説明

高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造方法

ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合含有量少なくとも50mol%及び多分散度好ましくは1.05から3.5未満を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造であって、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物を、ドナーとして、少なくとも1のエーテル官能性又はカルボン酸エステル官能性を有する有機化合物を含有する、重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体の存在下で重合させる製造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合含有量少なくとも50mol%を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの新規製造方法に関する。さらに、本発明は新規イソブテンポリマーに関する。
【0002】
高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーとは、いわゆる低反応性ポリマーとは異なり、末端に配置されたエチレン性二重結合(α−二重結合)の高含有量、具体的にいうと、実地では、大抵はポリイソブテンマクロ分子の個々の鎖末端に対して少なくとも80mol%、を含有するポリイソブテンが理解される。ビニリデン基とは、本願の意味合いにおいては、その位置がポリイソブテンマクロ分子において一般式
【化1】

に記載される二重結合が理解され、すなわち、この二重結合はポリマー鎖中でα位にある。「ポリマー」とは、1のイソブテン単位だけ短くしたポリイソブテン基である。このビニリデン基は極めて高い反応性を、例えば立体的に要求の多い反応パートナー、例えば無水マレイン酸への熱付加の場合に示し、これに対して、更にこのマクロ分子の内部に存在する二重結合は大抵の場合に、官能化反応の際に反応性を示さないか又はより低い反応性を示す。高反応性ポリイソブテンは、特に、潤滑剤及び燃料のための添加剤の製造のための中間生成物として使用され、これは例えばDE−A 2702604に記載される通りである。
【0003】
この種の高反応性ポリイソブテンは、例えばDE−A 2702604の方法に応じて、触媒としての三フッ化ホウ素の存在下で、液相中でイソブテンのカチオン重合によって得られる。ここでの欠点は、この場合に得られるポリイソブテンが比較的高い多分散度を有することである。この多分散度は、得られるポリマー鎖の分子量分布のための尺度であり、かつ、質量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnからの商に相応する(PDI=Mw/Mn)。
【0004】
類似して高い割合の末端二重結合を有するが、より狭い分子量分布を有するポリイソブテンは、例えば、EP−A 145235、US 5408018並びにWO 99/64482の方法に応じて得られ、その際、この重合は脱活性化触媒、例えば三フッ化ホウ素とアルコール及び/又はエーテルの錯体の存在下で行われる。
【0005】
高反応性ポリイソブテンは、イソブテンのリビングカチオン重合及び得られる重合生成物の引き続くデヒドロハロゲン化によっても得られ、例えばUS 5340881からの方法に応じて得られる。しかし、このような方法は手間がかかり、というのも、このリビングカチオン重合を用いて導入されるハロゲン末端基は、二重結合を生じさせるために、別個の工程において分離されなければならないからである。
【0006】
さらに、例えばHigh Polymers、第XXIV巻 (第2部)、713−733頁(Herausgeber: Edward C. Leonard)、出版社J.Wiley & Sons、New York、1971から、ルイス酸 三塩化アルミニウムをイソブテンのための重合触媒として使用できることも長い間知られている。
【0007】
文献論文"Cationic polymerization using heteropolyacid salt catalysts"(Topics in Catalysis Vol. 23, 175−181頁(2003))において、James D. Burrington et al.は、イソブテン用の重合触媒として三塩化アルミニウムを用いると、単に、末端ビニリデン二重結合(α−二重結合)の低含有量を有する低反応性ポリイソブテンが得られるに過ぎないことを指摘している。そして、この文献論文の178頁、表1には、AlCl3を用いて製造したポリイソブテンの一例が挙げられており、これは数平均分子量Mn1000〜2000、多分散度Mw/Mn 2.5〜3.5及びビニリデン異性体(α−二重結合)含有量5%のみを有する(65%の「Tri」の他5%の「β」及び25%の「Tetra」)。
【0008】
文献論文"Novel initiating system based on AlCl3 etherate for quasiliving cationic polymerization of styrene"(Polymer Bulletin Vol. 52, 227−234頁 (2004))では、Sergei V. Kostjuk et al.は、スチレンの重合用に、2−フェニル−2−プロパノール及び三塩化アルミニウム−ジ−n−ブチルエーテル−錯体からの触媒系を記載する。このようにして製造されたスチレン重合体の多分散度Mw/Mnは「〜2.5」(要約書参照)又は「〜3」(230頁参照)である。
【0009】
本発明の課題は、許容可能な収率で、ポリイソブテン末端鎖あたり末端ビニリデン二重結合の含有量少なくとも80mol%及び同時に狭い分子量分布(即ち、低多分散度)を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造方法を提供することであった。この使用される触媒系は、この場合に、十分に活性があり、長持ちし、取り扱いに問題がなく、かつ、障害となりにくいことが望ましい。
【0010】
この課題は、ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合の含有量少なくとも50mol%を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造方法において、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物を、ドナーとして、少なくとも1のエーテル官能性又はカルボン酸エステル官能性を有する有機化合物を含有する、重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体の存在下で重合させることを特徴とする製造方法により解決された。
【0011】
イソブテンホモポリマーとは、本発明の範囲で、このポリマーに対して少なくとも98mol%、好ましくは少なくとも99mol%がイソブテンから構築されているポリマーが理解される。相応して、イソブテンコポリマーとは、イソブテンポリマーとは異なる、2mol%超のモノマー(例えば、鎖状ブテン)を重合導入して含有するポリマーが理解される。
【0012】
本発明の範囲では、総称して定義される基については以下の定義が当てはまる:
1〜C8−アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有する鎖状又は分枝状のアルキル基である。その例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル及びこれらの構造異性体、例えば2−エチルヘキシルである。この種のC1〜C8−アルキル基は、少ない程度で、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素又はハロゲン原子、例えば塩素、及び/又は非プロトン性官能基、例えばカルボキシルエステル基、シアノ基又はニトロ基を含有することもできる。
【0013】
1〜C20−アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有する鎖状又は分枝状のアルキル基である。その例は、上述のC1〜C8−アルキル基及びさらに、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシルである。この種のC1〜C20−アルキル基は、少ない程度で、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素又はハロゲン原子、例えば塩素、及び/又は非プロトン性官能基、例えばカルボキシルエステル基、シアノ基又はニトロ基を含有することもできる。
【0014】
5〜C8−シクロアルキル基は、アルキル側鎖を含有することができる、飽和した環状基である。その例は、シクロペンチル、2−又は3−メチルシクロペンチル、2,3−、2,4−又は2,5−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−又は4−メチルシクロヘキシル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−又は3,6−ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−又は4−メチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−又は5−メチルシクロオクチルである。この種のC5〜C8−シクロアルキル基は、少ない程度で、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素又はハロゲン原子、例えば塩素、及び/又は非プロトン性官能基、例えばカルボキシルエステル基、シアノ基又はニトロ基を含有することもできる。
【0015】
6〜C20−アリール基又はC6〜C12−アリール基は、好ましくは、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたナフチル、場合によって置換されたアントラセニル、又は場合によって置換されたフェナントレニルである。この種のアリール基は1〜5個の非プロトン性置換基又は非プロトン性官能基を有することができ、例えばC1〜C8−アルキル、C1〜C8−ハロゲンアルキル、例えばC1〜C8−クロロアルキル又はC1〜C8−フルオロアルキル、ハロゲン、例えば塩素又はフッ素、ニトロ、シアノ又はフェニルであることができる。そのようなアリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、フェナントレニル、トリル、ニトロフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、(トリフルオロメチル)フェニル、ビス(トリ−フルオロメチル)フェニル、(トリクロロ)メチルフェニル及びビス(トリクロロメチル)フェニルである。
【0016】
