説明

高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法

【課題】 戸建住宅やマンションなどの集合住宅の換気配管において、外気の導入や室内空気を排気するダクト管を、換気経路の中間に存するチャンバーケースなどに接合するに際し、極めて簡便に、且つ、高い精度と安全性のもとに施工ができ、ダクト配管コストを抑えることができるとともに、接合部を断熱仕様で接合することが可能な高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法を提供。
【解決手段】 高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯を装着した後、これにフレキシブルダクトの先端を被せて接合する工程、及び、接合部において、フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めすることによって構成される高剛性管、発泡ゴムからなる環状帯及びフレキシブルダクトが結束バンドで圧密接合された構造を有することを特徴とする高剛性管とフレキシブルダクトの接合部構造及び接合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法に関し、更に詳しくは、戸建住宅やマンションなどの集合住宅の換気配管において、外気の導入や室内空気を排気するダクト管を、換気経路の中間に存するチャンバーケースなどに接合するに際し、極めて簡便に、且つ、高い精度、安全性のもとに施工ができ、ダクト配管コストを抑えることができる高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建住宅やマンションなどの集合住宅の換気配管において、外気の導入や室内空気を排気するダクト管と換気経路の中間に存するチャンバーとの接続には、チャンバーを穿孔して設けられた高剛性管に、フレキシブルダクトを装着し、裏面に粘着剤が塗布されたアルミテープ又は塩ビなどの軟質系プラスチックス製のダクト粘着テープにてフレキシュブルダクトの先端部と前記高剛性管の両部にまたがるように被覆し固定する方法が用いられてきた。
本ダクトの接合部構造ではダクト粘着テープなどの被覆作業に時間がかかることと、また狭小な作業現場によってはダクト粘着テープの被覆作業が困難、又はダクト粘着テープなどの被覆の作業精度が悪いためダクトと高鋼性管との接続部の気密性が悪くなり、ダクト内部を搬送される気体がダクト粘着テープの被覆部から漏れることがある。またダクト粘着テープなどに塗布された粘着剤が経年劣化することによってダクト粘着テープなどが被覆している高剛性管から剥離し、ダクトがチャンバーなどから脱け落ちる場合がある。
【0003】
ダクトのうち、フレキシブルダクトはアルミ箔や塩ビなどの軟質フィルムで筒状を形成しながら、らせん状に巻いた鋼線と一体化させることによってダクトをフレキシブルにし且つ筒状の機械強度を保持している。このためにフレキシブルダクトの軟質フィルムの表面には鋼線がらせん状でその線径部が突出している。従って高剛性管にこれらのフレキシブルダクトを装着し、外部から結束バンドで圧締めしただけでは、前記鋼線部の突出部のために、必ずしも高剛性管とフレキシブルダクトとを完全に密着させ気密性の高い接合部構造とすることはできない。
高剛性管とフレキシブルダクトとを簡便に且つ高い気密性を保持する接合部構造に関するものとしては、例えば、1)中間部に凹部を成形した鋼製のニップルの凹部に嵌合し且つ該ニップルの直径よりも大きい環状帯で外部に突起部を有するガスケットを前記ニップル凹部に嵌合させ、これに高剛性管を被せることによって高剛性管同志を接合する接合部構造(特許文献1参照)、2)環状溝を有する環状帯で突起部を有するガスケットをダクトの尖端に被せ、これをダクトに被せるダクトの接合部構造(特許文献2参照)、3)環状帯の外側に突起部を内側に受支環を有するガスケットをダクトの尖端に装着し、これを他のダクトに挿入するダクトの接合部装置(特許文献3参照)などがある。
【0004】
しかし、上記方法では、複雑な構造を有する環状帯のガスケットを必要とするし、高剛性管と高剛性管との接合には適合するが、高剛性管とフレキシブルダクトとの接合には不適である。
【0005】
こうした状況下、高剛性管とフレキシブルダクトとの接合において従来採用されてきた粘着テープによる固定方法の欠点である悪い作業性を大幅に改善、且つ粘着テープなどの粘着剤の経年劣化によるダクトの接合部の脱着を防止し、簡便に、施工精度が高く及び高い安全性を有する高剛性管とフレキシブルダクトとの接合する構造が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−257174号公報
【特許文献2】特開2000−18453号公報
