高信頼性の切削加工方法、およびこれを用いた切削ツールを含む装置
【課題】本発明の目的は、歯車の歯面または量産性の高い周期的構造物を切削加工する方法および装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、ワークピース(50,70)に対して切削ツール(100)を設定し、押圧移動させる方法もおよび装置に関し、切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を作製するものであり、ワークピース(50)を半径方向に供給移動させて、最初に、切削ツール(100)をワークピース(50,70)に接触させ、切削ツール(100)がワークピースに最初に接触した時から、切削ツール(100)を半径方向に押圧移動させて、回転対称的で周期的な構造物に対する適当な切削加工が完了するまで、ワークピースの所定の深さまで切込むものである。
【解決手段】本発明は、ワークピース(50,70)に対して切削ツール(100)を設定し、押圧移動させる方法もおよび装置に関し、切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を作製するものであり、ワークピース(50)を半径方向に供給移動させて、最初に、切削ツール(100)をワークピース(50,70)に接触させ、切削ツール(100)がワークピースに最初に接触した時から、切削ツール(100)を半径方向に押圧移動させて、回転対称的で周期的な構造物に対する適当な切削加工が完了するまで、ワークピースの所定の深さまで切込むものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車システム(tooth system)その他の周期的構造物を高い信頼性で切削加工する方法、およびこれを用いた切削ツールを含む装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯車を作製するための手法は数多くある。チップ切除ソフト事前機械加工(chip-cutting soft pre-machining)の分野において、歯切加工(hobbing)、ギア形削加工(gear shaping)、平削加工(generating planing)、および切削加工(skiving、パワー切削加工を含む)は、区別されている。歯切加工および切削加工は、詳細について後述するが、いわゆる連続的な方法である。
【0003】
歯車のチップ切除機械方法の分野において、断続歯割加工(intermitted indexing process、または単一断続加工)、および連続方法(連続間欠加工または歯面切加工ともいう)は、区別されている。
【0004】
連続方法において、ワークピースの側面(フランク)を切削するために、たとえば対応するカッタを含むツールが用いられる。断続加工方法を用いて、1つのクランプでワークピースを連続的に切削する用意を整える。連続方法は、複雑で、かつ連動した動作シーケンスに基づくものであり、ツールおよび製作対象のワークピースは、互いに対する連続する歯切動作(indexing movement)を行う。歯切動作は、連動し、複数のマシンのそれぞれの駆動軸を互いに連動させることにより行う。
【0005】
単一歯切プロセスにおいて、1つの歯間が作製されると、たとえばワークピースを回転させて、いわゆる歯切動作を行い、ツールの相対的な位置を変えて、次の歯間を作製する。歯車は、こうした少しずつ(数多くのステップで)作製されるものである。
【0006】
形削りツール1の回転軸R1の交角と、ワークピース2の回転軸R2との間の交角(軸交角ともいう)は、図1で概略的に示すように、ゼロ度(0度)であるため、上記したギア作製方法は、円筒形状ギア搬送システムと説明され、代表的なものである。2つの軸R1,R2の交角がゼロ度であるとき、これらの回転軸は互いに平行なものとなる。ツール1の軸R1の周りにおいて、ワークピース2の回転軸R2を連続的に回転させる。回転動作に加えて、形削りツール1は、図1で示す双方向矢印Shxで示すようなストローク動作を行い、このストローク動作の間において、ワークピース2からチップ(chip、削り片)が取り除かれる。
【0007】
少し前では、切削加工と呼ばれる手法が行われていた。基本的技術は、約100年以上前に確立されたものである。最初の特許出願は、この加工方法について、ドイツ特許第2343514号として出願された1912年代まで遡る。当初の数年間で最初に開発調査された後には、さらに意義深い進歩は追求されなかった。これまで、切削加工方法に適したツールの形状は一部において楕円形状を有するが、その形状を見出すという複雑なプロセスを必要とするものであつた。
【0008】
1980年代中頃、切削加工技術は再び脚光を浴びた。現在における加工装置のシミュレーション技術および最近のCNC制御技術が利用可能となるまで、切削加工原理を生産性高く、再現性よく、高い信頼性で実現することはできなかった。加えて、現在における高い耐磨耗性を有し、静的および動的にきわめて高い剛性のツール材料や、現在のマシンの高い同期操作性が実現されたことにもよる。
【0009】
図2に示す切削加工技術において、切削ツール10(切削加工ホイールともいう)の回転軸R1と、ワークピース20の回転軸R2との間の交角Σ(0ではない)が予め特定される。その結果、切削ツール10とワークピース20との間の相対的な運動は螺旋運動となり、この螺旋運動は、回転運動(回転方向の部分的運動)と並進運動(並進方向の部分的運動)とに分解される。螺旋式に運動させるということは、基本的な駆動技術であるとも考えられるが、回転運動がフランク(歯面)の転がり運動(ローリング運動)に対応し、並進運動がフランクの研磨に対応するものである。交角Σの絶対値が大きくなるほど、ワークピース20を作製するために必要な並進方向の運動がより大きくなる。すなわち、ワークピース20の歯面の方向において切削ツール10の切削エッジの部分の動きに影響を与えるということである。したがって、切削加工する際、同等の螺旋ギア伝達装置を有する係合ギアホイールの相対的複合運動の研磨運動部分を用いて、切削運動を行う。通常、ギア形削りにおいて、切削加工およびいわゆる押圧動作(pushing movement)の際、ゆっくりと並進移動させる必要がある。このとき、切削加工の際、逆方向に並進移動することはない。
【0010】
切削加工の際の切削速度は、切削ツール10およびワークピース20の回転速度および軸R1とR2の間の交角Σに直接左右される。加工材料に応じて、所与の回転速度に対して、最適な切削速度が得られるように、交角Σ、すなわち研磨運動を選択する必要がある。
【0011】
既知の切削加工方法に関する回転動作サイクルやその他の詳細事項については、図2Aの概略図で上述したとおりであり、理解されるであろう。図2Aは、外側歯車切削システムが円筒形状のワークピース20を切削している様子を示すものである。切削ツール10(図中では、円筒形状の切削ツール)およびワークピース20が逆方向に回転する。
【0012】
さらなる相対運動が追加される。切削ツール10を用いて、ワークピース20について、歯車システムの幅全体を機械加工するためには、軸方向供給Saxが必要となる。螺旋状ギアがワークピース20上にあることが好ましい場合(すなわちβ2≠0)、差動供給SDが軸方向供給Saxに重なる。ワークピース20の歯車システムの頂部に影響を与えるために、半径方向供給Sradを用いてもよい。
【0013】
本願明細書において、たとえばベクトルv(→v)を便宜上、以下のように表記する。
【0014】
【数1】
【0015】
切削加工において、切削速度ベクトル(→vc)は、本質的に、切削ツール10の回転軸R1の円周方向のベクトル(→v1)と、ワークピース20の回転軸R2の円周方向のベクトル(→v2)の差として表され、これらの回転軸R1,R2は互いに対して交角Σだけ傾斜している。ここでベクトル(→v1)は切削ツール10の周縁部における速度ベクトルであり、ベクトル(→v2)はワークピース20の周縁部における速度ベクトルである。よって、切削加工プロセスにおける切削速度ベクトル(→vc)は、交角Σ、および同等の螺旋ギア伝達装置における回転速度により変化し得る。軸方向供給Saxは切削速度ベクトル(→vc)にわずかな影響しか与えないので、無視することかでき、図2Aのベクトル図ではベクトル(→v1)、ベクトル(→v2)、および切削速度ベクトル(→vc)を記載している。
【0016】
ワークピース20の外側歯車切削システムによる切削加工は、図2Bにおいては、円錐状切削ツール10が用いられている。図2Bでは、交角Σ、切削速度ベクトル(→vc)、切削ツール10の周縁部における速度ベクトル(→v1)、およびワークピース20の周縁部における速度ベクトル(→v2)は、同様に切削ツール10の螺旋角β1およびワークピース20の螺旋角β2とともに図示されている。図2Aにおいて、螺旋角β2はゼロではない。切削ツール10の歯車ヘッドは、図2Bにおいて符号4を用いて図示されている。歯車ブレスト(tooth breast)は、図2Bにおいて符号5を用いて図示されている。2つの回転軸R1,R2は互いに交差しないが、互いにねじれの関係に配置されている。円錐状切削ツール10において、逃げ角を設けるために切削ツール10を曲げる必要がないので、計算ポイントAPは、通常、2つの回転軸R1,R2の共通垂線上に選択される。このとき計算ポイントAPは、いわゆる接触ポイントと一致する。対応する螺旋ギア伝達装置のローリング円は、計算ポイントAPにおいて、互いに接触する。
【0017】
ドイツ特許出願公開第3915976A1号から明らかなように、切削加工技術において、フランクライン(側面線)を変更するために、ゆっくりとした軸方向供給に対する半径方向の移動を重ね合わせることができる。
【0018】
さらに国際特許出願公開第2010/060733A1号から明らかなように、軸方向供給と、半径方向移動とを重ね合わせることにより、歯車システムを形成することができ、その歯溝は歯のないワークピースの表面に形成され、それぞれの半径方向および軸方向の端部まで延びる。前掲国際特許出願は、図3に概略的に図示されるいわゆるマルチカット(マルチ切削)手法を採用している。図3において、対応するワークピース8の歯溝7を形成する様子を示す。図3は、切削ツール10がマルチカット手法を用いてワークピース8に形成する複数のトレースを図示している。軸方向供給と半径方向移動とを重ね合わせることにより、歯溝7の端部にフェーズアウト形状(phasing out profile)が形成され、この形状は、領域9における複数の曲線部分から構成される。前掲国際特許出願歯、完全に形成された歯面間ギャップの形成については何ら言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】ドイツ特許第2343514号公報
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第3915976A1号公報
【特許文献3】国際特許出願公開第2010/060733A1号パンフレット
【発明の概要】
【0020】
切削加工の生産性をできるだけ増大させるためには、たとえば硬質金属などの最新の切削材料を乾式切削加工に用いた場合、切削ツールとワークピースとの間で相対的に移動する切削部分は、十分に大きい切削速度を与える必要がある。切削加工中、切削速度vcは、対応する螺旋ギア伝達装置の回転速度、ワークピースまたは切削ツールの有効半径、および回転軸R1,R2の交角Σにより直接的に影響を受ける。あり得る回転速度は、用いられるマシン装置(切削加工マシン)が許容する回転速度により限定される。ワークピースの大きさは、固定的にあらかじめ決まっている。切削ツールとして可能な大きさは、マシン装置(切削加工マシン)の作業スペース、および内側歯車システムの場合には歯車システム自体の内部空間により限定される。すなわち十分に大きい切削速度は、軸の交角Σを大きくすることによりのみ実現できることがある。
【0021】
切削加工において、少なくとも1つの幾何学的に特定された切削歯を有するツール10が用いられる。図2Aおよび図2Bにおいては、切削断面は図示されていない。切削歯の形状および構造は、これらの態様に属するものであり、実際に使用される具体的な設計を考慮する必要がある。
【0022】
さらに切削加工においては、切削ツール自体が大きな関連性を有する。図2Aに示す具体例において、切削ツール10は直線歯面を有する平歯車の形状を有する。図2Aのベース本体部の外形形状は円筒状である。しかし、その外形形状は、図2Bに示すようにベベル形状(円錐状)であってもよい。なぜなら、切削ツール10の1つまたは複数の歯面は、切削歯の長さ全体に沿って係合し、切削ツール10の切削歯における各歯面は、十分に大きいレリーフ角度(隆起角度)を有するためである。
【0023】
図4Aおよび図4Bに示すように、直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10から始めると、こうした切削ツール10は、その円錐状ベース形状に起因して、いわゆる構造上のレリーフ角(隆起角)を有する。すなわちヘッド部およびフランク部(歯面)におけるレリーフ角は、切削ツール10の幾何学的形状に起因して予め特定されているということである。ただし、円錐状切削ツール10の切削歯のプロファイル(形状)は、実際に再研磨可能とするためには、所定の条件を満たす必要がある。図4Aおよび図4Bには、ワークピース20の外側歯面を切削している円錐状切削ツール10が図示されている。円錐状切削ツール10の切削ヘッドにおけるいわゆる構造的レリーフ角αK0が図4Bに図示されている。軸の交差ポイントAKと、切削ツール10およびワークピース20のローリング円の接触ポイントBPとは一致し、回転軸R1,R2のジョイントプラム(結合垂線:joint plumb)GL上に配置されるものである(結合垂線GLは図4Aおよび図4Bでは図示されない。)。
【0024】
直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10と、円筒状ワークピース20が図示された図5において、回転軸R1,R2は平行に延びるように選択されるが、2つの軸R1,R2は互いにねじれの位置に配置するように選択されている。2つの軸R1,R2の結合垂線GLが図5に図示されている。図5に示すように、接触ポイントは結合垂線GL上に配置されている。
【0025】
円筒状の切削ツール10と、外側歯面を有する円筒状ワークピース20とが図6Aおよび図6Bに図示されている。切削ツール10は、ワークピース20の回転軸R2に対してねじれているだけでなく、対応する軸の交角Σに基づいて配置され、さらに(図6Bに示すような)小さい角αKiだけ回転軸R2から離れる方向に傾斜している。切削ツール10を離れる方向に傾斜させることにより、ヘッド切削歯に対する(図6Bに示す)実効レリーフ角αKiを実現することができる。切削ツール10の切削歯側において、離れる方向に設定することにより、実効レリーフ角を実現することができる。しかしヘッド切削歯上において、これらがより小さくなる。一般に、これらのレリーフ角は、大きいものの半分に過ぎない。
【0026】
図6Aおよび図6Bに示すように、直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10から始めると、切削ツール10は、ヘッド部およびフランク部において、いわゆる構造的レリーフ角を有さないことが明らかである。こうした円筒状切削ツール10が従来方式で把持された場合には、レリーフ角が形成されてしまう。切削ツール10を離して挿入することにより、上記のように運動力学的レリーフ角が形成される。実際には、マシンに切削ツール10を傾けて固定することにより、切削ツール10を離して挿入設置すると、軸AKの交差ポイントから切削歯をずらして配置することができる。切削ツール10を離して挿入設置することに起因して、切削ツール10およびワークピース20のローリング円の接触ポイントBPは、もはや、回転軸R1,R2の結合垂線上には配置されなくなる。対応するずれは、切削歯オフセットeと呼ばれ、図6Aに図示されている。さらに切削ツール10がより遠くに離れて傾斜すると、実効レリーフ角はさらに大きくなる。切削加工に必要な実効レリーフ角は、3°〜5°の範囲である。こうしたレリーフ角を規定するためには、円筒状切削ツール10の挿入設置角を10°未満にする必要があり、実際には共通するものである。
【0027】
直線歯面または螺旋歯面を有する別の円錐状切削ツール10が図7Aおよび図7Bに図示されており、図7Aでは、2つの回転軸R1,R2は平行に延びるが、2つの軸R1,R2は互いにねじれるように選択されている。2つの軸R1,R2の結合垂線GLが図7Aに図示されている。図7Aおよび図7Bにおいて、接触ポイントBPは結合垂線GLの上方に位置する。図7Bは、いわゆる接触図(接触平面の側方投影図ともいう。)であり、接触ポイントBPが図示されている。図7Aでは、接触ポイントBPはワークピース20の後方に隠れている。
【0028】
これまでの切削加工方法を独自調査したところ、切削ツールが突然に故障する場合があることが確認された。より詳細に検討評価したところ、切削の際に、きわめて大きな負のすくい角が発生することが確認された。ワークピースの被切削部材に切削する際の切削歯の全体的な軌跡ポイントをシミュレーションしたところ、ワークピースのギャップを完全に切削する際、チップ形成の初期段階から切削工程の終わりまで、実効的なヘッドのすくい角が、よりいっそう負の値が大きくなることが確認された。より正確にいえば、一般の切削工程においてチップを切除するとき、チップの厚みが母線から増大し、実効すくい角が当初の約0°から連続的に低減する。チップ形成の最終段階では、実効すくい角は、−60°以下であることがきわめて好適であるのに、たとえば−60°まで達することができる。こうした状況は切削ツールの早期の摩滅につながるものである。
