説明

高分子基材と無機基材の接着方法

【課題】生物に対する影響が少なく、かつ、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことのない、生物実験用高分子−無機複合材の作製に好適な高分子基材と無機基材の接着方法、及び該方法により得られる生物実験用容器の提供。
【解決手段】高分子基材と無機基材を、接着剤を使用して接着する方法において、前記接着剤が、前記高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらの誘導体を有効成分とすることを特徴とする、高分子基材と無機基材の接着方法、及び該接着方法を用いて作製されたことを特徴とする生物実験用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物に対する影響が少なく、かつ、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことのない、高分子基材と無機基材の接着方法、及び該方法により得られる生物実験用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学技術分野の進歩に従い、バイオ分野においても、共焦点レーザー顕微鏡、蛍光顕微鏡等を用いて、細胞や生体分子を直接観察する手法が盛んに行われている。通常、このような光学的観察には、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子基材製培養容器の底部の全部又は一部を、カバーガラスに交換したガラスボトムディッシュ等が使用されているが、このようなガラスボトムディッシュは、高分子基材製培養容器とカバーガラスを接着させることにより作製される高分子−無機複合材である。
【0003】
従来、ポリスチレン等の高分子基材とガラス等の無機基材との接着には、熱溶着、超音波振動による接触面の熱溶着、接着剤を用いた接着等がなされている。一方で、バイオ分野において使用される生物実験用容器には、機械的強度に加え生物や生体分子等に対する影響が少ないこと、培養培地や測定溶媒中の塩や水分等に耐性があることや、アルコール等の滅菌処理に耐性があること等の特性を有することが要求される。さらに、ガラスボトムディッシュ等の光学的観察に供される生物実験用容器には、高い透明性等の光学的特性を有することも必要である。したがって、光学的観察用である生物実験用容器を作製するための高分子基材と無機基材との接着方法は、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことのない方法であって、得られた接着物がこのような特性を十分に満たすものであることが重要である。
【0004】
ここで、熱溶着は、生体に影響を与える溶剤等を用いることなく高分子基材と無機基材を接着することができるが、高分子基材や無機基材が加熱により変形を生じ易い、と言う問題がある。一方で、超音波振動による接触面の熱溶着は、熱溶着よりも変形を生じ難く、有効な方法であるものの、超音波処理のための音響工具等の大掛かりな装置を必要とするという問題がある。このため、バイオ分野において使用される光学的観察にも適した高分子−無機複合材の作製においては、一般的には、トルエン等の溶剤による溶着や、シリコーン系接着剤を用いた接着等がなされている。高分子−無機複合材である生物実験用容器の作製に用いられるシリコーン系接着剤には、幾つか種類があるが、概ね空気中の水分と接触することによりゴム状の弾性体を形成して高分子基材と無機基材とを接着させるものであり、耐熱性、耐寒性、耐水性、高絶縁性という特徴を有する。
【0005】
その他、高分子基材と無機基材のように、性質の異なる基材同士を接着させるための接着剤が多く開示されている。このような接着剤として、例えば、ガラスと高分子基材との接着剤として、(1)アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル(但し、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルはエポキシ基を含有しない。)からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーに由来する繰り返し単位80〜99重量%と、エポキシ基含有モノマーに由来する繰り返し単位1〜20重量%とを含有するエポキシ基含有アクリル樹脂を主成分とするガラス用接着剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−2514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
溶剤による接着は、溶剤を塗布することにより高分子基材を膨潤させた後、再度硬化させることにより、高分子基材と無機基材とを溶着させるが、硬化のために、十分な乾燥時間を要する。また、トルエン等の溶剤は、粘度が低く、塗布性が良好であるが、接着部位以外にも広がり易く、広がった溶剤により基材表面の平滑度が低下するという問題もある。さらに、高分子基材を溶解させることから、機械的な強度や光学的特性が損なわれる可能性もある。
【0007】