【特許文献3】特開2002−323180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、戸建住宅やマンションなどの集合住宅の換気配管において、外気の導入や室内空気を排気するフレキシブルダクトを換気経路の中間に存在するチャンバーケースなどに接合するに際し、極めて簡便に、且つ、高い精度、高い安全性のもとに施工ができ、ダクト配管施工コストを抑えることができる高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造において、前記高剛性管とフレキシブルダクトとの中間に発泡ゴムからなる環状帯が介する接合部構造であって、高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯を装着した後、これに前記フレキシブルダクトの先端を被せて接合し、さらに前記フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めされてなる高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造が、極めて簡便に、且つ、高い精度と安全性を有する接合部構造であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、空調や換気の経路に設けられる高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造であって、前記高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯が装着され、前記環状帯に前記フレキシブルダクトの先端が被せられ、前記フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めされ、前記高剛性管、前記環状帯及び前記フレキシブルダクトが圧密接合されていることを特徴とする高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、空調や換気の経路に設けられる高剛性管とフレキシブルダクトとを接合する方法であって、前記高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯を装着した後、前記環状帯に前記フレキシブルダクトの先端を被せて接合する工程、及び、前記接合部において、前記フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めすることによって、前記高剛性管、前記環状帯及び前記フレキシブルダクトを圧密接合させる工程を有することを特徴とする高剛性管とフレキシブルダクトとの接合方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、戸建住宅の換気経路でのダクト継合で、極めて簡便に、且つ高い精度と安全性のもとに施工ができる。床下など作業性の悪い場所においても、作業性は高く、接合部に高い気密性が簡便に得られるので、ダクト配設工事のコストを下げることができる。
また、作業員の個人的な技量の差が接合の良否に影響を与えることがなくなり、非熟練者の就労によって従来の難しい手仕事に替えられる効果も大きい。また換気経路が断熱仕様で構成されている場合、高剛性管に発泡ゴム製環状帯(Oリング)を被せ、これに繊維系断熱材で被覆されたフレキシブルダクトを装着させ、当該繊維系断熱材の外側からナイロン製結束バンドで締めることによって高剛性管全体を繊維系断熱材で被覆することが出来るので、高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部を断熱仕様で接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例1に係るダクト接合部構造の概略を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法を、以下具体的かつ詳細に説明する。
本発明における換気経路の中間に存するチャンバーのアウトレット用の高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造及び接合方法は下記により構成される。
空調や換気の経路に設けられるチャンバーや熱交換器など中継器材のケースに穿設して外部に突出するアウトレット用の高剛性管とフレキシブルダクトを接合するのに、前記高剛性管にフレキシブルダクトの先端を被せて接合し、この接合においてアウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとの間に発泡ゴムからなる環状帯が介されており、且つ前記のフレキシブルダクトの外側から金属またはプラスチックス製の結束バンドでフレキシブルダクトを圧締めすることからなるアウトレット用高剛性管、発泡ゴムからなる環状帯及びフレキシブルダクトの接合部構造。
【0014】
本発明における、換気経路に存するチャンバーなどの中継器材の外部に突出するアウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造は、前記アウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとの間に発泡ゴムからなる環状帯が介し、前記フレキシブルダクトの外部から金属またはプラスチックスバンドにて圧締めされた構造である。これによって、アウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとが密着接合されて、フレキシブルダクトに内圧が加わった時の高剛性管からフレキシブルダクトの脱着を防止することができる。
【0015】
上記高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造の一例を示す図1を参照して詳説する。
