説明

高分子化合物

【課題】乳濁液の安定性を高め、温度変化による乳濁液の流動性の変化を抑えることができる高分子化合物を提供する。
【解決手段】(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、(B)ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物、及び(C)ロジンアミン化合物を導入する。(B)及び(C)の合計量は、高分子化合物全量に対して、重量比率で50重量%以上99重量%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳濁液の安定剤として好適な高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
乳濁液は、接着剤、被覆剤、洗浄剤、繊維、織物加工、紙・皮革、日用品、化粧品、薬剤、食品等の広範な分野に亘って、広範に使用されている。
【0003】
このような乳濁液は、例えば、水媒体に有機オイルや有機樹脂が分散したもの(O/W型)や、有機媒体に水や水性樹脂が分散したもの(W/O型)、あるいは、水媒体に水性樹脂が分散したもの(W/W型)、有機媒体に有機オイルや有機樹脂が分散したもの(O/O型)等が存在し、各種製造方法、各種用途により使いわけることができる。
【0004】
このような乳濁液の製造、保存にあたっては、例えば、界面活性剤や安定剤等を用いて乳濁液の安定化を図っており、乳濁液を簡便に製造する手法や、乳濁液を長期に亘って保存する方法等が提案されている。(特許文献1〜5参照。)
【0005】
【特許文献1】特表平11−514407号公報
【特許文献2】特開2000−4805号公報
【特許文献3】特開2002−105106号公報
【特許文献4】特開2003−164754号公報
【特許文献5】特開2003−230804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、通常の界面活性剤や安定剤を用いた場合、温度変化によって、乳濁液の安定性が変化するという場合がある。つまり、温度変化によって界面活性剤や安定剤の作用が変化するおそれがあり、例えば、乳濁液の流動性等が変化してしまう場合があった。このような問題は、例えば、夏場や冬場における乳濁液の流動性の違いにより、乳濁液が製造できなかったり、乳濁液が長期に亘って保存できないといった問題を引き起こす原因となりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の問題点を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、(B)ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物及び(C)ロジンアミン化合物を特定量導入した高分子化合物が、乳濁液の安定性を高め、温度変化による乳濁液の流動性の変化を抑えることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、
(B)ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物、及び
(C)ロジンアミン化合物が導入され、
(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で50重量%以上99重量%以下であることを特徴とする高分子化合物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高分子化合物は、乳濁液の安定性を高め、温度変化による乳濁液の流動性の変化を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその最良の形態に基づき詳細に説明する。
【0011】
本発明の高分子化合物は、(A)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が2以上のイソシアネート化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)に、(B)ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)ロジンアミン化合物(以下、「(C)成分」ともいう。)が導入されたことを特徴とするものである。
【0012】
(A)成分は、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が2以上(好ましくは2以上10以下、さらに好ましくは2以上5以下)であることを特徴とする。
1分子中に含まれるイソシアネート基の平均官能基数が2以上であることにより、(A)成分に、(B)成分、(C)成分を導入しやすくなり、乳濁液の流動性を改質するとともに、温度変化による流動性の変化を抑えることができる。また、高分子化合物自体も製造しやすいという利点を有する。イソシアネート基の平均官能基数が2より少ない場合、(B)成分、(C)成分が導入されにくく、求める物性が得ることが困難となる。またイソシアネート基の平均官能基数が多すぎる場合、分岐が多すぎる構造となり、ゲル化する場合がある。
【0013】
(B)成分は、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物であり、主に、水への親和性を高める働きがある。
【0014】
(C)成分は、ロジンアミン化合物であり、主に、乳濁液の流動性を調整する働きがある。
【0015】
本発明では、このような(B)成分、(C)成分を、(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で50.0重量%以上99.5重量%以下(好ましくは80.0重量%以上99.0重量%以下)で導入する。
また、(B)成分と(C)成分の混合比率は、特に限定されないが、重量比率で(B)成分:(C)成分が0.1:99.9〜99.9:0.1、さらには、0.5:99.5〜99.5:0.5であることが好ましい。
【0016】
(A)成分としては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
等、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
【0017】
本発明では、特に、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等、、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と共重合可能な単量体との共重合体等を用いることが好まししい。
【0018】
(B)成分は、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物である。
(B)成分としては、例えば、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリトリメチレングリコール類、ポリテトラメチレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリテトラメチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリテトラメチレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリテトラメチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル類、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリテトラメチレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレングリコールソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリテトラメチレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリテトラメチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリテトラメチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類ポリテトラメチレングリコール化ジエチレントリアミン類等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジメチルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエステル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコール化ペンタメチレンヘキサミン等が挙げられ、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、トリメチレンオキサイド鎖、テトラメチレンオキサイド基などをブロックまたはランダムに2種以上繋いだもの等が挙げられる。特に、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類が好ましい。
また、(B)成分の平均分子量は、好ましくは500以上50000以下、さらに好ましく1000以上30000以下、より好ましくは2000以上15000以下とすることが好ましい。
【0019】
(C)成分は、ロジンアミン化合物であり、(C)成分中のロジン骨格が、乳濁液中の結合材等に作用し、流動性を調整する働きがある。
(C)成分としては、ロジン類、たとえばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、水添ロジン、ホルムアルデヒド変性ロジン等またはこれらを不均化して得られる不均化ロジンを原料として、ニトリル化反応および水素化反応を順次に行うことにより製造することができる。
