説明

高効率赤外線導入加熱装置

【課題】 赤外線の集中加熱を可能として高効率化をなし得ると共に、机上においても使用できるように小型・軽量化を図り、それにより省電力化をなし得る新規な高効率赤外線導入加熱装置を提供することを目的とする。
【課題手段】 赤外線放射側回転楕円反射ミラー1に赤外線集光側回転反射ミラー2を接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラー1の焦点位置Fに赤外線ランプ3を配置してあり、赤外線放射側回転楕円反射ミラー1及び赤外線集光側回転反射ミラー2によって反射された赤外線が赤外線集光側回転反射ミラー2の先端小径部8に集中して集光されるように赤外線放射側回転楕円反射ミラー1及び赤外線集光側回転反射ミラー2の形状を構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハー、セラミックス、金属等の材料を真空中、磁界中又は各種ガス雰囲気下で高温に高効率で加熱するための高効率赤外線導入加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線放射側1/2回転楕円反射ミラーと、赤外線集光側1/2回転楕円集光ミラーとからなる赤外線加熱部を構成し、赤外線放射側1/2回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを配置し、赤外線集光側1/2回転楕円集光ミラーの焦点位置に円柱状透明石英ロッドの入射部を配置し、円柱状透明石英ロッドの出射部に臨ませて試料載置台を配置した赤外線導入加熱装置は公知である(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特許第2517218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献の先行例は、本特許出願人が開発し提供したもので、高速で高温まで加熱することができる。しかし、この先行例は、発生する赤外線の一部を有効利用できず、加熱効率が低下するという課題があった。また、比較的大型のもので重量も重く、机上に設置して使用できないという課題もあった。また、大電力を必要とするという課題があった。さらに、赤外線放射度に広がりがあり、加熱試料の大きさにより集中加熱が困難な場合もあった。
本発明は、上記課題に鑑み、赤外線の集中加熱を可能として高効率化をなし得ると共に、机上においても使用できるように小型・軽量化を図り、それにより省電力化をなし得る新規な高効率赤外線導入加熱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために、本発明の高効率赤外線導入加熱装置は、赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置Fに赤外線ランプを配置してあり、赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーによって反射された赤外線が赤外線集光側回転反射ミラーの先端小径部に集中して集光されるように赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーの形状を構成してあることを特徴とする。
また、上記赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーの結合した形状が倒立鶏卵形状であることを特徴とする。
【0005】
また、本発明の高効率赤外線導入加熱装置は、赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置Fに赤外線ランプを配置してあり、円錐状透明石英ロッドを赤外線集光側回転反射ミラー内に設け、円錐状透明石英ロッドの先端小径部を赤外線放出側に向けて配置し、該円錐状透明石英ロッドの先端小径部に同径の円柱状透明石英ロッドを一体的に又は円錐状透明石英ロッドと円柱状透明石英ロッドを分離して設けて赤外線集光側回転反射ミラーより突出させ、この突出する円柱状透明石英ロッドの先端に臨ませて試料載置台を配置してあることを特徴とする。
また、上記円錐状透明石英ロッドの周縁が、赤外線集光側回転反射ミラーの内面に近接又は当接してあることを特徴とする。
さらに、上記赤外線集光側回転反射ミラーが円錐状反射ミラーであることを特徴とする。
また、上記円錐状透明石英ロッドの大径側表面が断面円弧状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の高効率赤外線導入加熱装置は、赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを配置してあり、赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーによって反射された赤外線が赤外線集光側回転反射ミラーの先端小径部に集中して集光されるように赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーの形状を構成してあるから、赤外線放射側回転楕円反射ミラーと赤外線集光側回転反射ミラーからなる加熱部内の赤外線I1,,Iを集中して集光し、試料に対する集中加熱を可能とし、高効率化をなし得る赤外線導入加熱装置を提供できる効果がある。また、机上においても使用できる小型・軽量化をなし得ると共に省電力化をなし得る効果がある。