一方、有機材料とガラスとの接着に用いられるシリコーン系接着剤としては、室温で硬化させることができるRTV1液式のシリコーン接着剤が汎用されているが、脱酢酸型では硬化時に酢酸が放出されるため、安定的に硬化させるためには十分な時間を要する。また、作製された生物実験用容器は、潜在的に、使用時に接着層から酢酸が漏出して接触する試料のpHを低下させる場合がある。特に、大腸菌等の菌類の培養においては、培養液のpHは重要であり、このため、このようなpHへ影響する場合がある接着剤を用いて作製された生物実験用容器を用いることは好ましくない。
【0008】
さらに、シリコーン系接着剤は粘度が高く、接着面が広い場合には、均一な塗布が困難であり、かつ、内部での硬化が不十分となり易いという問題もある。硬化が不十分な部位は白濁して不透明になり易く、透過率が低下してしまうため、光学的観察用である生物実験用容器に適しているとは言い難い。また、例え硬化が十分に行われた場合であっても、本質的に無色ではなく、さらに高分子基材と無機基材との間に、屈折率が異なる接着剤層が形成されるため、高分子基材と無機基材とを溶着した場合よりも光学的特性が低下してしまう。
また、上記(1)のガラス用接着剤は、シリコーン系接着剤とは異なり、pHに対する影響は少ないものの、高分子基材と無機基材との間に接着剤層が形成されることには変わりはない。
【0009】
本発明は、生物に対する影響が少なく、かつ、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことのない、生物実験用高分子−無機複合材の作製に好適な高分子基材と無機基材の接着方法、及び該方法により得られる生物実験用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、接着剤として、高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらモノマーの誘導体または誘導体を含むオリゴマーを用いて、該接着剤を高分子基材と一体となるように重合させることにより、本来有する光学的特性を損なうことなく、高分子基材と無機基材とを接着し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)高分子基材と無機基材とを、接着剤を使用して接着する方法において、前記接着剤が、前記高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらの誘導体を有効成分とすることを特徴とする、高分子基材と無機基材の接着方法、
(2)前記高分子基材がラジカル重合産物であることを特徴とする前記(1)記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(3)前記高分子基材がビニル樹脂基材であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(4)前記モノマーがラジカル重合性モノマーであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(5)前記高分子基材がポリスチレンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(6)前記モノマーがスチレンであることを特徴とする前記(1)又は(4)記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(7)(a)ポリスチレン基材の接着面及び/又は無機基材の接着面に、スチレンを有効成分とする接着剤を塗布する工程と、(b)工程(a)の後、前記ポリスチレン基材の接着面と、前記無機基材の接着面を密着させる工程と、を有することを特徴とする、前記(5)又は(6)記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(8)さらに、(c)工程(b)の後、密着させた基材から前記接着剤を除去する工程と、を有することを特徴とする、前記(7)記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(9)前記接着剤が、重合防止剤を含有していることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(10)前記無機基材がガラス基材又はセラミックス基材であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(11)前記高分子基材がポリスチレン基材であり、前記無機基材がガラス基材であることを特徴とする前記(5)〜(10)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法、
(12)前記(1)〜(11)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製されたことを特徴とする生物実験用容器、
(13)前記(1)〜(11)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製されたことを特徴とする細胞培養用容器、
(14)前記(1)〜(11)のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製され、高分子基材からなる容器底部と、透明な無機基材からなる観察部とを有することを特徴とする細胞観察用容器、