図1において、チャンバー3から、アウトレット用高剛性管4が突出している。これに、発泡ゴムからなる環状帯2をかぶせる。好ましくは、環状帯2の先端が、チャンバーケース3に接するようにかぶせる。発泡ゴムの種類としては、通常空調における配管に用いられるものが使用できるが、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPDMゴムともいう)、ブチルゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムなどのゴムを使用することができる。好適な発泡倍率は1.5倍から15倍である。
【0016】
次に、フレキシブルダクト1を、前記環状帯2にかぶせるように配設する。好ましくは、フレキシブルダクト1の先端が、チャンバーケース3に接するようにかぶせる。フレキシブルダクトは、アルミ箔や塩ビなどの軟質フィルムで筒状を形成しながら、らせん状に巻いた鋼線と一体化させることによってダクトをフレキシブルにし且つ筒状の機械強度を保持しているものであるが、通常使用されているものであれば、制限無く用いることができる。フレキシブルダクトの軟質フィルムの表面には鋼線がらせん状でその線径分突出しているものであり、アウトレット用高剛性管にこれらのフレキシブルダクトを装着し、外部から結束バンドで圧締めしただけでは、必ずしもフレキシブルダクト表面に突出する鋼線のために、アウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとを完全に密着させ気密性の高い接合部構造を形成することはできない。
【0017】
高剛性管にフレキシブルダクトを接合させた後に、結束バンド5を用いてフレキシブルダクト1の外側から圧締めする。結束バンド5は、金属又はプラスチックス製であり、用途等に合わせて適宜使用することができる。圧締めする箇所としては、適宜選択できるが、一例としては、フレキシブルダクト1のチャンバー側先端から15mmのところで圧締めする。
発泡ゴム製環状帯2と結束バンド5とを併用することにより、フレキシブルダクト1、環状帯2及びアウトレット用の高剛性管4が密着し、アウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとの間に介する発泡ゴムは圧縮され、アウトレット用高剛性管とフレキシブルダクトとは隙間無く接合された構造が形成される。
【実施例】
【0018】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
換気経路に設けられたチャンバーから突出した鋼管製の直径152φで長さ50mmのアウトレット用部に、内径150φ、厚み3mm、幅60mmの発泡倍率4.5倍のEPDM製発泡ゴムからなる環状帯を先端がチャンバーケースに接するまで被せる。これに内径157φのアルミ製フレキシブルダクト(アルミニウム箔厚30μm、鋼線1.5φ、30mmピッチ)を先端がチャンバーケースに接するまで被せる。幅7.5mm、長さ550mmのナイロン66製の結束バンドを用いてアルミ製フレキシブルダクトの先端から15mmのところでアルミ製フレキシブルダクトを圧締めする。EPDM製発泡ゴムを介してアルミ製フレキシブルダクトは鋼管製のアウトレットと隙間無く継合された。これを図1に示す。
本継合部においては、空気圧100Paにおいても本継合部からの空気の漏れは無かった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造によれば、極めて簡便に、且つ、高い精度、安全性で施工コストの低い、高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造が提供される。そのため、本発明の産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0021】
1.フレキシブルダクト
2.発泡ゴム製環状帯
3.チャンバー
4.アウトレット用高剛性管
5.結束バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調や換気の経路に設けられる高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造であって、前記高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯が装着され、前記環状帯に前記フレキシブルダクトの先端が被せられ、前記フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めされ、前記高剛性管、前記環状帯及び前記フレキシブルダクトが圧密接合されていることを特徴とする高剛性管とフレキシブルダクトとの接合部構造。
【請求項2】
空調や換気の経路に設けられる高剛性管とフレキシブルダクトとを接合する方法であって、前記高剛性管の外周に、発泡ゴムからなる環状帯を装着した後、前記環状帯に前記フレキシブルダクトの先端を被せて接合する工程、及び、前記接合部において、前記フレキシブルダクトの外側から、金属またはプラスチックス製の結束バンドにより圧締めすることによって、前記高剛性管、前記環状帯及び前記フレキシブルダクトを圧密接合させる工程を有することを特徴とする高剛性管とフレキシブルダクトとの接合方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−247151(P2012−247151A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120214(P2011−120214)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(301002392)
【Fターム(参考)】