説明

高圧放電ランプ

【課題】発光光束を低下させることなく、長期の点灯時間に亘って、包囲体が発光管から放射される熱によって変形するのを抑制し、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを確実に防止することができる高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】外管2内に発光管3とこの発光管3を包囲する筒状の包囲体20とが配置されている。包囲体20は網目状に形成された金属体からなり、金属体同士が交差している部分は溶接によって固着されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、体育館等の屋内照明やスタジアム等の屋外照明に使用されている高圧放電ランプ、例えばメタルハライドランプは、硬質ガラス製の外管内に、石英ガラス製の発光管と、この発光管を支持するための発光管支持体と、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを防止するために発光管を包囲するように筒状に形成され、かつ網目状または線状の包囲体とが配置されている(例えば特許文献1や特許文献2等参照)。
【0002】
発光管支持体は、外管の一端部に封着されているステムに封止されたステム線に接続され、かつ発光管を挟むようにその発光管の長手方向の中心軸と平行に林立した第一の直線部と第二の直線部とを有している。発光管は、その両端部がこれら第一の直線部と第二の直線部との間に架設された二枚の帯状の金属部材によって挟持されて保持されている。包囲体は、第一の直線部および第二の直線部に巻き付けられることによってこれら第一の直線部および第二の直線部に保持されている。また、包囲体の網目間隔または線輪間隔は、上記目的を達成するべく例えば5mm〜15mmの範囲になるように設定されている。
【0003】
なお、包囲体を構成する材料としては、耐熱性の高い例えばニッケルめっきされた鉄線からなる。
【特許文献1】特公昭49−12988号公報
【特許文献2】米国特許第4721876号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の高圧放電ランプでは、点灯中、包囲体が発光管から放射される熱によって非常に高温となって変形し、網目間隔または線輪間隔が上記設定値の範囲から外れ、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを防止することができなくなるおそれがあった。もちろん、包囲体の線径を大きくして熱に対する変形を抑制することも考えられる。しかし、その場合は、それだけ発光管から放射される光が包囲体によって遮られてしまうので、ランプの発光光束が低下することが懸念される。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、発光光束を低下させることなく、長期の点灯時間に亘って、包囲体が発光管から放射される熱によって変形するのを抑制することができ、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを確実に防止することができる高圧放電ランプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外管内に発光管とこの発光管を包囲する筒状の包囲体とが配置されており、前記包囲体は網目状に形成された金属体からなり、前記金属体同士が交差している部分は溶接によって固着されている構成を有している。
【0007】
特に、前記包囲体の筒状部の両端部には隣接する一対の延出部が形成され、前記隣接する一対の延出部は少なくともその一部が互いに交差するように前記筒状部の内側に向かって折り曲げられ、かつ折り曲げられた前記隣接する一対の延出部のうち、互いに交差する部分同士が溶接によって固着されていることが好ましい。この場合において、前記隣接する一対の延出部は、前記包囲体の筒状部の開口部を覆うように折り曲げられていることがさらに好ましい。
【0008】
また、前記外管内には前記発光管を支持している発光管支持体が配置されているとともに、前記外管の一端部に封着されたステムにはステム線が封止されており、前記発光管支持体は前記ステム線に接続され、かつ前記発光管の一端部を支持している第一の発光管支持体部と前記発光管の他端部を支持している第二の発光管支持体部とを有し、前記包囲体は前記第一の発光管支持体部と前記第二の発光管支持体部との間に介在して前記発光管支持体の一部を構成していることが好ましい。
【0009】
さらに、前記発光管は石英ガラス製であって、その内部にはナトリウムを含む封入物が封入されており、前記包囲体は電位を持っていないことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、発光光束を低下させることなく、長期の点灯時間に亘って、包囲体が発光管から放射される熱によって変形するのを抑制することができ、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを確実に防止することができる高圧放電ランプを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良な実施の形態を図面を用いて説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態である水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ1は、全長T1が360mm、最大外径R1が140mmであり、例えばドロップ形の外管2と、この外管2内に配置された発光管3およびこの発光管3を支持するための発光管支持体4と、外管2の一端部に取り付けられたねじ込み式(E形)の口金5とを備えている。
