説明

高フレーム・レート及び低ピーク電力消費を備える電気泳動ディスプレイを駆動させる方法

ディスプレイにおける少なくとも1つの画素(2)に対して、補償インパルス(C)を備える駆動波形(900、920、940、960、1000、1020、1040、1060、1100、1120、1140、1160、1220、1240、1260)を印加させることによって電気泳動ディスプレイなどの双安定型ディスプレイ(310)上で画像が更新される。補償インパルスのエネルギは、画像保持時間によって変わってくるものであり、元の、ドリフト前の輝度レベルにディスプレイを回復するのに十分である。一手法では、補償インパルスのエネルギは、画像保持時間の所定の関数として判定される。別の手法では、種々の画像保持時間各々について種々の波形を規定するデータを、別々のルックアップ・テーブルの各々に備え、テ―ブルのうちの1つからのデ―タが、ディスプレイを駆動させるよう、画像保持時間によって選択される。補償インパルスは、駆動波形の別々の部分に備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電子書籍や電子新聞などの電子読書装置に関し、特に、画像の不安定性を補償することによって、グレイスケール精度を向上させて画像を更新する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の進展によって、多くの機会をもたらす、電子ブックなどの「ユーザ・フレンドリな」電子読書装置が提供されている。例えば、電気泳動ディスプレイは、大いに有望である。そうしたディスプレイは、固有のメモリ特性を有し、画像を比較的長い間、電力消費なしで保持することができる。電力は、ディスプレイを新たな情報によってリフレッシュすなわち更新する必要がある場合にのみ消費される。よって、そうしたディスプレイにおける電力消費は、非常に低く、電子ブックや電子新聞などの携帯型電子読書装置のアプリケーションに適している。電気泳動は、印加された電界における荷電粒子の動きを表す。電気泳動が液体内で生じる場合、粒子は、粒子が受ける粘性抵抗、電荷(永久電荷又は誘導電荷)、液体の誘電特性及び印加電界の振幅によって主に定められる速度で移動する。電気泳動ディスプレイは、画像更新後に電力を消費することなく画像を実質的に保持するディスプレイである、双安定型ディスプレイの一種である。
【0003】
例えば、「Full Color Reflective Display With Multichromatic Sub-Pixels」と題する、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのEInk社による西暦1999年4月9日公表の国際公開第99/53373号パンフレットは、そうしたディスプレイ装置を記載している。国際公開第99/53373号パンフレットは、2つの基板を有する電子インク・ディスプレイを記載している。一方は透明のものであり、他方は、行及び列に配置された電極を備えている。表示素子すなわち画素は、行電極と列電極との交点に関連付けられる。表示素子は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて列電極に結合され、TFTのゲートは行電極に結合される。この、表示素子と、TFTトランジスタと、行及び列の電極とを併せた配置は、アクティブ・マトリクスを形成する。更に、表示素子は、画素電極を備える。行ドライバは、表示素子行を選択し、列ドライバすなわちソース・ドライバは、データ信号を、選択される表示素子行に、列電極及びTFTトランジスタを介して供給する。データ信号は、テキストや図面などの、表示する対象のグラフィック・データに相当する。
【0004】
電子インクは、画素電極と、透明な基板上の共通電極との間に備えられる。電子インクは、直径が約10乃至50マイクロンの複数のマイクロカプセルを備える。一手法では、各マイクロカプセルは、液体担体媒体内又は流体内に、正に帯電した白色粒子及び負に帯電した黒色粒子を懸濁させている。正の電圧を画素電極に印加させると、白色粒子は、透明の基板の方を向いた、マイクロカプセルの一方側に移動し、観察者は白色表示素子をみることになる。同時に、黒色粒子は、それが観察者から隠れてしまう、マイクロカプセルの反対側にある画素電極に移動する。負の電圧を画素電極に印加させると、黒色粒子は、透明の基板の方を向いた、マイクロカプセルの側にある共通電極に移動する。同時に、白色粒子は、観察者から隠れてしまう、マイクロカプセルの反対側にある画素電極に移動する。電圧が取り除かれると、ディスプレイ装置は、獲得した状態に留まり、よって、双安定性を表す。別の手法では、粒子は、染色液体内に備えられる。例えば、黒色粒子を白色液体内に備えてもよく、白色粒子を黒色液体内に備えてもよい。あるいは、他の色の粒子を、別の色の液体内に、例えば、白色粒子を青色液体内に備えてもよい。
【0005】
空気などの他の流体も、荷電した黒色粒子及び白色粒子が電界内で動き回わる媒体においても用い得る(例えば、ブリジストンSID2003、Symposium on Information Displays, May 18-23, 2003, - digest 20.3参照。)。有色粒子も用い得る。
【0006】
