説明

高圧引下げ用電線の柱上配線装置

【課題】 樹木等の障害物を確実に回避できる高圧引下げ用電線の柱上配線装置を提供する。
【解決手段】 配電線から分岐した第一高圧引下げ用電線8を柱上変圧器2を装柱した電柱に沿わせて配線し、該高圧引下げ用電線8の端末を前記柱上変圧器2に支持金具を介して高圧カットアウト5と共に取付けたPDアダプタ6に接続する。そして、該PDアダプタ6と前記高圧カットアウト5を第二高圧引下げ用電線8´で接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線と柱上変圧器の間に介在させる高圧引下げ用電線の柱上配線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変圧器の装柱に際し、送電線や配電線などと変圧器の間に高圧引下げ用電線を介在させ、かつ、該高圧引下げ用電線の中間部に高圧カットアウトを配して、過負荷による変圧器の故障防止、当該変圧器以降の短絡電流が高圧線へ波及させるのを防ぐようにしている。
【0003】
そして、前記高圧カットアウトは、変圧器と別個に装柱するのが一般である(例えば、特許文献1)が、別個に装柱するには応分の資材を必要とし、そのために配線作業も煩雑となることから、変圧器自体に高圧カットアウトを装備して装柱する手段も採られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−340473号公報
【特許文献2】実用新案登録第2531248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれにしても、配電線等と柱上変圧器との間に装柱機器や樹木などの障害物が存在すると、障害物回避のための配線作業(高圧引下げ用電線の)が煩雑となり、配線内容を現場任せにしているのが現状である。
【0006】
本発明は、障害物を確実に回避できる高圧引下げ用電線の柱上配線装置を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
配電線から分岐した第一高圧引下げ用電線を柱上変圧器を装柱した電柱に沿わせて配線し、該高圧引下げ用電線の端末を前記柱上変圧器に支持金具を介して高圧カットアウトと共に取付けたPDアダプタに接続し、該PDアダプタと前記高圧カットアウトを第二高圧引下げ用電線で接続した構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配電線より分岐した高圧引下げ用電線を電柱に沿わせて配線して柱上変圧器に設けたアダプタに接続するものであるから、前記配電線と柱上変圧器(のアダプタ)間に装柱機器や樹木などの障害物の位置や大きさと無関係に配線でき、電柱に沿わせる一方で、変圧器に支持金具を介して取付けた(定形化して取付けられる)アダプタ、高圧カットアウトを介して変圧器に接続するものであるから、配線状態の画一化を図れ、常に均質な配線状態を得ることができる。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る高圧引下げ用電線の柱上配線装置の一実施例を示し、図1は第一実施例の正面図、図2は図1の一部拡大図、図3は図2のa−a線断面図、図4は第二実施例の拡大正面図である。
【0010】
図中1は電柱、2は該電柱1に装柱した柱上変圧器で、変圧器2はバンド体3によって前記電柱1に締付けてある。
【0011】
変圧器2には、支持金具4,144を介して高圧カットアウト5およびアダプタ(PDアダプタ)6を設け、高圧カットアウト5とアダプタ6は一端において第二高圧引下げ用電線8´を介して互いに接続され、高圧カットアウト5の他の一端はリード線8´aによってブッシング9を通じて変圧器2の内部機構と接続され、また、前記アダプタ6の他の一端は、配電線10より分岐した第一高圧引下げ用電線8の末端と接続してある。
【0012】
前記第一高圧引下げ用電線8は、前記柱上変圧器2を装柱した前記電柱1に前記配電線10との分岐部である高圧スリップオン碍子7の近傍位置から前記アダプタ6の近傍位置まで沿わせて配線し、前記の通りアダプタ6に接続したもので、電柱1に対して適宜の取付手段11を用いて取付け、実施例の場合は、取付手段11を電柱1に巻回したバンド体で構成してある。
【第一実施例】
【0013】
図1乃至図3で示す第一実施例の支持金具4は、本体金具12と該本体金具12の中間部に取付けたアダプタ用支持金具13で成り、本体金具12の先端に前記高圧カットアウト5を、アダプタ用支持金具13の先端には前記アダプタ6をそれぞれ取付け、本体金具1の基部を柱上変圧器2の変圧器ケース2Aの周壁部2A´の上部に並設した取付座14に取付けて、高圧カットアウト一体的形の柱上変圧器を構成するものである。