7〜C20−アリールアルキル基又はC7〜C12−アリールアルキル基は、好ましくは、場合によって置換されたC1〜C4−アルキルフェニル、例えばベンジル、o−、m−又はp−メチルベンジル、1−又は2−フェニルエチル、1−、2−又は3−フェニルプロピル又は1−、2−、3−又は4−フェニルブチル、場合によって置換されたC1〜C4−アルキルナフチル、例えばナフチルメチル、場合によって置換されたC1〜C4−アルキルアントラセニル、例えばアントラセニルメチル又は場合によって置換されたC1〜C4−アルキルフェナントレニル、例えばフェナントレニルメチルである。この種のアリールアルキル基は、1〜5個の非プロトン性置換基又は非プロトン性官能基を、特にアリール部位に有することができ、例えばC1〜C8−アルキル、C1〜C8−ハロゲンアルキル、例えばC1〜C8−クロロアルキル又はC1〜C8−フルオロアルキル、ハロゲン、例えば塩素又はフッ素、ニトロ、シアノ又はフェニルであることができる。
【0017】
アルミニウム三ハロゲン化物として、特に三フッ化アルミニウム、三塩化アルミニウム又は三臭化アルミニウムが適する。アルミニウムアルキルハロゲン化物として、特に、モノ(C1〜C4−アルキル)アルミニウムジハロゲン化物又はジ(C1〜C4−アルキル)アルミニウムモノハロゲン化物が考慮され、例えばメチルアルミニウム二塩化物、エチルアルミニウム二塩化物、ジメチルアルミニウム塩化物又はジエチルアルミニウム塩化物である。好ましい一実施態様において、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物を、重合触媒として作用するアルミニウム三塩化物ドナー錯体の存在下で重合させる。
【0018】
重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体がドナーとして、少なくとも1のエーテル官能性を有する有機化合物を有する場合には、少なくとも1のエーテル官能性を有する化合物にはアセタール及び半アセタールも理解することができる。
【0019】
本発明の好ましい一実施態様において、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体が使用され、これはドナーとして、一般式R1−O−R2(式中、可変部R1及びR2は、相互に独立してC1〜C20−アルキル基、特にC1〜C8−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基、特にC6〜C12−アリール基、又はC7〜C20−アリールアルキル基、特にC7〜C12−アリールアルキル基である)のジヒドロカルビルエーテルを含有する。
【0020】
前述のジヒドロカルビルエーテルは、開鎖状又は環状であってよく、その際、環状ではこの両方の可変部R1及びR2は環となって閉鎖しており、その際、このような環は2又は3つのエーテル酸素原子を含有することもできる。この種の開鎖状及び環状ジヒドロカルビルエーテルの例は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソブチル−エーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−n−ヘプチルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−(2−エチルヘキシル)エーテル、メチル−n−ブチルエーテル、メチル−sec−ブチルエーテル、メチル−イソブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−n−ブチルエーテル、エチル−sec−ブチルエーテル、エチル−イソブチルエーテル、n−プロピル−n−ブチルエーテル、n−プロピル−sec−ブチルエーテル、n−プロピル−イソブチルエーテル、n−プロピル−tert−ブチルエーテル、イソプロピル−n−ブチルエーテル、イソプロピル−sec−ブチルエーテル、イソプロピル−イソブチルエーテル、イソプロピル−tert−ブチルエーテル、メチル−n−ヘキシルエーテル、メチル−n−オクチルエーテル、メチル−(2−エチルヘキシル)エーテル、エチル−n−ヘキシルエーテル、エチル−n−オクチルエーテル、エチル−(2−エチルヘキシル)エーテル、n−ブチル−n−オクチルエーテル、n−ブチル−(2−エチルヘキシル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−、1,3−及び1,4−ジオキサン、ジシクロヘキシルエーテル、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、ジキシリルエーテル及びジベンジルエーテルである。前述のジヒドロカルビルエーテルのうち、ジ−n−ブチルエーテル及びジフェニルエーテルが、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体のためのドナーとして特に好適であることが判明した。
【0021】
本発明の更に好ましい一実施態様において、代わりに、ドナーとして、一般式R3−COOR4(式中、可変部R3及びR4は、相互に独立してC1〜C20−アルキル基、特にC1〜C8−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基、特にC6〜C12−アリール基、又はC7〜C20−アリールアルキル基、特にC7〜C12−アリールアルキル基である)のカルボン酸ヒドロカルビルエステルを含有する、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体が使用される。
【0022】
前述のカルボン酸ヒドロカルビルエステルの例は、ギ酸−メチルエステル、ギ酸−エチルエステル、ギ酸−n−プロピルエステル、ギ酸−イソプロピルエステル、ギ酸−n−ブチルエステル、ギ酸−sec−ブチルエステル、ギ酸−イソブチルエステル、ギ酸−tert−ブチルエステル、酢酸−メチルエステル、酢酸−エチルエステル、酢酸−n−プロピルエステル、酢酸−イソプロピルエステル、酢酸−n−ブチルエステル、酢酸−sec−ブチルエステル、酢酸−イソブチルエステル、酢酸−tert−ブチルエステル、プロピオン酸−メチルエステル、プロピオン酸−エチルエステル、プロピオン酸−n−プロピルエステル、プロピオン酸−イソプロピルエステル、プロピオン酸−n−ブチルエステル、プロピオン酸−sec−ブチルエステル、プロピオン酸−イソブチルエステル、プロピオン酸−tert−ブチルエステル、酪酸−メチルエステル、酪酸−エチルエステル、酪酸−n−プロピルエステル、酪酸−イソプロピルエステル、酪酸−n−ブチルエステル、酪酸−sec−ブチルエステル、酪酸−イソブチルエステル、酪酸−tert−ブチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−メチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−エチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−n−プロピルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−イソプロピルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−n−ブチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−sec−ブチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−イソブチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸−tert−ブチルエステル、安息香酸−メチルエステル、安息香酸−エチルエステル、安息香酸−n−プロピルエステル、安息香酸−イソプロピルエステル、安息香酸−n−ブチルエステル、安息香酸−sec−ブチルエステル、安息香酸−イソブチルエステル、安息香酸−tert−ブチルエステル、フェニル酢酸−メチルエステル、フェニル酢酸−エチルエステル、フェニル酢酸−n−プロピルエステル、フェニル酢酸−イソプロピルエステル、フェニル酢酸−n−ブチルエステル、フェニル酢酸−sec−ブチルエステル、フェニル酢酸−イソブチルエステル及びフェニル酢酸−tert−ブチルエステルである。前述のカルボン酸ヒドロカルビルエステルのうち、酢酸エチルエステルが、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体のためのドナーとして、特に好ましいことが判明した。
【0023】
さらに、ドナー化合物が、3〜16個、好ましくは4〜16個、特に4〜12個、とりわけ4〜8個の総炭素数を有するジヒドロカルビルエーテル及びカルボン酸ヒドロカルビルエスエルが、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体のためのドナーとして、特に好ましいことが判明した。ジヒドロカルビルエーテルは、特殊には、特に全部で6〜14個、とりわけ8〜12個の炭素原子を有するものが好ましい。カルボン酸ヒドロカルビルエステルは、特殊には、特に全部で3〜10個、とりわけ4〜6個の炭素原子を有するものが好ましい。
【0024】
前述のドナー化合物対アルミニウム三ハロゲン化物又はアルミニウムアルキルハロゲン化物、特にアルミニウム三塩化物のモル比は、ドナー錯体中で、通常は、0.3:1〜1.5:1、特に0.5:1〜1.2:1、とりわけ0.7:1〜1.1:1の範囲で変動し、大抵の場合には1:1である。しかし、極めて過剰量の、しばしば10倍まで、特に3倍までのモル過剰量のドナー化合物を用いても、作業することができる。このドナー化合物の過剰量は、こうしてさらに溶媒又は希釈剤として作用する。
【0025】
通常は、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体は、重合前に別個にアルミニウム三ハロゲン化物又はアルミニウムアルキルハロゲン化物、特に水不含アルミニウム三塩化物及びドナー化合物から製造され、こうして−大抵は不活性溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンに溶解した状態で−重合媒体に添加される。この錯体は、しかし、in situで重合前に製造されることもできる。
【0026】
本発明の好ましい一実施態様において、重合は、一官能性又は多官能性の、特に一官能性、二官能性又は三官能性の開始剤の併用下で実施され、これは、有機ヒドロキシ化合物、有機ハロゲン化合物及び水から選択されている。前述の開始剤の混合物を使用することもでき、例えば、2又はそれより多い有機ヒドロキシ化合物からの混合物、2又はそれより多い有機ハロゲン化合物からの混合物、1又は複数の有機ヒドロキシ化合物と1又は複数の有機ハロゲン化合物からの混合物、1又は複数の有機ヒドロキシ化合物と水からの混合物、又は1又は複数の有機ハロゲン化合物と水からの混合物である。開始剤は、一官能性、二官能性又は多官能性であってよく、すなわち、開始剤分子中にそのつど1、2又はそれより多いヒドロキシル基又はハロゲン原子(これらに対して重合反応が開始する)が存在してよい。二又は多官能性開始剤の場合には、通常は、2又はそれより多い、特に2又は3つのポリイソブテン鎖末端を有する、テレケリックイソブテンポリマーが得られる。