【0013】
外管2は、例えば硬質ガラス製であり、その一端部にステム6が封着され、その他端部の閉塞部にガラスの一部が内側に向かって窪んだような形状を有する凸部7が形成されている。ステム6内には、二本のステム線8,9の一部が封止されている。各ステム線8,9の一端部は外管2内に引き込まれ、そのうちの一方は後述する第一の発光管支持部18に例えば溶接されて電気的に、かつ機械的に接続され、残る他方はジャンピングワイヤー10を介して後述する外部リード線17に電気的に接続されている。一方のステム線8の他端部は口金5のアイレット部11に、他方のステム線9の他端部は口金5のシェル部12にそれぞれ例えばはんだ付けによって電気的に接続されている。
【0014】
発光管3は、全長T2が130mmであって、例えば石英ガラス製であり、最大外径R2が25mm、肉厚が1.5mmの円筒状(両端部を除く)の発光部13とこの発光部13の両端部に公知のピンチシール法によって形成された封止部14,15とを有している。
【0015】
発光部13内には、互いに略対向するように配置された一対の電極(図示せず)が設けられ、放電空間が形成されている。また、この発光部13内には、発光材料となるヨウ化ナトリウム(NaI)やヨウ化スカンジウム(ScI3)等の金属ハロゲン化物と、緩衝ガスとしての水銀と、始動補助ガスとしてのネオンガス(Ne)およびアルゴンガス(Ar)の混合ガスとがそれぞれ所定量封入されている。
【0016】
なお、金属ハロゲン化物としては、ヨウ化ナトリウムやヨウ化スカンジウム以外に、所望の色特性等に応じて公知の種々の金属ハロゲン化物、例えばハロゲン化セシウム(CsIやCsBr等)やハロゲン化ディスプロシウム(DyI3やDyBr3等)等を用いることができる。また、始動補助ガスとしては、ネオンガスとアルゴンガスとの混合ガス以外に、アルゴンガス単体や、その他の希ガスの単体またはそれらの混合ガスを用いることができる。
【0017】
一対の電極は、封止部14,15に封止されたモリブデン製の金属箔(図示せず)を介して外部リード線16,17に接続されている。
【0018】
発光管支持体4は、外管2内のステム6側に位置している第一の発光管支持部18と、外管2内の閉塞部側に位置している第二の発光管支持部19と、これら第一の発光管支持部18と第二の発光管支持部19との間に介在して第一の発光管支持部18と第二の発光管支持部19とにそれぞれ機械的に接続され、かつ発光管3を包囲する筒状の包囲体20とを有している。このように包囲体20は、発光管3を包囲し、万一発光管3が破損した場合でもその破片が飛散して外管2が破損するのを防止するとともに、発光管支持体4の一部として構成され、発光管3の支持に寄与している。
【0019】
第一の発光管支持部18および第二の発光管支持部19は、いずれも線径が1.8mm〜2.5mm、例えば1.8mmであって、例えばニッケルでめっきされた鉄線や、モネル線、マンガンとニッケルとの合金線からなる一本の金属線を略コの字状に折り曲げられて構成されている。ただし、第一の発光管支持部18と第二の発光管支持部19とではその金属線の長さ自体が異なっている。
【0020】
ここで、第一の発光管支持部18および第二の発光管支持部19において、平行に並んでいる二つの直線部分をそれぞれ第一の直線部18a,19a、第二の直線部18b,19bと言い、これら第一の直線部18a,19aと第二の直線部18b,19bとの間に介在し、これらと垂直な関係にある直線部分を第三の直線部18c,19cと言う。第一の発光管支持部18および第二の発光管支持部19のいずれにおいても、第三の直線部18c,19cが発光管3から遠ざかるように、かつ第一の直線部18a,19aと第二の直線部18b,19bとが外管2の長手方向の中心軸X(図1参照)と平行になるようにそれぞれ配置されている。第一の発光管支持部18において、第一の直線部18aの端部には外部リード線16が別のリード線21を介して電気的に接続されており、また第三の直線部18cの中央部にはステム線8が電気的に、かつ機械的に接続されている。一方、第二の発光管支持部19において、第三の直線部19cの中央部には外管2の凸部7にはめ込まれるキャップ状の金属部材22が機械的に接続されている。
【0021】
発光管3は、その封止部14,15が第一の直線部18a,19aと第二の直線部18b,19bとの間に架設されたそれぞれ2枚の帯状の金属部材23,24によって挟持されることにより、発光管支持体4に支持されている。また、発光管支持体4そのものは、第二の発光管支持部19に接続されたキャップ状の金属部材22が外管2の凸部7にはめ込まれ、かつ第一の発光管支持部18がステム線8に接続されることにより、外管2内の所定位置に保持されている。
【0022】
ところで、第一の発光管支持部18と包囲体20とは、各々の端部同士が例えば鉄とニッケルとの合金からなる薄い板状の結合部材25を介して接続されているが、電気的にはつながっていない。第一の発光管支持部18と結合部材25、および包囲体20と結合部材25との接続方法としては例えば抵抗溶接等が挙げられる。一方、第二の発光管支持部19と包囲体20とは、各々の端部同士が例えばセラミックからなる絶縁素子26を介して機械的に接続されており、電気的にはつながっていない。したがって、第一の発光管支持部18はステム線8に電気的に接続されてランプ点灯中、電位を持つことになるが、包囲体20自体はこの絶縁素子26によって電位を持たないようになされている。もちろん、第一の発光管支持部18も電位を持つ部材とは電気的に接続されていない。このように包囲体20が電位を持たないようにすることにより、点灯中、発光部13内に存在するナトリウムイオンが包囲体20によって誘引されて発光管3の構成材料である石英ガラスを通り抜けて外部へ漏出するのを阻止することができ、その結果、発光に寄与するナトリウムの消失を防止することができる。
