる好適な材料から製造されてもよい。バイパスチューブ9は、いかなる好適な手段によっていかなる好適な位置で容器1(及び2)に接続されていてもよい。例えば、容器1(及び2)と類似の材料のバイパスチューブ9は、らせん形、球体、又は楕円形に形成することができ、また貯蔵器6(及び7)と接続される。バイパスチューブ9は、デリバリーシステム20のいずれかの構成要素の一部であってもよい。例えば、バイパスチューブ9は、容器1(及び2)内及び/又はウィッキング部5内で一体成形されてもよい。バイパスチューブ9は、漏れ又は蒸発による損失を生じることなく容器1(及び2)と流体連通可能な1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)を有してもよい。例えば、揮発性材料8は、反転後、重力によって上部の貯蔵器6からバイパスチューブ9及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して下部の貯蔵器7へ流れてもよい。バイパスチューブ開口部15(及び17)は、容器1(及び2)の表面上のどこに位置してもよく、任意に均一で一時的な増強水準放射を供給するために、ウィッキング開口部18(及び19)とバイパスチューブ開口部15(及び17)との間の流体貯蔵器6(及び7)の内部空間に位置する単位用量室11(及び12)を形成できるような様式で配置されてもよい。バイパスチューブ9は、デリバリーシステム20をその直立位置から反転させる及び/又は倒させるときに、物理的な干渉又は損傷からウィッキング部5を保護するようにウィッキング部5を取り囲むことができる。この構造は、ウィッキング部5との思わしくない接触によって、子供が揮発性材料8に不必要に曝されるか又は直接曝されるのを保護するのに役立つ。
【0054】
図5a、5b、5cは、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す。図5aは、一体成形型容器1上に1つ以上の通気開口部35を有する単一の一体成形型容器1の外面を示す。1つ以上の通気開口部35は、揮発性材料(図示せず)をウィッキング部(図示せず)から、処理を要する部屋(単数又は複数)の空気中へ放射又は供給させることができる。任意に、1つ以上の通気開口部35の幅を調節可能に及び/又は閉鎖可能にできるように、調節可能な通気孔(図示せず)をデリバリーシステム20の容器1に追加することができる。これによって、消費者は維持及び増強水準放射速度を制御することができる。調節可能な通気孔(図示せず)は、いかなる好適な材料から製造されても、いかなる好適な大きさ、又は形であってもよく、またデリバリーシステム20上又は内側のどこに位置してもよい。例えば、消費者は、処理を必要とする場所に所望の量の放射が供給されるように、調節可能な通気孔(図示せず)を動かすことによって1つ以上の通気開口部35を開ける、部分的に開ける、部分的に閉じる、又は閉じることができる。
【0055】
図5bは、ウィッキング部5、ウィッキング取り付け部品3(及び4)、ウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)、任意のウィッキング取り付け部品通気孔27(及び28)、及びウィッキング取り付け部品フランジ31(及び32)を有する、蒸発表面装置40の非限定的な実施形態を表す。蒸発表面装置40の全ての構成要素は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造で製造することができる。少なくとも1つのウィッキング部5の両末端は、複数の流体貯蔵器(図示せず)の間でウィッキング部5を介して流体連通させることができるが、使用又は貯蔵中にウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)、ウィッキング開口部(図示せず)、又は容器(図示せず)の周囲から揮発性材料(図示せず)が不必要に漏れるのを低減できるように、ウィッキング取り付け部品3(及び4)のウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)に封止可能に嵌め込むことができる。
【0056】
図5cは、バイパスチューブ9及び10及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの流体貯蔵器6及び7を有する単一の一体成形型容器1を有する別の非限定的な実施形態を示す断面図である。この実施形態では、バイパスチューブ9(及び10)は、デリバリーシステム20を配置し易くするための便利な凹状の手懸り部を作製する様式で、また反転させている間及び/又はデリバリーシステム20をその直立位置から倒した場合にウィッキング部5に損傷からの保護を与えるような様式で単一の一体成型形容器1の内部に構成される。単位用量室11(及び12)は、単一の一体成形型容器1の流体貯蔵器6(及び7)内に位置する。1つの単位用量室11(及び12)のうち一方は、デリバリーシステム20が反転されたときに揮発性材料を回収するための開口端21(及び22)を備えたカップの形をした壁23及び24(25及び26)を有することができる。単位用量室11(及び12)はいつでも、特に反転直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を含有することができる。揮発性材料8は、重力によって又は非エアゾール式ポンプ(図示せず)によって、バイパスチューブ9(及び10)及び/又はウィッキング部5を介して、相対する流体貯蔵器(6又は7)の方へ流れることができる。少なくとも1つのウィッキング開放部18(及び19)は、ウィッキング部5を流体貯蔵器6(及び7)へ貫通させることができる。単位用量室壁23及び24(25及び26)は、直立位置にある場合、又は少なくとも1つのウィッキング部5の取り込み要件に応じて前記開口部の位置又はそれより下方にある可能性がある場合、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)内のバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の上方に延びていてよい。ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)は、ウィッキング取り付け部品3(及び4)及びウィッキング部5を受けてそれらとの密封を提供するように、一体成形型容器1上のいかなる好適な場所に位置してもよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)内に配置されるので、ウィッキング部5をしっかりと保持するよう構成されてもよく、ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)は、ウィッキング取り付け部品3(及び4)及び/又はウィッキング部5を封止可能に取り囲んで、ウィッキング取り付け部品3(及び4)とウィッキング部5の接合点、又はウィッキング取り付け部品3(及び4)とウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)の接合点のいずれか、もしくは両方において、あるいはそれら接合点のいずれかもしくは両方から揮発性材料8が漏れるのを最小限にするように製造されてもよい。
【0057】
図6は、少なくとも1つのバイパスチューブ9、及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。例えば、バイパスチューブ9は、ウィッキング部5自体の内部に組み込まれてもよい。バイパスチューブ9は、ウィッキング部5の近くではあるが、ウィッキング部5と物理的に接触しない位置に置くことができ、又は実際にウィッキング部5と物理的に接触する可能性のある位置に置くことができる。1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)は、デリバリーシステム20のウィッキング部5、貯蔵器6(及び7)、及び/又は容器1(及び2)内のどこに位置してもよい。例えば、バイパスチューブ9は、ウィッキング部5と同じウィッキング開口部18(及び19)に入ることができるが、デリバリーシステム20が反転され及び/又は倒されたとき、及びそうした場合に揮発性材料8を回収するための代替の流体貯蔵器として役立つようにウィッキング部5より長く製造し、ウィッキング部5から離して配置することができる。別の例では、バイパスチューブ9とウィッキング部5の両方が同一の開口部の中を通るように、バイパスチューブ開口部15(及び17)をウィッキング開口部18(及び19)の内側に一体成形することができる。この場合、増強水準放射モード中に過剰の揮発性材料8がデリバリーシステム20から漏れるのを防ぐために、封止(図示せず)は1つだけ必要であり得る。これによって、生産コストが低減され、また封止の不具合又は漏れのおそれが減る。バイパスチューブ9は、ウィッキング部5自体の中に単に空洞を形成することによって、ウィッキング材料5から製造することもできる。同一の流体貯蔵器6(及び7)の中及び/又は同一のウィッキング部5の中に、1つ以上のバイパスチューブ9及び/又はウィッキング開口部15(及び17)があってもよい。
【0058】
図7aは、維持水準放射モードにおけるデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。デリバリーシステム20は、2つの貯蔵器78及び79と、2つのバイパスチューブ9及び10と、1つのウィッキング部5と、2つ以上の分離した別個の相61及び83から成る少なくとも1つの多相揮発性材料を有する。いかなる好適な量、密度、及び/又は粘度のいかなる好適な多相揮発性材料を使用してよい。維持水準放射モードの間、多相揮発性材料は、下部の流体貯蔵器79内に貯蔵される。分離した別個の相61及び83は、任意の好適な順番又は順序で、流体貯蔵器79から少なくとも1つのウィッキング部5への毛管現象によって空気中へ供給されてもよい。例えば、ウィッキング部5は、貯蔵器79(及び80)から両方の相を等量で汲み上げて空気中に供給することができ;また、相61を相83よりも速く、優先的に供給することができ、逆もまた同様に可能である。ウィッキング部5に、所望の相のうち一方からの流体を、静止又は平衡状態におけるもう一方の相の速度よりも速い速度で優先的に汲み上げさせて供給させるいずれかの他の方法が使用されてもよい。例えば、少なくとも1つのウィッキング部5の長さは、維持水準放射中に優先的に相61を汲み上げるが、同時に相83上では汲み上げないように流体貯蔵器80内に構成又は高さに配置されてもよい。ウィッキング部による差異に基づく吸上げを供給する他の手段としては、異なるウィッキング材料種、及び/又は設計を提供すること、並びに多相揮発性組成物中の異なる相の化学的特性を調節してウィッキング部5上での吸上げを加減することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
図7bは、増強水準放射モードにおけるデリバリーシステム20を表す。増強水準放射が望ましいとき、消費者は、デリバリーシステム20を反転させる。反転すると、(図7aの)下部の流体貯蔵器79が図7bの上部の流体貯蔵器79になる。その結果、多相揮発性材料の少なくともいくらかが単位用量室80内に回収され、その一方で、過剰の多相揮発性材料が開口部16及び17並びにバイパスチューブ9及び10を通って下部の流体貯蔵器78へ排出を開始する。少なくとも1つのバイパスチューブ開口部16及び17の位置は、消費者が単位用量室80及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を所望の流体相で満たすことを可能にする。
【0060】
消費者が知覚した多相揮発性材料の特性、及び強度は、単位用量室8内に回収されている多相組成物の分離した相61及び83を混合及び/又は置換すると変化してもよい。多相揮発性材料78のいかなる好適な物理的性質又は特性も、少なくも1つのウィッキング部5を分離して優先的に所望の相を取り込むのに使用することができる。
【0061】
多相揮発性材料の少なくとも2つの分離した別個の相の密度は、特定の揮発性材料相がウィッキング部5にどのようにして、いつ供給されるかを制御してもよい。例えば、密度の低い相61は、反転後に混合すると、バイパスチューブ9及び10に入り、密度の高い相83より早く流れるが、密度の高い相61は、適切な構造及び/又は適切な条件を与えられると、単位用量室80内の密度の低い相61のいくらか又は全てと実際に置き換わってもよい。密度の高い相83の一部が単位用量室80内の密度の低い相61の一部と置き換わると、置き換えられた密度の低い相61は、続いて下部の流体貯蔵器78に戻ってもよい。増強水準放射モードの間は、密度の高い相83は、密度の低い相61より優先的にウィッキング部5に供給され、空気中に放射される。従って、維持水準放射モードでは同じである多相揮発性材料が、増強水準放射モードの間は異なった特性及び/又は強度を示してもよい。
【0062】
同様に、多相揮発性材料(図示せず)の少なくとも2つの分離した個別の相の粘度は、特定の揮発性材料相をどのようにして、いつウィッキング部へ供給するかを制御することができる。例えば、維持水準放射中の平衡状態では、ウィッキング部は、2以上の揮発性材料のうち粘度の高い相から汲み上げるように、下部の貯蔵器内の特定の高さ又は特定の位置にあってよい。増強水準放射中に混合すると、下部の流体貯蔵器は上部の流体貯蔵器になる。粘度の低い相が粘度の高い揮発性材料よりも速く流出できることから、単位用量室は、最初は、粘度の低い相で満たすことができる。粘度の高い揮発性材料は、粘度の低い相よりもわずかに低いか又はそれと同じ密度であり、バイパスチューブの方向に向けられて、重力によって下部の流体貯蔵器で回収される。従って、増強水準放射モード中には、粘度の低い揮発性材料が、ウィッキング部に優先的に供給されて、粘度の高い相よりも大量に空気中に放射される。
【0063】
図8aは、少なくとも1つの第2のウィッキング部38を有する揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。少なくとも1つの第2のウィッキング部38は、増強水準放射を供給するため、例えば、デリバリーシステム20の反転時又は非エアゾール式ポンプによって、いつでも揮発性材料8を取り込んでもよい。第2のウィッキング部38は、増強水準放射モード中に蒸発表面積を大きくすることによって、高められた強度の揮発性材料8を空気中に供給するのを助けることができる。第2のウィッキング部38は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも製造される。例えば、第2のウィッキング部38は、平坦なワッシャ、中空の環、又はドーナツの形であってよく、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)の内側に少なくとも部分的に、例えば、図のように少なくとも1つのウィッキング開口部18及び19との接合点を丁度超えて、延びている。第2のウィッキング部38はまた、流体貯蔵器6(及び7)の内側の任意の位置まで、例えば、流体貯蔵器の内部空洞の全長まで延びていてもよく、できれば容器の底33(及び34)の内面と接触さえしていてもよい。この例では、第2のウィッキング部38は、第1のウィッキング部5と物理的に接触していてよい。
【0064】
図8bは、第1のウィッキング部5と物理的に接触していない少なくとも1つの第2のウィッキング部39を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。
【0065】
図8cは、複数個の個別のデリバリーシステムを有する複合デリバリーシステム100の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。例えば、デリバリーシステム100は、いずれかの構造の複数個の分離した容器101、102、103及び104を含み得るが、前記容器の全てが、物理的に接続されている、向かい合わせて接続されている、又は流体接続されているとは限らない。容器101と102は、容器103及び104と向かい合わせて接続されていても、及び/又は流体接続されていてもよいが、容器103及び104とは必ずしも物理的に接続されていなくてよく、更には、全てを単一のデリバリーシステム100又はハウジング(図示せず)の中に収納することもできる。容器の各ペア101と102、及び103と104はそれぞれ、少なくとも1つの貯蔵器又は貯蔵器のペア113と116、及び114と115を含んでいてもよい。貯蔵器の各ペア113と116、及び114と115は、少なくとも1つのバイパスチューブ107(及び108)上述のように向かい合った貯蔵器ペアを接続する、対応するバイパスチューブ開口部109及び111、(110及び112)を有していてよい。この実施形態では、異なる揮発性材料を、それぞれの流体貯蔵器ペアに提供することができる。例えば、揮発性材料117を貯蔵器ペア113及び116に提供すると同時に、揮発性材料118を貯蔵器ペア114及び115に提供することができる。
【0066】
個別のウィッキング部105(及び106)の位置、場所、大きさ、形、及び構造は、複合デリバリーシステム100内に収納される個別のデリバリーシステムそれぞれの要件に応じて変えてもよい。例えば、ウィッキング部105は、容器101の流体貯蔵器116の内部空洞の長さ全体に延びるが、容器102の貯蔵器113の内部空洞内では部分的にのみ延びるよう、貯蔵器116内に配置されてもよい。同様に、ウィッキング部106は、容器103の流体貯蔵器114の内部空洞の長さ全体に延びるが、容器104の流体貯蔵器115内では部分的にのみ延びるよう、貯蔵器114内に配置されてもよい。
【0067】
