説明

高分子量ポリウレタンを含む増粘髪用組成物

【課題】ゲル形態で提供される、ヘアスタイルの固定及び/または保持のための製品を提供する。
【解決手段】化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの数平均分子量400000乃至5000000g/molのポリウレタン及び少なくとも1つの増粘剤を含む、ゲルの形態で提供される化粧品組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、少なくとも1つの高分子量ポリウレタンポリマー及び少なくとも1つの増粘剤を含む、とりわけゲルである、髪用化粧品組成物である。本発明は、この組成物の髪への適用を含む髪用美容方法並びに、ヘアスタイルの固定及び/または保持のためのその使用にも関する。
【0002】
本発明の目的のためには、「高分子量ポリウレタン」なる表現は、数平均分子量が400000乃至5000000であるポリウレタンを意味すると解される。
【0003】
本発明の目的のためには、「ゲル」なる表現は、本来は液体であり、増粘及び/またはゲル化特性を有する作用剤を用いて増粘され、最後には25℃(Rheomat 180粘度計、No.2ローター、読みとりは30秒後)にて160cps、好ましくは250cpsの最小粘度を有する組成物を意味すると解される。
【0004】
「増粘剤」なる表現は、化粧品組成物の粘度を増大させることのできるあらゆる化合物を意味すると解される。
【背景技術】
【0005】
様々な形態、とりわけゲル形態で提供される、ヘアスタイルの固定及び/または保持のための製品は既知である。これらにより、ヘアスタイルの長期的固定がしばしば可能になるが、これらは様々な欠点を有する。
【特許文献1】EP0751162
【特許文献2】EP0637600
【特許文献3】FR2743297
【特許文献4】EP0648485
【特許文献5】EP0656021
【特許文献6】WO94/03510
【特許文献7】EP0619111
【特許文献8】FR-2416723
【特許文献9】US-2798053
【特許文献10】US-2923692
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に、ゲル中の固定剤として通常使用されるポリマーでは、髪が長期に亘って液体の水と接触する場合、例えば雨との接触、発汗、または海水浴もしくはプールでの水浴中には、髪の形状を保持することができない。
【0007】
ゲルはまた、空気中の湿分に対する耐性に乏しいヘアスタイルをもたらす点でも批判される。
【0008】
上記の問題を解決するために、固定ポリマー及び増粘剤を任意の添加剤と共に含む髪用化粧品の製造が既に提唱されている。しかしながら、これらの成分を含む現在までに既知の組成物は、依然として完全に満足のいくものではない。
【0009】
本発明によって提示される問題は、髪用化粧品組成物、とりわけゲル形態であり、従来の組成物に比べて改善されたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに且つ予期せぬことに、本出願人は、固定ポリマーを賢明に選択することによって以上に提起される問題を解決可能であることを見出した。
【0011】
本発明の主題は、ゲルの形態で提供され、且つ化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの数平均分子量400000乃至5000000g/molのポリウレタン及び少なくとも1つの増粘剤を含む化粧品組成物である。
【0012】
これらの組成物によれば、ヘアスタイルを固定及び成形すること、さらに長期に亘って液体の水と接触する場合にヘアスタイルの形状を保持することが可能となる。これらは空気中の湿分に対して耐性のヘアスタイルを得ることも可能にする。
【0013】
本発明の別の主題は、髪用美容方法、特に前記組成物を使用するヘアスタイルの固定及び/または保持の方法に関する。
【0014】
本発明のさらに別の主題は、特にヘアスタイルの保持及び/または成形を企図する髪用化粧品製剤における、この組成物の使用に関する。
【0015】
「長期間」なる語は、本発明の目的のためには、最低で1分間、好ましくは10分間、さらに好ましくは20分間に亘って水と接触させることを意味すると解される。
【0016】
本発明によれば、「高分子量ポリウレタン」及び「増粘剤」は、互いに別個の化合物である。
【0017】
(高分子量ポリウレタン)
ポリウレタンなる表現は、本発明の目的のためには、少なくとも1つのポリウレタンブロックを含む重縮合物を意味すると解される。これらは、特に、本出願人が権利者である、特許EP0751162、EP0637600、FR2743297、及びEP0648485に、またBASF社による特許EP0656021及びWO94/03510及びNational Starch社によるEP0619111に記載されている。
【0018】