【0023】
なお、上記した例では、各発光管支持部18,19として一本の金属線を折り曲げたものを用いているが、例えば複数の金属線を接続して一体化し、それを必要に応じて加工したものを用いてもよい。また、その形状として必ずしも略コの字状である必要はなく、適宜公知の形状のものを用いることができる。
【0024】
包囲体20は、図3および図4にも示すように、網目状の部材、例えば金網を円筒状に成形した筒状部27とこの筒状部27の両端部にそれぞれ形成された二組の隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hとからなる。使用した金網は、線径が0.3mm〜0.7mm、例えば0.75mmのニッケルめっきされた鉄線(金属体)を一辺9mmの略正方形の網目を形成するように編まれたものからなり、平面状に広げた状態で縦幅が100mm、横幅が113mmである(延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hを除く寸法)。また、この包囲体20を構成している金網の各金属線(金属体)同士が交差している部分(例えば図3に示す点A)は例えば抵抗溶接によって固着されている。ただし、図3〜図6に示す例では各金属線同士が交差している部分は全て溶接によって固着されているが、必ずしも全て溶接によって固着される必要はない。例えば、包囲体に20を構成している金網の各金属線がランプの点灯中に変形して、その網目が大きくなったとしても、その領域が発光管3の破片の飛散を防止する機能に関係のない領域であれば、特にその領域における金属線同士が交差する部分を溶接によって固着する必要はない。また、その金属線がランプの点灯中に多少変形したとしても、もともとその金網の網目が非常に細かく、発光管3の破片が飛散するに至らないのであれば、例えば溶接箇所と溶接していない箇所とが交互になるように金属線同士が交差している部分を一つおきに溶接して固着してもよい。
【0025】
各端部に形成された二組の隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hは、筒状部27の周方向にRを持った縦が6.35mm、横が6.35mmの略正方形状であり、封止部14,15の広い面積側の面を挟むように互いに対向して配置されている。また、各延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hは、図5および図6に示すように、筒状部27との境界部分を折り目にして筒状部27の内側へ向かって40°〜60°を目安として折り曲げられている。もっとも、延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hにおける筒状部27との境界部分は円弧状にRを持っているので、その折り目が明確になるように折り曲げることは難しく、実際は適当なRを持つように曲がっている。
【0026】
そして、折り曲げられた隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hのうち、互いに交差する部分同士(例えば図6に示す交点B)が例えば抵抗溶接等によって固着されている。これら延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hにおける金属線同士が互いに交差する部分は、上記した筒状部27における金属線同士が互いに交差する部分の場合と同じ理由により、その一部を溶接によって固着してもよいし、その全部を溶接によって固着してもよい。
【0027】
各延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hの折り曲げ方としては、万一発光管3が破損した際の破片によって外管2が破損しないようにするために、封止部14,15が挿入される場合は封止部14,15が挿入できる程度の隙間を残して、包囲体20の筒状部27の両端の開口部全体を覆うように折り曲げられていることが好ましい。したがって、折り曲げ角度は、特に限定されるものではなく、発光管3が破損した際の破片によって外管2が破損しないように、つまり封止部14,15と延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hの先端との間の間隔がなるべく空かないように延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hの寸法等に合わせて適宜設定すればよい。
【0028】
なお、ここで言う「開口部全体を覆う」とは、発光管3の破片のうち、外管3の破損に影響するものが通り抜けることができない程度に覆われていればよいことを意味している。つまり、その破片が微小片であり、外管3に衝突しても外管3が破損しない程度のものであれば包囲体20を通り抜けても問題にはならない。したがって、そのような微小片が通り抜けることができたとしてもここで言う「開口部全体を覆う」に含まれるものとしている。
【0029】
次に、本発明の実施の形態にかかる水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ1(以下、「本発明品」という)の効果を確認するための実験を行った。