この構造では、異なる芳香剤を、2つの別個の維持水準放射モードの間に、それぞれ個別のデリバリーシステムから放射することができる。第1維持水準放射モード(A)では、ウィッキング部105が揮発性材料118内に浸かるのと同時にウィッキング部106が揮発性材料117内に浸かることはない。そのため、ウィッキング部105のみが動作中となり、毛管現象により揮発性材料118を放射する。増強水準放射モードが望ましいときは、複合デリバリーシステム100を反転させる。下部の流体貯蔵器115及び116が、上部の流体貯蔵器となる。増強水準放射モードでは、ウィッキング部105及び106に、揮発性材料118及び117がそれぞれ個別に取り込まれる及び/又は投与される。増強水準放射モードが完了して、揮発性材料117(及び118)がバイパスチューブ107(及び108)又はウィッキング部105(及び106)のいずれかを介して前記下部の貯蔵器ペア114(及び113)へ排出されると、第2の維持水準放射モードが自動的に開始する。
【0068】
第2維持水準放射モード(B)では、ウィッキング部106が揮発性材料117内に浸かるのと同時にウィッキング部105が揮発性材料118内に浸かることはない。そのため、ウィッキング部116のみが動作中となり、毛管現象により揮発性材料117を放射する。従って、増強水準放射の特徴は、維持水準放射(A)及び(B)の両方と異なり、前記維持水準放射(A)及び(B)もやはり互いに特徴が異なる。
【0069】
図9a、9b、9c、及び9dは、維持水準放射モードにおいて、単一の容器1、少なくとも1つの流体貯蔵器6及び少なくとも1つの投与チューブ45を有する、他の非限定的な実施形態の断面図を表す。増強水準放射モードが望ましいときは、ウィッキング部5に揮発性材料8を取り込み及び/又は投与するのに図9aのデリバリーシステム20の反転が必要である。ウィッキング部5は、少なくとも1つの流体貯蔵器6内に少なくとも部分的に位置し、少なくとも1つの流体貯蔵器6内に貯蔵されている揮発性材料8の少なくともいくらかに流体接続される。反転すると、投与チューブ入口49が流体貯蔵器6内に位置する揮発性材料8を投与チューブ45内へ回収し、投与チューブ45が揮発性材料8で少なくとも部分的に満たされた状態になる。デリバリーシステム20は、その容器の底34を下に反転させることによって直立位置に戻されると、揮発性材料8の少なくともいくらかの部分が投与チューブ45によって回収される。揮発性材料8の回収された部分は、続いて、重力によって、ウィッキング投与室54と物理的及び/又は流体的に接続され、次いでウィッキング部5及び/又は少なくとも1つの第2のウィッキング部38と物理的及び/又は流体的に接続されている投与チューブ出口51を介してウィッキング部5へ流れる。ウィッキング投与室54は、揮発性材料8が増強水準放射の供給のための反転後に投与チューブ45内に回収された揮発性材料8の少なくともいくらかを用いてウィッキング部5及び第2ウィッキング部38を湿らせることを可能にする。この実施形態における維持水準放射の供給は、反転などの機械的な行為を必要としないことに留意すべきである。反転後、ウィッキング部5の毛管現象による取り込みが自動的に復帰する。毛管現象は、デリバリーシステム20が放射プロセスで揮発性材料8を実質的に使い尽くすまで、自動的に続けることができる。
【0070】
図9aの実施形態と同様に、図9b及び9cの実施形態もまた、維持水準放射を供給するために機械的な工程を必要としない。但し、前述の実施形態とは異なり、増強水準放射は、圧搾可能なブラダ47又は非エアゾール式ポンプ48を介して揮発性材料8をウィッキング部5及び/又は第2のウィッキング部38(及び39)に取り込むことによって達成される。図9bでは、投与チューブ入口49を介して容器1の流体貯蔵器6から少なくともいくらかの揮発性材料8を汲み上げる、圧搾可能なブラダ47を使用する。揮発性材料8は、投与チューブ45内に回収され、ブラダ入口52を経由してブラダ47内に回収され、ブラダが圧搾されると、ブラダ出口53を経由して投与チューブ46へ放出される。ウィッキング部5及び任意の第2のウィッキング材料(図示せず)は、図9aにおいて前述した方法に従って、取り込む又は投与することができる。
【0071】
図9bの実施形態と同様に、図9cの実施形態では、圧搾可能なブラダ47が非エアゾール式手動ポンプ48に置き換えられる以外は同じデリバリー概念を使用している。非エアゾール式手動ポンプ48は、ポンプ入口56とポンプ出口55を有しており、非エアゾール式手動ポンプが最小限の機械運動によって使用されると少なくともいくらかの揮発性材料8がウィッキング部5及び/又は第2ウィッキング部38及び39に供給されるようなものであれば、好適なポンプヘッドを有するいかなる好適な種類、大きさ、形、及び/又は寸法であってもよい。ポンプ又は圧搾可能なブラダ装置のいずれにも噴霧器は取り付けられていない。
【0072】
図9dは、2つの分離した容器1及び50を有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。ウィッキング部5は、封止可能なウィッキング部開口部18を介して、流体貯蔵器6内に貯蔵されている揮発性材料8に流体接続されている。維持水準放射は、少なくとも1つのウィッキング部5を介した揮発性材料8の毛管現象によって空気中へ供給される。ウィッキング部5は、いかなる好適な大きさ又は長さでもよく、貯蔵器6内において容器の底34の内面に向かって延びることができる。容器50は、投与チューブ46を介して容器1に流体接続される。容器50は、投与漏斗71、投与拡散器72、回収底部73、第2流体貯蔵器57、及び第2ウィッキング部38を備えていてよい。増強水準放射が望ましいときは、容器1の揮発性材料8は、任意の好適な手段によって容器50の第2ウィッキング部38に供給されてもよい。揮発性材料8は、投与チューブ入口49を経由して投与チューブ46に供給される。揮発性材料8は、投与チューブ出口51を経由して容器51に入るが、ここで揮発性材料8は投与漏斗71によって回収され、投与漏斗71が揮発性材料8を投与拡散器72に向けさせ、拡散器72が揮発性材料8を第2ウィッキング部38に供給する。第2ウィッキング部38は、投与拡散器72及び投与漏斗71に流体接続されている。また、第2ウィッキング部38は、任意の好適な接続を介して投与拡散器72及び容器の底34に流体接続されてもよい。
【0073】
第2のウィッキング部38は、いずれかの好適な大きさ又は形であってもよい。例えば、第2のウィッキング部は、揮発性材料8が重力によって投与拡散器72から第2のウィッキング部38を通って容器の底部73へと流れる中空カップ、球体、又は環の形であってよい。第2のウィッキング部38は、いかなる好適な表面積を構成してもよい。例えば、好適な表面積は、少なくとも1つのウィッキング部5の約1〜約100倍、約1〜約50倍、約1〜約20倍、又は約1〜約5倍の範囲であってよい。ウィッキング部の表面積の増加は、ウィッキング材料の孔径を変えることによって、もしくはウィッキング材料をプリーツ状にする又は折り畳むことによってというように、いかなる好適な手段によっても提供され得る。
【0074】
図9aの実施形態と同様に、図9dの実施形態は、揮発性材料8が増強水準放射のために第2のウィッキング部38へ供給されるように容器1を反転することによって(又はいずれかの他の好適な手段によって)増強水準放射を開始することができる。投与拡散器72を介して供給された後、第2のウィッキング部38上に回収されない過剰の揮発性材料8は、第2のウィッキング部38に流体接続されている第2の流体貯蔵器57内に回収されてもよい。また、第2のウィッキング部38は、多孔質固体であって、任意の第2の流体貯蔵器57を有していてもよい。この多孔質固体は、第2のウィッキング部38自体から即座に放射されない過剰の揮発性材料8を吸収することができる。増強水準放射は、前記揮発性材料8が全て蒸発するまで続く。例えば、第2のウィッキング部38に取り込まれるか又は第2の流体貯蔵器57に貯蔵されている揮発性材料8は全て、増強水準放射の間に蒸発によって空気中に供給される。
【0075】
図10a及び10bは、大気に露出されている表面積の量に応じて多少の揮発性材料8を空気中に供給することができる調節可能な大きな表面積のウィッキング部58を有する、デリバリーシステム120の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。図10aは、ウィッキング部58の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態でのデリバリーシステム120を表す。前記平衡状態では、ばね75は圧縮されていない。平衡状態での折り畳まれた位置において、ウィッキング部58は、維持水準放射を提供する。
【0076】
特定の実施形態において、デリバリーシステム120は、調節可能な大きな表面積をもつウィッキング部58と、ウィッキング部抑制用の環60と、ばね75と、任意の制動装置(図示せず)と、ばね抑制装置(図示せず)と、任意には、穿孔を有する保護シェル121と、少なくとも1つのレバー122とを備えたウィッキングばねアセンブリを含む。穿孔を有する保護シェル121は、いかなる好適な大きさ、形、構造であってもよい穿孔(図示せず)を介して揮発性材料の制限のない放射流を可能にする、いかなる好適な材料から、いかなる大きさ、形、又は構造にでも製造されてよい。例えば、穿孔(図示せず)は、複数個のスロットであってよい。穿孔を有する保護シェル121には、ウィッキング部抑制用の環60に取り付けられたレバー122が、ばね75の圧縮に必要な長さ全体を移動させることが可能になる垂直スロット123を設けることができる。ウィッキングばねアセンブリは、増強水準放射の強度を変えるために、消費者にウィッキング部58の露出した表面積を設定又は調節させることが可能である。レバー122を用いてばね75を圧縮する間、消費者は、デリバリーシステム120を反転しなくても、増強水準放射を提供することができる。
【0077】
図10bは、最大増強水準モードのデリバリーシステム120を表す。ここでは、ウィッキング部58の表面積の最大量が大気に露出されている。ばね75は、完全に圧縮されている。ウィッキング部58は、抑制されていないときは、その最大表面積を大気に露出するために開く又は広がるように、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な形又は大きさでも製造することができる。ばね75が徐々にその平衡状態の長さに戻るにつれて、ウィッキング部の表面積は、ウィッキング部抑制用の環60によって減少する。任意のばね制動装置(図示せず)は、様々な増強水準放射の持続時間を提供することができる。ウィッキングばねがその平衡状態へ戻るとき、増強水準放射モードが停止して、維持水準放射モードが自動的に復帰する。従って、増強水準放射の持続時間及び強度は、単にレバー122を所望の位置まで押し下げることによって、消費者が制御することができる。
【0078】
図11は、安定クレードル62を有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。安定クレードル62は、デリバリーシステム20が安定クレードル62内に置かれると、好適な分配位置(例えば、直立位置)で少なくとも部分的に安定化されるような、いかなる好適な大きさ、形、又は構造を有してもよい、いかなる好適な材料から製造されてもよい。この場合の直立位置とは、垂直線からいずれかの方向に45度より大きく傾いていることを指す。例えば、安定クレードル62は、木材、金属、プラスチック、及び/又はグラスから製造することができ、また任意には、少なくとも1つの容器の底34と接触したときにデリバリーシステム20に少なくともいくらかの安定性を付与する凹領域63を有してもよい。安定クレードル62は、処置を必要としているいかなる空間又は場所(例えば、居間、台所、浴室、ガレージ、裏庭等)でもデリバリーシステム20の設置を確認することの利便性を消費者にもたらす。安定クレードル62は、消費者にデリバリーシステム20を独自のものにするため、前記構造上に装飾的な品目を配置させることを可能にしてもよい。例えば、カラーコーディネートに利用可能な複数の異なった装飾的な色を有する、着色された化粧板が選択されてもよい。装飾的な品目は、留め具、接着剤、鍵と鍵穴の装置、などのいずれかの任意の固定手段によって、安定クレードル62及び/又はデリバリーシステム20のどこに取り付けられてもよい。
【0079】
図12は、デリバリーシステム20が接触、振盪、非水平に倒すこと、ないしは別の方法によって転倒するとすぐに、転倒に対して少なくともいくらかの安定性を与えるように、いかなる好適な材料からも、いかなる大きさ、形、又は構造でも製造され得る少なくとも1つのバラスト63を有する、デリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。好適なバラスト材料の好適な形態としては、固体、液体、ゲル、粉末、顆粒、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、バラスト63は、デリバリーシステム20の転倒を減らすために好適な重量を有する任意の好適な材料を含んでもよい。バラスト63は、いかなる好適な様式(例えば、固定式、非固定式等)でデリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)に取り付けられてもよい。バラスト63は、調節を可能にするため、デリバリーシステム20上に取り外し可能に取り付けられてもよい。そのため、バラスト63は、いかなる好適な手段によっても、いかなる好適な構造でも容器1(及び2)上に配置及び/又は再配置することができる。例えば、消費者は、反転させた後で、バラスト63を下部の容器2に取り付けることができる。あるいは、製造者は、デリバリーシステム20を反転させたときに重力の作用によって上部の容器1から下部の容器2へ自動的に再配置され得るように、バラスト63を取り付けることができる。
【0080】
バラスト63は、任意の好適な機構、例えば、スライディング機構によって少なくとも1つの容器に取り付けることができる。バラスト64は、重力によって、例えば、環などの取り付け装置65を介してバイパスチューブ9(及び10)に沿ってスライドさせることによって、デリバリーシステム20の長手方向軸に沿って自由に移動することができる。あるいは、バラスト64は、スライドさせずに、例えば、バラスト64をデリバリーシステム20のいずれかの位置、例えば下部の容器の底34又はバイパスチューブ9(及び10)などにクリップで留めることによって、反転プロセスの前、その間、又はその後で、物理的に移転させることができる。好適な取り付け装置65は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも製造することができる。例えば、前記取り付け装置65は、クランプ、クリップ、環、弦、ひも、接着材料、摩擦器具、磁石、及びこれらの組み合わせであってよい。少なくとも1つのバラスト63はまた、少なくとも1つの容器1(及び2)の定位置に取り付け及び/又は接続することもできる。1つの非限定的な実施形態において、バラスト(図示せず)は、デリバリーシステム20の一構成要素内に収納された砂又はボールベアリングの形態であってよい。
【0081】
図13aは、4つのバイパスチューブ65、66、67、及び68と、少なくとも1つのウィッキング部5とを有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す斜視図である。上下を逆さまにすると、バイパスチューブ65、66、67、及び68は、いずれかの流体貯蔵器(図示せず)内に貯蔵されていた揮発性材料(図示せず)のいくらかを回収するため第2の流体貯蔵器として役立ち、それによって、デリバリーシステム20からの漏れを最小限に抑えることができる。図13bは、図13aのデリバリーシステム20を上から見た平面図である。この構造は、直立位置から倒した後でデリバリーシステム20を安定化するのに役立つ。図13cは、バイパスチューブ66及び68を通る断面図(A−A)を表す。
【0082】
図14は、少なくとも1つのバラスト70を有する外側フレーム69を有する、デリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す斜視図である。外側フレーム69は、いかなる好適な材料から製造されてもよく、いかなる好適な大きさ又は形で構成されてもよい。外側フレーム69は、いずれかの好適な手段によってデリバリーシステム20に取り外し可能に取り付けることができる。またバラスト70は、外側フレーム69に取り外し可能に取り付けられてもよい。デリバリーシステム20は、外側フレーム69から容易に取り外され、消費者によって反転された後に再び取り付けられてもよい。あるいは、デリバリーシステム20は、適切に所々で反転させることができる。例えば、外側フレーム69は、容器1(及び2)を前進させることで消費者にデリバリーシステム20を簡単に反転させることができるピボットアーム(図示せず)を設けることによって、デリバリーシステム20を反転させる手段を提供することができる。バラスト70は、必要に応じて、例えば洗浄のために、デリバリーシステム20の後で取り外して、外側フレーム69に再び取り付けることができる。
【0083】
図15aは、別のウィッキングばねアセンブリ機構を含む、デリバリーシステム20の断面積を表す。ウィッキングばねアセンブリは、少なくとも1つの伸縮自在ウィッキング部86、少なくとも1つのばね87、少なくとも1つのばね調節器88、任意的な制動装置(図示せず)、及びばね抑制装置(図示せず)を備えている。図10aの実施形態と同様に、維持水準放射モードは、伸縮自在ウィッキング部86の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態で生じる。平衡状態において、伸縮自在ウィッキング部86は、容器1の流体貯蔵器6内に含有される揮発性材料8内に浸かっている。この場合、ウィッキングばねアセンブリ75は、圧縮されて平衡がとれた状態である。
【0084】