本発明によって使用されるポリウレタンは、とりわけ有機または無機塩基による中和の後に化粧品として許容される水性媒質中に可溶であってよく、またはこの媒質中の分散物を形成しうる。然るに前記分散物は、この分散物を可能にし、且つ非会合ポリウレタンの分散状態での維持を可能にする、少なくとも0.05%の界面活性剤を含んで良い。
【0019】
本発明によれば、前記分散物中にはあらゆるタイプの界面活性剤を使用することが可能であるが、好ましいのは非イオン性界面活性剤である。前記分散物中の非会合ポリウレタンの粒子の平均径は、好ましくは0.1乃至1ミクロメートルである。
【0020】
例としては、前記ポリウレタンはブロックの配列によって形成されてよく、この配列は特に下記より得られる。
(1)1分子につき2つ以上の活性水素原子を含む少なくとも1つの化合物;
(2)酸官能基またはその塩を含む少なくとも1つのジオールまたはジオールの混合物;及び
(3)少なくとも1つのジ−またはポリイソシアネート。
【0021】
有利には、化合物(1)は、ジオール、ジアミン、ポリエステロール、ポリエーテロール(polyetherols)、またはこれらの混合物が選択される。
【0022】
好ましい化合物(1)は、直鎖状ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、とりわけエチレンもしくはプロピレンオキサイドと水との反応、またはジエチレンもしくはジプロピレングリコールの、触媒としての水酸化ナトリウムの存在下での反応によって得られるものである。
【0023】
他の好ましい有機化合物は、メルカプト、アミノ、カルボキシルまたはヒドロキシル基を有するものである。これらの中では、特にポリヒドロキシル化化合物、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリアセタールジオール、ポリアミドジオール、ポリエステル−ポリアミドジオール、ポリ(アルキレンエーテル)ジオール、ポリチオエーテルジオール、及びポリカーボネートジオールを挙げて良い。
【0024】
好ましいポリエーテルジオールは、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、またはテトラヒドロフランの縮合生成物、これらの共重合または縮合のグラフトまたはブロック生成物、例えばエチレン及びプロピレンオキサイドの縮合物の混合物、及びオレフィンとアルキレンオキサイドの縮合物との高圧での重合の生成物である。適当なポリエーテルジオールは、例えばアルキレンオキサイドと多価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、及び1,4-ブタンジオールとの縮合物である。
【0025】
ポリエステルジオール、ポリエステルアミド、ポリアミドジオールは、好ましくは飽和しており、例えば飽和もしくは不飽和の多価カルボン酸と多価アルコール、ジアミン、またはポリアミンとの反応から得られる。これらの化合物を調製するためには、例えば、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、及びマレイン酸を使用することができる。ポリエステルを調製するために適当な多価アルコールには、例えばポリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びヘキサンジオールが含まれる。アミノアルコール、例えばエタノールアミンを使用することも可能である。アミドポリエステルを調製するために適当なジアミンは、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンである。
【0026】
適当なポリアセタールは、例えば、1,4-ブタンジオールとヘキサンジオールとホルムアルデヒドから調製して良い。適当なポリチオエーテルは、例えばチオグリコール単独の、または別のグリコール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコールとの組合せの、または別のポリヒドロキシル化化合物との組合せの縮合反応から調製して良い。
【0027】
さらに好ましくは、化合物(1)群は、ポリエステロール、とりわけ少なくとも1つの(ジ)ポリオール(1a)と少なくとも1つの酸(1b)との反応により生成するポリエステルジオールである。前記(ジ)ポリオール(1a)は、特にネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び(ジ)ポリエチレングリコールを含む群より選択される。前記酸(1b)は、特にフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、及び(ポリ)乳酸を含む群より選択される。
【0028】
化合物(2)としては、特にヒドロキシカルボン酸、例えばジメチロールプロパン酸(DMPA)または2,2-ヒドロキシメチルカルボン酸を使用することができる。一般的に、化合物(2)はカップリングブロックとして有用である。化合物(2)としては、少なくとも1つのポリ(α,α-ジヒドロキシル化カルボン酸)を含むものが好ましい。