【0029】
切削ツール10の切削歯6のワークピース20の被切削部材に対する動きが、図8A〜図8Cに概略的に図示されている。図8A〜図8Cには、一連の切削工程におけるカッターヘッド、すなわち切削歯6のすくい角の実効的な推移が図示されている。切削ツール10に関し、第1および第2の回転軸R1,R2の周りにおける連結され互いに同期させた回転運動と、ワークピース20に対する切削ツール10の軸方向直線運動とを重ね合わせたことに起因して、カッタの全体的な軌跡ポイントの記録において、図8A〜図8C、図9、図10、図11Aおよび図11Bに示すように、一種のトラフまたはハッチの形状が形成され、対応するトラフが参照符号11を用いて図示されている。
【0030】
図8Aは、ワークピース20の被切削部材内にある切削ツール10の切削歯6の相対的な移動であって、最初の瞬間にある切削歯を示すものである。切削歯6の切削端面6.1の向きおよび位置が太線で図示されている。トラフ11は、このギャップ22内にある切削歯6の切削端面6.1の全体的な軌跡点から形成される。その後の切削歯のさらなる接触により(これは同一または別の切削ツールの切削歯でもよい。)トラフを形成し、軸方向の供給移動および差動連動移動に起因して、軸方向のギャップ22内からずれている。すなわちトラフ11は、切削工程中、ワークピース20の被切削部材内において(少なくとも仮想的には)階段状に移動する。図8Aは、トラフを左側領域と右側領域に分割するライン12を示す。ライン12の隠れた部分は点鎖線で図示されている。ライン12は、互いに重畳した2つのトラフを画定しており、2つのトラフは、切削歯の2つの直接的に連続する係合の間の供給移動により位置が異なる。すなわちライン12は、2つのトラフの交差曲線を特徴付けるものである。無限に小さい軸方向の供給移動に際しては、この交差曲線は、いわゆる母線(generator line)に対応するものである。全体的な歯面間ギャップは、切削方向にワークピース20の被切削部材が切削される、こうした一連の母線と考えることができる。軸方向の供給移動を含む従来式の切削加工プロセスにおいて、被切削部材は母線から始まる領域のみにおいて、母線前に(具体的には図面に左側方向において)、ワークピース20から駆動切削端面6.1により切削される。被切削部材は、(具体的には図面に右側方向において)切削方向にツールの先が接触することにより切削されている。
【0031】
図8Bは、上記シミュレーションの第2の段階を示し、切削ツール10の切削歯6が、図8Aに対して切削方向SRの左側へ所定の距離だけ移動したときの様子を示す。
【0032】
図8Cは、上記シミュレーションの第3の段階を示し、切削ツール10の切削歯6が、図8Bに対して切削方向SRの左側へさらに所定の距離だけ移動したときの様子を示す。図8Cにおいて、切断歯6の切断端面の切断面がトラフ11に対して鋭角を形成していることが図示されている。対応する「重要な(critical)」領域は、図8Cにおいて参照符号13を用いて図示されている。したがって、上述のように著しい負の実効角が形成される。
【0033】
上述のように、切削プロセスの間、とりわけヘッド部の実効その負の値が大きくなっていく。切削加工中、ワークピース20の歯面間ギャップの推測される底面に対する切削歯6のブレード角は、ほぼ一定である。切削は6のヘッド切削端面はトラフの底面上を「研磨(grind)」する。
【0034】
図9は、ワークピース20の一部分、複数の歯面21、および歯面間ギャップ22を図示するものである。ワークピース20の切削加工における移動の全体的な進捗を考慮すると、歯面間ギャップ22が完全に形成されるまで、トラフ11は歯面間ギャップ22を貫通して進むことが理解される。歯面間ギャップ22を貫通するトラフ11の移動は、矢印VRで図示されており、供給移動方向と同じ方向である。この供給移動方向は、軸方向移動と差動移動とからなる。
【0035】
切削工程中のすくい角に関する上記研究は、進行切削プロセス中の完璧な切削を実現することを支持するものである。しかし上記研究は、歯面間ギャップに最初に「穴を開ける」必要がある、切削プロセスの開始時における重要な示唆を与えるものでもある。ワークピースの軸方向に切削ツールを通常通り供給移動させるとき、接触歯6が最初にワークピース20に接触するときは、明らかに負の実効すくい角となる。すなわち上述したように、最初の切削は、相当に劣悪な切削条件で行われる。最初の接触時の負のすくい角が大きいことに起因して、接触端面6.1に対する負荷はきわめて大きい。接触端面6.1(とりわけ接触端面の端部)に加わる力は急激に増大し、接触端面6.1が瞬時に破壊される場合がある。このきわめて大きな負荷により、切削ツール10の突然不意の故障を理由つけるものである。図8A〜図8Cに示す進行切削プロセスにおいて、悪影響をもたらすすくい角は、同様に上述のように生じるが、切削端面6.1に対する負荷は連続的に加わり、断続的に加わるものではない。つまり、さまざまな磨耗、または故障要因が懸念される。
【0036】
これまで実施されていた軸方向の供給移動において、トラフ11は、歯面間ギャップ21に沿った側面に案内されるので、トラフ11のトラフ側面は、最初の段階において、最悪の切削条件でワークピース20に対し、図10に示す前面23の領域に接触する。この最初の接触は、通常、フェザリング・フランク(feathering flank)の側面において、切断端面6.1のヘッド部で生じる。軸方向供給移動は、図10の矢印ZBにより図示されている。よって矢印ZBは、ツール20の回転軸R2と平行に延びる。
【0037】
本発明の目的は、歯車の歯面または別の量産性の高い周期的構造物を切削加工する方法および装置を提供することを目的とするものである。1つの歯車を生産する時間とコストを低減することが本発明の目標である。他方、ここに提案する方法および装置は、信頼性が高く、たとえば自動車部門において流れ製造業において好適なものである。
【0038】
切削ツールの寿命を改善することにより、切削ツールのコストを極力低減することができる。
【0039】
この目的は、ここでは修正切込み技術と呼ばれる切削技術を用いた方法により達成することができる。修正切込み技術は、設定導入動作および押込み動作を明確な半径方向の移動成分を伴って行うものであり、その結果として、設定導入動作の際、最初の接触の際、実効すくい角がほぼ0°となるように、切削ツールとワークピースの間において最初の接触が生じる。この実効すくい角は、上記トラフ形状に起因して、トラフの底面がワークピースの被切削材料と最初に接触する。
【0040】
修正切込み技術は、さまざまに態様に係る切削方法に関して適用することができ、回転対称的な周期的構造物の生産に適したものである。
【0041】
この修正切込み技術は、ツールスピンドルにより支持された切削ツールを用いて、回転対称的な周期的構造物を有するワークピースの切削に用いるために設計されたものである。この修正切込み方法において、
・切削ツールは、第1の回転軸の周りに連続的に回転し、
・ワークピースは、切削ツールと同期して、第2の回転軸の周りに連続的に回転し、
・切削ツールは、ワークピースに向かって半径方向に移動成分で設定移動し、かつ半径方向に移動成分で下方に十分な深さでワークピース内に切込み移動し、少なくとも切込み移動の間、第1の回転軸は第2の回転軸に対してねじれた状態で延びている。
【0042】
その後の切削工程において、十分な深さに達するまで、回転する切削ツールは、第2の回転軸の方向に回転するワークピースに対して、切込み移動の終わりまで、相対的な供給移動を行い、同様に、切削の際、第1の回転軸はだい2の回転軸に対してねじれた関係で延びている。
【0043】
本発明に係る修正切込み技術は、ワークピースと切削ツールとの間の相対的な移動シーケンス(いわゆる相対的移動)が事前に設定され、実行されるため、最初の接触および切込みの際、切削ツールの切削歯の切削端面における切削条件が最適な範囲に維持される点に特徴がある。
【0044】
本発明に係る修正切込み技術は、切込み工程の際、ワークピースに対する切削ツールの最初の接触のポイントがトラフのほぼ最深ポイントTPに相当する点に特徴がある。
【0045】
本発明によれば、わずかな並進移動が設定移動および半径方向の切込み移動に重畳されることにより、結果として得られる移動ベクトルは、ワークピースの回転軸の垂線との間で鋭角をなすことになる。
【0046】
本発明は、従来の軸方向の切込み技術に比して、実質的に好適な切削条件が得られるように、ワークピースに対する切削ツールの相対的移動を事前に設定することに基づくものである。
【0047】
本発明に係る修正切込み方法を用いた切削工程において、歯または他の周期的構造物が完全に形成されるまで、被切削部材はワークピースから徐々に切削される。
【0048】
切削ツールの切削端面におけるすくい角が突如として実質的な負の値になることは、この修正切込み方法を用いることにより回避することができる。さらに、この修正切込み方法は、従来式の軸方向供給移動に比較して、比較的により小さい入口領域を必要とする点において利点を有する。
【0049】
本発明によれば、歯面間ギャップは、直接的に十分な深さまで達することができ、この場合、複数の切削技術を用いて形成する必要はない。すなわち、切込み工程は、十分な深さまで行うことが好ましい。好適には、すべての実施形態において、切削技術と連関した切込み工程を用いることが好ましい。
【0050】
さらに、歯車システムの当初において連続的である歯車システムの切削工程に関し、本願において当初において閉じている歯面間溝の切削には関係がない。
【0051】
本発明に係る修正切込み方法は、被切削材料の除去による切込み工程において、最終的な間隔形状が形成されない点に特徴がある。最終的な間隔形状は、切込み工程の後においてのみ、適当な切削マシンにより形成される。
【0052】
歯面間ギャップを完全に形成するためには、本発明によれば、ワークピースに対して、決定可能な位置に、歯車システムの幅方向に半径方向成分を設定し、十分な半径方向の深さまで下方に切り込むだけで十分である。半径方向の切込みの位置は、母線の位置から特定されることが好ましい。
【0053】
本発明によれば、すべての実施形態において、従来の切削方法に比較して、実質的に好ましい切削条件で最初の切削工程を行うことができる。すなわち、切削ツールの寿命を相当に改善することができ、とりわけ切削ツールが突如壊れるということを防止することができる。
【0054】
本発明によれば、半径方向の設定移動に起因して、切削ツールがワークピースに最初に接触するポイントは、切削ツールの切削端面における実効すくい角をほぼ0°とすることにより実現することができる。
【0055】
本発明によれば、切削ツールがワークピースに最初に接触するポイントは、ワークピース前面と後方領域の間の移行領域に直接的に配置することが好ましい。
【0056】
本発明によれば、切削ツールが供給移動方向にワークピースの被切削材料を貫通するように移動し始めるポイントは、母線の位置を考慮して特定することが好ましい。一般的な切削加工の際、被切削材料は母線の後方においてのみ切削されるので、軸方向の供給移動を短くするためには、切削加工されるワークピースの前面から所定距離だけ離した位置に仮想的な母線を配置する。これによる効果として、このように母線を配置することにより、加工時間を短縮することができる。
【0057】
さらに、ギャップを完全に形成した直後、半径方向に取り出すことができる。被切削材料の母線がワークヒースに残ったとき、ギャップを完全に形成することができる。一般に、半径方向の取り出しによる好ましい効果として、加工時間を短縮することができる。
【0058】
切削ツールの回転軸は、少なくとも切込み工程および切削工程において、ワークヒースの回転軸に対してねじれた位置に配置され、交角Σはゼロではない。
【0059】
さらに切削ツールは、少なくとも切込み工程および切削工程において、ワークピースに向かう方向に、あるいはワークピースから離れる方向に傾斜させてもよく、好適には、ゼロではない傾斜角(すなわち、ねじれ角)δで表すことができる。
【0060】
ねじれ角δの絶対値は、好適には2°〜45°であり、さらに好適には5°〜30°である。
【0061】
修正切込み方法において、この方法は、連続的な切込み方法の事前工程において採用される。この切込み工程は、同様に連続的で切削加工するものである。
【0062】
好適には、表面研磨カッターヘッドツールとは実質的に異なる、ピーリング歯車などのすべての実施形態おいて、切削ツールが用いられる。
【0063】
本発明によれば、切削ツールは、ピーリング歯車などのツール部分を有し、そのツール部分は切削部分を有し、その切削部分は、斜め外側に突出した切削歯面として形成された切削端面を有する。
【0064】
本発明によれば、切削ツールは、ピーリング歯車などのツール部分を有し、その切削部分は、形成カッター(generating cutter)の形状、好適には、ディスク型カッター、シャンク型カッター、または深穴型カッター(deep counterbore cutter、たとえばDIN 3972 DIN 5480)を有する。
【0065】
本発明に係るピーリング歯車のような切削ツールは、いわゆる大規模ツールとして設計され、こうしたツールは実質的に一体的に構成されるか、あるいは好適にはバー・カッターの態様でカッターカートリッジを備えたカッターベース本体部を有するカッターヘッドツール(バー・カッター・切削ツール)として構成されたものである。
【0066】
本発明によれば、すべての実施形態において、切削ツールは、いわゆる構造的なレリーフ角を有することが好ましい。すなわちレリーフ角は、運動力学を考慮して、切削ツールの形状に基づいて事前に設定される。
【0067】
上述の、およびクレームに記載された修正切込み方法は、きわめて広範な歯車システムおよび他の周期的に反復する構造体に適用することができる。
【0068】
本発明は、従来式の軸方向切込み方法に比して、数多くの利点を有し、その利点について要約すると以下のとおりである。
・切削状態の改善
・(特に、カッターヘッドにおける)実効すくい角の改善
・ツールの摩滅の低減
・ツールの高寿命化
・ツールの低コスト化
・ツールの突然の故障の防止
・費用対効果の改善
【0069】
本発明に係る方法は、ドライ加工およびウェット加工の両方において実施することができる。
【0070】
この修正切込み方法は、外側歯車システムの製造において採用できるだけでなく、内側歯車システムの製造においても同様に採用できる
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円筒状の外形を有する歯車の製造工程を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円筒状の外形を有する直線歯面を有する切削歯車を示す概略図である。
【図2B】図2Bは、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円錐状の外形を有する螺旋歯面を有する切削歯車を示す概略図である。
【図3】図3は、国際特許出願公開第2010/060733号に記載された歯溝フェーズアウト形状(phasing out profile)の概略図である。
【図4A】図4Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、円錐状の切削ツールの軸交差の概略的投影図(接触平面の投影図)であって、軸交差は事前に設定されている。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的投影図(接触平面の側方投影図)である。
【図5】図5は、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、別の円錐状の切削ツールの概略図であって、切削ツールがワークピースに対して傾いていないものである。
【図6A】図6Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、円錐状の切削ツールの軸交差の概略的投影図であって、切削ツールはワークピースから離れる方向に微小角度だけ捻れており、切削面がずれている。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的側方投影図である。
【図7A】図7Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、別の円錐状の切削ツールの軸交差の側方投影図であって、切削ツールはワークピースから離れる方向に微小角度だけ捻れており、切削面がずれている。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的側方投影図であって、これらの接触面を示す。
【図8A】図8Aは、ワークピースの被切削材料内にある切削ツールの切削歯面が相対移動する際の第1段階を示すシミュレーション結果である。
【図8B】図8Bは、 図8Bは、第2段階のシミュレーション結果を示し、切削ツールの切削歯が、図8Aに示す状態に対してワークピースの被切削材料内において、切削方向の左側へ所定の距離だけ移動したときの様子を示す。
【図8C】図8Cは、第3段階のシミュレーション結果を示し、切削ツールの切削歯が、図8Bに示す状態に対してワークピースの被切削材料内において、切削方向の左側へ所定の距離だけさらに移動したときの様子を示す。
【図9】図9は、複数の歯車歯と歯面ギャップとを有するワークピースの一部を示し、図8A〜図8Cに係るトラフは、歯面ギャップを貫通するように進む。
【図10】図10は、ワークピースの一部の側面図であり、軸方向に切込み移動するトラフを相当に概略化した態様で示すものである。
【図11A】図11Aは、ワークピースの一部の側面図であり、本発明により半径方向に切込み移動するトラフを相当に概略化した態様で示すものである。