を、提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高分子基材と無機基材の接着方法は、接着剤として、高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらの誘導体を用いることにより、塗布した接着剤と高分子基材を重合反応により一体化して、無機基材と高分子基材を接着させる方法である。本発明の高分子基材と無機基材の接着方法は、超音波振動による接触面の熱溶着等とは異なり、大掛かりな装置を必要とせず、簡便に高分子基材と無機基材とを接着させることができる。接着に重合反応を利用しているため、硬化に水分を要するシリコーン系接着剤と異なり、接着面が広い場合であっても、接着不十分な部位が生じ難く、機械的な強度に優れているのみならず、光学的特性が損なわれる恐れも小さい。かつ、作製された高分子−無機複合材から、酢酸等の生物や生体成分等に影響を及ぼす物質が放出される恐れも小さい。また、接着剤層と高分子基材が一体化されるため、作製された高分子−無機複合材は、水分や塩、アルコール等に対しても高い耐性を有している。
このため、本発明の接着方法は、生物実験用容器として用いられる高分子−無機複合材の作製に好適な接着方法である。
さらに、作製された高分子−無機複合材は、高分子基材と無機基材との間に、屈折率が異なる接着剤層が形成されないため、従来の接着剤を用いて接着された高分子−無機複合材よりも光学特性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の高分子基材と無機基材の接着方法は、高分子基材と無機基材とを、接着剤を使用して接着する方法であって、該接着剤が、該高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらの誘導体(以下、モノマー等、ということがある。)を有効成分とすることを特徴とする。接着剤として、高分子基材の構成成分であるモノマー等を用いることにより、接着剤中のモノマー等と、高分子基材の接着面の高分子とを重合させて一体化して無機基材と接着させるものである。なお、モノマー又はオリゴマーの誘導体とは、モノマーの誘導体や、該誘導体を含むオリゴマーを意味する。
【0014】
本発明の接着方法において、オリゴマーとは、2〜100個程度、好ましくは2〜20個程度のモノマーが重合したものを意味する。モノマー又はオリゴマーの誘導体とは、モノマー中、重合に寄与しない部位が他の原子団に置換されているものである。例えば、スチレンの誘導体としては、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸、アミノスチレン等がある。
【0015】
本発明の接着方法に供される高分子基材の高分子は、樹脂等のモノマーが重合することにより形成される高分子であれば、特に限定されるものではないが、ビニル化合物であることが好ましく、ラジカル重合により重合する高分子であること、すなわち、ラジカル重合性モノマーを構成成分とするラジカル重合産物であることがより好ましく、下記の接着剤の有効成分として好ましいものとして挙げられたモノマー等を、少なくとも構成成分の1つとする高分子であることがさらに好ましい。
【0016】
具体的には、ポリスチレン、スチレンとその誘導体との共重合化合物、スチレン又はその誘導体と他のビニル化合物との共重合化合物等のスチレン系樹脂や、メタクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとその誘導体との共重合化合物、メタクリル酸エステル又はその誘導体と他のビニル化合物との共重合化合物等のアクリル樹脂等が挙げられる。このような樹脂として、例えば、アクリロニトリルとスチレンとの共重合化合物であるAS樹脂、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合化合物であるABS樹脂、メタクリル酸メチルの共重合化合物であるPMMA樹脂等が挙げられる。中でも、ポリスチレン、スチレンとその誘導体との共重合化合物、スチレン又はその誘導体と他のビニル化合物との共重合化合物、PMMA樹脂、メタクリル酸メチルとその誘導体との共重合化合物、メタクリル酸メチル又はその誘導体と他のビニル化合物との共重合化合物、スチレン又はその誘導体とメタクリル酸メチル又はその誘導体との共重合化合物であることが好ましく、ポリスチレン、スチレンとその誘導体との共重合化合物、PMMA樹脂、メタクリル酸メチルとその誘導体との共重合化合物、スチレン又はその誘導体とメタクリル酸メチル又はその誘導体との共重合化合物であることがより好ましい。
【0017】
また、本発明の接着方法に供される高分子基材は、例えば、ポリスチレンのような1種類の高分子からなるものであってもよく、2種類以上の高分子からなるポリマーアロイであってもよい。ポリマーアロイとしては、例えば、変性PPE{ポリフェニリン・エーテル(PPE)とポリスチレン(PS)}、PC/ABSアロイ{ABS樹脂とポリカーボネート(PC)}、PBT/ABSアロイ{ABS樹脂とポリブチレンテレフタレート(PBT)}、PA/ABSアロイ{ABS樹脂とポリアミド(PA)}、PC/PSアロイ{ポリスチレン(PS)とポリカーボネート(PC)}等が挙げられる。