【0029】
本発明による特に好ましい化合物(2)は、2,2-ジ(ヒドロキシメチル)酢酸、2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸、2,2-ジヒドロキシメチル酪酸、2,2-ジヒドロキシメチルペンタン酸から選択されるものである。
【0030】
ジ−またはポリイソシアネート(3)は、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IDPI)、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン=4,4'-ジイソシアネート(DPMD)、及びジシクロヘキシルメタン=4,4'-ジイソシアネート(DCMD)、メチレン=ジ-p-フェニルジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートとの混合物、2,2'-ジクロロ-4,4'-ジイソシアネートジフェニルメタン、2,4-ジブロモ-1,5-ジイソシアネートナフタレン、ブタン=1,4-ジイソシアネート、ヘキサン=1,6-ジイソシアネート、及びシクロヘキサン=1,4-ジイソシアネートを含む群から選択してよい。
【0031】
ナノ会合ポリウレタンは、一般的にその鎖の延長に役立つ付加的化合物(4)の補助を得て形成されうる。これらの化合物(4)は、特に飽和もしくは不飽和のグリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール;アミノアルコール、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン;複素環、芳香族、脂環族、及び脂肪族の第一級アミン;ジアミン;カルボン酸、例えば脂肪族、芳香族、及び複素環のカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、及びテレフタル酸;及びアミノカルボン酸を含む群から選択してよい。好ましい化合物(4)は、脂肪族ジオールである。
【0032】
本発明によって使用されるポリウレタンはまた、シリコーン骨格を有する付加的化合物(5)、例えばケイ素原子にグラフトした炭化水素鎖を任意に含む、ポリシロキサン、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、特にポリエチルシロキサン、ポリメチルシロキサン、及びポリフェニルシロキサン等からさらに形成されうる。
【0033】
有利に使用されるポリウレタンは、下記の一般式(I):
-O-B-O-CO-NH-R-NH-CO- (I)
[式中、
・Bは二価のC1-C30炭化水素基であり、この基は無置換であるかまたは、1つ以上のカルボン酸官能基及び/または1つ以上のスルホン酸官能基を含む基で置換されており、前記カルボン酸及び/またはスルホン酸官能基が遊離形態または部分的もしくは完全に無機もしくは有機塩基で中和されており、
・Rは、C1-C20脂肪族、C3-C20脂環族、及びC6-C20芳香族の炭化水素基、またはこれらの組合せから選択されるが、これらの基は置換または無置換である]
に該当する基本反復単位を含む。
【0034】
R基は、下式:
【化1】

[式中、bは0乃至3の整数であり、cは1乃至20、好ましくは2乃至12の整数である]
に該当する群より有利に選択される。
【0035】
特に、R基は、ヘキサメチレン、4,4’-ビフェニレンメタン、2,4-及び/または2,6-トリレン、1,5-ナフタレン、p-フェニレン、及びメチレン-4,4-ビスシクロヘキシル基、並びにイソホロンから誘導される二価の基から選択される。
【0036】
本発明において使用されるポリウレタンは、少なくとも1つのポリシロキサンブロックを更に含んでも良い。
【0037】
本発明のポリウレタンは、好ましくは非会合性であり、すなわちその構造中に炭素原子が10より多いアルキルまたはアルケンを含まない。
【0038】
前記ポリウレタンは、本発明による組成物中に、特にケラチン物質の美容処理のための組成物全重量に対して0.05乃至40重量%、好ましくは0.1乃至20重量%、更に好適には1乃至8重量%の量で存在する。
【0039】
有利には、前記ポリウレタンは約400000乃至3000000、好ましくは1000000乃至2500000の分子量を有する。
【0040】
さらに有利には、前記ポリウレタンはNoveon社により市販のAvalure UR-450であって、これはPPG-17(単位nの数が17であるポリプロピレングリコール)/IPDI(イソホロンジイソシアネート)/DMPA(ジメチロールプロピオン酸)から形成されるアニオン性コポリマーである。水性媒質中に、これは分散物の形態で存在する。その分子量は、1830000g/molである。
【0041】
(増粘剤)
前記組成物は、有利には、組成物の重量に対する割合として、0.01乃至20%、好ましくは0.05乃至10%の増粘剤を含む。
【0042】
好ましくは、前記増粘剤は、
天然または天然変性ポリマーポリマー(i)、