【図11B】図11Bは、図11Aに示すワークピースの一部の平面図であり、本発明により半径方向に切込み移動するトラフの配置位置を相当に概略化した態様で示すものである。
【図12A】図12Aは、ワークピースの一部の側面図であり、設定挿入および切込み工程を相当に概略化した態様で示すものである。
【図12B】図12Bは、ワークピースの一部の側面図であり、設定挿入および切込み工程を相当に概略化した態様で示すものである。
【図13A】図13Aは、バー・カッターの切削端面とともに、トラフを相当に概略化した態様で示すものであり、この瞬間では、すくい角はほぼ0°であることを示す。
【図13B】図13Bは、バー・カッターの切削端面とともに、トラフを相当に概略化した態様で示すものであり、この瞬間では、すくい角は明らかに負の値となっていることを示す。
【図14】図14は、ワークピースの一部の平面図であり、歯面ギャップを貫通して進むトラフの位置を相当に概略化した態様で示すものである。
【図15】図15は、切削工程中のワークピースの一部を示し、切削ツール(図示せず)の切削歯を有するバー・カッターが歯面ギャップ内で案内される様子を示す。
【図16】図16は、本発明に係るバー・カッター切削ツールを用いて切削加工する際の、内側歯車システムを有する円筒状ワークピースを示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明に係る切削ホイールとして大規模ツールを用いて切削加工する際の、内側歯車システムを有する円筒状ワークピースを示す斜視図である。
【図18】図18は、内側歯車システムを有するワークピースの歯車システムのための切削ツールを有する装置を相当に概略化した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
実施形態に係る後述の実施例において、本発明のさらなる詳細および利点について説明する。すべての概略図において、簡略化するために、ワークピースおよび切削ツールは、回転円にある(または回転円筒体上のワークピースにある)状況として表される。図示された条件は、厚み(高さ)を有する歯を含む全体的な歯車システムのためのものである。
【0073】
本願明細書の文脈において、関連する文献および特許公報で用いられる用語を用いる。ただしこれらの用語は、より十分に理解するためにのみ用いられるものである。クレームの発明的アイデアおよび保護範囲は、選択的に用いられた用語により限定されるものではないことに留意されたい。本発明は、特段の苦労なく、他の技術システムおよび/または技術領域に適用することができる。他の技術的領域においては、これらの用語は当該技術的領域に呼応して用いられる必要がある。
【0074】
回転対称的で周期的な構造体は、たとえば内側歯車システムおよび/または外側歯車システムを有するギアホイール(歯車)である。ただし、たとえばブレーキディスク、クラッチ、またはギア部品などにも関連し得る。切削ツールは、ピニオンシャフト、ワームギア、環状ギア、歯車ポンプ、継手リングジョイント・ハブ(自動車産業で用いられる継手リングジョイントは、差動装置から車輪に力を伝達するためのものである。)、スプライン・シャフト連結器、スライド・スリーブ、ベルト・プーリなどを作製する上で、とりわけ好ましい。周期的な構造体は周期的に反復する構造体も含む。
【0075】
以下において、主として、ギアホイール(歯車)、歯面、および歯面間ギャップ(teeth and tooth gaps)について説明する。ただし上述のとおり、本発明は、さまざまな周期的構造体を含む他の構成部品において採用することができる。これらの他の構成部品の場合、たとえばスロットまたは溝以外には、歯面間ギャップは関係がない。
【0076】
本発明は、冒頭で説明したような研究およびシミュレーションの結果を利用するものである。本発明によれば、図11Aに示すように、相当に半径方向に移動する部品を用いて、切り込み(infeed)が行われる。これまで軸方向に切り込む際に生じていた問題であって、半径方向に面して切り込むようにしたことにより、切削ツール100が最初にワークピース50に当接する際に生じる問題を回避することができる。
【0077】
半径方向の切り込みが、図11Aにおいて矢印Aで図示されている。
【0078】
本発明は、いわゆる修正切込方法に関するものであり、切削ツール100およびワークピース50が相対的に移動し、切削ツール100は、最初にワークピース50に接触する際、ほぼ0度の実効的なすくい角が切削ツール100の切削歯に形成されるように延びている。これを実現するためには、設定時の移動の際の少なくとも最後の段階が、図12Aに示すように、本質的に半径方向の設定時移動ベクトル(→A1)であることに特徴がある(上記のように本願明細書において、便宜上、ベクトルAを以下「→A」と表記する。)。これを実現するために、設定時の移動の少なくとも最後の段階が、本質的に半径方向の設定移動(→A1)として特徴付けられる。本発明によれば、半径方向の押し込みまたは切り込み移動(→A2)が半径方向の設定移動(→A1)の後に続く。半径方向の押し込みまたは切り込み移動(→A2)の際、切削ツールの端面は、ワークピース50の部材内に突っ込む。
【0079】
図12Aは、半径方向の切り込み(→A)が2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)からなることを概略的に図示しており、図示の場合、部分的な移動(→A1)および(→A2)の両方は、純粋に半径方向に向かっている。2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)を足し合わせるとベクトル(→A)が得られる。純粋に半径方向の移動は、ワークピース50の回転軸R2に対して垂直であるので、これらの移動はワークピース50の前面54に対して平行に延びる。
【0080】
図12Bは、半径方向の切り込み(→A)が2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)からなることを概略的に図示しており、図示の場合、実質的な半径方向の成分と微小な軸方向成分とを有する。同様に、2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)を足し合わせるとベクトル(→A)が得られる。
【0081】
2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)は、同一の方向を有していてもよいし(たとえば図12A参照)、若干異なった方向を有するものであってもよい(たとえば図12B参照)。
【0082】
図13Aは、相当に図案化したトラフ80*(容器、溝)、およびバー・カッター(棒切盤)120の切削歯111を示す概略図であり、図示された瞬間におけるヘッド切削歯における実効すくい角γSは、ほぼゼロである。投影された図面において、実効すくい角γSは、切削歯110の切削面53と、切削面53およびトラフ80*の間の接触ポイントにある垂線N1との間の角度と同等となるように選択される。図13Aにおいて、この垂線N1は、切削面53のほぼ平面内に配置される。図13Aは、切削ツール100および切削ツール100の切削歯110がワークピース50,70に最初に接触した瞬間を示す。最初に接触したポイントは、トラフ80*の最も深いポイントTPにほぼ一致する。ところで母線(generation line)82は、常に、トラフ80*の最も深いポイントTPを通る。
【0083】
図11Aおよび図11B、それ以降の図面におけるトラフ80*は、意図的に鏡面対称的に図示される。しかし実際には、たとえば傾斜角δがゼロではないとき、トラフ80*は非対称的形状を有する。
【0084】
図13Bは、相当に図案化したトラフ80*、およびバー・カッター120の切削歯111を示す概略図であり、図示された瞬間におけるヘッド切削歯における実効すくい角γSは、明らかに負の値である。図13Bにおいて、垂線N1は切削面53の平面上に配置されないので見えない。例示的で相当に図案化した図13Aおよび図13Bから明らかなように、実効すくい角γSは、切削方向SRに切削歯111が前進するにつれて、よりいっそう大きい負の値となる。
【0085】
軸方向の供給移動が回転軸(すなわち図14に示す供給方向VR)に平行となるまで、母線82がワークピース50の材料の外側に配置されるように、ワークピース50に対する2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)が行われることが重要である。さらに、切削ツールおよびワークピース50の間で最初に接触が、ほぼ0度の実効すくい角γSで起こるように、第1の部分的移動(→A1)の向きが設定されることに留意すべきである。最初の接触の際の軸方向の移動成分があまりにも大きいとき、この条件はいくつかの状況において充足せず、対応する切削歯に対する急激な強い衝撃負荷が生じる場合がある。
【0086】
本発明によれば、合成ベクトル(→A)と回転軸上の垂線との間の実効角ρは、常に鋭角である。
【0087】
すべての実施形態において、実効角ρの絶対値は0度〜30度であることが好ましい。
【0088】
すべての実施形態において、最初に接触する瞬間の実効すくい角γSは0度〜5度であることが好ましい。
【0089】
冒頭で上述したように、第1の回転軸R1の周りにおける切削ツール100と、第2の回転軸R2の周りにおけるワークピース50,70の連動した回転移動を重ね合わせること、およびワークピース50,70に対する切削ツール100の直線的軸方向の移動により、図11A,図11B,図12A,図12Bに示すように、切削面111の軌道全体を形成するときにトラフまたはハッチ形状を構成する。対応のトラフは、これらの図面において参照符号80で図示されている。
【0090】
このトラフ80は、ワークピース50,70のギャップ52における切削歯111の1つの係合に対して、このギャップ52に配置された切削歯110の切削歯の軌道ポイントの全体から形成される。さらなる切削歯111が連続して係合すると(これは、切削ツール100の同一または別の切削歯110であってもよい。)、そして軸方向の供給およびギャップ52における軸方向の差動供給に起因して位置ずれした、1つのトラフが形成される。こうしてトラフ80は、切削加工において、ワークピース50の被切削部材の中を(少なくとも垂直方向に)段階的に進む。母線82は、2つのトラフの重なり部分の範囲を互いに対して区切り、トラフの位置は、切削ツールの直接的な連続する2つの係合の間の移動分だけ異なる。すなわち母線82は、2つのトラフの交差曲線を特徴付けるものである。無限に小さい軸方向の移動に対して、この交差曲線は、いわゆる母線に対応するものである。全体的な歯面ギャップ52は、ワークピース50の被切削部材の中を切削方向に進む母線の集合であるとも考えることができる。
【0091】
本発明によれば、切削歯111および切削歯の相対的な軌跡が軸からの距離によって変化するため、トラフ80の形状および大きさは半径方向の切り込みの間に変化する。この態様は、図11A,図11B,図12A,図12B,図13A,図13Bにおいては無視されている。より十分に特定するために、トラフは、本発明に係る切込方法においては、参照符号80*を付する。従来式の軸方向の切込方法においては、図10に示すように、実際常に同様なものである。
【0092】
半径方向の切込加工の際、トラフ80*は、ワークピース50に対して主に半径方向の移動の際、トラフ・ヘッディングの底部、好適にはトラフ80の最も深いポイントTPで案内されている。(第1の部分的移動(→A1)と、その後の切込移動(→A2)とからなる)設定に関するこの新規な態様により、切削ツール100の切削歯が、−15度〜−30度の明らかに負のすくい角、または−30度もしくはそれ以下の負のすくい角で、ワークピース50の被切削部材内に押し込まれることを回避することができる。本発明により回避されるトラフ80*の上記範囲は、図11A,図11B,図12B,図13A,図13Bにおいては、太い曲線ライン81を用いて簡略化して簡潔に図示している。実際には、トラフ80*は、ワークピース50,70の被切削部材の中により深くスライド移動して、曲線ライン81の関連領域は、完全な切込深さに至るまでより増大する。従来式の軸方向切込加工においては、曲線ライン81の関連領域は、トラフの境界83から増大し始めるが、本発明に係る半径方向の切込加工によれば、曲線ライン81は、トラフの底部(トラフ80*の最も深いところ)からトラフの境界83の方向へ増大し始める。
【0093】
本発明によれば、歯面ギャップを完全に形成するためには、特定可能な切込位置EPにおいて歯車システムの歯面幅に沿って、軸方向ではなく、図11Aに示すように、半径方向に切込み移動させることで足りる。切込位置EPは、母線82の位置で特定することが好ましく、図11A,図11B,図12A,図12B,図14においては、母線82は1つのラインで図示されている。図11Bにおいて、最初に接触する瞬間のトラフ80*の最も深いポイントTPがワークピース50または70の被切削部材のわずかに外側にあることが図示されている。この瞬間において、トラフ80*の最も深いポイントTPは、ワークピース50または70の前側端面54の前面に直接的に配置されている。
【0094】
すなわち本発明によれば、最初にチップ切除は、従来式の切削加工方法に比して、明らかに、より好ましいチップ切削状態で行われる。
【0095】
切削加工は複雑なプロセスを有するが、トラフ80に基づいて図示したように、切削ツール100の切削歯における切削状態は常に変化する。本発明によれば、最初の接触時や切込み工程の最初の段階(「押込み工程(plunging)」という)において、トラフ80の断面ができるだけ回避されるように、相対的に移動シーケンスが最適化される。
【0096】
すなわち一方では、切削ツール100が最初にワークピース50に接触するとき、領域81の回避が適用され、上述のように、適当な第1の部分移動(→A1)により、明らかに半径方向にライン形成される。
【0097】
他方では、歯面ギャップ52に対する十分な切込みすなわち押込み工程の際も同様に、際立った、または大きな負のすくい角で、切削ツールがワークピース50の被切削部材に入らないように注意する必要がある。その理由については、第2の部分的移動(→A2)が選択されると、押込み加工の端部で中間位置が達成され、この位置で母線82が形成すべきギャップ52の外側になるように第2の部分的移動(→A2)が行われる(図11Bと同様)。
【0098】
好適には、2つの部分的移動(→A1)および(→A2)を行っている際、不適当なチップ切削状況を回避し、ギャップ52に対する適正な切削加工が開始される前に、正確な中間位置に到達するように、装置のCNC制御移動を決定するために、この目的のためのポイントに対する正確な計算が行われる。
【0099】
図14は、ワークピース50の一部分を上から見たときの図であり、歯面ギャップ52を形成している間、トラフ80の状態をきわめて簡便な形態で図示したものである。すなわち図14は、適正な切削加工を示し、その後に修正された切込み手法が続く。図14に基づいて、供給方向VR、切削方向SR、切削歯111、および図案化した形態の切削面を認識することができる。供給方向VRは、ギャップの方向に延び、軸方向供給と、これに関連するワークピース50の差動供給とからなる。切削方向SRは、供給方向VRとは鋭角をなす。トラフ80のライン82は、上記のように、第2の切削軌跡の領域から第1の切削軌跡の領域を分離する。つまり、このライン82は、先に説明したように母線に対応するものである。図14から明らかなように、上記のとおり、切削歯111の切削ツール端面は、形成すべきギャップ52を貫通して移動する際、トラフ形状表面80を構成し、設定時および押込時において、本発明に係るチップのチップ形成が始まり、トラフポイントまで続くので、切削ツール111における押込み工程を実行する間、負のまたは少しばかりの負の逃げ角が当初から形成されず、際立ったまたは実質的な負の逃げ角が形成されない。
【0100】
図15は、切削加工中のワークピース50の一部を示すものであり、これにより切削歯111を有するバー・カッター(bar cutter)12が歯面ギャップ52の中で案内される様子を認識することができる。図15に示す切削ツール100(バー・カッター切削加工ホイール100という。)は、複数のバー・カッター120を受容するベース本体部を有する。ただし、ここでは、ただ1つのバー・カッター120を図示する。
【0101】
図16は、バー・カッター切削加工ホイール100を用いて、本発明に係る切削加工方法による、内側歯面を有する円筒形状のワークピース70を示す斜視図である。図16ではバー・カッター120のみを示す。バー・カッターが突出するベース本体部については省略している。ここでバー・カッター120は、図示しないベース本体部において、円錐状に配置されている。
【0102】
図17は、切削加工ホイールとして大規模ツール(massive tool)100を用いて、本発明に係る切削加工方法による、内側歯面を有する別の円筒形状のワークピース70を示す斜視図である。切削加工ホイール100は、図示のような複数の切削歯111を有する。切削加工ホイール100は一体に構成されることが好ましく、すなわち複数の切削歯111は、ディスク状ベース本体部の固定部品である。
【0103】
以下の段落において、本発明に係る切削加工についてより詳細に説明する。
【0104】
原理的には、切削ツール100とワークピース50,70との間の相対的な移動により、形成螺旋ギア伝達装置とも呼ばれる、螺旋ギア伝達装置を作製することができる。螺旋ギア伝達装置は、空間的なギア伝達装置である。
【0105】
したがって、切削加工方法の基本設計は、いわゆる計算ポイントAP(図2Bを参照されたい。)において、ギア伝達装置の設計として行われる。基本設計という用語は、切削ツール100およびワークピース50,70の空間的構成の定義および移動(運動力学)、ならびに例えば直径および傾斜角(基本的なツール構成)などの切削ツール100構造的な基本特性をも意味するものと理解される。