【0027】
一官能性開始剤として適している有機ヒドロキシ化合物であって1個のみのヒドロキシル基を分子中に有するものとして、特に、アルコール及びフェノールを挙げることができ、特に、一般式R5−OH(式中、R5はC1〜C20−アルキル基、特にC1〜C8−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基、特にC6〜C12−アリール基、又はC7〜C20−アリールアルキル基、特にC7〜C12−アリールアルキル基である)のものを挙げることができる。さらに、基R5は、上述の構造からの混合物を含有する、かつ/又は、既に挙げたもの以外の更なる官能基、例えばケト官能性、ニトロキシド又はカルボキシル基及び/又は複素環式構造要素を有することもできる。
【0028】
この種の有機モノヒドロキシ化合物のための典型例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、p−メトキシフェノール、o−、m−及びp−クレゾール、ベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、1−及び2−フェニルエタノール、1−及び2−(p−メトキシフェニル)エタノール、1−、2−及び3−フェニル1−プロパノール、1−、2−及び3−(p−メトキシフェニル)−1−プロパノール、1−及び2−フェニル−2−プロパノール、1−及び2−(p−メトキシフェニル)−2−プロパノール、1−、2−、3−及び4−フェニル−1−ブタノール、1−、2−、3−及び4−(p−メトキシフェニル)−1−ブタノール、1−、2−、3−及び4−フェニル−2−ブタノール、1−、2−、3−及び4−(p−メトキシフェニル)−2−ブタノール、9−メチル−9H−フルオレン−9−オール、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール、1,1−ジフェニルプロパノール、4−(1−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)ベンゾニトリル、シクロプロピルジフェニルメタノール、1−ヒドロキシ−1,1−ジフェニルプロパン−2−オン、ベンジル酸、9−フェニル−9−フルオレノール、トリフェニルメタノール、ジフェニル(4−ピリジニル)メタノール、アルファ,アルファ−ジフェニル−2−ピリジンメタノール、4−メトキシトリチルアルコール(特に固相としてポリマー結合している)、アルファ−tert−ブチル−4−クロロ−4′−メチルベンズヒドロール、シクロヘキシルジフェニルメタノール、アルファ−(p−トリル)−ベンズヒドロール、1,1,2−トリフェニルエタノール、アルファ,アルファ−ジフェニル−2−ピリジンエタノール、アルファ,アルファ−4−ピリジルベンゾヒドロール−N−オキシド、2−フルオロトリフェニルメタノール、トリフェニルプロパルギルアルコール、4−[(ジフェニル)ヒドロキシメチル]ベンゾニトリル、1−(2,6−ジメトキシフェニル)−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノール、1,1,2−トリフェニルプロパン−1−オール及びp−アニスアルデヒドカルビノールである。
【0029】
二官能性開始剤として適している有機ヒドロキシ化合物であって2つのヒドロキシル基を分子中に有するものとして、特に、二価アルコール又はジオールであって全炭素数2〜30個、特に3〜24個、とりわけ4〜20個を有するもの及びビスフェノールであって全炭素数6〜30個、特に8〜24個、とりわけ10〜20個を有するものを挙げることができ、例えば、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−、1,3−又は1,4−ビス(1−ヒドロキシ1−メチルエチル)ベンゼン(o−、m−又はp−ジクミルアルコール)、ビスフェノールA、9,10−ジヒドロ−9,10−ジメチル−9,10−アントラセンジオール、1,1−ジフェニルブタン−1,4−ジオール、2−ヒドロキシトリフェニルカルビノール及び9−[2−(ヒドロキシメチル)フェニル]−9−フルオレノールである。
【0030】
一官能性開始剤として適している有機ハロゲン化合物であって1個のハロゲン原子を分子中に有するものとして、特に、一般式R6−Hal(式中、Halはハロゲン原子であってフッ素、ヨウ素、特に塩素及び臭素から選択されたものを意味し、R6はC1〜C20−アルキル基、特にC1〜C8−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基又はC7〜C20−アリールアルキル基、特にC7〜C12−アリールアルキル基を意味する)の化合物を挙げることができる。さらに、基R6は、上述の構造からの混合物を含有する、かつ/又は、既に挙げたもの以外の更なる官能基、例えばケト官能性、ニトロキシド又はカルボキシル基、及び/又は複素環式構造要素を有することもできる。
【0031】
この種の有機モノハロゲン化合物のための典型例は、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、2−クロロプロパン、2−ブロモプロパン、1−クロロブタン、1−ブロモブタン、sec−ブチルクロリド、sec−ブチルブロミド、イソブチルクロリド、イソブチルブロミド、tert−ブチルクロリド、tert−ブチルブロミド、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−クロロヘプタン、1−ブロモヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモオクタン、1−クロロ−2−エチルヘキサン、1−ブロモ−2−エチルヘキサン、シクロヘキシルクロリド、シクロヘキシルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、1−フェニル−1−クロロエタン、1−フェニル−1−ブロモエタン、1−フェニル−2−クロロエタン、1−フェニル−2−ブロモエタン、1−フェニル−1−クロロプロパン、1−フェニル−1−ブロモプロパン、1−フェニル−2−クロロプロパン、1−フェニル−2−ブロモプロパン、2−フェニル−2−クロロプロパン、2−フェニル−2−ブロモプロパン、1−フェニル−3−クロロプロパン、1−フェニル−3−ブロモプロパン、1−フェニル−1−クロロブタン、1−フェニル−1−ブロモブタン、1−フェニル−2−クロロブタン、1−フェニル−2−ブロモブタン、1−フェニル−3−クロロブタン、1−フェニル−3−ブロモブタン、1−フェニル−4−クロロブタン、1−フェニル−4−ブロモブタン、2−フェニル−1−クロロブタン、2−フェニル−1−ブロモブタン、2−フェニル−2−クロロブタン、2−フェニル−2−ブロモブタン、2−フェニル−3−クロロブタン、2−フェニル−3−ブロモブタン、2−フェニル−4−クロロブタン及び2−フェニル−4−ブロモブタンである。
【0032】
二官能性開始剤として適した有機ハロゲン化合物であって2個のハロゲン分子を分子中に有するものは、例えば1,3−ビス−(1−ブロモ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス−(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン(1,3−ジクミルクロリド)及び1,4−ビス−(2−クロロ−2−プロピル)−ベンゼン(1,4−ジクミルクロリド)を挙げることができる。
【0033】
特に好ましくは、開始剤は、1又は複数のヒドロキシル基がそれぞれ1のsp3混成した炭素原子に結合している有機ヒドロキシ化合物、1又は複数のハロゲン原子がそれぞれ1のsp3混成した炭素原子に結合している有機ハロゲン化合物、及び、水から選択されている。このうち、特に、1又は複数のヒドロキシル基がそれぞれ1のsp3混成した炭素原子に結合している有機ヒドロキシ化合物から選択されている開始剤が好ましい。
【0034】
特に好ましくは、開始剤として、さらに、1又は複数のハロゲン原子がそれぞれ1の第二級又は特に第三級sp3混成した炭素原子に結合している有機ハロゲン化合物である。
【0035】
好ましくは、特に、このようなsp3混成した炭素原子にヒドロキシル基の他に基R5、R6及びR7を有し、これらが相互に独立して水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C7〜C20−アルキルアリール又はフェニルである開始剤であり、その際、芳香族核はさらに1又は複数の、好ましくは1又は2のC1〜C4−アルキル−、C1〜C4−アルコキシ−、C1〜C4−ヒドロキシ−アルキル−又はC1〜C4−ハロゲンアルキル基を置換基として有することができ、その際、最高で1の可変部R5、R6又はR7は水素を意味し、かつ、少なくとも1の可変部R5、R6又はR7はフェニルであり、これはさらに1又は複数の、好ましくは1又は2のC1〜C4−アルキル−、C1〜C4−アルコキシ−、C1〜C4−ヒドロキシ−アルキル−又はC1〜C4−ハロゲンアルキル基を置換基として有することができる。
【0036】
本発明にとっては、特にとりわけ好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−フェニルエタノール、1−(p−メトキシフェニル)エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−フェニル−2−プロパノール(クメン)、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−フェニル−1−クロロエタン、2−フェニル−2−クロロプロパン(クメンクロリド)、tert−ブチルクロリド及び1,3−又は1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択されている開始剤である。このうち、水、メタノール、エタノール、1−フェニルエタノール、1−(p−メトキシフェニル)エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−フェニル−2−プロパノール(クメン)、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−フェニル−1−クロロエタン及び1,3−又は1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択されている開始剤が特に好ましい。
【0037】
前述の開始剤対、使用されるイソブテンモノマー(イソブテンの単独重合の場合に)又は使用される重合可能なモノマーの全量(イソブテンの共重合の場合に)のモル比は、前記開始剤のそれぞれの個々の官能性部位に対して通常は、0.0005:1〜0.1:1、特に0.001:1〜0.075:1、特に0.0025:1〜0.05:1である。唯一の開始剤としての又は更なる開始剤としての有機ヒドロキシ化合物及び/又は有機ハロゲン化合物との組み合わせにおける水の使用の場合には、水対、使用されるイソブテンモノマー(イソブテンの単独重合の場合に)又は使用される重合可能なモノマーの全量(イソブテンの共重合の場合に)のモル比は、特に0.0001:1〜0.1:1、特に0.0002:1〜0.05:1である。
