説明

高効率太陽電池

本発明は新しい構成の高効率太陽電池に関する。ある実施態様では、太陽電池は、高エネルギーギャップセル積層体およびダイクロイックミラーを含んでいる。高エネルギーギャップセル積層体は、太陽光をスペクトル成分に分ける前に太陽光に露出される。高エネルギーギャップセル積層体中の各セルは、それ自身のエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光、つまり、太陽光の青緑色〜紫外線の部分を吸収する。高エネルギーギャップセル積層体中の各セルは、それ自身のエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過させる。そして、残りの光(つまり、高エネルギーギャップセル積層体を透過した光)のスペクトル分離が、ダイクロイックミラーによって行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、政府によって与えられた合意W911 NF−05−9−0005に基づく政府支援で創作された。政府は発明について一定の権利を有している。
本願の請求の範囲に記載された発明は、国防総省国防高等研究計画局(DARPA)に準じて形成された、50%効率の太陽電池コンソーシアムのため共同研究の条文に準じて創作され、2005年10月1日にW911 NF−05−9−0005がデラウェア大学に与えられた。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2006年7月28日に出願された米国仮出願第60/833994号の利益を主張し、参照してその全体を本明細書に組み込む。
【0003】
<本発明の技術分野>
本発明は、移動用途及び固定用途で使用するのに適している高効率太陽電池に関する。
【背景技術】
【0004】
太陽電池の開発は50年以上進行中である。単接合(One-junction)のシリコン太陽電池は、長い間にわたって多くの注目を集め、陸上の光起電力用途で用いられてきた。しかしながら、単接合シリコン太陽電池は、太陽エネルギー変換の理論的な可能性の半分以下を捕えるだけであり、現時点における最高の実験室太陽電池であっても、たった約24.7%の効率を提供しているに過ぎない。このことが、太陽電池の応用範囲を狭めている。
【0005】
高機能の光起電力システムは、経済的理由及び技術的理由の両方から要求されている。太陽電池の効率を2倍にすれば、電気のコストを半分にすることができる。多くの用途では、現在の太陽電池を用いて必要な電力を提供するのに要求される面積を有していない。
【0006】
より効率的な太陽電池のために、2つのタイプの太陽電池の構成が提案された。一方は横方向の構成である。光学分散要素は、太陽スペクトルを波長成分に分けるのに用いられる。個々の太陽電池は、各波長域の下に配置され、そして、その波長域の光に対して良好な効率を提供するようにセルが選択される。他方の構成は垂直方向の構成であり、異なるエネルギーギャップを有する個々の太陽電池が積層体(stack)中に配置されている。これらは一般にカスケードセル(cascade cells)、タンデムセル(tandem cells)又は多接合セル(multiple junction cells)と呼ばれる。太陽光は、積層体を通過する。
【0007】
高効率の太陽電池と、そのようなセルを達成できる構成とを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体を含み、太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光はHEGC積層体中の第1セルの表面に入射し、HEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧Eであり、HEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、それによりHEGC積層体を透過する光を提供する、高効率太陽電池を提供する。
【0009】
太陽電池は、HEGC積層体を透過した光が入射される1つ以上のスペクトルビームスプリッタ(spectral beam splitter)をさらに含んでおり、1つ以上のスペクトルビームスプリッタは、HEGC積層体を透過した光を2つ以上のスペクトル成分に分ける。
【0010】
ある態様では、本発明は、
(a)異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体であって、太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光はHEGC積層体中の第1セルの表面に入射し、HEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧Eであり、HEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、それによりHEGC積層体を透過する光を提供する、HEGC積層体と、
(b)Eで作動し、HEGC積層体を透過した光がダイクロイックミラーに入射するように配置されたダイクロイックミラーであって、E<Eであり、ダイクロイックミラーは、HEGC積層体を透過した光を2つのスペクトル成分に分けること提供し、一方の成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでおり、これらの成分のいずれか一方はダイクロイックミラーによって反射され、残りの一方はダイクロイックミラーを透過する、ダイクロイックミラーと、
を含む高効率太陽電池を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明はまた、
(a)異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体であって、太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光はHEGC積層体中の第1セルの表面に入射し、HEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧Eであり、HEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、それによりHEGC積層体を透過する光を提供する、HEGC積層体と、
(b)Eで作動し、HEGC積層体を透過した光がダイクロイックミラーに入射するように配置されたダイクロイックミラーであって、E<Eであり、ダイクロイックミラーは、HEGC積層体を透過した光を2つのスペクトル成分に分けること提供し、一方の成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでおり、これらの成分のいずれか一方はダイクロイックミラーによって反射され、残りの一方はダイクロイックミラーを透過する、ダイクロイックミラーと、