【0106】
計算ポイントAPにおいて、構造的および運動力学的な係合状態(engagement condition)は、可能な限り最適化される。係合状態は、計算ポイントAPからの距離が増大するほど変化する。この点に関し、切削加工はきわめて複雑な方法であり、切削加工端面が移動するとき、係合状態は連続的に変化する。しかし、変化する係合状態は、計算ポイントAPにおいて、係合状態を介して意図的に影響を与えることができる。
【0107】
したがって、計算ポイントAPにおける係合状態の正確な設計は、切削加工プロセスの設計において本質的な意義を有する。
【0108】
軸構成に関する用語:
軸構成を定義するために必要な用語がいくつかある。以下の表において、これらの用語を記述する。
【0109】
[表1]
【0110】
[表2]
【0111】
[表3]
【0112】
切削ツールとワークピースの接触に関する用語:
【0113】
切削ツール100とワークピース50,70の間の接触を記述するために必要な用語がいくつかある。次の表において、これらの用語を記述する。
【0114】
[表4]
【0115】
[表5]
【0116】
[表6]
【0117】
[表7]
【0118】
[表8]
【0119】
[表9]
【0120】
[表10]
【0121】
[表11]
【0122】
[表12]
【0123】
[表13]
【0124】
[表14]
【0125】
さらなる投影:
本発明を説明するために用いられるいくつかの投影がある。これらの投影は、以下の表で説明する。
【0126】
[表15]
【0127】
[表16]
【0128】
次式[1]は、非平面歯車システムに関する回転軸R1,R2の空間的構成を記述する角度関係を規定するものであり、個々のパラメータを変換する上で重要なものである。
【0129】
【数2】
【0130】
この一般化された構成において、軸の交角Σは、軸の実効交角Σeffと傾斜角δに分解され、軸の実効交角Σeffは、回転切削ツール100と回転するワークピース50,70との間の相対的な切削動作の形成を決定する量である。平坦な歯車システムに関し、軸の実効交角Σeffと傾斜角δは明確に定義されるが、上式[1]の関係は維持されない。
【0131】
本発明によれば、傾斜角δは、予め記述することができ、その絶対値は0度とは異なり、ツール基準平面すなわち切削ツール100の接触平面に対する傾き(2つの速度ベクトル(→v2),(→v1)がなすものであるが)は、負または正の値となる。したがって、本発明に関し、切削ツール100の傾斜(または傾き)がワークピース50,70に近づく傾斜、またはワークピース50,70から遠ざかる傾斜ということがある。ただし、この近づく傾斜または遠ざかる傾斜は任意的なものである。
【0132】
好適は、すべての実施形態において、軸の実効交角Σeffは、次の範囲に含まれる。
−60°≦Σeff<0、かつ0≦Σeff<60°
【0133】
本発明によれば、いわゆる修正切込方法に関するが、ワークピース50,70の切削加工に関連して用いられるものであり、この切削加工において、切削ツール100を用いて、ワークピース50,70に、外側歯車システムおよび内側歯車システムなどの回転対称的な周期的構造物を製造することができる。図11、図12A、および図12Bに示すように、修正切込方法は、とりわけ以下のステップを同時に協働した手法で実行することに特徴がある。この修正切込方法は、
・切削ツール100を第1の回転軸R1の周りで回転させ、これに連動してワークピース50,70を第2の回転軸R2の周りで回転させ、
・切削ツール100をワークピース50,70の方向の第1の半径方向移動成分により設定し、
・切削ツール100をワークピース50,70の方向の第2の半径方向移動成分により、好適には十分な深さまで切込み、少なくとも切込み時には、第1の回転軸R1は、第2の回転軸R2に対して捩れて(skew)延び、2つの回転軸R1,R2は、互いに対して捩れた状態で配置される。
【0134】
その後、回転する切削ツール100を切込み方向VRに相対的に供給移動させて、切削加工する間も含めて、回転するワークピース50,70に対し十分な深さ到達したところから開始し、第1の回転軸R1は、第2の回転軸R2に対して捩れて延び、2つの回転軸R1,R2は、互いに対して捩れた位置に配置される。
【0135】
好適には、少なくとも切込みの際には、負または正の傾斜角δが記述される。
【0136】
本発明によれば、すべての実施形態において、図15、図16、および図17に示すように、切削ツール100は、外側に突出した切削歯111の形態に形成された切削歯を含む切削歯を有する。切削歯111の切削歯は、傾斜した切削ツール100の前面に実質的に関連して形成されている。
【0137】
本発明によれば、すべての実施形態において、切削ツール100は、ディスク型形成カッタ、シャンク型(shank-type)形成カッタ、深カウンタボア型形成カッタ(たとえばDIN 3972,DIN 5480)などのさまざまな形成カッタを有する。すべての実施形態において、図18に示すように、切削ツール100と適正ツールスピンドル170の間に、アダプタ要素を配置することができる。
【0138】
好適には、すべとの実施形態において、切削ツール100は、円筒形のシェル形状を有するか、または切削ツール100とワークピース50,70との間の衝突を回避するように設計された衝突外形を有するベース形状を有する。
【0139】
図17に図示された切削ツール100は、形成カッタの形状を有するものである。ここでは大規模なツールに関し、切削歯111は切削ツール100の一部をなすものである。ここで切削ツール100は、25本の切削歯111を有し、そのうちの1つの切削歯が図17に符号を付して図示されている。切削ツール100のベース本体部は、円錐台状ディスクまたは円錐台状プレートの形状を有する。
【0140】
所望するレリーフ(起伏)角度を規定することに起因した運動学的な態様および条件の他、同様に、ワークピース50,70との整合性が重要な役割を果たす。フット円より大きい直径を有する一部が歯車システムまたは周期的構造物に追随し、歯車システムまたは別の周期的構造物の生産において、小さい切込みまたはオーバーランを許容する、ワークピース50,70が常に存在する。ここで図11に示す半径方向の切込みの際、軸方向の設定または国際特許出願公開第WO 2010/060733 A1に記載された重畳設定において、切込み領域のスペースをより小さくすることが要求されているため、本発明に係る方法は、特に有用に採用することができる。同様に、本発明は、小さいオーバーランのみを許容するワークピースに採用することができる。この場合、切削ツール100は、歯面間ギャップの最終形状に達した後に、半径方向に直接的に引き戻される。
【0141】
マシン200は、本発明に係る一連の設定、切込み、および切削加工を行うために設計されたものであり、軸R1,R2の連動操作、すなわち軸の動作の調整を実現するためのCNC制御ユニット201を有する。CNC制御ユニット201は、マシン200の一部分であり、外部から操作することができ、マシン200との固有の通信接続202を可能にするように設計されている。こうしたマシン200は、いわゆる「電気式歯車列(ギアトレイン:electronic gear train)」、すなわち「電気式または固有制御軸連結(electronic or control-specific coupling of axes)」を備え、内側歯面を含むパワー切削加工されたワークピース70に対して切削ツール100を相対的に移動させることを可能にするものである。切削ツール100とワークピース70とは連動し、作製段階において、切削ツール100とワークピース70とが相対的に移動することができ、これは螺旋ギア伝達装置の相対的な移動に対応するものである。電気式歯車列すなわち電気式または固有制御軸連結は、マシン200の少なくとも2つの軸の回転速度を同調させるものである。少なくともツールスピンドル170の回転軸R1は、ワークピーススピンドル180の回転軸R2と連結される。さらに、好適にはすべての実施形態において、ワークピーススピンドル170の回転軸R2は、方向R2の軸方向の供給と連結している。直線供給部203の垂直方向の直線的移動は、図18の双方向矢印204で図示されている。さらにワークピーススピンドル180は、プレート205とともに、双方向矢印207で示すように、スイベル軸SAに対して平行にかつ直線的に移動することができる。回転軸R2に平行に軸方向供給(軸方向移動:axial feed)が行われ、この軸方向移動は、直線的供給(垂直方向移動:linear feed)で形成される垂直移動成分204と、直線的移動(水平方向移動:linear movement)で形成される水平移動成分208とに分解される。さらにプレート205は、ワークピーススピンドル170およびワークピース70とともに、双方向矢印207で示すように、スイベル軸SAの周りに回転することができる。
【0142】
好適には、図18に示すような垂直的に配置構成されたマシン200が用いられる。こうした垂直的配置構成において、ワークピーススピンドル170とともに切削ツール100が、ワークピーススピンドル170とともにワークピース50,70の上方に設置されるか、その逆である。切込み工程および切削工程の間に形成されたチップは、重力の作用により下方へ落下するが、図示しないチップボードの上方などに取り出されるようにしてもよい。
【0143】
さらにマシン200は、本発明に係る修正設定切込方法のために設計されたものであり、正確に複雑な形状を有する運動力学的マシンの設定および軸の移動を実現するものである。好適には、すべての実施形態において、マシンは6つの軸を有する。そのうちの5つの軸についてはすでに説明した。6番目の軸として、ワークピース50,70に対する切削ツール100の直線的相対的移動を可能にする軸が考えられる。この直線的相対的移動は、双方向矢印208で示されている。
【0144】
すべての実施形態において、修正切込方法は、乾燥式または湿潤式に採用することができるが、この修正設定切込方法は乾燥式切削加工に利用されることが好ましい。
【0145】
修正切込方法の用途範囲は広範であり、きわめて広範な態様を有する回転対称周期構造物を生産する用途に採用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1: 切削ツール
2: ワークピース
4: 歯面ヘッド
5: 歯面ブレスト
6: 切削歯
6.1: 切削歯面
7: 歯面溝
8: ワークピース
9: 領域
10: 切削ツール
11: トラフ、ハッチ
12: 母線、形成ライン
13: 重要領域
20: 切削後のワークピース
21: 歯面
22: 歯面間ギャップ
23: 前側面
50: 切削後のワークピース
51: 歯面
52: 歯面間ギャップ
53: チップ
54: 前側面
70: (内側に歯面を形成した切削後の)ワークピース
80*: トラフ、ハッチ
81: 重要領域
82: 重要領域
83: トラフ端面
100: 切削ツール
111: 切削歯
120: バー・カッター
170: ツールスピンドル
180: ワークピーススピンドル
200: マシン
201: CNC制御ユニット
202: 固有の通信接続
203: 直線供給部
204: 垂直移動成分
205: プレート
206: 直線的シフト移動
207: 回転移動
208: 直線的相対移動成分
αkI: ヘッドカッタのリリーフ角
αk0: 構造的リリーフ角
A: 半径方向供給(半径方向移動)
→A: 半径方向供給ベクトル(半径方向移動ベクトル)
→A1: 第1の部分移動ベクトル(設定移動ベクトル)
→A2: 第2の部分移動ベクトル(押込みまたは切込み移動ベクトル)
AK: 交角
AP: 計算ポイント
BP: 接触ポイント
β1: ツールの傾斜角
β2: ワークピースの傾斜角
δ: 傾斜角
dW2: ローリング円
EP: 供給位置
→n: 接触平面垂線ベクトル
n1: ツールの回転速度
n2: ワークピースの回転速度
N1: 垂線
R1: ツールの回転軸(ツール軸)
R2: ワークピースの回転軸(ワークピース軸)
→r1: ツールの接触半径ベクトル
→r2:ワークピースの接触半径ベクトル
ρ: 鋭角
SA: スイベル角
Shx: ストローク動作
Sax: 軸方向供給
SD: 差動供給
Srad:半径方向供給
SR: 切削方向
Σeff:実効交角
Σ: 軸の交角
TP: 最深ポイント
vc: 切削速度の絶対値
→vc:切削速度ベクトル
v1: 速度ベクトルの絶対値
→v1:切削ツールの速度ベクトル
v2: ワークピースの速度ベクトルの絶対値
→v2:ワークピースの速度ベクトル
VR: 供給方向
ω1: R1の周りの回転
ω2: R2の周りの回転
ZB: 軸方向供給
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車システム(tooth system)その他の周期的構造物を高い信頼性で切削加工する方法、およびこれを用いた切削ツールを含む装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯車を作製するための手法は数多くある。チップ切除ソフト事前機械加工(chip-cutting soft pre-machining)の分野において、歯切加工(hobbing)、ギア形削加工(gear shaping)、平削加工(generating planing)、および切削加工(skiving、パワー切削加工を含む)は、区別されている。歯切加工および切削加工は、詳細について後述するが、いわゆる連続的な方法である。
【0003】
歯車のチップ切除機械方法の分野において、断続歯割加工(intermitted indexing process、または単一断続加工)、および連続方法(連続間欠加工または歯面切加工ともいう)は、区別されている。
【0004】
連続方法において、ワークピースの側面(フランク)を切削するために、たとえば対応するカッタを含むツールが用いられる。断続加工方法を用いて、1つのクランプでワークピースを連続的に切削する用意を整える。連続方法は、複雑で、かつ連動した動作シーケンスに基づくものであり、ツールおよび製作対象のワークピースは、互いに対する連続する歯切動作(indexing movement)を行う。歯切動作は、連動し、複数のマシンのそれぞれの駆動軸を互いに連動させることにより行う。
【0005】
単一歯切プロセスにおいて、1つの歯間が作製されると、たとえばワークピースを回転させて、いわゆる歯切動作を行い、ツールの相対的な位置を変えて、次の歯間を作製する。歯車は、こうした少しずつ(数多くのステップで)作製されるものである。
【0006】
形削りツール1の回転軸R1の交角と、ワークピース2の回転軸R2との間の交角(軸交角ともいう)は、図1で概略的に示すように、ゼロ度(0度)であるため、上記したギア作製方法は、円筒形状ギア搬送システムと説明され、代表的なものである。2つの軸R1,R2の交角がゼロ度であるとき、これらの回転軸は互いに平行なものとなる。ツール1の軸R1の周りにおいて、ワークピース2の回転軸R2を連続的に回転させる。回転動作に加えて、形削りツール1は、図1で示す双方向矢印Shxで示すようなストローク動作を行い、このストローク動作の間において、ワークピース2からチップ(chip、削り片)が取り除かれる。
【0007】
少し前では、切削加工と呼ばれる手法が行われていた。基本的技術は、約100年以上前に確立されたものである。最初の特許出願は、この加工方法について、ドイツ特許第2343514号として出願された1912年代まで遡る。当初の数年間で最初に開発調査された後には、さらに意義深い進歩は追求されなかった。これまで、切削加工方法に適したツールの形状は一部において楕円形状を有するが、その形状を見出すという複雑なプロセスを必要とするものであつた。
【0008】
1980年代中頃、切削加工技術は再び脚光を浴びた。現在における加工装置のシミュレーション技術および最近のCNC制御技術が利用可能となるまで、切削加工原理を生産性高く、再現性よく、高い信頼性で実現することはできなかった。加えて、現在における高い耐磨耗性を有し、静的および動的にきわめて高い剛性のツール材料や、現在のマシンの高い同期操作性が実現されたことにもよる。
【0009】
図2に示す切削加工技術において、切削ツール10(切削加工ホイールともいう)の回転軸R1と、ワークピース20の回転軸R2との間の交角Σ(0ではない)が予め特定される。その結果、切削ツール10とワークピース20との間の相対的な運動は螺旋運動となり、この螺旋運動は、回転運動(回転方向の部分的運動)と並進運動(並進方向の部分的運動)とに分解される。螺旋式に運動させるということは、基本的な駆動技術であるとも考えられるが、回転運動がフランク(歯面)の転がり運動(ローリング運動)に対応し、並進運動がフランクの研磨に対応するものである。交角Σの絶対値が大きくなるほど、ワークピース20を作製するために必要な並進方向の運動がより大きくなる。すなわち、ワークピース20の歯面の方向において切削ツール10の切削エッジの部分の動きに影響を与えるということである。したがって、切削加工する際、同等の螺旋ギア伝達装置を有する係合ギアホイールの相対的複合運動の研磨運動部分を用いて、切削運動を行う。通常、ギア形削りにおいて、切削加工およびいわゆる押圧動作(pushing movement)の際、ゆっくりと並進移動させる必要がある。このとき、切削加工の際、逆方向に並進移動することはない。
【0010】
切削加工の際の切削速度は、切削ツール10およびワークピース20の回転速度および軸R1とR2の間の交角Σに直接左右される。加工材料に応じて、所与の回転速度に対して、最適な切削速度が得られるように、交角Σ、すなわち研磨運動を選択する必要がある。