【0038】
有機ヒドロキシ化合物又はハロゲン化合物として添加される開始剤−分子の一部は重合鎖中に組み込まれる。このような組み込まれる有機開始剤−分子により開始される、ポリマー鎖の割合(leff)は、100%までであることができ、通常は5〜90%である。残りのポリマー鎖は、開始剤−分子としての湿分痕跡量に由来する水により、又は、連鎖移動反応により発生する。
【0039】
本発明の更なる好ましい一実施態様において、重合を、そのつど1molの使用されるイソブテンモノマー(イソブテンの単独重合の場合に)又は1molの使用される重合可能なモノマーの全量(イソブテンの共重合の場合に)に対して、0.01〜10mmol、特に0.05〜5.0mmol、とりわけ0.1〜1.0mmolの、窒素含有塩基性化合物の存在下で実施する。
【0040】
この種の窒素含有塩基性化合物として、脂肪族、脂環式又は芳香族アミンであって一般式R7−NR89のもの(式中、可変部R7、R8及びR9はそれぞれ相互に独立して水素、C1〜C20−アルキル基、特にC1〜C8−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基、特にC6〜C12−アリール基、又はC7〜C20−アリールアルキル基、特にC7〜C12−アリールアルキル基である)又はアンモニアをも使用できる。これら可変部が水素でない場合には、第三級アミンが存在する。この可変部の1つが水素である場合には、第二級アミンが存在する。この可変部の2つが水素である場合には、第一級アミンが存在する。この可変部全てが水である場合には、アンモニアが存在する。
【0041】
一般式R7−NR89のこのようなアミンの典型例は、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−tert−アミルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−tert−アミルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルエチルアミン、メチル−n−ブチルアミン、N−メチル−N−フェニルアミン、N,N−ジメチル−N−フェニルアミン、N−メチル−N,N−ジフェニルアミン又はN−メチル−N−エチル−N−n−ブチルアミンである。
【0042】
さらに、この種の窒素含有塩基性化合物としては、複数の、特に2又は3個の窒素原子を有し、かつ、2〜20個の炭素原子を有する化合物も使用でき、その際、この窒素原子はそれぞれ相互に独立して水素原子又は脂肪族、脂環式又は芳香族置換基を有する。このようなポリアミンの例は、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N−メチル−1,2−エチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,2−エチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,2−エチレンジアミン又はN,N−ジメチル−1,3−プロピレンジアミンである。
【0043】
しかし、この場合に、この種の窒素含有塩基性化合物としては、特に、飽和、部分飽和又は不飽和の窒素含有の五員環又は六員環の複素環が適し、これは1、2又は3個の環窒素原子を含有し、かつ、1又は2の更なる環へテロ原子であって酸素及び硫黄の群からのもの及び/又はヒドロカルビル基、特にC1〜C4−アルキル基及び/又はフェニル、及び/又は官能基又はヘテロ原子、特にフッ素、塩素、臭素、ニトロ及び/又はシアノを置換基として有することができ、例えばピロリジン、ピロール、イミダゾール、1,2,3−又は1,2,4−トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピペリジン、ピラザン、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−、1,2,4−又は1,2,5−トリアジン、1,2,5−オキサチアジン、2H−1,3,5−チアジアジン又はモルフォリンである。
【0044】
しかし、特に特別な程度で、この種の窒素含有塩基性化合物として、ピリジン又はピリジン誘導体(特にモノ−、ジ−又はトリ−C1〜C4−アルキル置換ピリジン)、例えば2−、3−又は4−メチルピリジン(ピコリン)、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−又は3,6−ジメチルピリジン(ルチジン)、2,4,6−トリメチルピリジン(コリジン)、2−、3−又は4−tert−ブチルピリジン、2−tert−ブチル−6−メチルピリジン、2,4−、2,5−、2,6−又は3,5−ジ−tert−ブチルピリジン又は2−、3−又は4−フェニルピリジンも適している。
【0045】
個々の窒素含有塩基性化合物又はこのような窒素含有塩基性化合物の混合物を使用することができる。
【0046】
重合すべきモノマーとしてのイソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物の使用のためには、イソブテン源として、純粋なイソブテンも、イソブテン含有C4炭化水素流、例えばC4ラフィネート、特に「ラフィネート1」、イソブテン脱水素からのC4カット、スチームクラッキングからの及びFCCクラッキング(fluid catalysed cracking)からのC4カットも、この中に含まれる1,3−ブタジエンを実質的に取り除いている場合に限り、適している。FCCラフィネートユニットからのC4炭化水素流は、「b/b」流としても知られている。更なる適したイソブテン含有C4炭化水素流は、例えば、プロピレン−イソブタン−共酸化の生成物流又はメタセシスユニットからの生成物流であり、これは通常は慣用の精製及び/又は濃縮後に使用される。適したC4炭化水素流は、通常はブタジエンを500ppm未満、好ましくは200ppm未満含有する。1−ブテン及びcis−及びtrans−2−ブテンの存在は実質的に重要でない。典型的には、前述のC4炭化水素流中のイソブテン濃度は40〜60質量%の範囲にある。そして、ラフィネート1は通常は実質的に30〜50質量%のイソブテン、10〜50質量%の1−ブテン、10〜40質量%のcis−及びtrans−2−ブテン並びに2〜35質量%のブタンからなる。本発明の重合方法において、この非分枝ブテンはラフィネート1中で通常は実質的に不活性に振る舞い、かつ、イソブテンのみが重合される。
【0047】
好ましい一実施態様において、重合のためのモノマー源として、イソブテン含有量1〜100質量%、特に1〜99質量%、特に1〜90質量%、特にとりわけ30〜60質量%を有する工業的C4炭化水素流、とりわけラフィネート1流、FCCラフィネートユニットからのb/b流、プロピレン−イソブタン−共酸化の生成物流又はメタセシスユニットからの生成物流が使用される。
【0048】
特に温度−20℃〜+30℃、特に0℃〜+20℃で重合される場合に、特にイソブテン源としてのラフィネート1流の使用では、唯一の又は更なる開始剤として水の使用が有効であることが示された。しかし、−20℃〜+30℃、特に0℃〜+20℃の温度では、イソブテン源としてのラフィネート1流の使用の場合には、開始剤の使用を断念することもできる。
【0049】
前述のイソブテン含有モノマー混合物は、少量の汚染物質、例えば水、カルボン酸又は鉱酸を含有でき、この場合に、決定的な収率損失又は選択率損失は生じない。このような有害物を例えば固体の吸着剤、例えば活性炭、モレキュラーシーブ又はイオン交換体への吸着により、イソブテン含有モノマー混合物から取り除くことによって、不純物の濃縮を回避することが目的に適う。
【0050】
イソブテンのモノマー混合物又はイソブテン含有炭化水素混合物とオレフィン性不飽和モノマー(イソブテンと共重合可能である)とのモノマー混合物もまた、反応させられることができる。イソブテンのモノマー混合物が適したコモノマーと共重合されることが望ましい場合には、このモノマー混合物は好ましくは少なくとも5質量%、特に好ましくは少なくとも10質量%、とりわけ少なくとも20質量%のイソブテンを、好ましくは最高95質量%、特に好ましくは最高90質量%、とりわけ最高80質量%のコモノマーを含有する。
【0051】
共重合可能なモノマーとして次のものが考慮される:ビニル芳香族化合物、例えばスチレン及びα−メチルスチレン、C1〜C4−アルキルスチレン、例えば2−、3−及び4−メチルスチレン及び4−tert−ブチルスチレン、ハロゲンスチレン、例えば2−、3−又は4−クロロスチレン並びに5〜10個の炭素原子を有するイソオレフィン、例えば2−メチルブテン−1、2−メチルペンテン−1、2−メチルヘキセン−1、2−エチルペンテン−1、2−エチルヘキセン−1及び2−プロピルヘプテン−1。コモノマーとしてさらにシリル基を有するオレフィンが考慮され、これは例えば1−トリメトキシシリルエテン、1−(トリメトキシシリル)プロペン、1−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロペン−2、1−[トリ(メトキシエトキシ)シリル]−エテン、1−[トリ(メトキシエトキシ)シリル]プロペン及び1−[トリ(メトキシエトキシ)シリル]−2−メチルプロペン−2である。さらに、−重合条件に依存して−コモノマーとしてイソプレン、1−ブテン及びcis−及びtrans−2−ブテンも考慮される。
【0052】
本発明の方法を用いてコポリマーが製造されることが望ましい場合には、本方法は、好ましくはランダムポリマー又は好ましくはブロックコポリマーが発生するように構成されることができる。ブロックコポリマーの製造には、例えば、種々のモノマーが相次いで重合反応に供給されることができ、その際、第2のコモノマーの添加は特に、第1のコモノマーが少なくとも部分的に既に重合されている場合に初めて行われる。このようにして、ジブロック−、トリブロック−コポリマーもより高級なブロックコポリマーも入手可能になり、これは、モノマー添加の順番に応じて、いずれかのコモノマーのブロックを末端ブロックとして有する。しかし、ブロックコポリマーはいくつかの場合に、全てのコモノマーが確かに同時に重合反応に供給されるが、このうちの1つが、1又は複数の他方のものよりも顕著により迅速に重合する場合にも発生する。これは特に、イソブテン及びビニル芳香族化合物、特にスチレンが本発明の方法で共重合される場合である。この場合に好ましくは末端ポリスチレンブロックを有するブロックコポリマーが発生する。これは、ビニル芳香族化合物、特にスチレンが、イソブテンよりも顕著によりゆっくりと重合することに起因する。
【0053】
この重合は、連続的にも不連続的にも行うことができる。連続方法は、イソブテンの連続重合のための技術水準の既知の方法と同様に三フッ化ホウ素ベースの触媒の存在下で液相中で実施できる。
【0054】
本発明の方法は、低温、例えば−90℃〜0℃での実施にも、高温、すなわち、少なくとも0℃、例えば0℃〜+30℃又は0℃〜+50℃での実施にも適している。しかし、本発明の方法に応じた重合は、好ましくは低温で、通常は−70℃〜−10℃、特に−60℃〜−15℃で実施される。
【0055】