増強水準放射が望ましいとき、伸縮自在ウィッキング部86のより大きな表面積を大気に露出する。例えば、消費者は、ばね調節器88を所望の長さまで引き出し、それによって平衡状態で露出していたよりも大きな伸縮自在ウィッキング部86の表面積を大気に露出させることによって、前記ウィッキング部の表面積を大きくすることができる。伸縮自在ウィッキング部86が完全に伸ばされたとき、ウィッキングばね75は圧縮されていない。揮発性材料8の放射速度は、ウィッキング部の露出される表面積の量の関数として増加する。露出される表面積が大きいほど、増強水準放射速度は増す。従って、消費者は、伸縮自在ウィッキング部86の露出される表面積の量を変えることによって、増強水準放射モード中に知覚される強度水準を制御する能力を有する。ウィッキングばねアセンブリ75が徐々に平衡状態に圧し戻されるにつれて、伸縮自在ウィッキング部86は、容器1の流体貯蔵器6に戻され、そこで、伸縮自在ウィッキング部86は、揮発性材料8に再び浸かって揮発性材料8を再び取り込む。従って、増強水準放射は、均一に供給することができ、揮発性材料8が使い果たされるまで消費者によって必要なだけ何度でも繰り返される。
【0085】
増強水準放射の強度を高めるいかなる他の好適な手段も有用である。例えば、特定の他の実施形態では、デリバリーシステム内の揮発性材料は、ゲル又は液状ゲルの形態(図示せず)であってよい。そのような場合、ウィッキング部は、ウィッキング部での、ばね自体での、及び/又はパドルのように、ウィッキングばねに取り付けるか又は調節することができる好適な供給装置での、揮発性ゲル組成物の取り込みを促進するように改善することができる。ゲルを取り込んだウィッキングばね自体及び/又は供給装置は、増強水準放射を供給する手段を提供することができる。平衡状態では、ウィッキング部及び/又は揮発性ゲル材料の最上層表面からの揮発性ゲル組成物の蒸発が維持水準放射モードを提供する。それとは逆に、ゲルを取り込んだウィッキングばねが、非圧縮モードで容器から引き伸ばされると(図15bの実施形態と同様)、揮発性ゲル材料のより大きな表面積蒸発が生じる。ウィッキングばねが徐々に平衡状態に戻るにつれて、増強水準放射が自動的に停止すると同時に、維持水準放射が自動的に復帰する。
【0086】
他の代替の実施形態において、デリバリーシステムは、1つ以上の揮発性材料の包み束又はパックを含有するキットを含むことができる。前述の実施形態のいかなるものも、その最初の製品を消費者に提供することに加えて、同一物の詰め替え品を提供するのに使用されてもよい。特定の非限定的な実施形態において、デリバリーシステムは、最初の製品として販売される揮発性材料以外の、又はそれらに加えて、様々な種類の揮発性材料(例えば、芳香剤組成物、悪臭低減組成物、殺虫剤、ムード増強剤組成物、又はこれらの組み合わせ)の選択肢を消費者に与えることを含んでいてよい。
【0087】
本記述全体にわたって言及したすべての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行されたいずれの特許、並びに関連して発行されたいずれの外国特許出願も)、及び公開公告の開示内容を本明細書に参考として組み込む。しかしながら、本明細書に参考として組み込まれる文献のいずれもが本発明を教示あるいは開示していないことを明言する。
【0088】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それよりも小さいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含することは理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0089】
本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明らかであろう。更に、本発明をある特定の実施形態と関連させて説明してきたが、これは説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、請求項は従来技術が可能にするのと同様に幅広く考えられるべきであることを理解すべきである。
【0090】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、下記の説明を添付図面と併せ読むことで更に理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】デリバリーシステムの断面図。
【図2】デリバリーシステムの断面図。
【図3A】デリバリーシステムの断面図。
【図3B】溝を有するデリバリーシステムの断面図。
【図4】デリバリーシステムの断面図。
【図5A】デリバリーシステムの側面図。
【図5B】蒸発表面装置の断面図。
【図5C】デリバリーシステムの断面図。
【図6】デリバリーシステムの断面図。
【図7A】デリバリーシステムの断面図。
【図7B】デリバリーシステムの断面図。
【図8A】デリバリーシステムの断面図。
【図8B】デリバリーシステムの断面図。
【図8C】デリバリーシステムの断面図。
【図9A】デリバリーシステムの断面図。
【図9B】デリバリーシステムの断面図。
【図9C】デリバリーシステムの断面図。
【図9D】デリバリーシステムの断面図。
【図10A】デリバリーシステムの断面図。
【図10B】デリバリーシステムの断面図。
【図10C】プリーツ状のウィッキング部の断面図。
【図11】デリバリーシステムの断面図。
【図12】デリバリーシステムの断面図。
【図13A】デリバリーシステムの斜視図。
【図13B】デリバリーシステムの平面図。
【図13C】デリバリーシステムの断面図。
【図14】デリバリーシステムの斜視図。
【図15A】デリバリーシステムの断面図。
【図15B】デリバリーシステムの断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性材料を空気中に放射又は放出するためのデリバリーシステムに関する。より具体的には、本発明は、蒸発表面装置を介して高いコヴァッツインデックスを示す香料成分を有する1つ以上の異なる揮発性材料を供給するためのデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心地よい香気をもたらすために、揮発性組成物を空間の中へ、例えば浴室などの家庭空間の中へ蒸発させるのに、装置を使用することは一般に既知である。このような装置の最も一般的なものは、空気清浄剤組成物の微小液滴を空気中へ押出すエアゾール容器である。別の一般的な種類の分配装置は、乾燥して小さくなるときに気化した空気処理組成物を空気中へ放出するゼラチン状物質の本体を収容又は支持する皿である。防臭剤ブロックのような他の製品は、蒸発によって空気処理蒸気を空気中へ分配するのにも使用される。別の類の蒸気分配装置は、蒸発性組成物を含浸した又はそれでコーティングされたボール紙のようなキャリア材料を利用する。様々なこのような装置が販売されており、例えば、アジャスタブル(ADJUSTABLE)(登録商標)(ダイアル社(Dial Corp.)製)又はデュエット(DUET)(登録商標)2イン1ゲル+スプレー(2 in 1 Gel + Spray)(エス・シー・ジョンソン社(S.C.Johnson)製)がある。一般に、前記装置は、香料又は芳香剤の供給源、芳香を制御するための調整可能な最上端部及び/又は噴霧器から成る。前記芳香剤の供給源内の開口部を調節すること(受け身的ディスペンサー)により、香料又は芳香剤は、装置が置かれている空間に連続的に供給される。噴霧器(能動的ディスペンサー)を適用することにより、香料又は芳香剤は、装置が供給されている空間に一時的に供給される。
【0003】
この仕組みに関わる問題点は、その空間を占める人が香料又は芳香剤にたちまち慣れて、しばらくすると、芳香剤の強さを強いと感じなくなり、あるいは全く気付かない場合もあることである。これは、習慣と呼ばれる周知の現象である。習慣問題を取り扱おうとした取り組みが、米国特許出願公開第5,755,381号(ヤザキ セイイチ(Seiichi Yazaki))に記載されている。前記ヤザキ特許は、芳香性液体から、一定期間、均一な香気濃度で香気を放射するための香気放射装置を開示している。前記装置は、分割プレートで上部区画と下部区画に区切られた容器であって、上ぶた部分と下カバー部分を貫通しているエアーチューブを有する容器を備えている。前記上部区画と下部区画とが互いに通じ合えるように、穿孔が分割プレートに設けられている。前記上部区画に空気が入ると、上部区画に保持されている芳香性液体が穿孔を通じて分割プレートの中へ流れ落ちて、下側の区画の空いている部分に蓄積する。香気を含む空気は、前記下部区画のエアーチューブから放出される。上部区画内の芳香性液体が下部区画へ完全に移動すると、香気を含む空気の放射が停止する。前記装置は、装置の容器をいつでも上下逆さまにして置くことによって繰り返し使用できる。しかしながら前記ヤザキ特許は、水時計として動作され得る装置を対象としているように思われる。すなわち、流体が上部区画から下部区画へ移動すると、この装置は香りの良い芳香剤を放射し、その後、前記流体移動が完了すると放射を停止する。前記ヤザキ特許には、香料又は香りの良い芳香剤を供給するために蒸発表面装置を使用することが記載されておらず、むしろ、ヤザキの装置の香りを含む空気は、下部区画内に位置しているエアーチューブの使用によって放出される。更に、前記ヤザキの香りの良い芳香剤は、一時的な放射として供給される。それは、明確には、連続しないように設計されている。
【0004】
蒸発表面装置機器類(ウィッキング装置、など)は、芳香剤、防臭剤、殺菌剤又は殺虫剤活性剤のような揮発性液体を空気中に分配することで周知である。典型的な蒸発表面装置は、揮発性液体を流体貯蔵器から分配するために、ウィッキング部と発散領域との組み合わせを利用する。蒸発表面装置については、米国特許第1,994,932号;同第2,597,195号;同第2,802,695号;同第2,804,291号;同第2,847,976号;同第3,283,787号;同第3,550,853号;同第4,286,754号;同第4,413,779号;及び同第4,454,987号に記載されている。
【0005】
理想的には、蒸発表面装置は、できる限り単純で、ほとんど保守の必要がなく、また揮発性材料を、指定された領域に規則的でかつ制御された速度で分配できると同時に、その放射強度を前記装置の耐用期間に渡って維持するような様式で機能すべきである。残念なことに、市販されているほとんど全ての比較的単純な非エアゾール式装置は、前記と同じ制限を欠点として有している。揮発性の高い構成成分が最初に取り除かれ、揮発性の低い構成成分が後に残るという事実に起因して、前記放射は、装置の耐用期間中に歪んでくる。前記組成のこの経時変化は、揮発性の低い構成成分ほど遅く蒸発することから、結局は芳香剤の強度を弱めることとなる。より良い空気清浄装置を考え出そうとしている者の注意の多くを占めているのは、これら2つの問題、すなわち芳香剤材料の寿命中の強度低下と歪みである。表面からの蒸発に依存する実用上全ての装置が、上記短所を欠点として有している。大抵の前記装置では、ウィッキング部、ゲル又は多孔質の表面は単に、芳香剤材料がより迅速に蒸発できる大きな表面積を提供するが、前記液体自体の表面からのように、分溜がまだ生じており、その結果、より揮発性の高い構成成分が蒸発した途端に、芳香剤の初期バーストが生じ、その後、より強度の低い期間が続く。この分溜、及び恐らくはそれと、不溶性物質の沈殿に基づくウィッキング部の目詰まりとの組み合わせに起因して、蒸発表面装置は正常に機能しなくなり始める。芳香剤が歪み始めると、前記放射強度は感知できる程度に低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性材料のデリバリーシステムの、強度制御の概念を消費者にとって望ましい価値のある方法に変換する能力に加えて、習慣化、香気低下、分溜、及びウィッキング部の目詰まりといった問題の解決策が求められている。維持水準放射に自動的に戻るのに加えて、増強水準放射が提供される方法の簡便さに関連して審美性が改善され、それによって創り出される動的で相互作用的な香気体験が、非活性な非エアゾール式の装置を非常に望ましいものにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記デリバリーシステムの多数の実施形態が本明細書に記述されているが、その全ては、非限定例であることが意図されている。本発明の一実施形態において、揮発性材料のデリバリーシステム(以下「デリバリーシステム」とする)が提供される。前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料を含み、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供する。前記揮発性材料は、1つ以上の香料成分を含み、香料成分の一部は、高いコヴァッツインデックスを有する。一実施形態において、前記香料成分の少なくとも40重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、非通電式揮発性材料デリバリーシステムが提供される。前記デリバリーシステムには、熱、ガス、又は電流の供給源がなく、また前記少なくとも1つの揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されない。前記デリバリーシステムは更に、(a)少なくとも1つの流体貯蔵器を備えた少なくとも1つの容器;(b)前記少なくとも1つの容器内に配置された少なくとも1つの蒸発表面装置開口部;(c)少なくともいくらかの長手方向の露出部を有する少なくとも1つの蒸発表面装置であって、前記蒸発表面装置開口部の中及び前記流体貯蔵器の中に少なくとも部分的に位置しており;前記蒸発表面装置は、前記揮発性材料と流体連通されており;(d)任意に、少なくとも1つのバイパスチューブ;及び(e)任意に、1つ以上の第2の蒸発表面装置を含むことができる。
【0009】
本発明の別の態様では、単一供給源、又は複数の供給源に由来する少なくとも1つの揮発性材料を含むデリバリーシステムが提供される。前記少なくとも1つの揮発性材料は、様々な揮発性材料、並びに非揮発性材料を、いかなる量で含有する組成物であってよい。前記1つ以上の揮発性材料は、デリバリーシステムの耐用年数に渡って様々な揮発度を有していてよい。消費者は、均一な放射を提供するため、及び例えば悪臭防止のために所望の嗅覚効果の認識を高めるために、蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量を制御することができる。本明細書に記載されるデリバリーシステムは、回収ボウル、ポンプ、及びばね作用装置を包含するが、これらに限定されない、いかなる種類の投与装置をも含み得る。また、本発明のデリバリーシステムは、横転したとき揮発性材料の流出を抑えるよう構成されてもよい。
【0010】
本発明の更に別の態様では、キットが提供される。前記キットは、(a)包装;(b)使用説明書;及び(c)少なくとも1つの揮発性材料を含むエネルギー源を要しない揮発性材料のデリバリーシステムを備え、前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供し、前記デリバリーシステムには熱、ガス又は電流の供給源がなく、前記揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、揮発性材料を空気中に放射又は放出するためのデリバリーシステムに関する。幾つかの実施形態において、本発明は、維持水準放射モード中及び/又は増強水準放射モード中に少なくとも1つの揮発性材料を供給するデリバリーシステムに関する。添付の図面を見れば、本明細書に記載の前記デリバリーシステムの実施形態が多数あることを理解できるはずであるが、それらは全て、非限定的な例とするものである。
【0012】
定義
本明細書で使用する時、「揮発性材料」という用語は、揮発可能な材料、又は揮発可能な1つ以上の材料を含む別個のユニットに言及するか、あるいはエネルギー源を必要とせずに揮発可能な材料を含む。いかなる量又は形態の、いかなる好適な揮発性材料も使用することができる。したがって、用語「揮発性材料」には、もっぱら単一の揮発性物質から成る組成物が包含される(が、これらに限定されない)。用語「揮発性材料」はまた、1を超える揮発性構成成分を有する組成物に言及すること、及び前記揮発性材料の構成物質の全てが必ずしも揮発性ではないことを理解すべきである。したがって、本明細書に記載の揮発性材料は、非揮発性構成成分を有していてもよい。前記揮発性材料が本明細書中で「放射される」又は「放出される」と記載される場合、これは、前記揮発性構成成分の揮発に言及することと、前記非揮発性構成成分が放射される必要性はないことも理解すべきである。本明細書において重要な揮発性材料は、限定されるものではないが、固体、液体、ゲル、及びこれらの組み合わせを包含する任意の好適な形態であり得る。前記揮発性材料は、カプセルに封入され、蒸発表面装置(例えば、蒸発表面装置)において使用され、揮発性材料を含浸させた又は含有する多孔質材料、及びこれらの組み合わせのようなキャリア材料と組み合わせてもよい。いかなる好適な量又は形態の、いかなる好適なキャリア材料をも使用することができる。例えば、デリバリーシステムは、1つ以上のキャリア材料(例えば、水、溶媒、など)中の1つ以上の供給源からの単相組成物、多相組成物及びこれらの組み合わせを含む揮発性材料を含有していてよい。
【0013】
本明細書で使用する時、「揮発性材料」、「香気」及び「放射」という用語は、限定されるものではないが、心地よい、又は芳しい匂いを包含し、そのため、芳香剤類、空気清浄剤類、脱臭剤類、消臭剤類、悪臭中和剤類、殺虫剤類、防虫剤類、薬物類、消毒剤類、殺菌剤類、ムード増強剤類(mood enhancers)、及びアロマセラピー助剤類として機能する材料、もしくは他の任意の好適な目的のため空気又は環境を状態調整、変性、さもなければ空気又は環境を満たすように作用する物質を用いることをも包含する。限定されるものではないが、香料、芳香物質、及び放射された物質を包含する特定の揮発性材料は、多くの場合、(前記揮発性材料の回収物から成る独特の及び/又は別個のユニットを形成する可能性のある)1つ以上の揮発性組成物を含むことを理解すべきである。例えば、悪臭防止組成物としては、臭気中和材料、臭気遮断材料、臭気マスキング材料、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「コヴァッツインデックス」(KI、又は保持指数)は、クロマトグラフのカラム上の溶質類又は香料原料(PRM)類の選択的保持によって定義される。主として、カラム固定相及び溶質類又はPRM類の性質により判断する。あるカラムシステムにおいて、PRMの極性、分子量、蒸気圧、沸点及び固定相の性質が、保持の程度を決定する。あるGCカラム上の検体の保持を系統的に表すために、コヴァッツインデックス(又は保持指標)と呼ばれる指標を定義する。コヴァッツインデックス(KI)は、カラム上の検体(又はPRM)の揮発特性と、同一カラム上のn−アルカン系の揮発特性との関係を位置づけたものである。用いられる典型的なカラムは、DB−5及びDB−1である。