【0018】
生物実験用容器として用いられる高分子−無機複合材を作製する場合には、より安全であり、かつ汎用されているため、高分子基材の高分子としては、ポリスチレン、スチレンとその誘導体との共重合化合物であることが好ましい。一方、光学観察用として用いられる高分子−無機複合材を作製する場合には、透過性が高いため、ポリスチレン、PMMA樹脂であることが好ましい。すなわち、光学観察用として用いられる生物実験用容器として用いられる高分子−無機複合材を作製する場合には、高分子基材の高分子としては、ポリスチレンが最も好ましい。
【0019】
本発明の接着方法に供される高分子基材は、高分子の他に添加剤等を含んでいてもよい。該添加剤として、例えば、着色剤、可塑剤、帯電防止剤等がある。
【0020】
本発明の接着方法に供される高分子基材としては、上記高分子からなる基材であれば、特に限定されるものではなく、適宜調製した基材であってもよく、市販のいずれの基材を用いてもよい。また、市販の高分子基材からなる成形品を、そのまま用いてもよく、適宜変形させて用いてもよく、所望の形状の金型に溶融した高分子基材を流し込み、常法により作製した成形品であってもよい。このような高分子基材としては、例えば、市販されている上記で挙げた種類の樹脂製の生物実験用容器等が挙げられる。中でも、汎用されているポリスチレン製の細胞培養容器であることが好ましい。特に顕微鏡等の光学的観察に汎用されている、ポリスチレン製の3.5cmディッシュや、T25フラスコ、T75フラスコ等のカルチャーボトル、24ウェルプレート、48ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレート等のマルチウェルプレート等であることが好ましい。また、これらの細胞培養容器等の一部を適宜変形させたものであってもよく、例えば、底部の全部又は一部を切り取ったものであってもよい。
【0021】
本発明において用いられる接着剤は有効成分として、接着対象である高分子基材の構成成分であるモノマー等を含むものである。該高分子基材が2以上の構成成分からなる共重合化合物からなる場合には、該構成成分のうちの1種類であればよい。また、該高分子基材が2種類以上の共重合化合物からなる場合には、そのうち1種類の共重合化合物の構成成分のうちの1種類であればよいが、
【0022】
接着剤の有効成分であるモノマー等としては、ビニル基を有するモノマー等であることが好ましく、ビニル基を有するラジカル重合性モノマー等であることがより好ましい。本発明においては、高分子基材が変形等の影響を受けない条件で、該高分子基材の接着面の高分子と接着剤中のモノマー等とを重合させることが好ましく、ラジカル重合は、常温等の通常の環境下で重合させることができるためである。
【0023】
該接着剤の形状としては、液状であることが好ましい。液状であることにより、高分子基材の接着面や無機基材の接着面へ、容易に塗布することができるためである。したがって、該接着剤の有効成分としては、常温付近にて液体のモノマー等であることが好ましい。特に、該接着剤の有効成分としては、常温付近にて液体であり、かつ揮発性の高いモノマーであることが好ましい。易揮発性であることにより、接着面以外の部分に塗布された接着剤を、接着物から簡便かつ効率よく除去することができるためである。
【0024】
具体的には、本発明において用いられる接着剤の有効成分としては、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらのオリゴマー、並びにそれらの誘導体であることが好ましい。メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルとしては、揮発性が高いことから、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等であることが好ましい。本発明においては、汎用性が高いことから、特に、スチレン、スチレンオリゴマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルオリゴマー、及びこれらの誘導体であることがより好ましい。
【0025】
本発明において用いられる接着剤の有効成分としては、1種類のモノマー等であってもよく、2種類以上のモノマー等であってもよい。例えば、スチレンとスチレンオリゴマーを有効成分としてもよく、スチレンとメタクリル酸メチルを有効成分としてもよい。
また、本発明において用いられる接着剤は、本発明の効果を阻害しない限り、高分子基材の構成成分以外のビニル基を有するラジカル重合性モノマーを有していてもよい。例えば、接着対象である形成品の高分子基材がポリスチレンである場合に、スチレンとメタクリル酸メチルを含む接着剤を用いてもよい。
【0026】