(c)異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、MEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された中エネルギーギャップセル(MEGC)積層体であって、MEGC積層体は、エネルギー≧Eの光子を含む光の成分がMEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように配置され、MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eであり、MEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、MEGC積層体と、
(d)異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、LEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された低エネルギーギャップセル(LEGC)積層体であって、LEGC積層体は、エネルギー<Eの光子を含む光の成分がLEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように配置され、LEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは<Eであり、LEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、LEGC積層体と、
を含む高効率太陽電池も提供する。
【0012】
は、エネルギー≧Eの光子を含む光の成分が導かれる全てのセルのうちで、最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップと、ほぼ等しいのが好ましい。
【0013】
本発明はまた、太陽光を電力に変換する方法も提供し、その方法は、
(a)太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光がHEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように、高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体を配置する工程であって、HEGC積層体は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルは、HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されており、HEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧Eであり、HEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、それによりHEGC積層体を透過する光を提供する、HEGC積層体を配置する工程と、
(b)HEGC積層体を透過した光を、2つのスペクトル成分に空間的に分ける工程であって、一方の成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでいる、光を分ける工程と、
(c)エネルギー≧Eの光子を含む光の成分がMEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように、中エネルギーギャップセル(MEGC)積層体を配置する工程であって、MEGC積層体は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルは、MEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されており、MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eであり、MEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、MEGC積層体を配置する工程と、
(d)エネルギー<Eの光子を含む光の成分がLEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように低エネルギーギャップセル(LEGC)積層体を配置する工程であって、LEGC積層体は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルは、LEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されており、LEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、LEGC積層体を配置する工程と、
を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、セルスタックの概略図を示す。
【図2】図2は、太陽電池の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー」構成を備えている。
【図3】図3は、太陽電池の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体」構成を備えている。
【図4】図4は、太陽電池の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−LEGC積層体」構成を備えている。
【図5】図5は、太陽電池の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。
【図6】図6は、太陽電池のさらに別の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。
【図7】図7は、太陽電池のさらに別の実施態様を示しており、エネルギー≧Eの光子を含む光を透過し、エネルギー<Eの光子を含む光を反射するダイクロイックミラーを備えた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<好ましい実施の形態>
本発明は、30%を越える効率を有し、好ましくは、50%まで及び50%を越える効率を有する高効率太陽電池を提供する。
【0016】
ある実施態様では、太陽電池は、高エネルギーギャップセルと、高エネルギーギャップセルを透過した光を分けるダイクロイックミラーとを含んでいる。この新規な太陽電池の構成では、分散装置によって太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光に高エネルギーギャップセルを露出することは、高効率の太陽電池を達成可能にする上で、及び太陽電池の様々な実施態様を提供する上で、重要な役割を果たす。この新規な構成は、実用的な高効率太陽電池を可能にするように、太陽スペクトルのすべての部分を効率的に使用することを提供する。高エネルギーセルは、エネルギー≧Eの高エネルギー光子、つまり、太陽光の青緑色〜紫外線の部分を吸収し、そのエネルギーを電気に変換する。高エネルギーセルはエネルギー<Eの光子に対しては透明で当該光子を透過する。そして、残りの光(つまり、高エネルギーギャップセルを透過した光)のスペクトル分離が、1つ以上のスペクトルビームスプリッタによって行なわれる。スペクトルビームスプリッタは、ダイクロイックミラー、1つ以上のプリズム、1つ以上のレンズ、フィルター、あるいは光をスペクトル成分に分けることのできる他の光学スプリッタであってもよい。スペクトルビームスプリッタはダイクロイックミラーであるのが好ましい。スペクトル分離より前に、青緑色〜紫外線の光は高エネルギーギャップセルによって吸収されているので、ダイクロイックミラーに対する要求は緩和される。従って、残りの光について、改良された安価な分離が達成可能である。また、残りの光を吸収してそのエネルギーを電気に変換するのに用いられるセルへの要求も、緩和される。結果として、実用的な高効率太陽電池を達成することができる。