【0011】
既知の切削加工方法に関する回転動作サイクルやその他の詳細事項については、図2Aの概略図で上述したとおりであり、理解されるであろう。図2Aは、外側歯車切削システムが円筒形状のワークピース20を切削している様子を示すものである。切削ツール10(図中では、円筒形状の切削ツール)およびワークピース20が逆方向に回転する。
【0012】
さらなる相対運動が追加される。切削ツール10を用いて、ワークピース20について、歯車システムの幅全体を機械加工するためには、軸方向供給Saxが必要となる。螺旋状ギアがワークピース20上にあることが好ましい場合(すなわちβ2≠0)、差動供給SDが軸方向供給Saxに重なる。ワークピース20の歯車システムの頂部に影響を与えるために、半径方向供給Sradを用いてもよい。
【0013】
本願明細書において、たとえばベクトルv(→v)を便宜上、以下のように表記する。
【0014】
【数1】
【0015】
切削加工において、切削速度ベクトル(→vc)は、本質的に、切削ツール10の回転軸R1の円周方向のベクトル(→v1)と、ワークピース20の回転軸R2の円周方向のベクトル(→v2)の差として表され、これらの回転軸R1,R2は互いに対して交角Σだけ傾斜している。ここでベクトル(→v1)は切削ツール10の周縁部における速度ベクトルであり、ベクトル(→v2)はワークピース20の周縁部における速度ベクトルである。よって、切削加工プロセスにおける切削速度ベクトル(→vc)は、交角Σ、および同等の螺旋ギア伝達装置における回転速度により変化し得る。軸方向供給Saxは切削速度ベクトル(→vc)にわずかな影響しか与えないので、無視することかでき、図2Aのベクトル図ではベクトル(→v1)、ベクトル(→v2)、および切削速度ベクトル(→vc)を記載している。
【0016】
ワークピース20の外側歯車切削システムによる切削加工は、図2Bにおいては、円錐状切削ツール10が用いられている。図2Bでは、交角Σ、切削速度ベクトル(→vc)、切削ツール10の周縁部における速度ベクトル(→v1)、およびワークピース20の周縁部における速度ベクトル(→v2)は、同様に切削ツール10の螺旋角β1およびワークピース20の螺旋角β2とともに図示されている。図2Aにおいて、螺旋角β2はゼロではない。切削ツール10の歯車ヘッドは、図2Bにおいて符号4を用いて図示されている。歯車ブレスト(tooth breast)は、図2Bにおいて符号5を用いて図示されている。2つの回転軸R1,R2は互いに交差しないが、互いにねじれの関係に配置されている。円錐状切削ツール10において、逃げ角を設けるために切削ツール10を曲げる必要がないので、計算ポイントAPは、通常、2つの回転軸R1,R2の共通垂線上に選択される。このとき計算ポイントAPは、いわゆる接触ポイントと一致する。対応する螺旋ギア伝達装置のローリング円は、計算ポイントAPにおいて、互いに接触する。
【0017】
ドイツ特許出願公開第3915976A1号から明らかなように、切削加工技術において、フランクライン(側面線)を変更するために、ゆっくりとした軸方向供給に対する半径方向の移動を重ね合わせることができる。
【0018】
さらに国際特許出願公開第2010/060733A1号から明らかなように、軸方向供給と、半径方向移動とを重ね合わせることにより、歯車システムを形成することができ、その歯溝は歯のないワークピースの表面に形成され、それぞれの半径方向および軸方向の端部まで延びる。前掲国際特許出願は、図3に概略的に図示されるいわゆるマルチカット(マルチ切削)手法を採用している。図3において、対応するワークピース8の歯溝7を形成する様子を示す。図3は、切削ツール10がマルチカット手法を用いてワークピース8に形成する複数のトレースを図示している。軸方向供給と半径方向移動とを重ね合わせることにより、歯溝7の端部にフェーズアウト形状(phasing out profile)が形成され、この形状は、領域9における複数の曲線部分から構成される。前掲国際特許出願歯、完全に形成された歯面間ギャップの形成については何ら言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】ドイツ特許第2343514号公報
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第3915976A1号公報
【特許文献3】国際特許出願公開第2010/060733A1号パンフレット
【発明の概要】
【0020】
切削加工の生産性をできるだけ増大させるためには、たとえば硬質金属などの最新の切削材料を乾式切削加工に用いた場合、切削ツールとワークピースとの間で相対的に移動する切削部分は、十分に大きい切削速度を与える必要がある。切削加工中、切削速度vcは、対応する螺旋ギア伝達装置の回転速度、ワークピースまたは切削ツールの有効半径、および回転軸R1,R2の交角Σにより直接的に影響を受ける。あり得る回転速度は、用いられるマシン装置(切削加工マシン)が許容する回転速度により限定される。ワークピースの大きさは、固定的にあらかじめ決まっている。切削ツールとして可能な大きさは、マシン装置(切削加工マシン)の作業スペース、および内側歯車システムの場合には歯車システム自体の内部空間により限定される。すなわち十分に大きい切削速度は、軸の交角Σを大きくすることによりのみ実現できることがある。
【0021】
切削加工において、少なくとも1つの幾何学的に特定された切削歯を有するツール10が用いられる。図2Aおよび図2Bにおいては、切削断面は図示されていない。切削歯の形状および構造は、これらの態様に属するものであり、実際に使用される具体的な設計を考慮する必要がある。
【0022】
さらに切削加工においては、切削ツール自体が大きな関連性を有する。図2Aに示す具体例において、切削ツール10は直線歯面を有する平歯車の形状を有する。図2Aのベース本体部の外形形状は円筒状である。しかし、その外形形状は、図2Bに示すようにベベル形状(円錐状)であってもよい。なぜなら、切削ツール10の1つまたは複数の歯面は、切削歯の長さ全体に沿って係合し、切削ツール10の切削歯における各歯面は、十分に大きいレリーフ角度(隆起角度)を有するためである。
【0023】
図4Aおよび図4Bに示すように、直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10から始めると、こうした切削ツール10は、その円錐状ベース形状に起因して、いわゆる構造上のレリーフ角(隆起角)を有する。すなわちヘッド部およびフランク部(歯面)におけるレリーフ角は、切削ツール10の幾何学的形状に起因して予め特定されているということである。ただし、円錐状切削ツール10の切削歯のプロファイル(形状)は、実際に再研磨可能とするためには、所定の条件を満たす必要がある。図4Aおよび図4Bには、ワークピース20の外側歯面を切削している円錐状切削ツール10が図示されている。円錐状切削ツール10の切削ヘッドにおけるいわゆる構造的レリーフ角αK0が図4Bに図示されている。軸の交差ポイントAKと、切削ツール10およびワークピース20のローリング円の接触ポイントBPとは一致し、回転軸R1,R2のジョイントプラム(結合垂線:joint plumb)GL上に配置されるものである(結合垂線GLは図4Aおよび図4Bでは図示されない。)。
【0024】
直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10と、円筒状ワークピース20が図示された図5において、回転軸R1,R2は平行に延びるように選択されるが、2つの軸R1,R2は互いにねじれの位置に配置するように選択されている。2つの軸R1,R2の結合垂線GLが図5に図示されている。図5に示すように、接触ポイントは結合垂線GL上に配置されている。
【0025】
円筒状の切削ツール10と、外側歯面を有する円筒状ワークピース20とが図6Aおよび図6Bに図示されている。切削ツール10は、ワークピース20の回転軸R2に対してねじれているだけでなく、対応する軸の交角Σに基づいて配置され、さらに(図6Bに示すような)小さい角αKiだけ回転軸R2から離れる方向に傾斜している。切削ツール10を離れる方向に傾斜させることにより、ヘッド切削歯に対する(図6Bに示す)実効レリーフ角αKiを実現することができる。切削ツール10の切削歯側において、離れる方向に設定することにより、実効レリーフ角を実現することができる。しかしヘッド切削歯上において、これらがより小さくなる。一般に、これらのレリーフ角は、大きいものの半分に過ぎない。
【0026】
図6Aおよび図6Bに示すように、直線歯面または螺旋歯面を有する円錐状切削ツール10から始めると、切削ツール10は、ヘッド部およびフランク部において、いわゆる構造的レリーフ角を有さないことが明らかである。こうした円筒状切削ツール10が従来方式で把持された場合には、レリーフ角が形成されてしまう。切削ツール10を離して挿入することにより、上記のように運動力学的レリーフ角が形成される。実際には、マシンに切削ツール10を傾けて固定することにより、切削ツール10を離して挿入設置すると、軸AKの交差ポイントから切削歯をずらして配置することができる。切削ツール10を離して挿入設置することに起因して、切削ツール10およびワークピース20のローリング円の接触ポイントBPは、もはや、回転軸R1,R2の結合垂線上には配置されなくなる。対応するずれは、切削歯オフセットeと呼ばれ、図6Aに図示されている。さらに切削ツール10がより遠くに離れて傾斜すると、実効レリーフ角はさらに大きくなる。切削加工に必要な実効レリーフ角は、3°〜5°の範囲である。こうしたレリーフ角を規定するためには、円筒状切削ツール10の挿入設置角を10°未満にする必要があり、実際には共通するものである。
【0027】
直線歯面または螺旋歯面を有する別の円錐状切削ツール10が図7Aおよび図7Bに図示されており、図7Aでは、2つの回転軸R1,R2は平行に延びるが、2つの軸R1,R2は互いにねじれるように選択されている。2つの軸R1,R2の結合垂線GLが図7Aに図示されている。図7Aおよび図7Bにおいて、接触ポイントBPは結合垂線GLの上方に位置する。図7Bは、いわゆる接触図(接触平面の側方投影図ともいう。)であり、接触ポイントBPが図示されている。図7Aでは、接触ポイントBPはワークピース20の後方に隠れている。
【0028】
これまでの切削加工方法を独自調査したところ、切削ツールが突然に故障する場合があることが確認された。より詳細に検討評価したところ、切削の際に、きわめて大きな負のすくい角が発生することが確認された。ワークピースの被切削部材に切削する際の切削歯の全体的な軌跡ポイントをシミュレーションしたところ、ワークピースのギャップを完全に切削する際、チップ形成の初期段階から切削工程の終わりまで、実効的なヘッドのすくい角が、よりいっそう負の値が大きくなることが確認された。より正確にいえば、一般の切削工程においてチップを切除するとき、チップの厚みが母線から増大し、実効すくい角が当初の約0°から連続的に低減する。チップ形成の最終段階では、実効すくい角は、−60°以下であることがきわめて好適であるのに、たとえば−60°まで達することができる。こうした状況は切削ツールの早期の摩滅につながるものである。
【0029】
切削ツール10の切削歯6のワークピース20の被切削部材に対する動きが、図8A〜図8Cに概略的に図示されている。図8A〜図8Cには、一連の切削工程におけるカッターヘッド、すなわち切削歯6のすくい角の実効的な推移が図示されている。切削ツール10に関し、第1および第2の回転軸R1,R2の周りにおける連結され互いに同期させた回転運動と、ワークピース20に対する切削ツール10の軸方向直線運動とを重ね合わせたことに起因して、カッタの全体的な軌跡ポイントの記録において、図8A〜図8C、図9、図10、図11Aおよび図11Bに示すように、一種のトラフまたはハッチの形状が形成され、対応するトラフが参照符号11を用いて図示されている。
【0030】
図8Aは、ワークピース20の被切削部材内にある切削ツール10の切削歯6の相対的な移動であって、最初の瞬間にある切削歯を示すものである。切削歯6の切削端面6.1の向きおよび位置が太線で図示されている。トラフ11は、このギャップ22内にある切削歯6の切削端面6.1の全体的な軌跡点から形成される。その後の切削歯のさらなる接触により(これは同一または別の切削ツールの切削歯でもよい。)トラフを形成し、軸方向の供給移動および差動連動移動に起因して、軸方向のギャップ22内からずれている。すなわちトラフ11は、切削工程中、ワークピース20の被切削部材内において(少なくとも仮想的には)階段状に移動する。図8Aは、トラフを左側領域と右側領域に分割するライン12を示す。ライン12の隠れた部分は点鎖線で図示されている。ライン12は、互いに重畳した2つのトラフを画定しており、2つのトラフは、切削歯の2つの直接的に連続する係合の間の供給移動により位置が異なる。すなわちライン12は、2つのトラフの交差曲線を特徴付けるものである。無限に小さい軸方向の供給移動に際しては、この交差曲線は、いわゆる母線(generator line)に対応するものである。全体的な歯面間ギャップは、切削方向にワークピース20の被切削部材が切削される、こうした一連の母線と考えることができる。軸方向の供給移動を含む従来式の切削加工プロセスにおいて、被切削部材は母線から始まる領域のみにおいて、母線前に(具体的には図面に左側方向において)、ワークピース20から駆動切削端面6.1により切削される。被切削部材は、(具体的には図面に右側方向において)切削方向にツールの先が接触することにより切削されている。
【0031】
図8Bは、上記シミュレーションの第2の段階を示し、切削ツール10の切削歯6が、図8Aに対して切削方向SRの左側へ所定の距離だけ移動したときの様子を示す。
【0032】
図8Cは、上記シミュレーションの第3の段階を示し、切削ツール10の切削歯6が、図8Bに対して切削方向SRの左側へさらに所定の距離だけ移動したときの様子を示す。図8Cにおいて、切断歯6の切断端面の切断面がトラフ11に対して鋭角を形成していることが図示されている。対応する「重要な(critical)」領域は、図8Cにおいて参照符号13を用いて図示されている。したがって、上述のように著しい負の実効角が形成される。
【0033】
上述のように、切削プロセスの間、とりわけヘッド部の実効その負の値が大きくなっていく。切削加工中、ワークピース20の歯面間ギャップの推測される底面に対する切削歯6のブレード角は、ほぼ一定である。切削は6のヘッド切削端面はトラフの底面上を「研磨(grind)」する。
【0034】
図9は、ワークピース20の一部分、複数の歯面21、および歯面間ギャップ22を図示するものである。ワークピース20の切削加工における移動の全体的な進捗を考慮すると、歯面間ギャップ22が完全に形成されるまで、トラフ11は歯面間ギャップ22を貫通して進むことが理解される。歯面間ギャップ22を貫通するトラフ11の移動は、矢印VRで図示されており、供給移動方向と同じ方向である。この供給移動方向は、軸方向移動と差動移動とからなる。
【0035】
切削工程中のすくい角に関する上記研究は、進行切削プロセス中の完璧な切削を実現することを支持するものである。しかし上記研究は、歯面間ギャップに最初に「穴を開ける」必要がある、切削プロセスの開始時における重要な示唆を与えるものでもある。ワークピースの軸方向に切削ツールを通常通り供給移動させるとき、接触歯6が最初にワークピース20に接触するときは、明らかに負の実効すくい角となる。すなわち上述したように、最初の切削は、相当に劣悪な切削条件で行われる。最初の接触時の負のすくい角が大きいことに起因して、接触端面6.1に対する負荷はきわめて大きい。接触端面6.1(とりわけ接触端面の端部)に加わる力は急激に増大し、接触端面6.1が瞬時に破壊される場合がある。このきわめて大きな負荷により、切削ツール10の突然不意の故障を理由つけるものである。図8A〜図8Cに示す進行切削プロセスにおいて、悪影響をもたらすすくい角は、同様に上述のように生じるが、切削端面6.1に対する負荷は連続的に加わり、断続的に加わるものではない。つまり、さまざまな磨耗、または故障要因が懸念される。
【0036】
これまで実施されていた軸方向の供給移動において、トラフ11は、歯面間ギャップ21に沿った側面に案内されるので、トラフ11のトラフ側面は、最初の段階において、最悪の切削条件でワークピース20に対し、図10に示す前面23の領域に接触する。この最初の接触は、通常、フェザリング・フランク(feathering flank)の側面において、切断端面6.1のヘッド部で生じる。軸方向供給移動は、図10の矢印ZBにより図示されている。よって矢印ZBは、ツール20の回転軸R2と平行に延びる。
【0037】
本発明の目的は、歯車の歯面または別の量産性の高い周期的構造物を切削加工する方法および装置を提供することを目的とするものである。1つの歯車を生産する時間とコストを低減することが本発明の目標である。他方、ここに提案する方法および装置は、信頼性が高く、たとえば自動車部門において流れ製造業において好適なものである。
【0038】
切削ツールの寿命を改善することにより、切削ツールのコストを極力低減することができる。
【0039】
この目的は、ここでは修正切込み技術と呼ばれる切削技術を用いた方法により達成することができる。修正切込み技術は、設定導入動作および押込み動作を明確な半径方向の移動成分を伴って行うものであり、その結果として、設定導入動作の際、最初の接触の際、実効すくい角がほぼ0°となるように、切削ツールとワークピースの間において最初の接触が生じる。この実効すくい角は、上記トラフ形状に起因して、トラフの底面がワークピースの被切削材料と最初に接触する。
【0040】
修正切込み技術は、さまざまに態様に係る切削方法に関して適用することができ、回転対称的な周期的構造物の生産に適したものである。