【0030】
まず、上記した本発明品を10本作製した。作製した各本発明品を公知の銅鉄安定器を用いて水平点灯させ、初期の発光光束(lm)について調べた。また、その後、各本発明品を公知の銅鉄安定器を用いて定格寿命時間(9000時間)まで水平点灯させた。そして、定格寿命時間まで点灯させた本発明品に定格ランプ電流の数倍〜数十倍のランプ電流を流して発光管3を強制的に破損させ、外管2の破損状況について調べた。
【0031】
なお、比較のため、包囲体20(これに付属される部材を含む)を設けていない点を除いて本発明の実施の形態である水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ1と同じ構成を有している水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ(以下、「比較品A」という)と、包囲体20において各金属線同士が交差している部分を溶接によって固着していない点を除いて本発明の実施の形態である水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ1と同じ構成を有している水平点灯用の定格電力700Wのメタルハライドランプ(以下、「比較品B」という)とをそれぞれ10本作製し、本発明品と同様に初期の発光光束と、発光管3を強制的に破損させた際の外管2の破損状況についてそれぞれ調べた。
【0032】
点灯方法としては、5.5時間点灯、0.5時間消灯を1サイクルとしてこれを繰り返した。「初期の発光光束」とは、100時間点灯経過時の発光光束(lm)を示す。ただし、次に示す発光光束の値は各サンプルの平均値を示す。
【0033】
その結果、本発明品では、初期の発光光束が55000lmであり、定格寿命時間まで点灯させた状態で発光管3を強制破損させても、外管2が破損したものはなかった。一方、比較品Aでは、初期の発光光束が70000lmであり、もちろん定格寿命時間まで点灯させた状態で発光管3を強制破損させると、全てのサンプルにおいて外管2が破損した。比較品Bでは、初期の発光光束が55000lmであり、定格寿命時間まで点灯させた状態で発光管3を強制破損させると、全サンプル10本中3本のものにおいて外管2が破損した。
【0034】
ここで、定格寿命時間まで点灯させた状態での本発明品の包囲体20を目視によって観察すると、包囲体20の外観形状は本発明品の組み立て時における包囲体20の外観形状に比して目立った変化はなかった。一方、定格寿命時間まで点灯させた状態での比較品Bの包囲体を目視によって観察すると、包囲体の外観形状は本発明品の組み立て時における包囲体20の外観形状に比して各金属線が変形しており、網目の大きさが最大のもので当初の大きさより1.5倍〜3倍程度大きくなっていた。したがって、外管の破損に関して上記のような結果が得られたのは、本発明品の場合、長期の点灯時間に亘っても網目状の包囲体20を形成している各金属線が変形することはなく、包囲体20の外観形状が当初の状態に保たれていたためであると考えられる。一方、比較品Bの場合、長時間の点灯に伴って発光管3から放射される熱によって網目状の包囲体を形成している各金属線が変形し、網目が大きくなってしまったためであると考えられる。
【0035】
以上のとおり本発明の実施の形態にかかるメタルハライドランプ1の構成によれば、包囲体20を構成している金網の各金属線同士が交差している部分が溶接によって固着されているので、特に金属線の線径を大きくすることなく、点灯中、発光管3から放射される熱によって各金属線が変形するのを抑制することができ、長期の点灯時間に亘って包囲体20の外観形状、特に網目形状を当初のものと同様に保持することができ、その結果、万一発光管3が破損した場合でもその破片が飛散して外管2が破損するのを確実に防止することができる。また、上述したように包囲体20において、特に金属線の線径を大きくしていないので、発光管3から放射される光が包囲体20によって遮られるのを十分に低減することができ、実使用上問題の無い範囲内に発光光束が低下するのを抑制することができる。
【0036】
特に、包囲体20の筒状部27の両端部に形成された隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hが互いに交差するように筒状部27の内側に向かって折り曲げられ、かつ折り曲げられた隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hのうち、互いに交差する部分同士が溶接によって固着されているので、筒状部27の開口端近傍の機械的強度を高めることができ、点灯中、発光管3から放射される熱によって包囲体20を構成している金網の各金属線が変形するのを一層抑制することができるとともに、ランプの輸送時等の衝撃に対しても変形することなく十分耐え得ることができる。また、発光管3が破損した際の破片が筒状部27の開口端から飛散しようとするのを抑制することができ、その破片によって外管2が破損するのを一層確実に防止することができる。この場合において、隣接する一対の延出部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hが筒状部27の開口部を覆うように折り曲げられているので、発光管3が破損した際の破片が筒状部27の開口端から飛散しようとするのを一層抑制することができ、その破片によって外管2が破損するのをより一層確実に防止することができる。
【0037】