【0017】
で作動するダイクロイックミラーは、高エネルギーギャップセルを透過した光がダイクロイックミラーに入射するように配置される。いわゆる「コールド」ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。いわゆる「ホット」ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む光を透過し、エネルギー<Eの光子を含む光を反射する。2タイプのダイクロイックミラーの開発の現段階では、「コールド」ダイクロイックミラーのほうが好ましい。ダイクロイックミラーは平面でも曲面でもよい。その後、ダイクロイックミラーによって反射された光及びダイクロイックミラーを透過した光は、他のセルによって吸収されて、そのエネルギーは電気に変換されてもよい。
【0018】
別の実施態様では、太陽光が入射する高エネルギーギャップセルは、異なるエネルギーギャップ(それらは全て≧Eである)を有する2つ以上の高エネルギーギャップセルのうちの1つである。セルは、積層体中で最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列される。この場合もやはり、スペクトルビームスプリッタによって太陽光をスペクトル成分に分ける前に、太陽光にHEGC積層体中の第1セルを露出することは、高効率の太陽電池を達成可能にする上で、及び太陽電池の様々な実施態様を提供する上で、重要な役割を果たす。
第1セルは、そのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を吸収し、そのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子に対しては透明で当該光子を透過する。積層体中の第2セルは、第1セルより低いエネルギーギャップを有しており、そのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を吸収し、そのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子に対しては透明で当該光子を透過する。他のセルも、同様にして積層体中に存在している。この実施態様では、Eで作動するダイクロイックミラーは、HEGC積層体を透過した光がダイクロイックミラーに入射するように配置される。この場合もやはり、その後、ダイクロイックミラーによって反射された光、及びダイクロイックミラーを透過した光は、他のセルによって吸収されて、そのエネルギーは電気に変換されてもよい。異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルが、HEGC積層セル中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されたHEGC積層体についての記載であって、太陽光はHEGC積層体中の第1セルの表面に入射し、HEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧Eであり、HEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、HEGC積層体についての記載は、上述の実施形態(1つだけの高エネルギーギャップセルを有する実施形態と、2つ以上の高エネルギーギャップセルを有する実施形態)の両方を包含する。本明細書では、これらの太陽電池は、「HEGC積層体−ダイクロイックミラー」構成を備えた太陽電池と呼ばれる。
【0019】
本明細書では、「セル」は、様々な積層体に含まれている個々のセルを記述するのに用いられ、それらは一般に太陽電池と呼ばれている。本明細書では、「太陽電池」の用語は、完成した装置を記述するのに用いられる。
【0020】
上述のとおり、本明細書で用いられている「積層体中のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された」とは、最大のエネルギーギャップを有する第1セル、第1セルの直下に次に大きいエネルギーギャップを有する第2セル、第2セルの直下に3番目に大きいエネルギーギャップを有する第3セル、のように、積層体中のセルが順に配列されていることを意味している。セル積層体(セルスタック)のこのような配置は、図1に模式的に示されている。セルスタック10は3つのセル1、2、3を有しており、セル1が第1セルである。3つのセルのエネルギーギャップは、E>E>Eのような関係になっている。ここでEはセル1のエネルギーギャップ、Eはセル2のエネルギーギャップ、Eはセル3のエネルギーギャップである。セル1は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するだろう。セル2は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過するだろう。セル3についても同様である。セルは、吸収した光子のエネルギーを電気に変換する。
【0021】
本明細書で用いられている「吸収された」とは、セルに吸収された光子が、電子−正孔ペアの生成をもたらすことを意味する。
【0022】
本明細書では「Eで作動するダイクロイックミラー」とは、ダイクロイックミラーがHEGC積層体を透過した光を、エネルギー≧Eの光子を含む光と、エネルギー<Eの光子を含む光と、の2つのスペクトル成分に分けることを意味する。これらの成分のいずれか一方はダイクロイックミラーによって反射され、残りの一方はダイクロイックミラーを透過する「コールド」ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。「ホット」ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む光を透過し、エネルギー<Eの光子を含む光を反射する。一般的に、ダイクロイックミラーは、HEGC積層体を透過した光に対して垂直にならないように、配置されるだろう。このようにすると、反射光の方向は、HEGC積層体の方へ直接戻らずに、むしろダイクロイックミラーに入射する光の方向に対して角度をなしている。また、反射光はより容易にアレンジされて、他のセルに入射することができる。透過から反射への遷移が、エネルギーとそれに対応する波長の範囲にわたって発生する。作動エネルギーEは、この遷移領域の中間点として見なされる。その遷移が非常に鋭いのでない限り、エネルギー>Eの光子のいくらかは透過され、そしてエネルギー<Eの光子のいくらかは反射されるだろう、と認識される。遷移範囲内では、Eより大きいエネルギーを有する光子の大部分は反射され、Eより小さいエネルギーを有する光子の大部分が透過される。上記の「Eで作動するダイクロイックミラー」の定義は、遷移領域の性質に対するこのような認識の点から理解され解釈されるべきである。既知のダイクロイックミラーでは、ダイクロイックミラーを回転させて、そこに入射する光の入射方向に対する垂直方向から遠ざけると、作動エネルギーが低いエネルギー側(高い波長側)にシフトする。「Eで作動するダイクロイックミラー」は、ダイクロイックミラーが入射光の方向に対して配置される位置に適用する、と理解され解釈されるべきである。ダイクロイックミラーは多層構造体であり、典型的には、2種類の透明酸化物を交互に積層した20層以上の層を含んでいる。よりシャープな遷移のためには、より多くの層と、より高いコストとを必要とする。