アクリル酸及び/またはメタクリル酸の架橋コポリマー(ii)、
架橋増粘ポリアクリルアミド(iii)、及び
少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む会合ポリマー(iv)、
から選択される。
【0043】
「天然変性増粘剤」(i)なる表現は、本発明によれば、天然ポリマー自体から単純な化学的変性によって得られるあらゆる増粘性ポリマーを意味すると解される。
【0044】
本発明に好適な天然または天然変性ポリマー(i)としては、セルロースガム、スクレログルカンガム、ゲランガム、ラムサンガム、アルギネート、カラヤガム、カロブ粉、変性もしくは未変性のグアーガム、及びこれらの誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアーを挙げて良い。グアーガム及びその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、並びに天然微生物由来のガム(キサンタンガム及びスクレログルカンガム)が特に使用される。
【0045】
前記アクリル酸及び/またはメタクリル酸の架橋コポリマー(ii)は、とりわけアクリル酸/エチルアクリレートコポリマー及びカルボキシビニルポリマーである。こうしたポリマーは、特にGoodrich社によりCarbopolの名で市販の「カーボマー」(CTFA)である。
【0046】
前記架橋増粘ポリアクリルアミド(iii)は、とりわけ、
・2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマー、
・アクリルアミドとアンモニウムアクリレートとの任意に架橋されたコポリマー、
・アクリルアミド(またはメタクリルアミド)とメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの架橋コポリマー、
・部分的または完全に中和された、アクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸との架橋コポリマー
から選択してよい。
【0047】
本発明で使用される架橋アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマーとしては、特に、ジビニルベンゼン、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスアクリルアミド、ジアリルエーテル、ポリアリルポリグリセリルエーテル、あるいはエリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール、またはグルコース等の糖鎖のアルコールのアリルエーテルなどのオレフィン性多価不飽和架橋剤と架橋したアクリルアミド/アンモニウムアクリレート(重量にして5/95)コポリマーを挙げて良い。
【0048】
同様のコポリマーは、仏国特許FR-2416723及び特許US-2798053、及びUS-2923692に記載され、調製されている。
【0049】
このタイプの架橋コポリマーは、特に約30重量%の前記コポリマー、25重量%のパラフィンオイル、4重量%のソルビタンステアレートと親水性エトキシル化誘導体との混合物、及び41重量%の水からなる油中水型エマルションの形態で使用される。こうしたエマルションは、Hoechst社により「BOZEPOL C」の名で市販されている。
【0050】
本発明で使用されるアクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とのコポリマーは、例えば上述のものなどのオレフィン性多価不飽和化合物と架橋したコポリマーであって、中和剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、またはトリエタノールアミンもしくはモノエタノールアミンなどのアミンで部分的または完全に中和されたものである。
【0051】
これらはアクリルアミドとナトリウム=2-アクリルアミド-2-メチルピロパンスルホネートとを、アゾビスイソブチロニトリルタイプの開始剤を用いてフリーラジカル経路により共重合させる工程、及びtert-ブタノールなどのアルコール中に沈殿させる工程により調製して良い。
【0052】
特に55乃至70mol%のアクリルアミドと30乃至45mol%のナトリウム=2-アクリルアミド-2-メチルピロパンスルホネートとの共重合によって得られるコポリマーが使用される。前記架橋剤は、モノマーの混合物1分子あたり10-4乃至4×10-4molの濃度で使用される。
【0053】
これらの特段のコポリマーは、好ましくは、35乃至40重量%のこのポリマー、15乃至25重量%のC12-C13イソパラフィン炭化水素の混合物、3乃至8重量%のエチレンオキシド7モルを含むポリエチレングリコールラウリルエーテル、及び水を含む油中水型エマルションの形態の本発明の組成物中に導入される。こうしたエマルションは、Seppic社により「SEPIGEL 305」の名で市販されている。
【0054】