本発明の方法に応じた重合が重合すべきモノマー又はモノマー混合物の沸点で又は沸点を超える温度で実施される場合には、好ましくは圧力容器中、例えばオートクレーブ中又は圧力反応器中で実施される。
【0056】
好ましくは、本発明の方法に応じた重合は、不活性希釈剤の存在下で実施される。使用される不活性希釈剤は、重合反応の間に通常発生する、反応溶液の粘度増加を、発生する反応熱の排出が保証されることができる限り減少させるために、適していることが望ましい。希釈剤として、使用される試薬に対して不活性である溶媒又は溶媒混合物が適している。適した希釈剤は、例えば脂肪族炭化水素、例えばn−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン及びイソオクタン、脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン及びシクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン及びハロゲン化炭化水素、特にハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば塩化メチル、ジクロロメタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン及び1−クロロブタン並びにハロゲン化芳香族炭化水素及びアルキル側鎖においてハロゲン化したアルキル芳香族化合物、例えばクロロベンゼン、モノフルオロメチルベンゼン、ジフルオロメチルベンゼン及びトリフルオロメチルベンゼン、並びに前述の希釈剤の混合物である。希釈剤として又は前述の溶媒混合物の成分として、イソブテン含有C4炭化水素流の不活性含分も利用できる。
【0057】
好ましくは、本発明の重合は、不活性希釈剤としての、ハロゲン化炭化水素中で、特にハロゲン化脂肪族炭化水素中で、又はハロゲン化炭化水素、特にハロゲン化脂肪族炭化水素からの混合物中で、又は少なくとも1のハロゲン化炭化水素、特にハロゲン化脂肪族炭化水素と、少なくとも1の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素とからの混合物中で実施され、例えば、通常Vol比10:90〜90:10、特に50:50〜85:15にある、ジクロロメタンとn−ヘキサンの混合物中で実施される。好ましくは、この希釈剤は、その使用前に、不純物、例えば水、カルボン酸又は鉱酸が、例えば、固形の吸着剤、例えば活性炭、モレキュラーシーブ又はイオン交換体への吸着により、取り除かれている。
【0058】
更なる好ましい一実施態様において、本発明の重合をハロゲン不含脂肪族の、特にハロゲン不含芳香族の炭化水素、特にトルエン中で実施する。この実施態様には、前述の有機ヒドロキシ化合物及び/又は前述の有機ハロゲン化合物と組み合わせたか、又は特に唯一の開始剤としての水が特に好ましいことが判明した。
【0059】
好ましくは、本発明の方法に応じた重合は、実質的に非プロトン性の、特に実質的に水不含の反応条件下で実施される。実質的に非プロトン性又は実質的に水不含の反応条件とは、この水含有量(又はプロトン性不純物の含有量)が反応混合物中で50ppm未満、特に5ppm未満であることが理解される。通常は、したがって、この使用物質はその使用前に、物理的及び/又は化学的処置によって乾燥される。特に、溶媒として使用される脂肪族又は脂環式炭化水素が、通常の予備精製及び予備乾燥後に、金属有機化合物、例えばオルガノリチウム−、オルガノマグネシウム−又はオルガノアルミニウム−化合物と、溶媒からの水痕跡量を実質的に除去するために十分な量で混合することが有効であることが判明した。このようにして処理した溶媒は、次いで好ましくは直接的に反応容器中へと凝縮(einkondensieren)される。同じようにして、重合すべきモノマー、特にイソブテン又はイソブテン含有混合物を用いて進行させることもできる。他の通常の乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ又は予備乾燥した酸化物、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化カルシウム又は酸化バリウムを用いた乾燥も適している。金属、例えばナトリウム又はカリウムを用いたか又は金属アルキルを用いた乾燥が考慮されないハロゲン化溶媒は、このために適した乾燥剤、例えば塩化カルシウム、五酸化リン又はモレキュラーシーブを用いて、水又は水痕跡量が取り除かれる。同じようにして、金属アルキルを用いた処理が同様に考慮されない使用物質、例えばビニル芳香族化合物を乾燥させることもできる。水を開始剤として使用又は併用する場合にも、開始剤 水を狙いを定めて規格化した量で使用することができるように、好ましくは溶媒及びモノマーからの残存湿分は反応前に乾燥により実質的に又は完全に除去されることが望ましく、これによって、より高いプロセス制御及び結果の再現性が得られる。
【0060】
イソブテン又はイソブテン含有使用材料の重合は全ての慣用の場合に、所望の反応温度での、アルミニウム三ハロゲン化物−ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物−ドナー錯体と、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物との接触の場合に自発的に行われる。この場合に、場合によって希釈剤中にあるモノマーを装入し、反応温度にもたらし、引き続きアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体に添加するように進行させることもできる。場合によって希釈剤中にあるアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体を装入し、引き続きモノマーを添加するように、進行させることもできる。こうして、重合開始として、全ての反応物質が反応容器中に含まれている時間点が該当する。
【0061】
イソブテンコポリマーの製造のためには、場合によって希釈剤中にあるモノマーを装入し、引き続き、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体を添加して、進行させることができる。反応温度の調整は、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体の添加前又は後に行うことができる。まず、場合によって希釈剤中にあるモノマーの1のみを装入し、引き続きアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体を添加し、所定の期間の後初めて、例えば少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%のモノマーが反応した後初めて、1又は複数の更なるモノマーを添加するように進行させることもできる。代わりに、場合によって希釈剤中にあるアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体を装入し、引き続き、モノマーを同時に又は相次いで添加し、次に、所望の反応温度に調節することもできる。こうして、重合開始としては、この場合に、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体及び少なくとも1のモノマーが反応容器中に含まれている時間点が該当する。
【0062】
ここに記載の不連続方式の他に、本発明の方法に応じた重合を連続方法として構成することもできる。ここでは、使用物質、すなわち、1又は複数の重合すべきモノマー、場合によって希釈剤並びに場合によってアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体を、重合反応に連続的に供給し、反応器中に多かれ少なかれ定常的な重合条件が調節されるように、連続的に反応生成物を取り出す。この1又は複数の重合すべきモノマーは、自体で、希釈剤又は溶媒で希釈して、又はモノマー含有炭化水素流として供給することができる。
【0063】
重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体は、重合溶媒中で通常は溶解されて、分散されて、又は懸濁されて存在する。通常の担体材料への、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体の担体付与も、可能である。本発明の重合方法のために適した反応器タイプは、通常は、撹拌槽反応器、ループ反応器及び管型反応器であるが、しかし、流動床反応器、流動層反応器、撹拌タンク反応器(溶媒あり及びなし)、液床反応器、連続固定床反応器及び不連続固定床反応器であってもよい(バッチ式運転)。
【0064】
本発明の方法では、重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体は、通常は、アルミニウム三ハロゲン化物−ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物錯体中の、特にアルミニウム三塩化物ドナー錯体中の、アルミニウム対イソブテン(イソブテンの単独重合の場合)又は使用される重合可能なモノマーの全量(イソブテンの共重合の場合)のモル比が、1:5〜1:5000、好ましくは1:10〜1:5000、特に1:15〜1:1000、とりわけ1:20〜1:250の範囲にある量で使用される。
【0065】
反応停止のために、反応混合物は好ましくは失活され、これは例えば、プロトン性化合物の添加により、特に水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール又は水とのその混合物の添加により、又は水性塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカーボナート、例えばナトリウム−、カリウム−、マグネシウム−又はカルシウム−カーボナート、又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属のヒドロゲンカーボナート、例えば、ナトリウム−、カリウム−、マグネシウム−又はカルシウム−ヒドロゲンカーボナートの水溶液の添加により行われる。
【0066】
本発明の方法は、ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合(α−二重結合)含有量少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも60mol%、より好ましくは少なくとも70mol%、より好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは少なくとも85mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、特に好ましくは91mol%超、特に少なくとも95mol%、例えば約100mol%を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造に用いられる。特に、ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合(α−二重結合)含有量少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも60mol%、より好ましくは少なくとも70mol%、より好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは少なくとも85mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、特に好ましくは91mol%超、特に少なくとも95mol%、例えば約100mol%を有する、イソブテン及び少なくとも1のビニル芳香族モノマー、特にスチレンから合成されている高反応性イソブテンコポリマーの製造にも用いられる。イソブテン及び少なくとも1のビニル芳香族モノマー、特にスチレンからのこのようなコポリマーの製造には、イソブテン又はイソブテン含有炭化水素カットが少なくとも1のビニル芳香族モノマーと、イソブテン対ビニル芳香族化合物の質量%比5〜95:95〜5、特に30〜70:70〜30で共重合される。