【0041】
この修正切込み技術は、ツールスピンドルにより支持された切削ツールを用いて、回転対称的な周期的構造物を有するワークピースの切削に用いるために設計されたものである。この修正切込み方法において、
・切削ツールは、第1の回転軸の周りに連続的に回転し、
・ワークピースは、切削ツールと同期して、第2の回転軸の周りに連続的に回転し、
・切削ツールは、ワークピースに向かって半径方向に移動成分で設定移動し、かつ半径方向に移動成分で下方に十分な深さでワークピース内に切込み移動し、少なくとも切込み移動の間、第1の回転軸は第2の回転軸に対してねじれた状態で延びている。
【0042】
その後の切削工程において、十分な深さに達するまで、回転する切削ツールは、第2の回転軸の方向に回転するワークピースに対して、切込み移動の終わりまで、相対的な供給移動を行い、同様に、切削の際、第1の回転軸はだい2の回転軸に対してねじれた関係で延びている。
【0043】
本発明に係る修正切込み技術は、ワークピースと切削ツールとの間の相対的な移動シーケンス(いわゆる相対的移動)が事前に設定され、実行されるため、最初の接触および切込みの際、切削ツールの切削歯の切削端面における切削条件が最適な範囲に維持される点に特徴がある。
【0044】
本発明に係る修正切込み技術は、切込み工程の際、ワークピースに対する切削ツールの最初の接触のポイントがトラフのほぼ最深ポイントTPに相当する点に特徴がある。
【0045】
本発明によれば、わずかな並進移動が設定移動および半径方向の切込み移動に重畳されることにより、結果として得られる移動ベクトルは、ワークピースの回転軸の垂線との間で鋭角をなすことになる。
【0046】
本発明は、従来の軸方向の切込み技術に比して、実質的に好適な切削条件が得られるように、ワークピースに対する切削ツールの相対的移動を事前に設定することに基づくものである。
【0047】
本発明に係る修正切込み方法を用いた切削工程において、歯または他の周期的構造物が完全に形成されるまで、被切削部材はワークピースから徐々に切削される。
【0048】
切削ツールの切削端面におけるすくい角が突如として実質的な負の値になることは、この修正切込み方法を用いることにより回避することができる。さらに、この修正切込み方法は、従来式の軸方向供給移動に比較して、比較的により小さい入口領域を必要とする点において利点を有する。
【0049】
本発明によれば、歯面間ギャップは、直接的に十分な深さまで達することができ、この場合、複数の切削技術を用いて形成する必要はない。すなわち、切込み工程は、十分な深さまで行うことが好ましい。好適には、すべての実施形態において、切削技術と連関した切込み工程を用いることが好ましい。
【0050】
さらに、歯車システムの当初において連続的である歯車システムの切削工程に関し、本願において当初において閉じている歯面間溝の切削には関係がない。
【0051】
本発明に係る修正切込み方法は、被切削材料の除去による切込み工程において、最終的な間隔形状が形成されない点に特徴がある。最終的な間隔形状は、切込み工程の後においてのみ、適当な切削マシンにより形成される。
【0052】
歯面間ギャップを完全に形成するためには、本発明によれば、ワークピースに対して、決定可能な位置に、歯車システムの幅方向に半径方向成分を設定し、十分な半径方向の深さまで下方に切り込むだけで十分である。半径方向の切込みの位置は、母線の位置から特定されることが好ましい。
【0053】
本発明によれば、すべての実施形態において、従来の切削方法に比較して、実質的に好ましい切削条件で最初の切削工程を行うことができる。すなわち、切削ツールの寿命を相当に改善することができ、とりわけ切削ツールが突如壊れるということを防止することができる。
【0054】
本発明によれば、半径方向の設定移動に起因して、切削ツールがワークピースに最初に接触するポイントは、切削ツールの切削端面における実効すくい角をほぼ0°とすることにより実現することができる。
【0055】
本発明によれば、切削ツールがワークピースに最初に接触するポイントは、ワークピース前面と後方領域の間の移行領域に直接的に配置することが好ましい。
【0056】
本発明によれば、切削ツールが供給移動方向にワークピースの被切削材料を貫通するように移動し始めるポイントは、母線の位置を考慮して特定することが好ましい。一般的な切削加工の際、被切削材料は母線の後方においてのみ切削されるので、軸方向の供給移動を短くするためには、切削加工されるワークピースの前面から所定距離だけ離した位置に仮想的な母線を配置する。これによる効果として、このように母線を配置することにより、加工時間を短縮することができる。
【0057】
さらに、ギャップを完全に形成した直後、半径方向に取り出すことができる。被切削材料の母線がワークヒースに残ったとき、ギャップを完全に形成することができる。一般に、半径方向の取り出しによる好ましい効果として、加工時間を短縮することができる。
【0058】
切削ツールの回転軸は、少なくとも切込み工程および切削工程において、ワークヒースの回転軸に対してねじれた位置に配置され、交角Σはゼロではない。
【0059】
さらに切削ツールは、少なくとも切込み工程および切削工程において、ワークピースに向かう方向に、あるいはワークピースから離れる方向に傾斜させてもよく、好適には、ゼロではない傾斜角(すなわち、ねじれ角)δで表すことができる。
【0060】
ねじれ角δの絶対値は、好適には2°〜45°であり、さらに好適には5°〜30°である。
【0061】
修正切込み方法において、この方法は、連続的な切込み方法の事前工程において採用される。この切込み工程は、同様に連続的で切削加工するものである。
【0062】
好適には、表面研磨カッターヘッドツールとは実質的に異なる、ピーリング歯車などのすべての実施形態おいて、切削ツールが用いられる。
【0063】
本発明によれば、切削ツールは、ピーリング歯車などのツール部分を有し、そのツール部分は切削部分を有し、その切削部分は、斜め外側に突出した切削歯面として形成された切削端面を有する。
【0064】
本発明によれば、切削ツールは、ピーリング歯車などのツール部分を有し、その切削部分は、形成カッター(generating cutter)の形状、好適には、ディスク型カッター、シャンク型カッター、または深穴型カッター(deep counterbore cutter、たとえばDIN 3972 DIN 5480)を有する。
【0065】
本発明に係るピーリング歯車のような切削ツールは、いわゆる大規模ツールとして設計され、こうしたツールは実質的に一体的に構成されるか、あるいは好適にはバー・カッターの態様でカッターカートリッジを備えたカッターベース本体部を有するカッターヘッドツール(バー・カッター・切削ツール)として構成されたものである。
【0066】
本発明によれば、すべての実施形態において、切削ツールは、いわゆる構造的なレリーフ角を有することが好ましい。すなわちレリーフ角は、運動力学を考慮して、切削ツールの形状に基づいて事前に設定される。
【0067】
上述の、およびクレームに記載された修正切込み方法は、きわめて広範な歯車システムおよび他の周期的に反復する構造体に適用することができる。
【0068】
本発明は、従来式の軸方向切込み方法に比して、数多くの利点を有し、その利点について要約すると以下のとおりである。
・切削状態の改善
・(特に、カッターヘッドにおける)実効すくい角の改善
・ツールの摩滅の低減
・ツールの高寿命化
・ツールの低コスト化
・ツールの突然の故障の防止
・費用対効果の改善
【0069】
本発明に係る方法は、ドライ加工およびウェット加工の両方において実施することができる。
【0070】
この修正切込み方法は、外側歯車システムの製造において採用できるだけでなく、内側歯車システムの製造においても同様に採用できる
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円筒状の外形を有する歯車の製造工程を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円筒状の外形を有する直線歯面を有する切削歯車を示す概略図である。
【図2B】図2Bは、切削加工の際、外側歯車システムを有するワークピースに接触する円錐状の外形を有する螺旋歯面を有する切削歯車を示す概略図である。
【図3】図3は、国際特許出願公開第2010/060733号に記載された歯溝フェーズアウト形状(phasing out profile)の概略図である。
【図4A】図4Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、円錐状の切削ツールの軸交差の概略的投影図(接触平面の投影図)であって、軸交差は事前に設定されている。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的投影図(接触平面の側方投影図)である。
【図5】図5は、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、別の円錐状の切削ツールの概略図であって、切削ツールがワークピースに対して傾いていないものである。
【図6A】図6Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、円錐状の切削ツールの軸交差の概略的投影図であって、切削ツールはワークピースから離れる方向に微小角度だけ捻れており、切削面がずれている。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的側方投影図である。
【図7A】図7Aは、外側歯車システムを有するワークピースを切削加工する際における、別の円錐状の切削ツールの軸交差の側方投影図であって、切削ツールはワークピースから離れる方向に微小角度だけ捻れており、切削面がずれている。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す円錐状の切削ツールおよびワークピースの概略的側方投影図であって、これらの接触面を示す。
【図8A】図8Aは、ワークピースの被切削材料内にある切削ツールの切削歯面が相対移動する際の第1段階を示すシミュレーション結果である。
【図8B】図8Bは、 図8Bは、第2段階のシミュレーション結果を示し、切削ツールの切削歯が、図8Aに示す状態に対してワークピースの被切削材料内において、切削方向の左側へ所定の距離だけ移動したときの様子を示す。
【図8C】図8Cは、第3段階のシミュレーション結果を示し、切削ツールの切削歯が、図8Bに示す状態に対してワークピースの被切削材料内において、切削方向の左側へ所定の距離だけさらに移動したときの様子を示す。
【図9】図9は、複数の歯車歯と歯面ギャップとを有するワークピースの一部を示し、図8A〜図8Cに係るトラフは、歯面ギャップを貫通するように進む。
【図10】図10は、ワークピースの一部の側面図であり、軸方向に切込み移動するトラフを相当に概略化した態様で示すものである。
【図11A】図11Aは、ワークピースの一部の側面図であり、本発明により半径方向に切込み移動するトラフを相当に概略化した態様で示すものである。
【図11B】図11Bは、図11Aに示すワークピースの一部の平面図であり、本発明により半径方向に切込み移動するトラフの配置位置を相当に概略化した態様で示すものである。
【図12A】図12Aは、ワークピースの一部の側面図であり、設定挿入および切込み工程を相当に概略化した態様で示すものである。
【図12B】図12Bは、ワークピースの一部の側面図であり、設定挿入および切込み工程を相当に概略化した態様で示すものである。
【図13A】図13Aは、バー・カッターの切削端面とともに、トラフを相当に概略化した態様で示すものであり、この瞬間では、すくい角はほぼ0°であることを示す。
【図13B】図13Bは、バー・カッターの切削端面とともに、トラフを相当に概略化した態様で示すものであり、この瞬間では、すくい角は明らかに負の値となっていることを示す。
【図14】図14は、ワークピースの一部の平面図であり、歯面ギャップを貫通して進むトラフの位置を相当に概略化した態様で示すものである。
【図15】図15は、切削工程中のワークピースの一部を示し、切削ツール(図示せず)の切削歯を有するバー・カッターが歯面ギャップ内で案内される様子を示す。
【図16】図16は、本発明に係るバー・カッター切削ツールを用いて切削加工する際の、内側歯車システムを有する円筒状ワークピースを示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明に係る切削ホイールとして大規模ツールを用いて切削加工する際の、内側歯車システムを有する円筒状ワークピースを示す斜視図である。
【図18】図18は、内側歯車システムを有するワークピースの歯車システムのための切削ツールを有する装置を相当に概略化した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
実施形態に係る後述の実施例において、本発明のさらなる詳細および利点について説明する。すべての概略図において、簡略化するために、ワークピースおよび切削ツールは、回転円にある(または回転円筒体上のワークピースにある)状況として表される。図示された条件は、厚み(高さ)を有する歯を含む全体的な歯車システムのためのものである。
【0073】
本願明細書の文脈において、関連する文献および特許公報で用いられる用語を用いる。ただしこれらの用語は、より十分に理解するためにのみ用いられるものである。クレームの発明的アイデアおよび保護範囲は、選択的に用いられた用語により限定されるものではないことに留意されたい。本発明は、特段の苦労なく、他の技術システムおよび/または技術領域に適用することができる。他の技術的領域においては、これらの用語は当該技術的領域に呼応して用いられる必要がある。
【0074】
回転対称的で周期的な構造体は、たとえば内側歯車システムおよび/または外側歯車システムを有するギアホイール(歯車)である。ただし、たとえばブレーキディスク、クラッチ、またはギア部品などにも関連し得る。切削ツールは、ピニオンシャフト、ワームギア、環状ギア、歯車ポンプ、継手リングジョイント・ハブ(自動車産業で用いられる継手リングジョイントは、差動装置から車輪に力を伝達するためのものである。)、スプライン・シャフト連結器、スライド・スリーブ、ベルト・プーリなどを作製する上で、とりわけ好ましい。周期的な構造体は周期的に反復する構造体も含む。
【0075】
以下において、主として、ギアホイール(歯車)、歯面、および歯面間ギャップ(teeth and tooth gaps)について説明する。ただし上述のとおり、本発明は、さまざまな周期的構造体を含む他の構成部品において採用することができる。これらの他の構成部品の場合、たとえばスロットまたは溝以外には、歯面間ギャップは関係がない。
【0076】
本発明は、冒頭で説明したような研究およびシミュレーションの結果を利用するものである。本発明によれば、図11Aに示すように、相当に半径方向に移動する部品を用いて、切り込み(infeed)が行われる。これまで軸方向に切り込む際に生じていた問題であって、半径方向に面して切り込むようにしたことにより、切削ツール100が最初にワークピース50に当接する際に生じる問題を回避することができる。
【0077】
半径方向の切り込みが、図11Aにおいて矢印Aで図示されている。
【0078】
本発明は、いわゆる修正切込方法に関するものであり、切削ツール100およびワークピース50が相対的に移動し、切削ツール100は、最初にワークピース50に接触する際、ほぼ0度の実効的なすくい角が切削ツール100の切削歯に形成されるように延びている。これを実現するためには、設定時の移動の際の少なくとも最後の段階が、図12Aに示すように、本質的に半径方向の設定時移動ベクトル(→A1)であることに特徴がある(上記のように本願明細書において、便宜上、ベクトルAを以下「→A」と表記する。)。これを実現するために、設定時の移動の少なくとも最後の段階が、本質的に半径方向の設定移動(→A1)として特徴付けられる。本発明によれば、半径方向の押し込みまたは切り込み移動(→A2)が半径方向の設定移動(→A1)の後に続く。半径方向の押し込みまたは切り込み移動(→A2)の際、切削ツールの端面は、ワークピース50の部材内に突っ込む。
【0079】
図12Aは、半径方向の切り込み(→A)が2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)からなることを概略的に図示しており、図示の場合、部分的な移動(→A1)および(→A2)の両方は、純粋に半径方向に向かっている。2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)を足し合わせるとベクトル(→A)が得られる。純粋に半径方向の移動は、ワークピース50の回転軸R2に対して垂直であるので、これらの移動はワークピース50の前面54に対して平行に延びる。
【0080】
図12Bは、半径方向の切り込み(→A)が2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)からなることを概略的に図示しており、図示の場合、実質的な半径方向の成分と微小な軸方向成分とを有する。同様に、2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)を足し合わせるとベクトル(→A)が得られる。
【0081】
2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)は、同一の方向を有していてもよいし(たとえば図12A参照)、若干異なった方向を有するものであってもよい(たとえば図12B参照)。
【0082】