本発明で使用されるアクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの架橋コポリマーは、特にアクリルアミドと塩化メチルで四級化したジメチルアミノエチルメタクリレートとを共重合させ、次いでオレフィン性不飽和化合物、特にメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるコポリマーである。
【0055】
メタクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの非架橋コポリマーは、例えばRohm and Haas社によりROHAGIT KF 400及びKF 720の商品名で市販の製品である。
【0056】
本発明の会合ポリマー(iv)は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、または両性であってよい。これらは、例えばポリウレタン族に属して良い。
【0057】
前記会合ポリウレタンは、鎖中に、最も一般的にはポリオキシエチレン化性である親水性ブロックと、脂肪族結合単独及び/または脂環族及び/または芳香族の結合であってよい疎水性ブロックとの両方を含むブロックコポリマーである。
【0058】
特に、これらのポリマーは、炭素原子C6-C30を有し、親水性ブロックで分断された、少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を含み、前記炭化水素鎖はペンダント鎖であるか親水性ブロックの末端の鎖であってよい。特に、1つ以上のペンダント鎖が提供されうる。更に、前記ポリマーは、親水性ブロックの一端または両端に1つの炭化水素鎖を含んで良い。
【0059】
前記ポリマーは、トリブロックまたはマルチブロック形態のブロックポリマーであってよい。したがって、前記疎水性ブロックは鎖の各末端にある(例えば、親水性中心ブロックを含むトリブロックコポリマーである)か、または鎖の末端と内部との両方に分布していて(例えばマルチブロックコポリマーであって)よい。前記ポリマーは、また、グラフトまたは星状ポリマーであってよい。
【0060】
好ましくは、前記ポリマーはトリブロックコポリマーであって、その親水性ブロックが50乃至1000のオキシエチレン化基を含むポリオキシエチレン化鎖であるものである。一般的に、前記会合ポリウレタンは親水性ブロック間にウレタン結合を含むため、この名があるのである。
【0061】
拡張として、その親水性ブロックが他の化学結合によって親油性ブロックに結合しているポリマーもまた会合ポリウレタンに含まれる。
【0062】
本発明で使用可能な会合ポリマーの例としては、Huls社により市販のポリマーC16-EO120-C16(Serad FX1100の名で市販、ウレタン官能基を含み、且つ1300の重量平均分子量を有する分子)を挙げて良く、EOはオキシエチレン化単位である。会合ポリマーとしては、Rheox社により市販の尿素官能基を含むRheolate 205、またはRheolate 208もしくは204もまた使用してよい。これらの会合ポリウレタンは、純粋形態で市販されている。
【0063】
Rhom&Haas社より水中の乾燥物含量20%で市販の、C20アルキル鎖を含み、且つウレタン結合を含む製品、DW 1206Bもまた使用してよい。
【0064】
これらポリマーの溶液または分散物、特に水中または水-アルコール性媒質中のものを使用することもまた可能である。こうしたポリマーの例としては、Huls社により市販のSerad FX1010及びSerad 1035、Rheox社により市販のRheolate 255、Rheolate 278、及びRheolate 244を挙げて良い。Rhom&Haas社製のDW 1206F及びDW1206J、並びにAcrysol RM 184またはAcrysol 44を使用することもできる。
【0065】
本発明で使用可能なポリマーは、特にG. Fonnum, J. Bakke及びFk. Hansenによる文献、Colloid Polym. Sci. 271, 380.389(1993)に記載のものである。
【0066】
前記会合ポリウレタン(iv)は、特に、
・ (i)50乃至500モルのエチレンオキシドを含む少なくとも1つのポリエチレングリコール、(ii)少なくとも1つのC8-C30脂肪アルコール、及び(iii)少なくとも1つのジイソシアネートを含む、少なくとも三つの化合物の重縮合によって得ることができるポリエーテル-ポリウレタン(a)、及び
・ (i)50乃至500モルのエチレンオキシドを含む少なくとも1つのポリエチレングリコール、(ii)ポリエーテル-ポリウレタン(a)のものとは相違する、少なくとも1つのC8-C30脂肪アルコール、及び(iii)少なくとも1つのジイソシアネートを含む、少なくとも三つの化合物の重縮合によって得ることができるポリエーテル-ポリウレタン(b)、
から選択して良い。
【0067】
好ましくは、ポリエーテル−ポリウレタン(a)及び(b)であって、そのポリエチレングリコールが150または180モルのエチレンオキシドを含むものが使用される。