【0023】
太陽電池のある実施態様では、太陽電池は、HEGC積層体及びダイクロイックミラーに加えて、MEGC積層体を含んでいる。エネルギー≧Eの光子を含む光の成分は、アレンジされて(arranged)MEGC積層体に入射する。本明細書では、この太陽電池は「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体」構成を備えた太陽電池と呼ばれている。エネルギー<Eの光子を含む光の成分は、アレンジされて他のセルに入射する。例えば、この光は、他のセルに入射する前に、スペクトル成分にさらに分けてもよい。
【0024】
太陽電池の別の実施態様では、太陽電池は、HEGC積層体及びダイクロイックミラーに加えて、LEGC積層体を含んでいる。エネルギー<Eの光子を含む光の成分は、アレンジされてLEGC積層体に入射する。本明細書では、この太陽電池は「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−LEGC積層体」構成を備えた太陽電池と呼ばれている。エネルギー≧Eの光子を含む光の成分は、アレンジされて他のセルに入射する。例えば、この光は、他のセルに入射する前に、スペクトル成分にさらに分けてもよい。
【0025】
太陽電池の特に好ましい実施態様では、太陽電池は、HEGC積層体及びダイクロイックミラーに加えて、MEGC積層体及びLEGC積層体を含んでいる。エネルギー≧Eの光子を含む光の成分は、アレンジされてMEGC積層体に入射し、エネルギー<Eの光子を含む光の成分は、アレンジされてLEGC積層体に入射する。本明細書では、この太陽電池は「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えた太陽電池と呼ばれている。
【0026】
MEGC積層体は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルは、MEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されている。MEGC積層体は、エネルギー≧Eの光子を含む光の成分がMEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように配置されている。MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eである。MEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する。好ましくは、MEGC積層体は少なくとも2つのセルを含んでいる。
【0027】
LEGC積層体は、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上のセルを含み、それらのセルは、LEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列されている。LEGC積層体は、エネルギー<Eの光子を含む光の成分がLEGC積層体中の第1セルの表面に入射するように配置されている。LEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは<Eである。LEGC積層体中の1つ以上のセルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する。好ましくは、LEGC積層体は少なくとも2つのセルを含んでいる。最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップは、それを透過した光子の大部分を効率的に吸収できるくらいに十分低いのが好ましい。
【0028】
ダイクロイックミラーが作動するように設計されるEは、用いられている特定のセルのエネルギーギャップによって決定される。Eは、エネルギー≧Eの光子を含む光の成分が導かれる全てのセルのうちで、最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップと、ほぼ等しいのが好ましい。例えば「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体」構成あるいは「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成のように、MEGC積層体が存在する場合、Eは、MEGC積層体中のセルのうちで、最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップとほぼ等しいのが好ましい。エネルギー≧Eの光子を含む光の成分がさらにスペクトルで分割されるならば、Eは、空間的に分割された光を入射されたセルのうちで、最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップとほぼ等しい。
【0029】
ダイクロイックミラーによって反射された光及び/又はダイクロイックミラーを透過した光は、適切な積層体中の第1セルの表面に直接入射することができる。代わりに、ダイクロイックミラーによって反射された光及び/又はダイクロイックミラーを透過した光が、反射ミラーによって反射されそして方向付けられて、適切な積層体中の第1セルの表面に入射するように(つまり、エネルギー≧Eの光子を含む光が、MEGC積層体の第1セルの表面に入射するように方向付けられ、エネルギー<Eの光子を含む光が、LEGC積層体の第1セルの表面に入射するように方向付けられるように)、反射ミラーを配置してもよい。
【0030】
図2〜図7では、同じ符号は、同じ部分を特定するために用いられる。単純化のために、様々な光線(light beams)は2つの光の筋(light ray)で表されている。
【0031】
図2は、太陽電池の実施態様を示しており、「HEGC積層体−ダイクロイックミラー」構成を備えている。太陽電池20Aは、HEGC積層体21と、「コールド」ダイクロイックミラー24とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーによって反射される。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーを透過する。
【0032】
図3は、太陽電池の実施態様を示しており、「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体」構成を備えている。太陽電池20Bは、HEGC積層体21と、MEGC積層体22と、「コールド」ダイクロイックミラー24とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。図示されているMEGC積層体22は、異なるエネルギーギャップE26、E27を有する2つのセル26、27を含んでおり、ここで、E26とE27は両方とも≧E且つ<Eであり、また、E26>E27である。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーによって反射され、MEGC積層体22の第1セル26の表面に入射する。セル26、27の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーを透過する。