図13Aは、相当に図案化したトラフ80*(容器、溝)、およびバー・カッター(棒切盤)120の切削歯111を示す概略図であり、図示された瞬間におけるヘッド切削歯における実効すくい角γSは、ほぼゼロである。投影された図面において、実効すくい角γSは、切削歯110の切削面53と、切削面53およびトラフ80*の間の接触ポイントにある垂線N1との間の角度と同等となるように選択される。図13Aにおいて、この垂線N1は、切削面53のほぼ平面内に配置される。図13Aは、切削ツール100および切削ツール100の切削歯110がワークピース50,70に最初に接触した瞬間を示す。最初に接触したポイントは、トラフ80*の最も深いポイントTPにほぼ一致する。ところで母線(generation line)82は、常に、トラフ80*の最も深いポイントTPを通る。
【0083】
図11Aおよび図11B、それ以降の図面におけるトラフ80*は、意図的に鏡面対称的に図示される。しかし実際には、たとえば傾斜角δがゼロではないとき、トラフ80*は非対称的形状を有する。
【0084】
図13Bは、相当に図案化したトラフ80*、およびバー・カッター120の切削歯111を示す概略図であり、図示された瞬間におけるヘッド切削歯における実効すくい角γSは、明らかに負の値である。図13Bにおいて、垂線N1は切削面53の平面上に配置されないので見えない。例示的で相当に図案化した図13Aおよび図13Bから明らかなように、実効すくい角γSは、切削方向SRに切削歯111が前進するにつれて、よりいっそう大きい負の値となる。
【0085】
軸方向の供給移動が回転軸(すなわち図14に示す供給方向VR)に平行となるまで、母線82がワークピース50の材料の外側に配置されるように、ワークピース50に対する2つの部分的な移動(→A1)および(→A2)が行われることが重要である。さらに、切削ツールおよびワークピース50の間で最初に接触が、ほぼ0度の実効すくい角γSで起こるように、第1の部分的移動(→A1)の向きが設定されることに留意すべきである。最初の接触の際の軸方向の移動成分があまりにも大きいとき、この条件はいくつかの状況において充足せず、対応する切削歯に対する急激な強い衝撃負荷が生じる場合がある。
【0086】
本発明によれば、合成ベクトル(→A)と回転軸上の垂線との間の実効角ρは、常に鋭角である。
【0087】
すべての実施形態において、実効角ρの絶対値は0度〜30度であることが好ましい。
【0088】
すべての実施形態において、最初に接触する瞬間の実効すくい角γSは0度〜5度であることが好ましい。
【0089】
冒頭で上述したように、第1の回転軸R1の周りにおける切削ツール100と、第2の回転軸R2の周りにおけるワークピース50,70の連動した回転移動を重ね合わせること、およびワークピース50,70に対する切削ツール100の直線的軸方向の移動により、図11A,図11B,図12A,図12Bに示すように、切削面111の軌道全体を形成するときにトラフまたはハッチ形状を構成する。対応のトラフは、これらの図面において参照符号80で図示されている。
【0090】
このトラフ80は、ワークピース50,70のギャップ52における切削歯111の1つの係合に対して、このギャップ52に配置された切削歯110の切削歯の軌道ポイントの全体から形成される。さらなる切削歯111が連続して係合すると(これは、切削ツール100の同一または別の切削歯110であってもよい。)、そして軸方向の供給およびギャップ52における軸方向の差動供給に起因して位置ずれした、1つのトラフが形成される。こうしてトラフ80は、切削加工において、ワークピース50の被切削部材の中を(少なくとも垂直方向に)段階的に進む。母線82は、2つのトラフの重なり部分の範囲を互いに対して区切り、トラフの位置は、切削ツールの直接的な連続する2つの係合の間の移動分だけ異なる。すなわち母線82は、2つのトラフの交差曲線を特徴付けるものである。無限に小さい軸方向の移動に対して、この交差曲線は、いわゆる母線に対応するものである。全体的な歯面ギャップ52は、ワークピース50の被切削部材の中を切削方向に進む母線の集合であるとも考えることができる。
【0091】
本発明によれば、切削歯111および切削歯の相対的な軌跡が軸からの距離によって変化するため、トラフ80の形状および大きさは半径方向の切り込みの間に変化する。この態様は、図11A,図11B,図12A,図12B,図13A,図13Bにおいては無視されている。より十分に特定するために、トラフは、本発明に係る切込方法においては、参照符号80*を付する。従来式の軸方向の切込方法においては、図10に示すように、実際常に同様なものである。
【0092】
半径方向の切込加工の際、トラフ80*は、ワークピース50に対して主に半径方向の移動の際、トラフ・ヘッディングの底部、好適にはトラフ80の最も深いポイントTPで案内されている。(第1の部分的移動(→A1)と、その後の切込移動(→A2)とからなる)設定に関するこの新規な態様により、切削ツール100の切削歯が、−15度〜−30度の明らかに負のすくい角、または−30度もしくはそれ以下の負のすくい角で、ワークピース50の被切削部材内に押し込まれることを回避することができる。本発明により回避されるトラフ80*の上記範囲は、図11A,図11B,図12B,図13A,図13Bにおいては、太い曲線ライン81を用いて簡略化して簡潔に図示している。実際には、トラフ80*は、ワークピース50,70の被切削部材の中により深くスライド移動して、曲線ライン81の関連領域は、完全な切込深さに至るまでより増大する。従来式の軸方向切込加工においては、曲線ライン81の関連領域は、トラフの境界83から増大し始めるが、本発明に係る半径方向の切込加工によれば、曲線ライン81は、トラフの底部(トラフ80*の最も深いところ)からトラフの境界83の方向へ増大し始める。
【0093】
本発明によれば、歯面ギャップを完全に形成するためには、特定可能な切込位置EPにおいて歯車システムの歯面幅に沿って、軸方向ではなく、図11Aに示すように、半径方向に切込み移動させることで足りる。切込位置EPは、母線82の位置で特定することが好ましく、図11A,図11B,図12A,図12B,図14においては、母線82は1つのラインで図示されている。図11Bにおいて、最初に接触する瞬間のトラフ80*の最も深いポイントTPがワークピース50または70の被切削部材のわずかに外側にあることが図示されている。この瞬間において、トラフ80*の最も深いポイントTPは、ワークピース50または70の前側端面54の前面に直接的に配置されている。
【0094】
すなわち本発明によれば、最初にチップ切除は、従来式の切削加工方法に比して、明らかに、より好ましいチップ切削状態で行われる。
【0095】
切削加工は複雑なプロセスを有するが、トラフ80に基づいて図示したように、切削ツール100の切削歯における切削状態は常に変化する。本発明によれば、最初の接触時や切込み工程の最初の段階(「押込み工程(plunging)」という)において、トラフ80の断面ができるだけ回避されるように、相対的に移動シーケンスが最適化される。
【0096】
すなわち一方では、切削ツール100が最初にワークピース50に接触するとき、領域81の回避が適用され、上述のように、適当な第1の部分移動(→A1)により、明らかに半径方向にライン形成される。
【0097】
他方では、歯面ギャップ52に対する十分な切込みすなわち押込み工程の際も同様に、際立った、または大きな負のすくい角で、切削ツールがワークピース50の被切削部材に入らないように注意する必要がある。その理由については、第2の部分的移動(→A2)が選択されると、押込み加工の端部で中間位置が達成され、この位置で母線82が形成すべきギャップ52の外側になるように第2の部分的移動(→A2)が行われる(図11Bと同様)。
【0098】
好適には、2つの部分的移動(→A1)および(→A2)を行っている際、不適当なチップ切削状況を回避し、ギャップ52に対する適正な切削加工が開始される前に、正確な中間位置に到達するように、装置のCNC制御移動を決定するために、この目的のためのポイントに対する正確な計算が行われる。
【0099】
図14は、ワークピース50の一部分を上から見たときの図であり、歯面ギャップ52を形成している間、トラフ80の状態をきわめて簡便な形態で図示したものである。すなわち図14は、適正な切削加工を示し、その後に修正された切込み手法が続く。図14に基づいて、供給方向VR、切削方向SR、切削歯111、および図案化した形態の切削面を認識することができる。供給方向VRは、ギャップの方向に延び、軸方向供給と、これに関連するワークピース50の差動供給とからなる。切削方向SRは、供給方向VRとは鋭角をなす。トラフ80のライン82は、上記のように、第2の切削軌跡の領域から第1の切削軌跡の領域を分離する。つまり、このライン82は、先に説明したように母線に対応するものである。図14から明らかなように、上記のとおり、切削歯111の切削ツール端面は、形成すべきギャップ52を貫通して移動する際、トラフ形状表面80を構成し、設定時および押込時において、本発明に係るチップのチップ形成が始まり、トラフポイントまで続くので、切削ツール111における押込み工程を実行する間、負のまたは少しばかりの負の逃げ角が当初から形成されず、際立ったまたは実質的な負の逃げ角が形成されない。
【0100】
図15は、切削加工中のワークピース50の一部を示すものであり、これにより切削歯111を有するバー・カッター(bar cutter)12が歯面ギャップ52の中で案内される様子を認識することができる。図15に示す切削ツール100(バー・カッター切削加工ホイール100という。)は、複数のバー・カッター120を受容するベース本体部を有する。ただし、ここでは、ただ1つのバー・カッター120を図示する。
【0101】
図16は、バー・カッター切削加工ホイール100を用いて、本発明に係る切削加工方法による、内側歯面を有する円筒形状のワークピース70を示す斜視図である。図16ではバー・カッター120のみを示す。バー・カッターが突出するベース本体部については省略している。ここでバー・カッター120は、図示しないベース本体部において、円錐状に配置されている。
【0102】
図17は、切削加工ホイールとして大規模ツール(massive tool)100を用いて、本発明に係る切削加工方法による、内側歯面を有する別の円筒形状のワークピース70を示す斜視図である。切削加工ホイール100は、図示のような複数の切削歯111を有する。切削加工ホイール100は一体に構成されることが好ましく、すなわち複数の切削歯111は、ディスク状ベース本体部の固定部品である。
【0103】
以下の段落において、本発明に係る切削加工についてより詳細に説明する。
【0104】
原理的には、切削ツール100とワークピース50,70との間の相対的な移動により、形成螺旋ギア伝達装置とも呼ばれる、螺旋ギア伝達装置を作製することができる。螺旋ギア伝達装置は、空間的なギア伝達装置である。
【0105】
したがって、切削加工方法の基本設計は、いわゆる計算ポイントAP(図2Bを参照されたい。)において、ギア伝達装置の設計として行われる。基本設計という用語は、切削ツール100およびワークピース50,70の空間的構成の定義および移動(運動力学)、ならびに例えば直径および傾斜角(基本的なツール構成)などの切削ツール100構造的な基本特性をも意味するものと理解される。
【0106】
計算ポイントAPにおいて、構造的および運動力学的な係合状態(engagement condition)は、可能な限り最適化される。係合状態は、計算ポイントAPからの距離が増大するほど変化する。この点に関し、切削加工はきわめて複雑な方法であり、切削加工端面が移動するとき、係合状態は連続的に変化する。しかし、変化する係合状態は、計算ポイントAPにおいて、係合状態を介して意図的に影響を与えることができる。
【0107】
したがって、計算ポイントAPにおける係合状態の正確な設計は、切削加工プロセスの設計において本質的な意義を有する。
【0108】
軸構成に関する用語:
軸構成を定義するために必要な用語がいくつかある。以下の表において、これらの用語を記述する。
【0109】
[表1]
【0110】
[表2]
【0111】
[表3]
【0112】
切削ツールとワークピースの接触に関する用語:
【0113】
切削ツール100とワークピース50,70の間の接触を記述するために必要な用語がいくつかある。次の表において、これらの用語を記述する。
【0114】
[表4]
【0115】
[表5]
【0116】
[表6]
【0117】
[表7]
【0118】
[表8]
【0119】
[表9]
【0120】
[表10]
【0121】
[表11]
【0122】
[表12]
【0123】
[表13]
【0124】
[表14]
【0125】
さらなる投影:
本発明を説明するために用いられるいくつかの投影がある。これらの投影は、以下の表で説明する。
【0126】
[表15]
【0127】
[表16]
【0128】
次式[1]は、非平面歯車システムに関する回転軸R1,R2の空間的構成を記述する角度関係を規定するものであり、個々のパラメータを変換する上で重要なものである。
【0129】
【数2】
【0130】
この一般化された構成において、軸の交角Σは、軸の実効交角Σeffと傾斜角δに分解され、軸の実効交角Σeffは、回転切削ツール100と回転するワークピース50,70との間の相対的な切削動作の形成を決定する量である。平坦な歯車システムに関し、軸の実効交角Σeffと傾斜角δは明確に定義されるが、上式[1]の関係は維持されない。
【0131】
本発明によれば、傾斜角δは、予め記述することができ、その絶対値は0度とは異なり、ツール基準平面すなわち切削ツール100の接触平面に対する傾き(2つの速度ベクトル(→v2),(→v1)がなすものであるが)は、負または正の値となる。したがって、本発明に関し、切削ツール100の傾斜(または傾き)がワークピース50,70に近づく傾斜、またはワークピース50,70から遠ざかる傾斜ということがある。ただし、この近づく傾斜または遠ざかる傾斜は任意的なものである。
【0132】
好適は、すべての実施形態において、軸の実効交角Σeffは、次の範囲に含まれる。
−60°≦Σeff<0、かつ0≦Σeff<60°
【0133】
本発明によれば、いわゆる修正切込方法に関するが、ワークピース50,70の切削加工に関連して用いられるものであり、この切削加工において、切削ツール100を用いて、ワークピース50,70に、外側歯車システムおよび内側歯車システムなどの回転対称的な周期的構造物を製造することができる。図11、図12A、および図12Bに示すように、修正切込方法は、とりわけ以下のステップを同時に協働した手法で実行することに特徴がある。この修正切込方法は、
・切削ツール100を第1の回転軸R1の周りで回転させ、これに連動してワークピース50,70を第2の回転軸R2の周りで回転させ、
・切削ツール100をワークピース50,70の方向の第1の半径方向移動成分により設定し、
・切削ツール100をワークピース50,70の方向の第2の半径方向移動成分により、好適には十分な深さまで切込み、少なくとも切込み時には、第1の回転軸R1は、第2の回転軸R2に対して捩れて(skew)延び、2つの回転軸R1,R2は、互いに対して捩れた状態で配置される。
【0134】
その後、回転する切削ツール100を切込み方向VRに相対的に供給移動させて、切削加工する間も含めて、回転するワークピース50,70に対し十分な深さ到達したところから開始し、第1の回転軸R1は、第2の回転軸R2に対して捩れて延び、2つの回転軸R1,R2は、互いに対して捩れた位置に配置される。
【0135】
好適には、少なくとも切込みの際には、負または正の傾斜角δが記述される。
【0136】
本発明によれば、すべての実施形態において、図15、図16、および図17に示すように、切削ツール100は、外側に突出した切削歯111の形態に形成された切削歯を含む切削歯を有する。切削歯111の切削歯は、傾斜した切削ツール100の前面に実質的に関連して形成されている。
【0137】
本発明によれば、すべての実施形態において、切削ツール100は、ディスク型形成カッタ、シャンク型(shank-type)形成カッタ、深カウンタボア型形成カッタ(たとえばDIN 3972,DIN 5480)などのさまざまな形成カッタを有する。すべての実施形態において、図18に示すように、切削ツール100と適正ツールスピンドル170の間に、アダプタ要素を配置することができる。
【0138】
好適には、すべとの実施形態において、切削ツール100は、円筒形のシェル形状を有するか、または切削ツール100とワークピース50,70との間の衝突を回避するように設計された衝突外形を有するベース形状を有する。
【0139】
図17に図示された切削ツール100は、形成カッタの形状を有するものである。ここでは大規模なツールに関し、切削歯111は切削ツール100の一部をなすものである。ここで切削ツール100は、25本の切削歯111を有し、そのうちの1つの切削歯が図17に符号を付して図示されている。切削ツール100のベース本体部は、円錐台状ディスクまたは円錐台状プレートの形状を有する。
【0140】
所望するレリーフ(起伏)角度を規定することに起因した運動学的な態様および条件の他、同様に、ワークピース50,70との整合性が重要な役割を果たす。フット円より大きい直径を有する一部が歯車システムまたは周期的構造物に追随し、歯車システムまたは別の周期的構造物の生産において、小さい切込みまたはオーバーランを許容する、ワークピース50,70が常に存在する。ここで図11に示す半径方向の切込みの際、軸方向の設定または国際特許出願公開第WO 2010/060733 A1に記載された重畳設定において、切込み領域のスペースをより小さくすることが要求されているため、本発明に係る方法は、特に有用に採用することができる。同様に、本発明は、小さいオーバーランのみを許容するワークピースに採用することができる。この場合、切削ツール100は、歯面間ギャップの最終形状に達した後に、半径方向に直接的に引き戻される。