電子ディスプレイを形成するために、電子インクを、回路層に貼り付けたプラスチックフィルム・シート上に印刷し得る。回路は、画素パターンを形成し、この画素パターンは更に、ディスプレイ・ドライバが制御することができる。マイクロカプセルは、液体担体媒体内に懸濁させるので、ガラス、プラスチック、織布や、紙をも有するほとんど、どの表面に対する既存のスクリーン印刷プロセスを用いても印刷することができる。更に、フレキシブル・シートを用いることによって、通常の書籍の外観に似せた電子書籍装置を企図することが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、グレイスケール精度を更に向上させることが、特に、画像保持時間が比較的短い領域内で必要である。例えば、画面上の画像をユーザが上下又は左右にスクローリングするスクローリング・モード中には、画像が著しく不安定であることによってグレイスケール誤差が増加するために画像が保持されることが観察される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アクティブ・マトリックス電気泳動ディスプレイなどの双安定型装置について、画像の不安定性を補償し、グレイスケール精度を向上させる方法及び装置を備えることによって上記や他の課題を解決する。特に、一画素又は各画素に対する2つの後続画像更新間の時間間隔が考慮される。この時間間隔は、画素のアドレス指定が行われないか、画素上の電力が実質的にゼロである画像保持時間として定義される。種々の光遷移についての駆動波形が、画像保持時間に基づいて直接行われる。このことは、種々の画像保持時間についての波形をあらかじめ判定し、画像更新期間中に、画素上の現行画像の保持時間によって正確な波形をロードすることによって実現し得る。あるいは、固定の(通常短い)画像保持時間についての波形があらかじめ判定され、補正関数(又は補正テーブル)を用いて、画像保持期間中のグレイスケール精度に対する輝度ドリフトの影響を補正する。補正インパルスは、輝度変動対画像保持時間の曲線によって判定し得るものであり、それは、通常、インク材料の特性の関数である。このようにして、画像の不安定性によって発生するグレイスケール誤差はかなり削減され、インク材料の画像安定性に対する要件の重要度は低下する。よって、本発明は、製造工程において不可避である、材料のばらつきを吸収して、ユーザがみる画像品質を向上させる。
【0009】
本発明の特定の局面によれば、双安定型ディスプレイ上の画像を更新する方法は、ディスプレイ内の少なくとも1つの画素についての画像保持時間を判定する工程と、画像保持時間によって補償インパルスのエネルギを判定する工程と、補償インパルスを有する駆動波形を少なくとも1つの画素に印加させて少なくとも1つの画素を更新する工程とを有する。補償インパルスのエネルギは、パルス持続時間にわたる、電圧の積分である、例えば、電圧が一定の場合、時間×電圧レベルである。単純にするよう、パルス幅変調(PWM)駆動手法を以下で用いて本発明を説明する。PWM駆動手法では、インパルスにおけるエネルギ変動は、電圧レベルが実質的に一定である一方で、パルス長を変動させることによって実現される。
【0010】
関連した電子読書装置及びプログラム記憶装置も備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面では全て、相当する部分は、同じ参照数字によって参照する。
【実施例】
【0012】
図1及び図2は、第1の基板8、第2の対向基板9及び複数の画像素子2を有する電子読書装置のディスプレイ・パネル1の一部分の実施例を示す。画像素子2は、2次元構造における実質的にまっすぐな線に沿って配置し得る。画像素子2は、明確にするようお互いに間隔をおいて示しているが、実際には、画像素子2は、連続した画像を形成するように、お互いに非常に近い場所にある。更に、完全なディスプレイ画面の一部のみを示す。ハニカム配列などの、画像素子の他の配置も考えられる。荷電粒子5を有する電気泳動媒体5は、基板8と基板9との間にある。第1の電極3及び第2の電極4は、各画像素子2と関連付けられる。電極3及び電極4は、電位差を受けることができる。図2では、画像素子2毎に、第1の基板は、第1の電極3を有し、第2の基板9は、第2の電極4を有する。荷電粒子6は、電極3と電極4との一方に近い位置を占めることができ、それらの中間の位置を占めることもできる。各画像素子すなわち画素2は、電極3と電極4との間の、荷電粒子6の位置によって定められる外観を有する。電気泳動媒体5自体は、米国特許第5,961,804号明細書、米国特許第6,120,839号明細書及び米国特許第6,130,774号明細書によって公知であり、例えばEInk社から入手できる。
【0013】
例として、電気泳動媒体5は、負に帯電した黒色粒子6を白色流体において備え得る。荷電粒子6が、例えば+15Vの、電位差によって第1の電極3の近くにある場合、画像素子2の外観は白色である。荷電粒子6が、例えば、−15Vの、逆極性の電位差によって第2の電極4の近くにある場合、画像素子2の外観は黒色である。荷電粒子6が、第1の電極3と第2の電極4との間にある場合、画像素子は、黒色と白色との間のグレイレベルなどの中間的な外観を有する。駆動制御100によって、各画像素子2の電位差を制御して所望のピクチャ、例えば画像及び/又はテキストを完全なディスプレイ画面内に生成する。完全なディスプレイ画面は、ディスプレイ内の画素に相当する数多くの画像素子を備える。
【0014】
図3は、電子読書装置の概要を模式的に示す。電子読書装置100は、アドレス指定回路105を備える制御部100を有する。制御部100は、電気泳動画面などの1つ又は複数のディスプレイ画面310を制御して、所望のテキスト又は画像を表示させる。例えば、制御部100は、ディスプレイ画面310における別々の画素に電圧波形を備え得る。アドレス指定回路は、行や列などの、特定の画素をアドレス指定する情報を備えて、所望の画像又はテキストを表示させる。以下に更に説明するように、制御部100は、別々の行及び/又は列から始めて、連続するページを表示させる。画像又はテキストのデータをメモリ120に記憶し得る。一例として、フィリップス・エレクトロニクス社のスモール・フォーム・ファクタ光(SFFO)ディスク・システムがある。制御部100は、次ページ・コマンドや前ページ・コマンドなどのユーザ・コマンドを起動させるユーザ起動のソフトウェア・ボタン又はハードウェア・ボタン320に応じ得る。制御部100は、ASICを備え得る。
【0015】
制御部100は、ソフトウェア、ファームウェア、マイクロコード等などの何れかの種類のコンピュータ・コード装置を実行して、本明細書及び特許請求の範囲記載の機能を達成し得る。更に、メモリ120は、制御部100やコンピュータなどのマシンによって実行可能な命令プログラムを有形的に実施するプログラム記憶装置であり得る。そうしたプログラム記憶装置は、当業者に分かり得るように備え得る。そうしたコンピュータ・コード装置を備えるコンピュータ・プログラムも、当業者に分かるように備え得る。