【0068】
さらに好ましくは、ポリエーテル−ポリウレタン(a)及び(b)であって、そのジイソシアネートがメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)であるものが使用される。
【0069】
本発明による特に好ましい組成物は、以上に定義される組成物であり、そのポリエーテル−ポリウレタン(a)が、150または180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、ステアリル(C18)アルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)を含む少なくとも三つの化合物の重縮合によって得られ、ポリエーテル−ポリウレタン(b)が、150または180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、デシル(C10)アルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)を含む少なくとも三つの化合物の重縮合によって得られるものである。
【0070】
ポリエーテル−ポリウレタン(a)の中では、Rohm&Haas社によりACULYN 46の商品名で市販の製品を挙げてよく、これは成分として少なくとも、150または180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、ステアリルアルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)を、マルトデキストリン(4%)と水(81%)とのマトリックス中に15重量%で含む重縮合物である。
【0071】
ポリエーテル−ポリウレタン(b)の中では、Rohm&Haas社によりACULYN 44の商品名で市販の製品を挙げてよく、これは成分として少なくとも、150または180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、デシルアルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)を、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中に35重量%含む重縮合物である。
【0072】
前記会合ポリウレタンとしては、Viscophobe DB 1000(Union Carbide)を使用することもまた可能である。
【0073】
使用可能な別の会合ポリマーとしては、特に、アクリル酸/C10-C30アルキルアクリレートコポリマー、例えばGoodrich社製のPemulen TR1を挙げて良い。
【0074】
前記化粧品として許容される媒質は、好ましくは水または、アルコールもしくは水−溶媒混合物などの1つ以上の化粧品として許容される溶媒からなり、これら溶媒は好ましくはC1-C4アルコール、脂肪族もしくは芳香族ケトン、C1-C8の短鎖もしくはC9-C20の長鎖の酸とC1-C8の短鎖もしくはC9-C20の長鎖のアルコールとのエステル、ペンタン、ヘプタン、ポリオール、ポリオールエーテル、及びイソドデカンである。
【0075】
前記アルコールの中では、エタノール及びイソプロパノールを挙げて良い。エタノールが特に好ましい。
【0076】
本発明の組成物中の高分子量ポリウレタンの重量濃度と増粘剤の重量濃度との割合は、有利には0.01乃至100、さらに有利には0.05乃至20、さらにいっそう有利には0.1乃至10である。
【0077】
本発明の組成物は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性の界面活性剤、香料、遮蔽剤、保存料、タンパク質、ビタミン、プロビタミン、本発明のもの以外のポリマー、植物、鉱物、または合成の油、ポリオール、例えばグリコールまたはグリセリン、シリコーン、脂肪アルコール、及び化粧品組成物に従来使用されているあらゆる別の添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含んでよい。
【0078】
むろん当業者であれば、本発明の組成物に添加可能な化合物を、本発明の組成物に本来的に付随する有利な特性を、行おうとする添加によって損なうことのないように、または本質的に損なうことのないように選択する
【0079】
本発明による組成物は、皮膚、爪、唇、髪、眉毛、及び睫に適用して良い。
【0080】
本発明による組成物は、特に乾燥したまたは湿った髪用のヘアスタイリング製品として好適である。
【0081】
本発明は、ここに、以下の非限定的実施例の補助を得ていっそう十分に詳説される。
【0082】
全ての割合は、本発明の全重量に対する相対重量割合であり、a.i.は有効成分を意味する。
【実施例】
【0083】
本発明によるヘアスタイリングゲルを調製する:
a.Avalure UR 450 (Noveon) 7% a.i.