【0007】
また、本発明の高効率赤外線導入加熱装置は、赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを配置してあり、円錐状透明石英ロッドを赤外線集光側回転反射ミラー内に設け、円錐状透明石英ロッドの先端小径部を赤外線放出側に向けて配置し、該円錐状透明石英ロッドの先端小径部に同径の円柱状透明石英ロッドを一体的に又は分離して設けて赤外線集光側回転反射ミラーより突出させ、この突出する円柱状透明石英ロッドの先端に臨ませて試料載置台を配置してあるから、円錐状透明石英ロッドの大径側入射表面が赤外線ランプから発生する略全ての赤外線I1,,Iを円錐状透明石英ロッドに取り込み、円錐状透明石英ロッドに一体的に又は分離して設けた円柱状透明石英ロッドに集中して導入することができ、透明石英ロッド内の赤外線は殆ど減衰がないので、きわめて高効率の赤外線導入加熱装置を提供できる効果がある。また、高効率にすることができたから、装置として小型・軽量化をなし得ると共に省電力化をなし得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【図2】赤外線集光側回転反射ミラーが円錐状反射ミラーである本発明高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【図3】円錐状透明石英ロッドの大径側表面が断面円弧状である本発明高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【図4】円柱状透明石英ロッドの高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【図5】円柱状透明石英ロッドの先端を凸レンズ状とした円錐状透明透明石英ロッドの構成説明図である。
【図6】赤外線集光回転反射ミラーの焦点位置に試料載置台を設けた高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【図7】図6の赤外線集光回転反射ミラーを円錐状反射ミラーにした高効率赤外線導入加熱装置の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に示した構成説明図により本発明の詳細を説明する。
図1中符号1が赤外線放射側回転楕円反射ミラーで、この赤外線放射側回転楕円反射ミラー1に赤外線集光側回転反射ミラー2を接続して加熱部9を構成してある。これら赤外線放射側回転楕円反射ミラー1と赤外線集光側回転反射ミラー2とは従前公知の赤外線導入加熱装置の加熱部と同様にステンレス材等の本体内面に金メッキを施して構成してあり、図示しないが外側には水冷冷却構造を設けてある。
また、赤外線放射側回転楕円反射ミラー1と赤外線集光側回転反射ミラー2との接続は、図示してないが公知の接続構造と同様にそれぞれの接続部にフランジを設け、このフランジ同士を着脱自在にネジ止めして構成してある。
【0010】
本発明の高効率赤外線導入加熱装置は、図1に示すように赤外線放射側回転楕円反射ミラー1を浅い形状に構成し、赤外線集光側回転反射ミラー2を深い形状に構成し、例えば、請求項2に示すように倒立鶏卵形状として、赤外線放射側回転楕円反射ミラー1の焦点位置の赤外線ランプ3からの赤外線I1,,Iが両反射ミラーに反射されて赤外線集光側回転反射ミラー2の
円錐状透明石英ロッド4の先端小径部8に集中して集光される。
【0011】
上記赤外線放射側回転楕円反射ミラー1の焦点位置に赤外線ランプ3を配置してあり、一方の赤外線集光側回転反射ミラー2内には円錐状透明石英ロッド4を設けてある。この円錐状透明石英ロッド4の大径側表面の周縁を赤外線集光側回転反射ミラー2の内面に近接又は当接して配置してある。一方、円錐状透明石英ロッド4の先端小径部8には、この小径部と同径の円柱状透明石英ロッド5を一体的に又は分離可能に設けてあり、この円柱状透明石英ロッド5を赤外線集光側回転反射ミラー2より突出させてあり、この円柱状透明石英ロッド5の赤外線出射端である先端6に臨ませて試料載置台7を配置して構成してある。
【0012】
本発明高効率赤外線導入加熱装置は、赤外線集光側回転反射ミラー2内に円錐状透明石英ロッド4を配置したから、赤外線ランプ3から発生する赤外線を高効率に取り込むことができ、しかも、円錐状透明石英ロッド4内に入射した赤外線Iは空気との境界面Aで全反射をし、円柱状透明石英ロッド5に向けて集光して導入することができ、しかも、赤外線歯透明石英ロッド内で殆ど減衰がないので、きわめて高効率の赤外線導入加熱装置とすることができた。
【0013】
図2に示した実施例で、図1に示した実施例と同一符号により示した構成は、図1に示した構成と同様であり、この図2に示した構成は赤外線集光側回転反射ミラー2を円錐状透明石英ロッド4と同様の円錐状にしたことを特徴とする。