【0016】
制御部100は、電子書籍のディスプレイ領域の強制リセットを周期的に、例えば、xページが表示される都度、y分毎に、例えば、10分毎に、電子読書装置が最初に立ち上げられる時点で、及び/又は、輝度偏差が3%屈折率などの値よりも大きい場合に、備えるロジックを有し得る。自動リセットの場合、許容可能周波数を、許容可能な画像品質をもたらす最低の周波数に基づいて経験的に判定することができる。更に、リセットは、ユーザによって手作業で、機能ボタンや他のインタフェース装置を介して、例えば、ユーザが電子読書装置を読み始める場合や許容できないレベルに画像品質が低下する場合に起動させることができる。
【0017】
本発明は、何れかのタイプの電子読書装置に用い得る。図4は、2つの別個のディスプレイ画面を有する電子読書装置400の、考えられる一例を示す。特に、第1のディスプレイ領域442が第1の画面440上に備えられ、第2のディスプレイ領域452が第2の画面450上に備えられる。画面440及び画面450は、画面をお互いに対して平らに折りたたむか、開けて表面上に倒すことを可能にするビンディング445によって接続し得る。この装置は、通常の本を読む体験を厳密に再現するので望ましいものである。
【0018】
種々のユーザ・インタフェース装置を備えて、ページ順送りコマンド、ページ逆送りコマンド等をユーザが起動させることを可能にし得る。例えば、第1の領域442は、マウスや他のポインティング・デバイス、タッチ駆動、PDAペンや他の公知の手法を用いて駆動させて、電子読書装置のページをたどることができる画面上ボタン424を備え得る。ページ順送りコマンドとページ逆送りコマンドとに加えて、同じページ内で上又は下にスクローリングする機能を備え得る。ハードウェア・ボタン422を代替的又は追加的に備えて、ページ順送りコマンド及びページ逆送りコマンドをユーザに備えることを可能にし得る。第2の領域452も、画面上ボタン414及び/又はハードウェア・ボタン412を備え得る。なお、第1のディスプレイ領域442及び第2のディスプレイ領域452の周りのフレーム405は、ディスプレイ領域がフレームなしであり得るので必要でない。音声コマンド・インタフェースなどの他のインタフェースも用い得る。なお、ボタン412、414、422、424は、両方のディスプレイ領域に必要である訳でない。すなわち、単一の、ページ順送りボタン及びページ逆送りボタンの群を備え得る。あるいは、単一の、ボタンや、ロッカ・スイッチなどの他の装置を駆動させてページ順送りコマンドもページ逆送りコマンドも備え得る。機能ボタンや他のインタフェース装置も備えて、ユーザが手作業でリセットを起動させることもできる。
【0019】
考えられる他の設計では、電子書籍は、一度に1ページを表示する単一のディスプレイ領域を備える単一のディスプレイ画面を有する。あるいは、単一のディスプレイ画面は、例えば、水平方向又は垂直方向に配置される、2つ以上のディスプレイ領域に分割し得る。いずれにせよ、本発明を各ディスプレイ領域に用いて、画面保持作用を低減させ、画像更新の平滑性を向上させることができる。
【0020】
更に、複数のディスプレイ領域を用いる場合、連続するページを何れかの所望の順序で表示することができる。例えば、図4では、第1のページをディスプレイ領域442上に表示することができる一方、第2のページをディスプレイ領域452上に表示することができる。次のページを表示する旨をユーザが要求すると、第2のページが第2のディスプレイ領域452に表示されたままで第3のページを第1のページの代わりに第1のディスプレイ領域442に表示し得る。同様に、第4のページを第2のディスプレイ領域452に表示し得る、などである。別の手法では、次のページを表示する旨をユーザが要求すると、両方のディスプレイ領域が、第1のページの代わりに第3のページが第1のディスプレイ領域442に表示され、第2のページの代わりに第4のページが第2のディスプレイ領域452に表示されるように更新される。単一のディスプレイ領域が用いられる場合、第1のページを表示し得るものであり、ユーザが次のページ・コマンドを入力すると、第2のページが第1のページを上書きする、などである。当該処理は、ページ逆送りコマンドの場合逆方向に行い得る。更に、当該処理は、ヘブライ語などの、テキストが右から左に読まれる言語や、テキストが行単位ではなく列単位で読まれる、中国語などの言語に同様に適用可能である。2つ以上の別個のディスプレイ領域に分割される単一のディスプレイ画面を有することも考えられる。
【0021】
更に、ページ全体をディスプレイ領域上に表示しなくてよい。ページの一部分を表示し、スクローリング機能を備えて、ユーザが上下又は左右にスクローリングしてページの他の部分を読むことを可能にし得る。拡大機能及び縮小機能を備えて、ユーザがテキスト又は画像のサイズを変更することを可能にし得る。このことは、例えば、視力が低下したユーザにとって望ましいものであり得る。
【0022】
画像ドリフト
電気泳動ディスプレイなどの双安定型ディスプレイは、その高輝度、高コントラスト比、広視野角及び安定した画像の点でLCDなどの他のディスプレイと比較して、利点を有している。更に、平均電力消費は、その双安定性によって可能になる低リフレッシュ速度によって、LCDによるものの100分の1未満である。すなわち、画像更新の完了後、画像は、電圧パルスを何ら供給することなく画素を実質的に保持する。電圧パルスは、次の画像更新中のみに必要である。白色間遷移などの、次の画像更新中に光状態が変わらない画素を更新/リフレッシュすることが可能でなく、更に低い電力消費をもたらすことにもなる。しかし、実用的な電気泳動ディスプレイでは、光状態が、画像保持期間中に、特に、画像更新直後の最初の100秒間に、ドリフトすることがみられる。
【0023】