【0033】
図4は、太陽電池の実施態様を示しており、「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−LEGC積層体」構成を備えている。太陽電池20Cは、HEGC積層体21と、LEGC積層体23と、「コールド」ダイクロイックミラー24とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。図示されているLEGC積層体23は、異なるエネルギーギャップE28、E29を有する2つのセル28、29を含んでおり、ここで、E28とE29は両方とも<Eであり、また、E28>E29である。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーによって反射される。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーを透過して、LEGC積層体23の第1セル28の表面に入射する。セル28、29の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。
【0034】
図5は、太陽電池の実施態様を示しており、「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。太陽電池20Dは、HEGC積層体21と、MEGC積層体22と、LEGC積層体23と、「コールド」ダイクロイックミラー24とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。図示されているMEGC積層体22は、異なるエネルギーギャップE26、E27を有する2つのセル26、27を含んでおり、ここで、E26とE27は両方とも≧E且つ<Eであり、また、E26>E27である。図示されているLEGC積層体23は、異なるエネルギーギャップE28、E29を有する2つのセル28、29を含んでおり、ここで、E28とE29は両方とも<Eであり、また、E28>E29である。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーによって反射され、MEGC積層体22の第1セル26の表面に入射する。セル26、27の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーを透過して、LEGC積層体23の第1セル28の表面に入射する。セル28、29の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。
【0035】
図6は、太陽電池の別の実施態様を示しており、3つの積層体が単一の取付けボード(mounting boards)の上に取り付けられた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。太陽電池20Eは、HEGC積層体21と、MEGC積層体22と、LEGC積層体23と、「コールド」ダイクロイックミラー24と、反射鏡40と、単一の取付けボード41とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。図示されているMEGC積層体22は、異なるエネルギーギャップE26、E27を有する2つのセル26、27を含んでおり、ここで、E26とE27は両方とも≧E且つ<Eであり、また、E26>E27である。図示されているLEGC積層体23は、異なるエネルギーギャップE28、E29を有する2つのセル28、29を含んでおり、ここで、E28とE29は両方とも<Eであり、また、E28>E29である。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む光を透過する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーによって反射され、MEGC積層体22の第1セル26の表面に入射する。セル26、27の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーを透過して、反射ミラー40によって反射される。反射光33は、LEGC積層体23の第1セル28の表面に入射する。セル28、29の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。HEGC積層体、MEGC積層体及びLEGC積層体はすべて、取付けボード41に支持される。取付けボード41の開口42は、光31の透過を可能にするために提供される。代わりに、透明な材料で開口を充填してもよく、又は光31に対して透明な取付けボードを用いてもよい。
【0036】
で作動し、エネルギー<Eの光子を含む光を反射し、エネルギー≧Eの光子を含む光を透過するダイクロイックミラーを用いた場合、図2〜図6に示された、エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーによって反射され、エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーを透過する。結果として、図2〜図6に示されたLEGC積層体23の位置にMEGC積層体22が配置され、図2〜図6に示されたMEGC積層体22の位置にLEGC積層体23が配置される。このことは、図6と図7との比較によりはっきりと理解される。
【0037】
図7は、太陽電池の別の実施態様を示しており、3つの積層体が単一の取付けボードの上に取り付けられた「HEGC積層体−ダイクロイックミラー−MEGC積層体−LEGC積層体」構成を備えている。太陽電池20Fは、HEGC積層体21と、MEGC積層体22と、LEGC積層体23と、「ホット」ダイクロイックミラー24と、反射鏡40と、単一の取付けボード41とを含んでいる。図示されているHEGC積層体21は、エネルギーギャップEを有する1つのセル25を含んでいる。図示されているMEGC積層体22は、異なるエネルギーギャップE26、E27を有する2つのセル26、27を含んでおり、ここで、E26とE27は両方とも≧E且つ<Eであり、また、E26>E27である。図示されているLEGC積層体23は、異なるエネルギーギャップE28、E29を有する2つのセル28、29を含んでおり、ここで、E28とE29は両方とも<Eであり、また、E28>E29である。ダイクロイックミラー24はEで作動し、エネルギー≧Eの光子を含む光を透過し、エネルギー<Eの光子を含む光を反射する。太陽光30は、高エネルギーギャップセル25の表面に入射する。高エネルギーギャップセル25は、エネルギー≧Eの光子を含む光を吸収し、エネルギー<Eの光子を含む光31を透過する。光31は、光31の方向に対して垂直にならないように配置されたダイクロイックミラー24に入射する。エネルギー<Eの光子を含む光33はダイクロイックミラーによって反射され、LEGC積層体23の第1セル28の表面に入射する。セル28、29の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。エネルギー≧Eの光子を含む光32はダイクロイックミラーを透過して、反射ミラー40によって反射される。反射光32は、MEGC積層体22の第1セル26の表面に入射する。セル26、27の各々は、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップ未満のエネルギーの光子を含む光を透過する。HEGC積層体、MEGC積層体及びLEGC積層体はすべて、取付けボード41に支持される。取付けボード41の開口42は、光31の透過を可能にするために提供される。代わりに、透明な材料で開口を充填してもよく、又は光31に対して透明な取付けボードを用いてもよい。