しかも、この円錐状の赤外線集光側反射ミラー2は円錐状透明石英ロッド4と略近接して配置してあるから、円柱状透明石英ロッド5への集光を、赤外線が透明石英ロッド内で殆ど減衰しないので、より高効率にすることができる。
【0014】
図3に示した実施例で、図2に示した実施例と同一符号により示した構成は、図2に示した構成と同様であり、円錐状透明石英ロッド4の大径側表面を断面円弧状にしたことを特徴とする。この構成により赤外線ランプ3より発せられ、赤外線放射側回転楕円反射ミラー1で反射する赤外線を断面円弧上の表面によりより良好に屈折し、円柱状透明石英ロッド5への集光を、赤外線が透明石英ロッド内で殆ど減衰しないので、より集中して高効率にすることができる。
【0015】
図4に示した実施例で、図3に示した実施例と同一符号により示した構成は、図3に示した構成と同様であり、この実施例では円柱状石英ロッド4を設けず、円錐状をした赤外線集光側回転反射ミラー2の先端から円柱状透明石英ロッド5を突出させてある。
【0016】
図5には、円錐状透明石英ロッド4と円柱状透明ロッド5とを示してあり、円柱状透明石英ロッド5の出射端である先端6を凸レンズ状に構成して出射光を集光するようにしてある。
【0017】
図6には、図1に示した赤外線放射側回転楕円反射ミラー1と赤外線集光側回転反射ミラー2からなる加熱部内の赤外線ランプから発生した赤外線の集光部に試料載置部7を設けた実施例を示してある。
同じく図7には、図6に示した構成と同様で、赤外線集光側回転反射ミラー2を円錐状にした実施例が示してある。
【符号の説明】
【0018】
1 赤外線放射側回転楕円反射ミラー
2 赤外線集光側回転反射ミラー
3 赤外線ランプ
4 円錐状透明石英ロッド
5 円柱状透明石英ロッド
6 先端
7 試料載置台
8 円錐透明石英ロッドの先端小径部
9 加熱部
A 境界面
1,,I 赤外線




【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを配置してあり、赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーによって反射された赤外線が赤外線集光側回転反射ミラーの焦点位置に集中して集光されるように赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーの形状を構成してある高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項2】
赤外線放射側回転楕円反射ミラー及び赤外線集光側回転反射ミラーの結合した形状が倒立鶏卵形状である上記請求項1に記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項3】
赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを配置してあり、円錐状透明石英ロッドを赤外線集光側回転反射ミラー内に設け、円錐状透明石英ロッドの先端小径部を赤外線放出側に向けて配置し、該円錐状透明石英ロッドの先端小径部に同径の円柱状透明石英ロッドを一体的に又は分離して設けて赤外線集光側回転反射ミラーより突出させ、この突出する円柱状透明石英ロッドの先端に臨ませて試料載置台を配置してある高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項4】
上記円錐状透明石英ロッドの周縁が、赤外線集光側回転反射ミラーの内面に近接又は当接してある上記請求項3に記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項5】
上記赤外線集光側回転反射ミラーが円錐状反射ミラーである上記請求項3又は4に記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項6】
上記円錐状透明石英ロッドの大径側表面が断面円弧状である上記請求項3乃至5の何れかに記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項7】
上記円錐状透明石英ロッドをなくし、赤外線集光側回転反射ミラーの先端から円柱状透明石英ロッドを突出させて設けてある上記請求項項3乃至5の何れかに記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項8】
円柱状透明石英ロッドの先端を凸レンズ形状に形成してある上記請求項3乃至7の何れかに記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項9】
赤外線放射側回転楕円反射ミラーに赤外線集光側回転反射ミラーを接続し、赤外線放射側回転楕円反射ミラーの焦点位置に赤外線ランプを設けてあり、赤外線集光側回転反射ミラーの焦点位置に試料載置台を設けてある上記請求項1又は2に記載の高効率赤外線導入加熱装置。
【請求項10】
上記赤外線集光側回転反射ミラーが円錐状反射ミラーである上記請求項9に記載の高効率赤外線導入加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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