【0015】
この定義により、ノルマルアルカンのKIは100nに設定され、ここでnはn−アルカンの炭素原子数である。この定義を用い、PRMのコヴァッツインデックスは、補正保持時間t’n及びt’ Nをそれぞれ有する炭素原子数n及びNの2つのn−アルカンの間に、xが時間t’で溶出される場合、以下のように計算する。
【0016】
【数1】
【0017】
デリバリーシステムは、香油の形態の揮発性材料を含有することができる。最も常套的な芳香剤物質は揮発性精油である。前記揮発性材料は、一般に香料の供給元から市販されている1つ以上の揮発性有機化合物を含んでいてよい。更に、前記揮発性材料は、合成的又は自然に形成された材料でもあり得る。例として、ベルガモット、橙、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、ニオイヒバ、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、マヨラナ、プチグレン、ヌマヒノキ、パチョリ、ラバンジン、ネロリ、ローズアブソリュートなどの油が挙げられるが、これらに限定されない。放射された物質又は芳香剤の場合、異なる揮発性材料が、類似であるか、関連しているか、相補的であるか、又は対照的であることがある。
【0018】
更に、本発明のデリバリーシステムの重量の力を借りる性質は、これまで蒸発システムに利用可能だったものより広い範囲の香料成分を使用する機会を提供する。香料の液体要素全てが重力によってウィッキング部を通って取り出されることから、より重い(高いKIを有する)香料成分は、典型的な問題を生じることなく使用され得る(つまり、それらは、容器の底に沈殿するのであって、他の香料成分と同じ速度で蒸発するのではない)。
【0019】
本発明の一実施形態において、揮発性物質は、香料成分(香料原料‐「PRMs」とも呼ばれる)を包含し、その一部は、高いコヴァッツインデックス(KI)を有する。好ましくは、香料成分の約40パーセント(重量比)が1500以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(5%フェニル‐メチルポリシロキサンを非極性シリコーンの固定相として測定されるとおり)。より好ましくは、香料成分の約50パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約60パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。別の実施形態においては、香料成分の少なくとも約5パーセント(重量比)が1800以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(5%フェニル‐メチルポリシロキサンを非極性シリコーンの固定相として測定されるとおり)。より好ましくは、香料成分の少なくとも約7パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約10パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。
【0020】
一実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、60%以下のPRMを含有し、及び
● KIが1500を超え、1800未満の場合、35%以下のPRMを含有し、
● KIが1800を超える場合、5%以下のPRMを含有する。
【0021】
別の実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、50%未満のPRMを含有し、及び
● KIが1400を超え、1800未満の場合、43%以下のPRMを含有し、
● KIが1800未満の場合、7%未満のPRMを含有する。
【0022】
一実施形態において、揮発性組成物は、
● KIが1400未満の場合、40%以下のPRMを含有し、及び
● KIが1400を超え、1800未満の場合、50%以下のPRMを含有し、
● KIが1800を超える場合、10%以下のPRMを含有する。
【0023】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、極性が高い、又は、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、及びこれらの組み合わせのような親水性の機能性を含有する。有用な香料成分の非限定的実施例として、バニリン、エチルバニリン、クマリン、PEA(フェニルエチルアルコール)、クミンアルコール、ケイ皮アルコール、オイゲノール、オイカリブトール、シス‐3‐ヘキセノール、2‐パテノイク(patenoic)酸メチル、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラノール、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、カビトール(cabitol)、セロール、テルピネオール、エチルバニリン、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、パチョリアルコール、メントール、イソメントール、マルトール、エチルマルトール、ネロール、イソ‐オイゲノール、パラ‐エチルフェノール、ベンジルアルコール、サビノール、及びテルピネン‐4‐01、並びに上述の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の別の実施形態において、香料成分の一部は、実体性が高い。このような香料成分としては、ベンジルサルアシレート、ヘルコリンD、メチルアビエテート、シンナミルフェニルアセテート、及びエチレンブラシレートの液体形態を挙げてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、非常に「敏感」(又は不安定)である。本文脈において用語「敏感」が指すものとして、エステル類、ラクトン類、及びアセテール類/ケタール等のように、熱誘導の分解反応により生じる構成成分が挙げられる。また、本文脈において用語「敏感」が指すものとして、シッフ塩基の形成、エステル形成、脱水反応、重合反応等のような不揮発性種を形成するための縮合反応により生じる構成成分が挙げられる。このような香料成分としては、芳香族アルデヒド類、D‐ダマスコーン類、及びイオノン類を含む、フロールアセテート、ラクトン、メチルアントラニル酸塩の液体形態が挙げられる。
【0026】
しかしながら、放射の習慣化の問題を避けるための試みに異なる揮発性材料が使用されている場合、揮発性材料が余りに類似しているのは望ましくないことがあり、そうでなければ、前記放射を経験している人は、異なる放射が放射されていることに気付かない場合がある。異なる放射は、共通のテーマ又は何か他の方法により相互に関連付けられたものとすることができる。異なるが相補的な放射の例は、桂皮の放射とリンゴの放射であろう。例えば、異なる放射は、それぞれが異なる揮発性材料を提供する複数のデリバリーシステムを用いて提供することができる(例えば、じゃこう、フローラル、フルーツの放射、など)。
【0027】
特定の非限定的な実施形態において、揮発性材料の維持水準放射は、実質的に全ての揮発性材料がデリバリーシステム供給源から同時に使い尽くされるまで、均一な強度を示すことができる。言い換えると、維持水準放射の特徴を示す場合、均一性は、前記揮発性材料のデリバリーシステムの耐用期間中実質的に一定の揮発度という言葉で表すことができる。維持水準放射に係る「連続的な」という用語は、全ての揮発性材料が実質上使い果たされるまで連続して放射する均一な維持水準放射モードを提供すること(及び、所望により、このことが、前記揮発性材料の供給源が1つ以上ある場合でもほぼ同時に生じること)がデリバリーシステムには望ましいが、前記維持水準放射には、放射が途切れている期間も包含され得ることを意味する。前記維持水準放射の供給は、いずれかの好適な長さの期間とすることができ、以下の期間を包含するが、これらに限定されない:30日、60日、90日、より短い又はより長い期間、あるいは30〜90日の間のいずれかの期間。
【0028】
特定の他の非限定的な実施形態において、増強水準放射モードが人的相互作用によって作動するとき、より高い、所望により均一な、強度の揮発性材料が好適な放射期間に渡って放射され、そのとき、デリバリーシステムは、更なる人的相互作用を伴わずに、維持水準放射モードでの揮発性材料の供給へ自動的に戻ることができる。増強水準放射に関する「一時的な」という用語は、増強水準放射が、人的相互作用によって作動及び/又は制御された後で、限られた時間、より高い強度で放射されるのが望ましいが、前記増強水準放射には、放射が途切れている期間も包含され得ることを意味する。理論に縛られるものではないが、増強水準放射の強度が高いほど、多数の因子に左右されると考えられる。これら因子の幾つかとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:前記揮発性材料の「香料効果」;増強水準放射を提供するために蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量;増強水準放射のために供給源から入手可能な揮発性材料の供給速度;及び増強水準放射の供給中の蒸発表面装置の利用可能な表面積。
【0029】
いかなる好適な揮発性材料、並びにいかなる好適な揮発性材料容量、供給速度、及び/又は蒸発表面積も、増強水準放射の強度を高める及び/又は制御するために使用されてもよい。好適な容量、供給速度、及び表面積は、増強水準放射が維持水準放射より高いか又はそれと同等の放射強度を示すものである。例えば、より多くの容量の揮発性材料を蒸発表面装置へ提供することによって、消費者が増強水準放射の強度を高める及び/又は制御することもできる。蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量は、特定の容量を有する特定の投与装置を用いて制御することもできる。特定の容量を蒸発表面装置の中へ推し進めるために、回収ボウルを使用してもよい。回収ボウルは、いかなる好適な材料、大きさ、形又は構造でも製造でき、またいかなる好適な容量の揮発性材料をも回収することができる。例えば、デリバリーシステムは、単位用量室などの回収ボウルを含んでいてよく、それを、増強水準放射を作動するため少なくともいくらかの揮発性材料で少なくとも部分的に満たすことができる。前記単位用量室は、制御された容量の揮発性材料を蒸発表面装置などの蒸発表面装置へ提供する。他の投与装置としては、ポンプ及びばね作用の装置を挙げることができる。
【0030】
「蒸発表面装置」という用語には、揮発性材料の少なくともいくらかを蒸発させることが可能ないかなる好適な表面が包含される。いかなる好適な大きさ、形、形態、又は構造を有するいかなる好適な蒸発表面装置も使用することができる。好適な蒸発表面装置は、限定されるものではないが、天然物質、人工物質、繊維性材料、非繊維性材料、多孔質材料、非多孔質材料、及びこれらの組み合わせを包含する任意の好適な材料から製造される。本明細書において使用される蒸発表面装置は、燃えない性質であって、いかなる種類(例えば、液体)の揮発性材料(芳香剤、脱臭剤、消毒剤、又は殺虫剤活性剤のような)をも空気中に分配するために使用されるいかなる装置をも包含する。特定の非限定的な実施形態において、典型的な蒸発表面装置は、ウィッキング部、ゲル、及び/又は多孔性表面の組み合わせと、揮発性液体を液体/流体貯蔵器から分配するための発散領域とを利用する。
【0031】
上述のように、供給速度又は蒸発表面積におけるいかなる好適な増大も、増強水準放射の強度を高める及び/又は制御するのに有用である。「供給速度」は、揮発性材料が、貯蔵用の容器又は流体貯蔵器に戻る前に蒸発表面装置上で蒸発すべき時間に関する。揮発性材料を蒸発表面装置へ供給するための好適な手段として、反転、ポンプ作用、又はばね作用装置の使用によるものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、強度を上げるために、デリバリーシステムに1つ以上の(第1のウィッキング部又は第2のウィッキング部のような)蒸発表面装置を付加して表面積を大きくしてもよい。第2の蒸発表面装置の表面積は、第1の蒸発表面装置の表面積よりも約1〜約100倍大きな範囲に及ぶことがある。所望により、第2の蒸発表面装置は、他の蒸発表面装置と液体連通することができる。
【0032】
特定の非限定的な実施形態において、増強水準放射は、第1の蒸発表面装置及び/又は第2の蒸発表面装置の両方からの揮発性材料放射を含んでもよい。増強水準放射は、任意の好適な放射持続時間の増強放射プロファイルを示すことができる。例えば、好適な増強水準放射持続時間としては、以下の持続時間が挙げられるが、これらに限定されない:10分間以下;又は約10分〜約2時間まで;あるいは、約2時間〜約24時間まで。
【0033】
幾つかの非限定的な実施形態において、デリバリーシステムは、蒸発表面装置における揮発性材料の流れ方向を周期的に逆転させることによって、長期に渡ってその特徴性能を維持することができる。例えば、長期間に渡るデリバリーシステムの特徴性能が、少なくとも1つの揮発性材料の分溜(分割効果、など)のために、又はウィッキング部の目詰まりによって、低下することがある。分溜とウィッキング部の目詰まりの両者に対する解決策は、好適な持続時間の間に蒸発表面装置における好適な流れの逆転を提供することである。例えば、蒸発表面装置の好適な流れの逆転は、増強水準放射の作動と好適な持続時間に亘る放射とから成ることがある。この場合、反転もしくはポンプ作用から、又はばね作用によって結果として生じる蒸発表面装置の揮発性材料の流れの逆転は、望ましくない不溶性の沈殿、分溜及び/又は分割効果のいくらかを取り除くのに十分な様式で、ウィッキング部を実質的に洗い流すことができる。従って、特徴性能は、増強水準放射の間にウィッキング部を洗い流すことによって少なくとも部分的に修復される。この方法では、デリバリーシステムに含まれる異なる揮発性材料の全体を感知することによる動的で相互作用的な嗅覚的経験が簡単な工程であることを、消費者が新たに感じることができる。
【0034】
他の非限定的な実施形態において、本明細書に記載のデリバリーシステムは、香りを与えること、悪臭防止、及び防虫のようなことのために使用することができる。例えば、室内、又は所望によりピクニックテーブルの上などの戸外に置く場合、近くにいる虫の数に応じて放射水準を調節することによって防虫、更には香りを与えること及び悪臭防止が達成できる。虫による不快感があまりないときは、消費者を心地よくさせるのには維持水準放射で恐らく十分である。しかしながら、複数の蚊やサシバエなど、多数の虫が苦になるとき、消費者は、増強水準放射を供給するように選択することができる。
【0035】
図面
図1は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)を備えた少なくとも1つの容器1(及び2)と、少なくとも1つのウィッキング部5と、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)と、少なくとも1つの揮発性材料8とを含む、デリバリーシステムの非制限的な実施形態を示す断面図である。当該デリバリーシステム及びその構成要素は、いかなる好適な大きさ、形、構造、又は種類でも、及びいかなる好適な材料からも製造されてよい。好適な材料としては、金属、ガラス、天然繊維、セラミック、木材、プラスチック、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。容器1(及び2)は、目視検査に付されるだけでなく、使用中に消費者によって持ち上げられて操作されるので、デリバリーシステム20の外面を構成してもよく、又は容器1(及び2)は、シェル(図示せず)の中に収納されてもよい。ウィッキング部5は、少なくともいくらかの部分が大気に露出している。ウィッキング開口部18(及び19)は、いかなる使いやすい大きさ及び形とすることもでき、また容器1(及び2)のどこに位置していてもよい。少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)は、維持水準放射及び/又は増強水準放射モードの間に、少なくとも1つのウィッキング部5から揮発性材料8を空気中へ供給する手段を可能にする。特定の非限定的な実施形態において、容器1(及び2)は、望ましくは視覚的に魅力がある外側シェル(図示せず)であって、蒸発性の分配を行っている間、最大効力のための使用範囲内の見える所に置いておくことができる好適な寸法の外側シェル(図示せず)の中に収納されていてよい。1つ以上の容器1及び2がある場合、これらは、図に示すように向かい合わせて接続及び/又は流体接続されていてよい。
【0036】