例えば、図5は、白色状態のアドレス指定の直後の、画像保持時間に対する、輝度の変動を示す。データは、プロトタイプのアクティブ・マトリクス・ディスプレイ・パネルを用いて実験的に得られた。水平方向の軸は、画像保持時間を秒で示す一方、垂直方向の軸は、白色状態輝度(L*)を示す。分かり得るように、輝度は、保持時間が増加するにつれ、ほぼ指数関数的に減少する。おおよその最終レベルには、約200秒後に達する。「最終」レベルと当初レベルとの間の差は、最大6-7L*になり得る。実際には、保持時間は、利用モードによって変動する。一定の保持時間に基づいて判定される駆動波形を用い得るが、この手法は、グレイスケール誤差が大きくなってしまうことが多い。駆動波形においてシェーキング・パルスとオーバー・リセット・パルスとを一体化させることによって、グレイスケール精度はかなり向上する。シェーキング・パルスは、内容を本明細書及び特許請求の範囲に援用する、「Display device」と題する同時係属中の欧州特許出願公開第02077017.8号(事件整理番号PHNL030441)明細書に記載されている。オーバー・リセット・パルスは、内容を本明細書及び特許請求の範囲に援用する、「Electrophoretic display panel」と題する同時係属中の欧州特許出願公開第03100133.2号明細書(事件整理番号PHNL030091)明細書に記載されている。
【0024】
本発明は、個々の画素、画素群又は各画素に対する画像保持時間を考慮することによって、双安定型ディスプレイについて、画像の安定性を補償し、グレイスケール精度を向上させる駆動手法を備える。種々の光遷移に対する駆動波形を、画像保持時間と直結させる。このことは、種々の画像保持時間についての波形をあらかじめ判定し、画像更新中に、画素上の現行画像の保持時間によって正確な波形をロードすることによって実現し得る。あるいは、固定の(短い)画像保持時間についての波形があらかじめ判定され、補正関数又は補正テーブルを用いて、グレイスケール精度に対する、画像保持期間中の輝度ドリフトの影響を補正するのに用いる。補正インパルスは、画像保持時間に対する輝度変動の曲線によって判定し得るものであり、それは通常、インク材料の特性の関数である。このようにして、画像の不安定性によって発生するグレイスケール誤差のかなりの低減及び/又はインク材料の画像安定性に対する要件の重要度の低下が生じる。画像品質はよって、製造コストを削減することができる一方で、向上する。
【0025】
実施例1
第1の実施例では、画像不安定性補償インパルス対画像保持時間曲線を用いて、次の画像遷移における光状態の復元又は補正に用いる。インパルスは、現行の画像保持時間での現行の輝度、例えば、白色を、実質的にゼロの画像保持時間、すなわち、画像更新の直後に得られるレベル、での元の/当初のレベルにパルスが至らせようとする、インパルス・エネルギの関数としての輝度を測定することによって得られる。輝度を完全に回復させるうえで最小のインパルスは、この画像保持時間での補償インパルスとして定義される。同じ手順が他の画像保持時間について繰り返される。こうしたデータから、補償インパルス時間対画像保持時間の曲線が、図6に模式的に表すように作成される。図6は、アクティブ・マトリックス・ディスプレイ・パネルにおける白色状態についての、画像保持時間に対する補償インパルス時間の実験曲線を示す。−15Vの実質的に一定の電圧をこの実験に用いている。水平方向の軸は画像保持時間を秒で示す一方、垂直方向の軸は画像不安定性補償インパルス時間をミリ秒(ms)で示す。補償インパルスの期間は画像保持時間における増加とともにほぼ指数関数的に増加するので、より長い補正パルスがより長い保持時間で必要である。この例において、かつ、それ以降では、単純にするためにパルス幅変調駆動を用いているが、他の駆動手法を、以下に更に記載するように用い得る。電圧レベルが実質的に一定である一方で、パルス時間を各インパルスにおいて調節してインパルス・エネルギを変動させる。
【0026】
(例えば、上記欧州特許出願公開第03100133.2号に記載されたような)レール安定化駆動手法では、オーバー・リセット・パルスを場合によっては用いて、高精度のグレイスケールを、画像更新時間を削減し、光フリッカを削減して、達成する。そうした駆動手法では、駆動波形は、リセット・パルス及びグレイスケール駆動パルスを備える。リセット・パルスは、2つの電極のうちの一方に近い2つの最端の位置のうちの一方に現在の位置から粒子を移動させる電圧パルスとして定義され、グレイスケール駆動パルスは、表示すなわち画素を所望の最終的な光状態に送る電圧パルスである。そうした駆動手法では、上記測定曲線も用いて、画像の不安定性の影響を補償し得る。この場合、リセット・パルスは、白色の当初状態について図7に示すように、標準リセットと、オーバー・リセットと、画像不安定性補正リセットとの3つの部分を備え得る。図7は、オーバー・リセット期間が40msの、アクティブ・マトリクス・ディスプレイにおいて白色状態についての、画像保持時間に対する補償インパルス時間を示す図である。より長い補正パルスが、より長い保持時間で必要であることが分かる。ディスプレイは白色状態にあるので、標準的なリセットは存在しない。40msの、一定のオーバー・リセット・パルスをこの例で用いており、可変画像不安定性補正リセットを、図6のデータに基づいて測定されたものとして挿入している。図7の曲線は、図6の曲線に40msを加えることによって得られる。
【0027】
第1の実施例を実施するために、メモリ、例えばメモリ120は、例えばグレイスケール更新(GU)モードにおいて一定の画像保持時間で標準的な駆動波形を記憶し得るものであり、波形はグレイスケール画像の更新に用いる。標準的な駆動波形は、一定の画像保持時間で最適化される駆動波形を表し、保持時間は、好ましくは、短い、例えば、ゼロ又は数秒間に近い。標準的な駆動波形は、本発明による補償インパルスを用いるものでなく。図8乃至図12に関して更に記載したように、例えば、シェーキング・パルス、リセット・パルス及び駆動パルスを備え得る。他の更新モード、例えば、モノクロ更新(MU)モードの場合の一定の画像保持時間での標準的な駆動波形はメモリ120に記憶され、この波形はモノクロ画像を更新するのに用いる。(例えば、図6に示すような)種々の光遷移についての所定の補償インパルスの関数/曲線のデータを、標準的な駆動波形と同じ系列に記憶することができる。例えば、グレイスケール更新の場合、グレイスケール補償インパルスは、GUモードにおいてグレイスケール駆動波形全体の一部として記憶することができる。画像更新中には、標準的な波形も、相当する画像保持時間での補償パルスも、画素上の現行画像の測定画像保持時間に基づいてロードされる。同様に、モノクロ更新モード等の他の更新モードについて行うことができる。