【0067】
好ましくは、本発明の方法で製造された高反応性イソブテンホモポリマー又は−コポリマー、特殊にはイソブテンホモポリマーは、多分散度(PDI=Mw/Mn)1.05から3.5未満、好ましくは1.05から3.0未満、好ましくは1.05から2.5未満、好ましくは1.05から2.3、特に好ましくは1.05から2.0、特に1.1から1.85を有する。PDIの典型的な値は、最適な方法実施の場合に1.2〜1.7である。
【0068】
好ましくは、本発明の方法で製造した高反応性イソブテンホモポリマー又は−コポリマーは数平均分子量Mn(ゲル透過クロマトグラフィにより測定)好ましくは500〜250000、特に好ましくは500〜100000、より好ましくは500〜25000、特に500〜5000を有する。イソブテンホモポリマーは、より好ましくは数平均分子量Mn500〜10000、特に500〜5000、例えば約1000又は約2300を有する。
【0069】
本発明により製造したイソブテンホモポリマー中に主たる割合として生じる、末端のビニリデン二重結合を有するイソブテンポリマー(開始剤分子を組み込んで含有する)の一部は、新規な化合物である。したがって、一般式I
【化2】

[式中、
10、R11及びR12は、相互に独立して水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C7〜C20−アルキルアリール又はフェニル、その際、芳香族核はさらに1又は複数のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式II
【化3】

の原子団を置換基として有することができ、
その際、可変部R10、R11又はR12の最高で1つは水素を意味し、かつ、可変部R10、R11又はR12の少なくとも1はフェニルであり、これはさらに1又は複数のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式IIの原子団を置換基として有することができる、かつ
nは9〜4500、好ましくは9〜180、特に9〜100、とりわけ12〜50の数である]
のイソブテンポリマーは、本発明の主題でもある。
【0070】
好ましい一実施態様において、R5、R6及びR7は、相互に独立して水素、C1〜C4−アルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチル、又はフェニルであり、これはさらに1又は2のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式IIの原子団を置換基として有することができ、その際、可変部R5、R6又はR7の最高で1つは水素を意味し、かつ、可変部R5、R6又はR7の少なくとも1はフェニルであり、これはさらに1又は2のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式IIの原子団を置換基として有することができ、かつ、nは9〜4500、好ましくは9〜180、特に9〜90、とりわけ15〜45の数である。
【0071】
本発明の方法により、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物はカチオン性条件下で、満足のいく変換率から高変換率でもって、通常は20〜100%、特に35〜90%でもって、短い反応時間において、通常は5〜120分、特に30〜120分において、成功して、ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合含有量少なくとも80mol%を有し、かつ、狭い分子量分布を有する、高反応性イソブテンホモポリマー又は−コポリマーへと重合される。
【0072】
以下の実施例は本発明を説明するが、それによって本発明は制限されない。
【0073】
実施例1:開始剤なしにAlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて30分間の間71%の変換率で、数平均モル質量Mn2095、多分散度(PDI)2.27及び末端ビニリデン二重結合含有量91モル%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0074】
実施例2:開始剤なしにAlCl3・EtOAcを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及び酢酸エチルエステル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて30分間の間17%の変換率で、数平均分子量Mn1930、多分散度(PDI)1.45及び末端ビニリデン二重結合含有量88mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0075】
実施例3:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−40℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmolの存在下で30分間の間62%の変換率で、数平均分子量Mn1515、多分散度(PDI)1.45及び末端ビニリデン二重結合含有量90mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は70%であった。
【0076】
実施例4:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−40℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)1.24mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)1.0mmolの存在下で30分間の間76%の変換率で、数平均分子量Mn1180、多分散度(PDI)1.21及び末端ビニリデン二重結合含有量88mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は90%であった。
【0077】
実施例5:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmolの存在下で31分間の間91%の変換率で、数平均分子量Mn2275、多分散度(PDI)1.83及び末端ビニリデン二重結合含有量85mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は90%であった。
【0078】
実施例6:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン15ml及びn−ヘキサン10mlからの混合物中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.36mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.29mmolの存在下で120分間の間56%の変換率で、数平均分子量Mn2690、多分散度(PDI)1.91及び末端ビニリデン二重結合含有量89mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は88%であった。
【0079】
実施例7a:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン15ml及びn−ヘキサン10mlからの混合物中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.36mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.09mmolの存在下で30分間の間47%の変換率で、数平均分子量Mn3510、多分散度(PDI)2.17及び末端ビニリデン二重結合含有量95mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は37%であった。
【0080】
実施例7b:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
実施例7aを繰り返し、その際、反応期間を4倍にした:120分後に、62%の変換率で、数平均分子量Mn3360、多分散度(PDI)1.93及び末端ビニリデン二重結合含有量91mol%を有するポリイソブテンが得られた。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は23%であった。
【0081】
実施例8:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン2.97g(53.0mmol)をジクロロメタン66ml中で−15℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)2.15mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)1.0mmolの存在下で60分間の間40%の変換率で、数平均分子量Mn1675、多分散度(PDI)1.75及び末端ビニリデン二重結合含有量96mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0082】
実施例9:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン3.09g(55.0mmol)をジクロロメタン66ml中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)1.80mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)1.0mmolの存在下で60分間の間99%の変換率で、数平均分子量Mn1700、多分散度(PDI)1.82及び末端ビニリデン二重結合含有量96mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0083】