1つの非限定的な実施形態において、容器1及び2は、少なくともいくらかの長手方向の大気への露出部分を有するウィッキング部5を備えた蒸発表面装置を介して流体連通している。容器1(及び2)は、デリバリーシステム20の他のいずれかの好適な構成要素に取り付けられていてもよい。例えば、容器1及び2は、互いに、ウィッキング部5を介して、シェル又はハウジング(図示せず)の一部として、又は他の任意の好適な手段によって取り付けられていてもよい。ウィッキング部5は、ある時間少なくともいくらかの揮発性材料8と流体接触している。揮発性材料5は、流体貯蔵器6又は7のどちらかに貯蔵できる。ウィッキング部5の長手方向部分は、維持水準放射モード及び増強水準放射モードの両方の期間に揮発性材料8の好適な放射速度を可能にするのに十分な露出したウィッキング部5表面積を提供する。容器1及び2とそれらの関連する流体貯蔵器6及び7は、接続された時点で、ウィッキング部5を介して又はいずれかの他の好適な手段(例えば、閉じた経路又は管)によって、互いに流体連通することができる。放射のために蒸発表面を提供することの他に、容器1及び2をウィッキング部5と接続する別の目的は、消費者がデリバリーシステム20を反転させたときに、蒸発又は放射されない過剰の揮発性材料8が上部の容器1から重力によって、下部の容器2内で回収及び貯蔵されるためにほとんど漏れずに移動するための道を提供することである。
【0037】
ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、少なくともいくらかの揮発性材料8をデリバリーシステム20内に保持するための封止として機能してもよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5及び/又はいずれかの構成要素をデリバリーシステム20内のいずれかの構成要素に密閉可能に取り付けるように、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも、いかなる好適な材料からも製造されてよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5がデリバリーシステム20の非ウィッキング部分から揮発性材料8を実質的に漏らすことなく取り込んで投与するのを助けるように、デリバリーシステム20のいかなる部分にも取り付けられてよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング開口部18(及び19)の中に挿入することができ、ウィッキング開口部18(及び19)は、ウィッキング部5又は他のいずれかの好適な構成要素(図示せず)がウィッキング開口部18(及び19)を通って流体貯蔵器6(及び7)の少なくとも一部に入ることができるように、容器1(及び2)表面上のいずれかの好適な場所に位置している。少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)及びウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング部5及び任意の他の構成要素の両方に適応でき、及び消費者がデリバリーシステム20を反転又は転倒させた場合に、デリバリーシステム20からの過剰の揮発性材料8の漏れを最小限にするような大きさにする。
【0038】
ウィッキング部5は、少なくともいくらかの部分を大気に露出させることによって揮発性材料8の放射を可能にするウィッキング部として機能するように、いずれかの好適な材料から、いずれかの好適な大きさ、形、又は構造で製造することができる。ウィッキング部5は、容器1(及び2)内のいずれかの好適な場所に位置していてよい。ウィッキング部5は、容器1(及び2)、ウィッキング開口部18(及び19)、及び/又はウィッキング取り付け部品3(及び4)の中に少なくとも部分的に配置されていてよく、容器1(及び2)の流体貯蔵器6(及び7)内に貯蔵されている揮発性材料8と流体接続され得る。ウィッキング部5は、流体貯蔵器6(及び7)の内側で、容器の底33(及び34)に向かって延びていてよい。それとは逆に、ウィッキング部5は、デリバリーシステム20の全耐用年数に渡って維持水準放射モード中に、少なくとも一方の流体貯蔵器6(又は7)内のたとえ少量の揮発性材料8とでも流体接続を維持する、いかなる好適な長さとしてもよい。容器1(及び2)の内側又は外側では、特別なウィッキング部5の長さ要件はない。少なくとも1つのウィッキング部5を、流体貯蔵器6(及び7)内の所望の内部深さに配置することができる。少なくとも1つのウィッキング部5は、任意に、揮発性材料8の放射供給を最大にするために、流体貯蔵器6及び7の両方の内部の長さ全体を占有することができる。
【0039】
ウィッキング部5は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)の位置で、ウィッキング取り付け部品3(及び4)を介して容器1(及び2)と密封可能に固定される。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング開口部18(及び19)を通過するウィッキング部5及び他の好適な構成要素の少なくとも一部を密封可能に保持することができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、貯蔵中、反転、ポンプ作用の後、又はばね作用によって、あるいは倒れた場合に、ウィッキング部5の取り込み又は投与中に、デリバリーシステム20からの揮発性材料8の望ましくない漏れを防ぐように、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)及び少なくとも1つのウィッキング部5のそれぞれの周りにぴったりと固定することができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、とりわけ、使用していない時に、揮発性材料8の望ましくない揮発を最小限にするように、いずれかの手段(例えば、摩擦、接着剤など)で容器1(及び2)に取り付けることができる。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、任意に、ウィッキング部5の取り込みを助けるように、いずれかの好適な場所に通気孔(図示せず)を開けることができる。
【0040】
維持水準放射モードの間、デリバリーシステム20を直立位置などの適切な配置で安定化及び/又は保持するのに役立つ、少なくとも1つの容器の底33(及び34)があってよい。デリバリーシステム20は更に、揮発性材料を容器1(及び2)の中に含有させるための追加的な再密閉可能な封止(図示せず)を含んでいてよい。デリバリーシステム20は更に、製造者又は消費者が望む場合、例えば、販売前又は香りを与えようとする部屋から長期間離れる間のように揮発性材料8が放射するのが望ましくない場合には、上述の1つ以上の揮発性材料8を含有する少なくとも1つのウィッキング部5及び/又はデリバリーシステム20を覆うための包装用封止(図示せず)を有していてもよい。
【0041】
図2aは、少なくとも1つのバイパスチューブ9(及び10)及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非制限的な実施形態を示す断面図である。上述のように、容器1及び2は、少なくともいくらかの揮発性材料8を含有するための流体貯蔵器6及び7を有し、少なくとも1つのウィッキング部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を介して流体接続されている。バイパスチューブ9(及び10)は、いずれかの大きさ、形、又は構造を有するバイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)を介して容器1(及び2)に接続することができる。バイパスチューブ9(及び10)は、容器1(及び2)の一体型の構成要素として形成されていてよく、又は容器1(及び2)に追加される別個の構成要素として提供されてもよい。バイパスチューブ9(及び10)は、液漏れしないいずれかの構造で容器1(及び2)及び/又は流体貯蔵器6(及び7)を適切に封止できるか又はそれらと適切に接続できるように、容器1(及び2)と適合し得るいずれかの好適な材料から製造することができる。バイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)は、バイパスチューブ9(及び10)を介して流体貯蔵器6及び7の間で揮発性材料8の直接的な流体連通を可能にする。バイパスチューブ9(及び10)、並びにバイパスチューブ開口部14及び16(15及び17)は、いずれかの好適な種類の所望の流れを可能にするように配列することができる。バイパスチューブ9(及び10)ならびに/又はバイパスチューブ開口部14、15、16、及び/もしくは17は、これら構造体を通過するいずれかの流体の開放性の流れ、一方向の流れ、制限された流れ、又はこれらの組み合わせを提供するように、それぞれ構造的に改善することができる。例えば、バイパスチューブ開口部14及び17は無制限の流れをもたらすことができるが、バイパスチューブ開口部15及び16は、流体を一方向のみから回収するか又は滴下などの審美的効果を与えるために縮小された流れを有するように製造されていてよい。この独特な流れ構造は、揮発性材料8の改善された流れがデリバリーシステムに注目を集めることができることから、消費者に特異な視覚的興味を提供する能力をデリバリーシステム20に与える。各容器1(及び2)は、少なくともいくらかの揮発性材料8がデリバリーシステム20内においていずれかの特定の場所でいつでも存在できるように、1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)の一部を担うことが可能である。このような容器1(及び2)は、例えば、反転もしくはポンプ作用により、又はばね作用によってウィッキング部5の取り込み又は投与を行った直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を流体貯蔵器6と流体貯蔵器7の両方に保持することができる。揮発性材料8自体は、いずれかの好適な補助剤成分をいずれかの好適な量で又はいずれかの好適な形態で含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、及びスペックルは、とりわけ、改善された流れ構造中に消費者が観察する場合に、追加的な審美的効果を与えることができる。
【0042】
バイパスチューブ9(及び10)はまた、特定量の揮発性材料8を回収するための追加的な流体貯蔵器としても、及び/又は混合、ポンプ作用又は反転後に特定の容量の揮発性材料8の一部を向かい合った流体貯蔵器6と7の間で迂回させる手段としても機能することができる。例えば、デリバリーシステム20がその底34を垂直な直立位置から水平な位置へ倒された場合、デリバリーシステム20は、少なくとも1つのバイパスチューブ9又は10が流体貯蔵器6及び7それぞれから少なくともいくらかの揮発性材料8を回収することができるような構成で休止するように設計されてよい。この場合、バイパスチューブ9又は10は、追加的な流体貯蔵器の役目をして、揮発性材料8がデリバリーシステム20から不必要にこぼれる及び/又は漏れる可能性を低減する。
【0043】
ウィッキング開口部18(及び19)は、容器1(及び2)の外面上のどこに配置してもよい。例えば、ウィッキング開口部18(及び19)は、容器の底33(及び34)の面と平行な面上にあるように、容器1(及び2)の外面上に配置することができる。単位用量室11(及び12)は、容器1(及び2)の内側のどこに位置していてもよく、一般には、流体貯蔵器6(及び7)の内側にある。単位用量室11(及び12)は、少なくとも1つのウィッキング開口部18(及び19)の最も上部の領域とバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の最も下部の領域との間の、流体貯蔵器6(及び7)の内側に創られた内部容積で画定される。単位用量室11(及び12)は、少なくとも1つの流体貯蔵器6及び7の大きさ、少なくとも1つのウィッキング部5が占める容積、及びデリバリーシステム20を反転させたときに少なくとも1つの単位用量室11及び12へ供給される揮発性材料8の量に応じて変えることができる。特定の非制限的な実施形態においては、消費者は、単位分の容積の取り込み及び/又は投与を調節することによって、単位用量室11(及び12)を介してウィッキング部5へ供給される揮発性材料8の容量を制御することができる。このことは、例えば、ポンプ送りされる揮発性材料8の量を調節することによって、又は容器1(及び2)の反転を操作することによって、又はいずれかの他の好適な手段によって達成できる。
【0044】
デリバリーシステム20は、反転させると、少なくとも1つの単位用量室11内に回収されない、又は少なくとも1つのウィッキング部5によって吸収されない、及び/又は少なくとも1つのウィッキング部上に取り込まれる過剰の揮発性材料8を、容器2内に回収及び貯蔵するため、容器1の上部の流体貯蔵器6からバイパスチューブ開口部14及び15を介してバイパスチューブ9及び10によって下部の流体貯蔵器7へ送ってもよい。例えば、単位用量室10(及び11)は、デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)を反転させると、揮発性材料8の少なくともいくらかを含有してもよい。デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)をその直立位置から反転させる及び/又は倒させるときに、バイパスチューブ9(及び10)は、1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)から、少なくとも1つの単位用量室11 9及び12)から、及び/又はウィッキング部5から放出される揮発性材料8のいくらかで満たされる。
【0045】
上部の流体貯蔵器6内の単位用量室11に少なくともいくらかの揮発性材料8を少なくとも部分的に満たす、取り込む及び/又は投与する場合、単位用量室11は、制御された容量(例えば、単位用量)の揮発性材料8をウィッキング部5へ供給して、空気中へ増強水準放射を提供する。蒸発も放射もされない、その過剰の揮発性材料8は、ウィッキング部5によって運ばれて、ほとんど漏れずに下部の流体貯蔵器7に回収される。デリバリーシステム20はまた、複数の制御された容量及び/又は単位用量を供給して、香りを与えること、悪臭の防止、防虫、場の雰囲気の設定、及びこれらの組み合わせという1つ以上の目的のために複数の増強水準放射を開始させることも可能である。投与プロセスによって、消費者は、例えば悪臭の防止などが必要な時にいつでも、一時的な増強水準放射を空間に供給することができる。
【0046】
ウィッキング部5の投与は、いずれかの好適な手段によって、例えば、反転により、ブラダ(bladder)を圧搾することにより、非エアゾール式のポンプ作用により、又は熱、ガス、もしくは電流を使用すること以外のいずれかの他の好適な手段により行うことができる。例えば、消費者がデリバリーシステム20を単に上下逆さまにして、容器の底33(及び34)を下にしてデリバリーシステム20を設置する場合、反転によって投与が生じ得る。従って、反転すると、下部の流体貯蔵器(6又は7)内に元々貯蔵されていた揮発性材料8は一時的に、上部の流体貯蔵器(6又は7)の中に位置する。揮発性材料8は即座に上部の流体貯蔵器(6又は7)から排出され始め、重力によって単位用量室(11又は12)、ウィッキング部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を通って下部の流体貯蔵器(6又は7)へ移動する。揮発性材料8が単位用量室11(及び12)に回収されると、揮発性材料8は、大気に露出しているウィッキング部5の部分に沿って重力によって少なくとも1つのウィッキング部5へ供給されることから、増強水準放射が開始する。制御された容量の揮発性材料8が単位用量室11(及び12)を介して1つのウィッキング部5へ供給される場合、増強水準放射は、揮発性材料8の揮発度の点からみると、デリバリーシステム20の耐用時間の一部分に亘って実質的に均一であり得る。
【0047】
1つの非限定的な実施形態では、単位用量室11(及び12)からウィッキング開口部18(及び19)及びウィッキング部5を通って移動する、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の単位用量の少なくともいくらかが、空気中に放射される。単位用量のうち、放射されない部分は、ウィッキング部5及び/又はウィッキング開口部19(及び18)を介して下部の流体貯蔵器(6又は7)に戻すことができる。上部の流体貯蔵器(6又は7)内の単位用量室11(及び12)が重力によって排出されると、増強水準放射は、単位用量が放射されるか又は下部の流体貯蔵器(6又は7)に移動するまで、ゆっくりと減衰し始める。増強水準放射が停止すると、維持水準放射が自動的に復帰する。維持水準放射モードにおいて、ウィッキング部5は、下部の流体貯蔵器(6又は7)に貯蔵された揮発性材料8を毛管現象によって、大気に露出されているウィッキング部の少なくともある部分まで汲み上げる。例えば、揮発性材料8は、ウィッキング開口部18及び19の間の、露出された長手方向のウィッキング部5表面の全体(又はそのいずれかの部分)から放射され得る。
【0048】
図3aは、バイパスチューブ9及び10、及び/又はウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。この実施形態では、バイパスチューブ9及び10は、デリバリーシステム20を配置し易くするための便利な凹状の手懸り部を作製するような様式で、またデリバリーシステム20がその直立位置から反転及び/又は倒されてその容器の底33(及び34)を下にして置かれない場合はウィッキング部5に損傷からの保護を与えるような様式で構成される。
【0049】
1つの非限定的な実施形態において、増強水準放射のための単位用量室の容量は、下部の流体貯蔵器(6又は7)へ戻るように導くためのバイパスチューブ9(及び10)では回収されない、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の容量で定義できる。単位用量室壁23、24、25及び26は、貯蔵器6(及び7)及び/又は容器1(及び2)の内側のどこにでも設定及び位置することができる。例えば、単位用量室12は、バイパスチューブ開口部16及び17の下方に構成される室壁25及び26を有してもよい。そのとき、単位分の容量が単位用量室壁25及び26の開口端22によって回収される。これとは逆に、他の構造の室壁も有用である。例えば、単位用量室11によって回収される単位分の容量は、バイパスチューブ9(及び10)及び/又はバイパスチューブ開口部14及び15の構造と無関係であってもよい。単位用量室11は、バイパスチューブ開口部14及び15の位置より上方に延びる壁23及び24を有する流体貯蔵器6内に位置してもよい。ここで、上部の貯蔵器6内にある揮発性材料8の単位分の容量は、デリバリーシステム20の反転、ポンプ作用時、又はばね作用によって単位用量室壁23及び24の開口端21を介して単位用量室11内に回収されてもよい。