本発明において用いられる接着剤は、本発明の効果を阻害しない限り、モノマー等以外の成分を含有していてもよい。例えば、重合防止剤を含有していてもよい。予め重合防止剤を含有している接着剤を用いることにより、塗布後接着するまでの時間的な制約や、ハンドリングの際の制約を少なくすることができる。このため、作業性が良好となり、接着により製造される高分子−無機複合材の歩留まりを向上させることができる。接着剤に添加される重合防止剤としては、公知のラジカルトラップ能を有する化合物の中から、適宜選択して用いることができる。このようなラジカルトラップ能を有する化合物としては、例えば、tert−ブチルカテコール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、p−ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、フェノチアジン、アルキルカルバミン酸銅等の銅化合物、マンガン化合物等がある。
【0027】
本発明の接着方法に供される無機基材の無機物質は、通常基材として用いられる無機物質であれば、特に限定されるものではないが、ガラス、セラミックス、金属等であることが好ましい。光学観察用として用いられる高分子−無機複合材を作製する場合には、透明性の高い無機基材を用いることが好ましく、自家蛍光が低いため、ガラス基材であることがより好ましい。本発明において用いることのできるガラスとしては、種々の組成のものを適用することができる。特に、二酸化ケイ素を主成分とするものは、化学的な耐性が高く、透明性も高いため好ましい。このようなガラスとしては、例えば、ソーダガラス、ソーダライムガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、例えば、パイレックス(登録商標)に代表されるホウケイ酸塩ガラスも好ましい。本発明において用いることのできるセラミックスとしても、種々の組成のものを適用することができる。例えば、多結晶のアルミナを焼結して作成した透光性セラミックス「ルミセラ」(登録商標)や、クオーツ等の天然又は合成透明単結晶等を用いることもできる。
【0028】
本発明の接着方法に供される無機基材としては、特に限定されるものではなく、適宜調製した基材であってもよく、市販のいずれの基材を用いてもよい。また、市販の無機基材からなる成形品を、そのまま用いてもよく、適宜変形させて用いてもよく、所望の形状の金型に溶融した無機基材を流し込み、常法により作製した成形品であってもよい。光学特性を高めるためには、研磨したものがより好ましい。このような無機基材としては、例えば、市販されているガラスプレート、セラミックスプレート、金属プレート等が挙げられる。これらのプレートを、所望の形状に適宜カットしたものを用いてもよい。光学観察用として用いられる高分子−無機複合材を作製する場合には、無機基材からなる成形品として、顕微鏡観察用等に汎用されているスライドガラス、カバーガラス等を用いることが好ましい。
【0029】
また、本発明の接着方法に供される無機基材は、高分子基材との接着面以外の面を、汎用されているコーティング剤等でコートされているものであってもよい。例えば、無機基材として市販のカバーガラスを用いる場合に、接着面とは反対の面がポリ−L−リジン等の細胞の接着性を改善するために通常用いられる物質によりコートされているカバーガラスであってもよく、金属蒸着されているカバーガラスであってもよい。
【0030】
具体的には、高分子基材の接着面と無機基材の接着面のいずれか一方又は両方に、接着剤を塗布し、両者の接着面を密着させることにより、簡便に両基材を接着させることができる。また、密着させた状態で圧力をかけることにより、両基材の密着力が高くなるため、より迅速かつ効率よく接着させることができる。
【0031】
各接着面への接着剤の塗布方法は、特に限定されるものではなく、種々のコーティング方法により塗布することができる。該塗布方法として、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート(浸漬)法、刷毛塗り法等がある。その他、高分子基材の接着面と無機基材の接着面を密着させた後、接着面同士の隙間に接着剤を注入してもよい。この場合にも、表面張力により接着剤が接着面の全面に満遍なく行き渡るためである。
【0032】
無機基材は、接着前に予め接着面をアルカリや酸、水等でよく洗浄しておくことが好ましい。このような洗浄処理により、接着面にOH基が生成し、無機基材に対する接着剤の濡れを均一にし、接着力を均一にすることができるためである。
【0033】
例えば、スチレンやメタクリル酸メチル等のモノマー等を有効成分とする接着剤を用いて、これらのモノマー等を構成成分として有する高分子基材と無機基材とを接着する場合には、まず、工程(a)として、高分子の接着面及び/又は無機基材の接着面に、接着剤を塗布した後、工程(b)として、該高分子基材の接着面と、該無機基材の接着面を密着させることにより、簡便に接着を行うことができる。余剰な接着剤が存在する場合には、工程(b)の後、さらに工程(c)として、密着させた基材から前記接着剤を除去すればよい。接着剤が揮発性の高いものである場合には、接着面では接着剤中の有効成分であるモノマー等が重合反応し、接着効果を発揮するが、接着面以外に塗布された接着剤は、放置等により容易に除去することができる。また、送風や減圧等により除去することも可能である。このように、アクリル系やシリコーン系等の一般的な接着剤と異なり、接着面以外の無機基材表面に接着剤が付着した場合にも、各基材に何ら変化を起こすことはなく、また、接着後に洗浄操作を特別に行わずとも、過剰の接着剤を簡便に除去することができる。
【0034】