実施例10:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・0.8Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:0.8)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmolの存在下で30分間の間44%の変換率で、数平均分子量Mn1550、多分散度(PDI)1.74及び末端ビニリデン二重結合含有量87mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は56%であった。
【0084】
実施例11:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン2.97g(53.0mmol)を含有)7.43gをジクロロメタン66ml中で−30℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)2.15mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)1.0mmolの存在下で60分間の間30%の変換率で、数平均分子量Mn1720、多分散度(PDI)2.04及び末端ビニリデン二重結合含有量93mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0085】
実施例12a:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン2.97g(53.0mmol)をジクロロメタン66ml中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)1.43mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)1.0mmolの存在下で60分間の間100%の変換率で、数平均分子量Mn6005、多分散度(PDI)2.26及び末端ビニリデン二重結合含有量94mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0086】
実施例12b:BF3・MeOHを用いたイソブテンの重合(本発明の実施例12aに対する比較)
純粋なイソブテン2.97g(53.0mmol)をジクロロメタン66ml中で−60℃で、三フッ化ホウ素及びメタノール(モル比1:1)からの錯体1.34mmolを用いて、60分間の間43%の変換率で、数平均分子量Mn4850、多分散度(PDI)4.05及び末端ビニリデン二重結合含有量62.5mol%のみを有するポリイソブテンへと重合した。
【0087】
実施例13:開始剤として1−フェニル−1−クロロエタンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−40℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての1−フェニル−1−クロロエタン0.5mmolの存在下で30分間の間77%の変換率で、数平均分子量Mn2170、多分散度(PDI)1.99及び末端ビニリデン二重結合含有量88mol%を有するポリイソブテンへと重合した。1−フェニル−1−クロロエタンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は4%であった。
【0088】
実施例14:開始剤として1−(p−メトキシフェニル)エタノールを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての1−(p−メトキシフェニル)エタノール0.5mmolの存在下で10分間の間26%の変換率で、数平均分子量Mn960、多分散度(PDI)1.05及び末端ビニリデン二重結合含有量88mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0089】
実施例15a:ピリジンの存在下の、開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン15ml及びn−ヘキサン10mlからの混合物中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.36mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.09mmol及び窒素含有塩基性化合物としてのピリジン0.0125molの存在下で30分間の間44%の変換率で、数平均分子量Mn2580、多分散度(PDI)1.86及び末端ビニリデン二重結合含有量90mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は36%であった。
【0090】
実施例15b:ピリジンの存在下の、開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
実施例15aを繰り返し、その際、反応期間を4倍にした:120分後に、53%の変換率で、数平均分子量Mn2490、多分散度(PDI)1.84及び末端ビニリデン二重結合含有量91mol%を有するポリイソブテンが得られた。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は26%であった。
【0091】
実施例16:ピリジンの存在下の、開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン15ml及びn−ヘキサン10mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.36mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.09mmol及び窒素含有塩基性化合物としてのピリジン0.0125molの存在下で120分間の間21%の変換率で、数平均分子量Mn1445、多分散度(PDI)1.69及び末端ビニリデン二重結合含有量94mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は27%であった。
【0092】
実施例17:ピリジンの存在下の、開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−40℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmol及び窒素含有塩基性化合物としてのピリジン0.0125molの存在下で30分間の間51%の変換率で、数平均分子量Mn1270、多分散度(PDI)1.17及び末端ビニリデン二重結合含有量91mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は48%であった。
【0093】
実施例18:開始剤として1−フェニル−1−クロロエタンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(2.25mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての1−フェニル−1−クロロエタン0.5mmolの存在下で3分間の間37%の変換率で、数平均分子量Mn3270、多分散度(PDI)1.76及び末端ビニリデン二重結合含有量97mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0094】
実施例19:開始剤として1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン20ml及びn−ヘキサン5mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン0.25mmolの存在下で3分間の間36%の変換率で、数平均分子量Mn2750、多分散度(PDI)1.99及び末端ビニリデン二重結合含有量94mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0095】
実施例20:開始剤なしにAlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン15ml及びn−ヘキサン10mlからの混合物中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.36mmolを用いて120分間の間46%の変換率で、数平均分子量Mn7895、多分散度(PDI)2.23及び末端ビニリデン二重結合含有量94mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0096】
実施例21:開始剤として水を用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をジクロロメタン25ml中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての水0.07mmolの存在下で3分間の間65%の変換率で、数平均分子量Mn2500、多分散度(PDI)1.92及び末端ビニリデン二重結合含有量92mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0097】
実施例22:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をトルエン25ml中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmolの存在下で10分間の間19%の変換率で、数平均分子量Mn1030、多分散度(PDI)2.65及び末端ビニリデン二重結合含有量89mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合は98%(leff)であった。
【0098】
実施例23:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン1.43g(25.5mmol)をトルエン15ml及びトリフルオロメチルベンゼン10mlからの混合物中で−20℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)0.62mmolを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)0.5mmolの存在下で3分間の間24%の変換率で、数平均分子量Mn1095、多分散度(PDI)1.93及び末端ビニリデン二重結合含有量78mol%を有するポリイソブテンへと重合した。クメンにより開始したポリマー鎖の割合(leff)は94%であった。
【0099】
実施例24:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン3.00g(53mmol)をジクロロメタン50ml中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)187.2mgを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)24.5mgの存在下で120分間の間23%の変換率で、数平均分子量Mn3210、多分散度(PDI)1.90及び末端ビニリデン二重結合含有量>99mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0100】