【0038】
エネルギーギャップ≧2.0eVを有するHEGC積層体用のセルに適している材料は、III−V属のGaInP/AlGaInP及びAlInGaNの材料系から選ぶことができる。エネルギーギャップ2.4eVを有するInGaNセルは、好ましいセルである。調製のためには、例えば、2006年5月10日にハワイ州ワイコロアで行われた2006年IEEE第4回太陽光発電世界会議(IEEE 4th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion)でのO. Janiらの議事録を参照されたい。HEGC積層体がセルを1つだけ含んでいる場合、サファイヤ基板上のInGaNが好ましい。InGaN−サファイヤの組み合わせは、InGaNの屈折率約2.1〜2.3及びサファイヤの屈折率約1.8と低い屈折率を有している。このことは、セル表面からの太陽光の反射を最小限にするために用いられる光学的反射防止コーティングに対する要求を緩和する。サファイヤ基板を成形して、レンズとして機能させることもできる。
【0039】
エネルギーギャップ<2.0eV且つ≧E(ここで、Eは約1.4eV)を有するMEGC積層体用のセルに適している材料は、III−V属のGaInP/GaAsP/GaInAsの材料系から選ぶことができる。エネルギーギャップ1.84eVを有するGaInPセルと、エネルギーギャップ1.43eVを有するGaAsセルは、MEGC積層体用の好ましいセルのうちの2つである。K. A. Bertnessら、Appl. Phys. Letter 65, 989 (1994)に記載されているように、GaInP/GaAsのタンデムセルから成る2セルMEGC積層体は、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、ホスフィン、アルシン及び他の前駆体を用いて調製することができる。
【0040】
GaAsは、MEGC積層体中で最も低いエネルギーギャップを有するセル用に好適なセルである。エネルギー≧Eの光子を含む光の成分がさらにスペクトルで分割されるならば、それは、最も低いエネルギーギャップを有するセルとして用いるのに好適なセルでもある。従って、Eは約1.43eVであるのが好ましい。
【0041】
エネルギーギャップ<E(ここで、Eは約1.4eV)を有し、LEGC積層体に用いるのに適したセルは、エネルギーギャップ1.12eVを有するシリコンセルと、エネルギーギャップ<1eVを有するInGaAsセル及びInGaAsPセルである。シリコンセルとその調製はよく知られている。InGaAsセルは、熱光発電(thermophotovoltaic)用の用途に設計された技術装置(art devices)の状態である。調製のためには、例えば、2002年IEEE太陽光発電専門家会議(IEEE Photovoltaic Specialists Conference)、884〜887ページのR. J. Wehrerらの議事録を参照されたい。
【0042】
ある実施態様では、1つ以上の積層体中のセルを電気的に直列に接続して、積層体用に単一の出力を提供することができる。より好ましい実施形態では、HEGC積層体、MEGC積層体及びLEGC積層体の中の個々のセルはすべて、個々の電気接続と接触している。これは太陽電池の実質的な単純化をもたらし、セルの最適な操作を提供する価値としては、各セルを通る電圧を調節する機会を提供する。セルは、太陽電池に所望の電圧で単一の電気出力を提供する電力結合器(power combiner)と接続することができる。
【0043】
特定の実施態様の形態によっては、HEGC積層体、MEGC積層体およびLEGC積層体は、1つ以上の取付けボードに取り付けることができる。取付けボードは、吸収されなかったはずの光を吸収し光のエネルギーを電気に変換するスカベンジャーセル(scavenger cell)として機能する、1つ以上のシリコンセルを構成してもよい。
【0044】
セルの表面から反射された光は、太陽電池の効率を低減する潜在的な原因である。光が入射するセルのいずれかの表面に反射防止コーティングを塗布して、この損失を最小限にすることができる。
【0045】
ある実施態様では、HEGC積層体を透過した光、ダイクロイックミラーによって反射された光及びダイクロイックミラーを透過した光は、ダイクロイックミラー及び各々のセルあるいは積層体に入射する前に、空気中を伝搬する。別の実施態様では、これらの様々な光を伝搬するための1つ以上の透明固体(transparent solids)が提供されてもよい。
【0046】
好ましい実施態様では、高効率太陽電池は、さらに光学素子を含んでいる。表面に入射する日射の強度又は濃度は1X(規定濃度)である。1Xの太陽光によって高い太陽電池効率を達成することは、より高濃度の太陽光を用いて達成するよりも、より難しく、且つより高価になる。光学素子の目的は、そこに入射する光を集めて濃度を高め、そしてHEGC積層体中の第1セルの表面に光を方向付けることである。光学素子は、静的集光器(static concentrator)である総合的な内部反射集光器を含む。この静的集光器は、太陽電池で利用可能な太陽光の出力密度を増加させる。空の大部分から光を受けるのは、広い受光角度の集光器(wide acceptance-angle concentrator)である。追尾集光器(tracking concentrator)とは異なり、静的集光器は散乱光の多くを捕捉することができ、その散乱光の大半はスペクトルの青色〜紫外線部分にある。この散乱光は、太陽スペクトル中の入射パワー(incident power)の約10%を占める。実際には、高レベルの濃度は、年間を通じて日射のパワー密度の低い空のそれらの部分からの光を排除(reject)することにより、達成される。このように、太陽光の濃度は10X倍に増える。集光器の位置を1年間ある時間に調節可能ならば、より高い濃度が得られる。光は集光器の1つの表面を通って透過し、そしてその表面は、HEGC積層体中の第1セルの表面に隣接している。本明細書では「太陽光」とは、その濃度に関係なく、HEGC積層体中の第1セルの表面に入射する全ての太陽スペクトルを指すのに用いられる。好ましくは、その濃度は10X以上である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体を含む高効率太陽電池であって、前記HEGC積層体は、前記HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含み、