【0028】
実際に、補償インパルスは、材料特性によって大いに定められ、利用モードに対する感度は実質的に高いものでない。よって、画像更新モードにかかわらず、(補償時間すなわちCT用)メモリに(例えば、図6に示すものなどの)種々の光遷移についての所定の補償インパルスの関数/曲線のデータを記憶することが更に効果的である。こうしたデータは、別々のモードについて別個に記憶しなくてよく、メモリ要件が削減される。画像更新中には、標準的な波形も、相当する画像時間での補償パルスも、画素上の現行画像の測定画像保持時間に基づいてロードされる。例えば、グレイスケール画像更新では、標準的な波形がGUからロードされ、相当する画像保持時間での補償パルスが、画素上の現行画素の測定画像保持時間に基づいてCTからロードされる。同様に、モノクロ画像更新では、標準的な波形はMUからロードされ、相当する画像保持時間での補償パルスは画素上の現行画像の測定画像保持時間に基づいてCTからロードされる。このことは、モノクロ更新モード等の他の更新モードについて行うことができる。
【0029】
この方法の更なる効果は、画像保持時間によって補償インパルスをスケーリングすることが可能になるというものである。画像の安定性を補償するうえで基本パルス長が駆動波形に挿入されるとすれば、測定される画像保持時間曲線及び輝度補正/回復曲線によってスケーリング係数対画像保持時間を得ることができる。スケーリング係数曲線を所定の画像保持時間と併せて記憶し得るものであり、画像更新中に画素上の画像保持時間によってロードすることができる。「基本的な」補償インパルスすなわち標準的な補償インパルスは、画素上の画像保持時間によるスケーリング係数によって判定される、可変のパルス長又はエネルギを備える種々の駆動波形の一部である。メモリ要件の削減が画像更新効率の向上と併せて実現されるが、それは、標準的な駆動波形と、補償波形とを別個にロードしなくてよく、画像保持時間が読み取られる時点でスケーリング係数が読み出されるからである。
【0030】
実施例2
第2の、考えられる実施例では、図6や図7のものなどの曲線を表す関数/曲線を読み取って、画像保持時間に基づいた補償インパルス時間を判定する代わりに、個々のルックアップ・テーブル(LUT)を種々の画像保持時間で生成し、メモリに記憶し得る。LUTは、種々の画像保持時間各々について種々の波形を規定するデータを備える。画像更新期間中に、波形のうちで選択されたものが、画素上の現行画像の保持時間によってロードされ、ディスプレイにおける少なくとも1つの画素に印加される。グレイスケール精度は、増加させた数のLUTを種々の保持時間について、利用可能なメモリ空間に応じて備えることによって増加させ得る。
【0031】
図示すれば、例えば、図5及び図7の曲線を、種々の画像保持時間での種々のLUTについてのデータを判定するうえでの手助けとして用い得る。例えば、最大8つのLUTを用い得るものとすれば、LUTのうちの1つは、補償インパルスなしで標準的な駆動波形を備えるデータを備え得るものであり、他の7つのLUTは、7つの別々の画像保持時間について、補償インパルスを備える駆動波形のデータを備え得る。一手法では、LUTは、等しいか実質的に等しい輝度増加分に基づいている。例えば、図5の曲線を種々の輝度レベルで読み取って相当する画像保持時間を判定することができる。等しい輝度増加分、例えば、1L*の増加分で、画像保持時間を得れば、図7におけるものなどの、補償インパルス時間対画像保持時間曲線を更に読み取って補償インパルス時間を読み取ることができる。結果例は以下の通りである。
【0032】
輝度レベル(L*) 画像保持時間(秒) 補償インパルス時間(ミリ秒)
65 0 40
64 15 40
63 30 85
62 50 95
61 100 120
60 180 138
59 400 160
58.6 600 170
上記8点は、例として備えているに過ぎない。これを上回る数又は下回る数の点を所望の場合用いることができる。更なるテーブルのデータを、他のテーブルを補間することによって得ることができる。更に、パルス幅変調が用いられない場合に補償インパルス・エネルギを判定するデータを同様に取得し得る。例えば、垂直方向の軸がエネルギを示す、図7に類似した曲線を用い得る。相当する補償インパルスを、時間にわたる電圧の積分の合計が所望のエネルギになるようにインパルス形状に基づいて備えることができる。
【0033】
以下に記載する図8乃至図12は、上記補償インパルスを備える時間領域波形例を示す。
【0034】
図8は、好ましくは短い、例えば数秒間の、一定の画像保持時間の波形例を示す。波形800、820、840及び860は、白色(W)から濃灰色(G1)への遷移と、淡灰色(G2)から濃灰色(G1)への遷移と、黒色(B)から淡灰色(G2)への遷移と、白色(W)から白色(W)への遷移との各々を備える。S1は、第1のシェーキング・パルス群を表し、Rは、リセット・パルスを表し、Dは駆動パルスを表す。各シェーキング・パルスは、現行の位置で粒子を放出するのに十分であるが、現行の位置から、2つの電極に近い、2つの最端の位置のうちの一方に粒子を移動させるのには不十分であるエネルギを表す。この例では、補償インパルスは何ら用いられない。波形全体800、820、840及び860は、種々の画像遷移についての標準的な駆動波形としても表す駆動波形とみなし得る。
【0035】