本発明の接着方法においては、接着対象である高分子基材中の高分子の構成成分であるモノマー等と、接着剤の有効成分のモノマー等が同一種類であることが好ましい。この場合には、重合により一体化した接着剤層と高分子基材の組成が同一となり、接着により得られた高分子−無機複合材には、高分子基材と無機基材との間に、屈折率が異なる接着剤層が形成されず、光学特性に優れているためである。特に、高分子基材としてポリスチレンを用い、接着剤として重合阻害剤を含むスチレンモノマー溶液を用いることや、高分子基材としてPMMA樹脂を用い、接着剤として重合阻害剤を含むメタクリル酸メチル溶液を用いることが好ましい。安価で汎用性が高く、細胞等に対しても問題が少ないことから、ポリスチレン基材と無機基材とを、重合阻害剤を含むスチレンモノマー溶液からなる接着剤を用いて接着させることがより好ましい。
【0035】
本発明の接着方法を用いて接着されることにより作製される高分子−無機複合材は、生物や生体成分に対し影響を及ぼす物質を放出する恐れが小さく、細胞培養用容器等の生物実験用容器として好適に用いることができる。また、高分子基材からなる容器の底部の全部又は一部を切り取り、ガラス等の透明な無機基材と置き換えるようにして接着させることにより、汎用されているガラスボトムディッシュのような、高分子基材からなる容器底部と、透明な無機基材からなる観察部とを有する細胞観察用容器を、簡便に作製することができる。また、ポリスチレンやPMMA樹脂等の透明性の高い高分子基材からなる容器を用いた場合には、該容器底面を切り取ることなく、容器底面に直接カバーガラス等の透明な無機基材からなる薄い平板を接着させることによっても、高分子基材からなる容器底部と、該容器底部に重なるように存在する透明な無機基材からなる観察部とを有する細胞観察用容器を作製することができる。
【0036】
図1は、本発明の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製された容器の態様を例示したものである。図1(a)は、高分子基材からなる容器1の容器底部1aの内側に無機基材2を接着させた例であり、図1(b)は、容器底部1aの外側に無機基材2を接着させた例である。一方、図1(c)は、容器底部1aの一部を切り取り、無機基材2を置き換えるようにして容器底部1aの内側に接着させた例であり、図1(d)は、容器底部1aの一部を切り取り、無機基材2を置き換えるようにして容器底部1aの外側に接着させた例である。図1(c)及び(d)中、「1b」は、容器底部1aの切り取られた領域を示している。細胞観察用容器の場合であって、容器内の観察対象物をより詳細に観察したい場合には、図1(c)や(d)の態様の容器が好適である。また、油浸法により顕微鏡観察する場合には、高分子基材よりも無機基材のほうがオイルに対して耐性が高いため、図1(b)や(d)の態様の容器が好適である。一方、図1(a)や(b)の態様の容器であっても、無機基材を接着しているため、底面の樹脂層を薄くできることから、通常の樹脂容器よりも観察に適している。
【実施例】
【0037】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
市販のPS(ポリスチレン)製の60mmのカルチャーディッシュ(code:3010−060、IWAKI社製)の底面に、59mm円形のカバーガラス(No.2(0.17−0.25)、特注品、松浪硝子社製)を接着させ、PSからなる容器底部と、カバーガラスからなる観察部とを有するガラスボトムディッシュを作製した。接着剤として、TBC(tert−ブチルカテコール)含有スチレン(東京化成工業社製)を用いた。
具体的には、100μLのTBC含有スチレンを、カルチャーディッシュの底面の中心部に滴下し、その上に速やかにカバーガラスを静置した。
この結果、TBC含有スチレンは、カバーガラスの自重のみで速やかにカルチャーディッシュの底面全面に均一に広がり、カバーガラスとカルチャーディッシュの底面は密着した。その後、わずか数分で硬化し、接着が完了した。更に、ドラフト内に放置してTBC含有スチレンを完全に除去した。
20枚のカルチャーディッシュに対してカバーガラスを接着したところ、全てにおいて強固に接着されており、完成品の歩留まりは100%であった。また、作製したガラスボトムディッシュを、滅菌処理として、70%エタノール溶液で洗浄したところ、剥離等の問題は生じなかった。また、作製されたガラスボトムディッシュは、透明度も高く、顕微鏡観察にも良好に用いることができ、光学的特性に優れていた。
したがって、これらの結果から、本発明の接着方法を用いることにより、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことなく、安全かつ簡便に高分子基材と無機基材を接着させ得ること、及び、該接着方法により作製された高分子−無機複合材は、光学的観察にも適した細胞培養用に好適であることが明らかである。
【0039】
[比較例1]
TBC含有スチレンに代えて、市販の接着剤である1液式RTVゴム(脱酢酸タイプ)(code:KE−42−T、信越化学工業社製)を用いて、実施例1と同様にして、ガラスボトムディッシュを作製した。具体的には、適量の1液式RTVゴムをカルチャーディッシュの底面の中心部に滴下し、速やかにカバーガラスを置き、さらにその上から手袋をはめた指で押した後、静置した。