実施例25:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いたイソブテンの重合
純粋なイソブテン3.00g(53mmol)をジクロロメタン50ml中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)1140mgを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)24.5mgの存在下で120分間の間100%の変換率で、数平均分子量Mn4220、多分散度(PDI)2.05及び末端ビニリデン二重結合含有量>99mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0101】
実施例26:開始剤としてクメンを用いた、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン3.00g(53mmol)を含有する)7.50gをジクロロメタン50ml中で−60℃で、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテル(モル比1:1)からの錯体(ジクロロメタン中の1モーラー溶液の形)566.8mgを用いて、開始剤としての2−フェニル−2−プロパノール(クメン)24.5mgの存在下で60分間の間80%の変換率で、数平均分子量Mn4770、多分散度(PDI)2.67及び末端ビニリデン二重結合含有量96mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0102】
実施例27:溶媒なしで、開始剤として水を用いた、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン27.7g(494mmol)を含有する)69.25gをオートクレーブ中で、in situでモル比1:1で製造した、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテルからの錯体6.54gを用いて、開始剤としての水0.43g(23.8mmol)の存在下で溶媒無しに0℃で60分間の間76%の変換率で、数平均分子量Mn965、多分散度(PDI)2.86及び末端ビニリデン二重結合含有量76mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0103】
実施例28:溶媒なしで、開始剤として水を用いた、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン29.1g(519mmol)を含有する)72.75gをオートクレーブ中で、in situでモル比1:1で製造した、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテルからの錯体6.79gを用いて、開始剤としての水0.46g(25.4mmol)の存在下で溶媒無しに+20℃で60分間の間69%の変換率で、数平均分子量Mn800、多分散度(PDI)2.69及び末端ビニリデン二重結合含有量70mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0104】
実施例29:溶媒なし、開始剤なしで、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン22.7g(405mmol)を含有する)56.75gをオートクレーブ中で、in situでモル比1:1で製造した、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテルからの錯体6.57gを用いて溶媒無しに、+20℃で60分間の間93%の変換率で、数平均分子量Mn1000、多分散度(PDI)2.90及び末端ビニリデン二重結合含有量76mol%を有するポリイソブテンへと重合した。
【0105】
実施例30:溶媒なし、開始剤なしで、AlCl3・Bu2Oを用いた「ラフィネート1」の重合
「ラフィネート1」(純粋なイソブテン24.9g(444mmol)を含有する)62.25gをオートクレーブ中で、in situでモル比1:1で製造した、三塩化アルミニウム及びジ−n−ブチルエーテルからの錯体6.56gを用いて溶媒無しに、0℃で60分間の間88%の変換率で、数平均分子量Mn1375、多分散度(PDI)2.94及び末端ビニリデン二重結合含有量69mol%を有するポリイソブテンへと重合した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブテン鎖末端あたり末端ビニリデン二重結合含有量少なくとも50mol%を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造方法において、イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物を、ドナーとして、少なくとも1のエーテル官能性又はカルボン酸エステル官能性を有する有機化合物を含有する、重合触媒として作用するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体の存在下で重合させることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
イソブテン又はイソブテン含有モノマー混合物を、重合触媒として作用するアルミニウム三塩化物ドナー錯体の存在下で重合することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ドナーとして、一般式R1−O−R2(式中、可変部R1及びR2は、相互に独立してC1〜C20−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基又はC7〜C20−アリールアルキル基である)のジヒドロカルビルエーテルを含有するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ドナーとして、一般式R3−COOR4(式中、可変部R3及びR4は、相互に独立してC1〜C20−アルキル基、C5〜C8−シクロアルキル基、C6〜C20−アリール基又はC7〜C20−アリールアルキル基である)のカルボン酸ヒドロカルビルエステルを含有するアルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
ドナー化合物が3〜16個の全炭素数を有する、アルミニウム三ハロゲン化物ドナー錯体又はアルミニウムアルキルハロゲン化物ドナー錯体を使用することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
重合を、1又は複数のヒドロキシル基がそれぞれ1のsp3混成した炭素原子に結合している有機ヒドロキシ化合物、1又は複数のハロゲン原子がそれぞれ1のsp3混成した炭素原子に結合している有機ハロゲン化合物、及び、水から選択されている、一官能性又は多官能性開始剤の併用下で実施することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
開始剤が、水、メタノール、エタノール、1−フェニルエタノール、1−(p−メトキシフェニル)エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−フェニル−1−クロロエタン、2−フェニル−2−クロロプロパン、tert−ブチルクロリド及び1,3−又は1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択されていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
重合を、それぞれ、イソブテンの単独重合の場合には使用されるイソブテンモノマー1molに対して、又は、イソブテンの共重合の場合には使用される重合可能なモノマー全量の1molに対して、0.01〜10mmolの窒素含有塩基性化合物の存在下で実施することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
窒素含有塩基性化合物としてピリジン又はピリジン誘導体を使用することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
数平均分子量Mn500〜250000を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーの製造をするための、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
多分散度1.05から3.5未満を有する高反応性イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーを製造するための、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
重合を−60℃〜−15℃の温度で実施することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
重合を、不活性希釈剤としての、ハロゲン化脂肪族炭化水素中で、又は、ハロゲン化脂肪族炭化水素からの混合物中で、又は、少なくとも1のハロゲン化脂肪族炭化水素と少なくとも1の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素とからの混合物中で実施することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
一般式I
【化1】

[式中、
10、R11及びR12は、相互に独立して水素、C1〜C20−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C20−アリール、C7〜C20−アルキルアリール又はフェニル、その際、芳香族核はさらに1又は複数のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式II
【化2】

の原子団を置換基として有することができ、
その際、可変部R10、R11又はR12の最高で1つが水素を意味し、かつ、可変部R10、R11又はR12の少なくとも1がフェニルであり、これはさらに1又は複数のC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又は一般式IIの原子団を置換基として有することができる、かつ
nは9〜4500の数である]
のイソブテンポリマー。

【公表番号】特表2013−519766(P2013−519766A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553265(P2012−553265)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051929
【国際公開番号】WO2011/101281
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】