【0141】
マシン200は、本発明に係る一連の設定、切込み、および切削加工を行うために設計されたものであり、軸R1,R2の連動操作、すなわち軸の動作の調整を実現するためのCNC制御ユニット201を有する。CNC制御ユニット201は、マシン200の一部分であり、外部から操作することができ、マシン200との固有の通信接続202を可能にするように設計されている。こうしたマシン200は、いわゆる「電気式歯車列(ギアトレイン:electronic gear train)」、すなわち「電気式または固有制御軸連結(electronic or control-specific coupling of axes)」を備え、内側歯面を含むパワー切削加工されたワークピース70に対して切削ツール100を相対的に移動させることを可能にするものである。切削ツール100とワークピース70とは連動し、作製段階において、切削ツール100とワークピース70とが相対的に移動することができ、これは螺旋ギア伝達装置の相対的な移動に対応するものである。電気式歯車列すなわち電気式または固有制御軸連結は、マシン200の少なくとも2つの軸の回転速度を同調させるものである。少なくともツールスピンドル170の回転軸R1は、ワークピーススピンドル180の回転軸R2と連結される。さらに、好適にはすべての実施形態において、ワークピーススピンドル170の回転軸R2は、方向R2の軸方向の供給と連結している。直線供給部203の垂直方向の直線的移動は、図18の双方向矢印204で図示されている。さらにワークピーススピンドル180は、プレート205とともに、双方向矢印207で示すように、スイベル軸SAに対して平行にかつ直線的に移動することができる。回転軸R2に平行に軸方向供給(軸方向移動:axial feed)が行われ、この軸方向移動は、直線的供給(垂直方向移動:linear feed)で形成される垂直移動成分204と、直線的移動(水平方向移動:linear movement)で形成される水平移動成分208とに分解される。さらにプレート205は、ワークピーススピンドル170およびワークピース70とともに、双方向矢印207で示すように、スイベル軸SAの周りに回転することができる。
【0142】
好適には、図18に示すような垂直的に配置構成されたマシン200が用いられる。こうした垂直的配置構成において、ワークピーススピンドル170とともに切削ツール100が、ワークピーススピンドル170とともにワークピース50,70の上方に設置されるか、その逆である。切込み工程および切削工程の間に形成されたチップは、重力の作用により下方へ落下するが、図示しないチップボードの上方などに取り出されるようにしてもよい。
【0143】
さらにマシン200は、本発明に係る修正設定切込方法のために設計されたものであり、正確に複雑な形状を有する運動力学的マシンの設定および軸の移動を実現するものである。好適には、すべての実施形態において、マシンは6つの軸を有する。そのうちの5つの軸についてはすでに説明した。6番目の軸として、ワークピース50,70に対する切削ツール100の直線的相対的移動を可能にする軸が考えられる。この直線的相対的移動は、双方向矢印208で示されている。
【0144】
すべての実施形態において、修正切込方法は、乾燥式または湿潤式に採用することができるが、この修正設定切込方法は乾燥式切削加工に利用されることが好ましい。
【0145】
修正切込方法の用途範囲は広範であり、きわめて広範な態様を有する回転対称周期構造物を生産する用途に採用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1: 切削ツール
2: ワークピース
4: 歯面ヘッド
5: 歯面ブレスト
6: 切削歯
6.1: 切削歯面
7: 歯面溝
8: ワークピース
9: 領域
10: 切削ツール
11: トラフ、ハッチ
12: 母線、形成ライン
13: 重要領域
20: 切削後のワークピース
21: 歯面
22: 歯面間ギャップ
23: 前側面
50: 切削後のワークピース
51: 歯面
52: 歯面間ギャップ
53: チップ
54: 前側面
70: (内側に歯面を形成した切削後の)ワークピース
80*: トラフ、ハッチ
81: 重要領域
82: 重要領域
83: トラフ端面
100: 切削ツール
111: 切削歯
120: バー・カッター
170: ツールスピンドル
180: ワークピーススピンドル
200: マシン
201: CNC制御ユニット
202: 固有の通信接続
203: 直線供給部
204: 垂直移動成分
205: プレート
206: 直線的シフト移動
207: 回転移動
208: 直線的相対移動成分
αkI: ヘッドカッタのリリーフ角
αk0: 構造的リリーフ角
A: 半径方向供給(半径方向移動)
→A: 半径方向供給ベクトル(半径方向移動ベクトル)
→A1: 第1の部分移動ベクトル(設定移動ベクトル)
→A2: 第2の部分移動ベクトル(押込みまたは切込み移動ベクトル)
AK: 交角
AP: 計算ポイント
BP: 接触ポイント
β1: ツールの傾斜角
β2: ワークピースの傾斜角
δ: 傾斜角
dW2: ローリング円
EP: 供給位置
→n: 接触平面垂線ベクトル
n1: ツールの回転速度
n2: ワークピースの回転速度
N1: 垂線
R1: ツールの回転軸(ツール軸)
R2: ワークピースの回転軸(ワークピース軸)
→r1: ツールの接触半径ベクトル
→r2:ワークピースの接触半径ベクトル
ρ: 鋭角
SA: スイベル角
Shx: ストローク動作
Sax: 軸方向供給
SD: 差動供給
Srad:半径方向供給
SR: 切削方向
Σeff:実効交角
Σ: 軸の交角
TP: 最深ポイント
vc: 切削速度の絶対値
→vc:切削速度ベクトル
v1: 速度ベクトルの絶対値
→v1:切削ツールの速度ベクトル
v2: ワークピースの速度ベクトルの絶対値
→v2:ワークピースの速度ベクトル
VR: 供給方向
ω1: R1の周りの回転
ω2: R2の周りの回転
ZB: 軸方向供給
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を含むワークピース(50,70)を切削加工する方法において、実際に切削加工を行う前に、
第1の回転軸(R1)の周りに切削ツール(100)を回転させるステップと、
第2の回転軸(R2)の周りにワークピースを連動して回転させるステップと、
ワークピース(50,70)を半径方向に供給移動させて(→A1)、最初に、切削ツール(100)をワークピース(50,70)に接触させるステップと、
切削ツール(100)がワークピースに最初に接触した時から、切削ツール(100)を半径方向に押圧移動させて(→A2)、ワークピースの所定の深さまで切込むステップとを有し、
少なくとも切り込むステップの間、2つの回転軸(R1,R2)が互いに対して捩れた位置に配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
所定の深さまで達した後、少なくとも切削ツール(100)で回転するワークピース(50,70)を切り込むステップの間、第2の回転軸(R2)の方向の軸方向前進と回転の差動前進とを含む前進移動を行い、
前進移動を行う間、2つの回転軸(R1,R2)が互いに対して捩れた位置に配置されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
切削ツール(100)は、少なくとも切込むステップの間、ワークピース(50,70)に向かう方向に傾斜するか、ワークピース(50,70)から遠ざかる方向に傾斜することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1、2、または3に記載の方法であって、
軸の実効交角(Σeff)が以下の範囲内に含まれることを特徴とする方法。
−60°≦Σeff<0°、かつ0°≦Σeff<60°
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の方法であって、
回転対称的で周期的な構造物は、ワークピース(50,70)の内側歯面を有する歯車システムまたはワークピース(50,70)の外側歯面を有する歯車システムを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
ワークピース(50,70)は、円筒形状のワークピースを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の方法であって、
切削ツール(100)がワークピース(50,70)に最初に接触するポイントが、ワークピースの前面と側面との間の間にある領域に配置されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の方法であって、
ワークピース(50,70)を切削する間、1回切削手法を採用することを特徴とする方法。
【請求項9】
切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を含むワークピース(50,70)を切削加工する装置(200)において、
切削ツール(100)を固定するためのツールスピンドル(170)と、
ワークピース(50,70)を固定するためのワークピーススピンドル(180)と、
第1の回転軸(R1)の周りにツールスピンドル(170)および切削ツール(100)を回転させるとともに、第2の回転軸(R2)の周りにワークピーススピンドルおよびワークピースを連動して回転させ、これらを連動して移動させるための数値制御駆動部とを備え、
装置(200)は、数値制御ユニット(201)を有するか、または数値制御ユニット(201)と接続可能であり、実際に切削加工を行う前に、
切削ツール(100)半径方向に供給移動させて、ワークピース(50,70)を所定の深さまで半径方向に押圧移動させ、
少なくとも押圧移動させている間、第2の回転軸(R2)に対して第1の回転軸(R1)を捩れた位置に配置することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、切削歯(111)の形態を有し、外側斜め方向に突出するように構成された切削歯を備えたことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、ディスク型形成カッタ、シャンク型(shank-type)形成カッタ、または深カウンタボア型形成カッタの形態を有することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置(200)であって、
数値制御ユニット(201)は、押圧移動の間、およびワークピース(50,70)に向かう方向に切削移動させるか、ワークピース(50,70)から遠ざかる方向に切削移動させる間、切削ツール(100)を傾斜させるように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
6つの軸を含むマシンに関することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、大規模ツールまたはバー・カッター切削ホイールに関することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
数値制御ユニット(201)は、請求項1〜8のいずれか1に記載の方法を実行するために設計されたことを特徴とする装置。
【請求項1】
切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を含むワークピース(50,70)を切削加工する方法において、実際に切削加工を行う前に、
第1の回転軸(R1)の周りに切削ツール(100)を回転させるステップと、
第2の回転軸(R2)の周りにワークピースを連動して回転させるステップと、
ワークピース(50,70)を半径方向に供給移動させて(→A1)、最初に、切削ツール(100)をワークピース(50,70)に接触させるステップと、
切削ツール(100)がワークピースに最初に接触した時から、切削ツール(100)を半径方向に押圧移動させて(→A2)、ワークピースの所定の深さまで切込むステップとを有し、
少なくとも切り込むステップの間、2つの回転軸(R1,R2)が互いに対して捩れた位置に配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
所定の深さまで達した後、少なくとも切削ツール(100)で回転するワークピース(50,70)を切り込むステップの間、第2の回転軸(R2)の方向の軸方向前進と回転の差動前進とを含む前進移動を行い、
前進移動を行う間、2つの回転軸(R1,R2)が互いに対して捩れた位置に配置されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
切削ツール(100)は、少なくとも切込むステップの間、ワークピース(50,70)に向かう方向に傾斜するか、ワークピース(50,70)から遠ざかる方向に傾斜することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1、2、または3に記載の方法であって、
軸の実効交角(Σeff)が以下の範囲内に含まれることを特徴とする方法。
−60°≦Σeff<0°、かつ0°≦Σeff<60°
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の方法であって、
回転対称的で周期的な構造物は、ワークピース(50,70)の内側歯面を有する歯車システムまたはワークピース(50,70)の外側歯面を有する歯車システムを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
ワークピース(50,70)は、円筒形状のワークピースを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の方法であって、
切削ツール(100)がワークピース(50,70)に最初に接触するポイントが、ワークピースの前面と側面との間の間にある領域に配置されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の方法であって、
ワークピース(50,70)を切削する間、1回切削手法を採用することを特徴とする方法。
【請求項9】
切削ツール(100)を用いて回転対称的で周期的な構造物を含むワークピース(50,70)を切削加工する装置(200)において、
切削ツール(100)を固定するためのツールスピンドル(170)と、
ワークピース(50,70)を固定するためのワークピーススピンドル(180)と、
第1の回転軸(R1)の周りにツールスピンドル(170)および切削ツール(100)を回転させるとともに、第2の回転軸(R2)の周りにワークピーススピンドルおよびワークピースを連動して回転させ、これらを連動して移動させるための数値制御駆動部とを備え、
装置(200)は、数値制御ユニット(201)を有するか、または数値制御ユニット(201)と接続可能であり、実際に切削加工を行う前に、
切削ツール(100)半径方向に供給移動させて、ワークピース(50,70)を所定の深さまで半径方向に押圧移動させ、
少なくとも押圧移動させている間、第2の回転軸(R2)に対して第1の回転軸(R1)を捩れた位置に配置することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、切削歯(111)の形態を有し、外側斜め方向に突出するように構成された切削歯を備えたことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、ディスク型形成カッタ、シャンク型(shank-type)形成カッタ、または深カウンタボア型形成カッタの形態を有することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置(200)であって、
数値制御ユニット(201)は、押圧移動の間、およびワークピース(50,70)に向かう方向に切削移動させるか、ワークピース(50,70)から遠ざかる方向に切削移動させる間、切削ツール(100)を傾斜させるように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
6つの軸を含むマシンに関することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
切削ツール(100)は、大規模ツールまたはバー・カッター切削ホイールに関することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか1に記載の装置(200)であって、
数値制御ユニット(201)は、請求項1〜8のいずれか1に記載の方法を実行するために設計されたことを特徴とする装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−882(P2013−882A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−138335(P2012−138335)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(596043494)クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138335(P2012−138335)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(596043494)クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]