全部で10枚のカルチャーディッシュに対してカバーガラスの接着を試みたが、作業中2枚については、機械的な力によりカバーガラスが破損してしまった。これは、1液式RTVゴム自体がある程度硬さのあるゲル状であるため、機械的に圧力をかけないとカルチャーディッシュ底面とカバーガラスが密着しないために生じたものである。このように、1液式RTVゴム自体を接着剤として用いた場合には、接着に相当な圧力を要するため、カバーガラスの破損や、光学的観察に重要な平面性に影響を与える可能性が高いことが明らかである。また、接着剤付着等により、ガラス表面を汚染する可能性もある。
残りの8枚は、強固に接着されていたが、接着後2週間経過後もカルチャーディッシュ内に酢酸臭が残り、接着後4週間経過し完全に硬化した後も若干の白濁が認められた。このように、容器内に酢酸臭が残留することから、1液式RTVゴムを用いて接着し作製したガラスボトムディッシュは、細胞培養には不適当であると考えられた。また、白濁により透過率の低下も観察され、光学的観察用としても不適当であった。さらに、白濁が生じていない部分についても、顕微鏡観察にはあまり適しておらず、光学的特性に劣っていた。これは、接着剤であるスチレンとPS基材が一体化し、接着部位がPS基材とガラス基材の2層のみで構成される本願発明とは異なり、接着部位が、PS基材とガラス基材の間に接着剤層が形成されており、屈折率の不整合が大きいためと推察される。
【0040】
[実施例2]
本発明の接着方法を用いて、PS製カルチャーディッシュ底面と金属蒸着カバーガラスのガラス面(金属を蒸着していない面)を接着させて、金属層を底面とするカルチャーディッシュ(金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュ)を作製した。PS製カルチャーディッシュと、接着剤であるスチレン溶液は、実施例1で用いたものを使用した。
具体的には、100μLのTBC含有スチレンを、カルチャーディッシュの底面の中心部に滴下し、その上に速やかに59mm円形のPtコートカバーガラス(No.2(0.17−0.25)、松浪硝子社製)を静置した後、局所排気内において1時間の定着を行った。同様に、200μLのTBC含有スチレンを、カルチャーディッシュの底面の中心部に滴下し、その上に速やかに59mm円形のTiコートカバーガラス(No.2(0.17−0.25)、松浪硝子社製)を静置した後、局所排気内において1時間の定着を行った。
これらの金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュを、それぞれ1mLの75%エタノール溶液を用いて滅菌した後、滅菌環境下にある安全キャビネット内で30分間乾燥させ、2日間以上室温で保存した。この滅菌操作においても、接着部分は変質せず、その後の保存中も、目だった変化は観察されなかった。
このようにして作製した滅菌済み金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュ中で、「FliTrx(登録商標) Random peptide Display Library(Version G)」(Invitrogen社製)を用いて、金属結合モチーフの探索を行った。具体的には、FliTrxに添付のプロトコールにしたがって、金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュ中に、添加IMC培地(150mM NaCl、1% methyl mannoside、1% non−fat milk、100μg/mL ampicillin/IMC培地)を入れて、室温1時間静置するブロッキング工程と、添加IMC培地で調製した大腸菌懸濁液を入れて、室温1時間インキュベートするパニング工程と、を5回繰り返した。但し、一度使用した金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュは再利用しなかった。なお、IMC培地の組成は以下の通りである;1×M9 salt、0.2% casamino acid、0.5% glucose、1mM MgCl
この金属結合モチーフ探索実験において、大腸菌は金属蒸着ガラス底面カルチャーディッシュ中で問題なく生育し、金属結合能の有無により選抜することができた。また、実験操作全般に渡って、金属蒸着カバーガラスの剥離等の問題は起こらず、コンタミネーション等の問題も生じなかった。
したがって、これらの結果から、本発明の接着方法を用いて接着することにより作製された細胞培養容器等の高分子−無機複合材は、生物や生体成分に対する影響が少なく、操作性も良好であり、生物実験用容器として好適であることが明らかである。
【0041】
[実施例3]
本発明の接着方法を用いて、市販のPS製マイクロプレートの底面を切取ったPS製フレームに、該フレームの底面となるように大判のカバーガラスを接着し、ガラスボトムマイクロプレートを作製した。接着剤として、TBC含有スチレン(和光純薬社製)を用いた。
具体的には、カバーガラスの全面にTBC含有スチレンをスピンコートにより塗布した後、PS製フレームを密着させた。その後、室温で放置し、フレームと密着していないカバーガラス上のTBC含有スチレンを除去し、ガラスボトムマイクロプレートを作製した。