太陽光は、前記太陽光をスペクトル成分に分ける前に、前記HEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射し、
前記HEGC積層体中の各セルの前記エネルギーギャップは≧Eであり、
前記HEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、
≧2.0eVであることを特徴とする高効率太陽電池。
【請求項2】
前記HEGC積層体を透過した前記光が入射される1つ以上のスペクトルビームスプリッタをさらに含んでおり、
1つ以上の前記スペクトルビームスプリッタは、前記HEGC積層体を透過した光を2つ以上のスペクトル成分に分けることを特徴とする請求項1に記載の高効率太陽電池。
【請求項3】
高効率太陽電池であって、
(a)高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記HEGC積層体であって、
太陽光は、前記太陽光をスペクトル成分に分ける前に、前記HEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射し、
前記HEGC積層体中の各セルの前記エネルギーギャップは≧Eであり、
前記HEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、HEGC積層体と、
(b)Eで作動し、前記HEGC積層体を透過した前記光がダイクロイックミラーに入射するように配置された前記ダイクロイックミラーであって、
<Eであり、
前記ダイクロイックミラーは、前記HEGC積層体を透過した前記光を2つのスペクトル成分に分けること提供し、一方の前記成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の前記成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでおり、
これらの前記成分のいずれか一方は前記ダイクロイックミラーによって反射され、残りの一方は前記ダイクロイックミラーを透過する、ダイクロイックミラーと、
を含むことを特徴とする高効率太陽電池。
【請求項4】
前記ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む前記光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む前記光を透過することを特徴とする請求項3に記載の高効率太陽電池。
【請求項5】
≧2.0eVであり、
前記Eは、エネルギー≧Eの光子を含む前記光の成分が導かれる全ての前記セルのうちで、最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップと、ほぼ等しいことを特徴とする請求項3に記載の高効率太陽電池。
【請求項6】
前記最も低いエネルギーギャップを有する前記セルがGaAsセルであり、前記Eが約1.43eVであることを特徴とする請求項5に記載の高効率太陽電池。
【請求項7】
さらに、
(c)中エネルギーギャップセル(MEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記MEGC積層体であって、
前記MEGC積層体は、エネルギー≧Eの光子を含む前記光の成分が前記MEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置され、
前記MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eであり、
前記MEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、MEGC積層体を含むことを特徴とする請求項3に記載の高効率太陽電池。
【請求項8】
さらに、
(c)低エネルギーギャップセル(LEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記LEGC積層体であって、
前記LEGC積層体は、エネルギー<Eの光子を含む光の成分が前記LEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置され、
前記LEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは<Eであり、
前記LEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、LEGC積層体を含むことを特徴とする請求項1に記載の高効率太陽電池。
【請求項9】
高効率太陽電池であって、
(a)高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記HEGC積層体であって、
太陽光は、前記太陽光をスペクトル成分に分ける前に、前記HEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射し、
前記HEGC積層体中の各セルの前記エネルギーギャップは≧Eであり、
前記HEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、HEGC積層体と、
(b)Eで作動し、前記HEGC積層体を透過した前記光がダイクロイックミラーに入射するように配置された前記ダイクロイックミラーであって、
<Eであり、
前記ダイクロイックミラーは、前記HEGC積層体を透過した前記光を2つのスペクトル成分に分けること提供し、一方の前記成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の前記成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでおり、
これらの前記成分のいずれか一方は前記ダイクロイックミラーによって反射され、残りの一方は前記ダイクロイックミラーを透過する、ダイクロイックミラーと、
(c)中エネルギーギャップセル(MEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記MEGC積層体であって、
前記MEGC積層体は、エネルギー≧Eの光子を含む前記光の成分が前記MEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置され、
前記MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eであり、
前記MEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、MEGC積層体と、
(d)低エネルギーギャップセル(LEGC)積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含む前記LEGC積層体であって、
前記LEGC積層体は、エネルギー<Eの光子を含む前記光の成分が前記LEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置され、
前記LEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは<Eであり、