また、特に包囲体20が発光管支持体4の一部を構成し、発光管3を支持するための部材としての機能することにより、単に二本の金属線が発光管支持体の骨格を形成していた従来のメタルハライドランプに比して発光管支持体4全体の機械的強度、特にねじれ方向に対する強度を向上させることができ、ランプの輸送時等の衝撃に起因して発光管3が破損するのを防止することができる。
【0038】
ここで、包囲体20を構成している金網の金属線の線径は、発光光束の低下を極力抑えるために小さいほど好ましいが、発光管3が破損した際の破片の衝撃に十分耐え得る必要があるため、例えば0.3mm〜0.7mmに設定されていることが好ましい。
【0039】
なお、上記実施の形態では、石英ガラス製の発光管3を用いた場合について説明したが、これ以外に透光性セラミック、例えば多結晶アルミナ製の公知の発光管を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
また、上記実施の形態では、包囲体20の網目の形状が略正方形である場合について説明したが、その形状は特に限定されるものではなく、例えば略長方形、略ひし形、略円形または略楕円形等であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。また、各形状での網目の大きさは、発光管3が破損した際の破片が飛散して外管2が破損しないように適宜設定すればよい。もっとも、発光管3が破損した際の破片が包囲体20から飛散するのを極力抑えるために小さいほど好ましいが、小さすぎると発光光束が低下するおそれがあるため、最大で例えば5mm〜12mmに設定されていることが好ましい。
【0041】
また、上記実施の形態では、包囲体20を構成している金網の金属線が単線である場合について説明したが、これ以外にその金属線が撚り線からなる場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。また、網目状の包囲体20を形成するに当たり、金属線からなる金属体以外に、網目状に形成された例えば細幅のリボン状の金属体からなる包囲体を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、発光光束を低下させることなく、長期の点灯時間に亘って、包囲体が発光管から放射される熱によって変形するのを抑制し、発光管が破損した際にその破片によって外管が破損するのを確実に防止することが必要な用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態であるメタルハライドランプの正面図
【図2】同じくメタルハライドランプの左側面図
【図3】同じくメタルハライドランプに用いられている包囲体であって、延出部を折り曲げる前の状態の正面図
【図4】同じくメタルハライドランプに用いられている包囲体であって、延出部を折り曲げる前の状態の平面図
【図5】同じくメタルハライドランプに用いられている包囲体の正面図
【図6】同じくメタルハライドランプに用いられている包囲体の平面図
【符号の説明】
【0044】
1 メタルハライドランプ
2 外管
3 発光管
4 発光管支持体
5 口金
6 ステム
7 凸部
8,9 ステム線
10 ジャンピングワイヤー
11 アイレット部
12 シェル部
13 発光部
14,15 封止部
16,17 外部リード線
18 第一の発光管支持部
19 第二の発光管支持部
20 包囲体
21 リード線
22 キャップ状の金属部材
23,24 帯状の金属部材
25 結合部材
26 絶縁素子
27 筒状部
28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28h 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管内に、発光管とこの発光管を包囲する筒状の包囲体とが配置されており、前記包囲体は網目状に形成された金属体からなり、前記金属体同士が交差している部分は溶接によって固着されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記包囲体の筒状部の両端部には隣接する一対の延出部が形成され、前記隣接する一対の延出部は少なくともその一部が互いに交差するように前記筒状部の内側に向かって折り曲げられ、かつ折り曲げられた前記隣接する一対の延出部のうち、互いに交差する部分同士が溶接によって固着されていることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記隣接する一対の延出部は、前記包囲体の筒状部の開口部を覆うように折り曲げられていることを特徴とする請求項2記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記外管内には前記発光管を支持している発光管支持体が配置されているとともに、前記外管の一端部に封着されたステムにはステム線が封止されており、前記発光管支持体は前記ステム線に接続され、かつ前記発光管の一端部を支持している第一の発光管支持体部と前記発光管の他端部を支持している第二の発光管支持体部とを有し、前記包囲体は前記第一の発光管支持体部と前記第二の発光管支持体部との間に介在して前記発光管支持体の一部を構成していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記発光管は石英ガラス製であって、その内部にはナトリウムを含む封入物が封入されており、前記包囲体は電位を持っていないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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