図9は、本発明による、全てのデータ信号前に備えられる、画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)パルスを備える波形例を示す。駆動波形900、920、940及び960は、白色(W)から濃灰色(G1)への遷移と、淡灰色(G2)から濃灰色(G1)への遷移と、黒色(B)から淡灰色(G2)への遷移と、白色(W)から白色(W)への遷移との各々を備える。S1は第1のシェーキング・パルスを表し、Rはリセット・パルスを表し、Dは駆動パルスを表し、Cは補償インパルスを表す。なお、補償インパルスは種々の持続時間及び極性を有し得る。この例では、補償インパルスを、第1のシェーキング・パルス(S1)を備えるデータ信号全ての前に備える。波形900及び920では、「B」は、リセット・パルス(R)の終点で黒色状態が達成されたということを示す。波形940では、「W」は、リセット・パルス(R)の終点で白色状態が達成されたということを示す。補償インパルスの極性は、リセット・パルスのものと逆であるが、駆動(D)パルスのものと同じである。示すように補償インパルスを配置させることが効果的であるが、それは、実質的にゼロの画像保持時間での元の/当初の輝度レベルが、標準的な駆動波形の印加の前に現行の画像保持時間からまず実質的に回復され、それによって当初参照状態が好適に規定されるようになり、よってグレイスケール精度が向上するからである。
【0036】
図10は、本発明による、第1のシェーキング・パルス(S1)とリセット(R)パルスとの間に備えられる保持時間によってエネルギが変動する補償(C)パルスを備える波形例を示す。駆動波形1000、1020、1040及び1060は、白色(W)から濃灰色(G1)への遷移と、淡灰色(G2)から濃灰色(G1)への遷移と、黒色(B)から淡灰色(G2)への遷移と、白色(W)から白色(W)への遷移との各々を備える。S1は、第1のシェーキング・パルスを表し、Rはリセット・パルスを表し、Dは駆動パルスを表し、Cは補償インパルスを表す。波形1000及び1020では、「B」は、リセット・パルス(R)の終点で黒色状態が達成されたということを示す。波形1040では、「W」は、リセット・パルス(R)の終点で白色状態が達成されたということを示す。補償インパルスの極性は、リセット・パルスのものと逆であるが、駆動(D)パルスのものと同じである。示すように補償インパルスを配置させることが効果的であるが、それは、画素上の画像履歴が、シェーキング・パルス(S1)を印加させることによってまず取り除かれ、その後、実質的にゼロの画像保持時間での元の/当初の輝度レベルが、標準的な駆動波形の第2の部分の印加の前に現行の画像保持時間から実質的に回復されるからである。この構成は、グレイスケール精度を向上させるが、それは、当初の参照状態が好適に規定されることが保証されるのみならず、画素上の画像履歴も最小になるからである。
【0037】
図11は、本発明による、第1の信号パルスの一部である画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える波形例を示す図である。駆動波形1100、1120、1140及び1160は、白色(W)から濃灰色(G1)までの遷移と、淡灰色(G2)から濃灰色(G1)までの遷移と、黒色(B)から淡灰色(G2)までの遷移と、白色(W)から白色(W)までの遷移との各々を備える。S1は第1のシェーキング・パルスを表し、Rはリセット・パルスを表し、Dは駆動パルスを表し、Cは補償インパルスを表す。波形1100及び1120では、「B」は、リセット・パルス(R)の終点で黒色状態が達成されたということを示す。波形1140では、「W」は、リセット・パルス(R)の終点で白色状態が達成されたということを示す。
【0038】
図9及び図10の波形では、補償インパルスは、別個のパルスとして印加されている。対照的に、図11では、補償インパルスは、第1の信号パルス、すなわちリセット・パルス(R)に直接隣接している。例えば、波形1100では、補償インパルス(C)は、負の極性を有し、正の極性を有するリセット・パルス(R)に隣接している。波形1120及び1160についても同様である。波形1140では、補償インパルス(C)は、正の極性を有し、負の極性を有するリセット・パルス(R)に隣接している。補償インパルスの極性はリセット・パルスのものとは逆であるが、駆動(D)パルスのものと同じである。示すように補償インパルスを配置させることが効果的であるが、それは、画像品質が、補償インパルスとリセット・パルスとの間の時間間隔を削減することによって更に向上するからである。
【0039】
図12は、白色間の遷移についての駆動波形例1200、1220、1240及び1260を示す。波形1200は、比較するよう備えられる、固定画像保持時間での標準的な波形である。波形1220は、データ信号、例えば、シェーキング・パルス(S1)及び極限駆動(ED)パルスの前の画像保持時間によってエネルギが変動する補償インパルス(C)を備える。極限駆動パルスは、現在の位置すなわち状態から、極限状態の1つである最終状態に粒子を移動させるのに十分なエネルギを表す電圧パルスを表す。極限駆動パルスを、リセット・パルスとともに用いることができ、リセット・パルスの代わりに用いることもできる。更に、極限駆動パルスは、最終的な、極限の状態に現行状態から粒子を移動させるのに十分である持続時間又はそれを超える持続時間を有し得る。よって、極限駆動パルス持続時間は、リセット・パルス持続時間又はオーバ―・リセット・パルス持続時間に相当する。波形1240は、シェーキング・パルス(S1)とEDパルスとの間にある画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える。波形1260は、シェーキング・パルス(S1)の後にあり、EDパルスの直前にあり、EDパルスに隣接する画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える。
【0040】
この実施例は、画素上の実質的な光状態変動がない画像遷移についての標準的な波形を、例えば、単一極性波形に単純化することができるということを示す。このことによって、画像更新中の光フリッカが更に削減されることになる。この場合も又、画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)パルスは、駆動波形の一部であり、本発明による、図9乃至図11に記載するような波形における種々の時点で備えられる。ここでは、波形1220、1240及び1260に示すように、補償インパルスの極性は、極限駆動(ED)パルスのものと同じである。