b.Jaguar HP105 (Rhodia) 1% a.i.
c.Q2-5220 (Dow Corning) 1% a.i.
d.水 100% a.i.とする残量
【0084】
本発明によるヘアスタイリングゲルは、経時的に長期に亘る安定性を有する。本発明のゲルを用いて行われたヘアスタイリングは、水槽の軟水中に30分間漬けておいたのちにも完全に維持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの数平均分子量400000乃至5000000g/molのポリウレタン及び少なくとも1つの増粘剤を含む、ゲルの形態で提供される化粧品組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタンが、約400000乃至3000000、好ましくは1000000乃至2500000の分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質の美容処理のための組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタンが、ナノ会合物であることを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質の美容処理のための組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、下記の一般式(I):
-O-B-O-CO-NH-R-NH-CO- (I)
[式中、
・Bは二価のC1-C30炭化水素基であり、この基は無置換であるかまたは、1つ以上のカルボン酸官能基及び/または1つ以上のスルホン酸官能基を含む基で置換されており、前記カルボン酸及び/またはスルホン酸官能基が遊離形態または部分的もしくは完全に無機もしくは有機塩基で中和されており、
・Rは、C1-C20脂肪族、C3-C20脂環族、及びC6-C20芳香族の炭化水素基、またはこれらの組合せから選択されるが、これらの基は置換または無置換である]
に該当する基本反復単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のケラチン物質の美容処理のための組成物。
【請求項5】
前記ポリウレタンが、組成物全重量に対して0.05乃至40重量%、好ましくは0.10乃至20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項3乃至7のいずれか一項に記載のケラチン物質の美容処理のための組成物。
【請求項6】
前記増粘剤が、
天然または天然変性ポリマーポリマー(i)、
アクリル酸及び/またはメタクリル酸の架橋コポリマー(ii)、
架橋増粘ポリアクリルアミド(iii)、及び
少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む会合ポリマー(iv)、
から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記天然または天然変性ポリマー(i)が、キサンタンガム、セルロースガム、スクレログルカンガム、ゲランガム、ラムサンガム、アルギネート、カラヤガム、カロブ粉、グアーガム、及びこれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記アクリル酸及び/またはメタクリル酸の架橋コポリマー(ii)が、アクリル酸/エチルアクリレートコポリマー及びカルボキシビニルポリマーから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋増粘ポリアクリルアミド(iii)が、
・2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマー、
・アクリルアミドとアンモニウムアクリレートとの任意に架橋されたコポリマー、
・アクリルアミド(またはメタクリルアミド)とメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの架橋コポリマー、
・部分的または完全に中和された、アクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸との架橋コポリマー、
から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記会合ポリマー(iv)が、会合ポリウレタンであることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の重量割合として、0.01乃至20%、好ましくは0.05乃至10%の増粘剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
本発明の組成物中における高分子量ポリウレタンの重量濃度と増粘剤の重量濃度との比率が、0.01乃至100、有利には0.05乃至20、さらに有利には0.1乃至10であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性の界面活性剤、香料、遮蔽剤、保存料、タンパク質、ビタミン、プロビタミン、本発明のもの以外のポリマー、植物、鉱物、もしくは合成の油、ポリオール、例えばグリコールもしくはグリセリン、シリコーン、脂肪アルコール、及び化粧品組成物に従来使用されているあらゆる別の添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物を使用する髪用美容方法、とりわけ、ヘアスタイルの固定及び/または保持のための方法。
【請求項15】
特にヘアスタイルの保持及び/または成形を企図する髪用化粧品製剤における、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2006−124394(P2006−124394A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−315322(P2005−315322)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】