前記LEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、LEGC積層体と、
を含むことを特徴とする高効率太陽電池。
【請求項10】
前記ダイクロイックミラーは、エネルギー≧Eの光子を含む前記光を反射し、エネルギー<Eの光子を含む前記光を透過し、
前記MEGC積層体は、エネルギー≧Eの光子を含む反射光が前記MEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置され、
前記LEGC積層体は、エネルギー<Eの光子を含む透過光が前記LEGC積層体中の前記第1セルの表面に入射するように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項11】
≧2.0eVであり、
前記Eは、前記MEGC積層体中で最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップとほぼ等しいことを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項12】
前記最も低いエネルギーギャップを有する前記セルがGaAsセルであり、前記Eが約1.43eVであることを特徴とする請求項11に記載の高効率太陽電池。
【請求項13】
前記HEGC積層体は1つのセルを含み、前記MEGC積層体は少なくとも2つのセルを含み、前記LEGC積層体は少なくとも2つのセルを含むことを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項14】
≧2.0eVであり、
前記Eは、前記MEGC積層体中で最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップとほぼ等しいことを特徴とする請求項10に記載の高効率太陽電池。
【請求項15】
前記最も低いエネルギーギャップを有する前記セルがGaAsセルであり、前記Eが約1.43eVであることを特徴とする請求項14に記載の高効率太陽電池。
【請求項16】
前記HEGC積層体は1つのセルを含み、前記MEGC積層体は少なくとも2つのセルを含み、前記LEGC積層体は少なくとも2つのセルを含むことを特徴とする請求項10に記載の高効率太陽電池。
【請求項17】
前記HEGC積層体、前記MEGC積層体及び前記LEGC積層体の中の個々のセルはすべて、個々の電気接続と接触していることを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項18】
さらに、反射ミラーを含み、
前記反射ミラーは、前記ダイクロイックミラーを透過した前記光が、反射ミラーによって反射されそして方向付けられて、適切な積層体中の第1セルの表面に入射するように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項19】
前記太陽光を集めて濃度を高め、前記太陽光を方向付けて前記HEGC積層体中の前記第1セルの表面に照射するための光学素子をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の高効率太陽電池。
【請求項20】
太陽光を電力に変換する方法であって、
(a)太陽光をスペクトル成分に分ける前に、前記太陽光が高エネルギーギャップセル(HEGC)積層体中の第1セルの表面に入射するように、前記HEGC積層体を配置する工程であって、
前記HEGC積層体は、前記HEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する第1セルから、エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含み、
前記HEGC積層体中の各セルの前記エネルギーギャップは≧Eであり、
前記HEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過し、それにより前記HEGC積層体を透過する光を提供する、前記HEGC積層体を配置する工程と、
(b)前記HEGC積層体を透過した前記光を、2つのスペクトル成分に空間的に分ける工程であって、一方の前記成分はエネルギー≧Eの光子を含む光を含み、他方の前記成分はエネルギー<Eの光子を含む光を含んでいる、前記光を分ける工程と、
(c)エネルギー≧Eの光子を含む前記光の成分が中エネルギーギャップセル(MEGC)積層体中の第1セルの表面に入射するように、前記MEGC積層体を配置する工程であって、
前記MEGC積層体は、前記MEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する前記第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含み、
前記MEGC積層体中の各セルのエネルギーギャップは≧E且つ<Eであり、
前記MEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、前記MEGC積層体を配置する工程と、
(d)エネルギー<Eの光子を含む前記光の成分が低エネルギーギャップセル(LEGC)積層体中の第1セルの表面に入射するように、前記LEGC積層体を配置する工程であって、
前記LEGC積層体は、前記LEGC積層体中の1つ以上のセルのうちで最大のエネルギーギャップを有する前記第1セルから、前記エネルギーギャップの高い順に垂直方向に配列された、異なるエネルギーギャップを有する1つ以上の前記セルを含み、
前記LEGC積層体中の1つ以上の前記セルは、それらのエネルギーギャップ以上のエネルギーの光子を含む光を吸収し、それらのエネルギーギャップより小さいエネルギーの光子を含む光に対しては透明で当該光を透過する、前記LEGC積層体を配置する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
≧2.0eVであり、
前記Eは、前記MEGC積層体中で最も低いエネルギーギャップを有するセルのエネルギーギャップとほぼ等しいことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記最も低いエネルギーギャップを有する前記セルがGaAsセルであり、前記Eが約1.43eVであることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−545182(P2009−545182A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522789(P2009−522789)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/016667
【国際公開番号】WO2008/091290
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(592063353)ユニバーシティー、オブ、デラウェア (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF DELAWARE
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【出願人】(309025753)
【氏名又は名称原語表記】DARPA
【Fターム(参考)】