【0050】
更に、いかなる好適な大きさ、形、構造のいかなる追加的な構成要素、又は2つの容器1及び2を繋ぐ又は噛み合わせるための材料、又はデリバリーシステム20内で流体の流れを方向付けるための材料も使用できる。例えば、いかなる好適な内側構成要素も、デリバリーシステム20の流体の通路内に提供することができ、及び/又は揮発性材料8の流れをいずれかの所望の位置に(例えば、ウィッキング部5から離れて又はウィッキング部5へ向かって)方向付けることができる。デリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)のいかなる好適な外側構成要素も、デリバリーシステム20の機能に役立つように提供することができる。
【0051】
図3bは、溝アセンブリを有する揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。溝138は、容器2の外面上のウィッキング開口部18(及び19)付近に位置し、ウィッキング部5が取り込んだ後及び/又はデリバリーシステム20を倒した後でウィッキング部5及び/又はウィッキング開口部18(及び19)から漏れる可能性のある過剰の揮発性材料8を回収するために設けられる。いかなる大きさ、形、構造、又は材料のいかなる溝138をも使用してもよい。1つの非限定的な実施形態において、前記溝は、ウィッキング開口部19が位置する領域又はその位置に隣接した領域に配置される。(反転、ポンプ作用及び/又は傾けることによって過剰に取り込んだ後のように)向かい合ったウィッキング開口部19及び/又はウィッキング部5から漏れる可能性のある過剰の揮発性材料8を捕集又は回収する目的で、吸収材料139が設けられる。いかなる好適な吸収性材料139もいかなる好適な大きさ、形、又は構造で使用することができる。吸収性材料139は、揮発性材料8の蒸発を実質的に吸収及び/又は促進できるいかなる好適な材料から製造されてもよい。吸収性材料139は、いかなる好適な蒸発表面物質を含んでいてもよい。例えば、好適な吸収性材料139としては、紙、プラスチック、スポンジ、などを挙げることができる。溝138で回収された過剰の揮発性材料8は、その後、吸収性材料139で吸収又は再吸収されて、ウィッキング部5又はウィッキング開口部19の方へ方向転換されるか、あるいは空気中へ直接蒸発させることができる。
【0052】
特定の他の非限定的な実施形態において、吸収性材料139は、下部の流体貯蔵器7によって回収されない過剰の揮発性材料8を回収するのに役立つように、溝138の位置又はその近傍に配置されてもよい。例えば、吸収材料139は、ウィッキング部5の材料から、溝138の中に位置して少なくとも1つのウィッキング部5を取り囲む薄いワッシャ又はドーナツの形に製造されてもよい。吸収性材料139は、ウィッキング部5又はウィッキング開口部19のいずれかに物理的に接触している必要はないことに留意すべきである。吸収性材料139は、任意の好適な手段によって(摩擦、接着、留め具等によって)デリバリーシステム20の外面のいかなる部分に取り付けられてもよい。事実、吸収性材料139は、消費者が所望に応じて追加又は除去することができるので、固定して取り付ける必要がない。吸収性材料139は、例えば、デリバリーシステム20の反転中、過剰なポンプ作用の間、又は倒している間に、少なくとも1つのウィッキング部5の長手方向軸に沿って自由に滑り落ちて、相対する溝(図示せず)の領域で停止することができ、そこにおいて、その相対するウィッキング開口部(図示せず)付近に存在する可能性のあるいかなる過剰の揮発性材料8をも回収することができる。
【0053】
図4は、単一のバイパスチューブ9及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す。バイパスチューブ9は、いかなる好適な大きさ、形、又は構造をとってもよく、いかなる好適な材料から製造されてもよい。バイパスチューブ9は、いかなる好適な手段によっていかなる好適な位置で容器1(及び2)に接続されていてもよい。例えば、容器1(及び2)と類似の材料のバイパスチューブ9は、らせん形、球体、又は楕円形に形成することができ、また貯蔵器6(及び7)と接続される。バイパスチューブ9は、デリバリーシステム20のいずれかの構成要素の一部であってもよい。例えば、バイパスチューブ9は、容器1(及び2)内及び/又はウィッキング部5内で一体成形されてもよい。バイパスチューブ9は、漏れ又は蒸発による損失を生じることなく容器1(及び2)と流体連通可能な1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)を有してもよい。例えば、揮発性材料8は、反転後、重力によって上部の貯蔵器6からバイパスチューブ9及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して下部の貯蔵器7へ流れてもよい。バイパスチューブ開口部15(及び17)は、容器1(及び2)の表面上のどこに位置してもよく、任意に均一で一時的な増強水準放射を供給するために、ウィッキング開口部18(及び19)とバイパスチューブ開口部15(及び17)との間の流体貯蔵器6(及び7)の内部空間に位置する単位用量室11(及び12)を形成できるような様式で配置されてもよい。バイパスチューブ9は、デリバリーシステム20をその直立位置から反転させる及び/又は倒させるときに、物理的な干渉又は損傷からウィッキング部5を保護するようにウィッキング部5を取り囲むことができる。この構造は、ウィッキング部5との思わしくない接触によって、子供が揮発性材料8に不必要に曝されるか又は直接曝されるのを保護するのに役立つ。
【0054】
図5a、5b、5cは、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す。図5aは、一体成形型容器1上に1つ以上の通気開口部35を有する単一の一体成形型容器1の外面を示す。1つ以上の通気開口部35は、揮発性材料(図示せず)をウィッキング部(図示せず)から、処理を要する部屋(単数又は複数)の空気中へ放射又は供給させることができる。任意に、1つ以上の通気開口部35の幅を調節可能に及び/又は閉鎖可能にできるように、調節可能な通気孔(図示せず)をデリバリーシステム20の容器1に追加することができる。これによって、消費者は維持及び増強水準放射速度を制御することができる。調節可能な通気孔(図示せず)は、いかなる好適な材料から製造されても、いかなる好適な大きさ、又は形であってもよく、またデリバリーシステム20上又は内側のどこに位置してもよい。例えば、消費者は、処理を必要とする場所に所望の量の放射が供給されるように、調節可能な通気孔(図示せず)を動かすことによって1つ以上の通気開口部35を開ける、部分的に開ける、部分的に閉じる、又は閉じることができる。
【0055】
図5bは、ウィッキング部5、ウィッキング取り付け部品3(及び4)、ウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)、任意のウィッキング取り付け部品通気孔27(及び28)、及びウィッキング取り付け部品フランジ31(及び32)を有する、蒸発表面装置40の非限定的な実施形態を表す。蒸発表面装置40の全ての構成要素は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造で製造することができる。少なくとも1つのウィッキング部5の両末端は、複数の流体貯蔵器(図示せず)の間でウィッキング部5を介して流体連通させることができるが、使用又は貯蔵中にウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)、ウィッキング開口部(図示せず)、又は容器(図示せず)の周囲から揮発性材料(図示せず)が不必要に漏れるのを低減できるように、ウィッキング取り付け部品3(及び4)のウィッキング取り付け部品開口部43(及び44)に封止可能に嵌め込むことができる。
【0056】
図5cは、バイパスチューブ9及び10及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの流体貯蔵器6及び7を有する単一の一体成形型容器1を有する別の非限定的な実施形態を示す断面図である。この実施形態では、バイパスチューブ9(及び10)は、デリバリーシステム20を配置し易くするための便利な凹状の手懸り部を作製する様式で、また反転させている間及び/又はデリバリーシステム20をその直立位置から倒した場合にウィッキング部5に損傷からの保護を与えるような様式で単一の一体成型形容器1の内部に構成される。単位用量室11(及び12)は、単一の一体成形型容器1の流体貯蔵器6(及び7)内に位置する。1つの単位用量室11(及び12)のうち一方は、デリバリーシステム20が反転されたときに揮発性材料を回収するための開口端21(及び22)を備えたカップの形をした壁23及び24(25及び26)を有することができる。単位用量室11(及び12)はいつでも、特に反転直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を含有することができる。揮発性材料8は、重力によって又は非エアゾール式ポンプ(図示せず)によって、バイパスチューブ9(及び10)及び/又はウィッキング部5を介して、相対する流体貯蔵器(6又は7)の方へ流れることができる。少なくとも1つのウィッキング開放部18(及び19)は、ウィッキング部5を流体貯蔵器6(及び7)へ貫通させることができる。単位用量室壁23及び24(25及び26)は、直立位置にある場合、又は少なくとも1つのウィッキング部5の取り込み要件に応じて前記開口部の位置又はそれより下方にある可能性がある場合、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)内のバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の上方に延びていてよい。ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)は、ウィッキング取り付け部品3(及び4)及びウィッキング部5を受けてそれらとの密封を提供するように、一体成形型容器1上のいかなる好適な場所に位置してもよい。ウィッキング取り付け部品3(及び4)は、ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)内に配置されるので、ウィッキング部5をしっかりと保持するよう構成されてもよく、ウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)は、ウィッキング取り付け部品3(及び4)及び/又はウィッキング部5を封止可能に取り囲んで、ウィッキング取り付け部品3(及び4)とウィッキング部5の接合点、又はウィッキング取り付け部品3(及び4)とウィッキング取り付け部品ブラケット36(及び37)の接合点のいずれか、もしくは両方において、あるいはそれら接合点のいずれかもしくは両方から揮発性材料8が漏れるのを最小限にするように製造されてもよい。
【0057】
図6は、少なくとも1つのバイパスチューブ9、及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を介して互いに向かい合わせて接続され、かつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。例えば、バイパスチューブ9は、ウィッキング部5自体の内部に組み込まれてもよい。バイパスチューブ9は、ウィッキング部5の近くではあるが、ウィッキング部5と物理的に接触しない位置に置くことができ、又は実際にウィッキング部5と物理的に接触する可能性のある位置に置くことができる。1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)は、デリバリーシステム20のウィッキング部5、貯蔵器6(及び7)、及び/又は容器1(及び2)内のどこに位置してもよい。例えば、バイパスチューブ9は、ウィッキング部5と同じウィッキング開口部18(及び19)に入ることができるが、デリバリーシステム20が反転され及び/又は倒されたとき、及びそうした場合に揮発性材料8を回収するための代替の流体貯蔵器として役立つようにウィッキング部5より長く製造し、ウィッキング部5から離して配置することができる。別の例では、バイパスチューブ9とウィッキング部5の両方が同一の開口部の中を通るように、バイパスチューブ開口部15(及び17)をウィッキング開口部18(及び19)の内側に一体成形することができる。この場合、増強水準放射モード中に過剰の揮発性材料8がデリバリーシステム20から漏れるのを防ぐために、封止(図示せず)は1つだけ必要であり得る。これによって、生産コストが低減され、また封止の不具合又は漏れのおそれが減る。バイパスチューブ9は、ウィッキング部5自体の中に単に空洞を形成することによって、ウィッキング材料5から製造することもできる。同一の流体貯蔵器6(及び7)の中及び/又は同一のウィッキング部5の中に、1つ以上のバイパスチューブ9及び/又はウィッキング開口部15(及び17)があってもよい。
【0058】
図7aは、維持水準放射モードにおけるデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。デリバリーシステム20は、2つの貯蔵器78及び79と、2つのバイパスチューブ9及び10と、1つのウィッキング部5と、2つ以上の分離した別個の相61及び83から成る少なくとも1つの多相揮発性材料を有する。いかなる好適な量、密度、及び/又は粘度のいかなる好適な多相揮発性材料を使用してよい。維持水準放射モードの間、多相揮発性材料は、下部の流体貯蔵器79内に貯蔵される。分離した別個の相61及び83は、任意の好適な順番又は順序で、流体貯蔵器79から少なくとも1つのウィッキング部5への毛管現象によって空気中へ供給されてもよい。例えば、ウィッキング部5は、貯蔵器79(及び80)から両方の相を等量で汲み上げて空気中に供給することができ;また、相61を相83よりも速く、優先的に供給することができ、逆もまた同様に可能である。ウィッキング部5に、所望の相のうち一方からの流体を、静止又は平衡状態におけるもう一方の相の速度よりも速い速度で優先的に汲み上げさせて供給させるいずれかの他の方法が使用されてもよい。例えば、少なくとも1つのウィッキング部5の長さは、維持水準放射中に優先的に相61を汲み上げるが、同時に相83上では汲み上げないように流体貯蔵器80内に構成又は高さに配置されてもよい。ウィッキング部による差異に基づく吸上げを供給する他の手段としては、異なるウィッキング材料種、及び/又は設計を提供すること、並びに多相揮発性組成物中の異なる相の化学的特性を調節してウィッキング部5上での吸上げを加減することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
図7bは、増強水準放射モードにおけるデリバリーシステム20を表す。増強水準放射が望ましいとき、消費者は、デリバリーシステム20を反転させる。反転すると、(図7aの)下部の流体貯蔵器79が図7bの上部の流体貯蔵器79になる。その結果、多相揮発性材料の少なくともいくらかが単位用量室80内に回収され、その一方で、過剰の多相揮発性材料が開口部16及び17並びにバイパスチューブ9及び10を通って下部の流体貯蔵器78へ排出を開始する。少なくとも1つのバイパスチューブ開口部16及び17の位置は、消費者が単位用量室80及び/又は少なくとも1つのウィッキング部5を所望の流体相で満たすことを可能にする。
【0060】
消費者が知覚した多相揮発性材料の特性、及び強度は、単位用量室8内に回収されている多相組成物の分離した相61及び83を混合及び/又は置換すると変化してもよい。多相揮発性材料78のいかなる好適な物理的性質又は特性も、少なくも1つのウィッキング部5を分離して優先的に所望の相を取り込むのに使用することができる。
【0061】
多相揮発性材料の少なくとも2つの分離した別個の相の密度は、特定の揮発性材料相がウィッキング部5にどのようにして、いつ供給されるかを制御してもよい。例えば、密度の低い相61は、反転後に混合すると、バイパスチューブ9及び10に入り、密度の高い相83より早く流れるが、密度の高い相61は、適切な構造及び/又は適切な条件を与えられると、単位用量室80内の密度の低い相61のいくらか又は全てと実際に置き換わってもよい。密度の高い相83の一部が単位用量室80内の密度の低い相61の一部と置き換わると、置き換えられた密度の低い相61は、続いて下部の流体貯蔵器78に戻ってもよい。増強水準放射モードの間は、密度の高い相83は、密度の低い相61より優先的にウィッキング部5に供給され、空気中に放射される。従って、維持水準放射モードでは同じである多相揮発性材料が、増強水準放射モードの間は異なった特性及び/又は強度を示してもよい。
【0062】
同様に、多相揮発性材料(図示せず)の少なくとも2つの分離した個別の相の粘度は、特定の揮発性材料相をどのようにして、いつウィッキング部へ供給するかを制御することができる。例えば、維持水準放射中の平衡状態では、ウィッキング部は、2以上の揮発性材料のうち粘度の高い相から汲み上げるように、下部の貯蔵器内の特定の高さ又は特定の位置にあってよい。増強水準放射中に混合すると、下部の流体貯蔵器は上部の流体貯蔵器になる。粘度の低い相が粘度の高い揮発性材料よりも速く流出できることから、単位用量室は、最初は、粘度の低い相で満たすことができる。粘度の高い揮発性材料は、粘度の低い相よりもわずかに低いか又はそれと同じ密度であり、バイパスチューブの方向に向けられて、重力によって下部の流体貯蔵器で回収される。従って、増強水準放射モード中には、粘度の低い揮発性材料が、ウィッキング部に優先的に供給されて、粘度の高い相よりも大量に空気中に放射される。