【0042】
[実施例4]
実施例3で用いたPS製フレームと大判カバーガラス、及びTBC含有スチレンを用いて、ガラスボトムマイクロプレートを作製した。
具体的には、PS製フレームの底面(カバーガラスとの接着面)に、TBC含有スチレンを刷毛塗りし、水で予め洗浄したカバーガラスを密着させた。その後、減圧して余分なTBC含有スチレンを除去し、ガラスボトムマイクロプレートを作製した。
【0043】
[実施例5]
実施例3で用いたPS製フレームと大判カバーガラス、及びTBC含有スチレンを用いて、ガラスボトムマイクロプレートを作製した。
具体的には、カバーガラス上にPS製フレームを置き、その隙間にTBC含有スチレンを供給した。この結果、表面張力により、カバーガラスとPS製フレームの接着面全面に満遍なくスチレンが入り込み接着された。本実施例では、余剰なスチレンがないため、除去工程は不要であった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の接着方法を用いることにより、被接着物が本来有する光学的特性を損なうことなく、安全かつ簡便に高分子基材と無機基材を接着させることができるため、生物実験用、特に光学的観察にも適した細胞培養用に用いることができる高分子−無機複合材の製造分野において利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製された容器の態様を例示したものである。
【符号の説明】
【0046】
1…高分子基材からなる容器、1a…容器底部、1b…容器底部1aの切り取られた領域、2…無機基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子基材と無機基材とを、接着剤を使用して接着する方法において、
前記接着剤が、前記高分子基材の構成成分であるモノマー又はオリゴマー、あるいはそれらの誘導体を有効成分とすることを特徴とする、高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項2】
前記高分子基材がラジカル重合産物であることを特徴とする請求項1記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項3】
前記高分子基材がビニル樹脂基材であることを特徴とする請求項1又は2記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項4】
前記モノマーがラジカル重合性モノマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項5】
前記高分子基材がポリスチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項6】
前記モノマーがスチレンであることを特徴とする請求項1又は4記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項7】
(a)ポリスチレン基材の接着面及び/又は無機基材の接着面に、スチレンを有効成分とする接着剤を塗布する工程と、
(b)工程(a)の後、前記ポリスチレン基材の接着面と、前記無機基材の接着面を密着させる工程と、
を有することを特徴とする、請求項5又は6記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項8】
さらに、
(c)工程(b)の後、密着させた基材から前記接着剤を除去する工程と、
を有することを特徴とする、請求項7記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項9】
前記接着剤が、重合防止剤を含有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項10】
前記無機基材がガラス基材又はセラミックス基材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項11】
前記高分子基材がポリスチレン基材であり、前記無機基材がガラス基材であることを特徴とする請求項5〜10のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製されたことを特徴とする生物実験用容器。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製されたことを特徴とする細胞培養用容器。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか記載の高分子基材と無機基材の接着方法を用いて作製され、高分子基材からなる容器底部と、透明な無機基材からなる観察部とを有することを特徴とする細胞観察用容器。

【図1】
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【公開番号】特開2009−275169(P2009−275169A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129627(P2008−129627)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】