【0041】
補償インパルス(C)の極性は、ディスプレイにおける粒子がその方向に移動することができるように選択され、その結果、後続する標準的な駆動波形におけるパルスの極性にかかわらず、実質的にゼロの画像保持時間での先行画像更新中に得られる当初の/元の光状態をもたらす。
【0042】
なお、何れかの2つの後続パルス間の時間間隔が、合計画像更新時間の短縮の効果としてゼロに実質的に等しいものであり得る。画素上の画像保持時間を測定するためには、タイマを画素上に挿入し得る。タイマは、画像更新が完了した直後にカウントを自動的に始め、画素上の最終画像更新からの経過時間が読み取られ、それは、正確な補償インパルスをロードするよう、後続する画像更新中に用いられる。一方、タイマは、ゼロにリセットし、次の更新後に新たにカウントを始めることができる。この処理は繰り返すことができる。個々の画素毎に画像保持時間をカウントすることが有用であるが、実際には、ディスプレイ上の単一の画素について画像保持時間をカウントすることが可能であり、タイマ情報を用いてディスプレイ全体又は、ディスプレイの一部を更新することができる。なお、上記例では、パルス幅(PWM)駆動を、本発明を例証するのに用いている、すなわち、電圧振幅が一定に維持される一方で、パルス時間が各波形において変動する。しかし、本発明は、他の駆動手法、例えば、各波形においてパルス電圧振幅が変更される電圧変調(VM)駆動や、PWM駆動とVM駆動との組み合わせにも適用可能である。VM駆動又は、VM駆動とPWM駆動との組み合わせが用いられる場合、補償インパルスにおいて関係するエネルギが、更新直後に得た当初レベルに輝度を完全に回復させるのにちょうどよいように選択される。本発明は、カラー双安定型ディスプレイにも適用可能である。更に、電極構造は限定されるものでない。例えば、上下の電極構造、ハニカム構造や他の、横電界駆動と垂直配向との組み合わせを用い得る。更に、本発明は、パッシブ・マトリクス電気泳動ディスプレイとアクティブ・マトリクス電気泳動ディスプレイとにおいて実施される。実際には、本発明は、画像更新後に画像がディスプレイ上に実質的に留まる間に電力を消費しない何れかの双安定型ディスプレイにおいて実施することができる。更に、本発明は、例えば、タイプライタ・モードが存在する単一ウィンドウ・ディスプレイ及び複数ウィンドウ・ディスプレイに適用可能である。
【0043】
本発明の好ましい実施例と考えられるものを示し、説明したが、形態又は詳細における種々の修正及び変更を、本発明の技術思想から逸脱することなく容易に行うことができるということは当然分かるものである。よって、本発明は、記載し例証したまさにその形態に限定されるものでなく、本特許請求の範囲記載の範囲内に収まり得る修正を全て備えるよう解されることとするということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】電子読書装置の表示画面の一部分の実施例を模式的に示す正面図である。
【図2】図1中の2-2に沿って模式的に示す断面図である。
【図3】電子読書装置の概要を模式的に示す断面図である。
【図4】各々がディスプレイ領域を備える2つのディスプレイ画面を模式的に示す図である。
【図5】白色状態にアドレス指定した直後の、画像保持時間に対する、輝度の変動を示す図である。
【図6】白色状態についての、画像保持時間に対する、補償インパルス時間における変動を示す図である。
【図7】オーバー・リセット時間が40msの、白色状態についての、画像保持時間に対する、補償インパルス時間における変動を示す図である。
【図8】固定の(短い)画像保持時間での波形例を示す図である。
【図9】本発明による、データ信号全ての前に備えられる画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える波形例を示す図である。
【図10】本発明による、第1のシェーキング・パルス(S1)の後に、かつ、リセット(R)パルスの前に備えられる画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える波形例を示す図である。
【図11】本発明による、第1の信号パルスの一部である画像保持時間によってエネルギが変動する補償(C)インパルスを備える波形例を示す図である。
【図12】本発明による、エネルギが変動する補償(C)インパルスを備える、白色間遷移についての波形例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双安定型ディスプレイ上の画像を更新する方法であって、該方法が、
前記双安定型ディスプレイにおける少なくとも1つの画素についての画像保持時間を判定する工程と、
該画像保持時間によって補償インパルスを備えるエネルギを判定する工程と、
前記補償インパルスを有する駆動波形を前記少なくとも1つの画素に対して印加させて該少なくとも1つの画素を更新する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記双安定型ディスプレイが電気泳動ディスプレイを備えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、
前記エネルギを判定する工程が、前記画像保持時間の所定の関数として前記補償インパルスを備える前記エネルギを判定する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、
前記画像保持時間の前記所定の関数が、種々の画像保持時間について、インパルス・エネルギの関数として輝度を測定することによって判定されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、