【0063】
図8aは、少なくとも1つの第2のウィッキング部38を有する揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。少なくとも1つの第2のウィッキング部38は、増強水準放射を供給するため、例えば、デリバリーシステム20の反転時又は非エアゾール式ポンプによって、いつでも揮発性材料8を取り込んでもよい。第2のウィッキング部38は、増強水準放射モード中に蒸発表面積を大きくすることによって、高められた強度の揮発性材料8を空気中に供給するのを助けることができる。第2のウィッキング部38は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも製造される。例えば、第2のウィッキング部38は、平坦なワッシャ、中空の環、又はドーナツの形であってよく、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)の内側に少なくとも部分的に、例えば、図のように少なくとも1つのウィッキング開口部18及び19との接合点を丁度超えて、延びている。第2のウィッキング部38はまた、流体貯蔵器6(及び7)の内側の任意の位置まで、例えば、流体貯蔵器の内部空洞の全長まで延びていてもよく、できれば容器の底33(及び34)の内面と接触さえしていてもよい。この例では、第2のウィッキング部38は、第1のウィッキング部5と物理的に接触していてよい。
【0064】
図8bは、第1のウィッキング部5と物理的に接触していない少なくとも1つの第2のウィッキング部39を有する、揮発性材料のデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。
【0065】
図8cは、複数個の個別のデリバリーシステムを有する複合デリバリーシステム100の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。例えば、デリバリーシステム100は、いずれかの構造の複数個の分離した容器101、102、103及び104を含み得るが、前記容器の全てが、物理的に接続されている、向かい合わせて接続されている、又は流体接続されているとは限らない。容器101と102は、容器103及び104と向かい合わせて接続されていても、及び/又は流体接続されていてもよいが、容器103及び104とは必ずしも物理的に接続されていなくてよく、更には、全てを単一のデリバリーシステム100又はハウジング(図示せず)の中に収納することもできる。容器の各ペア101と102、及び103と104はそれぞれ、少なくとも1つの貯蔵器又は貯蔵器のペア113と116、及び114と115を含んでいてもよい。貯蔵器の各ペア113と116、及び114と115は、少なくとも1つのバイパスチューブ107(及び108)上述のように向かい合った貯蔵器ペアを接続する、対応するバイパスチューブ開口部109及び111、(110及び112)を有していてよい。この実施形態では、異なる揮発性材料を、それぞれの流体貯蔵器ペアに提供することができる。例えば、揮発性材料117を貯蔵器ペア113及び116に提供すると同時に、揮発性材料118を貯蔵器ペア114及び115に提供することができる。
【0066】
個別のウィッキング部105(及び106)の位置、場所、大きさ、形、及び構造は、複合デリバリーシステム100内に収納される個別のデリバリーシステムそれぞれの要件に応じて変えてもよい。例えば、ウィッキング部105は、容器101の流体貯蔵器116の内部空洞の長さ全体に延びるが、容器102の貯蔵器113の内部空洞内では部分的にのみ延びるよう、貯蔵器116内に配置されてもよい。同様に、ウィッキング部106は、容器103の流体貯蔵器114の内部空洞の長さ全体に延びるが、容器104の流体貯蔵器115内では部分的にのみ延びるよう、貯蔵器114内に配置されてもよい。
【0067】
この構造では、異なる芳香剤を、2つの別個の維持水準放射モードの間に、それぞれ個別のデリバリーシステムから放射することができる。第1維持水準放射モード(A)では、ウィッキング部105が揮発性材料118内に浸かるのと同時にウィッキング部106が揮発性材料117内に浸かることはない。そのため、ウィッキング部105のみが動作中となり、毛管現象により揮発性材料118を放射する。増強水準放射モードが望ましいときは、複合デリバリーシステム100を反転させる。下部の流体貯蔵器115及び116が、上部の流体貯蔵器となる。増強水準放射モードでは、ウィッキング部105及び106に、揮発性材料118及び117がそれぞれ個別に取り込まれる及び/又は投与される。増強水準放射モードが完了して、揮発性材料117(及び118)がバイパスチューブ107(及び108)又はウィッキング部105(及び106)のいずれかを介して前記下部の貯蔵器ペア114(及び113)へ排出されると、第2の維持水準放射モードが自動的に開始する。
【0068】
第2維持水準放射モード(B)では、ウィッキング部106が揮発性材料117内に浸かるのと同時にウィッキング部105が揮発性材料118内に浸かることはない。そのため、ウィッキング部116のみが動作中となり、毛管現象により揮発性材料117を放射する。従って、増強水準放射の特徴は、維持水準放射(A)及び(B)の両方と異なり、前記維持水準放射(A)及び(B)もやはり互いに特徴が異なる。
【0069】
図9a、9b、9c、及び9dは、維持水準放射モードにおいて、単一の容器1、少なくとも1つの流体貯蔵器6及び少なくとも1つの投与チューブ45を有する、他の非限定的な実施形態の断面図を表す。増強水準放射モードが望ましいときは、ウィッキング部5に揮発性材料8を取り込み及び/又は投与するのに図9aのデリバリーシステム20の反転が必要である。ウィッキング部5は、少なくとも1つの流体貯蔵器6内に少なくとも部分的に位置し、少なくとも1つの流体貯蔵器6内に貯蔵されている揮発性材料8の少なくともいくらかに流体接続される。反転すると、投与チューブ入口49が流体貯蔵器6内に位置する揮発性材料8を投与チューブ45内へ回収し、投与チューブ45が揮発性材料8で少なくとも部分的に満たされた状態になる。デリバリーシステム20は、その容器の底34を下に反転させることによって直立位置に戻されると、揮発性材料8の少なくともいくらかの部分が投与チューブ45によって回収される。揮発性材料8の回収された部分は、続いて、重力によって、ウィッキング投与室54と物理的及び/又は流体的に接続され、次いでウィッキング部5及び/又は少なくとも1つの第2のウィッキング部38と物理的及び/又は流体的に接続されている投与チューブ出口51を介してウィッキング部5へ流れる。ウィッキング投与室54は、揮発性材料8が増強水準放射の供給のための反転後に投与チューブ45内に回収された揮発性材料8の少なくともいくらかを用いてウィッキング部5及び第2ウィッキング部38を湿らせることを可能にする。この実施形態における維持水準放射の供給は、反転などの機械的な行為を必要としないことに留意すべきである。反転後、ウィッキング部5の毛管現象による取り込みが自動的に復帰する。毛管現象は、デリバリーシステム20が放射プロセスで揮発性材料8を実質的に使い尽くすまで、自動的に続けることができる。
【0070】
図9aの実施形態と同様に、図9b及び9cの実施形態もまた、維持水準放射を供給するために機械的な工程を必要としない。但し、前述の実施形態とは異なり、増強水準放射は、圧搾可能なブラダ47又は非エアゾール式ポンプ48を介して揮発性材料8をウィッキング部5及び/又は第2のウィッキング部38(及び39)に取り込むことによって達成される。図9bでは、投与チューブ入口49を介して容器1の流体貯蔵器6から少なくともいくらかの揮発性材料8を汲み上げる、圧搾可能なブラダ47を使用する。揮発性材料8は、投与チューブ45内に回収され、ブラダ入口52を経由してブラダ47内に回収され、ブラダが圧搾されると、ブラダ出口53を経由して投与チューブ46へ放出される。ウィッキング部5及び任意の第2のウィッキング材料(図示せず)は、図9aにおいて前述した方法に従って、取り込む又は投与することができる。
【0071】
図9bの実施形態と同様に、図9cの実施形態では、圧搾可能なブラダ47が非エアゾール式手動ポンプ48に置き換えられる以外は同じデリバリー概念を使用している。非エアゾール式手動ポンプ48は、ポンプ入口56とポンプ出口55を有しており、非エアゾール式手動ポンプが最小限の機械運動によって使用されると少なくともいくらかの揮発性材料8がウィッキング部5及び/又は第2ウィッキング部38及び39に供給されるようなものであれば、好適なポンプヘッドを有するいかなる好適な種類、大きさ、形、及び/又は寸法であってもよい。ポンプ又は圧搾可能なブラダ装置のいずれにも噴霧器は取り付けられていない。
【0072】
図9dは、2つの分離した容器1及び50を有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。ウィッキング部5は、封止可能なウィッキング部開口部18を介して、流体貯蔵器6内に貯蔵されている揮発性材料8に流体接続されている。維持水準放射は、少なくとも1つのウィッキング部5を介した揮発性材料8の毛管現象によって空気中へ供給される。ウィッキング部5は、いかなる好適な大きさ又は長さでもよく、貯蔵器6内において容器の底34の内面に向かって延びることができる。容器50は、投与チューブ46を介して容器1に流体接続される。容器50は、投与漏斗71、投与拡散器72、回収底部73、第2流体貯蔵器57、及び第2ウィッキング部38を備えていてよい。増強水準放射が望ましいときは、容器1の揮発性材料8は、任意の好適な手段によって容器50の第2ウィッキング部38に供給されてもよい。揮発性材料8は、投与チューブ入口49を経由して投与チューブ46に供給される。揮発性材料8は、投与チューブ出口51を経由して容器51に入るが、ここで揮発性材料8は投与漏斗71によって回収され、投与漏斗71が揮発性材料8を投与拡散器72に向けさせ、拡散器72が揮発性材料8を第2ウィッキング部38に供給する。第2ウィッキング部38は、投与拡散器72及び投与漏斗71に流体接続されている。また、第2ウィッキング部38は、任意の好適な接続を介して投与拡散器72及び容器の底34に流体接続されてもよい。
【0073】
第2のウィッキング部38は、いずれかの好適な大きさ又は形であってもよい。例えば、第2のウィッキング部は、揮発性材料8が重力によって投与拡散器72から第2のウィッキング部38を通って容器の底部73へと流れる中空カップ、球体、又は環の形であってよい。第2のウィッキング部38は、いかなる好適な表面積を構成してもよい。例えば、好適な表面積は、少なくとも1つのウィッキング部5の約1〜約100倍、約1〜約50倍、約1〜約20倍、又は約1〜約5倍の範囲であってよい。ウィッキング部の表面積の増加は、ウィッキング材料の孔径を変えることによって、もしくはウィッキング材料をプリーツ状にする又は折り畳むことによってというように、いかなる好適な手段によっても提供され得る。
【0074】
図9aの実施形態と同様に、図9dの実施形態は、揮発性材料8が増強水準放射のために第2のウィッキング部38へ供給されるように容器1を反転することによって(又はいずれかの他の好適な手段によって)増強水準放射を開始することができる。投与拡散器72を介して供給された後、第2のウィッキング部38上に回収されない過剰の揮発性材料8は、第2のウィッキング部38に流体接続されている第2の流体貯蔵器57内に回収されてもよい。また、第2のウィッキング部38は、多孔質固体であって、任意の第2の流体貯蔵器57を有していてもよい。この多孔質固体は、第2のウィッキング部38自体から即座に放射されない過剰の揮発性材料8を吸収することができる。増強水準放射は、前記揮発性材料8が全て蒸発するまで続く。例えば、第2のウィッキング部38に取り込まれるか又は第2の流体貯蔵器57に貯蔵されている揮発性材料8は全て、増強水準放射の間に蒸発によって空気中に供給される。
【0075】
図10a及び10bは、大気に露出されている表面積の量に応じて多少の揮発性材料8を空気中に供給することができる調節可能な大きな表面積のウィッキング部58を有する、デリバリーシステム120の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。図10aは、ウィッキング部58の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態でのデリバリーシステム120を表す。前記平衡状態では、ばね75は圧縮されていない。平衡状態での折り畳まれた位置において、ウィッキング部58は、維持水準放射を提供する。
【0076】
特定の実施形態において、デリバリーシステム120は、調節可能な大きな表面積をもつウィッキング部58と、ウィッキング部抑制用の環60と、ばね75と、任意の制動装置(図示せず)と、ばね抑制装置(図示せず)と、任意には、穿孔を有する保護シェル121と、少なくとも1つのレバー122とを備えたウィッキングばねアセンブリを含む。穿孔を有する保護シェル121は、いかなる好適な大きさ、形、構造であってもよい穿孔(図示せず)を介して揮発性材料の制限のない放射流を可能にする、いかなる好適な材料から、いかなる大きさ、形、又は構造にでも製造されてよい。例えば、穿孔(図示せず)は、複数個のスロットであってよい。穿孔を有する保護シェル121には、ウィッキング部抑制用の環60に取り付けられたレバー122が、ばね75の圧縮に必要な長さ全体を移動させることが可能になる垂直スロット123を設けることができる。ウィッキングばねアセンブリは、増強水準放射の強度を変えるために、消費者にウィッキング部58の露出した表面積を設定又は調節させることが可能である。レバー122を用いてばね75を圧縮する間、消費者は、デリバリーシステム120を反転しなくても、増強水準放射を提供することができる。
【0077】
図10bは、最大増強水準モードのデリバリーシステム120を表す。ここでは、ウィッキング部58の表面積の最大量が大気に露出されている。ばね75は、完全に圧縮されている。ウィッキング部58は、抑制されていないときは、その最大表面積を大気に露出するために開く又は広がるように、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な形又は大きさでも製造することができる。ばね75が徐々にその平衡状態の長さに戻るにつれて、ウィッキング部の表面積は、ウィッキング部抑制用の環60によって減少する。任意のばね制動装置(図示せず)は、様々な増強水準放射の持続時間を提供することができる。ウィッキングばねがその平衡状態へ戻るとき、増強水準放射モードが停止して、維持水準放射モードが自動的に復帰する。従って、増強水準放射の持続時間及び強度は、単にレバー122を所望の位置まで押し下げることによって、消費者が制御することができる。
【0078】
図11は、安定クレードル62を有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す断面図である。安定クレードル62は、デリバリーシステム20が安定クレードル62内に置かれると、好適な分配位置(例えば、直立位置)で少なくとも部分的に安定化されるような、いかなる好適な大きさ、形、又は構造を有してもよい、いかなる好適な材料から製造されてもよい。この場合の直立位置とは、垂直線からいずれかの方向に45度より大きく傾いていることを指す。例えば、安定クレードル62は、木材、金属、プラスチック、及び/又はグラスから製造することができ、また任意には、少なくとも1つの容器の底34と接触したときにデリバリーシステム20に少なくともいくらかの安定性を付与する凹領域63を有してもよい。安定クレードル62は、処置を必要としているいかなる空間又は場所(例えば、居間、台所、浴室、ガレージ、裏庭等)でもデリバリーシステム20の設置を確認することの利便性を消費者にもたらす。安定クレードル62は、消費者にデリバリーシステム20を独自のものにするため、前記構造上に装飾的な品目を配置させることを可能にしてもよい。例えば、カラーコーディネートに利用可能な複数の異なった装飾的な色を有する、着色された化粧板が選択されてもよい。装飾的な品目は、留め具、接着剤、鍵と鍵穴の装置、などのいずれかの任意の固定手段によって、安定クレードル62及び/又はデリバリーシステム20のどこに取り付けられてもよい。
【0079】
図12は、デリバリーシステム20が接触、振盪、非水平に倒すこと、ないしは別の方法によって転倒するとすぐに、転倒に対して少なくともいくらかの安定性を与えるように、いかなる好適な材料からも、いかなる大きさ、形、又は構造でも製造され得る少なくとも1つのバラスト63を有する、デリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。好適なバラスト材料の好適な形態としては、固体、液体、ゲル、粉末、顆粒、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、バラスト63は、デリバリーシステム20の転倒を減らすために好適な重量を有する任意の好適な材料を含んでもよい。バラスト63は、いかなる好適な様式(例えば、固定式、非固定式等)でデリバリーシステム20及び/又は容器1(及び2)に取り付けられてもよい。バラスト63は、調節を可能にするため、デリバリーシステム20上に取り外し可能に取り付けられてもよい。そのため、バラスト63は、いかなる好適な手段によっても、いかなる好適な構造でも容器1(及び2)上に配置及び/又は再配置することができる。例えば、消費者は、反転させた後で、バラスト63を下部の容器2に取り付けることができる。あるいは、製造者は、デリバリーシステム20を反転させたときに重力の作用によって上部の容器1から下部の容器2へ自動的に再配置され得るように、バラスト63を取り付けることができる。
【0080】