なお、ロジンアミンの製法は米国特許第2486183号、米国特許第2417792号、米国特許第2534297号、米国特許第2787637号等に記載されている。ロジンアミンの具体例としては、例えば、アビエチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミン、テトラヒドロアビエチルアミン、ピマリルアミン、ジヒドロピマリルアミン、テトラヒドロピマリルアミン、イソピマリルアミン、ジヒドロイソピマリルアミン、テトラヒドロイソピマリルアミン、ココジメチルアミン等、また、米国ハーキュレス社製「アミンD」等が挙げられる。
【0020】
本発明の高分子化合物は、上記(A)成分に、上記(B)成分、(C)成分を導入することにより得ることができる。具体的には、例えば、(A)成分と(B)成分を混合し反応させ、次いで(C)成分を混合し反応させる方法、(A)成分と(C)成分を混合し反応させ、次いで(B)成分を混合し反応させる方法、(A)成分と(B)成分、(C)成分を一括して混合し反応させる方法等が挙げられる。反応温度としては、50℃〜110℃程度、またそれぞれ反応時間としては1時間〜24時間程度であればよい。
【0021】
本発明では、(B)成分、(C)成分以外の化合物を(A)成分に導入することもできる。このような化合物としては、例えば、
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール類、
1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール類、
キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール類等の単量体グリコール、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール等の高分子量ポリオール類、
乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ひまし油脂肪酸、水添ひまし油脂肪酸、δ−ヒドロキシ吉草酸、ε−ヒドロキシカプロン酸、P−ヒドロキシエチレンオキシカルボン酸、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸、2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、11−オキシヘキサデカン酸、2−オキシドデカン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グリセリン酸、メバロン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸等の等のヒドロキシル基及びカルボキシル基含有化合物、
ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール等のヒドロキシル基及びアミノ基含有化合物、
セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類、
等が挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等のジオール、又はトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフエノールA、ビスフエノールF等との重縮合反応によって得られるもの等が挙げられる。
【0023】
ポリエーテルエステルポリオールとしてはエーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸またはそれらの無水物とを反応させるか、またはポリエステルグリコールにアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートが挙げられる。
【0024】
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチルカーボネートル、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られる。この多価アルコールとしては例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げられる。
【0025】
アミノ基を含有する化合物としては、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン等の脂肪族アミノ基含有化合物;
メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、DBU等の脂環族アミノ基含有化合物;
メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミノ基含有化合物;
キシレンジアミン、キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミノ基含有化合物;
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン等のエーテル結合を有するアミノ基含有化合物;
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;
ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;
2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;
ポリオキシプロピレン系ジアミン、ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;
上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミン、アルジミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等、
また、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン等の1級アミノ基含有化合物;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有化合物;
等が挙げられる。
【0026】
本発明の高分子化合物の混合量としては、特に限定されないが、乳濁液全量に対し、0.01重量%〜10重量%(好ましくは0.03重量%〜8重量%、さらに好ましくは0.05重量%〜6重量%)程度であればよい。
本発明の高分子化合物は、O/W型、W/O型、W/W型、O/O型の乳濁液等特に限定されず適用することができ、特にO/W型の乳濁液に好適に適用することができる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0028】
(実施例1)
表1に示す原料を用いて、次のような方法で高分化合物を得た。
酢酸エチルを800重量部、イソシアネート化合物1を7.7重量部、ポリアルキレンオキサイド基含有化合物1を185.7重量部、ロジンアミン1を6.6重量部、触媒としてジブチルスズジラウレートを0.08重量部用い、窒素雰囲気下、80℃にて、5時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにて酢酸エチルを除き、水置換し、高分子化合物を得た。得られた高分子化合物について、次の試験を行った。
【0029】
(試験)
―流動性変化1―
アクリルスチレンエマルション(不揮発分50%)(以下、「溶液1」ともいう。)と、
このアクリルスチレンエマルション(不揮発分50%)100重量部に高分子化合物1重量部を均一に混合した混合溶液(以下、「溶液2」ともいう。)の流動性をBH形粘度計(回転数20rpm)を用いて、温度23℃の環境下にて、それぞれ測定した。
流動性変化1では、高分子化合物の添加前後の流動性変化(〔溶液2〕/〔溶液1〕)を算出し、評価した。評価は、流動性変化が10倍以上となったものを「◎」、5〜10倍のものを「○」、5倍未満のものを「×」とした。結果を表2に示す。
【0030】
―流動性変化2―
流動性変化1で得られた溶液2について、0℃、40℃の環境下にて流動性をそれぞれ測定した。
流動性変化2(0℃)では、23℃での流動性に対する、0℃での流動性変化(〔溶液2(0℃)〕/〔溶液2(23℃)〕)を算出し、評価した。
流動性変化2(40℃)では、23℃での流動性に対する、40℃での流動性変化(〔溶液2(40℃)〕/〔溶液2(23℃)〕)を算出し、評価した。
流動性変化2(0℃)、流動性変化2(40℃)の評価は、流動性変化が0.9以上1.1以下であるものを「◎」、0.8以上1.2以下であるものを「○」、0.8未満または1.2超のものを「×」とした。結果を表2に示す。
【0031】
―流動性変化3―
溶液2の流動性をBH形粘度計(回転数20rpm及び2rpm)を用いて、温度23℃の環境下にて、それぞれ測定した。
流動性変化3では、回転数20rpmでの測定値に対する回転数2rpmでの測定値の倍率(流動性変化3)を算出し、評価した。評価は、この値が5以上であるものを「◎」、4以上5未満であるものを「○」、4未満のものを「×」とした。結果を表2に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
(実施例2、比較例1)
表2に示す組成比に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、高分子化合物を得た。得られた高分子化合物について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、
(B)ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物、及び
(C)ロジンアミン化合物が導入され、
(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で50重量%以上99重量%以下であることを特徴とする高分子化合物。



【公開番号】特開2007−291374(P2007−291374A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89883(P2007−89883)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】