【0014】
本体金具12は、ねじ杆16とこれに螺合したナット17で接続した基部金具12Aと先部金具12Bを備え(分解できるようにして保管や搬送に利便にした)、先部金具12Bの先端に前記高圧カットアウト5を支持した先端金具12Cをねじ杆18とこれに螺合したナット19によって接続し、基部金具12Aの基端部を変圧器ケース2Aの周壁部2A´に突設した、平面視U字状の前記取付座14に載置し、該基端部を通じて取付座14に貫通させた取付けボルト20の先端に取付ナット21を螺合、締付けて、変圧器ケース2Aに突設したものである。
【0015】
前記アダプタ用支持金具13は、基端に設けた溝状の枠部片22を本体金具12の基部金具12Aの中間部に嵌め込んで接続ボルト23とこれに螺合した接続ナット24で締め付けて本体金具1に立設状にして配設し、先端に設けた支持部25で前記アダプタ6を支持させたものである。
【0016】
支持部25は、アダプタ用支持金具13の先端に設けた受部片25aに、該受部片25aと別体の挟持片26をアダプタ6を介して重ね合わせ、挟持ボルト27とこれに螺合したナット28によってこれらを互いに締め付けてアダプタ6を支持するようにしたものである。
【第二実施例】
【0017】
図4は、前記支持金具4に代えて耐塩型支持金具144を用いて本発明に係る高圧引下げ用電線の柱上配線装置を実施した第二実施例を示し、この第二実施例に用いた前記耐塩型支持金具144は、本体金具40と該本体金具40の中間部に取付けたアダプタ用支持金具41で成り、本体金具40の先端に高圧カットアウト5を、アダプタ用支持金具41の先端にアダプタ6をそれぞれ取付け、本体金具40の基部を柱上変圧器2の変圧器ケース2Aの周壁部2A´の上部に並設した取付座14に取付けて、高圧カットアウト一体的形の柱上変圧器を構成するものである。
【0018】
本体金具40は、遮蔽部40D´´を備えた耐塩高圧ピン碍子40Dを介して互いに分解可能(保管や搬送の利便性のため)に接続した基部金具40Aと先部金具40Bを備え、先部金具40Bの先端に、第一実施例を同様に高圧カットアウト5を支持した先端金具40Cをねじ杆18とこれに螺合したナット19によって接続し、基部金具40Aの基端部を変圧器ケース2Aの周壁部2A´に突設した平面視U字状の前記取付座14に載置し、該基端部を通じて取付座14に貫通させた取付けボルト20の先端に取付ナット21を螺合、締付けて、第一実施例と同様に変圧器ケース2Aに突設したものである。
【0019】
前記アダプタ用支持金具41は、第一実施例のものと略同様に基端に設けた溝状の枠部片42を本体金具40の基部金具40Aの先端側の、前記耐塩高圧ピン碍子40Dのピン40D´部の支持部に外側から嵌め込んで、接続ボルト43とこれに螺合した接続ナット(図示省略)で締め付けて本体金具40に立設状にして配設し、先端に設けた支持部45で前記アダプタ6を支持させたものである。
【0020】
支持部45は、アダプタ用支持金具41の先端に設けた受部片45aに、該受部片45aと別体の挟持片46をアダプタ6を介して重ね合わせ、挟持ボルト47とこれに螺合したナット48によってこれらを互いに締め付けてアダプタ6を第一実施例と同様に支持するようにしたものである。
【0021】
なお、第二実施例は、第一実施例の支持金具4に代えて耐塩型支持金具144を用いた点以外は第一実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一実施例の正面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図2のa−a線断面図。
【図4】第二実施例の拡大正面図
【符号の説明】
【0023】
2 柱上変圧器
5 高圧カットアウト
6 PDアダプタ
8,8´ 高圧引下げ用電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線から分岐した第一高圧引下げ用電線を柱上変圧器を装柱した電柱に沿わせて配線し、該高圧引下げ用電線の端末を前記柱上変圧器に支持金具を介して高圧カットアウトと共に取付けたPDアダプタに接続し、該PDアダプタと前記高圧カットアウトを第二高圧引下げ用電線で接続した、高圧引下げ用電線の柱上配線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−124780(P2009−124780A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292924(P2007−292924)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】