前記少なくとも1つの画素についての前記画像保持時間を判定する工程が、前記少なくとも1つの画素についての前記画像保持時間を測定する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、
前記補償パルスの極性が、前記双安定型ディスプレイにおける粒子を、前記少なくとも1つの画素の当初の光状態をもたらす方向に移動させるよう選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、
前記補償インパルスが、前記駆動波形内にデータ・パルス全ての前に備えられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、
前記補償インパルスが、前記駆動波形内に、シェーキング・パルスに後続し、リセット・パルス及び極限駆動パルスに先行して備えられることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、
前記補償インパルスが、前記駆動波形内に、極限駆動パルスの直前に、かつ、該極限駆動パルスに隣接して備えられることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、
種々の画像保持時間各々について種々の波形を規定するデータを備える工程を備え、
前記駆動波形を印加させる工程が、前記少なくとも1つの画素に対して印加させる対象の、前記種々の波形のうちの1つを、前記判定画像肘時間に基づいて選択する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記種々の波形を規定する前記データを、別々のルックアップ・テーブル各々に記憶する工程を更に備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法であって、
前記種々の波形を規定する前記データが、前記判定エネルギによって標準的な補償インパルスをスケーリングするためのデータを備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法であって、
前記種々の波形を規定するデータを備える工程が、前記種々の画像保持時間各々に関連付けられる輝度の実質的に等しい増加分のデータを備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
双安定型ディスプレイ上の画像を更新する方法を行う旨の、マシンによって実行可能な命令プログラムを有形的に実施するプログラム記憶装置であって、前記方法が、
前記双安定型ディスプレイにおける少なくとも1つの画素についての画像保持時間を判定する工程と、
該画像保持時間によって補償インパルスを備えるエネルギを判定する工程と、
前記補償インパルスを有する駆動波形を前記少なくとも1つの画素に対して印加させて該少なくとも1つの画素を更新する工程とを備えることを特徴とするプログラム記憶装置。
【請求項15】
ディスプレイ装置であって、
双安定型ディスプレイと、
該双安定型ディスプレイ上の画像を、
前記双安定型ディスプレイにおける少なくとも1つの画素についての画像保持時間を判定する工程と、
該画像保持時間によって補償インパルスを備えるエネルギを判定する工程と、
前記補償インパルスを有する駆動波形を前記少なくとも1つの画素に対して印加して該少なくとも1つの画素を更新する工程とを行うことによって更新する制御部とを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項16】
請求項15記載のディスプレイ装置であって、
前記双安定型ディスプレイが電気泳動ディスプレイを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項17】
請求項15記載のディスプレイ装置であって、
前記制御部が、前記画像保持時間の所定の関数として前記補償インパルスを備える前記エネルギを判定することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項18】
請求項17記載のディスプレイ装置であって、
前記画像保持時間の前記所定の関数が、種々の画像保持時間について、インパルス・エネルギの関数として輝度を測定することによって判定されることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項19】
請求項15記載のディスプレイ装置であって、
種々の画像保持時間各々について種々の波形を規定するデータを備える工程を更に備え、
前記駆動波形を印加させる工程が、前記少なくとも1つの画素に対して印加する対象の、前記種々の波形のうちの1つを、前記判定画像保持時間に基づいて選択する工程を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項20】
請求項19記載のディスプレイ装置であって、
前記種々の波形を規定するデータを備える工程が、前記種々の画像保持時間各々に関連付けられる輝度の実質的に等しい増加分のデータを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項21】
制御部であって、
双安定型ディスプレイにおける少なくとも1つの画素について画像保持時間を判定する第1の手段と、
該画像保持時間によって補償インパルスのエネルギを判定する第2の手段と、
前記補償インパルスを有する駆動波形を前記少なくとも1つの画素に対して印加させて該少なくとも1つの画素を更新する第3の手段とを備えることを特徴とする制御部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−521512(P2007−521512A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524501(P2006−524501)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051532
【国際公開番号】WO2005/019912
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】