バラスト63は、任意の好適な機構、例えば、スライディング機構によって少なくとも1つの容器に取り付けることができる。バラスト64は、重力によって、例えば、環などの取り付け装置65を介してバイパスチューブ9(及び10)に沿ってスライドさせることによって、デリバリーシステム20の長手方向軸に沿って自由に移動することができる。あるいは、バラスト64は、スライドさせずに、例えば、バラスト64をデリバリーシステム20のいずれかの位置、例えば下部の容器の底34又はバイパスチューブ9(及び10)などにクリップで留めることによって、反転プロセスの前、その間、又はその後で、物理的に移転させることができる。好適な取り付け装置65は、いかなる好適な材料からも、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でも製造することができる。例えば、前記取り付け装置65は、クランプ、クリップ、環、弦、ひも、接着材料、摩擦器具、磁石、及びこれらの組み合わせであってよい。少なくとも1つのバラスト63はまた、少なくとも1つの容器1(及び2)の定位置に取り付け及び/又は接続することもできる。1つの非限定的な実施形態において、バラスト(図示せず)は、デリバリーシステム20の一構成要素内に収納された砂又はボールベアリングの形態であってよい。
【0081】
図13aは、4つのバイパスチューブ65、66、67、及び68と、少なくとも1つのウィッキング部5とを有するデリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す斜視図である。上下を逆さまにすると、バイパスチューブ65、66、67、及び68は、いずれかの流体貯蔵器(図示せず)内に貯蔵されていた揮発性材料(図示せず)のいくらかを回収するため第2の流体貯蔵器として役立ち、それによって、デリバリーシステム20からの漏れを最小限に抑えることができる。図13bは、図13aのデリバリーシステム20を上から見た平面図である。この構造は、直立位置から倒した後でデリバリーシステム20を安定化するのに役立つ。図13cは、バイパスチューブ66及び68を通る断面図(A−A)を表す。
【0082】
図14は、少なくとも1つのバラスト70を有する外側フレーム69を有する、デリバリーシステム20の別の非限定的な実施形態を示す斜視図である。外側フレーム69は、いかなる好適な材料から製造されてもよく、いかなる好適な大きさ又は形で構成されてもよい。外側フレーム69は、いずれかの好適な手段によってデリバリーシステム20に取り外し可能に取り付けることができる。またバラスト70は、外側フレーム69に取り外し可能に取り付けられてもよい。デリバリーシステム20は、外側フレーム69から容易に取り外され、消費者によって反転された後に再び取り付けられてもよい。あるいは、デリバリーシステム20は、適切に所々で反転させることができる。例えば、外側フレーム69は、容器1(及び2)を前進させることで消費者にデリバリーシステム20を簡単に反転させることができるピボットアーム(図示せず)を設けることによって、デリバリーシステム20を反転させる手段を提供することができる。バラスト70は、必要に応じて、例えば洗浄のために、デリバリーシステム20の後で取り外して、外側フレーム69に再び取り付けることができる。
【0083】
図15aは、別のウィッキングばねアセンブリ機構を含む、デリバリーシステム20の断面積を表す。ウィッキングばねアセンブリは、少なくとも1つの伸縮自在ウィッキング部86、少なくとも1つのばね87、少なくとも1つのばね調節器88、任意的な制動装置(図示せず)、及びばね抑制装置(図示せず)を備えている。図10aの実施形態と同様に、維持水準放射モードは、伸縮自在ウィッキング部86の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態で生じる。平衡状態において、伸縮自在ウィッキング部86は、容器1の流体貯蔵器6内に含有される揮発性材料8内に浸かっている。この場合、ウィッキングばねアセンブリ75は、圧縮されて平衡がとれた状態である。
【0084】
増強水準放射が望ましいとき、伸縮自在ウィッキング部86のより大きな表面積を大気に露出する。例えば、消費者は、ばね調節器88を所望の長さまで引き出し、それによって平衡状態で露出していたよりも大きな伸縮自在ウィッキング部86の表面積を大気に露出させることによって、前記ウィッキング部の表面積を大きくすることができる。伸縮自在ウィッキング部86が完全に伸ばされたとき、ウィッキングばね75は圧縮されていない。揮発性材料8の放射速度は、ウィッキング部の露出される表面積の量の関数として増加する。露出される表面積が大きいほど、増強水準放射速度は増す。従って、消費者は、伸縮自在ウィッキング部86の露出される表面積の量を変えることによって、増強水準放射モード中に知覚される強度水準を制御する能力を有する。ウィッキングばねアセンブリ75が徐々に平衡状態に圧し戻されるにつれて、伸縮自在ウィッキング部86は、容器1の流体貯蔵器6に戻され、そこで、伸縮自在ウィッキング部86は、揮発性材料8に再び浸かって揮発性材料8を再び取り込む。従って、増強水準放射は、均一に供給することができ、揮発性材料8が使い果たされるまで消費者によって必要なだけ何度でも繰り返される。
【0085】
増強水準放射の強度を高めるいかなる他の好適な手段も有用である。例えば、特定の他の実施形態では、デリバリーシステム内の揮発性材料は、ゲル又は液状ゲルの形態(図示せず)であってよい。そのような場合、ウィッキング部は、ウィッキング部での、ばね自体での、及び/又はパドルのように、ウィッキングばねに取り付けるか又は調節することができる好適な供給装置での、揮発性ゲル組成物の取り込みを促進するように改善することができる。ゲルを取り込んだウィッキングばね自体及び/又は供給装置は、増強水準放射を供給する手段を提供することができる。平衡状態では、ウィッキング部及び/又は揮発性ゲル材料の最上層表面からの揮発性ゲル組成物の蒸発が維持水準放射モードを提供する。それとは逆に、ゲルを取り込んだウィッキングばねが、非圧縮モードで容器から引き伸ばされると(図15bの実施形態と同様)、揮発性ゲル材料のより大きな表面積蒸発が生じる。ウィッキングばねが徐々に平衡状態に戻るにつれて、増強水準放射が自動的に停止すると同時に、維持水準放射が自動的に復帰する。
【0086】
他の代替の実施形態において、デリバリーシステムは、1つ以上の揮発性材料の包み束又はパックを含有するキットを含むことができる。前述の実施形態のいかなるものも、その最初の製品を消費者に提供することに加えて、同一物の詰め替え品を提供するのに使用されてもよい。特定の非限定的な実施形態において、デリバリーシステムは、最初の製品として販売される揮発性材料以外の、又はそれらに加えて、様々な種類の揮発性材料(例えば、芳香剤組成物、悪臭低減組成物、殺虫剤、ムード増強剤組成物、又はこれらの組み合わせ)の選択肢を消費者に与えることを含んでいてよい。
【0087】
本記述全体にわたって言及したすべての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行されたいずれの特許、並びに関連して発行されたいずれの外国特許出願も)、及び公開公告の開示内容を本明細書に参考として組み込む。しかしながら、本明細書に参考として組み込まれる文献のいずれもが本発明を教示あるいは開示していないことを明言する。
【0088】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それよりも小さいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含することは理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0089】
本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明らかであろう。更に、本発明をある特定の実施形態と関連させて説明してきたが、これは説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、請求項は従来技術が可能にするのと同様に幅広く考えられるべきであることを理解すべきである。
【0090】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、下記の説明を添付図面と併せ読むことで更に理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】デリバリーシステムの断面図。
【図2】デリバリーシステムの断面図。
【図3A】デリバリーシステムの断面図。
【図3B】溝を有するデリバリーシステムの断面図。
【図4】デリバリーシステムの断面図。
【図5A】デリバリーシステムの側面図。
【図5B】蒸発表面装置の断面図。
【図5C】デリバリーシステムの断面図。
【図6】デリバリーシステムの断面図。
【図7A】デリバリーシステムの断面図。
【図7B】デリバリーシステムの断面図。
【図8A】デリバリーシステムの断面図。
【図8B】デリバリーシステムの断面図。
【図8C】デリバリーシステムの断面図。
【図9A】デリバリーシステムの断面図。
【図9B】デリバリーシステムの断面図。
【図9C】デリバリーシステムの断面図。
【図9D】デリバリーシステムの断面図。
【図10A】デリバリーシステムの断面図。
【図10B】デリバリーシステムの断面図。
【図10C】プリーツ状のウィッキング部の断面図。
【図11】デリバリーシステムの断面図。
【図12】デリバリーシステムの断面図。
【図13A】デリバリーシステムの斜視図。
【図13B】デリバリーシステムの平面図。
【図13C】デリバリーシステムの断面図。
【図14】デリバリーシステムの斜視図。
【図15A】デリバリーシステムの断面図。
【図15B】デリバリーシステムの断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の香料成分を含む少なくも1つの揮発性材料を含む揮発性材料のデリバリーシステムであって、
前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射、及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供し、
前記デリバリーシステムは、熱、ガス、又は電流の供給源がなく、
前記少なくとも1つの揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されず、さらに、
前記香料成分の少なくとも40重量パーセントは、1500以上のコヴァッツインデックスを有する、デリバリーシステム。
【請求項2】
前記香料成分の少なくとも50重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
前記香料成分の少なくとも5重量パーセントが1800以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1又は2に記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
前記香料成分の少なくとも10重量パーセントが1800以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項5】
前記香料成分のうち1つ以上が、バニリン、エチルバニリン、クマリン、PEA、クミンアルコール、ケイ皮アルコール、オイゲノール、オイカリブトール、シス‐3‐ヘキセノール、2‐パテノイク酸メチル、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラノール、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、カビトール、セロール、テルピネオール、シトロネロール、エチルバニリン、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、パチュリアルコール、メントール、イソメントール、マルトール、エチルマルトール、ネロール、イソ‐オイゲノール、パラ‐エチルフェノール、ベンジルアルコール、サビノール、テルピネン‐4‐01、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
前記デリバリーシステムは、非通電であり、熱、ガス、又は電流の供給源がない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
前記デリバリーシステムは更に、少なくともいくらかの長手方向の露出部を有する少なくとも1つの蒸発表面装置を備え、前記蒸発表面装置は、前記揮発性材料の少なくともいくつかに流体接続されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
前記増強水準放射を供給するために人的相互作用が必要とされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
前記増強水準放射が作動すると、前記デリバリーシステムが、更なる人的相互作用を伴わずに、前記維持水準放射の供給へ自動的に戻る、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
前記蒸発表面装置は、消費者によって、反転、ポンプ作用、又はばね作用のうちの1つ以上を用いて投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項1】
1つ以上の香料成分を含む少なくも1つの揮発性材料を含む揮発性材料のデリバリーシステムであって、
前記デリバリーシステムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的な維持水準放射、及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的な増強水準放射を提供し、
前記デリバリーシステムは、熱、ガス、又は電流の供給源がなく、
前記少なくとも1つの揮発性材料は、エアゾールによって機械的に供給されず、さらに、
前記香料成分の少なくとも40重量パーセントは、1500以上のコヴァッツインデックスを有する、デリバリーシステム。
【請求項2】
前記香料成分の少なくとも50重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
前記香料成分の少なくとも5重量パーセントが1800以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1又は2に記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
前記香料成分の少なくとも10重量パーセントが1800以上のコヴァッツインデックスを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項5】
前記香料成分のうち1つ以上が、バニリン、エチルバニリン、クマリン、PEA、クミンアルコール、ケイ皮アルコール、オイゲノール、オイカリブトール、シス‐3‐ヘキセノール、2‐パテノイク酸メチル、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラノール、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、カビトール、セロール、テルピネオール、シトロネロール、エチルバニリン、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、パチュリアルコール、メントール、イソメントール、マルトール、エチルマルトール、ネロール、イソ‐オイゲノール、パラ‐エチルフェノール、ベンジルアルコール、サビノール、テルピネン‐4‐01、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
前記デリバリーシステムは、非通電であり、熱、ガス、又は電流の供給源がない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
前記デリバリーシステムは更に、少なくともいくらかの長手方向の露出部を有する少なくとも1つの蒸発表面装置を備え、前記蒸発表面装置は、前記揮発性材料の少なくともいくつかに流体接続されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
前記増強水準放射を供給するために人的相互作用が必要とされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
前記増強水準放射が作動すると、前記デリバリーシステムが、更なる人的相互作用を伴わずに、前記維持水準放射の供給へ自動的に戻る、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
前記蒸発表面装置は、消費者によって、反転、ポンプ作用、又はばね作用のうちの1つ以上を用いて投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデリバリーシステム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2008−537699(P2008−537699A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506771(P2008−506771)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/014170
【国際公開番号】WO2006/110904
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/014170
【国際公開番号】WO2006/110904
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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